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特開2022-16266研磨パッド、研磨装置、及びシリコンウェハを研磨する方法
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  • 特開-研磨パッド、研磨装置、及びシリコンウェハを研磨する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022016266
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】研磨パッド、研磨装置、及びシリコンウェハを研磨する方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/26 20120101AFI20220114BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20220114BHJP
   B24B 37/30 20120101ALI20220114BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
B24B37/26
B24B37/10
B24B37/30 A
H01L21/304 622F
H01L21/304 622R
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021001784
(22)【出願日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】202010659738.4
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】516145552
【氏名又は名称】上海新昇半導體科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ユホ シャ
(72)【発明者】
【氏名】ユエ シエ
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158AA09
3C158AB03
3C158CB01
3C158CB03
3C158CB10
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158EB06
5F057AA02
5F057AA03
5F057AA24
5F057BA12
5F057BB01
5F057BB03
5F057BB09
5F057CA11
5F057CA19
5F057DA03
5F057DA08
5F057EB08
5F057FA13
5F057FA20
5F057GA01
5F057GA27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、研磨パッド、研磨装置、及びシリコンウェハを研磨する方法を提供する。
【解決手段】研磨パッド100は、シリコンウェハ200に接触する研磨面を備える。研磨面には少なくとも1つの溝101,102が設けられている。シリコンウェハを研磨するとき、シリコンウェハのエッジは、少なくとも部分的に溝の上方に張り出す。本発明に係る研磨パッド、研磨装置、及びシリコンウェハ研磨方法は、シリコンウェハ全体の研磨速度を基本的に変化させずに、シリコンウェハのエッジでの研磨速度を減少させることができる。これにより、シリコンウェハのエッジの厚みの平坦度を向上させ、生産歩留りを向上させることができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンウェハを研磨する研磨パッドであって、
前記シリコンウェハに接触する研磨面を備え、
前記研磨面は、少なくとも1つの溝を含み、
研磨中には、前記シリコンウェハのエッジの少なくとも一部が、前記溝の上方に張り出す、研磨パッド。
【請求項2】
前記溝が、パッドエッジに近接している第1環状溝と、パッド中心に近接している第2環状溝とを含む請求項1記載の研磨パッド。
【請求項3】
前記シリコンウェハは直径を有し、前記直径は、前記第1環状溝の内エッジと前記第2環状溝の外エッジとの間の距離よりも大きく、かつ前記第1環状溝の外エッジと前記第2環状溝の内エッジとの間の距離以下である請求項2記載の研磨パッド。
【請求項4】
研磨パッド、前記第1環状溝及び前記第2環状溝が同心である請求項2記載の研磨パッド。
【請求項5】
前記第1環状溝は、3~8mmの幅と、0.5~2mmの深さとを有し、前記第1環状溝は、外エッジの半径が335~340mmであり、内エッジの半径が330~335mmである請求項2記載の研磨パッド。
【請求項6】
前記第2環状溝は、3~8mmの幅と、0.5~2mmの深さとを有し、前記第2環状溝は、外エッジの半径が35~45mmであり、内エッジの半径が30~40mmである請求項2記載の研磨パッド。
【請求項7】
シリコンウェハを研磨する研磨装置であって、
請求項1記載の研磨パッドと、
配置された前記研磨パッドを駆動して回転させる駆動デバイスと、
前記シリコンウェハを固定し、前記シリコンウェハの前面を前記研磨パッドに接触させ、前記シリコンウェハのエッジを前記研磨パッドの前記溝の上方に張り出させる研磨ヘッドとを備えている研磨装置。
【請求項8】
シリコンウェハを研磨するプロセスであって、
研磨ヘッドで前記シリコンウェハを固定するステップと、
前記研磨ヘッドに駆動される研磨パッドの研磨面に、前記シリコンウェハの前面を接触させるステップであり、前記シリコンウェハのエッジが前記研磨パッドの前記研磨面の溝の上方に張り出す、接触させるステップと、
前記研磨ヘッドと前記研磨パッドとを駆動して回転させ、前記シリコンウェハの前記前面を研磨するステップとを備えているプロセス。
【請求項9】
前記研磨ヘッドと前記研磨パッドとが、同じ方向に回転する請求項8記載のプロセス。
【請求項10】
前記研磨ヘッドの移動を制御することで、前記シリコンウェハの前記エッジの前記溝との接触面積を調節するステップをさらに備え、これにより、前記シリコンウェハの前記エッジに対して研磨速度を調節する請求項8記載のプロセス。
【請求項11】
前記研磨ヘッドの移動を制御するステップは、前記研磨パッドの半径方向での往復動を行うように前記研磨ヘッドを制御することを含む請求項10記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の製造に関し、特に、研磨パッド、研磨装置、及びシリコンウェハを研磨する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路(IC)の継続的な技術開発に伴い、シリコンウェハの品質と特性とを高くすることが要求されている。特に、シリコンウェハの平坦度は、露光の焦点ずれを防止するために、一層厳密に要求される。
【0003】
一般に、シリコンウェハは、両面研磨(DSP)及び最終研磨(FP)を受ける。DSPは、ウェハの前面と背面とを研磨し、ディスクを研磨することでウェハの形状を制御するために使用される。FPは、ウェハの前面を研磨するために使用される。
【発明の概要】
【0004】
最終研磨プロセスでは、最も端のエッジでウェハの厚みを制御することは困難である。研磨プロセスの間、研磨液はエッジに容易に蓄積し、ウェハのさらに薄いエッジを生じさせる。従来の装置と従来のプロセスでは、シリコンウェハのエッジ位置145mm~149mmでの研磨が正確に規制できず、特にウェハ全体の研磨速度を維持しなければならない場合には、正確に規制できない。従来のプロセスパラメーターを調整することによっては、ウェハエッジでの研磨速度の抑制は達成できない。
【0005】
本発明の要約では、簡素化された形で一連の概念が導入され、詳細な説明でさらに詳細に説明される。本発明のこの要約は、請求項に記載した技術的解決の主要な要素、又は本質的な技術的特徴を限定することを意図するものではなく、また、請求項に記載した技術的解決の範囲を限定するものでもない。
【0006】
従来の技術に伴う問題を解決するために、本発明は、シリコンウェハを研磨する研磨パッドを提供し、これは、シリコンウェハに接触する研磨面を備え、研磨面は、少なくとも1つの溝を含み、研磨中には、シリコンウェハのエッジの少なくとも一部が、溝の上方に張り出す。
【0007】
一実施形態では、溝が、パッドエッジに近接している第1環状溝と、パッド中心に近接している第2環状溝とを含む。
【0008】
一実施形態では、シリコンウェハは直径を有し、直径は、第1環状溝の内エッジと第2環状溝の外エッジとの間の距離よりも大きく、かつ第1環状溝の外エッジと第2環状溝の内エッジとの間の距離以下である。
【0009】
一実施形態では、研磨パッド、第1環状溝及び第2環状溝が同心である。
【0010】
一実施形態では、第1環状溝は、3~8mmの幅と、0.5~2mmの深さとを有し、第1環状溝は、外エッジの半径が335~340mmであり、内エッジの半径が330~335mmである。
【0011】
一実施形態では、第2環状溝は、3~8mmの幅と、0.5~2mmの深さとを有し、第2環状溝は、外エッジの半径が35~45mmであり、内エッジの半径が30~40mmである。
【0012】
さらに本願は、シリコンウェハを研磨する研磨装置を提供し、これは、上述した研磨パッドと、配置された研磨パッドを駆動して回転させる駆動デバイスと、シリコンウェハを固定し、シリコンウェハの前面を研磨パッドに接触させ、シリコンウェハのエッジを研磨パッドの溝の上方に張り出させる研磨ヘッドとを備えている。
【0013】
さらに本願は、シリコンウェハを研磨するプロセスを提供し、これは、研磨ヘッドでシリコンウェハを固定するステップと、研磨ヘッドに駆動される研磨パッドの研磨面に、シリコンウェハの前面を接触させるステップであり、シリコンウェハのエッジが研磨パッドの研磨面の溝の上方に張り出す、接触させるステップと、研磨ヘッドと研磨パッドとを駆動して回転させ、シリコンウェハの前面を研磨するステップとを備えている。
【0014】
一実施形態では、研磨ヘッドと研磨パッドとが、同じ方向に回転する。
【0015】
一実施形態では、プロセスは、研磨ヘッドの移動を制御することで、シリコンウェハのエッジの溝との接触面積を調節するステップをさらに備え、これにより、シリコンウェハのエッジに対して研磨速度を調節する。
【0016】
一実施形態では、研磨ヘッドの移動を制御するステップは、研磨パッドの半径方向での往復動を行うように研磨ヘッドを制御することを含む。
【0017】
本発明によれば、シリコンウェハの研磨パッド、研磨装置及び研磨方法は、シリコンウェハ全体の研磨速度を基本的に変化させずに、シリコンウェハのエッジでの研磨速度を減少させることができ、これにより、シリコンウェハのエッジの厚みの平坦度を向上させ、生産歩留りを向上させることができる。
【0018】
他の態様で、本願はさらにプロセスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本願の一実施形態に係る研磨パッドの構造の概略図である。
図2】本願の一実施形態に係り、研磨パッドで研磨されているシリコンウェハの概略図である。
図3】本願の一実施形態に係る研磨パッドとシリコンウェハとの概略図である。
図4】本願の一実施形態に係る研磨パッドの溝のサイズの概略図である。
図5】本願の一実施形態に係る研磨プロセスの間のシリコンウェハのエッジに対する溝の移動軌道の概略図である。
図6】本願の一実施形態に係る研磨装置の構造の概略図である。
図7】本願の一実施形態に係り、シリコンウェハを研磨する方法のフローチャートである。
図8】本願の一実施形態に係る研磨プロセスの間の研磨ヘッドの移動の概略図である。
図9】ウェハエッジが溝にはいるさまざまなサイズを伴って、除去された厚みとシリコンウェハ半径との間の関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
例示的な実施形態は、この開示が詳細に至るものであり、当業者にその範囲を完全に伝えるように提供される。本開示の実施形態を完全に理解するために、特定の構成要素、装置及び方法の例など、多数の特定の詳細が記載される。具体的な詳細を使用する必要はなく、例示的な実施形態は多くの異なる形態で具体化することができ、いずれも本開示の範囲を制限すると解釈しないものとすることが、当業者には明らかであろう。いくつかの例示的な実施形態では、周知のプロセス、周知の装置構造及び周知の技術を、詳細には説明しない。
【0021】
本発明を完全に理解するために、詳細なステップを以下の説明に詳細に記載し、本発明の技術的解決を説明する。本発明の好ましい実施形態は、以下のように詳細に説明されるが、本発明は、詳細な説明に加えて、他の実施形態を有してもよい。
【0022】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態のみを説明するためのものであり、限定することを意図したものではない。本明細書で使用されるように、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈が他に明確に示されない限り、複数の形も含むことを意図することができる。「備える」「備えている」「含む」及び「有する」という用語は、包括的である。従って、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、これらの1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除しない。本明細書に記載される方法ステップ、プロセス及び操作は、特に性能の順序として特定されない限り、必ずしも、説明又は図示された特定の順序でのそれらの機能を要するとは解釈しないものとする。追加の又は代替の手順が採用できることも理解されよう。
【0023】
本発明は、異なる形態で実施することができ、いずれの形態も、開示された実施例の範囲を制限するものと解釈されるべきではないことを理解されたい。逆に、十分かつ完全な開示を行い、当業者に本発明の範囲を完全に受け入れさせるために、実施例は提供される。図面では、明確にするために、層及び領域のサイズ及び相対的なサイズを誇張することがある。図面では、同一の参照番号は同一の要素を示す。
【0024】
一実施形態では、シリコンウェハのエッジの厚みの困難な制御に関する問題を解決するために、本願は、シリコンウェハを研磨する研磨パッドを提供する。研磨パッドは、シリコンウェハに接触する研磨面を備えている。研磨面は、少なくとも1つの溝を含み、研磨中には、シリコンウェハのエッジの少なくとも一部が、溝の上方に張り出す。
【0025】
一実施形態で、本願は、シリコンウェハを研磨する研磨装置を提供し、これは、上述した研磨パッドと、配置された研磨パッドを駆動して回転させる駆動デバイスと、シリコンウェハを固定し、シリコンウェハの前面を研磨パッドに接触させ、シリコンウェハのエッジを研磨パッドの溝の上方に張り出させる研磨ヘッドとを備えている。
【0026】
一実施形態で、さらに本願は、シリコンウェハを研磨するプロセスを提供し、これは、研磨ヘッドでシリコンウェハを固定するステップと、研磨ヘッドに駆動される研磨パッドの研磨面に、シリコンウェハの前面を接触させるステップであり、シリコンウェハのエッジが研磨パッドの研磨面の溝の上方に張り出す、接触させるステップと、研磨ヘッドと研磨パッドとを駆動して回転させ、シリコンウェハの前面を研磨するステップとを備えている。
【0027】
本発明によれば、研磨パッドとシリコンウェハのエッジとの間の接触時間だけでなく、接触面積も減少させるように溝が配置されているので、シリコンウェハのエッジに対する機械的作用を減少させることができる。従って、本願のシリコンウェハの研磨パッド、研磨装置及び研磨方法は、シリコンウェハ全体の研磨速度を基本的に変化させずに、シリコンウェハのエッジでの研磨速度を減少させることができ、これにより、シリコンウェハのエッジの厚みの平坦度を向上させ、生産歩留りを向上させることができる。
【0028】
本発明を完全に理解するために、本発明の技術的解決を説明するために、詳細なステップを以下の記載で詳細に説明する。本発明の好ましい実施形態は、以下のように詳細に説明されるが、本発明は、詳細な説明に加えて、他の実施形態を有してもよい。
【0029】
次に、添付の図面の図1~5を参照して、研磨パッドの例示的な実施形態をより詳細に説明する。
【0030】
実施例
実施例1
一実施形態では、図1に示すように、研磨パッド100は、円形の研磨パッドとしてよく、研磨面は、溝が設けられている。溝は、パッドエッジに近接している第1環状溝101と、パッド中心に近接している第2環状溝102とを含んでよい。第1環状溝101と第2環状溝102との間の研磨面は、平面であってよい。例えば、第1環状溝101及び第2環状溝102は同心となっている。第1環状溝101及び第2環状溝102の断面形状は、長方形を含んでよいが、これに限定されない。
【0031】
いくつかの実施態様で、第1環状溝101の内エッジと第2環状溝102の外エッジとの間の距離は、シリコンウェハの直径よりも小さい。第1環状溝101の外エッジと第2環状溝102の内エッジとの間の距離は、シリコンウェハの直径以上である。図2及び図3を参照すると、研磨パッド100がシリコンウェハを研磨するために使用される間に、シリコンウェハ200は、第1環状溝101と第2環状溝102との間に配置され、シリコンウェハ200の2つの反対側のエッジは、第1環状溝101及び第2環状溝102の上方に同時に、それぞれ張り出す(suspend、懸架されている)。実施形態では、第1環状溝101の上方に張り出したシリコンウェハ200のエッジの幅は、第2環状溝102の上方に張り出した幅と基本的に同じである。シリコンウェハはDSPで処理してよい。実施形態で、シリコンウェハは半導体シリコンウェハであり、単結晶シリコンウェハ、サファイアシリコンウェハ、シリコンカーバイドウェハなどを含んでよいが、これらに限定されない。
【0032】
12インチシリコンウェハについては、ウェハエッジの位置が145~149mmで研磨効果を向上させる研磨パッド100のパラメーター例を、いくつか以下に示す。図4を参照すると、一実施形態では、第1環状溝101は、3mm~8mmの幅D1、例えば5mmの幅D1、及び0.5mm~2mmの深さH1を有する。第1環状溝101の外エッジ、即ちパッドエッジに近い外円は、335mm~340mmの半径、例えば339mmの半径を有する。内エッジ、即ちパッド中心に近い内円は、半径が330mm~335mmであり、例えば334mmである。
【0033】
第2環状溝102の幅及び深さは、第1環状溝101の幅及び深さと同じであるか、これに類似しているかであってよい。即ち第2環状溝102は、3mm~8mmの幅D2、例えば5mmの幅D2、及び0.5mm~2mmの深さH2を有する。第2環状溝102の外エッジ、即ちパッドエッジに近い外円は、35mm~45mmの半径、例えば40mmの半径を有する。内エッジ、即ちパッド中心に近い内円は、半径が30mm~40mmであり、例えば35mmである。
【0034】
さらに、図4を参照すると、第1環状溝101の外エッジと第2環状溝102の内エッジとの間の距離は、シリコンウェハの直径以上である。シリコンウェハは、第1環状溝101と第2環状溝102との間に配置されるが、第1環状溝101と第2環状溝102の両方が、シリコンウェハ200の下方に配置され、溝の一部は、シリコンウェハ200を越えて配置される。従って、研磨プロセスで、シリコンウェハ200と溝との間の接触面積は、研磨パッド100の半径方向に沿ってシリコンウェハ200を左右に移動させることによって調整することができ、それによって、シリコンウェハ200に対する研磨速度を調整することができる。
【0035】
例えば、第1環状溝101の外エッジとシリコンウェハ200のエッジとの間の距離D3、及び第2環状溝102の内エッジとシリコンウェハ200のエッジとの間の距離D6は、1mm~2mmであってよい。第1環状溝101の内エッジとシリコンウェハ200のエッジとの間の距離D4、及び第2環状溝102の外エッジとシリコンウェハ200のエッジとの間の距離D5は、2mm~3mmであってよい。即ち、溝と接触するシリコンウェハ200の幅は2mm~3mmであり、左右の動きの振幅は2mm~4mmであってよい。
【0036】
なお、研磨パッド100のいくつかのパラメーターが本明細書で与えられるが、パッドのパラメーターは、それに応じて制限されない。当業者は、シリコンウェハのサイズ又は他の要件に基づいて、それらを調整することができる。
【0037】
図5は、本願の一実施形態による、研磨プロセス中のシリコンウェハ200のエッジに対するパッドの溝の移動軌道の概略図を示す。図5に示すように、研磨パッド100が回転しているとき、研磨ヘッドは、シリコンウェハ200を同じ方向に回転させるように駆動する。シリコンウェハ200が静止状態であると決定された場合、研磨パッド100がシリコンウェハ200の中心の周りを回転することが、観察される。即ち、研磨パッド100上の第1環状溝101及び第2環状溝102は、シリコンウェハ200の中心の周りを回転するので、図5に示すような運動軌道が形成される。図5で、シリコンウェハ200の2本の破線で規定される領域は、溝を通過するエッジ領域であり、その幅は、図4に示されるD4又はD5であってよい。シリコンウェハのエッジを除く残りの領域と比較して、第1環状溝及び第2環状溝の存在は、シリコンウェハのエッジと研磨パッドとの間の接触面積及び接触時間を減少させる。
【0038】
さらに、図5に示すように研磨ヘッドは、シリコンウェハ200を駆動して回転させる。研磨パッド100が単に第1環状溝101又は第2環状溝102を有するだけでも、溝は、シリコンウェハ200のエッジで全ての位置を通過することができる。ある実施形態では、研磨パッド100は、第1環状溝101のみ、又は第2環状溝102のみを備えてよい。
【0039】
一実施形態ではさらに、研磨パッド100は、1つ又は複数の排出溝103を備えている。排出溝103は、研磨パッド100の溝とエッジとを接続し、溝から研磨液を除去する。図1に示すように、排出溝103は、一方の端で第2環状溝102と接続し、第1環状溝101を通過し、他方の端で研磨パッド100のエッジに接続する。排出溝103は、研磨パッド100の回転中に、第1環状溝101及び第2環状溝102から研磨液を排出することができる。これは、研磨液及び塵埃の堆積に起因する、シリコンウェハの表面損傷を防止する。
【0040】
一実施形態では、図2を参照すると、排出溝103はアーチになっている。アーチは、研磨パッド100の回転方向に突出し、研磨パッド100の回転からの遠心力で研磨液を溝から排出しやすくする。例えば、排出溝103は、第2環状溝102の外エッジに一点で接した線(tangent)となってよい。
【0041】
例えば、排出溝103は、第1環状溝101又は第2環状溝102の深さ以上の深さを有し、研磨液は、第1環状溝101及び第2環状溝102から排出溝103に容易に流れる。排出溝103は、研磨パッド100の円の周囲に対称に配置してよい。一実施形態では、排出溝103の深さは、均一に分布させてよい。一実施形態では、排出溝103の深さは、研磨パッド100の中心からエッジまで徐々に増加してよい。図1及び図2に示すように、排出溝103は、第2環状溝102から始まり、第1環状溝101を通って、研磨パッド100のエッジまで延びてよい。あるいは、第2環状溝102と第1環状溝101とを接続する排出溝は、第1環状溝101と研磨パッド100のエッジとを接続する排出溝と、独立に配置されてよい。研磨液が第1環状溝101及び第2環状溝102から除去可能である限り、2種類の排出溝の数は同じであっても異なってもよい。
【0042】
図1及び図2には4つの排出溝103が示されているが、その数は限定されない。第1環状溝101及び第2環状溝102から研磨液を効果的に排出するために、研磨液の流量、研磨パッドの回転速度、第1環状溝101及び第2環状溝102のサイズに応じて、排出溝の数、幅、深さ、ラジアンなどを本分野の当業者は調整及び修正してよい。
【0043】
従って、本願の研磨パッドは、シリコンウェハ全体の研磨速度を基本的に変化させないまま、シリコンウェハのエッジでの研磨速度を減少させることができ、これによりシリコンウェハのエッジの厚みの平坦度を向上させ、製造歩留りを向上させることができる。
【0044】
実施例2
図6を参照して述べると、本実施形態では研磨装置が提供される。研磨装置は、研磨パッド100、駆動デバイス400及び研磨ヘッド300を備えている。研磨パッド100は、上述した任意の研磨パッドであってよく、即ち少なくとも1つの溝を有する研磨面を有する研磨パッド100であってよい。研磨中には、シリコンウェハの少なくとも部分的なエッジが溝の上方に張り出す。研磨パッド100は、駆動デバイス400上に配置され、駆動デバイス400で駆動されて回転する。研磨ヘッド300は、シリコンウェハを固定して、シリコンウェハの前面を研磨パッド100と接触させ、シリコンウェハのエッジを研磨パッド100の溝の上方に張り出させるために使用される。
【0045】
駆動デバイス400は、研磨パッド100の下に配置された大きなターンテーブルとすることができ、時計方向又は反時計方向に回転させるように研磨パッド100を駆動する。
【0046】
研磨ヘッド300は、シリコンウェハを搬送するために研磨パッド100の上方に配置される。一実施形態では、研磨ヘッド300は、ベースと、バッキングと、固定部とを備えている。シリコンウェハを装填するには、ベースとバッキングとの間のチャンバーを真空にして、シリコンウェハを吸引する。研磨プロセスの間、研磨ヘッド300は、シリコンウェハの背面に力を加え、一定の速度で回転するようにシリコンウェハを駆動する。シリコンウェハの回転方向は、研磨パッド100の回転方向と同じであってよい。
【0047】
一実施形態では、研磨パッドの上方に供給ポートを配置して、研磨液を研磨パッドに供給してよい。
【0048】
研磨装置では、シリコンウェハのエッジに対応する溝を有する研磨パッドが提供される。実施形態で、上記研磨パッドは、従来の研磨装置とともに用いてよい。従って、本発明に係る研磨装置は、シリコンウェハ全体の研磨速度をほぼ一定に保ちながら、シリコンウェハのエッジでの研磨速度を減少させることができる。これによりシリコンウェハのエッジの厚みの平坦度を向上させ、製造歩留りを向上させることができる。
【0049】
実施例3
図7を参照すると、研磨方法は、以下のステップを含む。
【0050】
ステップS710:研磨ヘッドでシリコンウェハを固定する。
【0051】
シリコンウェハはDSPで処理されてよい。研磨ヘッドは、真空排気によってシリコンウェハを吸引してよい。
【0052】
ステップS720:シリコンウェハの前面を、研磨ヘッドで駆動(作動)されている研磨パッドの研磨面に接触させる。シリコンウェハのエッジが、研磨パッドの研磨面の溝の上方に張り出す。
【0053】
一実施形態では、研磨パッドの研磨面には、パッドエッジの近くに第1環状溝が、及び/又はパッド中心の近くに第2環状溝が設けられている。研磨ヘッドは、シリコンウェハを駆動し、シリコンウェハを第1環状溝と第2環状溝との間で固定することができる。このとき、シリコンウェハの同じ直径の2つの反対側のエッジは、第1環状溝及び第2環状溝の上にそれぞれ張り出す。即ち、シリコンウェハのエッジのある領域は、第1環状溝及び第2環状溝の上に張り出し、研磨パッドと接触しない。例えば、第1環状溝の外エッジと第2環状溝の内エッジとの間の距離は、シリコンウェハの直径よりも大きく、これにより、シリコンウェハの左右の動きに対してある空間が維持される。
【0054】
研磨パッドの構造、及びシリコンウェハと研磨パッドとの位置関係は、上記説明の中で参照されてよい。
【0055】
ステップS730:研磨ヘッド及び研磨パッドを駆動して回転させ、シリコンウェハの前面を研磨する。
【0056】
具体的には、研磨プロセスの間、研磨ヘッドは、シリコンウェハの背面に力を加え、シリコンウェハを駆動して一定の速度で回転させる。シリコンウェハの回転方向は、研磨パッドの回転方向と同じであってよく、即ち、両方が時計方向であっても、両方が反時計方向であってもよい。研磨パッド及びシリコンウェハの回転中、シリコンウェハのエッジは、第1環状溝及び第2環状溝を連続的に通過し、研磨パッドとシリコンウェハのエッジとの間の接触時間及び接触面積を減少させる。従って、シリコンウェハ全体の研磨速度を基本的に変化させずに、シリコンウェハのエッジでの研磨速度を減少させることができ、これにより、シリコンウェハのエッジの厚みの平坦度を向上させ、生産歩留りを向上させることができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、回転と、力を加えることとに加えて、研磨ヘッドは、溝の上方に張り出したシリコンウェハの面積を、その運動によって調整してよい。シリコンウェハのエッジでの研磨速度は、それによって調整されてよい。一実施形態では、図8を参照すると、研磨ヘッドの運動は往復運動である。溝の上方に張り出したシリコンウェハのエッジの幅は大きく、一方、左右の動きの振幅は大きいことが理解され得る。
【0058】
図9は、除去された厚みとシリコンウェハ半径との間の関係を示す。溝の上方に張り出したウェハエッジのサイズは0.2mm、4mmである。ウェハエッジの接触幅は大きいが、ウェハエッジでの相対的な除去された厚み(半径145mm~149mmの位置)は小さいことが図9から分かる。即ち、シリコンウェハのエッジでの研磨速度は遅い。
【0059】
本願の研磨方法によれば、シリコンウェハ全体の研磨速度をほぼ一定に保ちながら、シリコンウェハのエッジの研磨速度を減少させることができ、これによりシリコンウェハのエッジの厚みの平坦度を向上させ、生産歩留りを向上させることができる。
【0060】
本発明は、ここまで詳述した好ましい実施形態及び実施例を参照して開示されるが、これらの実施例は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で意図されることが理解されるものとする。修正及び組み合わせは、当業者には容易になされるであろうと想定される。修正及び組み合わせは、本発明の精神、及び後述する請求項、及びその等価なシステム及び方法の範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】