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特開2022-162589サーバ、通信システム、分配方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162589
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】サーバ、通信システム、分配方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/10 20060101AFI20221018BHJP
【FI】
G01W1/10 Z
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067470
(22)【出願日】2021-04-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】堀井 祐美
(57)【要約】
【課題】気象量に基づいて、水位の測定データを送信する複数の測定端末の各々に対して通信回数を設定する。
【解決手段】サーバ1は、複数の測定端末の各々から河川の水位の測定データを受信する受信部11と、各測定端末が設置された地点の降水に関する気象量を取得する取得部12と、各測定端末の単位期間あたりの通信回数の総計の上限である総通信回数を各測定端末に分配する分配部13とを備える。分配部13は、複数の地点のうちで気象量が小さい地点に位置する1以上の第1の測定端末の各々に対して、1測定端末あたりの通信回数の上限より少ない通信回数を割り当て、複数の地点のうちで気象量が大きい地点に位置する1以上の第2の測定端末の各々に対して、1測定端末あたりの上限より多い通信回数を割り当てる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の測定端末の各々から河川の水位の測定データを受信する受信部と、
前記各測定端末が設置された地点の降水に関する気象量を取得する取得部と、
前記各測定端末の単位期間あたりの通信回数の総計の上限である総通信回数を前記各測定端末に分配する分配部と、
を備えるサーバであって、
前記分配部は、
複数の前記地点のうちで前記気象量が小さい地点に位置する1以上の第1の測定端末の各々に対して、
1測定端末あたりの前記通信回数の上限より少ない通信回数を割り当て、
複数の前記地点のうちで前記気象量が大きい地点に位置する1以上の第2の測定端末の各々に対して、
1測定端末あたりの前記上限より多い通信回数を割り当てる、
サーバ。
【請求項2】
前記分配部は、
前記気象量が閾値以下である地点に位置する前記測定端末を前記第1の測定端末とし、
前記気象量が前記閾値を超える地点に位置する前記測定端末を前記第2の測定端末とし、
前記各第1の測定端末に対して、1測定端末あたりの前記上限以下となる所定の通信回数を割り当て、
前記各第1の測定端末に対して割り当てられた前記所定の通信回数の総計を、前記総通信回数から減算した差分を算出し、前記差分を前記各第2の測定端末に対して分配する、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前記分配部は、
前記差分を前記各第2の測定端末に対して均等に分配する、
請求項2に記載のサーバ。
【請求項4】
前記分配部は、
前記気象量が大きいほど前記通信回数が多くなるように、前記差分を前記各第2の測定端末に分配する、
請求項2に記載のサーバ。
【請求項5】
前記分配部は、
河川情報を更に加味して、前記差分を前記各第2の測定端末に分配する、
請求項4に記載のサーバ。
【請求項6】
前記取得部は、
時間帯毎の前記気象量を取得し、
前記分配部は、
前記気象量が大きい時間帯ほど前記通信回数が多くなるように、前記総通信回数を前記各測定端末に分配する、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項7】
複数の測定端末と、請求項1~6のいずれか1項に記載のサーバと、を備える、通信システム。
【請求項8】
複数の測定端末とサーバとを備える通信システムにおいて、
前記各測定端末の単位期間あたりの通信回数の総計の上限である総通信回数を前記各測定端末に分配する
分配方法であって、
前記サーバが、
前記複数の測定端末の各々から河川の水位の測定データを受信し、
前記各測定端末が設置された地点の降水に関する気象量を取得し、
複数の前記地点のうちで前記気象量が小さい地点に位置する1以上の第1の測定端末の各々に対して、
1測定端末あたりの前記通信回数の上限より少ない通信回数を割り当て、
複数の前記地点のうちで前記気象量が大きい地点に位置する1以上の第2の測定端末の各々に対して、
1測定端末あたりの前記上限より多い通信回数を割り当てる、
分配方法。
【請求項9】
前記気象量が閾値以下である地点に位置する前記測定端末を前記第1の測定端末とし、
前記気象量が前記閾値を超える地点に位置する前記測定端末を前記第2の測定端末とし、
前記各第1の測定端末に対して、1測定端末あたりの前記上限以下となる所定の通信回数を割り当て、
前記各第1の測定端末に対して割り当てられた前記所定の通信回数の総計を、前記総通信回数から減算した差分を算出し、前記差分を前記各第2の測定端末に対して分配する、
請求項8に記載の分配方法。
【請求項10】
前記差分を前記各第2の測定端末に対して均等に分配する、
請求項9に記載の分配方法。
【請求項11】
前記気象量が大きいほど前記通信回数が多くなるように、前記差分を前記各第2の測定端末に分配する、
請求項9に記載の分配方法。
【請求項12】
河川情報を更に加味して、前記差分を前記各第2の測定端末に分配する、
請求項11に記載の分配方法。
【請求項13】
時間帯毎の前記気象量を取得し、
前記気象量が大きい時間帯ほど前記通信回数が多くなるように、前記総通信回数を前記各測定端末に分配する、
請求項8に記載の分配方法。
【請求項14】
コンピュータに、請求項8~13のいずれか1項に記載の分配方法を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ、通信システム、分配方法、及びプログラムに関し、特に河川の水位を測定する複数の測定端末の各々の通信回数を設定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
LPWA(Low Power Wide Area)は、消費電力を抑えつつ遠距離通信を実現する通信手段として、IoT(Internet of Things)の重要な構成要素となっている。LPWAには複数の規格が存在しており、それぞれが特徴を有している。そのうち、SigFox規格は、低コストで最大通信距離が長く、通信エリアが広いという特徴を有しているが、所定期間(一日あたり)に通信可能な回数に制限がある。当該規格に従って通信するIoTの通信装置は、所定期間における通信回数を規定回数内に抑える必要がある。
【0003】
ところで、河川の水位を測定し、監視する無線通信システムにおいては、天候悪化により河川水位が上昇するときほど高頻度な情報取得が求められる。このような場合、SigFox規格を使用する通信装置は、通信回数の上限に達してしまい新たな情報を送信できなくなってしまう可能性がある。例えば、特許文献1で示されているように通信回数の上限が近づくにつれて送信間隔を長くした場合、当該時間帯に天候が悪化すると、河川水位の測定データをリアルタイムに取得することが出来なくなってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-102937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、天候が悪化すると、河川の水位の測定データをリアルタイムに取得することができないという問題があった。
【0006】
本開示はこのような問題を解決するためになされたものであり、気象量に基づいて、水位の測定データを送信する複数の測定端末の各々に通信回数を設定するサーバ、通信システム、分配方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかるサーバは、
複数の測定端末の各々から河川の水位の測定データを受信する受信部と、
前記各測定端末が設置された地点の降水に関する気象量を取得する取得部と、
前記各測定端末の単位期間あたりの通信回数の総計の上限である総通信回数を前記各測定端末に分配する分配部と、
を備えるサーバであって、
前記分配部は、
複数の前記地点のうちで前記気象量が小さい地点に位置する1以上の第1の測定端末の各々に対して、
1測定端末あたりの前記通信回数の上限より少ない通信回数を割り当て、
複数の前記地点のうちで前記気象量が大きい地点に位置する1以上の第2の測定端末の各々に対して、
1測定端末あたりの前記上限より多い通信回数を割り当てる。
【0008】
本発明にかかる通信システムは、複数の測定端末と上記サーバとを備える。
【0009】
本発明にかかる分配方法は、
複数の測定端末とサーバとを備える通信システムにおいて、
前記各測定端末の単位期間あたりの通信回数の総計の上限である総通信回数を前記各測定端末に分配する
分配方法であって、
前記サーバが、
前記複数の測定端末の各々から河川の水位の測定データを受信し、
前記各測定端末が設置された地点の降水に関する気象量を取得し、
複数の前記地点のうちで前記気象量が小さい地点に位置する1以上の第1の測定端末の各々に対して、
1測定端末あたりの前記通信回数の上限より少ない通信回数を割り当て、
複数の前記地点のうちで前記気象量が大きい地点に位置する1以上の第2の測定端末の各々に対して、
1測定端末あたりの前記上限より多い通信回数を割り当てる。
【0010】
本発明にかかるプログラムは、コンピュータに上記分配方法を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示により、気象量に基づいて、水位の測定データを送信する複数の測定端末の各々に対して通信回数を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1にかかるサーバの構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態2にかかる通信システムの構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態2にかかる分配方法の流れを示すフローチャートである。
図4】実施の形態2にかかる分配方法による分配結果を示す概略図である。
図5】実施の形態3にかかる分配方法の流れを示すフローチャートである。
図6】実施の形態3にかかる分配方法において用いられる順位決定テーブルを示す概略図である。
図7】実施の形態3にかかる分配方法による分配結果を示す概略図である。
図8】実施の形態4にかかる分配方法の流れを示すフローチャートである。
図9】実施の形態4にかかる分配方法による分配結果を示す概略図である。
図10】実施の形態4にかかる分配方法で用いられる時間帯ごとの予測降水量を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、実施形態1にかかるサーバ1の構成を示すブロック図である。サーバ1は、受信部11、取得部12、及び分配部13を備えている。サーバ1は、ネットワーク(不図示)と接続されており、ネットワークを介して複数の測定端末(不図示)と通信する。各測定端末は、河川の水位を測定し、測定データを無線送信する。サーバ1は、各測定端末から測定データを収集する。測定端末は、水位計とも称される。
【0014】
受信部11は、複数の測定端末の各々から河川の水位の測定データを受信する。取得部12は、各測定端末が設置された地点の降水に関する気象量を取得する。気象量は、例えば、降水確率、予測降水量等である。
【0015】
分配部13は、各測定端末の単位期間あたりの通信回数の総計の上限である総通信回数を、各測定端末に分配する。単位期間あたりの通信回数は、通信頻度とも称される。1測定端末あたりの通信回数に上限が設定されている場合、総通信回数は、1測定端末あたりの通信回数の上限と、測定端末の数との積となる。複数の端末を契約している場合、いずれかの測定端末の通信回数を1測定端末あたりの上記上限(例:140回)以下に設定し、余剰分を他の測定端末に割り当てることができる。
【0016】
分配部13は、複数の地点のうちで気象量が小さい地点に位置する1以上の第1の測定端末の各々に対して、1測定端末あたりの通信回数の上限より少ない通信回数を割り当てる。そして、分配部13は、複数の地点のうちで気象量が大きい地点に位置する1以上の第2の測定端末の各々に対して、1測定端末あたりの通信回数の上限より多い通信回数を割り当てる。
【0017】
分配部13は、気象量に基づいて、水位の測定データを送信する複数の測定端末の各々に通信回数を設定する。したがって、分配部13は、降水が多い地点に位置する測定端末に対して、より多くの通信回数を割り当てることができる。これにより、サーバ1は、河川の増水の可能性の高さに応じて、各地点の水位の測定データを適切な頻度で取得することができる。
【0018】
例えば、分配部13は、気象量に基づいて各測定端末を第1の測定端末と第2の測定端末とに分類した後、各測定端末に対して通信回数を割り当ててもよい。このような場合、分配部13は、気象量が閾値以下の地点に位置する測定端末を第1の測定端末とし、気象量が閾値を超える地点に位置する通信端末を第2の測定端末とする。閾値の設定方法は任意であり、予め定められた値であってもよく、各地点の気象量をもとに算出された値であってもよい。
【0019】
このような場合、分配部13は、第1の測定端末に対して、1測定端末あたりの通信回数の上限より少ない所定の通信回数を割り当ててもよい。各第1の測定端末に対して割り当てられた所定の通信回数の総計を、総通信回数から減算した差分が、各第2の測定端末に対して分配される。ここで、分配部13は、各第2の測定端末に対して均等に通信回数を分配してもよく、気象量が大きいほど通信回数が多くなるように分配を行ってもよい。分配部13は、気象量の他に河川情報を加味して、差分を各第2の測定端末に分配してもよい。河川情報とは、河川が氾濫を起こす可能性の高さを判定する際に用いられる情報であり、例えば河川の満水率である。
【0020】
また、分配部13は、分類は行わず、測定端末が位置する地点の気象量が大きいほど、測定端末の通信回数が多くなるように、総通信回数の分配を行ってもよい。このような場合も、気象量が小さい地点に位置する通信端末(つまり、第1の通信端末)に対して、上限よりも少ない通信回数が割り当てられることとなる。例えば、分配部13は、位置する地点の予測降水量が大きいほど通信回数が多くなるように、総通信回数を各測定端末に分配してもよい。ここで、分配部13は、時間帯ごとの気象量を取得し、気象量が大きい時間帯ほど通信回数が多くなるように、総通信回数を各測定端末に分配してもよい。
【0021】
尚、サーバ1は、図示しない構成としてプロセッサ、メモリ及び記憶装置を備えるものである。また、当該記憶装置には、実施形態1にかかる分配方法の処理が実装されたコンピュータプログラムが記憶される。そして、当該プロセッサは、記憶装置からコンピュータプログラムを該メモリへ読み込ませ、当該コンピュータプログラムを実行する。これにより、該プロセッサは、受信部11、取得部12、及び分配部13の機能を実現する。または、受信部11、取得部12、及び分配部13は、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。
【0022】
河川水位監視システムの通信手段として、利用料金が安価である一方で、メッセージサイズや単位期間当たりの通信回数に上限が設けられている、SigFox通信のような通信手段を利用する場合、上限回数を超えないように通信回数を設定しなければならない。しかし、平常時はそれで問題無いものの、近年頻繁に発生する豪雨等緊急時の場合は、急激に河川の水位が変化(増水)してしまうため、回数制限のある通信手段ではタイムリーな情報収集に支障を来していた。総通信回数(=契約回線(端末)毎の送信上限回数×契約回線数(端末数))を、均等割では無く、平常時/豪雨時等、気象条件に応じて、個々の水位計(測定端末/IoTデバイス)に割り振り設定する、河川水位監視システムが望まれる。
【0023】
実施形態1によると、利用料金が安価である一方で、メッセージサイズや単位期間当たりの通信回数に上限が設けられている、SigFox通信のような通信手段を利用する、河川水位監視システムにおいても、平常気象状態にある水位計(測定端末)の通信回数を、豪雨等緊急性の高い気象状態にある水位計に分け与えることができる。したがって、実施形態1によると、通信の制限回数によらず、気象量(降雨確率、予測降水量等)に応じた、多くのタイムリーな河川水位情報を得ることができる。
【0024】
実施形態2
図2は、実施の形態2にかかる通信システム100の構成を示すブロック図である。通信システム100は、サーバ101と、複数の測定端末102a、102b、102c、及び102dとを備えている。サーバ101は、上述したサーバ1の具体例である。サーバ101は、受信部1011、取得部1012、及び分配部1013を備えている。受信部1011は上述した受信部11の具体例であり、取得部1012は上述した取得部12の具体例であり、分配部1013は上述した分配部13の具体例である。
【0025】
サーバ101は、測定端末102a~102dから測定データを受信し、単位期間(例:1日)あたりの通信回数(以下、通信上限回数と称される場合がある)を割り当てる。測定端末102a~102dは、サーバ101から設定された上限回数に基づいて、スケジュールされたタイミングで、定期的に河川の水位を測定し、測定データをサーバ101に送信する。したがって、通信回数は、送信回数とも称されることがある。測定端末102aが設置された地点を地点A、測定端末102bが設置された地点を地点B、測定端末102cが設置された地点を地点C、測定端末102dが設置された地点を地点Dと称する。測定端末102a~102dを互いに区別しない場合には、単に測定端末102と称する。
【0026】
サーバ101の取得部1012は、地点A~Dの降水確率を取得する。サーバ101の分配部1013は、降水確率が閾値以下の地点に位置する測定端末102を第1の測定端末とし、降水確率が閾値を超えた地点に位置する測定端末102を第2の測定端末とする。分配部1013は、各第1の測定端末に対して所定の通信回数(以下、晴天時上限回数とも称される)を割り当て、各第1の測定端末に対して割り当てられた所定の通信回数の総計を、総通信回数から減算した差分を算出する。そして、分配部1013は、算出した差分を各第2の測定端末に対して均等に分配する。
【0027】
図2では、例として、4台の測定端末102が設置された例を示しているが、測定端末102は少なくとも2台以上であればよい。測定端末102は、少なくともサーバ101と通信可能なデバイスと、既存の河川の水位測定で用いられる構成要素(例:センサ)とで構成される。
【0028】
次に、図2~4を参照して、通信システム100の動作について説明する。図2において、サーバ101は、定期的に(例:1日1回)、測定端末102a~102dに対して1日当たりの通信上限回数を通知するものとする。
【0029】
まず、図3を参照して、サーバ101が総通信回数を各通信端末に分配する動作を説明する。尚、分配動作は、各測定端末の通信上限回数を判定するための判定動作とも称される。本動作は、測定端末102へ通信上限回数を通知する前に実施される。
【0030】
ステップS200で、サーバ101は、測定端末102の各々が設置された地点の降水確率を取得する。降水確率は、上述した気象量の一例である。ステップS201で、サーバ101は、測定端末102の数だけステップS202及びステップS203を繰り返す。
【0031】
ステップS202で、サーバ101は、ステップS200で取得した降水確率がそれぞれ30%以下か否かを判定し、降水確率が30%以下である場合はステップS203に移行する。降水確率が30%を超えている場合、サーバ101は、ステップS201に移行し、次の測定端末に対する処理に移る。尚、上述した降水確率の閾値(例:30%)は、降雨の可能性が低く、水位の変動が少ないことを判定するためのものであり、任意の値を設定できる。
【0032】
ステップS203で、サーバ101は、該当する測定端末102(第1の測定端末)の通信上限回数として、晴天時における上限回数(以下、晴天時上限回数や、晴れ回数とも称される)を設定(割り当て)する。尚、通信上限回数は、測定端末102がサーバ101に測定データを送信できる回数の1日あたりの上限回数である。晴天時上限回数(例:48回)は、設置された位置の降水確率が閾値以下である測定端末102(第1の測定端末)に対して割り当てられる回数であり、任意の値を設定できる。1つの測定端末102に対する設定が終了すると、サーバ101は、次の測定端末102に対する処理に移る。
【0033】
ステップS204で、サーバ101は、通信上限回数が未設定の地点(残地点)の数、すなわち通信上限回数が未設定の測定端末102(第2の測定端末)の数を確認する。全ての測定端末102の通信上限回数が設定済みの場合、サーバ101は、ステップS205に移行する。ステップS205で、サーバ101は、全ての測定端末102の通信上限回数を、通信規格の提示する、通信の上限回数(以下、規格上限回数とも称される)に再設定する。規格上限回数は、上述した1測定端末あたりの通信回数の上限に対応しており、例えば140回である。降雨が予想される地点の測定端末102(第2の測定端末)に多くの通信回数を割り当てるために、ステップS203で晴天時上限回数の設定を行ったが、全ての地点で降雨の可能性が低いと判明したため、規格上限回数を全ての測定端末102に均等に割り当てている。ステップS205の後、サーバ101は、ステップS207に移行し、分配(判定)動作を終了する。
【0034】
ステップS206で、サーバ101は、まだ通信上限回数を割り当てていない測定端末102(第2の測定端末)に対して、雨天時における上限回数(以下、雨天時上限回数とも称される)を割り当てる。雨天時上限回数は、降水確率が閾値を上回った測定端末102(第2の測定端末)に対して割り当てられる通信回数である。雨天時上限回数は、以下の計算式によって求められる。
(雨天時上限回数)=((総通信回数)-(晴天時上限回数)×(回数決定地点数))÷(残地点数)
【0035】
ここで、総通信回数(総和回数)は、以下の計算式によって求められる。
(総通信回数)=(無線通信システムにおける契約回線数)×(規格上限回数)
そして、ステップS207で、サーバ101は、分配動作を終了する。
【0036】
分配動作を実施した後、サーバ101は、各測定端末102に通信上限回数を通知する。測定端末102は、通知された通信上限回数を、24時間の中で均等に割り振り、割り振ったスケジュールにて水位の測定データをサーバ101へ送信する。水位の測定方法やメッセージの形式(様式)には、任意の公知技術を用いることができる。
【0037】
図4は、実施形態2にかかる分配方法による分配結果を示す概略図である。図2の構成において、測定端末102a~102dの通信上限回数を判定する動作を実施したものとする。上述の通り、測定端末102a~102dは、それぞれ地点A~Dに設置されているものとする。地点Aでは、降水確率が20%であったため、測定端末102aには晴天時上限回数である48回が設定される。地点Bの降水確率は80%、地点Cの降水確率は50%、地点Dの降水確率は40%であり、閾値である30%を上回っているため、地点B~Dに設置された測定端末102b~102dには雨天時上限回数が設定される。
【0038】
ここで、雨天時上限回数は、以下のように算出されている。
(雨天時上限回数)=(140×4-48×1)÷3=170
よって、地点B~Dに設置された測定端末102b~102dの通信上限回数は、170回に設定される。
【0039】
次に、実施形態2にかかる通信システムが奏する効果について説明する。第1の効果は、気象情報を基に測定端末の通信上限回数を変更するので、河川の水位の変化するタイミングにおいてより詳細な情報を得ることができることである。上述の通り、河川の水位監視システムでは、河川の水位の変化するタイミングで詳細な情報を得ることへのニーズが存在する。第2の効果は、気象情報を基に測定端末の通信上限回数を変更するので、自動で通信回数の変更ができることである。第3の効果は、気象情報を基に測定端末の通信上限回数を変更するので、降雨の可能性が低い地点での不要な測定と通信を抑制できることである。
【0040】
実施形態3
実施形態3にかかる通信システムは、降水確率が閾値を上回る地点が複数存在する場合、降水確率とその他の情報(以下、河川情報とも称される)とを組み合わせてより優先度の高い地点を判定する。河川情報とは、河川が氾濫する可能性の高さを判定するために用いられる情報であり、例えば河川の満水率である。実施形態3にかかる通信システムの構成は、図2と同様である。サーバ101の取得部1012は、降水確率と河川情報とを取得する。サーバ101の分配部1013は、実施形態2と同様に、第1の測定端末に対して所定の通信回数(晴天時上限回数)を割り当て、総通信回数から減算した差分を算出する。そして、分配部1013は、降水確率が大きいほど通信回数が多くなるように、差分を各第2の測定端末に分配する。ここで、分配部1013は、河川情報を加味して、差分を各第2の測定端末に割り当てる。具体的には、分配部1013は、降水確率と河川情報とを加味して各地点の優先度を決定し、優先度に基づき上記差分を各第2の測定端末に分配する。以下では、図2図5図6、及び図7を参照して、実施形態3にかかる通信システム100の動作を説明する。
【0041】
通信システム100において、実施形態2と同様に、サーバ101は、測定端末102a~102dへ定期的に(例:1日1回)通信上限回数を通知する。サーバ101は、測定端末102a~102dへ通信上限回数を通知する前に、以下の分配(判定)動作を実施する。
【0042】
実施形態3にかかる通信システム100は、通信上限回数の判定に使用する情報として、降水確率と満水率とを使用する。ここで、満水率とは、河川における地上から川底までの距離に対して、水位がどのくらいあるかを示す割合である。天候悪化で水位が上昇した場合に、満水率が大きい地点(現時点で水位の高い地点)の方が、より早く危険な状態に達する可能性があると判断できる。地上から河川の川底までの距離は、河川管理団体の制定する氾濫発生や、危険と判断する水位に置き換えられてもよい。分配動作を開始する時点で、最新の水位を基に各地点の満水率が算出されてもよい。
【0043】
図5は、サーバ101が測定端末102に通信上限回数を分配する動作の流れを示すフローチャートである。図5の動作のうち、ステップS401からステップS405までは、図3のステップS201からステップS205までと同等の動作である。図3のステップS206以降の動作が、ステップS406以降の動作に置き換えられている。ステップS400で、サーバ101は、全地点の降水確率を取得し、かつ、上述の方法で求めた全地点の現在の満水率を取得する。
【0044】
ステップS406で、サーバ101は、通信上限回数を決定していない地点(残地点)が1箇所のみ残っているかを判定する。残地点が1箇所である場合、優先付けをする必要がないため、サーバ101は、ステップS407に移行する。残地点が複数箇所である場合、サーバ101は、ステップS408に移行し、複数の測定端末102が存在する場合の優先度の判定動作を実施する。
【0045】
ステップS407で、サーバ101は、残りの通信回数(余剰分)の全てを、残っている1箇所に設置された測定端末102(第2の測定端末)に割り当てる。例えば、地点A~Dのうち地点A~Cの3箇所の降水確率が30%以下だった場合、測定端末102a~102cの通信上限回数として、晴天時上限回数(例:48回)が割り当てられる。そして、残りの通信回数が、測定端末102dに割り当てられる。残りの通信回数は、以下の計算式で求められる。
(残りの通信回数)=(総通信回数)-{(晴天時上限回数)×(回数決定地点数)}
【0046】
尚、総通信回数(総和回数)は、実施形態2と同様に算出される。そして、通信システム100内の全ての測定端末102の通信上限回数が決定されたので、サーバ101は、ステップS413に移行し、分配動作を終了する。
【0047】
ステップS408で、サーバ101は、通信上限回数が未決定の測定端末102(第2の測定端末)数分、ステップS409~ステップS411を繰り返す。ステップS409では、サーバ101は、各測定端末102に対して、設置された地点の降水確率が高い順に順位(順序)を設定する。当該順位は、優先順位とも称される。また、順位を設定することは、優先度を決定するともいえる。ステップS410では、サーバ101は、降水確率が互いに等しい地点が存在するか否かを判定し、存在する場合はステップS411に移行する。ステップS411では、サーバ101は、降水確率が互いに同じ値の地点の満水率を比較し、満水率の高い地点に設置された測定端末102の順位を高く設定する。
【0048】
ステップS412では、サーバ101は、ステップS409~ステップS411で設定した順位に沿って、通信上限回数が未決定の各測定端末102(第2の測定端末)に通信上限回数を割り当てる。サーバ101は、まず、各測定端末102(第2の測定端末)に、規格上限回数(例:140回)を割り当てる。そして、サーバ101は、後述する順位決定テーブルに設定された重み付けに沿って、残りの回数の割り当て(追加)を行う。順位決定テーブルは、順位が決定された各測定端末102(第2の測定端末)に、残り回数(余剰回数)の何割を割り当てるかを規定するテーブルである。
【0049】
図6は、順位決定テーブルを例示する概略図である。図2のように、測定端末102の数が4台であるものとする。降水確率が30%を上回る地点を残地点とする。図6は、残地点が3つ存在する場合と、残地点が2つ存在する場合とのそれぞれにおける重み付けを示している。図6で、それぞれ別の割合を設定している箇所は、互いに同じ割合とすることが可能である。割り当てる回数の過不足を出さないために、それぞれの割合の和が100%になるように設定されていることが好ましい。
【0050】
図6を参照すると、残地点が3つ存在する場合、最も優先度の高い測定端末102には、余剰分の通信回数(残り回数とも称される)のうち50%が割り当てられる。そして、2番目に優先度の高い測定端末102には、残り回数のうち30%が割り当てられる。そして、3番目に優先度の高い測定端末102には、残り回数のうち20%が割り当てられる。割合は、任意に設定することが可能である。ここで、残り回数は、以下の式に従って算出される。
(残り回数)=(総通信回数)-{(晴天時上限回数)×(回数決定地点数)}-{(規格上限回数)×(残地点数)}
尚、総通信回数は、実施形態2と同様に定義される。
【0051】
図5に戻り説明を続ける。ステップS412が終了すると、サーバ101は、ステップS413に移行する。ステップS413で、サーバ101は、全地点の通信上限回数が決定されたため分配処理を終了する。
【0052】
図7は、実施形態3にかかる分配方法の分配結果を示す概略図である。図2の構成において、実施形態3にかかる分配方法を実施したものとする。
【0053】
地点Aは降水確率が20%であるため、地点Aに設置された測定端末102aには晴天時上限回数(例:48回)が割り当てられる。そして、地点Bの降水確率は80%であり、地点Cの降水確率は80%であり、地点Dの降水確率は40%であり、閾値である30%を上回っている。したがって、地点B~Dには優先度が設定される。
【0054】
まず、地点B~Dの中で降水確率が最も高いのは地点Bと地点Cであり、同じ値である。そこで、地点Bと地点Cとの満水率を比較すると、地点Bの満水率は15%であり、地点Cの満水率は30%である。したがって、地点Cの満水率の方が高い。よって、サーバ101は、地点Cの優先度を1番目と判定し、地点Bの優先度を2番目と判定する。地点Dは、降水確率が40%であり、地点A及びCより低いため、優先度は3番目と判定される。
【0055】
サーバ101は、優先度に従って通信上限回数の割り当てを行う。サーバ101は、まず測定端末102b~102dの各々に規格上限回数(例:140回)を割り当てる。図6の順位決定テーブルを参照すると、残地点が3つの場合、優先度が最も高い測定端末102には、余剰回数の50%が割り当てられる。したがって、地点Cに設置された測定端末102cに追加で割り当てられる通信上限回数(以下、追加回数とも称される)は、以下の計算式で算出される。
(測定端末102cへの追加回数)=(残り回数)×0.5
【0056】
残り回数は、ステップS412の説明で示した計算式で算出される。具体例に当てはめると、(残り回数)=140×4-(48×1)-(140×3)=92となる。したがって、(追加回数)=92×0.5=46回となる。よって、測定端末102cの通信上限回数には、46回が追加され、合計の通信上限回数は186回となる。
【0057】
図6の順位決定テーブルを参照すると、優先度が2番目に高い測定端末102には、残り回数の30%が割り当てられる。地点Bに設置された測定端末102bへの追加回数は、以下の計算式で算出される。
(地点Bに設置された測定端末102への追加回数)=92×0.3=27
したがって、測定端末102bの通信上限回数には、27回が追加され、合計の通信上限回数は167回となる。
【0058】
図6の順位決定テーブルを参照すると、優先度が3番目に高い測定端末102には、残り回数の20%が割り当てられる。地点Dに設置された測定端末102dへの追加回数は、以下の計算式で算出される。
(測定端末102dへの追加回数)=92×0.2=18
したがって、測定端末102dの通信上限回数には、18回が追加され、合計の通信上限回数は158回となる。
【0059】
上述した説明では、降水確率と最新の満水率とを組み合わせて優先度を決定する例を説明した。しかし、満水率に代わる情報として、河川が氾濫する可能性(河川が危険な状態に達する可能性)の高さを示す任意の情報を使用することができる。例えば、河川の水深や、満水水位に達するまでの平均時間が、満水率に代わる情報として使用されてもよい。
【0060】
実施形態4
実施形態4にかかる通信システムは、予測降水量を使用して時間帯ごとに通信上限回数を決定する。実施形態にかかる通信システムは、1日の予測降水量と、時間帯ごとの予測降水量とを使用して、各時間帯に割り当てる通信回数を算出し、時間帯ごとの通信上限回数を決定する。
【0061】
降水確率は、当該時間帯に1mm以上の雨量になる確率であり、予測降水量は当該時間帯に予測される雨量である。1日の中で雨量が多くなる時間帯ほど送信回数を多く設定することで、情報が必要となる時間帯に集中して通信回数(通信頻度)を増やすことが可能となり、河川水位の変化をより的確に監視することができる。以下では、図2図8図9、及び図10を用いて、実施形態4にかかる通信システムの動作を説明する。
【0062】
図2において、サーバ101は、測定端末102a~102dへ、定期的に(例:1日1回)通信上限回数を通知する。サーバ101は、測定端末102~102dへ通信上限回数を通知する前に、以下の分配動作を実施する。取得部1012は、地点A~Dの時間帯ごとの予測降水量を取得する。分配部1013は、降水量が大きい時間帯ほど通信回数が多くなるように、総通信回数を各測定端末102に分配する。
【0063】
図8は、実施形態4にかかるサーバ101が各測定端末102に通信上限回数を分配する動作を示すフローチャートである。ステップS700で、サーバ101は、測定端末102を設置している各地点の時間帯ごとの予測降水量と、1日の降水量を取得する。
【0064】
ステップS702で、サーバ101は、通信上限回数にまず48回を設定する。各時間帯の最低通信回数として、例えば、1時間あたり2回、つまり24時間で48回を想定し、上記回数が設定される。尚、最低通信回数(基本回数)は、任意に設定できる。
【0065】
ステップS703で、サーバ101は、システム全体の総通信回数(総和回数)から、ステップS702で割り当てた回数を除き、残り回数を算出する。そして、サーバ101は、上記残り回数を各地点の1日全体の降水量の総和(総計)で割り、商を算出する。上記商は、降水量1mmあたりに割り当てられる通信回数となる。
【0066】
ステップS704で、サーバ101は、測定端末102数分、ステップS705~S706を繰り返す。測定端末102の全てに対する処理が完了した場合、サーバ101は、ステップS707へ移行する。ステップS705で、サーバ101は、1時間あたりの降水量を基に、追加する通信回数(追加回数)を算出するため、ステップS706を24時間分繰り返す。24時間分の処理が完了した場合、サーバ101は、ステップS704に移行し、次の測定端末102の処理に移る。
【0067】
ステップS706で、サーバ101は、ステップS703で算出した商と、当該時間帯の降水量との積を算出する。上記積は、当該時間帯の降水量に応じて追加される通信回数となる。なお、計算結果の小数点以下の値に対しては任意の処理が可能であるが、設定される通信上限回数の総和が総通信回数を超えない点に留意する。ステップS707で、サーバ101は、ステップS702で設定した最低通信回数と、ステップS706で設定した追加回数とに基づき、各測定端末102の通信上限回数を決定する。
【0068】
図9は、実施形態4にかかる分配方法による分配結果を示す概略図である。図9は、図2の構成に対して、実施形態4にかかる分配方法を適用した結果を示している。
【0069】
実施形態4にかかる分配方法では、まず、全地点の測定端末102の通信回数として48回を設定する。他の実施形態と同様に規格上限回数を140回とすると、通信システム100全体の残りの通信回数は、140×4-48×4=368(回)となる。図10は、測定端末102a~102dを設置した地点A~Dの時間帯ごとの降水量と24時間(1日)の降水量とを示している。図10を参照し、全地点の1日全体の降水量の和を算出すると、214mmとなる。よって、降水量1mmあたりの送信回数は、368÷214=1.72(回)となる。ここから、各測定端末102に追加される通信回数が算出される。
【0070】
ここで、サーバ101は、図10を参照し、地点Aの時間帯ごとの降水量に対して1.72を掛けた値を、時間帯ごとの通信回数として図9の表に追加する。例えば、地点Aの0時~11時は予測降水量が0mmであるため、通信回数は各時間2回となる。一方、12時の降水量は1mmであるため、通信回数は、2+1.72=3.72(回)となるが、例えば降水量1mmの場合の小数点以下は切り捨てとして、3回とする。また、13時の降水量は5mmであるため、送信回数は、2+1.72×5=10.6(回)となるが、例えば降水量5mmの場合の小数点以下は四捨五入として、11回とする。小数点以下の処理は、このように予測降水量に応じて行われる処理であってもよく、予測降水量によらない統一した処理であってもよい。サーバ101は、上記処理を23時まで繰り返す。そして、サーバ101は、時間帯ごとの予測降水量による通信回数計算処理を、地点B~Dに対して繰り返す。
【0071】
サーバ101は、各測定端末102に対して、時間帯ごとの通信回数(例:0時は2回、1時は2回、・・・)を通知してもよく、24時間分の通信回数を通知してもよい。
【0072】
最後に実施形態1~4の背景及び効果について説明する。河川の水位を監視する通信システムは、リアルタイムに水位の情報を取得し、水害対策の一助とする。近年の豪雨では、急激な降雨により河川の水位も分単位で変化する場合が多く、緊急時には分単位での情報取得が求められる。
【0073】
常時、頻繁に水位情報を取得することで緊急時に備えることができ情報の信用性を高めることができるが、通信頻度やデータ量の増加に伴って、測定端末の電源消費量も増加するという問題がある。また、晴天時の河川の水位はほとんど変化がなく、分単位での情報取得は不要である。
【0074】
近年IoTの通信手段としてLPWAが採用されているが、LPWAには様々な通信規格が存在する。メッセージサイズや通信回数に上限が設けられている通信規格(例:SigFox)により、河川の水位情報を送信する場合、送信回数の和が総通信回数を超えないように情報を取得する必要がある。したがって、このような場合、頻繁に情報を取得することは困難であるという問題がある。
【0075】
河川の水位を測定し、規定の水位を超えた場合に送信間隔を変更する技術も提案されている。しかし、上記通信規格を用いるケースに当該技術を適用すると、悪天候が長引いた場合、危険な水位であるにも関わらず、通信回数の上限に達し、測定データを送信できなくなるおそれがあった。
【0076】
各実施形態にかかるサーバは、気象量(例:降水確率、予測降水量)に応じて、各測定端末の通信回数を設定するため、悪天候が長引いた場合にも対処可能である。そして、実施形態にかかるサーバは、満水率等の河川情報を加味することができる。更に、実施形態にかかるサーバは、時間帯ごとの降水量を用いることで、時間帯及び地点に応じて、各測定端末に適切な通信回数を設定できる。
【0077】
尚、上述の実施形態では、ハードウェアの構成として説明したが、これに限定されるものではない。本開示は、任意の処理を、CPUにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0078】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、DVD(Digital Versatile Disc)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0079】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0080】
1、101 サーバ
100 通信システム
11、1011 受信部
12、1012 取得部
13、1013 分配部
102、102a、102b、102c、102d 測定端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10