(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162581
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06F 9/52 20060101AFI20221018BHJP
G06F 8/65 20180101ALI20221018BHJP
G06F 9/455 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
G06F9/52 120Z
G06F8/65
G06F9/455 150
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067454
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】藤下 攻輝
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376AA07
5B376CA51
5B376EA17
5B376FA11
5B376GA08
(57)【要約】
【課題】第1のオペレーティングシステム上で第2のオペレーティングシステムを動作させる情報処理装置において、ソフトウェア更新に影響が及ばない範囲で、第2のオペレーティングシステムや第2のオペレーティングシステム上で実行される第2のアプリケーションを継続して動作させる。
【解決手段】第2のオペレーティングシステムまたは第2のアプリケーションからのアクセス要求が、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当する場合、そのアクセス要求をアクセス制限部92において拒否または保留し、第2のオペレーティングシステムまたは第2のアプリケーションからのアクセス要求が、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当しない場合、そのアクセス要求をアクセス制限部92から第1のオペレーティングシステムに送る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードウェアを管理する第1のオペレーティングシステムを動作させるとともに、前記第1のオペレーティングシステム上で少なくとも1つの第2のオペレーティングシステムを動作させる情報処理装置であって、
更新部と、
アクセス制限部と、
を備え、
前記更新部は、前記第1のオペレーティングシステム、前記第2のオペレーティングシステム、前記第1のオペレーティングシステム上で実行される第1のアプリケーション、及び前記第2のオペレーティングシステム上で実行される第2のアプリケーションのうちの少なくとも1つに対してソフトウェア更新を行い、
前記アクセス制限部は、
前記ソフトウェア更新が行われている場合で、かつ、前記第2のオペレーティングシステムから送られてくる第1のアクセス要求または前記第2のアプリケーションから前記第2のオペレーティングシステムを介して送られてくる第2のアクセス要求が、前記ソフトウェア更新で使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当する場合、前記第1及び第2のアクセス要求を拒否または保留し、
前記ソフトウェア更新が行われていない場合、または、前記ソフトウェア更新が行われている場合で、かつ、前記第1及び第2のアクセス要求が、前記ソフトウェア更新で使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当しない場合、前記第1または第2のアクセス要求を前記第1のオペレーティングシステムに送る
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記更新部は、前記第1及び第2のオペレーティングシステム並びに前記第1及び第2のアプリケーションのうちの少なくとも1つにおいてソフトウェア更新が発生したと判断すると、更新開始対象のソフトウェアを示す更新開始情報を前記アクセス制限部に通知する
ことを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のオペレーティングシステムが共存する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置として、ハードウェアを管理する第1のオペレーティングシステムを動作させるとともに、第1のオペレーティングシステム上で第2のオペレーティングシステムを動作させるものがある。なお、第1のオペレーティングシステム上に第1のアプリケーションが予め搭載され、第2のオペレーティングシステム上に外部サーバなどから配信された第2のアプリケーションが搭載されているものとする。
【0003】
ところで、上記情報処理装置のように、第1及び第2のオペレーティングシステムが共存する場合、第2のオペレーティングシステムまたは第2のアプリケーションで行われる処理が第1のオペレーティングシステムや第1のアプリケーションなどで行われる処理に対して影響を及ぼすおそれがある。例えば、第2のアプリケーションで使用されるハードウェアが、第1のアプリケーションのソフトウェア更新で使用されるハードウェアと同じ場合、ソフトウェア更新で必要なハードウェアを第1のアプリケーションが占有することが難しくなるため、ソフトウェア更新にかかる時間が増大したり、ソフトウェア更新が正常に処理されなかったりするおそれがある。
【0004】
そこで、他の情報処理装置として、第1のオペレーティングシステムや第1のアプリケーションなどがソフトウェア更新中である場合、第2のオペレーティングシステムの処理を停止させることにより、ソフトウェア更新で必要なハードウェアが第2のオペレーティングシステムや第2のアプリケーションに使用されないようにするものがある。関連する技術として、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記他の情報処理装置では、ソフトウェア更新中である場合、第2のオペレーティングシステム及び第2のアプリケーションが停止してしまうため、上記他の情報処理装置を使用するユーザの利便性が損なわれるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の一側面に係る目的は、第1のオペレーティングシステム上に第2のオペレーティングシステムを動作させる情報処理装置において、ソフトウェア更新に影響が及ばない範囲で、第2のオペレーティングシステムや第2のオペレーティングシステム上で実行される第2のアプリケーションを継続して動作させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る一つの形態である情報処理装置は、ハードウェアを管理する第1のオペレーティングシステムを動作させるとともに、前記第1のオペレーティングシステム上で少なくとも1つの第2のオペレーティングシステムを動作させる情報処理装置であって、更新部と、アクセス制限部とを備える。
【0009】
前記更新部は、前記第1のオペレーティングシステム、前記第2のオペレーティングシステム、前記第1のオペレーティングシステム上で実行される第1のアプリケーション、及び前記第2のオペレーティングシステム上で実行される第2のアプリケーションのうちの少なくとも1つに対してソフトウェア更新を行う。
【0010】
前記アクセス制限部は、前記ソフトウェア更新が行われている場合で、かつ、前記第2のオペレーティングシステムから送られてくる第1のアクセス要求または前記第2のアプリケーションから前記第2のオペレーティングシステムを介して送られてくる第2のアクセス要求が、前記ソフトウェア更新で使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当する場合、前記第1及び第2のアクセス要求を拒否または保留し、前記ソフトウェア更新が行われていない場合、または、前記ソフトウェア更新が行われている場合で、かつ、前記第1及び第2のアクセス要求が、前記ソフトウェア更新で使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当しない場合、前記第1または第2のアクセス要求を前記第1のオペレーティングシステムに送る。
【0011】
これにより、第1または第2のアクセス要求がソフトウェア更新で使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当する場合、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアが第2のオペレーティングシステムまたは第2のアプリケーションによって使用されないようにすることができる。そのため、第1または第2のアクセス要求によりソフトウェア更新にかかる時間が増大したり、ソフトウェア更新が正常に処理されなかったりすることを抑制することができる。また、ソフトウェア更新が行われていない場合、または、第1もしくは第2のアクセス要求がソフトウェア更新で使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当しない場合、第1もしくは第2のアクセス要求の対象のハードウェアを第2のオペレーティングシステムまたは第2のアプリケーションに使用させることができ、第2のオペレーティングシステムまたは第2のアプリケーションを継続して動作させることができる。
【0012】
また、前記更新部は、前記第1及び第2のオペレーティングシステム並びに前記第1及び第2のアプリケーションのうちの少なくとも1つにおいてソフトウェア更新が発生したと判断すると、更新開始対象のソフトウェアを示す更新開始情報を前記アクセス制限部に通知するように構成してもよい。
【0013】
これにより、ソフトウェア更新が発生したか否かをアクセス制限部から第1及び第2のオペレーティングシステム並びに第1及び第2のアプリケーションに定期的に問い合わせる場合に比べて、アクセス制限部においてアクセス要求を制限するか否かを判断するためにかかる時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第1のオペレーティングシステム上に第2のオペレーティングシステムを動作させる情報処理装置において、ソフトウェア更新に影響が及ばない範囲で、第2のオペレーティングシステムや第2のオペレーティングシステム上で実行される第2のアプリケーションを継続して動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態の情報処理装置の一例を示す図である。
【
図2】プロセッサ上で動作する複数のソフトウェアの階層構造の一例を示す図である。
【
図4】アクセス制限部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
【0017】
図1は、実施形態の情報処理装置の一例を示す図である。
【0018】
図1に示す情報処理装置1は、電気自動車や燃料電池自動車などの車両Veに搭載される。また、情報処理装置1は、情報処理装置1を構成するハードウェアとして、ECU(Electronic Control Unit)2、3と、記憶部4と、表示部5と、操作部6と、通信部7と、外部インターフェース8と、プロセッサ9とを備える。なお、情報処理装置1が搭載される機器は、車両Veに限定されない。また、情報処理装置1を構成するハードウェアは、ECU2、ECU3、記憶部4、表示部5、操作部6、通信部7、外部インターフェース8、及びプロセッサ9に限定されない。
【0019】
ECU2は、IC(Integrated Circuit)やメモリなどを備え、プロセッサ9上で動作するホストオペレーティングシステムとしての第1のオペレーティングシステム上で実行される第1のアプリケーションにより使用される。例えば、ECU2は、画像処理を行うIC、GPS(Global Positioning System)センサ、及び画像処理結果やセンサ出力値を記憶するメモリなどを備え、カーナビゲーション機能としての第1のアプリケーションにより使用される。
【0020】
ECU3は、ICやメモリなどを備え、第1のオペレーティングシステム上で仮想的に動作するゲストオペレーティングシステムとしての第2のオペレーティングシステム上で実行される第2のアプリケーションにより使用される。例えば、ECU3は、スピーカなどのI/O装置10の動作を制御するICやその制御プログラムを記憶するメモリなどを備え、オーディオ機能としての第2のアプリケーションにより使用される。
【0021】
記憶部4は、例えば、SDカードやSSD(Solid State Drive)に代表されるフラッシュメモリ等の電気的に書き換え可能な半導体記憶素子で構成され、第1のオペレーティングシステム、第2のオペレーティングシステム、第1のアプリケーション、及び第2のアプリケーションを構成するためのプログラムなどが記憶される。また、第1のアプリケーションがカーナビゲーション機能として実行される場合、記憶部4には表示部5に表示される電子地図などが記憶されるものとする。また、第2のアプリケーションがオーディオ機能として実行される場合、記憶部4にはI/O装置10から出力される音楽データなどが記憶されるものとする。
【0022】
表示部5は、液晶ディスプレイやタッチパネルディスプレイなどにより構成され、例えば、カーナビゲーション機能としての第1のアプリケーションにより生成される電子地図やオーディオ機能としての第2のアプリケーションにより生成される楽曲リストなどを表示する。
【0023】
操作部6は、スイッチやボタンなどにより構成され、車両Veの運転者などのユーザにより操作されると、その操作に応じた指示をプロセッサ9に送る。なお、表示部5がタッチパネルにより構成される場合、表示部5と操作部6とを一体に構成してもよい。
【0024】
通信部7は、無線LAN(Local Area Network)やブルートゥース(登録商標)のルータなどにより構成され、端末11と無線通信を行う。なお、端末11は、スマートフォンやパーソナルコンピュータなどであって、インターネット12を介してサーバ13とデータを送受信する。例えば、通信部7は、サーバ13からインターネット12及び端末11を介して送信される第2のアプリケーションを第2のオペレーティングシステム上に搭載(インストール)するためのプログラムを受信する。また、通信部7は、第1及び第2のオペレーティングシステム及び第1及び第2のアプリケーションのうちの少なくとも1つをソフトウェア更新(アップデート)するためのプログラムを受信する。
【0025】
外部インターフェース8は、可搬型記録媒体14にアクセスする。なお、可搬型記録媒体14は、USB(Universal Serial Bus)メモリやCD(Compact Disc)-ROMなどであって、第1及び第2のオペレーティングシステム及び第1及び第2のアプリケーションのうちの少なくとも1つをソフトウェア更新するためのプログラムなどが記録されている。
【0026】
プロセッサ9は、第1のオペレーティングシステムを動作させるとともに、第1のオペレーティングシステム上で1つ以上の第2のオペレーティングシステムを動作させる。例えば、プロセッサ9は、第1のオペレーティングシステム上でアプリケーション仮想化ソフトウェアを実行させ、そのアプリケーション仮想化ソフトウェアにより1つ以上の第2のオペレーティングシステムを動作させる。
【0027】
ここで、
図2は、プロセッサ9上で動作する複数のソフトウェアの階層構造の一例を示す図である。
【0028】
図2に示す例では、プロセッサ9上で第1のオペレーティングシステムが動作し、さらに、第1のオペレーティングシステム上で第2のオペレーティングシステムが動作する。また、第1のオペレーティングシステム上に第1のアプリケーションが搭載され、第2のオペレーティングシステム上に後述するアクセス制限部92を介して第2のアプリケーションが搭載される。
【0029】
第1のオペレーティングシステムは、情報処理装置1を構成するハードウェア(ECU2、ECU3、記憶部4、表示部5、操作部6、通信部7、外部インターフェース8、及びプロセッサ9など)の管理を行う。例えば、第1のアプリケーションの通常動作時において通信部7が必要になった場合、第1のアプリケーションは、通信部7に対するアクセス要求を第1のオペレーティングシステムに送る。また、第2のアプリケーションの通常動作時において表示部5が必要になった場合、第2のアプリケーションは、表示部5に対するアクセス要求を第2のオペレーティングシステム及び後述するアクセス制限部92を介して第1のアプリケーションに送る。また、第1のアプリケーションのソフトウェア更新時において通信部7が必要になった場合、第1のアプリケーションは、通信部7に対するアクセス要求を第1のオペレーティングシステムに送る。
【0030】
第1のアプリケーションは、第1のオペレーティングシステム上に予め搭載(プリインストール)される固有アプリケーションである。なお、第1のオペレーティングシステム上に搭載される第1のアプリケーションの数は、1つに限定されない。
【0031】
第2のアプリケーションは、ユーザの指示などによって第2のオペレーティングシステム上に搭載される配信アプリケーションである。なお、第2のオペレーティングシステム上に搭載される第2のアプリケーション数は、1つに限定されない。
【0032】
また、
図1に示すプロセッサ9は、更新部91と、アクセス制限部92とを備える。なお、プロセッサ9は、記憶部4に記憶されているプログラムを実行することにより、更新部91及びアクセス制限部92を構成する。
【0033】
更新部91は、第1及び第2のオペレーティングシステム並びに第1及び第2のアプリケーションのうちの少なくとも1つに対してソフトウェア更新(アップデート)を行う。例えば、更新部91は、ユーザの指示などに基づいて、サーバ13からインターネット12及び端末11を介して通信部7に送信される更新用プログラム、または、外部インターフェース8により可搬型記録媒体14から読み出される更新用プログラムを用いてソフトウェア更新を行う。
【0034】
アクセス制限部92は、更新部91によりソフトウェア更新が行われている場合で、かつ、第2のオペレーティングシステムから送られてくる第1のアクセス要求または第2のアプリケーションから第2のオペレーティングシステムを介して送られてくる第2のアクセス要求が、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当する場合、第1または第2のアクセス要求を拒否または保留する。
【0035】
なお、第1のアクセス要求が、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当する場合とは、第2のオペレーティングシステムで使用されるハードウェアと、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアとが互いに一致することである。または、第1のアクセス要求が、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当する場合とは、第2のオペレーティングシステムで使用されるハードウェアと、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアとが互いに一致し、かつ、第2のオペレーティングシステムで使用されるハードウェアの使用率と、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアの使用率との合計が所定使用率より大きいことである。
【0036】
また、第2のアクセス要求が、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当する場合とは、第2のアプリケーションで使用されるハードウェアと、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアとが互いに一致することである。または、第2のアクセス要求が、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当する場合とは、第2のアプリケーションで使用されるハードウェアと、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアとが互いに一致し、かつ、第2のアプリケーションで使用されるハードウェアの使用率と、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアの使用率との合計が所定使用率より大きいことである。
【0037】
例えば、第2のアクセス要求に対応するハードウェアが通信部7であり、第1のアプリケーションのソフトウェア更新で使用されるハードウェアも通信部7である場合、アクセス制限部92は、第2のアクセス要求が、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当すると判断する。また、第2のアクセス要求に対応するハードウェアが通信部7であり、第1のアプリケーションのソフトウェア更新で使用されるハードウェアも通信部7であって、かつ、第1のアクセス要求としてのプロセッサ9の使用率が50[%]になると推定され、第1のオペレーティングシステムのソフトウェア更新によるプロセッサ9の使用率が60[%]になると推定され、それらプロセッサ9の使用率の合計110[%]が100[%]より大きくなると推定される場合、アクセス制限部92は、第1のアクセス要求が、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当すると判断する。
【0038】
また、アクセス要求を拒否するとは、アクセス制限部92が第1または第2のアクセス要求を第1のオペレーティングシステムに送らないことである。
【0039】
また、アクセス要求を保留するとは、アクセス制限部92が更新終了情報を受け取るまで第1または第2のアクセス要求を保持し、アクセス制限部92が更新終了情報を受け取ると、その保持していたアクセス要求をアクセス制限部92から第1のオペレーティングシステムに送ることである。
【0040】
また、アクセス制限部92は、更新部91によりソフトウェア更新が行われていない場合、または、第1もしくは第2のアクセス要求が、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当しない場合、第1または第2のアクセス要求を第1のオペレーティングシステムに送る。そして、第1のオペレーティングシステムは、第1のアクセス要求を受け取ると、第1のアクセス要求に対応するハードウェアの動作を制御する。または、第1のオペレーティングシステムは、第2のアクセス要求を受け取ると、第2のアクセス要求に対応するハードウェアの動作を制御する。
【0041】
なお、第1のアクセス要求が、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当しない場合とは、第2のオペレーティングシステムで使用されるハードウェアと、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアとが互いに一致しないことである。または、第1のアクセス要求が、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当しない場合とは、第2のオペレーティングシステムで使用されるハードウェアと、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアとが互いに一致し、かつ、第2のオペレーティングシステムで使用されるハードウェアの使用率と、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアの使用率との合計が所定使用率以下であることである。
【0042】
また、第2のアクセス要求が、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当しない場合とは、第2のアプリケーションで使用されるハードウェアと、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアとが互いに一致しないことである。または、第2のアクセス要求が、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当しない場合とは、第2のアプリケーションで使用されるハードウェアと、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアとが互いに一致し、かつ、第2のアプリケーションで使用されるハードウェアの使用率と、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアの使用率との合計が所定使用率以下であることである。
【0043】
例えば、第2のアクセス要求に対応するハードウェアが表示部5であり、第1のアプリケーションのソフトウェア更新で使用されるハードウェアが通信部7である場合、アクセス制限部92は、第2のアクセス要求が、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当しないと判断する。また、第2のアクセス要求に対応するハードウェアが通信部7であり、第1のアプリケーションのソフトウェア更新で使用されるハードウェアも通信部7であって、かつ、例えば、第1のアクセス要求としてのプロセッサ9の使用率が20[%]になると推定され、第1のオペレーティングシステムのソフトウェア更新によるプロセッサ9の使用率が40[%]になると推定され、それらプロセッサ9の使用率の合計60[%]が100[%]以下になると推定される場合、アクセス制限部92は、第1のアクセス要求が、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当しないと判断する。
【0044】
図3は、更新部91の動作を示すフローチャートである。
【0045】
まず、情報処理装置1の電源がオンして更新部91が起動すると、更新部91は、第1及び第2のオペレーティングシステム並びに第1及び第2のアプリケーションにおいてソフトウェア更新が発生しているか判断する(ステップS11)。更新部91が、ソフトウェア更新が発生していないと判断した場合(ステップS11:No)、更新部91は、情報処理装置1の電源がオフになっていないか判断する(ステップS12)。更新部91は、情報処理装置1の電源がオンの場合(ステップS12:No)、ステップS11に戻る。更新部91が、ステップS12において、情報処理装置1の電源がオフと判断すると(ステップS12:Yes)、更新部91の動作が終了する。
【0046】
また、更新部91は、第1及び第2のオペレーティングシステム並びに第1及び第2のアプリケーションのうちの少なくとも1つにおいてソフトウェア更新が発生したと判断すると(ステップS11:Yes)、更新開始対象のソフトウェアを示す更新開始情報をアクセス制限部92に通知する(ステップS13)。例えば、更新部91は、第1のアプリケーションの不具合を修正するための更新プログラムを通信部7または外部インターフェース8が受け取ると、第1のアプリケーションのソフトウェア更新が発生したと判断し、第1のアプリケーションのソフトウェア更新を開始する旨を示す更新開始情報をアクセス制限部92に通知する。
【0047】
なお、ソフトウェア更新が発生したか否かをアクセス制限部92から第1及び第2のオペレーティングシステム並びに第1及び第2のアプリケーションに定期的に問い合わせるように構成してもよいが、更新部9からアクセス制限部92に更新開始情報を通知する構成の方が、アクセス制限部92においてアクセス要求を制限するか否かを判断するためにかかる時間を短縮することができる。
【0048】
次に、更新部91は、ソフトウェア更新が終了するまでソフトウェア更新を継続して行う(ステップS14、ステップS15:No)。
【0049】
次に、更新部91は、ソフトウェア更新が終了すると(ステップS15:Yes)、更新終了対象のソフトウェアを示す更新終了情報をアクセス制限部92に通知し(ステップS16)、更新終了対象のソフトウェアを再起動させて(ステップS17)、ステップS11に戻り、再び、第1及び第2のオペレーティングシステム並びに第1及び第2のアプリケーションのうちの少なくとも1つにおいてソフトウェア更新が発生したか否かを判断する。
【0050】
図4は、アクセス制限部92の動作を示すフローチャートである。
【0051】
まず、情報処理装置1の電源がオンしてアクセス制限部92が起動すると、アクセス制限部92は、第1及び第2のアクセス要求を受け取っていない場合で(ステップS21:No)、かつ、情報処理装置1の電源がオフになっていない場合(ステップS22:No)、ステップS21に戻る。なお、情報処理装置1の電源がオフすると(ステップS22:Yes)、アクセス制限部92の動作が終了する。
【0052】
また、アクセス制限部92は、第1または第2のアクセス要求を受け取った場合(ステップS21:Yes)、第1及び第2のオペレーティングシステム並びに第1及び第2のアプリケーションのうちの少なくとも1つにおいてソフトウェア更新が行われているか否かを判断する(ステップS23)。例えば、アクセス制限部92は、更新部91から更新開始情報を受け取ると、その更新開始情報に示される更新開始対象のソフトウェアにおいてソフトウェア更新が行われていると判断し、更新部91から更新終了情報を受け取ると、その更新終了情報に示される更新終了対象のソフトウェアにおいてソフトウェア更新が終了したと判断する。
【0053】
次に、アクセス制限部92は、ソフトウェア更新が行われていると判断し(ステップS23:Yes)、かつ、ステップS23で受け取った第1または第2のアクセス要求が、ソフトウェア更新に使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当する場合(ステップS24:Yes)、ステップS23で受け取った第1または第2のアクセス要求を拒否または保留する(ステップS25)。
【0054】
一方、アクセス制限部92は、ソフトウェア更新が行われていないと判断すると(ステップS23:No)、または、ステップS23で受け取った第1もしくは第2のアクセス要求が、ソフトウェア更新に使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当しない場合(ステップS24:No)、ステップS23で受け取った第1または第2のアクセス要求を第1のオペレーティングシステムに送る(ステップS26)。
【0055】
実施形態の情報処理装置1によれば、第1または第2のアクセス要求がソフトウェア更新で使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当する場合、ソフトウェア更新で使用されるハードウェアが第2のオペレーティングシステムまたは第2のアプリケーションによって使用されないようにすることができる。そのため、第1または第2のアクセス要求によりソフトウェア更新にかかる時間が増大したり、ソフトウェア更新が正常に処理されなかったりすることを抑制することができる。
【0056】
また、実施形態の情報処理装置1によれば、ソフトウェア更新が行われていない場合、または、第1もしくは第2のアクセス要求がソフトウェア更新で使用されるハードウェアに対するアクセス要求に該当しない場合、第1もしくは第2のアクセス要求の対象のハードウェアを第2のオペレーティングシステムまたは第2のアプリケーションに使用させることができる。そのため、ソフトウェア更新が行われていない場合のみ、第1または第2のアクセス要求を第1のオペレーティングシステムに送る構成に比べて、第1または第2のアクセス要求を第1のオペレーティングシステムに送る機会を増加させることができる。
【0057】
すなわち、実施形態の情報処理装置1によれば、ソフトウェア更新に影響が及ばない範囲で、第2のオペレーティングシステムや第2のアプリケーションを継続して動作させることができる。これにより、情報処理装置1を使用するユーザの利便性が低下することを抑制することができる。
【0058】
なお、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 情報処理装置
2、3 ECU
4 記憶部
5 表示部
6 操作部
7 通信部
8 外部インターフェース
9 プロセッサ
10 I/O装置
11 端末
12 インターネット
13 サーバ
91 更新部
92 アクセス制限部
Ve 車両