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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162635
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】映像表示システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20221018BHJP
   B60R 1/00 20220101ALI20221018BHJP
【FI】
H04N7/18 J
B60R1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067529
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 彰洋
【テーマコード(参考)】
5C054
【Fターム(参考)】
5C054FC12
5C054FE05
5C054FE09
5C054FE26
5C054HA30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】後方の状況の速やかな認知を支援する「映像表示システム」を提供する。
【解決手段】画像解析部11は、バックカメラ3で撮影した映像中の道路の像の領域と自動車の像の領域を識別し、道路領域と車両領域を除く領域を周辺風景領域に設定する。認知支援処理部122は、後方の他車までの距離が小さいほど大きくなるように弱調度を設定する。画像処理部121は、バックカメラ3で撮影した映像に対し、弱調度が大きいほど、より周辺風景領域の調子を弱める画像処理を施してバックモニタ7に表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の後方の映像を表示する映像表示システムであって、
自動車の後方の映像を撮影するカメラと、
前記カメラで撮影した映像の道路の像の領域と車両の像の領域を識別し、当該映像の前記識別した道路の像の領域と車両の像の領域を除く領域を周辺風景領域に設定する領域識別部と、
前記カメラで撮影した映像を表示するモニタと、
前記モニタに表示される映像に対し前記周辺風景領域の調子を弱める画像処理を選択的に施す画像処理手段とを有することを特徴とする映像表示システム。
【請求項2】
請求項1記載の映像表示システムであって、
前記自動車後方の他車、もしくは、前記自動車後方の所定距離内の他車を検出する後方他車検出手段を有し、
前記画像処理手段は、少なくとも前記後方他車検出手段が他車を検出していないことを満たされるために必要とする所定の条件が満たされているときには、前記モニタに表示される映像に対し前記周辺風景領域の調子を弱める画像処理を施さず、少なくとも前記後方他車検出手段が他車を検出しているときに、前記モニタに表示される映像に対し前記周辺風景領域の調子を弱める画像処理を施すことを特徴とする映像表示システム。
【請求項3】
請求項2記載の映像表示システムであって、
前記画像処理手段は、少なくとも前記後方他車検出手段が他車を検出しているときに、前記後方他車検出手段が検出している他車までの距離が小さいほど、前記周辺風景領域の調子をより弱める画像処理を、前記モニタに表示される映像に対し施すことを特徴とする映像表示システム。
【請求項4】
請求項2記載の映像表示システムであって、
前記画像処理手段は、少なくとも前記後方他車検出手段が他車を検出しているときに、前記後方他車検出手段が検出している他車の接近速度が大きいほど、前記周辺風景領域の調子をより弱める画像処理を、前記モニタに表示される映像に対し施すことを特徴とする映像表示システム。
【請求項5】
請求項2、3または4記載の映像表示システムであって、
前記画像処理手段は、少なくとも前記後方他車検出手段が他車を検出しているときに、前記画像処理において、前記後方他車検出手段が検出している他車との距離が小さいほど、当該他車の像の領域の調子をより強めることを特徴とする映像表示システム。
【請求項6】
請求項1記載の映像表示システムであって、
前記自動車の車速を検出する車速検出手段を有し、
前記画像処理手段は、少なくとも前記車速検出手段が検出した車速が所定速度未満であることを満たされるために必要とする所定の条件が満たされているときには、前記モニタに表示される映像に対し前記周辺風景領域の調子を弱める画像処理を施さず、少なくとも前記車速が前記所定速度以上であるときに、前記モニタに表示される映像に対し前記周辺風景領域の調子を弱める画像処理を施すことを特徴とする映像表示システム。
【請求項7】
請求項6記載の映像表示システムであって、
前記画像処理手段は、前記車速検出手段が検出した車速が前記所定速度以上であるときに、当該車速が大きいほど、前記周辺風景領域の調子をより弱める画像処理を前記モニタに表示される映像に対し施すことを特徴とする映像表示システム。
【請求項8】
請求項1記載の映像表示システムであって、
前記自動車のドライバの視線検出を行う視線検出手段と、
前記視線検出手段の視線検出結果に基づいて前記ドライバの前記モニタの注視の継続時間を検出する注視時間監視手段とを有し、
前記画像処理手段は、少なくとも前記注視時間監視手段が検出している継続時間が所定時間未満であることを満たされるために必要とする所定の条件が満たされているときには、前記モニタに表示される映像に対し前記周辺風景領域の調子を弱める画像処理を施さず、少なくとも前記注視時間監視手段が検出している継続時間が前記所定時間以上であるときに、前記モニタに表示される映像に対し前記周辺風景領域の調子を弱める画像処理を施すことを特徴とする映像表示システム。
【請求項9】
請求項1記載の映像表示システムであって、
前記画像処理手段は、少なくとも前記カメラで撮影した映像の道路の像の領域と当該領域周辺との色が近似していないことを満たされるために必要とする所定の条件が満たされているときには、前記モニタに表示される映像に対し前記周辺風景領域の調子を弱める画像処理を施さず、少なくとも前記カメラで撮影した映像の道路の像の領域と当該領域周辺との色が近似しているときに、前記モニタに表示される映像に対し前記周辺風景領域の調子を弱める画像処理を施すことを特徴とする映像表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラで撮影した自動車後方の映像をモニタに表示する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラで撮影した自動車後方の映像をモニタに表示する技術としては、自動車後方を撮影するカメラで撮影した映像を、フロントウインドシールドの上方の位置に配置したルームミラー型のモニタに表示する電子ミラーの技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
また、自動車の側部から後方をカメラで撮影し、撮影した映像を車内に備えたモニタに表示する電子ミラーの技術も知られている(たとえば、特許文献2)。
また、このような電子ミラーにおいて、カメラで撮影した映像中の後続車の像の領域を切り出して拡大し、当該映像中のガードレールなどの道路脇の立設物や空や路側帯の像の領域に重なる位置に、映像中の後続車の像と関連付けて表示する技術も知られている(たとえば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-195301号公報
【特許文献2】特開2011-213186号公報
【特許文献3】特開2016-220011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動車の運転中に後方の状況を確認する場合、運転者は、前方への注意が疎かにならないよう短い時間で速やかに後方の状況を認知する必要がある。
しかし、たとえば、後方の車両の色が周辺環境色と酷似している場合や、走行している道路の車線数が多い場合などには、後方の状況を瞬間的に認知することが困難な場合がある。
【0006】
一方、上述した後続車の像の領域を切り出して拡大して表示する技術によれば、後続車の存在自体は速やかに認知できるが、現実と異なる不自然な表示となるため、後続車と自車の位置関係を直感的に把握することは難しい。
【0007】
そこで、本発明は、カメラで撮影した自動車後方の映像をモニタに表示する映像表示システムにおいて、後方の状況の速やかな認知を支援することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題達成のために、本発明は、自動車の後方の映像を表示する映像表示システムに、自動車の後方の映像を撮影するカメラと、前記カメラで撮影した映像の道路の像の領域と車両の像の領域を識別し、当該映像の前記識別した道路の像の領域と車両の像の領域を除く領域を周辺風景領域に設定する領域識別部と、前記カメラで撮影した映像を表示するモニタと、前記モニタに表示される映像に対し前記周辺風景領域の調子を弱める画像処理を選択的に施す画像処理手段とを設けたものである。
【0009】
ここで、このような映像表示システムは、当該映像表示システムに、前記自動車後方の他車、もしくは、前記自動車後方の所定距離内の他車を検出する後方他車検出手段を設け、前記画像処理手段において、少なくとも前記後方他車検出手段が他車を検出していないことを満たされるために必要とする所定の条件が満たされているときには、前記モニタに表示される映像に対し前記周辺風景領域の調子を弱める画像処理を施さず、少なくとも前記後方他車検出手段が他車を検出しているときに、前記モニタに表示される映像に対し前記周辺風景領域の調子を弱める画像処理を施すようにしてもよい。
【0010】
また、この場合には、映像表示システムは、前記画像処理手段において、少なくとも前記後方他車検出手段が他車を検出しているときに、前記後方他車検出手段が検出している他車までの距離が小さいほど、前記周辺風景領域の調子をより弱める画像処理を、前記モニタに表示される映像に対し施すように構成してもよい。
【0011】
または、この場合には、映像表示システムは、前記画像処理手段において、少なくとも前記後方他車検出手段が他車を検出しているときに、前記後方他車検出手段が検出している他車の接近速度が大きいほど、前記周辺風景領域の調子をより弱める画像処理を、前記モニタに表示される映像に対し施すように構成してもよい。
【0012】
また、これらの後方他車検出手段を備えた映像表示システムは、前記画像処理手段において、少なくとも前記後方他車検出手段が他車を検出しているときに、前記画像処理において、前記後方他車検出手段が検出している他車との距離が小さいほど、当該他車の像の領域の調子をより強めるように構成してもよい。
【0013】
また、この映像表示システムは、当該映像表示システムに前記自動車の車速を検出する車速検出手段を設け、前記画像処理手段において、少なくとも前記車速検出手段が検出した車速が所定速度未満であることを満たされるために必要とする所定の条件が満たされているときには、前記モニタに表示される映像に対し前記周辺風景領域の調子を弱める画像処理を施さず、少なくとも前記車速が前記所定速度以上であるときに、前記モニタに表示される映像に対し前記周辺風景領域の調子を弱める画像処理を施すように構成してもよい。
【0014】
また、この場合には、映像表示システムは、前記画像処理手段において、前記車速検出手段が検出した車速が前記所定速度以上であるときに、当該車速が大きいほど、前記周辺風景領域の調子をより弱める画像処理を前記モニタに表示される映像に対し施すように構成してもよい。
【0015】
また、この映像表示システムは、当該映像表示システムに前記自動車のドライバの視線検出を行う視線検出手段と、前記視線検出手段の視線検出結果に基づいて前記ドライバの前記モニタの注視の継続時間を検出する注視時間監視手段とを設け、前記画像処理手段において、少なくとも前記注視時間監視手段が検出している継続時間が所定時間未満であることを満たされるために必要とする所定の条件が満たされているときには、前記モニタに表示される映像に対し前記周辺風景領域の調子を弱める画像処理を施さず、少なくとも前記注視時間監視手段が検出している継続時間が前記所定時間以上であるときに、前記モニタに表示される映像に対し前記周辺風景領域の調子を弱める画像処理を施すように構成してもよい。
【0016】
また、この映像表示システムは、前記画像処理手段において、少なくとも前記カメラで撮影した映像の道路の像の領域と当該領域周辺との色が近似していないことを満たされるために必要とする所定の条件が満たされているときには、前記モニタに表示される映像に対し前記周辺風景領域の調子を弱める画像処理を施さず、少なくとも前記カメラで撮影した映像の道路の像の領域と当該領域周辺との色が近似しているときに、前記モニタに表示される映像に対し前記周辺風景領域の調子を弱める画像処理を施すように構成してもよい。
【0017】
以上のような映像表示システムによれば、後方に認知することが望ましい他車がいる場合や、後方の他車を視認しづらい状況にある場合や、ドライバが後方の確認に努めている場合等、必要に応じて、カメラで撮影した映像を、当該映像の車両と道路の像以外の領域である周辺風景領域の調子を弱めた上でモニタに表示できるので、ドライバは、モニタに表示される現実に沿った自然な形態の映像から、周辺風景領域の映像部分によって紛らわされることなく、速やかに後方の道路と車両を認知できるようになる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、カメラで撮影した自動車後方の映像をモニタに表示する映像表示システムにおいて、後方の状況の速やかな認知を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る映像表示システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る各種カメラとモニタの配置を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係るレーダとドライバカメラの配置を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る画像解析部の解析例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る認知支援処理を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態に係る認知支援処理の処理例を示した図である。
図7】本発明の実施形態に係る認知支援処理の他の処理例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る映像表示システムの構成を示す。
映像表示システムは自動車に搭載されるシステムであり、図示するように、左サイドカメラ1、右サイドカメラ2、バックカメラ3、レーダ4、左サイドモニタ5、右サイドモニタ6、バックモニタ7、ドライバカメラ8、DMS9(ドライバーモニタリングシステム9)、状態センサ10、画像解析部11、表示制御部12を備えている。
【0021】
また、表示制御部12は、画像処理部121、認知支援処理部122を備えている。
このような映像表示システムの構成において、図2a1、a2に示すように、左サイドカメラ1は自動車の左側部に配置されており、当該位置から自動車の後ろ方向を撮影し、右サイドカメラ2は自動車の右側部に配置されており、当該位置から自動車の後ろ方向を撮影する。また、バックカメラ3は、自動車の車内後部に配置されており、当該位置から自動車の後ろ方向を撮影する。
【0022】
また、左サイドモニタ5と右サイドモニタ6とバックモニタ7は映像を表示するディスプレイであり、自動車の車内の運転者が視認可能な位置に配置される。また、たとえば、図2bに示すように、左サイドモニタ5は運転席の左右方向中心より左側に位置するように配置され、右サイドモニタ6は運転席の左右方向中心より右側に位置するように配置されている。また、バックモニタ7は、フロントウインドシールドの上方の左右方向について中央の位置に配置されている。
【0023】
次にレーダ4は、図3aに示すように自動車の後部などに配置され、自動車の後方の他車などの各種物体の位置を検知する。
また、ドライバカメラ8は、たとえば、図3bに示すように運転席の斜め前上方に配置された近赤外線カメラであり、運転席に着座したドライバの頭部をドライバの前方より撮影する。
【0024】
そして、DMS9は、ドライバカメラ8で撮影した映像よりドライバの眼球の位置と向きを認識してドライバの視線を検出する。
次に、状態センサ10は、自動車の車速、舵角、加速度、角加速度などの各種状態を検出するセンサである。
画像解析部11は、左サイドカメラ1で撮影した映像、右サイドカメラ2で撮影した映像、バックカメラ3で撮影した映像に対し、画像解析を行って、映像中の道路の像の領域である道路領域と、映像中の自車及び他車の像の領域である車両領域を識別し、映像中の道路領域と車両領域以外の領域を周辺風景領域に設定し、表示制御部12の画像処理部121に通知する。
【0025】
すなわち、バックカメラ3で撮影した映像を例にとり、図4に示すように、画像解析部11は、図4aに示すバックカメラ3で撮影した映像に対して白線認識や境界線認識などの画像認識を行って、図4bに示すように道路の像の領域Rを道路領域として識別する。また、図4aに示すバックカメラ3で撮影した映像に対してパターンマッチングなどの画像認識を行って、図4cに示すように自動車の像の領域Vを車両領域として識別する。なお、車両領域については、画像認識に加え、レーダ4で検出した他車の位置を考慮して車両領域を識別してもよい。
【0026】
そして、図4dに示すように、バックカメラ3で撮影した映像中の識別した道路領域Rと車両領域Vを除く領域Pを周辺風景領域に設定し表示制御部12の画像処理部121に通知する。
【0027】
表示制御部12の認知支援処理部122は図5に手順を示す認知支援処理を行う。
図示するように認知支援処理部122は、認知支援処理において、状況を取得し(ステップ502)、取得した状況に応じて支援レベルを算定し(ステップ504)、算定した支援レベルに応じて周辺風景領域の弱調度を画像処理部121に設定する(ステップ506)処理を繰り返す。
【0028】
ここで、ステップ502では、状態センサ10が検出している車速、レーダ4が検出している後方の他車までの距離、DMS9の視線検出結果の履歴が表す、ドライバが左サイドモニタ5と右サイドモニタ6とバックモニタ7のいずれかのモニタを継続して注視している時間を取得する。
【0029】
そして、ステップ504では、仮支援レベル1を車速が大きいほど高くなるように算定し、仮支援レベル2を後方の他車までの距離が小さいほど高くなるように算定し、仮支援レベル3をモニタ注視の継続時間が長いほど高くなるように算定する。ただし、仮支援レベル1は、車速が所定速度未満であるときに0とする。また、仮支援レベル2は、後方の他車までの距離が所定距離以上であるときに0とするか、後方の他車が検出されていないときに0とする。また、仮支援レベル3は、注視している継続時間が所定時間未満であるときに0とする。
【0030】
そして、仮支援レベル1と仮支援レベル2と仮支援レベル3のうちで最も高いレベルを支援レベルとして算定する。
また、ステップ506では、算定した支援レベルが高いほど大きくなるように弱調度を算定し画像処理部121に設定する。なお、弱調度の最小値は0とし、支援レベルが0のときには弱調度0を設定する。
【0031】
図1に戻り、表示制御部12の画像処理部121は、左サイドカメラ1で撮影した映像に画像処理を施して自動車の左後方のようすを表す映像を左サイド映像として生成して左サイドモニタ5に表示し、右サイドカメラ2で撮影した映像に画像処理を施して自動車の右後方のようすを表す映像を右サイド映像として生成して右サイドモニタ6に表示し、バックカメラ3で撮影した映像に画像処理を施して自動車の後方のようすを表す映像をバック映像として生成してバックモニタ7に表示する。
【0032】
ここで、画像処理部121は各映像に施す画像処理として、認知支援処理部122から設定された弱調度に応じて、映像中の周辺風景領域の調子を弱める画像処理を行う。この画像処理では、弱調度が大きいほど、より周辺風景領域の調子を弱める。また、弱調度が0のときは、映像中の周辺風景領域の調子を弱めずに元のままとする。
【0033】
このような周辺風景領域の調子を弱める画像処理としては、弱調度が大きいほど周辺風景領域の透明度を大きくする画像処理を用いる。ただし、周辺風景領域の調子を弱める画像処理としては、弱調度が大きいほど周辺風景領域の彩度を低くする画像処理や、弱調度が大きいほど周辺風景領域のコントラストを低くする画像処理などの他の画像処理を用いることもできる。
【0034】
バックカメラ3で撮影した映像から生成されバックモニタ7に表示されるバック映像を例にとり図6a-dに示すように、このような画像処理部121の画像処理によって、認知支援処理部122から設定された弱調度が大きいほど、より周辺風景領域の映像部分の調子が弱まり、より周辺風景領域の映像部分によって紛らわされることなく、路面と車両を認知できるようになる。
【0035】
したがって、支援レベルが高いほど大きくなるように弱調度は設定されるので、車速が大きいほど/後方の他車までの距離が小さいほど/モニタを注視している継続時間が長いほど、より周辺風景領域の映像部分の調子が弱まり、より短い時間で路面と車両を認知できるようになる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明した。
ここで、以上の実施形態は様々に変型して実施してもよい。
たとえば、図5に示した認知支援処理を、レーダ4が後方所定距離内の他車を検出していないときには、無条件に支援レベルを0とし、後方所定距離内の他車が存在する場合に、他車までの距離が小さいほど支援レベルを大きくする処理とし、後方所定距離内の他車がいないときには、周辺風景領域の映像部分が調子を弱められることなく、そのまま表示されるようにしてもよい。このようにすることにより、すみやかに認知すべき後方所定距離内の他車がいないときには、ドライバは、各モニタの表示から道路周辺の風景を含む後方のようすを目視した場合と同様に確認することができる。
【0037】
または、認知支援処理を、レーダ4が後方所定距離内の他車を検出しておらず、かつ、車速が所定速度以下であるときには、無条件に支援レベルを0とし、レーダ4が後方所定距離内の他車を検出しておらず、かつ、車速が所定速度超である場合には、車速が大きいほど支援レベルを大きくし、後方所定距離内の他車が存在する場合に、他車までの距離が小さいほど支援レベルを大きくする処理として、後方の他車がいないときには、高速で走行している場合にのみ、周辺風景領域の映像部分の調子を弱めるようにしてもよい。このようにすることにより、周期的な建造物や、ポールや、夜間やトンネル内の照明などの各モニタの表示内での移動によるわずらわしさがなくなり、後方に他車が現れた時に気がつきやすくなる。
【0038】
ここで、これらの場合は、後方他車検出をドライバに対して提示するインジケータを設け、レーダ4が後方所定距離内の他車を検出している間インジケータを点灯するようにしてもよい。なお、左右のドアミラーを備えた自動車においては、インジケータを、左右のドアミラー内に各々設け、左後方の他車を検出しているときには左のドアミラー内のインジケータを点灯し、右後方の他車を検出しているときには右のドアミラー内のインジケータを点灯してもよい。
【0039】
または、認知支援処理を、レーダ4で検出した後方の他車の接近速度が高速である場合には、当該接近速度が大きいほど、より支援レベルを大きくする処理として、後方から他車が高速で接近してくるときには、急速に周辺風景領域の調子を弱めるようにしてもよい。きこのようにすることにより、各モニタの表示からの他車の発見が遅れ、ドライバが、他車が突然に出現したかのように感じ動転してしまうことを抑制できる。
【0040】
または、認知支援処理を、後方の他車が検出されているときに、各カメラが撮影した映像中において、車両領域の色が車両領域周辺の色と近似している場合に支援レベルを大きく処理や、レーダ4で検出した後方の他車までの距離が小さくなるにつれて、その他車の像に対応する車両領域を、より彩度を大きくするなどして、より強調する処理としてもよい。
【0041】
すなわち、たとえば、左サイドカメラ1で撮影した映像から生成され左サイドモニタ5に表示される左サイド映像を例にとり図7に示すように、左サイドカメラ1で図7a1、a2、a3の映像が当該順序で順次撮影された場合、図7a1の撮影映像中に、日陰の中にいる暗色の他車の像があり、当該他車の像の車両領域と車両領域周辺の色と近似しているので、支援レベルを大きくし、画像処理部121に、周辺風景領域の調子を弱めて他車を視認しやすくした図7b1の左サイド映像の生成と左サイドモニタ5への表示を行わせる。
【0042】
そして、その後、図7a2、a3の撮影映像に示されるように他車が順次接近してきたならば、他車の車両領域の強調度を大きくしていき、図7b2、b3に示すような、接近してくる他車の像が順次より強調されていく左サイド映像の生成と、左サイドモニタ5への表示を画像処理部121に行わせる。
【0043】
なお、以上の実施形態では、レーダ4を用いて後方の他車の位置や速度を検出したが、これは、画像解析部11において、各カメラが撮影した映像中の他車の像の位置や動きを解析して、他車の位置や速度を検出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…左サイドカメラ、2…右サイドカメラ、3…バックカメラ、4…レーダ、5…左サイドモニタ、6…右サイドモニタ、7…バックモニタ、8…ドライバカメラ、9…DMS、10…状態センサ、11…画像解析部、12…表示制御部、121…画像処理部、122…認知支援処理部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7