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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162497
(43)【公開日】2022-10-24
(54)【発明の名称】エレベータロープ制振装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/06 20060101AFI20221017BHJP
   B66B 5/02 20060101ALI20221017BHJP
   F16F 15/126 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
B66B7/06 H
B66B5/02 P
F16F15/126 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021089614
(22)【出願日】2021-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】595116902
【氏名又は名称】大亦 絢一郎
(71)【出願人】
【識別番号】521227654
【氏名又は名称】安部 貴
(72)【発明者】
【氏名】大亦 絢一郎
【テーマコード(参考)】
3F304
3F305
【Fターム(参考)】
3F304BA07
3F304BA08
3F304CA04
3F304EA01
3F304EA21
3F305BB02
3F305BC25
3F305BC26
3F305BC31
(57)【要約】
【課題】 長周期地震動によるエレベータロープの平面内任意方向の共振を、ロープの長さに関係なく、効率よく抑制できるような制振装置及び制振システムを提供すること。
【解決手段】 エレベータの乗りかごの上部及び下部にX-Yテーブル装置を設置し、そのX方向移動体とY方向移動体の動きを停止させるための複数個のストッパ、及びこれらのストッパを解除又は作動させるための複数個のモータを装備した。又、エレベータ昇降路側壁の複数箇所にエレベータロープの共振を感知するための相対変位測定装置を設置し、ロープの共振を感知した時は、制御装置によりモータにストッパ解除の指令を出すように構成した。この解除指令により、ロープ取付け部は固定の状態から自由の状態に変化し、ロープの振動モードと固有振動数が変化して、ロープは共振状態から脱することになる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ乗りかごの上部及び下部にX-Yテーブル装置を設置し、前記X-Yテーブル装置のX方向移動体及びY方向移動体の動きを停止させるための複数個のストッパと、これらストッパを解除又は作動させるための複数個のステッピングモータとを備えた制振装置、並びに
ロープの共振を検知するために昇降路側壁に設置した複数個の相対変位測定装置、及びステッピングモータに解除又は作動の指令を発信するための制御装置を装備したことを特徴とする、エレベータロープ制振システム。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベータロープ制振システムにおいて、釣合い重りの上部及び下部に、粘弾性体を用いた回転型防振装置を設置したことを特徴とする、エレベータロープ制振システム。
【請求項3】
請求項1に記載のエレベータロープ制振装置を、乗りかごのみならず、釣合い重りの上部及び下部にも設置し、釣合い重り昇降路にも相対変位測定装置及び制御装置を設置したことを特徴とする、エレベータロープ制振システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータロープの制振装置に係わり、特に水平面内任意方向から到来する長周期地震動を受けて、高層ビル内のエレベータロープが任意方向に共振しようとする時に、その共振を抑制するための制振装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2011年3月の東日本大震災発生時に、東京新宿の高層建物が大きく揺れたことは、テレビや新聞で大々的に報道された。この揺れは、東日本大震災時の地震波に含まれていた長周期成分(周期が2秒以上のゆっくりとした成分)が新宿まで伝わり、それによって同じ固有周期成分を持つ高層建物が共振したためである。
【0003】
又、地震波の長周期成分によって、高層ビル内のエレベータのロープが共振し、壁やロープに被害を与えたことは、東日本大震災以前にも知られていた。
長周期地震動による高層ビル内のエレベータロープの共振を抑制しようとする試みは、特に阪神大震災(1995年1月)以降に少しずつ増え、東日本大震災以降は、色々な提案がなされている。
【0004】
エレベータロープ(以下では、単にロープと呼ぶ)の制振方法は、大きく2種類に分類される。一方は、何らかの手段により、ロープの中間部で振動拘束棒又はローラをロープに接触させ、ロープが振動しないように押し付ける方法である。他方は、センサによってロープの共振を感知し、ロープの上部又は下部(即ち、上部の巻上機設置台又は下部の滑車設置台)を、共振を打ち消す方向に揺すって、ロープの振動を抑制する方法である。
【0005】
センサにより高層建物の振動を感知し、ロープの中間部に振動抑止棒を進展させてロープに接触させ、ロープの振動を抑止する制振装置としては、下記の特許文献1が知られている。又、ロープの中間部にローラを押し付けてロープの振動を抑止すると共に、ローラの押し付け位置を機構的に変化させることができる制振装置としては、下記の特許文献2が知られている。
【0006】
又、ロープの上部を、アクチュエータにより、建物の振動方向とは逆方向に揺すって、ロープの振動を抑制する制振装置としては、下記の特許文献3が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平06-156932号公報
【特許文献2】特開2007-119131号公報
【特許文献3】特開2015-093750号公報
【0008】
上記特許文献1の制振装置(振動防止装置と称している)は、平時には、エレベータ昇降路の側壁に取り付けられている。地震によって建物に大きな横揺れが発生すると、エレベータ装置への停止信号に同期して、振動抑止棒を備えたリンク機構の制振アームが作動し、電磁カップリングと電動機とチェーン装置によって振動抑止棒をロープに接触させ、ロープの振動を抑止しようとするものである。
しかしながら、この制振アームで振動抑止棒をロープに押し付けた場合、ロープは振動抑止棒と接触する側には振動しないが、水平面内のそれ以外の方向には振動することになるので、制振効果は低減する。
【0009】
上記特許文献2の制振装置(揺れ止め装置と称している)は、乗りかごと同様に、左右のガイドレールに案内されて昇降するフレームと、このフレームに軸支され、ロープの左右両側からばねによってロープに押し付けられて、ロープの上下動により回転する2個の駆動伝達ローラと、ばねによって左右のガイドレールに押し付けられ、回転力伝達ベルトにより駆動伝達ローラに繋がれた2個の移動用ローラ、とから構成されている。すなわち、この揺れ止め装置は、ロープの昇降を動力源とする自走式である。
揺れ止め装置がロープに接触する位置においては、地震時でもロープは振動せず、制振効果を発揮する。しかしながら、複数個取り付けられた揺れ止め装置と揺れ止め装置の間では、地震の主要成分の振動数によってはロープが共振を起こし、大きく揺れることになる。揺れ止め装置の数を増やし、揺れ止め装置と揺れ止め装置の距離を短くすれば、長周期地震動によるロープの共振の可能性は低減するが、乗りかごが最上部に到達した時、揺れ止め装置の数の分だけ乗りかご上部に空間が必要となる。
又、揺れ止め装置の昇降は、ロープと揺れ止め装置の間の接触摩擦力を利用しているため、摩耗によりロープの耐久性が低下する恐れがある。
【0010】
上記特許文献3の制振装置(揺れ抑制装置と称している)は、センサによって検出した建物の長周期揺れに基づき建物の揺れ波形を推定し、アクチュエータによって建物揺れ波形と逆位相の揺れ波形を生成して、ロープ巻上機を取着した可動プレートを駆動し、ロープの振動を抑制しようとするものである。しかしながら、乗りかごと釣合い重りをぶら下げた可動プレートを推定した揺れ波形で揺するためには、強力なアクチュエータが必要となる。特に超高層建物では、建物頂部変位が50cmを大きく越える計算結果も報告されており、強力なアクチュエータを用いない限り、建物揺れ波形を生成することは難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
長周期地震動によるエレベータロープの共振を抑制するための制振装置としては、平面内のどの方向にも振動を小さくでき、超高層建物エレベータのように、ロープの長さが非常に長くなっても制振効果を持ち、強力なアクチュエータを必要としないものであることが望ましい。このような観点から見てみると、上記特許文献1~3で提案されている制振装置は、何れもやや不十分な制振装置であると言える。
【0012】
[発明の目的]
本発明は、平面内のどの方向にも振動を小さくでき、ロープの長さが非常に長くなっても制振効果を持ち、強力なアクチュエータを必要としないような、エレベータロープ用制振装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、エレベータ乗りかごの上部と下部にX-Yテーブルを取着し、このX-YテーブルのX方向移動体及びY方向移動体に解除可能な複数個のストッパを取り付け、移動体の一つにメインロープの一端を取り付けた構造である。
【0014】
ストッパが作動している状態では、ロープは巻上機とX-Yテーブルの間で固定端―固定端の状態に近くなり、1次の固有振動モードは両端で振幅零、中央部で振幅最大となる。ストッパを解除した場合は、ロープのX-Yテーブル取付け端が水平面内を自由に動けるようになるので、ロープは巻上機とX-Yテーブルの間で固定端―自由端の状態に近くなり、1次の固有振動モードは巻上機部で振幅零、X-Yテーブル部で振幅最大となる。
【0015】
1次の固有振動数におけるロープの振動は、上記のように、ストッパ作動時とストッパ解除時でモードが変わると共に、固有振動数も変化する。平時運転時にはストッパを作動させておき、任意方向の長周期地震動を受けてロープが共振する時には、ストッパを解除することにより、振動モードと固有振動数が変化して、共振が収まることになる。
【0016】
本発明の制振装置を用いる場合、ロープが共振しているか否かを検出するために、エレベータ昇降路内のX方向とY方向に対して、それぞれ複数個の相対変位測定装置を設置することが必要である。ストッパの解除は、相対変位測定装置の信号を受けた制御部が、ステッピングモータに指令信号を送ることにより実行される。
或いは、加速度センサ等(図示せず)により建物の横揺れを感知し、センサ信号の大きさに基づき、制御装置とステッピングモータを用いてストッパを解除しても良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明の制振装置は、強力なアクチュエータを必要とせず、ロープが水平面内のどの方向に振動しても、同じような制振効果を示す。又、乗りかごが超高層建物内のどの高さにあっても、制振効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態である、乗りかごのみに制振装置を取り付けた場合を示す。
図2】本発明の制振装置の構造を示す。図2(A)は平面図であり、図2(B)は正面断面図である。
図3】制振装置を作動させた場合と解除した場合における、エレベータロープの1次の固有振動モードと固有振動数を示す。
図4】本発明の第1実施形態において、釣合い重りに取り付ける防振装置の構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係わるエレベータロープ制振装置を、図1乃至図4を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の第1実施形態における、エレベータシステムの構成を示したものである。昇降路1内のガイドレール2に沿って昇降する、乗りかご5の上部及び下部には、それぞれ制振装置8及び9が取り付けられており、メインロープ(以下では、単にロープと呼ぶ)7a及び7bは、それぞれ制振装置8及び9のロープ取付け部に固着されている。
【0021】
図2は、乗りかご5の上部に取り付ける、本発明の制振装置8の構造を示している。図2(A)は平面図であり、図2(B)は正面断面図(A-A矢視図)である。制振装置8は、X方向振動抑制部分81と、Y方向振動抑制部分82、とから構成されている。X方向振動抑制部分81は、枠板81z、前記枠板81zに固着した2本のX方向ロッド81b、81c、リニアブッシュ(図示せず)を嵌めこんでX方向ロッド上を滑らかに移動するX方向移動体81a、前記X方向移動体81aの上部に固着したロープ取付け部84、及び枠板81z上に固着した2個のステッピングモータ81d、81eと、各ステッピングモータの回転軸に取り付けたストッパ81f、81gと、によって構成されている。
又、Y方向振動抑制部分82は、Y方向移動体82a(上部に枠板81zが固着されている)、2本のY方向ロッド82b、82c、底板83、前記底板83の両端に立設されたロッド支持部材82h、82i、82j、82k、及び底板83上に固着した2個のステッピングモータ82d、82eと、各ステッピングモータの回転軸に取り付けたストッパ82f、82gと、によって構成されている。Y方向移動体82aは、リニアブッシュ82mを介してロッド82b、82c上を滑らかに移動できるようになっている。
【0022】
通常のエレベータ運転時においては、X方向ストッパ81f、81g及びY方向ストッパ82f、82gは、それぞれX方向移動体81a及びY方向移動体82aが動かないように、各移動体の両側から移動体を押さえ付けている。この状態を、「ストッパ作動時」と呼ぶことにする。
【0023】
任意の水平方向からの長周期地震動を受けて、ロープ7aが水平方向に共振する時は、X方向用のステッピングモータ81d、81e及びY方向用ステッピングモータ82d、82eが回転して、X方向ストッパ81f、81g及びY方向ストッパ82f、82gが、それぞれX方向及びY方向の移動体から離れ、X・Y移動体が自由に動き回れるようになる。その結果、制振装置8に固着されたロープ7aの下端も任意の水平方向に動けるようになり、自由支持の状態になる。この状態を、「ストッパ解除時」と呼ぶことにする。
【0024】
4個のステッピングモータ81d、81e、82d、82eへの指令は、エレベータ昇降路1の側壁に取り付けた複数個のX方向相対変位測定装置12a乃至12d、及び複数個のY方向相対変位測定装置(図示せず)、並びに制御装置13によって行われる。即ち、X方向相対変位測定装置及びY方向相対変位測定装置の何れか又は幾つかが、ロープの大きな変位(ロープの共振)を感じた時は、制御装置13が全ステッピングモータに無線(又は有線)でストッパ解除の指令を与えて、全ストッパ81f、81g、82f、82gを回転させ、ロープ取付け部84がX,Y方向に自由に動き回れる状態に切り換える。
【0025】
図3は、ストッパ作動時とストッパ解除時における、ロープの1次固有振動のモードと固有振動数を表す。ストッパ作動時においては、ロープの振動モードは両端固定の場合(モードA)に近くなり、ストッパ解除時においては、ロープの振動モードは一端固定―他端自由の場合(モードB)に近くなる。
モードがAからBに変化するのに伴い、固有振動数もFからFに変化する。従って、振動数Fで揺すられて、モードAで共振していたロープのモードを、モードBに切り換えることにより、固有振動数がFに変化するので、振動数Fで揺すっても共振しないことになり、共振から脱することができる。
ロープの共振が収まったら、数分後にストッパを作動状態に戻すことが必要である。
【0026】
乗りかごの下部に取り付ける制振装置9も、前記制振装置8と全く同じ構造及び作動原理を有している。
【0027】
図4は、第1実施形態において、釣合い重り6の上部に取り付けられる回転型防振装置10の構造を示している。本防振装置10は、一端に鋼球10bが固着され、他端にロープ取付け部10cが固着されたアーム(丸棒)10aと、鋼球10bを回転自由に支持するハウジング10dと、上下二つの部分に分割されているハウジングを複数のボルト(図示せず)によって一体化するためのつば10eと、ハウジング10dを支持する支持円管10gと、アーム10aの角度変化に応じてばね力並びに減衰力を与える粘弾性体10fと、外側の硬質リンク10hと内側の硬質リンク10iの間に接着されたリング状粘弾性体10jと、外側硬質リンク10hを固着するための外筒10kと、支持円管10g及び外筒10kを固定するための底板10mと、によって構成されている。
粘弾性体10f及び10jは、減衰性の大きい粘弾性体であることが望ましい。アーム10aは、内側硬質リンク10iに固着されていて、ロープ7aが振動してアーム10aを回転させようとすると、粘弾性体10f、10jがその振動を減少させる働きをする。
【0028】
釣合い重りの下部に取り付ける防振装置11も、図3と全く同じ構造及び性能を有している。
【0029】
釣合い重りの昇降路に金網などの防護構造物が設置されている場合は、釣合い重り6に防振装置10及び11を取り付けなくても良い。
【0030】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を、図1及び図2を参照して説明する。第2実施形態においては、図1の釣合い重り6の上部と下部に、防振装置10、11の代わりに、本発明の制振装置8及び9が用いられる(図示せず)。これにより、乗りかご5及び釣合い重り6に繋がれたロープ7aと7bは、乗りかご5側と釣合い重り6側の両方で、長周期地震動を受けても共振することがなくなり、エレベータの安全性が高まる。
【0031】
第2実施形態を実施するに当たっては、釣合い重り昇降路の側壁にも、複数個の相対変位測定装置、及び制御装置を設置することが必要となる。或いは、相対変位測定装置の代わりに加速度センサ等(図示せず)を設置して、建物の横揺れを測定し、センサ信号の大きさに基づいてストッパを解除しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、長周期地震動を受けて水平面内任意方向に共振するロープの振動を、比較的簡単な構造で、ロープの長さに関係なく効果的に抑制することができるので、実用化の可能性が高い。
【符号の説明】
【0033】
1‥‥エレベータ昇降路
2‥‥ガイドレール
3‥‥巻上機
4‥‥滑車
5‥‥乗りかご
6‥‥釣合い重り
7a(7aa、7ab)、7b‥‥メインロープ
8、9‥‥制振装置
81a、81b、81c、82a、82b、82c、82h、82i、82j、82k、82m、81z、83‥‥X-Yテーブル
81d、81e、82d、82e‥‥ステッピングモータ
81f、81g、82f、82g‥‥ストッパ
84(84a、84b)‥‥ロープ取付け部
10、11‥‥回転型防振装置
10a、10b、10c‥‥回転アーム
10d、10e、10g‥‥回転アーム支持部
10f、10h、10i、10j‥‥粘弾性体及び粘弾性体貼付け部
10k、10m‥‥外筒及び底板
12a乃至12d‥‥相対変位測定装置
13‥‥制御装置
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本発明の制振装置を用いる場合、ロープが共振しているか否かを検出するために、エレベータ昇降路内のX方向とY方向に対して、それぞれ複数個の相対変位測定装置を設置することが必要である。ストッパの解除は、相対変位測定装置の信号を受けた制御部が、モータに指令信号を送ることにより実行される。
或いは、加速度センサ等(図示せず)により建物の横揺れを感知し、センサ信号の大きさに基づき、制御装置とモータを用いてストッパを解除しても良い。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
図2は、乗りかご5の上部に取り付ける、本発明の制振装置8の構造を示している。図2(A)は平面図であり、図2(B)は正面断面図(A-A矢視図)である。制振装置8は、X方向振動抑制部分81と、Y方向振動抑制部分82、とから構成されている。X方向振動抑制部分81は、枠板81z、前記枠板81zに固着した2本のX方向ロッド81b、81c、リニアブッシュ(図示せず)を嵌めこんでX方向ロッド上を滑らかに移動するX方向移動体81a、前記X方向移動体81aの上部に固着したロープ取付け部84、及び枠板81z上に固着した2個のモータ81d、81eと、各モータの回転軸に取り付けたストッパ81f、81gと、によって構成されている。
又、Y方向振動抑制部分82は、Y方向移動体82a(上部に枠板81zが固着されている)、2本のY方向ロッド82b、82c、底板83、前記底板83の両端に立設されたロッド支持部材82h、82i、82j、82k、及び底板83上に固着した2個のモータ82d、82eと、各モータの回転軸に取り付けたストッパ82f、82gと、によって構成されている。Y方向移動体82aは、リニアブッシュ82mを介してロッド82b、82c上を滑らかに移動できるようになっている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
任意の水平方向からの長周期地震動を受けて、ロープ7aが水平方向に共振する時は、X方向用のモータ81d、81e及びY方向用モータ82d、82eが回転して、X方向ストッパ81f、81g及びY方向ストッパ82f、82gが、それぞれX方向及びY方向の移動体から離れ、X・Y移動体が自由に動き回れるようになる。その結果、制振装置8に固着されたロープ7aの下端も任意の水平方向に動けるようになり、自由支持の状態になる。この状態を、「ストッパ解除時」と呼ぶことにする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
4個のモータ81d、81e、82d、82eへの指令は、エレベータ昇降路1の側壁に取り付けた複数個のX方向相対変位測定装置12a乃至12d、及び複数個のY方向相対変位測定装置(図示せず)、並びに制御装置13によって行われる。即ち、X方向相対変位測定装置及びY方向相対変位測定装置の何れか又は幾つかが、ロープの大きな変位(ロープの共振)を感じた時は、制御装置13が全モータに無線(又は有線)でストッパ解除の指令を与えて、全ストッパ81f、81g、82f、82gを回転させ、ロープ取付け部84がX,Y方向に自由に動き回れる状態に切り換える。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
1‥‥エレベータ昇降路
2‥‥ガイドレール
3‥‥巻上機
4‥‥滑車
5‥‥乗りかご
6‥‥釣合い重り
7a(7aa、7ab)、7b‥‥メインロープ
8、9‥‥制振装置
81a、81b、81c、82a、82b、82c、82h、82i、82j、82k、82m、81z、83‥‥X-Yテーブル
81d、81e、82d、82e‥‥モータ
81f、81g、82f、82g‥‥ストッパ
84(84a、84b)‥‥ロープ取付け部
10、11‥‥回転型防振装置
10a、10b、10c‥‥回転アーム
10d、10e、10g‥‥回転アーム支持部
10f、10h、10i、10j‥‥粘弾性体及び粘弾性体貼付け部
10k、10m‥‥外筒及び底板
12a乃至12d‥‥相対変位測定装置
13‥‥制御装置
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
エレベータ乗りかごの上部及び下部にX-Yテーブル装置を設置し、前記X-Yテーブル装置のX方向移動体及びY方向移動体の動きを停止させるための複数個のストッパと、これらストッパを解除又は作動させるための複数個のモータとを備えた制振装置、並びに ロープの共振を検知するために昇降路側壁に設置した複数個の相対変位測定装置、及びモータに解除又は作動の指令を発信するための制御装置を装備したことを特徴とする、エレベータロープ制振システム。