(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162472
(43)【公開日】2022-10-24
(54)【発明の名称】ブリスター包装容器
(51)【国際特許分類】
B65D 75/32 20060101AFI20221017BHJP
【FI】
B65D75/32
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067353
(22)【出願日】2021-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】503221964
【氏名又は名称】大成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林田 徳生
(72)【発明者】
【氏名】村嶋 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】乾 宣夫
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067BA02A
3E067BA20A
3E067BB14A
3E067EA17
3E067EB17
3E067EB22
3E067EE09
3E067FA01
3E067FB02
3E067FC01
3E067GD10
(57)【要約】
【課題】商品が視認しにくい低い展示棚面に載置された場合であっても、商品収容領域内の商品が視認し易いブリスター包装容器を提供すること。
【解決手段】表面パネル110と裏面パネル120とをそれぞれの共有するパネル底辺130で二つ折り可能な状態に一体成型して構成し、表面パネルと裏面パネルとの間に商品Gを収容して載置面SS上で所定の仰向け角度βで自立自在となり、表面パネルが、表面パネルのパネル外側に向けて膨出して形成される商品収容領域111を備え、表面パネルに形成した商品収容領域の所定の膨出角度αで膨出している最下端膨出部位111aが、載置面に向けてパネル底辺よりも突出しているブリスター包装容器100。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面パネルと裏面パネルとをそれぞれの共有するパネル底辺で二つ折り可能な状態に一体成型して構成し、前記表面パネルと裏面パネルとの間に商品を収容して載置面上で所定の仰向け角度で自立自在となるブリスター包装容器であって、
前記表面パネルが、該表面パネルのパネル外側に向けて膨出して形成される商品収容領域を備え、
前記表面パネルに形成した商品収容領域の所定の膨出角度で膨出している最下端膨出部位が、前記載置面に向けて前記パネル底辺よりも突出していることを特徴とするブリスター包装容器。
【請求項2】
前記裏面パネルが、該裏面パネルのパネル内側に向けて台座状に膨出して二つ折り状態で前記表面パネルの商品収容領域内に嵌め込まれる商品台座部分を備えていることを特徴とする請求項1に記載のブリスター包装容器。
【請求項3】
前記裏面パネルが、前記商品台座部分からパネル内側に向けて更に膨出した商品保持部分を備えていることを特徴とする請求項2に記載のブリスター包装容器。
【請求項4】
前記裏面パネルの商品保持部分が、前記表面パネルのパネル内側寄りに商品を位置決めするように形成されていることを特徴とする請求項3に記載のブリスター包装容器。
【請求項5】
前記表面パネルと前記裏面パネルとが、二つ折り状態で前記商品収容領域を囲繞して凹凸係合自在となる封止部分をそれぞれ備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のブリスター包装容器。
【請求項6】
前記表面パネルと前記裏面パネルとが、水平な金型基準面に設置した裏面パネル用金型と所定の基準面勾配角度で前記裏面パネル用金型に隣接して設置した表面パネル用金型とを組み合わせたブリスター包装容器用金型を用いて真空及び又は圧空により製造されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載のブリスター包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品が視認しにくい低い展示棚面にブリスター包装容器が載置された場合であっても仰向けに自立して商品収容領域内の商品を視認し易くするブリスター包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、商品を保持する商品保持部を設けた台座本体と、この台座本体と一体に成型して外側に膨出するパネル内側を形成した蓋体とを備え、台座本体に対して蓋体を折返線で折り返して閉蓋するブリスター包装容器が知られている(特許文献1)。
【0003】
また、収容している商品の視認性を高めるために、商品を収容する内ケースをスリーブ状の外ケース内に挿入して直立させるブリスター包装容器が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3225973号公報
【特許文献2】特開2016-204006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているブリスター容器は、折返線のある部位が蓋体の底部よりも下向きに突出しているため、水平面状ではブリスター包装容器が俯く角度で自立することとなり、低い展示棚面にブリスター包装容器が載置されたときに、商品収容領域内の商品を視認しにくい場合があった。
【0006】
一方、特許文献2に記載されているブリスター包装容器は、部品点数が多く、また、商品を収容するための工数が多いためにコスト高になるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、商品が視認しにくい低い展示棚面に載置された場合であっても、商品収容領域内の商品が視認し易いブリスター包装容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本請求項1に係る発明は、表面パネルと裏面パネルとをそれぞれの共有するパネル底辺で二つ折り可能な状態に一体成型して構成し、前記表面パネルと裏面パネルとの間に商品を収容して載置面上で所定の仰向け角度で自立自在となるブリスター包装容器であって、前記表面パネルが、該表面パネルのパネル外側に向けて膨出して形成される商品収容領域を備え、前記表面パネルに形成した商品収容領域の所定の膨出角度で膨出している最下端膨出部位が、前記載置面に向けて前記パネル底辺よりも突出していることにより、前述した課題を解決するものである。
【0009】
本請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、前記裏面パネルが、該裏面パネルのパネル内側に向けて台座状に膨出して二つ折り状態で前記表面パネルの商品収容領域内に嵌め込まれる商品台座部分を備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0010】
本請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明の構成に加えて、前記裏面パネルが、前記商品台座部分からパネル内側に向けて更に膨出した商品保持部分を備えていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0011】
本請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明の構成に加えて、前記裏面パネルの商品保持部分が、前記表面パネルのパネル内側寄りに商品を位置決めするように形成されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0012】
本請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4に係る発明の構成に加えて、前記表面パネルと前記裏面パネルとが、二つ折り状態で前記商品収容領域を囲繞して凹凸係合自在となる封止部分をそれぞれ備えていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0013】
本請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5に係る発明の構成に加えて、前記表面パネルと前記裏面パネルとが、水平な金型基準面に設置した裏面パネル用金型と所定の基準面勾配角度で前記裏面パネル用金型に隣接して設置した表面パネル用金型とを組み合わせたブリスター包装容器用金型を用いて真空及び又は圧空により製造されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に係る発明のブリスター包装容器によれば、ブリスター包装容器が表面パネルと裏面パネルとをそれぞれの共有するパネル底辺で二つ折り可能な状態に一体成型して構成していることにより、表面パネルと裏面パネルとが相互に離反することなく、裏面パネルが容器本体を構成するとともに表面パネルが容器蓋体を構成し、表面パネルと裏面パネルとがそれぞれに共有するパネル底辺で二つ折り可能な状態の一部材として構成されているため、表面パネルと裏面パネルとの間に商品を収容する際の商品収容作業や包装容器としての在庫管理などの取り扱いを嵩張ることなく簡便に達成することができる。
【0015】
そして、表面パネルがこの表面パネルのパネル外側に向けて膨出して形成される商品収容領域を備えていることにより、表面パネルと裏面パネルとの間に商品収容領域が十分に確保されるため、扁平な商品以外の嵩高な商品に対しても十分に収容することができるとともに商品展示棚面などの載置面上に平置きすることもできる。
【0016】
さらに、表面パネルに形成された商品収容領域の所定の膨出角度で膨出している最下端膨出部位が載置面に向けてパネル底辺よりも突出していることにより、ブリスター包装容器を商品展示棚面などに載置して起立させる際に、商品収容領域の所定の膨出角度で膨出している最下端膨出部位が載置面に向けてパネル底辺よりも突出している分だけ商品収容領域が後傾姿勢となり得るため、商品が視認しにくい低い展示棚面にブリスター包装容器が載置された場合であってもブリスター包装容器が仰向けに自立して商品収容領域内の商品を視認し易くすることができる。
【0017】
また、表面パネルのパネル外側に向けて膨出した商品収容領域の所定の膨出角度で膨出している最下端膨出部位が載置面に向けてパネル底辺よりも突出していることにより、商品収容領域内に収容した商品の重心がパネル底辺よりも前方の商品収容領域内に存在することになるため、商品収容領域の最下端膨出部位が載置面に向けてパネル底辺よりも突出した仰向けの自立姿勢であっても商品展示棚面などの載置面に対して何ら起立補助することなく自立することができる。
【0018】
本発明の請求項2に係る発明のブリスター包装容器によれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、裏面パネルがこの裏面パネルのパネル内側に向けて台座状に膨出して二つ折り状態で表面パネルの商品収容領域内に嵌め込まれる商品台座部分を備えていることにより、商品収容領域内に収容した商品の重心が商品台座部分よりも前方の商品収容領域内へ偏位して存在することになるため、ブリスター包装容器が仰向けの自立姿勢であっても後方に倒れにくくなり商品展示棚面などの載置面に対して安定して自立することができる。
【0019】
本請求項3に係る発明のブリスター包装容器によれば、請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、裏面パネルが商品台座部分からパネル内側に向けて更に膨出した商品保持部分を備えていることにより、商品収容領域内に収容した商品の重心が商品台座部分よりもさらに前方の商品保持部分を介した商品収容領域内に偏位して存在することになるため、ブリスター包装容器が仰向けの自立姿勢であっても商品展示棚面などの載置面に対してより一層安定して自立することができるばかりでなく、商品収容領域内に収容した商品が裏面パネル側から浮き上がった状態となり、その結果、商品収容領域内の商品を側面視し易くなり立体的に視認観察することができる。
【0020】
本請求項4に係る発明のブリスター包装容器によれば、請求項3に係る発明が奏する効果に加えて、裏面パネルの商品保持部分が表面パネルのパネル内側寄りに商品を位置決めするように形成されていることにより、商品が商品保持部により確実に位置決め保持されるばかりでなく、商品収容領域内に収容した商品が裏面パネル側から表面パネル側へより浮き上がった状態となるため、商品収容領域内の商品をさらに側面視し易くなり商品を簡便に全体観察して商品の迅速な価値判断を達成することができる。
【0021】
本請求項5に係る発明のブリスター包装容器によれば、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に係る発明が奏する効果に加えて、表面パネルと裏面パネルとが二つ折り状態で商品収容領域を囲繞して凹凸係合自在となる封止部分をそれぞれ備えていることにより、表面パネルと裏面パネルとを相互に強固に密着することが可能になるため、商品収容領域の封止効果と保形性を高めるとともに商品展示棚面など載置面に対してより一層安定した仰向け自立状態を確保することができる。
【0022】
本請求項6に係る発明のブリスター包装容器によれば、請求項1乃至請求項5に係る発明が奏する効果に加えて、表面パネルと裏面パネルとが、水平な金型基準面に設置した裏面パネル用金型と所定の基準面勾配角度で裏面パネル用金型に隣接して設置した表面パネル用金型とを組み合わせたブリスター包装容器用金型を用いて真空及び又は圧空により製造されていることにより、水平な金型基準面に設置した裏面パネル用金型に対する表面パネル用金型の抜き勾配角度が直角より大きくなるため、成型加工時にブリスター包装容器の表面パネルに形成した商品収容領域の最下端膨出部位を表面パネル用金型から鉛直方向に無理なく型抜きして取り出すことが可能になり、その結果、ブリスター包装容器に生じがちな容器変形や容器損傷がなくブリスター包装容器を高品質かつ歩留まり良く効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】本発明の一実施例に係るブリスター包装容器が載置面上で自立している状態の模式的側面図。
【
図1B】本発明の一実施例に係るブリスター包装容器が載置面上で自立している状態の模式的正面図。
【
図3A】本発明の一実施例に係るブリスター包装容器の閉蓋状態の模式的斜視図。
【
図3B】本発明の一実施例に係るブリスター包装容器の開蓋状態の模式的斜視図。
【
図4】本発明の一実施例に係るブリスター包装容器を製造するための金型の模式的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、表面パネルに形成された商品収容領域の最下端膨出部位が載置面に向けてパネル底辺よりも突出していることにより、商品が視認しにくい低い展示棚面にブリスター包装容器が載置された場合であってもブリスター包装容器が仰向けに自立して商品収容領域内の商品を視認し易くすることができるものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0025】
たとえば、膨出角度は、パネル底辺の突出寸法にもよるが、1度以上5度以下に設定することが好ましい。膨出角度αが1度より小さいと、最下端膨出部位が載置面に向けてパネル底辺よりも下向きに突出する寸法が不十分となってブリスター包装容器が俯いて自立する場合が生じ、膨出角度が5度よりも大きいと、ブリスター包装容器用金型を用いて製造する際に抜き工程をスムーズに行えるブリスター包装容器用金型の製造に手間がかかるからである。
【0026】
また、仰向け角度は、85度以上90度以下の角度に設定することが好ましい。仰向け角度が80度より小さいと、収容している商品の重量によりブリスター包装容器が後ろ向きに倒れやすくなり、仰向け角度が90度より大きいと、ブリスター包装容器が俯いて自立するからである。
【0027】
基準面勾配角度は、後述の抜き勾配角度が90度以上となるように設定することが好ましい。基準面勾配角度が小さ過ぎると、最下端膨出部位の周辺で抜き勾配角度が90度未満のいわゆる逆勾配が発生して離型性が悪くなるため、抜き工程において容器変形や容器損傷が生じるおそれがあるからであり、一方、基準面勾配角度が大き過ぎると、商品収容領域の最上部にいわゆる逆勾配が発生して離型性が悪くなり、抜き工程において容器変形や容器損傷が生じるおそれがあるからである。
【0028】
抜き勾配角度は、90度以上95度以下に設定することが好ましい。抜き勾配角度が90度より小さいと、最下端膨出部位の周辺がいわゆる逆勾配状態となって離型性が悪くなるため抜き工程がスムーズに行いにくく、容器変形や容器損傷が生じるおそれがあるからであり、95度より大きいと、基準面勾配角度もまた大きくなるため、商品収容領域の最上部にいわゆる逆勾配が発生して離型性が悪くなり、抜き工程において容器変形や容器損傷が生じるおそれがあるからである。
【0029】
本発明に係るブリスター包装容器は、厚さ0.3mm以上0.9mm以下の樹脂から形成することができ、具体的な樹脂としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)またはPVC(ポリ塩化ビニル)を用いることができる。
【0030】
また、本発明に係るブリスター包装容器は、ブリスター包装容器用金型を用いて樹脂シートから真空及び又は圧空により、すなわち、真空成型または真空圧空成型により製造することができる。
【0031】
本発明に係るブリスター包装容器用金型を構成する表面パネル用金型と裏面パネル用金型とは、一体に形成してもよいが、別体としてそれぞれ形成した後に、ねじ止め等により相互に固定してブリスター包装容器用金型を構成してもよい。
【実施例0032】
以下、本発明の一実施例であるブリスター包装容器100の構成について、
図1A乃至
図4に基づいて説明する。
ここで、
図1Aは、本発明の一実施例に係るブリスター包装容器が載置面上で自立している状態の模式的側面図であり、
図1Bは、本発明の一実施例に係るブリスター包装容器が載置面上で自立している状態の模式的正面図であり、
図2は、
図1BのII-II断面図であり、
図3Aは、本発明の一実施例に係るブリスター包装容器の閉蓋状態の模式的斜視図であり、
図3Bは、本発明の一実施例に係るブリスター包装容器の開蓋状態の模式的斜視図であり、
図4は、本発明の一実施例に係るブリスター包装容器を製造するためのブリスター包装容器用金型の模式的断面図である。
【0033】
図1A乃至
図3に示すように、本実施例であるブリスター包装容器100は、表面パネル110と裏面パネル120とをそれぞれの共有するパネル底辺130で二つ折り可能な状態に一体成型して構成されている。
【0034】
表面パネル110は、表面パネル110のパネル外側に向けて膨出し、上に行くほど膨出寸法が小さい先細り形状に形成されている商品収容領域111を備えている。
【0035】
商品収容領域111は、閉蓋時かつ自立時に、後述の商品保持部分123よりも低い部位にパネル内側に向けて窪んでいる商品脱落防止部分113を備えている。
【0036】
商品収容領域111は、閉蓋時かつ自立時に、後述の商品保持部分123の直下となる部位に、パネル内側に向けて窪んでいる商品支承部分114を備えている。
【0037】
表面パネル110は、商品収容領域111を囲繞する封止部分112を備えている。
【0038】
裏面パネル120は、裏面パネル120のパネル内側に向けて台座状に膨出して二つ折り状態で表面パネル110の商品収容領域111内に嵌め込まれる商品台座部分121を備えている。
【0039】
裏面パネル120は、商品台座部分121からパネル内側に向けて更に膨出した商品保持部分123を備えており、この商品保持部分123は、表面パネル110のパネル内側寄りに商品Gを位置決めするように形成されている。
【0040】
裏面パネル120は、商品収容領域111を囲繞する封止領域122を備えており、二つ折り状態で表面パネル110の封止部分112と凹凸係合自在となっている。
【0041】
パネル底辺130は、折返し線131で二つ折りになって、表面パネル110と裏面パネル120とで共有されている。
【0042】
図1Aに示すように、ブリスター包装容器100の商品収容領域111は、パネル底辺130の近傍から最下端膨出部位111aに向けて、所定の膨出角度αをなして前下がりに形成されており、商品収容領域111の所定の膨出角度αで膨出している最下端膨出部位111aは、載置面SS側に向けてパネル底辺130よりも突出している。
換言すれば、商品収容領域111のうち自立させる際に底になる部位が、商品を収容する内部において、表面パネル110に対して直角よりも大きい角度をなしており、パネル底辺130の近傍から最下端膨出部位111aまで前下がりに傾斜しているため、最下端膨出部位111aが、パネル底辺130の最下部となる折返し線131を含み表面パネル110に対して直交する不図示の仮想的な平面よりも下向きに突出している。
本実施例では、膨出角度αを約4度に設定している。
【0043】
このため、ブリスター包装容器100は、閉蓋時に、表面パネル110と裏面パネル120との間に商品Gを収容して、載置面SS上で所定の仰向け角度βで自立自在に構成されている。本実施例では仰向け角度βを約89度に設定している。
【0044】
なお、膨出角度αと仰向け角度βとの関係は、パネル底辺130の突出寸法と最下端膨出部位111aの表面パネル110からの膨出寸法によって変化する。
【0045】
次に、
図4に基づいて、本実施例に係るブリスター包装容器100の製造方法について説明する。
【0046】
図4に示すブリスター包装容器用金型Mは、表面パネル用金型Mrと裏面パネル用金型Mcとを備えており、表面パネル用金型Mrを囲繞する平面からなる表面パネル用金型基準面Srと、裏面パネル用金型Mcを囲繞する平面からなる裏面パネル用金型基準面Scとが所定の基準面勾配角度γをなすように構成されている。
換言すれば、表面パネル用金型Mrは、水平に配置されている裏面パネル用金型Mcに対して、基準面勾配角度γだけ起き上がる角度に配置されている。
本実施例においては、基準面勾配角度γを約3度に設定している。
【0047】
また、表面パネル用金型Mrのうち、ブリスター包装容器100の最下端膨出部位111aも対応する部分は、裏面パネル用金型基準面Scに対して所定の抜き勾配角度δをなすように構成されている。本実施例においては、抜き勾配角度δを約90度に設定している。
【0048】
本実施例に係るブリスター包装容器100を製造する際には、まず閉塞空間内でブリスター包装容器用金型Mのうち裏面パネル用金型基準面Scが水平となるように保持する。次に、ロールされている樹脂シートPSを水平に展開して加熱し、閉塞空間内を移動させてブリスター包装容器用金型Mの直上に配置して停止させる。
【0049】
その後に、樹脂シートPSを水平に保ったまま、ブリスター包装容器用金型Mを樹脂シートPSに接するまで鉛直方向上向きに移動させ、さらに真空圧空成型工程で樹脂シートPSをブリスター包装容器用金型Mに密着させる。
【0050】
この際、平面状であった樹脂シートPSは、ブリスター包装容器用金型Mの表面パネル用金型基準面Sr、裏面パネル用金型基準面Sc、表面パネル用金型Mr及び裏面パネル用金型Mcの形状に沿って凹凸変形する。
【0051】
その後、抜き工程において、凹凸変形した樹脂シートPSがブリスター包装容器用金型Mから離脱するよう、ブリスター包装容器用金型Mを鉛直方向下向きに移動させる。その後、樹脂シートPSを水平方向に移動させて、折り返してパネル底辺130となる折返し線131を形成するためのミシン目加工工程と、個々のブリスター包装容器100に分離するための切断加工工程を経て、ブリスター包装容器100が完成する。
【0052】
すなわち、本実施例のブリスター包装容器100は、表面パネル110と裏面パネル120とが、水平な金型基準面に設置した裏面パネル用金型Mcと、基準面勾配角度γで裏面パネル用金型Mcに隣接して設置した表面パネル用金型Mrとを組み合わせたブリスター包装容器用金型Mを用いて真空圧空成型により製造される。
【0053】
以上説明したように、本実施例に係るブリスター包装容器100によれば、表面パネル110と裏面パネル120とをそれぞれの共有するパネル底辺130で二つ折り可能な状態に一体成型して構成していることにより、表面パネル110と裏面パネル120とが相互に離反することなく、裏面パネル120が容器本体を構成するとともに表面パネル110が容器蓋体を構成し、表面パネル110と裏面パネル120とがそれぞれに共有するパネル底辺130で二つ折り可能な状態の一部材として構成されているため、表面パネル110と裏面パネル120との間に商品Gを収容する際の商品収容作業や包装容器としての在庫管理などの取り扱いを嵩張ることなく簡便に達成することができる。
【0054】
そして、表面パネル110がこの表面パネル110のパネル外側に向けて膨出して形成される商品収容領域111を備えていることにより、表面パネル110と裏面パネル120との間に商品収容領域111が十分に確保されるため、扁平な商品以外の嵩高な商品Gに対しても十分に収容することができるとともに商品展示棚面などの載置面SS上に平置きすることもできる。
【0055】
さらに、表面パネル110に形成された商品収容領域111の最下端膨出部位111aが載置面SS側に向けてパネル底辺130よりも突出していることにより、ブリスター包装容器100を商品展示棚面などに載置して起立させる際に、商品収容領域111の最下端膨出部位111aが載置面SS側に向けてパネル底辺130よりも突出している分だけ商品収容領域111が後傾姿勢となり得るため、商品が視認しにくい低い展示棚面にブリスター包装容器100が載置された場合であってもブリスター包装容器100が仰向けに自立して商品収容領域111内の商品Gを視認し易くすることができる。
【0056】
また、表面パネル110のパネル外側に向けて膨出した商品収容領域111の所定の膨出角度βで膨出している最下端膨出部位111aが載置面SS側に向けてパネル底辺130よりも突出していることにより、商品収容領域111内に収容した商品Gの重心がパネル底辺130よりも前方の商品収容領域111内に存在することになるため、商品収容領域111の最下端膨出部位111aが載置面SS側に向けてパネル底辺130よりも突出した仰向けの自立姿勢であっても商品展示棚面などの載置面SSに対して何ら起立補助することなく自立することができる。
【0057】
裏面パネル120がこの裏面パネル120のパネル内側に向けて台座状に膨出して二つ折り状態で表面パネル110の商品収容領域111内に嵌め込まれる商品台座部分121を備えていることにより、商品収容領域111内に収容した商品Gの重心が商品台座部分121よりも前方の商品収容領域111内へ偏位して存在することになるため、ブリスター包装容器100が仰向けの自立姿勢であっても後方に倒れにくくなり商品展示棚面などの載置面SSに対して安定して自立することができる。
【0058】
裏面パネル120が商品台座部分121からパネル内側に向けて更に膨出した商品保持部分123を備えていることにより、商品収容領域111内に収容した商品Gの重心が商品台座部分121よりもさらに前方の商品保持部分123を介した商品収容領域111内に偏位して存在することになるため、ブリスター包装容器100が仰向けの自立姿勢であっても商品展示棚面などの載置面SSに対してより一層安定して自立することができるばかりでなく、商品収容領域111内に収容した商品が裏面パネル120側から浮き上がった状態となり、その結果、商品収容領域111内の商品を側面視し易くなり立体的に視認観察することができる。
【0059】
裏面パネル120の商品保持部分123が表面パネル110のパネル内側寄りに商品Gを位置決めするように形成されていることにより、商品Gが商品保持部分123により確実に位置決め保持されるばかりでなく、商品収容領域111内に収容した商品Gが裏面パネル120側から表面パネル110側へより浮き上がった状態となるため、商品収容領域111内の商品Gをさらに側面視し易くなり商品Gを簡便に全体観察して商品Gの迅速な価値判断を達成することができる。
【0060】
表面パネル110と裏面パネル120とが二つ折り状態で商品収容領域111を囲繞して凹凸係合自在となる封止部分112と122とをそれぞれ備えていることにより、表面パネル110と裏面パネル120とを相互に強固に密着することが可能になるため、商品収容領域111の封止効果と保形性を高めるとともに商品展示棚面など載置面SSに対してより一層安定した仰向け自立状態を確保することができる。
【0061】
表面パネル110と裏面パネル120とが、水平な金型基準面に設置した裏面パネル用金型Mcと、所定の基準面勾配角度γで裏面パネル用金型Mcに隣接して設置した表面パネル用金型Mrとを組み合わせたブリスター包装容器用金型Mを用いて真空圧空成型により製造されていることにより、水平な金型基準面に設置した裏面パネル用金型Mcに対する表面パネル用金型Mrの抜き勾配角度δが直角より大きくなるため、成型加工時にブリスター包装容器100の表面パネル110に形成した商品収容領域111の最下端膨出部位111aを表面パネル用金型Mrから鉛直方向に無理なく型抜きして取り出すことが可能になり、その結果、ブリスター包装容器100に生じがちな容器変形や容器損傷がなくブリスター包装容器100を高品質かつ歩留まり良く効率的に製造することができる。
【0062】
さらに、商品収容領域111が、閉蓋時に商品保持部分123よりも低い部位にパネル内側に向けて窪んでいる商品脱落防止部分113を備えていることにより、商品脱落防止部分113が設けられている部位でパネル内側の奥行き寸法が小さくなっているため、運搬時または陳列時に、商品保持部分123で挟持している商品Gが浮き上がる場合でも、商品脱落防止部分113が商品の正面に当接して位置を規制して脱落を防止することができる。
【0063】
商品収容領域111が、閉蓋時に商品保持部分123の直下となる部位にパネル内側に向けて窪んでいる商品支承部分114を備えていることにより、商品保持部分123で挟持している商品Gの下側に商品支承部分114が当接するため、陳列時に商品Gが下向きにずれても、商品支承部分114が商品Gの最下部に当接して商品Gの位置を規制して脱落を防止することができる。
【0064】
商品収容領域111が、上に行くほど膨出寸法が小さい先細り形状であることにより、パネル内側の奥行き寸法が上に行くにしたがって小さくなるため、ブリスター包装容器100内に商品Gを収容して横倒し状態で運搬する際に、商品保持部分123で挟持している商品Gが陳列時の上向きに、すなわちパネル内側が狭くなっている側にずれた場合、また、運搬時または陳列時に、商品保持部分123で挟持している商品が浮き上がる場合でも、商品収容領域111が商品の最上部に当接して位置を規制して脱落を防止することができる。