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▶ 山本 修一の特許一覧

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  • 特開-鍋蓋 図1
  • 特開-鍋蓋 図2
  • 特開-鍋蓋 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162615
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】鍋蓋
(51)【国際特許分類】
   A47J 36/06 20060101AFI20221018BHJP
   A47J 27/00 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
A47J36/06 E
A47J36/06 A
A47J27/00 101D
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067505
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】396001614
【氏名又は名称】山本 修一
(74)【代理人】
【識別番号】110002996
【氏名又は名称】特許業務法人宮田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 修一
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA01
4B055BA34
4B055CA22
4B055CA73
4B055CB08
4B055CC43
(57)【要約】
【課題】
通常の鍋蓋としてだけでなく、蒸し板としても利用可能な鍋蓋を提供する。
【解決手段】
天頂部に水平面2と、該水平面2を挟んで対向して設けられた取手3、3とを備えた鍋蓋1であって、
前記水平面2は、その中心に円形の噴気孔4と、該噴気孔4を閉塞する開閉自在な蒸気蓋5とを備え、前記蒸気蓋5は、前記噴気孔4よりも小径の蒸気孔6を備えた一方プレート5aと、該一方プレート5aよりも短く、前記水平面2に固定される他方プレート5bと、両プレートを連結する軸5cと、からなる丁番であって、前記一方プレート5aを回動させて前記噴気孔4を閉塞した時に前記蒸気孔6が前記噴気孔4の直上に位置することを特徴とする鍋蓋1。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天頂部に水平面と、該水平面を挟んで対向して設けられた取手と、を備えた鍋蓋であって、
前記水平面は、その中心に円形の噴気孔と、該噴気孔を閉塞する開閉自在な蒸気蓋と、を備え、
前記蒸気蓋は、前記噴気孔よりも小径の蒸気孔を備えた一方プレートと、該一方プレートよりも短く、前記水平面に固定される他方プレートと、両プレートを連結する軸と、からなる丁番であって、前記一方プレートを回動させて前記噴気孔を閉塞した時に前記蒸気孔が前記噴気孔の直上に位置することを特徴とする鍋蓋。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時などの炊き出し時に使用する大型鍋の蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
鍋を用いて汁物や煮物を調理する際、鍋内部の放熱を防ぐために蓋をして調理するが、蓋をした鍋内部に充満した蒸気によって蓋が動揺したり、火を止めることで鍋内部が冷えて圧力が減少して蓋が外れ難くなったりすることがある。そこで文献1のように、大きさを自在に変更可能とした孔が設けられ鍋内部に充満した蒸気を適宜脱出させることが出来る鍋蓋が提案されていたり、調理時に鍋蓋をずらして置いたりする方法が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】公開実用新案平3-055025号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら文献1の発明や従来の方法は、鍋内部に蒸気が充満しないようにすることが主たる目的であって、当該鍋で蒸し調理を行おうとすると蓋とは別に蒸気を通す孔が開いた蒸し板を追加で用意することが必要になる。
【0005】
また、災害時やイベント等で行う炊き出しには、大勢の人に大量の料理を配る必要があるが、その調理時には料理だけでなく当然のことながら蒸気も大量に発生している。発生する蒸気は、通常であれば特段気にされることも無く霧散してゆくが、災害時のように少しのエネルギーも無駄にできない状況下においては、発生する蒸気を何らかの形で利活用することが求められる。
【0006】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、通常の鍋蓋であるだけでなく、蒸し板としても利用可能な鍋蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
天頂部に水平面と、該水平面を挟んで対向して設けられた取手とを備えた鍋蓋であって、前記水平面は、その中心に円形の噴気孔と、該噴気孔を閉塞する開閉自在な蒸気蓋とを備え、前記蒸気蓋は、前記噴気孔よりも小径の蒸気孔を備えた一方プレートと、該一方プレートよりも短く、前記水平面に固定される他方プレートと、両プレートを連結する軸とからなる丁番であって、前記一方プレートを回動させて前記噴気孔を閉塞した時に前記蒸気孔が前記噴気孔の直上に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蓋天頂部に水平面を設けたことにより、該水平面に蒸籠のような蒸し調理器具を載置することが出来る。加えて、蒸気の通り道として前記水平面に噴気孔を設けたことにより、該水平面に蒸籠を載置して鍋でお湯を沸かすと、お湯から発生した蒸気が噴気孔から噴出し、その蒸気を利用して蒸し調理を行うことが出来る。さらに、開閉自在な蒸気蓋が設けられていることで、蒸し調理を行わない場合は前記噴気孔を該蒸気蓋で閉塞し、通常の鍋蓋と同様に使用することが出来る。また、前記蒸気蓋には、前記噴気孔よりも小径で、噴気孔の直上に位置するように蒸気孔が設けられてあって、噴気孔を閉塞して鍋蓋を使用したとしても、鍋内部に充満した蒸気が蒸気孔から脱出することで圧力を軽減させ、鍋蓋の動揺を抑えることが出来る。また、蒸気蓋はそれぞれ長さが異なるプレートによって構成された丁番であり、前記蒸気孔を有した一方プレートの方が水平面に固定された他方プレートより長いことによって、鍋蓋を上下に軽く振ると一方プレートがその重みによって素早く回動して前記噴気孔を閉塞することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の鍋蓋の全体を示した斜視図である。
図2】本発明の鍋蓋における噴気孔を閉塞する機構を示した断面図であり、(a)は丁番である蒸気蓋を利用したものであって、(b)は鍋つまみを利用したものであって、(c)は計量スプーンを利用したものである。
図3】本発明の鍋蓋に蒸籠を載置し、蒸し調理を行った際の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下より、本発明における実施の形態について詳説する。
本発明の鍋蓋1の材質はステンレス製であって、形状は直径約63cmの略ドーム形である。図1に示すように、鍋蓋1の天頂部には、直径38cmの円形の水平面2が設けられてあって、該水平面2を挟んで2つの取手3、3が対向して取り付けてある。また、前記水平面2の中心には直径2.5cmの円形を呈した噴気孔4と、当該噴気孔4を閉塞するための蒸気蓋5が設けられている。
【0011】
前記蒸気蓋5は、図2(a)に示すように、一方プレート5aと、前記一方プレート5aよりも短い他方プレート5bとからなる丁番である。前記他方プレート5bは、水平面2にボルト7及びナット8によって固定されており、前記一方プレート5aは、軸5cを介して前記水平面2上において図2(a)中の矢印の向きに回動可能となっている。このうち一方プレート5aには、噴気孔4を閉塞した際に噴気孔4の直上に位置するように、前記噴気孔4よりも小径である直径約4mmの蒸気孔6が設けられている。
【0012】
前記噴気孔4を閉塞する手段は前述の蒸気蓋5だけでなく、その他の方法を用いても良い。例えば、図2(b)に示すように、市販の鍋用のつまみ11を利用する方法の場合、鍋蓋1の水平面2につまみ11を取付けるため、裏面からワッシャ9及びボルト7によって固定する。噴気孔4を開放したい場合は、裏面のボルト7及びワッシャ9を取り外し、つまみ11を水平面2から取り除いて使用する。
【0013】
また、図2(c)に示すように、計量スプーン12を利用する場合、計量スプーン12の柄を鍋蓋1の水平面2にボルト7によって固定するが、裏面にスプリング10を取付けて2個のナット8、8で固定する。この時、裏面に取付けたスプリング10の付勢力によって、計量スプーン12の湾曲部が噴気孔4に押し付けられ、気密性を高めている。噴気孔4を開放したい場合は、計量スプーン12の湾曲部先端を軽く持ち上げると、裏面のスプリング10によって計量スプーン12全体が水平面2からわずかに持ち上がるため、柄を固定しているボルト7を軸として計量スプーン12の湾曲部先端を水平面2上で回動させて噴気孔4から計量スプーン12の湾曲部をずらせば良い。なお、該計量スプーン12の湾曲部にも前記蒸気蓋5と同様に蒸気孔12aが設けられてあって、噴気孔4を閉塞した際にはその直上に位置する。
【0014】
次に、本発明の鍋蓋1を使用方法について詳説する。
まず、水を張った大型の鍋100をかまど200に掛けて、鍋蓋1を被せて加熱する。最初は、鍋100内の水を早く沸かすために蒸気蓋5を閉じておき、鍋100の水が沸騰し出したら蒸気蓋5を開けて噴気孔4を開放する。
【0015】
その後、鍋100内部の水が沸騰してお湯になり蒸気が絶えず発生し続けると、前記噴気孔4から蒸気が噴出してくる。その噴出している蒸気の直上に、蒸し調理を施したい食材を入れた蒸籠300を載置(図3参照)し、一定時間蒸す。この時、噴気孔4から噴出した蒸気による水分で蒸籠300が水平面2上で滑動しないよう、中心部に孔を開けて蒸気の通り道を確保したタオルやガーゼ等を蒸籠300の下に敷いても良い。
【0016】
以上のように構成された鍋蓋1であれば、天頂部に設けた水平面2に蒸籠300のような蒸し調理用の器具等を載置することが出来る。また、蒸気蓋5の開閉によって鍋100内部の蒸気の放出を自在に行うことが出来るため、前記蒸気蓋5を閉じれば通常の蓋として使用することが出来るし、前記蒸気蓋5を開けることで一定量の蒸気を放出することができ、噴気孔4の直上に蒸籠300を設置すれば蒸気を利用して蒸し処理を行うことも可能である。蒸し処理の具体例としては、もち米やイモ等の蒸し調理、凍結した食材の解凍、蒸しタオルの作成及び医療器具等の消毒が挙げられる。加えて、噴気孔4は水平面2の中心に位置するよう設けられているため、噴出した蒸気と鍋100の傍で待機している人との間に一定の距離が生じ、蒸気との接触による火傷を予め防ぐことが出来る。
【0017】
また、本発明の鍋蓋1に設けられた噴気孔4の直径を、鍋100の直径よりも大幅に小さくすることによって、鍋100内の蒸気が鍋蓋1の外に放出する際の通り道が小さくなるため、鍋100内部の蒸気は噴気孔4から勢い良く噴出される。この勢いよく噴出した蒸気は、噴気孔4の直上に設置された蒸籠300の隅々まで行き渡り、蒸籠300内の食材等を十分に加熱処理することが出来る。
【0018】
また、前記蒸気蓋5には、前記噴気孔4よりも小径の蒸気孔6が設けられてあって、蒸気蓋5を閉じて通常の蓋として使用する際は、該蒸気孔6が鍋100内部の蒸気の逃げ道となり、絶えず立ち昇る蒸気による鍋100の圧力を軽減し、鍋蓋1の動揺を抑えることが出来る。その上、前記噴気孔4よりも径が小さい孔であるため、鍋100内部の熱気を逃がすことも無い。
【0019】
また、前記蒸気蓋5は、本実施の形態において一方プレート5aが他方プレート5bよりも長い丁番であって、短い方のプレートである他方プレート5bを鍋蓋1に固定しておくことにより、取手3を把持して鍋蓋1を軽く上下に振れば蒸気蓋5の開閉を簡単に行うことが出来る。加えて、長い方のプレートである一方プレート5aが回動可能であるため、一方プレート5aの重みによって蒸気蓋5の開閉をより素早く行うことが出来る。さらに、本実施の形態において蒸気蓋5は丁番を利用しており、その取付けは片方のプレートのみで良いため、蒸気蓋5の設置に時間が掛からない上、噴気孔4の閉塞に必要な部品が紛失してしまうことを防ぐことが出来る。また、蒸気蓋5は上下方向に回動するだけであるため、前述のように計量スプーン12を利用したもののように鍋蓋1の表面を摺動することによって擦り傷が生じる虞も無い。
【0020】
本発明の鍋蓋1は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で適宜変更できる。例えば、蒸気蓋5の固定はボルト7ではなく接着剤を使用しても良い。また、噴気孔4の直径は約3cm程度まで広げても良い。
【符号の説明】
【0021】
1 鍋蓋
2 水平面
3 取手
4 噴気孔
5 蒸気蓋
5a 一方プレート
5b 他方プレート
5c 軸
6 蒸気孔
図1
図2
図3