(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162489
(43)【公開日】2022-10-24
(54)【発明の名称】残量測定値校正機構、噴霧装置
(51)【国際特許分類】
G01F 23/26 20220101AFI20221017BHJP
【FI】
G01F23/26 A
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067405
(22)【出願日】2021-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】516055767
【氏名又は名称】株式会社ヨコモリ電池屋コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100180482
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 将隆
(72)【発明者】
【氏名】横森 真俊
【テーマコード(参考)】
2F014
【Fターム(参考)】
2F014AA05
2F014AA06
2F014AB02
2F014EA00
2F014GA01
(57)【要約】
【課題】タンク内の消毒液が減ったことを検出する際、検出精度を向上させる。
【解決手段】残量測定値校正機構は、タンク16内に収容された溶液の残量を検出するとともに、この残量の測定値を校正する。同機構は、任意の溶液を収容するタンク16と、薄板材料からなる基板171と、基板上に配設される長尺状のGND電極172と、基板上に配設される小片状からなる複数の検出電極173と、GND電極と個々の検出電極との間にそれぞれ存在する静電容量に基づいて溶液の残量を測定するとともに当該測定された残量を校正する校正手段121と、を備える。GND電極の長手方向においては、隣合う検出電極同士が所定間隔ずつ離れた状態で直線配置される。GND電極の短手方向においては、個々の検出電極173の同GND電極172に対する各距離が同一となるように配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク内に収容された溶液の残量を検出するとともに、この残量の測定値を校正可能な残量測定値校正機構であって、
任意の溶液を収容する前記タンクと、
薄板材料からなる基板と、
前記基板上に配設される長尺状のGND電極と、
同基板上に配設される小片状からなる複数の検出電極と、
GND電極と、個々の検出電極との間にそれぞれ存在する静電容量に基づいて、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する校正手段と、
を備え、
GND電極の長手方向においては、隣合う検出電極同士が所定間隔ずつ離れた状態で直線配置され、
GND電極の短手方向においては、個々の検出電極の同GND電極に対する各距離が同一となるように配置されており、
前記校正手段は、
GND電極と個々の検出電極との間にそれぞれ存在する静電容量に基づいて、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する処理、を実行する
ように構成されたことを特徴とする、残量測定値校正機構。
【請求項2】
タンク内に収容された溶液の残量を検出するとともに、この残量の測定値を校正可能な残量測定値校正機構であって、
任意の溶液を収容する前記タンクと、
薄板材料からなる基板と、
たがいに平行するように前記基板上に配設される検出電極であって、帯形状からなる複数の検出電極と、
板状部材からなるGND電極と、
GND電極と、個々の検出電極との間にそれぞれ存在する静電容量に基づいて、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する校正手段と、
を備え、
前記GND電極と検出電極が設けられた基板とが、前記タンクの連接する2つの側面に沿うように直交配置されるとともに、当該基板は複数の検出電極の長手方向が水平となるように設置され、
前記校正手段は、
GND電極と個々の検出電極との間にそれぞれ存在する静電容量に基づいて、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する処理、を実行する
ように構成されたことを特徴とする、残量測定値校正機構。
【請求項3】
タンク内に収容された溶液の残量を検出するとともに、この残量の測定値を校正可能な残量測定値校正機構であって、
任意の溶液を収容する前記タンクと、
薄板材料からなる基板と、
たがいに平行するように前記基板上に配設される検出電極であって、帯形状からなる複数の検出電極と、
板状部材からなるGND電極と、
GND電極と、個々の検出電極との間にそれぞれ存在する静電容量に基づいて、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する校正手段と、
を備え、
前記GND電極は、タンクの底面部に当接するように配置され、
前記検出電極が設けられた基板は、タンクの1つの側面に配置されるとともに、当該基板は複数の検出電極の長手方向が水平となるように設置され、
前記校正手段は、
GND電極と個々の検出電極との間にそれぞれ存在する静電容量に基づいて、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する処理、を実行する
ように構成されたことを特徴とする、残量測定値校正機構。
【請求項4】
タンク内に収容された溶液の残量を検出するとともに、この残量の測定値を校正可能な残量測定値校正機構であって、
任意の溶液を収容する前記タンクと、
薄板材料からなる基板と、
前記基板上に配設される長尺状のGND電極と、
小片状の検出電極であって、その1辺が前記GND電極の一端と揃うような位置に配設される満杯検出電極と、
満杯検出電極よりもサイズの大きな長尺状の電極であって、前記GND電極と平行するように基板上に配置される液面検出電極と、
GND電極と液面検出電極との間に存在する静電容量に基づいて、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する校正手段と、
を備え、
前記GND電極の短手方向において、満杯検出電極のGND電極に対する距離と、液面検出電極のGND電極に対する距離が同一となるように配置され、
前記校正手段は、
GND電極と満杯検出電極の間に存在する静電容量に基づいてタンクの満杯状態が検出されたときに、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する処理、を実行する
ように構成されたことを特徴とする、残量測定値校正機構。
【請求項5】
タンク内に収容された溶液の残量を検出するとともに、この残量の測定値を校正可能な残量測定値校正機構であって、
任意の溶液を収容する前記タンクと、
薄板材料からなる基板と、
前記基板上に配設される長尺状のGND電極と、
小片状の検出電極であって、その1辺が前記GND電極の一端と揃うような位置に配設される満杯検出電極と、
前記GND電極と平行するように基板上に配置される液面検出電極と、
GND電極と液面検出電極との間に存在する静電容量に基づいて、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する校正手段と、
を備え、
前記GND電極の短手方向において、満杯検出電極のGND電極に対する距離と、液面検出電極のGND電極に対する距離が同一となるように配置され、
前記タンクは、
同タンク底面のうち1辺について、底面から側面に至る角部分の曲率半径を大きくすることで、当該角部分における曲線状に曲がり始める位置が、タンク底面の他の3辺における角部分のカーブ開始位置よりも高所にあり、
前記校正手段は、
GND電極と満杯検出電極の間に存在する静電容量に基づいてタンクの満杯状態が検出されたときに、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する処理、を実行する
ように構成されたことを特徴とする、残量測定値校正機構。
【請求項6】
タンク内に収容された溶液の残量を検出するとともに、この残量の測定値を校正可能な残量測定値校正機構であって、
任意の溶液を収容する前記タンクと、
薄板材料からなる基板と、
前記基板上に配設される長尺状のGND電極と、
小片状の検出電極であって、その1辺が前記GND電極の一端と揃うような位置に配設される満杯検出電極と、
前記GND電極と平行するように基板上に配置される液面検出電極と、
GND電極と液面検出電極との間に存在する静電容量に基づいて、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する校正手段と、
を備え、
前記GND電極の短手方向において、満杯検出電極のGND電極に対する距離と、液面検出電極のGND電極に対する距離が同一となるように配置され、
前記タンクは、
同タンク底面のうち1辺について、タンク側面と当該底面の間に段差部分が設けられており、かつ、当該段差部分の最上段は僅少判定位置に形成されており、
前記校正手段は、
GND電極と満杯検出電極の間に存在する静電容量に基づいてタンクの満杯状態が検出されたときに、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する処理、を実行する
ように構成されたことを特徴とする、残量測定値校正機構。
【請求項7】
タンク内に収容された溶液の残量を検出するとともに、この残量の測定値を校正可能な残量測定値校正機構であって、
任意の溶液を収容する前記タンクと、
薄板材料からなる基板と、
前記基板上に配設される長尺状のGND電極と、
小片状の検出電極であって、その1辺が前記GND電極の一端と揃うような位置に配設される満杯検出電極と、
前記GND電極と平行するように基板上に配置される液面検出電極と、
GND電極と液面検出電極との間に存在する静電容量に基づいて、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する校正手段と、
を備え、
前記GND電極の短手方向において、満杯検出電極のGND電極に対する距離と、液面検出電極のGND電極に対する距離が同一となるように配置され、
前記タンクは、
同タンクの形状が、底面に近づくにつれて水平方向の断面積が減少するように形成されており、
前記校正手段は、
GND電極と満杯検出電極の間に存在する静電容量に基づいてタンクの満杯状態が検出されたときに、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する処理、を実行する
ように構成されたことを特徴とする、残量測定値校正機構。
【請求項8】
請求項4乃至7のいずれか1項に記載の残量測定値校正機構であって、
前記液面検出電極は、物理的に個々に分離された複数個の電極からなる
ように構成されたことを特徴とする、残量測定値校正機構。
【請求項9】
利用者の身体部位が接近したことを検出したことに応じて、溶液である消毒液を自動的に噴霧する噴霧装置であって、
請求項1に記載された残量測定値校正機構、を備える
ように構成されたことを特徴とする、噴霧装置。
【請求項10】
利用者の身体部位が接近したことを検出したことに応じて、溶液である消毒液を自動的に噴霧する噴霧装置であって、
請求項2に記載された残量測定値校正機構、を備える
ように構成されたことを特徴とする、噴霧装置。
【請求項11】
利用者の身体部位が接近したことを検出したことに応じて、溶液である消毒液を自動的に噴霧する噴霧装置であって、
請求項3に記載された残量測定値校正機構、を備える
ように構成されたことを特徴とする、噴霧装置。
【請求項12】
利用者の身体部位が接近したことを検出したことに応じて、溶液である消毒液を自動的に噴霧する噴霧装置であって、
請求項4に記載された残量測定値校正機構、を備える
ように構成されたことを特徴とする、噴霧装置。
【請求項13】
利用者の身体部位が接近したことを検出したことに応じて、溶液である消毒液を自動的に噴霧する噴霧装置であって、
請求項5に記載された残量測定値校正機構、を備える
ように構成されたことを特徴とする、噴霧装置。
【請求項14】
利用者の身体部位が接近したことを検出したことに応じて、溶液である消毒液を自動的に噴霧する噴霧装置であって、
請求項6に記載された残量測定値校正機構、を備える
ように構成されたことを特徴とする、噴霧装置。
【請求項15】
利用者の身体部位が接近したことを検出したことに応じて、溶液である消毒液を自動的に噴霧する噴霧装置であって、
請求項7に記載された残量測定値校正機構、を備える
ように構成されたことを特徴とする、噴霧装置。
【請求項16】
請求項12乃至15のいずれか1項に記載の噴霧装置であって、
前記液面検出電極は、物理的に個々に分離された複数個の電極からなる
ように構成されたことを特徴とする、噴霧装置。
【請求項17】
請求項9乃至16のいずれか1項に記載の噴霧装置において、
電気信号を物理的振動に変換して放音する音声出力部、をさらに備え、
前記音声出力部は、
タンク内にある溶液の液面位置が所定の僅少判定位置であることを校正手段が検出したときに、タンク内にある溶液の残量が僅少である旨を音声通知する処理、を実行する
ように構成されたことを特徴とする、噴霧装置。
【請求項18】
請求項9乃至17のいずれか1項に記載の噴霧装置において、
各種の情報を表示する表示部、をさらに備え、
同表示部は、
タンク内にある溶液の液面位置が所定の僅少判定位置であることを校正手段が検出したときに、タンク内にある溶液の残量が僅少である旨を表示する処理、を実行する
ように構成されたことを特徴とする、噴霧装置。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の噴霧装置であって、
前記満杯検出電極により、タンク内の溶液が満杯状態であることを検出した場合、当該噴霧装置に実装された表示部または音声出力部により、満杯状態である旨を管理者に報知する
ように構成されたことを特徴とする、噴霧装置。
【請求項20】
請求項9乃至19のいずれか1項に記載の噴霧装置であって、
消毒液を噴霧する噴霧機構と、
前記噴霧機構の噴霧動作を制御する噴霧制御手段と、
を備え、
前記噴霧制御手段は、
タンク内の溶液残量が僅少であることが検出された場合、前記噴霧機構による溶液の噴霧量を少なくするような制御を行う
ように構成されたことを特徴とする、噴霧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、残量測定値校正機構、および、この残量測定値校正機構を備える噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今では、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2型(SARS-CoV-2)および変異種による感染症が世界規模で猛威をふるっている。
【0003】
コロナ禍に見舞われてというもの、街中の店という店や公共施設など至るところで、訪問者に消毒の実施を促している。
このような消毒行為に対する意識が社会全体に急速に伝播したことで、利用者が手をかざしただけで自動的に消毒液を噴霧してくれる噴霧装置の需要も突発的かつ急激に高まっている。
【0004】
この種の噴霧装置には、同装置のタンク内に収容されている消毒液(溶液)の残量を目視できるよう、透光性の窓が設けられていることが多い。
しかし、管理者は、消毒液が枯渇しないよう、常時、噴霧装置のそばで残量を確認しているわけにはいかない。
そのため、噴霧装置において、消毒液残量が少なくなったことを検出し、消毒液の補充が必要なことを管理者に通知する機能があれば便利である。
【0005】
このような通知機能を実現する場合、概して、装置構成が複雑になり、噴霧装置の製造工程が複雑化しやすい。
また、タンク内の溶液残量が僅少であることを高精度に検出できなければ、せっかくの利用者に対する通知機能もありがたみが減殺されてしまうことになる。
タンク内の溶液残量がさほど減っていないにも関わらず、的外れなタイミングで利用者通知が行われかねないからである。
【0006】
しかし、このような高精度に液面位置を検出できる機能を搭載する場合、高機能な部品が必要とされることで製造コストが上昇しがちであり、さらに、これに伴い、消費者における末端販売価格もつり上がってしまう。
【0007】
なお、従来より、タンク内にある溶液の残量を測定する手法が開発されている。
その一手法としては、溶液の存在に伴う静電容量の変化を検出することで、タンク内容液の残量を測定する技術が存在する(例えば、特許文献1~2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010-121962号公報
【特許文献2】特開2013-174457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
消毒液の残量が僅少になっていることを高精度に検出することは、一般的に難しい。
このような高精度の検出の阻害要因としては、たとえば、基板と液面の相対位置の変動(機械的振動などに起因する)や、タンク内に貯留されている溶液の特性変化(たとえば、アルコール成分の揮発、次亜塩素酸水における塩素濃度変化など)が挙げられる。
【0010】
上述した基板と液面の相対位置の変動やタンク内溶液の特性変化により、検出した静電容量の値(より正しくは、静電容量値と対応関係が有るADC(Analog-to-Digital Converter)測定値)から計算(推定)した、液面の位置の誤差が大きくなる事態が起こりうる。
このような誤差を抑制するために、静電容量値と液面位置の計算式に修正を加える「校正」が一般に行われる。
【0011】
タンク内にある「溶液の液量が減ったことを検出」するためのアプローチとしては、検出する液面が低位にあるときに、同液面を検出する検出電極の静電容量値を大きく減らして、静電容量の検出精度を下げることが望ましいと考えられる。
上述した静電容量の検出精度を下げることの技術的意義は、液面が低下したことを検出しやすくすることである。
なお、「校正」とは、液面位置と検出電極で測定される静電容量値との関係の推定値を妥当化することをいう。
静電容量値それ自体は測定可能であるものの、液面位置が判らなければ、校正を好適に実施できないという問題点がある。
【0012】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、廉価に構成可能な校正機構により、噴霧装置のタンク内に残存する消毒液が減ったことを検出する際に、従来技術よりも検出精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
〔第1発明〕
そこで上記の課題を解決するために、本願の第1発明に係る残量測定値校正機構は、
タンク内に収容された溶液の残量を検出するとともに、この残量の測定値を校正可能な残量測定値校正機構であって、
任意の溶液を収容する前記タンクと、
薄板材料からなる基板と、
前記基板上に配設される長尺状のGND電極と、
同基板上に配設される小片状からなる複数の検出電極と、
GND電極と、個々の検出電極との間にそれぞれ存在する静電容量に基づいて、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する校正手段と、
を備え、
GND電極の長手方向においては、隣合う検出電極同士が所定間隔ずつ離れた状態で直線配置され、
GND電極の短手方向においては、個々の検出電極の同GND電極に対する各距離が同一となるように配置されており、
前記校正手段は、
GND電極と個々の検出電極との間にそれぞれ存在する静電容量に基づいて、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する処理、
を実行する構成とした。
【0014】
第1発明によれば、残量測定値校正機構は、
図2のような検出部17を備えている。
これにより、タンク16内の溶液の残量が僅少になっていることの検出精度を向上させることが可能となる。
また、電極の形状と配置だけに手を加え、検出精度を向上させるための何ら特別な構成要素を追加することがないため、残量測定値校正機構の製造工程を複雑化させることなく、製造コストの抑制が実現される。
【0015】
〔第2発明〕
上記の課題を解決するために、本願の第2発明に係る残量測定値校正機構は、
タンク内に収容された溶液の残量を検出するとともに、この残量の測定値を校正可能な残量測定値校正機構であって、
任意の溶液を収容する前記タンクと、
薄板材料からなる基板と、
たがいに平行するように前記基板上に配設される検出電極であって、帯形状からなる複数の検出電極と、
板状部材からなるGND電極と、
GND電極と、個々の検出電極との間にそれぞれ存在する静電容量に基づいて、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する校正手段と、
を備え、
前記GND電極と検出電極が設けられた基板とが、前記タンクの連接する2つの側面に沿うように直交配置されるとともに、当該基板は複数の検出電極の長手方向が水平となるように設置され、
前記校正手段は、
GND電極と個々の検出電極との間にそれぞれ存在する静電容量に基づいて、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する処理、を実行する構成とした。
【0016】
第2発明(
図5・
図6の構成例)によれば、検出電極とGND電極との間の静電容量の値が増大するため、誤差要因である諸浮遊容量値の影響が低下する。
これにより、タンク内の溶液の残量が僅少になっていることの検出精度を向上させることが可能となる。
【0017】
〔第3発明〕
また、上記の課題を解決するために、本願の第3発明に係る残量測定値校正機構は、
タンク内に収容された溶液の残量を検出するとともに、この残量の測定値を校正可能な残量測定値校正機構であって、
任意の溶液を収容する前記タンクと、
薄板材料からなる基板と、
たがいに平行するように前記基板上に配設される検出電極であって、帯形状からなる複数の検出電極と、
板状部材からなるGND電極と、
GND電極と、個々の検出電極との間にそれぞれ存在する静電容量に基づいて、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する校正手段と、
を備え、
前記GND電極は、タンクの底面部に当接するように配置され、
前記検出電極が設けられた基板は、タンクの1つの側面に配置されるとともに、当該基板は複数の検出電極の長手方向が水平となるように設置され、
前記校正手段は、
GND電極と個々の検出電極との間にそれぞれ存在する静電容量に基づいて、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する処理、を実行する構成とした。
【0018】
第3発明(
図7・
図8の構成例)においても、第2発明と同様に、検出電極とGND電極との間の静電容量の値が増大するため、誤差要因である諸浮遊容量値の影響が低下する。
そのため、タンク内の溶液の残量が僅少になっていることの検出精度を向上できる。
【0019】
〔第4発明〕
また、上記の課題を解決するために、本願の第4発明に係る残量測定値校正機構は、
タンク内に収容された溶液の残量を検出するとともに、この残量の測定値を校正可能な残量測定値校正機構であって、
任意の溶液を収容する前記タンクと、
薄板材料からなる基板と、
前記基板上に配設される長尺状のGND電極と、
小片状の検出電極であって、その1辺が前記GND電極の一端と揃うような位置に配設される満杯検出電極と、
満杯検出電極よりもサイズの大きな長尺状の電極であって、前記GND電極と平行するように基板上に配置される液面検出電極と、
GND電極と、個々の検出電極との間にそれぞれ存在する静電容量に基づいて、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する校正手段と、
を備え、
前記GND電極の短手方向において、満杯検出電極のGND電極に対する距離と、液面検出電極のGND電極に対する距離が同一となるように配置され、
前記校正手段は、
GND電極と満杯検出電極の間に存在する静電容量に基づいてタンクの満杯状態が検出されたときに、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する処理、を実行する構成とした。
【0020】
第4発明(
図9・
図10の構成例)によれば、満杯検出電極174を追加することにより、校正条件の安定化が図られ、ひいては校正の確度を向上させることができる。
【0021】
〔第5発明〕
また、上記の課題を解決するために、本願の第5発明に係る残量測定値校正機構は、
タンク内に収容された溶液の残量を検出するとともに、この残量の測定値を校正可能な残量測定値校正機構であって、
任意の溶液を収容する前記タンクと、
薄板材料からなる基板と、
前記基板上に配設される長尺状のGND電極と、
小片状の検出電極であって、その1辺が前記GND電極の一端と揃うような位置に配設される満杯検出電極と、
前記GND電極と平行するように基板上に配置される液面検出電極と、
GND電極と液面検出電極との間に存在する静電容量に基づいて、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する校正手段と、
を備え、
前記GND電極の短手方向において、満杯検出電極のGND電極に対する距離と、液面検出電極のGND電極に対する距離が同一となるように配置され、
前記タンクは、
同タンク底面のうち1辺について、底面から側面に至る角部分の曲率半径を大きくすることで、当該角部分における曲線状に曲がり始める位置が、タンク底面の他の3辺における角部分のカーブ開始位置よりも高所にあり、
前記校正手段は、
GND電極と満杯検出電極の間に存在する静電容量に基づいてタンクの満杯状態が検出されたときに、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する処理、を実行する構成とした。
【0022】
第5発明によれば、検出電極の形状や配置を変更することなく、タンク16A自体の形状に工夫を加えるだけで(
図11(b)参照)、タンク16A内の溶液残量が僅少になっていることの検出精度を向上させることが可能となる。
【0023】
〔第6発明〕
また、上記の課題を解決するために、本願の第6発明に係る残量測定値校正機構は、
タンク内に収容された溶液の残量を検出するとともに、この残量の測定値を校正可能な残量測定値校正機構であって、
任意の溶液を収容する前記タンクと、
薄板材料からなる基板と、
前記基板上に配設される長尺状のGND電極と、
小片状の検出電極であって、その1辺が前記GND電極の一端と揃うような位置に配設される満杯検出電極と、
前記GND電極と平行するように基板上に配置される液面検出電極と、
GND電極と液面検出電極との間に存在する静電容量に基づいて、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する校正手段と、
を備え、
前記GND電極の短手方向において、満杯検出電極のGND電極に対する距離と、液面検出電極のGND電極に対する距離が同一となるように配置され、
前記タンクは、
同タンク底面のうち1辺について、タンク側面と当該底面の間に「段差部分」が設けられており、かつ、当該段差部分の最上段は僅少判定位置に形成されており、
前記校正手段は、
GND電極と満杯検出電極の間に存在する静電容量に基づいてタンクの満杯状態が検出されたときに、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する処理、を実行する構成とした。
【0024】
第6発明によれば、タンク16Bの側面と底面の間に「段差部分」が設けられており、かつ、当該段差部分162の最上段は僅少判定位置に形成することにより(
図12(b)参照)、タンク16B内の溶液残量が僅少になっていることの検出精度を向上させることが可能となる。
【0025】
〔第7発明〕
また、上記の課題を解決するために、本願の第7発明に係る残量測定値校正機構は、
タンク内に収容された溶液の残量を検出するとともに、この残量の測定値を校正可能な残量測定値校正機構であって、
任意の溶液を収容する前記タンクと、
薄板材料からなる基板と、
前記基板上に配設される長尺状のGND電極と、
小片状の検出電極であって、その1辺が前記GND電極の一端と揃うような位置に配設される満杯検出電極と、
前記GND電極と平行するように基板上に配置される液面検出電極と、
GND電極と液面検出電極との間に存在する静電容量に基づいて、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する校正手段と、
を備え、
前記GND電極の短手方向において、満杯検出電極のGND電極に対する距離と、液面検出電極のGND電極に対する距離が同一となるように配置され、
前記タンクは、
同タンクの形状が、底面に近づくにつれて水平方向の断面積が減少するように形成されており、
前記校正手段は、
GND電極と満杯検出電極の間に存在する静電容量に基づいてタンクの満杯状態が検出されたときに、溶液の残量を測定するとともに、当該測定された残量を校正する処理、を実行する構成とした。
【0026】
第7発明によれば、タンク16Cの形状について底面に近づくにつれ水平方向の断面積が減少するように構成することにより(
図13(b)参照)、タンク16C内の溶液残量が僅少になっていることの検出精度を向上させることが可能となる。
【0027】
〔第8発明〕
また、上記の課題を解決するために、本願の第8発明に係る残量測定値校正機構は、
第4~第7発明の残量測定値校正機構において、
前記液面検出電極は、物理的に個々に分離された複数個の電極からなる構成とした。
【0028】
第8発明によれば、液面検出電極を、物理的に個々に分離された複数個の電極から構成することにより、単一の長尺状の電極からなる場合と比べて、装置内の収容空間などに応じて、柔軟に多様なパターンで液面検出電極を配置可能となる。
【0029】
〔第9発明〕
また、上記の課題を解決するために、本願の第9発明に係る噴霧装置は、
利用者の身体部位が接近したことを検出したことに応じて、溶液である消毒液を自動的に噴霧する噴霧装置であって、
第1発明に係る残量測定値校正機構、を備える構成とした。
【0030】
第9発明によれば、第1発明と同様の技術的特徴を有することにより、第1発明と同様に、(1)タンク内の溶液の残量が僅少になっていることの検出精度を向上させる効果と、(2)残量測定値校正機構の製造工程を複雑化させることなく、製造コスト抑制を実現する効果が得られる。
【0031】
〔第10発明〕
また、上記の課題を解決するために、本願の第10発明に係る噴霧装置は、
利用者の身体部位が接近したことを検出したことに応じて、溶液である消毒液を自動的に噴霧する噴霧装置であって、
第2発明に係る残量測定値校正機構、を備える構成とした。
【0032】
第10発明によれば、第2発明と同様の技術的特徴を有することにより、第2発明と同様の有利な効果を奏する。
【0033】
〔第11発明〕
また、上記の課題を解決するために、本願の第11発明に係る噴霧装置は、
利用者の身体部位が接近したことを検出したことに応じて、溶液である消毒液を自動的に噴霧する噴霧装置であって、
第3発明に係る残量測定値校正機構、を備える構成とした。
【0034】
第11発明によれば、第3発明と同様の技術的特徴を有することにより、第3発明と同様の有利な効果を奏する。
【0035】
〔第12発明〕
また、上記の課題を解決するために、本願の第12発明に係る噴霧装置は、
利用者の身体部位が接近したことを検出したことに応じて、溶液である消毒液を自動的に噴霧する噴霧装置であって、
第4発明に係る残量測定値校正機構、を備える構成とした。
【0036】
第12発明によれば、第4発明と同様の技術的特徴を有することにより、第4発明と同様の有利な効果を奏する。
【0037】
〔第13発明〕
また、上記の課題を解決するために、本願の第13発明に係る噴霧装置は、
利用者の身体部位が接近したことを検出したことに応じて、溶液である消毒液を自動的に噴霧する噴霧装置であって、
第5発明に係る残量測定値校正機構、を備える構成とした。
【0038】
第13発明によれば、第5発明と同様の技術的特徴を有することにより、第5発明と同様の有利な効果を奏する。
【0039】
〔第14発明〕
また、上記の課題を解決するために、本願の第14発明に係る噴霧装置は、
利用者の身体部位が接近したことを検出したことに応じて、溶液である消毒液を自動的に噴霧する噴霧装置であって、
第6発明に係る残量測定値校正機構、を備える構成とした。
【0040】
第14発明によれば、第6発明と同様の技術的特徴を有することにより、第6発明と同様の有利な効果を奏する。
【0041】
〔第15発明〕
また、上記の課題を解決するために、本願の第15発明に係る噴霧装置は、
利用者の身体部位が接近したことを検出したことに応じて、溶液である消毒液を自動的に噴霧する噴霧装置であって、
第7発明に係る残量測定値校正機構、を備える構成とした。
【0042】
第15発明によれば、第7発明と同様の技術的特徴を有することにより、第7発明と同様の有利な効果を奏する。
【0043】
〔第16発明〕
また、上記の課題を解決するために、本願の第16発明に係る噴霧装置は、
第4~第7発明のいずれかに係る噴霧装置であって、
前記液面検出電極は、物理的に個々に分離された複数個の電極からなる構成とした。
【0044】
第16発明によれば、第8発明と同様の技術的特徴を有することにより、第8発明と同様の有利な効果を奏する。
【0045】
〔第17発明〕
また、上記の課題を解決するために、本願の第17発明に係る噴霧装置は、
第9~第16発明のいずれかに係る噴霧装置において、
電気信号を物理的振動に変換して放音する音声出力部、をさらに備え、
前記音声出力部は、
タンク内にある溶液の液面位置が所定の僅少判定位置であることを校正手段が検出したときに、タンク内にある溶液の残量が僅少である旨を音声通知する処理、を実行する構成とした。
【0046】
第17発明によれば、タンク16内にある溶液の残量が僅少である旨を「音声通知」することにより、噴霧装置の管理者などに対し、聴覚を通じて、残量が僅少であることを認識させることができ、ひいては、溶液の追加が必要であることを想起させることができる。
【0047】
〔第18発明〕
また、上記の課題を解決するために、本願の第18発明に係る噴霧装置は、
第9~第17発明のいずれかに係る噴霧装置において、
各種の情報を表示する表示部、をさらに備え、
同表示部は、
タンク内にある溶液の液面位置が所定の僅少判定位置であることを校正手段が検出したときに、タンク内にある溶液の残量が僅少である旨を表示する処理、を実行する構成とした。
【0048】
第18発明によれば、タンク16内にある溶液の残量が僅少である旨を「表示」することにより、噴霧装置1の管理者などに対し、視覚を通じて、残量が僅少であることを認識させることができ、ひいては、溶液の追加が必要であることを想起させることができる。
【0049】
〔第19発明〕
また、上記の課題を解決するために、本願の第19発明に係る噴霧装置は、
第17または第18発明に係る噴霧装置において、
前記満杯検出電極により、タンク内の溶液が満杯状態であることを検出した場合、当該噴霧装置に実装された表示部または音声出力部により、満杯状態である旨を管理者に報知する構成とした。
【0050】
第19発明によれば、タンク16内の溶液の「満杯状態である旨を音声出力または表示」することにより、噴霧装置1の管理者などに対し、溶液の追加が不要であることを想起させることができる。
【0051】
〔第20発明〕
また、上記の課題を解決するために、本願の第20発明に係る噴霧装置は、
第9~第19発明のいずれかに係る噴霧装置において、
消毒液を噴霧する噴霧機構と、
前記噴霧機構の噴霧動作を制御する噴霧制御手段と、
を備え、
前記噴霧制御手段は、
タンク内の溶液残量が僅少であることが検出された場合、前記噴霧機構による溶液の噴霧量を少なくするような制御を行う構成とした。
【0052】
第20発明によれば、タンク内の消毒液残量が少なくなったときでも、1回の噴霧動作による消毒液の消費量が抑えられることから消毒可能な回数を増やすことができ、さらには、消毒液が補充されるまでの時間を稼ぐこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本発明の実施形態に係る、噴霧装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態の残量測定値校正機構を示す図であって、(a)は検出手段における電極の配置、(b)は側方から見たときの検出手段とタンクの位置関係、を示す模式図である。
【
図3】第1実施形態において、上方から見たときの検出手段とタンクの位置関係を示す模式図である。
【
図4】第1実施形態において液面位置を判定するときの模式図であって、(a)は、液面位置が特定の検出電極に極端に近づいていない状態の図、(b)は、液面位置が特定の検出電極に極端に近い状態の図、である。
【
図5】第2実施形態の残量測定値校正機構を示す図であって、(a)は検出手段における電極の配置、(b)は側方から見たときの検出電極とGND電極とタンクの位置関係、を示す模式図である。
【
図6】第2実施形態において、上方から見たときの検出電極とGND電極とタンクの位置関係を示す模式図である。
【
図7】第3実施形態の残量測定値校正機構を示す図であって、(a)は検出手段における電極の配置、(b)は側方から見たときの検出電極とGND電極とタンクの位置関係、を示す模式図である。
【
図8】第3実施形態において、上方から見たときの検出電極とGND電極とタンクの位置関係を示す模式図である。
【
図9】第4実施形態の残量測定値校正機構を示す図であって、(a)は検出手段における満杯検出電極と液面検出電極の配置、(b)は側方から見たときの検出手段とタンクの位置関係、を示す模式図である。
【
図10】第4実施形態の変形例にかかる残量測定値校正機構を示す図であって、(a)は検出手段における満杯検出電極と液面検出電極の配置、(b)は側方から見たときの検出手段とタンクの位置関係、を示す模式図である。
【
図11】第5実施形態の変形例にかかる残量測定値校正機構を示す図であって、(a)は検出手段における満杯検出電極と液面検出電極の配置、(b)は側方から見たときの検出手段とタンクの位置関係、を示す模式図である。
【
図12】第6実施形態の変形例にかかる残量測定値校正機構を示す図であって、(a)は検出手段における満杯検出電極と液面検出電極の配置、(b)は側方から見たときの検出手段とタンクの位置関係、を示す模式図である。
【
図13】第7実施形態の変形例にかかる残量測定値校正機構を示す図であって、(a)は検出手段における満杯検出電極と液面検出電極の配置、(b)は側方から見たときの検出手段とタンクの位置関係、を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、
図1乃至
図13を参照して、本発明の「残量測定値校正機構」および「噴霧装置」について説明する。
本発明の実施形態では、タンク内に収容された溶液の残量を検出するとともに、この残量の測定値を校正可能な残量測定値校正機構において、電極の形状や配置もしくはタンク形状の構成変更により、タンク内溶液の残量が僅少であることの検出精度を向上させる場合を例に挙げて説明する。
以下、この内容について詳しく説明する。
【0055】
図1は、本実施形態に係る噴霧装置1の構成を示すブロック図である。
噴霧装置1は、利用者が手をかざしたことを検出して消毒液を自動噴霧する装置である。
また、本噴霧装置1は、タンク内溶液の残量が僅少であるときに、その旨を音声通知または表示できるものとなっている。
以下、噴霧装置1の構成について説明する。
【0056】
同
図1に示すように、噴霧装置1は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、身体情報検出部14と、噴霧機構15と、タンク16と、検出部17と、表示部18と、音声出力部19を有する。
【0057】
なお、後述する校正手段112と、タンク16と、検出部17とは、本願の「残量測定値校正機構」を構成する。
【0058】
制御部11は、IC(Integrated Circuit)・ROM・RAM等を有し、ROM・記憶部12に記憶されているプログラムをRAMにロードして実行し、それにより各種の論理的手段を実現する。
制御部11では、噴霧制御手段111および校正手段112が実現される。
【0059】
噴霧制御手段111は、各種センサからなる身体情報取得部14の一構成要素である人感センサが利用者の接近を検出するごとに、噴霧機構15に噴霧指示信号を出力する。
【0060】
噴霧制御手段111は、消毒液(溶液)のタンク16内残量に応じて、噴霧機構15による消毒液の噴霧量を変えるような制御をしてもよい。
例えば、噴霧制御手段111は、タンク16内の消毒液残量が少なく液面位置が低い領域では、噴霧機構15による消毒液の噴霧量を絞る(少なくする)ようにしても構成してもよい。
このようにすることで、タンク16内の消毒液残量が少なくなったときでも、1回の噴霧動作による消毒液の消費量が抑えられることから消毒可能な回数を増やすことができ、さらには、消毒液が補充されるまでの時間を稼ぐこともできる。
【0061】
校正手段112は、タンク16内にある溶液(本例では、消毒液)の液面LSの位置を校正する手段である。
当該校正手段112が、液面位置を校正することにより、タンク16内の溶液の残量が僅少になっていることの検出精度を向上できる。
また、校正手段112は、タンク16内にある溶液(本例では、消毒液)の液面LSの位置を算出(推定)する。
【0062】
当該手段112による液面位置の校正手法としては、任意の手法を採用できる。
校正する一手法としては、まず、特定の位置における液面LSの基準を特定する。このような位置の基準を定めないことには、校正のしようがないからである。
このような校正用の基準位置の具体例としては、たとえば、タンク16内の溶液が満杯状態になっているときの「満杯位置」を採用することが考えられる。
【0063】
校正手段112は、校正用の基準位置(例えば、満杯位置)を特定すると、つぎに「液面位置LSと、検出電極173(
図2・
図5・
図7)・175(
図9・
図10・
図11)において測定される静電容量値の関係式」を定める。
このような関係式は、たとえば、基準位置(例えば、満杯位置)から底面に向かって、溶液の液面位置LSが低くなっていくに従って、個々の検出電極とGND電極の間の各静電容量の合成値が単調減少(例えば、比例関係)するような式が考えられる。
【0064】
なお、個々の検出電極とGND電極の間の各静電容量の合成値とは、
図2の例においては、電気的な等価回路として直列接続された状態にある静電容量C
1、C
2、C
3、C
4の合成値などである。
図2の例においては、個々の検出電極173-1~173-4とGND電極172の間の各静電容量C
1~C
4の静電容量(合成値)Cは、以下のように表される。
【0065】
【0066】
また、本例において、校正手段112は、タンク16内にある溶液の液面位置が所定の僅少判定位置であることを検出する。
【0067】
記憶部12は、任意の情報を記憶する。
同記憶部12が記憶する情報の一具体例としては、検出電極において検出された静電容量の測定値が挙げられる。
また、記憶部12が記憶する情報の他の具体例としては、液面位置と、検出電極で測定される静電容量値との関係を校正するための計算式が考えられる。
【0068】
通信部13は、噴霧装置1を外部と接続し、任意の情報を送受信可能にする。
同通信部13は、インターネット・移動体通信網その他の公衆通信網に接続されるものでもよく、LPWAN(Low-Power, Wide-Area)通信を行うためのLPWAN(Low-Power Wide-Area Network)に接続されるものでもよい。
【0069】
身体情報検出部14は、消毒液を行おうとする利用者の身体に関して様々な情報を検出する各種センサから構成される。
身体情報取得部14の構成要素の1つとしては「人感センサ」がある。
当該の人感センサは、消毒液を行おうとする利用者が自己の身体部位を噴霧装置1に近づけたときに、当該利用者が接近したことを検出する役割を担う。
人感センサが、利用者の接近を検出できる範囲は任意に設定可能であるが、一例としては、人感検出部14から利用者の消毒部位(手指など)までの距離が100ミリメートル以内(50~80ミリメートルなど)に設定できる。
【0070】
噴霧機構15は、噴霧制御手段111から入力される噴霧指示信号に応じて、身体情報検出部14(人感センサ)の近くにある利用者の身体部位に対し、消毒液を自動噴霧する。
本例では、噴霧機構15は、様々な流体を移送可能な蠕動ポンプから構成される。
噴霧機構15(蠕動ポンプ)は、流体移送管(図示略)の圧縮と復元の反復動作により、同移送管内に吸入した消毒液を回転運動により吐出(噴霧)する。
噴霧機構15は、身体情報検出部14が利用者の接近を検出するごとに、あらかじめ設定された所定噴霧時間(たとえば、1秒間)だけ、噴霧動作を実行する。
【0071】
タンク16は、消毒液を貯留(収容)する容器である。
当該タンク16の容器形状および構成材料は、それぞれ任意でよい。
一例として、タンク16は、噴霧装置100の所有者や管理者が消毒液の残量を外部から目視で確認できるように、ガラス・ポリエチレンをはじめとする透光性材料(透明ないしは半透明)で構成してもよい。
【0072】
検出部17は、タンク16に貯留されている消毒液の残量を検出する。
この検出部17は、基板171と、GND電極172と、検出電極とからなる。
基板171は、薄板材料からなる。
GND電極172および検出電極の配置形態には、後述するように様々なものが存在する。
【0073】
表示部18は、噴霧装置1の所有者や利用者に視覚を通じて情報を伝達すべく、各種の情報を表示する手段である。
この表示部18としては、LED(Light Emitting Diode)のようなきわめて簡易な表示手段としてもよく、液晶ディスプレイなどの任意の文字・画像情報を表示できるものとしてもよい。
表示部18がLEDからなる場合、検出部17によって測定された消毒液の残量が所定基準量未満となった(校正手段112が、液面位置が僅少判定位置であることを検出した)場合に、残量が少ないことを通知するための所定の警告色(橙色・赤色など)でLEDを点灯させてもよい。
また、表示部18が液晶ディスプレイからなる場合、噴霧装置100の所有者や管理者に消毒液をタンク16に補充(注入)することを促すメッセージをはじめ、様々な情報を表示可能である。
【0074】
音声出力部19は、電気信号を物理的振動に変換して放音するスピーカである。
本例において、音声出力部19は、身体情報取得部14(人感センサ)が利用者の接近を検出したときに、消毒の実施を促すメッセージの音声通知を行う。
また、同出力部19についても、表示部18と同様に、検出部17による測定結果(消毒液の残量)が所定基準量未満となった(校正手段112が、液面位置が僅少判定位置であることを検出した)ときに、残量が少ないことや溶液補充の催促を音声通知する等の利用が考えられる。
【0075】
校正手段112、タンク16、検出部17からなる「残量測定値校正機構」については、GND電極172および検出電極173それ自体の形状、GND電極172と検出電極173の配置形態(相対位置)、タンク16の形状などを変更することで、それぞれ異なる利点を持つ構成が可能である。
このような種々の構成例について、以下、説明する。
【0076】
[第1実施形態]
第1実施形態の残量測定値校正機構では、1つのGND電極172および複数の検出電極173が、1枚の基板171の同一面に搭載される。
GND電極172は、長尺状であり、導電性材料からなる。
また、検出電極173は各々、小片状の導電性材料からなる。
同
図2の例では、検出電極173(173-1~173-4)の形状は矩形を有している。
図2の例では、検出電極173の個数が「4」である場合を示しているが、検出電極173の個数は2以上であれば任意でよい。
【0077】
図2の配置例では、検出電極173は、GND電極172の長手方向について、隣合う検出電極173同士が所定間隔ずつ離れた状態で直線配置されている。
また、検出電極173は、GND電極172の短手方向について、個々の検出電極173の同GND電極172に対する各距離が同一となるように配置されている。
【0078】
なお、GND電極172と個々の検出電極1~検出電極4(173-1~173-4)の間には、それぞれ静電容量が存在している。
図2においては、同
図2中に破線で示してあるように、GND電極172と検出電極1(173-1)の間の静電容量C
1、GND電極172と検出電極2(173-2)の間の静電容量C
2、GND電極172と検出電極3(173-3)の間の静電容量C
3、GND電極172と検出電極4(173-4)の間の静電容量C
4、が存在する。
上述したGND電極172と個々の検出電極173-1~173-4との間の各寄生容量C
1、C
2、C
3、C
4は、電気的に見て「直列接続」された状態と等価になっている。
【0079】
なお、これらの静電容量C1、静電容量C2、静電容量C3、静電容量C4は、寄生容量として表れるものである。
そのため、GND電極172と個々の検出電極1~4の間は、あくまで実際に回路接続されているわけではなく、絶縁された状態となっている。
【0080】
図4(a)・
図4(b)は、第1実施形態における、静電容量(合成値)の測定例である。
上記
図4(a)の例では、液面LSの位置が、隣合う検出電極(173-2と173-3)の一方に極端に偏ることなく、両検出電極2・3から適度に離れた位置にある。
図4(a)のような状態の下では、液面LSの位置判定は容易である。
【0081】
一方、
図4(b)の例では、液面LSの位置は、検出電極2(173-2)とほぼ同位置にあり、同電極2寄りに偏ったところにあり、検出電極2と隣合う検出電極1・3からは極端に離れている。
この場合には、校正手段112により液面LSの位置判定を行う場合、工夫を凝らすことが必要となる。
【0082】
例えば、個々の検出電極1~4(173-1、173-2、173-3、173-4)において検出されるADC値(もしくは静電容量測定値)を、当該の検出電極と隣合う検出電極と比較する。
検出電極2(173-2)の場合、隣合う検出電極1・3(173-1または173-3)と比較する。
そして、校正手段112は、(1)全検出電極1~4のうち、当該電極(例えば、173-2)の隣接電極に対する測定値比(以下、「対隣接電極測定値比」という)が最大で、かつ、(2)当該検出電極の対隣接電極測定値比が、他検出電極について得られた対隣接電極測定値比の所定倍率(例えば、1.2倍)以上となる電極間を液面LSの位置と判定する。
なお、全検出電極について各々得られた対隣接電極測定値比のいずれもが、所定倍率に充たない場合、校正手段112は、前回の判定結果が継続している(現時点の液面位置は、前回判定時の液面位置と同じである)と判定する。
【0083】
[第2実施形態]
つぎに、第2実施形態の残量測定値校正機構について説明する。
第2実施形態では、タンク16の連接する2つの側面にGND電極172と検出電極173を直交配置することにより(
図6(b))、電極の面積を拡張し、精度の向上を図っている。
【0084】
第2実施形態の残量測定値校正機構における検出手段の構成例を、
図5(a)・
図5(b)に示す。
同
図5(b)の例では、第1実施形態(
図2)に比べて、第2実施形態におけるGND電極172は、矩形状であり、非常に広い面積が確保されている。
また、
図5(b)のように、GND電極172に対し、検出電極173が取付けられた基板171が直交するように配置されている。
なお、
図5(a)の例では、個々の検出電極1~4(173-1~173-4)は帯形状であり、たがいに平行するように基板171の同一面に取付けられている。
この基板は、検出電極173の長手方向が水平となるように、タンク16の近傍に設置される。
【0085】
第2実施形態によれば、個々の検出電極173とGND電極172との間における各静電容量の値が増大するため、誤差要因である諸浮遊容量値の影響が低下する。
これにより、タンク16内の溶液の残量が僅少になっていることの検出精度を向上させることが可能となる。
【0086】
[第3実施形態]
つぎに、第3実施形態の残量測定値校正機構について説明する。
第3実施形態では、タンク16の1つの側面に検出電極173を配置するとともに、GND電極172をタンク16底面に配置することにより(
図7(b)・
図8参照)、電極の面積を拡張し、精度の向上を図っている。
【0087】
第3実施形態の残量測定値校正機構における検出手段の構成例を、
図7(a)・
図7(b)に示す。
同
図7(b)の例では、第3実施形態におけるGND電極172は矩形状であり、非常に広い面積が確保されている。
このGND電極172は、タンク16の底面部に当接するように配置されている。
一方、検出電極173が取付けられた基板171は、タンク16の1つの側面に配置される。
なお、
図7(a)の例においても、第2実施形態(
図5(a))と同様に、個々の検出電極173は帯形状であり、たがいに平行するように基板171の同一面に取付けられている。
なお、基板171は、検出電極173の長手方向が水平となる向きで、タンクの近傍に設置される。
【0088】
第3実施形態においても、検出電極173とGND電極172との間の静電容量の値が増大するため、誤差要因である諸浮遊容量値の影響が低下する。
これにより、タンク16内の溶液の残量が僅少になっていることの検出精度を向上できる。
【0089】
[第4実施形態]
つぎに、第4実施形態の残量測定値校正機構について説明する。
第4実施形態では、長尺状のGND電極172とともに、サイズが大きく異なる2種類の検出電極174・175を使用する。
同検出電極としては、「満杯検出電極」と「液面検出電極」を設けている。
【0090】
図9(a)の満杯検出電極174は、タンク16の上端ちかくまで溶液が充填されていること(満杯状態)を検出する役割を担う。
GND電極172と満杯検出電極174の間には、静電容量C
Fが存在する。
満杯検出電極174を設置することで、タンク16内の溶液が満杯に近づくと静電容量値が急増するため「高い確度で満杯状態を検出できる」ようになり、ひいては「校正が有効であることを確認可能」となる。
【0091】
なお、満杯検出電極174により、タンク16内の溶液が満杯状態であることを検出した場合、噴霧装置1に実装された表示部18または音声出力部19により、満杯状態である旨を管理者に報知してもよい。
さらに、満杯状態であることを検出し、校正手段112による校正が実行される際にも、表示部18または音声出力部19により、校正の実施を管理者に通知することも可能である。
【0092】
一方、
図9(a)の液面検出電極175は、当該液面検出電極175とGND電極172の間の静電容量C
Lの値に基づき、タンク16が満杯状態まで充たないときの液面位置を検出する役割を果たす。
【0093】
同
図9(a)の例では、満杯検出電極174は小片状であり、同電極174の1辺(上端)がGND電極172の一端(上端)と揃うような位置に配設される。
【0094】
一方、液面検出電極175は、満杯検出電極174よりも大型(面積が広大)となっており、GND電極172と平行するように基板171上に配置される。
図9(a)においては、GND電極の短手方向において、満杯検出電極のGND電極に対する距離と、液面検出電極175のGND電極172に対する距離は同一となっている。
なお、同
図9(a)の例では、液面検出電極175は、単一の板状部材から構成されているが、これに限定されず、同電極175は、
図2などのように物理的に分離された複数個の電極により構成することも可能である。
【0095】
第4実施形態では、溶液がタンク16の上端ちかくまで充たされており、満杯検出電極174により液面LS(液位)が検出された場合に、校正手段112による校正を行う。
なお、この校正手法は、任意でよい。
【0096】
第4実施形態によれば、満杯検出電極174を追加することにより、校正条件の安定化が図られ、ひいては校正の確度を向上させることができる。
また、GND電極172に対向配置される検出電極が複数設けられている場合における、「最上位に位置する検出電極の技術的意義」の明確化も図られる。
【0097】
なお、第4実施形態の構成では、
図10のような応用例を採用することも可能である。
上述した
図9(b)においては、長尺状の液面検出電極175ならびにGND電極172が、タンク16底面のごく近傍まで延伸している。
しかしながら、
図10(a)の構成例では、液面検出電極175とGND電極172の長さを
図9(a)のものより各々短くすることで、タンク16底面に対する液面検出電極175・GND電極172の各下端の位置が
図9と比べて高くなっている。
一般に、コンデンサの静電容量は、極板間の距離が長くなるに従って、小さくなる。
そのため、
図10(b)の例では、液面検出電極の下端(僅少判定位置)を液面位置が下回ったことを境に、静電容量が急激に低下することになる。
これにより、タンク16内の溶液の「残量が僅少になっていることの検出精度を向上」できる。
なお、このような効果を獲得する場合、必ずしもGND電極172・液面検出電極175双方の長さを短くしてやる必要はなく、GND電極172と液面検出電極175のいずれか一方の長さを短くするだけでも
図9と同様の効果が得られる。
【0098】
図10(a)の例では、液面検出電極175が単一である構成について説明したものの、これに限らず、同電極175は複数個に分割されていてもよい。
この場合、複数個の液面検出電極175は、所定間隔だけ間隔を空けながら、GND電極172の延伸方向と平行に列をなすように配設される。
【0099】
なお、満杯検出電極174は、矩形に限らず、任意の形状を選択できる。
図9・
図10においては、満杯検出電極174は、縦長の長方形状(水平方向の幅が、鉛直方向の幅よりも狭い)となっている。
しかしながら、これとは逆に、満杯検出電極174は、横広の長方形状(水平方向の幅が、鉛直方向の幅よりも広い)とすることも可能である。
なお、満杯検出電極174の面積は「1cm
2」よりも大きいことが望ましい。
一般に、検出電極の面積が狭小に過ぎると、その検出電極とGND電極172の間における静電容量も小さくなりすぎてしまい、ADCの信号検出限界を下回るおそれがあるからである。
【0100】
[第5実施形態]
上述した第1~第4実施形態では、GND電極172と検出電極173・満杯検出電極174・液面検出電極175の形状や配置(相対位置)を変更することで、タンク16内の溶液残量が僅少になったことを検出する際の精度向上を図っていた。
しかしながら、上記実施形態に限らず、タンク16の形状を工夫することで、タンク16内の溶液残量が僅少になっていることの検出精度を向上させることも可能である。
より具体的には、タンク16内にある溶液の液面位置が同タンク底面に近づいてきたときに、GND電極172と個々の検出電極との間の各静電容量の合成値についても顕著に低下するように、タンク16の形状を工夫する。
このように、液面位置がタンク底面16に近づいたときに、GND電極172と各検出電極の間の静電容量合成値の減少幅を大きくするためには、タンク底面16から所定の高さを開始位置(僅少判定位置)に定め、この開始位置(僅少判定位置)からタンク底面にむけて下がっていくにつれて、検出電橋と、その電極に当接するタンク16側面との物理的距離がどんどん長くなるようにしてやればよい。
このような手法について、以下、説明する。
【0101】
以下、第5実施形態の残量測定値校正機構について説明する。
第5実施形態では、
図11(b)のように、タンク16Aの底面のうち1辺について、底面から側面に至る「角部分の曲率半径が大きく」なっている。
換言すると、この角部分では、曲線状に曲がり始める位置161(僅少判定位置)が、タンク16A底面の他の3辺における角部分のカーブ開始位置よりも高所にある。
【0102】
上述したように、コンデンサの静電容量は、極板間の距離が長くなるに従って、小さくなる。
そのため、
図11(b)の例では、曲線状に曲がり始める位置161(僅少判定位置)を液面位置が下回ったことを境に、静電容量が急激に低下する。
これにより、タンク16A内の溶液の残量が僅少になっていることの検出精度を向上できる。
【0103】
[第6実施形態]
つぎに、第6実施形態の残量測定値校正機構について説明する。
第6実施形態では、
図12(b)のように、タンク16Bの底面のうち1辺について、側面と底面の間に段差部分162が設けられている。
同段差部分162の最上段は、僅少判定位置(液面位置が低くなり、残量が僅少となったことを校正手段112によって検出させたい位置)に設置される。
【0104】
この段差部分162は、
図12(b)の例では1段分となっているが、その段数は2段以上であってもよい。
また、段差部分162の各段の表面は、必ずしも水平である必要はなく、所定角度に傾斜していてもよい。
【0105】
[第7実施形態]
つぎに、第7実施形態の残量測定値校正機構について説明する。
第7実施形態では、
図13(b)のように、タンク16Cの底面に近づくに従って、タンク16C水平方向の断面積が減少するように構成されている。
第5~7実施形態に共通の趣旨としては「タンク16Cの形状が、底面に近づくにつれて水平方向の断面積も減少していく」ものであれば、いずれも、タンク16C内の溶液残量が僅少になっていることの検出精度を向上させることにつながることである。
【0106】
図13(b)の例では、底面と側面の間の稜線が直線状となっているが、タンク16C底面に近づくにつれ断面積が減少することが担保されている限り、底面と側面の間の稜線や水平方向の断面形状は、どのような形状であってもよい。
例えば、タンク16C水平方向の断面積が底面に近づくに従って減少する領域では、この水平方向断面形状は、真円形または楕円形、任意の多角形状とすることが可能である。
さらに、一般的に、噴霧装置1では、装置1内に構成部品を収める際の空間的制約から、タンク16の形状を必ずしも円筒状や四角柱型に構成できない場合もある。
このような場合には、噴霧装置1内におけるタンク収容空間に適応できるよう、タンク16Cを任意の形状(例えば、3つの矩形が連接された略凸形状・略凹形状、星形状・花弁状など)に変更してもよい。
ただし、このような場合であっても、タンク16C底面に近づくにつれて断面積が減少する形状とすることに留意する。
【0107】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が理解し得る各種の変形が可能である。
【符号の説明】
【0108】
100 噴霧装置
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 身体情報検出部
15 噴霧機構
16、16A、16B、16C タンク
17 検出部
171 基板
172 GND電極
173 検出電極
174 満杯検出電極
175 液面検出電極
18 表示部
19 音声出力部