(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162766
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】埋設物防護シート
(51)【国際特許分類】
E01C 23/09 20060101AFI20221018BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
E01C23/09 Z
F16L57/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067749
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】592112558
【氏名又は名称】日本安全産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144886
【弁理士】
【氏名又は名称】大坪 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】杉江 荘平
【テーマコード(参考)】
2D053
【Fターム(参考)】
2D053AA26
2D053AA41
2D053AD03
2D053DA01
(57)【要約】
【課題】優れた防護特性を有する埋設物防護シートを提供すること。
【解決手段】埋設物防護シート1は、可撓性を有する長尺な金属ワイヤー20と、金属ワイヤー20をまとめた状態で収容した収容部S1、S2と、を有する。また、金属ワイヤー20は、ステンレスワイヤーであることが好ましい。また、金属ワイヤー20は、複数の素線201を縒り合わせた構成である。また、金属ワイヤー20は、輪っか状にまとめられた状態で収容部S1、S2に収容されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する長尺な金属ワイヤーと、
前記金属ワイヤーをまとめた状態で収容した収容部と、を有することを特徴とする埋設物防護シート。
【請求項2】
前記金属ワイヤーは、ステンレスワイヤーである請求項1に記載の埋設物防護シート。
【請求項3】
前記金属ワイヤーは、複数の素線を縒り合わせた構成である請求項1または2に記載の埋設物防護シート。
【請求項4】
前記金属ワイヤーは、輪っか状にまとめられた状態で前記収容部に収容されている請求項1から3のいずれか1項に記載の埋設物防護シート。
【請求項5】
前記金属ワイヤーは、自然状態において輪っか状に形状付けされている請求項1から4のいずれか1項に記載の埋設物防護シート。
【請求項6】
前記金属ワイヤーの外径は、4mm以下である請求項1から5のいずれか1項に記載の埋設物防護シート。
【請求項7】
前記金属ワイヤーの長さは、1m以上である請求項1から6のいずれか1項に記載の埋設物防護シート。
【請求項8】
前記金属ワイヤーは、束ねられていない請求項1から7のいずれか1項に記載の埋設物防護シート。
【請求項9】
前記収容部は、可撓性を有する請求項1から8のいずれか1項に記載の埋設物防護シート。
【請求項10】
複数の前記収容部を有する第1シート材と、
前記第1シート材と重なって配置され、少なくとも1つの前記収容部を有する第2シート材と、を備え、
前記第2シート材が備える少なくとも1つの前記収容部は、前記第1シート材が備え、隣り合って配置されている一対の前記収容部の境界部と重なっている請求項1から9のいずれか1項に記載の埋設物防護シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋設物防護シートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、カッターを用いて道路表層部を切断する作業において発生する埋設物損傷事故の防止を目的に、地中に埋設された埋設物の直上に配置し、埋設物を防護するための埋設物防護板が記載されている。特許文献1の埋設物防護板は、上板と、下板と、上板と下板との間に配置された繊維材とを有する。この構成によれば、カッターのブレードによって埋設物防護板が破壊されると、内部の繊維材がブレードに巻きつき、それによって生じる負荷によってブレードの回転を停止させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の埋設物防護板では、繊維材の材料や構成によっては十分な強度を得ることができずブレードにより切断され、ブレードの回転を停止させる機能を十分に発揮できないおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、優れた防護特性を有する埋設物防護シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
【0007】
(1) 可撓性を有する長尺な金属ワイヤーと、
前記金属ワイヤーをまとめた状態で収容した収容部と、を有することを特徴とする埋設物防護シート。
【0008】
(2) 前記金属ワイヤーは、ステンレスワイヤーである上記(1)に記載の埋設物防護シート。
【0009】
(3) 前記金属ワイヤーは、複数の素線を縒り合わせた構成である上記(1)または(2)に記載の埋設物防護シート。
【0010】
(4) 前記金属ワイヤーは、輪っか状にまとめられた状態で前記収容部に収容されている上記(1)から(3)のいずれかに記載の埋設物防護シート。
【0011】
(5) 前記金属ワイヤーは、自然状態において輪っか状に形状付けされている上記(1)から(4)のいずれかに記載の埋設物防護シート。
【0012】
(6) 前記金属ワイヤーの外径は、4mm以下である上記(1)から(5)のいずれかに記載の埋設物防護シート。
【0013】
(7) 前記金属ワイヤーの長さは、1m以上である上記(1)から(6)のいずれかに記載の埋設物防護シート。
【0014】
(8) 前記金属ワイヤーは、束ねられていない上記(1)から(7)のいずれかに記載の埋設物防護シート。
【0015】
(9) 前記収容部は、可撓性を有する上記(1)から(8)のいずれかに記載の埋設物防護シート。
【0016】
(10) 複数の前記収容部を有する第1シート材と、
前記第1シート材と重なって配置され、少なくとも1つの前記収容部を有する第2シート材と、を備え、
前記第2シート材が備える少なくとも1つの前記収容部は、前記第1シート材が備え、隣り合って配置されている一対の前記収容部の境界部と重なっている上記(1)から(9)のいずれかに記載の埋設物防護シート。
【発明の効果】
【0017】
このような本発明によれば、ブレードに巻き付くワイヤーを金属ワイヤーとしているため高い強度を発揮することができる。そのため、ブレードによるワイヤーの切断が抑制され、ブレードの回転をより確実に停止させることができる。そのため、優れた防護特性を有する埋設物防護シートが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】好適な実施形態に係る埋設物防護シートの使用状態を示す断面図である。
【
図5】埋設物防護シートに収容された金属ワイヤーを示す断面斜視図である。
【
図6】埋設物防護シートの使用状態を示す断面図である。
【
図7】埋設物防護シートの機能を説明するための断面図である。
【
図8】埋設物防護シートに収容された金属ワイヤーを示す斜視図である。
【
図10】金属ワイヤーの変形例を示す斜視図である。
【
図11】埋設物防護シートの変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の埋設物防護シートを添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1に示す埋設物防護シート1は、カッター100を用いて道路1000の表層部にあるアスファルト層1100を切断する作業において発生する埋設物9の損傷事故の防止を目的に、地中に埋設された埋設物9の上側に配置し、カッター100から埋設物9を防護するものである。
【0021】
埋設物9としては、地中に埋設されているものであれば、特に限定されず、例えば、管路内に挿通した状態で浅層埋設された電力ケーブルや通信ケーブル、水道管、ガス管等が挙げられる。浅層埋設とは、地中のスペースが狭隘状態にあること、作業者の作業負担低減、工事コストの削減等に鑑みて、道路管理者の許可のもと、埋設物9を規定の埋設深さよりも浅い位置に埋設する埋設法を言う。埋設物9の埋設深さは、道路管理者毎に独自に規定されているが、概ね、従来の埋設深さが1200mm以上であるところ、浅層埋設の埋設深さは600mm以上となっている。なお、以下では説明の便宜上、埋設物9を管路91内に挿通した状態で浅層埋設された電力ケーブル92として説明する。
【0022】
図2に示すように、埋設物防護シート1は、長手形状をなす。埋設物防護シート1の長さL
0としては、特に限定されないが、例えば、60cm以上、100cm以下であることが好ましい。これにより、埋設物防護シート1が適度な長さとなる。そのため、運搬時に嵩張り難く、また、地中への埋設作業時に高いハンドリング性を有する埋設物防護シート1となる。また、埋設物防護シート1の幅W
0としては、特に限定されないが、例えば、管路91の外形よりも大きいことが好ましい。これにより、鉛直方向上側から見て、埋設物防護シート1の両側からの埋設物9のはみ出しを防ぐことができる。そのため、カッター100による埋設物9の損傷事故をより確実に防ぐことができる。ただし、これに限定されず、幅W
0が管路91の外形よりも小さくてもよい。この場合には、複数の埋設物防護シート1を幅方向に並べて、全体として管路91の外形よりも大きな幅とすればよい。
【0023】
また、
図3に示すように、埋設物防護シート1は、長尺な金属ワイヤー2が収容された複数の収容部S1を有する第1シート材4と、長尺な金属ワイヤー2が収容された複数の収容部S2を有する第2シート材5とを有し、第1シート材4と第2シート材5とを厚さ方向に重ね合わせて溶着した構成となっている。地中に埋設された埋設物防護シート1がカッター100のブレード110によって切断されると、切断箇所に位置する収容部S1、S2内の金属ワイヤー2がブレード110に巻きつくと共に、地中(特に、ブレード110により形成されたアスファルト層1100の切れ目1110)に引っ掛かる。そのため、金属ワイヤー2が地中とブレード110との間で突っ張り、ブレード110に負荷がかかってブレード110の回転を止めることができる。
【0024】
第1シート材4および第2シート材5は、それぞれ、柔軟で可撓性を有する素材で構成され、埋設物防護シート1全体としても柔軟で可撓性を有する。そのため、例えば、搬送時の配置スペースに応じて変形させることができ、運搬時に嵩張り難い埋設物防護シート1となる。また、軽量化を図ることも容易であるため、地中への埋設作業時に作業員に加わる労力を低減することができ、高いハンドリング性を有する埋設物防護シート1ともなる。
【0025】
なお、防護する埋設物9を作業者に報知するために、埋設物9に関する情報を埋設物防護シート1の少なくとも片面、好ましくは両面に記載することが好ましい。例えば、防護する埋設物9が電力ケーブルであれば「電力ケーブル注意」と記載し、防護する埋設物9が通信ケーブルであれば「通信ケーブル注意」と記載し、防護する埋設物9が水道管であれば「水道管注意」と記載し、防護する埋設物9がガス管であれば「ガス管注意」と記載する。このような方法によれば、埋設物防護シート1の直下に埋設された埋設物9に関する情報を作業者に簡単に報知することができる。
【0026】
また、防護する埋設物9の種類に応じて、異なる色の埋設物防護シート1を用いてもよい。例えば、防護する埋設物9が電力ケーブルであればオレンジ色の埋設物防護シート1を用い、防護する埋設物9が通信ケーブルであれば赤色の埋設物防護シート1を用い、防護する埋設物9が水道管であれば青色の埋設物防護シート1を用い、防護する埋設物9がガス管であれば緑色の埋設物防護シート1を用いる。このような方法によっても、埋設物防護シート1の直下に埋設された埋設物9に関する情報を作業者に簡単に報知することができる。
【0027】
以下、埋設物防護シート1を構成する各部について順番に説明する。
【0028】
<第1シート材4>
図3に示すように、第1シート材4は、可撓性を有する柔軟なシート部材41、42を準備し、これらシート部材41、42を重ね合わせて、ハッチング部分Q1において梯子状に溶着することにより形成されている。そのため、第1シート材4にはマチが形成されず、その分、第1シート材4の薄型化を図ることができる。また、シート部材41、42を梯子状に溶着することにより、第1シート材4には、その長手方向に規則的に並んだ複数の収容部S1が形成されている。そして、各収容部S1には、それぞれ、1本の金属ワイヤー2が収容されている。このように、第1シート材4に複数の収容部S1を設け、これら各収容部S1に金属ワイヤー2を収容することにより、第1シート材4内での金属ワイヤー2の偏りを防止することができる。
【0029】
図示の構成では、収容部S1の数は、5つである。各収容部S1のサイズとしては、特に限定されない。例えば、長さLS1が100mm以上、160mm以下で、幅WS1が130mm以上、180mm以下であることが好ましい。また、長さLS1が120mm以上、140mm以下で、幅WS1が150mm以上、170mm以下であることがより好ましい。このようなサイズとすることにより、前述した機能を発揮するのに適度な長さおよび外径を有する金属ワイヤー2を収容するのに適したサイズの収容部S1となる。なお、収容部S1に収容する金属ワイヤー2の構成については、後に詳述する。
【0030】
また、第1シート材4は、耐薬品性、無腐蝕性および長期無退色性を有する。これにより、第1シート材4の経年劣化を防止することができる。また、第1シート材4は、防水性を有する。そのため、第1シート材4の外部から収容部S1内への水分の侵入が遮断される。したがって、例えば、水分や湿気に起因する金属ワイヤー2の劣化、変性、変質等を抑制することができる。さらには、金属ワイヤー2が湿ることによる金属ワイヤー2の表面物性の悪化、特に摩擦抵抗の低下を抑制することもできる。なお、防水性を有する第1シート材4とするために、本実施形態では、シート部材41、42が、それぞれ、防水性のシートで構成されている。防水性シートとしては、特に限定されないが、例えば、帆布にタールを塗って防水性を持たせたターポリンを好適に用いることができる。
【0031】
ただし、第1シート材4の構成は、その機能を発揮することができる限り、特に限定されない。例えば、シート部材41、42を溶着以外の方法、例えば、接着剤で接着してもよい。また、1枚のシート部材を折り曲げて、重ね合わせた部分同士を溶着することにより第1シート材4を形成してもよい。また、シート部材41、42の間にマチ部材を介在させて、マチを有する第1シート材4としてもよい。
【0032】
また、第1シート材4は、防水性に加えて、さらに、透湿性を有していてもよい。これにより、第1シート材4の外部から収容部S1内への水分の侵入が遮断され、反対に、収容部S1内から外部への湿気の排出が許容される。したがって、各収容部S1内の湿度の過度な上昇をより効果的に抑えることができる。この場合、シート部材41、42を共に防水透湿性シートとするか、一方を防水透湿性シートとし、他方を透湿性のない防水シートとすればよい。
【0033】
また、第1シート材4は、防水性を有さなくてもよい。また、例えば、シート部材41、42の少なくとも一方がメッシュ状(網状)の生地で形成される等、収容部S1の内外を接続する開口が形成されていてもよい。また、収容部S1の数は、4以下であってもよいし、6以上であってもよい。また、例えば、シート部材41、42を、例えば、樹脂材料、金属材料、セラミック材料等の硬質な材料で構成し、可撓性を有さない第1シート材4としてもよい。
【0034】
<第2シート材5>
第2シート材5は、第1シート材4と同様の構成である。
図3に示すように、第2シート材5は、可撓性を有する柔軟なシート部材51、52を準備し、これらシート部材51、52を重ね合わせてハッチング部分Q2において梯子状に溶着することにより形成されている。また、第2シート材5には、長手方向に規則的に並んだ複数の収容部S2が形成されている。そして、各収容部S2には、それぞれ、1本の金属ワイヤー2が収容されている。
【0035】
なお、図示の構成では、収容部S2の数は、収容部S1の数よりも1つ少ない4つである。各収容部S2のサイズとしては、特に限定されないが、長さLS2が100mm以上、160mm以下で、幅WS2が130mm以上、180mm以下であることが好ましい。また、長さLS2が120mm以上、140mm以下で、幅WS2が150mm以上、170mm以下であることがより好ましい。このようなサイズとすることにより、前述した機能を発揮するのに適度な長さおよび外径を有する金属ワイヤー2を収容するのに適したサイズの収容部S2となる。収容部S2に収容する金属ワイヤー2の構成については、後に詳述する。
【0036】
特に、本実施形態では、収容部S2の寸法(長さLs2×幅Ws2)は、収容部S1の寸法(長さLs1×幅Ws1)と同じである。前記「同じ」とは、両者が一致する場合の他、製造上の誤差等、実質的に同一とみなせる程度の誤差を有する場合を含む意味である。収容部S1、S2のサイズが同じであるため、第2シート材5の長さL2は、第1シート材4の長さL1よりも、約収容部1つ分短い。
【0037】
また、第2シート材5は、耐薬品性、無腐蝕性および長期無退色性を有する。これにより、第2シート材5の経年劣化を防止することができる。また、第2シート材5は、防水性を有する。そのため、第2シート材5の外部から収容部S2内への水分の侵入が遮断される。したがって、例えば、水分や湿気に起因する金属ワイヤー2の劣化、変性、変質等を抑制することができる。さらには、金属ワイヤー2が湿ることによる金属ワイヤー2の表面物性の悪化、特に摩擦抵抗の低下を抑制することもできる。なお、防水性を有する第2シート材5とするために、本実施形態では、シート部材41、42が、それぞれ、防水性のシートで構成されている。防水性シートとしては、特に限定されないが、例えば、シート部材41、42と同様のものを用いることができる。
【0038】
ただし、第2シート材5の構成は、その機能を発揮することができる限り、特に限定されない。例えば、シート部材51、52を溶着以外の方法、例えば、接着剤で接着してもよい。また、1枚のシート部材を折り曲げて、重ね合わせた部分同士を溶着することにより第2シート材5を形成してもよい。また、シート部材51、52の間にマチ部材を介在させて、マチを有する第2シート材5としてもよい。
【0039】
また、第2シート材5は、防水性に加えて、さらに、透湿性を有していてもよい。これにより、第2シート材5の外部から収容部S2内への水分の侵入が遮断され、反対に、収容部S2内から外部への湿気の排出が許容される。したがって、各収容部S2内の湿度の過度な上昇をより効果的に抑えることができる。この場合、シート部材51、52を共に防水透湿性シートとするか、一方を防水透湿性シートとし、他方を透湿性のない防水シートとすればよい。
【0040】
また、第2シート材5は、防水性を有さなくてもよい。また、例えば、シート部材51、52の少なくとも一方がメッシュ状の生地で形成される等、収容部S2の内外を接続する開口が形成されていてもよい。また、収容部S2の数は、3以下であってもよいし、5以上であってもよい。また、収容部S2の数は、収容部S1と同じ数であってもよい。また、例えば、シート部材51、52を、例えば、樹脂材料、金属材料、セラミック材料等の硬質な材料で構成し、可撓性を有さない第2シート材5としてもよい。
【0041】
図3に示すように、このような第2シート材5は、第1シート材4の上側に重なって配置され、埋設物防護シート1の幅方向の両側に位置し、長手方向に延びたハッチング部分Q3、つまり、収容部S1、S2のいずれとも重ならない部分において第1シート材4と溶着されている。ハッチング部分Q3において第1シート材4と第2シート材5とを溶着することにより、溶着時に金属ワイヤー2が邪魔にならず、第1シート材4と第2シート材5とを容易に溶着することができる。また、当該溶着によって収容部S1、S2に金属ワイヤー2が固着したり、金属ワイヤー2が熱ダメージを受けたりすることを防ぐこともできる。ただし、第1シート材4と第2シート材5との溶着箇所は、これに限定されない。
【0042】
また、
図2および
図3に示すように、第1シート材4と第2シート材5とは、互いの中心同士が一致するように重ね合わされている。そのため、第1シート材4の両端部は、第2シート材5と重なっておらず、第2シート材5からはみ出している。また、
図4に示すように、埋設物防護シート1の厚さ方向からの平面視で、各収容部S2は、収容部S1に対して埋設物防護シート1の長手方向に半ピッチずれて配置されている。そのため、収容部S2は、隣り合う一対の収容部S1の境界部Q4、つまり、隣り合う一対の収容部S1の間にある溶着部と重なっている。このように、境界部Q4に収容部S2を重ねることにより、埋設物防護シート1の長手方向のどの部分がカッター100によって切断されたとしても、収容部S1、S2の少なくとも一方が破け、そこに収容された金属ワイヤー2をブレード110に絡ませることができる。そのため、より確実に、埋設物9を防護することができる。
【0043】
<金属ワイヤー2>
図3および
図4に示すように、金属ワイヤー2は、各収容部S1、S2に1本ずつ収容されている。ただし、各収容部S1、S2に収容される金属ワイヤー2の数は、特に限定されず、2本以上であってもよい。各収容部S1、S2に収容された金属ワイヤー2は、互いに同様の構成であるため、以下では、説明の便宜上、1つの金属ワイヤー2について代表して説明し、他の金属ワイヤー2については、その説明を省略する。
【0044】
図5に示すように、金属ワイヤー2は、金属で構成されている。これにより、高い強度を有し、かつ、伸び難いワイヤーとなる。そのため、ブレード110に巻きついたときの金属ワイヤー2の伸びや切断を効果的に抑制することができ、ブレード110をより確実に停止させることが可能となる。金属ワイヤー2の構成材料としては、金属材料あれば特に限定されず、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス鋼等を用いることができる。これらの中でもSUS304等のステンレス鋼であることが好ましい。つまり、金属ワイヤー2は、ステンレスワイヤーであることが好ましい。これにより、耐錆性に優れ、十分な強度を持ち、さらには比較的安価な金属ワイヤー2となる。
【0045】
また、金属ワイヤー2は、複数の素線201を縒り合わせた構成となっている。具体的には、複数の素線201を縒り合わせたワイヤー202をさらに複数本縒り合わせた構成となっている。これにより、金属ワイヤー2の強度をより高めることができる。また、金属ワイヤー2がほつれることによりブレード110に複雑に絡み合う。また、金属ワイヤー2に凹凸が形成され、表面の摩擦抵抗を高めることができる。したがって、金属ワイヤー2がブレード110に巻きつき易くなると共に、巻きついた後のスリップ(摺動)を抑制することができる。また、金属ワイヤー2同士も絡まり易くなり、絡まった部分がアスファルト層1100の切れ目1110に引っ掛かり易くなる。そのため、ブレード110をより確実に停止させることが可能となる。ただし、金属ワイヤー2の構成は、これに限定されず、例えば、1本の素線201で構成されていてもよいし、1本のワイヤー202で構成されていてもよい。
【0046】
本実施形態では、裸の金属ワイヤー2を用いているが、これに限定されず、金属ワイヤー2は、被覆層により被覆されていてもよい。これにより、耐錆性のない金属ワイヤー2の場合には錆等の腐食から保護することができる。被覆層は、樹脂材料で構成することができる。樹脂材料としては、特に限定されず、例えば、フッ素系、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系の各種樹脂材料が挙げられる。これらの中でも、特に、弾性および靭性に優れ、引張強さが大きく、さらには、耐薬品性および対候性に優れる面でポリウレタン系の樹脂であることが好ましい。また、ポリウレタン系の樹脂を用いることにより、被覆層に粘性および弾性が付与される。そのため、金属ワイヤー2の表面の摩擦抵抗(摩擦係数)を高めることができると共に、金属ワイヤー2の表面が窪み易くなる。したがって、金属ワイヤー2がブレード110に巻きつき易くなると共に、巻きついた後のスリップを抑制することができる。また、金属ワイヤー2同士も絡まり易くなり、絡まった部分がアスファルト層1100の切れ目1110に引っ掛かり易くなる。そのため、ブレード110をより確実に停止させることが可能となる。
【0047】
ここで、一旦、埋設物防護シート1の使用方法について説明する。
図6に示す作業現場の道路1000には、その表層にアスファルト層1100が設けられており、アスファルト層1100の下には、路盤としての砕石層1200が設けられている。これらアスファルト層1100および砕石層1200は、一般的に「舗装」と称される層であり、その下には、道路の土台となる路体1300が存在している。そして、路体1300に埋設物9が浅層埋設されており、埋設物9の上側に位置するようにして、砕石層1200に埋設物防護シート1が埋設されている。
【0048】
ただし、道路1000の構成としては、特に限定されず、例えば、アスファルト層1100と砕石層1200との間に基層が設けられていたり、砕石層1200が上層および下層を含む複数層で構成されていたり、砕石層1200と路体1300との間に路床が設けられていたりしてもよい。また、この場合、埋設物防護シート1は、例えば、基層や路床に配置してもよい。
【0049】
また、埋設物9の延在方向に沿って複数の埋設物防護シート1が並んで配置されている。ここで、隣り合う一対の埋設物防護シート1は、上下逆転して配置されている。つまり、第1シート材4を下側にした埋設物防護シート1Aと、第2シート材5を下側にした埋設物防護シート1Bとが交互に並んで配置されている。また、各埋設物防護シート1Bの両端部は、その両側に位置する埋設物防護シート1Aの端部に対して上側から重なっている。これにより、隣り合う埋設物防護シート1A、1Bの間に隙間を生じさせることなく、かつ、埋設物防護シート1A、1Bを変形(特に、厚さ方向への撓み)が抑えられたより自然な状態で配置することができる。
【0050】
ただし、埋設物防護シート1の並べ方としては、特に限定されず、例えば、全ての埋設物防護シート1は、第1シート材4を上側にして配置されていてもよいし、第2シート材5を上側にして配置されていてもよい。また、埋設物防護シート1Aと埋設物防護シート1Bとが不規則に配置されていてもよい。
【0051】
例えば、アスファルト層1100の張替え、埋設物9の補修、交換等の各種道路工事において、道路1000のアスファルト層1100を剥離する場合、アスファルト層1100を切断する必要があり、その切断には、
図7に示すようなカッター100が用いられる。カッター100は、切断用のブレード110を備えている。また、このブレード110には、周方向に沿って等間隔に設けられ、外周に開口する複数のスリット111が形成されているのが一般的である。スリット111は、例えば、放熱性を高める機能や、ブレード110の根詰まりを抑制する機能を有する。このようなブレード110を回転させながら、カッター100を走行させることにより、アスファルト層1100を切断することができる。
【0052】
ここで、ブレード110の切断範囲内に埋設物9が存在すると、ブレード110で埋設物9を切断してしまい、埋設物9の損傷事故を招くおそれがある。しかしながら、埋設物9の上側には埋設物防護シート1が配置されており、
図7に示すように、ブレード110は、埋設物9と接触するよりも先に埋設物防護シート1と接触する。ブレード110が埋設物防護シート1と接触すると、接触箇所において埋設物防護シート1が切断され、内部に収容されていた金属ワイヤー2がブレード110のスリット111に引っ掛かってブレード110に巻きつく。また、金属ワイヤー2が勢いよくブレード110に巻きつくことにより、巻きついた部分とは異なる箇所において金属ワイヤー2自身が絡まり合って瘤状の塊部22を形成する。この塊部22は、アスファルト層1100の切れ目1110を通過することができず、アスファルト層1100に引っ掛かる。
【0053】
このように、金属ワイヤー2がブレード110に巻きつくと共に、塊部22がアスファルト層1100に引っ掛かることにより、金属ワイヤー2がブレード110とアスファルト層1100との間で突っ張る。これにより、ブレード110に負荷がかかり、ブレード110の回転が停止すると同時に、異音(トルクリミッターの空転音)が発生したり、埋設物防護シート1の動力源(エンジン)がストップしたりする。そのため、作業者は、いち早く異変に気付くことができる。特に、動力源がストップすれば、作業を中断せざるを得ない。したがって、若干の違和感があっても半ば強引に作業を続行するということがなくなるため、カッター100による埋設物9の損傷を確実に防ぐことができる。
【0054】
以上、埋設物防護シート1の使用方法および埋設物保護方法について説明した。ここで、再び金属ワイヤー2の説明に戻る。
【0055】
金属ワイヤー2は、その全長にわたってほぼ均一な外径D(直径)を有する。金属ワイヤー2の外径Dとしては、特に限定されないが、例えば、4mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。ブレード110に形成されている各スリット111の幅W111は、5mm程度であるのが一般的である。そのため、外径Dを幅W111よりも十分に細い4mm以下、より好ましくは3mm以下とすることにより、金属ワイヤー2がスリット111内に侵入してスリット111に引っ掛かり易くなる。そのため、ブレード110に金属ワイヤー2をより確実に巻き付けることができ、ブレード110の回転をより確実に停止させることができる。
【0056】
また、外径Dの下限値としては、金属ワイヤー2の強度を保つことができる限り、特に限定されないが、例えば、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましい。これにより、金属ワイヤー2の過度な細径化を防止でき、ブレード110によってアスファルト層1100に形成された切れ目1110を介して金属ワイヤー2が地上に引き出され難くなる。また、大きな塊部22が形成され易くなり、その分、塊部22がアスファルト層1100に引っ掛かり易くなるし、引っ掛かりの強度も大きくなる。そのため、ブレード110により大きな負荷をかけることができ、ブレード110の回転をより確実に停止させることができる。また、目視され易くなり、作業者に対してブレード110に金属ワイヤー2が巻き付いていることをより確実に報知することができる。そのため、仮に、金属ワイヤー2が巻き付いている状態でブレード110が回転し続けたとしても、作業者は、その異変に容易に気づくことができる。なお、作業者に視認され易くする観点から、金属ワイヤー2の表面を視認され易い色、例えば、蛍光色等に着色してもよい。
【0057】
なお、本実施形態では、金属ワイヤー2の横断面形状が円形であるが、これに限定されず、四角形、三角形、楕円等であってもよい。なお、このように、横断面形状が円形でない場合、前述した外径Dは、最大幅に相当する。
【0058】
また、金属ワイヤー2の長さ(全長)としては、特に限定されないが、1m以上であることが好ましく、2m以上であることがより好ましい。これにより、金属ワイヤー2がブレード110に巻き付くと共に、塊部22を形成するのに十分な長さとなる。そのため、ブレード110の回転をより確実に停止させることができる。一方、金属ワイヤー2の長さ(全長)の上限値としては、特に限定されないが、10m以下であることが好ましく、5m以下であることがより好ましく、3m以下であることがさらに好ましい。これにより、金属ワイヤー2が過度に長くなるのを防ぐことができる。金属ワイヤー2が長くなるほど埋設物防護シート1の厚みが増すため、第1、第2シート材4、5の構成によっては、埋設物防護シート1がクッション材のように機能するおそれが高まる。そのため、ローラー、タンピングランマー、プレートコンパクター等の転圧器によるアスファルト層1100や砕石層1200の転圧作業を阻害するおそれがある。なお、上限値を超えても、ブレード110の回転を停止させる機能については、衰えることなく顕著に発揮される。
【0059】
また、金属ワイヤー2は、
図8に示すように、輪っか状(コイル状)に巻かれた状態で収容部S1、S2に収容されている。輪っか状に巻いた金属ワイヤー2を収容部S1、S2に収容することにより、金属ワイヤー2が収容部S1、S2の縁に沿うように配置され、収容部S1、S2内での金属ワイヤー2の偏りが抑制される。したがって、収容部S1、S2のどの部分が切断されても、金属ワイヤー2をブレード110に絡ませることができる。また、ブレード110のスリット111に絡まり易くなるし、金属ワイヤー2自身も絡まり易くなる。そのため、ブレード110の回転をより確実に停止させることができる。ただし、金属ワイヤー2の状態は、これに限定されない。例えば、本実施形態では、各輪っかの径がほぼ同じとなるように金属ワイヤー2が巻かれているが、例えば、少なくとも1つの輪っかの径が他の輪っかの径と異なっていていてもよい。また、金属ワイヤー2は、乱雑にまとめられた状態で収容部S1、S2に収容されていてもよい。なお、「乱雑にまとめられた状態」とは、金属ワイヤー2を不規則、無作為にまとめた状態を言う。
【0060】
ここで、
図9および
図10に示すように、金属ワイヤー2は、自然状態において輪っか状に形状付けされていてもよい。これにより、前述のような金属ワイヤー2を輪っか状に巻回する行為が不要となるため、金属ワイヤー2を収容部S1、S2に収容し易くなる。また、形状付けされていることにより、金属ワイヤー2がブレードに絡まり易くもなる。なお、
図9および
図10の金属ワイヤー2は、共に、直径数mm程度の比較的太い1本のワイヤーで構成されている。そして、
図9では、螺旋状に巻回されたキーリング型をなし、
図10では、渦巻状に巻回された渦巻型をなしている。
【0061】
また、金属ワイヤー2は、束ねずに収容部S1、S2に収容されている。金属ワイヤー2を束ねないことにより、金属ワイヤー2がブレード110のスリット111に絡まり易くなると共に、金属ワイヤー2自身も絡まり易くなる。そのため、ブレード110の回転をより確実に停止させることができる。ただし、これに限定されず、金属ワイヤー2は、結束部材や自身の一部を用いて束ねられていてもよい。
【0062】
また、金属ワイヤー2は、その全長のどの部分においても収容部S1、S2に固定されていない。金属ワイヤー2を収容部S1、S2に固定しないことにより、金属ワイヤー2がブレード110のスリット111に絡まり易くなると共に、金属ワイヤー2自身も絡まり易くなる。そのため、ブレード110の回転をより確実に停止させることができる。ただし、これに限定されず、金属ワイヤー2は、その一部(例えば、一端部)において、収容部S1、S2に固定されていてもよい。
【0063】
以上、本発明の埋設物防護シートについて、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。
【0064】
また、前述した実施形態では、埋設物防護シート1が第1、第2シート材4、5を重ね合わせた構成となっているが、これに限定されず、例えば、第2シート材5を省略し、第1シート材4だけで構成してもよい。また、第1、第2シート材4、5とは別のシート材をさらに重ね合わせてもよい。また、前述した実施形態では、埋設物防護シート1は、その長手方向に一列に並ぶ収容部S1、S2を有するが、これに限定されず、例えば、
図11に示すように、長手方向に2列に並んで配置された収容部S1、S2を有する構成であってもよいし、3列以上に並んで配置された収容部S1、S2を有する構成であってもよい。
【実施例0065】
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0066】
1.埋設物防護シートの製造
(実施例1)
図3に示すような構成の埋設物防護シートを製造した。表1に示すように、製造した埋設物防護シートでは、第1シートが有する各収容部のサイズを、長さL
S1=130mm、幅W
S1=157mmとし、第2シートが有する各収容部のサイズを、長さL
S2=130mm、幅W
S2=157mmとし、各収容部に収容された金属ワイヤーのサイズを、長さ=2m、外径D=1mmとした。また、金属ワイヤーをSUS304で構成されたステンレスワイヤーとした。このステンレスワイヤーは、複数の素線を縒り合わせた構成である。また、各金属ワイヤーを輪っか状にまとめ、その状態で各収容部に収容した。また、各収容部には1本の金属ワイヤーを収容した。なお、各金属ワイヤーは、束ねておらず、収容部に固定してもいない。また、第1、第2シート材を構成する各シート部材を、防水性を有するターポリンで構成した。
【0067】
(実施例2~7)
金属ワイヤーのサイズを表1に示すように変更したこと以外は、前述した実施例1と同様にして埋設物防護シートを製造した。
【0068】
(実施例8)
金属ワイヤーを乱雑にまとめて収容したこと以外は、前述した実施例6と同様にして埋設物防護シートを製造した。
【0069】
(比較例1)
金属ワイヤーに替えて、アラミド繊維の織物であるアラミド繊維シートを各収容部に収容したこと以外は、前述した実施例1と同様にして埋設物防護シートを製造した。
【0070】
【0071】
2.埋設物防護シートの評価方法
前述した1.で得られた各埋設物防護シートを路体上の砕石層に埋設し、その上からアスファルト層を形成し、実際の道路を再現した。また、カッターのブレードの切断範囲となるように各埋設物防護シートを地上から約200mmの深さに埋設した。そして、実際に、カッターでアスファルト層を切断しながらブレードを道路内の埋設物防護シートに接触させて、ブレードの回転が停止するか否かを評価した。当該測定を各埋設物防護シートについて2回ずつ行い、ブレードの回転が停止するか否かを評価した。その結果を表1に合わせて示す。表1では、ブレードの回転が停止した場合を「〇」、ブレードの回転が停止せず、金属ワイヤーが切断された場合を「×」で示す。なお、本評価では、カッターとして、仲山鉄工株式会社製のAZZ II 502を用いた。ブレードの直径は350mm、スリットの幅は約5mmであった。
【0072】
3.埋設物防護シートの評価結果
表1から明らかなように、各実施例では、いずれも優れた埋設物防護効果を有することがわかる。なお、実施例1~4ではそれぞれ一度だけ、金属ワイヤーがブレードにより切断されブレードの回転が停止しなかった。しかし、異音の発生や目視によって、十分に異変に気付くことができた。また、実施例5、6、8では、金属ワイヤーがブレードのスリットに深く入り込み、理想的な状態でブレードの回転が停止した。これに対して、実施例7では、金属ワイヤーがブレードのスリットに入り込んでおらず、または、その入り込みが実施例5、6、8と比べて浅く、ブレードの回転は停止したものの、その状態は、実施例5、6、8と比べて理想的ではなかった。以上のような実施例に対して、比較例1では、二度ともブレードの回転が停止しなかった。また、ブレードを十分に減速させることもできなかったし、異音の発生や目視によって異変に気付くことも困難であった。