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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162731
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】試験問題閲覧システム
(51)【国際特許分類】
   G09B 5/06 20060101AFI20221018BHJP
   H04N 5/93 20060101ALI20221018BHJP
   G10L 13/00 20060101ALI20221018BHJP
   G09B 21/00 20060101ALI20221018BHJP
   G06F 3/16 20060101ALI20221018BHJP
   G06F 3/0488 20220101ALI20221018BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
G09B5/06
H04N5/93
G10L13/00 100R
G09B21/00 D
G06F3/16 690
G06F3/16 610
G06F3/0488
G06F3/01 510
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067701
(22)【出願日】2021-04-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】508141427
【氏名又は名称】独立行政法人大学入試センター
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(72)【発明者】
【氏名】南谷 和範
【テーマコード(参考)】
2C028
5C053
5E555
【Fターム(参考)】
2C028BA01
2C028BB04
2C028BB06
2C028BC01
2C028BD01
5C053GB06
5C053HA21
5C053JA21
5E555AA22
5E555AA46
5E555BA04
5E555BB04
5E555BC04
5E555BE08
5E555CA13
5E555CB12
5E555CC05
5E555DA22
5E555DA23
5E555DB41
5E555DC31
5E555DD06
5E555DD07
(57)【要約】
【課題】視覚障害や読字障害を有する受験者が試験問題を効率よく閲覧することが可能な試験問題閲覧システムを提供する。
【解決手段】
試験問題閲覧システム1は、試験問題文のテキストデータTDと、前記試験問題文を読み上げた音声データADと、テキストデータTDと音声データADとの対応関係を示すデータRDとを記憶した記憶部12と、記憶部12に記憶されたテキストデータTDに基づいて試験問題文を表示する表示部13と、記憶部12に記憶された対応関係を示すデータRDに基づいて、記憶部12に記憶された音声データADのうち、表示部13に表示されている試験問題文に対応する部分を再生する音声再生部20とを備える。テキストデータTDは、試験問題文中の特定箇所を、試験問題文中の別の箇所と対応付けるためのリンク情報を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験問題文のテキストデータと、前記試験問題文を読み上げた音声データと、前記テキストデータと前記音声データとの対応関係を示すデータとを記憶した記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記テキストデータに基づいて前記試験問題文を表示する表示部と、
前記記憶部に記憶された前記対応関係を示すデータに基づいて、前記記憶部に記憶された前記音声データのうち、前記表示部に表示されている前記試験問題文に対応する部分を再生する音声再生部とを備え、
前記テキストデータは、前記試験問題文中の特定箇所を、前記試験問題文中の別の箇所と対応付けるための第1のリンク情報を含んでおり、
前記表示部は、前記表示部に表示されている試験問題文のうち、前記音声再生部によって再生されている部分を強調表示するとともに、前記特定箇所を表示する際、前記特定箇所が前記試験問題文中の別の箇所に対応づけられていることを示す第1のマークを表示し、
前記特定箇所が前記表示部に表示されている状態で前記第1のマークが選択されたとき、前記表示部は前記第1のリンク情報に基づいて、前記特定箇所と対応付けられた前記別の箇所を表示することを特徴とする試験問題閲覧システム。
【請求項2】
前記音声再生部は、前記音声データのうち前記特定箇所に対応する部分を再生する際、前記特定箇所が前記別の箇所と対応付けられていることを示す報知音をさらに出力することを特徴とする請求項1に記載の試験問題閲覧システム。
【請求項3】
前記テキストデータは、前記試験問題文中の前記別の箇所を前記特定箇所と対応付けるための第2のリンク情報をさらに含んでおり、
前記表示部は、前記別の箇所を表示する際、前記別の箇所が前記特定箇所と対応付けられていることを示す第2のマークを表示し、
前記別の箇所が前記表示部に表示されている状態で前記第2のマークが選択されたとき、前記表示部は前記第2のリンク情報に基づいて、前記別の箇所と対応付けられた前記特定箇所を表示することを特徴とする請求項1に記載の試験問題閲覧システム。
【請求項4】
前記音声再生部はイヤホンを含む請求項1~3のいずれか一項に記載の試験問題閲覧システム。
【請求項5】
前記選択を受け付けるタッチパネルをさらに備える請求項1~4のいずれか一項に記載の試験問題閲覧システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚障害や読字障害を有する受験者のための試験問題閲覧システムに関する。
【背景技術】
【0002】
大学入学共通テストでは、障害を有する受験者のため、様々な受験上の配慮が準備されている。例えば、重度の視覚障害を有する受験生のためには、点字による出題・解答や、試験時間の延長といった配慮が準備されている。さらに、障害を有する受験者の就学環境における、近年のICT(Information and Communication Tehnology)の普及に鑑み、必要に応じて、パソコンやタブレットでの試験問題の閲覧が認められている。
【0003】
ところで、障害を有する受験者には、例えば、重度の視覚障害を有する受験者だけでなく、視覚や視力に問題は無いが、文字を読んで内容を理解することに著しい困難を抱える障害(読字障害)を有する受験者も存在する。このような受験者には、試験問題の内容を文字で表示するだけでなく、音声で読み上げる機能が必要となる。
【0004】
ここで、従来、文字等のテキストを表示しつつ、表示されているテキストに対応する音声データを再生する技術が知られている(特許文献1)。この技術では、再生中の音声データと表示中のテキストデータとが同期しており、再生中の音声データに該当する箇所がハイライト表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-12098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、視覚障害や読字障害を有する受験者のための試験問題の閲覧に上記技術を適用することは特許文献1では検討されておらず、視覚障害や読字障害を有する受験者が限られた試験時間内に効率良く試験問題を閲覧可能な技術が求められていた。
【0007】
本発明は、上記のような状況を鑑みてなされたものであり、視覚障害や読字障害を有する受験者が試験問題を効率よく閲覧することが可能な試験問題閲覧システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様に従えば、試験問題文のテキストデータと、前記試験問題文を読み上げた音声データと、前記テキストデータと前記音声データとの対応関係を示すデータとを記憶した記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記テキストデータに基づいて前記試験問題文を表示する表示部と、
前記記憶部に記憶された前記対応関係を示すデータに基づいて、前記記憶部に記憶された前記音声データのうち、前記表示部に表示されている前記試験問題文に対応する部分を再生する音声再生部とを備え、
前記テキストデータは、前記試験問題文中の特定箇所を、前記試験問題文中の別の箇所と対応付けるための第1のリンク情報を含んでおり、
前記表示部は、前記表示部に表示されている試験問題文のうち、前記音声再生部によって再生されている部分を強調表示するとともに、前記特定箇所を表示する際、前記特定箇所が前記試験問題文中の別の箇所に対応づけられていることを示す第1のマークを表示し、
前記特定箇所が前記表示部に表示されている状態で前記第1のマークが選択されたとき、前記表示部は前記第1のリンク情報に基づいて、前記特定箇所と対応付けられた前記別の箇所を表示することを特徴とする試験問題閲覧システムが提供される。
【0009】
本発明の態様に従う試験問題閲覧システムにおいて、表示部は、記憶部に記憶された試験問題文のテキストデータに基づいて試験問題文を表示する。そして、音声再生部は、記憶部に記憶されたテキストデータと音声データとの対応関係を示すデータに基づいて、記憶部に記憶された音声データのうち、表示部に表示されている試験問題文に対応する部分を再生する。このため、視覚障害や読字障害を有する受験者は、試験問題を閲覧することができる。また、表示部は、表示部に表示されている試験問題文のうち、音声再生部によって再生されている部分を強調表示する。このため、視覚障害や読字障害を有する受験者は、表示部に表示されている試験問題文中のどの部分が音声で再生されているか、容易に把握することができる。また、テキストデータは、試験問題文中の特定箇所を、試験問題文中の別の箇所と対応付けるための第1のリンク情報を含んでおり、表示部は、特定箇所を表示する際、当該特定箇所が別の箇所に対応づけられていることを示す第1のマークを表示する。このため、視覚障害や読字障害を有する受験者は、表示部に表示された第1のマークを選択することにより、表示部に、当該特定箇所と対応付けられた別の箇所を表示させることができる。例えば、試験問題文の本文中の特定箇所に表示された第1のマークを選択することにより、表示部による表示を、本文中の特定箇所と対応付けられた設問部分に直接遷移させることができる。この結果、視覚障害や読字障害を有する受験者は、試験問題を効率よく閲覧することができる。
【0010】
本発明の態様に従う試験問題閲覧システムにおいて、前記音声再生部は、前記音声データのうち前記特定箇所に対応する部分を再生する際、前記特定箇所が前記別の箇所と対応付けられていることを示す報知音をさらに出力してもよい。
【0011】
視覚障害や読字障害を有する受験者は、表示部に表示されている試験問題文に第1のマークが含まれていても、第1のマークを認識できない可能性も考えられる。本発明の態様に従う試験問題閲覧システムにおいて、音声再生部は、音声データのうち特定箇所に対応する部分を再生する際、特定箇所が別の箇所と対応付けられていることを示す報知音をさらに出力する。このため、視覚障害や読字障害を有する受験者は、特定箇所が別の箇所と対応付けられていることを、確実に把握することができる。
【0012】
本発明の態様に従う試験問題閲覧システムにおいて、前記テキストデータは、前記試験問題文中の前記別の箇所を前記特定箇所と対応付けるための第2のリンク情報をさらに含んでもよく、
前記表示部は、前記別の箇所を表示する際、前記別の箇所が前記特定箇所と対応付けられていることを示す第2のマークを表示してもよく、
前記別の箇所が前記表示部に表示されている状態で前記第2のマークが選択されたとき、前記表示部は前記第2のリンク情報に基づいて、前記別の箇所と対応付けられた前記特定箇所を表示してもよい。
【0013】
視覚障害や読字障害を有する受験者は、表示部に表示された第2のマークを選択することにより、表示部に、当該別の箇所と対応付けられた特定箇所を表示させることができる。例えば、試験問題文の設問部分を閲覧した後、設問部分に表示された第2のマークを選択することにより、表示部による表示を、当該設問部分と対応付けられた本文中の特定箇所に直接遷移させることができる。この結果、視覚障害や読字障害を有する受験者は、試験問題を効率よく閲覧することができる。
【0014】
本発明の態様に従う試験問題閲覧システムにおいて、前記音声再生部はイヤホンを含んでもよい。さらに、本発明の態様に従う試験問題閲覧システムは、前記選択を受け付けるタッチパネルを備えてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、視覚障害や読字障害を有する受験者が試験問題を効率よく閲覧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る試験問題閲覧システムの概略構成図である。
図2】試験問題表示画面の一例である。
図3】遷移後の試験問題表示画面の一例である。
図4】試験問題文のテキストデータと試験問題文を読み上げた音声データとの対応関係を示すデータの一例であり、(a)は図2に示される傍線部に相当し、(b)は図3に示される設問部に相当する。
図5】試験問題文のテキストデータの一例であり、(a)は図2に示される傍線部に相当し、(b)は図3に示される設問部に相当する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る試験問題閲覧システムの実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0018】
図1に示すように、試験問題閲覧システム1は、タブレット端末10とタブレット端末10に接続されたイヤホン20とによって構成されている。タブレット端末10は、CPU11と、記憶部12と、ディスプレイ13と、タッチパネル14と、イヤホン端子15と、メディアインタフェース(以下、「メディアI/F」と記載する)16とを主に備え、これらがバスを介して相互に接続されている。
【0019】
記憶部12としては、例えば、半導体メモリ、ハードディスクドライブなどを挙げることができる。記憶部12には、試験問題文のテキストデータTDと、試験問題文を読み上げた音声データADと、テキストデータTDと音声データADとの対応関係を示す対応関係データRDとが主に記憶される。なお、音声データADは、人間が試験問題文を読み上げた音声を録音し編集したデータであり、読み誤りのないデータである。これらのデータは、国際規格EPUB Media Overlays 3.0に対応しており、具体的には、テキストデータTDはXHTMLファイル、音声データADはMP3ファイル、対応関係データRDはSMIL(Synchronized Multimedia Integration Language)ファイルとして作成される。
【0020】
ディスプレイ13は、試験問題文等の各種情報を表示するための装置であり、CPU11とディスプレイ13とにより、本発明の表示部が実現される。表示部は、記憶部12に記憶されたテキストデータTDに基づいて、ディスプレイ13に試験問題文を縦書き又は横書きで表示する機能の他、ディスプレイ13に表示されている文字のサイズ、書体、画面コントラスト等を調整する機能を有している。
【0021】
タッチパネル14は、試験問題閲覧システム1の使用者の各種入力操作を受け付けるための装置である。タッチパネル14は、ディスプレイ13の表示領域に重畳配置される。タッチパネル14は、ディスプレイ13の表示領域に対する、指示体による接触又は近接による指示操作を検出可能である。即ち、タッチパネル14は、ディスプレイ13の表示領域に対して指示体による操作が行われている場合に、その指示操作が行われている位置である指示位置を示す位置情報を出力可能に構成されている。なお、タッチパネル14は、指示操作として接触のみ検出可能な構成であってもよい。
【0022】
CPU11は、タッチパネル14から出力される位置情報を取得し、その取得した位置情報に基づいて、指示体の指示操作の有無、指示操作が行われている場合における指示位置、指示操作が行われている場合における指示体による特定の操作を検出することができる。
【0023】
CPU11が検出可能な特定の操作には、例えば、タップ操作、フリック操作、ドラッグ操作などが含まれる。指示操作を行うことが可能な指示体としては、例えば、試験問題閲覧システム1の使用者の指先であってもよく、スタイラスペンなどの特定の指示用デバイスであってもよい。
【0024】
イヤホン端子15は、イヤホン20を接続するための端子である。CPU11は、イヤホン端子15を介してイヤホン20に音声データADの再生信号を送ることにより、音声データADを再生する。つまり、CPU11と、イヤホン端子15と、イヤホン20とにより、本発明の音声再生部の機能が実現される。なお、音声再生部は、再生される音声のボリュームや再生速度を調整する機能も有している。試験問題閲覧システム1は、複数の受験者が存在する試験会場で使用されることを前提としているため、イヤホン20によって音声データADを再生することにより、再生中の音声が他の受験者に聞こえてしまうことを防ぐことができる。
【0025】
メディアI/F16は、例えばSDカードなどの各種のメディアが装着されるインタフェースである。本実施形態において、テキストデータTD、音声データAD、及び対応関係データRDは、試験問題漏洩防止のため、予めパスワード等が付された状態でSDカードに記憶されている。そして、試験会場において、試験監督者がSDカードをタブレット端末10のメディアI/F16に装着し、予め付されたパスワードを入力することにより、当該SDカードに記憶されたテキストデータTD、音声データAD、及び対応関係データRDが読み出され、タブレット端末10の記憶部12に書き込まれる。
【0026】
次に、ディスプレイ13に表示される画面について図2及び図3を参照しつつ説明する。
【0027】
図2及び図3に示されるように、試験問題閲覧システム1のディスプレイ13の表示領域は、大きくメイン領域MAと、上端領域UAと、下端領域LAとに分けられている。メイン領域MAには、試験問題文がページ単位で表示される。メイン領域MAの任意の箇所に対してフリック操作が行われると、メイン領域MAには、試験問題文の現在表示されているページの前のページ、あるいは次のページが表示される。上端領域UAには、メイン領域MAに表示されている試験問題文の文字のサイズ、書体、画面コントラスト等を調整するためのアイコンや、音声再生部によって再生される音声のボリュームや再生速度を調整・表示するためのアイコン等が表示される。下端領域LAには、音声の再生に関する操作を行うための操作ボタン群が表示される。操作ボタン群には、例えば、音声データの再生を開始/停止するための、再生/停止ボタンの他に、メイン領域MAに表示されている試験問題文のページ内で、音声による再生部分を移動させるためのボタン等が配置されている。
【0028】
例えば、メイン領域MAに試験問題文の任意のページが表示され且つ音声が再生されていない状態で、下端領域LAの再生/停止ボタンに対してタップ操作が行われると、メイン領域MAに表示されている試験問題の冒頭部分から音声の再生が開始される。この際、メイン領域MAに表示されているページのうち、現在音声によって再生されている部分は、再生されていない部分とは異なる背景色によってハイライト表示される。例えば、図2に示す例では、「この一帯を観光資源にしていきたいという計画らしいね。」の部分が音声で再生されているとともに、ハイライト表示される。このため、視覚障害や読字障害を有する受験者は、文字だけでなく音声によっても試験問題を閲覧することが可能となり、メイン領域MAに表示されている試験問題文中のどの部分が音声で再生されているか、容易に把握することができる。そして、音声が再生されている状態で、再生/停止ボタンに対してタップ操作が行われると、音声の再生が停止される。
【0029】
ここで、本実施形態では、テキストデータTDに、試験問題文中の特定箇所を、試験問題文中の別の箇所に対応付けるためのリンク情報を含ませることができる。そして、メイン領域MAに試験問題文中の特定箇所を含むページを表示する際は、特定箇所が別の場所と対応付けられていることを示すマークが表示される。例えば、図2に示す例では、「一石二鳥」の上の「*」の部分が、音声再生中とは異なる背景色によってハイライト表示される。そして、受験者は、「*」の部分に対してタップ操作を行うことにより、特定箇所に対応付けられた別の箇所を含むページ(例えば、図3に示される設問を含むページ)を、メイン領域MAに表示させることができる。つまり、メイン領域MAに表示されている画面を、特定箇所を含むページから別の箇所を含むページに直接遷移させることができる。この結果、視覚障害や読字障害を有する受験者は、試験問題を効率よく閲覧することができる。なお、この効果は、試験問題文において、特定箇所を含むページと別の箇所を含むページとが離れている場合に、特に有効である。さらに、図2に示す例において、音声再生部は、「一石二鳥」の部分を音声で再生する直前に、「*」の部分が試験問題文中の別の箇所と対応づけられていることを示す、再生中の音声とは異なる報知音を出力する。これにより、視覚障害や読字障害を有する受験者は、次に続く「一石二鳥」の部分が別の箇所と対応付けられていることを、確実に把握することができる。
【0030】
そして、例えば、図3に示される遷移先のページが表示された画面においても、図2に示される遷移元のページと同様に、音声の再生及び再生部分のハイライト表示が行われる。さらに、遷移先のページにおいても、遷移元のページに遷移するためのマークを表示させることができる。例えば、図3に示す例では、「傍線部」の部分が、音声再生中とは異なる背景色によってハイライト表示される。換言すると、音声再生中とは異なる背景色というマークが表示される。受験者は、ハイライト表示されている「傍線部」の部分に対してタップ操作を行うことにより、メイン領域MAに表示されている画面を、設問を含むページから、試験問題文中の特定箇所含むページに直接遷移させることができる。このように、テキストデータTDにおいて、特定箇所と別の箇所の両方に相互にリンク情報を含ませることにより、試験問題の閲覧性をさらに向上させることができる。
【0031】
次に、テキストデータと音声データとの対応関係を示すデータRDと、テキストデータTDのの具体的な内容について、図4(a)~図5(b)を参照しつつ説明する。なお、図4(a)は、対応関係を示すデータRDのうち、図2の「*一石二鳥」に相当する部分の一例であり、図4(b)は、対応関係を示すデータRDのうち、図3の「傍線部「一石二鳥」とは、」に相当する部分の一例である。また、図5(a)は、テキストデータTDのうち、図2の「*一石二鳥」に相当する部分の一例であり、図5(b)は、テキストデータTDのうち、図3の「傍線部「一石二鳥」とは、」に相当する部分の一例である。
【0032】
図4(a)、4(b)に示されるように、対応関係を示すデータRDとしてのsmilファイルは、テキストデータの情報として、xhtmlファイル名と、spanタグのidを含み、そのテキストデータに対応付けられた音声データの情報として、mp3ファイル名と、再生位置の時間表記とを含み、さらに、テキストデータと音声データとの対応関係を識別するためのidを含む。図4(a)の例において、対応関係を識別するためのidは「s006_00142」であり、xhtmlファイル名は「section0006.xhtml」であり、spanタグのidは「s006_00142」である。また、mp3ファイル名は「sound0006.mp3」であり、再生位置は「0:01:06.163」~「0:01:06.663」である。図4(b)の例において、対応関係を識別するためのidは「s007_00250」であり、xhtmlファイル名は「section0007.xhtml」であり、spanタグのidは「s007_00250」である。また、mp3ファイル名は「sound0007.mp3」であり、再生位置は「0:00:03.397」~「0:00:04.677」である。
【0033】
そして、図5(a)、5(b)に示されるように、テキストデータTDとしてのxhtmlには、特定箇所を別の箇所と対応付けるためのリンク情報として、aタグが含まれている。そして、aタグ内では、smilファイルにおいて対応関係を識別するためのidが指定されている。例えば、図5(a)の例では、aタグ内において、図4(b)に示されるid「s007_00250」が指定されており、「*」がaタグによって挟まれている。このため、図2に示される状態において、「*」の部分に対してタップ操作が行われることにより、画面はsmilファイル内のid「s007_00250」において対応づけられている画面、即ち図3に示される画面に遷移する。図5(b)の例では、aタグ内において、図4(a)に示されるid「s006_00142」が指定されており、「傍線部」がaタグによって挟まれている。このため、図3に示される状態において、「傍線部」の部分に対してタップ操作が行われることにより、画面はsmilファイル内のid「s006_00142」において対応づけられている画面、即ち図2に示される画面に遷移する。
【0034】
(変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。
【0035】
上記実施形態では、メイン領域MAに表示されているページのうち、現在音声によって再生されている部分は、再生されていない部分とは異なる背景色によってハイライト表示されたが、これには限られない。現在音声によって再生されている部分が強調表示されていればよく、例えば、現在音声によって再生されている部分が、再生されていない部分と比べて太字で表示されてもよく、異なる文字色で表示されてもよい。
【0036】
上記実施形態では、試験会場に複数の受験者が存在することを前提とし、試験問題文の音声データはイヤホン20によって再生したが、これには限られない。例えば、試験会場が、他の受験者が存在しない個室である場合、試験問題文の音声データは、イヤホン20ではなく、タブレット端末10が備えるスピーカによって再生してもよい。
【0037】
上記実施形態では、試験問題が日本語で縦書きされている場合を例にとり説明したが、試験問題は外国語であってもよく、横書きであってもよい。
【0038】
上記実施形態の試験問題閲覧システムで閲覧可能なコンテンツは、試験問題に限られず、例えば、電子書籍等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 試験問題閲覧システム
10 タブレット端末
11 CPU
12 記憶部
13 ディスプレイ
14 タッチパネル
15 イヤホン端子
16 メディアI/F
20 イヤホン
TD テキストデータ
AD 音声データ
RD 対応関係データ
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験問題文のテキストデータと、前記試験問題文を読み上げた音声データと、前記テキストデータと前記音声データとの対応関係を示すデータとを記憶した記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記テキストデータに基づいて前記試験問題文を表示する表示部と、
前記記憶部に記憶された前記対応関係を示すデータに基づいて、前記記憶部に記憶された前記音声データのうち、前記表示部に表示されている前記試験問題文に対応する部分を再生する音声再生部とを備え、
前記テキストデータは、前記試験問題文中の特定箇所を、前記試験問題文中の別の箇所と対応付けるための第1のリンク情報と、前記試験問題文中の前記別の箇所を前記特定箇所と対応付けるための第2のリンク情報とを含んでおり、
前記表示部は、前記表示部に表示されている試験問題文のうち、前記音声再生部によって再生されている部分を強調表示するとともに、前記特定箇所を表示する際、前記特定箇所が前記試験問題文中の別の箇所に対応づけられていることを示す第1のマークを表示し、
前記特定箇所が前記表示部に表示されている状態で前記第1のマークが選択されたとき、前記表示部は前記第1のリンク情報に基づいて、前記特定箇所と対応付けられた前記別の箇所を表示し、
前記別の箇所を表示する際、前記表示部は前記別の箇所が前記特定箇所と対応付けられていることを示す第2のマークを表示し、
前記別の箇所が前記表示部に表示されている状態で前記第2のマークが選択されたとき、前記表示部は前記第2のリンク情報に基づいて、前記別の箇所と対応付けられた前記特定箇所を表示することを特徴とする試験問題閲覧システム。
【請求項2】
前記音声再生部は、前記音声データのうち前記特定箇所に対応する部分を再生する際、前記特定箇所が前記別の箇所と対応付けられていることを示す報知音をさらに出力することを特徴とする請求項1に記載の試験問題閲覧システム。
【請求項3】
前記音声再生部はイヤホンを含む請求項1又は2に記載の試験問題閲覧システム。
【請求項4】
前記選択を受け付けるタッチパネルをさらに備える請求項1~のいずれか一項に記載の試験問題閲覧システム。