IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社テイエルブイの特許一覧

特開2022-162716不具合検査システム、不具合検査方法及び不具合検査プログラム
<>
  • 特開-不具合検査システム、不具合検査方法及び不具合検査プログラム 図1
  • 特開-不具合検査システム、不具合検査方法及び不具合検査プログラム 図2
  • 特開-不具合検査システム、不具合検査方法及び不具合検査プログラム 図3
  • 特開-不具合検査システム、不具合検査方法及び不具合検査プログラム 図4
  • 特開-不具合検査システム、不具合検査方法及び不具合検査プログラム 図5
  • 特開-不具合検査システム、不具合検査方法及び不具合検査プログラム 図6
  • 特開-不具合検査システム、不具合検査方法及び不具合検査プログラム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162716
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】不具合検査システム、不具合検査方法及び不具合検査プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20120101AFI20221018BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067680
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】中野 裕二郎
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】繰り返し実施される検査結果の記録を正確かつ効率的に行う不具合検査システム、不具合検査方法及び不具合検査プログラムを提供する。
【解決手段】産業プラントに配置されている各種機器は、例えば1年に1回、繰り返し継続的に検査され、検査作業員は携帯端末に検査結果を入力する。特定の検査対象の機器を検査する場合、携帯端末の表示部には画面表示80のように入力ウインドウ81が表示される。前回の入力データ(画面表示70)において、入力ウインドウ71の重点監視チェック部71bにはチェックが記録されているため、これに対応する今回の入力フォームの入力ウインドウ81は、太枠81fで強調表示される。この強調表示によって、重点的に監視すべき特定の検査部位について注意が喚起され、見落としや入力ミスが容易かつ確実に防止される。したがって、繰り返し継続的に実施される検査結果の記録を正確かつ効率的に行うことができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の不具合を2回以上継続的に検査する不具合検査に用いる不具合検査システムであって、
特定の検査対象における検査部位と関連付けられた検査結果入力領域であって検査結果が入力される検査結果入力領域、及び特定の検査部位について今後重点的に監視すべきであることを示す重点監視情報が入力される重点監視情報入力領域を表示する表示手段、
入力された検査対象の検査結果及び重点監視情報を毎回、記憶する記憶手段、
特定の検査対象につき、今回の検査について検査結果入力領域を表示手段に表示する際、前回以前の検査結果において対応する検査対象について重点監視情報が入力されているときは、当該検査結果入力領域に当該重点監視情報を反映させる制御手段、
を備えたことを特徴とする不具合検査システム。
【請求項2】
請求項1に係る不具合検査システムにおいて、
制御手段は、特定の検査対象につき、今回の検査について検査結果入力領域を表示手段に表示する際、前回以前の検査結果において対応する検査対象について重点監視情報が入力されているときは、当該検査結果入力領域を強調表示して当該重点監視情報を反映させる、
ことを特徴とする不具合検査システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に係る不具合検査システムにおいて、
制御手段は、特定の検査対象につき、今回の検査について検査結果入力領域を表示手段に表示する際、前回以前の検査結果において同一の検査対象について重点監視情報が入力されているときは、当該検査結果入力領域に当該重点監視情報を反映させる、
ことを特徴とする不具合検査システム。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に係る不具合検査システムにおいて、
複数の検査対象を対象として検査する不具合検査に用いる不具合検査システムであって、
制御手段は、特定の検査対象につき、今回の検査について検査結果入力領域を表示手段に表示する際、前回以前の検査結果において同種の検査対象について重点監視情報が入力されているときは、当該検査結果入力領域に当該重点監視情報を反映させる、
ことを特徴とする不具合検査システム。
【請求項5】
検査対象の不具合を2回以上継続的に検査する不具合検査に用いる不具合検査方法であって、
表示手段は、特定の検査対象における検査部位と関連付けられた検査結果入力領域であって検査結果が入力される検査結果入力領域、及び特定の検査部位について今後重点的に監視すべきであることを示す重点監視情報が入力される重点監視情報入力領域を表示し、
記憶手段は、入力された検査対象の検査結果及び重点監視情報を毎回、記憶し、
制御手段は、特定の検査対象につき、今回の検査について検査結果入力領域を表示手段に表示する際、前回以前の検査結果において対応する検査対象について重点監視情報が入力されているときは、当該検査結果入力領域に当該重点監視情報を反映させる、
ことを特徴とする不具合検査方法。
【請求項6】
検査対象の不具合を2回以上継続的に検査する不具合検査に用いる不具合検査プログラムであって、
特定の検査対象における検査部位と関連付けられた検査結果入力領域であって検査結果が入力される検査結果入力領域、及び特定の検査部位について今後重点的に監視すべきであることを示す重点監視情報が入力される重点監視情報入力領域を表示する表示機能、
入力された検査対象の検査結果及び重点監視情報を毎回、記憶する記憶機能、
特定の検査対象につき、今回の検査について検査結果入力領域を表示手段に表示する際、前回以前の検査結果において対応する検査対象について重点監視情報が入力されているときは、当該検査結果入力領域に当該重点監視情報を反映させる制御機能、
をコンピュータに実行させることを特徴とする不具合検査プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に係る不具合検査システム、不具合検査方法及び不具合検査プログラムは、検査対象の不具合を繰り返し継続的に検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
各種機器の不具合を検査する不具合検査システムとしては、たとえば後記特許文献1に開示された技術がある。この不具合検査の技術は、航空機等の検査対象機械に生じた不具合部位の情報を取得するシステムである。
【0003】
このシステムにおいては、携帯端末5で撮影された画像と、携帯端末5の現在位置情報とをサーバ6が取り込み、予め記憶部20に記憶されている設計モデル25から撮影箇所のモデル画像を生成し、携帯端末5に送信する。
【0004】
点検作業員は、亀裂や腐食等の不具合部位を発見した場合、モデル画像を参照して携帯端末5から不具合部位の描画を操作入力して描画情報を生成し、これをサーバ6に送信する。サーバ6は、この描画情報と部品の寸法情報とに基づいて不具合部位の形状を定量化し、亀裂の寸法や腐食の面積等に関する不具合情報を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-199263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
各種機器の不具合は、通常、時間の経過にともなって発生し徐々に進行するため、不具合検査は所定の期間をおいて繰り返し継続的に実施する必要がある。そして、検査結果の記録は正確かつ効率的に行うことが求められる。しかし、前述の特許文献1に開示された技術は、検査が繰り返し継続的に実施される点を前提とするものではなく、繰り返し実施される検査結果の記録を正確かつ効率的に行うことができない。
【0007】
そこで本願に係る不具合検査システム、不具合検査方法及び不具合検査プログラムは、これらの問題を解決するため、繰り返し実施される検査結果の記録を正確かつ効率的に行うことができる不具合検査システム、不具合検査方法及び不具合検査プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願に係る不具合検査システムは、
検査対象の不具合を2回以上継続的に検査する不具合検査に用いる不具合検査システムであって、
特定の検査対象における検査部位と関連付けられた検査結果入力領域であって検査結果が入力される検査結果入力領域、及び特定の検査部位について今後重点的に監視すべきであることを示す重点監視情報が入力される重点監視情報入力領域を表示する表示手段、
入力された検査対象の検査結果及び重点監視情報を毎回、記憶する記憶手段、
特定の検査対象につき、今回の検査について検査結果入力領域を表示手段に表示する際、前回以前の検査結果において対応する検査対象について重点監視情報が入力されているときは、当該検査結果入力領域に当該重点監視情報を反映させる制御手段、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本願に係る不具合検査方法は、
検査対象の不具合を2回以上継続的に検査する不具合検査に用いる不具合検査方法であって、
表示手段は、特定の検査対象における検査部位と関連付けられた検査結果入力領域であって検査結果が入力される検査結果入力領域、及び特定の検査部位について今後重点的に監視すべきであることを示す重点監視情報が入力される重点監視情報入力領域を表示し、
記憶手段は、入力された検査対象の検査結果及び重点監視情報を毎回、記憶し、
制御手段は、特定の検査対象につき、今回の検査について検査結果入力領域を表示手段に表示する際、前回以前の検査結果において対応する検査対象について重点監視情報が入力されているときは、当該検査結果入力領域に当該重点監視情報を反映させる、
ことを特徴とする。
【0010】
さらに、本願に係る不具合検査プログラムは、
検査対象の不具合を2回以上継続的に検査する不具合検査に用いる不具合検査プログラムであって、
特定の検査対象における検査部位と関連付けられた検査結果入力領域であって検査結果が入力される検査結果入力領域、及び特定の検査部位について今後重点的に監視すべきであることを示す重点監視情報が入力される重点監視情報入力領域を表示する表示機能、
入力された検査対象の検査結果及び重点監視情報を毎回、記憶する記憶機能、
特定の検査対象につき、今回の検査について検査結果入力領域を表示手段に表示する際、前回以前の検査結果において対応する検査対象について重点監視情報が入力されているときは、当該検査結果入力領域に当該重点監視情報を反映させる制御機能、
をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本願に係る不具合検査システム、不具合検査方法及び不具合検査プログラムにおいては、特定の検査対象につき、今回の検査について検査結果入力領域を表示手段に表示する際、前回以前の検査結果において対応する検査対象について重点監視情報が入力されているときは、当該検査結果入力領域に当該重点監視情報を反映させる。
【0012】
このため、検査結果を検査結果入力領域に入力する際、重点的に監視すべき特定の検査部位について注意が喚起され、見落としや入力ミスが容易かつ確実に防止される。したがって、繰り返し継続的に実施される検査結果の記録を正確かつ効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本願に係る不具合検査システム、不具合検査方法及び不具合検査プログラムの第1の実施形態を示す検査システムのハードウエア構成を表すブロック図である。
図2図1に示すサーバ制御部2が実行する検査データ記録処理のフローチャートである。
図3図1に示す表示部15の画面表示の例を示す図であり、前回の入力データがない場合の画面表示の例を示す図である。
図4図1に示す表示部15の画面表示の例を示す図であり、前回の入力データがある場合の画面表示の例を示す図である。
図5図1に示す表示部15の画面表示の例を示す図であり、前回の入力データがあり、かつ重点監視チェックがある場合の画面表示の例を示す図である。
図6】産業プラントに設置されている各種機器の配置図である。
図7】本願に係る不具合検査システム、不具合検査方法及び不具合検査プログラムの第2の実施形態における検査データ記録処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態における用語説明]
実施形態において示す主な用語は、それぞれ本願に係る不具合検査システム、不具合検査方法及び不具合検査プログラムの下記の要素に対応している。
【0015】
サーバ制御部2・・・制御手段、制御機能
メモリ3・・・記憶手段、記憶機能
表示部15・・・表示手段、表示機能
機器21・・・検査対象
入力ウインドウ41、42、43、44、45、61、62、63、64、65、71、72、73、74、75、81、82、83、84、85・・・検査結果入力領域
重点監視チェック部41b、45b、71b、81b・・・重点監視情報入力領域
太枠81f・・・強調表示
【0016】
[第1の実施形態]
本願に係る不具合検査システム、不具合検査方法及び不具合検査プログラムの第1の実施形態を説明する。本実施形態では、不具合検査として産業プラントに設置されている各種機器の検査システムを例示する。
【0017】
図6は、産業プラントに設置されている各種機器の配置図である。図6に表されているエリア20にはアイコンマークによって示されている多数の各種機器21が配置されており、これらの機器21を1名又は2名以上の検査作業員がそれぞれ携帯端末を持参し、機器の腐食、変形、破損等を検査する。この検査はたとえば1年に1回継続的に繰り返して実施される。検査作業員は検査結果を携帯端末から入力し、この検査データはシステムを集中的に管理しているサーバに無線で送信される。
【0018】
(検査システムのハードウエア構成の説明)
本実施形態における検査システムのハードウエア構成を図1に基づいて説明する。サーバ1は、サーバ制御部2、メモリ3及び通信部4を備えている。また、携帯端末10は、携帯制御部11、入力部12、撮影部13、メモリ14、表示部15及び通信部16を備えている。サーバ1と携帯端末10とは、それぞれ通信部4及び通信部16を介して無線通信を行い、データを送受信する。
【0019】
携帯端末10の表示部15には、検査を行う際、検査対象とする機器に対応した図面等の画面表示が行われ、検査作業員は入力部12を通じて各種指令や文字を入力し、カメラである撮影部13を用いて検査対象の画像を撮影して表示部15に表示させる。これらの入力データはメモリ14に記憶されるとともにサーバ1に向けて送信される。
【0020】
そして、サーバ1は携帯端末10から送信された入力データをメモリ3に記憶して蓄積する。また、サーバ制御部2は検査データ記録処理の所定のプログラムに従って携帯端末10の表示部15の表示等を制御する。
【0021】
(検査データ記録処理の説明:前回の入力データがない場合)
次に、サーバ1のサーバ制御部2が実行する検査データ記録処理のプログラムを図2のフローチャートに従って説明する。まず、サーバ制御部2は、携帯端末10の入力部12から対象機器を指定する入力があったか否かを判別する(ステップS2)。携帯端末10を持参している検査作業員は、検査を行う直前に入力部12から検査対象とする機器の識別番号を入力する。
【0022】
なおこの場合、携帯端末10の表示部15に図6に示す各種機器の配置図を表示し、特定の機器21のアイコンマークをタップして対象機器の指定を入力するように構成してもよい。また、機器21に直接付されたバーコードやQRコード(登録商標)を読取装置で読み取り、機器の指定を入力することもできる。
【0023】
携帯端末10から対象機器を指定する入力があった場合、サーバ制御部2はメモリ3内に蓄積されているデータを参照し、ステップS2で指定された対象機器に対応する機器(本実施形態では同一の場所に設置された同一の機器)について前回の検査時におけるデータがあるか否かを判別する(ステップS4)。ここでは対象とする検査機器の検査は初めてであり、前回データがメモリ3内に記憶されていないとする。
【0024】
この場合ステップS8に進み、サーバ制御部2は携帯端末10の表示部15に、対象機器についての既定の入力フォームを表示する。この表示が図3に示す画面表示40である。画面表示40には、中央部に対象機器の図面49が表示され、上部にタイトル枠48が表示される。タイトル枠48には、機器名、機器の識別番号及び検査日時(現在時刻)が表示される。
【0025】
そして、画面表示40には、対象機器の特定の検査部位と関連付けられた入力ウインドウ41、42、43、44が表示される。検査部位と各入力ウインドウ41、42、43、44は、画面上、ライン90で結ばれることによって関連付けが表示される。これらの検査部位は、ステップS2で指定された対象機器に関して、必ず検査すべき部位として予め登録され、サーバ1のメモリ3に記憶されている。
【0026】
たとえば入力ウインドウ41は、検査部位名称表示部41a、重点監視チェック部41b、画像入力部41c及びコメント入力部41dを備えている。検査部位名称表示部41aにはこの検査部位の名称が初めから表示されているが、その他の重点監視チェック部41b、画像入力部41c及びコメント入力部41dは空欄である。なお、入力ウインドウ42、43、44についても、入力ウインドウ41と同様、検査部位名称表示部、重点監視チェック部、画像入力部及びコメント入力部が表示されている。
【0027】
検査作業員は携帯端末10の表示部15に表示された画面表示40を参照しながら、各検査部位を検査する。検査は検査作業員による目視による確認や各種の検査機器(図示せず)を用いて行われる。また、検査作業員は検査部位を携帯端末10の撮影部13で撮影し、各入力ウインドウ41、42、43、44の画像入力部に入力して表示させ、さらにコメント入力部にコメントを入力して表示させる。画像やコメントを入力した状態が図3の画面表示50である。
【0028】
たとえば、入力ウインドウ41の画像入力部41cに画像を入力する場合、画像入力部41cをタップした後、対象となる検査部位を撮影部13で撮影する。これによって、画像入力部41cには撮影した画像が表示される。また、入力ウインドウ41のコメント入力部41dをタップすれば、入力部12を通じてコメントの文字を入力することができる。
【0029】
なお、対象機器に関して任意に検査部位を追加したい場合は、画面表示40で追加する特定の検査部位に対応した箇所をタップする。これによって追加部位と関連付けられた入力ウインドウが新たに画面上に現れる。図3の画面表示50における入力ウインドウ45が追加された入力ウインドウであり、追加された検査部位との関連付けがライン90によって画面上、表示されている。入力ウインドウ45も検査部位名称表示部45a、重点監視チェック部45b、画像入力部45c及びコメント入力部45dを備えている。
【0030】
追加された入力ウインドウ45は、検査部位名称表示部45aが空欄であるため、検査作業員は検査部位の名称を入力する。そして、さらに画像入力部45c及びコメント入力部45dにそれぞれ撮影画像、コメントを入力して表示させる。
【0031】
以上のような入力が携帯端末10にあった場合、サーバ制御部2はその都度、入力データを取り込み、各入力データをメモリ3に記憶して蓄積する(ステップS14、S16)。そして、検査作業員が携帯端末10から検査終了の入力を行った場合、その入力を受けてサーバ制御部2は、検査日時(現在時刻)を最新の状態に更新した後処理を終了する(ステップS18)。
【0032】
(検査データ記録処理の説明:前回の入力データがある場合)
次に、図6の配置図に示す各種機器を2回目以降に検査する場合の検査データ記録処理を図2のフローチャートを用いて説明する。2回目以降の検査においても検査作業員は、検査の対象機器を指定するために、携帯端末10の入力部12から対象機器の識別番号等を入力する。
【0033】
サーバ制御部2はこの対象機器の指定の入力を判別し(ステップS2)、同一の場所に設置された同一の機器について前回の検査時におけるデータがあるかどうかを判別する(ステップS4)。この場合、2回目以降の検査であるため、前回データがサーバ1のメモリ3に記録されている。前回の入力データの内容を示す表示が図4の画面表示50である。
【0034】
前回データがあるため、サーバ制御部2はステップS4からステップS6に進み、前回データにおけるいずれかの入力ウインドウに重点監視チェック部のチェックが記録されているか否かを判別する。重点監視チェック部のチェックとは、画面表示50に表示される入力ウインドウ41、42、43、44、45の重点監視チェック部(たとえば入力ウインドウ41の重点監視チェック部41b)に入力されているチェックであり、検査によって直ちに修理や交換等の処置は必要ないが、今後の検査において重点的に監視すべき検査部位に関して検査作業員が重点監視チェック部をタップして入力記録されたチェックである。
【0035】
この場合、画面表示50に示されているように、入力ウインドウ41、42、43、44、45のいずれにも重点監視チェック部のチェックの記録がないため、ステップS6からステップS10に進み、前回データと同一の入力ウインドウを今回の入力フォームとして携帯端末10の表示部15に表示する。この表示が図4の画面表示60である。
【0036】
各入力ウインドウ61、62、63、64、65には、検査部位名称表示部に検査部位の名称が表示されているのみであり、その他の重点監視チェック部、画像入力部及びコメント入力部はすべて空欄になっている。前回の検査時に追加された入力ウインドウ45についても検査部位名称表示部45aに検査部位の名称のみが表示された入力ウインドウ65が画面表示60に表示される。
【0037】
そして、検査作業員は各検査部位の検査を行い、画面表示60のそれぞれの入力ウインドウ61、62、63、64、65に撮影画像やコメントを入力する。サーバ制御部1は、入力されたデータをメモリ3に記録し(ステップS14、S16)、終了指示が入力された時、検査日時(現在時刻)を最新の状態に更新した後処理を終了する(ステップS18)。
【0038】
(検査データ記録処理の説明:前回の入力データがあり、かつ重点監視チェックがある場合)
続いて、2回目以降の検査において前回データに重点監視チェックが記録されている場合の検査データ記録処理を図2のフローチャートを用いて説明する。
【0039】
ステップS2及びステップS4は前述の場合と同様であり、サーバ制御部2はステップS4からステップS6に進んで、前回のデータにおけるいずれかの入力ウインドウに重点監視チェック部のチェックの記録があるか否かを判別する。前回の入力データの内容を示す表示が図5の画面表示70である。
【0040】
画面表示70に表れている入力ウインドウ71の重点監視チェック部71bにはチェックが記録されて表示されている。すなわち、この対象機器についての前回の検査の際、入力ウインドウ71とライン90で結ばれている検査部位について、直ちに修理や交換等の処置は必要ないが、今後の検査において重点的に監視すべき不具合が確認され、検査作業員が重点監視チェック部71bをタップしてチェックを入力記録している。また、コメント入力部71dにも不具合についてのコメントが入力されている。つまり、この対象機器について、重点監視チェック部71bにチェックが入力記録されている旨のデータと、コメント入力部71dに不具合についてのコメントを表示するためのデータとが少なくともメモリ3に保存されている。
【0041】
対象機器について重点監視チェック部71bにチェックが入力記録されている旨のデータがメモリ3に存在していると判断すると、サーバ制御部2はステップS6からステップS12に進み、今回の入力フォームである画面表示80を携帯端末10の表示部15に表示する際、前回データにおいて重点監視チェック部71bにチェックが記録されている入力ウインドウ71に対応する入力ウインドウ81を太枠81fで強調表示する。
【0042】
なお、入力ウインドウ81には、検査部位名称表示部81aに検査部位の名称が表示されるとともに重点監視チェック部81bにチェックが表示されるが、画像入力部81c及びコメント入力部81dは空欄である。今回の入力フォームにおいて重点監視チェック部81bに初めからチェックが記録されていることによって、さらに次回の検査を行う際、次回の入力フォームにおいて入力ウインドウ81に対応する入力ウインドウは、同様に強調表示されることになる。
【0043】
前回データにおいて重点監視チェック部にチェックが記録されている入力ウインドウに対応する入力ウインドウが太枠で強調表示されることによって、重点的に監視すべき特定の検査部位について注意が喚起され、見落としや入力ミスが容易かつ確実に防止される。したがって、繰り返し継続的に実施される検査結果の記録を正確かつ効率的に行うことができる。
【0044】
検査作業員は、各検査部位を検査して画面表示80の各入力ウインドウ81、82、83、84、85に撮影画像やコメントを入力する。重点監視が必要な入力ウインドウ81に関する検査部位については、検査の結果に応じて修理や交換等の適切な処置が行われる。
【0045】
[第2の実施形態]
次に、本願に係る不具合検査システム、不具合検査方法及び不具合検査プログラムの第2の実施形態を図7のフローチャートに従って説明する。ハードウエア構成や携帯端末の表示部における画面表示は第1の実施形態と同様である。
【0046】
本実施形態における検査データ記録処理のフローチャート(図7)も、前述の第1の実施形態におけるフローチャート(図2)とほぼ同様であり、図7のフローチャートにおけるステップS52、S56、S58、S60、S62、S64、S66、S68は、図2のフローチャートにおけるステップS2、S6、S8、S10、S12、S14、S16、S18に対応しており、実質的な処理の内容は同じである。本実施例における図7のフローチャートが、第1の実施形態と実質的に異なるのはステップS55の処理である。
【0047】
以下では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明し、その他は説明を省略する。前述の第1の実施形態におけるフローチャートのステップS4では、ステップS2で指定された対象機器と「同一の場所に設置された同一の機器」について前回の検査時におけるデータがあるか否かを判別し、ステップS10、S12においてその同一機器の前回データに対応した入力ウインドウを携帯端末10の表示部15に表示した。
【0048】
これに対して、本実施形態におけるステップS55では、ステップS52で指定された対象機器に対応する機器として、「異なる場所に設置された同一の機器」及び「同種の機器」を取り上げ、前回データの有無を判別する。ここで、「異なる場所に設置された同一の機器」とは、型式や型番等が同一であるが設置場所が異なる機器であり、「同種の機器」とは、たとえば機器の設置時期が同時期であるもの、機器の設置場所が位置的に近いもの、機器の設置環境が状況的に近いもの、機器の使用頻度が類似するものであり、それぞれの機器について1つ又は2つ以上の「異なる場所に設置された同一の機器」又は「同種の機器」が予めサーバ1のメモリ3に登録されて記憶されている。
【0049】
ステップS55では、少なくとも1つの「異なる場所に設置された同一の機器」又は「同種の機器」について前回データがあるか否かを判別する。そして、ステップS56では前回データのある「異なる場所に設置された同一の機器」又は「同種の機器」のうちのいずれかに重点監視チェックが記録されている場合、ステップS56からステップS62に進んでその重点監視チェックが記録されている前回データと同一の入力ウインドウを表示し、かつ重点監視チェックのある入力ウインドウを太枠で強調表示する。
【0050】
すなわち、「異なる場所に設置された同一の機器」又は「同種の機器」の前回データに重点監視チェックの記録データが存在する場合、今回の対象機器についても同様の不具合が同時期に発生する可能性が高い。このため、同種の機器の前回データの重要監視チェックを今回の入力フォームの入力ウインドウに反映させて強調表示することによって、重点的に監視すべき特定の検査部位について注意が喚起され、見落としや入力ミスが容易かつ確実に防止される。したがって、繰り返し継続的に実施される検査結果の記録を正確かつ効率的に行うことができる。
【0051】
ステップS56で前回データのある「異なる場所に設置された同一の機器」及び「同種の機器」のいずれにも重点監視チェックが記録されていない場合、ステップS56からステップS60に進んで「異なる場所に設置された同一の機器」又は「同種の機器」の前回データのうち最も入力ウインドウの数が多いものと同一の入力ウインドウを表示する。
【0052】
なお、まず第1の実施形態と同様、「同一の場所に設置された同一の機器」の前回データの有無を判別し、ある場合はその前回データを用いて以後の処理を行い、ない場合に本実施形態のように「異なる場所に設置された同一の機器」又は「同種の機器」の前回データの有無を判別し、以後、本実施形態の処理を実行するようにしてもよい。
【0053】
[その他の実施形態]
前述の実施形態においては、不具合検査の例として産業プラントに設置されている各種機器の検査システムを例示したが、これに限定されるものではなく、繰り返し継続的に実施される検査であれば本願に係る不具合検査システム、不具合検査方法及び不具合検査プログラムを適用することができる。
【0054】
また、前述の実施形態において示した各画面表示40、50、60、70、80は表示部15(表示手段)への表示内容の一例であり、対象機器の図面や入力ウインドウ(検査結果入力領域)又は重点監視チェック部(重点監視情報入力領域)の配置やデザイン等はこれらに限定されるものではなく、他の配置やデザイン等を採用してもよい。
【0055】
さらに、前述の実施形態においては、「同一の場所に設置された同一の対象機器」、「異なる場所に設置された同一の機器」又は「同種の機器」に前回データがあるか否かを判別ししたが(図2のステップS4、図7のステップS55)、前回データだけではなく、前回より前の検査時におけるデータの有無も併せて判別することもできる。
【0056】
また、前述の実施形態においては、入力ウインドウ(検査結果入力領域)の強調表示として入力ウインドウの太枠81fを例示したが、今後重点的に監視すべきである特定の検査部位について、検査作業員の注意が喚起されるような表示であれば他の表示形式を採用することができる。たとえば、画面上の他の表示部分と異なる色彩を用いて入力ウインドウ(検査結果入力領域)を強調表示してもよい。また、入力ウインドウ(検査結果入力領域)を点滅表示させることによって強調表示してもよい。
【0057】
なお、前述の実施形態においては、画面表示上で1つの強調表示が行われる例を示したが、前回データに重点監視チェックが入力されている入力ウインドウが複数あれば、今回の入力フォームにもこれに対応して複数の入力ウインドウについて強調表示が行われる。
【0058】
さらに、前述の実施形態においては、入力ウインドウ(検査結果入力領域)に対象機器の正面図のみが表示された例を示したが、正面図とともに背面図、側面図等、他方向の図面を表示してもよい。また、表示する図面は一つであり、他方向の図面を選択して表示を切り換えることが可能な構成を採用することもできる。この場合、図面の切り換えに対応して、表示図面の検査部位と関連付けて表示することが可能な入力ウインドウ(検査結果入力領域)の表示も切り換わるように構成することができる。また、対象機器の立体図を入力ウインドウ(検査結果入力領域)に表示することもできる。
【符号の説明】
【0059】
2:サーバ制御部 3:メモリ 15:表示部 21:機器
41、42、43、44、45、61、62、63、64、65、71、72、73、74、75、81、82、83、84、85:入力ウインドウ
41b、45b、71b、81b:重点監視チェック部 81f:太枠

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7