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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162735
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】車載器
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20221018BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067706
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100110249
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 昭
(72)【発明者】
【氏名】吉田 伸吾
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB20
5E021FC09
5E021FC36
5E021HC09
5E021HC11
5E021KA05
5E021KA15
(57)【要約】
【課題】車両側ロック部との係止状態の解除位置と嵌合保証位置とをリテーナを目視せずに把握し易くし、リテーナの脱落も抑制した車載器を提供する。
【解決手段】車両側コネクタ200に接続される車載器100であって、コネクタ部10と、回路部20と、ケース30と、車両側コネクタの車両側ロック部200pに係止される係止部41を有して挿抜方向に延びる軸部43を備えたロック部40と、リテーナ50と、リテーナ保持部15,35と、リテーナの離脱抑制部19と、を備え、リテーナは、係止状態の解除位置と、解除位置から係止部が車両側ロック部を乗り越えることを抑制し嵌合状態を保証する嵌合保証位置と、の間を移動可能とされ、さらに、ケースの背面35d側のうち、リテーナの周縁にはフラット面35fが設けられ、解除位置にてリテーナはフラット面よりも突出し、嵌合保証位置にてリテーナはフラット面と面一か、又はフラット面よりも凹む。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられた車両側コネクタに挿抜可能に接続される車載器であって、
前記車両側コネクタを囲むようにして該車両側コネクタに嵌合されるコネクタ部と、
前記コネクタ部を介して前記車両側コネクタに電気的に接続される回路部と、
前記回路部を収容し、前記コネクタ部に連結されるケースと、
前記車載器が前記車両側コネクタに挿抜される方向を挿抜方向とするとき、前記コネクタ部または前記ケースに取り付けられるロック部であり、前記車両側コネクタに設けられた凸状の車両側ロック部を乗り越えることで前記車両側ロック部に係止される係止部を有して前記挿抜方向に延びる軸部を備えたロック部と、
前記ロック部を外側から覆うように配置され、前記挿抜方向に相対移動可能なリテーナと、
前記コネクタ部または前記ケースに設けられ、前記リテーナの前記挿抜方向への移動を許容しつつ前記リテーナを保持するリテーナ保持部と、
前記リテーナが前記コネクタ部または前記ケースから離脱することを抑制する離脱抑制部と、
を備え、
前記リテーナは、前記車両側ロック部と前記係止部の係止状態を解除可能な解除位置と、前記解除位置から前記係止部を前記挿抜方向における前記コネクタ部側に乗り越えることで前記係止部が前記車両側ロック部を前記コネクタ部の反対側へ乗り越えることを抑制し、前記車両側コネクタと前記コネクタ部の嵌合状態を保証する嵌合保証位置と、の間を移動可能とされ、
さらに、前記ケースの前記コネクタ部の反対側に向く背面側のうち、前記リテーナの周縁には、前記挿抜方向と交差する方向に沿って平面となるフラット面が設けられ、前記解除位置にて前記リテーナは前記フラット面よりも突出し、前記嵌合保証位置にて前記リテーナは前記フラット面と面一か、又は前記フラット面よりも前記コネクタ部側に凹むことを特徴とする車載器。
【請求項2】
前記嵌合保証位置にて前記リテーナは前記フラット面と面一であることを特徴とする請求項1に記載の車載器。
【請求項3】
前記解除位置及び前記嵌合保証位置にて、前記リテーナが前記離脱抑制部に当接して離脱を抑制することを特徴とする請求項1又は2に記載の車載器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に取り付けられたOBDコネクタ等の車両側コネクタに挿抜可能に接続される車載器に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車やオートバイ等の車両には、エンジンや各種機器を制御するためのECU(Electronic Control Unit)と呼ばれるコンピュータが複数個搭載されている。そして、各ECUはOBD(On-Board Diagnostics)コネクタに接続され、OBDコネクタに外部の診断機を接続することで、ECUから診断情報を取得し、具体的な故障や不具合箇所を把握することができる。
又、OBDコネクタに車載器を接続して走行中の各種情報を取得しておき、ユーザ(運転者等)が車載器の情報を読み取ることで、車両情報を知ることができる。
【0003】
この車載器は、上述のように走行中はOBDコネクタに接続されて車両に設置されるが、ディーラや修理工場でその情報を読み取った後はOBDコネクタから取り外して診断機を接続し、不具合箇所を把握したり、情報の更新やリセットをする。
このようなことから、車載器にはOBDコネクタへの挿抜が容易であることが要求される一方、走行中にOBDコネクタから脱落しないよう、しっかりとOBDコネクタに嵌合する必要がある。
そこで、OBDコネクタの凸状の第2ロック部(車両側ロック部)に係止される第1ロック部を有すると共に、第1ロック部を乗り越えることで第1ロック部が第2ロック部から外れることを防止し、嵌合状態を保証するCPAラッチを備えたコネクタが開発されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2018/235588号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1記載の技術の場合、車載器側のコネクタのCPAラッチを押し込んで嵌合状態を保つが、OBDコネクタはダッシュボードや車両のハンドル下などの奥まった場所に配置されていることが多いため、車載器を目視し難く、CPAラッチの押し込み量についても目視で確認し難いという問題がある。
そして、CPAラッチの押し込み量が不十分であれば嵌合状態が解除されて車載器が脱落するおそれがある。一方、CPAラッチの押し込み量が過度になると、CPAラッチや各ロック部が破損したり変形し、その後の車載器の挿抜が困難になる可能性がある。
又、CPAラッチを目視し難いため、CPAラッチを押し込み過ぎたり、抜き過ぎて、CPAラッチ自体が車載器側のコネクタから脱落、紛失するおそれもある。
【0006】
そこで、本発明は、車両側コネクタへの挿抜が容易で、車両側コネクタにしっかりと嵌合すると共に、車両側ロック部との係止状態の解除位置と嵌合保証位置とをリテーナを目視せずに把握し易くして車両側コネクタ及び車載器の変形や破損を抑制し、リテーナの脱落も抑制した車載器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の車載器は、車両に取り付けられた車両側コネクタに挿抜可能に接続される車載器であって、前記車両側コネクタを囲むようにして該車両側コネクタに嵌合されるコネクタ部と、前記コネクタ部を介して前記車両側コネクタに電気的に接続される回路部と、前記回路部を収容し、前記コネクタ部に連結されるケースと、前記車載器が前記車両側コネクタに挿抜される方向を挿抜方向とするとき、前記コネクタ部または前記ケースに取り付けられるロック部であり、前記車両側コネクタに設けられた凸状の車両側ロック部を乗り越えることで前記車両側ロック部に係止される係止部を有して前記挿抜方向に延びる軸部を備えたロック部と、前記ロック部を外側から覆うように配置され、前記挿抜方向に相対移動可能なリテーナと、前記コネクタ部または前記ケースに設けられ、前記リテーナの前記挿抜方向への移動を許容しつつ前記リテーナを保持するリテーナ保持部と、前記リテーナが前記コネクタ部または前記ケースから離脱することを抑制する離脱抑制部と、を備え、前記リテーナは、前記車両側ロック部と前記係止部の係止状態を解除可能な解除位置と、前記解除位置から前記係止部を前記挿抜方向における前記コネクタ部側に乗り越えることで前記係止部が前記車両側ロック部を前記コネクタ部の反対側へ乗り越えることを抑制し、前記車両側コネクタと前記コネクタ部の嵌合状態を保証する嵌合保証位置と、の間を移動可能とされ、さらに、前記ケースの前記コネクタ部の反対側に向く背面側のうち、前記リテーナの周縁には、前記挿抜方向と交差する方向に沿って平面となるフラット面が設けられ、前記解除位置にて前記リテーナは前記フラット面よりも突出し、前記嵌合保証位置にて前記リテーナは前記フラット面と面一か、又は前記フラット面よりも前記コネクタ部側に凹むことを特徴とする。
【0008】
この車載器によれば、目視しなくても、リテーナとフラット面との位置関係を指で確認すれば、リテーナのコネクタ部側への押し込み量が過不足ないことを認識できる。従って、嵌合状態が適切となって車載器が脱落することを抑制する一方、リテーナの押し込み量が過度になってリテーナや各ロック部が破損したり、変形することも抑制できる。一方、目視しなくても、リテーナがフラット面よりも突出していることを指で確認すれば、解除位置であることを認識できる。
その結果、車両側ロック部との係止状態の解除位置と嵌合保証位置とをリテーナを目視せずに把握し易くして車両側コネクタ及び車載器の変形や破損を抑制できる。
また、離脱抑制部によりリテーナの脱落も抑制できるので、リテーナが脱落しないようにリテーナの押し込み量や引き抜き量を目視する必要がなくなる。
さらに、リテーナを解除位置と嵌合保証位置との間で移動させることで、車載器の車両側コネクタへの挿抜が容易で、車両側コネクタにしっかりと嵌合することができる。
【0009】
本発明の車載器において、前記嵌合保証位置にて前記リテーナは前記フラット面と面一であってもよい。
この車載器によれば、リテーナとフラット面とが面一になることは指で確認しやすいので、リテーナのコネクタ部側への押し込み量を正確に行い、嵌合状態をより確実に設定できる。
【0010】
本発明の車載器において、前記解除位置及び前記嵌合保証位置にて、前記リテーナが前記離脱抑制部に当接して離脱を抑制してもよい。
この車載器によれば、離脱抑制部にリテーナが当接する事での衝撃等の触感によっても、解除位置及び嵌合保証位置を認識できる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、車両側コネクタへの挿抜が容易で、車両側コネクタにしっかりと嵌合すると共に、車両側ロック部との係止状態の解除位置と嵌合保証位置とをリテーナを目視せずに把握し易くして車両側コネクタ及び車載器の変形や破損を抑制し、リテーナの脱落も抑制した車載器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る車載器を示す斜視図である。
図2】車両側コネクタへの車載器の嵌合態様を示す斜視図である。
図3】車載器の分解斜視図である。
図4】車両側コネクタへの車載器の嵌合態様を示す部分分解斜視図である。
図5図4に続く図である。
図6】リテーナ側から見た車載器の断面図である。
図7】リテーナ保持部の変形例を示す断面図である。
図8】リテーナ保持部の別の変形例を示す断面図である。
図9】リテーナの解除位置を示す断面図である。
図10】リテーナの嵌合保証位置を示す断面図である。
図11】解除位置において、ケースのフラット面とリテーナとの位置関係を示す斜視図である。
図12】嵌合保証位置において、ケースのフラット面とリテーナとの位置関係を示す斜視図である。
図13】解除位置において、ケースのフラット面とリテーナとの別の位置関係を示す斜視図である。
図14】嵌合保証位置において、ケースのフラット面とリテーナとの別の位置関係を示す斜視図である。
図15】離脱抑制部の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る車載器100を示す斜視図、図2は車両側コネクタ200への車載器100の嵌合態様を示す斜視図、図3は車載器100の分解斜視図である。
本発明の実施形態に係る車載器100は、車両に取り付けられた車両側コネクタ200に挿抜可能に接続されるものである。なお、本例では、車両側コネクタ200は、OBD(On-Board Diagnostics)コネクタである。
【0014】
図1に示すように、車載器100は、車両側コネクタ200に嵌合されるコネクタ部10と、回路部(図3参照)20と、ケース30と、コネクタ部10に取り付けられるロック部40と、ロック部を外側から覆うように配置されるリテーナ50と、リテーナ保持部15、35と、図示しない離脱抑制部19(図6参照)と、を備えている。
回路部20はケース30に収容されており、ケース30はコネクタ部10に連結(嵌合)されている。
コネクタ部10及びケース30は例えば樹脂からなる。
【0015】
一方、図2に示すように、車両側コネクタ200は箱型のメスコネクタであり、一側面(図2では上面)に凸状の車両側ロック部200pを有する。そして、車載器100のオスコネクタであるコネクタ部10が車両側コネクタ200を囲むようにして車両側コネクタ200に嵌合されるようになっている。
詳しくは後述するが、具体的にはロック部40の係止部41(図1)が車両側ロック部200pを乗り越えることで車両側ロック部200pに係止される。
【0016】
なお、車載器100が、車両側コネクタ200に挿抜される方向を挿抜方向Fとする。挿抜方向Fは、コネクタ部10の枠状のシェル11(図3参照)の軸方向でもある。
又、より詳細には、挿抜方向Fのうちコネクタ部10側(コネクタ部10の開放端側)へ向かう向きを「コネクタ部側F1」とし、その反対向きを「コネクタ部の反対側F2」として適宜区別する。
【0017】
図3に示すように、コネクタ部10は、回路部20が有するオス端子21を外側から取り囲むと共に車両側コネクタ200を囲むようにして車両側コネクタ200に嵌合される枠状(筒状)のシェル11と、シェル11の内部に配置されて2段に並ぶオス端子21を仕切る仕切り板11dと、シェル11の基部に一体に繋がってシェル11の外側に拡径しつつ、ケース30に連結される連結部12と、ロック部40と、を備える。
一方、ケース30は回路部20を収容すると共に、1対の爪部31を有した有底蓋状をなしている。そして、爪部31に対応する位置に形成された連結部12の1対の係合部12aに、爪部31を係合することでケース30がコネクタ部10に連結されるようになっている。
又、ケース30の一側面(図3では上面)には、詳しくは後述する1対のリテーナ保持部(以下、リテーナ保持部15と区別するため、適宜「ケース側リテーナ保持部」と称する)35が挿抜方向Fに沿って離間しつつ突出している。
さらに、ケース30の蓋部をなし、コネクタ部の反対側F2に向く面が背面30dとなっている。
【0018】
回路部20は、各種の電子部品や素子が搭載された回路基板23と、回路基板23に電気的に接続された複数のオス端子21と、複数のオス端子21を保持しつつ各オス端子21間を絶縁するインシュレータ22と、を有する。そして、オス端子21(コネクタ部10)を介して回路部20が車両側コネクタ200に電気的に接続され、車両側コネクタ200側から回路基板23に電力を供給したり、回路基板23と車両側コネクタ200との間でデータの送受信を行うことができる。
又、回路基板23には、各種電子部品や素子に加え、必要に応じて近距離通信装置(NFCやBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信による装置)等の通信部が搭載され、車載器100の情報を読み取ることができる。これにより、例えば車両側コネクタ200に車載器100を接続して走行中の各種情報を取得しておき、ユーザ(運転者等)が車載器100の情報を読み取ることで、車両情報を知ることができる。
【0019】
リテーナ50は例えば樹脂からなり、略平板状で挿抜方向Fに延び、コネクタ部側F1の端部の押さえ部51と、コネクタ部の反対側F2の端部の厚肉の摘まみ部53と、を一体に有する。また、挿抜方向Fの中央部が幅狭の頚部54を構成し、挿抜方向Fの両端側に位置する押さえ部51と摘まみ部53とが広幅をなし、略H字状の平面形状をなす。
押さえ部51は、先端が尖りつつ挿抜方向Fに交差する方向に3つに分岐した形状をなし、挿抜方向Fに交差する方向の両側の2つの部位は、挿抜方向Fに交差する方向に弾性的に伸縮可能になっている。従って、押さえ部51の両側面51sは、縮んだ状態で頚部54と略同一幅となり、無負荷状態で頚部54より広幅となっている。
一方、摘まみ部53の両側面53sは伸縮せずに頚部54より広幅となっている。
そして、各両側面51s、53sがリテーナ保持部15、35の内側に挟持されることでリテーナ保持部15、35に保持されるようになっている。
【0020】
次に、図4図8を参照し、ロック部40の構成、リテーナ保持部15、35へのリテーナ50の保持及び移動態様について説明する。
図4に示すように、ロック部40は樹脂製であり、コネクタ部10の連結部12側(図3)に一体に形成されている。詳細には、ロック部40は、連結部12からシェル11側(コネクタ部側F1)へ向かって挿抜方向Fに延び、互いに離間する1対の軸部43と、挿抜方向Fに交差する方向に延びて両軸部43の先端(シェル11側)に一体に繋がる係止部41と、を備えている。
【0021】
軸部43は、連結部12側と一体に形成された基部を中心にして、コネクタ部10から遠ざかる方向Vに弾性的に撓む(回動する)ことができ、軸部43の撓みに連れて係止部41もこの方向Vに移動可能である。
従って、図5に示すように、コネクタ部10を車両側コネクタ200に嵌合すると係止部41が車両側ロック部200pに当接し、係止部41が方向Vにてコネクタ部10から遠ざかるように移動しながら車両側ロック部200pをコネクタ部側F1に乗り越える。そして、さらに深く嵌合すると、車両側ロック部200pを乗り越えた係止部41が方向Vにてコネクタ部10に近付くように弾性的に戻り、車両側ロック部200pに係止されるようになっている。
【0022】
リテーナ保持部15は、両軸部43の外側で、コネクタ部10の一側面(図4の上面)に挿抜方向Fに沿って離間しつつ突出する1対のガイド部15a(図4では一方のガイド部15aのみ表示)と、両ガイド部15aの突出部(上端部)から、コネクタ部10の上記した一側面に平行にて内側に延びる板状のカバー部15bと、を備える。つまり、リテーナ保持部15を挿抜方向Fに垂直な方向に切断したときの断面がコ字状になって、ロック部40を囲んでいる。
なお、カバー部15bは軸部43と充分に離間しており、軸部43の方向Vへの移動を妨げないようになっている。又、コネクタ部10の一側面(図4の上面)のうち、係止部41と両軸部43の重なる領域が切り欠かれており、軸部43の方向Vへの移動(弾性的な戻り)を妨げないようになっている。
【0023】
ここで、図6に示すように、1対のガイド部15aと、1対のケース側リテーナ保持部35とはコネクタ部10の一側面(図4の上面)の同じ位置に設けられており、ケース30とコネクタ部10とが連結された状態で、各ガイド部15aとケース側リテーナ保持部35とが接続されて挿抜方向Fに一体に立設して延びている。
そして、両側のガイド部15aとケース側リテーナ保持部35の内側に、リテーナ50の各両側面51s、53sが保持され、リテーナ50が挿抜方向Fに相対移動可能になっている。
又、図4におけるリテーナ50の上面はカバー部15bの内面に摺動して保持されている。
【0024】
このように、リテーナ保持部15は、リテーナ50の挿抜方向Fへの移動を許容しつつ、それ以外の方向への移動を規制することで、自身の内側にリテーナ50を保持する。又、ケース側リテーナ保持部35は、リテーナ50の挿抜方向Fへの移動を許容しつつ、挿抜方向Fに交差し、コネクタ部10の一側面(図4の上面)に沿う方向への移動を規制する。但し、ケース側リテーナ保持部35は、リテーナ50の上方(方向V)への移動は規制しない。
つまり、リテーナ保持部15、35は全体として、リテーナ50の挿抜方向Fへの移動を許容しつつ、それ以外の方向への移動を規制してリテーナ50を保持する。
【0025】
さらに、各ガイド部15aのうち、コネクタ部の反対側F2の基部には、内側(挿抜方向Fと交差する方向)へ向かって延びつつ互いに離間する離脱抑制部19が各ガイド部15aとそれぞれ繋がって設けられている。
各離脱抑制部19は挿抜方向Fと交差する方向の内側へ突出し、コネクタ部側F1へ向かって間隔が広がるような三角形の平面形状をなしている。そして、各離脱抑制部19の最小間隔は、リテーナ50の頚部54の幅より広く、無負荷状態での両側面51sの幅、および両側面53sの幅より狭い。
【0026】
これにより、リテーナ50をリテーナ保持部15,35に沿ってコネクタ部側F1に挿入すると、押さえ部51が各離脱抑制部19を通過する際に弾性的に両側面51sの幅が狭まって挿抜方向Fへ挿入されると共に、各離脱抑制部19を通過した後に両側面51sが元の幅に広がる。その結果、リテーナ50をコネクタ部の反対側F2に抜こうとしても、元の幅に広がった両側面51sが各離脱抑制部19に引っ掛かってリテーナ50の抜けを抑制できる。
一方、リテーナ50をコネクタ部側F1に挿入し過ぎたときには、伸縮しない両側面53sが各離脱抑制部19に引っ掛かるので、同様にリテーナ50の抜けを抑制できる。
【0027】
リテーナ保持部は上述の機能を有する限り、その形状は限定されず、例えば図7の断面形状のように、カバー部15bを設ける代わりに、両側のガイド部15aの上端部がコネクタ部10の上記した一側面に平行にして内側に曲がりつつ互いに離間し、リテーナ50の上側への脱落を防止する押さえ部45dとなっていてもよい。
又、例えば図8の断面形状のように、コネクタ部10及びケース30に、挿抜方向Fに一体に繋がる溝部18をリテーナ保持部として設け、この溝部18と同じ断面形状のガイド部72をリテーナ70側の下面(ロック部40側の面)に設けてもよい。これにより、溝部18内にガイド部72を嵌めることで、リテーナ70がコネクタ部10及びケース30に保持されつつ、リテーナ70の挿抜方向Fへの移動を許容することができる。
又、リテーナ保持部はコネクタ部10またはケース30の少なくとも一方に設けられていればよい。
なお、図7図8は、挿抜方向Fに交差する面で切断した断面図である。
【0028】
次に、図9図10を参照し、車両側ロック部200pと係止部41との係止態様について説明する。なお、図9図10は、挿抜方向Fに沿う面で切断した断面図である。
図9は、リテーナ50が車両側ロック部200pと係止部41の係止状態を解除可能な解除位置にあることを示す。
つまり、リテーナ50のコネクタ部側F1の押さえ部51は軸部43の基部43bの上方に位置する。従って、軸部43のうち基部43bよりもコネクタ部側F1の先端部43sは、方向Vに弾性的に撓むことができ、ひいては先端部43sに一体に取り付けられた係止部41も方向Vに回動することができる。その結果、車両側ロック部200pに対して係止部41が方向Vに離間し、係止状態を解除可能となる。
【0029】
図10は、解除位置からリテーナ50がさらにコネクタ部側F1へ押し込まれ、嵌合保証位置にあることを示す。なお、摘まみ部53を適宜把持することで、リテーナ50を挿抜方向Fへ進退させることができる。
嵌合保証位置では、リテーナ50が係止部41をコネクタ部側F1(挿抜方向F)に乗り越えることで係止部41が車両側ロック部200pをコネクタ部の反対側F2へ乗り越えることを抑制し、車両側コネクタ200とコネクタ部10の嵌合状態を保証する。
換言すれば、嵌合保証位置では、リテーナ50がさらにコネクタ部側F1(挿抜方向F)へ押し込まれることで、リテーナ50の押さえ部51は軸部43の先端部43sの上方に位置して先端部43sを押さえる。従って、先端部43sは、方向Vに弾性的に撓むことができず、ひいては先端部43sに一体に取り付けられた係止部41も方向Vに回動することができない。その結果、車両側ロック部200pに係止された係止部41が方向Vに離間して係止状態を解除することを抑制し、嵌合状態を保証するのである。
【0030】
次に、図11図12を参照し、本発明の特徴部分について説明する。
図11にて、リテーナ50は解除位置にある。そして、ケース30のコネクタ部の反対側F2に向く背面30d側のうち、リテーナ50の周縁には、挿抜方向Fと交差する方向に沿って平面となるフラット面35fが設けられ、この解除位置にてリテーナ50はフラット面35fよりも突出している。
ここで、「リテーナ50はフラット面35fよりも突出」するとは、リテーナ50のうちコネクタ部の反対側F2に向く端部がフラット面35fよりも突出することを意味する。例えば、図11では、リテーナ50のうちコネクタ部の反対側F2に向く最端部は、摘まみ部53の背面53dである。従って、背面53dがフラット面35fよりも突出している。
【0031】
一方、図12にて、リテーナ50は嵌合保証位置にある。そして、この嵌合保証位置にてリテーナ50(の背面53d)はフラット面35fと面一になっている。
【0032】
これにより、目視しなくても、リテーナ50(の背面53d)とフラット面35fとが面一になったことを指で確認すれば、リテーナ50のコネクタ部側F1への押し込み量が過不足ないことを認識できる。従って、嵌合状態が適切となって車載器が脱落することを抑制する一方、リテーナ50の押し込み量が過度になってリテーナ50や各ロック部40、200pが破損したり、変形することも抑制できる。一方、目視しなくても、リテーナ50(の背面53d)がフラット面35fよりも突出していることを指で確認すれば、解除位置であることを認識できる。
その結果、車両側ロック部200pとの係止状態の解除位置と嵌合保証位置とをリテーナ50を目視せずに把握し易くして車両側コネクタ200及び車載器100の変形や破損を抑制し、既に述べたようにリテーナ50の脱落も抑制できる。
【0033】
なお、ケース30の背面30d側のうち、フラット面35fが平面であればよく、例えばデザイン上の要求からフラット面35f以外の背面30dが凸状の曲面であったり、強度上凹んでいてもよい。
又、本例では、リテーナ50のうちコネクタ部の反対側F2に向く端部は平面状の背面53dであったが、この端部は平面状でなくてもよい。但し、端部が平面である方が、フラット面35fと比較して面一かどうかの触感が得やすくなる。
【0034】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
例えば、図13図14に示すように、図13の解除位置でリテーナ50(の背面53d)がフラット面35fよりも突出すると共に、図14の嵌合保証位置でリテーナ50(の背面53d)がフラット面35fよりもコネクタ部側F1に凹むようにしてもよい。
このように、リテーナ50(の背面53d)がフラット面35fよりもコネクタ部側F1に凹んだ状態も、目視せずに指で確認することが容易である。
【0035】
又、車載器を構成するコネクタ部、ケース、ロック部、リテーナ、リテーナ保持部、及び離脱抑制部の形状は上記に限定されない。
例えば、図15に示すように、図8の溝部(リテーナ保持部)18のうち、コネクタ部側F1の先端部18fをシェル11の途中で閉塞し、コネクタ部の反対側F2の後端部18eをコネクタ部10の後端までとし、ケース30には溝部を形成しないことで、先端部18f及び後端部18eを離脱抑制部として構成することができる。
この場合、車載器の組付けの際、ケース30をコネクタ部10に連結する前に、溝部18にリテーナ70のガイド部72を嵌めた後、ケース30を連結すれば、ガイド部72(リテーナ70)は先端部18f及び後端部18eの間でのみ挿抜方向Fに移動可能となり、先端部18f及び後端部18eを超えた移動及び離脱を抑制できる。
なお、図15は、コネクタ部10の一側面(図4の上面)から見た平面図である。
【符号の説明】
【0036】
10 コネクタ部
15,18,35 リテーナ保持部
18e、18f、19 離脱抑制部
20 回路部
30 ケース
35d ケースのうちコネクタ部の反対側に向く背面
35f フラット面
40 ロック部
41 係止部
43 軸部
50,70 リテーナ
100 車載器
200 車両側コネクタ
200p 車両側ロック部
F 挿抜方向
F1 コネクタ部側
F2 コネクタ部の反対側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15