IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社トランストロンの特許一覧

特開2022-162799積荷監視装置、積荷監視方法及びプログラム
<>
  • 特開-積荷監視装置、積荷監視方法及びプログラム 図1
  • 特開-積荷監視装置、積荷監視方法及びプログラム 図2
  • 特開-積荷監視装置、積荷監視方法及びプログラム 図3
  • 特開-積荷監視装置、積荷監視方法及びプログラム 図4
  • 特開-積荷監視装置、積荷監視方法及びプログラム 図5
  • 特開-積荷監視装置、積荷監視方法及びプログラム 図6
  • 特開-積荷監視装置、積荷監視方法及びプログラム 図7
  • 特開-積荷監視装置、積荷監視方法及びプログラム 図8
  • 特開-積荷監視装置、積荷監視方法及びプログラム 図9
  • 特開-積荷監視装置、積荷監視方法及びプログラム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162799
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】積荷監視装置、積荷監視方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/08 20060101AFI20221018BHJP
【FI】
G01G19/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067799
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】391008559
【氏名又は名称】株式会社トランストロン
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】石坂 泰一
(57)【要約】
【課題】積荷の重心を容易に計測することができる。
【解決手段】荷物室の内部に設けられた複数のアンテナであって、ICタグを読み取るアンテナにより、非接触で情報の読み取りが可能なICタグであって、車両の荷物室に積み込まれる1又は複数の積荷のそれぞれに設けられており、積荷の重量が書き込まれたICタグを読み取った読取結果を取得し、当該読取結果に基づいて積荷の重量及び荷物室における位置を積荷毎に計測し、当該計測結果に基づいて、荷物室に積み込まれた積荷全体の荷物室における重心位置を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触で情報の読み取りが可能なICタグであって、車両の荷物室に積み込まれる1又は複数の積荷のそれぞれに設けられており、前記積荷の重量が書き込まれたICタグと、
前記荷物室の内部に設けられた複数のアンテナであって、前記ICタグを読み取るアンテナと、
前記アンテナによる前記ICタグの読取結果を取得し、当該読取結果に基づいて前記積荷の重量及び前記荷物室における位置を前記積荷毎に計測する計測部と、
前記計測部における計測結果に基づいて、前記荷物室に積み込まれた前記積荷全体の前記荷物室における重心位置を算出する重心位置算出部と、
を備えたことを特徴とする積荷監視装置。
【請求項2】
前記アンテナは、前記荷物室の天井の四隅近傍にそれぞれ設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の積荷監視装置。
【請求項3】
前記荷物室のドアが開いているか否かを検知するドア開閉検知部を備え、
前記計測部は、前記荷物室のドアが開いている場合に前記アンテナを介して前記ICタグを読み取り、
前記重心位置算出部は、前記荷物室のドアが閉じている場合に重心位置を算出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の積荷監視装置。
【請求項4】
前記アンテナが前記ICタグを読み取った後で、前記ICタグに読取済であることを示す情報を書き込む書き込み部を備え、
前記計測部は、前記ICタグに読取済であることを示す情報が書き込まれていない場合に、前記アンテナを介して前記ICタグの情報を取得する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の積荷監視装置。
【請求項5】
前記重心位置算出部で算出された重心位置が許容範囲内にあるか否かを判定する重心位置判定部と、
前記重心位置判定部における判定結果に基づいて音又は文字情報を出力する出力部と、
を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の積荷監視装置。
【請求項6】
積荷に設けられた非接触で情報の読み取りが可能なICタグを、荷物室の内部に設けられた複数のアンテナで読み取るステップと、
前記アンテナでの読取結果に基づいて、前記積荷の重量及び前記荷物室における位置を前記積荷毎に計測するステップと、
前記計測部における計測結果に基づいて、前記荷物室に積み込まれた前記積荷全体の前記荷物室における重心位置を算出するステップと、
を含むことを特徴とする積荷監視方法。
【請求項7】
積荷に非接触で情報の読み取りが可能なICタグが設けられており、車両の荷物室の内部に複数のアンテナが設けられており、前記荷物室に積み込まれる1又は複数の前記積荷の前記荷物室における重心位置を計測するプログラムであって、
コンピュータを、
前記アンテナでの読取結果に基づいて、前記積荷の重量及び前記荷物室における位置を前記積荷毎に計測する計測部、
前記計測部における計測結果に基づいて、前記荷物室に積み込まれた前記積荷全体の前記荷物室における重心位置を算出する重心位置算出部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積荷監視装置、積荷監視方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、物品を複数入れた梱包容器にICタグを取付け、重量による入数検品およびトラック運搬における積載重量管理等を行うシステムが開示されている。このシステムは、物品入りの梱包容器の重量を測定する重量測定手段と、その測定重量をICタグに書き込む重量書込手段と、パレタイズされた物品積載体の各梱包容器のICタグを読み取って利用を図る重量読取対比手段とを備える。この重量読取対比手段として、配送センターに設けられた入数検品手段と、工場の出荷時のトラック積載重量管理手段とを設ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-27774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、梱包容器(積荷)の重量を測定するのみであり、積荷の位置の偏りを検知することはできない。積荷の位置が偏っている場合には、荷崩れの発生又は荷崩れの発生のおそれがあるため、積荷の位置の偏りを検知したい。
【0005】
本発明はこのような事情を鑑みてなされたもので、積荷の重心を容易に計測することができる積荷監視装置、積荷監視方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様にかかる積荷監視装置は、非接触で情報の読み取りが可能なICタグであって、車両の荷物室に積み込まれる1又は複数の積荷のそれぞれに設けられており、前記積荷の重量が書き込まれたICタグと、前記荷物室の内部に設けられた複数のアンテナであって、前記ICタグを読み取るアンテナと、前記アンテナによる前記ICタグの読取結果を取得し、当該読取結果に基づいて前記積荷の重量及び前記荷物室における位置を前記積荷毎に計測する計測部と、前記計測部における計測結果に基づいて、前記荷物室に積み込まれた前記積荷全体の前記荷物室における重心位置を算出する重心位置算出部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の他態様にかかる積荷監視方法は、積荷に設けられた非接触で情報の読み取りが可能なICタグを、荷物室の内部に設けられた複数のアンテナで読み取るステップと、前記アンテナでの読取結果に基づいて、前記積荷の重量及び前記荷物室における位置を前記積荷毎に計測するステップと、前記計測部における計測結果に基づいて、前記荷物室に積み込まれた前記積荷全体の前記荷物室における重心位置を算出するステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の他態様にかかるプログラムは、積荷に非接触で情報の読み取りが可能なICタグが設けられており、車両の荷物室の内部に複数のアンテナが設けられており、前記荷物室に積み込まれる1又は複数の前記積荷の前記荷物室における重心位置を計測するプログラムであって、コンピュータを、前記アンテナでの読取結果に基づいて、前記積荷の重量及び前記荷物室における位置を前記積荷毎に計測する計測部、前記計測部における計測結果に基づいて、前記荷物室に積み込まれた前記積荷全体の前記荷物室における重心位置を算出する重心位置算出部、として機能させる。
なお、コンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークを介したダウンロードによって提供したり、CD-ROMなどのコンピュータ読取可能な各種の記録媒体に記録して提供したりすることができる。
【0009】
本発明の上記いずれかの態様では、非接触で情報の読み取りが可能なICタグであって、車両の荷物室に積み込まれる1又は複数の積荷のそれぞれに設けられたICタグを、荷物室の内部に設けられた複数のアンテナ読み取り、アンテナによるICタグの読取結果に基づいて積荷の重量及び荷物室における位置を積荷毎に計測し、当該計測結果に基づいて荷物室に積み込まれた積荷全体の荷物室における重心位置を算出する。これにより、積荷の重心を容易に計測することができる。
【0010】
前記アンテナは、前記荷物室の天井の四隅近傍にそれぞれ設けられていてもよい。これにより、ICタグの位置を正確に取得することができる。
【0011】
前記荷物室のドアが開いているか否かを検知するドア開閉検知部を備え、前記計測部は、前記荷物室のドアが開いている場合に前記アンテナを介して前記ICタグを読み取り、前記重心位置算出部は、前記荷物室のドアが閉じている場合に重心位置を算出してもよい。これにより、情報が取得されたすべてのICタグの情報を用いて重心位置を算出することができる。
【0012】
前記アンテナが前記ICタグを読み取った後で、前記ICタグに読取済であることを示す情報を書き込む書き込み部を備え、前記計測部は、前記ICタグに読取済であることを示す情報が書き込まれていない場合に、前記アンテナを介して前記ICタグの情報を取得してもよい。これにより、同じICタグの情報を複数用いて重心位置を算出しないようにすることができる。
【0013】
前記重心位置算出部で算出された重心位置が許容範囲内にあるか否かを判定する重心位置判定部と、前記重心位置判定部における判定結果に基づいて音又は文字情報を出力する出力部と、を備えてもよい。これにより、重心位置が適切でなく、積荷を積み替える必要があることを運転者等に知らせることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、積荷の重心を容易に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】積荷監視装置1が設けられる車両100の概略を示す図である。
図2】本実施形態に係る積荷監視装置1の全体構成の一例を示すブロック図である。
図3】積荷監視装置1のハードウェア構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図4】積荷監視装置1による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5】処理A(ステップSP20)の処理の流れを示すフローチャートである。
図6】処理B(ステップSP30)の処理の流れを示すフローチャートである。
図7】処理C(ステップSP40)の処理の流れを示すフローチャートである。
図8】出力部16が重心位置判定部14で算出された重心位置に基づいて表示装置3に文字情報を出力する処理の流れを示すフローチャートである。
図9】(a)は、重心位置が許容範囲より高い場合(ステップSP52でYES)の処理D(ステップSP60)の処理の流れを示すフローチャートであり、(b)は、重心位置が初期値の場合(ステップSP51でYES)の処理E(ステップSP70)の処理の流れを示すフローチャートである。
図10】許容範囲の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0017】
図1は、積荷監視装置1が設けられる車両100の概略を示す図である。車両100は、1又は複数の積荷(図示省略)が搭載される荷物室101を有する。荷物室101はドア102を有し、ドア102を開けた状態で積荷を荷物室101に搬入し、積荷の搬入後はドア102を閉め、車両100を走行させる。
【0018】
図2は、本実施形態に係る積荷監視装置1の全体構成の一例を示すブロック図である。積荷監視装置1は、主として、制御部10と、アンテナ21(21a、21b、21c、21d)と、ドアセンサ22と、ICタグ31とを備える。積荷監視装置1は、移動体通信網又は無線通信等の通信ネットワークを介して端末装置2、表示装置3、スピーカ4等と互いに通信可能に構成されている。
【0019】
アンテナ21は、積荷に設けられたICタグ31を読み取る。ICタグ31は、各積荷にそれぞれ設けられており、積荷の重量が書き込まれている。アンテナ21はICタグ31に書き込まれている情報を非接触で読み取りが可能である。アンテナ21及びICタグ31は、公知の様々な技術を用いることができる。
【0020】
本実施の形態では、アンテナ21は4個のアンテナ21a、21b、21c、21dを有する。アンテナ21a、21b、21c、21dは、荷物室101の天井の四隅近傍(図1参照)にそれぞれ設けられている。なお、図1では、アンテナ21dのみが視認可能である。
【0021】
なお、アンテナ21が有するアンテナの数は4個に限られない。例えば、2つのアンテナを用いる場合には、荷物室101の対角線上に位置する2つの隅近傍にそれぞれアンテナを設けることが望ましい。また、アンテナ21が複数のアンテナ素子を有し、1つのアンテナ21で直径10m以上の広い範囲で読み取り可能な形態のものを用いる場合には、アンテナ21を、荷物室101の天井の略中央に1つだけ設けてもよい。また、アンテナ21は、荷物室101の天井に設けることが望ましいが、荷物室101の壁(天井近傍が望ましい)に設けてもよい。
【0022】
ICタグ31は、アンテナ21a、21b、21c、21dのうちの2以上のアンテナで読み取られることにより、荷物室101におけるICタグ31(積荷)の位置を計測可能である。ICタグ31は、アンテナ21から送信される電波を用いて駆動する、いわゆるパッシブ型のICタグを用いることが望ましい。
【0023】
ドアセンサ22は、ドア102が開いているか否かを検知するセンサである。ドアセンサ22は、例えば、光電センサ等の非接触センサを用いることができる。
【0024】
端末装置2は、CPU、メモリ、ストレージ、通信IF(インターフェース)等を有するコンピュータ装置又は情報処理装置である。なお、端末装置2は、例えば、スマートフォン、携帯電話、又はタブレット端末のような携帯可能な情報処理装置であってもよい。
【0025】
表示装置3は、例えば、車両100の運転室(図示省略)に設けられたモニタであり、出力部16から出力された荷崩れの発生又は荷崩れの発生のおそれについての情報を表示する。なお、表示装置3は、例えば、入力機能を担うタッチセンサと表示機能を担うディスプレイとを含むタッチパネルとして構成されてもよい。スピーカ4は、車両100の運転室又は荷物室101に設けられている。
【0026】
次に、制御部10について説明する。制御部10は、主として、計測部11と、ドア開閉検知部12と、重心位置算出部13と、重心位置判定部14と、書き込み部15と、出力部16とを有する。
【0027】
計測部11は、アンテナ21での読取結果に基づいて、積荷の重量及び荷物室101における位置を積荷毎に計測する機能部である。計測部11が積荷の位置を求める方法は、すでに公知の様々な技術を用いることができる。
【0028】
計測部11は、荷物室101のドアが開いている場合に、アンテナ21を介してICタグ31を読み取る。また、計測部11は、荷物室101のドアが閉じている場合には、ICタグ31の情報を取得しない。
【0029】
ドア開閉検知部12は、ドアセンサ22からの出力に基づいて、ドア102が開いているか否かを検知する機能部である。
【0030】
重心位置算出部13は、計測部11における計測結果に基づいて、荷物室101に積み込まれた積荷全体の荷物室101における重心位置を算出する機能部である。重心位置算出部13は、各積荷の重量情報と座標とに基づいて、積荷全体の重心位置を算出する。重心位置算出部13は、計測部11において計測が終了し、荷物室101のドアが閉じたときに重心位置を算出する。
【0031】
重心位置判定部14は、重心位置算出部13で算出された重心位置が許容範囲内にあるか否かを判定する機能部である。重心位置判定部14が行う処理については、後に詳述する
【0032】
書き込み部15は、アンテナ21がICタグ31を読み取った後で、ICタグ31に読取済であることを示す情報を書き込む機能部である。書き込み部15は、ICタグ31へ非接触で情報を書き込みが可能である。ICタグ31への情報の書き込みは、公知の技術を用いて行うことができる。
【0033】
出力部16は、重心位置判定部14における判定結果に基づいて音又は文字情報を出力する機能部である。出力部16が情報を出力する出力先は、端末装置2、表示装置3又はスピーカ4である。出力部16は、端末装置2及び表示装置3には文字情報を出力し、スピーカ4でには音声情報を出力する。出力部16が行う処理については、後に詳述する。
【0034】
なお、出力部16は、重心位置算出部13で算出された重心位置に基づいて音又は文字情報を出力してもよい。
【0035】
図3は、積荷監視装置1のハードウェア構成の一例を概略的に示すブロック図である。積荷監視装置1は、制御装置50と、通信装置52と、記憶装置54と、を備える。制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)56及びメモリ58を主に備えて構成される。
【0036】
制御装置50では、記憶装置54又はメモリ58等に格納された所定のプログラムをCPU56が実行することにより、各種の機能部として機能する。
【0037】
通信装置52は、外部の装置と通信するための通信インターフェース等で構成される。通信装置52は、例えば、端末装置2等との間で各種の情報を送受信する。
【0038】
記憶装置54は、ハードディスク等で構成される。この記憶装置54は、制御装置50における処理の実行に必要な各種プログラムや各種の情報、及び処理結果の情報を記憶する。
【0039】
なお、積荷監視装置1は、専用又は汎用のサーバ・コンピュータ等を用いて実現することができる。また、積荷監視装置1は、単一のサーバ・コンピュータ等により構成されるものであってもよいし、通信ネットワーク上に分散した複数のサーバ・コンピュータ等により構成されるものであってもよい。また、図2は、積荷監視装置1が有する主要なハードウェア構成の一部を示しているに過ぎず、積荷監視装置1は、サーバ・コンピュータ等が一般的に備える他の構成を備えることができる。
【0040】
次に、図4を参照して、積荷監視装置1による処理の流れの一例を説明する。図4は、積荷監視装置1による処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、以下のステップの順番は、適宜、変更することができる。
【0041】
まず、ドア開閉検知部12は、ドアセンサ22からの出力に基づいて、ドア102が開いているか否かを検知する(ステップSP11)。ドア102が開いていない場合(ステップSP11でNO)には、処理を終了する。
【0042】
ドア102が開いている場合(ステップSP11でYES)には、制御部10は、タイマを起動し(ステップSP12)、アンテナ21がICタグ31を読み取り、積荷の重心位置を検知するためのアプリケーションを起動する(ステップSP13)。
【0043】
制御部10は、メモリ58に記憶された重心計算結果が初期値であるか否か、すなわち重心位置算出部13が既に重心位置を算出しているか否かを判定する(ステップSP14)。重心計算結果が初期値である場合(ステップSP14でYES)には、処理A(ステップSP20)に進み、図4に示す処理を終了する。また、重心計算結果が初期値でない場合(ステップSP14でNO)には、処理B(ステップSP30)に進み、図4に示す処理を終了する。
【0044】
積荷監視装置1は、図4に示す処理を終了してから一定時間後に、再度図4に示す処理を開始する。つまり、積荷監視装置1は、図4に示す処理を連続して繰り返し行う。
【0045】
図5は、処理A(ステップSP20)の処理の流れを示すフローチャートである。処理A(ステップSP20)は、積荷の積み込み時における重心計算処理フローである。まず、ドア開閉検知部12は、ドアセンサ22からの出力に基づいて、ドア102が開いているか否かを検知する(ステップSP21)。
【0046】
ドア102が開いている場合(ステップSP21でYES)は、計測部11はアンテナ21での任意のICタグ31の識別情報の読取結果を取得する(ステップSP22)。計測部11は、ステップSP22で取得したICタグ31の識別情報を取得済か否か判定する(ステップSP23)。仮にICタグ31の情報を計測部11が取得している場合には、ICタグ31に読取済であることを示す情報が書き込まれている(後に詳述)。したがって、計測部11は、ICタグ31に読取済であることを示す情報が書き込まれているか否かに基づいてステップSP23の判定が可能となる。
【0047】
ICタグ31の識別情報を取得済である場合(ステップSP23でYES)には、すでにそのICタグ31が設けられた積荷の情報を取得しているため、処理をステップSP21に戻す。
【0048】
ICタグ31の識別情報を取得済でない場合(ステップSP23でNO)は、そのICタグ31が設けられた積荷の情報を取得していない。したがって、計測部11は、アンテナ21を介してそのICタグ31の重量情報を取得し(ステップSP24)、そのICタグ31の座標(荷物室101における位置情報)を取得する(ステップSP25)。計測部11は、取得した情報(重量情報及び座標)を、取得した時刻(ステップSP12で起動したタイマ上の時刻、以下同じ)と共にメモリ58に記憶する。
【0049】
計測部11は、ステップSP25で取得されたICタグ31の座標の情報を取得してから規定時間(例えば、5秒)以上経過しているかを判定する(ステップSP26)。ステップSP26の処理は、ステップSP12で起動したタイマを用いて行われる。規定時間以上経過していない場合(ステップSP26でNO)には、処理をステップSP21に戻す。
【0050】
規定時間以上経過した場合(ステップSP26でYES)には、書き込み部15は、ステップSP24、SP25で重量情報及び座標を取得したICタグ31に、読取済であることを示す情報を書き込み(ステップSP27)、処理をステップSP21に戻す。
【0051】
ステップSP22~SP27を繰り返し行うことで、荷物室101に積み込まれたすべての積荷に設けられたICタグ31に対して、順番に重量情報及び座標の取得を行う。例えば、全てのICタグ31を同時に読み込む場合には、新たに積み込まれた積荷に金属や水分が含まれていると、その下側に配置された積荷に設けられたICタグ31が読み込めないおそれがある。それに対し、本実施の形態のように積み込まれた積荷のICタグ31を順番に読み込むことで、このようは不具合を防ぐことができる。
【0052】
ドア102が開いていない場合(ステップSP21でNO)には、計測部11は、ICタグ31の情報を1つ以上取得しているか否かを判定する(ステップSP28)。ICタグ31の情報を1つ以上取得していない場合(ステップSP28でNO)には、空荷であり、処理Aを終了する。
【0053】
ICタグ31の情報を1つ以上取得している場合(ステップSP28でYES)は、積荷の積み込み(ステップSP22~SP27)が終わって、ドア102が閉じられた場合である。したがって、重心位置算出部13は、ステップSP22~SP27において計測部11が行った計測結果に基づいて、荷物室101に積み込まれた積荷全体の荷物室101における重心位置を算出する(ステップSP29)。ステップSP22~SP27の処理においてICタグ31の読み忘れや読取不能がないため、ステップSP29において正確な重心位置を算出することができる。重心位置算出部13は、算出した重心位置を算出した時刻と共にメモリ58に記憶させる。その後、処理Aを終了する。
【0054】
図6は、処理B(ステップSP30)の処理の流れを示すフローチャートである。処理B(ステップSP30)は、積荷を積み替えたときの重心計算処理フローである。まず、ドア開閉検知部12は、ドアセンサ22からの出力に基づいて、ドア102が開いているか否かを検知する(ステップSP31)。
【0055】
ドア102が開いている場合(ステップSP31でYES)には、計測部11は、アンテナ21を介してICタグ31の識別情報を読み取り(ステップSP32)、ICタグ31の識別情報が読み取れるか否かを判定する(ステップSP33)。
【0056】
ICタグ31の識別情報が読み取れる場合(ステップSP33でYES)には、計測部11は、識別情報が読み取れたICタグ31の座標が更新済みであるか否かを判定する(ステップSP34)。座標が更新済みか否かは、アンテナ21を介してICタグ31の重量情報及び座標を取得し、この取得した重量情報及び座標と、メモリ58に格納された情報とを比較することにより判定する。
【0057】
座標が更新済みである場合(ステップSP34でYES)には、処理をステップSP31に戻す。
【0058】
座標が更新済みでない場合(ステップSP34でNO)には、計測部11は、ICタグ31の重量情報及び座標を新たに取得した重量情報及び座標に更新する(ステップSP35)。計測部11は、更新した情報を更新した時刻と共にメモリ58に記憶する。次に、計測部11は、重量情報及び座標を更新してから規定時間(例えば、5秒)以上経過しているか否かを判定する(ステップSP36)。ステップSP36の処理は、ステップSP12で起動したタイマを用いて行われる。規定時間以上経過していない場合(ステップSP36でNO)には、処理をステップSP31に戻す。これにより、座標が変わったICタグ31の情報のみを更新し、積荷の積み替えに対応することができる。
【0059】
規定時間以上経過した場合(ステップSP36でYES)には、書き込み部15は、ステップSP35で重量情報及び座標を更新したICタグ31に、更新済であることを示す情報を書き込み(ステップSP37)、処理をステップSP31に戻す。
【0060】
ドア102が開いていない場合(ステップSP31でNO)は、積荷の積み替えが終わってドア102が閉じられたときである。したがって、重心位置算出部13は、ステップSP32~SP37において計測部11が行った更新結果に基づいて、荷物室101に積み込まれた積荷全体の荷物室101における重心位置を算出し(ステップSP38)、更新した重心位置を算出した時刻と共にメモリ58に記憶することで、重心位置を更新する(ステップSP39)。その後、処理Bを終了する。
【0061】
ICタグ31の識別情報が読み取れない場合(ステップSP33でNO)には、処理C(ステップSP40)へ進む。図7は、処理C(ステップSP40)の処理の流れを示すフローチャートである。処理C(ステップSP40)は、積み降ろし等により重心計算結果をリセットするフローである。
【0062】
まず、計測部11は、取得かつメモリ58に記憶したデータを初期化し(ステップSP41)、重心位置算出部13は、算出かつメモリ58に記憶したデータを初期化する(ステップSP42)。その後、処理Cを終了する。
【0063】
次に、出力部16の処理について、表示装置3に文字情報を出力する場合を例に説明する。図8、9は、出力部16が重心位置判定部14で算出された重心位置に基づいて表示装置3に文字情報を出力する処理の流れを示すフローチャートである。図8、9に示す処理は、図4~7に示す処理が終了した直後に開始される。
【0064】
まず、重心位置判定部14は、メモリ58に記憶されている重心位置が初期値か否かを判定する(ステップSP51)。重心位置が初期値の場合(ステップSP51でYES)については、後に説明する。
【0065】
次に、重心位置判定部14は、メモリ58に記憶されている重心位置が許容範囲より高いか否かを判定する(ステップSP52)。許容範囲は、予め定められており、メモリ58に記憶されている。図10は、許容範囲の一例を示す図である。荷物室101の前後方向については、前後方向の中心線C1を中心に前後方向にそれぞれ、荷物室101の前後方向の長さLの1/4(1/4L)以内の範囲を許容範囲とする。同様に、荷物室101の左右方向については、左右方向の中心線C2を中心に左右方向にそれぞれ、荷物室101の左右方向の幅Wの1/4(1/4W)以内の範囲を許容範囲とする。また、荷物室101の高さ方向については、荷物室101の床面103から荷物室101の高さHの半分以内を許容範囲とする。図10では、許容範囲の最大範囲に積荷Bを載置している。
【0066】
図8の説明に戻る。重心位置が許容範囲より高い場合(ステップSP52でYES)については、後に説明する。
【0067】
重心位置が許容範囲より高くない場合(ステップSP52でNO)には、重心位置判定部14は、重心位置が許容範囲より進行方向右側に位置するか否かを判定する(ステップSP53)。重心位置が許容範囲より進行方向右側に位置する場合(ステップSP53でYES)には、重心位置判定部14は、重心位置が許容範囲より進行方向右側に位置すると判定して当該判定結果を出力部16に出力する。そして、出力部16は、重心位置が許容範囲より進行方向右側に位置することを示す情報(例えば、「重心計測済みです。重心が進行方向右に偏っています。」という文字情報)を表示装置3に表示する(ステップSP57)。そして、処理を終了する。
【0068】
重心位置が許容範囲より進行方向右側に位置しない場合(ステップSP53でNO)には、重心位置判定部14は、重心位置が許容範囲より進行方向左側に位置するか否かを判定する(ステップSP54)。重心位置が許容範囲より進行方向左側に位置する場合(ステップSP54でYES)には、重心位置判定部14は、重心位置が許容範囲より進行方向左側に位置すると判定して当該判定結果を出力部16に出力する。そして、出力部16は、重心位置が許容範囲より進行方向左側に位置することを示す情報(例えば、「重心計測済みです。重心が進行方向左に偏っています。」という文字情報)を表示装置3に表示する(ステップSP56)。そして、処理を終了する。
【0069】
重心位置が許容範囲より進行方向左側に位置しない場合(ステップSP54でNO)には、重心位置判定部14は、重心位置が許容範囲内にあると判定して当該判定結果を出力部16に出力する。そして、出力部16は、重心位置が許容範囲内にあることを示す情報(例えば、「重心計測済みです。」という文字情報)を表示装置3に表示する(ステップSP55)。そして、処理を終了する。
【0070】
図9(a)は、重心位置が許容範囲より高い場合(ステップSP52でYES)の処理D(ステップSP60)の処理の流れを示すフローチャートである。まず、重心位置判定部14は、重心位置が許容範囲より進行方向右側に位置するか否かを判定する(ステップSP61)。重心位置が許容範囲より進行方向右側に位置する場合(ステップSP61でYES)には、重心位置判定部14は、重心位置が許容範囲より進行方向右側かつ高い位置に位置すると判定して当該判定結果を出力部16に出力する。そして、出力部16は、重心位置が許容範囲より進行方向右側かつ高い位置に位置することを示す情報(例えば、「重心計測済みです。重心が高いです。重心が進行方向右に偏っています。」という文字情報)を表示装置3に表示する(ステップSP65)。そして、処理を終了する。
【0071】
重心位置が許容範囲より進行方向右側に位置しない場合(ステップSP61でNO)には、重心位置判定部14は、重心位置が許容範囲より進行方向左側に位置するか否かを判定する(ステップSP62)。重心位置が許容範囲より進行方向左側に位置する場合(ステップSP62でYES)には、重心位置判定部14は、重心位置が許容範囲より進行方向左側かつ高い位置に位置すると判定して当該判定結果を出力部16に出力する。そして、出力部16は、重心位置が許容範囲より進行方向左側かつ高い位置に位置することを示す情報(例えば、「重心計測済みです。重心が高いです。重心が進行方向左に偏っています。」という文字情報)を表示装置3に表示する(ステップSP64)。そして、処理を終了する。
【0072】
重心位置が許容範囲より進行方向左側に位置しない場合(ステップSP62でNO)には、重心位置判定部14は、重心位置が許容範囲より高い位置にあると判定して当該判定結果を出力部16に出力する。そして、出力部16は、重心位置が許容範囲より高い位置にあることを示す情報(例えば、「重心計測済みです。重心が高いです。」という文字情報)を表示装置3に表示する(ステップSP63)。そして、処理を終了する。
【0073】
図9(b)は、重心位置が初期値の場合(ステップSP51でYES)の処理E(ステップSP70)の処理の流れを示すフローチャートである。この場合には、重心位置判定部14は、重心位置が算出されていないと判定して当該判定結果を出力部16に出力する。そして、出力部16は、重心位置が算出されていないことを示す情報(例えば、「重心未計測です。」という文字情報)を表示装置3に表示する(ステップSP71)。そして、処理を終了する。
【0074】
以上、本実施形態によれば、各積荷に重量情報が記載されたICタグ31を設け、荷物室101の内部に設けられたアンテナ21でICタグ31の座標を取得することにより、積荷の重心を容易に計測することができる。特に、アンテナ21a~21dを荷物室101の天井の四隅近傍に設けることで、ICタグ31の座標を正確に取得することができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、荷物室101のドア102が開いている場合にICタグ31を読み取り、荷物室101のドア102が閉じている場合に重心位置算出部13が重心位置を算出するため、測定されたすべてのICタグ31の情報を用いて、荷物室101に積み込まれた積荷全体の荷物室101における重心位置を算出することができる。
【0076】
また、本実施形態によれば、積荷を積み替えるときに、ICタグ31が読取済であることを示す情報が書き込まれていない場合にICタグ31の情報を取得することで、同じICタグ31の情報を複数用いて重心位置を算出しないようにすることができる。
【0077】
また、本実施形態によれば、重心位置が許容範囲内にあるか否かを判定した結果に基づいて出力部16が出力を行うため、重心位置が適切でなく、積荷を積み替える必要があることを運転者等に知らせることができる。
【0078】
なお、本実施形態では、重心位置の許容範囲がメモリ58に記憶されているが、許容範囲を積荷の重量によって変えてもよい。例えば、積荷の重量が軽い場合には、荷物室101の前後方向及び左右方向についての許容範囲を広くしてもよい。その場合には、複数の許容範囲をメモリ58に予め記憶しておき、重心位置判定部14は、計測部11で取得された積荷の重量に基づいて適切な許容範囲をメモリ58から取得すればよい。
【0079】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成の追加、削除、置換等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 :積荷監視装置
2 :端末装置
3 :表示装置
4 :スピーカ
10 :制御部
11 :計測部
12 :ドア開閉検知部
13 :重心位置算出部
14 :重心位置判定部
15 :書き込み部
16 :出力部
21、21a、21b、21c、21d:アンテナ
22 :ドアセンサ
31 :ICタグ
50 :制御装置
52 :通信装置
54 :記憶装置
56 :CPU
58 :メモリ
100 :車両
101 :荷物室
102 :ドア
103 :床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10