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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162676
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】什器システム、什器、及び給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/40 20160101AFI20221018BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20221018BHJP
   H02J 50/50 20160101ALI20221018BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/12
H02J50/50
H02J7/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067598
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】須賀 政晴
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA08
5G503GB08
(57)【要約】
【課題】容易に無線給電可能な什器システム、什器及び給電装置を提供する。
【解決手段】什器システムは、所定の方向に並べられた収納状態とすることが可能な複数の什器を備え、前記什器は、前記収納状態において一方に隣接する前記什器から無線給電により送電された電力を受電する受電コイルと、他方に隣接する前記什器へ送電する送電コイルとを備える送受電部と、前記収納状態において、前記送電コイルと、隣接する前記什器が備える前記受電コイルとは、前記送電コイルの軸線方向視において少なくとも一部が重なり、前記受電コイルと、隣接する前記什器が備える前記送電コイルとは、前記受電コイルの軸線方向視において少なくとも一部が重なる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に並べられた収納状態とすることが可能な複数の什器を備え、
前記什器は、
前記収納状態において一方に隣接する前記什器から無線給電により送電された電力を受電する受電コイルと、他方に隣接する前記什器へ送電する送電コイルとを備える送受電部と、
前記収納状態において、前記送電コイルと、隣接する前記什器が備える前記受電コイルとは、前記送電コイルの軸線方向視において少なくとも一部が重なり、前記受電コイルと、隣接する前記什器が備える前記送電コイルとは、前記受電コイルの軸線方向視において少なくとも一部が重なる
什器システム。
【請求項2】
前記什器は、スタッキング収納またはネスティング収納により互いに重ねて収納され、
前記収納状態とは、スタッキング収納状態又はネスティング収納状態である
請求項1に記載の什器システム。
【請求項3】
前記什器に電力を送電する送電コイルを備える給電装置を更に備え、
前記収納状態において前記給電装置が備える前記送電コイルの軸線方向視した場合、1つの前記什器が備える前記送受電部と、前記給電装置の前記送電コイルとは、少なくとも一部が重なる
請求項1又は請求項2に記載の什器システム。
【請求項4】
前記什器は、受電した電力を消費する負荷と、
前記負荷へ受電した電力を供給する制御回路とを更に備える
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の什器システム。
【請求項5】
前記負荷は、バッテリーであって、
前記送受電部は、前記バッテリーに蓄電された電力を隣接する前記什器に送電し、
前記什器は、
受電した電力を前記バッテリーへ充電する充電装置と、前記バッテリーとを含む充電回路と、
前記送受電部の両端を短絡する短絡回路と、
前記充電回路と前記短絡回路とを切り替えるスイッチと、
所定の条件に基づき前記スイッチを切り替える判定装置と
を更に備える
請求項4に記載の什器システム。
【請求項6】
前記判定装置は、
前記バッテリーの残量を検出する検出部を備え、
検出部により検出された前記バッテリーの残量に基づき、前記スイッチを前記短絡回路に切り替える
請求項5に記載の什器システム。
【請求項7】
前記給電装置は、
前記送電コイルからの送電時に送電信号を出力する第1の送電信号出力装置を更に備え、
前記什器は、
前記スイッチが前記短絡回路に切り替わっている状態で送電信号を出力する第2の送電信号出力装置と、
前記給電装置又は隣接する前記什器から出力された送電信号を検知可能な検出装置と
を更に備え、
前記判定装置は、前記検出装置が送電信号を検知しない場合に、前記送受電部の両端が解放される開放回路へ前記スイッチを切り替える
請求項3に従属する請求項5又は請求項6に記載の什器システム。
【請求項8】
前記送受電部が備える前記受電コイルと、前記送電コイルとは、異なるコイルである
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の什器システム。
【請求項9】
給電装置又は隣接する什器から送電された電力を受電する受電コイルと、隣接する他の什器へ送電する送電コイルとを備える送受電部と、
受電した電力によって駆動される負荷を備える什器であって、
複数の前記什器は、スタッキング収納状態又はネスティング収納状態に収納可能である
什器。
【請求項10】
什器に備えられた送受電部に電力を送電する送電コイルと、
前記什器に備えられた送受電部と対向する位置に前記送電コイルが位置するように係合可能とする係合装置と
を備える給電装置。
【請求項11】
前記什器は、受電した電力を蓄電するバッテリーと給電回路を更に備え、
前記送受電部は、前記バッテリーに蓄電された電力を隣接する前記什器に送電する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の什器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、什器システム、什器、及び給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線により電力を受電する受電装置を備えた什器が知られている。このような什器に対する無線給電技術の分野において、什器が互いに重なり合った状態(例えば、スタッキングされた状態)で、無線給電を可能とする什器システムがあった(例えば、特許文献1を参照。)。
また、複数の受電装置に対して送電する送電装置として、受電装置の要求に応じ、それぞれの受電装置の状態を受電状態、中継状態又は非受電状態のいずれかに制御する技術があった(例えば、特許文献2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-66267号公報
【特許文献2】特開2018-11489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の什器システムでは、互いに重なり合った状態の複数の什器それぞれに対応する送電器(例えば、送電コイル等)を設ける必要があった。そのため、送電器の配線が複雑なものとなり、コストが高くなってしまうという問題が生じていた。さらに、什器と送電器との位置を合わせる必要があるため、互いに重なり合った什器の位置に対応する位置に、それぞれの送電器の位置を固定しなければならず、送電器の配置設計が容易でなかった。
また従来の、複数の受電装置に対して無線で送電可能な送電装置によれば、受電装置と送電装置との間で通信を行い、受電装置の状態を管理することを要していた。すなわち、従来技術によれば、複雑な制御を要していた。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、容易に無線給電可能な什器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る什器システムは、所定の方向に並べられた収納状態とすることが可能な複数の什器を備え、前記什器は、前記収納状態において一方に隣接する前記什器から無線給電により送電された電力を受電する受電コイルと、他方に隣接する前記什器へ送電する送電コイルとを備える送受電部と、前記収納状態において、前記送電コイルと、隣接する前記什器が備える前記受電コイルとは、前記送電コイルの軸線方向視において少なくとも一部が重なり、前記受電コイルと、隣接する前記什器が備える前記送電コイルとは、前記受電コイルの軸線方向視において少なくとも一部が重なる。
【0006】
本発明の一態様に係る什器システムにおいて、前記什器は、スタッキング収納またはネスティング収納により互いに重ねて収納され、前記収納状態とは、スタッキング収納状態又はネスティング収納状態である。
【0007】
本発明の一態様に係る什器システムは、前記什器に電力を送電する送電コイルを備える給電装置を更に備え、前記収納状態において前記給電装置が備える前記送電コイルの軸線方向視した場合、1つの前記什器が備える前記送受電部と、前記給電装置の前記送電コイルとは、少なくとも一部が重なる。
【0008】
本発明の一態様に係る什器システムにおいて、前記什器は、受電した電力を消費する負荷と、前記負荷へ受電した電力を供給する制御回路とを更に備える。
【0009】
本発明の一態様に係る什器システムにおいて、前記負荷は、バッテリーであって、
前記送受電部は、前記バッテリーに蓄電された電力を隣接する前記什器に送電し、前記什器は、受電した電力を前記バッテリーへ充電する充電装置と、前記バッテリーとを含む充電回路と、前記送受電部の両端を短絡する短絡回路と、前記充電回路と前記短絡回路とを切り替えるスイッチと、所定の条件に基づき前記スイッチを切り替える判定装置とを更に備える。
【0010】
本発明の一態様に係る什器システムにおいて、前記判定装置は、前記バッテリーの残量を検出する検出部を備え、検出部により検出された前記バッテリーの残量に基づき、前記スイッチを前記短絡回路に切り替える。
【0011】
本発明の一態様に係る什器システムにおいて、前記給電装置は、前記送電コイルからの送電時に送電信号を出力する第1の送電信号出力装置を更に備え、前記什器は、前記スイッチが前記短絡回路に切り替わっている状態で送電信号を出力する第2の送電信号出力装置と、前記給電装置又は隣接する前記什器から出力された送電信号を検知可能な検出装置とを更に備え、前記判定装置は、前記検出装置が送電信号を検知しない場合に、前記送受電部の両端が解放される開放回路へ前記スイッチを切り替える。
【0012】
本発明の一態様に係る什器システムにおいて、前記送受電部が備える前記受電コイルと、前記送電コイルとは、異なるコイルである。
【0013】
本発明の一態様に係る什器は、給電装置又は隣接する什器から送電された電力を受電する受電コイルと、隣接する他の什器へ送電する送電コイルとを備える送受電部と、受電した電力によって駆動される負荷を備える什器であって、複数の前記什器は、スタッキング収納状態又はネスティング収納状態に収納可能である。
【0014】
本発明の一態様に係る給電装置は、什器に備えられた送受電部に電力を送電する送電コイルと、前記什器に備えられた送受電部と対向する位置に前記送電コイルが位置するように係合可能とする係合装置とを備える。
【0015】
本発明の一態様に係る什器システムは、前記什器は、受電した電力を蓄電するバッテリーと給電回路を更に備え、 前記送受電部は、前記バッテリーに蓄電された電力を隣接する前記什器に送電する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施形態によれば、容易に無線給電可能な什器システム、什器及び給電装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態に係る什器システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る什器システムの一例について説明するための図である。
図3】第1の実施形態に係る給電装置の一例について説明するための図である。
図4】第1の実施形態に係るタブレットが開いた状態の什器の一例について説明するための図である。
図5】第1の実施形態に係るタブレットが閉じた状態の什器の一例について説明するための図である。
図6】第1の実施形態に係るネスティングされた状態の什器について説明するための図である。
図7】第1の実施形態に係る什器システムの回路構成の一例を示す回路図である。
図8】第1の実施形態の第1の変形例に係る什器システムの回路構成の変形例を示す回路図である。
図9】第1の実施形態の第3の変形例に係る什器の一例を示す図である。
図10】第1の実施形態の第4の変形例に係る什器の一例を示す図である。
図11】第1の実施形態の第5の変形例に係る什器の一例を示す図である。
図12】第1の実施形態の第5の変形例に係る給電装置の一例を示す図である。
図13】第1の実施形態の第6の変形例に係る什器の一例を示す図である。
図14】第2の実施形態に係る什器システムの一例について説明するための図である。
図15】第2の実施形態に係るタブレットが開いた状態の什器の一例について説明するための図である。
図16】第2の実施形態に係るタブレットが閉じた状態の什器の一例について説明するための図である。
図17】第2の実施形態に係るネスティングされた状態の什器について説明するための図である。
図18】第2の実施形態に係る什器システムの回路構成の一例を示す回路図である。
図19】第2の実施形態に係る什器システムの変形例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施形態の本実施形態の什器システム、什器、給電装置を、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一の符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0019】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る什器システムの機能構成の一例を示すブロック図である。同図を参照しながら、什器システム1の機能構成について説明する。什器システム1は、少なくとも1つの給電装置300と、複数の什器200とを備える。同図に示す一例においては、什器システム1は、給電装置300と、什器200-1と、什器200-2とを備える。
【0020】
什器200は、床などに固定されていないものであって、必要に応じて設置する位置を変更することができる。什器200は、例えばキャスター等の移動手段を備えることにより移動可能に構成されていてもよいし、キャスター等の移動手段を備えていなくても、ユーザにより持ち上げられることにより、移動可能に構成されていてもよい。
複数の什器200は、収納状態とすることができる。ここで、収納状態とは、所定の方向に収納可能な間隔で所定の位置に並べられた状態である。所定の方向に並べられた状態とは、例えば、什器200を互いに重ね合わせることにより収納面積を小さくした状態である。なお、所定の方向に並べられた状態とは、什器200を互いに重ね合わせていなくてもよく、単に整列配置された状態であってもよい。所定の位置とは、給電装置300が設けられた位置である。
什器200は、例えば、椅子、机、キャビネット、パーティション等の事務所や店舗等で使用される器具を広く含む。本実施形態においては、什器200が椅子である場合の一例について説明する。
什器200は、コイル(送受電部)210と、制御回路220と、バッテリー230と、スイッチSWと判定回路(判定装置)222とを備える。
【0021】
コイル210は、給電装置300から無線給電により送電された電力を受電する。本実施形態に用いられる無線給電の方式としては、例えば、電磁誘導方式や、磁界共鳴方式のような磁界結合方式であってもよい。電磁誘導方式の無線給電規格としては、例えばWPC(Wireless Power Consortium)の策定する規格「Qi(登録商標)」がある。また、磁界共鳴方式の無線給電規格としては、例えば、AirFuel(登録商標)Allianceの策定する規格「AirFuel Resonant」がある。
なお、本実施形態に用いられる無線給電の方式は、これらの一例に限定されず、その他の無線給電の方式を広く含む。
【0022】
また、コイル210は、什器200が収納状態にある場合において、什器200の整列方向の一方に隣接する他の什器200に備えられたコイル210から無線給電により送電された電力を受電する。また、コイル210は、受電した電力を、他方に隣接する什器200に備えられたコイル210に対し無線給電により送電する。すなわち、コイル210は、無線給電により電力を受電し、又は送電する。コイル210のうち、電力を送電する部分を送電コイル、電力を受電する部分を受電コイルとも記載する。送電コイルと受電コイルとは、同一の巻線により構成される1つのコイルであってもよいし、異なる巻線により構成されるそれぞれ異なるコイルであってもよい。
【0023】
本実施形態において、収納状態とは、互いに重ねられずに配置された状態と、互いに重ねて収納された状態とを広く含む。互いに重ねて収納された状態とは、例えばスタッキング収納状態と、ネスティング収納状態とを含む。スタッキング収納状態とは、什器200が垂直方向に重ねられた状態であり、ネスティング収納状態とは、什器200が水平方向に重ねられた状態である。
【0024】
制御回路220は、給電装置300と什器200との間における無線給電の状態を制御する。また、制御回路220は、コイル210により受電した電力をバッテリー230に充電させ、又は受電した電力を中継してコイル210により他の什器200に対し送電する。
【0025】
バッテリー230は、蓄電機能を有する素子又は装置である。バッテリー230は、例えば、リチウムイオン二次電池などの蓄電池(二次電池)、リチウムイオンキャパシタ、又は電気二重層キャパシタ等であってもよい。バッテリー230は、コイル210が受電した電力を蓄電し、蓄電した電力をコイル210により送電する。また、バッテリー230は、不図示の出力部に接続された所定の機器に対し、蓄電した電力を供給する。
【0026】
給電装置300は、商用電力CPに接続される。給電装置300は、複数の什器200が収納状態である場合において、それぞれの什器200に対して無線給電を行う。具体的には、給電装置300は、複数の什器200が収納状態である場合において、整列方向の一端に配置された什器200に対して無線給電を行い、給電装置300から給電を受けた什器200は、隣接する他の什器200に対して無線給電を行う。
給電装置300は、送電コイル310と、制御回路320とを備える。
【0027】
送電コイル310は、什器200に備えられるコイル210に電力を送電する。具体的には、送電コイル310は、複数の什器200が収納状態である場合において、整列方向の一端に配置された什器200に備えられるコイル210に電力を送電する。
【0028】
制御回路320は、給電装置300と什器200との間における無線給電の状態を制御する。具体的には、制御回路320は、商用電力CPから交流電力を取得し、取得した交流電力を無線給電可能な電力に変換し、変換した電力を送電コイル310により送電する。
【0029】
図2は、第1の実施形態に係る什器システムの一例について説明するための図である。同図を参照しながら、第1の実施形態に係る什器システム1の一例について説明する。
【0030】
図2(A)は、什器システム1の側面図である。同図において、什器システム1は、給電装置300と、什器200-1と、什器200-2と、什器200-3とを備える。什器200-1は、タブレット240-1を備え、タブレット240-1はコイル210-1とバッテリー230-1とを備える。什器200-2は、タブレット240-2を備え、タブレット240-2はコイル210-2とバッテリー230-2とを備える。什器200-3は、タブレット240-3を備え、タブレット240-3はコイル210-3とバッテリー230-3とを備える。タブレット240は、例えば樹脂や木材、ガラスを含む無機材料などの無線給電に影響を与えない非金属素材が望ましい。
【0031】
什器システム1の側面視、すなわち送電コイル310の軸線方向視において、給電装置300が備える送電コイル310の巻回面(ループ面)はコイル210-1の巻回面と重なり合い、コイル210-1の巻回面はコイル210-2の巻回面と重なり合い、コイル210-2の巻回面はコイル210-3の巻回面と重なり合う。ここで、巻回面とは、コイルの軸線に直交する断面であって、コイルを構成する巻線と交わる面をいう。なお、コイルを構成する巻線は、基板パターンにより形成されてもよい。
コイル210-1の巻回面と、コイル210-2の巻回面とコイル210-3の巻回面とは、互いに平行であって、互いに近接することが望ましい。換言すれば、それぞれのコイル210の軸線方向が同じとなる。それぞれのコイル210は送電コイル310の送電範囲内に配置される。ここで送電範囲とは、所定の給電効率(例えば、60%)を確保できる範囲をいう。
複数の什器200が収納状態である場合において、隣接する什器200にそれぞれ備えられるコイル210は、コイル210の軸線方向視において、少なくとも一部が互いに重なり合う。また、コイル210の軸線方向視において、送電コイル310の軸線とコイル210-1の軸線とは充電可能な距離に位置する。また、コイル210-1の軸線とコイル210-2の軸線とは充電可能な距離に位置する。また、コイル210-2の軸線とコイル210-3の軸線とは充電可能な距離に位置する。
【0032】
給電装置300は、収納状態において、送電コイル310の軸線方向視した場合、送電コイル310の巻線がコイル210-1重なる位置に設置される。具体的には、給電装置300は、送電コイル310の軸線方向視において送電コイル310の巻線がコイル210-1の非重複領域NOと少なくとも一部が重なる位置に設置される。非重複領域NOとは、収納状態において、送電コイル310の軸線方向視した場合、什器200が備えるコイル210の巻線と、他の什器200が備えるコイル210の巻線とが互いに重なり合わない領域をいう。
【0033】
図2(B)は、什器システム1の一部の正面図である。同図には、給電装置300と、什器200-1が備えるタブレット240-1が示される。給電装置300は、送電コイル310と、クリップ330とを備える。クリップ330は、什器200-1のタブレット240を挟持する。正面視において、給電装置300が備える送電コイル310と、コイル210-1とは、互いに平行であって、互いに近接する。給電装置300は、クリップ330を備えることにより、什器200の備えるコイル210が、送電コイル310に隣接した位置に来るようタブレット240を挟持することができる。
【0034】
図2(C)は、什器システム1の平面図である。同図において、什器システム1は、給電装置300と、什器200-1と、什器200-2と、什器200-3と、什器200-4とを備える。給電装置300に備えられた送電コイル310の巻回面と、什器200-1に備えられたコイル210-1の巻回面とは、対向する位置に配置される。什器200-1に備えられたコイル210-1の巻回面と、什器200-2に備えられたコイル210-2の巻回面とは、対向する位置に配置される。什器200-2に備えられたコイル210-2の巻回面と、什器200-3に備えられたコイル210-3の巻回面とは、対向する位置に配置される。什器200-3に備えられたコイル210-3の巻回面と、什器200-4に備えられたコイル210-4の巻回面とは、対向する位置に配置される。すなわち、什器システム1は、複数の什器200が収納状態にある場合において、それぞれの什器200が備えるコイル210の巻回面は、隣接する什器200が備えるコイル210の巻回面と対向し、整列方向の一端に位置する什器200-1が備えるコイル210-1の巻回面と送電コイル310の巻回面とが対向する位置に給電装置300を設置可能である。
【0035】
なお、コイル210の巻回面同士、又は送電コイル310の巻回面と、コイル210巻回面とが対向する位置とは、略平行であることが望ましいが、この一例に限定されない。送電コイル310の巻回面と、コイル210巻回面とが平行に近づくほど給電効率を上げることができるが、什器200の整列配置の状態により、略平行でなくてもよい。
【0036】
図3は、第1の実施形態に係る給電装置300の一例について説明するための図である。同図を参照しながら、給電装置300の一例について説明する。
図3(A)は、給電装置300の平面図である。給電装置300は、上部にインジケーター340を備える。インジケーター340は、什器システム1の給電の状態を表示する。インジケーター340は、例えば、赤色LED(light emitting diode)と緑色LEDとを備えていてもよい。インジケーター340が赤色LEDと緑色LEDとを備える場合、給電中には赤色LEDを点灯させ、給電が完了した場合には緑色LEDを点灯させてもよい。また、インジケーター340は、液晶ディスプレイ等の表示部により、什器システム1の給電の状態を表示してもよい。
【0037】
なお、インジケーター340は、LED等により視覚的に什器システム1の給電の状態を表示する一例に限定されず、スピーカー等により聴覚的に什器システム1の給電の状態を表してもよい。
【0038】
図3(B)は、給電装置300の側面図である。給電装置300は、側面視において、送電コイル310を構成する巻き線により形成されるループの面積(巻回面積)又は送電コイル310のコイル径が大きくなるよう構成されることにより、より効率よく什器200に対し給電することができる。
図3(C)は、給電装置300の正面図である。給電装置300は、什器200の備えるタブレット240を挟持するためのクリップ330を備える。クリップ330は、タブレット240が、送電コイル310に隣接した位置に挟持することにより、給電効率を確保する。
給電装置300は、例えば樹脂や木材、ガラスを含む無機材料などの無線給電に影響を与えない非金属であることが望ましい。さらに、給電装置300は、什器200の整列方向に対して剛性のある素材を採用することもできる。これにより、クリップ330によりタブレット240を挟持した時に什器200の整列方向を給電装置300にあわせて補正することができ、各受電コイル210と送電コイル310との距離を均等に保つことができる。
あるいは、給電装置300は、例えばゴムや繊維等の可撓性のある素材で構成され、送電コイル310は、導電性ゴムや導電性繊維で構成してもよい。これにより、各タブレットの載置面に合わせて給電装置300を沿わすことができる。
【0039】
図4は、第1の実施形態に係るタブレット240が開いた状態の什器200の一例について説明するための図である。同図を参照しながら、タブレット240が開いた状態の什器200の一例について説明する。タブレット240が閉じた状態とは、具体的には、タブレット240を支持する支持脚(支持部)243の先端に設けられタブレット240を回転支持するジョイント部の支持脚周りにタブレット240を約90度回転させ、更にジョイント部のタブレット240の載置面に対して直交する軸周りにタブレット240を約180度回転させることにより、什器の側方に格納される状態をいう。また、タブレット240が開いた状態とは、具体的には、什器の側方に格納されたタブレット240が、タブレット240を回転支持するジョイント部のタブレット240の載置面に対して直交する軸周りにタブレット240を約180度回転させ、更にジョイント部の支持脚周りにタブレット240を約90度回転させることによりタブレット240が開いた状態をいう。
【0040】
図4(A)は、タブレット240が開いた状態の什器200の斜視図である。タブレット240は、内部にコイル210とバッテリー230とを備える。なお、タブレット240は、タブレット240の積載面241の裏面にコイル210とバッテリー230とを備えていてもよい。
【0041】
図4(B)は、タブレット240が開いた状態の什器200の正面図である。同図を参照しながら、タブレット240の開閉について説明する。同図に示すように、タブレット240が開いた状態では、タブレット240の積載面241が、x軸方向と略平行である。タブレット240が閉じた状態では、タブレット240の積載面241が、y軸方向と略平行である。什器200は、タブレット240を開くことにより、ユーザがタブレット240を使用しやすくなり、タブレット240を閉じることにより、スタッキング又はネスティング等により整列配置されやすくなる。
【0042】
図4(C)は、タブレット240が開いた状態の什器200の平面図である。タブレット240は、支持脚243により支持される。ユーザはタブレット240の積載面241にノートパソコン等を置く等してタブレット240を使用する。
【0043】
図4(D)は、タブレット240が開いた状態の什器200の側面図である。同図に示す一例において、タブレット240の積載面241には、ノートパソコン80が載置されている。本実施形態において、ノートパソコン80は、什器200から電力の供給を受ける。ノートパソコン80が什器200から電力の供給を受ける場合の一例として、USB(Universal Serial Bus)による電力の送電について説明する。バッテリー230はUSBポート81を備え、什器200が備えるバッテリー230に蓄えられた電力を、USBケーブル82を介して、ノートパソコン80に送電する。
なお、什器200からノートパソコン80への送電は、無線給電方式を用いて行ってもよい。また、什器200は、ノートパソコン80に代えて、タブレット端末やスマートフォン等の情報処理端末に電力を送電してもよい。
【0044】
図5は、第1の実施形態に係るタブレットが閉じた状態の什器の一例について説明するための図である。同図を参照しながら、タブレット240が開いた状態の什器200の一例について説明する。
図5(A)は、タブレットが閉じた状態の什器200の正面図である。タブレット240が閉じた状態では、タブレット240の積載面241が、y軸方向と略平行である。本実施形態において、タブレット240を閉じた場合に、タブレット240の積載面241がy軸方向と略平行である。
【0045】
図5(B)は、タブレットが閉じた状態の什器200の側面図である。同図に示すように、タブレット240の積載面241の裏面には、コイル210と、バッテリー230とが備えられる。
【0046】
図6は、第1の実施形態に係るネスティングされた状態の什器200について説明するための図である。同図に示す一例においては、什器200-1と、什器200-2と、什器200-3とがネスティングされている。
【0047】
図6(A)は、ネスティングされた状態の什器200の平面図である。この一例において、什器200-1と、什器200-2と、什器200-3とは、互いに距離L1離れて配置される。すなわち、什器200は、距離L1をピッチとして、ネスティングされている。什器200の脚の左右の間隔は、前側が狭く後ろ側が広くなっている。また、タブレット240が閉じた状態では前側が内側に傾くようになっている。このことより、什器200は入れ子状になっており、ネスティングされた状態においてそれぞれのタブレット240が高い精度で平行を保つことが容易にできる。
什器200-1が備えるタブレット240-1と、什器200-2が備えるタブレット240-2と、什器200-3が備えるタブレット240-3とは、整列方向において互いに重なり合う。タブレット240-1が備えるコイル210-1の軸線N1と、タブレット240-2が備えるコイル210-2の軸線N2と、タブレット240-3が備えるコイル210-3の軸線N3とは、平行である。すなわち、本実施形態において、複数の什器200が整列配置された状態において、それぞれの什器200が備えるコイル210の軸線の方向は同一である。コイル210の軸線が互いに平行な範囲、すなわちコイル210の軸線の方向が同一な範囲とは、所定の給電効率(例えば、60%)を確保できる範囲をいう。
【0048】
図6(B)は、ネスティングされた状態の什器200の側面図である。側面視において、隣接する什器200がそれぞれ備えるタブレット240、及び隣接する什器200がそれぞれ備えるコイル210の巻回面は、互いに重なり合う。隣接する什器200がそれぞれ備えるコイル210の巻回面は互いに重なり合うため、什器200は、隣接する什器200に対して無線給電することができる。
【0049】
図7は、第1の実施形態に係る什器システム1Aの回路構成の一例を示す回路図である。同図に示す一例においては、什器200A-1が給電装置300から無線給電を受け、什器200A-2が什器200-1から無線給電を受け、什器200A-3が什器200-2Aから無線給電を受ける。什器200A-1に備えられたコイル210-1は給電装置300に備えられた送電コイル310と対向し、什器200A-2に備えられたコイル210-2は什器200A-1に備えられたコイル210-1と対向し、什器200A-3に備えられたコイル210-3は什器200A-2に備えられたコイル210-2と対向し、それぞれ無線給電を受ける。
【0050】
また、什器200Aは、それぞれ、スイッチSWと判定回路(判定装置)222とを備える。
スイッチSWは、コイル210の一端が接続される経路を切り替える。具体的には、スイッチSWは、コイル210の一端の接続先を、経路P1又は経路P2のいずれかに切り替える。経路P1には、制御回路220と、バッテリー230とが含まれる。経路P2はコイル210の両端を短絡する。具体的には、経路P2はコンデンサ251を介してコイル210の両端を短絡する。経路P1を充電回路と、経路P2を短絡回路とも記載する。充電回路である経路P1は、コイル210が受電した電力をバッテリー230へ充電する充電装置としての制御回路220と、バッテリー230とを含む。
【0051】
判定回路222は、所定の条件に基づきスイッチSWの接続先を、経路P1又は経路P2のいずれか一方に切り替える。所定の条件とは、例えば、バッテリー230の残量に応じた条件であってもよい。この場合、判定回路222は、残量検出回路(検出部)223を備え、バッテリー230に充電された電力の量を検出する。判定回路222は、検出したバッテリー230に充電された電力の量に基づき、スイッチSWの接続先を、経路P1又は経路P2のいずれか一方に切り替える。判定回路222は、例えば、バッテリー230に充電された電力の量が所定値以下である場合にはスイッチSWの接続先を経路P1とし、バッテリー230に充電された電力の量が所定値より大きくなった場合にはスイッチSWの接続先を経路P2とする。すなわち、判定回路222は、バッテリー230の残量を検出する残量検出回路223を備え、残量検出回路223により検出されたバッテリーの残量に基づき、スイッチSWを短絡回路であるP2に切り替える。
【0052】
給電装置300は、送電コイル310と、コンデンサ351と、高周波電源HFPSとを備える。コンデンサ351は、高周波電源HFPSと送電コイル310との間に直列に接続される共振用コンデンサである。コンデンサ351は、例えば、積層セラミックチップコンデンサ等であってもよい。コンデンサ351と、送電コイル310とは、LC共振回路を形成する。高周波電源HFPSの動作周波数は共振周波数(例えば6.78MHz)と略一致するように設定されている。
【0053】
什器200は、コイル210と、制御回路220と、バッテリー230と、コンデンサ251とを備える。コンデンサ251は、コイル210とバッテリー230との間に直列に接続される共振用コンデンサである。コンデンサ251は、例えば、積層セラミックチップコンデンサ等であってもよい。コンデンサ251と、コイル210とは、LC共振回路を形成する。
【0054】
給電装置300に形成されたLC共振回路と、それぞれの什器200に形成されたLC共振回路とは、共振周波数が略一致するよう回路定数が設定され、無線給電可能に構成されていてもよい。
【0055】
什器200-1が備えるコイル210-1は、給電装置300が備える送電コイル310から無線給電により電力を受電し、受電した電力をバッテリー230-1に充電する。また、コイル210-1は、スイッチを短絡回路に切り替えることにより、受電した電力を中継して無線給電により什器200-2が備えるコイル210-2に送電する。什器200-2が備えるコイル210-2は、什器200-1が備えるコイル210-1から無線給電により電力を受電し、スイッチを短絡回路に切り替えることにより、受電した電力を中継してバッテリー230-2に充電する。また、コイル210-2は、スイッチを短絡回路に切り替えることにより、受電した電力を中継して無線給電により什器200-3が備えるコイル210-3に送電する。什器200-3が備えるコイル210-3は、什器200-2が備えるコイル210-2から無線給電により電力を受電し、スイッチを短絡回路に切り替えることにより、受電した電力を中継してバッテリー230-3に充電する。
【0056】
ここで、什器システム1Aの一連の動作の一例について説明する。給電装置300に隣接して、什器200A-1と、什器200A-2と、什器200A-3とが整列配置された場合について説明する。それぞれの什器200Aが備えるバッテリー230のバッテリー残量は所定値以下である場合について、説明する。
まず、給電装置300に隣接する什器200A-1が備えるコイル210-1は、給電装置300が備える送電コイル310から無線給電を受ける。什器200A-1が備えるバッテリー230-1のバッテリー残量は、所定値以下であるため、判定回路222-1はスイッチSWの接続先を経路P1とする。スイッチSWの接続先が経路P1である場合、コイル210-1が受電した電力はバッテリー230-1に充電されるため、什器200A-2が備えるコイル210A-2に対する送電は行われず、又は給電装置300から発生する磁束のうち什器200A-1と結合しなかった漏れ磁束の一部と結合する。什器200Aが備える残量検出回路223-1によりバッテリー230-1に充電された電力の量が所定値より大きくなった場合、判定回路222-1は、スイッチSWの接続先を経路P2とする。スイッチSWの接続先が経路P2となると、バッテリー230-1に対する充電が行われなくなり、コイル210A-1は中継コイルとして機能するため、什器200A-2が備えるコイル210A-2に対する送電効率が上がる。
【0057】
什器200A-2が備えるコイル210-2は、什器200A-1が備えるコイル210-1から無線給電を受ける。什器200A-2が備えるバッテリー230-2のバッテリー残量は、所定値以下であるため、判定回路222-2はスイッチSWの接続先を経路P1とする。スイッチSWの接続先が経路P1である場合、コイル210-2が受電した電力はバッテリー230-2に充電されるため、什器200A-3が備えるコイル210A-3に対する送電は行われず、又は給電装置から発生する磁束のうち什器200A-1と結合しなかった漏れ磁束の一部と結合する。什器200A-2が備える残量検出回路223-2によりバッテリー230-2に充電された電力の量が所定値より大きくなった場合、判定回路222-2は、スイッチSWの接続先を経路P2とする。スイッチSWの接続先が経路P2となると、バッテリー230-2に対する充電が行われなくなり、コイル210A-1は中継コイルとして機能するため、什器200A-3が備えるコイル210A-3に対する送電効率が上がる。
【0058】
什器200A-3が備えるコイル210-3は、什器200A-2が備えるコイル210-2から無線給電を受ける。什器200A-3が備えるバッテリー230-3のバッテリー残量は、所定値以下であるため、判定回路222-3はスイッチSWの接続先を経路P1とする。スイッチSWの接続先が経路P1である場合、コイル210-3が受電した電力はバッテリー230-3に充電される。什器200A-3が備える残量検出回路223-3によりバッテリー230-3に充電された電力の量が所定値より大きくなった場合、判定回路222-3は、スイッチSWの接続先を経路P2とする。
什器200A-3には、電力を送電すべき隣接する什器200Aが存在しないため、什器200A-3から電力の送電は行われない。
【0059】
図8は、第1の実施形態の第1の変形例に係る什器システムの回路構成の変形例を示す回路図である。同図を参照しながら、第1の実施形態の第1の変形例に係る什器システム1Bについて説明する。什器システム1Bは、給電装置300に代えて給電装置300Bを、什器200Aに代えて什器200Bを備える点において什器システム1Aと異なる。給電装置300Bは信号出力回路(第1の送電信号出力装置)321を更に備える点において給電装置300とは異なり、什器200Bは信号出力回路(第2の送電信号出力装置)224を更に備え、スイッチSWに代えてスイッチSWBを備える点において什器200Aとは異なる。
【0060】
スイッチSWBは、コイル210の一端が接続される経路を切り替える。具体的には、スイッチSWは、コイル210の一端の接続先を、経路P1、経路P2又は開放端子のいずれかに切り替える。すなわち、スイッチSWBは、スイッチSWの構成に加え、開放端子を備える点においてスイッチSWとは異なる。スイッチSWBがコイル210の一端の接続先を開放端子に切り替えた場合、コイル210の両端は開放される。
【0061】
信号出力回路321は、送電コイル310からの送電時に送電信号を出力する。具体的には、信号出力回路321は、隣接する什器200に対し、送電信号を出力する。什器200Bは、検出回路225を更に備え、検出回路225により、送電信号の有無を検出する。判定回路222Bは、送電信号を検出した場合にコイル210の一端の接続先を経路P1又は経路P2のいずれか一方に切り替え、送電信号を検出しない場合にコイル210の両端が解放される開放回路へ切り替える。
【0062】
信号出力回路224は、スイッチSWが短絡回路である経路P2に切り替わっている状態において、隣接する什器200Bに対し送電信号を出力する。隣接する什器200は、検出回路225により送電信号を検出する。すなわち、検出回路225は、給電装置300B又は隣接する什器200Bから出力された送電信号を検知する。
【0063】
第1の実施形態の第1の変形例に係る什器システム1Bの一連の動作について説明する。まずは給電装置300Bに対し什器200B-1が隣接して整列配置され、その後、更に什器200B-2が隣接して整列配置され、その後、更に什器200B-3が隣接して整列配置された場合について説明する。それぞれの什器200Bが備えるバッテリー230のバッテリー残量は所定値以下である場合について、説明する。
【0064】
まず、什器200B-1が給電装置300Bに隣接していない状態において、検出回路225B-1は送電信号を検知していないため、スイッチSWB1は開放端子に接続され、コイル210-1の両端は開放される。什器200B-1が給電装置300Bに隣接すると、検出回路225B-1は信号出力回路321から出力される送電信号を検知し、スイッチSWB1の接続先を切り替える。バッテリー230-1のバッテリー残量は所定値以下であるため、判定回路222B-1は、スイッチSWB1の接続先を経路P1に切り替える。スイッチSWB1の接続先が経路P1に切り替えられると、コイル210-1は、給電装置300Bが備える送電コイル310から無線給電を受ける。受電した電力は、バッテリー230-1に蓄えられる。
この時、信号出力回路224-1は送電信号を出力しない。什器200B-2が什器200B-1に隣接している状態において、検出回路225B-2は送電信号を検知していないため、スイッチSWB2は開放端子に接続され、コイル210-2の両端は開放される。このため、給電装置300Bから送電される電力は什器200B-1に集中して送電される。また、給電装置300Bの送電電力を低く抑えることが出来る。
什器200B-1が備える残量検出回路223-1によりバッテリー230-1に充電された電力の量が所定値より大きくなった場合、判定回路222-1は、スイッチSWの接続先を経路P2とする。スイッチSWの接続先が経路P2となると、バッテリー230-1に対する充電が行われなくなり、コイル210A-1は中継コイルとして機能し、什器200A-2が備えるコイル210A-2に対する送電効率が上がる。
【0065】
什器200B-2が什器200B-1に隣接していない状態において、検出回路225B-2は送電信号を検知していないため、スイッチSWB2は開放端子に接続され、コイル210-2の両端は開放される。什器200B-2が什器200B-1に隣接すると、検出回路225B-2は信号出力回路224-1から出力される送電信号を検知し、スイッチSWB2の接続先を切り替える。バッテリー230-2のバッテリー残量は所定値以下であるため、判定回路222B-2は、スイッチSWB2の接続先を経路P1に切り替える。スイッチSWB2の接続先が経路P1に切り替えられると、コイル210-2は、什器200B-1が備えるコイル210-1から無線給電を受ける。受電した電力は、バッテリー230-2に蓄えられる。
この時、信号出力回路224-2は送電信号を出力しない。什器200B-3が什器200B-2に隣接している状態において、検出回路225B-3は送電信号を検知していないため、スイッチSWB3は開放端子に接続され、コイル210-3の両端は開放される。このため、什器200B-1から送電される電力は什器200B-2に集中して送電される。また、什器200B-1の送電電力を低く抑えることが出来る。
什器200B-2が備える残量検出回路223-2によりバッテリー230-2に充電された電力の量が所定値より大きくなった場合、判定回路222-2は、スイッチSWの接続先を経路P2とする。スイッチSWの接続先が経路P2となると、バッテリー230-2に対する充電が行われなくなり、コイル210A-2は中継コイルとして機能し、什器200A-3が備えるコイル210A-3に対する送電効率が上がる。
【0066】
什器200B-3が什器200B-2に隣接していない状態において、検出回路225B-3は送電信号を検知していないため、スイッチSWB3は開放端子に接続され、コイル210-3の両端は開放される。什器200B-3が什器200B-2に隣接すると、検出回路225B-3は信号出力回路224-2から出力される送電信号を検知し、スイッチSWB3の接続先を切り替える。バッテリー230-3のバッテリー残量は所定値以下であるため、判定回路222B-3は、スイッチSWB3の接続先を経路P1に切り替える。スイッチSWB3の接続先が経路P1に切り替えられると、コイル210-3は、什器200B-2が備えるコイル210-2から無線給電を受ける。受電した電力は、バッテリー230-3に蓄えられる。
【0067】
図9は、第1の実施形態の第3の変形例に係る什器の一例を示す図である。同図を参照しながら、什器システム1Cについて説明する。什器システム1Cは、什器200に代えて什器200Cを、給電装置300に代えて給電装置300Cを備える点において、什器システム1とは異なる。什器システム1Cの説明において、什器システム1と同様の構成については、同様の符号を付すことにより説明を省略する場合がある。
【0068】
図9(A)は、什器200Cの斜視図である。什器200Cは、座面260Cを上方に上げることによりネスティング可能な状態となる。什器200Cは、タブレット240Cに代えて、座面260Cにコイル210Cを備える点において什器200とは異なる。具体的には、什器200Cは、座面260Cの内部、又は座面260Cの下方にコイル210Cと、バッテリー230Cとを備える。
【0069】
図9(B)は、ネスティングされた状態の什器システム1Cの斜視図である。同図に示す一例において、什器200C-1と、什器200C-2と、什器200C-3とがネスティングされている。什器200C-1に備えられたコイル210C-1の巻回面と、什器200C-2に備えられたコイル210C-2の巻回面と、什器200C-3に備えられたコイル210C-3の巻回面とは、什器200Cの整列方向において、互いに重なり合う。給電装置300Cに備えられた送電コイル310Cに電流が流れた場合の磁力線を磁力線MFLとして示す。磁力線MFLは、コイル210C-1の巻回面と、コイル210C-2の巻回面と、コイル210C-3の巻回面とを貫通する。
【0070】
複数の什器200Cが整列配置された状態において、それぞれの什器200Cが備えるコイル210Cの巻回面は、送電コイル310Cからみて少なくとも一部が互いに重なり合う。また、整列配置された複数の什器200Cのうち、一端に配置された什器200C(例えば、什器200C-1)が備えるコイル210C(例えば、コイル210C-1)に対向した位置に、給電装置300Cが設置される。
【0071】
図10は、第1の実施形態の第4の変形例に係る什器の一例を示す図である。同図を参照しながら、什器システム1Dについて説明する。什器システム1Dは、什器200Cに代えて什器200Dを、給電装置300Cに代えて給電装置300Dを備える点において、什器システム1Cとは異なる。什器システム1Dの説明において、什器システム1Cと同様の構成については、同様の符号を付すことにより説明を省略する場合がある。
【0072】
図10(A)は、什器200Dの斜視図である。什器200Dは、座面260Dを上方に上げることによりネスティング可能な状態となる。什器200Dは、タブレット240Cに代えて、座面260Dにコイル210Dを備える点において什器200Cとは異なる。具体的には、什器200Dは、座面260Dの内部、又は座面260Dの下方にコイル210Dと、バッテリー230Dとを備える。
【0073】
図10(B)は、ネスティングされた状態の什器システム1Dの斜視図である。同図に示す一例において、什器200D-1と、什器200D-2と、什器200D-3とがネスティングされている。什器200D-1に備えられたコイル210D-1の巻回面と、什器200D-2に備えられたコイル210D-2の巻回面と、什器200D-3に備えられたコイル210D-3の巻回面とは、什器200Dの整列方向において、互いに重なり合う。給電装置300Dに備えられた送電コイル310Dに電流が流れた場合の磁力線を磁力線MFLとして示す。磁力線MFLは、コイル210D-1の巻回面と、コイル210D-2の巻回面と、コイル210D-3の巻回面とを貫通する。
【0074】
複数の什器200Dが整列配置された状態において、それぞれの什器200Dが備えるコイル210Dの巻回面は、送電コイル310Dからみて少なくとも一部が互いに重なり合う。また、整列配置された複数の什器200Dのうち、一端に配置された什器200D(例えば、什器200D-1)が備えるコイル210D(例えば、コイル210D-1)に対向した位置に、給電装置300Dが設置される。
【0075】
図11は、第1の実施形態の第5の変形例に係る什器の一例を示す図である。同図を参照しながら、什器システム1Eについて説明する。什器システム1Eにおいて、什器200Eとは、フラップテーブルである。図11(A)は、什器システム1Eの平面図である。図11(B)は、什器システム1Eの斜視図である。図11(C)は、什器システム1Eの側面図である。図11(D)は、什器システム1Eの正面図である。
【0076】
什器システム1Eは、給電装置300Eと、什器200E-1と、什器200E-2と、什器200E-3とを備える。什器200E-1と、什器200E-2と、什器200E-3とは、所定の方向に整列配置された収納状態にある。具体的には、什器200E-1と、什器200E-2と、什器200E-3とは、ネスティング収納状態にある。什器200-1Eは、天板にコイル210E-1を備え、什器200-2Eは、天板にコイル210E-2を備え、什器200-3Eは、天板にコイル210E-3を備える。
【0077】
整列方向の一端にある什器200E-1の備えるコイル210E-1に隣接して給電装置300Eが備えられる。給電装置300Eは、床に固定されておらず、例えばフラップテーブルの天板に掛けられていてもよい。給電装置300Eは送電コイル310Eを備える。送電コイル310Eの軸線方向視において、送電コイル310Eと、コイル210E-1と、コイル210E-2と、コイル210E-3とは互いに重なり合う。すなわち、送電コイル310Eの発生させる磁力線は、コイル210E-1と、コイル210E-2と、コイル210E-3とを貫通する。
【0078】
図12は、第1の実施形態の第5の変形例に係る給電装置の一例を示す図である。同図を参照しながら、給電装置300Eについて説明する。図12(A)は、給電装置300Eの正面図である。図12(B)は、給電装置300Eの側面図である。
給電装置300Eは、送電コイル310Eとクリップ330Eとを備える。給電装置300Eは、クリップ330Eを備えることによりフラップテーブルである什器200Eの天板に掛けられる。給電装置300Eは、商用電力CPに接続され、商用電力CPから取得した電力を送電コイル310から送電する。
【0079】
なお、給電装置300Eは、不図示のバッテリーを備えることにより、商用電力CPから供給される電力を蓄え、バッテリーに蓄えられた電力を送電コイル310により送電するよう構成されていてもよい。給電装置300Eがバッテリーを備える構成を採用することにより、給電装置300Eを設置しやすくなる。
【0080】
図13は、第1の実施形態の第6の変形例に係る什器の一例を示す図である。什器システム1Eにおいて、什器200Eとは、テーブルである。什器200Eと、什器200Fとは、収納方法において差異がある。具体的には、什器200Eは水平方向に重ねられるネスティング収納状態により収納され、什器200Fは垂直方向に重ねられるスタッキング収納状態により収納される点において差異がある。同図に示す一例において、什器200F-1と、什器200F-2と、什器200F-3とは、スタッキング収納状態にある。
【0081】
什器200F-1は、コイル210F-1を備え、什器200F-2は、コイル210F-2を備え、什器200F-3は、コイル210F-3を備える。コイル210F-1と、コイル210F-2と、コイル210F-3とは、什器200Fがスタッキング収納状態にある場合において、垂直方向に互いに重なり合う。
不図示の給電装置300Fは、スタッキング収納状態に配置された什器200Fの、整列方向の一端における什器200Fの上方又は下方に配置され、出力を送電する。
【0082】
[第1の実施形態のまとめ]
上述した実施形態によれば、什器システム1は、複数の什器200を備える。複数の什器200は、それぞれコイル210を備える。収納状態において、什器200が備えるコイル210の巻線と、隣接する什器200が備えるコイル210の巻線とは、コイル210の軸線方向視において少なくとも一部が重なることにより、互いに隣接する什器200の間で電力を無線給電する。したがって、本実施形態によれば、給電装置300から第1の什器200に対し無線給電を行い、給電を受けた第1の什器200が、第2の什器200に対し無線給電を行う。よって、本実施形態によれば、給電装置300を大きくすることを要せず、容易に複数の什器200に対し無線給電を行うことができる。また、本実施形態によれば、給電装置300を大きくすることを要しないため、給電装置300のコストを削減でき、給電装置300を容易に設置することができる。
【0083】
また、上述した実施形態によれば、什器200は互いに重ねて収納され、整列配置された状態とは、スタッキング収納状態又はネスティング収納状態である。スタッキング収納状態及びネスティング収納状態は、いずれも複数の什器200を重ね合わせて高密度に収納した状態であり、什器200同士が略一定間隔に近接した状態である。スタッキング収納状態及びネスティング収納状態では、それぞれの什器200の部材(例えば、タブレット240や、椅子の背面や座面、机の天板面等)は、整列配置される什器200の数が増えた場合であっても、それまでに整列配置された什器200の部材が整列配置された位置に整列されていく。したがって、本実施によれば、複数の什器200を整列配置するとコイル210も連続して並ぶことになり、容易にコイル210の巻回面の法線方向を揃えることができる。よって、本実施形態によれば、コイル210の巻回面の法線方向が揃うため、給電効率がよい。
【0084】
また、上述した実施形態によれば、収納状態において送電コイル310の軸線方向視した場合、1つの什器200が備えるコイル210のうち他の什器200が備えるコイル210と互いに重なり合い、かつ、送電コイル310が備えられる領域とは、少なくとも一部が重なる。したがって、本実施形態によれば、少なくとも1つの什器200に隣接する位置に給電装置300を設置するだけで、収納状態にある複数台の什器200に給電が可能となる。
なお、上述した実施形態では、給電装置300を整列方向の一端の什器200に隣接して設置する場合について説明したが、この一例に限定されず、例えば整列方向の中央付近に設置された什器200に隣接した位置に給電装置300を設置してもよい。
【0085】
また、上述した実施形態によれば、什器システム1は、什器200を収納した状態で複数の什器200に電力を供給して電気機器を動作させることができる。
また、上述した実施形態によれば、什器200は、コイル210が受電した電力を蓄電するバッテリー230を更に備える。什器200は、バッテリー230を備えるため、什器200が収納状態にない状態でも電力を利用することができる。
また、什器200は、バッテリー230に蓄電した電力を隣接する什器200に送電する給電回路を更に備えることにより、コイル210は、バッテリー230に蓄電された電力を隣接する什器200が備えるコイル210に送電する。よって、本実施形態によれば、什器システム1は、給電装置300が1つの什器200に隣接していない場合であっても、什器200同士で電力を送電することができる。例えば、少なくとも2つの什器200が隣接している状態であれば、一方の什器200から他方の什器200に対し、無線給電を行うことができる。
【0086】
また、上述した実施形態によれば、什器200Aは、スイッチSWを備え、所定の条件に基づき充電回路である経路P1と短絡回路である経路P2とを切り替える。スイッチSWが短絡回路である経路P2に切り替えられると、コイル210を中継コイルとして使用することになり、給電装置300は、中継コイルを経由して、給電装置300から離れた什器200に対して効率よく無線給電することができる。
【0087】
また、上述した実施形態によれば、スイッチSWの接続先は、残量検出回路223により検出されたバッテリー230の残量に基づいて切り替えられる。したがって、バッテリー230の充電量が所定値以上になった場合には、コイル210は中継コイルとして使用されることにより、収納状態にある複数の什器200Aを、効率よく充電することができる。
その他の実施例として、什器200Aが要求する要求電力量等に基づいてスイッチSWを切り替えてもよい。
【0088】
また、上述した実施形態によれば、給電装置300Bは、信号出力回路321を更に備え、什器200Bは、検出回路225Bと信号出力回路224とを更に備える。検出回路225Bにより、信号出力回路321又は信号出力回路224のいずれかから送電信号を検知しない場合に、判定回路222Bは、スイッチSWBの接続先を開放端子へ切り替える。すなわち、什器200Bより後段に隣接する什器200Bは、前段の什器200Bから送電信号が来ないため、開放回路なる。よって、本実施形態によれば、充電中の什器200Bへ集中して給電することができる。
【0089】
また、上述した実施形態によれば、少なくとも1つの什器200に隣接する位置に給電装置300を設置するだけで、収納状態にある複数台の什器200に給電が可能となる。
【0090】
また、上述した実施形態によれば、什器200が備えるコイル210と対向する位置に送電コイル310が位置するように係合可能とすることで、送電コイル310とコイル210とが平行となり、給電効率を高めることができる。
【0091】
[第2の実施形態]
図14は、第2の実施形態に係る什器システムの一例について説明するための図である。同図を参照しながら、第2の実施形態に係る什器システム1Gの一例について説明する。什器システム1Gは、什器200に代えて什器200Gを備える点において什器システム1とは異なる。什器システム1Gの説明において、什器システム1と同様の構成については同様の符号を付すことにより説明を省略する場合がある。
什器200Gは、コイル210Gとして、受電コイル213と、送電コイル215とを備える。受電コイル213は、隣接する什器200Gから電力を受電する。送電コイル215は、隣接する送電コイル215に電力を送電する。すなわち、第2の実施形態においては、什器200Gが備えるコイル210Gが、受電コイル213と、送電コイル215との2つのコイルに分かれている点において、第1の実施形態に係る什器200とは異なる。
【0092】
図14(A)は、什器システム1Gの側面図である。図14(B)は、什器200Gの側面図である。什器システム1Gは、給電装置300と、什器200G-1と、什器200G-2と、什器200G-3とを備える。什器200G-1は、タブレット240-1を備え、タブレット240-1は受電コイル213-1と送電コイル215-1とバッテリー230-1とを備える。什器200G-2は、タブレット240-2を備え、タブレット240-2は受電コイル213-2と送電コイル215-2とバッテリー230-2とを備える。什器200G-3は、タブレット240-3を備え、タブレット240-3は受電コイル213-3と送電コイル215-3とバッテリー230-3とを備える。
側面視、すなわち送電コイル310の軸線方向視において、送電コイル310と什器200G-1が備える受電コイル213-1は互いに重なり合う位置に配置され、送電コイル215-1と受電コイル213-2は互いに重なり合う位置に配置され、送電コイル215-2と受電コイル213-3は互いに重なり合う位置に配置される。
【0093】
図15は、第2の実施形態に係るタブレットが開いた状態の什器の一例について説明するための図である。同図を参照しながら、什器200Gの一例について説明する。
【0094】
図15(A)は、タブレット240が開いた状態の什器200Gの斜視図である。タブレット240は、内部に受電コイル213と送電コイル215とバッテリー230とを備える。なお、タブレット240は、タブレット240の積載面241の裏面に受電コイル213と送電コイル215とバッテリー230とを備えていてもよい。
【0095】
図15(B)は、タブレット240が開いた状態の什器200Gの平面図である。タブレット240は、支持脚243により支持される。ユーザはタブレット240の積載面241にノートパソコン等を置く等してタブレット240を使用する。
【0096】
図16は、第2の実施形態に係るタブレットが閉じた状態の什器200Gの一例について説明するための図である。具体的には、図16は、什器200Gの側面図である。同図に示すように、タブレット240の積載面241の裏面には、受電コイル213と、送電コイル215と、バッテリー230とが備えられる。
【0097】
図17は、第2の実施形態に係るネスティングされた状態の什器について説明するための図である。図17は、具体的には、ネスティングされた状態の什器200Gの側面図である。側面視において、什器200Gがそれぞれ備えるタブレット240は互いに重なり合う。また、それぞれのタブレット240に備えられた受電コイル213と、隣接する他の什器200Gが備える送電コイル215とは互いに重なり合う。
側面視における受電コイル213の幅W11と、送電コイル215の幅W12とは同一である。したがって、受電コイル213は、隣接する什器200Gが備える送電コイル215と対向する。ここで、同一の範囲とは、所定の給電効率(例えば、60%)を確保できる範囲をいう。
【0098】
図18は、第2の実施形態に係る什器システムの回路構成の一例を示す回路図である。同図に示す一例においては、什器200G-1が給電装置300から無線給電を受け、什器200G-2が什器200G-1から無線給電を受け、什器200G-3が什器200G-2から無線給電を受ける。什器200G-1に備えられた受電コイル213-1は給電装置300に備えられた送電コイル310と対向し、什器200G-2に備えられた受電コイル213-2は什器200G-1に備えられた送電コイル215-1と対向し、什器200G-3に備えられた受電コイル213-3は什器200G-2に備えられた送電コイル215-2と対向し、それぞれ無線給電を受ける。
【0099】
什器200Gは、スイッチSWGを備え、受電コイル213の一端が接続される経路を経路P1又は経路P3のいずれか一方に切り替える。
経路P1には、制御回路220と、バッテリー230とが含まれる。スイッチSWGにより受電コイル213の一端が経路P1に接続されると、受電コイル213により受電した電力がバッテリー230に充電される。
経路P3には、コンデンサ252と、送電コイル215とが含まれる。スイッチSWGにより受電コイル213の一端が経路P2に接続されると、受電コイル213により受電した電力が送電コイル215により送電される。
【0100】
スイッチSWGの切替動作は、判定回路222Gにより行われてもよい。判定回路222Gは、所定の条件に基づきスイッチSWGの接続先を切り替える。判定回路222Gは、例えば、信号出力回路321又は信号出力回路224Gから出力される送電信号に基づいてスイッチSWGの接続先を切り替える。
【0101】
図19は、第2の実施形態に係る什器システムの変形例について説明するための図である。同図を参照しながら、什器システム1Hについて説明する。什器システム1Hにおいて、什器200Hとは、テーブルである。什器システム1Hは、複数の什器200Hを備え、給電装置300Hから受電した電力を、複数の什器200H間で無線給電し合う。
以降の説明において、x軸、y軸及びz軸の三次元直交座標系によって什器200Gの構成について説明する場合がある。
【0102】
什器200Hは、2つの受電コイル213と、2つの送電コイル215とを備えることにより、什器200Hがx軸方向に並べられた場合であっても、什器200Hがy軸方向に並べられた場合であっても、無線給電をすることができる。具体的には、什器200Hは、受電コイル2131と、送電コイル2151とを備えることにより、x軸方向に並べられた什器200H間で無線給電を行う。また、什器200Hは、受電コイル2132と、送電コイル2152とを備えることにより、y軸方向に並べられた什器200H間で無線給電を行う。
【0103】
図19に示す一例において、什器システム1Hの動作の一例について説明する。
まず、什器200H-1は、不図示の給電装置300Hにより、受電コイル2131-1を介して、給電を受ける。次に、什器200H-1は、受電した電力を、送電コイル2151-1を介して什器200H-2に送電する。次に、什器200H-2は、受電コイル2131-2から受電した電力を、送電コイル2152-2を介して什器200H-3に送電する。次に、什器200H-3は、受電コイル2132-3から受電した電力を、送電コイル2151-3を介して什器200H-4に送電する。最後に、什器200H-4は、受電コイル2131-4から電力を受電する。それぞれの什器200Hは、受電した電力を自身が備える不図示のバッテリー230Hに蓄える。
【0104】
なお、それぞれの什器200Hがバッテリー230Hを備える場合、給電装置300Hが接続されていなくても、隣接する他の什器200Hに対し無線給電を行うことにより、隣接し合う什器200Hのバッテリー230に充電された電力の量を平均化するよう構成されていてもよい。
【0105】
なお、単一の什器200Hがバッテリー230Hを備え、隣接する他の什器200Hに対し無線給電を行うよう構成されていてもよい。それぞれの什器200Hは、それぞれの什器200Hに備えられUSBポート等により、受電した電力を出力してもよい。
【0106】
[第2の実施形態のまとめ]
上述した実施形態によれば、第2の実施形態に係る什器200は、コイル210として、受電コイル213と、送電コイル215とを備える。すなわち、第2の実施形態に係る什器200は、受電コイル213と、送電コイル215とをそれぞれ個別に備える。第2の実施形態に係る什器200は、受電コイル213と、送電コイル215とを備えるため、受電コイル213と送電コイル215とを離間して設けることにより、それぞれの受電コイル213と送電コイル215との位置を対向する位置に容易に設置できる。本実施形態によれば、受電コイル213と送電コイル215との位置を対向する位置に容易に設置できるため、磁界結合が強まり、効率よくワイヤレス給電することができる。
【0107】
以上説明してきたように、実施形態では、複数の変形例を記載した。ここで、組み合わせることが可能な限りにおいて、複数の実施形態及び複数の変形例を組み合わせて実施するようにしてもよい。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0109】
また、什器200は、バッテリー230に蓄電した電力を隣接する什器200に送電する給電回路を更に備えることにより、コイル210は、バッテリー230に蓄電された電力を隣接する什器200が備えるコイル210に送電する。よって、本実施形態によれば、什器システム1は、給電装置300が1つの什器200に隣接していない場合であっても、什器200同士で電力を送電することができる。例えば、少なくとも2つの什器200が隣接している状態であれば、一方の什器200から他方の什器200に対し、無線給電を行うことができる。
また、受電コイル213-1を送電コイルとし、送電コイル215-1を受電コイルとして使用することもできる。
【0110】
なお、什器200はバッテリー230に代えて、受電した電力を用いて所定の動作を行う装置を備えていてもよい。什器200は、バッテリー230に代えて、例えば除菌剤を排出する装置を備え、天板面など使用者が触れる場所に除菌剤を噴霧して除菌するようにしてもよい。また、什器200はバッテリー230に代えて、例えばUVランプ照射装置を備え、天板面など使用者が触れる場所にUVランプ照射するようにしてもよい。また、什器200はバッテリー230に代えて、例えば脱臭装置(オゾン発生装置)を備え、天板面など使用者が触れる場所にUVランプ照射するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0111】
1…什器システム、200…什器、300…給電装置、210…コイル、213…受電コイル、215…送電コイル、220…制御回路、222…判定回路、223…残量検出回路、224…信号出力回路、225…検出回路、230…バッテリー、240…タブレット、241…積載面、243…支持脚、251…コンデンサ、252…コンデンサ、260…座面、270…背面、280…天板、310…送電コイル、320…制御回路、321…信号出力回路、330…クリップ、340…インジケーター、351…コンデンサ、360…天板、361…側面、80…ノートパソコン、81…USBポート、82…USBケーブル、CP…商用電力、HFPS…高周波電源、SW…スイッチ、P1…経路、P2…経路、P3…経路、NO…非重複領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19