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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022016249
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】管運搬台車
(51)【国際特許分類】
   F16L 1/00 20060101AFI20220114BHJP
   B61B 13/10 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
F16L1/00 H
B61B13/10
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198042
(22)【出願日】2020-11-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2020117837
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】303056368
【氏名又は名称】東急建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000182937
【氏名又は名称】日鉄パイプライン&エンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520446296
【氏名又は名称】テスコムノダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】藤井 顕吾
(72)【発明者】
【氏名】金井 孝行
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 正勝
(72)【発明者】
【氏名】川田 英夫
(72)【発明者】
【氏名】福井 仁孝
(57)【要約】
【課題】 既設管Xが直線状であるか屈曲しているかに関わらず、当該既設管X内で新設管Yをスムーズに運搬することのできる管運搬台車を提供する。
【解決手段】 本発明の管運搬台車1は既設管X内での新設管Yの運搬に用いる台車である。本発明の管運搬台車1は、台車本体10と、当該台車本体10の進行方向前方側に首ふり可能に設けられた可動体30と、当該台車本体10の後端側に設けられた駆動車20を備えている。台車本体10には水平方向に回転可能な回転体40が設けられ、その回転体40に新設管Yをその内面側から支持する管支持体50が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設管内での新設管の運搬に用いる管運搬台車において、
台車本体と、当該台車本体の進行方向前方側に首ふり可能に設けられた可動体と、当該台車本体の進行方向後方側に設けられた駆動車を備え、
前記台車本体に水平方向に回転可能な回転体が設けられ、
前記回転体に前記新設管をその内面側から支持する管支持体が設けられた、
ことを特徴とする管運搬台車。
【請求項2】
請求項1記載の管運搬台車において、
回転体は駆動車及び可動体と連動することなく独立して回転可能である、
ことを特徴とする管運搬台車。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の管運搬台車において、
回転体は、管支持体で支持された新設管の新設管先方側基準点が既設管の中心軸線上に合うように水平方向に回転する、
ことを特徴とする管運搬台車。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の管運搬台車において、
可動体は連結軸を介して水平方向に首ふり可能に台車本体に連結された、
ことを特徴とする管運搬台車。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の管運搬台車において、
回転体に新設管を周方向に回転させるための周方向回転手段が設けられ、
前記周方向回転手段は、高さ方向に伸縮可能な伸縮手段と当該伸縮手段の上端に設けられた回転車輪を備え、
前記回転車輪は前記新設管の長手方向に交差する向きで設けられた、
ことを特徴とする管運搬台車。
【請求項6】
請求項5記載の管運搬台車において、
台車本体に新設管を周方向に回転させるための揚重機が設けられ、
前記揚重機は前記新設管の端部を保持する管保持具を備え、
前記新設管が周方向回転手段で支持されるとともに当該新設管の端部が前記管保持具で保持された状態で前記揚重機を操作することによって、当該新設管が周方向に回転する、
ことを特徴とする管運搬台車。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の管運搬台車において、
可動体と台車本体の間にアクチュエータが設けられ、
前記可動体は前記アクチュエータによって水平方向に首ふり可能である、
ことを特徴とする管運搬台車。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の管運搬台車において、
管支持体は高さ方向に伸縮可能であり、
前記管支持体が伸長することによって新設管が持ち上がり、
前記管支持体が収縮することによって新設管が接地する、
ことを特徴とする管運搬台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設管内での新設管の運搬に用いる管運搬台車に関する。
【背景技術】
【0002】
老朽化した既設管を更生する方法として、既設管内に新設管を設置する方法(いわゆるパイプインパイプ工法)が知られている。この工法では、既設管内に新設管を運び入れ、それら新設管を既設管内で接合することで既設管の更生を行う。
【0003】
従来、既設管内での新設管の運搬に用いる台車として、台車本体の前方に進行方向を変えるためのガイド車輪を備えたもの(特許文献1)が提案されている。この台車にはガイド車輪を操作するためのハンドルが設けられ、そのハンドルの操作によってガイド車輪を左右に動かすことで台車の進行方向を変えることができる。
【0004】
前記特許文献1の台車のほか、既設管内での新設管の運搬に用いる台車として、前後がリフト付き電池電動車と操向台車に固定された長尺の主梁に、管材を内面から支承する一対のジャッキが立設されたもの(特許文献2)が提案されている。この台車のジャッキは管材の幅方向にスライド可能なスライド板上に載置され、当該スライド板のスライドによってジャッキで支承された管材を横移動させられるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-99352号公報
【特許文献2】特開昭61-204499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記特許文献1記載の台車では、向きを変えられるのは台車だけであり、支持した新設管の向きを変えることができないため、屈曲した既設管内を移動する場合には、台車の進行方向を変えても既設管内で新設管が引っ掛かり、運搬が困難な場合がある。
【0007】
また、前記特許文献2の台車では、支承した管材を横移動させることはできても、その管材の向きを既設管の向きに合わせることはできないため、急曲線部を運搬するのには依然として困難が伴う。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、既設管が直線状の場合のみならず、屈曲している場合でも新設管をスムーズに運搬することのできる管運搬台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の管運搬台車は既設管内での新設管の運搬に用いる台車である。本発明の管運搬台車は、台車本体と、当該台車本体の進行方向前方側に首ふり可能に設けられた可動体と、当該台車本体の進行方向後方側に設けられた駆動車を備えている。台車本体には水平方向に回転可能な回転体が設けられ、その回転体に新設管をその内面側から支持する管支持体が設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の管運搬台車では、新設管を支持する管支持体が水平方向に回転可能な回転体に設置され、新設管の向きを既設管の形状に合わせて変更することができるため、既設管が屈曲していても、新設管をスムーズに運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の管運搬台車の一例を示すものであって、(a)は新設管を持ち上げる前の状態の説明図、(b)は(a)の新設管を持ち上げた状態の説明図。
図2】(a)は図1に示す管運搬台車の正面図、(b)は(a)の平面図、(c)は(a)の左側面図。
図3】(a)は回転体の一例を示す斜視説明図、(b)は(a)の平面図。
図4】(a)は図3(a)のIVa-IVa断面図、(b)は図3(b)のIVb-IVb断面図。
図5】(a)~(c)は図1に示す管運搬台車での新設管の支持手順説明図。
図6】(a)(b)は図1に示す管運搬台車を用いて屈曲した既設管内に新設管を運搬する場合の説明図。
図7】新設管を回転させる前後における新設管軸線と既設管軸線の関係を示す説明図。
図8】本発明の管運搬台車の他例を示すものであって、(a)は周方向回転手段を下げた状態の説明図、(b)は(a)の周方向回転手段を上げた状態の説明図。
図9】(a)は図8(b)の管運搬台車の正面図、(b)は(a)の左側面図、(c)は(a)の右側面図。
図10】(a)は揚重機で新設管を保持した状態の説明図、(b)は新設管を周方向に回転させた状態の説明図。
図11】補助具の一例を示す説明図。
図12図11の補助具の使用状態の説明図。
図13】補助具の他例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
本発明の管運搬台車1の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。本発明の管運搬台車1は各種管部材の運搬に用いることができるが、ここでは、水力発電設備や下水道設備などの用途で設置された直径1800mm(R900)の鋼管(以下「既設管」という)X内に、直径1300mm(R650)の鋼管(以下「新設管」という)Yを運搬する場合を一例として説明する。
【0013】
一例として図1(a)(b)に示す管運搬台車1は、台車本体10と、駆動車20と、可動体30と、回転体40と、管支持体50を備えている。駆動車20は連結具60(図2(a)(b)参照)を介して台車本体10の進行方向後方側に、可動体30は連結軸70を介して台車本体10の進行方向前方側に連結されている。回転体40は台車本体10の上面側に設置され、管支持体50はその回転体40の上面側に立設されている。以下、前記各構成について説明する。なお、本願では、可動体30を先頭にして進行する方向を前方といい、可動体30を先頭に退行する方向を後方という。
【0014】
前記台車本体10は管運搬台車1のベースとなる部分であり、前後方向に縦長の胴体部11と、胴体部11の後端側に設けられた補助部12と、補助部12に設けられた補助輪13を備えている。補助輪13は油圧シリンダ14によって上下動するようにしてある。既設管Xの形状や運搬時の角度によっては補助輪13が邪魔になることがあるが、油圧シリンダ14によって補助輪13を引き上げることでこの問題を解消することができる。補助輪13は必要に応じて設ければよく、不要な場合には省略することができる。なお、説明の便宜上、図面では簡略化しているが、胴体部11及び補助部12は複数の角型鋼管などを組み合わせて構成されている。
【0015】
胴体部11の先方側(可動体30側)には、連結軸70を挿通するための連結部11aが設けられている。また、胴体部11の可動体30側には、幅方向両外側に向けて本体側ブラケット11bが突設されている。各本体側ブラケット11bには、可動体30を動作(首振り)させるための伸縮式のアクチュエータ15が設置されている。この実施形態では、アクチュエータ15として油圧シリンダを用いている。各油圧シリンダの他端側は、可動体30の後端側(台車本体10側)に突設された可動体側ブラケット31bに固定されている。
【0016】
胴体部11と可動体30の間に設けられた両アクチュエータ15は、同期して動作するようにしてある。具体的には、一方のアクチュエータ15が伸長した場合には、他方のアクチュエータ15が収縮するようにして、可動体30の向きを変えられるようにしてある。この実施形態では連結部11aの幅方向両外側に一本ずつアクチュエータ15を設ける場合を一例としているが、アクチュエータ15はいずれか一方側にのみ設けることもできる。アクチュエータ15は、片側に二本以上設けることもできる。
【0017】
前記駆動車20は管運搬台車1の駆動源である。一例として図1(a)(b)及び図2(a)~(c)に示す駆動車20は、2.5tまで牽引可能な既存のバッテリー駆動車であり、バッテリー(図示しない)が搭載された駆動車本体21と、駆動車本体21の下端側に設けられた左右の車輪22と、駆動車本体21の上方に設けられたハンドル23を備えている。駆動車20にはエンジン駆動車など、バッテリー駆動車以外のものを用いることもできる。
【0018】
前記可動体30は管運搬台車1の進行方向を変更するための部材である。一例として図1(a)(b)及び図2(a)~(c)に示す可動体30は、可動体本体31と、可動体本体31から下向きに突設された前脚部32と、前脚部32に設置された左右の前輪33と、両前輪33間に設けられた油圧ハンドル34を備えている。説明の便宜上、図面では簡略化しているが、可動体本体31及び前脚部32は複数の角型鋼管などを組み合わせて構成されている。
【0019】
可動体本体31のうち台車本体10側には、連結軸70を挿通可能な連結部31aが設けられている。また、可動体本体31の台車本体10側には、後方側に向けて可動体側ブラケット31bが突設されている。各可動体側ブラケット31bには、台車本体10の前端側に設けられたアクチュエータ15の他端側が固定されている。この実施形態のように台車本体10と可動体30を連結軸70で連結することにより、可動体30が台車本体10に当たらずに広角に動かすことができるため、急曲線部もスムーズに移動することができる。
【0020】
前記回転体40は管支持体50を回転可能に支持する部材である。この実施形態では、回転体40としてターンテーブルを用いている。回転体40は、駆動車20や可動体30の動作とは関係なく(駆動車20や可動体30の動きと連動することなく)、独立して回転させられるようにしてある。一例として図3(a)(b)に示すターンテーブルは、胴体部11に固定される固定部41と、当該固定部41の上面側に配置された回転機構42と、当該回転機構42の上面側に配置された回転部43を備えている。
【0021】
この実施形態の固定部41及び回転部43は平板であり、両者の間に回転機構42が設けられている。この実施形態では、回転機構42として、固定部41の中心に配置された主回転機構44と、主回転機構44の外周に配置された中央回転機構45と、中央回転機構45の前方側に配置された前方側回転機構46と、中央回転機構45の後方側に配置された後方側回転機構47を用いている。
【0022】
前記主回転機構44は、回転部43を回転させる機構である。この実施形態では、主回転機構44として、スラストベアリング(スラスト玉軸受け)を用いている。主回転機構44はスラストベアリング以外であってもよい。
【0023】
前記中央回転機構45は、主回転機構44の外周に沿って配置される回転機構であり、回転部43の回転を補助するための機構である。一例として図3(a)(b)に示す中央回転機構45は、環状枠45aと複数のスチールボール(以下「中央ボール」という)45bを備えている。この実施形態の環状枠45aは、平鋼を曲げて形成された径の異なる内リング45cと外リング45dを備えている。内リング45cと外リング45dの間には中央ボール45bを収容可能な収容部(以下「中央収容部」という)45eが確保されている。中央ボール45bは、上部が環状枠45aの上端部よりも上側に突出するように中央収容部45eに配置されている。中央ボール45bは、中央収容部45e内で自由に回転できるようにしてある。
【0024】
前記前方側回転機構46は、アーチ状枠(以下「前方アーチ枠」という)46aと、複数のスチールボール(以下「前方ボール」という)46bを備えている。この実施形態の前方アーチ枠46aは平鋼を曲げて形成した内アーチ部46cと外アーチ部46dを備えている。内アーチ部46cと外アーチ部46dの長手方向両端は側板46eで閉塞されている。内アーチ部46c、外アーチ部46d及び側板46eの内側には、前方ボール46bを収容可能な収容部(以下「前方収容部」という)46fが確保されている。図4(b)に示すように、前方ボール46bは、上部が前方アーチ枠46aの上端部よりも上側に突出するように前方収容部46fに配置されている。前方ボール46bは、前方収容部46f内で自由に回転できるようにしてある。
【0025】
前記後方側回転機構47は、前方側回転機構46と同様、アーチ状枠(以下「後方アーチ枠」という)47aと、複数のスチールボール(以下「後方ボール」という)47bを備えている。この実施形態の後方アーチ枠47aは平鋼を曲げて形成した内アーチ部47cと外アーチ部47dを備えている。内アーチ部47cと外アーチ部47dの長手方向両端は側板47eで閉塞されている。内アーチ部47c、外アーチ部47d及び側板47eの内側には、後方ボール47bを収容可能な収容部(以下「後方収容部」という)47fが確保されている。後方ボール47bは、上部が後方アーチ枠47aの上端部よりも上側に突出するように後方収容部47fに配置されている(図4(b)参照)。後方ボール47bは、後方収容部47f内で自由に回転できるようにしてある。
【0026】
この実施形態では、スラストベアリング44の軸軌道盤(上側の回転盤)、前方ボール46b及び後方ボール47bは、それらの上に配置される回転部43が平行になるように、上部が同じ高さとなるようにしてある。固定部41と回転部43は、回転機構42が両者間に配置された状態で、連結具48によって連結されている。この実施形態の回転体40の構成は一例であり、回転体40の構成はこれ以外であってもよい。たとえば、回転機構42は主回転機構44のみで構成することもできる。
【0027】
前記管支持体50は、新設管Yを支持する部材である。図1(a)(b)及び図2(a)~(c)に示すように、管支持体50は回転体40の上面に立設され、回転体40の回転に伴って同方向に回転するようにしてある。
【0028】
一例として図1(a)(b)に示す管支持体50は、伸縮体51と当該伸縮体51の先端に設けられた当接部52を備えている。この実施形態では、伸縮体51として二台の油圧ジャッキを用いている。二台のうち一台は回転体40の上面の前端寄りの位置に、他の一台は回転体40の上面の後端寄りの位置に設けられている。各油圧ジャッキ51の両外側には、油圧ジャッキ51の伸縮をガイドする伸縮体ガイド53が設けられている。伸縮体51には図示しないオイルタンクや電動ポンプなどが接続され、これら機器によって動作するようにしてある。伸縮体51を動作させる各機器は、胴体部11の上面及び底面に設置された収納庫11d内に収納されている。
【0029】
前記当接部52は新設管Yの内面に当接して新設管Yを支持するものである。この実施形態の当接部52は鋼製のブロックである。当接部52の上面は、新設管Yの内面に密接するように弧状にしてある。当接部52はゴム製や樹脂製など、鋼製以外であってもよい。
【0030】
本実施形態の管運搬台車1では、アクチュエータ15を伸縮させて可動体30を左右に(水平方向に)首ふりさせることで、左右に進行方向を変えることができる。また、管支持体50で支持された新設管Yを動かすことで、回転体40上の管支持体50を水平方向に回転させることができ、これにより、管支持体50で支持された新設管Yの向きを変えることができる。
【0031】
このように、本実施形態の管運搬台車1では、可動体30の首ふりによって管運搬台車1の進行方向を変えられるとともに、管支持体50の回転によって新設管Y自体の向きを変えることもできるため、既設管Xが屈曲していても新設管Yをスムーズに運搬することができる。
【0032】
また、図7に示すように、本発明の管運搬台車1のように管支持体50が回転体40の上に設けられているため、新設管Yの中心軸線(以下「新設管軸線」という)L1の進行方向先方側を既設管の中心軸線(以下「既設管軸線」という)L2と一致させる、言い換えれば、新設管軸線L1の進行方向先方側のポイント(以下「新設管先方側基準点」という)Pを既設管軸線L2の上に重なるようにすることができ、新設管先方側基準点Pを既設管軸線L2の上に重ねられない従来の台車に比べて、断面積の大きな管を運搬することができる。
【0033】
(実施形態2)
本発明の管運搬台車1の実施形態の他例を、図面を参照して説明する。この実施形態の管運搬台車1の基本的な構成は、実施形態1の管運搬台車1と同様である。異なるのは、回転体40の上面に周方向回転手段90が設けられていること、胴体部11に鋼管回転用の揚重機93が設けられていること、可動体30の先方側に乗り上げ手段35及び作業椅子36が設けられていることである。以下、実施形態1と異なる事項を中心に説明し、実施形態1と共通する事項については、説明を適宜省略する。
【0034】
前記周方向回転手段90は、新設管Yを周方向に回転させるための手段である。一例として図8(a)(b)及び図9(a)~(c)に示す周方向回転手段90は、油圧シリンダ(伸縮手段)91と油圧シリンダ91のロッドトップに設けられた回転車輪92を備えている。この実施形態では、周方向回転手段90が両管支持体50の間に間隔をあけて二台設けられている。両回転車輪92は、新設管Yの長手方向に交差(直交)する向きに回転するようにしてある。周方向回転手段90は二台より多くても少なくてもよい。
【0035】
両周方向回転手段90の油圧シリンダ91を伸長させて回転車輪92で新設管Yの内面を押し上げることによって新設管Y支持することができ、油圧シリンダ91を収縮させて回転車輪92を新設管Yの内面から離すことによって新設管Yの支持を解除することができる。なお、図示は省略しているが、各周方向回転手段90の側方には、油圧シリンダ91をガイドするガイド手段を設けることもできる。
【0036】
前記揚重機93は、周方向回転手段90と協働して新設管Yを周方向に回転させるための手段である。この実施形態では、揚重機93としてレバーブロック(登録商標。以下同じ。)を用いている。揚重機93にはレバーブロック以外のチェーンブロックを用いることもできる。この実施形態の揚重機93は、一端側が胴体部11に横向きに突設された孔あきフランジ16に固定されている。揚重機93の他端側には、新設管Yの端部を保持するクランプ(管保持具)94が設けられている。この実施形態では、胴体部11の左右に一体ずつ揚重機93が設けられている。各揚重機93のクランプ94は、不使用時には孔あきフランジ16に引掛けておくことができる。
【0037】
新設管Yの運搬中には走行時の振動や曲がる際に働く遠心力によって周方向に回転することがある。この場合、図10(a)(b)に示すように、両周方向回転手段90の回転車輪92で新設管Yを支持するとともに、両揚重機93で新設管Yを保持した状態で、揚重機93を操作することで、新設管Yを周方向に回転させることができる。より具体的には、一方(図示する例では左側)の揚重機93を巻き上げるのと同時に、他方(図示する例では左側)の揚重機93を緩めることで、新設管Yを周方向に回転させることができる。このとき、新設管Yは、新設管Yの長手方向に直交する向きに回転する回転車輪92で支持されているため、周方向への回転をスムーズに行うことができる。
【0038】
前記乗り上げ手段35は、運搬する新設管Yや先に設置された新設管Yに乗り上げる際に、管運搬台車1の車高を調整するための手段である。この実施形態の乗り上げ手段35は、油圧シリンダ35aと、油圧シリンダ35aのロッドトップに設けられた乗り上げ車輪35bと、油圧シリンダ35aをガイドするガイド部35cを備えている。油圧シリンダ35aの両外側には、伸長した油圧シリンダ35aを収縮状態に復帰するのをサポートするスプリング35dが設けられている。両スプリング35dは収縮方向に付勢されている。
【0039】
前記作業椅子36は、新設管Yの運搬時に作業者が使用するものである。一例として図8(a)(b)及び図9(a)に示す作業椅子36は、座フレーム36aと当該座フレーム36aに設けられた座部36bを備えている。この実施形態の座フレーム36aは間隔をあけて配置された二本の縦材36cと両縦材36cの間に架設された横材36dを備えている。両縦材36cの下端側は可動体本体31に回転可能に軸支され、使用時には展開し、不使用時には起立させられるようにしてある。両縦材36cの回転軸側には、使用時に接地して座部36bを支持する支持材36eが突設されている。作業椅子36は必要に応じて設ければよく、不要な場合には省略することができる。
【0040】
実施形態1の管運搬台車1と同様、本実施形態の管運搬台車1も可動体30の首ふりによって管運搬台車1の進行方向を変えられるとともに、管支持体50の回転によって新設管Y自体の向きを変えることもできるため、既設管Xが屈曲していても新設管Yをスムーズに運搬することができる。また、本実施形態の管運搬台車1も回転体40の上に管支持体50が設けられているため、新設管先方側基準点Pを既設管軸線L2と一致させることができ、新設管先方側基準点Pを既設管軸線L2と一致させられない従来の台車に比べて、断面積の大きな管を運搬することができる。
【0041】
本発明は、前記各実施形態の構造や形状に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない限りにおいて種々の変形、変更が可能である。
【0042】
ここまで説明してきたように、前記両実施形態の管運搬台車1は、管支持体50によって新設管Yを内面から支持するように構成されている。これは台車分のスペースを省略して可能な限り既設管Xの内径に近い新設管Yを設置できるようにするためである。
【0043】
また、前記各実施形態の管運搬台車1において、回転体40に支持されているのは管支持体50であって、新設管Yが直接支持されることはない。前述のとおり、更生工事で使用される管運搬台車1は新設管Yを内面側から支持するため、内面側から支持することができないターンテーブルのような構成は採用することができない。モノレール桁や鉄道車両の運搬車の中には、運搬対象物をターンテーブルなどで支持するものが知られているが、このような構成は、運搬対象物を外面側から支持するものであるから採用しうるのであって、本発明の管運搬台車1の構成としては採用しえない。
【0044】
(使用例1)
次に、本発明の管運搬台車1の使用例について説明する。前記両実施形態の管運搬台車1の基本的な使用方法は同様であるため、ここでは、前記実施形態1の管運搬台車1を一例として説明する。図5(a)は新設管Yを支える前の状態を示すものである。この状態から新設管Y内を通るように管運搬台車1を前進させ、前輪33が新設管Yを通過したところで停止させる(図5(b))。この状態で、伸縮体51を伸長させ当該伸縮体51の先端側の当接部52を新設管Yの内面に当接させ、そこからさらに伸縮体51を伸長させて新設管Yを持ち上げる(図5(c))。
【0045】
管支持体50で持ち上げられた新設管Yは、管運搬台車1の移動によって既設管X内の所定位置まで運搬される。このとき、図6(a)(b)のように、既設管Xの屈曲に合わせて可動体30の向きを変えるとともに、必要に応じて、回転部43よりも上側を台車本体10に対して回転させ、新設管Yの向きを新設管Yの延長方向中心における既設管Xの軸線方向と同じ方向となるようにすることで、新設管Yが既設管Xの内面に接触しないようにすることができる。
【0046】
以降、同様の要領で他の新設管Yを既設管X内に運び入れ、既設管X内で順次接続することで既設管Xの更生を行うことができる。
【0047】
なお、本発明の管運搬台車1の使用に際しては、図11に示すような補助具80を用いることができる。この補助具80は新設管Yに装着して使用するものである。一例として図11に示す補助具80は細長棒状の軸部81と当該軸部81の長手方向両端に設けられた当接体82を備えている。
【0048】
図11に示すように、軸部81は内管81aと内管81aの外側に被せられた外管81bを備えている。外管81bは内管81aの外側に被せられた状態で内管81aの長手方向にスライドさせることができる。この実施形態の内管81a及び外管81bは角パイプで構成されている。軸部81は補助具80を新設管Yに装着した際、当該新設管Yの内側にその内壁に沿うように配置される。
【0049】
内管81aには、外管81bとの連結用の連結ボルト83が挿通される貫通孔(以下「内管孔」という)81cが設けられている。内管81aの内面にはナット81dが固定されている。ナット81dは、その中央の孔が内管孔81cと連通する位置に固定されている。ナット81dは外管81bの外周に設けてもよいが、内側に設けることで、新設管Yの接触による傷つきを防止することができる。
【0050】
外管81bには、その長手方向に間隔をあけて複数の貫通孔(以下「外管孔」という)81eが設けられている。外管81bの任意の外管孔81eを内管孔81cの位置に合わせたのち、外管孔81e及び内管孔81cに挿通した連結ボルト83を内管81a内のナット81dに螺合することで、内管81aと外管81bを連結することができる。軸部81の長さは外管孔81eの選択によって変えることができる。
【0051】
内管81aの一端側及び外管81bの一端側には、それぞれ前記当接体82が設けられている。当接体82は、既設管Xの内面に当接して新設管Yの向きを変えるための部材である。この実施形態の当接体82は、取付け座82aとゴムキャスター82bを備えている。取付け座82aの取り付け面にはブラケット82cが突設され、そのブラケット82cにゴムキャスター82bが軸支されている。この実施形態では、ゴムキャスター82bを備えた当接体82を一例としているが、ゴムキャスターに代えて、接触しても既設管Xを傷つけない材料のキャスターを備えたものを用いることもできる。
【0052】
取付け座82aの反対側の面には、軸部81と協働して新設管Yの端部を保持する保持片82dが突設されている。保持片82dは鋼材でもよいが、滑り止め効果のあるゴム材などで構成することもできる。保持片82d自体を鋼製とし、その外周にゴム材などの滑り止め部材を設けることもできる。補助具80は、図12のように、新設管Yの左右両側に取り付けて使用することも、新設管Yの左右片側のみに取り付けて使用することもできる。
【0053】
補助具80を用いる場合、既設管X内を移動中に作業者が新設管Yの向きを変えなくても、新設管Yに装着した補助具80の当接体82が図12のように既設管Xの内面に当接したときに回転体40が回転し、新設管Yの向きが進行方向側を向くため、新設管Yのスムーズな運搬が可能である。また、作業者の手間の削減や作業時間の短縮を図ることができる。
【0054】
図11に示す例では、軸部81の長手方向両端に当接体82が設けられた場合を一例としているが、当接体82は長手方向一端側だけに設けることもできる。この場合、補助具80は、当接体82が進行方向前方側に位置するように装着すればよい。
【0055】
図11に示す例では、軸部81の長手方向両端に当接体82が設けられた補助具80を一例としているが、補助具80の構成はこれ以外であってもよい。たとえば、図13に示すように、軸部81のない補助具80を新設管Yの先端側と後端側のそれぞれに取り付けて使用することができる。
【0056】
図13に示す各補助具80は、取付け座82aとゴムキャスター82bを備えている。取付け座82aの取り付け面にはブラケット82cが突設され、そのブラケット82cにゴムキャスター82bが軸支されている。
【0057】
取付け座82aの反対側の面には、新設管Yの端部を保持する保持片82d、82eが突設されている。保持片82d、82eは鋼材でもよいが、滑り止め効果のあるゴム材などで構成することもできる。保持片82d、82e自体を鋼製とし、その外周にゴム材などの滑り止め部材を設けることもできる。補助具80は、図13のように、新設管Yの左右両側に取り付けて使用することも、新設管Yの左右片側のみに取り付けて使用することもできる。
【0058】
図11に示す補助具80を用いる場合と同様、図13に示す補助具80を用いる場合も、既設管X内を移動中に作業者が新設管Yの向きを変えなくても、新設管Yに装着した補助具80の当接体82が既設管Xの内面に当接したときに回転体40が回転し、新設管Yの向きが進行方向側を向くため、新設管Yのスムーズな運搬が可能である。また、作業者の手間の削減や作業時間の短縮を図ることができる。
【0059】
なお、補助具80は必要に応じて必要な数を使用すればよく、不要な場合には補助具80なしで新設管Yを運搬することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の管運搬台車1は、各種管部材の運搬に用いることができ、特に、既設管X内での新設管Yの運搬に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 管運搬台車
10 台車本体
11 胴体部
11a 連結部
11b 本体側ブラケット
11d 収納庫
12 補助部
13 補助輪
14 油圧シリンダ
15 アクチュエータ
16 孔あきフランジ
20 駆動車
21 駆動車本体
22 車輪
23 ハンドル
30 可動体
31 可動体本体
31a 連結部
31b 可動体側ブラケット
32 前脚部
33 前輪
34 油圧ハンドル
35 乗り上げ手段
35a 油圧シリンダ
35b 乗り上げ車輪
35c ガイド部
35d スプリング
36 作業椅子
36a 座フレーム
36b 座部
36c 縦材
36d 横材
36e 支持材
40 回転体
41 固定部
42 回転機構
43 回転部
44 主回転機構
45 中央回転機構
45a 環状枠
45b スチールボール(中央ボール)
45c 内リング
45d 外リング
45e 収容部(中央収容部)
46 前方側回転機構
46a アーチ状枠(前方アーチ枠)
46b スチールボール(前方ボール)
46c 内アーチ部
46d 外アーチ部
46e 側板
46f 収容部(前方収容部)
47 後方側回転機構
47a アーチ状枠(後方アーチ枠)
47b スチールボール(後方ボール)
47c 内アーチ部
47d 外アーチ部
47e 側板
47f 収容部(後方収容部)
48 連結具
50 管支持体
51 伸縮体(油圧ジャッキ)
52 当接部
53 伸縮体ガイド
60 連結具
70 連結軸
80 補助具
81 軸部
81a 内管
81b 外管
81c 貫通孔(内管孔)
81d ナット
81e 貫通孔(外管孔)
82 当接体
82a 取付け座
82b ゴムキャスター
82c ブラケット
82d 保持片
82e 保持片
83 連結ボルト
90 周方向回転手段
91 油圧シリンダ(伸縮手段)
92 回転車輪
93 揚重機
94 クランプ(管保持具)
L1 新設管軸線
L2 既設管軸線
P 新設管先方側基準点
X 鋼管(既設管)
Y 鋼管(新設管)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2021-08-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設管内での新設管の運搬に用いる管運搬台車に関する。
【背景技術】
【0002】
老朽化した既設管を更生する方法として、既設管内に新設管を設置する方法(いわゆるパイプインパイプ工法)が知られている。この工法では、既設管内に新設管を運び入れ、それら新設管を既設管内で接合することで既設管の更生を行う。
【0003】
従来、既設管内での新設管の運搬に用いる台車として、台車本体の前方に進行方向を変えるためのガイド車輪を備えたもの(特許文献1)が提案されている。この台車にはガイド車輪を操作するためのハンドルが設けられ、そのハンドルの操作によってガイド車輪を左右に動かすことで台車の進行方向を変えることができる。
【0004】
前記特許文献1の台車のほか、既設管内での新設管の運搬に用いる台車として、前後がリフト付き電池電動車と操向台車に固定された長尺の主梁に、管材を内面から支承する一対のジャッキが立設されたもの(特許文献2)が提案されている。この台車のジャッキは管材の幅方向にスライド可能なスライド板上に載置され、当該スライド板のスライドによってジャッキで支承された管材を横移動させられるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-99352号公報
【特許文献2】特開昭61-204499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記特許文献1記載の台車では、向きを変えられるのは台車だけであり、支持した新設管の向きを変えることができないため、屈曲した既設管内を移動する場合には、台車の進行方向を変えても既設管内で新設管が引っ掛かり、運搬が困難な場合がある。
【0007】
また、前記特許文献2の台車では、支承した管材を横移動させることはできても、その管材の向きを既設管の向きに合わせることはできないため、急曲線部を運搬するのには依然として困難が伴う。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、既設管が直線状の場合のみならず、屈曲している場合でも新設管をスムーズに運搬することのできる管運搬台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の管運搬台車は既設管内での新設管の運搬に用いる台車である。本発明の管運搬台車は、台車本体と、当該台車本体の進行方向前方側に首ふり可能に設けられた可動体と、当該台車本体の進行方向後方側に設けられた駆動車を備えている。台車本体の上面側水平方向に回転可能な回転体が設けられ、その回転体新設管の内面に当接して当該新設管をその内面側から支持する管支持体がれている。管支持体は、回転体の回転に伴って当該回転体と同方向に回転するようにしてある。
【発明の効果】
【0010】
本発明の管運搬台車では、新設管を支持する管支持体が水平方向に回転可能な回転体に設置され、新設管の向きを既設管の形状に合わせて変更することができるため、既設管が屈曲していても、新設管をスムーズに運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の管運搬台車の一例を示すものであって、(a)は新設管を持ち上げる前の状態の説明図、(b)は(a)の新設管を持ち上げた状態の説明図。
図2】(a)は図1に示す管運搬台車の正面図、(b)は(a)の平面図、(c)は(a)の左側面図。
図3】(a)は回転体の一例を示す斜視説明図、(b)は(a)の平面図。
図4】(a)は図3(a)のIVa-IVa断面図、(b)は図3(b)のIVb-IVb断面図。
図5】(a)~(c)は図1に示す管運搬台車での新設管の支持手順説明図。
図6】(a)(b)は図1に示す管運搬台車を用いて屈曲した既設管内に新設管を運搬する場合の説明図。
図7】新設管を回転させる前後における新設管軸線と既設管軸線の関係を示す説明図。
図8】本発明の管運搬台車の他例を示すものであって、(a)は周方向回転手段を下げた状態の説明図、(b)は(a)の周方向回転手段を上げた状態の説明図。
図9】(a)は図8(b)の管運搬台車の正面図、(b)は(a)の左側面図、(c)は(a)の右側面図。
図10】(a)は揚重機で新設管を保持した状態の説明図、(b)は新設管を周方向に回転させた状態の説明図。
図11】補助具の一例を示す説明図。
図12図11の補助具の使用状態の説明図。
図13】補助具の他例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
本発明の管運搬台車1の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。本発明の管運搬台車1は各種管部材の運搬に用いることができるが、ここでは、水力発電設備や下水道設備などの用途で設置された直径1800mm(R900)の鋼管(以下「既設管」という)X内に、直径1300mm(R650)の鋼管(以下「新設管」という)Yを運搬する場合を一例として説明する。
【0013】
一例として図1(a)(b)に示す管運搬台車1は、台車本体10と、駆動車20と、可動体30と、回転体40と、管支持体50を備えている。駆動車20は連結具60(図2(a)(b)参照)を介して台車本体10の進行方向後方側に、可動体30は連結軸70を介して台車本体10の進行方向前方側に連結されている。回転体40は台車本体10の上面側に設置され、管支持体50はその回転体40の上面側に立設されている。以下、前記各構成について説明する。なお、本願では、可動体30を先頭にして進行する方向を前方といい、可動体30を先頭に退行する方向を後方という。
【0014】
前記台車本体10は管運搬台車1のベースとなる部分であり、前後方向に縦長の胴体部11と、胴体部11の後端側に設けられた補助部12と、補助部12に設けられた補助輪13を備えている。補助輪13は油圧シリンダ14によって上下動するようにしてある。既設管Xの形状や運搬時の角度によっては補助輪13が邪魔になることがあるが、油圧シリンダ14によって補助輪13を引き上げることでこの問題を解消することができる。補助輪13は必要に応じて設ければよく、不要な場合には省略することができる。なお、説明の便宜上、図面では簡略化しているが、胴体部11及び補助部12は複数の角型鋼管などを組み合わせて構成されている。
【0015】
胴体部11の先方側(可動体30側)には、連結軸70を挿通するための連結部11aが設けられている。また、胴体部11の可動体30側には、幅方向両外側に向けて本体側ブラケット11bが突設されている。各本体側ブラケット11bには、可動体30を動作(首振り)させるための伸縮式のアクチュエータ15が設置されている。この実施形態では、アクチュエータ15として油圧シリンダを用いている。各油圧シリンダの他端側は、可動体30の後端側(台車本体10側)に突設された可動体側ブラケット31bに固定されている。
【0016】
胴体部11と可動体30の間に設けられた両アクチュエータ15は、同期して動作するようにしてある。具体的には、一方のアクチュエータ15が伸長した場合には、他方のアクチュエータ15が収縮するようにして、可動体30の向きを変えられるようにしてある。この実施形態では連結部11aの幅方向両外側に一本ずつアクチュエータ15を設ける場合を一例としているが、アクチュエータ15はいずれか一方側にのみ設けることもできる。アクチュエータ15は、片側に二本以上設けることもできる。
【0017】
前記駆動車20は管運搬台車1の駆動源である。一例として図1(a)(b)及び図2(a)~(c)に示す駆動車20は、2.5tまで牽引可能な既存のバッテリー駆動車であり、バッテリー(図示しない)が搭載された駆動車本体21と、駆動車本体21の下端側に設けられた左右の車輪22と、駆動車本体21の上方に設けられたハンドル23を備えている。駆動車20にはエンジン駆動車など、バッテリー駆動車以外のものを用いることもできる。
【0018】
前記可動体30は管運搬台車1の進行方向を変更するための部材である。一例として図1(a)(b)及び図2(a)~(c)に示す可動体30は、可動体本体31と、可動体本体31から下向きに突設された前脚部32と、前脚部32に設置された左右の前輪33と、両前輪33間に設けられた油圧ハンドル34を備えている。説明の便宜上、図面では簡略化しているが、可動体本体31及び前脚部32は複数の角型鋼管などを組み合わせて構成されている。
【0019】
可動体本体31のうち台車本体10側には、連結軸70を挿通可能な連結部31aが設けられている。また、可動体本体31の台車本体10側には、後方側に向けて可動体側ブラケット31bが突設されている。各可動体側ブラケット31bには、台車本体10の前端側に設けられたアクチュエータ15の他端側が固定されている。この実施形態のように台車本体10と可動体30を連結軸70で連結することにより、可動体30が台車本体10に当たらずに広角に動かすことができるため、急曲線部もスムーズに移動することができる。
【0020】
前記回転体40は管支持体50を回転可能に支持する部材である。この実施形態では、回転体40としてターンテーブルを用いている。回転体40は、駆動車20や可動体30の動作とは関係なく(駆動車20や可動体30の動きと連動することなく)、独立して回転させられるようにしてある。一例として図3(a)(b)に示すターンテーブルは、胴体部11に固定される固定部41と、当該固定部41の上面側に配置された回転機構42と、当該回転機構42の上面側に配置された回転部43を備えている。
【0021】
この実施形態の固定部41及び回転部43は平板であり、両者の間に回転機構42が設けられている。この実施形態では、回転機構42として、固定部41の中心に配置された主回転機構44と、主回転機構44の外周に配置された中央回転機構45と、中央回転機構45の前方側に配置された前方側回転機構46と、中央回転機構45の後方側に配置された後方側回転機構47を用いている。
【0022】
前記主回転機構44は、回転部43を回転させる機構である。この実施形態では、主回転機構44として、スラストベアリング(スラスト玉軸受け)を用いている。主回転機構44はスラストベアリング以外であってもよい。
【0023】
前記中央回転機構45は、主回転機構44の外周に沿って配置される回転機構であり、回転部43の回転を補助するための機構である。一例として図3(a)(b)に示す中央回転機構45は、環状枠45aと複数のスチールボール(以下「中央ボール」という)45bを備えている。この実施形態の環状枠45aは、平鋼を曲げて形成された径の異なる内リング45cと外リング45dを備えている。内リング45cと外リング45dの間には中央ボール45bを収容可能な収容部(以下「中央収容部」という)45eが確保されている。中央ボール45bは、上部が環状枠45aの上端部よりも上側に突出するように中央収容部45eに配置されている。中央ボール45bは、中央収容部45e内で自由に回転できるようにしてある。
【0024】
前記前方側回転機構46は、アーチ状枠(以下「前方アーチ枠」という)46aと、複数のスチールボール(以下「前方ボール」という)46bを備えている。この実施形態の前方アーチ枠46aは平鋼を曲げて形成した内アーチ部46cと外アーチ部46dを備えている。内アーチ部46cと外アーチ部46dの長手方向両端は側板46eで閉塞されている。内アーチ部46c、外アーチ部46d及び側板46eの内側には、前方ボール46bを収容可能な収容部(以下「前方収容部」という)46fが確保されている。図4(b)に示すように、前方ボール46bは、上部が前方アーチ枠46aの上端部よりも上側に突出するように前方収容部46fに配置されている。前方ボール46bは、前方収容部46f内で自由に回転できるようにしてある。
【0025】
前記後方側回転機構47は、前方側回転機構46と同様、アーチ状枠(以下「後方アーチ枠」という)47aと、複数のスチールボール(以下「後方ボール」という)47bを備えている。この実施形態の後方アーチ枠47aは平鋼を曲げて形成した内アーチ部47cと外アーチ部47dを備えている。内アーチ部47cと外アーチ部47dの長手方向両端は側板47eで閉塞されている。内アーチ部47c、外アーチ部47d及び側板47eの内側には、後方ボール47bを収容可能な収容部(以下「後方収容部」という)47fが確保されている。後方ボール47bは、上部が後方アーチ枠47aの上端部よりも上側に突出するように後方収容部47fに配置されている(図4(b)参照)。後方ボール47bは、後方収容部47f内で自由に回転できるようにしてある。
【0026】
この実施形態では、スラストベアリング44の軸軌道盤(上側の回転盤)、前方ボール46b及び後方ボール47bは、それらの上に配置される回転部43が平行になるように、上部が同じ高さとなるようにしてある。固定部41と回転部43は、回転機構42が両者間に配置された状態で、連結具48によって連結されている。この実施形態の回転体40の構成は一例であり、回転体40の構成はこれ以外であってもよい。たとえば、回転機構42は主回転機構44のみで構成することもできる。
【0027】
前記管支持体50は、新設管Yを支持する部材である。図1(a)(b)及び図2(a)~(c)に示すように、管支持体50は回転体40の上面に立設され、回転体40の回転に伴って同方向に回転するようにしてある。
【0028】
一例として図1(a)(b)に示す管支持体50は、伸縮体51と当該伸縮体51の先端に設けられた当接部52を備えている。この実施形態では、伸縮体51として二台の油圧ジャッキを用いている。二台のうち一台は回転体40の上面の前端寄りの位置に、他の一台は回転体40の上面の後端寄りの位置に設けられている。各油圧ジャッキ51の両外側には、油圧ジャッキ51の伸縮をガイドする伸縮体ガイド53が設けられている。伸縮体51には図示しないオイルタンクや電動ポンプなどが接続され、これら機器によって動作するようにしてある。伸縮体51を動作させる各機器は、胴体部11の上面及び底面に設置された収納庫11d内に収納されている。
【0029】
前記当接部52は新設管Yの内面に当接して新設管Yを支持するものである。この実施形態の当接部52は鋼製のブロックである。当接部52の上面は、新設管Yの内面に密接するように弧状にしてある。当接部52はゴム製や樹脂製など、鋼製以外であってもよい。
【0030】
本実施形態の管運搬台車1では、アクチュエータ15を伸縮させて可動体30を左右に(水平方向に)首ふりさせることで、左右に進行方向を変えることができる。また、管支持体50で支持された新設管Yを動かすことで、回転体40上の管支持体50を水平方向に回転させることができ、これにより、管支持体50で支持された新設管Yの向きを変えることができる。
【0031】
このように、本実施形態の管運搬台車1では、可動体30の首ふりによって管運搬台車1の進行方向を変えられるとともに、管支持体50の回転によって新設管Y自体の向きを変えることもできるため、既設管Xが屈曲していても新設管Yをスムーズに運搬することができる。
【0032】
また、図7に示すように、本発明の管運搬台車1のように管支持体50が回転体40の上に設けられているため、新設管Yの中心軸線(以下「新設管軸線」という)L1の進行方向先方側を既設管の中心軸線(以下「既設管軸線」という)L2と一致させる、言い換えれば、新設管軸線L1の進行方向先方側のポイント(以下「新設管先方側基準点」という)Pを既設管軸線L2の上に重なるようにすることができ、新設管先方側基準点Pを既設管軸線L2の上に重ねられない従来の台車に比べて、断面積の大きな管を運搬することができる。
【0033】
(実施形態2)
本発明の管運搬台車1の実施形態の他例を、図面を参照して説明する。この実施形態の管運搬台車1の基本的な構成は、実施形態1の管運搬台車1と同様である。異なるのは、回転体40の上面に周方向回転手段90が設けられていること、胴体部11に鋼管回転用の揚重機93が設けられていること、可動体30の先方側に乗り上げ手段35及び作業椅子36が設けられていることである。以下、実施形態1と異なる事項を中心に説明し、実施形態1と共通する事項については、説明を適宜省略する。
【0034】
前記周方向回転手段90は、新設管Yを周方向に回転させるための手段である。一例として図8(a)(b)及び図9(a)~(c)に示す周方向回転手段90は、油圧シリンダ(伸縮手段)91と油圧シリンダ91のロッドトップに設けられた回転車輪92を備えている。この実施形態では、周方向回転手段90が両管支持体50の間に間隔をあけて二台設けられている。両回転車輪92は、新設管Yの長手方向に交差(直交)する向きに回転するようにしてある。周方向回転手段90は二台より多くても少なくてもよい。
【0035】
両周方向回転手段90の油圧シリンダ91を伸長させて回転車輪92で新設管Yの内面を押し上げることによって新設管Y支持することができ、油圧シリンダ91を収縮させて回転車輪92を新設管Yの内面から離すことによって新設管Yの支持を解除することができる。なお、図示は省略しているが、各周方向回転手段90の側方には、油圧シリンダ91をガイドするガイド手段を設けることもできる。
【0036】
前記揚重機93は、周方向回転手段90と協働して新設管Yを周方向に回転させるための手段である。この実施形態では、揚重機93としてレバーブロック(登録商標。以下同じ。)を用いている。揚重機93にはレバーブロック以外のチェーンブロックを用いることもできる。この実施形態の揚重機93は、一端側が胴体部11に横向きに突設された孔あきフランジ16に固定されている。揚重機93の他端側には、新設管Yの端部を保持するクランプ(管保持具)94が設けられている。この実施形態では、胴体部11の左右に一体ずつ揚重機93が設けられている。各揚重機93のクランプ94は、不使用時には孔あきフランジ16に引掛けておくことができる。
【0037】
新設管Yの運搬中には走行時の振動や曲がる際に働く遠心力によって周方向に回転することがある。この場合、図10(a)(b)に示すように、両周方向回転手段90の回転車輪92で新設管Yを支持するとともに、両揚重機93で新設管Yを保持した状態で、揚重機93を操作することで、新設管Yを周方向に回転させることができる。より具体的には、一方(図示する例では左側)の揚重機93を巻き上げるのと同時に、他方(図示する例では左側)の揚重機93を緩めることで、新設管Yを周方向に回転させることができる。このとき、新設管Yは、新設管Yの長手方向に直交する向きに回転する回転車輪92で支持されているため、周方向への回転をスムーズに行うことができる。
【0038】
前記乗り上げ手段35は、運搬する新設管Yや先に設置された新設管Yに乗り上げる際に、管運搬台車1の車高を調整するための手段である。この実施形態の乗り上げ手段35は、油圧シリンダ35aと、油圧シリンダ35aのロッドトップに設けられた乗り上げ車輪35bと、油圧シリンダ35aをガイドするガイド部35cを備えている。油圧シリンダ35aの両外側には、伸長した油圧シリンダ35aを収縮状態に復帰するのをサポートするスプリング35dが設けられている。両スプリング35dは収縮方向に付勢されている。
【0039】
前記作業椅子36は、新設管Yの運搬時に作業者が使用するものである。一例として図8(a)(b)及び図9(a)に示す作業椅子36は、座フレーム36aと当該座フレーム36aに設けられた座部36bを備えている。この実施形態の座フレーム36aは間隔をあけて配置された二本の縦材36cと両縦材36cの間に架設された横材36dを備えている。両縦材36cの下端側は可動体本体31に回転可能に軸支され、使用時には展開し、不使用時には起立させられるようにしてある。両縦材36cの回転軸側には、使用時に接地して座部36bを支持する支持材36eが突設されている。作業椅子36は必要に応じて設ければよく、不要な場合には省略することができる。
【0040】
実施形態1の管運搬台車1と同様、本実施形態の管運搬台車1も可動体30の首ふりによって管運搬台車1の進行方向を変えられるとともに、管支持体50の回転によって新設管Y自体の向きを変えることもできるため、既設管Xが屈曲していても新設管Yをスムーズに運搬することができる。また、本実施形態の管運搬台車1も回転体40の上に管支持体50が設けられているため、新設管先方側基準点Pを既設管軸線L2と一致させることができ、新設管先方側基準点Pを既設管軸線L2と一致させられない従来の台車に比べて、断面積の大きな管を運搬することができる。
【0041】
本発明は、前記各実施形態の構造や形状に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない限りにおいて種々の変形、変更が可能である。
【0042】
ここまで説明してきたように、前記両実施形態の管運搬台車1は、管支持体50によって新設管Yを内面から支持するように構成されている。これは台車分のスペースを省略して可能な限り既設管Xの内径に近い新設管Yを設置できるようにするためである。
【0043】
また、前記各実施形態の管運搬台車1において、回転体40に支持されているのは管支持体50であって、新設管Yが直接支持されることはない。前述のとおり、更生工事で使用される管運搬台車1は新設管Yを内面側から支持するため、内面側から支持することができないターンテーブルのような構成は採用することができない。モノレール桁や鉄道車両の運搬車の中には、運搬対象物をターンテーブルなどで支持するものが知られているが、このような構成は、運搬対象物を外面側から支持するものであるから採用しうるのであって、本発明の管運搬台車1の構成としては採用しえない。
【0044】
(使用例1)
次に、本発明の管運搬台車1の使用例について説明する。前記両実施形態の管運搬台車1の基本的な使用方法は同様であるため、ここでは、前記実施形態1の管運搬台車1を一例として説明する。図5(a)は新設管Yを支える前の状態を示すものである。この状態から新設管Y内を通るように管運搬台車1を前進させ、前輪33が新設管Yを通過したところで停止させる(図5(b))。この状態で、伸縮体51を伸長させ当該伸縮体51の先端側の当接部52を新設管Yの内面に当接させ、そこからさらに伸縮体51を伸長させて新設管Yを持ち上げる(図5(c))。
【0045】
管支持体50で持ち上げられた新設管Yは、管運搬台車1の移動によって既設管X内の所定位置まで運搬される。このとき、図6(a)(b)のように、既設管Xの屈曲に合わせて可動体30の向きを変えるとともに、必要に応じて、回転部43よりも上側を台車本体10に対して回転させ、新設管Yの向きを新設管Yの延長方向中心における既設管Xの軸線方向と同じ方向となるようにすることで、新設管Yが既設管Xの内面に接触しないようにすることができる。
【0046】
以降、同様の要領で他の新設管Yを既設管X内に運び入れ、既設管X内で順次接続することで既設管Xの更生を行うことができる。
【0047】
なお、本発明の管運搬台車1の使用に際しては、図11に示すような補助具80を用いることができる。この補助具80は新設管Yに装着して使用するものである。一例として図11に示す補助具80は細長棒状の軸部81と当該軸部81の長手方向両端に設けられた当接体82を備えている。
【0048】
図11に示すように、軸部81は内管81aと内管81aの外側に被せられた外管81bを備えている。外管81bは内管81aの外側に被せられた状態で内管81aの長手方向にスライドさせることができる。この実施形態の内管81a及び外管81bは角パイプで構成されている。軸部81は補助具80を新設管Yに装着した際、当該新設管Yの内側にその内壁に沿うように配置される。
【0049】
内管81aには、外管81bとの連結用の連結ボルト83が挿通される貫通孔(以下「内管孔」という)81cが設けられている。内管81aの内面にはナット81dが固定されている。ナット81dは、その中央の孔が内管孔81cと連通する位置に固定されている。ナット81dは外管81bの外周に設けてもよいが、内側に設けることで、新設管Yの接触による傷つきを防止することができる。
【0050】
外管81bには、その長手方向に間隔をあけて複数の貫通孔(以下「外管孔」という)81eが設けられている。外管81bの任意の外管孔81eを内管孔81cの位置に合わせたのち、外管孔81e及び内管孔81cに挿通した連結ボルト83を内管81a内のナット81dに螺合することで、内管81aと外管81bを連結することができる。軸部81の長さは外管孔81eの選択によって変えることができる。
【0051】
内管81aの一端側及び外管81bの一端側には、それぞれ前記当接体82が設けられている。当接体82は、既設管Xの内面に当接して新設管Yの向きを変えるための部材である。この実施形態の当接体82は、取付け座82aとゴムキャスター82bを備えている。取付け座82aの取り付け面にはブラケット82cが突設され、そのブラケット82cにゴムキャスター82bが軸支されている。この実施形態では、ゴムキャスター82bを備えた当接体82を一例としているが、ゴムキャスターに代えて、接触しても既設管Xを傷つけない材料のキャスターを備えたものを用いることもできる。
【0052】
取付け座82aの反対側の面には、軸部81と協働して新設管Yの端部を保持する保持片82dが突設されている。保持片82dは鋼材でもよいが、滑り止め効果のあるゴム材などで構成することもできる。保持片82d自体を鋼製とし、その外周にゴム材などの滑り止め部材を設けることもできる。補助具80は、図12のように、新設管Yの左右両側に取り付けて使用することも、新設管Yの左右片側のみに取り付けて使用することもできる。
【0053】
補助具80を用いる場合、既設管X内を移動中に作業者が新設管Yの向きを変えなくても、新設管Yに装着した補助具80の当接体82が図12のように既設管Xの内面に当接したときに回転体40が回転し、新設管Yの向きが進行方向側を向くため、新設管Yのスムーズな運搬が可能である。また、作業者の手間の削減や作業時間の短縮を図ることができる。
【0054】
図11に示す例では、軸部81の長手方向両端に当接体82が設けられた場合を一例としているが、当接体82は長手方向一端側だけに設けることもできる。この場合、補助具80は、当接体82が進行方向前方側に位置するように装着すればよい。
【0055】
図11に示す例では、軸部81の長手方向両端に当接体82が設けられた補助具80を一例としているが、補助具80の構成はこれ以外であってもよい。たとえば、図13に示すように、軸部81のない補助具80を新設管Yの先端側と後端側のそれぞれに取り付けて使用することができる。
【0056】
図13に示す各補助具80は、取付け座82aとゴムキャスター82bを備えている。取付け座82aの取り付け面にはブラケット82cが突設され、そのブラケット82cにゴムキャスター82bが軸支されている。
【0057】
取付け座82aの反対側の面には、新設管Yの端部を保持する保持片82d、82eが突設されている。保持片82d、82eは鋼材でもよいが、滑り止め効果のあるゴム材などで構成することもできる。保持片82d、82e自体を鋼製とし、その外周にゴム材などの滑り止め部材を設けることもできる。補助具80は、図13のように、新設管Yの左右両側に取り付けて使用することも、新設管Yの左右片側のみに取り付けて使用することもできる。
【0058】
図11に示す補助具80を用いる場合と同様、図13に示す補助具80を用いる場合も、既設管X内を移動中に作業者が新設管Yの向きを変えなくても、新設管Yに装着した補助具80の当接体82が既設管Xの内面に当接したときに回転体40が回転し、新設管Yの向きが進行方向側を向くため、新設管Yのスムーズな運搬が可能である。また、作業者の手間の削減や作業時間の短縮を図ることができる。
【0059】
なお、補助具80は必要に応じて必要な数を使用すればよく、不要な場合には補助具80なしで新設管Yを運搬することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の管運搬台車1は、各種管部材の運搬に用いることができ、特に、既設管X内での新設管Yの運搬に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 管運搬台車
10 台車本体
11 胴体部
11a 連結部
11b 本体側ブラケット
11d 収納庫
12 補助部
13 補助輪
14 油圧シリンダ
15 アクチュエータ
16 孔あきフランジ
20 駆動車
21 駆動車本体
22 車輪
23 ハンドル
30 可動体
31 可動体本体
31a 連結部
31b 可動体側ブラケット
32 前脚部
33 前輪
34 油圧ハンドル
35 乗り上げ手段
35a 油圧シリンダ
35b 乗り上げ車輪
35c ガイド部
35d スプリング
36 作業椅子
36a 座フレーム
36b 座部
36c 縦材
36d 横材
36e 支持材
40 回転体
41 固定部
42 回転機構
43 回転部
44 主回転機構
45 中央回転機構
45a 環状枠
45b スチールボール(中央ボール)
45c 内リング
45d 外リング
45e 収容部(中央収容部)
46 前方側回転機構
46a アーチ状枠(前方アーチ枠)
46b スチールボール(前方ボール)
46c 内アーチ部
46d 外アーチ部
46e 側板
46f 収容部(前方収容部)
47 後方側回転機構
47a アーチ状枠(後方アーチ枠)
47b スチールボール(後方ボール)
47c 内アーチ部
47d 外アーチ部
47e 側板
47f 収容部(後方収容部)
48 連結具
50 管支持体
51 伸縮体(油圧ジャッキ)
52 当接部
53 伸縮体ガイド
60 連結具
70 連結軸
80 補助具
81 軸部
81a 内管
81b 外管
81c 貫通孔(内管孔)
81d ナット
81e 貫通孔(外管孔)
82 当接体
82a 取付け座
82b ゴムキャスター
82c ブラケット
82d 保持片
82e 保持片
83 連結ボルト
90 周方向回転手段
91 油圧シリンダ(伸縮手段)
92 回転車輪
93 揚重機
94 クランプ(管保持具)
L1 新設管軸線
L2 既設管軸線
P 新設管先方側基準点
X 鋼管(既設管)
Y 鋼管(新設管)
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設管内での新設管の運搬に用いる管運搬台車において、
台車本体と、当該台車本体の進行方向前方側に首ふり可能に設けられた可動体と、当該台車本体の進行方向後方側に設けられた駆動車を備え、
前記台車本体の上面側水平方向に回転可能な回転体が設けられ、
前記回転体前記新設管の内面に当接して当該新設管をその内面側から支持する管支持体が立設され、
前記管支持体は、前記回転体の回転に伴って当該回転体と同方向に回転する、
ことを特徴とする管運搬台車。
【請求項2】
請求項1記載の管運搬台車において、
回転体は駆動車及び可動体と連動することなく独立して回転可能である、
ことを特徴とする管運搬台車。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の管運搬台車において、
回転体は、管支持体で支持された新設管の新設管先方側基準点が既設管の中心軸線上に合うように水平方向に回転する、
ことを特徴とする管運搬台車。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の管運搬台車において、
可動体は連結軸を介して水平方向に首ふり可能に台車本体に連結された、
ことを特徴とする管運搬台車。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の管運搬台車において、
回転体に新設管を周方向に回転させるための周方向回転手段が設けられ、
前記周方向回転手段は、高さ方向に伸縮可能な伸縮手段と当該伸縮手段の上端に設けられた回転車輪を備え、
前記回転車輪は前記新設管の長手方向に交差する向きで設けられた、
ことを特徴とする管運搬台車。
【請求項6】
請求項5記載の管運搬台車において、
台車本体に新設管を周方向に回転させるための揚重機が設けられ、
前記揚重機は前記新設管の端部を保持する管保持具を備え、
前記新設管が周方向回転手段で支持されるとともに当該新設管の端部が前記管保持具で保持された状態で前記揚重機を操作することによって、当該新設管が周方向に回転する、
ことを特徴とする管運搬台車。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の管運搬台車において、
可動体と台車本体の間にアクチュエータが設けられ、
前記可動体は前記アクチュエータによって水平方向に首ふり可能である、
ことを特徴とする管運搬台車。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の管運搬台車において、
管支持体は高さ方向に伸縮可能であり、
前記管支持体が伸長することによって新設管が持ち上がり、
前記管支持体が収縮することによって新設管が接地する、
ことを特徴とする管運搬台車。