(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162840
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】通信システム、通信方法
(51)【国際特許分類】
H04L 47/41 20220101AFI20221018BHJP
【FI】
H04L12/891
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067869
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】竹内 公二
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030GA03
5K030HA02
5K030JA10
5K030JL04
5K030JT02
5K030MA13
5K030MB09
5K030MC08
5K030MD02
(57)【要約】
【課題】リンクアグリゲーションにするか、アップリンク・リダンダントにするか、最適な冗長方式を選択することができる通信システム、通信方法を提供する。
【解決手段】送信側通信機器と、受信側通信機器と、管理サーバを有し、前記送信側通信機器と前記受信側通信機器は2回線で接続されている通信システムであって、前記送信側通信機器と前記受信側通信機器は、時刻同期を行い、前記送信側通信機器および前記受信側通信機器は、送信データスケジュールが入力され、前記送信側通信機器および前記受信側通信機器は、受信した前記送信データスケジュールをもとに、前記2回線をリンクアグリゲーションにするかアップリンク・リダンダントにするかを設定することを特徴とする、通信システム。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信側通信機器と、受信側通信機器と、管理サーバを有し、前記送信側通信機器と前記受信側通信機器は2回線で接続されている通信システムであって、
前記送信側通信機器と前記受信側通信機器は、時刻同期を行い、
前記送信側通信機器および前記受信側通信機器は、送信データスケジュールが入力され、
前記送信側通信機器および前記受信側通信機器は、受信した前記送信データスケジュールをもとに、前記2回線をリンクアグリゲーションにするかアップリンク・リダンダントにするかを設定することを特徴とする、通信システム。
【請求項2】
前記送信側通信機器および前記受信側通信機器は、メイン回線を第1の回線とするアップリンク・リダンダントを設定し、
前記送信側通信機器は、接続端末とのネットワークインタフェースの送信キューを監視し、
送信キュー溢れが発生しないとき、前記第1の回線をメイン回線とするアップリンク・リダンダントを継続し、
送信キュー溢れが発生したとき、前記2回線をリンクアグリゲーションにすることを特徴とする、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
回線設定状況を蓄積し、蓄積結果に基づき、送信データの傾向から回線設定を決定することを特徴とする、請求項1または2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記送信側通信機器は、接続端末とのネットワークインタフェースの送信キューを監視して、キューへのデータ蓄積傾向を計算し、
前記データ蓄積傾向が0以下の時、前記第1の回線をメイン回線とするアップリンク・リダンダントを継続し、
前記データ蓄積傾向が正のとき、送信キュー溢れ時刻を予想し、その時刻に前記2回線をリンクアグリゲーションにすることを特徴とする、請求項2または3に記載の通信システム。
【請求項5】
送信側通信機器と、受信側通信機器と、管理サーバを有し、前記送信側通信機器と前記受信側通信機器は2回線で接続されている通信システムにおける通信方法であって、
前記送信側通信機器と前記受信側通信機器が、時刻同期を行い、
前記送信側通信機器および前記受信側通信機器は、送信データスケジュールが入力され、
前記送信側通信機器および前記受信側通信機器が、受信した前記送信データスケジュールをもとに、前記2回線をリンクアグリゲーションにするかアップリンク・リダンダントにするかを設定することを特徴とする、通信方法。
【請求項6】
前記送信側通信機器および前記受信側通信機器が、メイン回線を第1の回線とするアップリンク・リダンダントを設定し、
前記送信側通信機器が、接続端末とのネットワークインタフェースの送信キューを監視し、
送信キュー溢れが発生しないとき、前記第1の回線をメイン回線とするアップリンク・リダンダントを継続し、
送信キュー溢れが発生したとき、前記2回線をリンクアグリゲーションにすることを特徴とする、請求項5に記載の通信方法。
【請求項7】
回線設定状況を蓄積し、蓄積結果に基づき、送信データの傾向から回線設定を決定することを特徴とする、請求項5または6に記載の通信方法。
【請求項8】
前記送信側通信機器が、接続端末とのネットワークインタフェースの送信キューを監視して、キューへのデータ蓄積傾向を計算し、
前記データ蓄積傾向が0以下の時、前記第1の回線をメイン回線とするアップリンク・リダンダントを継続し、
前記データ蓄積傾向が正のとき、送信キュー溢れ時刻を予想し、その時刻に前記2回線をリンクアグリゲーションにすることを特徴とする、請求項6または7に記載の通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信機器において、複数の通信インタフェースを活用し、1つの通信先に接続する方法がある。
【0003】
ルータやスイッチ等のネットワーク装置間の接続を冗長化する技術として、リンクアグリゲーションおよびアップリンク・リダンダントがある。リンクアグリゲーションは、装置間を接続する複数の回線を束ねて1つの仮想的な回線として扱う技術であり、IEEE802.3adで規定されている。アップリンク・リダンダントは、2つのポートをアップリンクに使用し、うち一方を運用回線、他方を待機用回線とするポート冗長機能である。
【0004】
例えば、特許文献1は、複数の通信インタフェースを束ねて通信を行い(リンクアグリゲーション)、1つずつの通信インタフェースを切り替えて通信を行う冗長切り替えて通信を行う(ポート冗長)、通信機器を開示している。
【0005】
リンクアグリゲーションは、1本の回線に障害が発生した場合でも別の1本の回線が使用できるという、耐障害性の観点もあるが、正常時は2本の回線を使用できるため、通信速度向上等の通信品質向上のために採用するケースが多い。
【0006】
図1は、通信機器と回線を示す図である。送信側通信機器Sと受信側通信機器Dは2つの回線(回線1および回線2)で接続されている。回線1の通信速度をX(Mbps)、回線2の通信速度をY(Mbps)とする。ただし、X>Yとする。送信側通信機器Sと受信側通信機器Dはアクセスポイントやモバイルルータなどである。
【0007】
通信機器Sと通信機器Dは、あらかじめ2つの回線の使い方(リンクアグリゲーションにするか、アップリンク・リダンダントにするか)を設定する。
図2は、通信機器が回線をリンクアグリゲーションに設定したケースを示す図である。
図2に示すように、リンクアグリゲーションでは、2つの回線を束ねて使用する。
【0008】
図3は、通信機器に端末が接続された場合を示す図である。2つの回線はリンクアグリゲーションに設定されている。通信機器Sに接続される端末をAとする。端末Aから送信されるデータ量は、決まっておらず、回線1の通信速度(X(Mbps))以下の時もあれば、回線1の通信速度よりも大きいが回線1と回線2の通信速度の合計(X+Y(Mbps))以下の時もある。すなわち、端末Aから送信されるデータ量が、回線1本で送れる量の時と、回線1本では溢れる量の時がある。端末Aから、いつ、どんな大きさのデータが送信されるか不確定である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
例えば異なる2つのネットワークインタフェースを有する通信機器では、2つのネットワークインタフェースを有効活用する必要がある。ただし、一般的なネットワーク機器は、複数のネットワークの使い方(リンクアグリゲーションにするか、アップリンク・リダンダントにするかの設定)を、機器ごとに個別に設定する必要があり、変更時もまた設定変更を新たに実施する必要がある。
【0011】
例えば、送りたい通信データ量が小さく、1つの通信インタフェースのみで十分送信できる場合、アップリンク・リダンダントを設定して耐障害性を向上したいにもかかわらず、リンクアグリゲーションが設定されているケースがある。また、送りたいデータ量が大きく、1つの通信インタフェースでは送ることができないにもかかわらず、アップリンク・リダンダントが設定されているケースがある。これらのケースでは、送信データ量が可変の時に、送信データ量によっては、最適な通信方式の選択(リンクアグリゲーションにするか、アップリンク・リダンダントにするかの設定)ができない。
【0012】
特許文献1に記載の従来の通信機器は、その時の複数の通信インタフェースの選定方法に関する発明であり、使用時間や抜き差し回数等を考慮してインタフェースを選定することで、機器の寿命を延ばすことを目的としている。
【0013】
一方、本発明は、通信機器の通信を計測し、その結果に応じて、リンクアグリゲーションを行うか、ポート冗長を行うかを判断するという発明であり、利用用途に応じて、最適な冗長方式を選択することを目的とする発明である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の一態様に係る通信システムは、送信側通信機器と、受信側通信機器と、管理サーバを有し、前記送信側通信機器と前記受信側通信機器は2回線で接続されている通信システムであって、前記送信側通信機器と前記受信側通信機器は、時刻同期を行い、前記送信側通信機器および前記受信側通信機器は、送信データスケジュールが入力され、前記送信側通信機器および前記受信側通信機器は、受信した前記送信データスケジュールをもとに、前記2回線をリンクアグリゲーションにするかアップリンク・リダンダントにするかを設定することを特徴とする。
【0015】
本発明の一態様に係る通信方法は、送信側通信機器と、受信側通信機器と、管理サーバを有し、前記送信側通信機器と前記受信側通信機器は2回線で接続されている通信システムにおける通信方法であって、前記送信側通信機器と前記受信側通信機器が、時刻同期を行い、前記送信側通信機器および前記受信側通信機器は、送信データスケジュールが入力され、前記送信側通信機器および前記受信側通信機器が、受信した前記送信データスケジュールをもとに、前記2回線をリンクアグリゲーションにするかアップリンク・リダンダントにするかを設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の通信システム、通信方法によれば、通信機器の通信を計測し、その結果に応じて、リンクアグリゲーションにするか、アップリンク・リダンダントにするかを判断するので、最適な冗長方式を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】通信機器が回線をリンクアグリゲーションに設定したケースを示す図である。
【
図3】通信機器に端末が接続された場合を示す図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る通信システムおよび通信方法を示す図である。
【
図5】管理サーバより、送信データスケジュールを入力する時の図である。
【
図6】本発明の第1実施形態の通信方法のフロー図である。
【
図7】本発明の第2実施形態の通信方法のフロー図である。
【
図8】本発明の第3実施形態において、初期条件がリンクアグリゲーションの時のフロー図である。
【
図9】本発明の第4実施形態の通信方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係る通信システムおよび通信方法について、図を参照して説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図4は、本発明の第1実施形態に係る通信システムおよび通信方法を示す図である。通信システム10は、送信側通信機器Sと、受信側通信機器Dと、管理サーバ20を有する。送信側通信機器Sと受信側通信機器Dは2つの回線(回線1と回線2)で接続されている。回線1の通信速度をX(Mbps)、回線2の通信速度をY(Mbps)とする。ただし、X>Yとする。
【0020】
本実施形態では、変動する送信データ量に応じて、2つの回線の使い方(リンクアグリゲーションにするか、アップリンク・リダンダントにするか)を動的に設定する。
【0021】
なお、本実施形態は、送信データが時刻によって決まっているケースに関するものである。例えば、プラント内の遠隔監視等では、日中時間帯は、正常運転を示すフラグや、センサデータ値等の小容量データを一定時刻ごとにサーバに送信する。夜間等の運転停止時には、その他のセンサデータの値をまとめて送ったり、機器の更新ファイルをサーバからプラント側のセンサ端末に送信するなど、大容量データを送信する。本実施形態は、このように、送信データが時刻によって決まっているケースに関する。
【0022】
まず、送信側通信機器Sと受信側通信機器Dは、時刻同期をする。時刻同期は、送信側通信機器Sと受信側通信機器Dが、回線1または2を使用して直接行ってもよいし、管理サーバ20を経由し行ってもよい。
図4の例では、管理サーバ20から、送信側通信機器Sおよび受信側通信機器Dに、時刻同期の信号が送信されている。
【0023】
次に、送信側通信機器Sおよび受信側通信機器Dに、管理者または、管理サーバ20より、送信データスケジュールを入力する。
図5は、管理サーバ20より、送信データスケジュールを入力する時の図である。管理サーバ20から、送信側通信機器Sおよび受信側通信機器Dに送信データのスケジュールが入力される。入力データは、時刻とその時刻におけるデータ量であり、例えば、「9:00~13:00:〇Mbps、13:00~15:00:△kbps、15:00~18:00:〇Mbps、18:00~08:59:△kbps」という形式である。
【0024】
送信側通信機器Sおよび受信側通信機器Dは、受け取った送信データスケジュールをもとに、2回線の構成方法(リンクアグリゲーションにするか、アップリンク・リダンダントにするか)を、時刻ごとにスケジュール化する。
【0025】
送信データ量>Xの時は、リンクアグリゲーションを設定する。
Y<送信データ量<Xの時は、メイン回線を回線1、バックアップ回線を回線2とするアップリンク・リダンダントを設定する。
送信データ量<Yの時は、アップリンク・リダンダントを設定する。メイン回線を回線1、回線2のどちらにするかは、回線ごとのパケットエラー率、通信遅延、他の品質パラメータで選定する。
【0026】
図6は、本実施形態の通信方法のフロー図である。S11において、送信側通信機器Sと受信側通信機器Dは、時刻同期をする。S12において、送信側通信機器Sと受信側通信機器Dに、管理者または管理サーバ20より、送信データスケジュールを入力する。S13において、送信側通信機器Sと受信側通信機器Dは、送信データスケジュールに応じて、リンクアグリゲーションまたはアップリンク・リダンダントを構成する。
【0027】
本実施形態の通信方法によれば、状況によって、通信リンクを増強することができ、通信速度向上、耐障害性が向上する。
【0028】
(第2実施形態)
第1実施形態は、あらかじめ送信スケジュールが確定している場合に有効であるが、第2実施形態は、送信スケジュールが未確定のケースに対応することを考慮している。
【0029】
図7は、本実施形態の通信方法のフロー図である。S21において、送信側通信機器Sと受信側通信機器Dは、メイン回線を回線1とするアップリンク・リダンダントを設定する。これを初期条件とする。
【0030】
S22において、送信側通信機器Sに接続した接続端末Aからデータ送信を開始する。
【0031】
S23において、送信側通信機器Sは、ネットワークインタフェースの送信キューを監視する。ネットワークインタフェースは、送信側通信機器Sの中に存在し、端末Aからのデータを受信するためのインタフェースである。送信しきれないデータが送信側通信機器Sにたまると、送信キュー溢れとなる。
【0032】
送信キュー溢れが発生しないとき(ドロップパケット数が0の時)、回線1をメイン回線とするアップリンク・リダンダントを継続する(S24)。
送信キュー溢れが発生したとき(ドロップパケット数>0の時)、リンクアグリゲーションを設定する(S25)。
【0033】
再度、送信キュー溢れが発生しないとき、ネットワークインタフェースを通過する1秒当たりの通信量W(bps)を測定した結果に応じて、以下のように設定する(S26)。通信量Wは、端末Aから送信側通信機器Sへの1秒当たりの通信量である。
W>Xの時、リンクアグリゲーションを継続する(S27)。
Y<W<Xの時、回線2をメイン回線とするアップリンク・リダンダントにする(S28)。
W<Yの時、回線1または回線2をメイン回線とするアップリンク・リダンダントにする(S29)。メイン回線を回線1、回線2のどちらにするかは、回線ごとのパケットエラー率、通信遅延、他の品質パラメータで選定する。
【0034】
(第3実施形態)
第3実施形態は第1実施形態と第2実施形態を組み合わせた方法である。
第3実施形態では、第2実施形態で決定した、回線設定(リンクアグリゲーションまたはアップリンク・リダンダントの設定)をした状況を蓄積する。回線設定状況の蓄積は、送信側通信機器Sまたは受信側通信機器Dが行ってもよいし、管理サーバ20が行ってもよい。
【0035】
蓄積したデータは、例えば、以下のようなデータである。
12月1日(月)
時刻0時から10時:リンクアグリゲーション
時刻10時から11時:アップリンク・リダンダント
時刻11時~23時:リンクアグリゲーション
12月2日(火)
時刻0時から10時:リンクアグリゲーション
時刻10時から11時:アップリンク・リダンダント
時刻11時~23時:リンクアグリゲーション
12月3日(水)
終日:リンクアグリゲーション
・・・
12月10日(水)
終日:リンクアグリゲーション
【0036】
蓄積結果に基づき、送信データの傾向から回線設定を決定する。例えば上の蓄積結果から、「水曜日は終日リンクアグリゲーション」と決定する。回線設定の決定は、送信側通信機器Sまたは受信側通信機器Dが行ってもよいし、管理サーバ20が行ってもよい。
【0037】
または、この決定した回線設定(例えば、「水曜日は終日リンクアグリゲーション」という設定)を初期条件とし、第2実施形態の回線動的設定処理(S21~S29)を起動させてもよい。
【0038】
図8は、初期条件がリンクアグリゲーションの時のフロー例を示す。
【0039】
S31において、送信側通信機器Sと受信側通信機器Dは、リンクアグリゲーションを設定する。これを初期条件とする。
【0040】
S32において、送信側通信機器Sに接続した接続端末Aからデータ送信を開始する。
【0041】
S33において、送信側通信機器Sは、ネットワークインタフェースの送信キューを監視する。
送信キュー溢れが発生しないとき、ネットワークインタフェースを通過する1秒当たりの通信量W(bps)を測定した結果に応じて、以下のように設定する(S35)。
W<Yの時、リンクアグリゲーションを継続する(S36)。
Y<W<Xの時、回線2をメイン回線とするアップリンク・リダンダントにする(S37)。
W>Xの時、回線1または回線2をメイン回線とするアップリンク・リダンダントにする(S38)。メイン回線を回線1、回線2のどちらにするかは、回線ごとのパケットエラー率、通信遅延、他の品質パラメータで選定する。
送信キュー溢れが発生したとき(ドロップパケット数>0の時)、リンクアグリゲーションを継続する(S34)。
【0042】
本実施形態では、IETFが定めるモバイルアドホックネットワークのプロトコルとの相互互換性を維持しながら、通信品質の向上を図ることができる。
【0043】
(第4実施形態)
第2実施形態では、送信スケジュールが未確定のケースへの対応として、ネットワークインタフェースの送信キューを監視し、キュー溢れが発生した後に対応した。第4実施形態では、第2実施形態を改良し、送信キューを監視し、送信キューの単位時間当たりの増加量を計測し、キューが溢れる時刻を予想し、キュー溢れが発生する前にあらかじめ対処する。
【0044】
【0045】
S41において、送信側通信機器Sと受信側通信機器Dは、メイン回線を回線1とするアップリンク・リダンダントを設定する。これを初期条件とする。
【0046】
S42において、送信側通信機器Sに接続した接続端末Aからデータ送信を開始する。
【0047】
S43において、送信側通信機器Sは、ネットワークインタフェースの送信キューを監視し、キューへの「データ蓄積傾向」を計算する。「データ蓄積傾向」は、時間当たりの蓄積量(データ蓄積の増加率)である。
「データ蓄積傾向」が0以下の時、回線1をメイン回線とするアップリンク・リダンダントを継続する(S44)。
「データ蓄積傾向」が正のとき、送信キュー溢れ時刻を予想し、その時刻にリンクアグリゲーションを設定する(S45)。送信キューのバッファー量は決まっているので、それを「データ蓄積傾向」で割れば、何時間後に溢れが発生するかを予想できる。
再度、送信キュー溢れが発生しないとき、ネットワークインタフェースを通過する1秒当たりの通信量W(bps)を測定した結果に応じて、以下のように設定する(S46)。
W>Xの時、リンクアグリゲーションを継続する(S47)。
Y<W<Xの時、回線2をメイン回線とするアップリンク・リダンダントにする(S48)。その後、再び、「データ蓄積傾向」を計測し、正の場合、送信キュー溢れ時刻を予想し、その時刻にリンクアグリゲーションを設定する。
W<Yの時、回線1または回線2をメイン回線とするアップリンク・リダンダントにするS49)。メイン回線を回線1、回線2のどちらにするかは、回線ごとのパケットエラー率、通信遅延、他の品質パラメータで選定する。その後、再び、「データ蓄積傾向」を計測し、正の場合、送信キュー溢れ時刻を予想し、その時刻にリンクアグリゲーションを設定する。
【0048】
なお、初期条件としてリンクアグリゲーションを設定しておいて、通信量の減少率をみてアップリンク・リダンダントに切り替えるようにしてもよい。
【0049】
本実施形態でも、IETFが定めるモバイルアドホックネットワークのプロトコルとの相互互換性を維持しながら、通信品質の向上を図ることができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態において示す構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 回線(第1の回線)
2 回線(第2の回線)
20 管理サーバ
A 接続端末
D 受信側通信機器
S 送信側通信機器