(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162804
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】情報読取装置及び情報読取装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20221018BHJP
【FI】
G06K7/10 412
G06K7/10 376
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067806
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】原田 浩
(72)【発明者】
【氏名】長谷 淳二
(72)【発明者】
【氏名】池田 直人
(72)【発明者】
【氏名】浅井 健宏
(72)【発明者】
【氏名】奥川 将
(57)【要約】
【課題】電池による駆動が可能であり、読み取った情報コードを自動で送信する情報読取装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の一実施形態に係る情報読取装置は、電池により稼働する情報読取装置であって、読取口を備えた筐体と、読取口にかざされた読取対象物を検知する検知部と、読取口にかざされた読取対象物に対して光を照射する照明部と、読取対象物に付された情報コードを撮像する撮像部と、情報コードに関するデータを送信する送信部と、検知部、照明部、撮像部及び送信部へ電力を供給する電源部と、検知部、照明部、撮像部及び送信部を制御する制御部と、を有し、制御部は、検知部が読取対象物を検知した後に、照明部による照明を開始し、かつ、撮像部及び送信部が停止状態から動作状態に移行するように制御する、ことを特徴とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池により稼働する情報読取装置であって、
読取口を備えた筐体と、
前記読取口にかざされた読取対象物を検知する検知部と、
前記読取口にかざされた読取対象物に対して光を照射する照明部と、
読取対象物に付された情報コードを撮像する撮像部と、
前記情報コードに関するデータを送信する送信部と、
前記検知部、前記照明部、前記撮像部及び前記送信部へ電力を供給する電源部と、
前記検知部、前記照明部、前記撮像部及び前記送信部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記検知部が読取対象物を検知した後に、前記照明部による照明を開始し、かつ、前記撮像部及び前記送信部が停止状態から動作状態に移行するように制御する、
ことを特徴とする情報読取装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記撮像部が前記情報コードを撮像した後に、前記照明部による照明を停止し、かつ、前記撮像部が動作状態から停止状態に移行するように制御する、請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記送信部が情報コードに関するデータを外部に送信した後に、前記送信部が動作状態から停止状態に移行するように制御する、請求項1または2に記載の情報読取装置。
【請求項4】
前記情報コードに関するデータを記憶する記憶部をさらに備え、
前記送信部は、前記記憶部に記憶されたデータを1つまたは複数個まとめて送信する、
請求項2または3に記載の情報読取装置。
【請求項5】
前記記憶部に記憶されたデータは、前記撮像部が所定期間内に読み取った情報コードに関するデータである、請求項4に記載の情報読取装置。
【請求項6】
前記電源部は電池を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の情報読取装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の情報読取装置の制御方法であって、
前記読取口にかざされた読取対象物を検知するステップと、
前記読取対象物を検知した後に、前記照明部による照明を開始し、かつ、前記撮像部及び前記送信部を停止状態から動作状態に移行させるステップと、
前記読取対象物に付された情報コードを撮像するステップと、
前記情報コードに関するデータを送信するステップと、
を含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報読取装置及び情報読取装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バーコードや二次元コード等の情報コードを読み取る情報コードリーダが知られている(例えば、特許文献1)。情報コードリーダは、店舗等に設置して商品の清算等を行う場合等に利用されている。このような情報コードリーダは、パソコン等に接続されてパソコン側から給電される場合が多い。従って、パソコンから離れた任意の場所に情報コードリーダを設置することが難しいという問題がある。
【0003】
また、一般的に普及している情報コードリーダのうちハンディスキャナタイプのものも知られている。しかしながら、情報コードリーダが読み取った情報を送信する操作はオペレータが実行しており、情報コードを送信するためにオペレータが必要となるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態に係る情報読取装置は、電池により稼働する情報読取装置であって、読取口を備えた筐体と、読取口にかざされた読取対象物を検知する検知部と、読取口にかざされた読取対象物に対して光を照射する照明部と、読取対象物に付された情報コードを撮像する撮像部と、情報コードに関するデータを送信する送信部と、検知部、照明部、撮像部及び送信部へ電力を供給する電源部と、検知部、照明部、撮像部及び送信部を制御する制御部と、を有し、制御部は、検知部が読取対象物を検知した後に、照明部による照明を開始し、かつ、撮像部及び送信部が停止状態から動作状態に移行するように制御する、ことを特徴とする。
【0006】
本開示の一実施形態に係る情報読取装置において、制御部は、撮像部が情報コードを撮像した後に、照明部による照明を停止し、かつ、撮像部が動作状態から停止状態に移行するように制御してよい。
【0007】
本開示の一実施形態に係る情報読取装置において、制御部は、送信部が情報コードに関するデータを外部に送信した後に、送信部が動作状態から停止状態に移行するように制御してよい。
【0008】
本開示の一実施形態に係る情報読取装置において、情報コードに関するデータを記憶する記憶部をさらに備え、送信部は、記憶部に記憶されたデータを1つまたは複数個まとめて送信してよい。
【0009】
本開示の一実施形態に係る情報読取装置において、記憶部に記憶されたデータは、撮像部が所定期間内に読み取った情報コードに関するデータであってよい。
【0010】
本開示の一実施形態に係る情報読取装置において、電源部は電池を有してよい。
【0011】
本開示の一実施形態に係る情報読取装置の制御方法は、上記の情報読取装置の制御方法であって、読取口にかざされた読取対象物を検知するステップと、読取対象物を検知した後に、照明部による照明を開始し、かつ、撮像部及び送信部を停止状態から動作状態に移行させるステップと、読取対象物に付された情報コードを撮像するステップと、情報コードに関するデータを送信するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一実施形態に係る情報読取装置を横置きした場合の斜視図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る情報読取装置を縦置きした場合の斜視図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る情報読取装置の構成を示す概略図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る情報読取装置のブロック図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る情報読取装置において、検知部が読取対象物を検知してから、制御部が照明部及び撮像部を動作させるまでの手順を説明するためのフローチャートである。
【
図6】本開示の一実施形態に係る情報読取装置において、検知部が読取対象物を検知してから、撮像部が情報コードを読み取り、制御部が照明部及び撮像部を停止させるまでの手順を説明するためのフローチャートである。
【
図7】本開示の一実施形態に係る情報読取装置において、検知部が読取対象物を検知してから、制御部が送信部を動作/停止させるまでの手順を説明するためのフローチャートである。
【
図8】本開示の一実施形態に係る情報読取装置において、電池を装填してからスリープモードとなるまでの手順を説明するためのフローチャートである。
【
図9】本開示の一実施形態に係る情報読取装置において、電源スイッチをONしてからスタンバイモードとなるまでの手順を説明するためのフローチャートである。
【
図10】本開示の一実施形態に係る情報読取装置において、QRコード(登録商標)が近接してから、読み取ったQRコード(登録商標)に関するデータを送信し、その後、スタンバイモードとなるまでの手順を説明するためのフローチャートである。
【
図11】本開示の一実施形態に係る情報読取装置において、スタンバイモードから、電源スイッチをオフし、その後、電池を抜去するまでの手順を説明するためのフローチャートである。
【
図12】本開示の一実施形態に係る情報読取装置において、各モードにおける制御部、検知部、撮像部及び送信部の動作状態を示す表である。
【
図13】本開示の一実施形態に係る情報読取装置において、各モードにおいて流れる電流の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本開示に係る発明(以下、本発明ともいう)に係る情報読取装置及び情報読取装置の制御方法について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0014】
図1に本開示の一実施形態に係る情報読取装置を横置きした場合の斜視図を示し、
図2に縦置きした場合の斜視図を示す。一実施形態に係る情報読取装置100は電池等の電源により駆動されており、パソコンやコンセント等に接続する必要がないため、任意の場所に設置することができる。例えば、電池駆動により、情報読取装置100を店舗のレジの脇等、パソコンとの接続が難しい場所や、仮設店舗や屋外での展示会等、電源をコンセント等から供給することが困難な場所にも配置することができる。また、電池駆動により、情報読取装置100をパソコンやコンセント等に接続する必要が無いため、持ち運びが用意であり、一旦設置した後に任意の場所に移設することもできる。このように、情報読取装置100を電池で駆動することにより、設置場所の自由度を高めることができる。さらに、電池駆動により、停電等によりコンセントからの電力の供給が停止した場合であっても、情報読取装置100を動作させることができる。このように、情報読取装置100を電池で駆動することにより、地震や台風等の災害時や電力会社の事故等により、電力供給に問題が生じた場合であっても対応することができる。
【0015】
一実施形態に係る情報読取装置100は、電池により稼働する情報読取装置であって、筐体10と、読取口11と、を備えている。筐体10の開口部13の下側には、ToF(Time of Flight)センサ等の検知部1、LED等の照明部、CMOSセンサ等の撮像部、及び送信部が設けられている。携帯端末等の読取対象物20にQRコード(登録商標)等の情報コードを表示させておき、読取口11にQRコード(登録商標)をかざす。そうすると、検知部1が、読取対象物20である携帯端末が接近したことを検知し、照明部、撮像部及び送信部を動作させる。照明部は情報コードに光を照射し、情報コードからの反射光を撮像部が読み取る。送信部は、撮像部が読み取った情報コードに関する情報を送信する。これによれば、一実施形態に係る情報読取装置は、読取対象物20が接近した場合にのみ、照明部、撮像部及び送信部を動作させることができるため、電力の消費を低減することができる。すなわち、本発明の一実施形態によれば、電力に限りのある電池により稼働する情報読取装置であっても、比較的長時間の稼働を可能にすることができる。
【0016】
情報読取装置100を床面に平置きする場合には、例えば、
図1に示すように横置きして用いることができる。また、情報読取装置100を壁にかけて用いる場合には、例えば、
図2に示すように縦置きして用いることができる。
【0017】
また、読取口11は、筐体10の上面部10aから所定の間隔dだけ離隔して設けられており、読取口11と筐体10との間には空間が形成されている。携帯端末の読取対象物20等に表示された情報コードには、この空間を通して光が入射し、情報コードから反射された光を撮像部が読み取ることができる。したがって、この空間から入射する光を利用することにより、照明部からの照明光の量を調節することができる。
【0018】
図3に本開示の一実施形態に係る情報読取装置の構成を表す概略図を示す。
図4に本開示の一実施形態に係る情報読取装置のブロック図を示す。情報読取装置100は、読取口11と、検知部1と、照明部2と、撮像部3と、送信部4と、電源部5と、制御部6と、記憶部7と、を有する。
【0019】
筐体10には読取口11が設けられ、読取口11の周辺に枠12が設けられている。読取口11は、光が透過する透明な樹脂やガラス等で構成されてよい。枠12は読取口11の位置を目立たせるように筐体10とは異なる色で着色されていることが好ましい。筐体10の上面部10aと読取口11との間には空間が設けられている。上面部10aの略中央部分に開口部13が形成されている。
【0020】
検知部1は筐体10の開口部13の下側に設けられている。検知部1は、読取口11にかざされた読取対象物20を検知する。例えば、
図3に示すように、読取対象物20は、携帯端末や、カード状の媒体等であってよい。ただし、このような例には限られず、読取対象物20は情報コードが付された任意のものであってよい。
【0021】
検知部1には、ToFセンサを用いることができる。検知部1としてToFセンサを用いることにより、レーザー等の光や、超音波を数回照射し、読取対象物20に反射して戻ってくるまでの時間に基づいて、検知部1から読取対象物20までの距離を計測することができる。検知部1は、計測した距離に基づいて、所定の距離の範囲内に読取対象物20が接近したか否かを検出することができる。ただし、検知部1としてToFセンサ以外のセンサを用いるようにしてもよい。
【0022】
照明部2は、読取口11にかざされた読取対象物20に対して光を照射する。照明部2は、開口部13を通して読取対象物20に対して光を照射するようにしてよい。ただし、このような例には限られず、照明部2を筐体10の上面部10aに設けるようにしてもよい。
【0023】
照明部2として、LEDを用いることができる。ただし、このような例には限られず、照明部2として、他の光源を用いるようにしてもよい。また、
図3に示した例では、照明部2を2個設ける例を示したが、このような例には限られず、照明部2は1個のみ設けるようにしてもよく、3個以上設けるようにしてもよい。
【0024】
撮像部3は、読取対象物20に付された情報コード21を撮像する。撮像部3として、例えばCMOSセンサを用いることができる。ただし、このような例には限られず、他の画像センサを用いるようにしてもよい。照明部2から出射された光は情報コード21で反射し、反射光が撮像部3に入射する。
【0025】
情報コード21は、例えば、バーコードやQRコード(登録商標)等の二次元コードである。情報コード21は、スマートフォン等の携帯端末や、カード状の媒体等、任意の読取対象物20に付されてよい。
【0026】
送信部4は、撮像部3が読み取った情報コード21に関するデータを送信する。送信部4はデータを送信するためのアンテナ41を備えている。ここで、送信部4が送信するデータは、撮像部3が撮像した情報コードをデコードしたデータであってよい。送信部4として送信モジュールを用いてよい。送信部4はデータを低消費電力で送信可能なNB(Narrow Band)IoT方式により送信してよい。ただし、このような例には限られず、送信部4は、他の通信方式によりデータを送信してよい。
【0027】
電源部5は、検知部1、照明部2、撮像部3及び送信部4へ電力を供給する。電源部5には、乾電池や充電池等の電池を用いてよい。
【0028】
制御部6は、検知部1、照明部2、撮像部3及び送信部4を制御する。制御部6には、CPU等のマイクロコンピュータ(マイコン)を用いてよい。
【0029】
制御部6は、検知部1が読取対象物20を検知した後に、照明部2による照明を開始し、かつ、撮像部3及び送信部4が停止状態から動作状態に移行するように制御する。即ち、検知部1が、読取対象物20が読取口11に接近したことを検知すると、検知部1は制御部6に検知信号を出力する。制御部6は、検知部1から検知信号を取得すると、照明部2が照明を開始するように制御する。即ち、制御部6は、検知部1からの検知信号に基づいて、照明部2であるLED等を消灯状態から点灯状態に移行するように制御する。
【0030】
また、制御部6は、検知部1から検知信号を取得すると、撮像部3であるCMOSセンサを停止状態から動作状態に移行するように制御し、撮像部3が情報コード21を撮像するように制御する。
【0031】
また、制御部6は、検知部1から検知信号を取得すると、送信部4である送信モジュールを停止状態から動作状態に移行するように制御し、送信部4が情報コード21に関するデータを送信するように制御する。
【0032】
図5に本開示の一実施形態に係る情報読取装置100において、検知部1が読取対象物20を検知してから、制御部6が、照明部2、撮像部3及び送信部4を動作させるまでの手順を説明するためのフローチャートを示す。まず、ステップS101において、検知部1が読取対象物20を検知する。
【0033】
次に、ステップS102において、制御部6が、照明部2による照明を開始するように照明部2を制御する。
【0034】
次に、ステップS103において、制御部6が、撮像部3を停止状態から動作状態に移行するように制御する。
【0035】
次に、ステップS104において、制御部6が、送信部4を停止状態から動作状態に移行するように制御する。
【0036】
以上説明したように、制御部6は、読取対象物20が読取口11に接近し、検知部1が検知信号を出力するまでは、照明部2、撮像部3及び送信部4を停止状態のまま維持する。これにより、照明部2、撮像部3及び送信部4によって消費される電力を抑制することができる。
【0037】
制御部6は、撮像部3が情報コード21を撮像した後に、照明部2による照明を停止し、かつ、撮像部3が動作状態から停止状態に移行するように制御してよい。撮像部3が情報コード21を撮像した場合は、次の情報コードがかざされるまで照明部2及び撮像部3を動作させておく必要がないため、撮像部3が情報コード21を撮像した後、制御部6が、照明部2及び撮像部3が動作状態から停止状態に移行するように制御してよい。
【0038】
図6に本開示の一実施形態に係る情報読取装置100において、検知部1が読取対象物20を検知してから、撮像部3が情報コード21を読み取り、制御部6が照明部2及び撮像部3を停止させるまでの手順を説明するためのフローチャートを示す。ステップS201~S204の工程は、
図5に示したステップS101~S104の工程と同一であるため詳細な説明を省略する。
【0039】
ステップS205において、撮像部3が読取口11にかざされた読取対象物20に付された情報コード21を撮像する。
【0040】
次に、ステップS206において、制御部6が、照明部2による照明を停止するように照明部2を制御する。
【0041】
次に、ステップS207において、制御部6が、撮像部3を動作状態から停止状態に移行するように制御する。
【0042】
以上のように、制御部6が、撮像部3が情報コード21を撮像した後に、照明部2による照明を停止し、かつ、撮像部3が動作状態から停止状態に移行するように制御することにより、照明部2及び撮像部3によって消費される電力を抑制することができる。
【0043】
制御部6は、送信部4が情報コード21に関するデータを外部に送信した後に、送信部4が動作状態から停止状態に移行するように制御してよい。
図7に本開示の一実施形態に係る情報読取装置100において、検知部1が読取対象物20を検知してから、制御部6が送信部4を動作/停止させるまでの手順を説明するためのフローチャートを示す。
図7におけるステップS301~S307の工程は、
図6に示したステップS201~S207の工程と同一であるため詳細な説明は省略する。
【0044】
ステップS308において、送信部4が、情報コード21に関するデータを外部に送信する。ここで、デコード部を設けておき、撮像部3が撮像した情報コードをデコード部によりデコードした後に、送信部4がデコードされデータを送信するようにしてよい。
【0045】
次に、ステップS309において、制御部6が、送信部4を動作状態から停止状態に移行するように制御する。このように、送信部4がデータ送信後に動作を停止することにより、送信部4において消費される電力を抑制することができる。
【0046】
ここで、撮像部3が読み取った情報コード21に関するデータを記憶する記憶部7をさらに備えてよい。記憶部7には、例えば、半導体メモリを用いてよい。送信部4は、記憶部7に記憶されたデータを1つまたは複数個まとめて送信してよい。送信部4が複数個のデータをまとめて送信することにより、1つずつ送信する場合に比べて送信回数を減少させることができるため、送信時に消費される電力を抑制することができる。
【0047】
また、記憶部7に記憶されたデータは、撮像部3が所定期間内に読み取った情報コード21に関するデータであってよい。例えば、送信部4は、情報読取装置100が30分間に読み取った情報コード21に関するデータをまとめて送信してよい。撮像部3が所定期間内に読み取った情報コードを送信部4がまとめて送信することにより、撮像部3が情報コード21を読み取るごとに送信部4が送信する場合に比べて消費電力を抑制することができる。ただし、このような例には限られず、上記の所定期間は30分以外の任意の期間としてよい。
【0048】
電源部5は、電池を有してよい。例えば、電源部5には、単三形のアルカリ乾電池を4本用いてよい。たたし、電源部5を構成する電池はこのような例には限られず、電池の種類や本数は任意のものを選択してよい。
【0049】
情報読取装置100は、動作状態を表示するための発光素子を備えてよい。発光素子には複数個の発光素子を設けてよい。例えば、複数個の発光素子として、第1~第3の発光素子を含む構成としてよい。例えば、第1の発光素子は、検知部1が、読取対象物20が近接したことを検知し、撮像部3が動作している際に点灯するようにしてよい。また、第2の発光素子は、撮像した情報コード21をデコードし、送信部4がデータを送信している際に点灯するようにしてよい。また、第3の発光素子は、送信部4による送信処理が正常に終了した場合に短時間で全点灯させ、送信部4が送信処理を再度実行している際に長時間で全点灯するようにしてよい。このように、情報読取装置100の動作状態に応じて点灯する発光素子を設けることによって、オペレータは情報読取装置100の動作状態を容易に把握することができる。
【0050】
上記の通り、本開示の一実施形態に係る情報読取装置によれば、消費電力を抑制しながら、読み取った情報コードを自動的に送信することができる。
【0051】
次に、本開示の一実施形態に係る情報読取装置100において採用している低消費電力を実現するためのアルゴリズムについて説明する。
図8に、本開示の一実施形態に係る情報読取装置100において、電源部5に電池を装填してからスリープモードとなるまでの手順を説明するためのフローチャートを示す。
【0052】
まず、ステップS401において、情報読取装置100の筐体10内の電源部5に電池を装填する。電源部5に用いられる電池の例は上述したとおりである。電池を電源部5に装填した場合に、電池の残量に応じて点灯するLED等の発光素子を設けてよい。オペレータは発光素子の点灯によって、電池が電源部5に正常に装填されたこと、及び電池の容量が十分にあることを確認することができる。
【0053】
次に、電源部5に電池を装填すると、ステップS402において、制御部6に電力が供給され、制御部6がブートモードとなる。ブートモードとは、制御部6のシステムに電力が供給されたときにオペレーティングシステムを立ち上げるためのブートストラップ処理を起動するモードである。
【0054】
次に、制御部6に電力が供給され所定時間が経過すると、ステップS403において、制御部6のブート処理が完了する。
【0055】
次に、ステップS404において、制御部6がスリープ(ストップ)モードとなる。このように、電源部5に電池を装填し、制御部6をスリープモードとしておくことで、電源スイッチをONさせたときに、迅速に検知部1を停止状態から動作状態に移行させることができる。従って、オペレータは情報読取装置100を短時間で動作可能な状態とすることができる。
【0056】
次に、情報読取装置100をスリープモードからスタンバイモードへ移行させる手順について説明する。
図9に、本開示の一実施形態に係る情報読取装置100において、電源スイッチをONしてからスタンバイモードとなるまでの手順を説明するためのフローチャートを示す。まず、ステップS501において、電源スイッチをONする。
【0057】
次に、ステップS502において、情報読取装置100に設けられたリセットスイッチを押下する。リセットスイッチは筐体10の外表面に設けておき、オペレータが任意のタイミングで押下できるように配置してよい。リセットスイッチは電源をONさせた場合だけでなく、情報読取装置100を初期状態としたい場合に押下するようにしてよい。
【0058】
次に、ステップS503において、情報読取装置100をイニシャライズ(ペリフェラルON)モードとする。具体的には、検知部1を停止状態から動作状態に移行させ、読取対象部20が近接した場合に、検知部1がいつでも検知できる状態とする。
【0059】
次に、ステップS504において、検知部1が動作状態に移行すると、イニシャル処理が完了する。具体的には、検知部1が動作状態となり、検知部1には所定の電流が流れ、読取対象物20が検知できる状態となる。
【0060】
次に、ステップS505において、情報読取装置100がスタンバイモードとなる。スタンバイモードでは、検知部1のみが動作している状態となる。即ち、検知部1が読取対象物20を検知するまでは、照明部2、撮像部3及び送信部4は停止状態であるため、情報読取装置100における消費電力は抑制された状態が維持されている。
【0061】
以上のように、本開示の一実施形態に係る情報読取装置100においては、検知部1が読取対象物20を検知するまでは、検知部1のみを動作状態とし、照明部2、撮像部3及び送信部4を停止状態としているため、消費電力を抑制することができる。
【0062】
次に、情報読取装置100に読取対象物20が近接し、読み取った情報コードを送信した後、再度スタンバイモードに戻るまでの一連の流れについ説明する。
図10に、本開示の一実施形態に係る情報読取装置100において、情報コード21として、例えば、QRコード(登録商標)が近接してから、読み取ったQRコード(登録商標)に関するデータを送信し、その後、スタンバイモードとなるまでの手順を説明するためのフローチャートを示す。
【0063】
まず、ステップS601において、情報読取装置100に読取対象物20が近接する。このとき、検知部1は動作状態であるため、検知部1は、読取対象物20が検知部1から所定の距離の範囲内に近接したことを検知する。検知部1は読取対象物20が近接したことを示す検知信号を制御部6に出力する。
【0064】
次に、ステップS602において、情報読取装置100はQRコード(登録商標)認識モードとなる。このとき、制御部6は検知部1から取得した検知信号に従って、照明部2が光を照射するように制御すると共に、撮像部3が読取対象物20に付されたQRコード(登録商標)を撮像するように、撮像部3が停止状態から動作状態に移行するように制御する。
【0065】
次に、ステップS603において、撮像部3が、QRコード(登録商標)を撮像する。撮像部3は、撮像したQRコード(登録商標)が正常に読み取られたか否かを判断するようにしてよい。また、正常に読み取ることに失敗した場合は、再度読み取り動作を実行するようにしてよい。このときに、制御部6は、照明部2から照射される光の量を調整しながら、撮像部3が情報コード21を読み取るように制御してよい。
【0066】
次に、ステップS604において、制御部6が、撮像部3が撮像したデータ数及び経過時間を記憶部7に記憶する。即ち、撮像部3が撮像したQRコード(登録商標)の数をカウントしておき、予め設定しておいた所定数に達した時に送信部4が送信を実行できるようにしてよい。あるいは、所定の期間ごとに送信部4がデータの送信を実行するように、制御部6は、撮像部3が最初のQRコード(登録商標)を読み取った時刻からの経過時間を計時するようにしてよい。
【0067】
次に、ステップS605において、情報読取装置100は送信モードとなる。即ち、制御部6が検知部1から検知信号を取得した際、あるいは、撮像部3がQRコード(登録商標)を撮像した際に、制御部6は、送信部4が停止状態から動作状態に移行するように制御してよい。また、制御部6は、撮像部3がQRコード(登録商標)に関するデータを送信部4に出力した後に、照明部2が光の照射を停止するように制御するとともに、撮像部3が動作状態から停止状態に移行するように制御する。
【0068】
次に、ステップS606において、送信部4が、送信を完了させる。即ち、送信部4は、撮像部3が撮像したQRコード(登録商標)に関するデータを送信する。このとき、送信部4は、複数個のデータをまとめて送信してよい。あるいは、送信部4は、所定時間の間に撮像部3が撮像したQRコード(登録商標)に関するデータをまとめて送信してよい。
【0069】
次に、ステップS607において、情報読取装置100は、再度、スタンバイモードとなる。即ち、制御部6は、送信部4が動作状態から停止状態に移行するように制御する。このとき、検知部1のみが動作している状態となる。
【0070】
以上説明したように、本開示の一実施形態に係る情報読取装置100においては、送信部4が、読み取ったQRコード(登録商標)に関する情報を送信した後に、送信部4の動作を停止するようにしているため、送信部4で消費される電力を抑制することができる。
【0071】
次に、本開示の一実施形態に係る情報読取装置100において、スタンバイモードから、情報読取装置100の動作を停止させ、電池を抜去するまでの一連の流れについて説明する。
図11に、本開示の一実施形態に係る情報読取装置100において、スタンバイモードから、電源スイッチをオフし、その後、電池を抜去するまでの手順を説明するためのフローチャートを示す。
【0072】
まず、ステップS701において、情報読取装置100は、スタンバイモードとなっているものとする。この場合、検知部1のみが動作状態となっている。
【0073】
次に、ステップS702において、情報読取装置100に配置された電源スイッチをOFFする。
【0074】
次に、ステップS703において、情報読取装置100は、ペリフェラルシャットダウンモードとなる。この場合、制御部6は、検知部1が動作状態から停止状態に移行するように制御する。
【0075】
次に、ステップS704において、情報読取装置100のシャットダウン処理が完了する。この場合、動作していた検知部1が動作を停止した状態となる。
【0076】
次に、ステップS705において、情報読取装置100はスリープモードとなる。この場合、制御部6のみが動作している状態となる。
【0077】
次に、ステップS706において、電源部5から電池を抜去する。
【0078】
以上のようにして、本開示の一実施形態に係る情報読取装置100において、電源スイッチをONした状態で、かつ、読取対象物20が近接していない状態では、検知部1のみを動作させるようにしているため、情報読取装置100で消費される電力を最低限必要なレベルに抑制することができる。
【0079】
図12に、本開示の一実施形態に係る情報読取装置100において、各動作モードにおける制御部6、検知部1、撮像部3及び送信部4のそれぞれの動作状態を示す。表において、記号「-」は動作が停止している状態を示し、記号「〇」は動作している状態を示す。
【0080】
情報読取装置100の電源部5に電池を装填する前の「電源無し」の状態では、制御部6、検知部1、撮像部3、及び送信部4のいずれも動作していない。
【0081】
「制御部ブートモード」、「スリープモード」、及び「イニシャライズモード」では、制御部6のみが動作しており、検知部1、撮像部3、及び送信部4は動作していない。
【0082】
「スタンバイモード」では、制御部6及び検知部1が動作している。「スタンバイモード」は、読取対象物20が情報読取装置100に近接することを待機している状態であり、照明部2及び撮像部3は停止状態となっている。そのため、「スタンバイモード」では、情報読取装置100において消費される電力を必要最低限のレベルに抑制することができる。
【0083】
「QRコード(登録商標)認識モード」では、検知部1が、読取対象物20が情報読取装置100に近接したことを検知し、検知部1からの検知信号に基づいて、制御部6が照明部2及び撮像部3を停止状態から動作状態に移行するように制御する。この「QRコード(登録商標)認識モード」において、撮像部3が読取対象物20に付された情報コード21であるQRコード(登録商標)を撮像する。
【0084】
「送信モード」では、制御部6が、照明部2及び撮像部3が動作状態から停止状態に移行するように制御すると共に、送信部4を停止状態から動作状態に移行するように制御する。このとき、動作しているのは制御部6、検知部1及び送信部4のみである。従って、照明部2及び撮像部3による消費電力を抑制することができる。
【0085】
「ペリフェラルシャットダウンモード」では、制御部6が、検知部1及び送信部4が動作状態から停止状態に移行するように制御する。ただし、このとき、記憶部7には未送信のデータが残っている場合がある。送信部4は、記憶部7に残されたデータが存在している場合には、制御部6は、送信部4がデータを送信した後に、送信部4を動作状態から停止状態に移行するように制御する。このように、記憶部7に未送信のデータが残っている場合には、制御部6は、「ペリフェラルシャットダウンモード」において、ただちに送信部4を停止状態とはしないため、表においては記号「△」で表記している。
【0086】
次に、本開示の一実施形態に係る情報読取装置100において実測される電流の例について説明する。
図13に、本開示の一実施形態に係る情報読取装置100において、各動作モードにおいて検出される電流の例を示す。横軸は時間であり、縦軸は実測された電流である。
図13に示した電流は、スタンバイモードの状態から、情報コードを読み取り、読み取った情報コードに関するデータを送信し、再びスタンバイモードに戻るまでの電流の変化を示している。
【0087】
期間Aは、情報読取装置100がスタンバイモードである期間であり、検知部1のみが動作している。このときに流れる電流は非常に小さく抑えられている。
【0088】
期間Bは、情報読取装置100がQRコード(登録商標)認識モードである期間であり、検知部1、照明部2及び撮像部3が動作状態となっている。この場合、検知部1に加えて、照明部2及び撮像部3が動作状態となるため、スタンバイモードに比べて若干大きな電流が流れる。
【0089】
期間Cは、情報読取装置100が送信モードである期間の前半部分であり、撮像部3が撮像したQRコード(登録商標)に関するデータを送信している。データを送信する際に最も大きな電流が流れることが分かる。このことから、複数のデータをまとめて送信することでデータの送信回数を削減することにより、データ送信の際の消費電力を削減することができることがわかる。
【0090】
期間Dは、情報読取装置100が送信モードである期間の後半部分であり、送信部4がデータを送信した後、再びスタンバイモードに戻るまでの処理を実行している段階に相当する。このモードではデータの送信は完了しているため、大きな電流が流れることはない。
【0091】
期間Eは、情報読取装置100が再度スタンバイモードに戻った期間であり、期間Aと同様の大きさの電流が流れる。この場合も検知部1のみが動作している状態となっているため、流れる電流は小さくなっている。
【0092】
以上説明したように、本開示の一実施形態に係る情報読取装置100においては、情報読取装置100が、読取対象物20が近接するまでは検知部1のみを動作状態とし、照明部2及び撮像部3を停止状態としているため、消費電力を抑制することができる。
【0093】
さらに、本開示の一実施形態に係る情報読取装置100においては、撮像部3が読取対象物20に付された情報コード21を撮像した後には、送信部4のみを動作させるようにすることにより、消費電力を抑制することができる。
【0094】
以上のように、本開示の一実施形態に係る情報読取装置100においては、情報コードを読み取ってから送信するまでに消費される電力を抑制することができるため、電池による駆動を実現することができる。
【0095】
また、制御部6が、撮像部3が読み取った情報コード21に関するデータを送信部4が送信するように制御することにより、情報コード21の読み取りからデータ送信までの工程を自動で行うことができるため、情報読取装置100はオペレータを必要とすることなく読み取った情報コードに関するデータを送信することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 検知部
2 照明部
3 撮像部
4 送信部
5 電源部
6 制御部
7 記憶部
10 筐体
11 読取口
12 枠
13 開口部
20 読取対象物
21 情報コード
100 情報読取装置