(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022016275
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】コンベヤベルトシステムのコンベヤベルトの状態を監視するための監視装置および方法
(51)【国際特許分類】
B65G 43/02 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
B65G43/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021022226
(22)【出願日】2021-02-16
(31)【優先権主張番号】10 2020 117 972.3
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】521069319
【氏名又は名称】シュルテ ストラートハウス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンデイトゲゼルシャフト フェールデルテクニク ディヒトゥングスシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル シュルテ ストラートハウス
【テーマコード(参考)】
3F027
【Fターム(参考)】
3F027AA02
3F027CA07
3F027DA23
3F027EA01
3F027EA04
3F027FA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コンベヤベルトシステムのコンベヤベルトの状態を効率的かつ確実に監視するための監視装置、方法を提供する。
【解決手段】保持デバイス5と、保持デバイス5に装着される少なくとも一つの力伝達デバイス6と、力伝達デバイス6の表面をコンベヤベルト2との接触状態に移動可能であるように保持デバイス5および/または力伝達デバイス6に接続されている、セッティングデバイス7とを備えた、コンベヤベルトシステム1のコンベヤベルト2の状態を監視するための監視装置3に関する。コンベヤベルト2の状態を監視するために、保持デバイス5またはセッティングデバイス7の機械的な応力テンソルの変化を少なくとも間接的に検出できるようにするために利用される少なくとも一つのセンサ8が、保持デバイス5の表面および/もしくは内部に、またはセッティングデバイス7の表面および/もしくは内部に配設されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤベルトシステム(1)のコンベヤベルト(2)の状態を監視するための監視装置(3)であって、
- 保持デバイス(5)と、
- 前記保持デバイス(5)に装着される少なくとも一つの力伝達デバイス(6)と、
- 前記力伝達デバイス(6)の表面を前記コンベヤベルト(2)との接触状態に移動可能であるように前記保持デバイス(5)および/または前記力伝達デバイス(6)に接続されている、セッティングデバイス(7)と、
を備えた、監視装置(3)において、
前記コンベヤベルト(2)の前記状態を監視するために、少なくとも一つのセンサ(8)が、前記保持デバイス(5)の表面および/もしくは内部に、または、前記セッティングデバイス(7)の表面および/もしくは内部に配設されており、これを利用して前記保持デバイス(5)または前記セッティングデバイス(7)の機械的な応力テンソルの変化を少なくとも間接的に検出可能である、監視装置(3)。
【請求項2】
前記力伝達デバイス(6)が前記コンベヤベルト(2)との接触状態にあるときには、前記センサ(8)を利用して、前記コンベヤベルト(2)に起因する、前記保持デバイス(5)に、または前記セッティングデバイス(7)に発生する負荷を捕捉可能である、請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記センサ(8)が、
- 前記コンベヤベルト(2)から前記保持デバイス(5)もしくは前記セッティングデバイス(7)に加えられる曲げモーメント、ならびに/または、
- 前記コンベヤベルト(2)に起因して前記保持デバイス(5)または前記セッティングデバイス(7)にかかるせん断力および/もしくは横力、ならびに/または、
- 前記コンベヤベルト(2)に起因する前記保持デバイス(5)もしくは前記セッティングデバイス(7)の変形、
を捕捉するように構成されている、請求項1または2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記センサ(8)が、ひずみゲージを含んでいるか、またはひずみゲージである、請求項1~3のいずれか1項に記載の監視装置。
【請求項5】
前記センサ(8)が、前記コンベヤベルト(2)に起因する、前記保持デバイス(5)の表面および/もしくは内部に、または、前記セッティングデバイス(7)の表面および/もしくは内部に発生する振動を捕捉するように構成されている、請求項1に記載の監視装置。
【請求項6】
前記センサ(8)が、前記保持デバイス(5)の表面および/もしくは内部だけに装着されている、ならびに/または、前記保持デバイス(5)だけに結合されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の監視装置。
【請求項7】
少なくとも一つのブリッジ回路を利用して結合されている複数のセンサ(8)が備えられている、請求項1~6のいずれか1項に記載の監視装置。
【請求項8】
前記監視装置(3)が、前記センサ(8)の測定信号、および/または、前記センサ(8)の前記測定信号に基づいて評価デバイス(18)により決定された評価結果を、コントロール装置(4)に向けて有線および/または無線方式で伝送するように構成されている伝送デバイス(17)を有している、請求項1~7のいずれか1項に記載の監視装置。
【請求項9】
- 前記保持デバイス(5)が、前記力伝達デバイス(6)に直接配設された少なくとも一つの正面領域(14)と、前記正面領域(14)とは反対側に位置する背面領域(15)と、前記正面領域(14)と前記背面領域(15)とを接続している二つの側面領域(16)とを備えた、特に中央部に配設された保持部(13)を有しており、
- 前記センサ(8)が、前記正面領域(14)に、前記背面領域(15)に、または前記側面領域(16)のいずれか一方に配設されており、さらに好適には、
- 少なくとももう一つのセンサ(8)が前記正面領域(14)に、および/または少なくとももう一つのセンサ(8)が前記背面領域(15)に、および/または少なくとももう一つのセンサ(8)が前記側面領域(16)の内少なくともいずれか一方に配設されていること
を特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の監視装置。
【請求項10】
前記センサ(8)および/または少なくとももう一つのセンサ(8)、好ましくは全てのセンサ(8)が、前記保持デバイス(5)の縦軸(X)に関して少なくとも実質的に中央部以外のところで、前記保持デバイス(5)の表面および/または内部に配設されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の監視装置。
【請求項11】
コンベヤベルトシステム(1)のコンベヤベルト(2)の状態を監視するための方法であって、
- 請求項1~10のいずれか1項に記載の監視装置(3)を準備する工程と、
- 前記力伝達デバイス(6)が前記コンベヤベルト(2)との接触状態にあるときに、前記コンベヤベルト(2)に起因する、前記監視装置(3)の前記保持デバイス(5)に、または前記セッティングデバイス(7)に発生する、前記保持デバイス(5)または前記セッティングデバイス(7)の機械的な応力テンソルの変化を捕捉する工程と、
を含む、方法。
【請求項12】
前記コンベヤベルト(2)から前記保持デバイス(5)または前記セッティングデバイス(7)に加えられる曲げモーメント、ならびに/あるいは、前記コンベヤベルト(2)に起因して前記保持デバイス(5)もしくは前記セッティングデバイス(7)にかかるせん断力および/もしくは横力、および/または、前記コンベヤベルト(2)に起因する前記保持デバイス(5)もしくは前記セッティングデバイス(7)の変形が、好適にはひずみゲージとして構成されたセンサ(8)を利用して捕捉される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記コンベヤベルト(2)に起因する、前記保持デバイス(5)の表面および/もしくは内部に、または、前記セッティングデバイス(7)の表面および/もしくは内部に発生する振動が捕捉される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記センサ(8)の測定信号、および/または、前記センサ(8)の前記測定信号に基づいて決定された評価結果が、コントロール装置(4)に向けて有線および/または無線方式で伝送される、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記力伝達デバイス(6)が前記コンベヤベルト(2)との接触状態に移動された後に、前記監視装置(3)の前記センサ(8)の前記測定信号の最大値から複数の限界値が決定され、また、前記限界値の決定後に前記限界値の内のいずれか一つを上回る場合に警報が出力される、請求項11~14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤベルトシステムの状態を監視するための監視装置に関する。この監視装置は、保持デバイスと、保持デバイスに装着される少なくとも一つの力伝達デバイスと、力伝達デバイスの表面をコンベヤベルトとの接触状態に移行可能であるように保持デバイスおよび/または力伝達デバイスに接続されているセッティングデバイスとを有している。それに加えて本発明は、コンベヤベルトシステムのコンベヤベルトの状態を上述の種類の監視装置を使用しながら監視するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
コンベヤベルトシステムは、砂、砂利、石炭、鉱石またはその類のようなばら物を搬送するための可動式コンベヤベルトを有している。実地においては、コンベヤベルトの状態を光学的に監視できるようにするために用いられる制御方法が知られている。しかしながらそれには手間暇かけて測定結果を評価することが要求される上に、誤差があり、高額の運転・整備・製造コストを伴う。(例えば付着したばら物による)不具合または不具合につながる可能性を認識する時機を失してしまうと、それを原因として、コンベヤベルトシステムの故障に至るまでの損傷をコンベヤベルトシステム全体に来し、予想がつかないほどの事後コストを呼び寄せかねない。例えば、コンベヤベルトシステムの駆動系にばら物が入り込んでしまうと、不具合はかなりなものとなりかねない。
【0003】
コンベヤベルトでの不具合は、可能な限り早期に確実に自動化方式により認識されるのが望ましいが、その際には(実際には不具合がないにもかかわらず、不具合が推論される)誤検出が可能な限り回避されることが望ましい。不具合が発生した場合は、そのコンベヤベルトでの位置が、可能な限り精確に検出されると好適である。
【発明の概要】
【0004】
したがって本発明の課題は、コンベヤベルトシステムのコンベヤベルトの状態を効率的かつ確実に監視するための監視装置または方法であって、特に従来技術の短所が回避されるか、またはただし少なくとも本質的に低減されることになる、監視装置または方法を提供することである。
【0005】
この課題を解決するために、本発明は、コンベヤベルトシステムのコンベヤベルトの状態を監視するための監視装置を予定している。この監視装置は、保持デバイスと、この保持デバイスに装着される少なくとも一つの力伝達デバイスと、セッティングデバイスとを備えている。セッティングデバイスは、力伝達デバイスの表面をコンベヤベルトとの接触状態に移動可能であるように保持デバイスおよび/または力伝達デバイスに接続されている。
【0006】
コンベヤベルトの状態を監視するために、少なくとも一つのセンサが保持デバイスの表面および/または内部に配設されている。このセンサを利用して、保持デバイスの機械的な応力テンソルの変化を直接および/または少なくとも間接的に検出できる。
【0007】
本発明の実施形態の一代替例においては、コンベヤベルトの状態を監視するために、少なくとも一つのセンサがセッティングデバイスの表面および/または内部に配設されることを予定している。このセンサを利用して、セッティングデバイスの機械的な応力テンソルの変化を直接および/または少なくとも間接的に検出できる。
【0008】
本発明によれば、保持デバイスまたはセッティングデバイスの機械的な応力テンソルの変化の少なくとも間接的な状態監視を介して、好適にも不具合検出目的で、コンベヤベルトの状態を監視可能であるか、またはコンベヤベルトの状態を逆推論可能であることを、保証できる。
【0009】
本発明にしたがって実行された試験においては、保持デバイスまたはセッティングデバイスの応力テンソルの、特に所定の範囲外の、特に許容し得る範囲外の変化の際には、コンベヤベルトでの不具合を逆推論できることが確認されている。センサにより捕捉された測定データまたは測定信号が特に評価されてもよく、例えば、特に所定の範囲を限定している、限界値の未達および/または超過に関する検査を実行可能であってもよい。
【0010】
本発明によれば、機械的な応力テンソルを監視する、および/または、保持デバイスまたはセッティングデバイスの機械的な応力テンソルの変化を表しているか、もしくはそのような機械的な応力テンソルの変化に関係している量、値もしくは特性を監視することによって、生じているかもしれない不具合事象を適時に同定し、特に、生じているかもしれない不具合の程度も同様に見積もることが可能になる。それにより特に、コンベヤベルトシステム全体の運転・整備コストの有意な低減を保証している。
【0011】
保持デバイスまたはセッティングデバイスの機械的な応力テンソルが変化し得るのは、特に、保持デバイスまたはセッティングデバイスが膨張および/または収縮により変形する場合である。センサを介して、最終的には、そのような変化を捕捉する検出器を提供することができる。例えば保持デバイスまたはセッティングデバイスの機械的な応力テンソルの変化から、保持デバイスまたはセッティングデバイスの応力および/または負荷を明らかにすることが可能となるが、この応力および/または負荷もまた、コンベヤベルトの状態に関連付けることができる。
【0012】
保持デバイスまたはセッティングデバイスの機械的なストレスは、最終的には、外部からかかる負荷の結果としての内部応力を表す尺度である。この外部からかかる負荷は、コンベヤベルトシステムの運転時に保持デバイスに配設されている力伝達デバイスを配備することによって誘発される。
【0013】
「応力テンソル」という概念は、保持デバイスまたはセッティングデバイスを三次元の物体であると見立てて、最終的にはその内部または表面に機械的なストレスが発生し得ることを表したものである。これらの機械的なストレスは、物理法則においては、応力テンソルの成分として存在する。ほかにも応力テンソルにより、保持デバイスまたはセッティングデバイスの内部に位置する特定地点の内部または表面のストレス状態も記述される。
【0014】
その際、特に本発明によれば言うまでもなく、機械的な応力テンソルの変化をセンサにより間接的に捕捉することが求められる場合には、同一基準点における応力テンソルが互いに比較される。そのためにセンサは、例えば特定箇所に配設されており、機械的な応力テンソルおよび/または機械的な応力テンソルに関係している量を少なくとも間接的に捕捉し、その際には、センサの正にあらゆる配設箇所において、機械的な応力テンソルの変化を捕捉または検出することができる。
【0015】
その上、応力テンソルにおいては、法線方向の法線応力ならびに接線方向に作用する(横)せん断応力が、数学的対象にまとめられる。その際、本発明によれば言うまでもなく、応力テンソルの状態を監視するために、全応力テンソルを実験により捕捉することが要求されるわけではなく、変化が捕捉されることによって既にコンベヤベルトの状態を明らかにすることが可能となっているが、特にその際に応力テンソルの変化は、少なくとも実質的に同一の基準点に関する。
【0016】
したがって本発明によれば、保持デバイスまたはセッティングデバイスの監視を介して、比較的簡単な方法でコンベヤベルトの信頼できる、効率的かつ経済的な監視を実現することができる監視装置が提供される。さらに、多数の試験を実行したことによって、保持デバイスまたはセッティングデバイスの、好適にはセンサが配設されている特定箇所における、機械的な応力テンソルの変化、特に膨張、収縮、および/または機械的なストレスの変化を介して、コンベヤベルトの状態を監視可能であることが確認されている。
【0017】
特に好ましい一実施形態においては、力伝達デバイスまたはセッティングデバイスがコンベヤベルトとの接触状態にあるときに、コンベヤベルトに起因する、保持デバイスまたはセッティングデバイスに発生する負荷を、センサを利用して捕捉できることが予定されている。保持デバイスまたはセッティングデバイスのこの負荷は特に、コンベヤベルトシステムの運転によって、またコンベヤベルトに対してあてがわれる力伝達デバイスによって、保持デバイスまたはセッティングデバイスにかかる荷重を通じて、捕捉される。特に、保持デバイスまたはセッティングデバイスにそのような変化がある場合、力伝達デバイスがコンベヤベルトとの接触状態から離脱するように移動されるか、または移動されたことが、センサを用いて捕捉されてもよい。
【0018】
それ以外にもセンサは、好適にはコンベヤベルトから保持デバイスまたはセッティングデバイスに加えられる曲げモーメント、トルク、ならびに/または、保持デバイスもしくはセッティングデバイスのコンベヤベルトに起因する変形のせん断力および/もしくは横力を捕捉するように構成されていてもよい。特に保持デバイスに変形が生じるのは、特にコンベヤベルトに不具合が生じて保持デバイスまたはセッティングデバイスがねじれる場合であるが、これもまたセンサにより捕捉されてもよい。変形したり、ねじれたり、ならびに/または、曲げモーメントおよび/もしくはトルクが変化したりする際には、保持デバイスまたはセッティングデバイスの機械的な応力テンソルも同様に変化する。これはセンサにより少なくとも間接的に捕捉されてもよい。
【0019】
センサが、ひずみゲージを含んでいるか、またはひずみゲージとして構成されていると好適である。このひずみゲージは、特に膨張および/または収縮による変形を捕捉するために最終的に利用されるものであり、そのような変形および/または膨張が生じると、ひずみゲージの電気抵抗は変化する。
【0020】
その代わりに、またはそれに追加して、センサが、コンベヤベルトに起因する、保持デバイスの表面および/もしくは内部に、またはセッティングデバイスの表面および/もしくは内部に発生する振動を捕捉するように構成されていることが予定されてもよい。本発明によれば、これらの振動が捕捉されることによって、コンベヤベルトの状態を逆推論することが可能になり、その結果、特にコンベヤベルトに生じているかもしれない不具合をリアルタイムで捕捉し、ひいては取り除くことが可能であることが確認されている。
【0021】
それに加えて、本発明の思想のもう一つの好ましい形態においては、センサが、保持デバイスの表面および/もしくは内部に、またはセッティングデバイスの表面および/もしくは内部にだけ装着されて、ならびに/あるいは、保持デバイスまたはセッティングデバイスだけに結合されていることが予定されている。
【0022】
このセンサは、力伝達デバイスに直接隣接して配設されていても、または力伝達デバイスから離隔されていてもよい。センサは、力伝達デバイスから離隔された位置においても、保持デバイスまたはセッティングデバイスの負荷および/または応力による保持デバイスの機械的なストレスの変化を捕捉できる。
【0023】
センサは、保持デバイスまたはセッティングデバイスの表面の上に配設、特に接着されていると好適である。
【0024】
センサは、保持デバイスの中央領域内に配設されていることが好ましい。
【0025】
保持デバイスは、特に中央部の保持部を有しており、この保持部の少なくとも一つの領域または面が力伝達デバイスに直接隣接すると好適である。センサは、好適にはこの保持部の表面および/または内部に配設されていてもよい。その際言うまでもなく、この保持部は、力伝達デバイスに直接は隣接していない領域および/または面も有し得る。
【0026】
特に好ましい一実施形態において、この特に中央部に配設された保持部は、力伝達デバイスに直接隣接している少なくとも一つの正面領域と、この正面領域とは反対側に位置する背面領域と、正面領域と背面領域とを接続している二つの側面領域とを有している。
【0027】
この保持部は、断面図で見て、円形、楕円形、多角形、特に四角形もしくは六角形、および/またはI字形の外形および/または基本形状を有していてもよい。
【0028】
力伝達デバイスにより引き起こされる保持デバイスの負荷および/または保持デバイスにかかる荷重は、保持部の正面領域を介して保持デバイスの内部に導入されてもよい。
【0029】
センサは、好適には正面領域に、背面領域に、または側面領域のいずれか一方に配設されていてもよい。少なくとももう一つのセンサが正面領域に、および/または、少なくとももう一つのセンサが背面領域に、および/または、少なくとももう一つのセンサが側面領域のいずれか一方に配設されていると好適である。
【0030】
これとの関連では言うまでもなく、このもう一つのセンサは、第1のセンサに対して少なくとも実質的に同一の構造に構成されていてもよい。その代わりに、またはそれに追加して、これらのセンサが互いに相違することを予定してもかまわない。最終的にこのもう一つのセンサは同様に、保持デバイスの機械的な応力テンソルの変化を間接的に検出するように構成されていてもよく、ほかにも保持デバイスの表面および/または内部に配設されている。特にこのもう一つのセンサの好ましい実施形態については、これまでのセンサに関する説明を参照することができ、これらの説明は、このもう一つのセンサについても同様に当てはまる。
【0031】
センサが正面領域に配設され、もう一つのセンサが背面領域に配設されていると、特に好ましい。その代替となるさらに好ましい一実施形態においては、センサが側面領域に配設され、もう一つのセンサがもう一方の側面領域に配設されている。
【0032】
本発明のもう一つのこの上なく好ましい実施形態においては、センサおよび/または少なくとももう一つのセンサ、好ましくは全てのセンサが、保持デバイスの縦軸に関して少なくとも実質的に中央部以外のところで保持デバイスの表面および/または内部、特に保持デバイスの保持部の表面の中央部以外のところに配設されている。
【0033】
保持デバイスの縦軸は特に、保持デバイスの最大長さの向きと合致している。保持デバイスの縦軸は特に、コンベヤベルトの搬送方向に対して横向きに、好適には90°±20°の角度で配設されている。
【0034】
好ましい一実施形態においては、センサおよび少なくとももう一つのセンサが、保持部の正面領域上に配設されているが、そこではセンサの最大長さが保持デバイスの縦軸の向きに延びており、またもう一つのセンサの最大長さが保持デバイスの縦軸に対して横向きに延びている。それに追加して、保持部の背面領域上に少なくともさらに二つのセンサが配設されていてもよいが、そこでもセンサの最大長さは保持デバイスの縦軸の向きに延びており、また他のセンサの最大長さは保持デバイスの縦軸に対して横向きに延びている。
【0035】
もう一つの好ましい実施形態においては、保持部の正面領域上、好適には中央部以外のところに、センサと少なくとももう一つのセンサとが配設されており、そこでは各センサの最大長さが保持デバイスの縦軸の向きに延びている。それに追加して、保持部の背面領域上には、好適には中央部以外のところに、少なくともさらに二つのセンサが配設されていてもよく、そこでも各センサの最大長さはいずれも、保持デバイスの縦軸の向きに延びている。
【0036】
これらの異なる配設方式を用いることで、温度差の影響を低減することができる。公知のように、温度が変化する際には材料(または保持デバイス)も同様に変形または膨張し、それに伴い機械的な応力テンソルに変化を引き起こす。しかしながら温度差を理由とするこの変化は特に、コンベヤベルトの状態を直接表すものではなく、このため好ましくは「フィルタリングにより除去」されるべきである。
【0037】
その代わりに、またはそれに追加して、センサが保持部の一方の側面領域上に配設されているようにすることもできる。それに追加して、保持部の他方の側面領域上にもう一つのセンサが配設されていてもよい。各センサの最大長さは、保持デバイスの縦軸の向きに対して45°±10°の角度で延びていると好適である。
【0038】
さらなる実施形態において、センサおよび/または少なくとももう一つのセンサ、好ましくは全てのセンサが、保持部の外部に配設されていることが予定されてもよい。
【0039】
ほかにも、少なくとも一つのブリッジ回路を利用して結合されている複数のセンサが備えられていてもよい。これらのセンサが、ひずみゲージとして構成されており、少なくとも一つのブリッジ回路を利用して結合されていると、この上なく好ましい。ブリッジ回路は、温度の影響を補償可能である点で有利であることが判明している。
【0040】
本発明を実現させるにあたっては、複数のセンサを接続して少なくとも一つのブリッジ回路を形成することによって、温度差により引き起こされる測定誤差を補償可能であることが確認されている。その結果として、監視装置全体の効率をさらに向上させることができる。温度差を理由として引き起こされる測定誤差は、気候を原因とすることもあれば、ばら物によりおよび/またはコンベヤベルトシステム全体の運転により生じることもある。
【0041】
その上、監視装置は、センサの測定信号を、および/またはセンサの測定信号に基づいて評価デバイスにより決定された評価結果を、コントロール装置に向けて有線および/または無線方式で伝送するように構成されている伝送デバイスを有していると好適である。
【0042】
その代わりに、またはそれに追加して、センサにより捕捉された測定結果を少なくとも一つの増幅デバイスにより増幅することが予定されてもよい。
【0043】
その上、センサにより捕捉されたセンサ信号または測定結果を、それらの伝送に先立ち処理することが予定されてもよい。測定結果の処理は、好適には評価デバイスおよび/またはコントロール装置により実行されてもよい。
【0044】
最終的に伝送デバイスにより、センサの測定信号または測定結果を、特に外部で、すなわち保持デバイスおよび/またはセンサの外側で、処理および/または評価することが可能になる。
【0045】
力伝達デバイスは、コンベヤベルトのリターンプーリのところに直接または少なくとも実質的に間接的に配設されていてもよい。その上、コンベヤベルトの下側ベルト部分のコンベヤベルト進行方向でこの第1の力伝達デバイスの下流側に、もう一つの力伝達デバイスが配設されていてもよい。
【0046】
その代わりに、またはそれに追加して、備えられる力伝達装置が一つだけであり、これが特にコンベヤベルトの下側ベルト部分のところに配設されていることが予定されてもよい。
【0047】
保持デバイスは、位置調節式であることが好ましい。セッティングデバイスは好適にも必要な予荷重を発生させるため、力伝達デバイスの表面はコンベヤベルトとの接触状態に移動可能である。そのためにセッティングデバイスは、駆動モータを有していてもよい。力伝達デバイスは、交換可能であるように保持デバイスに配設されていてもよい。
【0048】
それに加えて本発明は、コンベヤベルトシステムの状態を監視するための方法にも関する。この方法には、上記で説明した実施形態の内、少なくともいずれか一つに記載の監視装置を準備する工程が含まれる。その上、この方法においては、本発明によれば、力伝達デバイスがコンベヤベルトとの接触状態にあるときには、コンベヤベルトに起因する、監視装置の保持デバイスの表面および/もしくは内部に、またはセッティングデバイスの表面および/もしくは内部に発生する、保持デバイスまたはセッティングデバイスの機械的な応力テンソルの変化が、少なくとも間接的に、捕捉される。
【0049】
本発明によれば言うまでもなく、保持デバイスまたはセッティングデバイスの機械的な応力テンソルが変化する際および/または変化した後には、特にコンベヤベルトに生じる不具合を理由として、力伝達デバイスもまた移動されてコンベヤベルトとの接触状態から離脱した可能性がある。
【0050】
最終的には特に言うまでもなく、コンベヤベルトシステムの通常運転中は、力伝達デバイスが、コンベヤベルトとの接触状態にあり、保持デバイスにより保持され、その際に保持デバイスには力伝達デバイスから荷重がかかる。
【0051】
本発明の方法の好ましい実施形態および/または長所については特に、本発明の監視装置に関する説明を参照してもよく、これらの説明は、さらなる明示的な言及を不要として、本発明の方法にも同様に当てはまる。
【0052】
本発明の方法により、効率的で信頼できしかも経済的な方法でコンベヤベルトを監視することが可能になり、そこでは特にコンベヤベルトに生じているかもしれない不具合が適時に認識される。
【0053】
その代わりに、またはそれに追加して、例えばばら物の品質、保持デバイスにより印加される予荷重力またはその類のような、コンベヤベルトシステムのさらなる関連性のあるパラメータも同様に、本発明の監視方法により監視されてもよい。
【0054】
特に好ましい一実施形態においては、コンベヤベルトから保持デバイスまたはセッティングデバイスに加えられる曲げモーメントならびに/あるいはせん断力および/もしくは横力、および/または、コンベヤベルトに起因する保持デバイスもしくはセッティングデバイスの変形を、好適にはひずみゲージとして構成されたセンサを利用して捕捉することが予定されている。その際言うまでもなく、本発明によれば、特にブリッジ回路を用いて互いに接続されている、および/またはそれらの信号が好適には増幅される、複数の、特にひずみゲージとして構成されるセンサを使用することもできる。
【0055】
それ以外にも本発明の思想の好ましい一形態においては、コンベヤベルトに起因する、保持デバイスの表面および/もしくは内部に、またはセッティングデバイスの表面および/もしくは内部に発生する振動を捕捉することが予定されている。これらの振動は特に、このおよび/またはこれらのセンサにより算定されてもよい。
【0056】
ほかにも、もう一つの好ましい実施形態において、センサの測定信号、および/またはセンサの測定結果に基づいて決定された評価結果を、コントロール装置に向けて有線および/または無線方式で伝送することが予定されてもよい。
【0057】
特にコントロール装置の内部では、センサの測定信号の処理が行われてもよい。これらの測定データに依拠して、例えばばら物の品質、および/またはセッティングデバイスの予荷重力、および/またはコンベヤベルトの出力損失、および/またはコンベヤベルトの膨張を捕捉することができる。また、限界値との突き合わせが実行されてもよく、その結果、コンベヤベルトに生じているかもしれない不具合を適時に捕捉することができる。
【0058】
その代わりに、またはそれに追加して、不具合が認識された場合には、その不具合の位置を算定することも予定されてもよい。この位置の算定は、好ましくは本発明によれば、コンベヤベルトのスタート位置を信号により設定し、不具合からこのスタート位置までの距離を、コントロール装置により、不具合の測定値からスタート位置の測定値までの時間間隔にベルト速度を乗じることにより計算できるようにすることで、うまくいく。このため本発明によれば、(特に長さ数キロメートルに及ぶ)コンベヤベルトにおける、工数のかかる不具合探しを回避可能とすることを、実現することができる。
【0059】
それに加えて、センサの測定信号に基づいて、コントロール装置により不具合の程度についても見積もることができることで、非常報知および/または警告および/またはコンベヤベルトシステムの即時停止を出すかまたは送信することができる。
【0060】
ばら物の品質は、特にセンサにより捕捉された測定データを手掛かりとして、特に力伝達デバイスから離れたところにあるばら物の品質について逆推論を引き出すことができるように、算定されてもよい。それにより特に、ばら物が例えば濡れているのか、乾いているのか、べたついているのか、またはその類が算定されてもよい。
【0061】
もう一つの好ましい実施形態においては、力伝達デバイスがコンベヤベルトとの接触状態に移動された後に、監視装置のセンサの測定信号の最大値から複数の限界値が決定されることが予定されており、その際、これらの限界値が決定された後に、これらの限界値の内いずれか一つを上回る場合に、警報が出力される。したがって本発明によれば、それぞれのコンベヤベルトシステムに対して個別に適合化された限界値の決定を行うことが可能であり、これらを監視のために、特に不具合を適時に判定するために利用できる。限界値は特に、コンベヤベルトシステム内に導入されているコンベヤベルトに対して適合化されたものとなっている。
【0062】
センサの測定信号の最大値は、測定結果の絶対数に、正または負の記号を前置して有していても、正または負の測定信号であってもかまわない。
【0063】
その代わりに、またはそれに追加して、センサの測定信号の平均値を不具合検出に利用することもできる。
【0064】
特に、確定されなければならない限界値を決定する工程を経て、監視方法および/または監視装置のコンフィギュレーションを行うことが可能になる。これに関する評価および/またはキャリブレーションは、好適にはコントロール装置により実行されてもよい。
【0065】
それに加えて、明確に指摘すると、前述したおよび後述するあらゆるインタバル(Intervalle)には、そこに包含される全ての中間インタバル(Zwischenintervalle)と、また個別の値とが包含されており、これらの中間インタバルおよび個別の値は、たとえこれらの中間インタバルまたは個別の値が一つ一つ具体的には提示されていないとしても、本発明にとり本質的なものであると看做すことができる。
【0066】
本発明のさらなる特徴、長所および適用可能性は、図面を手掛かりにした以下の実施例の説明からも、また図面そのものからも明らかにされる。その際説明するおよび/または図面に描かれるあらゆる特徴は、それ自体が、または任意の組み合わせにおいて、特許請求の範囲またはその帰属関係においてそれらがどのように要約されているかに関係なく、本発明の対象を成す。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】コンベヤベルトシステムの排出端部の概略的な斜視図であり、本発明の監視装置の第1の実施形態の図である。
【
図2】コンベヤベルトシステムの排出端部の概略的な側面図であり、本発明の監視装置の第2の実施形態の図である。
【
図3a】第1の状態にあるときの
図1からのコンベヤベルトシステムを上から見た概略図である。
【
図3b】第2の状態にあるときの
図3aに描かれているコンベヤベルトシステムの概略図である。
【
図4】本発明の監視装置の保持デバイスの、第1のセンサ配列が備えられた保持部の概略的な透視図である。
【
図5】本発明の監視装置の保持デバイスの、第2のセンサ配列が備えられた保持部の概略的な透視図である。
【
図6】本発明の監視装置の保持デバイスの、第3のセンサ配列が備えられた保持部の概略的な透視図である。
【
図7】本発明の配線されてブリッジ回路を形成しているセンサの概略図である。
【
図8】本発明の監視装置のもう一つの実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1には、コンベヤベルト2を有するコンベヤベルトシステム1が概略的に示され、そこにはコンベヤベルト2の状態を監視するための本発明の監視装置3の第1の実施形態が配備されている。
【0069】
図示の好ましい実施形態においては、監視装置3が、測定データを例えばコントロール装置および/または処理装置4に向けて伝送するように構成されている。
【0070】
監視装置3は、保持デバイス5と、この保持デバイス5に装着された少なくとも一つの力伝達デバイス6、ここでは三つの力伝達デバイス6とを有している。ほかにも監視装置3には、力伝達デバイス6の表面をコンベヤベルト2との接触状態に移動可能であるように保持デバイス5に接続されている、セッティングデバイス7が含まれる。
【0071】
コンベヤベルト2の状態を監視するために、少なくとも一つのセンサ8が、保持デバイス5の表面および/または内部に配設されている。このセンサ8を利用して、保持デバイス5の、例えば膨張、収縮、および/または変形を理由として引き起こされる、機械的な応力テンソルの変化を少なくとも間接的に検出可能である。
【0072】
図示されないが、その代替となるもう一つの好ましい実施形態においては、コンベヤベルト2の状態を監視するために、少なくとも一つのセンサ8が、セッティングデバイス7の表面および/または内部に配設されていることを予定しており、その際このセンサ8を利用して、セッティングデバイス7の機械的な応力テンソルの変化を少なくとも間接的に検出できる。
【0073】
機械的な応力テンソルの変化を捕捉するために、同一基準点におけるか、または同一配設箇所におけるセンサ8の測定データが比較されてもよい。
【0074】
センサ8により捕捉された測定データは、例えばコントロール装置4などの外部デバイスに向けて伝送されてもよい。
【0075】
図1には、搬送物9用のコンベヤベルトシステム1の搬送方向で前側の端部が、概略図で、示される。この搬送物9は、ばら物とも呼ぶことができる。コンベヤベルト2は、上側の搬送側部分10とその下側に位置するリターン側部分11(下側ベルト部分)とを有している。コンベヤベルト2は、エンドレスに周回するようにコンベヤベルトシステム1内に配設されている。コンベヤベルト2は、搬送側部分10からリターン側部分11への移行領域内でリターンプーリ12にかけ渡されて転向する。
【0076】
コンベヤベルト2には、コンベヤベルト2を駆動するように設えられた、より詳細には図示されない駆動部が接続されている。
【0077】
図1においてはコンベヤベルト2上に、詳細にはその搬送側部分10の上に、その上に位置する搬送物9が概略的に示唆されている。例えば、搬送物9として、砂、砂利、石炭、鉱石またはその類のようなばら物が搬送されてもよい。
【0078】
図1に描かれているように、力伝達デバイス6は、搬送方向で前側に位置している搬送側部分10からリターン側部分への移行領域内で、コンベヤベルト2に力を加える。
【0079】
図2には、コンベヤベルトシステム1の排出端部の概略的な側面図と、本発明の監視装置3の第2の実施形態とが示される。この第2の実施形態においては、監視装置3が上記で解説した保持デバイス5に追加して、もう一つの保持デバイス5’を備えており、これに少なくとももう一つの力伝達デバイス6’が、ここではさらに三つの力伝達デバイス6’が装着されている。このケースにおいては監視装置3に、これらのさらなる力伝達デバイス6’の表面をコンベヤベルト2との接触状態に移動可能であるようにもう一つの保持デバイス5’に接続されている、もう一つの(
図2には描かれていない)セッティングデバイスが含まれる。もう一つの保持デバイス5’は、ここでは
図2に描かれている保持デバイス5の搬送方向で下流側に配設されている。
【0080】
図示の好ましい実施形態においては、保持デバイス5が、力伝達デバイス6に直接配設された少なくとも一つの正面領域14と、この正面領域14とは反対側に位置する背面領域15と、正面領域14と背面領域15とを接続している二つの側面領域16とを有する、中央部に配設された保持部13を備えている。
図1の実施例においては、センサ8が正面領域14に配設されている。センサ8は、ここでは保持デバイス5だけに装着されている。
【0081】
より詳細には図示されないが、これらの力伝達デバイス6の内の少なくとも一つがコンベヤベルト2との接触状態にあるときには、このセンサ8を利用して、コンベヤベルト2に起因する、保持デバイス5に発生する負荷を捕捉可能である。
【0082】
図3aに概略的に描かれているように、力伝達デバイス6がコンベヤベルト2との接触状態にあるときに、コンベヤベルト2の状態はセンサ8を用いて監視される。
図3bと比べると、保持デバイス5に一種の変形のような変化を生じていることが分かる。
図3bに描かれている状態においては、力伝達デバイス6は最早コンベヤベルト2に対する直接接触状態にはない。この状態は、例えばコンベヤベルト2に不具合を生じているかもしれない場合に引き起こされることがある。保持デバイス5の変化は、センサ8により捕捉されてもよい。
【0083】
したがって
図3bに概略的に示されるように、センサ8は、コンベヤベルト2から保持デバイス5に加えられる曲げモーメントおよび/またはコンベヤベルト2に起因する保持デバイス5の変形を捕捉するように構成されている。図示されないが、センサ8は、セッティングデバイス7に配設される場合にも、これと同じ仕様としてもよい。
【0084】
図4~
図6には、本発明の監視装置3の保持デバイス5の保持部13の透視図が概略的に示されるが、詳細にはこれらはセンサ8の配設方式を異にしている。
図4~
図6に描かれている実施例においては、センサ8としてひずみゲージが備えられていることが概略的に描かれている。これらのセンサ8は、ひずみゲージを含むものであっても、またはひずみゲージとして構成されたものであってもかまわない。
【0085】
図4~
図6に描かれている保持デバイス5の部分は特に、そこには図示されない力伝達デバイス6に対して直接接触するように配設された保持部13であってもよい。
【0086】
図4~
図6に描かれている好ましい実施形態においては、保持部13が、力伝達デバイス6に直接配設された少なくとも一つの正面領域14と、この正面領域14とは反対側に位置する背面領域15と、正面領域14と背面領域15とを接続している二つの側面領域16とを備えている。コンベヤベルトシステム1が積載状態にあるときには、力伝達デバイス5から保持デバイス5にかかる荷重が正面領域14の表面に、導入される。
【0087】
保持部13はここでは、断面で見て、円形の基本形状を備えている。
【0088】
図4に描かれている実施例においては、保持部13の正面領域14上に二つのセンサ8が配設されおり、その際これらのセンサ8の最大長さが保持デバイス5の縦軸Xの向きに延びている。それに追加して保持部13の背面領域15上にもさらに二つのセンサ8が配設されており、その際そこでもこれらのセンサ8の最大長さが保持デバイス5の縦軸Xの向きに延びている。
【0089】
図5に描かれている実施例においては、保持部の正面領域14上の中央部以外のところに(両側の端部領域のところに)センサ8が二つずつ配設されており、その際各センサ8の最大長さが保持デバイス5の縦軸Xの向きに対して45°±10°の角度で延びている。それに追加して保持部13の背面領域15上の中央部以外のところに端部領域ごとにさらに二つのセンサ8が配設されており、その際そこでも各センサ8の最大長さが保持デバイス5の縦軸Xの向きに対して45°±10°の角度で延びている。
【0090】
図6に描かれている実施例においては、保持部13の側面領域16上に四つのセンサ8が中央部以外のところに配設されている。各センサ8の最大長さは、保持デバイス5の縦軸Xの向きに対して45°±10°の角度で延びている。
【0091】
図4~
図6に描かれているセンサ8は、互いに結合されている、および/または同一の構造に構成されていることができる。また
図4~
図6に描かれているセンサ8が、少なくとも一つのブリッジ回路を介して互いに結合または接続されていることが予定されてもよい。
【0092】
図示されないが、センサ8は、コンベヤベルト2に起因する、保持デバイス5の表面および/もしくは内部に、またはセッティングデバイス7の表面および/もしくは内部に発生する振動を捕捉するように構成されていてもよい。
【0093】
図7には、ブリッジ回路を利用して結合されている複数のセンサ8が備えられていることが概略的に描かれている。これらの複数のセンサ8は、特にひずみゲージとして構成されていてもよい。
【0094】
図8には、センサ8の測定結果を伝送するために監視装置3に伝送デバイス17が備えられていることが概略的に示される。この伝送デバイス17は、センサ8の測定信号および/またはセンサ8のこれらの測定信号に基づいて評価デバイス18により決定された評価結果を有線および/または無線方式でコントロール装置4に向けて伝送するように構成されている。
【0095】
図8にはほかにも評価デバイス18が概略的に示される。評価デバイス18は、保持デバイス5の表面および/もしくは保持デバイス5の内部に、または保持デバイス5の外部に配設されていてもよい。その上、評価デバイス18はセンサ8に結合されていてもよく、センサ8から捕捉した測定信号を受信してもよい。
【0096】
コンベヤベルトシステム1のコンベヤベルト2の状態を監視するための方法は、より詳細には図示されていない。この方法には、上記で説明した実施形態の内、少なくともいずれか一つに基づいた監視装置3を準備する工程が含まれる。力伝達デバイス6がコンベヤベルト2との接触状態にあるときには、この監視装置3を用いて、コンベヤベルト2に起因する、保持デバイス5に、またはセッティングデバイス7に発生する、保持デバイス5またはセッティングデバイス7の機械的な応力テンソルの変化が捕捉される。
【0097】
この方法においては、保持デバイス5またはセッティングデバイス7が、コンベヤベルト2に加えられる曲げモーメント、および/またはコンベヤベルト2に起因する保持デバイス5もしくはセッティングデバイス7の変形を捕捉することが予定されてもよい。これについて概略的に描かれている、保持デバイス5またはセッティングデバイス7の変形が、
図3bに示されている。この変形は特に、ひずみゲージとして構成されたセンサ8を利用して捕捉されてもよい。
【0098】
より詳細には図示されないが、この方法においては、コンベヤベルト2に起因する、および/または、保持デバイス5の表面および/もしくは内部に、または、セッティングデバイス7の表面および/もしくは内部に発生する振動が捕捉されてもよい。
【0099】
図8に示されるように、センサ8の測定信号もしくは測定結果、および/または、センサ8のこれらの測定信号に基づいて決定された評価結果は、コントロール装置4に向けて有線および/または無線方式で伝送される。
【0100】
同様により詳細には図示されないが、この方法においては、力伝達デバイス6がコンベヤベルト2との接触状態に移動された後に、監視装置3のセンサ8の測定信号の最大値から複数の限界値が決定される。
【0101】
これは、監視装置3のキャリブレーションのために利用可能であり、特にアラームまたは警報の作動を必要とするような機械的な応力テンソルの変化が少なくとも間接的に表される。複数の限界値が決定された後に限界値の内のいずれか一つを上回る場合に警報が出力されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 コンベヤベルトシステム
2 コンベヤベルト
3 監視装置
4 コントロール装置
5、5’ 保持デバイス
6、6’ 力伝達デバイス
7 セッティングデバイス
8 センサ
9 搬送物
10 搬送側ベルト部分
11 リターン側部分
12 リターンプーリ
13 5、5’の保持部
14 正面領域
15 背面領域
16 側壁
17 伝送デバイス
18 評価デバイス
X 5、5’の縦軸
【外国語明細書】