(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022016264
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】空気清浄装置のアタッチメント、空気清浄装置、空気清浄システム
(51)【国際特許分類】
A61L 9/20 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
A61L9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000670
(22)【出願日】2021-01-06
(31)【優先権主張番号】P 2020118947
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和2年12月26日、「Google Drive」によるファイル供給機能を用いた公開、神戸商工会議所
(71)【出願人】
【識別番号】520490495
【氏名又は名称】ケィ・マックインダストリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【弁理士】
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100073483
【弁理士】
【氏名又は名称】八鍬 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100164286
【弁理士】
【氏名又は名称】中里 卓夫
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 秀次
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180DD03
4C180HH05
4C180HH17
4C180MM08
(57)【要約】
【課題】空気中に浮遊している細菌やウィルスなどの病原体を、更に効率よく無害化する。
【解決手段】空気清浄装置のアタッチメントは、装置の内部に空気を取り入れ、取り入れた空気に内在する病原体を無害化して排気する空気清浄装置と通風可能に連接するアタッチメントであって、空気清浄装置の吸気動作により引き寄せられた周囲の空気を、空気清浄装置に向かうように案内する、水平方向に延びた部材である水平アタッチメントを有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の内部に空気を取り入れ、取り入れた空気に内在する病原体を無害化して排気する空気清浄装置と通風可能に連接する、空気清浄装置のアタッチメントであって、
前記空気清浄装置の吸気動作により引き寄せられた周囲の空気を、前記空気清浄装置に向かうように案内する、水平方向に延びた部材である水平アタッチメントを有することを特徴とする、空気清浄装置のアタッチメント。
【請求項2】
さらに、
一方の端部が前記空気清浄装置の吸気口と通風可能に連接しているアタッチメントであり、他方の端部を前記空気清浄装置から近接または離間させる、伸縮可能な部材である伸縮アタッチメントと、
前記伸縮アタッチメントと通風可能に連結する連結部と、を有し、
前記水平アタッチメントは、前記連結部と通風可能に連結しており、周囲の空気を、前記連結部まで案内することを特徴とする、請求項1に記載の空気清浄装置のアタッチメント。
【請求項3】
前記水平アタッチメントは、部材の長尺方向に通風可能となるように内部が空洞となっており、外枠に、周囲の空気を部材の内部に取り込む孔が設けられた部材であり、テーブルの天板と当接もしくは天板から離間した上側で延設するように設けられることを特徴とする、請求項1または2に記載の空気清浄装置のアタッチメント。
【請求項4】
さらに、前記水平アタッチメントを、前記長尺方向を向いて左右両側面から挟む第1の挟み部と、前記第1の挟み部と同じ向きで、テーブルを仕切る仕切り部材を両面から挟む第2の挟み部とを有する取付け具を有し、
前記取付け具の前記第1、第2の挟み部が前記水平アタッチメントと前記仕切り部材とを挟むことで、前記水平アタッチメントを前記仕切り部材の上辺部又は下辺部に沿わせることを特徴とする、請求項3に記載の空気清浄装置のアタッチメント。
【請求項5】
さらに、全面を占めるように多数の孔が設けられた2つの面を対面させ、その周囲を閉じて成る箱状の仕切り部材を有し、
前記水平アタッチメントは、前記テーブル上に設けられた前記箱状の仕切り部材の内部に設けられることを特徴とする、請求項3に記載の空気清浄装置のアタッチメント。
【請求項6】
前記水平アタッチメントは、放射状となるように設けられることを特徴とする、請求項3に記載の空気清浄装置のアタッチメント。
【請求項7】
さらに、前記テーブルの天板と当接するように設けられ、前記空気清浄装置の排気口と連接しており、前記空気清浄装置からの排気を上方に向けて排出する孔が設けられた、長尺方向に通風可能な部材である第2の水平アタッチメントを有し、
前記水平アタッチメントは、前記第2の水平アタッチメントと平行且つ前記第2の水平アタッチメントよりも上方に設けられ、下方向に向けて孔が位置するように設けられることを特徴とする、請求項3に記載の空気清浄装置のアタッチメント。
【請求項8】
さらに、患者が横になるベッドの、ヘッドボード側の部分を囲む透明フィルムを有し、
前記水平アタッチメントは、前記透明フィルムに設けられた孔と連通可能に設けられ、当該透明フィルムで囲われている内部の空気を、前記空気清浄装置に向かうように案内することを特徴とする、請求項1または2に記載の空気清浄装置のアタッチメント。
【請求項9】
さらに、前記水平アタッチメントに対して立設するように設けられた、湾曲した仕切り部材を有し、
前記水平アタッチメントは、当該水平アタッチメントの長尺方向における中央部に空気が向かうように案内することを特徴とする、請求項1または2に記載の空気清浄装置のアタッチメント。
【請求項10】
円筒部材と、
前記円筒部材の一端から当該円筒部材の内部に空気を取り入れ、取り入れた空気を当該円筒部材の他端に向けて流す送風器と、
前記円筒部材の前記一端の側に設けられる吸気部であり、前記円筒部材の内部に取り入れられる空気が当該円筒部材の内側壁に沿って前記一端から前記他端に向けて螺旋状に流れるように、前記空気の進行を方向付ける吸気部と、
前記吸気部を介して前記円筒部材の内部に取り入れられた空気に内在する病原体を無害化する浄化装置と、
を有する空気清浄装置であって、
前記円筒部材の前記他端の側に設けられた傾斜面であり、前記円筒部材の円筒軸の軸上に通気孔が位置しており、前記円筒軸を垂線とする面に対して一方向に傾斜した傾斜面を有することを特徴とする空気清浄装置。
【請求項11】
外気を部材の内部に取り込む孔が設けられた、長尺方向に通風可能な部材であり、水平方向に延設する長尺部材と、
請求項10に記載の空気清浄装置であり、前記吸気部の開口部と前記長尺部材の一方の端部とが通風可能に連接し、前記円筒部材の長尺方向が垂直方向となるように設けられた空気清浄装置と、
を有する、空気清浄システム。
【請求項12】
前記空気清浄装置は、前記長尺部材の延設方向と平行となる方向に向けて排気することを特徴とする、請求項11に記載の空気清浄システム。
【請求項13】
前記長尺部材は、テーブルの天板の上で延設するように設けられ、当該長尺部材の上にパネルが立設するように設けられており、
前記空気清浄装置は、前記テーブルの前記天板の下側の方に向けて排気する、
ことを特徴とする、請求項11または12に記載の空気清浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中に浮遊している細菌やウィルスを無害化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
空気清浄装置には、装置内部に空気を取り込み、紫外線を照射することで、空気中に浮遊している細菌やウィルスを無害化するものがある。
【0003】
また、紫外線を照射して細菌やウィルスを無害化する装置において、円筒部材内に空気を取り込む際に渦流(筒内を螺旋状に旋回する流れ)となるように取り込み、この取り込んだ空気に対して紫外線を照射する装置が知られている(例えば特許文献1)。
【0004】
加えて、紫外線を照射する細管を複数本並べて配列することでシート状の面構成にし、これを湾曲、屈曲などフレキシブルに変形させて、様々な部材形状に適用可能なモジュールが知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-183126号公報
【特許文献2】特開2020-80297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている技術のように、空気を渦流にして円筒部材内に取り込む場合、空気をそのまま円筒部材内で直進させるよりも進行距離が長くなる。これにより、紫外線を長時間照射することができ、殺菌、除菌などの無害化の効率を高めることができる。
【0007】
しかしながら、「SARS-CoV-2」(通称:新型コロナウィルス)などの感染力の強いウィルスが蔓延している近年においては、無害化の効率を更に高める必要がある。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされるものであり、空気中に浮遊している細菌やウィルスなどの病原体を、更に効率よく無害化する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、本発明の空気清浄装置のアタッチメントは、装置の内部に空気を取り入れ、取り入れた空気に内在する病原体を無害化して排気する空気清浄装置と通風可能に連接するアタッチメントであって、空気清浄装置の吸気動作により引き寄せられた周囲の空気を、空気清浄装置に向かうように案内する、水平方向に延びた部材である水平アタッチメントを有することを特徴とする。
本発明の空気清浄装置は、円筒部材と、円筒部材の一端から当該円筒部材の内部に空気を取り入れ、取り入れた空気を当該円筒部材の他端に向けて流す送風器と、円筒部材の一端の側に設けられる吸気部であり、円筒部材の内部に取り入れられる空気が当該円筒部材の内側壁に沿って一端から他端に向けて螺旋状に流れるように、空気の進行を方向付ける吸気部と、吸気部を介して円筒部材の内部に取り入れられた空気に内在する病原体を無害化する浄化装置と、を有する空気清浄装置であって、円筒部材の他端の側に設けられた傾斜面であり、円筒部材の円筒軸の軸上に通気孔が位置しており、円筒軸を垂線とする面に対して一方向に傾斜した傾斜面を有することを特徴とする。
また、本発明の空気清浄システムは、外気を部材の内部に取り込む孔が設けられた、長尺方向に通風可能な部材であり、水平方向に延設する長尺部材と、上述の空気清浄装置であり、吸気部の開口部と長尺部材の一方の端部とが通風可能に連接し、円筒部材の長尺方向が垂直方向となるように設けられた空気清浄装置と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、空気内に浮遊している細菌やウィルスなどの病原体を、更に効率よく無害化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態の空気清浄システムを例示する図である。
【
図2】第1実施形態のフレーム部材を例示する図である。
【
図3】第1実施形態の空気清浄装置を例示する斜視図である。
【
図4】第1実施形態の空気清浄装置の分解図である。
【
図5】第1実施形態の上部キャップを例示する図である。
【
図6】第1実施形態の案内羽根を例示する図である。
【
図7】第1実施形態の下部キャップを例示する図である。
【
図9】第1実施形態の傾斜部材を例示する図である。
【
図10】傾斜部材を設けることの効果を説明するための対比図である。
【
図11】傾斜部材を設けることの効果を説明するための図である。
【
図12】第1実施形態の空気清浄システムをテーブルに備え付けた状態を例示する図である。
【
図13】第1実施形態の空気清浄システムをパーティションに備え付けた状態を例示する図である。
【
図14】第1実施形態の空気清浄システムをカウンターテーブルに備え付けた状態を例示する図である。
【
図15】第1実施形態の空気清浄システムを室内の角部に備え付けた状態を例示する図である。
【
図16】第1実施形態の空気清浄システムを長椅子に備え付けた状態を例示する図である。
【
図17】傾斜部材の傾斜面を湾曲させた態様を例示する図である。
【
図18】上部キャップのその他のバリエーション例を示す分解図である。
【
図19】上部キャップのその他のバリエーション例を説明する図である。
【
図21】面照射ランプを用いる場合の態様例を示す図である。
【
図22】第1実施形態の空気清浄装置を単体構成にするときの構成例を示す図である。
【
図23】第2実施形態に係るアタッチメントを構成に含んだ空気清浄システムを例示する図である。
【
図24】
図23に示すアタッチメントの取付け具を示す図である。
【
図25】
図23に示す空気清浄システムにおいて、パネルの上部にアタッチメントを取り付けた場合を例示する図である。
【
図26】第2実施形態に係る空気清浄システムを例示する図であり、パネルの下部に設けられた開口窓の近傍にアタッチメントを配置した場合を例示する図である。
【
図27】第2実施形態に係る空気清浄システムを例示する図であり、前面に多数の孔を設けた箱状パネルを用いた場合を例示する図である。
【
図28】第3実施形態に係る空気清浄システムを例示する図である。
【
図29】第3実施形態に係る空気清浄システムの他の態様例を説明する図である。
【
図30】第4実施形態に係る空気清浄システムを例示する図である。
【
図31】第5実施形態に係る空気清浄システムを例示する図である。
【
図32】第6実施形態に係る空気清浄システムを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態の態様について図面を参照しながら説明する。まず、実施形態に係る空気清浄装置、およびこの空気清浄装置にアタッチメントを取り付けた空気清浄システムの態様ついて、第1実施形態で説明する。そして第2実施形態以降では、アタッチメントに着目し、アタッチメントのバリエーションを具体的に提示しながら説明する。
【0013】
(第1実施形態)
<全体構成>
図1(A)は、本実施形態の空気清浄システムの全体構成を例示する斜視図であり、
図1(B)は、空気の流れを破線矢印で付加した図である。尚、第1実施形態に関し、各図面に示されているX軸、Y軸、Z軸の方向は、各図面で共通である。
【0014】
空気清浄システム300は、上部キャップ210、円筒部材220、下部キャップ230を構成に含み、円筒部材220の長手方向が垂直方向(=Z軸方向、重力方向)となる姿勢で設けられる空気清浄装置200と、この空気清浄装置200の上部キャップ210と一端が連接する、長手方向が水平方向(ここではX軸方向とするが、Y軸方向でもよい)となる姿勢で設けられる1つまたは複数のフレーム部材100(長尺部材、水平アタッチメント)とを有する。
【0015】
フレーム部材100の一方の端部は、通風可能となるように上部キャップ210の開口部と連接しているが、上部キャップ210と連接していない側の他方の端部は、樹脂製のエンドキャップ150で覆われている。
【0016】
図1(B)を参照しつつ、空気清浄システム300の動作の概要を説明する。空気清浄システム300において、下部キャップ230に収容されているファン240(後述)が稼働することで、フレーム部材100内に空気が取り込まれる。取り込まれた空気は、フレーム部材100の内部を通って空気清浄装置200に向けて流れる。
【0017】
上部キャップ210を介して空気清浄装置200に流入した空気は、後述の案内羽根250により、円筒部材220内の内側壁に沿って旋回しながら螺旋状に進行する。円筒部材220内には、紫外線ランプ260(後述)が設けられている。紫外線ランプ260(浄化装置)は、紫外線を照射することで、円筒部材220内の空気中に内在している細菌やウィルスを無害化する。以降、細菌やウィルスを「病原体」と総称する。
【0018】
無害化処理された後の円筒部材220内の空気は、下部キャップ230の開口部234から排出される。開口部234は、フレーム部材100の延設方向(X軸方向)と平行となる方向(X軸方向)に向けて、無害化処理した後の空気を排気する。
【0019】
<フレーム部材の構成>
引き続き、フレーム部材100について説明する。
図2(A)は、3つのフレーム部材100を連結させた状態を示す斜視図であり、
図2(B)は1つのフレーム部材100を示した斜視図である。また
図2(C)はフレーム部材100の断面図である。尚、
図2(A)においては、空気の進行方向を破線矢印で示しており、
図2(B)においては、板部材140の図示を省略している。また、以降の図面において、複数箇所に設けられる孔や部材については、一部のみに符号を付す場合がある。
【0020】
フレーム部材100の構成としては、
図2(B)で示す1モジュール構成でもよく、
図2(A)に示すように複数連結させた構成でもよい。尚、1モジュールまたは複数モジュールのいずれの構成においても、一方の端部を開口させ(図中の開口端部160)、他方の端部をエンドキャップ150で覆って塞いだ長尺部材とする。また、開口端部160は、空気が外部に抜け出さないように、空気清浄装置200の上部キャップ210と通風可能なように連接する。
【0021】
フレーム部材100は、アルミニウム製であり、外気を部材の内部に取り込む孔である吸い込みスリット130が、枠体120に1つもしくは複数並んで設けられている(
図2(B)参照)。尚、ここでは、吸い込みスリット130を枠体120の両側面に設けるものとして説明するが、態様はこれに限定されず、枠体120の上面などでもよい。
【0022】
フレーム部材100の枠体120は、
図2(C)に示すように、上部材120Aと下部材120Bとの各部材を破線円120Cに示される位置で結合した構成となっている。上部材120Aと下部材120Bとを結合することで、長尺方向に通風するための空洞がフレーム部材100の内部に形成される。本実施形態では、この空洞を板部材140で仕切っている。これにより、枠体120の両側面に設けられた吸い込みスリット130間の通風を遮断することができる(一方の側面に設けられた吸い込みスリット130で取り込まれた空気が、他方の側面に設けられた吸い込みスリット130から抜けるのを遮断することができる)。
【0023】
枠体120の上面には、後述するパネル123(
図12参照)を立設させるためのパネル支持部110が設けられている。パネル支持部110には、パネル123を固定するためのビズを通す孔110Aが設けられている。このようにパネルを立設可能とすることで、フレーム部材100は、テーブルを仕切るパーティションとしても機能させることができる(
図12参照)。
【0024】
<空気清浄装置の構成>
次に、空気清浄装置200の構成について説明する。
【0025】
図3(A)は、空気清浄装置200を上方から視認した場合の斜視図であり、
図3(B)は、下方から視認した場合の斜視図である。また空気清浄装置200の分解図を
図4に示している。
【0026】
<上部キャップの構成>
空気清浄装置200の上部キャップ210は、外部からの衝撃などを保護するための部材である。また上部キャップ210を不透明にすることで、円筒部材220の内部で照射される紫外線が外部に漏れるのを遮断することができる。
【0027】
上部キャップ210は、案内羽根250や紫外線ランプ260の口金261を覆い、これらを保護する。上部キャップ210の近傍斜視図を
図5(A)に示し、側面図を
図5(B)に示す。そして上部キャップ210を開口部211から視認した場合の正面図を
図5(C)に示す。
【0028】
開口部211は、フレーム部材100の開口端部160と通風可能に連接する部位であり、フレーム部材100に取り入れられた空気を流入する。開口部211は、孔214を用いてビズ留めされることで、フレーム部材100の開口端部160と連接する。
【0029】
孔212は、案内羽根250を上部キャップ210に固定するための、ビズ留め用の孔である。L字型溝213は、上部キャップ210を円筒部材220に固定するためのものである。このL字型溝213と、円筒部材220の側壁に設けられた孔220A(
図4(A)参照)に挿入されるビズとが係合することで、上部キャップ210と円筒部材220とが固定する。
【0030】
<案内羽根の構成>
図4に示す案内羽根250は、空気の流路上、フレーム部材100と円筒部材220との間に設けられており、フレーム部材100から流入した空気が円筒部材220内で旋回しながら、螺旋状に進行するように、空気の方向づけを行う部材である。
【0031】
案内羽根250の近傍斜視図を
図6(A)に示し、上部キャップ210に固定された状態を示す透視図を
図6(B)に示す。また、
図6(A)に対し空気の流れ方向を破線矢印で示したものを
図6(C)に示し、案内羽根250の上面図を
図6(D)に示す。
図6(D)では、空気全体の流れを破線矢印で図示している。
【0032】
案内羽根250は、中心部252から放射状に設けられた複数枚のブレード251を有している。尚、中心部252は、本実施形態では円筒部材220の円筒軸の延長線上に中心がくるように設けられている。
【0033】
複数枚のブレード251は、それぞれ水平面(X-Y平面)に対し傾斜するように設けられている。よって、あるブレード251の周方向における先端P1と、このブレード251の先端P1の側に設けられるブレード251の周方向後端P2とでは、上下方向(Z軸方向)に隙間253が形成されている。
【0034】
フレーム部材100から流入して案内羽根250に向かう空気は、
図6(C)の破線矢印に示すように、ブレード251の傾斜面に当たり当該傾斜面に沿って進行する。このように案内された空気は、隙間253から円筒部材220の内部に入り込んで円筒部材220の内側壁に触れる。そして円筒部材220の内側壁に触れた空気は、コアンダ効果および遠心力により内側壁との接触を維持する傾向となり、この接触傾向を維持したまま、ファン240の吸気動作により排気の方向(Z軸下方向)に流れる。これにより、円筒部材220に取り込まれた空気は、
図6(D)の破線矢印に示すように、旋回しながら下方に向けて螺旋状に進行することとなる(
図1(B)の円筒部材220内の破線矢印も参照)。
【0035】
このように、円筒部材220内においては、旋回しながら螺旋状に空気を流すことで、空気を上から下にそのまま直進させるよりも移動距離を稼ぐことができ、その分、紫外線ランプ260による紫外線照射の時間を長くすることができる。
【0036】
<紫外線ランプの構成>
紫外線ランプ260は、円筒部材220の内部に設けられた、紫外線を照射する発光体であり、不図示のスイッチの操作に応じて点灯/消灯を行う。紫外線ランプ260は、円筒部材220の内部で発光することで、円筒部材220内に取り入れられた空気に内在している病原体を無害化する浄化装置となる。本実施形態において、紫外線ランプ260は、殺菌力の高い波長253.7nm付近の紫外線を照射する。尚、照射する光線の波長などは、これに限定されない。
【0037】
尚、不図示であるが、案内羽根250の中心部252の直下には、紫外線ランプ260の口金261に対応するソケットが設けられており、このソケットに口金261を挿入することで、紫外線ランプ260は、案内羽根250の中心部252の直下に位置するようになる。一方、案内羽根250による案内により、空気は円筒部材220の内側壁を沿って螺旋状に流れるため、案内羽根250の中心部252の直下(円筒部材220の円筒軸付近)は、空気が疎の状態となる。本実施形態では、この疎となる空間に紫外線ランプ260を設けることで、紫外線ランプ260によって空気の流れが乱れることを低減することができる。
【0038】
<円筒部材の構成>
本実施形態の円筒部材220は、内部で照射される紫外線が外部に漏れないようにするため、不透明となっている。また円筒部材220は、円筒の内側壁に、鏡面反射するフィルムを貼り付けた構成としてもよい。また、円筒の内側壁(円筒の内側壁に鏡面反射フィルムを貼った場合は当該フィルムの上)に、酸化チタンなどの光触媒をコーティングした構成としてもよい。
【0039】
円筒内を鏡面反射させることで、円筒部材220は、紫外線ランプ260から照射される紫外線を反射して、光量を増幅させることができる。また、案内羽根250による空気の案内により、円筒部材220の内側壁側は、中心部よりも空気が密の状態になり、その分、空気が円筒部材220の内側壁と接触する機会が増える。よって、円筒部材220の内側壁を光触媒でコーティングすることで、光触媒および紫外線によって生ずる酸化作用により、病原体を更に無害化することができる。
【0040】
<下部キャップの構成>
下部キャップ230は、上部キャップ210と同様、外部からの衝撃などを保護するための部材である。また下部キャップ230を不透明とすることで、円筒部材220の内部で照射される紫外線が外部に漏れるのを遮断することができる。
【0041】
下部キャップ230は、ファン240を内部に収容し、これを保護する部材である。下部キャップ230の近傍斜視図を
図7(A)に示し、下部キャップ230を開口部233の方から視認した場合の上面図を
図7(B)に示す。そして下部キャップ230を開口部234の方から視認した正面図を
図7(C)に示す。
【0042】
下部キャップ230の開口部233に円筒部材220が挿入されることで、下部キャップ230と円筒部材220とが連結する。また、下部キャップ230の孔231と円筒部材220側の孔220B(
図4参照)との位置を合致させてビズを通すことで、下部キャップ230と円筒部材220とが固定される。尚、下部キャップ230の孔231のいずれを用いて円筒部材220を固定するかによって、ファン240の排気口243(
図8参照)の向き、すなわち空気清浄装置200の排気の向きを調整することができる。
【0043】
孔232は、ファン240を下部キャップ230に固定するためのビズを通す孔である。下部キャップ230とファン240とは、ファン240の排気口243(
図8参照)と開口部234とが合致するように固定される。
【0044】
<ファンの構成>
図8(A)は、ファン240を上方より視認した場合の近傍斜視図であり、
図8(B)は軸241Aの方から視認した場合の上面図である。また
図8(C)は、ファン240を下方より視認した場合の近傍斜視図である。
図8(A)には、ファン240による空気の送風方向を破線矢印で示している。
【0045】
ファン240は、軸241Aで回転する回転羽根241を有しており、回転羽根241が回転することで、フレーム部材100から外気を取り入れ、上部キャップ210、案内羽根250、円筒部材220、下部キャップ230の順に空気を流す流路が形成される。すなわち、ファン240は、円筒部材220の一端(上部キャップ210側)から円筒部材220の内部に空気を取り入れ、取り入れた空気を円筒部材220の他端(下部キャップ230側)に向けて流す送風器として機能する。ファン240により、円筒部材220内に取り入れられて無害化処理された後の空気が、排気口243から排出される。
【0046】
穴242は、下部キャップ230の孔232とビズ留めされるための穴であり、このビズ留めにより、ファン240が下部キャップ230に固定される。
【0047】
<傾斜部材の構成>
本実施形態の空気清浄装置200では、上述の構成に加え、傾斜部材270が円筒部材220の排出口の端部側(円筒部材220と下部キャップ230との連結部分)に設けられている。
図9(A)は、本実施形態の傾斜部材270を上方より視認したときの近傍斜視図であり、
図9(B)は下面図である。そして
図9(C)は下方より傾斜部材270を視認したときの斜視図であり、
図9(D)は傾斜部材270の傾斜面272をシート状のフィルタで覆った状態を示す図である。尚、
図9(A)には、円筒部材220の円筒軸Cも図示している。
【0048】
傾斜部材270は、円筒部材220の排気口端部側に、傾斜面272を設けるための部材である。傾斜面272は、円筒部材220の内側壁と傾斜部材270の側面273とが当接して取り付けられた状態で、一方向に傾斜した姿勢になる。また傾斜面272の中央部には、通気孔271が設けられており、傾斜部材270が円筒部材220に取り付けられると、円筒部材220の円筒軸Cの軸上(傾斜面272の中央部)に通気孔271が位置する状態になる。
【0049】
尚、実際には、
図9(D)に示すように、傾斜部材270の傾斜面272は、シート状のフィルタ275で全面覆われる(通気孔271も覆われる)。フィルタ275は、シート状の布などを複数枚積層させた構成としてもよい。また使用済みのフィルタ275を新品のものに容易に取り替えるため、円筒部材220の排気口端部側の側壁を開口可能となる構成にしてもよい。尚、本実施形態では、傾斜部材270は円筒部材220や下部キャップ230に固定するものとするが、容易に取り替えることを可能にするため、円筒部材220や下部キャップ230に傾斜部材270を固定しなくてもよい。
【0050】
図10、
図11は、傾斜部材270を設ける場合の効果について説明する図である。
図10(A)は、傾斜部材270を設けない場合の円筒部材220内の風の流れを矢印で示した模式図である。また
図10(B)は、傾斜部材270ではなく、中央部に貫通孔を設けた平面板278で円筒部材220を塞いだ場合の風の流れを矢印で示した模式図である。
図11は、傾斜部材270を設けた場合の円筒部材220内の風の流れを矢印で示した模式図である。
【0051】
円筒部材220の排気口付近に何も設けない場合、
図10(A)に示すように、空気は螺旋状の進行を維持したまま、そのまま排気される。これに対して平面板278を設けると、
図10(B)に示すように、空気は平面板278によって遮られて排気口付近で乱流状態となり、中央部に設けられた平面板278の貫通孔から抜けるまで、円筒部材220の内部で滞留するようになる。よって、この滞留時間分、空気は紫外線に曝されることとなり、病原体の無害化処理を、
図10(A)のものよりも延長することができる。
【0052】
更に、
図11のように、一方向に傾斜した傾斜面272を有する傾斜部材270を設けることで、螺旋状に進行している空気は、傾斜面272で反射される。傾斜面272によって反射された空気は、反射前の勢いをある程度維持した状態で、上方に逆流する。すなわち、乱流の形成される領域が
図10(B)のものよりも広くなり、上方域にまで達する。このことから、円筒部材220内の空気の滞留時間も、
図10(B)のものに比べて長くなり、この滞留時間分、空気は紫外線に曝されることとなり、病原体の無害化処理を延長することができる。
【0053】
尚、
図10(B)に示す平面板278によっても空気は反射されるが、この場合、平面板278に対する入射の角度が浅いため、反射の角度も同様に浅くなり、水平寄りになる。よって、反射した空気が
図11に示す程度に上方には進まず、排気口の付近で乱流が形成される程度にとどまる。
【0054】
図9、
図11を参照すると、本実施形態の傾斜面272は、次のような特徴を有している。すなわち、傾斜面272は、円筒部材220の排気口の端部側に設けられた傾斜面であり、円筒部材220の円筒軸Cの軸上に通気孔271が位置している。また傾斜面272は、円筒軸Cを垂線とする面(平面板278やX-Y平面)に対して一方向(角度θの一定角度)に傾斜した傾斜面となっている。ここで「一方向」とは、傾斜面に対して水平横方向から当該傾斜面を視認した場合、傾斜面の勾配の値が正負で逆転しない様をあらわす(例えば、
図11の傾斜面272に示すように、常に左肩上がり(常に右肩下がり)となっている)。
【0055】
本実施形態の態様にすることで、円筒部材220の内部では、螺旋状に進行させて距離を稼ぐことができるため、紫外線の照射時間を長くすることができる。また螺旋状に進行した後の下流側に傾斜面272を設けることで、当該下流側では乱流が形成される。よって、更に空気を筒内に滞留させることができ、この分、紫外線を長時間照射することができる。
【0056】
<空気清浄システムの使用例>
以下、上述の空気清浄システム300の使用例について説明する。
【0057】
図12(A)は、対面式のテーブル1200に空気清浄システム300を取り付けた場合の状態を示す斜視図であり、
図12(B)は、二人の人がテーブル1200に対面で腰かけたときの状態を示す図である。
【0058】
フレーム部材100のパネル支持部110に、透明もしくは不透明の板状のパネル123を挟ませ、これを天板1201の中央部に置く。これにより、テーブル1200を挟んで対面した人同士を仕切るパネルを設置するとともに、空気清浄システム300の設置も、あわせて行うことができる。また、パネル123の転倒を防止するため、フレーム部材100の両側面には、足部材121が複数設けられている。
【0059】
テーブル1200を挟んで対面した人同士の会話や、くしゃみ、呼吸などによる呼気は、パネル123により遮られるため、対面している相手方の方には進まず、吸気動作を行っているフレーム部材100の内部に取り込まれる(
図12(B)参照)。フレーム部材100の内部に取り込まれた呼気(空気)は、空気清浄装置200の内部を螺旋状に進行し、紫外線照射によって無害化処理され、排気される。
【0060】
図12(A)の破線矢印で示すように、テーブル1200の天板1201の下側に方向づけをして排気することで、たとえ無害化しきれなかった病原体が排出されても、人の直接触れる機会の少ない卓上の下側に病原体を排気することができ、また、すぐに床面に病原体を着地させることができる。尚、空気清浄装置200の排気を、フレーム部材100の延設方向と平行となるように方向付けすることで、結果、テーブルに備え付けた場合に卓上の下側に病原体を排気する構成とすることができる。
【0061】
図12(A)の例では、長尺方向の寸法を30cmとした1つのフレーム部材100を、4つ連結させた構成を例示しているが、テーブルの寸法に応じて連結数を調整することができる。また
図12(A)においては、連結したフレーム部材100の一方端に空気清浄装置200を設ける構成としているが、両端に空気清浄装置200を設けてもよい(天板1201の両側面で空気清浄装置200がそれぞれぶら下がった状態となる)。
【0062】
図12の構成にすることで、飲食店内や企業のオフィス内など、飛沫防止用のパネルと空気清浄装置とを組にして、これらを同時に取り付けることができる。また、
図12に示す構成とすることで、テーブルの卓上(天板1201の上)などではなく、邪魔にならない自然な位置に空気清浄装置200を取り付けることができる。
【0063】
また、
図12に示す構成とすることで、人が長時間居続けるテーブル付近、すなわち、感染している人(病原体の発生源)や感染から守るべき人が長時間居続ける場所の付近に、飛沫防止用のパネルのみならず、空気清浄装置200も取り付けることができるため、感染防止に役立てることができる。
【0064】
図13は、室内を仕切るパーティション1300に空気清浄システム300を取り付けた構成を例示している。
図13の例では、パーティション1300の上方の位置で吸気し、高さ方向におけるパーティション1300の中央よりも下側で排気する構成例を図示している。尚、円筒部材220の部材の長さを、パーティション1300の高さに合わせて適宜変更することで、人が普段触れる機会の少ない、また清掃のしやすい床付近に排気することができる。
【0065】
図14は、室内の壁沿いに設けられたカウンターテーブル1400に、空気清浄システム300を取り付けた状態を例示する図である。
図14の例では、フレーム部材100をL字型に連結させ、カウンターテーブル1400の下側且つ室内壁の方に向けて排気するように、排気口が方向付けられている。このような向きに排気することで、人の直接触れる機会の少ない位置に、無害化しきれなかった病原体を排出することができる。
【0066】
尚、
図14の例では、角部に設けられたカウンターテーブル1400に空気清浄システム300を設けたため、L字型にフレーム部材100を配設したが、態様はこれに限定されず、邪魔にならない位置に壁に沿うように配設すればよい。
【0067】
図15は、室内の天井角部に空気清浄システム300を取り付けた状態を例示する図である。室内天井1500に例えば吊り下げ用のフックを取り付けておき、フレーム部材100の孔110A(
図2参照)にフックを通すことで、フレーム部材100を室内天井1500に吊るすことができる。また、
図15の例では、空気清浄装置200からの排気を、室内壁1501に沿って行うように方向付けされている。
【0068】
図16は、長椅子に空気清浄システム300を取り付けた状態を例示する図である。
図16の例では、人の顔に近い位置となる、長椅子1600の背もたれ1601の上部にフレーム部材100を設けている。また
図16の例では、人の触れる機会の少ない座面1602の下側に向けて排気するように、空気清浄装置200を設けている。
図12のテーブルに設ける例と同様に、
図16の例においても、人が長時間居続ける椅子の付近に、空気清浄装置200を取り付けることができるため、感染防止に役立てることができる。
【0069】
<その他のバリエーション>
以下、各図面を参照しつつ、空気清浄装置200を構成するユニットのその他のバリエーションについて説明する。
【0070】
<傾斜面のその他の構成>
図17(A)は、傾斜面を曲面272Aとした傾斜部材270Aを示す斜視図であり、
図17(B)は円筒部材220に傾斜部材270Aを取り付けた場合の側面図である。このように、
図9に示す平面状の傾斜部材270に替えて、曲面状の傾斜面を有する傾斜部材270Aを、空気清浄装置200に設けてもよい。
【0071】
尚、「傾斜」「傾斜面」の用語は、傾いて斜めになっている様を指すものとし、
図9に示すように平面による傾斜(傾斜面272のように、傾きの度合いが常に均等となっている傾斜)であってもよく、
図17に示すように曲面による傾斜(曲面272Aのように、傾きの度合いが位置によって変化する傾斜)であってもよい。また、
図17に示す曲面272Aは、下に突とした曲面となっているが、上に突となる曲面であってもよい。加えて、角度が複数段に変わる屈曲面でもよい。
【0072】
<吸気部のその他の構成>
図18は、
図4に示す上部キャップ210および案内羽根250により構成される吸気部を、上部キャップ280に変更した空気清浄装置200の分解図である。これ以外は、
図4の構成と同じである。
【0073】
図19(A)は、この上部キャップ280を上方より視認したときの近傍斜視図であり、
図19(B)は、開口部281の方から視認した場合の正面図である。また、
図19(C)は、上部キャップ280を開口部282の方から視認した場合の平面図(下面図)であり、
図19(D)は、
図19(C)に示す平面図に破線矢印で空気の流れを追加した図である。
【0074】
上部キャップ280は、これまでに説明した上部キャップ210、案内羽根250の構成とは異なり、上部キャップ280の単体のみで、円筒部材220の内部を螺旋状に進行させる吸気部となる。
【0075】
この単体構成を実現するため、上部キャップ280は、筒状壁面283と、側壁284とを有している。筒状壁面283は、上部キャップ280が円筒部材220に取り付けられることで、円筒部材220の内側壁と同一面となるように形成されている。側壁284は、開口部281から筒状壁面283に至るまでの流路を規定するための側面であり、筒状壁面283の一部と同一面となっている。開口部281から流入する空気は、側壁284を経由して円滑に筒状壁面283にまで導かれる。
【0076】
この構成により、開口部281から取り入れられた空気は、まずは側壁284に触れて、コアンダ効果により側壁284との接触を維持する傾向となる。そして、空気は、そのまま筒状壁面283に向かって進入し、筒状壁面283に触れると、コアンダ効果や遠心力などにより、筒状壁面283から離れないようにしながら円筒部材220の内部に進入する。円筒部材220の内部に進入した後、空気は、旋回を維持しながら螺旋状に進行する。
【0077】
<浄化装置のその他の構成>
紫外線ランプ260に替えて、紫外線を面で照射する面照射ランプを用いる構成について説明する。ここでは、例えば上述の特許文献2の技術のように、紫外線を照射する細管を複数並べて配置させて面構成にしたものを採用する。
【0078】
図20は、本実施形態に係る面照射ランプを例示した図であり、
図21は、面照射ランプを円筒部材220に設けるときの態様例を示した図である。
【0079】
面照射ランプ260Aは、鏡面フィルム2001の面上に、ミリ単位幅(2mm程度)の紫外線照射チューブ2002を、2~3mm程度の微小間隔ずつをあけて複数並べて配置した構成となっている。尚、紫外線照射チューブ2002の本数や寸法、間隔長などについては、これに限定されない。またここでは、紫外線を反射させて光量を増幅させるため、鏡面フィルム2001をベースシートとして用いているが、態様はこれに限定されない。
【0080】
紫外線照射チューブ2002の細管を、間隔をあけて配置することで、面照射ランプ260Aを湾曲、屈曲させるなどの加工が可能となり、フレキシブルに変形させて様々な部材形状に適用させることができる。ここでは、面照射ランプ260Aを丸めて円筒状にし、円筒部材220に取り付ける。
【0081】
図21(A)は、面照射ランプ260Aを3枚用意して、それぞれを円筒状にし、これらを円筒部材220の中にいれて内部を照射する構成を例示している。対して
図21(B)は、円筒状にした3枚の面照射ランプ260Aの内側に、円筒部材220を挿入させた構成を例示している。
図21(B)においても、透明な円筒部材220を用いることで、円筒部材220の内部に向けて紫外線を照射することができる。尚、面照射ランプ260Aの数などについてはこれに限定されず、1つでも複数でも構わない。
【0082】
図21(A)の構成の場合、
図21(B)の構成に比べて、面照射ランプ260Aから筒内部の空気に対して直接的に照射することができる反面、面照射ランプ260Aの凹凸表面(紫外線照射チューブ2002の有無により形成される凹凸表面)の影響により、空気の螺旋状の進行を乱すことも想定される。一方、
図21(B)の構成の場合、
図21(A)の構成に比べて、空気の螺旋状の進行は乱れないが、面照射ランプ260Aと筒内部の空気との間に円筒部材220の壁が介在するため、紫外線の一部は反射、吸収されてしまい、透過率が低下する。これらの利点/欠点を考慮し、より好適な実装とすることが好ましい。
【0083】
<空気清浄装置の単体化>
図22に示すように、これまでに説明した上部キャップ210、280を、吸気用キャップ290に取り替えることで、フレーム部材100の無い単体構成で空気清浄装置200を提供することができる。
【0084】
吸気用キャップ290は、側面を周回するように設けられるフィルタ部材291を有している。フィルタ部材291は、吸気用キャップ290の外気を内側に取り入れるための多数の貫通孔が形成された網目状の部材であり、空気中に浮遊している塵や埃などの異物を、空気清浄装置200の機内に取り込まないようにする。
【0085】
吸気用キャップ290の孔212Aは、ビズを用いて案内羽根250を吸気用キャップ290に固定するための孔である。孔213Aは、ビズを用いて吸気用キャップ290を円筒部材220に固定するための孔である。これらの孔にビズ留めすることより、吸気用キャップ290、案内羽根250は、円筒部材220に固定される。
【0086】
尚、空気清浄装置200の単体構成とする態様は、これに限定されない。例えば、上部キャップ210の開口部211、もしくは上部キャップ280の開口部281に、フィルタ部材を設けて異物を取り込まないようにして、空気清浄装置200を単体で提供してもよい。
【0087】
本実施形態で説明した各部材の形状は、あくまで一例であって限定されるものではない。例えば、フレーム部材100の断面形状を、本実施形態では矩形としているが、多角形や円(真円のみならず楕円も含む)であっても構わない。加えて、本実施形態で説明した各部材の大きさ、寸法も同様に、あくまで一例であって限定されるものではない。
【0088】
本実施形態の空気清浄装置200、空気清浄システム300は、主に室内で使用するものとして説明したが、屋外で使用しても構わない。また、空気清浄装置200、空気清浄システム300は、室内に排気するものとして説明したが、排気ダクトなどを設けて屋外に排気する構成であっても構わない。
【0089】
尚、本実施形態では、紫外線を照射して病原体を無害化する実装例を説明したが、態様はこれに限定されない。例えばオゾンを用いて無害化するなど、その他の無害化処理を実施する浄化装置を採用してもよい。
【0090】
送風器は、本実施形態のファン240に相当する。吸気部は、本実施形態の上部キャップ210と案内羽根250とを含んだ構成に相当し、もしくは上部キャップ280に相当する。吸気部は、本実施形態の吸気用キャップ290と案内羽根250とを含んだ構成としてもよい。浄化装置は、本実施形態の紫外線ランプ260もしくは面照射ランプ260Aに相当する。長尺部材、水平アタッチメントは、本実施形態の1つのフレーム部材100に相当し、もしくは複数のフレーム部材100を連結した構成に相当する。
【0091】
(第2実施形態)
第1実施形態では主に空気清浄装置に着目して説明したが、第2実施形態以降では、空気を吸入して空気清浄装置に送り込むアタッチメントに着目し、更なるバリエーションを例示する。
【0092】
図23は、第2実施形態に係る空気清浄システム300Aを示す図である。
図23(A)は空気清浄システム300Aの上方斜視図であり、
図23(B)は
図23(A)に示す領域Rの拡大図である。また
図23(C)は、
図23(A)とは異なる視点から空気清浄システム300Aを視認した場合の上方斜視図であり、主にパネル123の反対面を図示したものである。
【0093】
空気清浄システム300Aは、空気清浄装置600およびアタッチメント500を有する。
【0094】
空気清浄装置600は、上記の第1実施形態で説明した空気清浄装置200であってもよいが、これに限らず既存の空気清浄装置を採用してもよい。すなわち空気清浄装置600は、ファンの回転により装置内部に空気を取り入れ、取り入れた空気に内在する病原体(細菌やウィルスの相称)を無害化して排気するものであればよい。
【0095】
アタッチメント500は、空気清浄装置600と連接した部材であり、周囲の外気を取り入れて、取り入れた外気を空気清浄装置600まで案内するユニットである。アタッチメント500は、大きく2つのパーツに分けることができ、一つはフレーム部材510(=水平アタッチメント)であり、もう一つは蛇腹ホース530(=伸縮アタッチメント)である。フレーム部材510と蛇腹ホース530とは、連結部材540により連結されており、これら各部材同士は、例えばビズを用いて固定される。
【0096】
尚、以降の説明においては、フレーム部材510、蛇腹ホース530、連結部材540に限らず、各部材同士の固定方法については特に限定されない。ビズによる固定、突起部などを用いた係合などでもよく、態様によっては接着剤を用いた固定でもよい。
【0097】
蛇腹ホース530は、下方端部が空気清浄装置600の吸気口と通風可能に連接している。そして蛇腹ホース530は、他方の端部を空気清浄装置600から近接または離間させることができる、高さ方向に伸縮可能な部材であり、狙った高さで固定、維持することのできる部材である。伸縮アタッチメントとして、本実施形態では蛇腹ホース530を採用しているが、態様はこれに限定されない。例えば、短めの筒状部材を複数用意してこれらを連結していき、この連結段数を調整することで、狙った高さにする構成を採用してもよい。または、地震の際に家具などの転倒を防止する伸縮棒と同じ伸縮機構を採用してもよい。
【0098】
蛇腹ホース530を好適な高さに調整することで、
図23に示すように、テーブル1200の天板1201の面と接するようにフレーム部材510を配置させることができる。
【0099】
蛇腹ホース530の上方端部と連結している連結部材540は、例えば第1実施形態で説明した上部キャップ210(
図5参照)と同様の構成を有している。尚、第1実施形態における上部キャップ210は、案内羽根250(
図6参照)を内部に有するものとしたが、本実施形態の連結部材540には無くても構わない。
【0100】
フレーム部材510は、端部が連結部材540と連結する部材であり、空気清浄装置600に備えられるファンの吸気動作により、周囲の空気を内部に取り入れる部材である。この取り入れられた空気は、連結部材540、蛇腹ホース530を経由して、空気清浄装置600にまで到達する。
【0101】
フレーム部材510のそれぞれは、空気清浄装置600の吸気動作により引き寄せられた周囲の空気を、空気清浄装置600に向かうように案内する、水平方向に延びた部材である。フレーム部材510のそれぞれは、第1実施形態で説明したフレーム部材100と同様に、部材の長尺方向に通風可能となるように内部が空洞となっている(
図2(B)、(C)なども参照)。
図23では、フレーム部材510を3つ連結させた構成を例示しているが、1つのみでもよいし、テーブル1200のサイズに応じて連結数を調整してもよい。以下、1つのフレーム部材510もしくは複数連結したフレーム部材510のいずれに対しても、単にフレーム部材510と称する。
【0102】
フレーム部材510の内部と外部とを仕切る外装(外郭)には、内部と外部との間で通風可能となる孔511が、フレーム部材510の長尺方向に沿って複数並んで設けられている。
図23に示すフレーム部材510において、孔511のそれぞれは、フレーム部材510の長尺方向と同じ向きが長尺となっている長孔であり、上方に向けて開口するように設けられている。
【0103】
また孔511のそれぞれは、パネル123を挟んで左右両側で列を成すように設けられている(
図23(A)、(C)参照)。すなわちフレーム部材510は、パネル123を挟んで左右両側の周囲の空気を取り込むことができる。よって、
図12(B)に示すような、二名が対面でパネル123と面する席に座った場合、フレーム部材510は、パネル123により遮られた両者からの呼気や飛沫を、それぞれ孔511を介して内部に取り込むことができる。
【0104】
図23に示すアタッチメント500は、パネル123を立設させるための取付け具520を有している。取付け具520は、
図23においてフレーム部材510の長尺方向における両端に設けられているが、あくまで一例であり、パネル123を安定して立設させることができる位置や数であればよい。
【0105】
図24は、取付け具520の詳細を示す図であり、
図24(A)は取付け具520の斜視図、
図24(B)は正面図である。また
図24(C)は、
図24(B)に示す取付け具520を上下逆さまにした図である。
【0106】
取付け具520は、パネル123を両面から挟み込むパネル挟み部521(第2の挟み部)、およびフレーム部材510を、長尺方向を向いて左右両側面から挟み込むフレーム挟み部522(第1の挟み部)を有している。また取付け具520には、水平に張り出した足部523が設けられており、これにより、パネル123の転倒を抑制することができる。
【0107】
図24(A)、(B)は、いずれもパネル挟み部521を上側に、フレーム部材510を下側にした状態を図示している。すなわち
図23の各図面で示す取付け具520の状態となっているが、
図24(C)のように取付け具520を上下逆さまにして用いると、
図25に示すようにパネル123の上にフレーム部材510を設けることができる。
【0108】
図25は、
図23、
図24で説明したものと同じフレーム部材510および同じ取付け具520を用いているが、パネル123の上にフレーム部材510を設けた構成を図示している。また上方から視認した場合の斜視図を
図25(A)に、下方から視認した場合の斜視図を
図25(B)に示している。
【0109】
図25の例の場合、パネル123の下部には、転倒防止のための足部124が設けられる。そしてパネル123の上部に位置するフレーム部材510は、上下逆さまとなった取付け具520により支持される。
図25に示すフレーム部材510は、下向きに孔511が位置するように、
図23のものに対して上下逆さまに設けられる(
図25(B)参照)。このように下向きに孔511を設けることで、パネル123により遮られて留まっている呼気や飛沫を上方側で吸気することができる。
【0110】
尚、フレーム部材510、取付け具520、パネル123の各部材を固定してこれらを一体にし、加えて蛇腹ホース530を上方向に伸長させることで、フレーム部材510、取付け具520を介してパネル123をぶら下げる構成とすることができる。この場合、転倒防止の足部124は不要となる。また、このようにぶら下げる場合、透明のフィルムシートをパネルの代わりに採用しても構わない。
【0111】
図26は、同じ空気清浄システム300Aを用いた他の態様例を示す図であり、開口窓が設けられているパネルに適用させる場合を示す図である。
図26(A)に示すパネル123Aは、下部に開口窓125が設けられており、対面して着席した者同士は、開口窓125を介して物などを受け渡すことができる。このような開口窓125が設けられていると、たとえパネル123Aで仕切っていても、開口窓125を介して呼気や飛沫が相互に通過してしまう。
【0112】
よって
図26の例では、開口窓125の直上に、孔511が下向きとなるようにフレーム部材510を設ける(孔511が下向きであることについて、
図26(B)参照)。尚、フレーム部材510の高さは、上述のとおり蛇腹ホース610の伸縮により調整される。
【0113】
図27は、さらに別の態様例を示す図であり、
図27(A)は空気清浄システム300Aの上方斜視図である。そして
図27(B)は、
図27(A)とは異なる視点から空気清浄システム300Aを視認した場合の上方斜視図であり、主にパネル126の反対面を図示したものである。
【0114】
図27に示すパネル126は、薄型の箱状となっており、両側のパネル面(着席する人と対面する面)には、全面を占めるように多数の孔126Aが設けられている。
【0115】
パネル126は、空気清浄装置600の吸気動作により、孔126Aを介して外気を箱状の内部に取り込む。ここで、パネル126の箱状(六面体)の一部の面を無くした状態とすると、内部に取り込んだ空気がそこから外に漏れてしまい、効率がよくない。よって本実施形態では、パネル126の六面の全てを閉じるものとし、孔126A以外での外部との通気は行わない構成とする。
【0116】
また、パネル126の箱状内部の下側には、上向きに孔511を配したフレーム部材510が設けられており、パネル126の箱状内部の空気を取り込む。すなわち、人の発した呼気や飛沫などを含んだ空気は、空気清浄装置600の吸気動作によって、孔126A、孔511を介して、最終的には空気清浄装置600に取り込まれ、浄化処理される。
【0117】
第2実施形態では、蛇腹ホース610で例示したような伸縮可能な伸縮アタッチメント、および連結数を任意に変更することで伸縮可能な水平アタッチメントを用いる態様を説明した。これにより、所望する任意の位置の空気を吸い込ませることができる。また、水平アタッチメントであるフレーム部材510を、仕切り部材であるパネル123の上辺部又は下辺部に沿わせることができ、利用者の要望や設置場所の状況に応じた構成にすることができる。
【0118】
(第3実施形態)
図28は、上記の第2実施形態とは異なるフレーム部材を用いた態様を示す図であり、
図28(A)は第3実施形態の空気清浄システム300Bを斜め上方より視認した場合の斜視図、
図28(B)は下方より視認した場合の斜視図である。
【0119】
図28に示すアタッチメント502のフレーム部材510Aは、水平方向に延設された部材であることについては、上記の第2実施形態と同様であるが、フレーム部材510Aを複数用いて、連結部540Aで交差させて十字型の放射状とした構造となっている。そしてフレーム部材510Aと蛇腹ホース530の上方端部とが、連結部540Aで連結した構造となっている。
【0120】
フレーム部材510Aには、上記の第2実施形態と同様に複数の孔511が設けられており、これら孔511が下方向を向くように設けられる(
図28(B)参照)。そしてフレーム部材510Aのそれぞれは、透明フィルムシート127を把持して吊り下げることができる。
【0121】
正方形のテーブル1200の四辺の位置に着席した人は、それぞれ透明フィルムシート127で仕切られる。そして着席した人の発する呼気や飛沫は、透明フィルムシート127により遮られ、吸気側となる上方へ向かっていき、フレーム部材510Aの内部に取り込まれる。その後、取り込まれた空気は蛇腹ホース610を介して空気清浄装置600まで向かい、処理される。
【0122】
図29を用いて第3実施形態における他のバリエーションを例示する。
図29(A)は、
図28の構成を真上から視認した場合の図である。そして
図29(B)は、近くに並んだ2つのテーブル1200A、1200Bの間に、十字型に放射したフレーム部材510Aを配置した図である。このように配置することで、対面の席のみならず、テーブル1200A、1200Bとの間も仕切ることができる。
【0123】
また、上記を応用することで、例えば
図29(C)に示すようなテーブルレイアウトにしても、各着席者を仕切ることができる。
【0124】
第3実施形態では、任意の点(連結部540A)から放射するように各フレーム部材を配置するものとした。このような構成を有することで、対面で着席する以外でも、横並びや斜めに座ったり、囲むように座ったりしても、各人を仕切ることができ、各人から発する呼気や飛沫を透明フィルムシート127で遮って、フレーム部材の内部に取り込むことができる。
【0125】
(第4実施形態)
第4実施形態では、空気を上下の一方向に流して周囲の空気を取り込むジェット流(以下「エアカーテン」と称する)を生成することについて説明する。これにより、パネルなどの仕切り部材を設けることなく、呼気や飛沫を取り込むことができる。
【0126】
図30は、第4実施形態の態様を説明するための図であり、
図30(A)は第4実施形態の空気清浄システム300Cを斜め上方より視認する場合の斜視図である。そして
図30(B)は空気の流れを矢印で示した正面模式図である。
【0127】
第4実施形態では、空気清浄装置600を、床ではなくテーブル1200の上に設ける。またアタッチメント503は、垂直方向に伸縮可能な蛇腹ホース530と、水平方向に設けられたフレーム部材515Aとを有しており、これらを連結部材540で連結する構成となっている。この構成までは、上述の第2、第3実施形態と同様であるが、第4実施形態では、これに加えて空気清浄装置600の排気口にフレーム部材515B(第2の水平アタッチメント)を連結させる。フレーム部材515Aとフレーム部材515Bとは、同じ形状をしており、長尺方向に長孔512Aをそれぞれ有している。フレーム部材515Aとフレーム部材515Bとは、それぞれに設けられた長孔512Aが相互に対面となり、且つ平行となるように設けられている。
【0128】
このようなアタッチメント503の構成とすることで、
図30(B)の矢印に示す空気の循環を実現することができる。すなわち、空気清浄装置600の吸気動作により、周囲の空気は上側のフレーム部材515Aで取り込まれ、蛇腹ホース530を介して空気清浄装置600まで進む。そして空気清浄装置600で処理された後の空気は、下側のフレーム部材515Bから排気される。この排気された空気は、上側のフレーム部材515Aに改めて取り込まれることとなる。このように、テーブル1200上の空気は循環するようになる。
【0129】
上側のフレーム部材515Aでの吸気および下側のフレーム部材515Bからの排気に勢いがあると、周囲の空気は、これに巻き込まれて上側のフレーム部材515Aに取り込まれる。よって、着席した人から発する呼気や飛沫は、上方に向かうように方向付けられてフレーム部材515Aに取り込まれる。これにより「エアカーテン」を形成することができる。
【0130】
尚、ここではエアカーテンのみで空気を遮るものとしているが、各着席者を仕切るためのパネルやフィルムシートを補助的に設けても当然構わない。また、上側を排気側とし、下側を吸気側としたエアカーテンを形成してもよい。
【0131】
(第5実施形態)
第5実施形態では、ベッドで横になっている患者が発する呼気や飛沫を可能な限り取り込んで処理するための態様について説明する。
図31(A)は、第5実施形態の空気清浄システム300Dを斜め上方より視認する場合の斜視図であり、
図31(B)は正面図、
図31(C)は側面図である。
【0132】
第5実施形態では、ベッドに横になっている患者801の上半身(ヘッドボード701側)を、透明フィルムシート128で囲んで仕切る。フィルムシート固定具702は、ベッド700のヘッドボード701に固定されており、患者801を囲む空間領域を形成するための枠である。尚、
図31においては、利便性の観点で患者801と対面する側の面S1については透明フィルムシート128を設けていないが、全周を囲むように透明フィルムシート128を設けてもよい。
【0133】
透明フィルムシート128により形成される側面S2には、筒状のフレーム部材510Cを通すための孔が設けられており、この孔が、患者801を囲んだ領域内部の空気を吸気する吸気用孔511Aとなる。
【0134】
筒状のフレーム部材510Cは、
図31(A)、(B)などの示すように、水平方向となるように設けられており、連結部材540の一方端と通風可能なように連結している。また連結部材540の他方端は、蛇腹ホース530の端部と通風可能に連結している。第5実施形態のアタッチメント505は、このように筒状のフレーム部材510C、連結部材540、蛇腹ホース530を含むように構成され、空気清浄装置600と連結したものである。すなわち、これまでに説明した各実施形態と同様の構成を有している。
【0135】
筒状のフレーム部材510Cは、空気清浄装置600の吸気動作により患者801を囲んだ領域内部の空気を取り込み、この取り込まれた空気が連結部材540、蛇腹ホース530を介して空気清浄装置600まで進む。そして、空気清浄装置600で浄化されて排気される。このように患者801を囲んだ領域内部の空気が常に排気され続けるため、当該領域内部は減圧傾向となることから、気圧差により、患者801が発する呼気、飛沫が外に漏れ出るのを抑えることができる。
【0136】
(第6実施形態)
第6実施形態では、集音装置(マイク)を用いて演説したり、歌ったりする際の呼気や飛沫を取り込む態様例を説明する。
【0137】
図32は、第6実施形態の空気清浄システム300Eの構成例を示す図であり、
図32(A)は斜め上方より視認した場合の斜視図、
図32(B)は背面側より視認した場合の斜視図である。また、
図32(C)は空気清浄システム300Eの正面図、
図32(D)は側面図である。そして、
図32(E)は空気清浄システム300Eの使用態様を説明するための図である。
【0138】
空気清浄システム300Eは、水平方向に延設するように設けられ、水平面を形成する水平部材510Dと、当該水平部材510D上に設けられて垂直方向に立設する湾曲したパネル129を有する。
【0139】
また水平部材510Dは、当該水平部材510Dの長尺方向における中央部に位置する連結部540Bを介して、蛇腹ホース530と連結している。空気清浄装置600の吸気動作により、水平部材510Dの周囲の空気は、連結部540B、蛇腹ホース530を介して空気清浄装置600に取り込まれて処理される(水平部材510Dは、当該水平部材510Dの長尺方向における中央部に空気が向かうように案内する)。
【0140】
空気清浄システム300Eは、
図32(E)に示すように、マイク900を用いて演説したり歌ったりする人の呼気や飛沫を、パネル129で遮ることで前方へ向かうのを抑止する(実線矢印)。水平部材510Dは、パネル129により遮られて周囲に留まった呼気や飛沫を、連結部540Bまで案内する(破線矢印)。
【0141】
水平アタッチメントは、フレーム部材100、510、510A、510C、515A、水平部材510Dに相当し、第2の水平アタッチメントは、フレーム部材515Bに相当する。伸縮アタッチメントは、蛇腹ホース530に相当する。連結部は、連結部材540、連結部540A、連結部540Bに相当する。そして仕切り部材は、パネル123、123A、126、129、透明フィルムシート127、128に相当する。
【0142】
上記のいずれの実施形態においても、水平アタッチメントを有する構成が示されている。すなわち、空気清浄装置の吸気動作により引き寄せられた周囲の空気を、当該空気清浄装置に向かうように案内する、水平方向に延びた部材である水平アタッチメントを有する構成が各実施形態には示されている。また伸縮アタッチメントは、各実施形態では上下方向(高さ方向)に伸縮自在であるものとして説明したが、この伸縮方向についてはこれに限定されず、斜め上や斜め下などでもよい。伸縮アタッチメントは、一方の端部が空気清浄装置の吸気口と通風可能に連接しているアタッチメントであり、他方の端部を空気清浄装置から近接または離間させる、伸縮可能な部材であればよい。
【0143】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0144】
100:フレーム部材、110:パネル支持部、110A:孔、
120:枠体、120A:上部材、120B:下部材、
120C:破線円、121:足部材、123、123A:パネル、
124:足部、125:開口窓、126:パネル、126A:孔、
127、128:透明フィルムシート、
129:パネル、130:吸い込みスリット、140:板部材、
150:エンドキャップ、160:開口端部、200:空気清浄装置、
210:上部キャップ、211:開口部、212、212A:孔、
213:L字型溝、213A、214:孔、220:円筒部材、
220A、220B:孔、230:下部キャップ、231、232:孔、
233、234:開口部、240:ファン、241:回転羽根、
241A:軸、242:穴、243:排気口、250:案内羽根、
251:ブレード、252:中心部、253:隙間、260:紫外線ランプ、
260A:面照射ランプ、261:口金、270、270A:傾斜部材、
271:通気孔、272:傾斜面、272A:曲面、273:側面、
275:フィルタ、278:平面板、280:上部キャップ、
281、282:開口部、283:筒状壁面、284:側壁、
290:吸気用キャップ、291:フィルタ部材、
300、300A、300B、300C、300D、300E:空気清浄システム、
500、502、503、505:アタッチメント、
510、510A、510C:フレーム部材、510D:水平部材、
511:孔、511A:吸気用孔、512A:長孔、
515A、515B:フレーム部材、520:取付け具、521:パネル挟み部、
522:フレーム挟み部、523:足部、530:蛇腹ホース、
540:連結部材、540A、540B:連結部、600:空気清浄装置、
610:蛇腹ホース、700:ベッド、701:ヘッドボード、
702:フィルムシート固定具、801:患者、900:マイク、
1200、1200A、1200B:テーブル、
1201:天板、1300:パーティション、1400:カウンターテーブル、
1500:室内天井、1501:室内壁、1600:長椅子、
1601:背もたれ、1602:座面、2001:鏡面フィルム、
2002:紫外線照射チューブ。