(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162811
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】樹脂成形品
(51)【国際特許分類】
B29C 45/14 20060101AFI20221018BHJP
【FI】
B29C45/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067818
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 裕之
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AD05
4F206AD23
4F206AD25
4F206AH33
4F206AH37
4F206JA07
4F206JB12
4F206JB17
4F206JF05
4F206JQ81
(57)【要約】
【課題】樹脂材料をキャビティに流し込む際、被成形品に対して、樹脂圧が加えられた場合であっても被成形品が変形し難い樹脂成形品を提供すること。
【解決手段】樹脂成形品は、被成形品と、樹脂材料を用いた成形処理によって被成形品と一体化される成形樹脂部とを備える。被成形品の外周には、成形処理で樹脂材料が流れる際に生じる圧力を受ける圧受部が設けられる。圧受部は、成形処理で樹脂材料が流れる方向である第1方向と交差する方向である第2方向に広がる面で金型と当接する圧受面を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被成形品と、
樹脂材料を用いた成形処理によって前記被成形品と一体化される成形樹脂部と、を備え、
前記被成形品の外周には、
前記成形処理で前記樹脂材料が流れる際に生じる圧力を受ける圧受部が設けられ、
前記圧受部は、
前記成形処理で前記樹脂材料が流れる方向である第1方向と交差する方向である第2方向に広がる面で金型と当接する圧受面を有する
ことを特徴とする樹脂成形品。
【請求項2】
前記圧受部は、
前記第2方向で凹状または凸状に形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品。
【請求項3】
前記被成形品のうち前記第1方向における下流に位置する端面は、前記樹脂材料で覆われない
ことを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂成形品。
【請求項4】
前記被成形品のうち前記第1方向における下流の端部は、
前記第1方向を円筒軸方向とする円筒状に形成される
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の樹脂成形品。
【請求項5】
前記圧受部は、
前記被成形品の外周に円環状に形成される
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の樹脂成形品。
【請求項6】
前記金型は、
前記樹脂材料が注入されるキャビティを形成する第1金型と第2金型とを備え、
前記圧受部は、
前記第1方向の厚みが前記第1金型と前記第2金型とが当接する当接面に向かうほど厚い
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の樹脂成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、樹脂成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂成形された1次成形品を被成形品として2次成形用金型にセットして、樹脂材料をキャビティに流し込むことで、被成形品に樹脂材料を一体化する、所謂インサート成形技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、樹脂材料をキャビティに流し込む際、樹脂材料の流路の下流に被成形品である1次成形品が配置されていれば、1次成形品に対して、樹脂材料が流れる際に生じる圧力、所謂、樹脂圧が加わることにより、例えば、1次成形品の端部が金型に押し付けられて、金型と当接した部分が変形する可能性がある。
【0005】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、樹脂材料をキャビティに流し込む際、被成形品に対して、樹脂圧が加えられた場合であっても、被成形品が変形し難い樹脂成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る樹脂成形品は、被成形品と、樹脂材料を用いた成形処理によって被成形品と一体化される成形樹脂部とを備える。被成形品の外周には、成形処理で樹脂材料が流れる際に生じる圧力を受ける圧受部が設けられる。圧受部は、成形処理で樹脂材料が流れる方向である第1方向と交差する方向である第2方向に広がる面で金型と当接する圧受面を有する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、樹脂材料をキャビティに流し込む際、被成形品に対して、樹脂圧が加えられた場合であっても被成形品が変形し難い樹脂成形品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る樹脂成形品の構成の一例を示す側面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る1次成形品の構成の一例を示す側面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る1次成形品が第1金型と第2金型との間に配置された状態の2次成形用金型の平面図である。
【
図7】
図7は、
図6に示すVII-VII線に沿った断面図である。
【
図8】
図8は、
図7に示す第1金型と第2金型とが型締された状態を示す断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る1次成形品が2次成形工程において2次成形用樹脂材料によって受ける圧力の方向を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る圧受部がない1次成形品を用いた2次成形処理を説明するための図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る1次成形品の構成の他の例を示す正面図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る1次成形品の構成の他の例を示す側面図である。
【
図14】
図14は、
図12に示す1次成形品が型締前の第1金型と第2金型との間に配置された状態を示す断面図である。
【
図15】
図15は、
図12に示す1次成形品が型締後の第1金型と第2金型との間に配置された状態を示す断面図である。
【
図16】
図16は、実施形態に係る1次成形品の構成のさらに他の例を示す側面図である。
【
図18】
図18は、
図16に示す1次成形品が型締前の第1金型と第2金型との間に配置された状態を示す断面図である。
【
図19】
図19は、
図16に示す1次成形品が型締後の第1金型と第2金型との間に配置された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する樹脂成形品の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、
図1および
図2を含む複数の図面には、説明を分かりやすくするために、XYZ軸の座標を付している。Z軸方向は、樹脂成形品に含まれる回路基板の主面と直交する方向であり、以下において、Z軸正方向を上方向と記載し、Z軸負方向を下方向と記載する場合がある。また、樹脂成形品の構成の一部のみを図示する場合において、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向の各々は、樹脂成形品が完成した状態での方向である。
【0010】
図1および
図2に示すように、実施形態に係る樹脂成形品1は、回路基板10と、1次成形樹脂部20と、2次成形樹脂部30とを備える。回路基板10には、導電部材11および不図示の電子部品が搭載されている。回路基板10は、例えば、両面配線基板であるが、3層以上の配線基板であってもよい。
【0011】
樹脂成形品1では、回路基板10が、1次成形樹脂部20および2次成形樹脂部30を含む樹脂によって封止されることで、防水性を確保すると共に強度を向上させることができる。なお、
図1および
図2に示す例では、樹脂成形品1は、2次成形樹脂部30が回路基板10の全体を覆う構成であるが、樹脂成形品1は、2次成形樹脂部30が回路基板10の一部を覆う構成であってもよい。
【0012】
1次成形樹脂部20は、回路基板10の端部に一端部21が接合されている。そして、樹脂成形品1では、1次成形樹脂部20の一端部21が2次成形樹脂部30によって覆われていることで、1次成形樹脂部20と回路基板10との接合強度が高くなっている。
【0013】
1次成形樹脂部20は、1次成形用樹脂材料を用いた1次成形処理によって導電部材11と一体化され、導電部材11および不図示の電子部品は回路基板10と半田によって電気的に接続される。1次成形用樹脂材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ABS樹脂、またはポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂であるが、熱可塑性樹脂以外の樹脂であってもよい。1次成形処理は、例えば、射出成形による成形処理である。1次成形処理は、1次成形工程で行われる。また、導電部材11は、半田によって回路基板10と接続されるが、ケーブルと接続されてもよい。
【0014】
図3および
図4に示す1次成形品2において、1次成形樹脂部20の一端部21は、1次成形処理によって回路基板10の主面Mに接合される。1次成形樹脂部20の他端部22は、
図3における左右方向を円筒軸Lc方向とする円筒状に形成されており、
図3および
図4における左右方向の端面22aは、円環状の端面である。
【0015】
1次成形樹脂部20の一端部21と他端部22との間に位置する中途部分における外周には、2次成形処理で2次成形用樹脂材料が流れる際に生じる圧力を受ける圧受部23が設けられている。圧受部23は、1次成形樹脂部20の中途部分における外周に凸状に形成されており、後述するように、2次成形処理時に金型に当接する圧受面23aを有する。圧受部23は、
図5に示すように、フランジ状に形成され、円筒軸Lcから遠ざかる方向に突出しており、圧受部23の圧受面23aは、円環状に形成されている。
【0016】
圧受部23は、YZ平面において、
図3に示すZ軸に沿って中心Oから離れるほど、
図3における左右方向(X軸方向)の厚みが薄く形成される。これにより、圧受面23aは2次成形用樹脂材料が流れる方向と交差する方向であるY軸方向およびZ軸方向に広がる面が傾斜するテーパー面になっている。かかる圧受面23aは、YZ平面においてZ軸に沿って中心Oに近づくほどX軸方向の距離が他端部22に近づく。また、圧受部23のうち
図3における圧受面23aの反対側にある面23bもテーパー面であり、YZ平面においてZ軸に沿って中心Oに近づくほどX軸方向の距離が一端部21に近づく。なお、圧受面23aおよび面23bは、YZ平面に平行な面であってもよい。
【0017】
図1および
図2に戻って、樹脂成形品1の説明を続ける。2次成形樹脂部30は、2次成形用樹脂材料を用いた2次成形処理によって回路基板10および1次成形樹脂部20と一体化される。また、
図1および
図2に示す例では、2次成形樹脂部30が回路基板10に接合されているが、樹脂成形品1は、2次成形樹脂部30が1次成形樹脂部20だけに接合される構成であってもよい。
【0018】
2次成形用樹脂材料は、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、またはエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂であるが、熱硬化性樹脂以外の樹脂であってもよい。2次成形処理は、例えば、トランスファ成形による成形処理である。2次成形処理は、1次成形工程の後の2次成形工程で行われる。
【0019】
上述したように、樹脂成形品1には、2次成形処理で2次成形用樹脂材料が流れる際に生じる圧力、所謂、樹脂圧を受ける圧受部23が設けられており、これにより、2次成形処理が行われる2次成形工程において1次成形品2に加わる樹脂圧による1次成形品2の変形が抑制される。以下、2次成形について説明する。
【0020】
図6に示すように、2次成形工程では、2次成形用金型40が用いられる。2次成形用金型40は、
図7に示すように、2次成形用樹脂材料が注入されるキャビティ43(
図8参照)を形成する第1金型41と第2金型42とを含む。第1金型41は、2次成形樹脂部30の下側を形成するための金型であり、下金型とも呼ばれる。また、第2金型42は、2次成形樹脂部30の上側を形成するための金型であり、上金型とも呼ばれる。
【0021】
2次成形工程において、第1金型41と第2金型42とは上下方向で間隔を空けて互いに対向しており、第1金型41と第2金型42との間の空間に、1次成形品2が不図示の搬送装置によって搬送され、搬送装置から第1金型41に1次成形品2が受け渡される。
【0022】
次に、第1金型41および第2金型42のうちの一方が他方に対して近づくように移動して、
図8に示すように、第1金型41の当接面41aと第2金型42の当接面42aとが互いに当接し、第1金型41と第2金型42とが型締される。これにより、1次成形品2は、第1金型41と第2金型42とによって形成されるキャビティ43内に位置決めされる。
【0023】
図8に示す状態では、圧受部23が第1金型41に形成された凹部41bと第2金型42に形成された凹部42bとに係合した状態であり、これにより、1次成形品2の
図6における左右方向(X軸方向)の移動が規制される。
【0024】
2次成形工程において、第1金型41と第2金型42とが型締された後、キャビティ43内に溶融した2次成形用樹脂材料33が注入される。このとき、1次成形品2の一端部21は、キャビティ43内に注入された2次成形用樹脂材料33がキャビティ43を流れる際に生じる2次成形用樹脂材料33による圧力P(樹脂圧)を受ける。圧力Pの方向である圧力方向Dpは、
図9に示すように、1次成形品2の一端部21から他端部22へ向かう方向であり、
図9における左方向である。
【0025】
図9に示すように、1次成形品2における圧受部23の圧受面23aは、圧力方向Dpで第1金型41の当接面41cおよび第2金型42の当接面42cと対向して当接しているため、2次成形用樹脂材料33による圧力Pによって1次成形品2の他端部22の端面22aが2次成形用金型40と接触することがなく、圧力方向Dpで他端部22の端面22aは2次成形用金型40と間隔を空けて対向する。
【0026】
1次成形品2の他端部22は、円筒状に形成されているため、圧力方向Dpと直交する方向の厚みが薄い。そのため、1次成形品2において圧受部23を設けずに、他端部22の端面22aで2次成形用樹脂材料33による圧力Pを受けるようにした場合、1次成形品2の他端部22が変形する可能性がある。特に、他端部22の端面22aが2次成形用樹脂材料33で覆われないことから、他端部22が金型に当接するため、他端部22の端面22aが2次成形用樹脂材料33で覆われる場合に比べて、他端部22に加わる圧力が大きく、他端部22が変形する可能性が高くなる。
【0027】
ここで、圧受部23が設けられていない1次成形品2Aに対して2次成形処理を行った場合の例について説明する。
図10に示すように、圧受部23が設けられていない1次成形品2Aに対して2次成形用金型40を用いて2次成形処理を行う場合、キャビティ43内に2次成形用樹脂材料33による圧力Pを受けるための圧受部材44が1次成形品2Aにおける1次成形樹脂部20の他端部22における端面22aと2次成形用金型40との間に配置される。
【0028】
そして、第1金型41と第2金型42とを型締した後、キャビティ43内に溶融した2次成形用樹脂材料33を注入すると、1次成形樹脂部20の一端部21に加わる2次成形用樹脂材料33による圧力Pが端面22aに加わる。1次成形品2Aの他端部22は、円筒状に形成され、圧力方向Dp(
図9参照)と直交する方向の厚みが薄いことから、2次成形品である樹脂成形品1Aは、
図10に示すように、樹脂成形品1Aにおける1次成形樹脂部20の他端部22が変形する場合がある。
【0029】
そこで、圧受部23は、一端部21が圧力Pを受けた場合であっても変形し難いように、圧力方向Dpと直交する方向の厚みが他端部22よりも厚く形成されている。そのため、2次成形工程において1次成形品2に加わる圧力による1次成形品2の変形が抑制される。
【0030】
また、2次成形工程において、1次成形品2の一端部21以外の部分は、2次成形用樹脂材料33で覆われない構成であり、2次成形用樹脂材料33で覆われない領域に圧受部23の圧受面23aが形成される。そのため、2次成形用樹脂材料33の注入によって1次成形品2に加わる圧力を圧受部23の圧受面23aで精度よく受けることができる。
【0031】
また、圧受部23の圧受面23aは、
図5に示すように、1次成形樹脂部20の外周に円環状に形成されるため、圧受面23aの面積を広くとることができ、1次成形品2の一端部21に加わる圧力によって1次成形品2に加わる力を圧受面23aで分散させることができる。そのため、圧受面23aが円環状に形成されずに圧受面23aの面積が広くとれていない場合に比べて、圧受面23aに加わる圧力を低減することができる。
【0032】
また、圧受部23は、圧力方向Dpの厚みが第1金型41と第2金型42とが当接する当接面41a,42aに向かうほど厚い。そのため、2次成形処理後の樹脂成形品1を2次成形用金型40から容易に取り出すことができる。
【0033】
圧受部23の形状は、
図5に示す形状に限定されず、例えば、
図11に示すように、円環状でなくてもよい。
図11に示す圧受面23aは、
図11における左右方向に間隔を空けて2つの圧受面23aが形成されている。
【0034】
また、1次成形品2における圧受部の位置および構成は上述した例に限定されない。
図12および
図13に示す1次成形品2は、圧受部23に代えて、圧受部24を備える。圧受部24は、1次成形樹脂部20の一端部21と他端部22との間に位置する中途部分における外周に、円筒軸に近づく方向において凹状に形成されており、2次成形処理時に2次成形用金型40に当接する圧受面24aを有する。
【0035】
圧受部24は、1次成形樹脂部20の中途部分における外周に凹状に形成されており、圧受部24の圧受面24aは、円環状に形成されている。圧受部24の圧受面24aは、テーパー面であり、
図12に示すYZ平面において、Z軸に沿って中心Oに近づくほどX軸方向の距離が他端部22に近づく。これにより、2次成形処理後の樹脂成形品1を2次成形用金型40から容易に取り出すことができる。
【0036】
図14に示すように、第1金型41と第2金型42との間の空間に、1次成形品2が不図示の搬送装置によって搬送され、搬送装置から第1金型41に1次成形品2が受け渡される。そして、第1金型41および第2金型42のうちの一方が上下方向に移動して、第1金型41の当接面41aと第2金型42の当接面42aとが互いに当接し、第1金型41と第2金型42とが型締される。これにより、1次成形品2は、
図15に示すように、第1金型41と第2金型42とによって形成されるキャビティ43内に位置決めされる。
【0037】
図15に示す状態では、圧受部24が第1金型41に形成された凸部41dと第2金型42に形成された凸部42dとに係合した状態であり、これにより、1次成形品2の
図15における左右方向の移動が規制される。
【0038】
2次成形工程において、第1金型41と第2金型42とが型締された後、キャビティ43内に溶融した2次成形用樹脂材料33が注入される。このとき、圧受部23の圧受面23aと同様に、圧受部24の圧受面24aが2次成形用樹脂材料33の注入によって1次成形品2に加わる圧力を受ける。圧受部24の圧受面24aは、2次成形用樹脂材料33で覆われていないため、2次成形用樹脂材料33の注入によって1次成形品2に加わる圧力を精度よく受けることができる。
【0039】
また、圧受面24aは一端部21によって支持されることから、1次成形品2の変形が抑制される。また、圧受面24aは、1次成形樹脂部20の外周に円環状に形成されるため、圧受面24aの面積を広くとることができ、圧受面23aと同様に、圧受面24aに加わる圧力を低減することができる。なお、圧受面24aの形状は、円環状でなくてもよい。
【0040】
図16および
図17に示す1次成形品2は、圧受部23,24に代えて、圧受部25を備える。圧受部25は、1次成形樹脂部20の他端部22における外周に、凸状に形成されており、2次成形処理時に2次成形用金型40に当接する圧受面25aを有する。圧受部25は、圧受部23と同様に、円筒軸Lcから遠ざかる方向にフランジ状に突出しており、圧受部25の圧受面25aは、円環状に形成されている。圧受部25の圧受面25aは、テーパー面であり、
図16に示すYZ平面において、Z軸に沿って中心Oに近づくほどX軸方向の距離が一端部21から遠ざかるように形成される。なお、
図16および
図17に示す1次成形品2においては、圧受部25aと端面22aとは同一面である。
【0041】
図18に示すように、第1金型41と第2金型42との間の空間に、1次成形品2が不図示の搬送装置によって搬送され、搬送装置から第1金型41に1次成形品2が受け渡される。そして、第1金型41および第2金型42のうちの一方が上下方向に移動して、第1金型41の当接面41aと第2金型42の当接面42aとが互いに当接し、第1金型41と第2金型42とが型締される。これにより、1次成形品2は、
図19に示すように、第1金型41と第2金型42とによって形成されるキャビティ43内に位置決めされる。
【0042】
図19に示す状態では、圧受部25が第1金型41に形成された凹部41eと第2金型42に形成された凹部42eとに係合した状態であり、これにより、1次成形品2の
図19における左右方向の移動が規制される。
【0043】
2次成形工程において、第1金型41と第2金型42とが型締された後、キャビティ43内に溶融した2次成形用樹脂材料33が注入される。このとき、圧受部23の圧受面23aと同様に、圧受部25の圧受面25aが2次成形用樹脂材料33の注入によって1次成形品2に加わる圧力を受ける。圧受部25の圧受面25aは、2次成形用樹脂材料33で覆われないため、2次成形用樹脂材料33の注入によって1次成形品2に加わる圧力を精度よく受けることができる。
【0044】
また、圧受面25aは、1次成形樹脂部20の外周に円環状に形成されるため、圧受面25aの面積を広くとることができ、圧受面23aと同様に、圧受面25aに加わる圧力を低減することができる。また、圧受部25の圧力方向Dp(
図9参照)と直交する方向の厚みは、他端部22の圧力方向Dpと直交する方向の厚みよりも厚いため、圧受部25の変形が抑制される。なお、圧受面25aの形状は円環状でなくてもよい。
【0045】
また、圧受部25は、圧力方向Dpの厚みが第1金型41と第2金型42とが当接する当接面41a,42aに向かうほど厚い。そのため、2次成形処理後の樹脂成形品1を2次成形用金型40から容易に取り出すことができる。
【0046】
以上のように、実施の形態1にかかる樹脂成形品1は、1次成形品2と、2次成形用樹脂材料33を用いた2次成形処理によって1次成形品2と一体化される2次成形樹脂部30とを備える。1次成形品2は、被成形品の一例であり、2次成形用樹脂材料33は、樹脂部材の一例であり、2次成形処は成形処理の一例であり、2次成形樹脂部30は、成形樹脂部の一例である。1次成形品2の外周には、2次成形処理で2次成形用樹脂材料33が流れる際に生じる圧力を受ける圧受部23,24,25が設けられる。圧受部23,24,25は、2次成形処理で2次成形用樹脂材料33が流れる方向である第1方向と交差する方向である第2方向に広がる面で2次成形用金型40と当接する圧受面23a,24a,25aを有する。第2方向は、回路基板10の主面Mに交差する方向であり、Y軸方向およびZ軸方向である。言い換えれば、第2方向は、YZ平面に沿う方向である。第1方向は、上述した圧力方向Dpであり、X軸正方向である。これにより、樹脂成形品1では、樹脂材料をキャビティに流し込む際、被成形品に対して、樹脂圧が加えられた場合であっても1次成形品2の変形をし難くすることができる。
【0047】
また、圧受部23,24,25は、第2方向で凹状または凸状に形成される。これにより、圧受部23,24,25を容易に形成することができる。
【0048】
また、1次成形品2のうち第1方向における下流に位置する端面22aは、2次成形用樹脂材料33で覆われない。これにより、樹脂成形品1の成形工程において、端面22aに圧力が加わることを抑制することができ、他端部22が変形し易い場合であっても、1次成形品2の変形をし難くすることができる。
【0049】
また、1次成形品2のうち第1方向における下流の端部である他端部22は、第1方向を円筒軸方向とする円筒状に形成される。これにより、樹脂成形品1は、変形し易い円筒状に形成された他端部22の変形を圧受部23,24,25によってし難くすることができる。
【0050】
また、圧受部23,24,25は、1次成形樹脂部20の外周に円環状に形成される。これにより、樹脂成形品1の成形工程において、圧受面23aが円環状に形成されずに圧受面23aの面積が広くとれていない場合に比べて、圧受面23aに加わる圧力を低減することができる。
【0051】
また、2次成形用金型40は、2次成形用樹脂材料33が注入されるキャビティ43を形成する第1金型41と第2金型42とを備える。2次成形用金型40は、金型の一例である。圧受部23,25は、第1方向の厚みが第1金型41と第2金型42とが当接する当接面41a,42aに向かうほど厚い。これにより、2次成形処理後の樹脂成形品1を2次成形用金型40から容易に取り出すことができる。
【0052】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1,1A 樹脂成形品
2,2A 1次成形品
10 回路基板
20 1次成形樹脂部
21 一端部
22 他端部
22a 端面
23,24,25 圧受部
23a,24a,25a 圧受面
30 2次成形樹脂部
33 2次成形用樹脂材料
40 2次成形用金型
41 第1金型
41a,42a,41c,42c 当接面
42 第2金型
43 キャビティ
44 圧受部材