(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162511
(43)【公開日】2022-10-24
(54)【発明の名称】案内装置
(51)【国際特許分類】
F16C 29/04 20060101AFI20221017BHJP
B65G 35/00 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
F16C29/04
B65G35/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140636
(22)【出願日】2021-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2021066919
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390029805
【氏名又は名称】THK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128749
【弁理士】
【氏名又は名称】海田 浩明
(72)【発明者】
【氏名】水谷 雄一
(72)【発明者】
【氏名】冨山 貴光
(72)【発明者】
【氏名】播磨 和俊
【テーマコード(参考)】
3J104
【Fターム(参考)】
3J104AA15
3J104AA17
3J104AA23
3J104AA33
3J104AA34
3J104AA65
3J104AA69
3J104AA70
3J104AA73
3J104AA74
3J104AA76
3J104AA78
3J104BA05
3J104DA20
3J104EA04
3J104EA10
(57)【要約】
【課題】あらゆる形状の軌道部材に沿って移動可能な案内装置を実現する。
【解決手段】案内装置10は、長手方向に延びて形成される軌道レール111,121と、軌道レールの長手方向に沿って相対的に直線移動又は曲線移動する移動体21とを備え、移動体の移動方向に直交する方向での軌道レールの両側から当該軌道レールを挟むように配置される一対のホイール116と、当該一対のホイールを回転自在に保持するとともに移動体に対して回動自在に設置される転動体保持部24とで構成される案内機構23が、移動体に対して少なくとも1組設置されるものであって、軌道レール111,121におけるホイール116,126と接触する部位を一定の曲率Raを持った転走面とし、当該転走面と接触する転動体の部位を一定の曲率Rbを持った負荷転走面とし、転走面の曲率Raと負荷転走面の曲率Rbが異なるように構成する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状に形成された直線部又は所定の曲率半径で円弧状に形成された曲線部を含んで長手方向に延びて形成される軌道部材と、
前記軌道部材の長手方向に沿って相対的に直線移動又は曲線移動する移動部材と、
を備え、
前記移動部材の移動方向に直交する方向での前記軌道部材の両側から当該軌道部材を挟むように配置される一対の転動体と、当該一対の転動体を回転自在に保持するとともに前記移動部材に対して回動自在に設置される転動体保持部と、で構成される案内機構が、前記移動部材に対して少なくとも1組設置される案内装置であって、
前記軌道部材における前記転動体と接触する部位を一定の曲率を持った転走面とし、当該転走面と接触する前記転動体の部位を一定の曲率を持った負荷転走面とし、前記転走面の曲率と前記負荷転走面の曲率が異なるように構成することを特徴とする案内装置。
【請求項2】
請求項1に記載の案内装置であって、
1本の前記軌道部材に対して設置される1つの前記移動部材について、当該移動部材は2組の前記案内機構を有して組み付けられることを特徴とする案内装置。
【請求項3】
請求項1に記載の案内装置であって、
前記軌道部材は2本設置されており、
前記移動部材は、2本の前記軌道部材に架け渡されて設置され、また、当該移動部材は、2本のうちの一方の軌道部材に対して組み付けられる少なくとも1組の前記案内機構を備えることを特徴とする案内装置。
【請求項4】
請求項3に記載の案内装置であって、
前記移動部材は、2本のうちの他方の軌道部材と接触する1つの支承用転動体を備え、
前記軌道部材における前記支承用転動体と接触する部位を一定の曲率を持った支承用転走面とし、当該支承用転走面と接触する前記支承用転動体の部位を一定の曲率を持った支承用負荷転走面とし、前記支承用転走面の曲率と前記支承用負荷転走面の曲率が異なるように構成することを特徴とする案内装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の案内装置であって、
前記軌道部材と前記転動体との接触構造がDB構造であり、前記転動体の内部の接触構造がDF構造、もしくは、前記軌道部材と前記転動体との接触構造がDF構造であり、前記転動体の内部の接触構造がDB構造であることを特徴とする案内装置。
【請求項6】
請求項4に記載の案内装置であって、
前記軌道部材と前記支承用転動体との接触構造がDB構造であり、前記支承用転動体の内部の接触構造がDF構造、もしくは、前記軌道部材と前記支承用転動体との接触構造がDF構造であり、前記支承用転動体の内部の接触構造がDB構造であることを特徴とする案内装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の案内装置であって、
転走面を一定の曲率を持ったRa面とし、当該Ra面と接触する負荷転走面を一定の曲率を持ったRb面とし、Ra面とRb面が点接触するように構成し、
点接触を行うRa面とRb面について、
「Ra面の曲率」>「Rb面の曲率」
なる不等式が成り立つように構成することを特徴とする案内装置。
【請求項8】
請求項4に記載の案内装置であって、
支承用転走面を一定の曲率を持ったRa面とし、当該Ra面と接触する支承用負荷転走面を一定の曲率を持ったRb面とし、Ra面とRb面が点接触するように構成し、
点接触を行うRa面とRb面について、
「Ra面の曲率」>「Rb面の曲率」
なる不等式が成り立つように構成することを特徴とする案内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、案内装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、軌道部材の長手方向に沿って相対的に移動する移動部材を備えた案内装置が公知である。例えば、下記特許文献1には、軌道部材である案内レールに沿って移動する移動部材である本体を備える搬送装置としての案内装置が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された搬送装置の本体には、案内レールの両側面を挟むように一対のローラ部材が配置されており、さらに一対のローラ部材は本体に対して2組設置されている。かかる構成を備えることで、特許文献1に開示された搬送装置は、案内レールの曲線状の部分であっても本体の安定した移動を確保することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上掲した特許文献1に開示された搬送装置の場合には、案内レールの両側面を挟むように配置される一対のローラ部材が同一の径を有しており、かつ、案内レールの両側面と一対のローラ部材との接触部位は面接触していると考えられる。この場合、案内レールの曲線部を搬送装置の本体が移動する際に、一対のローラ部材の間では曲線部で周速差が生じてしまい、本体が円滑に移動できないといった課題が存在していた。つまり、特許文献1に開示された搬送装置に代表される従来の案内装置には、軌道部材の曲線部を移動部材が移動する際に、転動体同士で周速差が生じることがなく、移動部材が軌道部材に対して円滑に移動できる案内装置を実現したいとする課題が存在していた。
【0006】
本発明は、上述した従来技術に存在する課題に鑑みて成されたものであって、あらゆる形状の軌道部材に沿って円滑に移動可能な案内装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る案内装置は、直線状に形成された直線部又は所定の曲率半径で円弧状に形成された曲線部を含んで長手方向に延びて形成される軌道部材と、前記軌道部材の長手方向に沿って相対的に直線移動又は曲線移動する移動部材と、を備え、前記移動部材の移動方向に直交する方向での前記軌道部材の両側から当該軌道部材を挟むように配置される一対の転動体と、当該一対の転動体を回転自在に保持するとともに前記移動部材に対して回動自在に設置される転動体保持部と、で構成される案内機構が、前記移動部材に対して少なくとも1組設置される案内装置であって、前記軌道部材における前記転動体と接触する部位を一定の曲率を持った転走面とし、当該転走面と接触する前記転動体の部位を一定の曲率を持った負荷転走面とし、前記転走面の曲率と前記負荷転走面の曲率が異なるように構成することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、あらゆる形状の軌道部材に沿って移動可能な案内装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る案内装置を上方から見た場合の外観斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る案内装置を下方から見た場合の外観斜視図である。
【
図5】本実施形態に係る案内装置が有する移動部材を下方から見た場合の外観斜視図である。
【
図6】
図5で示された移動部材が有する2組の案内機構のうち、1組の案内機構を分解した状態を示す分解斜視図である。
【
図7】本実施形態に係る案内装置の有利な作用効果を説明するための図であり、図中の分図(a)が本実施形態を示し、分図(b)が比較例を示している。
【
図8】本実施形態の軌道レールとは別形状の軌道レールに本発明を適用した場合の変形形態例を示す図である。
【
図9】本発明に係る案内装置が有する案内機構が取り得る一構成例を示す模式図である。
【
図10】本発明に係る案内装置が有する案内機構が取り得る一構成例を示す模式図である。
【
図11】本発明に係る案内装置が有する案内機構が取り得る更に別の一構成例を示す模式図である。
【
図12】本発明の案内装置が取り得る多様な接触構造例を示す模式図である。
【
図13】本発明の別の実施形態に係る案内装置の構成例を示す図である。
【
図14】
図13で示した本発明の別の実施形態に係る案内装置の動作状態を説明するための図である。
【
図15】本発明の更に別の実施形態に係る案内装置の構成例を示す図である。
【
図16】
図15で示した本発明の更に別の実施形態に係る案内装置の動作状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
図1は、本実施形態に係る案内装置を上方から見た場合の外観斜視図であり、
図2は、本実施形態に係る案内装置を下方から見た場合の外観斜視図である。また、
図3は、本実施形態に係る案内装置の正面図であり、
図4は、本実施形態に係る案内装置の底面図である。さらに、
図5は、本実施形態に係る案内装置が有する移動部材を下方から見た場合の外観斜視図であり、
図6は、
図5で示された移動部材が有する2組の案内機構のうち、1組の案内機構を分解した状態を示す分解斜視図である。
【0012】
図1~
図4に示すように、本実施形態に係る案内装置10は、本発明の軌道部材としての軌道レール11と、本発明の移動部材としての移動体21とを有している。
【0013】
本実施形態の軌道レール11は、長手方向に延びて形成される長尺の部材である。また、本実施形態の軌道レール11は、直線状に形成された直線部12と、所定の曲率半径で円弧状に形成された曲線部13を有して構成されている。なお、
図1~
図4に示される本実施形態の軌道レール11では、1つの直線部12と1つの曲線部13を繋ぎ合わせた状態が示されているが、本発明に係る軌道部材の取り得る構成は、この構成例に限られるものではない。本発明に係る軌道部材としての軌道レール11は、例えば、複数の直線部12のみを繋ぎ合わせたものであってもよいし、複数の曲線部13のみを繋ぎ合わせたものであってもよいし、複数の直線部12と複数の曲線部13を任意の個数で任意の順番に繋ぎ合わせたものであってもよい。
【0014】
本実施形態の軌道レール11には、
図1、
図2および
図4に示されるように、軌道レール11の上下方向に貫通した複数の取付孔14が形成されている。複数の取付孔14を利用することで、本実施形態の軌道レール11は、例えば取付基準となるベース面等に対して軌道レール11の底面側を基準として固定することができる。
【0015】
また、本実施形態の軌道レール11は、
図3にて示されるように、レールの左右側面が左右に突出した突形状にて形成されている。この軌道レール11の左右側面のそれぞれに配された突形状は、上下のそれぞれに配されて水平面に対して45度又は-45度の角度に傾いた2つの斜面11aと、これら上下2つの斜面11aの間で垂直方向に形成された1つの平面11bとで構成されている。突形状を形成する上下2つの斜面11aと1つの平面11bは、後述する本発明の転動体の負荷転走面からの接触を受けることで、本発明に係る転走面としての機能を発揮する。
【0016】
本実施形態の移動体21は、上述した軌道レール11の長手方向に沿って相対的に直線移動又は曲線移動する部材である。本実施形態の移動体21は、
図5および
図6においてより詳細に示されるように、1枚の移動プレート22と、この移動プレート22に対して2組設置される案内機構23とで構成されている。
【0017】
移動プレート22は、例えば上面側に搬送対象となる外部部材を取り付けることで、軌道レール11の長手方向に沿って外部部材を直線移動又は曲線移動することができる。
【0018】
一方、移動プレート22の下面側には、
図5に示すように、2組の案内機構23が設置されている。
【0019】
本実施形態の案内機構23は、
図6に示されるように、移動プレート22に対して回動自在に設置される転動体保持部24と、この転動体保持部24に対して回転自在な状態で保持される一対の転動体であるホイール25およびカムフォロア26を有している。
【0020】
転動体保持部24は、中央位置に1つの貫通孔24aを有するとともに、この貫通孔24aの両隣の位置に2つの転動体取付孔24bを有している。そして、移動プレート22に形成された保持部取付孔22aに対して保持部取付軸24cを貫通させ、さらに保持部取付軸24cの先端部を転動体保持部24の中央の貫通孔24aを貫通させた状態でナット24dにより締結固定することで、転動体保持部24を移動プレート22に対して回動自在な状態で設置することができる。
【0021】
また、転動体保持部24が有する2つの転動体取付孔24bのうち、一方の(
図6における紙面左側の)転動体取付孔24bには、ホイール25が有するホイール軸25aを貫通させた状態でホイール軸25aの軸端をナット25bにより締結固定することで、ホイール25を転動体保持部24に対して回転自在な状態で設置することができる。
【0022】
また、転動体保持部24が有する2つの転動体取付孔24bのうち、他方の(
図6における紙面右側の)転動体取付孔24bには、転動体取付孔24bに対して取り付けた際に偏心した偏心貫通孔27aを有する偏心ナット27を螺合した状態で、カムフォロア26が有するカムフォロア軸26aを偏心貫通孔27aに貫通させた状態でカムフォロア軸26aの軸端をナット26bにより締結固定することで、カムフォロア26を転動体保持部24に対して回転自在な状態で設置することができる。なお、本実施形態のカムフォロア26については、偏心ナット27を転動体取付孔24bに対して回転させることで、偏心貫通孔27aの位置が変更されるので、ホイール25に対するカムフォロア26の位置(距離)を変更することができる。この位置(距離)変更は、軌道レール11に対する移動体21の取り付けの際に利用される。
【0023】
以上説明した案内機構23を構成する一対の転動体であるホイール25およびカムフォロア26は、
図2や
図4等に示されるように、移動体21の移動方向に直交する方向での軌道レール11の両側から当該軌道レール11を挟むように配置される。そして、本実施形態では、2組の案内機構23のそれぞれに配置される一対の転動体であるホイール25およびカムフォロア26のうち、移動体21の移動方向に直交する方向での軌道レール11の一方側(
図4における紙面左側)に配置されるホイール25に対して、軌道レール11の他方側(
図4における紙面右側)に配置されるカムフォロア26の方が、小径となるように構成されている。すなわち、本実施形態では、
図4にてより詳細に示されるように、軌道レール11において所定の曲率半径で円弧状に形成された曲線部13の内周側に対して小径のカムフォロア26が配置され、曲線部13の外周側に対して大径のホイール25が配置されている。
【0024】
ここで、一対の転動体であるホイール25およびカムフォロア26は、互いの回転中心を結ぶ線が軌道レール11の長手方向の中心線に対して直交する方向となるように移動することとなる。したがって、仮に、一対の転動体であるホイール25およびカムフォロア26の径が同一径の場合には、軌道レール11の曲線部13を移動する際に曲線部13の内周側に配置された転動体同士の間の距離が小さくなるので、この転動体間の距離を考慮して案内機構23を構成する必要性が生じ、2組の案内機構23を有する移動体21のコンパクト化には限界が生じることとなる。しかしながら、本実施形態の移動体21のように、2組の案内機構23が有する転動体について、軌道レール11の曲線部13の内周側に配置された転動体であるカムフォロア26を小径のものとすることで、仮に転動体同士の間の距離が小さくなったとしても転動体同士が接触して干渉することがないので、スムーズな案内移動を維持しながらも、2組の案内機構23を有する移動体21のコンパクト化を実現することが可能となっている。
【0025】
また、本実施形態の案内装置10では、
図3に示すように、一対の転動体であるホイール25およびカムフォロア26について、ホイール25は軌道レール11の外周側の突形状を形成する上下2つの斜面11aと点接触し、カムフォロア26は軌道レール11の内周側の突形状を形成する1つの平面11bと線接触している。なお、本実施形態の案内装置10では、
図3に示すように、軌道レール11の左右側面のそれぞれに配された突形状を形成する部位のうち、転動体(ホイール25)と接触する部位(上下2つの斜面11a)である転走面を一定の曲率を持ったRa面とし、このRa面と接触する転動体(ホイール25)の外形部位としての負荷転走面を一定の曲率を持ったRb面とし、Ra面とRb面が点接触するように構成することができる。また、点接触を行うRa面とRb面については、互いに異なる曲率を有するように構成することができ、例えば
図3で示されるように、「Ra面の曲率」>「Rb面の曲率」となるように構成することができる。つまり、本実施形態では、案内機構23に配置される一対の転動体であるホイール25およびカムフォロア26は、軌道レール11に対して2点1線接触する構成となっている。
図3に示す構成を採用することで、例えば、軌道レール11の曲線部13を移動する際に転動体(ホイール25およびカムフォロア26)の周速差が無くなって作動滑りが発生し難い状態となり、移動体21が円滑に動作できる案内装置10を実現することが可能となる。
【0026】
さらに、本実施形態の案内装置10は、
図1~
図6で示した構成を有することで、さらなる有利な作用効果を発揮できる。その作用効果の内容を、
図7を参照図面に加えて説明を行う。ここで、
図7は、本実施形態に係る案内装置の有利な作用効果を説明するための図であり、図中の分図(a)が本実施形態を示し、分図(b)が比較例を示している。
【0027】
上述したように、本実施形態に係る案内装置10を構成する軌道レール11は、レールの左右側面が左右に突出した突形状にて形成されている。また、本発明の案内機構を構成する一対の転動体については、偏心ナット27を利用することで、一対の転動体の位置(距離)を変更することができる。この一対の転動体間の位置(距離)変更は、軌道レール11から移動体21を取り外したり、取り付けたりする際に利用できる機構である。
【0028】
したがって、
図7中の分図(b)で示す比較例のように、案内機構を構成する一対の転動体が、いずれも同一径を有するホイール25で構成されている場合には、一対のホイール25の両方が軌道レール11の左右側面から左右に突出した突形状の上下2つの斜面11aと接することになるので、軌道レール11から移動体21を取り外す際のホイール25の偏心量は、左右それぞれで斜面11aの水平方向距離「e」の2倍分である「2e」が必要となる。
【0029】
一方、
図7中の分図(a)で示す本実施形態のように、本発明の案内機構を構成する一対の転動体が、ホイール25およびカムフォロア26で構成され、さらに、カムフォロア26がホイール25よりも小径で構成される場合には、ホイール25は軌道レール11の外周側の突形状を形成する上下2つの斜面11aと点接触し、カムフォロア26は軌道レール11の内周側の突形状を形成する1つの平面11bと線接触することになる。したがって、軌道レール11から移動体21を取り外す際のホイール25およびカムフォロア26の偏心量は、ホイール25側の斜面11aの水平方向距離「e」だけで良いことになる。つまり、本発明の案内機構を構成する一対の転動体が、本実施形態のようにホイール25およびカムフォロア26で構成される場合の方が、比較例に比べて、軌道レール11から移動体21を取り外したり取り付けたりする際の転動体の偏心量を小さくすることができるので、操作性に優れた案内装置10を実現できる。
【0030】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0031】
例えば、上述した実施形態において、本発明の軌道部材である軌道レール11は、
図3等で示されるように、レールの左右側面が左右に突出した突形状にて形成されていた。しかしながら、本発明の案内装置は、あらゆる形状の軌道部材に対して適用可能である。例えば、
図8は、本実施形態の軌道レールとは別形状の軌道レールに本発明を適用した場合の変形形態例を示す図である。
図8に示すように、レールの左右側面が左右から内側に凹んだ凹形状にて形成された軌道レール81に対しても、本発明を適用することができる。
図8で示す変形形態例の場合、本発明の案内機構を構成する一対の転動体については、大径のホイール25と、小径のホイール86とで構成することができる。
図8で示す変形形態例の場合にも、大径のホイール25は軌道レール81の外周側(
図8の紙面左側)の凹形状を形成する上下2つの斜面11aと点接触し、小径のホイール86は軌道レール81の内周側(
図8の紙面右側)の凹形状を形成する1つの平面11bと線接触している。つまり、
図8で示す変形形態例についても、上述した実施形態の場合と同様に、案内機構23に配置される一対の転動体である大径のホイール25および小径のホイール86は、軌道レール81に対して2点1線接触する構成となっているので、移動体21は、軌道レール81に対して安定した取付状態を維持しつつ軌道レール81の長手方向に沿った円滑な移動が可能となっている。
【0032】
また例えば、上述した実施形態では、
図9にて模式的に例示するように、2組の案内機構23のそれぞれに配置される一対の転動体95,96のうち、移動体21の移動方向に直交する方向での軌道レール11の一方側(外周側)に配置される転動体95に対して、軌道レール11の他方側(内周側)に配置される転動体96が小径である場合の構成を例示して説明を行った。つまり、この例では、所定の曲率半径で円弧状に形成された曲線部13を含む軌道レール11の内周側に配置される転動体96が、外周側に配置される転動体95よりも小径となるように構成されていた。しかしながら、本発明に係る案内装置の構成は、上述のものには限られない。例えば、
図10に示すように、2組設置される案内機構23a,23bのうち、一方の組の案内機構23aに配置される一対の転動体105a,106aは、移動体21の移動方向に直交する方向での軌道レール11の一方側(
図10の紙面左側)に配置される転動体105aに対して、軌道レール11の他方側(
図10の紙面右側)に配置される転動体106aが小径であり、他方の組の案内機構23bに配置される一対の転動体105b,106bは、移動体21の移動方向に直交する方向での軌道レール11の他方側(
図10の紙面右側)に配置される転動体106bに対して、軌道レール11の一方側(
図10の紙面左側)に配置される転動体105bが小径である、という構成を採用することができる。
図10で示す構成例の場合、例えば軌道レール11がS字形に湾曲した形状の場合には、転動体の好適な配置構成となる。なお、
図9および
図10は、本発明に係る案内装置が有する案内機構が取り得る一構成例を示す模式図である。
【0033】
また例えば、上述した実施形態を説明した
図1~
図10では、転動体としてのホイール25,86やカムフォロア26が、軌道レール11,81の左右側面のそれぞれに配された突形状や凹形状に対して点接触又は線接触する場合の例が示されていた。すなわち、上述した実施形態は、転動体としてのホイール25,86やカムフォロア26における軌道レール11,81との接触部位である負荷転走面が、軌道レール11,81におけるホイール25,86やカムフォロア26との接触部位としての転走面である斜面11aや平面11bと、点接触又は線接触するものであった。ただし、本発明の適用範囲は上述した実施形態には限定されず、さらなる改良形態を加えることができる。ここで、
図11は、本発明に係る案内装置が有する案内機構が取り得る更に別の一構成例を示す模式図である。例えば、
図11に示す案内装置10は、上述した実施形態と同様に、軌道レール111の左右側面のそれぞれに配された凹形状を形成する部位のうち、転動体と接触する部位である転走面を一定の曲率を持ったRa面とし、このRa面と接触するホイール116の外形部位としての負荷転走面を一定の曲率を持ったRb面とし、Ra面とRb面が点接触するように構成することができる。また、点接触を行うRa面とRb面については、互いに異なる曲率を有するように構成することができ、例えば
図11で示されるように、「Ra面の曲率」>「Rb面の曲率」となるように構成することができる。
図11に示す構成を採用することで、例えば、軌道レール111の曲線部13を移動する際に転動体(ホイール116)の周速差が無くなって作動滑りが発生し難い状態となり、移動体21が円滑に動作できる案内装置10を実現することが可能となる。
【0034】
さらに、
図11で示した構成例の案内装置10は、さらなる改良形態として、軌道レール111とホイール116との接触構造は所謂DB構造(軌道レール111の転走面と接触するホイール116の負荷転走面との接触角線同士が、軌道レール111の外側で交差するように構成された構造)となっており、ホイール116内部のホイール軸116aとボール116bとの接触構造は所謂DF構造(ホイール軸116aと接触するボール116bの接触角線同士が、ホイール軸116aの内側で交差するように構成された構造)となるという特徴を備えている。ここで、接触構造の利点について調心性と剛性の面から検討すると、DF構造は調心性に優れており、DB構造は剛性に優れている。つまり、
図11で示した構成例の案内装置10によれば、DB構造とDF構造を組み合わせた構成とすることで調心性と剛性の両方のバランスが取れた接触構造を実現できる。
【0035】
なお、
図11を用いて説明したDB構造やDF構造等の接触構造については、あらゆる組み合わせを採用することができる。そのような多様な接触構造の例について、
図12を用いて説明を行う。
図12は、本発明の案内装置が取り得る多様な接触構造例を示す模式図である。
【0036】
図12において、図中の(1)で示す例では、軌道レール121の転走面形成部位が突形状の場合の構造例が示されており、図中の(2)で示す例では、軌道レール111の転走面形成部位が凹形状の場合の構造例が示されている。そして、(1)で示す例については、(1)-Iおよび(1)-IIとして示すように、軌道レール121とホイール126との接触構造は所謂DF構造(軌道レール121の転走面と接触するホイール126の負荷転走面との接触角線同士が、軌道レール121の内側で交差するように構成された構造)とすることができる。さらに、点接触を行うRa面とRb面について、(1)-Iの例では、軌道レール121の転走面を構成するRa面は凹形状となっており、ホイール126の負荷転走面を構成するRb面は凸形状となっており、Ra面とRb面の接触構造は「Ra面の曲率」>「Rb面の曲率」となるように構成されている。一方、(1)-IIの例では、軌道レール121の転走面を構成するRa面は凸形状となっており、ホイール126の負荷転走面を構成するRb面は凹形状となっており、Ra面とRb面の接触構造は「Ra面の曲率」<「Rb面の曲率」となるように構成されている。
【0037】
また、
図12中の(2)で示す例については、(2)-Iおよび(2)-IIとして示すように、軌道レール111とホイール116との接触構造は所謂DB構造(軌道レール111の転走面と接触するホイール116の負荷転走面との接触角線同士が、軌道レール111の外側で交差するように構成された構造)とすることができる。さらに、点接触を行うRa面とRb面について、(2)-Iの例では、軌道レール111の転走面を構成するRa面は凹形状となっており、ホイール116の負荷転走面を構成するRb面は凸形状となっており、Ra面とRb面の接触構造は「Ra面の曲率」>「Rb面の曲率」となるように構成されている。一方、(2)-IIの例では、軌道レール111の転走面を構成するRa面は凸形状となっており、ホイール116の負荷転走面を構成するRb面は凹形状となっており、Ra面とRb面の接触構造は「Ra面の曲率」<「Rb面の曲率」となるように構成されている。ちなみに、
図12において(2)-Iとして示した構成例が、
図11で示した構成例と同じものである。
【0038】
図12において示されるように、本発明の案内装置は、多様な接触構造を適用することが可能となっている。そして、これらの多様な接触構造のいずれを有する場合であっても、調心性と剛性の両方のバランスが取れた接触構造を有する案内装置を実現することが可能である。
【0039】
また例えば、上述した実施形態では、転動体としてホイール25,86とカムフォロア26を採用した場合を例示して説明したが、本発明の転動体はホイール25,86やカムフォロア26だけには限定されない。本発明に係る転動体は、ホイール、ローラ又はカムフォロアから選択されるいずれか1つ、もしくはこれらの組み合わせによって構成することができる。なお、本明細書において、ホイールとは円筒中空形状をした車輪状の転動体を想定しており、カムフォロアとは細長い円筒のころ(針状ころ)が内蔵された軸付きのベアリングとしての転動体を想定しており、ローラとは円筒中実形状をした転動体を想定している。ただし、本発明に係る転動体には、上述した実施形態と同様の作用効果を発揮できる範囲において、あらゆる形式のものを適用することができる。
【0040】
また例えば、上述した実施形態では、1つの軌道レール11に対して1つの移動体21が配置される場合の構成例を示したが、本発明に係る案内装置は、1つの軌道レール11に対して複数の移動体21が配置される場合の構成も含むものである。
【0041】
また例えば、上述した実施形態では、説明の便宜のために上下左右の方向を規定して説明を行ったが、本発明の案内装置は、上述した実施形態で示した方向での使用に限定されるものではない。例えば、上述した軌道レール111の底面側を地面に対して鉛直方向の壁面に固定することで、案内装置10を所謂縦使いで使用することも可能である。つまり、本発明の案内装置は、あらゆる方向での使用が可能である。
【0042】
次に、
図13および
図14を用いて、本発明に係る案内装置が取り得る更に別の実施形態例についての説明を行う。ここで、
図13は、本発明の別の実施形態に係る案内装置の構成例を示す図であり、
図14は、
図13で示した本発明の別の実施形態に係る案内装置の動作状態を説明するための図である。
【0043】
さて、
図1~
図12を用いて説明した案内装置10は、1本の軌道レール11,81,111に対して1つの移動体21が組み付けられるものであった。しかし、本発明の案内装置を構成する軌道部材としての軌道レール11,81,111は、複数本であってもよい。そして、
図13に示される本発明の別の実施形態に係る案内装置130の場合、軌道レール11は2本設置されている。
【0044】
また、
図13で示される案内装置130では、2本の軌道レール11,11が上下位置となるように配置されており、上側の軌道レール11には、
図8~
図12を用いて説明した移動体21と同様の構成を備えた移動体21が組み付けられている。
【0045】
さらに、
図13で示される案内装置130の移動体21には、下方に延びて形成された梁状部材131が設置されるとともに、この梁状部材131の下方側の端部には、下側の軌道レール11に向けて突出した片持ち梁132が形成されている。またさらに、片持ち梁132の先端部には、下側の軌道レール11と接触する1つの支承用転動体である支承用ホイール133が転動自在な状態で設置されている。
【0046】
つまり、
図13で示される案内装置130は、支承用ホイール133を含む移動体21が上下2本の軌道レール11,11に架け渡されて設置されており、また、この移動体21は、上下2本のうちの上方側の軌道レール11に対して組み付けられる少なくとも1組の案内機構23と、上下2本のうちの下方側の軌道レール11と接触する1つの支承用ホイール133とを備えて構成されるものである。
【0047】
そして、この案内装置130では、
図13中の拡大図で示されるように、軌道レール11の左右側面のそれぞれに配された凹形状を形成する部位のうち、ホイール25や支承用ホイール133と接触する部位である転走面や支承用転走面を一定の曲率を持ったRa面とし、このRa面と接触するホイール25や支承用ホイール133の外形部位としての負荷転走面や支承用負荷転走面を一定の曲率を持ったRb面とし、Ra面とRb面が点接触するように構成することができる。また、点接触を行うRa面とRb面については、互いに異なる曲率を有するように構成することができ、例えば
図13で示されるように、「Ra面の曲率」>「Rb面の曲率」となるように構成することができる。さらに、この不等式のより具体的な条件として、
「Ra面の曲率」/「Rb面の曲率」>1.05
との条件式が成り立つように、点接触を行うRa面とRb面の曲率関係を構成することが望ましく、さらにより好ましくは、
「Ra面の曲率」/「Rb面の曲率」>1.10
との条件式が成り立つように構成することが好ましいことが、発明者らの鋭意研究によって確認されている。
【0048】
上記した条件式が成り立つように構成することで、
図14中の分図(a)で示すように、上下に配置された2本の軌道レール11,11が熱影響などによる変形によって2本のレール間距離が変化した場合であっても、Ra面とRb面が点接触する構成から、当該構成による調心性の作用によって接触点が適切に変動し、軌道レール11の転走面や支承用転走面と、ホイール25や支承用ホイール133の外形部位としての負荷転走面や支承用負荷転走面とが正常な接触状態を維持するので、好適な接触状態が常時維持されることとなる。
【0049】
また、上記した条件式が成り立つように構成することで、
図14中の分図(b)で示すように、上下に配置された2本の軌道レール11,11が取付誤差や加工誤差などによって横方向や斜め方向で傾斜した場合であっても、Ra面とRb面が点接触する構成から、当該構成による調心性の作用によって接触点が適切に変動し、軌道レール11の転走面や支承用転走面と、ホイール25や支承用ホイール133の外形部位としての負荷転走面や支承用負荷転走面とが正常な接触状態を維持するので、好適な接触状態が常時維持されることとなる。つまり、
図13に示される本発明の別の実施形態に係る案内装置130によれば、誤差吸収力に優れることで、移動体21が円滑に動作できる案内装置130を実現することができる。
【0050】
以上、
図13および
図14を用いて2本の軌道レール11,11が上下に配置された場合の案内装置130について説明を行ったが、本発明の案内装置では、複数の軌道部材が左右で水平位置に配置される構成を採用することもできる。つまり、
図13に示される本発明の別の実施形態に係る案内装置130を、
図13の紙面に対して垂直な方向で見て、左右のいずれかの方向に約90度回転させた状態で使用することもできる。
【0051】
また例えば、
図15には、
図13で示した支承用ホイール133を左右に1つずつ配置し、この左右一対の支承用ホイール133,133に移動プレート22が架け渡された状態で移動体21が構成される場合の案内装置150が示されている。
【0052】
そして、この案内装置150でも、
図15中の拡大図で示されるように、軌道レール11の上側面に配された凹形状を形成する部位のうち、支承用ホイール133と接触する部位である支承用転走面を一定の曲率を持ったRa面とし、このRa面と接触する支承用ホイール133の外形部位としての支承用負荷転走面を一定の曲率を持ったRb面とし、Ra面とRb面が点接触するように構成することができる。また、点接触を行うRa面とRb面については、互いに異なる曲率を有するように構成することができ、例えば
図15で示されるように、「Ra面の曲率」>「Rb面の曲率」となるように構成することができる。さらに、この不等式のより具体的な条件として、
「Ra面の曲率」/「Rb面の曲率」>1.05
との条件式が成り立つように、点接触を行うRa面とRb面の曲率関係を構成することが望ましく、さらにより好ましくは、
「Ra面の曲率」/「Rb面の曲率」>1.10
との条件式が成り立つように構成することが好ましいことが、発明者らの鋭意研究によって確認されている。
【0053】
上記した条件式が成り立つように構成することで、
図16中の分図(a)で示すように、左右に配置された2本の軌道レール11,11の互いの高さ位置に誤差が生じた場合であっても、Ra面とRb面が点接触する構成から、当該構成による調心性の作用によって接触点が適切に変動し、軌道レール11の支承用転走面と、支承用ホイール133の外形部位としての支承用負荷転走面とが正常な接触状態を維持するので、好適な接触状態が常時維持されることとなる。
【0054】
また、上記した条件式が成り立つように構成することで、
図16中の分図(b)で示すように、左右に配置された2本の軌道レール11,11のレール間距離に誤差が生じた場合であっても、Ra面とRb面が点接触する構成から、当該構成による調心性の作用によって接触点が適切に変動し、軌道レール11の支承用転走面と、支承用ホイール133の外形部位としての支承用負荷転走面とが正常な接触状態を維持するので、好適な接触状態が常時維持されることとなる。なお、
図15は、本発明の更に別の実施形態に係る案内装置の構成例を示す図であり、
図16は、
図15で示した本発明の更に別の実施形態に係る案内装置の動作状態を説明するための図である。つまり、
図15に示される本発明の更に別の実施形態に係る案内装置150によれば、誤差吸収力に優れることで、移動体21が円滑に動作できる案内装置150を実現することができる。
【0055】
なお、
図13~
図16で示した軌道レール11の支承用転走面と、支承用ホイール133の外形部位としての支承用負荷転走面についても、
図11を用いて説明した接触構造を採用することができる。すなわち、軌道レール11と支承用ホイール133との接触構造は所謂DB構造(軌道レール11の転走面と接触する支承用ホイール133の支承用負荷転走面との接触角線同士が、軌道レール11の外側で交差するように構成された構造)となっており、支承用ホイール133内部のホイール軸116aとボール116bとの接触構造は所謂DF構造(ホイール軸116aと接触するボール116bの接触角線同士が、ホイール軸116aの内側で交差するように構成された構造)となるという特徴を備えることができる。また、この接触構造は、逆の関係にすることができ、軌道レール11と支承用ホイール133との接触構造は所謂DF構造となっており、支承用ホイール133内部のホイール軸116aとボール116bとの接触構造は所謂DB構造となる構成を採用することもできる。つまり、
図13~
図16で示した構成例の案内装置130,150においても、DB構造とDF構造を組み合わせた構成とすることで調心性と剛性の両方のバランスが取れた接触構造を実現できる。
【0056】
以上説明した様な多様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0057】
10,130,150 案内装置、11 軌道レール(軌道部材)、11a 斜面(転走面)、11b 平面(転走面)、12 直線部、13 曲線部、14 取付孔、21 移動体(移動部材)、22 移動プレート、22a 保持部取付孔、23,23a,23b 案内機構、24 転動体保持部、24a 貫通孔、24b 転動体取付孔、24c 保持部取付軸、24d ナット、25 ホイール(転動体(負荷転走面を含む))、25a ホイール軸、25b ナット、26 カムフォロア(転動体(負荷転走面を含む))、26a カムフォロア軸、26b ナット、27 偏心ナット、27a 偏心貫通孔、81 軌道レール(軌道部材)、86 ホイール(転動体(負荷転走面を含む))、95,96,105a,105b,106a,106b 転動体(負荷転走面を含む)、111 軌道レール(軌道部材)、116 ホイール(転動体(負荷転走面を含む))、116a ホイール軸、116b ボール、131 梁状部材、132 片持ち梁、133 支承用ホイール(支承用転動体(支承用負荷転走面を含む))。