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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162828
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】手すり
(51)【国際特許分類】
   F21V 33/00 20060101AFI20221018BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20221018BHJP
【FI】
F21V33/00 200
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067852
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005005
【氏名又は名称】不二サッシ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000140269
【氏名又は名称】株式会社遠藤照明
(71)【出願人】
【識別番号】000112185
【氏名又は名称】ビニフレーム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002712
【氏名又は名称】弁理士法人みなみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】清水 國孝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 直行
(72)【発明者】
【氏名】加登 篤
(72)【発明者】
【氏名】辻井 千穂
(72)【発明者】
【氏名】吉野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 葉一
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014PB01
(57)【要約】
【課題】笠木に照明を内蔵したものであって、この照明が垂直方向に対して傾斜した方向に光を照射できる手すりを提供する。
【解決手段】筒状の笠木と、該笠木の内部に納まる照明具を備え、前記笠木は、形材からなるカバー材と形材からなる目板材が係合して固定ネジで固定されたものであり、前記カバー材は、前記笠木の外形を構成するカバー外殻部と、該カバー外殻部の内側に設けられた支持部を有しており、該支持部は、互いに傾斜する第1面部と第2面部を有するものであって、前記第1面部または前記第2面部が、前記照明具が取り付けられる取付面部となっており、前記第1面部および/または前記第2面部が、前記固定ネジが螺合するカバー固定面部となっており、前記目板材は、前記固定ネジが貫通する目板固定面部を有しており、前記カバー固定面部と前記目板固定面部が平行である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の笠木と、該笠木の内部に納まる照明具を備え、
前記笠木は、形材からなるカバー材と形材からなる目板材が係合して固定ネジで固定されたものであり、
前記カバー材は、前記笠木の外形を構成するカバー外殻部と、該カバー外殻部の内側に設けられた支持部を有しており、
該支持部は、互いに傾斜する第1面部と第2面部を有するものであって、前記第1面部または前記第2面部が、前記照明具が取り付けられる取付面部となっており、前記第1面部および/または前記第2面部が、前記固定ネジが螺合するカバー固定面部となっており、
前記目板材は、前記固定ネジが貫通する目板固定面部を有しており、
前記カバー固定面部と前記目板固定面部が平行であることを特徴とする手すり。
【請求項2】
前記支持部は、前記第1面部と前記第2面部からなる断面略くの字形のものであることを特徴とする請求項1記載の手すり。
【請求項3】
前記カバー材は、前記カバー外殻部と前記支持部が一体に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の手すり。
【請求項4】
前記カバー材は、前記カバー外殻部と前記支持部に囲まれた中空部を有することを特徴とする請求項1、2または3記載の手すり。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明を内蔵した手すりに関する。
【背景技術】
【0002】
通路などに設置される手すりにおいて、従来、特許文献1に示すように、人が手を掛けるための笠木に照明を内蔵したものがある。このような手すりによれば、別途照明器具を設置する必要がなく、通行人の足元を照らすことで安全性が確保され、また光の照射による演出効果が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-249119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の手すりは、照明器具が真下方向(垂直下向き)に光を照射するものであって、それ以外の態様は想定されていない。しかしながら、たとえば手すりが壁際に設置される場合には、真下(壁際)よりも通路の中央側に向けて光を照射するものが望まれるなど、垂直方向に対して傾斜した方向に光を照射できるものが望まれていた。
【0005】
本発明は、このような事情を鑑みたものであり、笠木に照明を内蔵したものであって、この照明が垂直方向に対して傾斜した方向に光を照射できる手すりを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、筒状の笠木と、該笠木の内部に納まる照明具を備え、前記笠木は、形材からなるカバー材と形材からなる目板材が係合して固定ネジで固定されたものであり、前記カバー材は、前記笠木の外形を構成するカバー外殻部と、該カバー外殻部の内側に設けられた支持部を有しており、該支持部は、互いに傾斜する第1面部と第2面部を有するものであって、前記第1面部または前記第2面部が、前記照明具が取り付けられる取付面部となっており、前記第1面部および/または前記第2面部が、前記固定ネジが螺合するカバー固定面部となっており、前記目板材は、前記固定ネジが貫通する目板固定面部を有しており、前記カバー固定面部と前記目板固定面部が平行であることを特徴とする。ここで、取付面部、カバー固定面部および目板固定面部は、何れも各部材の表面の一部である面であり、平面状であっても曲面状であってもよい。そして、これらの面が形成される部材自体は、どのような形状のものであってもよい。また、カバー固定面部と目板固定面部が平行であるとは、両方の面に対して1本の直線が直交する状態であって、その直線上に固定ネジが位置するものである。なお、支持部において、カバー固定面部と取付面部が第1面部と第2面部の同じ方であってもよい。その場合、固定ネジが螺合する位置と照明具が取り付けられる位置が長手方向にずれた位置となる。また、目板材の目板固定面部は、それ自身が笠木の外形を構成するものであってもよいし、笠木の外形を構成する部分の内側に設けられたものであってもよい。
【0007】
また、本発明は、前記支持部が、前記第1面部と前記第2面部からなる断面略くの字形のものであってもよい。
【0008】
また、本発明は、前記カバー材が、前記カバー外殻部と前記支持部が一体に形成されているものであってもよい。
【0009】
また、本発明は、前記カバー材が、前記カバー外殻部と前記支持部に囲まれた中空部を有するものであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、支持部の第1面部と第2面部のうち少なくとも一方は水平面に対して傾斜するので、傾斜する方を取付面部とすれば、この取付面部に取り付けられた照明具が傾き、垂直方向に対して傾斜した方向に光を照射できる。照明具を傾けるための別部材などは必要なく、簡易な構成とすることができる。また、取付面部が笠木を構成するカバー材自体に設けられているので、笠木の長手方向にわたって傾斜角度が一致し、照明具の光の照射角度を揃えることができる。さらに、第1面部と第2面部の何れかまたは両方をカバー固定面部とすることができ、カバー固定面部と目板固定面部が平行なので、両者に対して固定ネジを垂直向きに螺合または貫通させることで、カバー材と目板材を確実に固定できる。
【0011】
また、支持部が第1面部と第2面部からなる断面略くの字形のものであれば、より簡易な構成となる。
【0012】
また、カバー材においてカバー外殻部と支持部が一体に形成されているものであれば、より簡易な構成となりかつ剛性が高くなる。
【0013】
また、カバー材がカバー外殻部と支持部に囲まれた中空部を有するものであれば、カバー材自体の剛性がより高くなるとともに、支持部の剛性も高くなる。これにより、取付面部に対して照明具をより安定して固定できる。また、カバー材と目板材は支持部のカバー固定面部に固定ネジを螺合して固定するので、カバー材に対して目板材をより安定して固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】手すりの第1実施形態における笠木の照明具の取付部分の説明図(図3のA-A線断面図)。
図2】手すりの第1実施形態における笠木のカバー材と目板材の固定部分の説明図(図3のB-B線断面図)。
図3】手すりの第1実施形態の正面図。
図4】手すりの第1実施形態における笠木の壁面への取付構造の説明図(図3のC-C線断面図)。
図5】手すりの第1実施形態における給電部分の説明図(図3のD-D線断面図)。
図6】手すりの第1実施形態における笠木の連結部分の説明図であり、(a)は断面図((b)のE-E線断面図)、(b)は正面図。
図7】手すりの第2実施形態における笠木のカバー材と支柱部目板材の固定部分の説明図(図8のF-F線断面図)。
図8】手すりの第2実施形態の正面図。
図9】手すりの第2実施形態における笠木の床面への取付構造の説明図(図8のG-G線断面図)。
図10】手すりの第2実施形態における給電部分の説明図(図8のH-H線断面図)。
図11】カバー材の別形態の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の手すりの具体的な内容について説明する。なお、以下において、前後方向とは手すりの見込方向であり、左右方向とは手すりの笠木が延びる方向(笠木の長手方向)である。
【0016】
まず、手すりの第1実施形態の全体構成について説明する。第1実施形態は、壁面に沿った通路において、歩行者の補助のために設置されるものであって、壁面に直接取り付けられるものである。第1実施形態においては、壁面側が後側となり、壁面の前側に手すりが取り付けられる。図3および図4に示すように、この手すりの第1実施形態は、筒状の笠木100と、笠木100の内部に納まる照明具200と、笠木100を壁面Wに固定するためのブラケット6を備える。笠木100は、左右に直線状に延びており、その内部に、複数の照明具200が左右に間隔を空けて設けられている。そして、壁面Wには複数のブラケット6が左右に間隔を空けて取り付けられており、これらのブラケット6により笠木100が支持されている。以下、手すりの第1実施形態の各構成部材について、より詳しく説明する。
【0017】
笠木100は、図1図4に示すように、断面略円形の中空構造であって、上側に位置するカバー材1と、下側に位置する目板材3が係合して、固定ネジSで固定されたものである。
【0018】
カバー材1は、アルミ製の押出形材からなるものであって、図1および図2に示すように、笠木100の外形を構成するカバー外殻部11と、カバー外殻部11の内側に設けられた板状の第1板部16aおよび第2板部17aを有しており、カバー外殻部11と第1板部16aおよび第2板部17aは一体に形成されている。そして、第1板部16aおよび第2板部17aの表面の一部が支持部12となっているので、カバー外殻部11と支持部12も一体に形成されているといえる。より詳しくは、カバー外殻部11は、前後対称の円弧状であって中心角は180度よりやや大きい形状である。そして、カバー外殻部11の前後の下端に、内側に向けて突出する係合部18が形成されている。カバー外殻部11の内側には、互いに傾斜する2つの平板状部分である第1板部16aと第2板部17aが形成されており、第1板部16aの下面が第1面部16であり、第2板部17aの下面が第2面部17である。そして、支持部12は、第1面部16と第2面部17からなる断面略くの字形のものであり、カバー材1の上下方向中央部に位置している。第1板部16a(第1面部16)は、カバー外殻部11の前側部分の内周面から、後下側の水平面に対して17.5度傾斜する方向に向けて、カバー材1の前後方向中心よりやや後側まで延びている。第2板部17a(第2面部17)は、第1板部16a(第1面部16)の後端部から、後側(水平方向)に向けて、カバー外殻部11の後側部分の内周面まで延びている。そして、カバー材1は、カバー外殻部11の上側部分と、支持部12(第1板部16aと第2板部17a)とに囲まれた中空部15を有する。
【0019】
目板材3は、アルミ製の押出形材からなるものであって、図1および図2に示すように、笠木100の外形を構成する目板外殻部31と、同じく笠木100の外形を構成する板状の目板固定板部32aを有しており、目板外殻部31と目板固定板部32aは一体に形成されている。そして、目板固定板部32aの表面の一部が目板固定面部32となっているので、目板外殻部31と目板固定面部32も一体に形成されているといえる。より詳しくは、目板材3の前後方向中央部分が目板固定板部32aとなっており、目板固定板部32aの前後両側部分が目板外殻部31となっていて、目板固定板部32aの下面が目板固定面部32である。目板固定板部32aは、前上側から後下側に向けて傾斜した平板状のものであり、水平面に対する傾斜角度は17.5度である。よって、目板固定面部32とカバー材1の支持部12の第1面部16は平行である。目板固定板部32aの前端には、目板固定板部32aと直交する向きで下方に突出する段部33が形成されている。目板外殻部31は、前側部分については段部33の下端から前上側へ延び、後側部分については目板固定板部32aの後端から後上側へ延びるものであって、カバー材1のカバー外殻部11と同心の円弧状である。そして、目板外殻部31の前後の上端に、断面略L字形の被係合部34が形成されている。被係合部34は、目板外殻部31の上端から内側に向けて突出し屈曲して上側に向けて突出した形状となっている。
【0020】
このように構成されたカバー材1と目板材3は、カバー材1の前後の係合部18が目板材3の前後の被係合部34に係合するように組み合わさって、笠木100を構成している。この際、カバー材1の係合部18の内側に目板材3の被係合部34の垂直部分が嵌まり込み、カバー材1のカバー外殻部11と目板材3の目板外殻部31が一連の円弧を形成する。そして、図3に示すように、カバー材1と目板材3は、長手方向の複数箇所において固定ネジSによりネジ止めして固定されている。固定箇所においては、目板材3の目板固定面部32(目板固定板部32a)に、固定ネジSが貫通する通し穴が形成されており、カバー材1の支持部12の第1面部16(第1板部16a)に、固定ネジSが螺合するネジ穴が形成されている。よって、ここでは支持部12の第1面部16が、固定ネジSが螺合するカバー固定面部13となっており、また、カバー固定面部13と目板固定面部32が平行である。そして、固定ネジSが下側(目板材3側)から目板固定面部32の通し穴に挿入され、カバー材1のカバー固定面部13のネジ穴に螺合している。なお、笠木100の端部には、壁面W側に向かって屈曲する形状のエンドエルボ101が取り付けられている。
【0021】
また、図1および図3に示すように、笠木100の長手方向の所定箇所に、照明具200が取り付けられている。照明具200の数や笠木100の長手方向における位置は限定されないが、ここでは2つのブラケット6の中間位置に設けられている。照明具200は、LEDやその他必要な回路などをケースに納めたものであり、下端部が発光部となっており、上端に平板状で左右に延びる取付板201が取り付けられている。照明具200には給電ケーブルが接続されているが、図示省略してある。そして、図1に示すように、支持部12の第1面部16に下側から取付板201をネジ止めして取り付けられている。よって、ここでは支持部12の第1面部16が、照明具200が取り付けられる取付面部14となっており、また、取付面部14が水平面に対して傾斜している。
【0022】
目板材3の照明具200に対向する部分には、左右に長い矩形の穴が形成され、この穴に透明な素材からなる透過部材202が嵌め込まれている。透過部材202は、穴に丁度嵌まる大きさの矩形の板状のものであって、上端部が前後に延出しており、この延出部分が穴の縁部に係止している。照明具200から照射される光は、透過部材202を透過して外部を照らす。
【0023】
なお、支持部12の第1面部16は、カバー固定面部13でありかつ取付面部14でもある。図3に示すように、カバー固定面部13として固定ネジSが螺合する位置と、取付面部14として照明具200が取り付けられる位置が、長手方向にずれた位置となる。
【0024】
ブラケット6は、図4に示すように、壁面Wに固定する基部61と、基部61の前面上端から前側上方に向けて延び途中で屈曲して垂直上方に向けて延びる腕部62と、腕部62の上端に設けた受部63からなる。受部63は、左右方向から見て下側に凸となる向きの三日月形で、前後方向中心は腕部62の上端より前側にずれており、上面が目板材3の目板外殻部31の外周面と一致する円弧状となっている。基部61は、壁面Wに埋め込んだナットアンカー64に対して前側からボルト止めして固定されている。基部61にはカバー65を被せてボルトを隠してある。そして、受部63に笠木100が載置されており、受部63の下側から目板材3の目板固定面部32に対してネジ止めして固定されている。
【0025】
なお、図3に示すように、目板材3は、ブラケット6に対応する部位(ブラケット6の左右幅よりもやや広い範囲)と、それ以外の部位とで、長手方向に分断された別部材となっており、それぞれがカバー材1と固定ネジSで固定されている。これにより、笠木100自体をブラケット6から取り外すことなく、2つのブラケット6の間部分の目板材3だけを取り外すことができるので、照明具200のメンテナンスが容易である。
【0026】
また、照明具200に電力を供給するための給電ケーブルCは、壁面Wの中を通して電源に接続されており、この給電ケーブルCが壁面Wから笠木100の内部へと延びている。そして、当該部分に給電カバー300が設けられていて、給電ケーブルCが覆い隠されている。図3および図5(目板材3および側面部材303は透過して表示してある)に示すように、給電カバー300は、ブラケット6と略同じ左右幅で、壁面Wから前側に延び、屈曲して前上側に延び、さらに屈曲して上側に延びる中空構造のものである。より詳しくは、給電カバー300は、上部材301と、下部材302と、左右の側面部材303からなる。上部材301は、アルミ製の押出形材からなるものであって、垂直向きの基礎部311と、基礎部311の上端から前側に延び、屈曲して前上側に延び、さらに屈曲して上側に延びる延出部312と、延出部312の上端に形成された接続部313を有する。接続部313は、上端面が前上側から後下側に向けて傾斜した傾斜面部314となっており、傾斜面部314の水平面に対する傾斜角度は17.5度である。また、傾斜面部314の前後端の下側部分には、それぞれ外側に突出する凸部315が形成されており、凸部315の下側は円弧状に形成されている。そして、基礎部311の下端部と前側の凸部315の下側部には、それぞれ内側に向けて突出する受部316が形成されている。下部材302は、アルミ製の押出形材からなるものであって、上部材301の基礎部311の下端から前側に延び、屈曲して前上側に延び、さらに屈曲して上側に向けて上部材301の接続部313まで延びている。下部材302の後端部と上端部には、それぞれ上部材301の受部316に向けて突出する三角形状の爪部321が形成されており、爪部321が受部316に係合している。側面部材303は、平板状で、上部材301と下部材302に囲まれた空間を塞ぐ形状のもので、上部材301および下部材302に対して左右からネジ止めされている。そして、上部材301の基礎部311が円板状のプレート304を介して壁面Wにネジ止めされている。また、笠木100の給電カバー300に対応する位置には、目板材3が存在せず、上部材301の接続部313の傾斜面部314が、カバー材1の第1面部16に当接してネジ止めされている。さらに、接続部313の凸部315にカバー材1のカバー外殻部11の前後の下端部が当接しており、カバー外殻部11と凸部315の下側の円弧状部分が一連の円弧を形成する。そして、基礎部311に穴が形成されており、給電ケーブルCが、壁面Wからこの穴を通り給電カバー300の内部を通って笠木100の内部へと延びている。
【0027】
また、笠木100の長さが所定の長さ以上となる場合、カバー材1および目板材3が連結される。図6に示すように、連結部分においては、笠木100の内部に連結材7が挿入されるとともに、笠木100の外周側にジョイント材71が取り付けられる。連結材7は、アルミ製の中空押出形材からなるものであって、笠木100の内周部に丁度嵌まる形状となっている。すなわち、断面略矩形であって、上面は中間部に前側が高くなる向きの傾斜面部72が形成されており、この傾斜面部72がカバー材1の第1面部16に当接し、上面の傾斜面部72より後側部分が第2面部17に当接している。前面と後面は、何れも目板材3の被係合部34の内側面に当接している。下面は前側部に前側が高くなる向きの傾斜面部73が形成されており、この傾斜面部73が目板材3の目板固定板部32aの上面に当接してネジ止めされている。後下側の角部は外側に凸な曲面部74が形成されており、この曲面部74が目板材3の目板外殻部31の内側面に当接している。また、ジョイント材71は、円筒状の部材であって、その内周部に笠木100が丁度嵌まるものであり、カバー材1および目板材3の連結部を覆い隠す。ジョイント材71は、下側から目板材3にネジ止めされる。
【0028】
このように構成された本発明の手すりの第1実施形態によれば、支持部12が第1面部16と第2面部17からなる断面略くの字形の簡易な構成であって、第1面部16と第2面部17のうち、第1面部16が水平面に対して傾斜するので、第1面部16を取付面部14とすることで、この取付面部14に取り付けられた照明具200が傾き、垂直方向に対して傾斜した方向に光を照射できる。照明具200を傾けるための別部材などは必要なく、簡易な構成とすることができる。また、照明具200を傾けるための別部材を用いる場合、その部材の加工精度や取付精度によっては、笠木100の長手方向の各所において照明具200の傾斜角度がずれるおそれがあり、そのずれがわずかであっても、手すりから離れた床面などに照射される光は大きくずれて、見た目が悪くなってしまう。これに対し、本発明では、取付面部14が笠木100を構成するカバー材1自体に設けられているので、笠木100の長手方向にわたって傾斜角度が一致し、照明具200の光の照射角度を揃えることができ、手すりから離れた床面などに照射される光も揃えられる。さらに、カバー固定面部13と目板固定面部32が平行なので、平面状の両者に対して固定ネジSを垂直向きに螺合または貫通させることで、固定ネジSの雄ネジ部がカバー固定面部13の雌ネジ部(すなわちカバー固定面部13が形成された第1板部16aの雌ネジ部)に確実に螺合するとともに、固定ネジSの頭部の全面が目板固定面部32に当接して、カバー材1と目板材3を確実に固定できる。また、カバー材1においてカバー外殻部11と支持部12が一体に形成されているので、より簡易な構成となりかつ剛性が高い。さらに、カバー材1がカバー外殻部11と支持部12に囲まれた中空部15(すなわちカバー外殻部11と第1板部16aおよび第2板部17aに囲まれた中空部15)を有するので、カバー材1自体の剛性がより高くなるとともに、支持部12の剛性(すなわち第1板部16aおよび第2板部17aの剛性)も高くなる。これにより、取付面部14に対して照明具200をより安定して固定できる。また、カバー材1と目板材3は支持部12のカバー固定面部13に固定ネジSを螺合して固定するので、カバー材1に対して目板材3をより安定して固定できる。
【0029】
次に、手すりの第2実施形態の全体構成について説明する。第2実施形態は、通路などにおいて歩行者の補助のために設置されるものであって、床面に立設した複数本の支柱の上端に笠木を取り付けたものである。図8および図9に示すように、この手すりの第2実施形態は、筒状の笠木100と、笠木100の内部に納まる照明具200と、笠木100を支持する支柱8を備える。笠木100は、左右に直線状に延びており、その内部に、複数の照明具200が左右に間隔を空けて設けられている。そして、床面Fには複数本の支柱8が左右に間隔を空けて立設されており、これらの支柱8により笠木100が支持されている。
【0030】
笠木100は、図7図9に示すように、断面略円形の中空構造であって、上側に位置するカバー材1と、下側に位置する目板材が係合して、固定ネジSで固定されたものである。なお、第2実施形態において、カバー材1は、第1実施形態のものと同じである。また、目板材は、支柱8に対応する部位(支柱8の左右幅と略同じ範囲)と、それ以外の部位とで、異なる形状の別部材となっており、支柱8に対応する部位以外の部位の目板材は、第1実施形態のものと同じであって、ここでは照明部目板材3とよぶ。支柱8に対応する部位の目板材は、ここでは支柱部目板材5とよぶ。さらに、照明具200および照明具200の取付構造については、第1実施形態と同じである。また、給電ケーブルCは床面Fの中を通して電源に接続されており、給電ケーブルCを覆い隠す給電カバー400の形状は、第1実施形態のものと異なっている。以下、手すりの第2実施形態の各構成部材のうち、第1実施形態とは異なる部分(支柱部目板材5、支柱8および給電カバー400)についてのみ、より詳しく説明する。
【0031】
支柱部目板材5は、アルミ製の押出形材からなるものであって、図7に示すように、何れも笠木100の外形を構成する、目板外殻部51と、目板固定板部52aと、底板部55aを有しており、目板外殻部51と目板固定板部52aと底板部55aは一体に形成されている。そして、目板固定板部52aの表面の一部が目板固定面部52となっており、底板部55aの表面の一部が底面部55となっているので、目板外殻部51と目板固定面部52と底面部55も一体に形成されているといえる。より詳しくは、支柱部目板材5の前後両側部分が目板外殻部51となっており、前後の目板外殻部51の間部分のうち、後側の半分より狭い部分が目板固定板部52aとなっており、残りの前側部分が底板部55aとなっていて、目板固定板部52aの下面が目板固定面部52であり、底板部55aの下面が底面部55である。目板固定板部52aと底板部55aは、何れも水平向きの平板状のものであり、底板部55aが目板固定板部52aよりも下側に位置していて、目板固定板部52aの前端と底板部55aの後端が、垂直向きの段部53により接続されている。よって、目板固定面部52とカバー材1の支持部12の第2面部17は平行である。また、底面部55が目板固定面部52よりも下側かつ前側に位置している。目板外殻部51は、前側部分については底板部55aの前端から前上側へ延び、後側部分については目板固定板部52aの後端から後上側へ延びるものであって、カバー材1のカバー外殻部11と同心の円弧状である。そして、目板外殻部51の前後の上端に、断面略L字形の被係合部54が形成されている。被係合部54は、目板外殻部51の上端から内側に向けて突出し屈曲して上側に向けて突出した形状となっている。
【0032】
このように構成された支柱部目板材5は、照明部目板材3と同様にカバー材1と組み合わさる。すなわち、カバー材1と支柱部目板材5は、カバー材1の前後の係合部18が支柱部目板材5の前後の被係合部54に係合するように組み合わさって、笠木100を構成している。この際、カバー材1の係合部18の内側に支柱部目板材5の被係合部54の垂直部分が嵌まり込み、カバー材1のカバー外殻部11と支柱部目板材5の目板外殻部51が一連の円弧を形成する。そして、図8に示すように、カバー材1と支柱部目板材5は、長手方向の複数箇所において固定ネジSによりネジ止めして固定されている。固定箇所においては、支柱部目板材5の目板固定面部52(目板固定板部52a)に、固定ネジSが貫通する通し穴が形成されており、カバー材1の支持部12の第2面部17(第2板部17a)に、固定ネジSが螺合するネジ穴が形成されている。よって、ここでは支持部12の第2面部17が、固定ネジSが螺合するカバー固定面部13となっており、また、カバー固定面部13と目板固定面部52が平行である。そして、固定ネジSが下側(支柱部目板材5側)から目板固定面部52の通し穴に挿入され、カバー材1のカバー固定面部13のネジ穴に螺合している。このように、固定ネジSは、笠木100の前後方向中心よりも後側寄りに位置している。
【0033】
なお、第2実施形態の笠木100において、支柱部目板材5が取り付けられた部分では、支持部12の第2面部17がカバー固定面部13であるが、照明部目板材3が取り付けられた部分では、第1実施形態と同様に、支持部12の第1面部16がカバー固定面部13でありかつ取付面部14でもある。よって、第2実施形態においては、支持部の第1面部16と第2面部17の両方がカバー固定面部13であり、第1面部16が取付面部14である。
【0034】
支柱8は、図8および図9に示すように、床面Fに立設された円筒状の柱本体81と、柱本体81の上端を塞ぐ略円板状の天板部82と、天板部82の上面から垂直上向きに延びる支持板83からなる。支持板83は、左右方向に対して平行な向きの略平板状のものであって、上端部は、左右方向中心から左右両側に向けて下方へ傾斜する形状となっている。また、支持板83の上部には、前後方向に貫通する穴が形成されている。
【0035】
また、笠木100の支柱部目板材5の下側には、柱連結部材9が取り付けられている。柱連結部材9は、左右幅が支柱部目板材5と同じものであって、水平向きの矩形平板状の土台部91と、土台部91の前端部と後端部から垂直下向きに延びる2つの垂下片92を有する。垂下片92は、前後方向から見て略三角形であって、前側の垂下片92の中心部には前後方向にネジを通す穴が形成されており、後側の垂下片92の中心部にはネジが螺合する雌ネジ部が形成されている。そして、土台部91が支柱部目板材5の底面部55に下側から当接しており、前後の垂下片92の間部分に形成された穴にネジを通して底面部55に螺合させて、柱連結部材9と支柱部目板材5が固定されている。固定ネジSの頭部は、土台部91と目板固定面部52の間に納まる。なお、土台部91の後端には、後上側に向けて突出する立設片93が形成されており、立設片93の上端が支柱部目板材5の目板固定面部52の後端に当接していて、固定ネジSの頭部が覆い隠されている。
【0036】
そして、支柱8の支持板83が、笠木100に取り付けられた柱連結部材9の2つの垂下片92によって前後から挟み込まれている。この際、支持板83の穴と前後の垂下片92の穴および雌ネジ部が連通しており、前側の穴からネジを挿入して雌ネジ部に螺合させて固定してある。なお、支持板83の上端部が左右に傾斜しているので、笠木100を水平方向に対して傾斜させて取り付ける場合でも、支持板83が笠木100の柱連結部材9に干渉しない。
【0037】
なお、前述のとおり、笠木100の支柱8に対応する部位以外の部位には、支柱部目板材5とは別部材の照明部目板材3が取り付けられている。これにより、笠木100自体を支柱8から取り外すことなく、2本の支柱8の間部分の照明部目板材3だけを取り外すことができるので、照明具200のメンテナンスが容易である。
【0038】
また、図8および図10(照明部目板材3は透過して表示してある)に示すように、給電カバー400は、支柱8と略同じ左右幅で、床面Fに立設された断面略矩形の筒状のものである。より詳しくは、給電カバー400は、何れもアルミ製の押出形材からなる、左側に向けて開口する断面略コ字形の給電カバー本体401と、給電カバー本体401の左側面を塞ぐ矩形平板状の閉塞板402と、上端部に取り付けられた左右方向から見て下向きに開口する略コ字形の蓋部403を有する。閉塞板402は、給電カバー本体401に対して着脱可能となっている。蓋部403は、給電カバー本体401および閉塞板402の上端を塞ぎ、さらに給電カバー本体401の上端部の前後面に被さっている。また、蓋部403の前後面には、それぞれ外側に突出する凸部404が形成されており、凸部404の下側は円弧状に形成されている。そして、笠木100の給電カバー400に対応する位置には、照明部目板材3が存在せず、蓋部403が、カバー材1の第2面部17にネジ止めされている。さらに、蓋部403の凸部404にカバー材1のカバー外殻部11の前後の下端部が当接しており、カバー外殻部11と凸部404の下側の円弧状部分が一連の円弧を形成する。そして、給電ケーブルCが、床面Fから給電カバー400の内部を通って笠木100の内部へと延びている。
【0039】
このように構成された本発明の手すりの第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するものである。また、支柱部目板材5が、目板固定面部52よりも下側かつ他方側(前側)に位置する底面部55を有することにより、目板固定面部52を貫通する固定ネジSの頭部を、目板固定面部52と底面部55により形成される段差部分に納めることができるので、笠木100の外周側に固定ネジSの頭部が突出することがなく、笠木100を支持する柱連結部材9に対する取付性が良好なものとなる。すなわち、固定ネジSの頭部が目板固定面部52と柱連結部材9の土台部91の間に納まり、底面部55を土台部91に当接させて確実に固定できる。
【0040】
また、本発明の手すりにおいては、カバー材1の支持部12が互いに傾斜する2つの平面部分である第1面部16と第2面部17からなる断面略くの字形のものであって、第1実施形態と第2実施形態の何れにおいても第1面部16が水平面に対して傾斜しているので、第1面部16が、照明具200が取り付けられる取付面部14となっている。そして、支持部12の第2面部17が水平面に対して平行なので、第1実施形態のように、カバー材1に傾斜した目板固定面部32を有する目板材3のみが取り付けられる場合には、第1面部16をカバー固定面部13とすればよいし、第2実施形態のように、カバー材1に傾斜した目板固定面部32を有する照明部目板材3と水平向きの目板固定面部52を有する支柱部目板材5の両方が取り付けられる場合には、第1面部16と第2面部17の両方をカバー固定面部13とすればよい。このように、照明部目板材3や支柱部目板材5の形状に応じて、第1面部16と第2面部17の何れかまたは両方をカバー固定面部13とすることができる。
【0041】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨の範囲内で適宜変更できる。たとえば、カバー材1の別実施形態として、図11に示すように、支持部12の第1面部16と第2面部17が分離されているものであってもよい。すなわち、第1面部16(第1板部16a)は、カバー外殻部11の前側部分の内周面から、後下側に向けて、カバー材1の前後方向中央部まで延びており、第2面部17(第2板部17a)は、カバー外殻部11の後側部分の内周面から、前側(水平方向)に向けて、カバー材1の前後方向中央部まで延びており、第1面部16の後端と第2面部17の前端が離隔している。
【0042】
また、カバー材において、中空部に相当する部分が、中身の詰まった中実部になっているものであってもよい。その場合、中実部の下面が支持部(第1面部と第2面部)となる。あるいは、支持部がカバー外殻部と別部材になっているものであってもよい。さらに、目板材において、目板固定面部が笠木の外形を構成する目板外殻部の内側に設けられたものであってもよい。また、笠木を支持するブラケットや支柱の構成は、この手すりの設置箇所の状況や意匠性などを考慮して、適宜変更できる。
【符号の説明】
【0043】
1 カバー材
3 目板材(照明部目板材)
5 目板材(支柱部目板材)
11 カバー外殻部
12 支持部
13 カバー固定面部
14 取付面部
15 中空部
16 第1面部
17 第2面部
32,52 目板固定面部
100 笠木
200 照明具
S 固定ネジ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11