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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162675
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】什器システム及び給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/40 20160101AFI20221018BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20221018BHJP
   H02J 50/50 20160101ALI20221018BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/12
H02J50/50
H02J7/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067597
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】須賀 政晴
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA08
5G503GB08
(57)【要約】
【課題】容易に無線給電可能な什器システム及び給電装置を提供する。
【解決手段】什器システムは、所定の方向に並べられた収納状態とすることが可能な複数の什器と、前記収納状態の複数の前記什器に対して無線給電を行う給電装置とを備え、前記什器は、前記給電装置から送電された電力を受電する受電コイルとを備え、前記給電装置は、複数の前記什器にそれぞれ備えられた前記受電コイルに電力を送電する送電コイルを備え、前記収納状態において、それぞれの前記什器が備える前記受電コイルの軸線の方向は同一であり、複数の前記什器が前記収納状態である場合において、前記送電コイルとそれぞれの前記什器の前記受電コイルは、前記送電コイルからワイヤレスで電力を受電可能な距離に位置している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に並べられた収納状態とすることが可能な複数の什器と、
前記収納状態の複数の前記什器に対して無線給電を行う給電装置とを備え、
前記什器は、
前記給電装置から送電された電力を受電する受電コイルとを備え、
前記給電装置は、
複数の前記什器にそれぞれ備えられた前記受電コイルに電力を送電する送電コイルを備え、
前記収納状態において、それぞれの前記什器が備える前記受電コイルの軸線の方向は同一であり、
複数の前記什器が前記収納状態である場合において、前記送電コイルとそれぞれの前記什器の前記受電コイルは、前記送電コイルからワイヤレスで電力を受電可能な距離に位置している
什器システム。
【請求項2】
複数の前記什器が前記収納状態である場合において、複数の前記什器にそれぞれ備えられる前記受電コイルは、前記送電コイルの軸線方向視において、互いに重なり合わない
請求項1に記載の什器システム。
【請求項3】
前記什器は、スタッキング収納またはネスティング収納により互いに重ねて収納され、
前記収納状態とは、スタッキング収納状態又はネスティング収納状態である
請求項1又は請求項2に記載の什器システム。
【請求項4】
前記什器は、タブレットと、前記タブレットを支持し、前記タブレットを使用する使用状態と前記タブレットを使用しない格納状態とに切替可能な支持部とを備えた椅子であり、
前記支持部が前記格納状態において整列配置され、
前記受電コイルは、前記タブレットに備えられる
請求項3に記載の什器システム。
【請求項5】
前記受電コイルが受電した電力を蓄電するバッテリーを更に備える
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の什器システム。
【請求項6】
什器に備えられた受電コイルに電力を無線給電する送電コイルを備え、
前記送電コイルを構成する巻線が構成する面積は、複数の前記什器がそれぞれ備える前記受電コイルを構成する巻線が構成する面積を合計した面積よりも大きい
給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、什器システム及び給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線給電可能なバッテリーを備えた什器が知られている。このような什器に対する無線給電技術の分野において、スタッキング等により複数の什器が互いに重なり合った状態で、複数の什器に対し無線給電を可能とする什器システムがあった(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-66267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の什器システムでは、複数の什器それぞれに対応する送電器(例えば、送電コイル等)を設ける必要があった。そのため、什器と什器の間に隙間が生じた状態で並べると、隙間が累積していき、後方の什器ほど受電器と送電器との位置ずれが生じて効率よく無線給電ができなくなるという問題が生じていた。また、送電器の配線が複雑になるという問題や、コストが高くなってしまうという問題が生じていた。更に、什器と送電器との位置を合わせる必要があるため、互いに重なり合った複数の什器の位置それぞれに対応する位置に、送電器の位置を固定しなければならず、送電器の配置設計が容易でなかった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、容易に無線給電可能な什器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る什器システムは、所定の方向に並べられた収納状態とすることが可能な複数の什器と、前記収納状態の複数の前記什器に対して無線給電を行う給電装置とを備え、前記什器は、前記給電装置から送電された電力を受電する受電コイルとを備え、前記給電装置は、複数の前記什器にそれぞれ備えられた前記受電コイルに電力を送電する送電コイルを備え、前記収納状態において、それぞれの前記什器が備える前記受電コイルの軸線の方向は同一であり、複数の前記什器が前記収納状態である場合において、前記送電コイルとそれぞれの前記什器の前記受電コイルは、前記送電コイルからワイヤレスで電力を受電可能な距離に位置している。
【0006】
本発明の一態様に係る什器システムは、複数の前記什器が前記収納状態である場合において、複数の前記什器にそれぞれ備えられる前記受電コイルは、前記送電コイルの軸線方向視において、互いに重なり合わない。
【0007】
本発明の一態様に係る什器システムにおいて、前記什器は、スタッキング収納またはネスティング収納により互いに重ねて収納され、前記収納状態とは、スタッキング収納状態又はネスティング収納状態である。
【0008】
本発明の一態様に係る什器システムにおいて、前記什器は、タブレットと、前記タブレットを支持し、前記タブレットを使用する使用状態と前記タブレットを使用しない格納状態とに切替可能な支持部とを備えた椅子であり、前記支持部が前記格納状態において整列配置され前記受電コイルは、前記タブレットに備えられる。
【0009】
本発明の一態様に係る什器システムは、前記受電コイルが受電した電力を蓄電するバッテリーを更に備える。
【0010】
本発明の一態様に係る給電装置は、什器に備えられた受電コイルに電力を無線給電する送電コイルを備え、前記送電コイルを構成する巻線が構成する面積は、複数の前記什器がそれぞれ備える前記受電コイルを構成する巻線が構成する面積を合計した面積よりも大きい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、容易に無線給電可能な什器システム及び給電装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係る什器システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る什器システムの一例について説明するための図である。
図3】第1の実施形態に係る給電装置の一例について説明するための図である。
図4】第1の実施形態に係るタブレットが開いた状態の什器の一例について説明するための図である。
図5】第1の実施形態に係るタブレットが閉じた状態の什器の一例について説明するための図である。
図6】第1の実施形態に係るネスティングされた状態の什器について説明するための図である。
図7】第1の実施形態に係る什器システムの回路構成の一例を示す回路図である。
図8】第2の実施形態に係る什器システムについて説明するための図である。
図9】第3の実施形態に係る什器システムの一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施形態の本実施形態の什器システム、什器、給電装置を、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一の符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る什器システムの機能構成の一例を示すブロック図である。同図を参照しながら、什器システム1の機能構成について説明する。什器システム1は、少なくとも1つの給電装置300と、複数の什器200とを備える。同図に示す一例においては、什器システム1は、給電装置300と、什器200-1と、什器200-2とを備える。
【0015】
什器200は、移動可能な器具である。什器200は、キャスター等の移動手段を備えることにより移動可能に構成されていてもよいし、キャスター等の移動手段を備えていなくても、ユーザにより持ち上げられることにより、移動可能に構成されていてもよい。
複数の什器200は、収納状態とすることができる。ここで、収納状態とは、所定の方向に収納可能な間隔で所定の位置に並べられた状態である。所定の方向に並べられた状態とは、例えば、什器200を互いに重ね合わせることにより収納面積を小さくした状態である。なお、所定の方向に並べられた状態とは、什器200を互いに重ね合わせていなくてもよく、単に整列配置された状態であってもよい。所定の位置とは、給電装置300が設けられた位置である。
什器200は、例えば、椅子、机、キャビネット、パーティション等の事務所や店舗等で使用される器具を広く含む。本実施形態においては、什器200が椅子である場合の一例について説明する。
什器200は、受電コイル210と、制御回路220と、バッテリー230とを備える。
【0016】
受電コイル210は、給電装置300から無線給電により送電された電力を受電する。本実施形態に用いられる無線給電の方式としては、例えば、電磁誘導方式や、磁界共鳴方式のような磁界結合方式であってもよい。電磁誘導方式の無線給電規格としては、例えばWPC(Wireless Power Consortium)の策定する規格「Qi(登録商標)」がある。また、磁界共鳴方式の無線給電規格としては、例えば、AirFuel(登録商標)Allianceの策定する規格「AirFuel Resonant」がある。
なお、本実施形態に用いられる無線給電の方式は、これらの一例に限定されず、その他の無線給電の方式を広く含む。
【0017】
制御回路220は、給電装置300と什器200との間における無線給電の状態を制御する。また、制御回路220は、受電コイル210により受電した電力をバッテリー230に充電させる。
【0018】
バッテリー230は、蓄電機能を有する素子又は装置である。バッテリー230は、例えば、リチウムイオン二次電池などの蓄電池(二次電池)、リチウムイオンキャパシタ、又は電気二重層キャパシタ等であってもよい。バッテリー230は、受電コイル210が受電した電力を蓄電する。また、バッテリー230は、不図示の出力部に接続された所定の機器に対し、蓄電した電力を供給する。
【0019】
給電装置300は、商用電力CPに接続される。給電装置300は、複数の什器200が収納状態である場合において、それぞれの什器200に対して無線給電を行う。本実施形態において、収納状態とは、互いに重ねられずに配置された状態と、互いに重ねて収納された状態とを広く含む。互いに重ねて収納された状態とは、例えばスタッキング収納状態と、ネスティング収納状態とを含む。スタッキング収納状態とは、什器200が垂直方向に重ねられた状態であり、ネスティング収納状態とは、什器200が水平方向に重ねられた状態である。
給電装置300は、送電コイル310と、制御回路320とを備える。
【0020】
送電コイル310は、什器200に備えられる受電コイル210に電力を送電する。具体的には、送電コイル310は、複数の什器200が整列配置された状態において、それぞれの什器200に備えられる受電コイル210に電力を送電する。
【0021】
制御回路320は、給電装置300と什器200との間における無線給電の状態を制御する。また、制御回路320は、給電装置300と複数の什器200との間における無線給電の状態を制御する。具体的には、制御回路320は、商用電力CPから交流電力を取得し、取得した交流電力を無線給電可能な電力に変換し、変換した電力を送電コイル310により送電する。
【0022】
図2は、第1の実施形態に係る什器システムの一例について説明するための図である。同図を参照しながら、第1の実施形態に係る什器システム1の一例について説明する。同図において、什器システム1は、給電装置300と、什器200-1と、什器200-2と、什器200-3とを備える。
【0023】
図2(A)は、什器システム1の側面図である。什器200-1は、タブレット240-1を備え、タブレット240-1は受電コイル210-1とバッテリー230-1とを備える。タブレットは例えば樹脂や木材、ガラスを含む無機材料などの無線給電に影響を与えない非金属素材が望ましい。什器200-2は、タブレット240-2を備え、タブレット240-2は受電コイル210-2とバッテリー230-2とを備える。什器200-3は、タブレット240-3を備え、タブレット240-3は受電コイル210-3とバッテリー230-3とを備える。側面視において、給電装置300が備える送電コイル310の巻回面(ループ面)と、受電コイル210-1の巻回面、受電コイル210-2の巻回面又は受電コイル210-3の巻回面とは、互いに重なり合う。すなわち、送電コイル310の巻回面は、受電コイル210-1の巻回面、受電コイル210-2の巻回面及び受電コイル210-3の巻回面と対向する。ここで、巻回面とは、コイルを構成する巻き線により形成される面、又は基板パターンにより形成される面をいう。
受電コイル210-1の巻回面と、受電コイル210-2の巻回面と受電コイル210-3の巻回面とは、同一面にあることが望ましい。換言すれば、それぞれの受電コイル210の軸線方向が同じとなる。それぞれの受電コイルは送電コイルの送電範囲内に配置される。ここで送電範囲とは、所定の給電効率(例えば、60%)を確保できる範囲をいう。
また、複数の什器200が収納状態である場合において、複数の什器200にそれぞれ備えられる受電コイル210は、受電コイル210の軸線方向視において、互いに重なり合わない。
【0024】
図2(B)は、什器システム1の一部の正面図である。同図には、給電装置300と、什器200-1が備えるタブレット240-1が示される。給電装置300は、送電コイル310と、クリップ330とを備える。クリップ330は、什器200-1のタブレット240を挟持する。正面視において、給電装置300が備える送電コイル310と、受電コイル210-1とは、互いに隣接する。給電装置300は、クリップ330を備えることにより、什器200の備える受電コイル210が、送電コイル310に隣接した位置に来るようタブレット240を挟持することができる。給電装置300は各什器のタブレットと磁石や吸盤で固定してもよいし、ネジなどで固定してもよい。
【0025】
図2(C)は、什器システム1の平面図である。給電装置300に備えられた送電コイル310の巻回面と、それぞれの什器200に備えられた受電コイル210の巻回面とは、対向する位置に配置される。同図に示す一例において、送電コイル310の巻回面は、受電コイル210-1の巻回面と、受電コイル210-2の巻回面と、受電コイル210-3の巻回面と、対向する位置に配置される。すなわち、什器システム1は、複数の什器200が整列配置された状態において、それぞれの什器200が備える受電コイル210の巻回面と、送電コイル310の巻回面とが対向する位置に給電装置300を設置可能である。
【0026】
なお、送電コイル310の巻回面と、受電コイル210巻回面とが対向する位置とは、略平行であることが望ましいが、この一例に限定されない。送電コイル310の巻回面と、受電コイル210巻回面とが平行に近づくほど給電効率を上げることができるが、什器200の整列配置の状態により、略平行でなくてもよい。
【0027】
図3は、第1の実施形態に係る給電装置300の一例について説明するための図である。同図を参照しながら、給電装置300の一例について説明する。
図3(A)は、給電装置300の平面図である。給電装置300は、上部にインジケーター340を備える。インジケーター340は、什器システム1の給電の状態を表示する。インジケーター340は、例えば、赤色LED(light emitting diode)と緑色LEDとを備えていてもよい。インジケーター340が赤色LEDと緑色LEDとを備える場合、給電中には赤色LEDを点灯させ、給電が完了した場合には緑色LEDを点灯させてもよい。また、インジケーター340は、液晶ディスプレイ等の表示部により、什器システム1の給電の状態を表示してもよい。
【0028】
なお、インジケーター340は、LED等により視覚的に什器システム1の給電の状態を表示する一例に限定されず、スピーカー等により聴覚的に什器システム1の給電の状態を表してもよい。
【0029】
図3(B)は、給電装置300の側面図である。給電装置300は、側面視において、送電コイル310を構成する巻き線により形成されるループの面積(巻回面積)又は送電コイル310のコイル径が大きくなるよう構成されることにより、より多くの什器200に対し同時に給電することができる。
図3(C)は、給電装置300の正面図である。給電装置300は、什器200の備えるタブレット240を挟持するためのクリップ330を備える。クリップ330は、タブレット240が、送電コイル310に隣接した位置に挟持することにより、給電効率を確保する。
給電装置300は、例えば樹脂や木材、ガラスを含む無機材料などの無線給電に影響を与えない非金属で、少なくとも整列方向に対して剛性のある素材が望ましい。これにより、クリップ330でタブレット240を挟持した時に什器200の整列方向を給電装置300にあわせて補正することができ、各受電コイル210と送電コイル310との距離を均等に保つことができる。
あるいは、給電装置300は、例えばゴムや繊維等の可撓性のある素材で構成され、送電コイル310は、導電性ゴムや導電性繊維で構成されてもよい。これにより、各タブレット240の載置面に合わせて給電装置300を沿わすことができる。
【0030】
図4は、第1の実施形態に係るタブレット240が開いた状態の什器200の一例について説明するための図である。同図を参照しながら、タブレット240が開いた状態の什器200の一例について説明する。タブレット240が閉じた状態とは、具体的には、タブレット240を支持する支持脚(支持部)243の先端に設けられタブレット240を回転支持するジョイント部の支持脚周りにタブレット240を約90度回転させ、更にジョイント部のタブレット240の載置面に対して直交する軸周りにタブレット240を約180度回転させることにより、什器の側方に格納される状態をいう。また、タブレット240が開いた状態とは、具体的には、什器の側方に格納されたタブレット240が、タブレット240を回転支持するジョイント部のタブレット240の載置面に対して直交する軸周りにタブレット240を約180度回転させ、更にジョイント部の支持脚周りにタブレット240を約90度回転させることによりタブレット240が開いた状態をいう。
図4(A)は、タブレット240が開いた状態の什器200の斜視図である。タブレット240は、内部に受電コイル210とバッテリー230とを備える。なお、タブレット240は、タブレット240の積載面241の裏面に受電コイル210とバッテリー230とを備えていてもよい。
【0031】
図4(B)は、タブレット240が開いた状態の什器200の正面図である。同図を参照しながら、タブレット240の開閉について説明する。同図に示すように、タブレット240が開いた状態では、タブレット240の積載面241が、x軸方向と略平行である。タブレット240が閉じた状態では、タブレット240の積載面241が、y軸方向と略平行である。什器200は、タブレット240を開くことにより、ユーザがタブレット240を使用しやすくなり、タブレット240を閉じることにより、スタッキング又はネスティング等により整列配置されやすくなる。
【0032】
図4(C)は、タブレット240が開いた状態の什器200の平面図である。タブレット240は、支持脚243により支持される。ユーザはタブレット240の積載面241にノートパソコン等を置く等してタブレット240を使用する。
【0033】
図4(D)は、タブレット240が開いた状態の什器200の側面図である。同図に示す一例において、タブレット240の積載面241には、ノートパソコン80が載置されている。本実施形態において、ノートパソコン80は、什器200から電力の供給を受ける。ノートパソコン80が什器200から電力の供給を受ける場合の一例として、USB(Universal Serial Bus)による電力の送電について説明する。バッテリー230はUSBポート81を備え、什器200が備えるバッテリー230に蓄えられた電力を、USBケーブル82を介して、ノートパソコン80に送電する。
なお、什器200からノートパソコン80への送電は、無線給電方式を用いて行ってもよい。また、什器200は、ノートパソコン80に代えて、タブレット端末やスマートフォン等の情報処理端末に電力を送電してもよい。
【0034】
図5は、第1の実施形態に係るタブレットが閉じた状態の什器の一例について説明するための図である。同図を参照しながら、タブレット240が開いた状態の什器200の一例について説明する。
図5(A)は、タブレットが閉じた状態の什器200の正面図である。タブレット240が閉じた状態では、タブレット240の積載面241が、y軸方向と略平行である。本実施形態において、タブレット240を閉じた場合に、タブレット240の積載面241がy軸方向と略平行であることにより、受電コイル210が、給電装置300から給電を受ける際の給電効率が上がる。また、タブレット240を閉じた場合に、タブレット240の積載面241がy軸方向と略平行であることにより、什器200は、スタッキング又はネスティングされ易くなる。
【0035】
図5(B)は、タブレットが閉じた状態の什器200の側面図である。同図に示すように、タブレット240の積載面241の裏面には、受電コイル210と、バッテリー230とが備えられる。
【0036】
図6は、第1の実施形態に係るネスティングされた状態の什器200について説明するための図である。同図に示す一例においては、什器200-1と、什器200-2と、什器200-3とがネスティングされている。
【0037】
図6(A)は、ネスティングされた状態の什器200の平面図である。この一例において、什器200-1と、什器200-2と、什器200-3とは、互いに距離L1離れて配置される。すなわち、什器200は、距離L1をピッチとして、ネスティングされている。什器200の脚の左右の間隔は、前側が狭く後ろ側が広くなっている。また、タブレット240が閉じた状態では前側が内側に傾くようになっている。このことより、什器200は入れ子状になっており、ネスティングされた状態となる。
什器200-1が備えるタブレット240-1と、什器200-2が備えるタブレット240-2と、什器200-3が備えるタブレット240-3とは、整列方向において互いに重なり合う。タブレット240-1が備える受電コイル210-1の軸線N1と、タブレット240-2が備える受電コイル210-2の軸線N2と、タブレット240-3が備える受電コイル210-3の軸線N3とは、平行である。すなわち、本実施形態において、複数の什器200が整列配置された状態において、それぞれの什器200が備える受電コイル210の軸線の方向は同一である。受電コイル210の軸線が互いに平行な範囲、すなわち受電コイル210の軸線の方向が同一な範囲とは、所定の給電効率(例えば、60%)を確保できる範囲をいう。
【0038】
図6(B)は、ネスティングされた状態の什器200の側面図である。側面視において、什器200がそれぞれ備えるタブレット240は互いに重なり合うが、什器200がそれぞれ備える受電コイル210の巻回面は、互いに重なり合わない。すなわち、複数の什器200が整列配置された状態において、受電コイル210の巻回面は、略同一面上に配置される。側面視において、什器200がそれぞれ備える受電コイル210の巻回面が互いに重なり合わないため、給電効率がよい。また、側面視における受電コイル210の幅W1は、什器200がネスティングされる際のピッチである距離L1よりも大きい。したがって、本実施形態において、受電コイル210の大きさを大きくすることができるため、給電効率を上げることができる。また、什器200がネスティングされる際のピッチよりも受電コイル210の大きさが小さいため、什器200同士を隙間なく収納した状態で受電コイル210に重なりが生じなければ、什器200間に隙間が生じても受電コイル210同士が重なり合うことはなく、同じ充電効率を保つことができる。
【0039】
図7は、第1の実施形態に係る什器システム1の回路構成の一例を示す回路図である。同図に示す一例においては、什器200-1と、什器200-2と、什器200-3とが、給電装置300から無線給電を受ける。什器200-1に備えられた受電コイル210-1と、什器200-2に備えられた受電コイル210-2と、什器200-3に備えられた受電コイル210-3とは、給電装置300に備えられた送電コイル310と対向し、それぞれ無線給電を受ける。
【0040】
給電装置300は、送電コイル310と、コンデンサ351と、高周波電源HFPSとを備える。コンデンサ351は、高周波電源HFPSと送電コイル310との間に直列に接続される共振用コンデンサである。コンデンサ351は、例えば、積層セラミックチップコンデンサ等であってもよい。コンデンサ351と、送電コイル310とは、LC共振回路を形成する。
【0041】
什器200は、受電コイル210と、制御回路220と、バッテリー230と、コンデンサ251とを備える。コンデンサ251は、受電コイル210とバッテリー230との間に直列に接続される共振用コンデンサである。コンデンサ251は、例えば、積層セラミックチップコンデンサ等であってもよい。コンデンサ251と、受電コイル210とは、LC共振回路を形成する。高周波電源HFPSの動作周波数は共振周波数(例えば6.78MHz)と略一致するように設定されている。
【0042】
給電装置300に形成されたLC共振回路と、什器200に形成されたLC共振回路とは、共振周波数が略一致するよう回路定数が設定され、無線給電可能に構成されていてもよい。
【0043】
[第1の実施形態のまとめ]
また、本実施形態によれば、複数の什器200が整列配置された状態において、それぞれの什器200が備える受電コイル210の巻回面と、送電コイル310の巻回面とが対向する位置に給電装置300が設置されるため、受電コイル210は概ね送電コイル310から無線給電可能な範囲内にあり、受電コイル210の巻回面に垂直な方向が略同一であれば、什器と什器の間に隙間が生じた状態で配置しても無線給電できる。よって、本実施形態によれば、整列配置の作業を容易に行うことができる。
また、本実施形態によれば、送電コイル310が単一であるため、什器システム1を安価に構成することができる。また、送電コイル310が単一であるため、送電コイル310を複数備える場合に比べ、送電コイル310への送電ケーブルを少なくすることができる。よって、本実施形態によれば、容易に無線給電可能な什器システム1を提供することができる。
【0044】
また、上述した実施形態によれば、複数の什器200が整列配置された状態において、受電コイル210の巻回面は、略同一面上に配置される。したがって、本実施形態によれば、送電コイル310からそれぞれの受電コイル210までの距離が略等しくなり、給電装置300は、いずれの什器200に対しても略同じ効率で送電することができる。また、本実施形態によれば、それぞれの受電コイル210を送電コイル310に近づけることができるため、給電効率を上げることができる。
【0045】
また、上述した実施形態によれば、什器200は互いに重ねて収納され、整列配置された状態とは、スタッキング収納状態又はネスティング収納状態である。スタッキング収納状態及びネスティング収納状態は、いずれも複数の什器200を重ね合わせて高密度に収納した状態であり、什器200同士が略一定間隔で向きが同じに近接した状態である。スタッキング収納状態及びネスティング収納状態では、それぞれの什器200の部材(例えば、タブレット240や、椅子の座面、机の天板面等)は、整列配置される什器200の数が増えた場合であっても、それまでに整列配置された什器200の部材が整列配置された位置の延長上に整列されていく。また、什器200の脚の左右の間隔は、前側が狭く後ろ側が広くなっている。また、タブレット240が閉じた状態では前側が内側に傾くようになっている。よって、本実施によれば、複数の什器200を整列配置すると受電コイル210も連続して並ぶことになり、容易に受電コイル210の巻回面の法線方向を揃えることができる。また、什器200は互いに重ねて収納されるため、収納状態では受電コイル210の間隔が狭くなるため、給電装置300を小型化することができる。
【0046】
また、上述した実施形態によれば、什器200は、タブレット240を備えた椅子であり、受電コイル210はタブレット240に備えられる。本実施形態によれば、椅子を収納している状態であるネスティング状態では、受電コイル210が同一平面上に配置されるため、椅子の収納状態により効率よく無線給電することができる。また、タブレット240は大きな平面であるため、効率良く受電コイル210を配置することができる。
【0047】
また、上述した実施形態によれば、給電装置300は送電コイル310を備え、送電コイル310の巻回面の大きさは、受電コイル210の巻回面の大きさよりも大きい。よって、本実施形態によれば、給電装置300は、複数の什器200に対し、同時に給電することができる。また、本実施形態によれば、送電コイル310の巻回面の大きさは、受電コイル210の巻回面の大きさよりも大きいため、効率よく、複数の什器200に対し、同時に給電することができる。
また、上述した実施形態によれば、給電装置300は、クリップ330を備えることにより、什器200の備える受電コイル210が、送電コイル310に隣接した位置に来るようタブレット240を挟持することができる。更に、什器を所定の方向に並ぶように什器の向きを補正することができ、効率よく、複数の什器200に対し、同時に給電することができる。
【0048】
上述した実施形態によれば、什器システム1は、複数の什器200と、給電装置300とを備えることにより、給電装置300は、複数の什器200に対し無線給電する。複数の什器200が整列配置された状態において、それぞれの什器200が備える受電コイル210の巻回面に垂直な方向は略同一であるため、送電コイル310は、それぞれの什器200を区別することなく給電することができる。
【0049】
[第2の実施形態]
図8は、第2の実施形態に係る什器システム1Aについて説明するための図である。同図を参照しながら、什器システム1Aについて説明する。什器システム1Aは、什器200に代えて什器200Aを、給電装置300に代えて給電装置300Aを備える点において、什器システム1とは異なる。什器システム1Aの説明において、什器システム1と同様の構成については、同様の符号を付すことにより説明を省略する場合がある。
什器システム1Aにおいて、什器200Aとは、具体的には、フラップテーブルである。
【0050】
図8(A)は、什器システム1Aの斜視図である。什器システム1Aは、什器200A-1と、什器200A-2と、什器200A-3と、給電装置300Aとを備える。以降の説明において、什器200A-1と、什器200A-2と、什器200A-3とを区別しない場合は、単に什器200Aと記載する。什器システム1Aは、什器200Aをネスティングすることにより整列配置する。
什器システム1Aが備える複数の什器200Aは、それぞれ天板の側面に受電コイル210Aを備える。具体的には、什器200A-1は受電コイル210A-1を備え、什器200A-2は受電コイル210A-2を備え、什器200A-3は受電コイル210A-3を備える。
【0051】
受電コイル210A-1の軸線と、受電コイル210A-2の軸線と、受電コイル210A-3の軸線とは、平行である。すなわち、本実施形態において、複数の什器200Aが整列配置された状態において、それぞれの什器200Aが備える受電コイル210Aの軸線の方向は同一である。受電コイル210Aの軸線が互いに平行な範囲、すなわち受電コイル210Aの軸線の方向が同一な範囲とは、所定の給電効率(例えば、60%)を確保できる範囲をいう。
【0052】
給電装置300Aは、複数の什器200Aがそれぞれ備える受電コイル210Aの上方に設置される。給電装置300Aは、送電コイル310Aを備える。
ここで、複数の什器200Aがそれぞれ備える受電コイル210Aは、送電コイル310Aの軸線方向視において、互いに重なり合わない。
【0053】
図8(B)は、什器システム1Aの平面図である。この一例において、什器200A-1と、什器200A-2と、什器200A-3とは、所定の間隔で配置される。什器200Aの脚の左右の間隔は、前側が狭く後ろ側が広くなっているため、什器200Aは入れ子状になっており、ネスティングされた状態となる。
【0054】
図8(C)は、什器システム1Aの側面図である。側面視において、什器200Aがそれぞれ備える受電コイル210Aは、互いに重なり合わない。
また、什器200Aがネスティングされる際のピッチよりも、受電コイル210Aの大きさが小さいため、什器200A同士を隙間なく収納した状態で受電コイル210Aに重なりが生じなければ、什器200A間に隙間が生じても受電コイル210A同士が重なり合うことはなく、同じ充電効率を保つことができる。
【0055】
[第2の実施形態のまとめ]
上述した実施形態によれば、複数の什器200Aが整列配置された状態において、それぞれの什器200Aが備える受電コイル210Aは、送電コイル310Aからみて、什器200Aの整列方向において重なり合わない。したがって、本実施形態によれば、それぞれの什器200Aが備える受電コイル210A同士が互いに重なり合わないため、送電コイル310Aから給電される際の給電効率を一定にすることができる。
【0056】
また、上述した実施形態によれば、フラップテーブルである什器200Aを収納している状態であるネスティング状態において、受電コイル210Aが給電装置300Aに近接配置されるため、フラップテーブルの収納状態により効率よく無線給電することができる。
【0057】
[第3の実施形態]
図9は、第3の実施形態に係る什器システム1Eの一例について説明するための図である。什器システム1Eは、給電装置300Eと、複数の什器200とを備える。什器システム1Eは、例えば病院や介護施設等のナースステーションに設けられる。本実施形態において、給電装置300Eは、テーブルである。什器200は、給電装置300Eから離れて床面F上を走行させて使用することが可能なナースカートである。同図に示す一例において、ナースカートである什器200Eを机である給電装置300Eに隣接させた状態を収納状態とも記載する。
【0058】
給電装置300Eは、床面Fに載置された状態で固定され、天板360Eを備える。給電装置300Eは、天板360Eの下方に複数の什器200の一部を収容可能な収容部370を有する。給電装置300Eは、天板360Eに送電コイル310Eを備える。送電コイル310Eの巻回面は、什器200Eが収容部370に収容された状態において、什器200Eが備える受電コイル210Eの巻回面と対向する。
【0059】
ナースカートである什器200Eは、床面F上を走行可能な走行手段であるキャスター281を備えた架台と、架台の上に設置されて物品を収容可能な収納部と、収納部の上方に設けられて上面に情報端末などの電子機器を載置可能な天板280Eとを備える。什器200Eは、図1に示す給電装置300Eの組み合わせ位置Rにおいて使用されるとともに、該組み合わせ位置Rから離脱させて所望の位置に移動させて使用されるものである。
【0060】
什器200Eは、天板280Eに受電コイル210Eを備える。受電コイル210Eの巻回面は、什器200Eが収容部370に収容された状態において、給電装置300Eが備える送電コイル310Eの巻回面と対向する。
給電装置300Eは、送電コイル310Eを介し、組み合わせ位置Rに位置する什器200Eが備える受電コイル210Eに対して無線給電を行う。
【0061】
[第3の実施形態のまとめ]
上述した実施形態によれば、什器システム1Eは、病院や介護施設等のナースステーションに設けられることができる。ナースカートである什器200Eは、机である給電装置300Eに収容されることにより、無線給電を受けることができる。
【0062】
以上説明してきたように、実施形態では、複数の変形例を記載した。ここで、組み合わせることが可能な限りにおいて、複数の実施形態及び複数の変形例を組み合わせて実施するようにしてもよい。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0064】
なお、給電装置300は複数備えられ、複数の什器200のうち給電装置300が給電可能な台数毎に分割して給電を行うようにしてもよい。例えば、什器200が10台整列配置する場合、給電装置300を2つ設けて、5台ずつに分割して無線給電してもよい。
【0065】
なお、什器200はバッテリー230に代えて、受電した電力を用いて所定の動作を行う装置を備えていてもよい。什器200は、バッテリー230に代えて、例えば除菌剤を排出する装置を備え、天板面など使用者が触れる場所に除菌剤を噴霧して除菌するようにしてもよい。また、什器200はバッテリー230に代えて、例えばUVランプ照射装置を備え、天板面など使用者が触れる場所にUVランプ照射するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…什器システム、200…什器、300…給電装置、210…受電コイル、220…制御回路、230…バッテリー、240…タブレット、241…積載面、243…支持脚、251…コンデンサ、260…座面、270…背面、280…天板、310…送電コイル、320…制御回路、330…クリップ、340…インジケーター、351…コンデンサ、360…天板、361…側面、80…ノートパソコン、81…USBポート、82…USBケーブル、CP…商用電力、HFPS…高周波電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9