(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162659
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】塵芥収集装置および塵芥収集車
(51)【国際特許分類】
B65F 3/00 20060101AFI20221018BHJP
【FI】
B65F3/00 A
B65F3/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067571
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牛尾 昌史
【テーマコード(参考)】
3E024
【Fターム(参考)】
3E024AA06
3E024BA01
3E024CA03
3E024CA16
3E024EA04
3E024HB03
3E024HB04
3E024HC02
3E024HD03
3E024HD04
3E024HD05
3E024HD06
3E024HE02
(57)【要約】
【課題】低価格な構造によって積載重量を計測可能な塵芥収集装置および塵芥収集車を提供する。
【解決手段】塵芥収集装置100は、外部から投入された塵芥を収容する塵芥収容箱と、塵芥の投入に際し、作業者から操作される受付手段63と、受付手段63の操作に応じて投入信号を発する投入信号発生部7と、投入信号の数をカウントするカウント部81と、塵芥に対して予め設定された重量データを記憶する記憶部82と、投入信号のカウント数と、重量データとに基づいて、投入された塵芥の総重量を演算する演算部83と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から投入された塵芥を収容する塵芥収容箱と、
塵芥の投入に際し、作業者から操作される受付手段と、
前記受付手段の操作に応じて投入信号を発する投入信号発生部と、
前記投入信号の数をカウントするカウント部と、
塵芥に対して予め設定された重量データを記憶する記憶部と、
前記投入信号のカウント数と、前記重量データとに基づいて、投入された塵芥の総重量を演算する演算部と、を備える、塵芥収集装置。
【請求項2】
前記受付手段は、塵芥のサイズの指定を受け付け、
前記投入信号発生部は、前記受付手段により受け付けられたサイズ毎に異なる複数種の投入信号を発し、
前記記憶部は、塵芥のサイズ毎に予め設定された重量データを記憶する、請求項1に記載の塵芥収集装置。
【請求項3】
前記受付手段は、塵芥のサイズ毎に対応付けられた複数のボタンを有し、
前記投入信号発生部は、前記複数のボタンのうち何れかが押下された場合、押下された前記ボタンに対応する前記投入信号を発する、請求項2に記載の塵芥収集装置。
【請求項4】
前記演算部で演算された塵芥の総重量を表示する表示装置をさらに備える、請求項1に記載の塵芥収集装置。
【請求項5】
前記演算部で演算された塵芥の総重量が所定の重量を超えたことを報知する報知装置をさらに備える、請求項1に記載の塵芥収集装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記投入信号と共に、各投入信号が発せられた時刻と位置の情報を記憶する、請求項1に記載の塵芥収集装置。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の塵芥収集装置が搭載された塵芥収集車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集装置および塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
荷箱に投入された塵芥の総重量(以下、積載重量ともいう)を計測可能な塵芥収集車が知られている。例えば、特許文献1には、ロードセルで荷箱を支持する構造を備える塵芥収集車が記載されている。これにより、現在の積載重量を把握でき、荷箱内が満載か否かを判断し、次のゴミステーションへ回収に向かうか又は焼却場へ排出に向かうかを判断することができる。また、各ゴミステーションでの排出量を把握して、回収ルートの最適化に用いることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ロードセルで荷箱を支持する構造は高価である。
【0005】
本発明は、低価格な構造によって積載重量を計測可能な塵芥収集装置および塵芥収集車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る塵芥収集装置は、外部から投入された塵芥を収容する塵芥収容箱と、
塵芥の投入に際し、作業者から操作される受付手段と、
前記受付手段の操作に応じて投入信号を発する投入信号発生部と、
前記投入信号の数をカウントするカウント部と、
塵芥に対して予め設定された重量データを記憶する記憶部と、
前記投入信号のカウント数と、前記重量データとに基づいて、投入された塵芥の総重量を演算する演算部と、を備えるものである。
【0007】
また、本発明の塵芥収集車は、上記の塵芥収集装置が搭載されたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来公知のロードセルを用いた構造と違い、低価格の構造によって積載重量を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る塵芥収集車を左舷側から見た側断面図
【
図4】塵芥投入箱をロック解除した状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態に係る塵芥収集車につき、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書に開示された各図面は、あくまで模式的に図示されたものである。すなわち、図面上の寸法比と実際の寸法比とは必ずしも一致しておらず、また、各図面間においても寸法比は必ずしも一致していない。
【0011】
<塵芥収集車>
図1は、塵芥収集車Gの一実施形態を示している。
図1では、塵芥収集車Gの前後方向(車両前後方向ともいう)及び上下方向を矢印で示しており、紙面に垂直な方向が左右方向(車幅方向ともいう)となる。
【0012】
図1のように塵芥収集車Gは、運転室(キャブ)Cと、運転室Cの下部から後方へ延びて形成されている左右一対の車体フレームFと、車体フレームFの上方に配置された塵芥収容箱Bと、塵芥収容箱Bの後方に配置された塵芥投入箱Tとを備えている。塵芥投入箱T内には塵芥を積み込むための積込装置2が設けられており、塵芥収容箱Bには積み込まれた塵芥を排出するための排出装置1が設けられている。
【0013】
図2のように、車体フレームFは、車両前後方向に延びる左右一対の縦フレームF1と、車幅方向に延びる複数の横フレームF2とを有している。
【0014】
縦フレームF1は、車幅方向の内側に開口するチャンネル部材により形成されている。横フレームF2は、左右の縦フレームF1を補強するものであり、前方側に開口するチャンネル部材により形成されている。横フレームF2の両端部は、左右の縦フレームF1間に配置された状態で、例えば、リベット(図示せず)により各縦フレームF1に固定されている。
【0015】
図1のように、塵芥収集車Gの車体フレームF上には塵芥収容箱Bが搭載されており、その塵芥収容箱Bの底壁B2は、後下がりの緩やかな傾斜面となっている。
【0016】
塵芥収容箱Bの後面は、その上部から下部に向かって後方に傾斜しており、その全面にわたり後端開口部(図示せず)が開口されており、その後端開口部の周囲は、補強部材B3(
図3参照)により縁取り補強されている。補強部材B3は、塵芥収容箱Bの底壁B2よりも下方に延長されている。
【0017】
図1を参照して、塵芥収容箱B内に設けられている排出装置1について説明する。排出装置1は、塵芥投入箱Tに対して進退可能な排出板(ディスチャージプレート)10を備えており、この排出板10の後方(塵芥収容箱B内で排出板10と後端開口部との間)に、塵芥を収容する収容スペースB1が形成されている。
【0018】
排出板10は、塵芥収容箱Bの内部空間の横幅ほぼ一杯にわたる排出板本体10aと、排出板本体10a背面に一体的に連結される支持枠10bとで構成される。そして、排出板10と塵芥収容箱Bとの間には、該排出板10を起立姿勢で前後方向に摺動可能に案内支持するガイド機構11が設けられている。
【0019】
排出板10の背面と塵芥収容箱Bとの間には、該排出板10を前後方向に進退駆動する一段の又は多段式(テレスコピック型)の油圧式のディスチャージシリンダ12が連結される。そのディスチャージシリンダ12は、塵芥収容箱Bの底壁B2にほぼ沿って前後方向に延びるように配置されている。
【0020】
以上の構成により、収容スペースB1が空のとき、排出板10は排出位置より少し前方に位置する初期位置(
図1の実線)にあり、積込装置2により塵芥収容箱B内に積み込まれた塵芥を、積込装置2と排出板10との間で圧縮するようになっている。そして、上記塵芥の積み込み量が増加すると、ディスチャージシリンダ12を徐々に収縮させて排出板10を前方へ移動させ、
図1に二点鎖線で示した前方位置まで移動することで収容スペースB1を広げるようになっている。また、ディスチャージシリンダ12を伸長させて排出板10を塵芥収容箱Bより突出した後方位置まで移動させることにより、塵芥収容箱Bに収容された塵芥を外部へ排出できるようになっている。
【0021】
なお、本実施形態では、塵芥収容箱Bに積み込んだ塵芥を排出板10の移動により排出する排出板式の例を示しているが、これに限られず、塵芥収容箱をダンプさせることにより塵芥を排出するダンプ式であってもよい。
【0022】
図1のように塵芥収容箱Bの後端開口部には、塵芥を投入可能な塵芥投入口T1を後端に有する塵芥投入箱Tが連設される。塵芥投入箱Tは、上部に設けられた支点T3を中心に回動可能であり、これによって塵芥収容箱Bに対しての開閉動作が可能である。塵芥投入箱Tは、塵芥収容箱Bの後端開口部を閉鎖する閉鎖位置と、上方回動により後端開口部を開放して塵芥を排出することができる開放位置との間で回動するようになっている。また、塵芥投入箱Tの前方下部には、塵芥を塵芥収容箱Bに収容するための開口部T2が設けられている。
【0023】
図1を参照して、塵芥投入箱T内に設けられている積込装置2について説明する。まず、塵芥投入箱Tの左右の側壁T4には斜め上下に延びるガイドレール23が設けられており、スライダ20に取り付けられた左右一対二組のローラ25は、このガイドレール23内を斜め上下に移動することができる。スライダ20は
図1のような側面形状の左右の部材間を車幅方向に延びるプレート等(図示せず)により接続して一体化したものである。また、スライダ20の下端部には、ピン20aを介して押込板21が回動自在に取り付けられている。押込板21もまた、
図1のような側面形状の左右の部材間を車幅方向に延びるプレート等(図示せず)により接続して一体化したものである。一方、プッシュシリンダ22のシリンダ側端部は、ピン22aにより左右両側壁T4に取り付けられており、ピストン側端部は、ピン20bによりスライダ20の上端部に接続されている。他方、プレスシリンダ24のシリンダ側端部は、ピン24aにより押込板21に接続されており、ピストン側端部は、ピン20bによりスライダ20の上端部に接続されている。スライダ20は、押込板21とともに、プッシュシリンダ22の伸長作動により斜めに上昇し、収縮作動により斜めに下降する。また、押込板21は、プレスシリンダ24の伸長作動によりピン20aを中心として時計回り方向に回動し、収縮作動により反時計回り方向に回動する。
【0024】
以上の構成により、塵芥投入箱T内に投入された塵芥は、押込板21の反転工程により、後方位置へ移動後、一次圧縮、二次圧縮工程により圧縮され、押込工程により塵芥収容箱B内へと押し込むことができる。この動作を1サイクルとして塵芥投入箱Tに投入された塵芥を塵芥収容箱Bへ積み込む。そして、上記各工程を順次動作させるために、塵芥投入箱T内の適所には、スライダ20の上昇位置及び下降位置、並びに押込板21の後方位置及び前方位置を各々検出する第1~第4近接スイッチ(図示せず)が設けられる。
【0025】
積込動作の詳細について説明する。積込動作はプッシュシリンダ22とプレスシリンダ24とを伸縮作動させることで、スライダ20を上昇位置に保持した状態で押込板21の前方位置から後方位置への後方回動により行われる反転工程と、押込板21を後方位置に保持した状態でスライダ20を上昇位置から下降位置まで下降させることにより行われる一次圧縮工程と、スライダ20を下降位置に保持した状態で押込板21の後方位置から前方位置への前方回動により行われる二次圧縮工程と、押込板21を前方位置に保持した状態でスライダ20を下降位置から上昇位置まで上昇させることにより行われる押込工程との一連の工程により行われる。該積込動作を行うことで、塵芥投入箱T内の投入塵芥が塵芥収容箱B内に強制的に押し込まれる。
【0026】
なお、本実施形態では、塵芥の積込動作に圧縮行程を有するプレス式の例を示しているが、これに限られず、回転板と押込板とにより塵芥を積み込む回転板式であってもよい。
【0027】
図6において、塵芥投入箱Tの左右両端に配置された一対のスイングシリンダ(油圧アクチュエータ)30は、上端が塵芥収容箱Bに取り付けられ、下端が塵芥投入箱Tに取り付けられている。このスイングシリンダ30を伸長作動させると塵芥投入箱Tが上方回動(開放)され(
図1の二点鎖線)、収縮作動させると塵芥投入箱Tが下方回動(閉鎖)される(
図1の実線)。
【0028】
図3において、車体フレームFの後部には、塵芥投入箱Tを車体フレームFに固縛するためのロック装置4が設けられている。このロック装置4は、車体フレームF側に回動可能に取り付けられたフック40と、塵芥投入箱T側に固定されたロックピン41と、フック40を回動させるためのロックシリンダ(油圧アクチュエータ)42と、フック40とロックシリンダ42とを連結する連結機構43とを備えている。
【0029】
フック40は、車体フレームFの下面に固定されたブラケット44にピン40aを介して回動自在に取り付けられている。ロックピン41は、塵芥投入箱Tの下部前面に固定されており、フック40の先端部が下方から係脱可能に係合されている。ロックシリンダ42のシリンダ側端部は、塵芥収容箱Bの下部にピン42aを介して取り付けられている。ロックシリンダ42のピストン側端部は、ピン43fを介して後述する第1連結ブラケット43cに取り付けられている。ロックシリンダ42のピストン径は、スイングシリンダ30のピストン径よりも小径に形成されている。
【0030】
連結機構43は、塵芥収容箱Bの底部に回転可能に取り付けられたトルクシャフト43aと、このトルクシャフト43aの外周面に固定された第1連結ブラケット43c及び第2連結ブラケット43dと、第2連結ブラケット43dとフック40とを連結している連結片43eとによって構成されている。連結片43eの一端は、ピン43gを介して第2連結ブラケット43dに取り付けられ、連結片43eの他端は、ピン43hを介してフック40の基端部に取り付けられている。
【0031】
以上の構成により、ロックシリンダ42を
図3のロック状態から伸長作動させると、第1連結ブラケット43cを介してトルクシャフト43aが
図3の反時計回り方向に回転する。この回転により連結片43eは、
図4に示すように、第2連結ブラケット43dを介して
図4の右方向へ押され、フック40がピン40aを中心に
図3の時計回り方向に回動する。これにより、フック40とロックピン41との係合が解除され、塵芥投入箱Tはロック解除された状態となる。また、ロックシリンダ42を
図4の状態から収縮作動させると、連結機構43が上記と逆の動きをすることによって、フック40がロックピン41に係合し、塵芥投入箱Tは開口部T2を閉鎖した状態でロックされる。
【0032】
塵芥投入箱Tの後部には、塵芥が投入される塵芥投入口T1が形成されており、この塵芥投入口T1を上下にスライドして開閉する蓋5が設けられている。
【0033】
図5を参照して運転室C内に設けられている操作装置6について説明する。運転室C内に設けられているスイッチボックス60には、メインスイッチ60a、投入箱スイッチ60b、排出スイッチ60c、かき出しスイッチ60d、メインランプ60e、ロックランプ60fが設けられている。
【0034】
メインスイッチ60aは、「積込」、「OFF」、「排出」のいずれかの位置に保持することができるスイッチであり、「OFF」から「積込」位置に操作することで積込動作が可能である。「排出」位置ではディスチャージシリンダ12やスイングシリンダ30を動作させることができる。
【0035】
投入箱スイッチ60bは、「上」に操作すると塵芥投入箱Tが上昇し、「下」に操作すると塵芥投入箱Tが下降する。また、手を離すと「OFF」の中立位置に戻るタイプのスイッチである。
【0036】
排出スイッチ60cは、「排出」に操作するとディスチャージシリンダ12が伸長作動して排出板10が最後方位置まで後退し、「戻り」に操作すると排出板10が初期位置に戻る。また、手を離すと「OFF」の中立位置に戻るタイプのスイッチである。
【0037】
かき出しスイッチ60dは、「自動」または「手動」の選択スイッチであり、「自動」位置では、塵芥投入箱Tを上方端まで回動させると自動的に積込と同様の動作が行われ、塵芥投入箱Tの底に残っている塵芥を排出することができる。「手動」位置では、塵芥投入箱Tを上昇させた時、「手動」に操作すると積込と同様の動作が行われ、塵芥投入箱Tの底に残っている塵芥を排出することができる。また、手を離すと「OFF」の中立位置に戻る。
【0038】
メインランプ60eは、スイッチボックス60の各スイッチ操作が可能な状態のとき点灯している。ロックランプ60fは、ロック装置4が
図3のようにロック状態のとき点灯している。
【0039】
図6を参照して塵芥投入箱Tに設けられている操作装置6について説明する。塵芥投入箱Tの左右両側壁T4の後部には、それぞれスイッチボックス61、62が設けられている。スイッチボックス61の側面には、積込装置2の動作として「連続サイクル」または「1サイクル」のどちらかの動作モードに選択するため選択スイッチ61aが、正面には、各動作モードで積込動作を開始させるための積込スイッチ61b、連続サイクル動作を停止させるための停止スイッチ61cがそれぞれ設けられている。その他のスイッチについては、緊急時にのみ用いるスイッチ等であり、詳細な説明は省略する。なお、停止スイッチ61cは右側のスイッチボックス62にも設けられている。
【0040】
塵芥収集車Gには、以下で説明する塵芥収集装置100が搭載されている。塵芥収集車Gは、積載重量を計測可能な塵芥収集装置100を備えており、ロードセルを備えていない。
【0041】
<塵芥収集装置>
図7を参照して塵芥収集車Gに設けられている塵芥収集装置100について説明する。通常、塵芥投入箱Tには作業者によって複数サイズの塵芥が投入され、塵芥投入箱Tに投入された塵芥は塵芥収容箱Bに押し込まれて収容される。塵芥投入箱Tに投入される塵芥は、例えば「小」、「中」、「大」の3サイズに分類される。「小」は、容量が約15リットル以下の袋(レジ袋を代用したような袋)のサイズである。「中」は、容量が約20~30リットル程度の袋のサイズである。「大」は、容量が約40リットル以上の袋のサイズである。なお、塵芥は4つ以上のサイズに分類されてもよい。
【0042】
塵芥収集装置100は、塵芥の投入に際し、作業者から操作され、投入された塵芥のサイズの指定を受け付ける受付手段63と、受付手段63により受け付けられたサイズ毎に異なる複数種の投入信号を発する投入信号発生部7と、制御装置8とを備える。また、塵芥収集装置100は、表示装置91と、報知装置92とを備えていてもよい。制御装置8は、カウント部81と、記憶部82と、演算部83とを備える。また、制御装置8は、表示制御部84と、判定部85とを備えていてもよい。
【0043】
制御装置8には、位置情報を取得する位置情報取得装置93が電気的に接続されている。位置情報取得装置としては、GPS受信機、GNSS受信機等が挙げられる。
【0044】
受付手段63は、作業者により操作されることで、その操作を示す操作信号を投入信号発生部7に出力する。受付手段63は、塵芥のサイズ毎に対応付けられた第1~第3ボタン63a~63cを有する。例えば、「小」サイズの塵芥には第1ボタン63aが割り当てられ、「中」サイズの塵芥には第2ボタン63bが割り当てられ、「大」サイズの塵芥には第3ボタン63cが割り当てられる。第1~第3ボタン63a~63cは、塵芥投入口T1の近傍、より具体的にはスイッチボックス61又はその近傍に並べて配置される(
図6には図示していない)。なお、第1~第3ボタン63a~63cは、スイッチボックス61内のスイッチ61a~61cと間違って押下されないように、スイッチ61a~61cと異なる色、形状、配置などに構成されるのが好ましい。
【0045】
作業者は、塵芥を投入する際、投入する塵芥のサイズに対応する第1ボタン63a、第2ボタン63b、第3ボタン63cのうち何れか一つのボタンを押下する。第1~第3ボタン63a~63cは、作業者により押下されると、その押下を示す信号を投入信号発生部7に出力する。投入信号発生部7は、第1~第3ボタン63a~63cからの信号を取得した場合、各ボタンに対応する第1~第3投入信号を発する。これにより、「小」サイズの塵芥が投入されると第1投入信号が発せられ、「中」サイズの塵芥が投入されると第2投入信号が発せられ、「大」サイズの塵芥が投入されると第3投入信号が発せられる。
【0046】
カウント部81は、投入信号発生部7で発生された第1~第3投入信号の数をそれぞれカウントする。第1投入信号のカウント数をN1、第2投入信号のカウント数をN2、第3投入信号のカウント数をN3とする。
【0047】
記憶部82は、第1~第3投入信号のカウント数N1~N3を記憶する。また、記憶部82は、第1~第3投入信号と共に、各投入信号が発せられた時刻と位置の情報を記憶する。時刻の情報は、不図示の時計により取得される。位置の情報は、位置情報取得装置93により取得される。時刻と位置の情報は、各ステーションの塵芥の排出量を把握し、回収ルートの最適化に利用される。
【0048】
また、記憶部82は、塵芥のサイズ毎に予め設定された重量データを記憶する。重量データとは、サイズ毎に設定された目安の重量に関するデータであって、例えば、「小」サイズの塵芥は2kg、「中」サイズの塵芥は5kg、「大」サイズの塵芥は8kgに設定される。なお、サイズ毎に設定された目安の重量に関するデータは、塵芥の質によって比重は異なるため、一般的な比重から算出したり各サイズの袋に塵芥を詰めた重量を測定したりすることにより、それぞれ変更してもよい。例えば軽量のプラスチック塵芥を主として収集する場合は、比重や実測値から前記のデータに変えて「小」1kg、「中」3kg、「大」5kgをそれぞれ記憶させればよい。そのため、制御装置8は入力部(図示せず)をさらに有し、入力部により入力された重量データ値を記憶部82に記憶する設定部(図示せず)を備えていてもよい。
【0049】
演算部83は、第1~第3投入信号のカウント数N1~N3と、上記の重量データとに基づいて、投入された塵芥の総重量を演算する。具体的には、塵芥の総重量は以下の式により求められる。
総重量[kg]=N1×2[kg]+N2×5[kg]+N3×8[kg]
【0050】
表示制御部84は、演算部83で演算された塵芥の総重量を表示装置91に表示する。表示装置91は、例えばディスプレイである。表示装置91は、第1~第3ボタン63a~63cの近傍に設けられる。また、表示装置91は、複数設けられてもよく、第1~第3ボタン63a~63cの近傍のほか、運転室C内のインパネにも設けられてもよい。
【0051】
判定部85は、演算部83で演算された塵芥の総重量に基づいて、警報を出力するか否かを判定する。判定部85は、演算部83で演算された塵芥の総重量が所定の重量を超えた場合に、警報を出力すると判定する。所定の重量は、最大積載量に基づき予め設定され、記憶部82に記憶されている。具体的には、所定の重量は、最大積載量の100%以下に設定され、例えば90%等に適宜設定される。なお、最大積載量は、車両の大きさから規定される重量(道路を通行する際の最大重量)である車両総重量から、空荷の際の車両の重量(キャブ、シャシ、荷箱の合計重量)である車両重量、及び全乗員重量を引いたものである。なお、所定の重量は、入力部から入力された値を設定部により記憶部82に変更記憶できるようにしてもよい。
【0052】
報知装置92は、判定部85が警報を出力すると判定した場合に、警報を出力する警報出力装置であり、例えば、ランプやブザー等である。なお、表示装置91が実質的に報知装置を兼ねるようにしてもよい。
【0053】
以上のように、本実施形態に係る塵芥収集装置100は、外部から投入された塵芥を収容する塵芥収容箱Bと、塵芥の投入に際し、作業者から操作される受付手段63と、受付手段63の操作に応じて投入信号を発する投入信号発生部7と、投入信号の数をカウントするカウント部81と、塵芥に対して予め設定された重量データを記憶する記憶部82と、投入信号のカウント数と、重量データとに基づいて、投入された塵芥の総重量を演算する演算部83と、を備えるものである。
【0054】
この構成によれば、ロードセルを用いることなく、外部から投入された塵芥の総重量を計測することができる。その結果、本実施形態に係る塵芥収集装置100は、低価格な構造によって積載重量を計測可能である。
【0055】
また、本実施形態のように、受付手段63は、塵芥のサイズの指定を受け付け、投入信号発生部7は、受付手段63により受け付けられたサイズ毎に異なる複数種の投入信号を発し、記憶部82は、塵芥のサイズ毎に予め設定された重量データを記憶する、という構成でもよい。この構成によれば、複数サイズの塵芥が投入される場合にも、積載重量を精度よく計測することができる。
【0056】
また、本実施形態のように、受付手段63は、塵芥のサイズ毎に対応付けられた複数のボタン63a~63cを有し、投入信号発生部7は、複数のボタン63a~63cのうち何れかが押下された場合、押下されたボタン63a~63cに対応する投入信号を発する、という構成でもよい。受付手段63として複数のボタン63a~63cを用いることで、作業者による塵芥のサイズの指定を簡素な構造にて確実に受け付けることができ、積載重量の計測精度を向上することができる。
【0057】
また、本実施形態のように、塵芥収集装置100は、演算部83で演算された塵芥の総重量を表示する表示装置91をさらに備える、という構成でもよい。この構成によれば、作業者が現在の塵芥の総重量を容易に把握することができる。
【0058】
また、本実施形態のように、塵芥収集装置100は、演算部83で演算された塵芥の総重量が所定の重量を超えたことを報知する報知装置92をさらに備える、という構成でもよい。所定の重量を最大積載量以下に設定しておくことで、過積載を効果的に防止することができる。
【0059】
また、本実施形態のように、記憶部82は、投入信号と共に、各投入信号が発せられた時刻と位置の情報を記憶する、という構成でもよい。この構成によれば、時刻と位置の情報によって各ステーションの塵芥の排出量を把握し、回収ルートを最適化することができる。
【0060】
また、以上のように、本実施形態に係る塵芥収集車Gは、塵芥収集装置100が搭載されている。
【0061】
この構成によれば、ロードセルを用いることなく、外部から投入された塵芥の総重量を計測することができる。その結果、本実施形態に係る塵芥収集車Gは、低価格な構造によって積載重量を計測可能である。
【0062】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0063】
上記の各実施形態で採用している構造を他の任意の実施形態に採用することは可能である。各部の具体的な構成は、上記した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよい。
【0064】
(1)上記の実施形態では、演算部83が、記憶部82に記憶された第1~第3投入信号のカウント数N1~N3に、塵芥のサイズ毎に設定された目安の重量を掛けることにより、投入された塵芥の総重量を演算する例を示しているが、これに限定されない。例えば、演算部83は、第1~第3投入信号が制御装置8に入力される度に、塵芥のサイズ毎に設定された目安の重量を順次加えることにより、投入された塵芥の総重量をリアルタイムで演算してもよい。
【0065】
(2)上記の実施形態では、受付手段63が、塵芥のサイズ毎に対応付けられた第1~第3ボタン63a~63cを有する例を示しているが、これに限定されない。受付手段63は、単一のボタンを有するという構成でもよい。単一のボタンの場合、投入信号発生部7は、例えば、押下回数に対応する第1~第3投入信号を発するようにすればよい。また、受付手段63は、多方向に操作可能なレバーを有し、投入信号発生部7は、レバーの操作方向に対応する第1~第3投入信号を発するようにしてもよい。ボタンを1個とし、全サイズ平均の重量データ(例えば5kg)を記憶して、投入された塵芥の総重量を演算するようにしてもよい。
【0066】
また、上記の実施形態では、第1~第3ボタン63a~63cがスイッチボックス61又はその近傍に並べて配置される例を示しているが、これに限定されない。第1~第3ボタン63a~63cは、ワイヤレスのリモコンやコード付きのリモコンに配置されたボタンであってもよい。また、第1~第3ボタン63a~63cは、機械式のボタンであってもよく、タッチパネル上に表示されるボタンであってもよい。さらに、受付手段63は、例えばスマートフォンやタブレット端末で構成され、投入信号発生部7および制御装置8との間で、Bluetooth(登録商標)、Wi-fi(登録商標)、その他の公知の規格に基づいて無線通信接続が可能に構成されてもよい。このとき、第1~第3ボタン63a~63cは、スマートフォンやタブレット端末の画面上に表示されて操作される。
【0067】
上記の実施形態において、
図7では受付手段63と投入信号発生部7を別々に構成されているが、一体に構成されてもよい。具体的には、受付手段63が投入信号発生部7の機能を有するようにしてもよい。
【0068】
(3)上記の実施形態では、塵芥を袋のサイズで分類しているが、これに限定されない。塵芥が袋に入っていない場合であっても、作業者が外観から塵芥そのもののサイズを分類し、塵芥を投入する際、投入する塵芥のサイズに対応するボタンを押下するようにしてもよい。
【0069】
(4)上記の実施形態では、塵芥収集車Gは、塵芥収容箱Bと、塵芥収容箱Bの後方に配置された塵芥投入箱Tとを備える例を示しているが、これに限定されない。塵芥収集車Gは、塵芥投入箱Tを備えず、塵芥収容箱Bのみを備えるという構成でもよい。例えば、塵芥収集車は、荷台を塵芥収容箱として塵芥を収集するダンプトラックであってもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 :排出装置
2 :積込装置
7 :投入信号発生部
8 :制御装置
63 :受付手段
63a :第1ボタン
63b :第2ボタン
63c :第3ボタン
81 :カウント部
82 :記憶部
83 :演算部
84 :表示制御部
85 :判定部
91 :表示装置
92 :報知装置
93 :位置情報取得装置
100 :塵芥収集装置
B :塵芥収容箱
C :運転室
F :車体フレーム
G :塵芥収集車
T :塵芥投入箱
T1 :塵芥投入口