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  • 特開-襟保形体 図1
  • 特開-襟保形体 図2
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  • 特開-襟保形体 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022016251
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】襟保形体
(51)【国際特許分類】
   A41B 3/18 20060101AFI20220114BHJP
   A41B 1/00 20060101ALI20220114BHJP
   A41B 3/04 20060101ALI20220114BHJP
   B65D 85/18 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
A41B3/18
A41B1/00 Z
A41B3/04 Z
B65D85/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020205030
(22)【出願日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】P 2020117725
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】595141030
【氏名又は名称】株式会社明光堂
(74)【代理人】
【識別番号】100128277
【弁理士】
【氏名又は名称】專徳院 博
(72)【発明者】
【氏名】河口 龍太郎
【テーマコード(参考)】
3E068
【Fターム(参考)】
3E068AA15
3E068AB03
3E068BB01
3E068CC30
3E068CD01
3E068CE02
3E068CE20
3E068DD03
3E068DD04
3E068DD07
3E068DD08
3E068DE01
3E068EE31
(57)【要約】
【課題】構造、形態がシンプルで装着が容易であり、安価で環境に優しい襟保形体を提供する。
【解決手段】台襟と折返襟との間に嵌め入れ使用される、台襟及び折返襟の形状を保持する襟保形体1であって、細長い帯状で可撓性を有するシート体からなる本体10を有し、前記本体10の中央部15に台襟に設けられたボタンに係止する凹状の係止部21を備え、前記本体10がシート状で可撓性を有するバルカナイズドファイバーで成形されてなる。襟保形体1で使用するバルカナイズドファイバーは、セルロースからなるので環境に優しい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台襟と折返襟との間に嵌め入れ使用される、台襟及び折返襟の形状を保持する襟保形体であって、
細長い帯状で可撓性を有するシート体からなる本体を有し、前記本体の中央部に台襟に設けられたボタンに係止する凹状の係止部を備え、
前記本体がシート状で可撓性を有するバルカナイズドファイバーで成形されてなることを特徴とする襟保形体。
【請求項2】
前記本体は、前記中央部から左右それぞれの端部に向けて上がり勾配を有し、全体がV字形状を有することを特徴とする請求項1に記載の襟保形体。
【請求項3】
前記バルカナイズドファイバーは、厚さが0.1~1.0mmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の襟保形体。
【請求項4】
前記本体の一方の端部近傍に複数の係止孔が穿設され、前記本体の他方の端部に前記係止孔に嵌り込む係止片が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の襟保形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、襟の形状を保持する襟保形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイシャツを陳列し、あるいは輸送、保管する際に襟が型崩れしないように襟の形状を保持する襟保形体が用いられる。襟保形体としては、折返襟と台襟との間に嵌め入れられる紙製で帯状の保形具(紙芯)、台襟に取付けられたボタンに係止する蝶キーパー、及び台襟の内側に装着される合成樹脂製で帯状のネックサポータからなる3点の保形具で構成される襟保形体がよく知られている。この襟保形体は、襟の形状を良好に保持することができるものの保持具を3つ必要とするため、製造コストが高く、またワイシャツへの装着に手間がかかる。
【0003】
3点の保形具で構成される襟保形体に代わるものとして、1つの部材からなる襟保形体がある(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載の襟保形体は、可撓性シートからなり、左右両片が中央部から端部に向かって所定の角度で上がり傾斜に設けられ、中央部に台襟のボタンの取付部に下方から係合可能な切り欠きが形成され、該切り欠きの下部には台襟の付け根部に当接する支持部が形成されてなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-167359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
襟保形体は、ワイシャツの陳列、輸送、保管の際に使用され最終的には廃棄される。襟保形体の使用態様を考えれば、構造、形態がシンプルであり、安価に製造できるものが好ましい。さらに最終的には廃棄されるものであるから、廃棄された後に環境にできるだけ負担を掛けないものが良い。今日、世界的に環境に対する意識が高まっており、脱プラスチックの動きも加速している。従来の襟保形体は、素材にプラスチックを使用したものが多く、また環境に対する配慮が十分とは言い難い。
【0006】
本発明の目的は、構造、形態がシンプルで装着が容易であり、安価で環境に優しい襟保形体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、台襟と折返襟との間に嵌め入れ使用される、台襟及び折返襟の形状を保持する襟保形体であって、細長い帯状で可撓性を有するシート体からなる本体を有し、前記本体の中央部に台襟に設けられたボタンに係止する凹状の係止部を備え、前記本体がシート状で可撓性を有するバルカナイズドファイバーで成形されてなることを特徴とする襟保形体である。
【0008】
本発明の襟保形体において、前記本体は、前記中央部から左右それぞれの端部に向けて上がり勾配を有し、全体がV字形状を有することが好ましい。
【0009】
本発明の襟保形体において、前記バルカナイズドファイバーは、厚さが0.1~1.0mmであることが好ましい。
【0010】
本発明の襟保形体において、前記本体の一方の端部近傍に複数の係止孔が穿設され、前記本体の他方の端部に前記係止孔に嵌り込む係止片が設けられているのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、構造、形態がシンプルで装着が容易であり、安価で環境に優しい襟保形体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態の襟保形体1の正面図及び襟保形体1を環状にした斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態の襟保形体1の使用例を示す図である。
図3】本発明の第2実施形態の襟保形体2の正面図及び襟保形体2を環状にした斜視図である。
図4】本発明の第2実施形態の襟保形体2の使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1において(A)は、本発明の第1実施形態の襟保形体1の正面図、(B)は、襟保形体1を環状にした斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態の襟保形体1の使用例を示す図である。
【0014】
本発明の第1実施形態の襟保形体1は、シャツ100の台襟102及び折返襟104の形状を保持するためのものであり、細長い帯状で可撓性を有するシート体からなる本体10を有し、本体10の中央部15に台襟102に設けられたボタン110に係止する係止部21を備える。
【0015】
本体10は、左右一対の帯状片11、13で構成される。帯状片11、13は、同一の形状を有し、図1(A)に示すように中央でつながり、中心線Cを中心に左右対称に設けられている。帯状片11、13は、シート状で細長く、幅Wは、台襟102の高さと略同一であり、帯状片11(13)の長さLは、台襟102の周長の1/2よりも僅かに長い。左右の帯状片11、13は、中央部15から端部17、19に向けて上昇する傾斜角度(上昇角度)θの上がり勾配を有し、全体としてV字形状を有する。
【0016】
本体10は、可撓性を有し、図1(B)に示すように帯状片11の端部17と帯状片13の端部19とを重ね合わせ環とすることができる。本実施形態のように左右の帯状片11、13を上がり勾配とすると、環とし中央部を前側にしたとき後ろ側が高くなる。帯状片11、13は、傾斜角度θが大きいほど環にしたとき前側に比べて後ろ側が高くなるので、襟の形状に合わせて適宜傾斜角度θを設定すればよい。帯状片11、13は、用途に応じて傾斜角度θをゼロとしてもよい。この場合には襟保形体1は、水平に伸びる一本の帯状体となる。
【0017】
係止部21は、本体10の中央部15に設けられた、下向きに開口した凹溝である。
【0018】
襟保形体1(本体10)の素材は、バルカナイズドファイバーである。バルカナイズドファイバーは、木材パルプ、綿パルプなどの天然繊維素を主とした原紙を塩化亜鉛溶液に浸漬し、積層・自己融着後に洗浄、乾燥し得られる強靭な有機工業材料である。バルカナイズドファイバーは、セルロースからなるため環境に大きな負担を掛けることなく処理することができる、環境にやさしい材料である。
【0019】
バルカナイズドファイバーは、組織密度が高くかつ強靭で摩耗し難い。一方で打抜き、プレス加工等の加工性が良好である。このためシート状のバルカナイズドファイバーを所定の形状に打ち抜くことで容易に襟保形体1が得られる。襟保形体1として用いるバルカナイズドファイバーの厚さは、0.1~1.0mmがよく、0.1~0.8mmがより好ましく、0.2~0.5mmがさらにより好ましい。
【0020】
襟保形体1に使用するバルカナイズドファイバーの特性の一例を示せば、厚さが約0.35mm、23℃―50%RHにおける長手方向の剛度が137g・cmである。このようなバルカナイズドファイバーは、PET製のカラーキーパーに比較して長手方向の剛度が2倍以上大きい。
【0021】
本発明の第1実施形態の襟保形体1を使用する際は、図2に示すようにシャツ100の台襟102と折返襟104との間に入れ、台襟102に取付けられたボタン110に係止部21を上から差し込み係止させる。これにより襟保形体1のみでシャツ100の陳列、輸送、保管時に要求される襟の形状を保持することができる。
【0022】
図3において(A)は、本発明の第2実施形態の襟保形体2の正面図、(B)は、襟保形体2を環状にした斜視図である。図4は、本発明の第2実施形態の襟保形体2の使用例を示す図である。図1及び図2に示す本発明の第1実施形態の襟保形体1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0023】
本発明の第2実施形態の襟保形体2は、第1実施形態の襟保形体1と同様に、台襟102と折返襟104との間に装着することでシャツ100の台襟102及び折返襟104の形状を保持する。本発明の第2実施形態の襟保形体2は、細長い帯状で可撓性を有するシート体からなる本体10を有し、本体10の中央部15に台襟102に設けられたボタン110に係止する係止部21を備える点で第1実施形態の襟保形体1と共通する。一方、本体10に係止孔30及び係止片31を備える点で第1実施形態の襟保形体1と異なる。
【0024】
本体10に設けられる係止孔30及び係止片31は、帯状片11、13を重ね本体10を環状とするときの環の大きさを決め、環としたときの状態を保持するためのものであり、係止片31を係止孔30に嵌め入れ使用する。
【0025】
係止孔30は、縦長の孔である。本実施形態では本体10を環状とするときの環の大きさを調節できるように10個の係止孔30が帯状片11の端部17の近傍に等間隔で穿設されている。係止片31は、基端にくびれ部32を有する、係止孔30に嵌り込む爪又は突起片であり、帯状片13の端部19の先端に突出するように設けられている。係止片31の高さ(上下方向)は、係止孔30の長さ(上下方向)と略同一であり、係止片全体を係止孔30に嵌め込むことができる。
【0026】
係止孔30及び係止片31の形態は、基本的には係止片31を係止孔30に嵌め入れ本体10を環状としたときの状態を保持することができればよく、本実施形態に限定されるものではない。本実施形態では、係止孔30が10個の縦長の孔からなるが、個数は9個以下でも11個以上でもよい。本実施形態では、図3(A)において左側に位置する帯状片11に係止孔30が穿設され、右側に位置する帯状片13に係止片31が設けられているが、図3(A)において左側に位置する帯状片11に係止片31が設けられ、右側に位置する帯状片13に係止孔30が穿設されていてもよい。
【0027】
第2実施形態の襟保形体2は、係止孔30及び係止片31が設けられている点を除けば、本体10を構成する左右一対の帯状片11、13の形状、寸法、構造は、第1実施形態の襟保形体1と同じである。また第2実施形態の襟保形体2の本体10の左右の帯状片11、13が、傾斜角度(上昇角度)θの上がり勾配を有し全体としてV字形状を有する点、襟の形状に合わせて傾斜角度θを適宜設定可能な点、用途に応じて傾斜角度θをゼロとし水平に伸びる一本の帯状体としてもよい点も第1実施形態の襟保形体1と変わりない。また本体10に設けられた係止部21の形状、寸法、位置も第1実施形態の襟保形体1と変わりない。
【0028】
さらに第2実施形態の襟保形体2の素材も第1実施形態の襟保形体1と同じくバルカナイズドファイバーである。
【0029】
本発明の第2実施形態の襟保形体2を使用する際は、図4に示すようにシャツ100の台襟102と折返襟104との間に入れ、台襟102に取付けられたボタン110に係止部21を上から差し込み係止させる。この状態で係止片31を係止孔30に嵌め込む。これにより襟保形体2のみでシャツ100の陳列、輸送、保管時に要求される襟の形状を保持することができる。
【0030】
以上、本発明の第1実施形態の襟保形体1及び第2実施形態の襟保形体2を用いて説明したように本発明に係る襟保形体は、これ1つで、従来の折返襟と台襟との間に嵌め入れられる紙製で帯状の保形具、蝶キーパー、及びネックサポータの3つの保形具の機能を果たすため安価である。また本発明に係る襟保形体は、構造、形状がシンプルであるから製造も容易であり安価に製造できる。
【0031】
また本発明の第1実施形態の襟保形体1は、爪なども設けられておらず左右対称で裏表がない。よって襟保形体1をシャツ100の台襟102と折返襟104との間に嵌め入れる際には襟保形体1の表又は裏を確認する必要がなく、左右の帯状片11、13のそれぞれの端部17、19を重ね合わせるだけでよいので簡単に装着することができ、包装工程の時間短縮及びコスト削減につながる。
【0032】
本発明の第2実施形態の襟保形体2も特に裏表を意識することなく、シャツ100の台襟102と折返襟104との間に嵌め入れることができるので包装工程の時間短縮及びコスト削減につながる。さらに第2実施形態の襟保形体2は、本体10に複数の係止孔30及び係止片31を備えるので、本体10を環状とするときの環の大きさの調節が容易で、また係止片31が係止孔30に嵌まり込むことで環の状態を確実に保持することができる。
【0033】
また本発明の第1実施形態の襟保形体1及び第2実施形態の襟保形体2に示すように本発明に係る襟保形体は、素材がバルカナイズドファイバーであるので、焼却処理など環境に大きな負担を掛けることなく処理することができる。またバルカナイズドファイバーは、セルロースからなるため廃棄されても生分解し、環境に優しい。
【0034】
以上、第1及び第2実施形態の襟保形体1、2により本発明に係る襟保形体を説明したが、本発明に係る襟保形体は、上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で変更して使用することができる。例えば、第1実施形態の襟保形体1では左右の帯状片11、13を同一形状としたが、必要に応じて左右の帯状片11、13の形状、長さを不同一としてもよい。第2実施形態の襟保形体2では左右の帯状片11、13を同一の長さとしたが、必要に応じて左右の帯状片11、13の長さを不同一としてもよい。
【0035】
図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更及び修正を容易に想定するであろう。従って、そのような変更及び修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。
【符号の説明】
【0036】
1、2 襟保形体
10 本体
11、13 帯状片
15 中央部
17、19 端部
21 係止部
30 係止孔
31 係止片
32 くびれ部
100 シャツ
102 台襟
104 折返襟
110 ボタン
θ 傾斜角度
図1
図2
図3
図4