(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162595
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】画面の表示装置を備えた射出成形機のコントローラ、および射出成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20221018BHJP
B22D 17/32 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
B29C45/76
B22D17/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067476
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(72)【発明者】
【氏名】小末 将吾
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206JA07
4F206JL02
4F206JP21
4F206JP27
4F206JQ88
(57)【要約】
【課題】画面を表示する表示装置を備え、画面の文字列表示欄において文字列を読みやすく表示する射出成形機のコントローラを提供する。
【解決手段】射出成形機(1)のコントローラは(4)各種画面を表示する表示装置(25)を備えている。コントローラ(4)は各種画面を表示するとき、画面に設けられている文字列表示欄(SDx)に表示しようとする表示文字列が、標準フォントサイズにおいて表示幅を超えるとき、フォントの縦幅比率を維持して横幅比率だけ小さくして表示するように構成する。また最小比率より小さくしなければならない場合には短縮文字列を表示する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形機の各種画面が表示されるとともに操作手段によってユーザによる画面操作が可能な表示装置を備え、
前記各種画面に設けられている文字列表示欄には、標準フォントサイズにおいて表示幅を超える表示文字列が表示されるとき、フォントの縦幅比率が維持された状態で横幅比率が小さくされて前記表示文字列の全体が表示されるようになっている、射出成形機用のコントローラ。
【請求項2】
前記横幅比率が予め設定されている最小比率より小さくなるとき、前記表示文字列に対応して予め用意されている短縮表現からなる短縮文字列が前記文字列表示欄に表示される、請求項1に記載の射出成形機用のコントローラ。
【請求項3】
前記文字列表示欄に前記短縮文字列が表示され、前記短縮文字列が標準フォントサイズにおいて前記表示幅を超えるとき、前記文字列表示欄には、フォントの縦幅比率が維持された状態で横幅比率が小さくされて前記短縮文字列の全体が表示されるようになっている、請求項2に記載の射出成形機用のコントローラ。
【請求項4】
記文字列表示欄に前記短縮文字列が表示されるとき、前記短縮文字列に文字飾りが付される、請求項2または請求項3に記載の射出成形機用のコントローラ。
【請求項5】
前記文字列表示欄に前記短縮文字列が表示されるとき、前記操作手段によって前記文字列表示欄を選択すると、前記表示文字列を表示する小ウィンドウがポップアップされる、請求項2~請求項4のいずれかに記載の射出成形機用のコントローラ。
【請求項6】
前記表示文字列に対しては前記短縮文字列が複数個用意されており、前記操作手段によって前記文字列表示欄を選択すると、前記複数個の前記短縮文字列がリスト表示されるリストボックスが表示され、該リストボックスにおいて前記操作手段によって選択した短縮文字列が記憶され、以後前記各種画面が表示されるとき前記文字列表示欄に前記選択された短縮文字列が表示されるようになっている、請求項2~請求項4のいずれかに記載の射出成形機用のコントローラ。
【請求項7】
前記コントローラには、前記表示文字列と前記短縮文字列とを関連付けて管理するデータベースが設けられ、前記各種画面の前記文字列表示欄に表示される前記表示文字列または前記短縮文字列は前記データベースから参照されるようになっている、請求項2~請求項6のいずれかに記載の射出成形機用のコントローラ。
【請求項8】
前記データベースは、前記表示文字列に関連付ける前記短縮文字列についてユーザによる編集が可能になっている、請求項7に記載の射出成形機用のコントローラ。
【請求項9】
前記コントローラは、前記短縮文字列をユーザにより編集するためのユーザカスタム登録画面を備え、前記ユーザカスタム登録画面において編集した前記短縮文字列が制限文字数を超えているとき警告が出力される、請求項8に記載の射出成形機用のコントローラ。
【請求項10】
前記コントローラには通信機能が設けられ、前記データベースにおいてユーザが編集した前記短縮文字列が前記通信機能によって外部の管理コンピュータに送信されるようになっている、請求項8または請求項9に記載の射出成形機用のコントローラ。
【請求項11】
射出材料を射出する射出装置と、
金型を型締めする型締装置と、
前記射出装置と前記型締装置とを制御すると共に各種画面を表示する画面装置を備えたコントローラと、を備え、
前記各種画面に設けられている文字列表示欄には、標準フォントサイズにおいて表示幅を超える表示文字列が表示されるとき、フォントの縦幅比率が維持された状態で横幅比率が小さくされて前記表示文字列の全体が表示されるようになっている、射出成形機。
【請求項12】
前記横幅比率が予め設定されている最小比率より小さくなるとき、前記表示文字列に対応して予め用意されている短縮表現からなる短縮文字列が前記文字列表示欄に表示される、請求項11に記載の射出成形機。
【請求項13】
前記文字列表示欄に前記短縮文字列が表示され、前記短縮文字列が標準フォントサイズにおいて前記表示幅を超えるとき、前記文字列表示欄には、フォントの縦幅比率が維持された状態で横幅比率が小さくされて前記短縮文字列の全体が表示されるようになっている、請求項12に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機に設けられるコントローラであって各種画面が表示される表示装置を備えたコントローラ、およびそのようなコントローラを備えた射出成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形機には、射出成形機を構成している各装置を制御するコントローラが設けられている。コントローラには表示装置が設けられ、各装置の制御に必要な設定値データが表示・設定される設定画面や、射出成形機を操作し各センサにおいて測定される測定値データ等が表示される操作画面、等が表示されるようになっている。画面には、画面の内容を説明する文字列や、表示される各種のデータの内容を説明する文字列が表示されている。例えば、射出工程において駆動するスクリュの速度を示すデータに対しては、文字列「射出速度」が表示されている。
【0003】
色々な国に輸出される射出成形機は、その多くが多言語対応され、表示言語を切り替えると各画面において表示される文字列が各言語に切り替えられるようになっている。ところで、画面に割り付けられている、文字列を表示するためのオブジェクト、つまり文字列表示欄は、画面のデザインに応じてその表示幅が固定になっている。そうすると、言語を切り替えたときに、適切に文字列を表示できないケースが出てくる。
【0004】
特許文献1には、言語を切り替えても該当の言語の文字列について、文字列表示欄に表示する方法が提案されている。具体的には、表示すべき文字列が文字列表示欄の表示幅を超える場合、表示すべき文字列について縦幅と横幅とを縮小して、つまりフォントサイズを小さくして文字列表示欄に表示するようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の方法では、文字列全体を文字列表示欄に表示することはできるが、フォントサイズが小さすぎると判読しにくいという問題がある。
【0007】
本開示において、画面を表示する表示装置を備え、画面の文字列表示欄において文字列を読みやすく表示する射出成形機のコントローラ、および射出成形機を提供する。
【0008】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
射出成形機のコントローラは各種画面を表示する表示装置を備えている。コントローラは各種画面を表示するとき、画面に設けられている文字列表示欄に表示しようとする表示文字列が、標準フォントサイズにおいて表示幅を超えるとき、フォントの縦幅比率を維持して横幅比率だけ小さくして表示するように構成する。
【発明の効果】
【0010】
本開示は、画面において表示文字列を読みやすく表示する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施の形態に係る射出成形機を示す正面図である。
【
図2】本実施の形態に係るコントローラによって表示装置に表示される、日本語表示の設定画面の一部を示す図である。
【
図3】本実施の形態に係る文字列管理データベースを示す表である。
【
図4】本実施の形態に係るコントローラにおいて実施される、画面表示の表示文字列の処理を示すフローチャートである。
【
図5】本実施の形態に係るコントローラにおいて実施される、画面表示の表示文字列の処理を示すフローチャートである。
【
図6】本実施の形態に係る表示文字列の処理の例を示す図である。
【
図7】本実施の形態に係るコントローラによって表示装置に表示される、英語表示の設定画面の一部を示す図である。
【
図8】本実施の形態に係るコントローラによって表示装置に表示される、英語表示の設定画面の一部を示す図である。
【
図9】本実施の形態に係るコントローラによって表示装置に表示される、英語表示の設定画面の一部を示す図である。
【
図10】本実施の形態に係るコントローラによって表示装置に表示される、英語表示の設定画面のサブウィンドウを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態に限定される訳ではない。説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。また、図面が煩雑にならないように、ハッチングが省略されている部分がある。
【0013】
本実施の形態を説明する。
<射出成形機>
本実施の形態に係る射出成形機1は、
図1に示されているように、金型を型締めする型締装置2と、射出材料を溶融して射出する射出装置3と、これらを制御する本実施の形態に係るコントローラ4と、から概略構成されている。
【0014】
<型締装置>
型締装置2はベッドB上に固定されている固定盤5と、ベッドB上をスライドする型締ハウジング6と、ベッドB上を同様にスライドする可動盤7とを備えている。固定盤5と型締ハウジング6は複数本、例えば4本のタイバー9、9、…によって連結されている。可動盤7は、固定盤5と型締ハウジング6の間でスライド自在になっている。型締ハウジング6と可動盤7の間には型締機構11が設けられている。型締機構11は直圧式の型締機構、つまり型締シリンダから構成してもよいが、本実施の形態においてはトグル機構から構成されている。固定盤5と可動盤7にはそれぞれ金型13、14が設けられ、型締機構11を駆動すると金型13、14が型開閉される。
【0015】
<射出装置>
射出装置3は、加熱シリンダ16と、この加熱シリンダ16に入れられているスクリュ17と、スクリュ17を駆動するスクリュ駆動装置18とから構成されている。加熱シリンダ16はその後端部近傍にホッパ20が、そして先端に射出ノズル22が設けられている。
【0016】
<コントローラ>
本実施の形態に係るコントローラ4は、
図1において示されているように、ベッドBに設けられており、表示装置25を備えている。コントローラ4には、各種の制御プログラムが格納され、前記したように型締装置2、射出装置3、等を制御するようになっている。コントローラ4には、表示装置25に表示する各種画面に対応する画面プログラムも格納されている。各種画面には、制御プログラムのための設定データを表示・設定する設定画面、射出成形機1を操作し各センサにおいて測定される測定値データ等が表示される操作画面、等がある。表示装置25は、ユーザが画面を操作するための操作手段を備えている。具体的には、本実施の形態において表示装置25は、操作手段としてのタッチパネルを備えている。なお、表示装置25は、操作手段として、データ入力可能なキーボードやマウスなどを備えているものであってもよい。
【0017】
本実施の形態に係るコントローラ4は、いわゆる多言語対応になっており、画面表示する言語が選択できるようになっている。後で詳しく説明するが、表示装置25に表示される各種画面は、選択された言語に基づいて表示される文字列が選択される。本実施の形態に係るコントローラ4は、選択された文字列の長さが、画面に割り付けられている文字列表示欄の表示幅より大きい場合であっても、これを見やすく適切に調整する機能を備えている。これを実現するために、コントローラ4には後で説明する文字列管理データベース27が設けられている。
【0018】
<日本語表示による設定画面>
図2には、表示言語として日本語が選択されているときに表示される画面の一部が示されている。より詳しく説明すると、いわゆる射出圧縮工程を実施するために必要な各種設定データを設定する設定画面の一部が示されている。画面には、文字列を表示するためのオブジェクト、つまり文字列表示欄SD1、SD2、…が複数個割り付けられ、そしてデータを表示するためのオブジェクト、つまりデータ表示欄DD1、DD2、…が複数個割り付けられている。
【0019】
文字列表示欄SD1、SD2、…のオブジェクトのそれぞれには、属性としてあらかじめ文字列IDが割り付けられている。文字列IDは、表示すべき文字列を特定するためのIDになっている。例えば、文字列表示欄SD1、SD3には同一の文字列IDが割り付けられ、対応する文字列である「圧縮」が表示されている。また、文字列表示欄SD6、SD7には、それぞれ別の文字列IDが割り付けられており、対応する文字列「初期型締力」と「圧縮開始位置」とが表示されている。これらの文字列IDと表示する文字列との対応は、次に説明する文字列管理データベース27(
図1参照)において定義されている。
【0020】
<文字列管理データベース>
本実施の形態に係る文字列管理データベース27は、言語毎に複数用意されている。本実施の形態においては日本語、英語、ドイツ語、フランス語、中国語、のそれぞれに対して用意されており、
図3には、英語用の文字列管理データベース27が示されている。
【0021】
文字列管理データベース27は、次の情報を管理している。
・文字列ID
文字列に対応付けるためのIDであり、以下の表示文字列、短縮文字列を関連付けている。
・表示文字列
文字列表示欄SD1、SD2、…に優先的に表示する文字列であり、短縮されていない正式な表現からなる文字列である。
・短縮文字列
文字列表示欄SD1、SD2、…への表示文字列の表示が不可のとき表示する、短縮された表現からなる文字列である。本実施の形態において、短縮文字列は文字列IDに対して複数個割り付けることができるようになっている。
・ユーザ選択情報
短縮文字列が複数個あるとき、ユーザは、文字列表示欄SD1、SD2、…に表示させる短縮文字列を選択・表示することができる。ユーザ選択情報は、前回選択した短縮文字列を特定するための情報である。
【0022】
<文字列表示処理>
図1に示した、本実施の形態に係るコントローラ4が画面表示において実施する、文字列表示処理28を説明する。ユーザ操作によって、例えば
図2に示されている画面を呼び出す。そうするとコントローラ4において、画面プログラムと共に文字列表示処理28が実行される。以下、文字列表示処理28の流れについて
図4を参照して説明する。
【0023】
まず、最初に表示言語の確認を行う(ステップS1)。コントローラ4において英語が選択されている場合、以後、
図3に示されている英語用の文字列管理データベース27に基づいて処理を行う。
【0024】
次に、画面に割り付けられている文字列表示欄を探し、文字列表示欄を取得する(ステップS2)。すなわち、画面に割り付けられている文字列表示欄SD1、SD2、…(
図2参照)を探し、最初に見つかった文字列表示欄SDxを取得して、以降の処理を行う。次に、文字列表示欄の属性として定義されている表示幅と文字列IDとを取得する(ステップS3)。続いて、
図3に示されている文字列管理データベース27において文字列IDをキーとして検索し、対応する表示文字列を取得する(ステップS4)。また文字列IDに短縮文字列も定義されていれば、ステップS4ではこれらとユーザ選択情報とを取得する。
【0025】
続いて、文字列表示欄に表示文字列が表示可能か否か、つまり標準フォントサイズにおいて表示幅に収まるか否かをチェックする(ステップS5)。ステップS5において、可能だと判断すれば(YESの場合)、文字列表示処理28は、文字列表示欄SD6に表示文字列を表示する(ステップS6)。ステップS5において、不可能だと判断すれば(NOの場合)、文字列表示処理28は、表示文字列についてフォントの縦幅比率を維持した状態で横幅比率を小さくして文字列表示欄に表示可能か否かをチェックする(ステップS7)。ステップS7において表示可能か否かは、予め定義されている最小比率で判断する。例えば、最小比率が50%だとすると、表示文字列を横幅比率50%以下に縮小しなければ文字列表示欄に表示できない場合に、ステップS7において表示不可と判断する。
【0026】
ステップS7において、表示可能と判断すれば(YESの場合)、表示文字列を縮小して表示する(ステップS8)。すなわち横幅比率を小さくして
図6の符号53で示されているように文字列表示欄に表示する。ステップS7において、表示不可能と判断すれば(NOの場合)、文字列表示処理28のサブ処理である短縮文字列表示処理に移行する(ステップS9)。
【0027】
ステップS6、ステップS8、ステップS9に続いて、全ての文字列表示欄の表示を完了したか否かを判断する(ステップS10)。ステップS10において、全ての文字列表示欄の表示を完了していれば(YESの場合)処理を終了し、全ての文字列表示欄の表示を完了していなければ(NOの場合)、処理をステップS2に戻す。
【0028】
ここで、文字列表示処理28について具体例で説明する。ステップS2において、最初に文字列表示欄SD6(
図2参照)が見つかったとする。なお、この文字列表示欄SD6は、
図2において示されているように、あるいは
図6における符号51で示されているように、表示言語として日本語が選択されているとき「初期型締力」が表示される表示欄になっている。
【0029】
文字列表示欄SD6に割り付けられている文字列IDが「STR035」であるとすると、ステップS3では「STR035」を取得する。そして、ステップS4では、文字列管理データベース27(
図3参照)より、文字列ID「STR035」に対し、表示文字列として「Initial Clamping Force」が、短縮文字列(1)として「Init CLP-F」が、ユーザ選択情報として「0」がそれぞれ得られる。
【0030】
ステップS5で、文字列表示欄SD6に表示文字列「Initial Clamping Force」が標準フォントサイズにおいて表示幅に収まるか否かをチェックする。しかしながら、実際には
図6の符号52で示されているように、文字列表示欄SD6に表示文字列「Initial Clamping Force」を表示することはできない。符号56で示されている表示欄を超えて、符号57だけオーバーしてしまうからである。従って文字列表示処理28はステップS5からステップS7に移行する。
【0031】
ステップS7において、
図6に示すように、文字列表示欄SD6に、表示文字列「Initial Clamping Force」についてフォントの縦幅比率を維持した状態で横幅比率を小さくして文字列表示欄SD6に表示可能か否かをチェックする。文字列「Initial Clamping Force」は最小比率で縮小しても文字列表示欄SD6に表示することができないので、ステップS7からステップS9(文字列表示処理28のサブ処理である短縮文字列表示処理)に移行する。そして、短縮文字列表示処理が済んだら、画面において文字列の表示が完了していない文字列表示欄SDxが残っているかチェックする。残っている場合にはステップS2から処理を繰り返す。全ての文字列表示欄SDxについて文字列の表示が完了したら処理を終了する。
【0032】
<短縮文字列表示処理>
以下、
図4のステップS9の処理のサブ処理である、短縮文字列表示処理の流れについて
図5を参照して説明する。まず、文字列IDに対して登録されている短縮文字列が1個であるか、複数個であるかをチェックする(ステップS11)。
【0033】
ステップ11において、短縮文字列が複数個である場合(NOの場合)、ユーザ選択情報の登録の有無をチェックする(ステップS13)。ステップS13において、ユーザ選択情報の登録が無い場合(NOの場合)、先頭の短縮文字列を選択し(ステップS14)、後述するステップS12に移行する。ステップS13において、ユーザ選択情報の登録が有る場合(YESの場合)、ユーザ選択済みの短縮文字列を選択し(ステップS15)、後述するステップS12に移行する。後で説明するが短縮文字列が複数個あるとき、ユーザは表示すべき短縮文字列を選択することができる。
【0034】
ステップ11において、短縮文字列が1個であると判断された場合(YESの場合)、短縮文字列は表示幅に表示可能か否かを判断する(ステップS12)。つまり、短縮文字列が標準フォントサイズで表示幅を超えないかチェックする。ステップS12において、短縮文字列を表示幅に表示可能な場合(YESの場合)、短縮文字列を表示させる(ステップS16)。ステップS12において、短縮文字列を表示幅に表示不可能な場合(NOの場合)、短縮文字列を縮小して表示させる(ステップS16)。ステップS16、ステップS17に続いて、文字飾りとして短縮文字列にアンダーラインを付し(ステップS18)、短縮文字列表示処理を終了する。
【0035】
ここで、短縮文字列表示処理について具体例で説明する。
図3に示されているように、文字列ID「STR035」については短縮文字列が1個だけ登録されているので、ステップS12に移行すればよい。しかしながら、もし短縮文字列が2個以上登録されている場合にはステップS11からステップS13に移行することになる。例えば、文字列ID「STR042」、「STR292」等の場合がこれに該当する。
図3に示されているように、これらの文字列IDに対して短縮文字列は2個登録されているからである。このような場合にはステップS13の処理に移行することになる。
【0036】
ステップS13において、
図3に示す文字列管理データベース27でユーザ選択情報が数値「0」になっている場合、ユーザ選択情報はないと判断し、ステップS14に移行し、表示すべき短縮文字列として先頭の短縮文字列(1)を選択して、ステップS12に移行する。
【0037】
一方、ステップS13において、
図3に示す文字列管理データベース27でユーザ選択情報が「0」以外の数値になっている場合、ステップS15に移行する。ユーザ選択情報として登録されている数値は、以前にユーザによって選択された短縮文字列の番号である。例えば、文字列ID「STR042」に対しては、
図3に示されているようにユーザ選択情報は「2」になっている。これは以前に、短縮文字列(2)「CompStartPos」がユーザによって選択されたことを示している。ステップS15では、ユーザ選択情報によって記録されている短縮文字列、この例では短縮文字列(2)を選択して、ステップS12に移行することになる。
【0038】
ステップS12では、選択済みの短縮文字列について、文字列表示欄SD6に表示可能か否かをチェックする()。超えなければステップS16を実行して、
図6の符号54で示されているように短縮文字列を文字列表示欄SD6に表示する。一方、もしステップS12において短縮文字列が表示幅を超えることがわかったら、ステップS17を実施して、短縮文字列について縦幅比率を維持した状態で横幅比率を小さくして文字列表示欄SD6に表示する。
【0039】
文字列表示欄SD6に短縮文字列を表示するとき、短縮文字列であることを示すためにステップS18によって文字飾りを付す。例えば、イタリック体にしたりボールド体にすることができる。本実施の形態においては、
図6の符号59で示されているように、文字飾りとして短縮文字列にアンダーラインを付す。短縮文字列表示処理を終了する。
【0040】
図7には、表示言語として英語が選択されたときの設定画面の一部が示されている。例えば文字列表示欄SD2、SD5、SD9については、表示文字列が標準フォントサイズで表示されている。文字列表示欄SD1、SD3、SD4については表示文字列が横幅比率が縮小されて表示されている。そして文字列表示欄SD6、SD7、SD8、SD10、SD11、SD12については、短縮文字列が表示され、文字飾りつまりアンダーラインが付されている。
【0041】
<文字列表示処理の他の機能>
本実施の形態において、文字列表示処理28には色々な機能が用意されている。
図8に示されているように、画面において短縮文字列が表示されている文字列表示欄SDx、例えば文字列表示欄SD8を1回タッチする。すなわち文字列表示欄SD8を選択する。そうすると、ポップアップウィンドウ61が表示されて、表示文字列「Initial Mold Close」が表示される。つまり、画面において表示されている短縮文字列についてユーザが内容について理解できないとき、文字列表示欄SDxを選択すると正式な表現である表示文字列を表示させることができる。
【0042】
さらに短縮文字列が複数用意されているとき、ユーザは所望の短縮文字列を選択できる。
図9に示されているように、画面において短縮文字列が表示されている文字列表示欄SDx、例えば文字列表示欄SD7を2回タッチする。すなわち文字列表示欄SD7を選択する。そうすると、短縮文字列サブウィンドウ63が表示される。
【0043】
短縮文字列サブウィンドウ63には、表示文字列が表示される表示文字列欄64と、複数個の短縮文字列がリスト表示されるリストボックス66と、実行ボタン67とキャンセルボタン68とが表示される。ユーザがキャンセルボタン68を押すと、短縮文字列サブウィンドウ63が消える。ユーザが所望の短縮文字列を選択し、実行ボタン67を押すと、
図3に示されている文字列管理データベース27において該当する文字列ID、例えば「STR042」のユーザ選択情報が書き換えられる。以後、画面を表示すると、ユーザが選択した短縮文字列が表示されることになる。他の画面においても同じ文字列IDが割り付けられている文字列表示欄SDxについては、同じ短縮文字列が表示される。
【0044】
<他の実施の形態>
本実施の形態に係るコントローラ4における文字列表示処理28は、色々な変形が可能である。例えば、短縮文字列はユーザが編集できるようにしてもよい。
図10には、短縮文字列が表示されている文字列表示欄SDxを2回タッチしたときに表示される、他の実施の形態に係る短縮文字列サブウィンドウ63‘が示されている。この短縮文字列サブウィンドウ63‘では、短縮文字列編集テキストボックス70が設けられている。リストボックス66において選択した短縮文字列が、この短縮文字列編集テキストボックス70に表示される。あるいはリストボックス66において空欄を選択すると、空欄が表示される。
【0045】
短縮文字列編集テキストボックス70においてユーザは自由に短縮文字列を編集できる。実行ボタン67を押すと、
図3に示されている文字列管理データベース27に、ユーザが編集した短縮文字列が書き込まれる。このとき、
図1においてコントローラ4は通信機能によりユーザにより編集された短縮文字列を、射出成形機1のメーカーに送信するようにしてもよい。メーカーには管理コンピュータを備えておく。送信された短縮文字列は、この管理コンピュータに入力される。メーカーは、ユーザが推奨している短縮文字列を知ることができ、今後の製品の開発において参考とすることができる。
【0046】
<他の変形例>
本実施の形態において、短縮文字列は文字列IDに対して複数個登録できるように説明したが登録可能な個数は1個だけであってもよい。また本実施の形態において、ユーザ選択情報は文字列管理データベース27において文字列IDに対して管理されるように説明した。しかしながら、画面の文字列表示欄SDxに対応して管理するようにしてもよい。そうすると、ある画面の文字列表示欄SDxにおいてのみユーザが特定の短縮文字列を選択し、他の画面においては別の短縮文字列を選択したい場合に、対応できる。画面ごとに表示すべき短縮文字列を変えることができるからである。
【0047】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。以上で説明した複数の例は、適宜組み合わせて実施されることもできる。
【符号の説明】
【0048】
1 射出成形機 2 型締装置
3 射出装置 4 コントローラ
5 固定盤 6 型締ハウジング
7 可動盤 9 タイバー
11 型締機構 13 金型
14 金型 16 加熱シリンダ
17 スクリュ 18 スクリュ駆動装置
20 ホッパ 22 射出ノズル
25 表示装置 27 文字列管理データベース
28 文字列表示処理 61 ポップアップウィンドウ
63 短縮文字列サブウィンドウ 64 表示文字列欄
66 リストボックス 67 実行ボタン
68 キャンセルボタン 70 短縮文字列編集テキストボックス
SD1、SD2、… 文字列表示欄
DD1、DD2、… データ表示欄