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特開2022-162841バッテリ情報通知装置、バッテリ情報通知システム、バッテリ情報通知方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162841
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】バッテリ情報通知装置、バッテリ情報通知システム、バッテリ情報通知方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60L 58/12 20190101AFI20221018BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20221018BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20221018BHJP
   B60L 53/80 20190101ALI20221018BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20221018BHJP
   G08G 1/123 20060101ALI20221018BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221018BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20221018BHJP
   G16Y 20/30 20200101ALI20221018BHJP
【FI】
B60L58/12
B60L15/20 J
B60L50/60
B60L53/80
G01C21/34
G08G1/123 A
H02J7/00 P
G16Y10/40
G16Y20/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067871
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】塚本 準
(72)【発明者】
【氏名】金成 昌幸
【テーマコード(参考)】
2F129
5G503
5H125
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129DD13
2F129DD14
2F129DD15
2F129DD21
2F129DD24
2F129DD46
2F129DD49
2F129DD66
2F129EE02
2F129EE52
2F129EE78
2F129EE79
2F129EE80
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF15
2F129FF20
2F129HH02
2F129HH12
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB02
5G503EA05
5G503FA06
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD06
5H125AA03
5H125AB01
5H125AC12
5H125BC08
5H125BC26
5H125CA18
5H125CC04
5H125CD02
5H125EE27
5H125EE51
5H125EE52
5H125EE57
5H125EE61
5H181AA15
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB08
5H181FF04
5H181FF12
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181MA42
5H181MB01
(57)【要約】
【課題】電動車両に荷物を積んで走行する際に、電動車両に搭載しているバッテリで走行ルートを走行可能か否かを運転者が容易に知ることができるようにする。
【解決手段】電動車両に積載する荷物の重量と電動車両が走行する走行ルートの距離とに基づいて、電動車両に搭載されているバッテリの容量で走行ルートを走行可能か否か判定し、判定結果に基づく情報を前記電動車両の運転者に通知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両に積載する荷物の重量と前記電動車両が走行する走行ルートの距離とに基づいて、前記電動車両に搭載されているバッテリの容量で前記走行ルートを走行可能か否か判定する必要バッテリ判定部と、
前記必要バッテリ判定部による判定結果に基づく情報を前記電動車両の運転者に通知するバッテリ情報通知部と、
を有するバッテリ情報通知装置。
【請求項2】
前記電動車両の搭載するバッテリは、予備のバッテリと交換可能であり、
前記必要バッテリ判定部は、前記電動車両に搭載されているバッテリの容量で前記走行ルートを走行不可能であると判定した場合には、前記走行ルートを走行するために必要な予備バッテリの必要量を判定し、
前記バッテリ情報通知部は、前記予備のバッテリの必要量を通知する
請求項1に記載のバッテリ情報通知装置。
【請求項3】
前記必要バッテリ判定部は、前記走行ルートの距離に加えて、高低差、制限速度、又は交通量に基づいて前記走行ルートを走行可能であるか否かを判定する
請求項1又は請求項2に記載のバッテリ情報通知装置。
【請求項4】
前記電動車両は、荷物を配送する配送車両であり、
前記荷物を配送する配送先の住所を取得する荷物情報取得部と、
前記配送先の住所に基づいて前記走行ルートを決定するルート決定部と、
をさらに有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のバッテリ情報通知装置。
【請求項5】
バッテリ情報通知装置と、運行管理装置とを備えるバッテリ情報通知システムであって、
前記バッテリ情報通知装置は、
交換可能なバッテリを搭載する電動車両に積載する荷物の重量と前記電動車両が走行する走行ルートの距離とに基づいて、前記電動車両に搭載されているバッテリの容量で前記走行ルートを走行可能か否か判定し、走行不可能であると判定した場合には、前記走行ルートを走行するために必要な予備のバッテリの必要量を判定する必要バッテリ判定部と、
前記必要バッテリ判定部による判定結果に基づく情報を前記電動車両の運転者に通知するとともに、前記判定結果に基づく情報をバッテリ情報として前記運行管理装置に送信するバッテリ情報通知部と、
を有し、
前記運行管理装置は、
前記バッテリ情報通知装置から前記バッテリ情報を受信し、受信した前記バッテリ情報をバッテリ情報記憶部に書き込むバッテリ情報受信部と、
前記バッテリ情報記憶部が記憶するバッテリ情報に基づいて、配送車両である前記電動車両に搭載するための充電されたバッテリと前記電動車両が配送する荷物とを保管する配送センタにおいて充電する必要のあるバッテリの量を判定し、前記配送センタの運行を管理する運行管理室に通知する充電制御部と、
を有する
バッテリ情報通知システム。
【請求項6】
前記運行管理装置は、
配送中の前記電動車両に前記予備のバッテリが必要である場合に、前記電動車両に前記予備のバッテリを運ぶ指示を他の車両の運転者に通知する情報伝達部を有する
請求項5に記載のバッテリ情報通知システム。
【請求項7】
電動車両に積載する荷物の重量と前記電動車両が走行する走行ルートの距離とに基づいて、前記電動車両に搭載されているバッテリの容量で前記走行ルートを走行可能か否か判定する必要バッテリ判定工程と、
前記必要バッテリ判定工程による判定結果に基づく情報を前記電動車両の運転者に通知するバッテリ情報通知工程と、
を含むバッテリ情報通知方法。
【請求項8】
バッテリ情報通知装置と、運行管理装置とを備えるバッテリ情報通知システムにおけるバッテリ情報通知方法であって、
前記バッテリ情報通知装置が、交換可能なバッテリを搭載する電動車両に積載する荷物の重量と前記電動車両が走行する走行ルートの距離とに基づいて、前記電動車両に搭載されているバッテリの容量で前記走行ルートを走行可能か否か判定し、走行不可能であると判定した場合には、前記走行ルートを走行するために必要な予備のバッテリの必要量を判定する必要バッテリ判定工程と、
前記バッテリ情報通知装置が、前記必要バッテリ判定工程による判定結果に基づく情報を前記電動車両の運転者に通知するとともに、前記判定結果に基づく情報をバッテリ情報として前記運行管理装置に送信するバッテリ情報通知工程と、
前記運行管理装置が、前記バッテリ情報通知装置から前記バッテリ情報を受信し、受信した前記バッテリ情報をバッテリ情報記憶部に書き込むバッテリ情報受信工程と、
前記運行管理装置が、前記バッテリ情報記憶部が記憶するバッテリ情報に基づいて、配送車両である前記電動車両に搭載するための充電されたバッテリと前記電動車両が配送する荷物とを保管する配送センタにおいて充電する必要のあるバッテリの量を判定し、前記配送センタの運行を管理する運行管理室に通知する充電制御工程と、
を含むバッテリ情報通知方法。
【請求項9】
コンピュータに、
電動車両に積載する荷物の重量と前記電動車両が走行する走行ルートの距離とに基づいて、前記電動車両に搭載されているバッテリの容量で前記走行ルートを走行可能か否か判定する必要バッテリ判定ステップと、
前記必要バッテリ判定ステップによる判定結果に基づく情報を前記電動車両の運転者に通知するバッテリ情報通知ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ情報通知装置、バッテリ情報通知システム、バッテリ情報通知方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車の開発や市販化が進んでいるが、バッテリのコスト、サイズ、重量や充電インフラ不足や充電時間が長い等の課題もあり普及には至っていなかった。
開発されている電気自動車の多くは、既存のエンジン車両のエンジンをモータに置き換え、航続距離を長くするため、大容量のバッテリを積載する(例えば、特許文献1参照)。また、駆動時の電流を下げるためにバッテリを高電圧化する手法が用いられている。
バッテリのセルは容量や電圧が決まっているため、セルの並列接続によりバッテリを大容量化し、セルの直列接続によりバッテリを高電圧化する。よってバッテリを大容量化又は高電圧化すると、セル数が多くなり、コスト、サイズ、及び重量が大きくなる。
現在主流のリチウムイオンバッテリは、並列化したセルを均等に充電する必要があるため、多数の並列化が難しい。
特に、軽自動車では、車両サイズに制限があり、バッテリの課題は影響が大きく電気自動車の普及の妨げとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-266950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した問題に対応するために、車輪ごとにバッテリを設けることが考えられる。しかし、軽貨物車両は車両規定により最大積載重量、車両サイズより積載体積が制限される。そのため、必要最小限のバッテリを搭載して車両仕様を決定し、交換可能な予備のバッテリを車両に積んでおく運用が考えられる。しかしながら、荷物の重量、体積、ルート、制限速度などの条件により、搭載しているバッテリで1回の配送ができない場合がある。搭載しているバッテリで1回の配送が実施可能か否か、また、予備のバッテリが必要である場合にはその必要量はいくつか等の判断を人が正確にするのは困難である。
【0005】
上述の課題を鑑み、本発明は、電動車両に荷物を積んで走行する際に、電動車両に搭載しているバッテリで走行ルートを走行可能か否かを運転者が容易に知ることができるバッテリ情報通知装置、バッテリ情報通知システム、バッテリ情報通知方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るバッテリ情報通知装置は、電動車両に積載する荷物の重量と前記電動車両が走行する走行ルートの距離とに基づいて、前記電動車両に搭載されているバッテリの容量で前記走行ルートを走行可能か否か判定する必要バッテリ判定部と、前記必要バッテリ判定部による判定結果に基づく情報を前記電動車両の運転者に通知するバッテリ情報通知部と、を有する。
【0007】
本発明の一態様に係るバッテリ情報通知システムは、バッテリ情報通知装置と、運行管理装置とを備えるバッテリ情報通知システムであって、前記バッテリ情報通知装置は、交換可能なバッテリを搭載する電動車両に積載する荷物の重量と前記電動車両が走行する走行ルートの距離とに基づいて、前記電動車両に搭載されているバッテリの容量で前記走行ルートを走行可能か否か判定し、走行不可能であると判定した場合には、前記走行ルートを走行するために必要な予備のバッテリの必要量を判定する必要バッテリ判定部と、前記必要バッテリ判定部による判定結果に基づく情報を前記電動車両の運転者に通知するとともに、前記判定結果に基づく情報をバッテリ情報として前記運行管理装置に送信するバッテリ情報通知部と、を有し、前記運行管理装置は、前記バッテリ情報通知装置から前記バッテリ情報を受信し、受信した前記バッテリ情報をバッテリ情報記憶部に書き込むバッテリ情報受信部と、前記バッテリ情報記憶部が記憶するバッテリ情報に基づいて、配送車両である前記電動車両に搭載するための充電されたバッテリと前記電動車両が配送する荷物とを保管する配送センタにおいて充電する必要のあるバッテリの量を判定し、前記配送センタの運行を管理する運行管理室に通知する充電制御部と、を有する。
【0008】
本発明の一態様に係るバッテリ情報通知方法は、電動車両に積載する荷物の重量と前記電動車両が走行する走行ルートの距離とに基づいて、前記電動車両に搭載されているバッテリの容量で前記走行ルートを走行可能か否か判定する必要バッテリ判定工程と、前記必要バッテリ判定工程による判定結果に基づく情報を前記電動車両の運転者に通知するバッテリ情報通知工程と、を含む。
【0009】
本発明の一態様に係るバッテリ情報通知方法は、バッテリ情報通知装置と、運行管理装置とを備えるバッテリ情報通知システムにおけるバッテリ情報通知方法であって、前記バッテリ情報通知装置が、交換可能なバッテリを搭載する電動車両に積載する荷物の重量と前記電動車両が走行する走行ルートの距離とに基づいて、前記電動車両に搭載されているバッテリの容量で前記走行ルートを走行可能か否か判定し、走行不可能であると判定した場合には、前記走行ルートを走行するために必要な予備のバッテリの必要量を判定する必要バッテリ判定工程と、前記バッテリ情報通知装置が、前記必要バッテリ判定工程による判定結果に基づく情報を前記電動車両の運転者に通知するとともに、前記判定結果に基づく情報をバッテリ情報として前記運行管理装置に送信するバッテリ情報通知工程と、前記運行管理装置が、前記バッテリ情報通知装置から前記バッテリ情報を受信し、受信した前記バッテリ情報をバッテリ情報記憶部に書き込むバッテリ情報受信工程と、前記運行管理装置が、前記バッテリ情報記憶部が記憶するバッテリ情報に基づいて、配送車両である前記電動車両に搭載するための充電されたバッテリと前記電動車両が配送する荷物とを保管する配送センタにおいて充電する必要のあるバッテリの量を判定し、前記配送センタの運行を管理する運行管理室に通知する充電制御工程と、を含む。
【0010】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、電動車両に積載する荷物の重量と前記電動車両が走行する走行ルートの距離とに基づいて、前記電動車両に搭載されているバッテリの容量で前記走行ルートを走行可能か否か判定する必要バッテリ判定ステップと、前記必要バッテリ判定ステップによる判定結果に基づく情報を前記電動車両の運転者に通知するバッテリ情報通知ステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電動車両に荷物を積んで走行する際に、電動車両に搭載しているバッテリで走行ルートを走行可能か否かを運転者が容易に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係る電動車両の模式図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る電動車両の適用例を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係るバッテリ情報通知システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る運行管理装置が記憶する荷物情報テーブルのデータ構造及びデータ例を示す概略図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る運行管理装置が記憶するバッテリ情報テーブルのデータ構造及びデータ例を示す概略図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係るバッテリ情報通知処理の動作を示すシーケンス図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係るバッテリ情報画面の一例を示すイメージ図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る補充情報通知処理の動作を示すシーケンス図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係る補充情報画面の一例を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る電動車両1の模式図である。なお、以下の説明では、電動車両1の進行方向に対して前方、後方を単に前方、後方と称する。進行方向に直交する電動車両1の車幅方向を単に車幅方向と称する。また、電動車両1が路面上を走行可能な状態に配置された状態での上下方向を単に上下方向と称する。また、車幅方向において電動車両1を上方から視認した際の左方、右方を単に左方、右方と称する。
【0014】
図1に示すように、電動車両1は、車体2と、4つの車輪3-1~3-4と、各車輪3-1~3-4に個別に設けられた4つの駆動ユニット4-1~4-4と、各駆動ユニット4-1~4-4の駆動制御を行うモータ制御部5-1~5-4(MC:Motor Controller)と、各駆動ユニット4-1~4-4に電力を供給するバッテリ6-1~6-4(LB:Li-ion Battery)と、電動車両1を統括して制御する車両コントローラ15(VC:Vehicle Controller)と、バッテリ情報通知装置100とを備えている。バッテリ情報通知装置100の詳細については後述する。
【0015】
各車輪3-1~3-4は、ホイールにタイヤ(いずれも図示しない)が装着される。各車輪3-1~3-4の車軸11-1~11-4には、駆動ユニット4-1~4-4が連結されている。車輪3-1~3-4のうち、車輪3-1及び3-2は、車体2の前方で、かつ車幅方向両側に配置された一組の前輪である。また、前輪となる車輪3-1及び3-2のホイールには、ステアリング10が連結されている。車輪3-3及び3-4は、車体2の後方で、かつ車幅方向両側に配置された一組の後輪である。
【0016】
駆動ユニット4-1~4-4は、電動モータ8-1~8-4(M:Motor)と、電動モータ8-1~8-4による回転力を車軸11-1~11-4に伝達する伝達ギア9-1~9-4(G:Gear)と、を備えている。
【0017】
電動モータ8-1~8-4は、いわゆるSRモータ(スイッチトリラクタンスモータ)である。SRモータは、ロータとステータとの両方に突極を設けたモータである。SRモータは、ステータに設けられている複数のステータ突極にそれぞれ巻線が巻回されており、この巻線に電流を供給することによりステータ突極を励磁する。そして、ステータ突極に生じた磁気的吸引力によって、ロータに設けられている複数のロータ突極を吸引して回転力を発生させる。
【0018】
伝達ギア9-1~9-4は、電動モータ8-1~8-4の回転を減速させて車軸11-1~11-4に伝達する。
【0019】
モータ制御部5-1~5-4は、三相ブリッジ回路を含んで構成されており、電動モータ8-1~8-4のうち自身が接続された電動モータに対して駆動電流を印加することで、電動モータ8-1~8-4を回転駆動する。三相ブリッジ回路は、直列に接続された2つの図示しないスイッチング素子からなる回路を高電位側と接地電位との間に並列に複数組(U相、V相、W相の3組)接続された回路である。各スイッチング素子は、例えばFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)、又はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)が用いられる。
【0020】
モータ制御部5-1~5-4には、それぞれ対応するバッテリ6-1~6-4が接続されている。
バッテリ6-1~6-4は、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、鉛電池等のうちいずれかの二次電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタを用いることもできる。バッテリ6-1~6-4は、例えば、電圧が60V(ボルト)未満の容易に交換可能な(交換式の)低電圧バッテリである。以下の説明において、バッテリ6-1~6-4を特に区別しない場合には、バッテリ6と記す。
【0021】
このように、第1の実施形態に係る電動車両1は、前後、左右の4つの車輪3-1~3-4に対して、それぞれ、モータ制御部5-1~5-4を含む駆動ユニット4-1~4-4が個別に設けられている。また、モータ制御部5-1~5-4にはそれぞれ個別にバッテリ6-1~6-4が接続されている。すなわち、前後、左右の4つの車輪3-1~3-4それぞれに対し、駆動するための電力を供給するバッテリ6-1~6-4が個別に設けられている。これにより、バッテリ電圧や容量のためにセルの直列化又は並列化をしてセルバランスを考慮する必要がない。また、既存の高電圧の電動車両からのリサイクルバッテリを利用しやすい。すなわち、電動車両1を駆動するためのバッテリの取り扱い及びメンテナンスが容易になる。
【0022】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る電動車両1の適用例を示す図である。本例では、荷物を配送する配送車両に電動車両1を適用する場合について説明する。配送車両は、例えば、軽貨物車両である。配送車両は、配送事業者が社用車として購入して社員が使用する場合と、個人配送事業者に貸与する場合と、個人配送事業者が自ら購入する場合とがある。以下、配送事業者が配送車両を社用車として購入して社員が使用する場合を例に説明する。
【0023】
電動車両1には、4つの車輪3-1~3-4それぞれに対応する4つのバッテリ6-1~6-4が搭載されている。本例では、各バッテリ6-1~6-4は電圧45Vの交換式の低電圧バッテリである。よって、電動車両1全体のシステム電圧は45V×4である。また、電動車両1の車両仕様としてバッテリ6-1~6-4の容量を、1回の実配送距離を50km(キロメートル)程度とし、この1回の実配送距離を走行できる必要最小限の容量としている。これにより、電動車両1におけるバッテリ6-1~6-4が占める積載重量や積載体積を、1回の実配送距離を走行できる必要最小限に留めることができる。以下、4つのバッテリ6-1~6-4を1組のバッテリと称する。
【0024】
バッテリ6-1~6-4は、運転者の自宅H0や配送する荷物を集荷する配送センタPCにある100V又は200Vのコンセントから充電可能である。例えば、電動車両1は、配送を行う前に、配送センタPCの駐車場等でバッテリ6-1~6-4を充電しておくことができる。また、配送センタPCは、電動車両1に搭載するための充電されたバッテリ6(以下、「充電済のバッテリ」とする。)と、電動車両1が配送する荷物とを保管する。よって、電動車両1の運転者は、配送センタPCで荷物を集荷する際に、使用済の1組のバッテリUBを充電済の1組のバッテリCBと交換することができる。配送センタPCには、使用済の1組のバッテリUBを充電器BCの方向A1に向かって流すラインL1と、充電済の1組のバッテリCBが充電器BCの方から電動車両1の方向A2に向かって流れるラインL2と、配送する荷物が電動車両1の方向A3に向かって流れるラインL3とがある。ラインL2には、充電器BCで既に充電された充電済のバッテリCBが1又は複数置いてある。例えば、運転者は、使用済の1組のバッテリUBをラインL1に積み下ろす。使用済の1組のバッテリUBは、ラインL1上を流れ、充電器BC内に格納されると充電される。続いて、運転者は、充電済の1組のバッテリCBをラインL2から積み上げ、電動車両1に搭載する。その後、運転者は、配送する荷物をラインL3から電動車両1に積み込む。配送センタPCを出た電動車両1は、配送先H1~H5へ荷物を配送する。
【0025】
このように、配送センタPCにおいて、使用済の1組のバッテリUBを、既に充電されている充電済の1組のバッテリCBと交換することができるため、充電のために電動車両1を使用することができない時間を削減することができる。また、自宅H0や配送センタPCでバッテリ6-1~6-4を充電することができるため、既存インフラを利用することができる。
また、これにより、電動車両における効率的運用に寄与することができるので、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」に貢献することが可能となる。
【0026】
また、電動車両1では、必要な容量のバッテリ6-1~6-4を搭載することにより、バッテリサイズ、重量、及びコストを低減することができる。
また、これにより、電動車両における資源使用量のミニマム化に寄与することができるので、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの促進を図る」に貢献することが可能となる。
【0027】
ここで、バッテリ6-1~6-4は、1回の実配送距離を走行できる必要最小限の容量しかないため、電動車両1がこの1回の実配送距離を超える距離を配送する場合には、配送途中で容量が不足することがある。そこで、予備のバッテリ6-1~6-4(以下、「予備バッテリEP」とする。)を電動車両1に積載し、配送の途中で交換する運用が考えられる。しかしながら、搭載しているバッテリ6-1~6-4で1回の配送が実施可能か否かを人が正確に判断するのは困難である。そこで、本実施形態における電動車両1は、搭載しているバッテリ6-1~6-4で1回の配送が実施可能か否か、及び、実施不可能である場合には積載すべき予備バッテリEPの量を運転者に通知する。これにより、運転者は、予備バッテリEPを積載すべきか、また、積載すべき場合には予備バッテリEPの必要量を容易に知ることができる。
【0028】
図3は、本発明の第1の実施形態に係るバッテリ情報通知システムS1の概略構成の一例を示すブロック図である。バッテリ情報通知システムS1は、電動車両1が備えるバッテリ情報通知装置100と、配送センタPCの運行を管理する運行管理室等に設置される運行管理装置200とを備えている。バッテリ情報通知装置100と運行管理装置200とは、インターネットや携帯電話網等を介して無線通信により通信接続する。
【0029】
バッテリ情報通知装置100は、バッテリ残量検出部101と、荷物情報取得部102と、ルート決定部103と、必要バッテリ判定部104と、バッテリ情報通知部105と、表示部106と、情報受信部107と、操作入力部108と、位置情報取得部109とを備えている。
【0030】
バッテリ残量検出部101は、バッテリ6-1~6-4のバッテリ残量を検出する。
荷物情報取得部102は、電動車両1が配送する荷物に関する荷物情報を運行管理装置200から取得する。荷物情報には、荷物の識別情報、重量、体積、及び配送先となる住所(以下、「配送先住所」とする。)が含まれる。例えば、荷物情報取得部102は、自電動車両1の車両番号を含む荷物情報要求を運行管理装置200に送信し、運行管理装置200から荷物情報を受信する。車両番号は、各電動車両1を識別する識別情報である。荷物情報要求は、自電動車両1が配送する荷物の荷物情報を要求するデータである。
【0031】
ルート決定部103は、荷物情報取得部102が取得した荷物情報に含まれる配送先住所と地図情報とに基づいて、配送ルートを決定する。配送ルートは、配送する際に走行する走行ルートである。また、ルート決定部103は、決定した配送ルートの距離も取得する。例えば、ルート決定部103は、荷物情報に含まれる配送先住所と地図情報とに基づいて、決定した配送ルートの距離を取得する。地図情報は、ルート決定部103が予め記憶していてもよいし、インターネットを介した地図に関するサービスを利用してもよい。
【0032】
必要バッテリ判定部104は、配送する荷物の重量と配送ルートの距離とに基づいて、電動車両1に搭載されているバッテリ6-1~6-4の容量で配送ルートを走行可能か否か判定する。このとき、必要バッテリ判定部104は、配送ルートの距離に加えて、地図情報に含まれる高低差、制限速度、又は道路交通情報通信システム等から取得した交通量に基づいて配送ルートを走行可能であるか否かを判定する。また、必要バッテリ判定部104は、電動車両1に搭載されているバッテリ6-1~6-4の容量で配送ルートを走行不可能であると判定した場合には、配送ルートを走行するために必要な予備バッテリEPの必要量を判定する。即ち、必要バッテリ判定部104による判定結果には、電動車両1に搭載されているバッテリ6-1~6-4の容量で配送ルートを走行可能か否かを示す情報や、配送ルートを走行するために必要な予備バッテリEPの必要量を示す情報等が含まれる。
【0033】
バッテリ情報通知部105は、必要バッテリ判定部104による判定結果に基づく情報を電動車両1の運転者に通知するとともに、判定結果に基づく情報をバッテリ情報として運行管理装置200に送信する。判定結果に基づく情報は、例えば、判定結果に含まれる情報そのものであってよいし、判定結果に含まれる情報を加工したものであってもよい。
例えば、バッテリ情報通知部105は、表示部106に判定結果に基づく情報を表示させることにより運転者に通知する。或いは、バッテリ情報通知部105は、運転者の使用する携帯端末300に判定結果に基づく情報を送信して表示させることにより運転者に通知する。携帯端末300は、運転者の使用するスマートフォンや携帯電話機、タブレット端末等の電子機器である。或いは、携帯端末300は、配送の運行を管理するための専用の携帯端末であってもよい。
【0034】
また、バッテリ情報通知部105は、電動車両1の走行中に、所定時間毎に、バッテリ残量と、未だ使用していない残りの予備バッテリEPの量と、これから走行する残りの配送ルートと、現在の位置情報とを含むバッテリ情報を運行管理装置200に送信する。このとき、バッテリ情報通知部105は、電動車両1の現在の位置情報を位置情報取得部109から取得する。
【0035】
また、バッテリ情報通知部105は、電動車両1の走行中にバッテリが不足し、新たに予備バッテリEPが必要になったことを示す操作入力を操作入力部108が受け付けた場合に、その旨通知するバッテリ要求を運行管理装置200に送信する。バッテリ要求には、残りの配送ルートと、バッテリ残量と、残りの予備バッテリEPの量と、電動車両1の現在の位置情報とが含まれる。
【0036】
表示部106は、種々の情報を表示する液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイ装置である。
情報受信部107は、走行中の他の電動車両1に予備バッテリEPが必要である場合に運行管理装置200から送信される当該他の電動車両1に予備バッテリEPを補充する指示である補充情報を受信する。情報受信部107は、受信した補充情報を表示部106に表示させる。
【0037】
操作入力部108は、操作入力を受け付ける各種ボタンや表示部106の表示画面に設置されるタッチパネルである。例えば、操作入力部108は、運転者から、電動車両1の走行中にバッテリ不足となり新たに予備バッテリEPが必要になったことを示す操作入力を受け付ける。
位置情報取得部109は、GPS(Global Positioning System)等により自電動車両1の位置情報を取得する。
【0038】
運行管理装置200は、荷物情報記憶部201と、荷物情報送信部202と、バッテリ情報受信部203と、バッテリ情報記憶部204と、充電制御部205と、情報伝達部206とを備えている。
【0039】
荷物情報記憶部201は、各電動車両1が配送する荷物の荷物情報を示す荷物情報テーブルを記憶する。
荷物情報送信部202は、バッテリ情報通知装置100から荷物情報要求を受信すると、荷物情報要求に含まれる電動車両1の車両番号に対応する荷物情報を荷物情報記憶部201から読み出し、読み出した荷物情報をバッテリ情報通知装置100に返信する。
【0040】
バッテリ情報受信部203は、バッテリ情報通知装置100からバッテリ情報を受信し、受信したバッテリ情報をバッテリ情報記憶部204に書き込む。また、バッテリ情報受信部203は、バッテリ情報通知装置100からバッテリ要求を受信すると、受信したバッテリ要求をバッテリ情報記憶部204に書き込むとともに、情報伝達部206に出力する。
【0041】
バッテリ情報記憶部204は、各電動車両1のバッテリ情報を示すバッテリ情報テーブルや、配送センタPCにおける使用済のバッテリUBの量と充電済のバッテリCBの量とを示す充電状態テーブルを記憶する。
【0042】
充電制御部205は、バッテリ情報記憶部204が記憶するバッテリ情報テーブルと充電状態テーブルとに基づいて、配送センタPCにおいて必要なバッテリ6の充電が完了するよう、配送センタPCにおいて充電する必要のあるバッテリ6の量を判定する。そして、充電制御部205は、配送センタPCにおいて充電する必要のあるバッテリ6の量を表示装置等に表示させることで運用管理室に通知する。
【0043】
情報伝達部206は、配送中の電動車両1に予備バッテリEPが必要である場合に、その電動車両1に予備バッテリEPを運ぶ指示を他の電動車両1の運転者に通知する。例えば、情報伝達部206は、バッテリ情報受信部203からバッテリ要求が入力されると、バッテリ要求に含まれる残りの配送ルートと、バッテリ残量と、残りの予備バッテリEPの量とに基づいて、必要な予備バッテリEPの量(以下、「補充量」とする。)を決定する。また、当該電動車両1の現在の位置情報とバッテリ情報テーブルが記憶する各電動車両1の現在位置とに基づいて、予備バッテリEPを当該配送中の電動車両1に運ぶ他の電動車両1(以下、「補充車両」とする。)と、予備バッテリEPの受け渡し地点(以下、「補充地点」とする。)とを決定する。
【0044】
そして、情報伝達部206は、決定した補充車両のバッテリ情報通知装置100に、決定した補充量と補充地点と予備バッテリEPが必要な電動車両1の車両番号とを含む補充情報を送信する。或いは、情報伝達部206は、補充車両の運転者の持つ携帯端末300に補充情報を送信して表示させてもよい。
【0045】
なお、情報伝達部206は、バッテリ情報テーブルに基づいて、予備バッテリEPが必要な配送中の電動車両1を自動的に判定してもよい。この場合、情報伝達部206は、バッテリ情報テーブルに基づいて、補充量、補充地点、及び補充車両を決定する。
【0046】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る運行管理装置200が記憶する荷物情報テーブルのデータ構造及びデータ例を示す概略図である。図示するように、荷物情報テーブルは、車両番号と、荷物番号と、重量と、体積と、配送先住所との各項目を有する。車両番号は、各電動車両1を識別する識別情報である。荷物番号は、各荷物を識別する識別情報である。重量は、荷物の重量である。体積は、荷物の体積である。配送先住所は、荷物の配送先住所である。図示する例では、車両番号「001」が配送する荷物の荷物番号は「1111」、「1112」、及び「1113」である。
【0047】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る運行管理装置200が記憶するバッテリ情報テーブルのデータ構造及びデータ例を示す概略図である。図示するように、バッテリ情報テーブルは、車両番号と、配送状況と、配送ルートと、現在位置と、バッテリ残量と、積載予備バッテリ量と、補充状況との各項目を有する。配送状況は、電動車両1が「配送中」であるか「準備中」であるか等の各電動車両1の配送状況を示す。配送ルートは、電動車両1の配送ルートである。現在位置は、電動車両1の現在の位置情報である。バッテリ残量は、電動車両1が搭載するバッテリ6-1~6-4のバッテリ残量である。積載予備バッテリ量は、電動車両1が積載している予備バッテリEPの量(例えば、個数)である。補充状況は、電動車両1への予備バッテリEPの補充状況を示す。例えば、補充状況に数字が設定してある場合には、補充が必要な予備バッテリEPの量を示す。また、補充状況「補充完了」は、予備バッテリEPの補充が完了したことを示す。また、補充状況「-」は、予備バッテリEPの補充が必要ないことを示す。
【0048】
図示する例では、車両番号「001」は、配送状況「配送中」であり、配送ルート「ルートA」であり、現在位置「地点X」であり、バッテリ残量「50%」であり、積載予備バッテリ量「0」であり、補充状況「4」である。すなわち、車両番号「001」の電動車両1は、現在地点Xにおり、配送中にバッテリ不足となり予備バッテリEPが新たに4個必要になったことを示す。また、車両番号「002」は、配送状況「配送中」であり、配送ルート「ルートB」であり、現在位置「地点Y」であり、バッテリ残量「70%」であり、積載予備バッテリ量「4」であり、補充状況「補充完了」である。すなわち、車両番号「002」の電動車両1は、現在地点Yにおり、予備バッテリEPの補充が完了していることを示す。車両番号「003」は、配送状況「準備中」であり、配送ルート「ルートC」であり、現在位置「配送センタ」であり、バッテリ残量「100」%であり、積載予備バッテリ量「0」であり、補充状況「-」である。すなわち、車両番号「003」の電動車両1は、配送の準備中であり、現在配送センタPCにおり、予備バッテリEPの補充は必要ないことを示す。
【0049】
図6は、本発明の第1の実施形態に係るバッテリ情報通知処理の動作を示すシーケンス図である。例えば、バッテリ情報通知装置100は、所定の操作入力を操作入力部108が受け付けた場合に、図6に示すバッテリ情報通知処理を実行する。例えば、電動車両1の運転者は、配送センタPCにおいて配送の準備中等に、当該所定の操作入力を行う。
【0050】
(ステップS101)バッテリ情報通知装置100の荷物情報取得部102は、荷物情報要求を運行管理装置200に送信する。
(ステップS102)運行管理装置200の荷物情報送信部202は、バッテリ情報通知装置100から荷物情報要求を受信し、受信した荷物情報要求に含まれる車両番号に対応する荷物情報を荷物情報記憶部201が記憶する荷物情報テーブルから読み出す。そして、荷物情報送信部202は、読み出した荷物情報をバッテリ情報通知装置100に返信する。
【0051】
(ステップS103)バッテリ情報通知装置100の荷物情報取得部102は、運行管理装置200から荷物情報を受信する。ルート決定部103は、荷物情報取得部102が受信した荷物情報に含まれる各荷物の配送先住所に基づいて配送ルートを決定する。
(ステップS104)バッテリ残量検出部101は、バッテリ6-1~6-4のバッテリ残量を検出する。
【0052】
(ステップS105)必要バッテリ判定部104は、荷物情報取得部102が受信した荷物情報に含まれる各荷物の重量に基づいて、電動車両1に搭載されているバッテリ6-1~6-4の容量で、ルート決定部103が決定した配送ルートを走行可能であるか否かを判定する。また、必要バッテリ判定部104は、電動車両1に搭載されているバッテリ6-1~6-4の容量で配送ルートを走行不可能であると判定した場合には、配送ルートを走行するために必要な予備バッテリEPの必要量を判定する。
【0053】
(ステップS106)バッテリ情報通知部105は、必要バッテリ判定部104の判定結果をバッテリ情報として運行管理装置200に送信する。
(ステップS107)バッテリ情報通知部105は、必要バッテリ判定部104の判定結果に基づく情報を表示部106に表示させることにより運転者に通知する。或いは、バッテリ情報通知部105は、運転者の使用する携帯端末300に判定結果に基づく情報を送信して表示させることにより運転者に通知する。その後、バッテリ情報通知装置100は、処理を終了する。
【0054】
(ステップS108)運行管理装置200のバッテリ情報受信部203は、バッテリ情報通知装置100からバッテリ情報を受信し、受信したバッテリ情報をバッテリ情報記憶部204が記憶するバッテリ情報テーブルに書き込む。
【0055】
(ステップS109)充電制御部205は、更新されたバッテリ情報テーブルと充電状態テーブルとに基づいて、配送センタPCにおいて充電する必要のあるバッテリ6の量を判定する。そして、充電制御部205は、充電する必要のあるバッテリ6の量を表示装置等に表示させることにより運用管理室に通知する。その後、運行管理装置200は、処理を終了する。
【0056】
図7は、本発明の第1の実施形態に係るバッテリ情報画面の一例を示すイメージ図である。バッテリ情報通知装置100は、上述したステップS107の処理において表示部106又は運転者の携帯端末300に図7に示すバッテリ情報画面を表示させる。図示するように、バッテリ情報画面には、バッテリ6-1~6-4のバッテリ残量を容量に対する割合で示した「バッテリ残量:100%」と、積載すべき予備バッテリEPの量を含むメッセージ「予備バッテリを4個積んで配送してください」とが表示される。
【0057】
このように、本実施形態におけるバッテリ情報通知装置100は、電動車両1に積載する荷物の荷物情報を取得し、荷物の配送先住所に基づいて配送ルートを決定する。そして、バッテリ情報通知装置100は、電動車両1に積載する荷物の重量に基づいて、電動車両1に搭載されているバッテリ6-1~6-4の容量で決定した配送ルートを走行可能か否か、及び走行不可能である場合には積載すべき予備バッテリEPの量を判定し、運転者に通知する。
これにより、運転者は、電動車両1に搭載しているバッテリで走行ルートを走行可能か否かを容易に知ることができる。また、運転者は、配送に出る前に、予備バッテリEPを積載すべきか、また、積載すべき場合には予備バッテリEPの必要量はいくつかを知ることができる。
【0058】
よって、運転者は、電動車両1に搭載されているバッテリ6-1~6-4の容量で配送ルートを走行可能である場合には、予備バッテリEPを積むことなく配送を開始することができる。一方、運転者は、予備バッテリEPが必要な場合には必要量の予備バッテリEPを電動車両1に積み込んでから配送を開始することができる。
このとき、運転者は、予備バッテリEPが多く必要であっても荷物の重量や荷物の体積が車両規定を満たせば予備バッテリEPを電動車両1に積み込む。このように運用することで、電動車両1は1回の実配送距離を走行可能な必要最小限の車両仕様で様々な条件での配送が可能になる。また、電動車両1は、必要な予備バッテリEPを予め積載して配送することができるため、配送中のバッテリ不足がなくなる。
また、これにより、電動車両における効率的運用に寄与することができるので、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」に貢献することが可能となる。
【0059】
また、本実施形態における運行管理装置200は、バッテリ情報を各電動車両1から受信して記憶する。そして、運行管理装置200は、各電動車両1のバッテリ情報に基づいて、配送センタPCにおいて充電する必要のあるバッテリ6の量を判定し、運用管理室に通知する。これにより、運行管理室では、配送センタPCにおいて必要なバッテリ6の充電ができるように充電状態や個数を管理することができる。
【0060】
ところで、電動車両1は、配送センタPCを出発する時点で配送ルートを走行可能なバッテリ6-1~6-4を搭載していたとしても、ルート変更や交通量の変化等の走行中の条件変更等により配送の途中でバッテリが不足することがある。そこで、本実施形態における運行管理装置200は、配送途中でバッテリが不足し、予備バッテリEPが必要になる電動車両1がある場合には、当該電動車両1に予備バッテリEPを運ぶ指示を他の電動車両1に送信する。これにより、他の電動車両1がバッテリ不足となった電動車両1に予備バッテリEPを届けることができる。
【0061】
図8は、本発明の第1の実施形態に係る補充情報通知処理の動作を示すシーケンス図である。運行管理装置200は、図8に示す補充情報通知処理を、配送中の電動車両1に予備バッテリEPが必要となった場合に実行する。
【0062】
例えば、運転者は、配送中に電動車両1のバッテリが不足し、新たに予備バッテリEPが必要になった場合には、その旨示す操作入力をバッテリ情報通知装置100は操作入力部108に対して行う。バッテリ情報通知装置100のバッテリ情報通知部105は、当該操作入力を受けて、バッテリ要求を運行管理装置200に送信する。
【0063】
(ステップS201)運行管理装置200の情報伝達部206は、配送中の電動車両1のうち、予備バッテリEPが必要な電動車両1はあるか否かを判定する。例えば、情報伝達部206は、バッテリ情報通知装置100からバッテリ要求を受信した場合に、予備バッテリEPが必要な電動車両1があると判定する。或いは、情報伝達部206は、バッテリ情報テーブルに基づいて、予備バッテリEPが必要な電動車両1を判定してもよい。予備バッテリEPが必要な電動車両1がある場合(ステップS201:Yes)、処理をステップS202に進める。一方、予備バッテリEPが必要な電動車両1がない場合(ステップS201:No)、ステップS201の処理を再度実行する。
【0064】
(ステップS202)情報伝達部206は、予備バッテリEPが必要な電動車両1の残りの配送ルートと、残りの予備バッテリEP数と、バッテリ残量と、現在の位置情報とに基づいて、当該電動車両1に予備バッテリEPを補充する補充車両と、予備バッテリEPの補充量と、補充地点とを決定する。
(ステップS203)情報伝達部206は、決定した補充量と補充地点と予備バッテリEPが必要な電動車両1の車両番号とを含む補充情報を、補充車両のバッテリ情報通知装置100に送信する。なお、情報伝達部206は、補充車両の運転者の持つ携帯端末300に補充情報を送信して表示させてもよい。また、情報伝達部206は、予備バッテリEPが必要な電動車両1(例えば、バッテリ要求を送信した電動車両1)の運転者に補充地点を通知してもよい。その後、運行管理装置200は処理を終了する。
【0065】
(ステップS204)補充車両のバッテリ情報通知装置100の情報受信部107は、運行管理装置200から補充情報を受信し、受信した補充情報を表示部106に表示させる。その後、バッテリ情報通知装置100は処理を終了する。
【0066】
図9は、本発明の第1の実施形態に係る補充情報画面の一例を示すイメージ図である。運行管理装置200は、上述したステップS203の処理においてバッテリ情報通知装置100又は運転者の携帯端末300に図9に示すバッテリ情報画面を表示させる。バッテリ情報通知装置100は、上述したステップS204の処理において表示部106に図9に示す補充情報画面を表示させる。図示するように、補充情報画面には、予備バッテリEPの補充が必要な電動車両1を示すメッセージ「車両001のバッテリが不足しています」と、補充地点及び補充量を含むメッセージ「地点Xにて車両001に予備バッテリ4個を受け渡してください」とが表示される。なお、本例に示す補充情報画面では、補充地点を地点名で表示しているが、これに限らず、補充地点は地図上に表示してもよい。
【0067】
このように、本実施形態における運行管理装置200は、配送中の条件変更等により配送の途中でバッテリが不足する電動車両1がある場合には、当該電動車両1の残りの配送ルートと、バッテリ残量と、残りの予備バッテリEPの量と、現在の位置情報とに基づいて、補充量と、予備バッテリEPを当該電動車両1に運ぶ他の電動車両1と、補充地点とを決定する。そして、運行管理装置200は、決定した他の電動車両1のバッテリ情報通知装置100又は運転者の携帯端末300に、決定した補充量と補充地点と予備バッテリEPが必要な電動車両1の車両番号とを含む補充情報を送信する。補充情報を受信したバッテリ情報通知装置100又は運転者の携帯端末300は、補充情報を表す補充情報画面を表示する。これにより、補充車両の運転者は補充情報を知ることができる。
よって、配送中の条件変更等により途中で電動車両1のバッテリが不足する場合には、近くの電動車両1が積載している予備バッテリEPで補ったり、次の配送を開始する電動車両1に予備バッテリEPを積載し、配送中に予備バッテリの受け渡しをすることができる。
また、これにより、電動車両における効率的運用に寄与することができるので、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」に貢献することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態における電動車両1では、前後、左右の4つの車輪3-1~3-4それぞれに対し、駆動するための電力を供給するバッテリ6-1~6-4が個別に設けられている。これにより、バッテリ電圧や容量のためにセルの直列化又は並列化をしてセルバランスを考慮する必要がない。また、バッテリ6-1~6-4は60V未満の低電圧バッテリであるため、既存の高電圧の電動車両からのリサイクルバッテリを利用しやすい。すなわち、電動車両1を駆動するためのバッテリの取り扱い及びメンテナンスが容易になる。
また、これにより、電動車両における廃棄物の発生抑制に寄与することができるので、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標11「包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を再現する」及び目標12「持続可能な生産消費形態を確保する」に貢献することが可能となる。
【0069】
また、本実施形態における電動車両1では、前後、左右の4つの車輪3-1~3-4が、それぞれバッテリ6-1~6-4まで完全に独立した4系統で制御されるため、トルクベクタリングによる小回り性を向上することができる。また、完全4系統であるため、冗長機能に優れる。また、重量配分を均等にすることができる。すなわち、電動車両1は、4輪の駆動力や制動力を制御し、効率的で最適な走行を実現できる。
【0070】
また、本実施形態における電動車両1では、電動モータ8-1~8-4がマグネットを使用しないSRモータであるため、マグネットによる逆起電力が発生しない。よって、電動車両1では、引き釣りトルクもなく、力行/回生/フリーラン等の切換え制御が容易である。また、着磁機の大電力抑制によりCO2(二酸化炭素)削減効果ある。また、電動モータ8-1~8-4の分解、リサイクルが容易である。また、熱減磁による性能劣化やマグネット供給リスクなく信頼性が高い。
また、これにより、電動車両における温室効果ガスの排出量の削減及び電動車両における廃棄物の発生抑制に寄与することができるので、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」、目標11「包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を再現する」、目標12「持続可能な生産消費形態を確保する」、及び目標13「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」に貢献することが可能となる。
【0071】
また、本実施形態における電動車両1では、バッテリ6-1~6-4が交換式のバッテリであるため、自宅や配送センタ等で交換を行うことにより、充電時間のロスを削減することができる。
また、これにより、電動車両における効率的運用に寄与することができるので、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」に貢献することが可能となる。
【0072】
なお、本実施形態では、4つの車輪をそれぞれ独立したバッテリで駆動する場合について説明したが、2つのモータで前輪もしくは後輪を駆動する車両や、2つのバッテリで前輪もしくは後輪を駆動する車両の場合にも適用できる。
【0073】
また、本実施形態では、配送事業者が配送車両を社用車として購入して社員が使用する場合を例に説明したが、個人配送事業者が配送車両として電動車両1を使用する場合には、バッテリ情報通知装置100は、上述した各条件に加え、自宅までの距離や自宅での充電等も考慮し予備バッテリEPの必要可否を判定してもよい。
【0074】
また、本実施形態では、バッテリ情報通知装置100を電動車両1が備える場合について説明したが、バッテリ情報通知装置100が備える各部の機能を、運転者の持つ携帯端末300や運行管理装置200が備えていてもよい。
【0075】
また、本実施形態では、予備バッテリEPの量を個数で示しているが、これに限らず、例えば容量で示してもよい。
【0076】
また、本実施形態では、バッテリ情報通知装置100は、運行管理装置200から荷物情報を取得しているが、運転者や作業者が荷物情報を操作入力部108から入力できるようにしてもよい。
【0077】
上述した実施形態におけるバッテリ残量検出部、荷物情報取得部、ルート決定部、必要バッテリ判定部、バッテリ情報通知部、情報受信部、位置情報取得部、荷物情報送信部、バッテリ情報受信部、充電制御部、情報伝達部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0078】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1…電動車両、3,3-1~3-4…車輪、4,4-1~4-4…駆動ユニット、5,5-1~5-4…モータ制御部、6,6-1~6-4…バッテリ、8,8-1~8-4…電動モータ、9,9-1~9-4…伝達ギア、11,11-1~11-4…車軸、15…車両コントローラ、S1…バッテリ情報通知システム、100…バッテリ情報通知装置、101…バッテリ残量検出部、102…荷物情報取得部、103…ルート決定部、104…必要バッテリ判定部、105…バッテリ情報通知部、106…表示部、107…情報受信部、108…操作入力部、109…位置情報取得部、200…運行管理装置、201…荷物情報記憶部、202…荷物情報送信部、203…バッテリ情報受信部、204…バッテリ情報記憶部、205…充電制御部、206…情報伝達部
図1
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図9