(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162530
(43)【公開日】2022-10-24
(54)【発明の名称】粒度測定装置、該方法および該プログラムならびに造粒装置および該方法
(51)【国際特許分類】
G01N 15/02 20060101AFI20221017BHJP
C22B 1/14 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
G01N15/02 C
C22B1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045609
(22)【出願日】2022-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2021066968
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】燒谷 将大
(72)【発明者】
【氏名】土屋(田中) 雅大
(72)【発明者】
【氏名】桑名 孝汰
(72)【発明者】
【氏名】大菅 宏児
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001BA02
4K001KA06
(57)【要約】
【課題】本発明は、より精度よく粒度を測定できる粒度測定装置、粒度測定方法および粒度測定プログラムを提供する。
【解決手段】本発明の粒度測定装置Dは、測定対象の粒状物質を撮像した前記測定対象の画像を取得する画像取得部1と、画像取得部1で取得した前記測定対象の画像から、第1画素および前記第1画素に対し所定の範囲内にある第2画素における各画素値間の関係に基づく統計的特徴量を求める統計的特徴量処理部22と、統計的特徴量と粒径との対応関係を表す対応関係情報を記憶する対応関係情報記憶部31と、統計的特徴量処理部22で求めた統計的特徴量に対応する粒径を、対応関係情報記憶部31に記憶された対応関係情報を用いて求める粒度処理部23とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の粒状物質を撮像した前記測定対象の画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部で取得した前記測定対象の画像から、第1画素および前記第1画素に対し所定の範囲内にある第2画素における各画素値間の関係に基づく統計的特徴量を求める統計的特徴量処理部と、
前記統計的特徴量と粒径との対応関係を表す対応関係情報を記憶する対応関係情報記憶部と、
前記統計的特徴量処理部で求めた統計的特徴量に対応する粒径を、前記対応関係情報記憶部に記憶された対応関係情報を用いて求める粒度処理部とを備える、
粒度測定装置。
【請求項2】
前記統計的特徴量処理部は、前記測定対象の画像を複数の領域に区分けし、前記複数の領域ごとに各統計的特徴量を求める、
請求項1に記載の粒度測定装置。
【請求項3】
前記統計的特徴量処理部は、前記画像取得部で取得した前記測定対象の画像における同時生起行列を求め、前記求めた同時生起行列における行と列との相関値を前記統計的特徴量として求める、
請求項1または請求項2に記載の粒度測定装置。
【請求項4】
前記所定の範囲は、前記第1画素に隣接する範囲である、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の粒度測定装置。
【請求項5】
前記測定対象の粒状物質を照明する照明部をさらに備える、
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の粒度測定装置。
【請求項6】
測定対象の粒状物質を撮像した前記測定対象の画像を取得する画像取得工程と、
前記画像取得工程で取得した前記測定対象の画像から、第1画素および前記第1画素に対し所定の範囲内にある第2画素における各画素値間の関係に基づく統計的特徴量を求める統計的特徴量処理工程と、
前記統計的特徴量と粒径との対応関係を表す対応関係情報を用いて、前記統計的特徴量処理工程で求めた統計的特徴量に対応する粒径を求める粒度処理工程とを備える、
粒度測定方法。
【請求項7】
コンピュータに、
測定対象の粒状物質を撮像した前記測定対象の画像を取得する画像取得工程と、
前記画像取得工程で取得した前記測定対象の画像から、第1画素および前記第1画素に対し所定の範囲内にある第2画素における各画素値間の関係に基づく統計的特徴量を求める統計的特徴量処理工程と、
前記統計的特徴量と粒径との対応関係を表す対応関係情報を用いて、前記統計的特徴量処理工程で求めた統計的特徴量に対応する粒径を求める粒度処理工程とを実行させる、
粒度測定プログラム。
【請求項8】
原料から、所定の造粒条件で粒状物質を造粒する造粒部と、
前記造粒部で造粒された粒状物質を、前記測定対象として前記粒状物質の粒径を求める請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の粒度測定装置と、
前記粒度測定装置で求めた前記粒状物質の粒径に基づいて、前記所定の造粒条件を調整する調整部とを備える、
造粒装置。
【請求項9】
前記粒状物質は、前記原料としての粉鉱石に、バインダの生石灰を添加し、所定量の水分を加えて造粒した鉄鉱石の造粒物であり、
前記調整部は、前記粉鉱石が複数の種類を含む場合における混合割合、前記生石灰の添加量、および、前記水分の所定量のうちの少なくとも1つを調整する、
請求項8に記載の造粒装置。
【請求項10】
原料から、所定の造粒条件で粒状物質を造粒する造粒工程と、
前記造粒工程で造粒された粒状物質を、前記測定対象として前記粒状物質の粒径を求める請求項6に記載の粒度測定方法と、
前記粒度測定方法で求めた前記粒状物質の粒径に基づいて、前記所定の造粒条件を調整する調整工程とを備える、
造粒方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒度を測定する粒度測定装置、粒度測定方法および粒度測定プログラム、ならびに、これらを備えた、粒状物質を造粒する造粒装置および造粒方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粒径(粒子径)や粒径分布(粒子径分布)等の粒度の測定は、粒子状の原材料や製品を扱う様々な分野で、例えば製造条件の設定や品質評価等のために、必要とされている。一例では、高炉の装入原料である鉄鉱石ペレットは、ペレット原料である粉鉱石に必要に応じて副原料やバインダを添加し、さらに所定量の水分を加えて造粒機によって生ペレットを造粒し、これを乾燥および焼成することによって、製造される。生ペレットの造粒段階において、ペレット原料の粒度、供給量、添加水分量等の造粒条件の変動や造粒機内への付着物の生成状況の変化等によって、生ペレットの粒度が変動することが知られている。一方、高炉の装入原料には、高炉内における通気性を確保するために均一なペレット径であることが要求される。そのため、造粒機で造粒された生ペレットの粒度が測定される。この粒度の測定方法は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
この特許文献1に開示された粒状体の平均粒度測定方法は、堆積した粒状体の平均粒度を測定する方法において、堆積した粒状体を撮影した画像のパワースペクトルのn次モーメントMn(n=0、1、2、・・・)のうち、少なくとも1つの次数のモーメントを用いて粒状体の平均粒度を求めるようにしたものであり、その一態様では、前記堆積した粒状体を撮影した画像を2値化または浮動2値化することによって粒子抽出画像が生成され、この粒子抽出画像のパワースペクトルのn次モーメントMnが用いられる。前記浮動2値化は、前記画像を移動平均することによってぼかし画像を生成し、前記画像から前記ぼかし画像を差し引いた画像を生成し、この差し引いた画像を2値化することによって実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平6-75030号公報(特開平2-264845号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1に開示された粒状体の平均粒度測定方法では、画像に単体の微小粒子と大粒径粒子に付着または堆積した微小粒子とが混在する場合、画像のパワースペクトルは、これらを同様に扱うため、粒度の精度が低下してしまう。前記2値化または浮動2値化の際に用いられる閾値によって、同じ画像内でノイズに埋もれてしまう粒子の輪郭が存在するため、粒度の精度が低下してしまう。前記浮動2値化では、前記画像から前記ぼかし画像を差し引くため、細粒が埋もれてしまうため、粒度の精度が低下してしまう。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、より精度よく粒度を測定できる粒度測定装置、粒度測定方法および粒度測定プログラムを提供することである。そして、本発明は、前記粒度測定装置を備えた造粒装置および前記粒径測定方法を備えた造粒方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる粒度測定装置は、測定対象の粒状物質を撮像した前記測定対象の画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部で取得した前記測定対象の画像から、第1画素および前記第1画素に対し所定の範囲内にある第2画素における各画素値間の関係に基づく統計的特徴量を求める統計的特徴量処理部と、前記統計的特徴量と粒径との対応関係を表す対応関係情報を記憶する対応関係情報記憶部と、前記統計的特徴量処理部で求めた統計的特徴量に対応する粒径を、前記対応関係情報記憶部に記憶された対応関係情報を用いて求める粒度処理部とを備える。好ましくは、上述の粒度測定装置において、前記粒度処理部は、さらに、前記測定対象の画像における粒径分布(粒子径分布)を求める。好ましくは、上述の粒度測定装置において、前記画像取得部は、前記測定対象の粒状物質を撮像して前記測定対象の画像を生成する撮像装置である。好ましくは、上述の粒度測定装置において、前記画像取得部は、外部の機器との間でデータを入出力するインターフェース回路であり、前記外部の機器は、前記測定対象の画像を記憶した記憶媒体である。好ましくは、上述の粒度測定装置において、前記画像取得部は、外部の機器との間でデータを入出力するインターフェース回路であり、前記外部の機器は、前記測定対象の画像を記録した記録媒体からデータを読み込むドライブ装置である。好ましくは、上述の粒度測定装置において、前記画像取得部は、外部の機器と通信信号を送受信する通信インターフェース回路であって、前記外部の機器は、ネットワークを介して前記通信インターフェース回路に接続され、前記測定対象の画像を管理するサーバ装置である。
【0008】
このような粒度測定装置は、前記測定対象の画像から、第1および第2画素における各画素値間の関係に基づく統計的特徴量を求め、これを粒径(粒子径)に換算するので、より精度よく粒度を測定できる。
【0009】
他の一態様では、上述の粒度測定装置において、前記統計的特徴量処理部は、前記測定対象の画像を複数の領域に区分けし、前記複数の領域ごとに各統計的特徴量を求める。好ましくは、上述の粒度測定装置において、前記複数の領域は、前記測定対象の画像を網目状(メッシュ状)に区分けされた各網目である。
【0010】
このような粒度測定装置は、領域の統計的特徴量を求めて粒径に換算するので、領域の大きさ(サイズ、面積)を調整することで、検出したい粒径の選択が可能となる。これにより、単体の微小粒状物質と、大粒径の粒状物質に付着または積層した微小粒状物質とが混在して前記測定対象の画像に写り込んでいる場合に、前記単体の微小粒状物質の割合がより正確に測定できる。
【0011】
他の一態様では、これら上述の粒度測定装置において、前記統計的特徴量処理部は、前記画像取得部で取得した前記測定対象の画像における同時生起行列を求め、前記求めた同時生起行列における行と列との相関値を前記統計的特徴量として求める。好ましくは、上述の粒度測定装置において、前記同時生起行列は、各画素値それぞれについて、当該画素(注目画素、基準画素)の第1画素値と当該画素に隣接する隣接画素の第2画素値との関係が同一である隣接画素対の発生確率を表す行列である。好ましくは、上述の粒度測定装置において、前記同時生起行列は、各画素値それぞれについて、当該画素(注目画素、基準画素)の第1画素値と当該画素に行方向右側で隣接する隣接画素の第2画素値との関係が同一である隣接画素対の発生確率を表す行列である。
【0012】
このような粒度測定装置は、同時生起行列を用いることによって、簡単な情報処理(簡単な演算処理)で統計的特徴量を求めることができる。
【0013】
他の一態様では、これら上述の粒度測定装置において、前記所定の範囲は、前記第1画素に隣接する範囲である。好ましくは、上述の粒度測定装置において、前記第1および第2画素は、互いに隣接する2個の画素である。好ましくは、上述の粒度測定装置において、前記所定の範囲は、画像の水平方向(行方向)の一方側(右側)または他方側(左側)で前記第1画素に隣接する範囲である。好ましくは、上述の粒度測定装置において、前記所定の範囲は、画像の垂直方向(列方向)の一方側(上側)または他方側(下側)で前記第1画素に隣接する範囲である。好ましくは、上述の粒度測定装置において、前記所定の範囲は、第1斜め方向(右上方向)、第2斜め方向(左上方向)、第3斜め方向(右下方向)または第4斜め方向(左下方向)に前記第1画素に範囲である。
【0014】
これによれば、前記所定の範囲を前記第1画素に隣接する範囲とした粒度測定装置が提供できる。
【0015】
他の一態様では、これら上述の粒度測定装置において、前記測定対象の粒状物質を照明する照明部をさらに備える。
【0016】
このような粒度測定装置は、照明部をさらに備えるので、一定の照明環境下で粒度を測定できるので、測定精度のばらつきを低減できる。
【0017】
本発明の他の一態様にかかる粒度測定方法は、測定対象の粒状物質を撮像した前記測定対象の画像を取得する画像取得工程と、前記画像取得工程で取得した前記測定対象の画像から、第1画素および前記第1画素に対し所定の範囲内にある第2画素における各画素値間の関係に基づく統計的特徴量を求める統計的特徴量処理工程と、前記統計的特徴量と粒径との対応関係を表す対応関係情報を用いて、前記統計的特徴量処理工程で求めた統計的特徴量に対応する粒径を求める粒度処理工程とを備える。
【0018】
本発明の他の一態様にかかる粒度測定プログラムは、コンピュータに、測定対象の粒状物質を撮像した前記測定対象の画像を取得する画像取得工程と、前記画像取得工程で取得した前記測定対象の画像から、第1画素および前記第1画素に対し所定の範囲内にある第2画素における各画素値間の関係に基づく統計的特徴量を求める統計的特徴量処理工程と、前記統計的特徴量と粒径との対応関係を表す対応関係情報を用いて、前記統計的特徴量処理工程で求めた統計的特徴量に対応する粒径を求める粒度処理工程とを実行させるプログラムである。
【0019】
このような粒度測定方法および粒度測定プログラムは、前記測定対象の画像から、隣接画素における各画素値間の関係に基づく統計的特徴量を求め、これを粒径(粒子径)に換算するので、より精度よく粒度を測定できる。
【0020】
本発明の他の一態様にかかる造粒装置は、原料から、所定の造粒条件で粒状物質を造粒する造粒部と、前記造粒部で造粒された粒状物質を、前記測定対象として前記粒状物質の粒径を求める、これら上述のいずれかの粒度測定装置と、前記粒度測定装置で求めた前記粒状物質の粒径に基づいて、前記所定の造粒条件を調整する調整部とを備える。
【0021】
これによれば、これら上述のいずれかの粒度測定装置を備えた造粒装置が提供できる。上記造粒装置は、所定の造粒条件を調整するので、所定の粒度を目標とした粒状物質を造粒できる。
【0022】
他の一態様では、上述の造粒装置において、前記粒状物質は、前記原料としての粉鉱石に、バインダの生石灰を添加し、所定量の水分を加えて造粒した鉄鉱石の造粒物の生ペレットであり、前記調整部は、前記粉鉱石が複数の種類を含む場合における混合割合、前記生石灰の添加量、および、前記水分の所定量のうちの少なくとも1つを調整する。
【0023】
このような造粒装置は、所定の粒度を目標とした鉄鉱石の造粒物を造粒できる。
【0024】
本発明の他の一態様にかかる造粒方法は、原料から、所定の造粒条件で粒状物質を造粒する造粒工程と、前記造粒工程で造粒された粒状物質を、前記測定対象として前記粒状物質の粒径を求める、上述の粒度測定方法と、前記粒度測定方法で求めた前記粒状物質の粒径に基づいて、前記所定の造粒条件を調整する調整工程とを備える。
【0025】
これによれば、上述の粒度測定方法を備えた造粒方法が提供できる。上記造粒方法は、所定の造粒条件を調整するので、所定の粒度を目標とした粒状物質を造粒できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる粒度測定装置、粒度測定方法および粒度測定プログラムは、より精度よく粒度を測定できる。そして、本発明によれば、前記粒度測定装置を備えた造粒装置および前記粒径測定方法を備えた造粒方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】第1実施形態における粒度測定装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】一例として、造粒プロセスに前記粒度測定装置を利用する場合を説明するための図である。
【
図3】第1行について、グレーレベル同時生起行列の演算方法を説明するための図である。
【
図4】第1行について、グレーレベル同時生起行列の演算方法を説明するための図である。
【
図5】第2ないし第6行について、グレーレベル同時生起行列の演算方法を説明するための図である。
【
図6】一例として、演算結果のグレーレベル同時生起行列を説明するための図である。
【
図7】他の一例として、演算結果のグレーレベル同時生起行列を説明するための図である。
【
図8】測定対象の画像に対する同時生起行列における行と列との相関値を説明するための図である。
【
図9】統計的特徴量の演算方法を説明するための図である。
【
図10】前記粒度測定装置の動作を示すフローチャートである。
【
図11】実測結果と前記粒度測定装置の測定結果との相関性を示す図である。
【
図12】前記粒度測定装置による一具体例の測定結果を説明するための図である。
【
図13】第2実施形態における造粒システムの構成を示す模式図である。
【
図14】前記造粒システムの造粒装置におけるドラムミキサの概略図である。
【
図15】前記造粒システムにおける造粒制御装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図16】造粒条件の調整に関する造粒制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0029】
実施形態における粒度測定装置は、測定対象の粒状物質における粒径(粒子径)や粒径分布(粒子径分布)等の粒度を測定する装置である。この粒度測定装置は、測定対象の粒状物質を撮像した前記測定対象の画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部で取得した前記測定対象の画像から、第1画素および前記第1画素に対し所定の範囲内にある第2画素における各画素値間の関係に基づく統計的特徴量を求める統計的特徴量処理部と、前記統計的特徴量と粒径との対応関係を表す対応関係情報を記憶する対応関係情報記憶部と、前記統計的特徴量処理部で求めた統計的特徴量に対応する粒径を、前記対応関係情報記憶部に記憶された対応関係情報を用いて求める粒度処理部とを備える。以下、このような粒度測定装置について、一例として、高炉用の鉄鉱石ペレットおよび焼結鉱の製造における造粒プロセスに適用される例を用いて説明するが、粒状物質は、鉄鉱石ペレットや焼結鉱製造時の造粒物に限定されるものではなく、粒状(粒子状)であれば、任意の物質(例えば原材料や製品等)であってよい。
【0030】
図1は、第1実施形態における粒度測定装置の構成を示すブロック図である。
図2は、一例として、造粒プロセスに前記粒度測定装置を利用する場合を説明するための図である。
図2Aは、全体を示す模式図であり、
図2Bは、画像取得部辺りを示す模式図である。
図3は、第1行について、グレーレベル同時生起行列の演算方法を説明するための図である。
図3Aおよび
図3Cは、画像の各画素値を示し、
図3Bおよび
図3Cは、同時生起行列を示す。
図4は、第1行について、グレーレベル同時生起行列の演算方法を説明するための図である。
図4Aおよび
図4Cは、画像の各画素値を示し、
図4Bおよび
図4Cは、同時生起行列を示す。
図5は、第2ないし第6行について、グレーレベル同時生起行列の演算方法を説明するための図である。
図5Aおよび
図5Cは、画像の各画素値を示し、
図5Bおよび
図5Cは、同時生起行列を示す。
図6は、一例として、演算結果のグレーレベル同時生起行列を説明するための図である。
図6Aは、画像の各画素値を示し、
図6Bは、同時生起行列を示し、
図6Cは、同時生起行列のヒートマップを示す。
図7は、他の一例として、演算結果のグレーレベル同時生起行列を説明するための図である。
図7Aは、画像の各画素値を示し、
図7Bは、同時生起行列を示し、
図7Cは、同時生起行列のヒートマップを示す。
図8は、測定対象の画像に対する同時生起行列における行と列との相関値を説明するための図である。
図8Aは、前記相関値を示し、
図8Bないし
図8Eは、サンプル画像番号1~4の各サンプル画像を示す。
図8Aの横軸は、サンプル画像番号であり、その縦軸は、前記相関値(COR)である。
図9は、統計的特徴量の演算方法を説明するための図である。
図9Aは、画像を示し、
図9Bは、領域ごとの統計的特徴量を示し、
図9Cは、各統計的特徴量のヒストグラムを示す。
【0031】
第1実施形態における粒度測定装置Dは、例えば、
図1に示すように、画像取得部1と、制御処理部2と、記憶部3と、入力部4と、出力部5と、インターフェース部(IF)6とを備える。
【0032】
画像取得部1は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、測定対象の粒状物質を撮像した前記測定対象の画像を取得する装置である。画像取得部1は、例えば、前記測定対象の粒状物質を撮像して前記測定対象の画像を生成する撮像装置である。前記撮像装置は、例えば、カラーデジタルカメラやモノクロデジタルカメラ等である。あるいは、画像取得部1は、例えば、外部の機器との間でデータを入出力するインターフェース回路である。前記外部の機器は、前記測定対象の画像を記憶した、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリおよびSDカード(登録商標)等の記憶媒体である。あるいは、前記外部の機器は、前記測定対象の画像を記録した、例えばCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Compact Disc Recordable)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)およびDVD-R(Digital Versatile Disc Recordable)等の記録媒体からデータを読み込むドライブ装置である。この画像取得部1としてのインターフェース回路は、有線または無線によって前記外部の機器に接続されてよい。あるいは、画像取得部1は、例えば、外部の機器と通信信号を送受信する通信インターフェース回路であって、前記外部の機器は、ネットワーク(WAN(Wide Area Network、公衆通信網を含む))あるいはLAN(Local Area Network)を介して前記通信インターフェース回路に接続され、前記測定対象の画像を管理するサーバ装置である。なお、画像取得部1がインターフェース回路や通信インターフェース回路である場合では、画像取得部1は、IF部6と兼用されてもよい(すなわち、IF部6が画像取得部1として用いられてもよい)。
【0033】
本実施形態では、粒度測定装置Dは、例えば、高炉の造粒プロセスに利用され、略リアルタイムに鉄鉱石ペレットの粒度を測定するために、画像取得部1は、カラーデジタルカメラ(以下、「カメラ」と略記する)1である。なお、画像取得部1は、モノクロデジタルカメラであってもよい。
【0034】
この高炉用の鉄鉱石ペレットの造粒プロセスでは、例えば、
図2Aに示すように、造粒機として2機のパン型造粒機P-1、P-2が並列に設けられている。各造粒機P-1、P-2には、それぞれ粉鉱石に、必要に応じて石灰石等の副原料やベントナイト等のバインダを配合し、さらに所定量の水分を添加した造粒原料が供給され、各造粒機P-1、P-2を所定の傾斜角度および回転数で回転することによって、前記造粒原料がペレットに造粒される。各造粒機P-1、P-2から排出された生ペレット(造粒ペレット)Obは、それぞれ搬送用コンベアB-1、B-2で搬出された後、集合コンベアB-3上で合流され、このコンベアB-3から図略の振動篩を経由して所定の粒度幅に篩われた後、乾燥および焼成のために、グレート・キルン等の図略の焼成炉へ搬送される。
【0035】
このような造粒プロセスを実施するプラントにおいて、粒度測定装置Dの画像取得部1は、例えば、搬送用コンベアB-1、B-2上に乗って搬送される造粒ペレット(粒状物質の一例)Obを上方から、より具体的には、
図2Aおよび
図2Bに示すように、直上から撮像するように、配設されたカメラ1a(1a-1、1a-2)を備える。画像取得部1は、
図2に示す例では、カメラ1aだけでなく、造粒ペレットObを斜め上方から照明するために、搬送用コンベアB-1、B-2の搬送方向に直交する方向に沿ってカメラ1aを介して並置された1対の照明装置1b(1b-1、1b-2)、1c(1c-1、c-2)も備えている。カメラ1aの左右から1対の照明装置1b、1cによって、搬送用コンベアB上において造粒ペレットObの有無に応じて輝度の変化を生じるような明るさで造粒ペレットObの影を生成するように造粒ペレットObを意図的に照明することで、測定対象の造粒ペレットObにおける輝度変化を安定的に出現できる。したがって、粒度測定装置Dは、このような一定の照明環境下で粒径を測定できるので、測定精度のばらつきを低減できる。画像取得部1としての、カメラ1aおよび1対の照明装置1b、1cのセット(組)は、2機の搬送用コンベアB-1、B-2に対応して2個(2セット)あり、カメラ1a-1および1対の照明装置1b-1、1c-1の第1セットは、搬送用コンベアB-1に対して配設され、カメラ1a-2および1対の照明装置1b-2、1c-2の第2セットは、搬送用コンベアB-2に対して配設されている。カメラ1aおよび1対の照明装置1b、1cのセットは、搬送用コンベアBに対し、同様に配設されるので、
図2Bには、搬送用コンベアB-1に対して配設されるカメラ1a-1および1対の照明装置1b-1、1c-1の第1セットが主に図示され、搬送用コンベアB-2に対して配設されているカメラ1a-2および1対の照明装置1b-2、1c-2の第2セットは、カメラ1a-2および1対の照明装置1b-2、1c-2それぞれに対応するカメラ1a-1および1対の照明装置1b-1、1c-1の符号の後に、カメラ1a-2および1対の照明装置1b-2、1c-2の符号を括弧書きで記載することで、図示されている。
【0036】
入力部4は、制御処理部2に接続され、例えば粒度測定装置Dによって測定対象の粒度の測定開始を指示するコマンド等の各種コマンド、および、例えば測定の年月日等の、粒度測定装置Dの稼働を行う上で必要な各種データを粒度測定装置Dに入力する装置であり、例えば、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチ、キーボードおよびマウス等である。出力部5は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、入力部4から入力されたコマンドやデータ、および、粒度測定装置Dによって測定された粒度等を出力する装置であり、例えばCRTディスプレイ、LCD(液晶表示装置)および有機ELディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
【0037】
なお、入力部4および出力部5は、タッチパネルより構成されてもよい。このタッチパネルを構成する場合において、入力部4は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等の操作位置を検出して入力する位置入力装置であり、出力部5は、表示装置である。このタッチパネルでは、表示装置の表示面上に位置入力装置が設けられ、表示装置に入力可能な1または複数の入力内容の候補が表示され、ユーザが、入力したい入力内容を表示した表示位置に触れると、位置入力装置によってその位置が検出され、検出された位置に表示された表示内容がユーザの操作入力内容として粒度測定装置Dに入力される。このようなタッチパネルでは、ユーザは、入力操作を直感的に理解し易いので、ユーザにとって取り扱い易い粒度測定装置Dが提供される。
【0038】
IF部6は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、例えば、外部の機器との間でデータを入出力する回路であり、例えば、シリアル通信方式であるRS-232Cのインターフェース回路、Bluetooth(登録商標)規格を用いたインターフェース回路、および、USB規格を用いたインターフェース回路等である。また、IF部6は、例えば、データ通信カードや、IEEE802.11規格等に従った通信インターフェース回路等の、外部の機器と通信信号を送受信する通信インターフェース回路であってもよい。
【0039】
記憶部3は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、粒度測定装置Dの各部1、3~6を制御する制御プログラムや、画像取得部1で取得した測定対象の画像から、第1画素および前記第1画素に対し所定の範囲内にある第2画素における各画素値間の関係に基づく統計的特徴量を求める統計的特徴量処理プログラムや、前記統計的特徴量処理プログラムで求めた統計的特徴量に対応する粒径を、後述の対応関係情報記憶部31に記憶された対応関係情報を用いて求める粒度処理プログラム等の制御処理プログラムが含まれる。前記各種の所定のデータには、画像取得部1によって取得された測定対象の画像や前記対応関係情報等の、これら各プログラムを実行する上で必要なデータが含まれる。このような記憶部3は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部3は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部2のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。また、記憶部3は、比較的記憶容量の大きいハードディスク装置を備えて構成されてもよい。
【0040】
そして、記憶部3は、前記対応関係情報を記憶する対応関係情報記憶部31を機能的に備える。前記対応関係情報は、前記統計的特徴量と粒状物質の粒径との対応関係を表す情報である。より具体的には、前記対応関係情報は、前記測定対象の画像の同時生起行列における行と列との相関値を、前記統計的特徴量とし、前記相関値と粒状物質の粒径との対応関係を表す情報である。前記対応関係情報は、例えば、複数のサンプルから予め作成され、対応関係情報記憶部31に記憶される。前記相関値は、粒状物質Obの粒径を評価するための指標として機能する。
【0041】
制御処理部2は、粒度測定装置Dの各部1、3~6を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、測定対象の粒状物質の粒度を測定するための回路である。制御処理部2は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部2は、制御処理プログラムが実行されることによって、制御部21、統計的特徴量処理部22および粒度処理部23を機能的に備える。
【0042】
制御部21は、粒度測定装置Dの各部1、3~6を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、粒度測定装置Dの全体制御を司るものである。
【0043】
統計的特徴量処理部22は、画像取得部1で取得した測定対象の画像から、第1画素および前記第1画素に対し所定の範囲内にある第2画素における各画素値間の関係に基づく統計的特徴量を求めるものである。より具体的には、統計的特徴量処理部22は、前記画像取得部で取得した前記測定対象の画像における同時生起行列を求め、前記求めた同時生起行列における行と列との相関値を前記統計的特徴量として求める。
【0044】
粒度処理部23は、統計的特徴量処理部22で求めた統計的特徴量に対応する粒径を、対応関係情報記憶部31に記憶された対応関係情報を用いて求めるものである。本実施形態では、粒度処理部23は、さらに、前記測定対象の画像における粒径分布(粒子径分布)を求める。前記粒径分布(粒子径分布)は、前記測定対象の画像に写り込んだ複数の粒子における粒径ごとの個数を表したヒストグラムである。より具体的には、粒度処理部23は、統計的特徴量処理部22で求めた相関値に対応する粒径を、対応関係情報記憶部31に記憶された対応関係情報を用いて求め、粒径の階級ごとに出現頻度を求めて粒径のヒストグラムを求めることによって、前記測定対象の画像における粒径分布(粒子径分布)を求める。あるいは、粒度処理部23は、統計的特徴量処理部22で求めた相関値に対し、相関値の階級ごとに出現頻度を求めて相関値のヒストグラムを求め、相関値の階級を、対応関係情報記憶部31に記憶された対応関係情報を用いて粒径に換算して前記測定対象の画像における粒径分布を求める。
【0045】
ここで、統計的特徴量およびこの統計的特徴量と粒径との関係について説明する。粒状物質Obの有無に応じて輝度の変化を生じるような明るさで粒状物質Obの影を生成するように粒状物質Obを照明すると、カラー画像を例えば256階調のグレースケールに変換した画像(RGBの画素値を公知の変換式によって輝度値に変換した画像)では、粒状物質Obが写り込んだ画素の画素値は、最も明るい輝度値255に近い画素値になる一方、その影が写り込んだ画素の画素値は、最も暗い黒の輝度値0になる。このため、粒状物質Obの粒径が小さくなるに従って、影による黒の輝度値0の画素と、粒状物質Obに照射された輝度値255に近い輝度値の画素とが交互に出現する頻度(確率)が高くなる。したがって、或る注目する画素(注目画素)に対し、近隣で前記注目画素の輝度値と同じような輝度値を持つ画素が出現する確率が高い場合、粒状物質Obの粒径が大きいと推定でき、一方、近隣で前記注目画素の輝度値と異なる輝度値を持つ画素が出現する確率が高い場合、粒状物質Obの粒径が小さいと推定できる。よって、例えば、或る輝度値(0~255)の画素に対する近隣の画素に出現する輝度値の確率分布によって粒状物質Obの粒径が推定できる。このため、前記統計的特徴量は、第1画素および前記第1画素に対し所定の範囲内にある第2画素における各画素値間の関係に基づく量(値)であり、例えば、測定対象の画像における、近隣画素同士の画素値の差、近隣画素同士の画素値の比率、前記差や前記比率に基づく類似度、前記差や前記比率に基づく相違度、前記差や比率の周期性、または、前記差や比率の確率分布等である。前記所定の範囲は、複数のサンプルから、前記統計的特徴量と粒状物質Obの粒径とが相関する範囲で適宜に設定され、例えば、前記所定の範囲は、前記第1画素に隣接する範囲である。すなわち、前記第1および第2画素は、互いに隣接する2個の画素である。一例では、前記所定の範囲は、画像の水平方向(行方向)の一方側(右側)または他方側(左側)で前記第1画素に隣接する範囲である。前記第1および第2画素の最小距離は、1画素分、最大距離は、計測対象である粒度の最小粒径を、2次元画像上で見たとき粒内の最大直径に対応する画素数とする。他の一例では、前記所定の範囲は、画像の垂直方向(列方向)の一方側(上側)または他方側(下側)で前記第1画素に隣接する範囲である。他の一例では、前記所定の範囲は、第1斜め方向(右上方向)、第2斜め方向(左上方向)、第3斜め方向(右下方向)または第4斜め方向(左下方向)に前記第1画素に範囲である。
【0046】
このような統計的特徴量は、一例として、近隣画素同士の輝度値の確率分布である場合、画像のテクスチャ(画素値の空間分布パターン)に関する情報を抽出するグレーレベル同時生起行列(Gray Level Cooccurence Matrix、GLCM)フィルタで求めることができる。このGLCMフィルタは、フィルタウィンドウの各位置において、特定のセル値のペアが隣り合う位置(例えば右隣に在るセルや上隣に在るセルや全方向に隣接して在るセル等)に発生する頻度(確率)を計算するものである。すなわち、GLCMフィルタは、画像における濃度α(一例では輝度値)の点(一例では画素)から、変位δ(距離r、方向θ)だけ離れた点の濃度がβである確率Pδ(α、β)を要素とする行列(同時生起行列)である。
【0047】
より具体的には、例えば、
図3ないし
図6において、256階調の画像では、GLCMは、256行256列であって各要素が0から1までの値である行列となる。各行の値は、注目画素(基準画素)の画素値(この例では0~255の輝度値)を表し、各列は、注目画素に例えば行方向右側に隣接する画素(隣接画素)の画素値(この例では0~255の輝度値)を表す。例えば、
図3Aや
図3C等に示す、滑らかに変化する画素値(この例では0~255の輝度値)を持つ6×6の画像の場合、注目画素の画素値が0であって隣接画素の画素値が0であるペアの頻度(総個数)は、
図3A等に示す画像には、存在せず、0個であるから、頻度で表すGLCM(頻度GLCM)の1行1列の要素は、
図3Bに示すように、0となる。注目画素の画素値が0であって隣接画素の画素値が1であるペアの頻度(総個数)は、
図3A等に示す画像には、
図3Cに示すように、1個、存在するから、頻度GLCMの1行2列の要素は、
図3Dに示すように、1となる。注目画素の画素値が0であって隣接画素の画素値が2であるペアの頻度(総個数)は、
図3A等に示す画像には、
図4Aに示すように、存在せず、0個であるから、頻度GLCMの1行3列の要素は、
図4Bに示すように、0となる。以下同様に、注目画素の画素値が0であって隣接画素の画素値がkであるペアの頻度(総個数)が頻度GLCMの1行k+1列の要素となり(k=0~255)、
図4Dに示すように、頻度GLCMの1行目の各要素が求められる。注目画素の画素値が1であって隣接画素の画素値がkであるペアの頻度(総個数)が頻度GLCMの2行k+1列の要素となり、
図5Bに示すように、頻度GLCMの2行目の各要素が求められる。例えば、注目画素の画素値が1であって隣接画素の画素値が2であるペアの頻度(総個数)は、
図3A等に示す画像には、
図5Aに示すように、2個、存在するから、頻度GLCMの2行3列の要素は、
図5Bに示すように、2となる。以下同様に、6行目まで頻度GLCMの各要素を求めると、
図5Dに示すようになる。例えば、注目画素の画素値が4であって隣接画素の画素値が5であるペアの頻度(総個数)は、
図3A等に示す画像には、
図5Cに示すように、5個、存在するから、頻度GLCMの5行6列の要素は、
図5Dに示すように、5となる。このように注目画素の画素値がmであって隣接画素の画素値がnであるペアの頻度(総個数)が頻度GLCMのm+1行n+1列の要素となり(m=0~255、n=0~255)、
図3Aや
図6A等に示す画像の頻度GLCMは、
図6Bに示すようになり、そのヒードマップは、
図6Cに示すようになる。そして、GLCMは、頻度GLCMの各要素それぞれを、画像の画素数総和で除算して各要素の各確率を求めることで求められる。前記画像数総和は、前記画像がM行N列のサイズであって(全画素数M×N)、近隣画素が注目画素からK画素離れている場合、上述の例のように、近隣画素が注目画素の行方向(左右方向)で近隣するとき、画素数総和は、M×(N-K)となり、あるいは、近隣画素が注目画素の列方向(上下方向)で近隣するとき、画素数総和は、(M-K)×Nとなり、あるいは、近隣画素が注目画素の斜め方向で近隣するとき、画素数総和は、(M-K)×(N-K)となる。
【0048】
このように
図3ないし
図6に示す例では、前記同時生起行列は、各画素値それぞれについて、当該画素(注目画素、基準画素)の第1画素値と当該画素に行方向右側に隣接する隣接画素の第2画素値との関係が同一である隣接画素対の発生確率を表す行列である。
【0049】
また、
図7Aに示す、ノイズを含みつつ滑らかに変化する画素値(この例では0~255の輝度値)を持つ6×6の画像の場合、その頻度GLCMは、
図7Bに示すようになり、そのヒードマップは、
図7Cに示すようになる。
【0050】
測定対象の画像に対する同時生起行列が求められれば、確率分布に基づき粒径を推計できるが、本実施形態では、注目画素に対する近隣画素の画素値(この例では輝度値)の相関値が、-1~+1の範囲で正規化されて求められる。より具体的には、上述のように求めた、測定対象の画像に対する同時生起行列から、次式1によって、前記同時生起行列における行と列との相関値CORが、前記統計的特徴量として求められる。ここで、iは、注目画素の輝度値であり、jは、近隣画素の輝度値であり、Pσ(i、j)は、前記同時生起行列におけるi行j列の要素の値(発生確率)である。
【0051】
【0052】
この相関値は、
図8Aに示すように、
図8Bに示すサンプル画像番号1の一様な画像では、+1となり、
図8Cないし
図8Eに示すサンプル画像番号2~4の各画像のように、隣同士の輝度値が変化する頻度が、多くなるに従って、-1に近づくプロファイルを持つ。
【0053】
そして、本実施形態では、測定対象の画像に写り込む複数の粒状物質Obにおける各粒径は、一様であることは少ないため、統計的特徴量処理部22は、例えば、
図9Aに示すように、前記測定対象の画像PCを複数の領域AR(AR11~AR45)に区分けし、
図9Bに示すように、前記複数の領域ARごとに各統計的特徴量を求める。
図9Bにおいて、各領域ARにおける□内に記載された数値が前記統計的特徴量としての相関値である。
図9Aに示す例では、画像PCは、4×5の20個の領域AR11~AR15、AR21~AR25、AR31~AR35、AR41~AR45に区分けされている。この例では、前記複数の領域ARは、前記測定対象の画像PCを網目状(メッシュ状)に区分けされた矩形の各網目である。なお、網目の形状は、矩形に限らず、例えばハニカム(honeycomb)様に区分けするために正六角形等の他の形状であってもよい。前記領域ARの大きさ(サイズ)は、検出したい粒径範囲のうちの最大値に設定することが好ましい。
【0054】
粒度処理部23は、例えば、
図9Cに示すように、統計的特徴量処理部22で求めた相関値CORに対し、相関値の階級ごとに出現頻度を求めて相関値のヒストグラムを求め、相関値の階級を、対応関係情報記憶部31に記憶された対応関係情報を用いて粒径に換算して前記測定対象の画像における粒径分布を求める。
図9Cに示す例では、0~0.1(0以上0.1未満)、0.2~0.3(0.2以上0.3未満)、0.3~0.4(0.3以上0.4未満)、0.4~0.5(0.4以上0.5未満)、0.5~1(0.5以上1以下)の5個の階級とされている。
【0055】
これら制御処理部2、記憶部3、入力部4、出力部5およびIF部6は、例えば、デスクトップ型やノート型等のコンピュータによって構成可能である。これら各部2~6を構成するコンピュータは、例えば、造粒プロセスのプラントにおけるオペレーションルームに配置され、コンソールに組み込まれてよく(コンソールと兼用されてよく)、あるいは、コンソールと別体であってもよい。
【0056】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図10は、前記粒度測定装置の動作を示すフローチャートである。
図11は、実測結果と前記粒度測定装置の測定結果との相関性を示す図である。
図11の横軸は、質量%で表す篩による実測の粉率であり、その縦軸は、質量%で表す粒度測定装置Dで求めた粉率である。
図12は、前記粒度測定装置による一具体例の測定結果を説明するための図である。
図12Aは、測定対象の画像の一例を示し、
図12Bは、
図12Aに示す画像に対し、粒度測定装置Dで求めた粒径を示す。
【0057】
このような構成の粒度測定装置Dは、その電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。制御処理部2には、その制御処理プログラムの実行によって、制御部21、統計的特徴量処理部22および粒度処理部23が機能的に構成される。
【0058】
図10において、まず、粒度測定装置Dは、画像取得部1によって、測定対象の画像を取得し、この取得した画像を記憶部3に記憶する(S1)。
【0059】
次に、粒度測定装置Dは、制御処理部2の統計的特徴量処理部22によって、画像を複数の領域に区分けする(S2)。領域の大きさは、予め適宜に設定され、入力部4を介して記憶部3に記憶される。上述のように、領域の大きさは、検出したい粒径範囲のうちの最大値に設定される。
【0060】
次に、粒度測定装置Dは、統計的特徴量処理部22によって、各領域ごとに、統計的特徴量を求める(S3)。本実施形態では、各領域ごとに、前記統計的特徴量として相関値CORが求められる。
【0061】
次に、粒度測定装置Dは、制御処理部2の粒度処理部23によって、各領域ごとに、粒径を求める(S4)。
【0062】
次に、粒度測定装置Dは、制御処理部2の粒度処理部23によって、前記測定対象の画像における粒径分布(粒子径分布)を求める(S5)。
【0063】
なお、前記処理S4および前記処理S5に代え、粒度処理部23は、統計的特徴量処理部22で求めた相関値CORに対し、相関値の階級ごとに出現頻度を求めて相関値のヒストグラムを求め、相関値の階級を、対応関係情報記憶部31に記憶された対応関係情報を用いて粒径に換算して前記測定対象の画像における粒径分布を求めてよい。
【0064】
次に、粒度測定装置Dは、制御処理部2によって、出力部5に、前記処理S4で求めた粒径および前記処理S5で求めた粒径分布を出力し(S6)、本処理を終了する。なお、必要に応じて、前記粒径および粒径分布は、IF部6から外部の機器へ出力されてもよい。
【0065】
なお、造粒プロセスでは、このような処理S1ないし処理S6の各処理が所定の時間間隔で繰り返し実行されてよい。
【0066】
このような粒度測定装置Dによって求めた粒状物質の粉率[質量%]と、篩によって実測された粒状物質の粉率[質量%]との相関関係の一例が
図11に示されている。
図11に示すように、粒度測定装置Dによって求めた粒状物質の粉率[質量%]は、篩によって実測された粒状物質の粉率[質量%]と相関しており、
図11から、本実施形態における粒度測定装置Dは、精度よく、粒径および粒径分布を測定できることが理解される。
【0067】
複数の領域ごとに、粒度測定装置Dで求めた粒径の一例が
図12Bに示されている。
図12Bは、
図12Aに示す画像に対し、粒度測定装置Dで求めた粒径を示すものである。
図12Bと
図12Aとを対比すると、本実施形態における粒度測定装置Dは、精度よく、粒径を測定できることが理解される。
【0068】
以上説明したように、第1実施形態における粒度測定装置Dならびにこれに実装された粒度測定方法および粒度測定プログラムは、測定対象の画像から、第1および第2画素における各画素値間の関係に基づく統計的特徴量を求め、これを粒径(粒子径)に換算するので、より精度よく粒度を測定でき、よって、より精度よく粒径分布(粒子径分布)を求めることができる。パワースペクトルによる周波数解析のみの粒径測定の方法と比較すると、上記粒度測定装置D、粒度測定方法および粒度測定プログラムは、画像全体の明るさの変化や、画像内でなだらかに照度が変化する場合に、よりロバストに粒径を測定できる。
【0069】
上記粒度測定装置D、粒度測定方法および粒度測定プログラムは、領域の統計的特徴量を求めて粒径に換算するので、領域の大きさ(サイズ、面積)を調整することで、検出したい粒径の選択が可能となる。これにより、単体の微小粒状物質と、大粒径の粒状物質に付着または積層した微小粒状物質とが混在して前記測定対象の画像に写り込んでいる場合に、前記単体の微小粒状物質の割合がより正確に測定できる。上記粒度測定装置D、粒度測定方法および粒度測定プログラムは、領域の統計的特徴量を求めて粒径に換算するので、画像全体の粒径分布と同時に、小粒径や大粒径の各粒物質が存在する位置の特定も可能となる。
【0070】
上記粒度測定装置D、粒度測定方法および粒度測定プログラムは、同時生起行列を用いることによって、簡単な情報処理(簡単な演算処理)で統計的特徴量を求めることができる。
【0071】
上記粒度測定装置D、粒度測定方法および粒度測定プログラムは、照明するので、一定の照明環境下で粒度を測定できるので、測定精度のばらつきを低減できる。
【0072】
次に、別の実施形態(第2実施形態)について説明する。第2実施形態は、上述の粒径測定装置を、造粒システムにおける造粒条件を調整する際に、適用した実施形態である。
【0073】
図13は、第2実施形態における造粒システムの構成を示す模式図である。
図14は、前記造粒システムの造粒装置におけるドラムミキサの概略図である。
図14Aは、側方から見た斜視図であり、
図14Bは、縦断面図である。
図15は、前記造粒システムにおける造粒制御装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【0074】
第2実施形態における造粒システムSは、原料から、粒状物質を造粒し、造粒後の粒状物質を乾燥および焼成するシステムである。本実施形態では、一例として、前記粒状物質は、前記原料としての粉鉱石に、バインダの生石灰を添加し、所定量の水分を加えて造粒した鉄鉱石の造粒物であり、前記造粒物は、乾燥および焼結されることで前記焼結鉱になる。前記原料には、必要に応じて所定の副原料が添加される。このような造粒システムSは、例えば、
図13ないし
図15に示すように、貯留槽SRと、搬入用コンベアBC-1と、造粒機DMと、搬出用コンベアBC-2と、給鉱ホッパHPと、焼結機(焼成炉)BKと、コンベア9(9-1~9-3)と、造粒制御装置Aとを備える。
【0075】
貯留槽SRは、原料やバインダ等の焼結鉱を生成するための材料を貯留する槽(容器)であり、例えば前記材料の種類等に応じた個数を備える。
図13に示す例では、第1種類の粉鉱石を貯留する第1貯留槽SR-1と、前記第1種類とは異なる第2種類の粉鉱石を貯留する第2貯留槽SR-2と、バインダの生石灰を貯留する第3貯留槽SR-3とを備える。粉鉱石は、前記焼結鉱の原料であり、一般に、産地(銘柄)に応じて性状が異なり、例えば、多孔質な粉鉱石や平滑な表面を持つ粉鉱石等がある。前記多孔質な粉鉱石は、造粒に、相対的に多量の水分を必要とする一方、前記平滑な表面を持つ粉鉱石は、相対的に少量の水分で造粒できる。また、粉鉱石の粒子間は、水の表面張力によって互いに付くので、水分量が多いほど粒径が大きくなり易い。焼結鉱製造用の造粒物の生成では、造粒物Obの粒径には、粉鉱石の混合割合(全体に対する種類ごとの各占有率(質量%))および造粒前の粉鉱石に含まれる水分量等に応じて、造粒の際に加える水量が関係する。なお、造粒は、バインダの生石灰によって進むので、造粒物Obの粒径には、前記生石灰の添加量も関係する。生石灰は、微細粒子を多く含むため、粉鉱石の粒子間の隙間を埋め易いため、生石灰の添加量が多いほど造粒物から剥離する粉が少なくなり、粒径が大きくなり易い。
【0076】
搬入用コンベアBC-1は、貯留槽SRから排出された材料を、造粒機DMへ搬送する、例えばベルトコンベアである。本実施形態では、貯留槽SRに貯留されている材料は、貯留槽SRからサブのコンベア(
図13に不図示、
図15参照)9(9-1~9-3)に投下されて排出され、このサブのコンベアによって、前記貯留槽SRから排出された材料は、メインの搬入用コンベアBC-1に搬送される。単位時間当たりにおける、前記貯留槽SRから排出される材料の量は、略一定であるので、前記サブのコンベア9における搬送速度を調整することによって、搬入用コンベアBC-1を介して造粒機DMへ搬入される、前記材料の量が調整される。
図13ないし
図15に示す例では、第1貯留槽SR-1には、サブの第1コンベア(
図13に不図示、
図15参照)9-1が配設され、このサブの第1コンベア9-1によって、第1貯留槽SR-1から排出された第1種類の粉鉱石は、搬入用コンベアBC-1に搬送され、前記サブの第1コンベア9-1の搬送速度を調整することによって、造粒機DMへ搬入される、前記第1種類の粉鉱石の量が調整される。第2貯留槽SR-2には、サブの第2コンベア(
図13に不図示、
図15参照)9-2が配設され、このサブの第2コンベア9-2によって、第2貯留槽SR-2から排出された第2種類の粉鉱石は、搬入用コンベアBC-1に搬送され、前記サブの第2コンベア9-2の搬送速度を調整することによって、造粒機DMへ搬入される、前記第2種類の粉鉱石の量が調整される。前記第1種類の粉鉱石の量および前記第2種類の粉鉱石の量、すなわち、前記サブの第1コンベア9-1の搬送速度および前記サブの第2コンベア9-2の搬送速度が調整されることで、前記粉鉱石の混合割合が調整される。第3貯留槽SR-3には、サブの第3コンベア(
図13に不図示、
図15参照)9-3が配設され、このサブの第3コンベア9-3によって、第3貯留槽SR-3から排出された生石灰は、搬入用コンベアBC-1に搬送され、前記サブの第3コンベア9-3の搬送速度を調整することによって、造粒機DMへ搬入される、前記生石灰の量(前記生石灰の添加量)が調整される。
【0077】
造粒機DMは、搬入用コンベアBC-1を介して搬入された、貯留槽SRの材料から、所定の造粒条件で粒状物質を造粒する装置であり、例えばドラムミキサDMである。
図13に示す例では、造粒機DMは、第1および第2粉鉱石の原料に、バインダの生石灰を添加し、所定量の水分を加えて造粒物を造粒する。前記ドラムミキサDMは、例えば、
図14に示すように、長手方向の一方端部から他方端部へ下るように斜めになった円筒状のドラム本体DBを備え、ドラム本体DBの前記一方端部から、搬入用コンベアBC-1を介して搬入された貯留槽SRの材料(この例では第1および第2粉鉱石および生石灰の各材料)がドラム本体DB内に投入される。ドラム本体DBの内部には、ドラム本体DBの前記一方端部から所定の距離の位置であってドラム本体DBの内部中央である前記位置に、水を散布する散水ノズルSNが配置されている。散水ノズルSNには、水を散水ノズルに供給(導水)する給水管(導水管)WPが連結されている。給水管WPには、散水ノズルSNに供給する水量を調整する、例えば電磁弁等の調整弁8が介在されている。調整弁8の開度を調整することで、給水管WPを流れる流量が調整され、散水ノズルSNに供給される水量が調整される。これによってドラム本体DB内の材料に加えられる水量が調整される。ドラム本体DBの内壁には、周方向等間隔に、棒状(柱状体)の4個の第1ないし第4リフターバーLB-1~LB-4がドラム本体DBの長手方向に沿って互いに平行に配設されている。ドラム本体DBは、図略の回転駆動機構によって所定の一方向に回転する。ドラム本体DBが回転すると、ドラム本体DB内の材料は、第1ないし第4リフターバーLB-1~LB-4によって順次に引っかけられてドラム本体DBの回転に伴って持ち上げられ、その後、重力によって落下する。これによって、ドラム本体DBの前記一方端から、散水ノズルSNによって散水された水が降りかかるまでの間の領域(混合領域)では、ドラム本体DB内の各材料が混合し、散水ノズルSNによって散水された水が降りかかる領域(加水造粒領域)では、加水造粒が行われ、散水ノズルSNによって散水された水が降りかからなくなってから、ドラム本体DBの前記他方端部までの間の領域(無加水転動領域)では、無加水下で転動造粒が行われる。造粒機DMで造粒された造粒物Obは、ドラム本体DBの前記他方端部から排出される。
【0078】
搬送用コンベアCB-2は、造粒機DMから排出された造粒物Obを、給鉱ホッパHPへ搬送する、例えばベルトコンベアである。
【0079】
給鉱ホッパHPは、焼結機(焼成炉)BKに装入する造粒物Obを一時的に貯留する装置であり、前記造粒物Obは、給鉱ホッパHPから焼結機BKへ装入される。
【0080】
焼結機(焼成炉)BKは、給鉱ホッパHPから装入された造粒物Obを乾燥および焼成して、焼結鉱を生成する装置である。この焼結機BKは、大略、装入された造粒物Obを層状に積み重ねた積層体に対し、その上部より着火し、その下部にて空気を吸引することによって、燃焼が伝達される。これによって焼結機BKに装入された造粒物Obは、乾燥および焼成され、焼結鉱になる。
【0081】
焼結機BKは、上述のように、造粒物Obを乾燥および焼結するので、前記積層体中に、空気の流通のための隙間が必要であり、通常、2mmを超えない造粒物Obは、空気の通気性を劣化させ、焼結鉱の生産性を低下させてしまう。このため、焼結機BKでの、通気性を劣化させる造粒物Obの発生を回避するために、本実施形態では、造粒システムSに備えられている造粒制御装置Aには、上述の粒度測定装置Dが含まれている。
【0082】
より具体的には、造粒制御装置Aは、
図15に示すように、カメラ1aおよび照明装置1b、1cを備える画像取得部1と、制御処理部2aと、記憶部3aと、入力部4aと、出力部5aと、IF部6aと、水分計7と、調整弁8と、上述の第1ないし第3コンベア9-1~9-3とを備える。
【0083】
このカメラ1aおよび照明装置1b、1cを備える画像取得部1は、第1実施形態における粒度測定装置Dにおける画像取得部1と同様であるので、その説明を省略する。ここで、カメラ1aおよび照明装置1b、1cは、造粒物Obの粒度を連続測定するために、造粒システムSでは、造粒機DMの出側から、給鉱ホッパHPの入側までの間に配設され、
図13に示す例では、造粒機DMから排出された造粒物Obの状態のままで測定するために造粒機DMの近傍の位置に、搬出用コンベアBC-2上に乗って搬送される造粒物Obを直上から撮像するように配設される。
【0084】
なお、造粒物Obとカメラ1aとの距離を略一定に保持するために、搬出用コンベアBC-2上に堆積した造粒物の高さを一定にするために、搬出用コンベアBC-2上に堆積した造粒物の頂部を摺り切って均す、いわゆる均し板がさらに設けられてもよい。また、生石灰の水和熱により造粒物Obから生じる蒸気がカメラ1aの視野を阻害する虞があるので、前記蒸気を飛ばす、いわゆるエアパージが設けられてもよい。
【0085】
入力部4aは、造粒制御に関するコマンドやデータがさらに入力される点を除き、第1実施形態における粒度測定装置Dにおける入力部4と同様であるので、その説明を省略する。出力部5aは、造粒制御に関するコマンドやデータがさらに出力される点を除き、第1実施形態における粒度測定装置Dにおける出力部5と同様であるので、その説明を省略する。IF部6aは、外部の機器との間で、造粒制御に関するデータがさらに入出力される点を除き、第1実施形態における粒度測定装置DにおけるIF部6と同様であるので、その説明を省略する。
【0086】
水分計7は、制御処理部2aに接続され、制御処理部2aの制御に従って、造粒物Obの水分量を測定する装置であり、その計測結果は、制御処理部2aへ出力される。水分計7は、例えば、測定対象に近赤外線を照射し、その反射量に基づいて水分量を測定する赤外線水分計である。前記反射量と前記水分量との対応関係は、いわゆる検量線として求められ、記憶される。この赤外線水分計は、物質中の含水量に応じて近赤外線における特定波長(例えば1.45μmや1.94μm等)の吸収率が異なることを利用した測定計である。水分計7は、前記カメラ1aに近接して配置される。
【0087】
調整弁8は、制御処理部2aに接続され、制御処理部2aの制御に従って、上述したように、その開度を調整することで、給水管WPを流れる流量を調整する装置である。これによって、散水ノズルSNに供給される水量が調整され、ドラム本体DB内の材料に加えられる水量が調整される。
【0088】
第1ないし第3コンベア9-1~9-3は、それぞれ、制御処理部2aに接続され、制御処理部2aの制御に従って、上述したように、その搬送速度を調整することで、造粒機DMへ搬入される、各材料の各量を調整する装置である。
【0089】
記憶部3aは、造粒制御に関するプログラムおよびデータをさらに記憶する点を除き、第1実施形態における粒度測定装置Dにおける記憶部3と同様である。すなわち、前記制御処理プログラムには、前記制御プログラム、前記統計的特徴量処理プログラムおよび前記粒径処理プログラム等に加えて、前記粒径処理プログラムで求めた前記粒状物質(この例では造粒物)の粒径に基づいて、前記所定の造粒条件を調整する調整プログラムが含まれる。前記各種の所定のデータには、画像取得部1によって取得された測定対象の画像や前記対応関係情報等に加えて、造粒制御の目標値等の、これら各プログラムを実行する上で必要なデータが含まれる。
【0090】
制御処理部2aは、造粒制御装置Aの各部1、3a~6a、7、8、9-1~9-3を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、測定対象の造粒物Obの粒度を測定し、造粒制御するための回路である。制御処理部2aは、例えば、CPUおよびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部2aは、制御処理プログラムが実行されることによって、制御部21a、統計的特徴量処理部22、粒度処理部23および調整部24を機能的に備える。これら統計的特徴量処理部22および粒度処理部23は、それぞれ、第1実施形態における粒度測定装置Dにおける統計的特徴量処理部22および粒度処理部23と同様であるので、その説明を省略する。
【0091】
制御部21aは、造粒制御装置Aの各部1、3a~6a、7、8、9-1~9-3を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、造粒制御装置Aの全体制御を司るものである。
【0092】
調整部24は、粒度処理部23で求めた造粒物Obの粒径に基づいて、所定の造粒条件を調整するものである。上述したように、造粒物Obの粒径には、粉鉱石の混合割合、生石灰の添加量および水分の所定量それぞれが影響するので、これらそれぞれが、造粒物Obを目標の粒径に造粒するための造粒条件となり得る。このため、本実施形態では、調整部24は、粉鉱石が複数の種類を含む場合における混合割合、生石灰の添加量、および、水分の所定量のうちの少なくとも1つを調整する。
【0093】
上述したように、通常、2mmを超えない造粒物Obは、焼結機BKにおける空気の通気性を劣化させ、焼結鉱の生産性を低下させてしまうので、造粒制御装置Aは、この2mmを超えない造粒物Obの生成量(すなわち、粒径が2mm以下の造粒物Obの生成量)を制御することが目的である。前記造粒制御の目標値は、前記2mmを超えない造粒物Obの生成量で設定され、例えば、その上限値と下限値とで規定される所定の範囲(目標範囲)である。このため、より具体的には、調整部24は、粒度処理部23で求めた造粒物Obの粒径に基づいて、前記2mmを超えない造粒物Obの生成量が前記目標範囲内となるように、粉鉱石が複数の種類を含む場合における混合割合、生石灰の添加量、および、水分の所定量のうちの少なくとも1つを調整する。なお、前記下限値が0とされ、上限値のみで前記目標範囲が設定されてもよい。
【0094】
ここで、この粒径が2mm以下の粒子が「粉」と定義され、測定対象における「粉」の含有率(測定対象全体に対する粉の割合)が「粉率」と定義される。この定義では、より詳しくは、調整部24は、粒度処理部23で求め造粒物Obの粒径に基づいて、造粒物Obの粉率%が前記目標範囲内(例えば、10%~30%、あるいは、30%以下等)となるように、粉鉱石が複数の種類を含む場合における混合割合、生石灰の添加量、および、水分の所定量のうちの少なくとも1つを調整する。
【0095】
これら制御処理部2a、記憶部3a、入力部4a、出力部5aおよびIF部6aは、例えば、デスクトップ型やノート型等のコンピュータによって構成可能である。これら各部2a~6aを構成するコンピュータは、例えば、造粒システムSにおけるオペレーションルームに配置され、コンソールに組み込まれてよく(コンソールと兼用されてよく)、あるいは、コンソールと別体であってもよい。
【0096】
なお、本実施形態では、搬入用コンベアBC-1、造粒機DMおよび搬出用コンベアBC-2が造粒部の一例に相当し、粒度測定装置Dを含む造粒制御装置A、搬入用コンベアBC-1、造粒機DMおよび搬出用コンベアBC-2が造粒装置の一例に相当する。
【0097】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図16は、造粒条件の調整に関する造粒制御装置の動作を示すフローチャートである。
【0098】
造粒システムSが稼働され、粒度測定装置Dを含む造粒制御装置Aは、その電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。制御処理部2aには、その制御処理プログラムの実行によって、制御部21a、統計的特徴量処理部22、粒度処理部23および調整部24が機能的に構成される。
【0099】
造粒制御装置Aは、造粒条件の調整に関し、
図16に示す各処理を、予め設定された所定の時間間隔(例えば0.5時間間隔や1時間間隔や2時間間隔等)で繰り返し実行する。
【0100】
図16において、造粒制御装置Aは、造粒物Obの粉率を測定する(S11)。より具体的には、造粒制御装置Aは、第1実施形態における粒度測定装置Dと同様に動作し、カメラ1aで造粒物Obの画像を生成し、前記画像を複数の領域に区分けし、各領域ごとに統計的特徴量を求め、各領域ごとに、粒径を求め、前記測定対象の画像における粒径分布(粒子径分布)を求める。そして、造粒制御装置Aは、制御処理部2aの調整部24によって、この求めた粒径分布から粉率を求める。例えば、前記粒径分布における各階級の各頻度の総和に対する、2mm以下の各階級の各頻度の総和の割合(=((2mm以下の各階級の各頻度の総和)/(前記粒径分布における各階級の各頻度の総和))×100)が粉率[%]として求められる。あるいは、例えば、前記粉率は、例えば面積%で求められてもよい。前記面積%の粉率は、画像に写り込んだ造粒物Ob全体の面積に対する、粉の造粒物Obの面積の百分率(=(粉の造粒物Obの全面積)/(画像に写り込んだ造粒物Obの全面積)×100)である。前記面積は、例えば画素数で表される。あるいは、例えば、画素位置ごとに1画素に写り込む実面積が予め求められ、前記面積は、実面積で表される。なお、予め設定された所定時間(例えば1分間や2分間等)の間、予め設定された所定のサンプリング間隔(例えば5秒や10秒等)で繰り返し、各サンプリングタイミングでの各粒径分布が求められて各粉率が求められ、これら各粉率の平均値が処理S11の処理結果の粉率(最終的な粉率)とされてもよい。
【0101】
次に、造粒制御装置Aは、調整部24によって、処理S11で求めた粉率が前記目標範囲内であるか否かを判定する(S12)。この判定の結果、処理S11で求めた粉率が前記目標範囲内である場合、すなわち、処理S11で求めた粉率が前記目標範囲の下限値以上であって、かつ、前記目標範囲の上限値以下である場合(YES、OK)には、造粒制御装置Aは、本処理を終了し、今回の調整タイミングでの処理を終了する。一方、前記判定の結果、処理S11で求めた粉率が前記目標範囲を越えている場合、すなわち、処理S11で求めた粉率が前記目標範囲の下限値を下回る場合、または、処理S11で求めた粉率が前記目標範囲の上限値を上回る場合(NO、NG)には、造粒制御装置Aは、次に、処理S13を実行する。
【0102】
この処理S13では、造粒制御装置Aは、調整部24によって、造粒条件を調整する対象を選択する。本実施形態では、調整部24は、水分量、生石灰の添加量、粉鉱石の混合割合の中から、いずれかを選択する。前記選択は、予め設定されたルールに従って選択される。例えば、コストの観点から、水分量、生石灰の添加量、粉鉱石の混同割合の順に選択される。この場合では、まず、水分量が選択され、造粒制御装置Aは、次に、処理S14-1を実行する。例えば水分量の調整可能範囲では、粒径を調整しきれない場合(すなわち、水分量を0としても粒径を調整しきれない場合、および、水分量を最大量としても粒径を調整しきれない場合)、あるいは、水分計7で測定された造粒物の水分量に対し、さらに加水できない場合等では、生石灰の添加量が選択され、造粒制御装置Aは、次に、処理S14-2を実行する。前記水分量の最大量は、給水管WPの最大流量によって規定(定義)されてよいが、水量の増加による蒸発熱の増加に相当する焼成熱量を焼結機BKで補填する必要があるため、焼成熱量を勘案して規定(定義)されてもよい。例えば生石灰の添加量の調整可能範囲では、粒径を調整しきれない場合(すなわち、生石灰の添加量を、バインダとして必要とされる最小量としても粒径を調整しきれない場合、および、生石灰の添加量を最大量としても粒径を調整しきれない場合)、あるいは、第3貯留槽SR-3に貯留されている生石灰の貯留量(残量)に対し、生石灰の添加量を変更できない場合等では、粉鉱石の混合割合が選択され、造粒制御装置Aは、次に、処理S14-3を実行する。
【0103】
前記処理S14-1では、造粒制御装置Aは、調整部24によって、調整弁8の開度を制御することによって、散水ノズルSNで散布される水量を調整し、本処理を終了し、今回の調整タイミングでの処理を終了する。例えば、処理S11で求めた粉率が前記目標範囲の下限値を下回る場合には、粉率を上げるために(粒径の小さい造粒物Obを増加させるために)、調整部24は、散水ノズルSNから散布される水量を、予め設定された所定量(第1所定量)だけ低減するように、調整弁8の開度を制御する。あるいは、例えば、処理S11で求めた粉率が前記目標範囲の上限値を上回る場合には、粉率を下げるために(粒径の大きい造粒物Obを増加させるために)、調整部24は、散水ノズルSNから散布される水量を、予め設定された所定量(第2所定量)だけ増加するように、調整弁8の開度を制御する。前記第1所定量と前記第2所定量とは、同値であってよく、異値であってよい。
【0104】
前記処理S14-2では、造粒制御装置Aは、調整部24によって、第3コンベア9-3の搬送速度を制御することによって、生石灰の添加量を調整し、本処理を終了し、今回の調整タイミングでの処理を終了する。例えば、処理S11で求めた粉率が前記目標範囲の下限値を下回る場合には、粉率を上げるために(粒径の小さい造粒物Obを増加させるために)、調整部24は、生石灰の添加量を、予め設定された所定量(第3所定量)だけ低減するように、第3コンベア9-3の搬送速度を制御する。あるいは、例えば、処理S11で求めた粉率が前記目標範囲の上限値を上回る場合には、粉率を下げるために(粒径の大きい造粒物Obを増加させるために)、調整部24は、生石灰の添加量を、予め設定された所定量(第4所定量)だけ増加するように、第3コンベア9-3の搬送速度を制御する。前記第3所定量と前記第4所定量とは、同値であってよく、異値であってよい。
【0105】
前記処理S14-3では、造粒制御装置Aは、調整部24によって、第1および第2コンベア9-1、9-2の各搬送速度を制御することによって、粉鉱石の混合割合を調整し、本処理を終了し、今回の調整タイミングでの処理を終了する。粉鉱石の種類に応じて粒径の大きくなり易さ(小さくなり易さ)が異なるので、粉鉱石の種類に応じて、粉鉱石の混合割合を調整するアルゴリズムが予め設定される。例えば、処理S11で求めた粉率が前記目標範囲の下限値を下回る場合には、粉率を上げるために、調整部24は、粉鉱石の混合割合を前記アルゴリズムに従って予め設定された所定量(第5所定量)だけ調整するように、第1および第2コンベア9-1、9-2の各搬送速度を制御する。あるいは、例えば、処理S11で求めた粉率が前記目標範囲の上限値を上回る場合には、粉率を下げるために、調整部24は、粉鉱石の混合割合を前記アルゴリズムに従って予め設定された所定量(第6所定量)だけ調整するように、第1および第2コンベア9-1、9-2の各搬送速度を制御する。前記第5所定量と前記第6所定量とは、同値であってよく、異値であってよい。
【0106】
このような各処理が、上述したように、予め設定された所定の時間間隔で繰り返し実行される。このため、前回の調整タイミングにおいて、処理S14-1ないし処理S14-3のいずれかが実行された場合には、今回の調整タイミングでの処理S12は、その効果を確認する処理でもある。すなわち、今回の調整タイミングでの処理S12における判定の結果、処理S11で求めた粉率が前記目標範囲内である場合(YES、OK)には、前回の調整の効果があったことが確認され、今回の調整タイミングでの本処理が終了される。一方、今回の調整タイミングでの処理S12における判定の結果、処理S11で求めた粉率が前記目標範囲を越えている場合(NO、NG)には、前回の調整の効果が無かった、あるいは、前回の調整の効果があったが不足していたことが確認され、今回の調整タイミングでも、処理S14-1ないし処理S14-3のいずれかが実行される。すなわち、造粒条件の調整が継続される。また、造粒条件の調整が停止された場合でも、その後のいずれかの調整タイミングにおいて、処理S12における判定の結果、処理S11で求めた粉率が前記目標範囲を越えている場合(NO、NG)には、造粒条件の調整が再開される。したがって、造粒制御装置Aは、造粒システムSが稼働している間、粉率が目標範囲内となるように、継続して連続的に制御できる。
【0107】
なお、上述では、調整部24が処理S14-1ないし処理S14-3のいずれかを選択して造粒条件を調整したが、調整部24は、処理S11で求めた粉率が前記目標範囲を越えている場合(NO、NG)に、処理S14-1ないし処理S14-3のいずれかの選択をユーザ(オペレータ)に促す警報を出力部5aから出力し、処理S14-1ないし処理S14-3のいずれかの、ユーザによる選択を入力部4aで受け付け、この受け付けた選択に応じた、処理S14-1ないし処理S14-3のいずれかを実行してもよい。さらに、処理S14-1ないし処理S14-3は、ユーザによる選択ではなく、同様の処理を造粒制御を行うシステム内で自動化されてもよい。
【0108】
また、上述では、調整部24が処理S14-1ないし処理S14-3のいずれか1つを選択したが、調整部24は、処理S14-1ないし処理S14-3のうちの複数を選択してそれらを実行してもよい。
【0109】
また、上述では、調整部24が処理S14-1ないし処理S14-3のいずれか1つを実行した場合、その効果確認は、次回の調整タイミングで行われたが、処理S14-1ないし処理S14-3のいずれか1つの実行後に、その効果を確認する処理がさらに設けられてもよい。この場合、この効果確認の結果、その効果があった場合には、本処理(今回における造粒条件の調整)が終了され、その効果が無かった、あるいは、その効果があったが不足していた場合、処理が処理S13に戻される。この効果確認は、処理S11ないし処理S14(S14-1~S14-3)の繰り返しの前記所定の時間間隔内となるように、予め設定された所定回数だけ実行される。
【0110】
以上説明したように、第2実施形態によれば、粒度測定装置Dを備えた造粒制御装置Aおよびこれに実装された造粒方法が提供できる。第2実施形態における造粒システムS、造粒制御装置Aおよびこれに実装された造粒方法は、所定の造粒条件を調整するので、所定の粒度を目標とした粒状物質を造粒できる。
【0111】
上記造粒システムS、造粒制御装置Aおよびこれに実装された造粒方法は、所定の粒度を目標とした鉄鉱石の造粒物Obを造粒できる。
【0112】
なお、上述の
図2Bに示す例では、1個のカメラ1aに対し、1対の照明装置1b、1cが用いられたが、照明装置の個数は、2個に限らず、任意であってよい。例えば、1個のカメラ1aに対し、4個の第1ないし第4照明装置(例えばLEDライト等)が用いられてもよい。これら第1ないし第4照明部は、前記カメラ1aを四方から囲み、搬送用コンベアB-1、B-2や搬出用コンベアBC-2上の造粒物(測定対象の粒状物質の一例)Obを照明できるように、配設される。より具体的には、前記コンベアの搬送面に平行な仮想平面上に、正方形を仮想的に設定した場合に、前記カメラ1aは、その光軸が前記正方形の中心(2対角線の交点)を通るように配置され、前記第1ないし第4照明装置は、前記正方形の四隅(四角)に1つずつ、その光軸が前記搬送面と交わるように、配設される。四方から照明することで、造粒物Obの凹凸による影が消え、同一条件下で撮像できるため、測定が安定する。また、このような照明装置を覆うように設けられ、外部からの光を遮光する遮光部材(例えば暗幕等)が用いられてもよい。前記遮光部材には、必要に応じて、観測窓が設けられ、前記カメラ1aは、前記観測窓を介して前記造粒物Obを撮像する。第2実施形態では、前記水分計7も前記観測窓を介して前記造粒物Obの水分量を測定する。前記遮光部材によって、いわゆる迷光が防止され、照明環境がより安定化する。
【0113】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0114】
D 粒度測定装置
A 造粒制御装置
S 造粒システム
1 画像取得部
1a カメラ
1b、1c 照明装置
2、2a 制御処理部
3、3a 記憶部
21、21a 制御部
22 統計的特徴量処理部
23 粒度処理部
24 調整部
31 対応関係情報記憶部