(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162578
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】樹脂製容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20221018BHJP
B65D 77/06 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
B65D1/02 111
B65D1/02 ZBP
B65D1/02 ZAB
B65D77/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067450
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】505249067
【氏名又は名称】株式会社柴田合成
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 洋
(72)【発明者】
【氏名】高岡 登志仁
(72)【発明者】
【氏名】新井 優
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 篤
(72)【発明者】
【氏名】坂本 修
【テーマコード(参考)】
3E033
3E067
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA13
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033BA30
3E033BB08
3E033DA03
3E033DA10
3E033DB03
3E033DC04
3E033DD01
3E033FA02
3E033FA03
3E033GA02
3E067AA03
3E067AC01
3E067BA03C
3E067BA11B
3E067BB14C
3E067BB15B
3E067BB16B
3E067CA04
3E067CA07
3E067EB32
3E067EE59
3E067FA04
3E067FC01
3E067GD01
3E067GD08
3E067GD10
(57)【要約】
【課題】マイクロプラスチックの問題を軽減することができ、内容物による分解を生じることがなく、かつ、容易に処分することが可能である、樹脂製容器を提供する。
【解決手段】内側層と外側層の2層構造を有し、内側層に内容物を収容する樹脂製容器を、内側層が非生分解性樹脂から成り、外側層が生分解性樹脂から成り、外側層の一部に、外側層の他の部分よりも厚さが薄い薄肉部が設けられ、内側層と外側層とが分離可能である構成とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側層と外側層の2層構造を有し、前記内側層に内容物を収容する樹脂製容器であって、
前記内側層が非生分解性樹脂から成り、
前記外側層が生分解性樹脂から成り、
前記外側層の一部に、前記外側層の他の部分よりも厚さが薄い薄肉部が設けられ、
前記内側層と前記外側層とが分離可能である
樹脂製容器。
【請求項2】
前記内側層と前記外側層とが接して配置されている請求項1に記載の樹脂製容器。
【請求項3】
前記内側層に収容された前記内容物の減少に伴って、前記内側層が収縮する構成である請求項2に記載の樹脂製容器。
【請求項4】
前記内側層に、外側に突起した突起部が設けられ、前記外側層の前記薄肉部は、前記内側層の前記突起部の外側に沿って、前記外側層の内面側に設けられている請求項1に記載の樹脂製容器。
【請求項5】
前記外側層の前記薄肉部は、前記外側層の外面側に設けられている請求項1に記載の樹脂製容器。
【請求項6】
前記外側層の前記薄肉部を覆って、前記薄肉部を保護する補強材が設けられている請求項5に記載の樹脂製容器。
【請求項7】
前記内側層の前記非生分解性樹脂が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、から選ばれる1種以上である請求項1に記載の樹脂製容器。
【請求項8】
前記外側層の前記生分解性樹脂が、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、から選ばれる1種以上である請求項1に記載の樹脂製容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性樹脂を使用してなる樹脂製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、プラスチックが海中で小さな粒子(マイクロプラスチック)となり、海洋生物に蓄積されることが問題となっている。
このように、プラスチックは、一般的に、自然界で分解されずに残存し続ける。
【0003】
一般的なプラスチックが自然界で分解されない問題に対して、生分解性樹脂と呼ばれる、自然界で分解される樹脂が開発されている。
そして、生分解性樹脂を、容器に使用することが提案されている(例えば、特許文献1等を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、保存容器に生分解性樹脂を使用した場合、保存容器の中に内容物を入れると生分解性樹脂の分解が始まり、耐久性や密閉性が失われる。このため、生分解性樹脂を使用した保存容器は、保存容器として成り立たなくなる。
従って、保存容器として成り立たせるためには、容器本体に、生分解性樹脂の他に、生分解性樹脂以外の物質(例えば、無機材料、非生分解性樹脂、等)を使用する必要がある。
【0006】
上記特許文献1の生分解性樹脂を容器本体に使用した容器に、非生分解性樹脂製のキャップを取り付けた場合には、キャップを容器本体から取り外すことにより、生分解性樹脂と非生分解性樹脂とを容易に分離することができる。
これに対して、容器本体に生分解性樹脂と非生分解性樹脂とを使用している構成では、容器を処分する際に、生分解性樹脂と非生分解性樹脂とを分離できるようにする必要がある。
【0007】
上述した問題の解決のために、本発明においては、マイクロプラスチックの問題を軽減することができ、内容物による分解を生じることがなく、かつ、容易に処分することが可能である、樹脂製容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の樹脂製容器は、内側層と外側層の2層構造を有し、内側層に内容物を収容する樹脂製容器である。
そして、本発明の樹脂製容器は、内側層が非生分解性樹脂から成り、外側層が生分解性樹脂から成り、外側層の一部に、前記外側層の他の部分よりも厚さが薄い薄肉部が設けられ、内側層と外側層とが分離可能である。
【発明の効果】
【0009】
上述の本発明の樹脂製容器によれば、内側層が非生分解性樹脂からなることにより、内容物が生分解性樹脂と接触しないため、内容物による生分解性樹脂の分解は開始されず、密閉性、耐久性が確保できる。
また、外側層は生分解性樹脂から成るので、外側層は自然に戻る。これにより、従来の樹脂製容器と比較して、自然に戻らない一般樹脂(非生分解性樹脂)の量が少なくなるので、マイクロプラスチックの問題が軽減できる。
従って、本発明の樹脂製容器によれば、将来、一般樹脂と生分解性樹脂の分別が進んだ際に、埋め立てや焼却処理の量が減り、環境破壊を軽減することができる。
【0010】
さらに、本発明の樹脂製容器によれば、外側層の一部に、外側層の他の部分よりも厚さが薄い薄肉部が設けられ、内側層と外側層とが分離可能であることにより、外側層の薄肉部で外側層を折ることができる。このため、内側層を外側層から取り出して、内側層と外側層を容易に分離することができる。
これにより、樹脂製容器を容易に処分することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図である。
【
図2】A~B
図1の樹脂製容器の分離方法を説明する図である。
【
図3】C~D
図1の樹脂製容器の分離方法を説明する図である。
【
図4】第2の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図である。
【
図5】A~B
図4の樹脂製容器の分離方法を説明する図である。
【
図6】C~D
図4の樹脂製容器の分離方法を説明する図である。
【
図7】第3の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図である。
【
図8】A~C
図7の樹脂製容器の分離方法を説明する図である。
【
図9】D~E
図7の樹脂製容器の分離方法を説明する図である。
【
図10】第4の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図である。
【
図12】A~C
図10の樹脂製容器の分離方法を説明する図である。
【
図13】D~E
図10の樹脂製容器の分離方法を説明する図である。
【
図14】第5の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図である。
【
図15】A~C
図14の樹脂製容器の分離方法を説明する図である。
【
図16】D~E
図14の樹脂製容器の分離方法を説明する図である。
【
図17】第6の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図である。
【
図18】A~C
図17の樹脂製容器の分離方法を説明する図である。
【
図19】D~F
図17の樹脂製容器の分離方法を説明する図である。
【
図20】第7の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図である。
【
図21】A~C
図20の樹脂製容器の分離方法を説明する図である。
【
図22】D~E
図14の樹脂製容器の分離方法を説明する図である。
【
図23】A 第8の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図である。 B~C
図23Aの樹脂製容器の分離方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本発明の実施の形態の説明に先立ち、本発明の概要を説明する。
本発明の樹脂製容器は、内側層と外側層の2層構造を有し、内側層に内容物を収容する樹脂製容器である。
そして、本発明の樹脂製容器は、内側層が非生分解性樹脂から成り、外側層が生分解性樹脂から成り、外側層の一部に、外側層の他の部分よりも厚さが薄い薄肉部が設けられ、内側層と外側層とが分離可能である。
【0013】
上記本発明の樹脂製容器において、内側層と外側層とが接して配置されている構成とすることが可能である。
この構成において、さらに、内側層に収容された内容物の減少に伴って、内側層が収縮する構成とすることも可能である。
【0014】
本発明の樹脂製容器は、ボトル等の各種の容器に適用することができる。
ボトルに適用した場合において、さらにボトル上部に蓋を設けて、ボトルの内部を密閉することが可能である。また、蓋にポンプを設けて、ポンプによってボトル内にある液体等の内容物を吐出させる構成とすることが可能である。
【0015】
本発明の樹脂製容器において、内側層と外側層とが接して配置されている構成とすることがより好ましい。
内側層と外側層が接していないと、内容物を収容する内側層と外側層との間に空間が存在する。そのため、空間の分容器が大きくなり、また、樹脂製容器全体の体積に対して内容物を収容できる容積の割合が低下する。
【0016】
本発明の樹脂製容器においては、内側層と外側層とが分離可能である構成としているので、内側層と外側層とを分離して、それぞれ別に処理することができる。これにより、内側層の非生分解性樹脂と、外側層の生分解性樹脂とで、それぞれの樹脂に適した処理を行うことができる。
これに対して、例えば、内側層の樹脂と外側層の樹脂とが融着している構成や、内側層の樹脂と外側層の樹脂とが接着剤層で接着されている構成では、内側層と外側層との分離が不可能であったり、分離に大きな力が必要になったりする。そして、内側層と外側層が分離できないと、外側層の生分解性樹脂が分解してから、内側層の非生分解性樹脂を処理する必要が生じる。
【0017】
また、内側層と外側層とが分離可能である構成の一種として、内側層に収容した内容物が減少するに従って、内側層が収縮していく構成を採用することができる。
例えば、蓋付きボトルで蓋にポンプを設けた構成として、さらに、ポンプを動作させていない状態において、内側層と蓋によって内側層に収容された内容物が密閉されるように構成する。なお、この構成では、内側層が収縮するように、内側層の非生分解性樹脂の樹脂材料や厚さが選定される。
【0018】
そして、内容物を使用するために、ポンプを動作させて、内容物を吐出させると、内容物が減少するので、これに伴い内側層が収縮して、内側層が外側層から離れる。
内容物の吐出を繰り返して、内容物がほとんどなくなったら樹脂製容器を廃棄するが、このとき、内側層は十分に収縮しているので、内側層を外側層から容易に分離することができる。
これにより、内側層の非生分解性樹脂と外側層の生分解性樹脂とが容易に分離されて、内側層の非生分解性樹脂と外側層の生分解性樹脂をそれぞれ別に処理することができる。 そして、内側層の非生分解性樹脂と、外側層の生分解性樹脂のそれぞれの樹脂に適した処理を行うことができる。
【0019】
本発明の樹脂製容器において、外側層の生分解性樹脂の材料としては、例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリカプロラクトン(PCL)、等が挙げられる。
そして、これらの生分解性樹脂から選ばれる1種または2種以上を、外側層の生分解性樹脂として用いることができる。
【0020】
本発明の樹脂製容器において、内側層の非生分解性樹脂の材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等、現在一般的な容器に使用されている樹脂が挙げられる。
そして、これらの非生分解性樹脂から選ばれる1種または2種以上を、内側層の非生分解性樹脂として用いることができる。
なお、本発明の樹脂製容器において、非生分解性樹脂として食物由来の材料を使用することにより、さらに環境破壊を軽減することができる。食物由来の非生分解性樹脂材料としては、例えば、豊田通商株式会社が販売するGLOBIO(登録商標)等の植物由来のバイオポリエチレンテレフタレート、三井化学株式会社等が販売予定のバイオポリプロピレン、ブラジルBRASKEM社が製造するサトウキビ由来の「グリーンポリエチレン」等のバイオポリエチレン等が挙げられる。
【0021】
特に、内容物の減少に伴い内側層の非生分解性樹脂を収縮させる場合は、内側層の非生分解性樹脂として、生分解性樹脂と相溶性が低く剥離しやすいポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)が使用される。
一方、内側層の非生分解性樹脂を収縮させずに外側層の生分解性樹脂との一体性を保つ場合は、内側層の非生分解性樹脂として、生分解性樹脂との相溶性が高いポリエチレンテレフタレート(PET)が用いられる。
【0022】
本発明の樹脂製容器を製造する方法としては、内側層の非生分解性樹脂と、外側層の生分解性樹脂とについて、それぞれ、ブロー成形や射出成形等の成形方法を採用することができる。
【0023】
なお、生分解性樹脂材料であるポリ乳酸の融点は170℃前後であるが、樹脂の温度を上げ過ぎると脆弱になる傾向があるため、内側層の生分解性樹脂にポリ乳酸を用いた場合、180℃前後の温度で成形する必要がある。
非生分解性樹脂材料であるポリプロピレン(PP)は融点が160℃で低いので問題ないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)は融点が260℃と高い。このため、内側層にPETを用いて、外側層にポリ乳酸を用いた場合には、内側層を成形した後に十分に冷却しないと、その後射出されるポリ乳酸に熱が伝わり脆弱化するので注意が必要である。
【0024】
上述したように、本発明の樹脂製容器は、内側層が非生分解性樹脂から成り、外側層が生分解性樹脂からなる。
これにより、内容物が生分解性樹脂に接触しないため、内容物による生分解性樹脂の分解は開始されず、密閉性、耐久性が確保できる。
【0025】
また、外側層は自然に戻るため、従来の樹脂製容器と比較して、自然に戻らない一般樹脂(非生分解性樹脂)の量が少なくなり、マイクロプラスチックの問題が軽減できる。
さらに、将来、一般樹脂と生分解性樹脂の分別が進んだ際に、埋め立てや焼却処理の量が減り、環境破壊を軽減することができる。
【0026】
さらに、本発明の樹脂製容器は、外側層の一部に、外側層の他の部分よりも厚さが薄い薄肉部が設けられ、内側層と外側層とが分離可能である。
このため、外側層の薄肉部で外側層を折ることにより、内側層を外側層から取り出して、内側層と外側層を容易に分離することができる。
従って、樹脂製容器を容易に処分することが可能になる。
【0027】
また、内側層に収容された内容物の減少に伴って、内側層が収縮する構成としたときには、内容物の減少に伴って内側層が収縮するので、内側層が外側層から離れる。
これにより、内側層の非生分解性樹脂と外側層の生分解性樹脂とを容易に分離される。
【0028】
以下、本発明の樹脂製容器の具体的な実施の形態を説明する。
【0029】
(第1の実施の形態)
本発明の樹脂製容器の第1の実施の形態を、
図1~
図3を参照して説明する。
本実施の形態では、本発明の樹脂製容器を、ボトルに適用している。
図1は、第1の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図(断面図)である。
【0030】
本実施の形態の樹脂製容器1は、
図1に示すように、内側層2と外側層3とを有する2層構造のボトルである。
樹脂製容器1の上部は、下方の主要部と比較して、直径が小さくなっており、樹脂製容器1の上端に開口を有する。
【0031】
内側層2は、その内部の空間に内容物を収容する。
外側層3の上部の開口付近には、ねじ山が設けられている。これにより、
図1に示す樹脂製容器1に、図示しない蓋をねじで固定して、内側層2の内部の空間を密閉することができる。
【0032】
さらに、蓋にポンプを設けた構成とした場合には、ポンプを操作することによって、内容物を吐出させることが可能になる。
【0033】
本実施の形態の樹脂製容器1では、内側層2が非生分解性樹脂から成り、外側層3が生分解性樹脂から成る。
そして、内側層2と外側層3とは、接して配置されている。
また、内側層2と外側層3とは、接着されておらず、互いに分離することが可能である。
【0034】
さらに、内側層2の上部の直径が小さい部分に、外側に突起した突起部5が設けられており、この内側層2の突起部5に対応して、外側層3に、外側層3の他の部分よりも厚さの薄い薄肉部4が設けられている。
外側層3の薄肉部4は、内側層2の突起部5の外側に沿うように、内面側に設けられ、外側層3の内面側がへこんで形成されている。
内側層2の突起部5と外側層3の薄肉部4は、外側層3に設けられたねじよりも下方の部分に設けられている。
【0035】
ここで、本実施の形態の樹脂製容器1における、内側層2と外側層3とを分離する方法を、
図2A~
図3Dを参照して説明する。
図2Aは、
図1に示したと同じ状態を示している。
【0036】
図2Aに示す状態から、ポンプ(図示せず)を操作して内容物をポンプから吐出させる操作等によって、内側層2の内部の内容物の量を減少させると、内容物の体積が減少するので、内側層2が収縮して外側層3から離れていく。
さらに内容物の体積が減少すると、
図2Bに示すように、内側層2がかなり収縮して、外側層3から完全に離れる。
【0037】
そして、外側層3をその薄肉部4で折ることにより、
図3Cに示すように、外側層3の主要部と、外側層3の上部とを分離する。
これにより、
図3Dに示すように、外側層3の上部と共に、内側層2を取り外して、外側層3の主要部から分離することができる。
【0038】
その後、外側層3から取り外した内側層2は、通常の非生分解性樹脂と同様に処理される。
また、外側層3は、通常の生分解性樹脂と同様に処理される。
このように、内側層2と外側層3を分離して、それぞれ別々に処理することができるので、内側層2の非生分解性樹脂と外側層3の生分解性樹脂の処理を最適化することが可能である。
【0039】
本実施の形態の樹脂製容器1は、ブロー成形機や射出成形機を用いて、製造することができる。
例えば、ブロー成形機で、内側層2と外側層3とを順次形成する方法が考えられる。 また例えば、射出成形機でプリフォームを作製して、プリフォームをブロー成形機で圧延させる方法も考えられる。
【0040】
内側層2の突起部5は、例えば、突起部5を有するように型で成形することにより、形成することができる。
外側層3の薄肉部4は、例えば、内側層2の突起部5を内側の型として使用して成形することにより、内側層2の突起部5に沿って形成することができる。
【0041】
上述したように、本実施の形態の樹脂製容器1は、内側層2と外側層3の2層構造を有し、内側層2が非生分解性樹脂から成り、外側層3が生分解性樹脂から成る。
これにより、内容物が生分解性樹脂に接触しないため、内容物による生分解性樹脂の分解は開始されず、密閉性、耐久性を確保することができる。
【0042】
また、本実施の形態の樹脂製容器1では、内側層2と外側層3とが分離可能であり、さらに、内側層2に収容された内容物が十分に減少したときに、内側層2が外側層3から離れる。
そして、内側層2に突起部4が設けられて、外側層3に内側層2の突起部に沿って形成された薄肉部4が設けられている。このため、外側層3をその薄肉部4で折ることにより、外側層3の上部と外側層3の主要部とを分離して、内側層2を外側層3の主要部から取り出して、内側層2と外側層3を容易に分離することができる。
従って、樹脂製容器1を容易に処分することが可能になる。
【0043】
(第2の実施の形態)
本発明の樹脂製容器の第2の実施の形態を、
図4~
図6を参照して説明する。
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、本発明の樹脂製容器を、ボトルに適用している。
図4は、第2の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図(断面図)である。
【0044】
本実施の形態の樹脂製容器10は、
図4に示すように、内側層2と外側層3とを有する2層構造のボトルである。
本実施の形態の樹脂製容器10では、内側層2が非生分解性樹脂から成り、外側層3が生分解性樹脂から成る。
そして、内側層2と外側層3とは、接して配置されている。
また、内側層2と外側層3とは、接着されておらず、互いに分離することが可能である。
【0045】
さらに、外側層3の上部の直径が小さい部分に、外側層3の他の部分よりも厚さの薄い薄肉部4が設けられている。
外側層3の薄肉部4は、
図1の第1の実施の形態の樹脂製容器1の外側層3の薄肉部4とは逆に、外側層3の外面側に設けられており、外面側がへこんで形成されている。
その他の構成は、
図1に示した第1の実施の形態の樹脂製容器1と同様であるので、重複説明を省略する。
【0046】
ここで、本実施の形態の樹脂製容器10における、内側層2と外側層3とを分離する方法を、
図5A~
図6Dを参照して説明する。
図5Aは、
図4に示したと同じ状態を示している。
【0047】
図5Aに示す状態から、ポンプ(図示せず)を操作して内容物をポンプから吐出させる操作等によって、内側層2の内部の内容物の量を減少させると、内容物の体積が減少するので、内側層2が収縮して外側層3から離れていく。
さらに内容物の体積が減少すると、
図5Bに示すように、内側層2がかなり収縮して、外側層3から完全に離れる。
【0048】
そして、外側層3をその薄肉部4で折ることにより、
図6Cに示すように、外側層3の主要部と、外側層3の上部とを分離する。
これにより、
図6Dに示すように、外側層3の上部と共に、内側層2を取り外して、外側層3の主要部から分離することができる。
【0049】
その後、外側層3から取り外した内側層2は、通常の非生分解性樹脂と同様に処理される。
また、外側層3は、通常の生分解性樹脂と同様に処理される。
このように、内側層2と外側層3を分離して、それぞれ別々に処理することができるので、内側層2の非生分解性樹脂と外側層3の生分解性樹脂の処理を最適化することが可能である。
【0050】
外側層3の薄肉部4は、例えば、薄肉部4を有するように型で成形することにより、形成することができる。
【0051】
本実施の形態の樹脂製容器10は、第1の実施の形態の樹脂製容器1と同様に、内側層2と外側層3の2層構造を有し、内側層2が非生分解性樹脂から成り、外側層3が生分解性樹脂から成る。
これにより、内容物が生分解性樹脂に接触しないため、内容物による生分解性樹脂の分解は開始されず、密閉性、耐久性を確保することができる。
【0052】
また、本実施の形態の樹脂製容器10では、内側層2と外側層3とが分離可能であり、さらに、内側層2に収容された内容物が十分に減少したときに、内側層2が外側層3から離れる。
そして、外側層3に薄肉部4が設けられている。このため、外側層3をその薄肉部4で折ることにより、外側層3の上部と外側層3の主要部とを分離して、内側層2を外側層3の主要部から取り出して、内側層2と外側層3を容易に分離することができる。
従って、樹脂製容器10を容易に処分することが可能になる。
【0053】
(第3の実施の形態)
本発明の樹脂製容器の第3の実施の形態を、
図7~
図9を参照して説明する。
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、本発明の樹脂製容器を、ボトルに適用している。
図7は、第3の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図(断面図)である。
【0054】
本実施の形態の樹脂製容器20は、
図7に示すように、内側層2と外側層3とを有する2層構造のボトルである。
本実施の形態の樹脂製容器20は、内側層2が非生分解性樹脂から成り、外側層3が生分解性樹脂から成る。
そして、内側層2と外側層3とは、接して配置されている。
また、内側層2と外側層3とは、接着されておらず、互いに分離することが可能である。
【0055】
さらに、外側層3の上部の直径が小さい部分に、外側層3の他の部分よりも厚さの薄い薄肉部4が設けられている。
外側層3の薄肉部4は、
図4の第2の実施の形態の樹脂製容器10の外側層3の薄肉部4と同様に、外側層3の外面側に設けられており、外面側がへこんで形成されている。
【0056】
さらにまた、外側層3の薄肉部4の外側を覆って、キャップ6が設けられている。
キャップ6には、その下端部にフランジが設けられていて、フランジがボトルの肩の部分に相当する外側層3に接している。
なお、キャップ6には内容物が触れる可能性があるため、キャップ6の材料には、生分解性樹脂以外の材料、例えば、非生分解性樹脂や金属等が用いられる。
その他の構成は、
図4に示した第2の実施の形態の樹脂製容器10と同様であるので、重複説明を省略する。
【0057】
ここで、本実施の形態の樹脂製容器20における、内側層2と外側層3とを分離する方法を、
図8A~
図9Eを参照して説明する。
図8Aは、
図7に示したと同じ状態を示している。
【0058】
図8Aに示す状態から、ポンプ(図示せず)を操作して内容物をポンプから吐出させる操作等によって、内側層2の内部の内容物の量を減少させると、内容物の体積が減少するので、内側層2が収縮して外側層3から離れていく。
さらに内容物の体積が減少すると、
図8Bに示すように、内側層2がかなり収縮して、外側層3から完全に離れる。
次に、
図8Cに示すように、キャップ6を外す。これにより、外側層3は、その薄肉部4で折ることが可能になる。
【0059】
そして、外側層3をその薄肉部4で折ることにより、
図9Dに示すように、外側層3の主要部と、外側層3の上部とを分離する。
これにより、
図9Eに示すように、外側層3の上部と共に、内側層2を取り外して、外側層3の主要部から分離することができる。
【0060】
その後、外側層3から取り外した内側層2は、通常の非生分解性樹脂と同様に処理される。
また、外側層3は、通常の生分解性樹脂と同様に処理される。
このように、内側層2と外側層3を分離して、それぞれ別々に処理することができるので、内側層2の非生分解性樹脂と外側層3の生分解性樹脂の処理を最適化することが可能である。
【0061】
本実施の形態の樹脂製容器20は、第1の実施の形態の樹脂製容器1と同様に、内側層2と外側層3の2層構造を有し、内側層2が非生分解性樹脂から成り、外側層3が生分解性樹脂から成る。
これにより、内容物が生分解性樹脂に接触しないため、内容物による生分解性樹脂の分解は開始されず、密閉性、耐久性を確保することができる。
【0062】
また、本実施の形態の樹脂製容器20では、内側層2と外側層3とが分離可能であり、さらに、内側層2に収容された内容物が十分に減少したときに、内側層2が外側層3から離れる。
そして、外側層3に薄肉部4が設けられている。このため、外側層3をその薄肉部4で折ることにより、外側層3の上部と外側層3の主要部とを分離して、内側層2を外側層3の主要部から取り出して、内側層2と外側層3を容易に分離することができる。
従って、樹脂製容器20を容易に処分することが可能になる。
【0063】
さらに、本実施の形態の樹脂製容器20は、外側層3の薄肉部4の外側を覆って、キャップ6が設けられていることにより、樹脂製容器20を誤って落とした際に、薄肉部4から折れてしまわないように、キャップ6で薄肉部4を保護することができる。
【0064】
(第3の実施の形態の変形例)
なお、第3の実施の形態の樹脂製容器20のキャップ6の代わりに、蓋付きポンプによって、キャップ6と同様に薄肉部4を保護する効果を実現することも可能である。
【0065】
(第4の実施の形態)
本発明の樹脂製容器の第4の実施の形態を、
図10~
図13を参照して説明する。
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、本発明の樹脂製容器を、ボトルに適用している。
図10は、第4の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図(断面図)である。
【0066】
本実施の形態の樹脂製容器30は、
図10に示すように、内側層2と外側層3とを有する2層構造のボトルであり、開口を有する上部の直径が、下方の主要部の直径よりも細くなっている。
本実施の形態の樹脂製容器30は、内側層2が非生分解性樹脂から成り、外側層3が生分解性樹脂から成る。
そして、内側層2と外側層3とは、接して配置されている。
また、内側層2と外側層3とは、接着されておらず、互いに分離することが可能である。
【0067】
さらに、外側層3の上部の直径が小さい部分に、外側層3の他の部分よりも厚さの薄い薄肉部4が設けられている。
外側層3の薄肉部4は、
図4の第2の実施の形態の樹脂製容器10の外側層3の薄肉部4と同様に、外側層3の外面側に設けられており、外面側がへこんで形成されている。
【0068】
また、
図10に示すように、薄肉部4の上下の部分の外側層3が、外側層3の他の部分よりも少し薄く形成されて、凹部となっている。そして、この外側層3の凹部に、補強材7がはめ込まれている。即ち、補強材7は、外側層3の薄肉部4の外側を覆っている。
そして、
図11Aに補強材7の平面図を示し、
図11Bに補強材7の側面図を示すように、補強材7は、円筒状に形成されており、さらに、厚さが補強材7の他の部分よりも薄い薄肉部7Aと、外側に突出した突起部7Bとを有している。薄肉部7Aは、内壁側が切り込まれて、凹部となっている。突起部7Bは、補強材7の円筒に対して斜めに形成されている。
なお、図示を省略するが、薄肉部7Aは、
図11Aの平面図に示す最も薄い部分が、
図11Bの側面図の突起部7Bの右端の線と平行に形成されている。これにより、突起部7Bを摘まんで引っ張れば、薄肉部7Aの最も薄い部分が切れて、補強材7を樹脂製容器30から取り外すことが可能になる。
【0069】
補強材7は、その薄肉部7Aを切ることにより、取り外すことが可能となる、材料により構成する。例えば、非生分解性樹脂、生分解性樹脂、薄い金属等を、補強材7の材料として使用することができる。
そして、補強材7を樹脂製容器30の外側層3の凹部にはめこむときには、例えば、補強材7を加熱して、外側層3の凹部に圧入する。
【0070】
ここで、本実施の形態の樹脂製容器30における、内側層2と外側層3とを分離する方法を、
図12A~
図13Eを参照して説明する。
図12Aは、
図10と同じ状態を示している。
【0071】
図12Aに示す状態から、ポンプ(図示せず)を操作して内容物をポンプから吐出させる操作等によって、内側層2の内部の内容物の量を減少させると、内容物の体積が減少するので、内側層2が収縮して外側層3から離れていく。
さらに内容物の体積が減少すると、
図12Bに示すように、内側層2がかなり収縮して、外側層3から完全に離れる。
そして、補強材7の突起部7Bを摘まんで引っ張ることにより、補強材7の薄肉部7Aの最も薄い部分が切れて、
図12Cに示すように、補強材7を樹脂製容器30から取り外すことができる。
さらに、外側層3をその薄肉部4で折ることにより、
図13Dに示すように、外側層3の主要部と、外側層3の上部とを分離する。
これにより、
図13Eに示すように、外側層3の上部と共に、内側層2を取り外して、外側層3の主要部から分離することができる。
【0072】
その後、外側層3から分離した内側層2は、通常の非生分解性樹脂と同様に処理される。
また、外側層3は、通常の生分解性樹脂と同様に処理される。
このように、内側層2と外側層3を分離して、それぞれ別々に処理することができるので、内側層2の非生分解性樹脂と外側層3の生分解性樹脂の処理を最適化することが可能である。
【0073】
本実施の形態の樹脂製容器30は、第1の実施の形態の樹脂製容器1と同様に、内側層2と外側層3の2層構造を有し、内側層2が非生分解性樹脂から成り、外側層3が生分解性樹脂から成る。
これにより、内容物が生分解性樹脂に接触しないため、内容物による生分解性樹脂の分解は開始されず、密閉性、耐久性が確保できる。
【0074】
また、本実施の形態の樹脂製容器30では、内側層2と外側層3とが分離可能であり、さらに、内側層2に収容された内容物が十分に減少したときに、内側層2が外側層3から離れる。
そして、外側層3に薄肉部4が設けられている。このため、外側層3をその薄肉部4で折ることにより、外側層3の上部と外側層3の主要部とを分離して、内側層2を外側層3の主要部から取り出して、内側層2と外側層3を容易に分離することができる。
従って、樹脂製容器30を容易に処分することが可能になる。
【0075】
さらに、本実施の形態の樹脂製容器30は、外側層3の薄肉部4の外側を覆って、補強材7が設けられていることにより、樹脂製容器30を誤って落とした際に、薄肉部4から折れてしまわないように、補強材7で薄肉部4を保護することができる。
【0076】
(第5の実施の形態)
本発明の樹脂製容器の第5の実施の形態を、
図14~
図16を参照して説明する。
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、本発明の樹脂製容器を、ボトルに適用している。
図14は、第5の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図(断面図)である。
【0077】
本実施の形態の樹脂製容器40は、
図14に示すように、内側層2と外側層3とを有する2層構造のボトルであり、開口を有する上部の直径が、下方の主要部の直径よりも細くなっている。
本実施の形態の樹脂製容器40は、内側層2が非生分解性樹脂から成り、外側層3が生分解性樹脂から成る。
そして、内側層2と外側層3とは、接して配置されている。
また、内側層2と外側層3とは、接着されておらず、互いに分離することが可能である。
【0078】
さらに、外側層3の直径が大きい主要部分の上部に、外側層3の他の部分よりも厚さの薄い薄肉部4が設けられている。薄肉部4は、より詳しくは、外側層3の直径が変わる肩の部分から、少し下であり、外側層3の内壁の直径が変わる位置より下の位置に設けられている。
外側層3の薄肉部4は、
図4の第2の実施の形態の樹脂製容器10の外側層3の薄肉部4と同様に、外側層3の外面側に設けられており、外面側がへこんで形成されている。
【0079】
また、
図14に示すように、薄肉部4の上下の部分の外側層3が、外側層3の他の部分よりも少し薄く形成されて、凹部となっている。そして、この外側層3の凹部に、補強材8がはめ込まれている。これにより、補強材8は、外側層3の薄肉部4の外側を覆っている。
補強材8は、第4の実施の形態の補強材7と同様に、円筒状に形成されており、さらに、厚さが補強材8の他の部分よりも薄い薄肉部と、外側に突出した突起部とを有している。そして、補強材8の薄肉部は、内壁側が切り込まれて凹部となっており、補強材8の突起部は、補強材8の円筒に対して斜めに形成されている。さらに、補強材8の薄肉部は、最も薄い部分が、補強材8の突起部の端の線と平行に形成されている。これにより、突起部を摘まんで引っ張れば、薄肉部の最も薄い部分が切れて、補強材8を樹脂製容器40から取り外すことが可能になる。
即ち、本実施の形態の補強材8は、第4の実施の形態の補強材7と同様の形状を有し、補強材8を取り付ける外側層3の位置に対応して、円筒の直径や高さ等の寸法を変更した構成である。
補強材8の材料は、第4の実施の形態で補強材7の材料として説明した材料を、使用することができる。
【0080】
ここで、本実施の形態の樹脂製容器40における、内側層2と外側層3とを分離する方法を、
図15A~
図16Eを参照して説明する。
図15Aは、
図14と同じ状態を示している。
【0081】
図15Aに示す状態から、ポンプ(図示せず)を操作して内容物をポンプから吐出させる操作等によって、内側層2の内部の内容物の量を減少させると、内容物の体積が減少するので、内側層2が収縮して外側層3から離れていく。
さらに内容物の体積が減少すると、
図15Bに示すように、内側層2がかなり収縮して、外側層3から完全に離れる。
そして、補強材8の突起部を摘まんで引っ張ることにより、補強材8の薄肉部の最も薄い部分が切れて、
図15Cに示すように、補強材8を樹脂製容器40から取り外すことができる。
さらに、外側層3をその薄肉部4で折ることにより、
図16Dに示すように、外側層3の主要部と、外側層3の上部とを分離する。
これにより、
図16Eに示すように、外側層3の上部と共に、内側層2を取り外して、外側層3の主要部から分離することができる。
【0082】
その後、外側層3から分離した内側層2は、通常の非生分解性樹脂と同様に処理される。
また、外側層5は、通常の生分解性樹脂と同様に処理される。
このように、内側層2と外側層3を分離して、それぞれ別々に処理することができるので、内側層2の非生分解性樹脂と外側層3の生分解性樹脂の処理を最適化することが可能である。
【0083】
本実施の形態の樹脂製容器40は、第1の実施の形態の樹脂製容器1と同様に、内側層2と外側層3の2層構造を有し、内側層2が非生分解性樹脂から成り、外側層3が生分解性樹脂から成る。
これにより、内容物が生分解性樹脂に接触しないため、内容物による生分解性樹脂の分解は開始されず、密閉性、耐久性を確保することができる。
【0084】
また、本実施の形態の樹脂製容器40では、内側層2と外側層3とが分離可能であり、さらに、内側層2に収容された内容物が十分に減少したときに、内側層2が外側層3から離れる。
そして、外側層3に薄肉部4が設けられている。このため、外側層3をその薄肉部4で折ることにより、外側層3の上部と外側層3の主要部とを分離して、内側層2を外側層3の主要部から取り出して、内側層2と外側層3を容易に分離することができる。
従って、樹脂製容器40を容易に処分することが可能になる。
【0085】
さらに、本実施の形態の樹脂製容器40は、外側層3の薄肉部4の外側を覆って、補強材8が設けられていることにより、樹脂製容器40を誤って落とした際に、薄肉部4から折れてしまわないように、補強材8で薄肉部4を保護することができる。
【0086】
(第6の実施の形態)
本発明の樹脂製容器の第6の実施の形態を、
図17~
図19を参照して説明する。
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、本発明の樹脂製容器を、ボトルに適用している。
図17は、第6の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図(断面図)である。
【0087】
本実施の形態の樹脂製容器50は、
図17に示すように、内側層2と外側層3とを有する2層構造のボトルであり、開口を有する上部の直径が、下方の主要部の直径よりも細くなっている。
【0088】
本実施の形態の樹脂製容器50は、内側層2が非生分解性樹脂から成り、外側層3が生分解性樹脂から成る。
そして、内側層2と外側層3とは、接して配置されている。
また、内側層2と外側層3とは、接着されておらず、互いに分離することが可能である。
【0089】
さらに、外側層3の直径が大きい主要部分の下部に、外側層3の他の部分よりも厚さの薄い薄肉部4が設けられている。薄肉部4は、より詳しくは、外側層3の底面と側面がつながる肩の部分から、少し上であり、外側層3の内壁の直径が変わる位置より上の位置に設けられている。
外側層3の薄肉部4は、
図4の第2の実施の形態の樹脂製容器10の外側層3の薄肉部4と同様に、外側層3の外面側に設けられており、外面側がへこんで形成されている。
【0090】
また、
図17に示すように、薄肉部4の上下の部分の外側層3が、外側層3の他の部分よりも少し薄く形成されて、凹部となっている。そして、この外側層3の凹部に、補強材9がはめ込まれている。
補強材9は、第5の実施の形態の補強材8と同様に、円筒状に形成されており、さらに、厚さが補強材9の他の部分よりも薄い薄肉部と、外側に突出した突起部とを有している。そして、補強材9の薄肉部は、内壁側が切り込まれて凹部となっており、補強材9の突起部は、補強材9の円筒に対して斜めに形成されている。さらに、補強材9の薄肉部は、最も薄い部分が、補強材9の突起部の端の線と平行に形成されている。これにより、突起部を摘まんで引っ張れば、薄肉部の最も薄い部分が切れて、補強材9を樹脂製容器50から取り外すことが可能になる。
即ち、本実施の形態の補強材9は、第5の実施の形態の補強材8と同様の形状を有し、補強材9を取り付ける外側層3の位置が異なり、円筒の直径は補強材8とほぼ同程度である。
補強材9の材料は、第4の実施の形態で補強材7の材料として説明した材料を、使用することができる。
【0091】
ここで、本実施の形態の樹脂製容器50における、内側層2と外側層3とを分離する方法を、
図18A~
図19Fを参照して説明する。
図18Aは、
図17と同じ状態を示している。
【0092】
図18Aに示す状態から、ポンプ(図示せず)を操作して内容物をポンプから吐出させる操作等によって、内側層2の内部の内容物の量を減少させると、内容物の体積が減少するので、内側層2が収縮して外側層3から離れていく。
さらに内容物の体積が減少すると、
図18Bに示すように、内側層2がかなり収縮して、外側層3から完全に離れる。
そして、補強材9の突起部を摘まんで引っ張ることにより、補強材9の薄肉部の最も薄い部分が切れて、
図18Cに示すように、補強材9を樹脂製容器50から取り外すことができる。
さらに、外側層3をその薄肉部4で折ることにより、
図19Dに示すように、外側層3の主要部と、外側層3の底部とを分離する。
そして、
図19Eに示すように、外側層3の底の開口から、内側層2を引き出す。
これにより、
図19Fに示すように、内側層2を取り外して、外側層3の主要部から分離することができる。
【0093】
その後、外側層3から分離した内側層2は、通常の非生分解性樹脂と同様に処理される。
また、外側層3は、通常の生分解性樹脂と同様に処理される。
このように、内側層2と外側層3を分離して、それぞれ別々に処理することができるので、内側層2の非生分解性樹脂と外側層3の生分解性樹脂の処理を最適化することが可能である。
【0094】
本実施の形態の樹脂製容器50は、第1の実施の形態の樹脂製容器1と同様に、内側層2と外側層3の2層構造を有し、内側層2が非生分解性樹脂から成り、外側層3が生分解性樹脂から成る。
これにより、内容物が生分解性樹脂に接触しないため、内容物による生分解性樹脂の分解は開始されず、密閉性、耐久性を確保することができる。
【0095】
また、本実施の形態の樹脂製容器50では、内側層2と外側層3とが分離可能であり、さらに、内側層2に収容された内容物が十分に減少したときに、内側層2が外側層3から離れる。
そして、外側層3に薄肉部4が設けられている。このため、外側層3をその薄肉部4で折ることにより、外側層3の上部と外側層3の主要部とを分離して、内側層2を外側層3の主要部から取り出して、内側層2と外側層3を容易に分離することができる。
従って、樹脂製容器50を容易に処分することが可能になる。
【0096】
さらに、本実施の形態の樹脂製容器50は、外側層3の薄肉部4の外側を覆って、補強材9が設けられていることにより、樹脂製容器50を誤って落とした際に、薄肉部4から折れてしまわないように、補強材9で薄肉部4を保護することができる。
【0097】
(第7の実施の形態)
本発明の樹脂製容器の第7の実施の形態を、
図20~
図22を参照して説明する。
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、本発明の樹脂製容器を、ボトルに適用している。
図20は、第7の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図(断面図)である。
【0098】
本実施の形態の樹脂製容器60は、
図20に示すように、内側層2と外側層3とを有する2層構造のボトルであり、開口を有する上部の直径が、下方の主要部の直径よりも細くなっている。
【0099】
本実施の形態の樹脂製容器60は、内側層2が非生分解性樹脂から成り、外側層3が生分解性樹脂から成る。
そして、内側層2と外側層3とは、接して配置されている。
また、内側層2と外側層3とは、接着されておらず、互いに分離することが可能である。
【0100】
さらに、本実施の形態の樹脂製容器60は、外側層3の底面が上向きに湾曲しており、外側層3の底面に、外側層3の他の部分よりも厚さの薄い薄肉部4が設けられている。薄肉部4は、より詳しくは、外側層3の底面のうち、側面との肩に近い位置(中心軸から遠い位置)に設けられている。
外側層3の薄肉部4は、
図4の第2の実施の形態の樹脂製容器10の外側層3の薄肉部4と同様に、外側層3の外面側に設けられており、外面側がへこんで形成されている。
【0101】
ここで、本実施の形態の樹脂製容器60における、内側層2と外側層3とを分離する方法を、
図21A~
図22Eを参照して説明する。
図21Aは、
図20と同じ状態を示している。
【0102】
図21Aに示す状態から、ポンプ(図示せず)を操作して内容物をポンプから吐出させる操作等によって、内側層2の内部の内容物の量を減少させると、内容物の体積が減少するので、内側層2が収縮して外側層3から離れていく。
さらに内容物の体積が減少すると、
図21Bに示すように、内側層2がかなり収縮して、外側層3から完全に離れる。
そして、外側層3の底面を上側に押すことにより、
図21Cに示すように、外側層3の底面に設けられた薄肉部4が折れて、外側層3の底面が外側層の主要部から離れる。
さらに、
図22Dに示すように、外側層3の底面と、内側層2を引き出す。
これにより、
図22Eに示すように、外側層3の底面及び内側層2を取り外して、外側層3の主要部から分離することができる。
【0103】
その後、外側層3から分離した内側層2は、通常の非生分解性樹脂と同様に処理される。
また、外側層3は、通常の生分解性樹脂と同様に処理される。
このように、内側層2と外側層3を分離して、それぞれ別々に処理することができるので、内側層2の非生分解性樹脂と外側層3の生分解性樹脂の処理を最適化することが可能である。
【0104】
本実施の形態の樹脂製容器60は、第1の実施の形態の樹脂製容器1と同様に、内側層2と外側層3の2層構造を有し、内側層2が非生分解性樹脂から成り、外側層3が生分解性樹脂から成る。
これにより、内容物が生分解性樹脂に接触しないため、内容物による生分解性樹脂の分解は開始されず、密閉性、耐久性を確保することができる。
【0105】
また、本実施の形態の樹脂製容器60では、内側層2と外側層3とが分離可能であり、さらに、内側層2に収容された内容物が十分に減少したときに、内側層2が外側層3から離れる。
そして、外側層3に薄肉部4が設けられている。このため、外側層3をその薄肉部4で折ることにより、外側層3の上部と外側層3の主要部とを分離して、内側層2を外側層3の主要部から取り出して、内側層2と外側層3を容易に分離することができる。
従って、樹脂製容器60を容易に処分することが可能になる。
【0106】
さらに、本実施の形態の樹脂製容器60は、薄肉部4が外側層3の底面の湾曲した部分に設けられているので、樹脂製容器60を立てたときに、薄肉部4は浮いた状態になっており、薄肉部4に樹脂製容器60の自重により力がかからない。
これにより、薄肉部4が誤って壊れる可能性を低くすることができる。
【0107】
(第8の実施の形態)
本発明の樹脂製容器の第8の実施の形態を、
図23を参照して説明する。
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、本発明の樹脂製容器を、ボトルに適用している。
図23Aは、第8の実施の形態の樹脂製容器の概略構成図(断面図)である。
図23Aの上の図は、樹脂製容器の中心軸を含む面(鉛直面に相当)における断面図であり、
図23Aの下の図は、樹脂製容器の中心軸に垂直な面(水平面に相当)における断面図である。
【0108】
本実施の形態の樹脂製容器70は、
図23Aに示すように、内側層2と外側層3とを有する2層構造のボトルであり、開口を有する上部の直径が、下方の主要部の直径よりも細くなっている。
【0109】
本実施の形態の樹脂製容器70は、内側層2が非生分解性樹脂から成り、外側層3が生分解性樹脂から成る。
そして、内側層2と外側層3とは、接して配置されている。
また、内側層2と外側層3とは、接着されておらず、互いに分離することが可能である。
【0110】
さらに、本実施の形態の樹脂製容器70は、
図23Aの下の図に示すように、外側層3の側面に、外側層3の他の部分よりも厚さの薄い薄肉部4が設けられている。
外側層3の薄肉部4は、外側がへこんで形成されている。
また、図示しないが、外側層3の薄肉部4は、外側層3の直径が大きい主要部において、上端部の近くから下端部の近くにまでわたって、形成されている。
【0111】
ここで、本実施の形態の樹脂製容器70における、内側層2と外側層3とを分離する方法を、
図23A~
図23Cを参照して説明する。なお、
図23Cでは、樹脂製容器の中心軸に垂直な面(水平面に相当)における断面図のみ示している。
【0112】
図23Aに示す状態から、ポンプ(図示せず)を操作して内容物をポンプから吐出させる操作等によって、内側層2の内部の内容物の量を減少させると、内容物の体積が減少するので、内側層2が収縮して外側層3から離れていく。
さらに内容物の体積が減少すると、
図23Bに示すように、内側層2がかなり収縮して、外側層3から完全に分離される。
そして、外側層3の側面を押しつぶすと、外側層3の薄肉部4が切れて、
図23Cに示すように、外側層3の側面に亀裂が入る。この亀裂から剥くようにして、外側層3を取り外せば、内側層2を外側層3から分離することが可能になる。
【0113】
その後、外側層3から分離した内側層2は、通常の非生分解性樹脂と同様に処理される。
また、外側層3は、通常の生分解性樹脂と同様に処理される。
このように、内側層2と外側層3を分離して、それぞれ別々に処理することができるので、内側層2の非生分解性樹脂と外側層3の生分解性樹脂の処理を最適化することが可能である。
【0114】
本実施の形態の樹脂製容器70は、キャップやポンプが付いているときには、中の内容物又は空気によって圧がかかるので、通常の使用時には割れにくくなる。
そして、本実施の形態の樹脂製容器70は、キャップやポンプを外して、容器本体の開口を開放すると、圧がなくなるので、樹脂製容器70を押しつぶしやすくなる。
【0115】
本実施の形態の樹脂製容器70は、第1の実施の形態の樹脂製容器1と同様に、内側層2と外側層3の2層構造を有し、内側層2が非生分解性樹脂から成り、外側層3が生分解性樹脂から成る。
これにより、内容物が生分解性樹脂に接触しないため、内容物による生分解性樹脂の分解は開始されず、密閉性、耐久性を確保することができる。
【0116】
また、本実施の形態の樹脂製容器70では、内側層2と外側層3とが分離可能であり、さらに、内側層2に収容された内容物が十分に減少したときに、内側層2が外側層3から離れる。
そして、外側層3に薄肉部4が設けられている。このため、外側層3をその薄肉部4で折ることにより、外側層3の上部と外側層3の主要部とを分離して、内側層2を外側層3の主要部から取り出して、内側層2と外側層3を容易に分離することができる。
従って、樹脂製容器70を容易に処分することが可能になる。
【0117】
さらに、本実施の形態の樹脂製容器70は、薄肉部4が外側層3の側面に設けられている。
これにより、蓋やポンプを外した後で、樹脂製容器70を押しつぶすと、外側層3の側面の薄肉部4から外側層に亀裂が入り、亀裂から剥くように、外側層3を取り外すことができる。
【0118】
上述した各実施の形態では、樹脂製容器が、内容物が減少したときに内側層2が収縮する構成であった。
本発明では、樹脂製容器が、内容物が減少したときに内側層が収縮する構成には限定されず、内容物が減少しても内側層が収縮しない構成も含まれる。
内側層が収縮しない構成であっても、内側層と外側層とが接着剤層等で接着されていなければ、内側層と外側層を分離することができる。
【0119】
以上、本発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0120】
1…樹脂製容器、2…内側層、3…外側層、4…薄肉部、5…突起部、6…キャップ、7…補強材、7A…薄肉部、7B…突起部、8…補強材、9…補強材、10…樹脂製容器、20…樹脂製容器、30…樹脂製容器、40…樹脂製容器、50…樹脂製容器、60…樹脂製容器、70…樹脂製容器