(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162648
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】交流直流変換装置、交流変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/06 20060101AFI20221018BHJP
H02M 7/10 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
H02M7/06 S
H02M7/06 G
H02M7/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067547
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】木内 康太
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006CA07
5H006CB01
5H006CB04
5H006CB09
5H006CC02
5H006DA04
5H006DB01
5H006DC05
(57)【要約】
【課題】構成が簡素な交流直流変換装置や交流変換装置を提供する。
【解決手段】インバータ装置10は、入力される3相の交流電圧を直流電圧に整流するコンバータ11と、整流された直流電圧を平滑する平滑コンデンサ121と、平滑コンデンサ121と直列に接続される増圧コンデンサ122と、入力される3相の交流電圧によって増圧コンデンサ122を充電する充電経路124が形成され、充電された増圧コンデンサ122によってコンバータ11が出力する直流電圧を増加させる増圧モードと、充電経路124が形成されない通常モードを切替可能なモード切替部50と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される交流電圧を直流電圧に整流する整流部と、
整流された直流電圧を平滑する平滑コンデンサと、
前記平滑コンデンサと直列に接続される増圧コンデンサと、
入力される交流電圧によって前記増圧コンデンサを充電する充電経路が形成され、充電された前記増圧コンデンサによって前記整流部が出力する直流電圧を増加させる増圧モードと、前記充電経路が形成されない通常モードを切替可能なモード切替部と、
を備える交流直流変換装置。
【請求項2】
前記整流部には互いに位相が異なる多相の交流電圧が入力され、
前記充電経路は前記多相の交流電圧のうち少なくとも一つの相の交流電圧を前記平滑コンデンサおよび前記増圧コンデンサの接続部分に加える経路である、
請求項1に記載の交流直流変換装置。
【請求項3】
前記増圧モードにおいて前記整流部が出力する直流電圧は、前記通常モードにおいて前記整流部が出力する直流電圧の定数倍である請求項1または2に記載の交流直流変換装置。
【請求項4】
前記整流部によって整流された直流電圧を降圧する降圧部を更に備える請求項1から3のいずれかに記載の交流直流変換装置。
【請求項5】
前記降圧部は前記整流部によって整流された直流電圧を所定の目標電圧まで降圧し、
前記モード切替部は前記通常モードにおいて前記整流部が出力する直流電圧が前記目標電圧より低い場合に前記増圧モードに切り替える、
請求項4に記載の交流直流変換装置。
【請求項6】
入力される交流電圧を直流電圧に整流する整流部と、
整流された直流電圧を平滑する平滑コンデンサと、
前記平滑コンデンサと直列に接続される増圧コンデンサと、
入力される交流電圧によって前記増圧コンデンサを充電する充電経路が形成され、充電された前記増圧コンデンサによって前記整流部が出力する直流電圧を増加させる増圧モードと、前記充電経路が形成されない通常モードを切替可能なモード切替部と、
前記整流部によって整流された直流電圧を降圧する降圧部と、
前記降圧部によって降圧された直流電圧を交流電圧に変換する直流交流変換部と、
を備える交流変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は交流電圧を直流電圧に変換する技術および交流電圧を交流電圧に変換する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
交流電圧を直流電圧に変換する交流直流変換装置として
図1に示す構成のものが知られている。この交流直流変換装置は、入力される3相の交流電圧を直流電圧に整流するコンバータ11と、直流電圧を平滑する平滑コンデンサ12と、直流電圧を降圧する降圧回路30と、直流電圧を昇圧する昇圧回路40を備える。コンバータ11は、3相の交流電圧を一定の方向(図の下から上に向かう方向)に整流するダイオード111~116を備える。降圧回路30は、降圧のためのスイッチング動作を行うトランジスタ31と、ダイオード32と、インダクタ33を備える。昇圧回路40は、昇圧のためのスイッチング動作を行うトランジスタ41と、ダイオード42を備える。インダクタ33は、降圧回路30と昇圧回路40で共用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1の交流直流変換装置に降圧回路30と昇圧回路40の両方が設けられているのは、コンバータ11で整流後の直流電圧が目標電圧より高い場合と低い場合があるためである。
図1の右表はコンバータ11に入力される交流電圧とコンバータ11で整流後の直流電圧(入力交流電圧の√2倍)を示すが、整流後の直流電圧が目標電圧の320Vより高い場合と低い場合がある。整流後の直流電圧が目標電圧320Vより高い場合は降圧回路30によって目標電圧まで降圧し、整流後の直流電圧が目標電圧320Vより低い場合は昇圧回路40によって目標電圧まで昇圧する。このように、コンバータ11で整流後の直流電圧が目標電圧より高くも低くもなり得る場合、降圧回路30と昇圧回路40の両方が必要となるため、構成の複雑化やコストの増大を招いていた。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、構成が簡素な交流直流変換装置や交流変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の交流直流変換装置は、入力される交流電圧を直流電圧に整流する整流部と、整流された直流電圧を平滑する平滑コンデンサと、平滑コンデンサと直列に接続される増圧コンデンサと、入力される交流電圧によって増圧コンデンサを充電する充電経路が形成され、充電された増圧コンデンサによって整流部が出力する直流電圧を増加させる増圧モードと、充電経路が形成されない通常モードを切替可能なモード切替部と、を備える。
【0007】
この態様によれば、増圧コンデンサを利用した増圧モードによって、整流部が出力する直流電圧を増加させることができるため、整流部の後段に昇圧回路を設ける必要がなくなる。
【0008】
本発明の別の態様は、交流変換装置である。この装置は、入力される交流電圧を直流電圧に整流する整流部と、整流された直流電圧を平滑する平滑コンデンサと、平滑コンデンサと直列に接続される増圧コンデンサと、入力される交流電圧によって増圧コンデンサを充電する充電経路が形成され、充電された増圧コンデンサによって整流部が出力する直流電圧を増加させる増圧モードと、充電経路が形成されない通常モードを切替可能なモード切替部と、整流部が出力する直流電圧を交流電圧に変換する直流交流変換部と、を備える。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、構成が簡素な交流直流変換装置や交流変換装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】
図1の例に対して本実施形態を適用した例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。説明および図面において同一または同等の構成要素、部材、処理には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。図示される各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。実施形態は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。実施形態に記載されるすべての特徴やその組合せは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0013】
図2は、本発明の交流変換装置の実施形態としてのインバータ装置10の構成を概略的に示す。インバータ装置10は、交流電源から入力される互いに位相が異なる多相の交流電圧を整流して直流電圧に変換する整流部としてのコンバータ11と、コンバータ11で整流された直流電圧を平滑して波形を整える平滑コンデンサ121と、コンバータ11によって整流された直流電圧を降圧する降圧部としての降圧回路30と、降圧回路30で降圧された直流電圧を平滑して波形を整える平滑コンデンサ130と、降圧回路30によって降圧された直流電圧を交流電圧に変換する直流交流変換部としてのインバータ13を備える。
【0014】
コンバータ11は、交流電源から入力される3相(U,V,W)の交流電圧を一定の方向(図の下から上に向かう方向)に整流するダイオード111~116を備える。ダイオード111はU相の交流電圧が正の時に電流を流し、ダイオード112はU相の交流電圧が負の時に電流を流し、ダイオード113はV相の交流電圧が正の時に電流を流し、ダイオード114はV相の交流電圧が負の時に電流を流し、ダイオード115はW相の交流電圧が正の時に電流を流し、ダイオード116はW相の交流電圧が負の時に電流を流す。これらのブリッジ状に接続されたダイオード111~116によって、コンバータ11の高電位出力端子117と低電位出力端子118の間には、方向が一定で大きさが変動する脈流が現われる。平滑コンデンサ121および後述する増圧コンデンサ122は、コンバータ11で得られた脈流を平滑して波形の整った直流電圧を生成する。
【0015】
降圧回路30は、コンバータ11の高電位出力端子117に接続され、降圧のためのスイッチング動作を行うトランジスタ31と、トランジスタ31の出力段とコンバータ11の低電位出力端子118の間に接続され、低電位側から高電位側に電流を流すダイオード32と、トランジスタ31の出力段に接続され、降圧された直流電圧を出力するインダクタ33を備える。トランジスタ31がオンの時はコンバータ11の高電位出力端子117からの高電位VDCがインダクタ33に加わり、トランジスタ31がオフの時はダイオード32を介してコンバータ11の低電位出力端子118からの低電位Vssがインダクタ33に加わる。
【0016】
この結果、インダクタ33はトランジスタ31のオンとオフの比に応じた高電位VDCと低電位Vssの間の直流電位Voutを出力する。すなわち、降圧回路30の動作周期Tにおけるトランジスタ31のオン時間をTON、オフ時間をTOFFとすれば(T=TON+TOFF)、Vout≒(TONVDC+TOFFVss)/(TON+TOFF)と表される。このような降圧回路30によれば、コンバータ11が出力した高電位VDCを、高電位VDC以下かつ低電位Vss以上の任意の直流電位Voutまで降下させることができる。極端な場合として、降圧回路30の動作周期Tでトランジスタ31が常にオンの場合(T=TON)はVout≒VDCとなって高電位VDCは降下せず、降圧回路30の動作周期Tでトランジスタ31が常にオフの場合(T=TOFF)はVout≒Vssとなって高電位VDCは最低電位Vssまで降下する。
【0017】
以上の構成において、コンバータ11、平滑コンデンサ121(および増圧コンデンサ122)、降圧回路30(および平滑コンデンサ130)は、交流電源から入力される交流電圧を直流電圧に変換する本発明の交流直流変換装置を構成する。このような交流直流変換装置を経て、インバータ13の高電位入力端子131と低電位入力端子132の間に入力される直流電圧をVinと表す。高電位入力端子131が接続される高電位入力ラインの電位をVdd、低電位入力端子132が接続される低電位入力ラインの電位をVssとすれば、Vin=Vdd-Vssである。ここで、高電位入力ラインの電位Vddは、インダクタ33が出力する直流電位Voutに等しい。以下、特に断らない限り、Vinは一定(例えば、後述する目標電圧320V)とする。
【0018】
インバータ13は、高電位入力端子131と低電位入力端子132の間で入力される直流電圧Vinを3相の交流電圧に変換する。具体的には、直流電圧Vinに基づいてU相の交流電圧を生成するU相インバータ13Uと、直流電圧Vinに基づいてV相の交流電圧を生成するV相インバータ13Vと、直流電圧Vinに基づいてW相の交流電圧を生成するW相インバータ13Wが並列に設けられる。各相のインバータ13U、13V、13Wの構成は共通であるため、以下では適宜インバータ13と総称してまとめて説明する。
【0019】
インバータ13は、高い直流電源電位Vddが入力される高電位入力端子131と、低い直流電源電位Vssが入力される低電位入力端子132と、高電位入力端子131と低電位入力端子132の間に設けられてVddとVssの間で変動する交流電圧を出力する出力端子133を備える。高電位入力端子131と出力端子133の間には高電位トランジスタ134Hが接続され、低電位入力端子132と出力端子133の間には低電位トランジスタ134Lが接続される。高電位トランジスタ134Hは、その制御電極に接続された高電位ドライバ135Hからの制御信号に応じて導通状態が切り替えられる。低電位トランジスタ134Lは、その制御電極に接続された低電位ドライバ135Lからの制御信号に応じて導通状態が切り替えられる。
【0020】
具体的には、高電位ドライバ135Hおよび低電位ドライバ135Lからなるドライバ対135は、高電位トランジスタ134Hおよび低電位トランジスタ134Lからなるトランジスタ対134の導通状態を相補的に切り替えるスイッチング制御を行うことで直流電圧を交流電圧に変換する。ここで「相補的に切り替える」とは、各トランジスタ134H、134Lのオンとオフの状態が互いに逆となるように制御することを意味する。すなわち、トランジスタ134Hがオンの時はトランジスタ134Lをオフとし、トランジスタ134Lがオンの時はトランジスタ134Hをオフとする。これによって、高電位トランジスタ134Hがオンの時は出力端子133に高電位Vddが現われ、低電位トランジスタ134Lがオンの時は出力端子133に低電位Vssが現われる。このようなスイッチング制御を周期的に繰り返すことで、出力端子133には高電位Vddと低電位Vssが交互に現われるため交流電圧が生成される。
【0021】
インバータ13で生成された3相の交流電圧は、例えばモータ20の駆動に使用される。モータ20は、U相、V相、W相の3相のコイル20U、20V、20Wを持つ3相ブラシレスモータである。U相コイル20UにはU相インバータ13UからのU相電圧が印加されてU相電流が流れ、V相コイル20VにはV相インバータ13VからのV相電圧が印加されてV相電流が流れ、W相コイル20WにはW相インバータ13WからのW相電圧が印加されてW相電流が流れる。各相のインバータ13U、13V、13Wは、モータ20のホール素子H1、H2、H3が検知した回転子の回転位置に基づき、互いに位相が異なる交流電圧を各相のコイル20U、20V、20Wに印加することで回転磁界を発生させる。この回転磁界によって回転する回転子から所望の回転動力が得られる。なお、モータ20は、交流電圧で駆動される他のタイプのモータでもよい。また、モータ20の相の数は3に限られず任意の自然数でよい。同様に、コンバータ11に入力される交流電圧の相の数も3に限られず任意の自然数でよい。
【0022】
続いて、コンバータ11が出力する直流電圧VDCを増加させるための増圧コンデンサ122について説明する。増圧コンデンサ122は平滑コンデンサ121と等しい容量を持ち、コンバータ11の高電位出力端子117と低電位出力端子118の間に平滑コンデンサ121と直列に接続される。平滑コンデンサ121は高電位側に配置され、増圧コンデンサ122は低電位側に配置される。
【0023】
平滑コンデンサ121と増圧コンデンサ122の接続部分123と、交流電源からコンバータ11に入力される3相の交流電圧のうち少なくとも一つの任意の相(図示の例ではW相)の交流電圧の入力端子の間には、第1接点61と第2接点62の間で切替可能なスイッチ60が設けられる。スイッチ60が第1接点61に接続されている時は通常モードでコンバータ11が動作し、スイッチ60が第2接点62に接続されている時は後述する増圧モードでコンバータ11が動作する。
【0024】
増圧モードでは、W相の交流電圧を平滑コンデンサ121と増圧コンデンサ122の接続部分123に加える充電経路124が形成される。この充電経路124によってW相の交流電圧が正の時に増圧コンデンサ122が充電され、充電された増圧コンデンサ122によってコンバータ11が出力する直流電圧(VDC-Vss)が増加する。
【0025】
W相の交流電圧が正の時は、W相の交流電圧によって正電位となる接続部分123と、U相またはV相の交流電圧によって負電位となる低電位出力端子118の間に加わるWU相間電圧またはWV相間電圧によって、増圧コンデンサ122がピーク電圧Vpまで充電される。また、W相の交流電圧が負の時は、U相またはV相の交流電圧によって正電位となる高電位出力端子117と、W相の交流電圧によって負電位となる接続部分123の間に加わるUW相間電圧またはVW相間電圧によって、平滑コンデンサ121がピーク電圧Vpまで充電される。この結果、コンバータ11の出力端子117、118間には、平滑コンデンサ121と増圧コンデンサ122の電圧の和である2Vpが現れる。
【0026】
以上のような増圧モードに対し、スイッチ60が第1接点61に接続されている通常モードでは、平滑コンデンサ121および増圧コンデンサ122は一つのコンデンサとして機能し、UVW各相間電圧によって全体としてピーク電圧Vpまで充電される。この結果、コンバータ11の出力端子117、118間にはピーク電圧Vpが現れる。このように、増圧モードにおいてコンバータ11が出力する直流電圧(2Vp)は、通常モードにおいてコンバータ11が出力する直流電圧(Vp)の定数倍(2倍)になっている。
【0027】
図示の例は平滑コンデンサ121に一個の増圧コンデンサ122を組み合わせて通常の2倍の出力電圧を得るものだが、二個以上の増圧コンデンサを組み合わせれば通常の3倍以上の出力電圧が得られる。このような回路は、電圧逓倍回路や電圧増倍回路と呼ばれており、多段のコンデンサとダイオードによって構成されたコッククロフト・ウォルトン回路等が知られている。
【0028】
以上のような通常モードと増圧モードを切り替えるためにモード切替部50が設けられる。モード切替部50は、通常モードにおいてコンバータ11が出力する直流電圧が所定の目標電圧より低い場合に増圧モードに切り替える。具体的には、モード切替部50は交流電源からコンバータ11に入力される3相の交流電圧のうち少なくとも一つの相の交流電圧をモニタし、そこから演算されるコンバータ11の出力電圧と目標電圧の比較結果に応じて、スイッチ60を第1接点61と第2接点62の間で切り替えて通常モードと増圧モードを切り替える。
【0029】
図1の表に関して説明したように、「整流後」と示されるコンバータ11の出力電圧は、「AC入力」と示されるコンバータ11の入力電圧の√2倍と演算できる。従って、図示の例では、コンバータ11の入力電圧が180V-220Vであれば、通常モードにおけるコンバータ11の出力電圧が目標電圧である320Vより低くなることが分かる。そこで、モード切替部50は増圧モードに切り替えることで、コンバータ11の出力電圧が目標電圧320Vより高くなるようにする。一方、コンバータ11の入力電圧が230V-265Vであれば、通常モードにおけるコンバータ11の出力電圧が目標電圧である320Vより高くなることが分かる。この場合、モード切替部50はコンバータ11を通常モードで動作させる。
【0030】
図3は
図1の例に対して本実施形態を適用した例を示す。前述の通り、コンバータ11の入力電圧が180V-220Vの場合、モード切替部50によってコンバータ11が増圧モード(倍電圧整流)で動作する結果、コンバータ11の出力電圧(整流後)が目標電圧320Vより高くなる。一方、コンバータ11の入力電圧が230V-265Vの場合、コンバータ11は通常モード(一般整流)で動作し、増圧モードにしなくても目標電圧320Vより高い直流電圧が出力される。
【0031】
このように、適宜増圧モードを利用することで、コンバータ11の入力電圧によらず、コンバータ11の出力電圧が目標電圧より高くなる。コンバータ11の後段の降圧回路30は、コンバータ11の出力電圧を降圧することで目標電圧(320V)を生成できる。
図1のようにコンバータ11の後段に昇圧回路40を設ける必要がなくなるため、構成を簡素化できコストを低減できる。
【0032】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明した。実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0033】
なお、実施形態で説明した各装置の機能構成はハードウェア資源またはソフトウェア資源により、あるいはハードウェア資源とソフトウェア資源の協働により実現できる。ハードウェア資源としてプロセッサ、ROM、RAM、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源としてオペレーティングシステム、アプリケーション等のプログラムを利用できる。
【符号の説明】
【0034】
10 インバータ装置、11 コンバータ、13 インバータ、20 モータ、30 降圧回路、50 モード切替部、60 スイッチ、121 平滑コンデンサ、122 増圧コンデンサ、123 接続部分、124 充電経路。