IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社KOALA Techの特許一覧 ▶ 梨花女子大学校の特許一覧

特開2022-162560有機固体レーザ、化合物およびその使用
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162560
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】有機固体レーザ、化合物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/06 20060101AFI20221018BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20221018BHJP
   H01S 3/213 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
C09K11/06 630
C07D487/04 137
C07D487/04 CSP
H01S3/213
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021010635
(22)【出願日】2021-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】519423895
【氏名又は名称】株式会社KOALA Tech
(71)【出願人】
【識別番号】521039356
【氏名又は名称】梨花女子大学校
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルジニ シモン フランソワーズ プラシド
(72)【発明者】
【氏名】ダレオ アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ジーン チャールズ モーリス リビエル
(72)【発明者】
【氏名】チョンウェン ウー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】新規な有機レーザ材料およびそれを用いた有機固体レーザを提供する。
【解決手段】式(1)で表される化合物を含有する有機固体レーザとする。

とRは、それぞれ独立して、置換または非置換のアルキル基;HetとHetは特定構造の置換基;n1とn2は1~5の整数;GとGはHまたは置換基を表す。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(1)で表される化合物を含有する有機固体レーザ。
【化1】
式中、
およびRは、それぞれ独立して、置換または非置換のアルキル基を表し、HetおよびHetは、それぞれ独立して、以下の式(2)~式(4)のいずれかで表される。
【化2】
【化3】
【化4】
[式中、X~Xは、それぞれ独立して、OまたはSを表す。R~Rは、それぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換のアルキル基を表す。RおよびRは、互いに結合して環を形成してもよい。m1およびm2は、それぞれ独立して、0または1を表す。括弧内の破線および二重結合は、括弧外の右部分と左部分とが互いに共役している単環または多環構造を表し、各*は結合部位を表す。]
n1およびn2は、それぞれ独立して、1~5の整数であり、GおよびGは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を表す。ただし、前記化合物は繰り返し単位を含まない。
【請求項2】
およびRが同じである、請求項1に記載の有機固体レーザ。
【請求項3】
HetとHetが同じであり、GとGが同じである、請求項1または2に記載の有機固体レーザ。
【請求項4】
前記化合物が対称構造を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の有機固体レーザ。
【請求項5】
およびRが、それぞれ独立して、置換または非置換の分岐アルキル基である、請求項1~4のいずれか一項に記載の有機固体レーザ
【請求項6】
およびRが、それぞれ独立して、下記式で表される基である、請求項5に記載の有機固体レーザ。
【化5】
(式中、RおよびR10は、それぞれ独立して、置換または非置換のアルキル基を表し、*は結合部位を表す。)
【請求項7】
HetおよびHetが、それぞれ独立して、前記式(2)で表される、請求項1~6のいずれか一項に記載の有機固体レーザ。
【請求項8】
HetおよびHetが、それぞれ独立して、前記式(3)で表される、請求項1~6のいずれか1項に記載の有機固体レーザ。
【請求項9】
m1が0である、請求項8に記載の有機固体レーザ。
【請求項10】
m1が1である、請求項8に記載の有機固体レーザ。
【請求項11】
HetおよびHetが、それぞれ独立に、前記式(4)で表される、請求項1~6のいずれか1項に記載の有機固体レーザ。
【請求項12】
m2が0である、請求項11に記載の有機固体レーザ。
【請求項13】
m2が1である、請求項11に記載の有機固体レーザ。
【請求項14】
およびGが、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルケニル基、または置換もしくは非置換のアルキニル基である、請求項1~13のいずれか一項に記載の有機固体レーザ。
【請求項15】
およびGが、それぞれ独立して、二置換アミノ基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、または置換もしくは非置換のアルキルチオ基で置換されたアリール基である、請求項14に記載の有機固体レーザ。
【請求項16】
およびGが、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基または置換もしくは非置換のヘテロアリール基で置換されたアルキニル基である、請求項14に記載の有機固体レーザ。
【請求項17】
、XおよびXがOである、請求項1~16のいずれか一項に記載の有機固体レーザ。
【請求項18】
、XおよびXがSである、請求項1~16のいずれか一項に記載の有機固体レーザ。
【請求項19】
以下の式(1)で表される化合物。
【化6】
式中、
およびRは、それぞれ独立して、置換または非置換のアルキル基を表し、HetおよびHetは、それぞれ独立して、以下の式(2)~式(4)のいずれかで表される。
【化7】
【化8】
【化9】
[式中、X~Xは、それぞれ独立して、OまたはSを表す。R~Rは、それぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換のアルキル基を表す。RおよびRは、互いに結合して環を形成してもよい。m1およびm2は、それぞれ独立して、0または1を表す。括弧内の破線および二重結合は、括弧外の右部分と左部分とが互いに共役している単環または多環構造を表し、各*は結合部位を表す。]
n1およびn2は、それぞれ独立して、1~5の整数であり、GおよびGは、それぞれ独立して、置換基を表す。ただし、前記化合物は繰り返し単位およびシアノ基を含まない。
【請求項20】
以下の式(1)で表される化合物の、有機固体レーザにおけるエミッタとしての使用。
【化10】
式中、
およびRは、それぞれ独立して、置換または非置換のアルキル基を表し、HetおよびHetは、それぞれ独立して、以下の式(2)~式(4)のいずれかで表される。
【化11】
【化12】
【化13】
[式中、X~Xは、それぞれ独立して、OまたはSを表す。R~Rは、それぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換のアルキル基を表す。RおよびRは、互いに結合して環を形成してもよい。m1およびm2は、それぞれ独立して、0または1を表す。括弧内の破線および二重結合は、括弧外の右部分と左部分とが互いに共役している単環または多環構造を表し、各*は結合部位を表す。]
n1およびn2は、それぞれ独立して、1~5の整数であり、GおよびGは、それぞれ独立して、置換基を表す。ただし、前記化合物は繰り返し単位およびシアノ基を含まない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機固体レーザ、新規化合物および有機固体レーザにおけるエミッタとしての該化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ発振閾値が低い有機固体レーザの開発研究が盛んに行われている。このような有機固体レーザを実現するためには、優れたレージング特性を有する有機化合物の開発が必要である。このため、種々の有機化合物が合成され、そのレージング特性が検討されている。非特許文献1には、BSBCzなどのビススチルベン誘導体が低いASE閾値を示し、優れた有機レーザ材料であることが報告されている。しかしながら、有用な有機レーザ材料の数はまだ少ない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】アプライド・フィジックス・レターズ(Appl.Phys.Lett.)、第86巻、071110(2005年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、新規な有機レーザ材料およびそれを用いた有機固体レーザを提供することにある。
【0005】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の構造を有する化合物群が優れたレージング特性を有することを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明者らは以下の発明を提供した。
[1]以下の式(1)で表される化合物を含有する有機固体レーザ。
【化1】
式中、
およびRは、それぞれ独立して、置換または非置換のアルキル基を表し、HetおよびHetは、それぞれ独立して、以下の式(2)~式(4)のいずれかで表される。
【化2】
【化3】
【化4】
[式中、X~Xは、それぞれ独立して、OまたはSを表す。R~Rは、それぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換のアルキル基を表す。RおよびRは、互いに結合して環を形成してもよい。m1およびm2は、それぞれ独立して、0または1を表す。括弧内の破線および二重結合は、括弧外の右部分と左部分とが互いに共役している単環または多環構造を表し、各*は結合部位を表す。]
n1およびn2は、それぞれ独立して、1~5の整数であり、GおよびGは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を表す。ただし、前記化合物は繰り返し単位を含まない。
[2]RおよびRが同じである、[1]に記載の有機固体レーザ。
[3]HetとHetが同じであり、GとGが同じである、[1]または[2]に記載の有機固体レーザ。
[4]前記化合物が対称構造を有する、[1]~[3]のいずれか一項に記載の有機固体レーザ。
[5]RおよびRが、それぞれ独立して、置換または非置換の分岐アルキル基である、[1]~[4]のいずれか一項に記載の有機固体レーザ
[6]RおよびRが、それぞれ独立して、下記式で表される基である、[5]に記載の有機固体レーザ。
【化5】
(式中、RおよびR10は、それぞれ独立して、置換または非置換のアルキル基を表し、*は結合部位を表す。)
[7]HetおよびHetが、それぞれ独立して、前記式(2)で表される、[1]~[6]のいずれか一項に記載の有機固体レーザ。
[8]HetおよびHetが、それぞれ独立して、前記式(3)で表される、[1]~[6]のいずれか1項に記載の有機固体レーザ。
[9]m1が0である、[8]に記載の有機固体レーザ。
[10]m1が1である、[8]に記載の有機固体レーザ。
[11]HetおよびHetが、それぞれ独立に、前記式(4)で表される、[1]~[6]のいずれか1項に記載の有機固体レーザ。
[12]m2が0である、[11]に記載の有機固体レーザ。
[13]m2が1である、[11]に記載の有機固体レーザ。
[14]GおよびGが、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルケニル基、または置換もしくは非置換のアルキニル基である、[1]~[13]のいずれか一項に記載の有機固体レーザ。
[15]GおよびGが、それぞれ独立して、二置換アミノ基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、または置換もしくは非置換のアルキルチオ基で置換されたアリール基である、[14]に記載の有機固体レーザ。
[16]GおよびGが、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基または置換もしくは非置換のヘテロアリール基で置換されたアルキニル基である、[14]に記載の有機固体レーザ。
[17]X、XおよびXがOである、[1]~[16]のいずれか一項に記載の有機固体レーザ。
[18]X、XおよびXがSである、[1]~[16]のいずれか一項に記載の有機固体レーザ。
[19]以下の式(1)で表される化合物。
【化6】
式中、
およびRは、それぞれ独立して、置換または非置換のアルキル基を表し、HetおよびHetは、それぞれ独立して、以下の式(2)~式(4)のいずれかで表される。
【化7】
【化8】
【化9】
[式中、X~Xは、それぞれ独立して、OまたはSを表す。R~Rは、それぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換のアルキル基を表す。RおよびRは、互いに結合して環を形成してもよい。m1およびm2は、それぞれ独立して、0または1を表す。括弧内の破線および二重結合は、括弧外の右部分と左部分とが互いに共役している単環または多環構造を表し、各*は結合部位を表す。]
n1およびn2は、それぞれ独立して、1~5の整数であり、GおよびGは、それぞれ独立して、置換基を表す。ただし、前記化合物は繰り返し単位およびシアノ基を含まない。
[20][19]に記載の化合物の、有機固体レーザにおけるエミッタとしての使用。
【発明の効果】
【0007】
式(1)で表される化合物は、優れたレージング特性を有する。式(1)で表される化合物を含有する有機固体レーザは、レーザ発振閾値が低い。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の内容について詳細に説明する。以下、本発明の代表的な実施形態および具体例を参照して本発明の要素を説明するが、本発明はこれらの実施形態および具体例に限定されるものではない。本明細書において、上限値および/または下限値を参照して表される数値範囲は、その上限値および/または下限値を含む範囲を意味する。室温とは25℃を意味する。
【0009】
(定義)
本発明に用いられる化合物に存在する水素原子の同位体種は特に限定されず、例えば、分子内の全ての水素原子がHであってもよいし、その全部または一部がH(重水素(D))であってもよい。
【0010】
本願でいうアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましい。アルキル基は、特に断りのない限り、好ましくは炭素数1~40であり、より好ましくは炭素数1~30であり、さらに好ましくは炭素数1~20であり、なおさらに好ましくは炭素数1~12である(例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、およびn-ドデシル基)。環状アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル基、およびビシクロ[2.2.1]ヘプチル基が挙げられる。アルキル基は置換されていてもよい。この場合の置換基としては、例えば、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、ジアリールアミノ基(9-カルバゾリル基を含む)、およびシアノ基が挙げられ、アルコキシ基、アリール基、およびアリールオキシ基が好ましい。
【0011】
本願でいうアリール基は、芳香族環を1つのみ含む構造であってもよく、2つ以上の芳香族環が縮合した構造であってもよい。アリール基は、環骨格形成炭素数が6~22であることが好ましく、環骨格形成炭素数が6~18であることがより好ましく、環骨格形成炭素数が6~14であることがさらに好ましく、環骨格形成炭素数が6~10であることがなおさらに好ましい。アリール基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラニル基、2-アントラニル基、9-アントラニル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、4-フェナントリル基、9-フェナントリル基、1-ナフタセニル基、2-ナフタセニル基、1-ピレニル基、および2-ピレニル基が挙げられる。アリール基は置換されていてもよい。この場合の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、ジアリールアミノ基(9-カルバゾリル基を含む)、およびシアノ基が挙げられ、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、およびアリールオキシ基が好ましい。
【0012】
本願でいうヘテロアリール基は、ヘテロ芳香族環を1つのみ含む構造であってもよく、2つ以上のヘテロ芳香族環が縮合した構造であってもよい。ヘテロアリール基は、少なくとも1つのヘテロ芳香族環および少なくとも1つの芳香族環を含んでいてもよい。ヘテロアリール基は、環骨格形成原子数が5~22であることが好ましく、環骨格形成原子数が5~18であることがより好ましく、環骨格形成原子数が5~14であることがさらに好ましく、環骨格形成原子数が5~10であることがなおさらに好ましい。ヘテロアリール基としては、例えば、2-チエニル基、3-チエニル基、2-フリル基、3-フリル基、2-ピリジル基、3-ピリジル基、4-ピリジル基、2-ピラジニル基、2-キノリル基、3-キノリル基、4-キノリル基、1-イソキノリル基、および3-イソキノリル基が挙げられる。ヘテロアリール基の他の例としては、ベンゾフリル基、ピロリル基、インドリル基、イソインドリル基、アザインドリル基、ベンゾチエニル基、ピリジル基、キノリニル基、イソキノリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、イソチアゾリル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、およびキナゾリニル基が挙げられる。ヘテロアリール基は置換されていてもよい。この場合の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、ジアリールアミノ基(9-カルバゾリル基を含む)、およびシアノ基が挙げられ、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、およびアリールオキシ基が好ましい。
【0013】
本願でいうアルコキシ基およびジアルキルアミノ基のアルキル部分については、アルキル基についての説明を参照することができる。
本願でいうアリールオキシ基およびジアリールアミノ基のアリール部分については、アリール基についての説明を参照することができる。
本願でいうハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子が好ましい。
【0014】
(式(1)で表される化合物)
本発明の化合物は、以下の式(1)で表される構造を有する。
【0015】
【化10】
【0016】
式(1)中のRおよびRは、それぞれ独立して、置換または非置換のアルキル基を表す。アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、好ましくは、RおよびRは置換もしくは非置換の分岐アルキル基である。いくつかの実施形態において、RおよびRは、炭素数1~40、より好ましくは炭素数2~30、さらに好ましくは炭素数5~25、例えば炭素数13~25の置換または非置換のアルキル基である。前記アルキル基上の置換基としては、例えば、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロアリール基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアリールオキシ基、置換または非置換のヘテロアリールオキシ基、ハロゲン原子などが挙げられる。RおよびRは非置換のアルキル基であってもよい。
式(1)中のRおよびRは、以下の式で表される基であってもよい。
【0017】
【化11】
【0018】
式中、RおよびR10は、それぞれ独立して、置換または非置換のアルキル基を表し、*は結合部位を表す。いくつかの実施形態において、RおよびR10は、炭素数1~20、より好ましくは炭素数3~18、さらに好ましくは炭素数5~15の置換または非置換のアルキル基である。RおよびR10は、互いに同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、RおよびR10は異なり、RとR10との間のアルキル基の炭素原子数の差は1~5である。RおよびR10におけるアルキル基の置換基としては、RおよびRにおけるアルキル基の置換基の説明を参照することができる。いくつかの実施形態では、RおよびR10は非置換のアルキル基である。
【0019】
式(1)中のRおよびRは、互いに同じであっても異なっていてもよい。好ましくは、RおよびRは同じである。
式(1)中のHetおよびHetは、それぞれ独立して、以下の式(2)~式(4)のいずれかで表される。
【0020】
【化12】
【0021】
【化13】
【0022】
【化14】
【0023】
式(2)~(4)中、X~Xは、それぞれ独立して、OまたはSを表す。X~Xは、互いに同じであっても異なっていてもよい。好ましくは、XとX、XとXはそれぞれ同じである。いくつかの実施形態では、X、XおよびXはOである。いくつかの実施形態では、X、XおよびXはSである。
【0024】
式(2)~(4)中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換のアルキル基を表し、*は結合部位を表す。R~Rにおけるアルキル基としては、上記のアルキル基の定義を参照することができる。R~Rにおけるアルキル基の置換基としては、RおよびRにおけるアルキル基の置換基の説明を参照することができる。R~Rは、互いに同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、R~Rは水素原子である。
【0025】
式(2)中、RおよびRは、互いに結合して環を形成してもよい。形成した環は、4~10個の環骨格形成原子を有していてもよく、5~8個の環骨格形成原子を有していることがより好ましく、5~7個の環骨格形成原子を有していることがさらに好ましい。形成した環は、芳香族環であってもよく、脂肪族環であってもよい。形成した環は、他の環と共に多環式縮合構造を形成していてもよい。該環としては、4,5-ジヒドロチオフェン環、ジオキサン環、ジチアン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環等が挙げられる。これらの環の水素原子は置換基で置換されていてもよい。
【0026】
式(3)および(4)中、m1およびm2は、それぞれ独立して、0または1を表す。m1およびm2が0である場合、式(3)および(4)中の2つの5員環が一辺を共有して8員環の縮合環を形成する。m1およびm2が1である場合、括弧内の破線および二重結合は、括弧外の右部分と左部分とが互いに共役している単環または多環状構造を表す。括弧内の破線と二重結合および括弧の左外側の二重結合とで形成される環状構造は、環骨格形成原子を4~10個有していることが好ましく、5~8個有していることがより好ましく、5~7個有していることがさらに好ましい。環状構造は、芳香族環であってもよく、脂肪族環であってもよい。環状構造は、他の環と共に多環式縮合構造を形成していてもよい。環状構造としては、例えば、シクロペンタジエン環、シクロヘキサジエン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、シロール環、シクロペンタジエノン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、これらの環構造が2つ以上縮合した縮合環、ベンゾチアジアゾール環、および1,3-ジヒドロ-ベンゾイミダゾール-2-オン環が挙げられる。これらの環の水素原子は置換基で置換されていてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、HetおよびHetは式(2)によって表される。いくつかの実施形態では、HetおよびHetは式(3)によって表され、m1は0である。いくつかの実施形態では、HetおよびHetは式(3)によって表され、m1は1である。いくつかの実施形態では、HetおよびHetは式(4)によって表され、m2は0である。いくつかの実施形態では、HetおよびHetは式(4)によって表され、m2は1である。いくつかの実施形態では、HetおよびHetは、1つ以上のチオフェン環、より好ましくは1~3個のチオフェン環、さらに好ましくは1または2個のチオフェン環を含有する。
【0028】
式(2)~(4)で表される基の具体例を以下に示す。ただし、本発明に用いることができる式(2)~(4)で表される基は、以下の具体例に限定されるものではない。
【0029】
【化15】
【0030】
【化16】
【0031】
上記式中、R~R19は水素原子または置換基を表し、各*は結合部位を表す。R~Rの具体例については、上記式(2)~(4)におけるR~Rの具体例を参照することができる。好ましくは、R11、R11’、R12、R12’およびR13は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~25のハロゲン化アルキル基、シアノ基、炭素数1~25のアルキル基(少なくとも1つのメチレン基は酸素原子または硫黄原子で置換されていてもよい)、炭素数7~25のアリールアルキル基、または炭素数1~25のアルコキシ基を表す。好ましくは、R14、R14’、R16およびR16’は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~25のアルキル基(少なくとも1つのメチレン基は酸素原子または硫黄原子で置換されていてもよい)、または炭素数7~25のアリールアルキル基を表す。好ましくは、R15およびR15’は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~25のアルキルを表す。R17およびR17’は、それぞれ独立して、炭素数1~25のアルキル基(少なくとも1つのメチレン基は酸素原子または硫黄原子で置換されていてもよい)、炭素数7~25のアリールアルキル基、炭素数1~8のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、または炭素数1~8のアルコキシ基を表す。好ましくは、R18およびR18’は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~25のアルキル基(少なくとも1つのメチレン基は酸素原子または硫黄原子で置換されていてもよい)、炭素数7~25のアリールアルキル基、炭素数1~25のアルコキシ基、アルキル基またはアルキルシリル基で置換されたアルキニル基を表す。好ましくは、R19は、炭素数1~25のアルキル基(少なくとも1つのメチレン基が酸素原子または硫黄原子で置換されていてもよい)を表す。
【0032】
いくつかの実施形態において、HetおよびHetは、H1~H26からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、HetおよびHetは、H1、H11およびH12からなる群から選択される。
式(1)中のHetおよびHetは、互いに同じであっても異なっていてもよい。好ましくは、HetおよびHetは同じである。
【0033】
式(1)中のn1およびn2は、それぞれ独立して、1~5の整数である。好ましくは、n1およびn2は、1~4の整数であり、より好ましくは1~3の整数であり、さらに好ましくは1または2である。n1およびn2は、互いに同じであっても異なっていてもよい。好ましくは、n1およびn2は同じである。
n1が2以上である場合、2以上のHetは同じであっても異なっていてもよく、好ましくは同じである。n2が2以上である場合、2以上のHetは同じであっても異なっていてもよく、好ましくは同じである。
【0034】
式(1)中のGおよびGは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を表し、より好ましくは分子を安定化することができる置換基を表す。
およびGの置換基としては、例えば、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルケニル基、または置換もしくは非置換のアルキニル基が挙げられる。これらの置換基における置換基としては、例えば、二置換アミノ基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、または置換もしくは非置換のアルキルチオ基が挙げられる。
【0035】
いくつかの実施形態において、GおよびGは、二置換アミノ基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、または置換もしくは非置換のアルキルチオ基で置換されたアリール基である。いくつかの実施形態において、GおよびGは、置換もしくは非置換のアリール基または置換もしくは非置換のヘテロアリール基で置換されたアルキニル基である。
【0036】
また、式(1)中のGおよびGは、以下のS1~S11からなる群から選択されることも好ましい。
【0037】
【化17】
【0038】
上記式中、Alkは置換または非置換のアルキル基を表し、各*は結合部位を表す。各構造中の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。いくつかの実施形態において、GおよびGは、S1、S5、S7およびS10からなる群から選択される。
式(1)中のGおよびGは、互いに同じであっても異なっていてもよい。好ましくは、GおよびGは同じである。より好ましくは、GとGが同じであり、HetとHetが同じである。式(1)で表される化合物は、対称構造を有することがさらに好ましい。
【0039】
式(1)で表される化合物は、繰り返し単位を有さない。本明細書において、「繰り返し単位」とは、モノマーの重合反応によって形成されるポリマー構造を構成する1つまたは複数のモノマーに由来する繰り返し部分を意味する。
【0040】
以下に、式(1)で表される化合物の具体例(化合物1~18)を示す。ただし、本発明に用いることができる式(1)で表される化合物は、以下の具体例に限定されるものではない。
【0041】
【化18】
【0042】
【化19】
【0043】
【化20】
【0044】
【化21】
【0045】
【化22】
【0046】
式(1)で表される化合物の分子量は、例えば、式(1)で表される化合物を含む有機層を蒸着法により成膜しようとする場合には、1,500以下であることが好ましく、1,200以下であることがより好ましく、1,000以下であることがさらに好ましく、800以下であることがなおさらに好ましい。分子量の下限は、式(1)で表される最も小さい化合物の分子量である。
【0047】
一般式(1)で表される化合物は、その分子量に関わらずコーティング法により成膜することができる。分子量が比較的大きい化合物は、コーティング法により成膜することができる。
【0048】
本発明の用途として、式(1)で表される構造を分子内に複数含む化合物をレージング材料として用いてもよい。
例えば、式(1)で表される構造に予め重合性基を導入しておき、その重合性基を重合して得られたポリマーを発光材料として用いることが考えられる。具体的には、式(1)中のR、R、Het、Het、GおよびGのいずれかに重合性官能基を有するモノマーを調製し、これを単独重合または他のモノマーと共重合させて繰り返し単位を含むポリマーを調製し、このポリマーをレージング材料として用いることが考えられる。あるいは、式(1)で表される構造を含む化合物を反応させて二量体や三量体を形成し、この二量体や三量体を発光材料として用いることも考えられる。
【0049】
式(1)で表される構造を含む繰り返し単位を有するポリマーとしては、例えば、以下の式(31)または式(32)で表される構造を含むポリマーが挙げられる。
【0050】
【化23】
【0051】
式(31)および式(32)において、Qは式(1)で表される構造を含む基を表し、LおよびLはそれぞれ連結基を表す。連結基は、好ましくは0~20個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子、さらに好ましくは2~10個の炭素原子を有する。連結基としては、-X11-L11-で表される構造が好ましく、ここでX11は酸素原子または硫黄原子を表し、好ましくは酸素原子であり、L11は連結基を表し、好ましくは置換もしくは非置換のアルキレン基または置換もしくは非置換のアリーレン基であり、より好ましくは炭素数1~10の置換もしくは非置換のアルキレン基または置換もしくは非置換のフェニレン基である。
【0052】
式(31)および式(32)において、R101、R102、R103およびR104は、それぞれ独立して置換基を表し、好ましくは炭素数1~6の置換もしくは非置換のアルキル基、炭素数1~6の置換もしくは非置換のアルコキシ基、またはハロゲン原子であり、より好ましくは炭素数1~3の非置換のアルキル基、炭素数1~3の非置換のアルコキシ基、フッ素原子、または塩素原子であり、さらに好ましくは炭素数1~3の非置換のアルキル基または炭素数1~3の非置換のアルコキシ基である。
【0053】
およびLで表される連結基は、Qを構成する式(1)の構造のR、R、Het、Het、GおよびGのいずれかに結合していてもよい。Qで表される1つの基に2つ以上の連結基が結合して架橋構造や網目構造を形成していてもよい。
【0054】
繰り返し単位の構造の具体例としては、以下の式(33)~式(36)で表される構造が挙げられる。
【0055】
【化24】
【0056】
【化25】
【0057】
式(33)~式(36)のいずれかで表される構造を含む繰り返し単位を有するポリマーは、式(1)のR、R、Het、Het、G、Gのいずれかに水酸基を導入し、リンカーとしての水酸基を以下の化合物と反応させて重合性基を導入し、続いて重合性基を重合させることにより合成することができる。
【0058】
【化26】
【0059】
式(1)で表される構造を分子内に含むポリマーは、式(1)で表される構造を有する繰り返し単位のみを含むポリマーであってもよいし、別の構造を有する繰り返し単位をさらに含むポリマーであってもよい。ポリマーに含まれる式(1)で表される構造を有する繰り返し単位は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。式(1)で表される構造を有さない繰り返し単位としては、例えば、通常の共重合に用いられるモノマーに由来する繰り返し単位が挙げられる。このような繰り返し単位としては、例えば、エチレン、スチレン等のエチレン性不飽和結合を有するモノマーに由来する繰り返し単位が挙げられる。
【0060】
[式(1)で表される化合物の合成]
式(1)で表される化合物は、公知の反応により合成することができる。反応条件は適宜決定することができる。反応の詳細については、以下の合成例1を参照することができる。
【0061】
[有機固体レーザ]
本発明はまた、式(1)で表される化合物を含有する有機固体レーザ(有機半導体レーザ)を提供する。式(1)の化合物は、有機固体レーザの発光層(光増幅層)に用いられる材料として有用である。発光層は、式(1)の化合物を2種以上含有してもよいが、好ましくは式(1)の化合物を1種のみ含有する。発光層はホスト材料を含むことができる。好ましいホスト材料は、有機固体レーザのための光励起光を吸収する。別の好ましいホスト材料は、ホスト材料から式(1)の化合物への効果的なフェルスター型エネルギー移動が起こり得るように、その蛍光スペクトルと発光層に含有される式(1)の化合物の吸収スペクトルとの間に十分なスペクトル重複を有する。発光層中の式(1)の化合物の濃度は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは3重量%以上であり、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
【0062】
本発明の有機固体レーザは、光共振器構造を有する。光共振器構造は、1次元共振器構造であってもよいし、2次元共振器構造であってもよい。後者の例としては、サーキュレータ型共振器構造やウィスパリングギャラリー型光共振器構造が挙げられる。また、分布帰還型(DFB)構造や分布ブラッグ反射器(DBR)構造であってもよい。DFBに対しては、2次DFB格子構造を用いることが好ましい。また、混合次数のDFB格子構造を用いてもよい。すなわち、レーザ発振波長に対して次数が異なるDFB格子構造の混合構造を好適に用いることができる。その具体例としては、2次ブラッグ散乱領域からなる光共振器構造が挙げられる。好ましい光共振器構造の詳細については、以下の具体例を参照することができる。光共振器構造として、有機固体レーザはさらに外部光共振器構造を備えていてもよい。例えば、光共振器構造は、好ましくはガラス基板上に形成され得る。光共振器構造を構成する材料としては、SiO等の絶縁材料が挙げられる。例えば格子構造が形成され、格子の深さは75nm以下であることが好ましく、より好ましくは10~75nmの範囲から選択される。深さは、例えば40nm以上であってもよいし、40nm未満であってもよい。式(1)の化合物を含む発光層(光増幅層)は、光共振器構造上に直接形成することができる。
【0063】
有機固体レーザは、レージング閾値を低下させ、強い光ポンピング下での熱放散を最適化するために、サファイアまたは他の材料によって封入されることが好ましい。サファイア蓋と発光層との間に中間層を形成してもよい。例えば、CYTOP(商標)などの非晶質フッ素化ポリマーを中間層に用いることが好ましい。
【0064】
本発明の他の利点および特徴は、例示目的のために与えられる以下の実施例に関してより良く理解され得る。
【実施例0065】
以下、合成例および実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下に示す材料、工程、手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定して解釈されるものではない。
【0066】
発光特性は、高性能UV/Vis/NIR分光光度計(パーキンエルマー社製、Lambda 950)、蛍光分光光度計(堀場製作所社製、FluoroMax-4)、絶対PL量子収率測定装置(浜松ホトニクス社製、C11347)、ソースメーター(Keithley Instruments社製、2400 Series)、半導体パラメータアナライザ(アジレント・テクノロジー社製、E5273A)、光パワーメーター(Newport社製、1930C)、光分光計(Ocean Optics社製、USB2000)、分光放射計(株式会社トプコン社製、SR-3)を用いて評価した。
【0067】
[合成]
(合成例1)化合物1の合成
【0068】
【化27】
【0069】
ジブロモ-ジケトピロロピロール(DPP)誘導体(A1)(1.0当量)およびボロン酸誘導体(A2)(2.2当量)をトルエン(12mL)に懸濁させた。CsCO水溶液(2M、20.0当量)を添加し、得られた混合物を窒素流下で20分間脱気した。次に、Pd(PPhを加え、反応混合物をN雰囲気下、80℃で16時間撹拌した。反応の終わりに、HOおよびCHClを加え、有機層をHOで3回洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。次いで、粗製物をSiOカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/CHCl)によって精製し、所望の化合物1(92%)を得た。
1H (300 MHz, CDCl3) δ: 8.96 (d, J= 4.1 Hz, 2H), 7.53 (d, J= 8.8 Hz, 4H), 7.37-7,27 (m, 7H), 7.16-7.14 (m, 4H), 7.13 (m, 3H), 7.10 (t, J= 1.15Hz, 3H), 7.09-7.07 (m, 4H), 7.06 (m, 2H), 4.06 (d, J= 7.6 Hz, 4H), 1.99 (bs, 2H), 1.33-1.21 (m, 46H), 0.83 (m, 12H)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ: 161.77, 149.70, 148.52, 147.11, 139.66, 136.97, 129.44, 127.96, 126.91, 126.66, 124.99, 123.67, 122.90, 107.97, 37.87, 31.87, 31.83, 29.57, 29.29, 26.39, 22.65, 22.62, 14.11, 14.09
【0070】
(合成例2~18)化合物2~18の合成
合成例1と同様にして化合物2~18を合成した。
【0071】
化合物2
1H (300 MHz, CDCl3) δ: 9.01 (d, J= 4.1 Hz, 2H), 8.43 (d, J = 1.3 HZ, 2H), 8.21 (dt, J= 7.6 Hz, J= 1.1 Hz, 2H), 7.73 (dd, J= 8.6 Hz, J= 1.8 Hz, 2H), 7.66-7.56 (m, 8H), 7.53-7.43 (m, 8H), 7.40 (s, 1H), 7.37-7.34 (m, 2H), 4.13 (d, J=7.6 Hz, 4H), 2.06 (bs, 2H), 1.39-1.20 (m, 46H), 0.81 (m, 12H)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ: 161.96, 151.18, 141.65, 141.23, 139.83, 137.38, 137.07, 130.14, 128.08, 127.95, 127.18, 126.75, 125.65, 124.67, 124.16, 123.65, 123.26, 120.71, 120.63, 118.14, 110.51, 110.26, 108.03, 46.46, 38.13, 32.03, 31.58, 30.30, 29.96, 29.79, 29.50, 26.63, 26.60, 22.81, 14.24.
【0072】
化合物3
1H (300 MHz, CDCl3) δ: 8.82 (d, J= 4.1 Hz, 2H), 7.80 (d, J= 8.1 Hz, 4H), 7.71 (d, J= 8.3 Hz, 4H), 7.56 (d, J= 4.1 Hz, 2H), 4.09 (d, J= 7.5 Hz, 4H), 1.99 (bs, 2H), 1.36-1.25 (m, 46H), 0.86 (m, 12H)
【0073】
化合物4
1H (300 MHz, CDCl3) δ: 8.74 (d, J= 4.2 Hz, 2H), 7.89-7.84 (m, 8H), 7.70-7.67 (dd, J= 8.0 Hz, J= 1.7 Hz, 2H), 7.42-7.37 (m, 6H), 7.23 (d, J= 4.2 Hz, 2H), 7.13 (td, J= 7.5 Hz, J= 1.0 Hz, 6H), 7.01 (d, J= 1.2 Hz, 2H), 6.76 (d, J=7.6 Hz, 4H), 6.72 (d, J= 7.4 Hz, 2H), 3.96 (d, J= 7.3 Hz, 4H), 1.86 (bs, 2H), 1.21-1.18 (m, 48H), 0.83 (m, 12H)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ: 161.65, 149.79, 149.57, 149.38, 148.20, 142.65, 141.80, 140.80, 139.62, 136.39, 132.79, 128.62, 128.35, 127.96, 127.89, 126.27, 124.48, 124.07, 121.41, 120.62, 120.22, 120.16, 108.21, 65.97, 31.89, 31.73, 31.14, 31.13, 31.12, 31.11, 29.97, 29.62, 29.48, 29.28, 26.19, 26.18, 26.14, 22.67, 22.60, 14.13, 14.10.
【0074】
化合物5
1H (300 MHz, CDCl3) δ: 9.01 (d, J= 4.1 Hz, 2H), 8.17 (dt, J= 7.8Hz, 4H), 7.93 (d, J= 6.6 Hz, 4H), 7.68 (d, J= 8.7 Hz, 4H), 7.58 (d, J= 4.1 Hz, 2H), 7.50-7.44 (m, 8H), 7.35-7.30 (m, 4H), 4.12 (d, J= 7.5 Hz, 4H), 2.05 (bs, 2H), 1.39-1.26 (m, 46H), 0.84 (m, 12H)
【0075】
化合物6
1H (300 MHz, CDCl3) δ: 8.94 (d, J= 4.1 Hz, 2H), 7.68 (d, J= 8.6 Hz, 4H), 7.44-7.39 (m, 6H), 4.05 (d, J= 7.6 Hz, 4H), 3.46 (q, 2H), 1.93 (bs, 2H), 1.34 (m, 20H), 1.21 (m, 34 H), 0.84 (m, 12H)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ: 161.70, 149.00, 139.76, 137.15, 136.78, 131.44, 131.23, 128.74, 126.29, 124.33, 108.27, 37.92, 31.89, 31.83, 31.36, 30.06, 29.72, 29.58, 29.31, 26.40, 26.36, 23.06, 22.67, 22.63, 14.12, 14.10
【0076】
化合物7
1H (300 MHz, CDCl3) δ: 8.88 (d, J= 4.1 Hz, 2H), 7.38-7.27 (m, 14H), 7.15-7.11 (m, 10H), 7.10-7.07 (m, 3H), 7.02-6.99 (m, 4H), 4.01 (d, J= 7.7 Hz, 4H), 1.95 (bs, 2H), 1.32-1.22 (m, 48H), 0.84 (m, 12H)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ: 161.71, 148.78, 147.06, 139.59, 135.73, 132.67, 132.50, 130.18, 129.63, 129.33, 125.46, 124.08, 121.80, 114.67, 108.83, 98.65, 81.91, 37.92, 32.03, 31.92, 31.30, 30.16, 29.82, 29.67, 29.45, 26.32, 26.29, 22.81, 22.77, 14.26, 14.24
【0077】
化合物8
1H (300 MHz, CDCl3) δ: 8.91 (d, J = 4.1 Hz, 2H), 7.62 (m, 12H), 7.47 (t, J= 7.3 Hz, J = Hz, 4H), 7.41-7.38 (m, 4H), 4.02 (d, J= 7.5 Hz, 4H), 1.97 (bs, 2H), 1.34-1.23 (m, 48H), 0.85 (m, 12H)
【0078】
化合物9
1H (300 MHz, CDCl3) δ: 9.31 (s, 2H), 7.50 (d, J= 8.7 Hz, 4H), 7.41 (s, 2H), 7.32-7.27 (m, 8H), 7.16-7.13 (m, 8H), 7.10-7.06 (m, 8H), 4.08 (d, J= 7.6 Hz, 4H), 2.02 (bs, 2H), 1.35-1.21 (m, 64H), 0.84 (m, 12H)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ: 147.30, 144.71, 138.96, 130.28, 129.58, 127.74, 126.97, 125.10, 123.75, 123.02, 32.07, 32.05, 31.36, 30.23, 29.84, 29.82, 29.77, 29.71, 29.54, 29.48, 26.39, 22.84, 14.26.
【0079】
化合物10
1H (300 MHz, CDCl3) δ: 8.96 (d, J= 4.2 Hz, 2H), 7.50 (d, J= 9.0 Hz, 4H), 7.37-7.26 (m, 18H), 7.24 (m, 4H), 4.72 (s, 8H), 4.04 (d, J = 7.6 Hz, 4H), 1.98 (bs, 2H), 1.31-1.20 (m, 48H), 0.82 (m, 12H)
【0080】
化合物11
1H (300 MHz, CDCl3) δ: 8.95 (d, J = 4.1 Hz, 2H), 7.47 (d, J= 8.8 Hz, 4H), 7.31 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 7.10 (d, J = 8.3 Hz, 8H), 6.93-6.84 (m, 12H), 4.05 (d, J = 7.5 Hz, 4H), 3.81 (s, 12H), 1.99 (bs, 2H), 1.33-1.21 (m, 48H), 0.83 (m, 12H)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ: 161.82, 156.49, 150.18, 149.47, 140.21, 139.61, 137.17, 127.50, 127.15, 126.89, 124.91, 122.96, 119.81, 114.93, 107.88, 55.58, 46.37, 38.01, 31.98, 31.43, 30.18, 29.86, 29.68, 29.40, 26.47, 22.76, 14.22.
【0081】
化合物12
1H (300 MHz, CDCl3) δ: 8.95 (d, J= 4.2 Hz, 2H), 7.46 (d, J = 8.7 Hz, 4H), 7.31-7.26 (m, 12H), 7.18-7.04 (m, 18H), 4.05 (d, J = 7.5 Hz, 4H), 1.99 (bs, 2H), 1.34-1.21 (m, 64H), 0.88 (m, 12H)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ: 161.74, 147.95, 147.44, 145.32, 142.96, 139.35, 136.91, 134.58, 129.52, 126.62, 124.89, 123.52, 123.38, 108.46, 46.45, 38.12, 32.07, 32.06, 31.51, 30.25, 29.84, 29.82, 29.76, 29.53, 29.49, 26.56, 22.84, 22.82, 14.27.
【0082】
化合物13
1H (300 MHz, CDCl3) δ: 8.43 (d, J =4.0 Hz, 2H), 7.60 (d, J= 8.8 Hz, 4H), 7.32-7.27 (m, 8H), 7.15-7.06 (m, 16H), 6.83 (d, J= 4.0 Hz, 2H), 4.15 (d, J = 7.7 Hz, 4H), 1.97 (bs, 2H), 1.32-1.15 (m, 48H), 0.80 (m, 12H)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ: 161.33, 157.11, 148.65, 147.20, 143.80, 132.81, 129.59, 125.71, 125.22, 123.89, 122.95, 122.64, 108.14, 106.73, 47.09, 38.29, 31.97, 31.89, 31.49, 31.43, 30.24, 29.91, 29.63, 29.42, 26.56, 26.54, 22.80, 22.74, 14.26, 14.21.
【0083】
化合物14
1H (300 MHz, CDCl3) δ: 8.95 (d, J= 3.96 Hz, 2H), 7.70 (d, J= 7.69 Hz, 4H), 7.61-7.57 (m, 4H), 7.35-7.32 (m, 12H), 4.08 (d, J= Hz, 4H), 2.01 (t, 10H, J= 7.44 Hz), 1.37-1.23 (m, 54H), 1.14-1.06 (m, 22H), 0.87-0.83 (m, 10H), 0.76 (t, J= 6.99 Hz, 10H), 0.68-0.64 (m, 8H).
13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ: 161.61, 151.70, 150.95, 146.08, 142.78, 141.38, 140.45, 139.27, 137.85, 136.75, 135.04, 132.38, 129.03, 128.22, 128.04, 127.35, 126.90, 126.08, 125.30, 124.71, 124.47, 123.85, 122.92, 120.19, 119.84, 108.41, 55.22, 46.37, 40.41, 37.99, 31.96, 31.93, 31.49, 31.42, 30.11, 29.72, 29.70, 29.68, 29.62, 29.42, 29.37, 26.44, 23.77, 22.71, 22.57, 21.45, 14.13, 14.00.
【0084】
化合物15
1H (300 MHz, CDCl3) δ: 9.02 (d, J= Hz, 2H), 7.75-7.72 (m, 4H), 7.68 (d, J= Hz, 2H), 7.63 (s, 2H), 7.54 (d, J= Hz, 2H), 7.38-7.34 (m, 6H), 4.19-4.10 (m, 4H), 2.02 (t, J= 8.5 Hz, 10H), 1.45-1.32 (m, 16H), 1.14-1.07 (m, 24H), 0.96 (t, J = 7.4 Hz, 6H), 0.90 (t, J = 6.7 Hz, 6H),0.77 (t, J = 7.0 Hz, 12H), 0.70-0.65 (m, 8H).
13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 161.96, 151.96, 151.22, 150.77, 142.31, 140.40, 139.91, 137.03, 132.04, 128.61, 127.74, 127.10, 125.35, 124.38, 123.10, 120.44, 120.38, 120.12, 108.36, 55.40, 46.13, 40.49, 39.47, 31.60, 30.61, 30.59, 29.80, 28.72, 23.93, 23.89, 23.28, 22.69, 14.24, 14.12, 10.81.
【0085】
化合物16
1H (500 MHz, CDCl3) δ: 9.36 (s, 2H), 7.74-7.71 (m, 4H), 7.65-7.61 (m, 6H), 7.37-7.33 (m, 6H), 4.12 (d, J= 7.62 Hz, 4H), 2.02 (t, J = 8.07 Hz, 10H), 1.37 (m, 12H), 1.25-1.22 (m, 42H), 1.13-1.06 (m, 22H), 0.86-0.83 (m, 10H), 0.76 (t, J= 6.94 Hz, 10H), 0.68-0.64 (m, 8H).
13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ: 161.90, 152.23, 151.90, 151.21, 144.62, 142.14, 140.46, 140.24, 139.39, 133.00, 130.61, 127.94, 127.68, 127.09, 125.31, 123.09, 120.42, 120.30, 120.10, 114.93, 108.57, 55.41, 46.77, 40.53, 38.09, 32.07, 32.06, 31.62, 31.37, 30.23, 29.84, 29.82, 29.76, 29.71, 29.53, 29.49, 26.40, 23.91, 22.84, 22.71, 14.26, 14.13, 0.14.
【0086】
化合物17
1H (500 MHz, CDCl3) δ: 9.0 (d, J = 4.0 Hz, 2H), 7.77-7.74 (m, 4H), 7.71-7.67 (m, 4H), 7.53 (d, J = 4.0 Hz, 2H), 7.47-7.46 (m, 2H), 7.39-7.34 (m, 4H), 4.17-4.08 (m, 4H), 1.99 (m, 2H), 1.55 (s, 12H), 1.45-1.31 (m, 20H), 0.94 (t, J= 7.4 Hz, 6H), 0.89 (t, J = 6.8 Hz, 6H)
13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 161.97, 154.76, 154.13, 150.55, 140.34, 139.95, 138.53, 137.03, 132.31, 128.73, 127.96, 127.35, 125.55, 124.46, 122.85, 120.81, 120.44, 108.38, 47.18, 46.16, 39.47, 30.64, 28.79, 27.29, 23.91, 23.30, 14.26, 10.80, 0.14.
【0087】
化合物18
1H (500 MHz, CDCl3) δ: 8.53 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 7.76-7.72 (m,8H), 7.37-7.34 (m, 6H), 7.02 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 4.28 (d, J= 7.7 Hz, 4H), 2.11 (m, 2H), 2.03 (t, J = 8.1 Hz, 8H), 1.45-1.39 (m, 12H), 1.31-1.21 (m, 36H), 1.13-1.05 (m, 24H), 0.85-0.81 (m, 12H), 0.75 (t, J = 7.0 Hz, 12H), 0.67-0.63 (m, 8H).
13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 161.41, 157.75, 151.80, 151.19, 144.16, 142.34, 140.48, 133.16, 128.22, 127.79, 127.13, 123.89, 123.11, 120.35, 120.14, 118.80, 109.16, 107.07, 55.42, 47.38, 40.64, 38.15, 32.05, 31.95, 31.66, 30.33, 29.98, 29.88, 29.70, 29.49, 26.60, 26.56, 23.92, 22.80, 22.79, 22.72, 14.24, 14.22, 14.11.
【0088】
(実施例1)薄膜
クロロホルム中の化合物1の溶液を、予め洗浄した溶融シリカ基板上にスピンコートして薄膜を形成した。同様にして、化合物2~4の薄膜も形成した。
【0089】
形成した薄膜を用いて、有機レーザへの可能性を評価した。薄膜を337nmのパルス窒素レーザで光励起した。ポンプレーザのパルス持続時間は3.5nsであり、その繰り返し率は20Hzである。ポンプ強度は、1組の減光フィルタを使用して制御される。ポンプビームは、0.5cm×0.08cmのストライプに集束される。電荷結合素子(CCD)分光計に接続された光ファイバーを使用して、有機層の縁部からの発光スペクトルを測定した。発光スペクトルを様々なポンプ強度で測定した。低い励起強度では、PLスペクトルは広く、ポンプ強度に依存しなかった。高い励起強度では、ASEが発生し、発光バンドのスペクトル狭窄が観察された。ASE閾値とASEのピーク波長を求めた。結果を表1にまとめる。
【0090】
【表1】
【0091】
(実施例2)光励起分布帰還型(DFB)有機レーザ
ガラス基板を、中性洗剤、純水、アセトン、およびイソプロパノールを用いて超音波洗浄した後、UV-オゾン処理する。DFB格子となる100nm厚のSiO層をガラス基板上に100℃でスパッタリングする。スパッタリング中のアルゴン圧力は0.66Paである。RF電力は100Wに設定される。基板は、イソプロパノールを使用した超音波処理と、それに続くUV-オゾン処理によって洗浄される。SiO表面を、4,000rpmで15秒間スピンコーティングし、120℃で120秒間アニーリングすることによって、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)で処理する。約70nmの厚さを有するレジスト層を、ZEP520A-7溶液(ZEON社)から4,000rpmで30秒間基板上にスピンコーティングし、180℃で240秒間ベークする。
【0092】
電子ビームリソグラフィは、JBX-5500SCシステム(JEOL)を使用して、0.1nCcm-2の最適化された線量でレジスト層上に格子パターンを描くために行われる。電子ビーム照射後、パターンを現像液(ZED-N50、ZEON社)中、室温で現像する。パターニングされたレジスト層はエッチングマスクとして使用され、基板はEIS-200ERTエッチングシステム(ELONIX)を用いてCHFでプラズマエッチングされる。基板からレジスト層を完全に除去するために、基板は、FA-1EAエッチングシステム(SAMCO)を使用してOでプラズマエッチングされる。エッチング条件は、SiO表面が露出するまで、DFB内の溝からSiOを完全に除去するように最適化される。SiO表面上に形成された格子をSEM(SU8000、日立)で観察する。DFB内の溝からSiOが完全に除去されたことを確認するために、EDX(6.0kV、SU8000、日立)分析を行う。断面SEMは、冷電界放出型SEM(SU8200、日立ハイテクノロジーズ)を使用してKobelcoによって測定される。このようにして、二次ブラッグ散乱領域からなる回折格子が、5×5mmの面積にわたってSiO上に作製される。二次領域の格子周期(Λ)は、例えば390~510nmであり、ブラッグ条件に基づいて選択される。
mλBragg=2neffΛ
ここで、mは回折次数、λBraggはブラッグ波長、neffは利得媒質の実効屈折率である。
【0093】
DFB基板は、従来の超音波処理によって洗浄される。化合物1および4,4′-ビス(N-カルバゾリル)-1,10-ビフェニル(CBP)のクロロホルム溶液(重量比、1~10:99~90)をDFB基板の上にスピンコーティングして、厚さ240nmの発光層を形成する。厚さ2μmのCYTOPポリマー層をスピンコーティングによって構造の上に直接形成し、次いで、300Kで25Wm-1-1の熱伝導率を有するサファイア蓋によって覆い、ガラス/SiO/化合物1:CBP/CYTOP/サファイア蓋の構造を有する二次DFBレーザを作製する。
レージング閾値とレージングのピーク波長を求めた。結果を表2にまとめる。
【0094】
【表2】
【外国語明細書】