(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162579
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】釣り糸巻取機
(51)【国際特許分類】
B65H 59/36 20060101AFI20221018BHJP
B65H 54/02 20060101ALI20221018BHJP
B65H 57/28 20060101ALI20221018BHJP
B65H 57/14 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
B65H59/36
B65H54/02 C
B65H57/28
B65H57/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067451
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】513314241
【氏名又は名称】株式会社大垣化工
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】大垣 恵一
(72)【発明者】
【氏名】野口 正典
【テーマコード(参考)】
3F056
3F110
3F111
【Fターム(参考)】
3F056AA05
3F056AB01
3F056AC01
3F110AA01
3F110BA00
3F110CA04
3F110DA09
3F110DB04
3F111AA01
3F111AB00
3F111AC08
3F111CA14
3F111CA18
3F111DC01
3F111DD02
(57)【要約】
【課題】さらなる小型化を図りつつ、釣り糸のテンションの調整代をより増加させることが可能な釣り糸巻取機を提供する。
【解決手段】釣り糸巻取機100のテンション調整手段80は、大型スプール30から送り出される釣り糸35が掛けられる水平移動可能なガイドプーリ80bと、ガイドプーリ80bの移動経路のテンションを緩める方向端部に固定され、ガイドプーリ80bから送り出される釣り糸35が掛けられて、当該釣り糸35をガイドプーリ80bに折り返す第1補助プーリ80gと、ガイドプーリ80bを水平移動させる駆動機構と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大型スプールの回転駆動によって供給される釣り糸を、小型スプールの回転駆動によって当該小型スプールに巻き取る釣り糸巻取機であって、
前記釣り糸巻取機を制御する制御手段と、巻取り時の前記釣り糸のテンションを検知するテンション検知手段と、巻取り時の前記釣り糸のテンションを調整するテンション調整手段と、を備え、
前記テンション調整手段は、前記大型スプールから送り出される前記釣り糸が掛けられる水平移動可能なガイドプーリと、前記ガイドプーリの移動経路のテンションを緩める方向端部に固定され、前記ガイドプーリから送り出される前記釣り糸が掛けられて、当該釣り糸を前記ガイドプーリに折り返す第1補助プーリと、前記ガイドプーリを水平移動させる駆動機構と、を含み、
前記制御手段は、前記テンション検知手段が検知した前記釣り糸のテンションが所定の値よりも高くなった場合に、前記駆動機構を制御して、前記釣り糸のテンションを緩める方向に前記ガイドプーリを水平移動させ、前記テンション検知手段が検知した前記釣り糸のテンションが前記所定の値よりも低くなった場合に、前記駆動機構を制御して、前記釣り糸のテンションを強める方向に前記ガイドプーリを水平移動させることを特徴とする釣り糸巻取機。
【請求項2】
前記大型スプールから送り出される前記釣り糸が、前記ガイドプーリと前記第1補助プーリとの間で複数回折り返される、請求項1に記載の釣り糸巻取機。
【請求項3】
前記大型スプールと前記テンション調整手段との間の、前記ガイドプーリの移動経路のテンションを緩める方向側に、前記大型スプールから送り出される前記釣り糸が掛けられて、当該釣り糸を前記ガイドプーリに導く第2補助プーリが固定された、請求項1又は2に記載の釣り糸巻取機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給される釣り糸を小型スプールに小分けして巻き取るために使用される釣り糸巻取機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の糸巻取機としては、例えば、特許文献1等に開示された構成のものが知られている。特許文献1に開示された糸巻取機は、糸を供給する給糸ボビンと、供給される糸を巻き取るための巻取ボビン(小型スプール)を回転駆動する巻取ボビン回転駆動装置と、前記巻取ボビン回転駆動装置の手前に設けられ、前記巻取ボビンへの糸の巻取り時にその糸を綾振るように駆動されるトラバースガイドと、を備えている。
しかし、特許文献1等に開示された糸巻取機では、巻取ボビン(小型スプール)への糸の巻取り時にその糸がトラバースガイドによって綾振りされるので、巻取り時における糸の負担が大きくなる。その結果、前記巻取ボビンに巻き取られる糸に巻き癖が付きやすくなり、糸の品質が劣化してしまう虞があった。さらに、前記巻取ボビンの中心軸(回転軸)に対して斜め方向から当該巻取ボビンに糸が巻き取られるため、糸を整列にきれいに巻き取ることは困難であった。
【0003】
そこで、本出願人は、先に、巻取り時における糸の負担を軽減して、糸の品質を向上させることができると共に、糸を整列にきれいに巻き取ることが容易な糸巻取機を提案している(特許文献2を参照)。
特許文献2に開示された糸巻取機は、供給される糸を、小型スプールの回転駆動によって当該小型スプールに巻き取る糸巻取機であって、前記小型スプールを保持するスプール保持手段を備え、糸の巻取り時に、前記スプール保持手段が、前記小型スプールの中心軸を中心に回転しながら、前記小型スプールの中心軸方向に往復移動することを特徴としている。
かかる構成の糸巻取機によれば、巻き取られる糸が綾振りされるのではなく、スプール保持手段が、小型スプールの中心軸を中心に回転しながら、前記小型スプールの中心軸方向に往復移動するようにされているので、巻取り時における糸の負担を軽減することができる。その結果、前記小型スプールに巻き取られる糸に巻き癖が付きにくくなるので、糸の品質を向上させることができる。さらに、前記小型スプールの中心軸(回転軸)に対して直交する方向から当該小型スプールに糸を巻き取ることが可能となるので、糸を整列にきれいに巻き取ることが容易となる。
【0004】
また、特許文献2に開示された糸巻取機は、糸巻取機を制御する制御手段と、巻取り時の糸のテンションを検知するテンション検知手段と、巻取り時の糸のテンションを調整するテンション調整手段と、をさらに備え、前記テンション調整手段は、糸が掛けられる水平移動可能なガイドプーリと、前記ガイドプーリを水平移動させる駆動機構と、を含んでいる。そして、前記制御手段は、前記テンション検知手段が検知した糸のテンションが所定の値よりも高くなった場合に、前記駆動機構を制御して、糸のテンションを緩める方向に前記ガイドプーリを水平移動させ、前記テンション検知手段が検知した糸のテンションが前記所定の値よりも低くなった場合に、前記駆動機構を制御して、糸のテンションを強める方向に前記ガイドプーリを水平移動させるようにされている。
かかる構成によれば、巻取り時の糸のテンションを適正な値に維持することが可能となるので、巻乱れが生じないようにすることができる。また、この場合、糸のテンションを一定の低い値に抑えて小型スプールに巻き取ることもできる(必要最小限のテンションで巻き取ることもできる)ので、前記小型スプールに巻き取られる糸に巻き癖が付いてしまうことを防止することができると共に、前記小型スプールに巻き取られた糸の使用時に当該糸が切れてしまうことを防止することができる。また、糸に押圧力を及ぼすことなく(糸への負荷を抑えつつ)、随時、糸のテンションを適正な値に調整することができる。また、ガイドプーリを水平移動させることによって糸のテンションを調整するようにしたことにより、糸巻取機の高さ方向の小型化を図りつつ、糸のテンションの調整代を増加させることが可能となる。さらに、重力等の外的要因に左右されることなく、安定に糸のテンションを調整することができるので、糸のテンションを一定にし易くなる。その結果、糸をきれいに巻き取ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-238245号公報
【特許文献2】特開2018-020854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示された糸巻取機は、高さ方向の小型化を図りつつ、糸のテンションの調整代を増加させることが可能なものであるが、近年、物性の異なる種々の釣り糸に対応させるべく、釣り糸のテンションの調整代をより増加させることが可能な釣り糸巻取機の出現が要望されている。また、釣り糸巻取機のさらなる小型化も要望されている。
【0007】
本発明は、上記要望に鑑みてなされたものであり、さらなる小型化を図りつつ、釣り糸のテンションの調整代をより増加させることが可能な釣り糸巻取機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明に係る釣り糸巻取機の構成は、
(1)大型スプールの回転駆動によって供給される釣り糸を、小型スプールの回転駆動によって当該小型スプールに巻き取る釣り糸巻取機であって、
前記釣り糸巻取機を制御する制御手段と、巻取り時の前記釣り糸のテンションを検知するテンション検知手段と、巻取り時の前記釣り糸のテンションを調整するテンション調整手段と、を備え、
前記テンション調整手段は、前記大型スプールから送り出される前記釣り糸が掛けられる水平移動可能なガイドプーリと、前記ガイドプーリの移動経路のテンションを緩める方向端部に固定され、前記ガイドプーリから送り出される前記釣り糸が掛けられて、当該釣り糸を前記ガイドプーリに折り返す第1補助プーリと、前記ガイドプーリを水平移動させる駆動機構と、を含み、
前記制御手段は、前記テンション検知手段が検知した前記釣り糸のテンションが所定の値よりも高くなった場合に、前記駆動機構を制御して、前記釣り糸のテンションを緩める方向に前記ガイドプーリを水平移動させ、前記テンション検知手段が検知した前記釣り糸のテンションが前記所定の値よりも低くなった場合に、前記駆動機構を制御して、前記釣り糸のテンションを強める方向に前記ガイドプーリを水平移動させることを特徴とする。
【0009】
本発明の釣り糸巻取機の上記(1)の構成は、次のような作用効果を奏する。
すなわち、上記(1)の構成によれば、テンション調整手段が、大型スプールから送り出される釣り糸が掛けられる水平移動可能なガイドプーリと、前記ガイドプーリの移動経路のテンションを緩める方向端部に固定され、前記ガイドプーリから送り出される前記釣り糸が掛けられて、当該釣り糸を前記ガイドプーリに折り返す第1補助プーリと、を含んでいることにより、前記大型スプールから送り出される前記釣り糸を、前記ガイドプーリと前記第1補助プーリとの間で折り返すことができる。その結果、特許文献2の場合と比較して、前記ガイドプーリのより少ない移動量で、前記釣り糸のテンションをより大きい幅で調整する(前記釣り糸のテンションの調整代をより増加させる)ことが可能となる。そして、前記ガイドプーリの水平移動量をより少なくすることができるため、釣り糸巻取機の横方向の小型化を図ることもできる。
したがって、上記(1)の構成によれば、さらなる小型化を図りつつ、釣り糸のテンションの調整代をより増加させることが可能な釣り糸巻取機を提供することができる。
【0010】
本発明の釣り糸巻取機の上記(1)の構成においては、以下の(2),(3)のような構成にすることが好ましい。
【0011】
(2)上記(1)の構成において、前記大型スプールから送り出される前記釣り糸が、前記ガイドプーリと前記第1補助プーリとの間で複数回折り返される。上記(2)の好ましい構成によれば、ガイドプーリのより少ない移動量で、釣り糸のテンションをさらに大きい幅で調整する(前記釣り糸のテンションの調整代をさらに増加させる)ことが可能となる。
【0012】
(3)上記(1)又は(2)の構成において、前記大型スプールと前記テンション調整手段との間の、前記ガイドプーリの移動経路のテンションを緩める方向側に、前記大型スプールから送り出される前記釣り糸が掛けられて、当該釣り糸を前記ガイドプーリに導く第2補助プーリが固定されている。上記(3)の好ましい構成によれば、大型スプールの釣り糸の残量にかかわりなく、ガイドプーリに導かれる前記釣り糸を支持する部分を一定にすることができる。その結果、前記大型スプールの前記釣り糸の残量にかかわらず、前記釣り糸の均一なテンション調整が可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、さらなる小型化を図りつつ、釣り糸のテンションの調整代をより増加させることが可能な釣り糸巻取機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態における釣り糸巻取機の概略構成を示す正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態における釣り糸巻取機の構成要素であるテンション検知手段の動作を説明するための拡大正面図である。
【
図4】本発明の一実施形態における釣り糸巻取機の構成要素であるテンション調整手段の概略構成を示す拡大平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態における釣り糸巻取機の構成要素であるテンション調整手段の動作を説明するための拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、好適な実施形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、下記の実施形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0016】
[釣り糸巻取機の全体構成]
まず、本発明の一実施形態における釣り糸巻取機の全体構成について、
図1,
図2を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態における釣り糸巻取機の概略構成を示す正面図、
図2は、
図1の右側面図である。
【0018】
図1,
図2に示すように、本実施形態の釣り糸巻取機100は、釣り糸35を供給する釣り糸供給機構40と、釣り糸35の巻き取りを行なう釣り糸巻取機構50と、釣り糸巻取機構50による釣り糸35の巻取り量(巻取り長さ)を計測する巻取り量計測機構60と、を備えている。ここで、釣り糸供給機構40には、釣り糸35が巻回された大型スプール30が着脱可能に取り付けられ、当該大型スプール30は、繰出しモータ(図示せず)によって回転駆動するようにされている。釣り糸巻取機構50には、釣り糸35が巻き取られる小型スプール45が着脱可能に取り付けられ、当該小型スプール45は、巻取りモータ(図示せず)によって回転駆動するようにされている。また、巻取り量計測機構60は、釣り糸35の送り量(釣り糸巻取機構50による釣り糸35の巻取り量)を自身の回転変位に基づいて計測する測長用エンコーダ55を備えており、当該測長用エンコーダ55には釣り糸35が巻き回されている。そして、釣り糸供給機構40は、大型スプール30の回転駆動によって釣り糸35を供給する。釣り糸巻取機構50は、釣り糸供給機構40から供給される釣り糸35を、小型スプール45の回転駆動によって当該小型スプール45に巻き取る。大型スプール30及び小型スプール45を回転駆動させる各モータは、釣り糸巻取機100のプッシュスイッチ(図示せず)をプッシュ操作することによって同期して駆動し、測長用エンコーダ55によって計測される釣り糸35の送り量が予め設定された値になると、停止するようにされている。
【0019】
本実施形態の釣り糸巻取機100は、巻取り量計測機構60と釣り糸巻取機構50との間に設けられた、巻取り時の釣り糸35のテンションを検知する、上下2つのテンション検知手段(テンションセンサ)70と、釣り糸供給機構40と巻取り量計測機構60との間に設けられた、巻取り時の釣り糸35のテンションを調整するテンション調整手段80と、をさらに備えている。
ここで、上側のテンション検知手段70は、細い釣り糸35を巻き取る際に用いられ、下側のテンション検知手段70は、太い釣り糸35を巻き取る際に用いられる。また、テンション調整手段80は、釣り糸巻取機100を制御する制御手段(図示せず)によって制御される。すなわち、制御手段は、テンション検知手段70が検知した釣り糸35のテンションに基づいてテンション調整手段80を制御して、釣り糸35のテンションを「所定の値」に維持する(巻取り時の釣り糸35のテンションが変わったら、随時、テンション調整手段80によって釣り糸35のテンションが調整される)。
【0020】
なお、本実施形態において、「所定の値」は、特定の閾値に加え、予め設定された最低値と最高値との間である値の範囲も含まれる。また、「所定の値」は、釣り糸巻取機100の操作者によって設定された値でもよく、当該操作者によって設定された小型スプール45の大きさ(小型スプール45の径や幅等)や、小型スプール45に巻き取る釣り糸35の径や長さに基づいて、制御手段が設定した値でもよい。
【0021】
具体的には、「所定の値」は、釣り糸35が最も細い場合(0.2号)において、設定値が5gであり、実際のテンションが巻取り開始時は5gであり、巻取り終了時も5gである。また、釣り糸35が最も太い場合(30号)において、設定値が190gであり、実際のテンションが巻取り開始時は200gであり、巻取り終了時が180gである。すなわち、本実施形態の釣り糸巻取機100は、テンションの「所定の値」を5g~190gの間で設定することで、5g~200gの間のテンションで、小型スプール45に釣り糸35を巻き取ることができる。
【0022】
このように、操作者によって設定された小型スプール45の大きさ(小型スプール45の径や幅等)や、小型スプール45に巻き取る釣り糸35の径や長さに基づいて、制御手段が「所定の値」を設定し、巻取り時の釣り糸35のテンションを自動的に調整することで、釣り糸巻取機100の操作に慣れていない者が操作しても、熟練者に操作された場合と同等の品質で、小型スプール45に釣り糸35を巻き取ることができる。
【0023】
釣り糸供給機構40と巻取り量計測機構60との間にはプーリ65aが配置され、釣り糸供給機構40と当該プーリ65aとの間にテンション調整手段80が設けられている。また、巻取り量計測機構60と釣り糸巻取機構50との間には、4つのプーリ65b,65c,65d,65eがこの順番で配置され、2つのプーリ65c,65d間にテンション検知手段70が設けられている。
【0024】
大型スプール30に巻回された釣り糸35は、テンション調整手段80、プーリ65a、測長用エンコーダ55、プーリ65b,65c、テンション検知手段70、及びプーリ65d,65eにこの順番で掛けられた後、小型スプール45に係止される。そして、釣り糸巻取機100のプッシュスイッチをプッシュ操作することにより、大型スプール30及び小型スプール45が回転駆動し、大型スプール30に巻回された釣り糸35が小型スプール45に巻き取られる。測長用エンコーダ55によって計測される釣り糸35の送り量が所定値になると、すなわち、小型スプール45に巻き取られた釣り糸35が所定の長さに達すると、大型スプール30及び小型スプール45を回転駆動させる各モータが自動的に停止して、小型スプール45への釣り糸35の巻取りが終了する。釣り糸35が巻き取られた小型スプール45は、その近傍で釣り糸35が切断されて釣り糸巻取機構50から取り外された後、包装、ラベル貼り等が行なわれ、数個単位で小箱に収納されて出荷される。
【0025】
本実施形態の釣り糸巻取機100は、釣り糸供給機構40に着脱可能に取り付けられる大型スプール30の、回転軸に垂直な側方に位置して設けられた、レーザ投光素子と受光素子を内蔵する距離センサ110をさらに備えている。レーザ投光素子から出射されたレーザ光は、大型スプール30に巻回されている釣り糸35に当たって反射され、受光素子によって受光される。そして、その反射されたレーザ光が評価・演算され、距離に換算されて出力される。これにより、大型スプール30に巻回されている釣り糸35の巻き厚が分かり、当該釣り糸35の巻き厚の時間変化から、大型スプール30からの釣り糸35の送り速度が算出される。
また、本実施形態の釣り糸巻取機100は、釣り糸巻取機構50に着脱可能に取り付けられる小型スプール45を、その回転軸に垂直な方向に挟んで対向配置された、レーザ投光器20aと受光器20bとをさらに備えている。レーザ投光器20aから出射されたレーザ光は、小型スプール45に巻回されている釣り糸35の厚みによって遮られる。そして、このようにレーザ光が遮られると、受光器20bに入射するレーザ光の量が減少し、この入射レーザ光量の減少により、小型スプール45に巻回されている釣り糸35の巻き厚が分かり、当該釣り糸35の巻き厚の時間変化から、小型スプール45への釣り糸35の巻取り速度が算出される。
【0026】
大型スプール30からの釣り糸35の送り速度に対応する信号、及び、小型スプール45への釣り糸35の巻取り速度に対応する信号は、釣り糸巻取機100を制御する制御手段に送られ、当該制御手段によって大型スプール30及び小型スプール45を回転駆動させる各モータが同期して駆動するように制御される。その結果、巻取り時の大型スプール30及び小型スプール45の回転の立ち上がりを早くして、最初から高速で釣り糸35の巻き取りを行なうことが可能となる。また、このように、任意の巻取り位置で、大型スプール30からの釣り糸35の送り速度と小型スプール45への釣り糸35の巻取り速度を同じにすることができるので、追い巻きを行なう場合に巻乱れが生じることを防止することができる。
また、レーザ投光器20aと受光器20bとにより、釣り糸巻取機構50に取り付けられた小型スプール45のフランジ45a,45a間の幅寸法を検出できるようにされている。小型スプール45のフランジ45a,45a間の幅寸法に対応する信号は、釣り糸巻取機100を制御する制御手段に送られ、当該制御手段によって釣り糸巻取機構50の吸引ヘッド5の先端部分の往復移動幅が小型スプール45のフランジ45a,45a間の幅寸法と一致するように制御される。その結果、釣り糸35を巻き取る際に小型スプール45の大きさとかを入力する必要がないので、釣り糸35の巻取作業をさらに効率良く行なうことが可能となる。
【0027】
プーリ65eと釣り糸巻取機構50との間には、釣り糸35を保持する釣り糸保持手段90が設けられている。釣り糸保持手段90は、基端部が釣り糸巻取機100のフレームに固定されたステー95aと、当該ステー95aの先端部に回動可能に取り付けられた、釣り糸供給機構40から供給される釣り糸35を挟持する一対の釣り糸保持ローラ95bと、により構成されている。ここで、一対の釣り糸保持ローラ95bの対向面は、釣り糸35を傷付けないように、半硬質スポンジやフェルト等の柔軟性素材からなっている。
かかる構成によれば、小型スプール45に釣り糸35を巻き終わって、当該小型スプール45を交換する際に、釣り糸保持手段90と当該小型スプール45との間で釣り糸35を切断することにより、釣り糸供給機構40から供給される釣り糸35の先端部を釣り糸保持手段90に保持しておくことができるので、交換後の小型スプール45に直ぐに釣り糸35を係止させることができる。その結果、釣り糸35の巻取作業を効率良く行なうことが可能となる。
【0028】
本実施形態の釣り糸巻取機100は、釣り糸巻取機構50に着脱可能に取り付けられる小型スプール45の下方に位置して設けられた、当該小型スプール45に巻き取られる釣り糸35を押える釣り糸押え手段25をさらに備えている。ここで、押え部材25bとしては、小型スプール45のフランジ45a,45a間の幅寸法とほぼ同じ長さを有する略直方体状のフェルト製の部材が用いられており、釣り糸35を傷付けることがないようにされている。
ところで、小型スプールには、両フランジの内面が外周に行くにしたがって次第に拡がるようなテーパー状に形成された形状のものが存在する。そして、かかる形状の小型スプールに釣り糸を整列に巻き取ろうとすると、整列状態が崩れてしまう虞がある。
これに対し、本実施形態の釣り糸巻取機100の構成によれば、小型スプール45に巻き取られる釣り糸35を押える釣り糸押え手段25を備えているので、整列状態を崩すことなく釣り糸35をきれいに巻き取ることが可能となる。
なお、釣り糸押え手段25の側方には、フェルト製の押え部材25bと釣り糸35との間の摩擦を小さくするためにフェルト製の押え部材25bにシリコンを付与するシリコン付与手段27が設けられている。
【0029】
[釣り糸巻取機構の構成]
次に、本発明の一実施形態における釣り糸巻取機の構成要素である釣り糸巻取機構の具体的構成について、同じく
図1,
図2を参照しながら説明する。
【0030】
図1,
図2に示すように、釣り糸巻取機構50は、釣り糸巻取機100のフレームに固定された吸引装置1と、吸引装置1に取り外し可能に装着され、吸引装置1による真空吸引によって小型スプール45を吸着保持する円柱状の吸着治具2と、吸着治具2の先端面に取り外し可能に装着され、小型スプール45を吸着治具2に吸着保持する際に、当該小型スプール45の軸筒(図示せず)が挿通される軸芯3と、を備えている。なお、軸芯3は、耐食性の高いステンレス鋼(SUS304等)で形成され、その表面は鏡面研磨仕上げされている。
【0031】
吸引装置1は、円筒状の装置本体4と、装置本体4内にベアリングによって回転可能に支持され、中心軸に沿って吸引孔(図示せず)が形成された略円柱状の吸引ヘッド5と、を備えている。吸引ヘッド5の後端部には、従動プーリ6が固定されている。また、吸引装置1の上方には、駆動プーリ8を有するモータ7が設置されている。そして、従動プーリ6と駆動プーリ8との間にはタイミングベルト9が掛け渡されており、モータ7を駆動させることにより、吸引ヘッド5を、その中心軸を中心に回転させることができるようにされている。また、吸引ヘッド5の後端には、真空ポンプ26に接続された吸引パイプ10が吸引ヘッド5の回転を妨げない状態で連結されている。ここで、真空ポンプ26は、フットペダルスイッチ(図示せず)を足で踏むことによって真空吸引をオン/オフ制御できるようにされている。すなわち、フットペダルスイッチを足で踏むことによって真空ポンプ26の真空吸引がオン状態となり、フットペダルスイッチを再度足で踏むことによって真空ポンプ26の真空吸引がオフ状態となるようにされている。なお、吸引装置1は、耐食性の高いステンレス鋼(SUS304等)で形成され、その表面は鏡面研磨仕上げされている。
【0032】
吸着治具2は、吸引ヘッド5の先端面にネジ止め固定されている。吸着治具2には、所定の円周上に90°間隔で4本の吸引孔2aが形成されている。そして、4本の吸引孔2aは、吸着治具2を吸引装置1に装着することにより、吸引ヘッド5の吸引孔と連通した状態となる。
吸着治具2の先端面には、所定の円周上に配置される4本の吸引孔2aを挟むようにして、2つの円環状の凸条2b,2cが形成されている。このため、小型スプール45のフランジ45aを、2つの凸条2b,2cに当接させることにより、当該2つの凸条2b,2c間の空間を密閉状態にすることができる。したがって、この状態で真空ポンプ26の真空吸引をオン状態にすれば、小型スプール45を吸着治具2の先端面に吸着保持させることができる。
【0033】
吸引ヘッド5は、その先端部分が中心軸方向に往復移動可能に支持されている(
図2の両矢印Mを参照)。この場合の吸引ヘッド5の先端部分の往復移動は、装置本体4内に設けられたカム機構(図示せず)及びカムモータ(図示せず)を用いて実現されている。カムモータは、釣り糸巻取機100のプッシュスイッチをプッシュ操作することによって回転駆動し、これにより、カム機構が作動して吸引ヘッド5の先端部分が中心軸方向に往復移動する。また、カムモータは、小型スプール45に巻き取られた釣り糸35が所定の長さに達すると、自動的に停止するようにされている。なお、吸引ヘッド5の先端部分の移動幅は、小型スプール45の幅に合わせて制御される。
このように、巻き取られる釣り糸35が綾振りされるのではなく、吸引ヘッド5の先端部分、すなわち、吸着治具2が、吸着保持される小型スプール45の中心軸方向に往復移動するようにされているので(
図2の両矢印Nを参照)、巻取り時における釣り糸35の負担を軽減することができる。その結果、小型スプール45に巻き取られる釣り糸35に巻き癖が付きにくくなるので、釣り糸35の品質を向上させることができる。さらに、小型スプール45の中心軸(回転軸)に対して直交する方向から当該小型スプール45に釣り糸35を巻き取ることが可能となるので、釣り糸35を整列にきれいに巻き取ることが容易となる。
【0034】
[テンション検知手段及びテンション調整手段の構成]
次に、本実施形態における釣り糸巻取機の構成要素であるテンション検知手段及びテンション調整手段の具体的構成について、
図1のほか、
図3,
図4,
図5をも参照しながら説明する。
【0035】
図3は、本発明の一実施形態における釣り糸巻取機の構成要素であるテンション検知手段の動作を説明するための拡大正面図、
図4は、当該釣り糸巻取機の構成要素であるテンション調整手段の概略構成を示す拡大平面図、
図5は、当該釣り糸巻取機の構成要素であるテンション調整手段の動作を説明するための拡大正面図である。
【0036】
上記のように、テンション検知手段70は、2つのプーリ65c,65d間に設けられている。
図1,
図3に示すように、テンション検知手段70は、左右一対の固定プーリ70a,70bと、当該左右一対の固定プーリ70a,70b間に配置され、上下に移動可能な移動プーリ70cと、を備えている。プーリ65cを経由して送り出される釣り糸35は、固定プーリ70aの上側部、移動プーリ70cの下側部、固定プーリ70bの上側部にこの順番で掛けられた後、プーリ65d,65e及び釣り糸保持ローラ95bを経由して小型スプール45に係止される。
そして、巻取り時の釣り糸35のテンションが所定の値よりも高くなると、固定プーリ70aの上側部、移動プーリ70cの下側部、固定プーリ70bの上側部にこの順番で掛けられた釣り糸35が左右外側方向に引っ張られて(
図3の矢印A,Bを参照)、移動プーリ70cが上方に移動する(
図3の矢印Cを参照)。
一方、巻取り時の釣り糸35のテンションが所定の値よりも低くなると、固定プーリ70aの上側部、移動プーリ70cの下側部、固定プーリ70bの上側部にこの順番で掛けられた釣り糸35が左右内側方向に緩んで(
図3の矢印D,Eを参照)、移動プーリ70cが下方に移動する(
図3の矢印Fを参照)。
移動プーリ70cの上下動に対応する信号は、釣り糸巻取機100を制御する制御手段に送られ、当該制御手段によってテンション調整手段80の後述する正逆回転モータ80fが制御される。
【0037】
上記のように、テンション調整手段80は、釣り糸供給機構40とプーリ65aとの間に設けられている。
図1,
図4,
図5に示すように、テンション調整手段80は、釣り糸供給機構40の上方に位置する水平な長孔80aに沿って左右に移動可能なガイドプーリ(ダンサロール)80bと、下端に当該ガイドプーリ80bが回動自在に支持された支持アーム80cと、駆動プーリ(図示せず)と従動プーリ80dとの間に水平に掛け渡され、支持アーム80cの上端が固定されたタイミングベルト80eと、前記駆動プーリを駆動する正逆回転モータ80fと、を含んでいる。
テンション調整手段80は、ガイドプーリ(ダンサロール)80bの移動経路(長孔80a)のテンションを緩める方向(
図1,
図4,
図5の右方向)端部に固定された第1補助プーリ80gをさらに含んでいる。
ガイドプーリ80bは、軸方向に沿って外側から内側に等間隔で並んだ3つのプーリ80b-1,80b-2,80b-3を有している。また、第1補助プーリ80gは、軸方向に沿って外側から内側に並んだ2つのプーリ80g-1,80g-2を有している。
【0038】
また,釣り糸供給機構40とテンション調整手段80との間には、ガイドプーリ(ダンサロール)80bの移動経路(長孔80a)のテンションを緩める方向(
図1,
図4,
図5の右方向)側に位置して、釣り糸供給機構40の大型スプール30から送り出される釣り糸35を、ガイドプーリ80bに導く第2補助プーリ15が固定されている。
【0039】
大型スプール30から送り出される釣り糸35は、第2補助プーリ15に掛けられた後、ガイドプーリ80bの内側プーリ80b-3、第1補助プーリ80gの内側プーリ80g-2、ガイドプーリ80bの中側プーリ80b-2、第1補助プーリ80gの外側プーリ80g-1、ガイドプーリ80bの外側プーリ80b-1に順に掛けられ、プーリ65a、巻取り量計測機構60の測長用エンコーダ55等を経由して小型スプール45に係止される。
【0040】
そして、巻取り時の釣り糸35のテンションが所定の値よりも高くなって、移動プーリ70cが上方に移動すると(
図3の矢印Cを参照)、それに対応する信号が制御手段に送られ、当該制御手段によって正逆回転モータ80fが逆転するように制御される。これにより、タイミングベルト80eが
図5の反時計方向に回動すると共に(
図5の矢印V1,W1を参照)、支持アーム80cを介してガイドプーリ(ダンサロール)80bが右方向に移動し(
図5の矢印X1を参照)、固定プーリ70aの上側部、移動プーリ70cの下側部、固定プーリ70bの上側部にこの順番で掛けられた釣り糸35が左右内側方向に緩んで(
図3の矢印D,Eを参照)、移動プーリ70cが下方に移動する(
図3の矢印Fを参照)。すなわち、この場合、ガイドプーリ80bは、釣り糸35のテンションを緩める方向に水平移動する。その結果、巻取り時の釣り糸35のテンションが所定の値に維持される。
一方、巻取り時の釣り糸35のテンションが所定の値よりも低くなって、移動プーリ70cが下方に移動すると(
図3の矢印Fを参照)、それに対応する信号が制御手段に送られ、当該制御手段によって正逆回転モータ80fが正転するように制御される。これにより、タイミングベルト80eが
図5の時計方向に回動すると共に(
図5の矢印V2,W2を参照)、支持アーム80cを介してガイドプーリ(ダンサロール)80bが左方向に移動し(
図5の矢印X2参照)、固定プーリ70aの上側部、移動プーリ70cの下側部、固定プーリ70bの上側部にこの順番で掛けられた釣り糸35が左右外側方向に引っ張られて(
図3の矢印A,Bを参照)、移動プーリ70cが上方に移動する(
図3の矢印Cを参照)。すなわち、この場合、ガイドプーリ80bは、釣り糸35のテンションを強める方向に水平移動する。その結果、巻取り時の釣り糸35のテンションが所定の値に維持される。
【0041】
テンション調整手段80を以上のように構成すれば、釣り糸35に押圧力を及ぼすことなく(釣り糸35への負荷を抑えつつ)、随時、釣り糸35のテンションを適正な値に調整することができる。
また、ガイドプーリ(ダンサロール)80bを水平移動させることによって釣り糸35のテンションを調整するようにしたことにより、釣り糸巻取機100の高さ方向の小型化を図りつつ、釣り糸35のテンションの調整代を増加させることが可能となる。さらに、重力等の外的要因に左右されることなく、安定に釣り糸35のテンションを調整することができるので、釣り糸35のテンションを一定にし易くなる。その結果、釣り糸35をきれいに巻き取ることが可能となる。
【0042】
また、本実施形態においては、テンション調整手段80が、大型スプール30から送り出される釣り糸35が掛けられる水平移動可能なガイドプーリ80bと、ガイドプーリ80bの移動経路(長孔80a)のテンションを緩める方向端部に固定され、ガイドプーリ80bから送り出される釣り糸35が掛けられて、当該釣り糸35をガイドプーリ80bに折り返す第1補助プーリ80gと、を含んでいることにより、大型スプール30から送り出される釣り糸35を、ガイドプーリ80bと第1補助プーリ80gとの間で折り返すことができる。その結果、特許文献2の場合と比較して、ガイドプーリ80bのより少ない移動量で、釣り糸35のテンションをより大きい幅で調整する(釣り糸35のテンションの調整代をより増加させる)ことが可能となる。そして、上記のように、ガイドプーリ80bの水平移動量をより少なくすることができるため、釣り糸巻取機100の横方向の小型化を図ることもできる。
したがって、本実施形態の釣り糸巻取機100の構成によれば、さらなる小型化を図りつつ、釣り糸35のテンションの調整代をより増加させることが可能な釣り糸巻取機を提供することができる。
また、本実施形態においては、ガイドプーリ80bが、軸方向に沿って外側から内側に等間隔で並んだ3つのプーリ80b-1,80b-2,80b-3を有し、第1補助プーリ80gが、軸方向に沿って外側から内側に並んだ2つのプーリ80g-1,80g-2を有していることにより、大型スプール30から送り出される釣り糸35を、ガイドプーリ80bと第1補助プーリ80gとの間で複数回折り返すことができる。その結果、ガイドプーリ80bのより少ない移動量で、釣り糸35のテンションをさらに大きい幅で調整する(釣り糸35のテンションの調整代をさらに増加させる)ことが可能となる。
【0043】
また、本実施形態においては、大型スプール30とテンション調整手段80との間の、ガイドプーリ(ダンサロール)80bの移動経路(長孔80a)のテンションを緩める方向側に、大型スプール30から送り出される釣り糸35を、ガイドプーリ80bに導く第2補助プーリ15が固定されていることにより、大型スプール30の釣り糸35の残量にかかわりなく、ガイドプーリ80bに導かれる釣り糸35を支持する部分を一定にすることができる。その結果、大型スプール30の釣り糸35の残量にかかわらず、釣り糸35の均一なテンション調整が可能となる。
【0044】
なお、本実施形態においては、釣り糸供給機構40の上方に位置する水平な長孔80aに沿って左右に移動可能で、かつ、釣り糸供給機構40の大型スプール30から送り出される釣り糸35が掛けられるガイドプーリ80bと、ガイドプーリ80bの移動経路(長孔80a)のテンションを緩める方向端部に固定され、かつ、ガイドプーリ80bから送り出される釣り糸35が掛けられて、当該釣り糸35をガイドプーリ80bに折り返す第1補助プーリ80gと、下端にガイドプーリ80bが回動自在に支持された支持アーム80cと、駆動プーリと従動プーリ80dとの間に水平に掛け渡され、支持アーム80cの上端が固定されたタイミングベルト80eと、前記駆動プーリを駆動する正逆回転モータ80fと、を含む構成のテンション調整手段80を例に挙げて説明した。しかし、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。テンション調整手段は、大型スプールから送り出される釣り糸が掛けられる水平移動可能なガイドプーリと、前記ガイドプーリの移動経路のテンションを緩める方向端部に固定され、前記ガイドプーリから送り出される前記釣り糸が掛けられて、当該釣り糸を前記ガイドプーリに折り返す第1補助プーリと、前記ガイドプーリを水平移動させる駆動機構と、を含んでいればよく、駆動機構の構成は任意である。
【0045】
また、本実施形態においては、左右一対の固定プーリ70a,70bと、当該左右一対の固定プーリ70a,70b間に配置され、上下に移動可能な移動プーリ70cと、を備え、釣り糸35が、固定プーリ70aの上側部、移動プーリ70cの下側部、固定プーリ70bの上側部にこの順番で掛けられる構成のテンション検知手段70を例に挙げて説明した。しかし、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。釣り糸35が、固定プーリ70aの下側部、移動プーリ70cの上側部、固定プーリ70bの下側部にこの順番で掛けられる構成のものであってもよい。また、他の構成のテンション検知手段を採用することもでき、テンション検知手段の構成は任意である。
【0046】
また、本実施形態においては、ガイドプーリ80bが、軸方向に沿って外側から内側に等間隔で並んだ3つのプーリ80b-1,80b-2,80b-3を有し、第1補助プーリ80gが、軸方向に沿って外側から内側に並んだ2つのプーリ80g-1,80g-2を有している場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。第1補助プーリは、軸方向に並んだ1つ以上のプーリを有し、ガイドプーリは、前記第1補助プーリの前記プーリの数よりも1つ多い、軸方向に並んだ2つ以上のプーリを有していればよい。
【0047】
また、本実施形態においては、大型スプール30とテンション調整手段80との間の、ガイドプーリ80bの移動経路(長孔80a)のテンションを緩める方向側に、大型スプール30から送り出される釣り糸35を、ガイドプーリ80bに導く第2補助プーリ15が固定されている場合を例に上げて説明した。しかし、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。第2補助プーリを設けるか否かは任意である。
【符号の説明】
【0048】
1 吸引装置
2 吸着治具(スプール保持手段)
2a 吸引孔
2b,2c 凸条
3 軸芯
4 装置本体
5 吸引ヘッド
6 従動プーリ
7 モータ
8,80d 駆動プーリ
9,80e タイミングベルト
10 吸引パイプ
15 第2補助プーリ
20a レーザ投光器
20b 受光器
25 釣り糸押え手段
25b 押え部材
26 真空ポンプ
27 シリコン付与手段
30 大型スプール
35 釣り糸
40 釣り糸供給機構
45 小型スプール
45a フランジ
50 釣り糸巻取機構
55 測長用エンコーダ
60 巻取り量計測機構
65a,65b,65c,65d,65e,80b-1,80b-2,80b-3,80g-1,80g-2 プーリ
70 テンション検知手段(テンションセンサ)
70a,70b 固定プーリ
70c 移動プーリ
80 テンション調整手段
80a 長孔
80b ガイドプーリ(ダンサロール)
80c 支持アーム
80f 正逆回転モータ
80g 第1補助プーリ
90 釣り糸保持手段
95a ステー
95b 釣り糸保持ローラ
100 釣り糸巻取機
110 距離センサ