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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162621
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
   B60T 7/12 20060101AFI20221018BHJP
【FI】
B60T7/12 B
B60T7/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067513
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000116644
【氏名又は名称】株式会社アイチコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100218095
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】向井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】有坂 芳夫
(72)【発明者】
【氏名】中林 正堯
【テーマコード(参考)】
3D246
【Fターム(参考)】
3D246AA14
3D246DA01
3D246DA02
3D246EA02
3D246GB15
3D246GB30
3D246GC09
3D246GC11
3D246GC16
3D246HA02A
3D246HA06A
3D246HA26A
3D246HA61A
3D246HA86A
3D246HB11A
3D246JB02
3D246JB11
3D246JB12
3D246JB43
3D246LA72Z
(57)【要約】
【課題】ブレーキペダルの踏み込み操作による制動状態を保持するための部材を別途追加することなくジャッキ装置の作動時における前後輪の制動を行い、逸走を防止することができる作業車を提供する。
【解決手段】
前後の走行用車輪を制動可能なブレーキ装置8と、運転者が制動操作可能なブレーキペダルと、ブレーキペダルの制動操作に応じてブレーキ装置8による制動を制御する車両側コントローラ60と、車体を支持可能なジャッキ装置を作動させるための操作を行うジャッキ操作レバー18aと、ジャッキ操作レバー18aの操作に応じてジャッキ装置の作動を制御する架装側コントローラ30とを備え、架装側コントローラ30は、停車状態において、ジャッキ装置の作動に関連して、ブレーキペダルの制動操作の如何に拘わらず、ブレーキ装置8による制動を行わせる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後に走行用車輪を有した車体に運転キャビンおよび作業装置を搭載して構成される作業車であって、
前記前後の走行用車輪を制動可能な制動装置と、
前記運転キャビンに搭乗した運転者が制動操作可能な制動操作装置と、
前記制動操作装置の制動操作に応じて前記制動装置による制動を制御する制動制御装置と、
前記車体を支持可能なジャッキ装置と、
前記ジャッキ装置を作動させるための操作を行うジャッキ操作装置と、
前記ジャッキ操作装置の操作に応じて前記ジャッキ装置の作動を制御するジャッキ作動制御装置と、
停車状態において、前記ジャッキ装置の作動に関連して、前記制動操作装置の制動操作の如何に拘わらず、前記制動装置による制動を行わせるジャッキ関連制動装置と、を備えることを特徴とする作業車。
【請求項2】
前記ジャッキ関連制動装置は、前記車体が前記ジャッキ装置によって支持されていない状態で前記ジャッキ操作装置が操作されると、前記制動装置による制動を行わせることを特徴とする請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記ジャッキ関連制動装置は、前記車体が前記ジャッキ装置によって支持されている状態で前記ジャッキ操作装置が操作されると、前記制動装置による制動を行わせることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業車。
【請求項4】
前記制動装置による制動の実行を指示するための制動指示スイッチを備え、
前記ジャッキ関連制動装置は、前記制動指示スイッチがオフ状態の場合は前記ジャッキ装置の作動を禁止し、前記制動指示スイッチがオン状態の場合は前記ジャッキ装置の作動を可能にするとともに前記制動装置による制動を行わせることを特徴とする請求項1に記載の作業車。
【請求項5】
前記ジャッキ関連制動装置は、前記制動装置による制動が行われている間に、前記車体が前記ジャッキ装置によって支持されたまま前記ジャッキ操作装置の操作が行われていない時間が所定時間に達すると、前記制動装置による制動を解除させることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の作業車。
【請求項6】
停車状態において前記走行用車輪の前輪又は後輪のいずれか一方を制動させるためのパーキングブレーキ装置を備え、
前記制動装置及び前記パーキングブレーキ装置による制動が行われている間に、前記ジャッキ装置により、前記パーキングブレーキ装置によって制動されている前記走行用車輪のみが接地している状態で前記車体が支持されたまま、前記ジャッキ操作装置の操作が行われていない時間が所定時間に達すると、前記制動装置による制動を解除させることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の作業車。
【請求項7】
前記車体の前方に存在する障害物との距離及び相対速度を測定する障害物検知装置を備
え、
前記ジャッキ関連制動装置は、前記制動装置による制動を行わせるために、前記制動制御装置に対して制動指令信号を送り、
前記制動制御装置は、前記障害物検知装置によって測定された前記障害物との相対速度が所定の相対速度以上のときに前記障害物検知装置によって測定された前記障害物との距離が所定距離以下になった場合、及び、前記制動指令信号を受けた場合に、前記制動装置による制動を行わせることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体を持ち上げて支持するジャッキ装置を備えた作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
車体上に設けられた作業装置を用いて作業する際に、車体の前後左右に設けられたジャッキ装置によって車体を持ち上げ支持する作業車として、例えば高所作業車がある。高所作業車の中には、トラック車両をベースとし、運転キャビン後方の架装部に、作業装置として先端部に作業台が設けられて起伏作動自在なブームを旋回自在に支持する旋回台が設けられたものがある。この種の高所作業車は、作業を行う場合、パーキングブレーキによって前輪又は後輪のいずれか(通常は後輪)が制動されるようになっている。一般に、作業装置を用いて作業を行う場合は、車体を停車させた後にパーキングブレーキを掛けて後輪(ベースとして用いたトラック車両の仕様によっては前輪)を制動した状態でジャッキ装置を伸張させて車体を持ち上げて支持する。
【0003】
従来、車体を持ち上げる際、及び持ち上げられた車体を設置させる際は、パーキングブレーキを掛けることが強く推奨されている。ここで、例えばパーキングブレーキによって後輪が制動される場合において、前輪が接地した状態で後輪側のジャッキ装置を伸張させると、後輪が地面から浮き上がったときに、制動されてない前輪によって車体の前方が支えられることになる。このとき、車体が傾斜地に停車していた場合、接地している前輪が転がり、車体が傾斜に沿って勝手に動き出す(すなわち逸走する)虞れがある。
【0004】
そこで、上述した状況における逸走を防止するために、例えば特許文献1に記載された高所作業車では、制動手段補助装置(いわゆる、「作業用補助制動装置」)を備えている。制動手段補助装置は、ブレーキペダルの踏み込みを止めても前後輪の制動状態を保持させる装置であり、ブレーキペダルを一旦踏み込んでブレーキ装置によって前後輪を制動させた状態で所定のスイッチを操作することで作動する。この制動手段補助装置を、ジャッキ装置を伸張させる前に作動させて前後輪の制動状態を保持した状態でジャッキ装置を伸張させることにより、パーキングブレーキによって制動されている車輪側のジャッキ装置を先に伸張させたとしても逸走を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-095599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した制動手段補助装置は、ブレーキペダルの踏み込み操作によって圧油を吐出するマスターシリンダと、このマスターシリンダから吐出された圧油に応じてフロントブレーキ及びリヤブレーキを作動させるブレーキマスタとの間に電磁バルブを設け、この電磁バルブによってブレーキマスタへ吐出された圧油がマスターシリンダへ戻るのを防ぐことで前後輪の制動状態を保持している。したがって、上述した制動手段補助装置を設ける場合、ブレーキペダルの踏み込み操作による制動状態を保持するための部材(電磁バルブ及び電磁バルブの開閉制御装置)を別途追加しなくてはならないため、それら部材のコストや、それらの部材を取り付けるための作業が余計にかかってしまうという問題が生じる。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ブレーキペダルの踏み込み操作による制動状態を保持するための部材を別途追加することなくジャッキ装置の作動時に
おける前後輪の制動を行うことで、逸走を防止することができる作業車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る作業車は、前後に走行用車輪(例えば、実施形態における前輪3a及び後輪3b)を有した車体に運転キャビン(例えば、実施形態における運転キャビン2a)および作業装置(例えば、実施形態における旋回台11、ブーム12及び作業台15)を搭載して構成される作業車であって、前記前後の走行用車輪を制動可能な制動装置(例えば、実施形態におけるブレーキ装置8)と、前記運転キャビンに搭乗した運転者が制動操作可能な制動操作装置(例えば、実施形態におけるブレーキペダル)と、前記制動操作装置の制動操作に応じて前記制動装置による制動を制御する制動制御装置(例えば、実施形態におけるブレーキペダルセンサ64及び車両側コントローラ60)と、前記車体を支持可能なジャッキ装置(例えば、実施形態における前輪側アウトリガジャッキ17a,後輪側アウトリガジャッキ17b)と、前記ジャッキ装置を作動させるための操作を行うジャッキ操作装置(例えば、実施形態におけるジャッキ操作レバー18a)と、前記ジャッキ操作装置の操作に応じて前記ジャッキ装置の作動を制御するジャッキ作動制御装置(例えば、実施形態における架装側コントローラ30)と、停車状態において、前記ジャッキ装置の作動に関連して、前記制動操作装置の制動操作の如何に拘わらず、前記制動装置による制動を行わせるジャッキ関連制動装置(例えば、実施形態における架装側コントローラ30)と、を備える。
【0009】
また、上記構成の作業車において、前記ジャッキ関連制動装置は、前記車体が前記ジャッキ装置によって支持されていない状態で前記ジャッキ操作装置が操作されると、前記制動装置による制動を行わせることが好ましい。
【0010】
また、上記構成の作業車において、前記ジャッキ関連制動装置は、前記車体が前記ジャッキ装置によって支持されている状態で前記ジャッキ操作装置が操作されると、前記制動装置による制動を行わせることが好ましい。
【0011】
また、上記構成の作業車において、前記制動装置による制動の実行を指示するための制動指示スイッチ(例えば、実施形態における制動指示スイッチ22)を備え、前記ジャッキ関連制動装置は、前記制動指示スイッチがオフ状態の場合は前記ジャッキ装置の作動を禁止し、前記制動指示スイッチがオン状態の場合は前記ジャッキ装置の作動を可能にするとともに前記制動装置による制動を行わせることが好ましい。
【0012】
また、上記構成の作業車において、前記ジャッキ関連制動装置は、前記制動装置による制動が行われている間に、前記車体が前記ジャッキ装置によって支持されたまま前記ジャッキ操作装置の操作が行われていない時間が所定時間に達すると、前記制動装置による制動を解除させることが好ましい。
【0013】
また、上記構成の作業車において、停車状態において前記走行用車輪の前輪又は後輪のいずれか一方を制動させるためのパーキングブレーキ装置を備え、前記制動装置及び前記パーキングブレーキ装置による制動が行われている間に、前記ジャッキ装置により、前記パーキングブレーキ装置によって制動されている前記走行用車輪(例えば、実施形態における後輪3b)のみが接地している状態で前記車体が支持されたまま、前記ジャッキ操作装置の操作が行われていない時間が所定時間に達すると、前記制動装置による制動を解除させることが好ましい。
【0014】
さらに、上記構成の作業車において、前記車体の前方に存在する障害物との距離及び相対速度を測定する障害物検知装置を備え、前記ジャッキ関連制動装置は、前記制動装置に
よる制動を行わせるために、前記制動制御装置に対して制動指令信号を送り、前記制動制御装置は、前記障害物検知装置によって測定された前記障害物との相対速度が所定の相対速度以上のときに前記障害物検知装置によって測定された前記障害物との距離が所定距離以下になった場合、及び、前記制動指令信号を受けた場合に、前記制動装置による制動を行わせることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る作業車によれば、制動制御装置は、運転キャビンに搭乗した運転者による制動操作装置の制動操作に応じて制動装置による前後の走行用車輪の制動を制御し、ジャッキ関連制動装置は、制動操作装置の制動操作の如何に拘わらず、ジャッキ装置の作動に関連して制動装置による制動を行わせる。これにより、ジャッキ装置の作動時に、制動操作装置の制動操作を行い、それによる前後の走行用車輪の制動状態を保持する必要がなくなるため、制動状態を保持するための部材を別途追加することなくジャッキ装置の作動時における前後輪の制動を行うことができる。
【0016】
また、上記構成の作業車において、好ましくは、ジャッキ関連制動装置は、車体がジャッキ装置によって支持されていない状態で制動装置による制動を行わせる。または、ジャッキ関連制動装置は、車体がジャッキ装置によって支持されている状態で制動装置による制動を行わせる。これにより、制動装置による制動の実施を指示するための構成を別途設けることなく、ジャッキ装置の作動時における前後輪の制動を行うことができる。
【0017】
また、上記構成の作業車において、好ましくは、制動装置による制動が行われている間に、車体がジャッキ装置によって支持されたままジャッキ操作装置の操作が行われていない時間が所定時間に達すると、制動装置による制動を解除させる。または、停車状態において走行用車輪の前輪又は後輪のいずれか一方を制動させるためのパーキングブレーキ装置を備え、制動装置及びパーキングブレーキ装置による制動が行われている間に、ジャッキ装置により、パーキングブレーキ装置によって制動されている走行用車輪のみが接地している状態で車体が支持されたまま、ジャッキ操作装置の操作が行われていない時間が所定時間に達すると、制動装置による制動を解除させる。これにより、ジャッキ装置によって車体が支持されている状態や、パーキングブレーキ装置による制動が行われている車輪のみが接地している状態など、通常であれば逸走が生じない状態でジャッキ操作装置の操作が所定時間行われなかった場合は、制動装置による制動が解除されるので、必要以上の制動制御が行われるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る作業車の第1実施形態である高所作業車の外観を示す側面図である。
図2】上記高所作業車の作動制御に関する構成を示すブロック図である。
図3】上記高所作業車において、ジャッキ操作に伴う制動制御処理の内容を示すフローチャートである。
図4】上記高所作業車において、ジャッキ張出時における制動制御処理の内容を示すフローチャートである。
図5】上記高所作業車において、ジャッキ格納時における制動制御処理の内容を示すフローチャートである。
図6】本発明に係る作業車の第2実施形態である高所作業車における作動制御に関する構成を示すブロック図である。
図7】上記高所作業車において、ジャッキ操作に伴う制動制御処理の内容を示すフローチャートである。
図8】上記高所作業車において、ジャッキ張出時における制動制御処理の内容を示すフローチャートである。
図9】上記高所作業車において、ジャッキ格納時における制動制御処理の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。まず、図1に示す本発明に係る作業車の第1実施形態である高所作業車1の全体構成について、図1に示す側面図を参照しつつ概要説明する。高所作業車1は、トラック式車両の車体2を有し、車体2の前後にタイヤ車輪3(前輪3aおよび後輪3b)を備え、車体2の前部に設けられた運転キャビン2aから走行運転の操作が可能になっている。運転キャビン2aの後ろに位置する架装部には、旋回台11と、この旋回台11の上部に基端部が支持された伸縮ブーム(以下、単に「ブーム」と称する)12と、このブーム12の先端部に取り付けられた作業者が搭乗可能な作業台15とを含んで構成される作業装置10が設けられている。
【0020】
旋回台11は、車体2の後部において上下方向の軸を中心に回転自在に取り付けられている。車体2の内部には旋回モータ51が設けられており、この旋回モータ51を回転駆動させると、図示しないギヤを介して旋回台11を水平旋回作動させることができる。ブーム12は、旋回台11側から順に、基端ブーム12a、中間ブーム12b及び先端ブーム12cが入れ子式に組み立てられた構成になっている。ブーム12の内部には伸縮シリンダ53が設けられており、伸縮シリンダ53の伸縮駆動によって基端ブーム12aに対して中間ブーム12b及び先端ブーム12cが相対的に移動し、これによりブーム12全体を軸方向に伸縮作動させることができる。また、基端ブーム12aと旋回台11との間には起伏シリンダ52が跨設されており、この起伏シリンダ52の伸縮駆動によって起伏軸HSを軸としてブーム12全体を上下面内で起伏作動させることができる。
【0021】
先端ブーム12cの先端部には、ブームヘッドを介して垂直ポスト13が上下方向に揺動自在に枢支されている。垂直ポスト13は、先端ブーム12cとの間に配設された上部レベリングシリンダ56bにより揺動制御される。上部レベリングシリンダ56bは、旋回台11と基端ブーム12aとの間に張り渡された下部レベリングシリンダ56aと連通する油路で結ばれており、いわゆる油圧閉回路式のレベリング装置を構成している。このレベリング装置により、ブーム12の起伏の如何に拘らず垂直ポスト13が常時垂直姿勢に保持される構成となっている。また、運転キャビン2aの背後には、ブーム12を格納姿勢で支持するためのブーム受け20が設けられている。ここで、ブーム12の格納姿勢は、基端ブーム12aの中間部下面をブーム受け20に載置した姿勢であり、このときブーム12の先端部は車体2の前方へ向き、ほぼ水平となるまで倒伏した状態となる。ブーム受け20には、ブーム12の格納姿勢を検出するための格納検出スイッチ21(図2参照)が設けられている。
【0022】
作業台15は、上端が開口した略箱形状になっており、搭乗した作業者が作業装置10を操作することができる上部操作装置16が設けられている。作業台15は、上部操作装置16の側面から突出して設けられたアーム14を介して垂直ポスト13の上端部に回動自在に取り付けられる。アーム14の内部には首振りモータ54が設けられており、この首振りモータ54の回転駆動によって作業台15全体を垂直ポスト13まわりに首振り作動(水平旋回作動)させることができる。ここで、垂直ポスト13は、前述したようにレベリング装置によって常時垂直姿勢が保たれるため、結果として作業台15の床面はブーム12の起伏角度によらず常時水平に保持される。上部操作装置16には、旋回台11の旋回操作、ブーム12の起伏・伸縮操作、作業台15の首振り操作等を行うための操作レバーが設けられており、作業台15に搭乗した作業者が操作レバーを操作して、旋回台11やブーム12等の作動操作(これらを総称して「ブーム操作」ともいう)を行い得るように構成されている。
【0023】
車体2の前後左右には、上下に伸縮可能なアウトリガジャッキ17が設けられている。このアウトリガジャッキ17は、アウトリガビーム(図示略)によって車体2の側面から突出する方向(水平方向)に移動可能に支持されている。ここで、アウトリガジャッキ17とアウトリガビームとをまとめてアウトリガ機構と称する。また、車体2の架装部の前部(前輪3aの後側に接近した位置)に設けられた左右のアウトリガジャッキ17を前輪側アウトリガジャッキ17aと称し、車体2の架装部の後端部に設けられた左右のアウトリガジャッキ17を後輪側アウトリガジャッキ17bと称する。これらのアウトリガジャッキ17は、内部に取り付けられたジャッキシリンダ55により上下方向に伸縮動する。また、アウトリガジャッキ17は、上述したアウトリガビームの内部に設けられた伸縮シリンダ(図示略)により、水平方向に移動する。
【0024】
車体2の後端部には、上部操作装置16と同様にブーム操作を行うための各種操作レバーと、アウトリガジャッキ17を作動させるためのジャッキ操作レバー18aとを備えた下部操作装置18(図2参照)が取り付けられている。ジャッキ操作レバー18aは、車体2の前後左右に設けられた4つのアウトリガジャッキ17に個々に対応する4つの作動切替レバーと、アウトリガジャッキ17の作動操作を行う1つのメイン操作レバーと、を備えている。4つの作動切替レバー及び1つのメイン操作レバーは、いずれも中立位置から上下方向に傾動操作可能になっている。各作動切替レバーは、対応するアウトリガジャッキ17の作動内容を設定するレバーである。作動切替レバーが上方に傾動している場合は、対応するアウトリガジャッキ17をメイン操作レバーの操作に応じて車幅方向にスライド移動させることができる。作動切替レバーが下方に傾動している場合は、対応するアウトリガジャッキ17をメイン操作レバーの操作に応じて上下方向に伸縮移動させることができる。作動切替レバーが中立位置になっている場合は、メイン操作レバーが操作されたとしても、対応するアウトリガジャッキ17は作動しない。
【0025】
メイン操作レバーは、作動切替レバーによって作動内容が設定されているアウトリガジャッキ17を作動操作させるレバーである。例えば、あるアウトリガジャッキ17に対応する作動切替レバーが上方へ傾動されている(すなわち、スライド移動が設定されている)状態で、メイン操作レバーが中立位置から上方へ傾動されると、そのアウトリガジャッキ17は車体2から離れる方向へスライド移動する。これに対して、メイン操作レバーが中立位置から下方へ傾動されると、そのアウトリガジャッキ17は車体2へ近づく方向へスライド移動する。また、あるアウトリガジャッキ17に対応する作動切替レバーが下方へ傾動されている(すなわち、伸縮移動が設定されている)状態でメイン操作レバーが上方へ傾動されると、そのアウトリガジャッキ17の先端部は地面に向かって伸張する方向へ移動する。これに対して、メイン操作レバーが下方へ傾動されると、そのアウトリガジャッキ17の先端部は格納される方向へ移動する。
【0026】
なお、作動内容が設定されている作動切替レバーが複数ある状態でメイン操作レバーが操作されると、作動内容が設定されていた複数の作動切替レバーに対応する各アウトリガジャッキ17が同時に作動する。例えば左右の前輪側アウトリガジャッキ17aに対応する2つの作動切替レバーが共に下方へ傾動されている(すなわち、伸縮移動が設定されている)状態でメイン操作レバーが傾動操作されると、その傾動操作に応じて左右の前輪側アウトリガジャッキ17aが同時に伸縮移動する。
【0027】
作業者は、作業装置10によって高所作業を行う前に、ジャッキ操作レバー18aを操作して、各アウトリガジャッキ17を周囲の障害物との相対位置関係に応じて車幅方向に拡幅伸長させ、かつ、下方に張り出させて車体2を持ち上げ支持することにより安定姿勢を確保する。ここで、特に傾斜地に車体2を停車させている場合は、車体2の逸走を防止するために、アウトリガジャッキ17を作動させて車体2を持ち上げ支持する場合や、持ち上げ支持された車体2を接地させる場合は、パーキングブレーキ(図示せず)を掛ける
ことが強く推奨されている。
【0028】
次に図2に示すブロック図を参照して、本実施形態の高所作業車1における作動制御に関する構成について説明する。本実施形態においては、架装側コントローラ30によって作業装置10及びアウトリガジャッキ17の作動制御を行い、車両側コントローラ60によって主に車体2に搭載されたエンジン4の点火制御や燃料の供給制御を行っている。架装側コントローラ30は、上部操作装置16及び下部操作装置18に設けられた各種操作レバーの操作に基づいて、前述した旋回モータ51、起伏シリンダ52、伸縮シリンダ53、首振りモータ54及びジャッキシリンダ55などの各油圧アクチュエータの作動を制御する。油圧ユニット40内には各油圧アクチュエータに対応して電磁比例制御弁が配設されており、架装側コントローラ30は、上部操作装置16及び下部操作装置18に設けられた各種操作レバーから出力される操作信号に応じて、各油圧アクチュエータに対応する電磁比例制御弁のバルブ開度を制御することで、各油圧アクチュエータの作動を制御している。
【0029】
油圧ユニット40には、油圧ポンプ41よって作動油タンク42内の作動油が供給されており、油圧ポンプ41は、車体2の走行用のエンジン4の駆動力によって作動する。すなわち、エンジン4のトランスミッション5にはパワーテイクオフ機構6が組み込まれており、運転キャビン2a内にあるPTO操作レバー7がオフからオンに操作されるとパワーテイクオフ機構6の機構部が作動し、エンジン4の駆動力が油圧ポンプ41に伝達されるようになる。また、PTO操作レバー7がオンからオフに操作されると、エンジン4の駆動力は油圧ポンプ41から車体2の後輪3bに伝達されるようになる。なお、パワーテイクオフ機構6には、パワーテイクオフ機構6の機構部が作動しているか否かを検出する検出器が設けられており、この検出器の検出信号がコントローラ30へ出力される。
【0030】
架装側コントローラ30には、図1に示した基端ブーム12aがブーム受け20に載置されているか否かを検知するブーム格納検知スイッチ21から出力されるオン/オフ信号が入力されている。ブーム格納検知スイッチ21は、基端ブーム12aがブーム受け20に載置されると架装側コントローラ30にオン信号を出力する。また、基端ブーム12aがブーム受け20に載置されていないときは架装側コントローラ30にオフ信号を出力する。架装側コントローラ30には、ジャッキ検知装置22から出力される信号も入力されている。ジャッキ検知装置22は、車体2の前後左右に設けられた4つのアウトリガジャッキ17に個々に対応して設けられており、対応するアウトリガジャッキ17の先端が接地しているか否かを示す信号と、アウトリガジャッキ17が格納されているか否かを示す信号とを出力する。
【0031】
また、架装側コントローラ30には、パーキングブレーキセンサ61から出力されるオン/オフ信号が入力される。パーキングブレーキセンサ61は、運転キャビン2aに設けられているパーキングレバーのオン/オフを検出し、パーキングレバーがオン操作(パーキングブレーキを作動させる操作)されたときはオン信号を出力し、パーキングレバーがオフ操作(パーキングブレーキの作動を終了させる操作)されたときはオフ信号を出力する。ここで、本実施形態ではパーキングブレーキが作動した場合、後輪3bのみに制動力が付加される。
【0032】
なお、架装側コントローラ30は、作業装置10を作動させる際の安全機能として、ジャッキ検知装置22から出力された信号に基づいて、すべてのアウトリガジャッキ17が接地して、車体2が持ち上げられた状態で支持されていると判断された場合に限って作業装置10(旋回台11、ブーム12及び作業台15等)の作動制御が可能となるように構成されている。また、架装側コントローラ30は、アウトリガジャッキ17を作動させる際の安全機能として、ブーム格納検知スイッチ21がオン(基端ブーム12aがブーム受
け20に載置されている状態)でないときは、ジャッキ操作レバー18aの操作に応じたアウトリガジャッキ17の作動制御を実施しないようになっている。
【0033】
車両側コントローラ60には、車速センサ62、スロットルポジションセンサ63、ブレーキペダルセンサ64及び障害物検知装置65からの各種信号が入力される。車速センサ62は車体2の走行速度を検出し、その検出結果信号を車両側コントローラ60へ出力する。ここで、車速センサ62の検出結果信号は架装側コントローラ30にも出力されている。スロットルポジションセンサ63はエンジン4のスロットル開度を検出し、その検出結果信号を車両側コントローラ60へ出力する。ブレーキペダルセンサ64は、運転キャビン2a内に設けられたブレーキペダルの踏み込み量を各々検出し、その検出結果信号を車両側コントローラ60へ出力する。
【0034】
障害物検知装置65は、例えばミリ波レーダであり、車体2の前方にミリ波を照射して、前方に存在する障害物(例えば前方の走行車両や人など)からの反射波を受信し、照射したミリ波の周波数と受信した反射波の周波数とに基づいて、車体2と障害物の相対速度を測定する。また、障害物検知装置65は、ミリ波を照射してから反射波を受信するまでの時間に基づいて車体2と障害物との間の距離を測定する。そして、これらの測定値を示す各測定結果信号(相対速度信号及び距離信号)を車両側コントローラ60へ出力する。
【0035】
なお、車両側コントローラ60は、スロットルポジションセンサ63によって検出されたエンジン4のスロットル開度に応じて、エンジン4の燃焼室に供給する燃料の噴射量を制御する。また、車両側コントローラ60は、ブレーキペダルセンサ64によって検知されたブレーキペダルの操作量(踏み込み量)と、車速センサ62によって検知された車体2の走行速度とに基づいて、ブレーキペダルが踏み込まれたときに想定以上の減速が生じた場合はブレーキ装置(例えばドラムブレーキ)8によって前輪3a及び後輪3bに付与される制動力が減少するように、ブレーキ装置8の制動制御を行う(いわゆるアンチロックブレーキ)。
【0036】
また、車両側コントローラ60は、障害物検知装置65から出力された相対速度信号及び距離信号に基づいてブレーキ装置8を制動作動させる。より詳細には、障害物との相対速度が所定の相対速度以上になっているときに、障害物と車体2との間の距離が所定距離以下になると、ブレーキ装置8を制動作動させる。この所定距離は、例えば、障害物と車体2との相対速度が上述した所定の相対速度になっている場合において、車体2が障害物に衝突するのを最大限抑制するためにブレーキ装置8の制動作動を開始すべき距離として予め定められたものである。このように、車両側コントローラ60は、車体2の前方に存在する障害物との衝突を抑制するための自動制動制御装置の機能を備えている。
【0037】
車両側コントローラ60は、上述した各種センサの検知信号に基づいてブレーキ装置8の制動制御を行うだけでなく、架装側コントローラ30から出力される制動指令信号及び制動指令解除信号に従ってブレーキ装置8の制動制御を行う。すなわち、架装側コントローラ30から制動指令信号が出力されると車両側コントローラ60はブレーキ装置8を制動作動させる。また、ブレーキ装置8が制動作動しているときに架装側コントローラ30から制動解除指令信号が出力されると、車両側コントローラ60はブレーキ装置8の制動作動を終了させる。
【0038】
次に、図3図5に示すジャッキ操作時制動制御処理のフローチャートを参照し、本実施形態の高所作業車1で実行されるアウトリガジャッキ17の作動時における車体2の制動制御について説明する。本実施形態では、アウトリガジャッキ17の作動に関連して、架装側コントローラ30が前輪3a及び後輪3bの制動を行うか否かを判断し、その判断結果に従って車両側コントローラ60がブレーキ装置8を制動作動させることで、前輪3
a及び後輪3bに制動力を付与する。
【0039】
図3図5のフローチャートに示すジャッキ操作時制動制御処理は、アウトリガジャッキ17を張り出す際、又は格納する際に架装側コントローラ30において実行され、前輪3a及び後輪3bの回転を制動すると判断された場合は車両側コントローラ60へ制動指令信号を送信する。車両側コントローラ60は制動指令信号を受信すると、ブレーキ装置8を制動作動させて前輪3a及び後輪3bに制動力を付与する。また、ジャッキ操作時制動制御処理において架装側コントローラ30が前輪3a及び後輪3bに対する制動力の付与を終了すると判断された場合は、車両側コントローラ60へ制動解除指令信号を送信する。車両側コントローラ60は、制動解除指令信号を受信すると、ブレーキ装置8の制動作動を終了させて前輪3a及び後輪3bに対する制動力の付与を終了させる。
【0040】
架装側コントローラ30は、図3に示すジャッキ操作時制動制御処理を開始すると、まず、車体2が停車状態であるか否かを判断する(ステップSa1)。図2に示した車速センサ62によって車体2の車速が0(ゼロ)であることが検知された場合は判断結果がYESとなり、車体2の車速が0(ゼロ)を超えていることが検知された場合は判断結果がNOとなる。なお、車体2が停車状態であるか否かの判断を、パーキングブレーキの作動に基づいて行ってもよい。この場合、パーキングブレーキが作動している場合に車体2が停車状態であると判断し、パーキングブレーキが作動していない場合は車体2が停車状態ではないと判断してもよい。このように、パーキングブレーキの作動に基づいて車体2が停車状態であるか否かを判断する場合は、車速センサ62を備えなくともよい。
【0041】
ステップSa1の判断結果がNOとなった場合は、架装側コントローラ30はジャッキ操作時制動制御処理を終了する。これに対して判断結果がYESとなった場合、架装側コントローラ30は、車体2が接地状態(前輪3a及び後輪3bが接地した状態。以下、「車体接地状態」ともいう。)になっているか否かを判断する(ステップSa2)。本実施形態ではすべてのアウトリガジャッキ17が格納状態になっている場合に判断結果がYESとなり、いずれかのアウトリガジャッキ17が格納状態になっていなかった場合は判断結果がNOとなる。
【0042】
ステップSa2の判断結果がYESになると、次に架装側コントローラ30はパーキングブレーキが作動しているか否かを判断する(ステップSa3)。図2に示したパーキングブレーキセンサ61からオン信号が出力されている場合は判断結果がYESとなり、架装側コントローラ30は後述する張出操作時制動制御処理を実行する(ステップSa4)。この張出操作時制動制御処理が終了するとジャッキ操作時制動制御処理を終了する。これに対してパーキングブレーキセンサ61からオフ信号が出力されている場合は判断結果がNOとなり、架装側コントローラ30はそのままジャッキ操作時制動制御処理を終了する。
【0043】
一方、前述したステップSa2の判断結果がNOになった(車体2が接地状態になっていない)場合、架装側コントローラ30は、車体2が浮上して支持されている状態(車体浮上支持状態)になっているか否かを判断する(ステップSa5)。本実施形態では、すべてのアウトリガジャッキ17の先端が接地している場合に判断結果がYESとなり、いずれかのアウトリガジャッキ17の先端が接地していなかった場合に判断結果がNOとなる。判断結果がYESになった場合は、架装側コントローラ30は後述する格納操作時制動制御処理を実行する(ステップSa6)。この格納操作時制動制御処理が終了すると、ジャッキ操作時制動制御処理が終了する。これに対して判断結果がNOになった場合は、架装側コントローラ30はそのままジャッキ操作時制動制御処理を終了する。
【0044】
なお、ステップSa5の判断処理(車体浮上支持状態になっているか否か判断する処理
)において、高所作業車1が、すべてのタイヤ車輪3(前輪3a及び後輪3b)が地面から浮いているか否かを検出することができる検出装置を備えている場合は、すべてのタイヤ車輪3が地面から浮いている場合にステップSa5の判断結果がYESとなり、いずれかのタイヤ車輪3が地面から浮いていない場合はステップSa5の判断結果がNOとなるようにしてもよい。
【0045】
次に図3のステップSa4で実行される張出操作時制動制御処理の内容について、図4のフローチャートを参照しつつ説明する。架装側コントローラ30が、図4に示す張出操作時制動制御処理を開始すると、まず、ジャッキ操作レバー18aからの操作信号が入力されたか否かを判断する(ステップSa10)。何等かの操作信号が入力された場合は、判断結果がYESとなり、架装側コントローラ30は車両側コントローラ60に対して制動指令信号を送信する(ステップSa11)。この制動指令信号は所定のパルス幅をもったパルス信号であり、車両側コントローラ60は、架装側コントローラ30からの制動指令信号を受信するとブレーキ装置8を制動作動させ、その結果、前輪3a及び後輪3bの回転に制動力が付与される。なお、架装側コントローラ30は、ジャッキ操作レバー18aからの操作信号が入力された場合、まずは前輪3a及び後輪3bの制動制御が行われた後に、他の制御処理によって、入力された操作信号に基づくアウトリガジャッキ17の作動制御を行う。
【0046】
架装側コントローラ30はステップSa11の処理を終えると、次に車体2が前述した車体浮上支持状態になっているか否かを判断する(ステップSa12)。この判断処理は、図3のステップSa5の判断処理と同様に、すべてのアウトリガジャッキ17の先端が接地している場合は判断結果がYESとなり、そうでなかった場合は判断結果がNOとなる。なお、ステップSa12の判断処理において、例えば、いずれかのタイヤ車輪3が接地している状態であるが、逸走が生じない程度にタイヤ車輪3の接地力が十分小さくなっている場合は、ステップSa12の判断結果をYESとしてもよい。
【0047】
ステップSa12の判断結果がNOとなった場合、架装側コントローラ30は、後輪3bが接地している状態(後輪接地状態)であるか否かを判断する(ステップSa13)。本実施形態では、後輪側アウトリガジャッキ17bが格納状態である場合に判断結果がYESとなり、そうでなかった場合は判断結果がNOとなる。ステップSa13の判断結果がNOとなった場合、架装側コントローラ30は、ステップSa12の処理に戻る。これに対して、ステップSa13の判断結果がYESとなった場合、架装側コントローラ30は、ジャッキ操作レバー18aからの操作信号が入力されたか否かを判断する(ステップSa14)。なお、前述したステップSa12の判断結果がYESとなった場合は、ステップSa13の判断処理を行うことなく、直ちにステップSa14へ移行する。
【0048】
ステップSa14において、何等かの操作信号が入力された場合は、判断結果がYESとなり、架装側コントローラ30はステップSa12の処理に戻る。これに対して、ステップSa14の判断結果がNOとなった場合、架装側コントローラ30は、最後のジャッキ操作が行われてからジャッキ操作が行われることなく所定時間が経過した(ジャッキ操作レバー18aの操作が行われていない時間が所定時間に達した)か否かを判断する(ステップSa15)。なお、前述したステップSa10の判断結果がNOとなった場合は、ステップSa11~Sa14の処理を行うことなくステップSa15へ移行する。
【0049】
ステップSa15において、ジャッキ操作レバー18aの操作が行われていない時間が所定時間未満であった場合は、判断結果がNOとなってステップSa12の判断処理に戻る。これに対して、ジャッキ操作レバー18aの操作が行われていない時間が所定時間以上であった場合は、判断結果がYESとなり、架装側コントローラ30は車両側コントローラ60に対して制動解除指令信号を送信する(ステップSa16)。この制動解除指令
信号は所定のパルス幅をもったパルス信号であり、車両側コントローラ60は、架装側コントローラ30からの制動解除指令信号を受信するとブレーキ装置8の制動作動を終了させる。これにより、前輪3a及び後輪3bの回転に対する制動力の付与が終了する。
【0050】
架装側コントローラ30はステップSa16の処理を終えると、次に車体2が前述した車体浮上支持状態になっているか否かを判断する(ステップSa17)。この判断処理は、図3のステップSa5の判断処理と同様である。すなわち、いずれかのアウトリガジャッキ17の先端が接地していなかった場合は判断結果がNOとなり、架装側コントローラ30はステップSa10の判断処理に戻る。これに対して、すべてのアウトリガジャッキ17の先端が接地している場合に判断結果がYESとなり、張出操作時制動制御処理を終了する。
【0051】
上述した図4の張出操作時制動制御処理では、ジャッキ操作レバー18aが操作されると、ブレーキ装置8の制動制御が行われる(ステップSa10(YES)→Sa11)。その後、車体浮上支持状態となり、かつジャッキ操作レバー18aが操作されない時間が所定時間になった場合(ステップSa12(YES)→Sa14(NO)→Sa15(YES))、又は、後輪接地状態となり、かつジャッキ操作レバー18aが操作されない時間が所定時間になった場合(ステップSa12(NO)→Sa13(YES)→Sa14(NO)→Sa15(YES))に、ブレーキ装置8の制動制御が終了する(ステップSa16)。そして、この制御は車体浮上支持状態になるまで繰り返し実行される(ステップSa17(NO)→Sa10)。
【0052】
なお、ステップSa10の判断結果がNOとなり、かつ、ステップSa15の判断結果がYESとなった場合は、ブレーキ装置8が制動作動していない状態であるため、ステップSa16の処理を行わずにステップSa17の判断処理へ移行してもよい。
【0053】
次に図3のステップSa6で実行される格納操作時制動制御処理の内容について、図5のフローチャートを参照しつつ説明する。架装側コントローラ30が、図5に示す格納操作時制動制御処理を開始すると、まず、ジャッキ操作レバー18aからの操作信号が入力されたか否かを判断する(ステップSa20)。何等かの操作信号が入力された場合は、判断結果がYESとなり、架装側コントローラ30は車両側コントローラ60に対して制動指令信号を送信する(ステップSa21)。この制動指令信号を車両側コントローラ60が受信すると、ブレーキ装置8を制動作動させ、その結果、前輪3a及び後輪3bの回転に制動力が付与される。なお、架装側コントローラ30は、ジャッキ操作レバー18aからの操作信号が入力された場合、まずは前輪3a及び後輪3bの制動制御が行われた後に、他の制御処理によって、入力された操作信号に基づくアウトリガジャッキ17の作動制御を行う。
【0054】
架装側コントローラ30はステップSa21の処理を終えると、次に車体2が前述した車体接地状態になっているか否かを判断する(ステップSa22)。この判断処理は、図3のステップSa2の判断処理と同様に、すべてのアウトリガジャッキ17が格納状態であった場合は判断結果がYESとなり、そうでなかった場合は判断結果がNOとなる。なお、ステップSa22の判断処理において、例えば、すべてのアウトリガジャッキ17が格納状態になっていない場合であっても、すべてのタイヤ車輪3による接地力が、逸走を生じさせない程度に十分に大きくなっている場合は判断結果をYESとしてもよい。ステップSa22の判断結果がNOとなった場合、架装側コントローラ30は、後輪3bが接地している状態(後輪接地状態)であるか否かを判断する(ステップSa23)。ここで、本実施形態では後輪側アウトリガジャッキ17bが格納状態である場合に判断結果がYESとなり、そうでなかった場合は判断結果がNOとなる。
【0055】
ステップSa23の判断結果がNOとなった場合、架装側コントローラ30は、ステップSa22の処理に戻る。これに対して、ステップSa23の判断結果がYESとなった場合、架装側コントローラ30は、ジャッキ操作レバー18aからの操作信号が入力されたか否かを判断する(ステップSa24)。ここで、前述したステップSa22の判断結果がYESとなった場合は、ステップSa23の判断処理を行うことなく、直ちにステップSa24へ移行する。ステップSa24において、何等かの操作信号が入力された場合は、判断結果がYESとなり、架装側コントローラ30はステップSa22の処理に戻る。これに対して、ステップSa24の判断結果がNOとなった場合、架装側コントローラ30は、最後のジャッキ操作が行われてからジャッキ操作が行われることなく所定時間が経過した(ジャッキ操作レバー18aの操作が行われていない時間が所定時間に達した)か否かを判断する(ステップSa25)。なお、前述したステップSa20の判断結果がNOとなった場合は、ステップSa21~Sa24の処理を行うことなくステップSa25へ移行する。
【0056】
ステップSa25において、ジャッキ操作レバー18aの操作が行われていない時間が所定時間未満であった場合は、判断結果がNOとなってステップSa22の判断処理に戻る。これに対して、ジャッキ操作レバー18aの操作が行われていない時間が所定時間以上であった場合は、判断結果がYESとなり、架装側コントローラ30は車両側コントローラ60に対して制動解除指令信号を送信する(ステップSa26)。この制動解除指令信号は図4の張出操作時制動制御処理のステップSa16で送信される制動解除指令信号と同様のものである。車両側コントローラ60は、架装側コントローラ30からの制動解除指令信号を受信するとブレーキ装置8の制動作動を終了させる。これにより、前輪3a及び後輪3bの回転に対する制動力の付与が終了する。
【0057】
架装側コントローラ30はステップSa26の処理を終えると、次に車体2が前述した車体接地状態になっているか否かを判断する(ステップSa27)。この判断処理は、図3のステップSa2の判断処理と同様に、すべてのアウトリガジャッキ17が格納状態になっている場合に判断結果がYESとなり、いずれかのアウトリガジャッキ17が格納状態になっていなかった場合は判断結果がNOとなる。ステップSa27の判断結果がNOとなった場合、架装側コントローラ30はステップSa20の判断処理に戻り、判断結果がYESとなった場合は、図5の格納操作時制動制御処理を終了する。
【0058】
上述した図5の格納操作時制動制御処理では、ジャッキ操作レバー18aが操作されると、ブレーキ装置8の制動制御が行われる(ステップSa20(YES)→Sa21)。その後、車体接地状態となり、かつジャッキ操作レバー18aが操作されない時間が所定時間になった場合(ステップSa22(YES)→Sa24(NO)→Sa25(YES))、又は、後輪接地状態となり、かつジャッキ操作レバー18aが操作されない時間が所定時間になった場合(ステップSa22(NO)→Sa23(YES)→Sa24(NO)→Sa25(YES))に、ブレーキ装置8の制動制御が終了する(ステップSa26)。そして、この制御は車体接地状態になるまで繰り返し実行される(ステップSa27(NO)→Sa20)。
【0059】
なお、ステップSa20の判断結果がNOとなり、かつ、ステップSa25の判断結果がYESとなった場合は、ブレーキ装置8が制動作動していない状態であるため、ステップSa26の処理を行わずにステップSa27の判断処理へ移行してもよい。
【0060】
このように、本実施形態ではアウトリガジャッキ17の操作に関連して(すなわち、ジャッキ装置の作動に関連して)、ブレーキペダルの操作の如何に関わらずブレーキ装置8の制動作動が制御される。
【0061】
次に本発明に係る作業車の第2実施形態である高所作業車について図6図9を参照しつつ説明する。本実施形態の高所作業車の外観構成は、図1に示す第1実施形態と同様であるため、以下の説明において本実施形態の外観構成における各部を特定場合は、図1に示されている符号を用いる。また、本実施形態の高所作業車における作動制御に関する構成を図6のブロック図に示すが、この図に示す構成のうち、図2のブロック図に示した構成と同様のものについては同一の符号を付し、その説明を省略する。図6のブロック図において、図2に示すブロック図と異なる点は、本実施形態の架装側コントローラ30’に対してさらに制動指示スイッチ23からのオン信号が入力され、また、架装側コントローラ30’によって制御される報知装置24を備える点である。
【0062】
制動指示スイッチ23はブレーキ装置8の制動作動を指示するためのものである。制動指示スイッチ23は、例えば押しボタン式スイッチであり、ボタンが押されている間だけ架装側コントローラ30’へオン信号を出力するモーメンタリのスイッチである。報知装置24は、制動指示スイッチ23が押されたことによってブレーキ装置8が制動作動していることを作業者に報知するためのものであり、具体的には、警報器やランプなどを用いることができる。これら制動指示スイッチ23及び報知装置24は、下部操作装置18に設けてもよいし、運転キャビン2a内に設けてもよい。
【0063】
次に、図7図9に示すジャッキ操作時制動制御処理のフローチャートを参照し、本実施形態の高所作業車1で実行されるアウトリガジャッキ17の作動時における車体2の制動制御について説明する。本実施形態においても、アウトリガジャッキ17の作動に関連して、架装側コントローラ30’がすべてのタイヤ車輪3(前輪3a及び後輪3b)の制動を行うか否かを判断し、その判断結果に従って車両側コントローラ60がブレーキ装置8を制動作動させることで、前輪3a及び後輪3bに制動力を付与する。
【0064】
図7図9のフローチャートに示すジャッキ操作時制動制御処理は、アウトリガジャッキ17を張り出す際、又は格納する際に架装側コントローラ30’において実行され、前輪3a及び後輪3bの回転を制動すると判断された場合は車両側コントローラ60へ制動指令信号を送信する。車両側コントローラ60は、制動指令信号を受信すると、ブレーキ装置8を制動作動させて前輪3a及び後輪3bに対する制動力の付与を終了させる。また、ジャッキ操作時制動制御処理において架装側コントローラ30’が前輪3a及び後輪3bの制動を解除すると判断された場合は、車両側コントローラ60へ制動解除指令信号を送信する。車両側コントローラ60は、制動解除指令信号を受信すると、ブレーキ装置8の制動作動を終了させて前輪3a及び後輪3bに対する制動力の付与を終了させる。
【0065】
架装側コントローラ30’が図7に示すジャッキ操作時制動制御処理を開始すると、まず、車体2が停車状態であるか否かを判断する(ステップSb1)。図2に示した車速センサ62によって車体2の車速が0(ゼロ)であることが検知された場合は判断結果がYESとなり、車体2の車速が0(ゼロ)を超えていることが検知された場合は判断結果がNOとなる。なお、車体2が停車状態であるか否かの判断を、パーキングブレーキの作動に基づいて行ってもよい。この場合、パーキングブレーキが作動している場合は車体2が停車状態であると判断し、パーキングブレーキが作動していない場合は車体2が停車状態ではないと判断してもよい。このように、パーキングブレーキの作動に基づいて車体2が停車状態であるか否かを判断する場合は、車速センサ62を備えなくともよい。
【0066】
ステップSb1の判断結果がNOとなった場合は、架装側コントローラ30’はジャッキ操作時制動制御処理を終了する。これに対して判断結果がYESとなった場合は、図6に示したブーム格納検知スイッチ21が、ブーム12の格納状態を検出しているか否かを判断する(ステップSb2)。ブーム格納検知スイッチ21がブーム12の格納状態を検出していなかった場合は判断結果がNOとなり、架装側コントローラ30’はジャッキ操
作時制動制御処理を終了する。
【0067】
これに対してブーム格納検知スイッチ21がブーム12の格納状態を検出していた場合は判断結果がYESとなり、架装側コントローラ30’はジャッキ作動不可状態へ移行する(ステップSb3)。ジャッキ作動不可状態になると、架装側コントローラ30’はジャッキ操作レバー18aから操作信号が出力されても、その操作信号に応じたアウトリガジャッキ17の作動制御を実行しない。
【0068】
次に架装側コントローラ30’は、車体2が接地状態(車体接地状態)になっているか否かを判断する(ステップSb4)。ここでは、すべてのアウトリガジャッキ17が格納状態になっている場合に判断結果がYESとなり、いずれかのアウトリガジャッキ17が格納状態になっていなかった場合は判断結果がNOとなる。判断結果がYESになると、次に架装側コントローラ30’はパーキングブレーキが作動しているか否かを判断する(ステップSb5)。図6に示したパーキングブレーキセンサ61からオン信号が出力されている場合は判断結果がYESとなり、架装側コントローラ30’は後述する張出操作時制動制御処理を実行し(ステップSb6)、この張出操作時制動制御処理が終了するとジャッキ操作時制動制御処理を終了する。これに対してパーキングブレーキセンサ61からオフ信号が出力されている場合は判断結果がNOとなり、架装側コントローラ30’はそのままジャッキ操作時制動制御処理を終了する。
【0069】
一方、前述したステップSb4の判断結果がNOになった(車体2が接地状態になっていない)場合、架装側コントローラ30’は、車体2が車体浮上支持状態になっているか否かを判断する(ステップSb7)。ここでは、すべてのアウトリガジャッキ17の先端が接地している場合に判断結果がYESとなり、いずれかのアウトリガジャッキ17の先端が接地していなかった場合に判断結果がNOとなる。判断結果がYESになった場合は、架装側コントローラ30’は後述する格納操作時制動制御処理を実行し(ステップSb8)、この格納操作時制動制御処理が終了すると、ジャッキ操作時制動制御処理が終了する。これに対してステップSb7の判断結果がNOになった場合、架装側コントローラ30’はそのままジャッキ操作時制動制御処理を終了する。
【0070】
なお、ステップSb7の判断処理(車体浮上支持状態になっているか否か判断する処理)において、高所作業車1が、すべてのタイヤ車輪3(前輪3a及び後輪3b)が地面から浮いているか否かを検出することができる検出装置を備えている場合は、すべてのタイヤ車輪3が地面から浮いている場合にステップSb7の判断結果がYESとなり、いずれかのタイヤ車輪3が地面から浮いていない場合はステップSb7の判断結果がNOとなるようにしてもよい。
【0071】
次に図7のステップSb6で実行される張出操作時制動制御処理の内容について、図8のフローチャートを参照しつつ説明する。架装側コントローラ30’が、図8に示す張出操作時制動制御処理を開始すると、まず、制動指示スイッチ22がオンにされた(ボタンを押された)か否かを判断する(ステップSb10)。制動指示スイッチ22からのオン信号が入力された場合は判断結果がYESとなり、架装側コントローラ30’は車両側コントローラ60に対して制動指令信号を送信する(ステップSb11)。この制動指令信号は第1実施形態の制動指令信号と同様であり、車両側コントローラ60は、架装側コントローラ30’からの制動指令信号を受信するとブレーキ装置8を制動作動させ、その結果、前輪3a及び後輪3bの回転に制動力が付与される。なお、ジャッキ操作レバー18aからの操作信号が入力されている間、架装側コントローラ30’は他の制御処理により、入力された操作信号に基づくアウトリガジャッキ17の作動制御を行う。
【0072】
架装側コントローラ30’はステップSb11の処理を終えるとジャッキ作動許可状態
へ移行し(ステップSb12)、報知装置24を作動させる(ステップSb13)。ジャッキ作動許可状態においては、ジャッキ操作レバー18aからの操作信号に応じたアウトリガジャッキ17の作動制御が可能になる。また、報知装置24の作動としては、報知装置24が警報器であった場合は警報音を発生させ、ランプであった場合はランプを点灯させる。次に車体2が前述した車体浮上支持状態になっているか否かを判断する(ステップSb14)。この判断処理は、図7のステップSb7の判断処理と同様に、すべてのアウトリガジャッキ17の先端が接地している場合は判断結果がYESとなり、そうでなかった場合は判断結果がNOとなる。なお、ステップSb14の判断処理において、例えば、いずれかのタイヤ車輪3が接地している状態であるが、逸走が生じない程度にタイヤ車輪3の接地力が十分小さくなっている場合は、ステップSb14の判断結果をYESとしてもよい。
【0073】
ステップSb14の判断結果がNOとなった場合、架装側コントローラ30’は、後輪3bが接地している状態(後輪接地状態)であるか否かを判断する(ステップSb15)。本実施形態では、後輪側アウトリガジャッキ17bが格納状態である場合に判断結果がYESとなり、そうでなかった場合は判断結果がNOとなる。ステップSb15の判断結果がNOとなった場合、架装側コントローラ30’は、ステップSb14の処理に戻る。これに対して、ステップSb15の判断結果がYESとなった場合、架装側コントローラ30’は、ジャッキ操作レバー18aからの操作信号が入力されたか否かを判断する(ステップSb16)。なお、前述したステップSb14の判断結果がYESとなった場合は、ステップSb15の判断処理を行うことなく、直ちにステップSb16へ移行する。
【0074】
ステップSb16において、何等かの操作信号が入力された場合は、判断結果がYESとなり、架装側コントローラ30’はステップSb14の処理に戻る。これに対して、ステップSb16の判断結果がNOとなった場合、架装側コントローラ30’は、最後のジャッキ操作が行われてからジャッキ操作が行われることなく所定時間が経過した(ジャッキ操作レバー18aの操作が行われていない時間が所定時間に達した)か否かを判断する(ステップSb17)。なお、前述したステップSb10の判断結果がNOとなった場合は、ステップSb11~Sb16の処理を行うことなくステップSb17へ移行する。
【0075】
ステップSb17において、ジャッキ操作レバー18aの操作が行われていない時間が所定時間未満であった場合は、判断結果がNOとなってステップSb14の判断処理に戻る。これに対して、ジャッキ操作レバー18aの操作が行われていない時間が所定時間以上であった場合は、判断結果がYESとなり、架装側コントローラ30’は車両側コントローラ60に対して制動解除指令信号を送信する(ステップSb18)。この制動解除指令信号は第1実施形態の制動解除指令信号と同様であり、車両側コントローラ60は、架装側コントローラ30’からの制動解除指令信号を受信するとブレーキ装置8の制動作動を終了させる。これにより、前輪3a及び後輪3bの回転に対する制動力の付与が終了する。
【0076】
架装側コントローラ30’はステップSb18の処理を終えると、前述したジャッキ作動不可状態へ移行し(ステップSb19)、報知装置24の作動を停止させる(ステップSb20)。すなわち、報知装置24が警報器であった場合は警報音を停止させ、ランプであった場合はランプを消灯させる。次いで架装側コントローラ30’は、車体2が前述した車体浮上支持状態になっているか否かを判断する(ステップSb21)。この判断処理は、図7のステップSb7の判断処理と同様である。いずれかのアウトリガジャッキ17の先端が接地していなかった場合は判断結果がNOとなり、架装側コントローラ30’はステップSb10の判断処理に戻る。これに対して、すべてのアウトリガジャッキ17の先端が接地している場合に判断結果がYESとなり、張出操作時制動制御処理を終了する。
【0077】
上述した図8の張出操作時制動制御処理では、制動指示スイッチ23が押されると、ブレーキ装置8の制動制御が行われ、ジャッキ作動許可状態へ移行するとともに報知装置が作動する(ステップSb10(YES)→Sb11~Sb13)。その後、車体浮上支持状態となり、かつジャッキ操作レバー18aが操作されない時間が所定時間になった場合(ステップSb14(YES)→Sb15(NO)→Sb16(YES))、又は、後輪接地状態となり、かつジャッキ操作レバー18aが操作されない時間が所定時間になった場合(ステップSb14(NO)→Sb15(YES)→Sb16(NO)→Sb17(YES))に、ブレーキ装置8の制動制御が終了し、再びジャッキ作動不可状態へ移行するとともに報知装置の作動が停止する(ステップSb18~Sb20)。そして、この制御は車体浮上支持状態になるまで繰り返し実行される(ステップSb21(NO)→Sb10)。
【0078】
なお、ステップSb10の判断結果がNOとなり、かつ、ステップSb17の判断結果がYESとなった場合は、ブレーキ装置8が制動作動していない状態であるため、ステップSb18~Sb20の処理を行わずにステップSb21の判断処理へ移行してもよい。
【0079】
次に図7のステップSb8で実行される格納操作時制動制御処理の内容について、図9のフローチャートを参照しつつ説明する。架装側コントローラ30’が、図9に示す格納操作時制動制御処理を開始すると、まず、制動指示スイッチ22がオンにされた(ボタンを押された)か否かを判断する(ステップSb40)。制動指示スイッチ22からのオン信号が入力された場合は判断結果がYESとなり、架装側コントローラ30’は車両側コントローラ60に対して制動指令信号を送信する(ステップSb41)。この制動指令信号を車両側コントローラ60が受信すると、ブレーキ装置8を制動作動させ、その結果、前輪3a及び後輪3bの回転に制動力が付与される。なお、ジャッキ操作レバー18aからの操作信号が入力されている間、架装側コントローラ30’は他の制御処理により、入力された操作信号に基づくアウトリガジャッキ17の作動制御を行う。
【0080】
架装側コントローラ30’はステップSb41の処理を終えると、ジャッキ作動許可状態へ移行し(ステップSb42)、報知装置24を作動させた後(ステップSb43)、車体2が前述した車体接地状態になっているか否かを判断する(ステップSb44)。この判断処理は、図7のステップSb4の判断処理と同様に、すべてのアウトリガジャッキ17が格納状態であった場合は判断結果がYESとなり、そうでなかった場合は判断結果がNOとなる。なお、ステップSb44の判断処理において、例えば、すべてのアウトリガジャッキ17が格納状態になっていない場合であっても、すべてのタイヤ車輪3による接地力が、逸走を生じさせない程度に十分に大きくなっている場合は判断結果をYESとしてもよい。
【0081】
ステップSb44の判断結果がNOとなった場合、架装側コントローラ30’は、後輪3bが接地している状態(後輪接地状態)であるか否かを判断する(ステップSb45)。ここで、本実施形態では後輪側アウトリガジャッキ17bが格納状態である場合に判断結果がYESとなり、そうでなかった場合は判断結果がNOとなる。ステップSb45の判断結果がNOとなった場合、架装側コントローラ30’は、ステップSb44の処理に戻る。これに対して、ステップSb45の判断結果がYESとなった場合、架装側コントローラ30’は、ジャッキ操作レバー18aからの操作信号が入力されたか否かを判断する(ステップSb46)。ここで、前述したステップSb44の判断結果がYESとなった場合は、ステップSb45の判断処理を行うことなく、直ちにステップSb46へ移行する。ステップSb46において、何等かの操作信号が入力された場合は、判断結果がYESとなり、架装側コントローラ30’はステップSb44の処理に戻る。これに対して、ステップSb46の判断結果がNOとなった場合、架装側コントローラ30’は、最後
のジャッキ操作が行われてからジャッキ操作が行われることなく所定時間が経過した(ジャッキ操作レバー18aの操作が行われていない時間が所定時間に達した)か否かを判断する(ステップSb47)。なお、前述したステップSb40の判断結果がNOとなった場合は、ステップSb41~Sb46の処理を行うことなくステップSb47の処理へ移行する。
【0082】
ステップSb47において、ジャッキ操作レバー18aの操作が行われていない時間が所定時間未満であった場合は、判断結果がNOとなってステップSb44の判断処理に戻る。これに対して、ジャッキ操作レバー18aの操作が行われていない時間が所定時間以上であった場合は、判断結果がYESとなり、架装側コントローラ30’は車両側コントローラ60に対して制動解除指令信号を送信する(ステップSb48)。この制動解除指令信号は図8の張出操作時制動制御処理のステップSb18で送信される制動解除指令信号と同様のものである。車両側コントローラ60は、架装側コントローラ30’からの制動解除指令信号を受信するとブレーキ装置8の制動作動を終了させる。これにより、前輪3a及び後輪3bの回転に対する制動力の付与が終了する。
【0083】
架装側コントローラ30’はステップSb48の処理を終えると、ジャッキ作動不可状態へ移行し(ステップSb49)、報知装置24の作動を停止させる(ステップSb50)。すなわち、報知装置24が警報器であった場合は警報音を停止させ、ランプであった場合はランプを消灯させる。次いで架装側コントローラ30’は、車体2が前述した車体接地状態になっているか否かを判断する(ステップSb51)。この判断処理は、図7のステップSb4の判断処理と同様に、すべてのアウトリガジャッキ17が格納状態になっている場合に判断結果がYESとなり、いずれかのアウトリガジャッキ17が格納状態になっていなかった場合は判断結果がNOとなる。ステップSb51の判断結果がNOとなった場合、架装側コントローラ30’は、ステップSb40の判断処理に戻り、判断結果がYESとなった場合は、図9の格納操作時制動制御処理を終了する。
【0084】
上述した図9の格納操作時制動制御処理では、制動指示スイッチ23が押されると、ブレーキ装置8の制動制御が行われ、ジャッキ作動許可状態へ移行するとともに報知装置が作動する(ステップSb40(YES)→Sb41~Sb43)。その後、車体接地状態となり、かつジャッキ操作レバー18aが操作されない時間が所定時間になった場合(ステップSb44(YES)→Sb46(NO)→Sb47(YES))、又は、後輪接地状態となり、かつジャッキ操作レバー18aが操作されない時間が所定時間になった場合(ステップSb44(NO)→Sb45(YES)→Sb46(NO)→Sb47(YES))に、ブレーキ装置8の制動制御が終了し、再びジャッキ作動不可状態へ移行するとともに報知装置の作動が停止する(ステップSb48~Sb50)。そして、この制御は車体接地状態になるまで繰り返し実行される(ステップSb51(NO)→Sb40)。
【0085】
なお、ステップSb40の判断結果がNOとなり、かつ、ステップSb47の判断結果がYESとなった場合は、ブレーキ装置8が制動作動していない状態であるため、ステップSb48~Sb50の処理を行わずにステップSb51の判断処理へ移行してもよい。また、ステップSb11,Sb41の処理により制動指令信号を送信してから、ステップSb12,Sb42の処理によりジャッキ作動許可状態に移行するまでの間に、所定時間の待機状態を設けることで、車両側コントローラ60によるブレーキ装置8の制動作動が確実に行われてからジャッキ作動許可状態へ移行するようにしてもよい。
【0086】
このように、本実施形態ではジャッキ作動許可状態への移行に関連して(すなわち、ジャッキ装置の作動に関連して)、ブレーキペダルの操作の如何に関わらず、ブレーキ装置8の制動作動が制御される。
【0087】
本発明は、上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば適宜改良可能である。例えば、上述した実施形態では、架装側コントローラ30,30’において前輪3a及び後輪3bの制動を行うか否かを判断し、その判断結果に従って車両側コントローラ60がブレーキ装置8を制動作動させていたが、車両側コントローラ60を介することなく、架装側コントローラ30,30’によって直接ブレーキ装置8を制動作動させるようにしてもよい。また、架装側コントローラ30,30’が行っていたジャッキ操作時制動制御処理を車両側コントローラ60が行うようにしてもよい。この場合において、ジャッキ操作時制動制御処理の実行に必要となる各種信号は、車両側コントローラ60に対しても出力する必要があることはいうまでもない。さらに、架装側コントローラ30と車両側コントローラ60とを1つのコントローラに統合してもよい。
【0088】
また、上述した実施形態ではパーキングブレーキが作動した場合、後輪3bのみに制動力が付加される構成になっていたが、前輪3aのみに制動力が付加される構成であってもよい。この場合、図4のステップSa13、図5のステップSa23、図8のステップSb15、図9のステップSb45の判断処理は、後輪3bの接地状態ではなく、前輪3aの接地状態について判断を行うようにする。さらに、本実施形態はトラック車両をベースとした高所作業車であったが、作業装置としてクレーン装置を備えた作業車や、走行用の動力源としてエンジンの代わりに油圧モータを用いるなどしてパワーテイクオフ機構を持たない作業車にも適用可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 高所作業車
2 車体
2a 運転キャビン
3 タイヤ車輪
3a 前輪
3b 後輪
8 ブレーキ装置
10 作業装置
11 旋回台
12 ブーム
15 作業台
17 アウトリガジャッキ
17a 前輪側アウトリガジャッキ
17b 後輪側アウトリガジャッキ
18a ジャッキ操作レバー
21 ブーム格納検知スイッチ
23 制動指示スイッチ
30,30’ 架装側コントローラ
60 車両側コントローラ
64 ブレーキペダルセンサ
65 障害物検知装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9