(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162852
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】医用画像表示装置、医用画像表示方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20221018BHJP
G06T 3/40 20060101ALI20221018BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
A61B6/03 360T
G06T3/40
G06T1/00 290A
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067887
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田口 博基
(72)【発明者】
【氏名】米森 啓太
【テーマコード(参考)】
4C093
5B057
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA26
4C093CA18
4C093CA21
4C093FD03
4C093FD08
4C093FD09
4C093FD11
4C093FF01
4C093FF06
4C093FF13
4C093FF16
4C093FF27
4C093FF32
4C093FF33
4C093FG04
4C093FG18
4C093FH02
4C093FH06
5B057AA08
5B057BA03
5B057BA24
5B057CA02
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB02
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CD05
(57)【要約】
【課題】表示領域の画素数が高解像度な医用画像全体の画素数よりも少ない場合であっても、高解像度な医用画像をユーザが適切に照会可能にすること。
【解決手段】実施形態に係る医用画像表示装置は、取得部と、特定部と、表示制御部とを備える。取得部は、第1の医用画像を取得する。特定部は、表示部において第1の医用画像を表示可能な表示領域のマトリクスサイズに基づいて、表示領域に表示可能な対象範囲の大きさを特定する。表示制御部は、第1の医用画像において設定された対象範囲に対応する部分を、表示領域に表示させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の医用画像を取得する取得部と、
表示部において前記第1の医用画像を表示可能な表示領域のマトリクスサイズに基づいて、前記表示領域に表示可能な対象範囲の大きさを特定する特定部と、
前記第1の医用画像において設定された前記対象範囲に対応する部分を、前記表示領域に表示させる表示制御部と、
を備える医用画像表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、ユーザによって前記対象範囲の位置が変更された場合、前記第1の医用画像のうち、位置の変更後の前記対象範囲に対応する部分を、前記表示領域に表示させる、
請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項3】
前記対象範囲のマトリクスサイズは、前記表示領域のマトリクスサイズと一致する、
請求項1または2に記載の医用画像表示装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記対象範囲の位置および大きさを示す第1の指標画像を、前記表示部に表示させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の医用画像表示装置。
【請求項5】
前記表示部は、第1の表示領域と第2の表示領域とを含み、
前記第1の医用画像を、前記第1の医用画像よりも解像度の低い第2の医用画像に変換する変換部、をさらに備え、
前記表示制御部は、前記第2の医用画像を前記第1の表示領域に表示させ、前記第1の医用画像のうち前記対象範囲に対応する部分を前記第2の表示領域に表示させる、
請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項6】
前記第1の表示領域に表示された前記第2の医用画像上で、ユーザによる前記対象範囲の位置の指定を受け付ける受付部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記第1の医用画像のうち前記ユーザによって指定された位置に設けられた前記対象範囲に対応する部分を、前記第2の表示領域に表示させる、
請求項5に記載の医用画像表示装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記第1の表示領域に表示された前記第2の医用画像上に、前記対象範囲の位置および大きさを示す第1の指標画像を表示させる、
請求項5または6に記載の医用画像表示装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記表示部に、前記第1の医用画像のうち、前記表示領域に表示されたことのある範囲を示す情報を表示させる、
請求項6に記載の医用画像表示装置。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記表示部に、複数の医用情報を表示させる統合ビューアを表示させ、
前記統合ビューアは、複数の表示領域を含み、
前記表示領域は、前記複数の表示領域に含まれる、
請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項10】
前記第1の医用画像に関する表示条件を、前記第1の医用画像と対応付けて記憶部に保存する画像処理部をさらに備える、
請求項1から9のいずれか1項に記載の医用画像表示装置。
【請求項11】
前記表示条件は、前記対象範囲の位置および大きさを含む、
請求項10に記載の医用画像表示装置。
【請求項12】
前記表示条件は、ウィンドウ幅およびウィンドウレベルを含む、
請求項10または11に記載の医用画像表示装置。
【請求項13】
前記画像処理部は、前記第1の医用画像が、同一の前記表示条件で閾値以上の長さの時間継続して前記表示領域に表示されていた場合、前記表示条件を前記第1の医用画像と対応付けて前記記憶部に保存する、
請求項10から12のいずれか1項に記載の医用画像表示装置。
【請求項14】
第1の医用画像を取得する取得部と、
前記第1の医用画像の少なくとも一部を表示領域に表示させる表示制御部と、
前記表示領域に表示された前記第1の医用画像または前記第1の医用画像の一部を、拡大または縮小するユーザの操作を受け付ける受付部と、を備え、
前記表示制御部は、前記ユーザの操作に基づいて、前記表示領域に表示された前記第1の医用画像または前記第1の医用画像の一部を拡大または縮小させ、前記表示領域のマトリクスサイズと前記表示領域に表示された前記第1の医用画像または前記第1の医用画像の一部のマトリクスサイズとが一致した場合に報知する、
医用画像表示装置。
【請求項15】
前記表示制御部は、前記表示領域に表示された前記第1の医用画像または前記第1の医用画像の一部の拡大率または縮小率を示す第2の指標画像を、前記表示領域を含む表示部に表示させる、
請求項14に記載の医用画像表示装置。
【請求項16】
第1の医用画像を取得する取得ステップと
表示部において前記第1の医用画像を表示可能な表示領域のマトリクスサイズに基づいて、前記表示領域に表示可能な対象範囲の大きさを特定する特定ステップと、
前記第1の医用画像において設定された前記対象範囲に対応する部分を、前記表示領域に表示させる表示制御ステップと、
を含む医用画像表示方法。
【請求項17】
第1の医用画像を取得する取得ステップと、
表示部において前記第1の医用画像を表示可能な表示領域のマトリクスサイズに基づいて、前記表示領域に表示可能な対象範囲の大きさを特定する特定ステップと、
前記第1の医用画像において設定された前記対象範囲に対応する部分を、前記表示領域に表示させる表示制御ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項18】
第1の医用画像を取得する取得ステップと、
前記第1の医用画像の少なくとも一部を表示領域に表示させる表示制御ステップと、
前記表示領域に表示された前記第1の医用画像または前記第1の医用画像の一部を、拡大または縮小するユーザの操作を受け付ける受付ステップと、
前記ユーザの操作に基づいて、前記表示領域に表示された前記第1の医用画像または前記第1の医用画像の一部を拡大または縮小させ、前記表示領域のマトリクスサイズと前記表示領域に表示された前記第1の医用画像または前記第1の医用画像の一部のマトリクスサイズとが一致した場合に報知する報知ステップと、
を含む医用画像表示方法。
【請求項19】
第1の医用画像を取得する取得ステップと、
前記第1の医用画像の少なくとも一部を表示領域に表示させる表示制御ステップと、
前記表示領域に表示された前記第1の医用画像または前記第1の医用画像の一部を、拡大または縮小するユーザの操作を受け付ける受付ステップと、
前記ユーザの操作に基づいて、前記表示領域に表示された前記第1の医用画像または前記第1の医用画像の一部を拡大または縮小させ、前記表示領域のマトリクスサイズと前記表示領域に表示された前記第1の医用画像または前記第1の医用画像の一部のマトリクスサイズとが一致した場合に報知する報知ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像表示装置、医用画像表示方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、X線コンピュータ断層撮影(Computed Tomography:CT)装置等の医用画像診断装置では、医用画像の高解像度化が進んでいる。しかしながら、表示装置の性能または表示領域の大きさによっては、高解像度の医用画像を、高解像度のままで表示することが困難な場合がある。例えば、高解像度の医用画像を表示する表示装置の画面の画素数が高解像度の医用画像の画素数よりも少ない場合がある。また、例えば統合ビューワ等、様々な医用情報を同一画面に表示する場合は、たとえ表示装置の画面全体の画素数が多くとも、個々の情報の表示のために確保できる領域は限定的になってしまい、結果として通常解像度の画像表示しかできない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、表示領域の画素数が高解像度な医用画像全体の画素数よりも少ない場合であっても、高解像度な医用画像をユーザが適切に照会可能にすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る医用画像表示装置は、取得部と、特定部と、表示制御部とを備える。取得部は、第1の医用画像を取得する。特定部は、表示部において第1の医用画像を表示可能な表示領域のマトリクスサイズに基づいて、表示領域に表示可能な対象範囲の大きさを特定する。表示制御部は、第1の医用画像において設定された対象範囲に対応する部分を、表示領域に表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る医用情報システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る第1の表示領域と第2の表示領域の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る高解像度画像の表示対象範囲の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る変換処理の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る高解像度画像および通常解像度画像が表示された状態の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る高解像度画像の表示対象範囲の変更例について説明する図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る医用画像表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第2の実施形態に係る医用情報システムの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態に係る高精細画像上の表示対象範囲の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、第2の実施形態に係る高解像度画像の一部が表示された状態の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、第2の実施形態に係る報知の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、第2の実施形態に係る医用画像表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、第3の実施形態に係る医用情報システムの構成の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、第4の実施形態に係るX線CT装置の構成の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、変形例1に係る高解像度画像が表示された状態の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、変形例2に係る統合ビューアの一例を示す図である。
【
図17】
図17は、変形例3に係る高解像度画像が表示された状態の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、変形例4に係る警告が表示された状態の一例を示す図である。
【
図19】
図19は、変形例6に係る高解像度画像および通常解像度画像が表示された状態の一例を示す図である。
【
図20】
図20は、変形例7に係る高解像度画像および通常解像度画像が表示された状態の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、変形例8に係る高解像度画像および通常解像度画像が表示された状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、医用画像表示装置、医用画像表示方法、およびプログラムの実施形態について詳細に説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る医用情報システムS100の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、医用情報システムS100は、医用画像表示装置100と、医用画像保管装置200と、X線CT(Computed Tomography)装置1等の医用画像診断装置とを含む。
【0009】
医用画像表示装置100は、院内LAN(Local Area Network)またはインターネット等のネットワーク300を介して医用画像保管装置200およびX線CT装置1と通信可能に接続している。
【0010】
なお、医用情報システムS100は、さらに他のサーバ装置等を含んでも良い。また、
図1では医用画像表示装置100を1台のみ図示しているが、医用情報システムS100は、複数の医用画像表示装置100を含んでも良い。また、医用情報システムS100に含まれる各装置は、1つの医療機関内に設置されていても良いし、一部が医師の自宅や他の医療機関等に設けられても良い。
【0011】
X線CT装置1は、被検体のX線CT画像を撮像する。X線CT画像は、本実施形態における医用画像の一例である。また、本実施形態のX線CT装置1は、高解像度のX線CT画像を取得可能であるものとする。高解像度のX線CT画像とは、例えば、通常の解像度のX線CT画像の約4倍の解像度であるものとする。例えば、通常の解像度のX線CT画像の画素数が512×512、高解像度のX線CT画像の画素数は1024×1024である。なお、本実施形態においては、画像または画面上の表示領域の画素数を、マトリクスサイズという。なお、上述の通常の解像度のX線CT画像と高解像度のX線CT画像の差は一例であり、4倍に限定されるものではない。
【0012】
医用画像保管装置200は、例えば、PACS(Picture Archiving and Communication System)のサーバ装置であり、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)に準拠した形式で、医用画像を保管する。本実施形態の医用画像保管装置200は、X線CT装置1によって撮像された高解像度のX線CT画像を記憶する。
【0013】
医用画像表示装置100は、例えば、携帯可能なタブレット端末等の端末装置であるが、これに限定されるものではない。例えば、医用画像表示装置100は、ラップトップ型のPC(Personal Computer)またはデスクトップ型のPC等であっても良い。また、本実施形態において、医用画像表示装置100のユーザは、診断医または読影医等の医師、または技師等であるものとする。
【0014】
医用画像表示装置100は、NW(ネットワーク)インタフェース110と、記憶回路120と、入力インタフェース130と、ディスプレイ140と、処理回路150とを備える。
【0015】
NWインタフェース110は、処理回路150に接続されており、医用画像表示装置100と医用画像保管装置200およびX線CT装置1との間の各種データの伝送および通信を制御する。NWインタフェース110は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0016】
記憶回路120は、処理回路150で使用される各種の情報を予め記憶する。また、記憶回路120は、各種のプログラムを記憶する。記憶回路120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、光ディスク、HDD(Hard disk Drive)、またはSSD(Solid State Drive)等により実現される。なお、記憶回路120は、医用画像表示装置100内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。記憶回路120は、本実施形態における記憶部の一例である。
【0017】
入力インタフェース130は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。入力インタフェース130は、処理回路150に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し処理回路150へと出力する。なお、本明細書において入力インタフェース130はマウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路150へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース130の例に含まれる。
【0018】
ディスプレイ140は、液晶ディスプレイや有機EL(Organic Electro-Luminescence:OEL)ディスプレイ等のドットマトリクス型の電子ディスプレイである。なお、入力インタフェース130とディスプレイ140とは統合しても良い。例えば、入力インタフェース130とディスプレイ140とは、タッチパネルによって実現されても良い。ディスプレイ140は、本実施形態における表示部の一例である。なお、ディスプレイ140は、医用画像表示装置100とは別に、例えばネットワーク300に接続されて設けられても良い。
【0019】
処理回路150は、記憶回路120からプログラムを読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。本実施形態の処理回路150は、取得機能151、特定機能152、変換機能153、表示制御機能154、および受付機能155を備える。取得機能151は、取得部の一例である。特定機能152は、特定部の一例である。変換機能153は、変換部の一例である。表示制御機能154は、表示制御部の一例である。受付機能155は、受付部の一例である。
【0020】
ここで、例えば、処理回路150の構成要素である取得機能151、特定機能152、変換機能153、表示制御機能154、および受付機能155の各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路120に記憶されている。処理回路150は、プロセッサである。例えば、処理回路150は、プログラムを記憶回路120から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路150は、
図1の処理回路150内に示された各機能を有することとなる。なお、
図1においては単一のプロセッサにて取得機能151、特定機能152、変換機能153、表示制御機能154、および受付機能155にて行われる処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路150を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、
図1においては単一の記憶回路120が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路150は個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0021】
上記説明では、「プロセッサ」が各機能に対応するプログラムを記憶回路から読み出して実行する例を説明したが、実施形態はこれに限定されない。「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路120に保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサがASICである場合、記憶回路120にプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしても良い。
【0022】
取得機能151は、医用画像保管装置200から、高解像度のX線CT画像データを取得する。高解像度のX線CT画像データは、本実施形態における第1の医用画像の一例である。取得機能151は、取得した高解像度のX線CT画像を記憶回路120に保存する。以下、本実施形態においては、特にデータであることを明示する場合を除いて、X線CT画像データを単にX線CT画像と記載する。
【0023】
なお、X線CT画像の取得元は医用画像保管装置200に限定されるものではない。例えば、取得機能151は、X線CT装置1から高解像度のX線CT画像を取得しても良い。また、X線CT画像の再構成処理がX線CT装置1以外の再構成処理用サーバ装置で実行される場合、取得機能151は、当該再構成処理用サーバ装置から高解像度のX線CT画像を取得しても良い。
【0024】
特定機能152は、ディスプレイ140において高解像度のX線CT画像を表示可能な表示領域のマトリクスサイズに基づいて、当該表示領域に表示可能な対象範囲の大きさを特定する。対象範囲とは、高解像度のX線CT画像のうち、表示領域に表示される範囲である。具体的には、高解像度のX線CT画像上の表示対象範囲のマトリクスサイズは、表示領域のマトリクスサイズと一致するものとする。
【0025】
また、本実施形態において、表示領域のマトリクスサイズは、高解像度のX線CT画像全体のマトリクスサイズよりも小さいものとする。表示領域のマトリクスサイズは、例えば記憶回路120に保存されているものとする。以下、本実施形態においては、高解像度のX線CT画像のうち、表示領域に表示可能な対象範囲を、表示対象範囲という。
【0026】
以下、本実施形態では、高解像度のX線CT画像を単に「高解像度画像」、後述の変換機能153による変換画像である通常の解像度のX線CT画像を単に「通常解像度画像」という場合がある。
【0027】
より詳細には、本実施形態においては、ディスプレイ140は、第1の表示領域と第2の表示領域とを含む。第1の表示領域は、後述の通常解像度画像を表示させるための領域である。また、第2の表示領域は、高解像度画像を表示させるための領域である。また、第1の表示領域と第2の表示領域とを総称して単に表示領域と称する場合もある。
【0028】
図2は、第1の実施形態に係る第1の表示領域141と第2の表示領域142の一例を示す図である。
図2では、説明のために、第1の表示領域141および第2の表示領域142のマトリクスサイズをそれぞれ4×4として模式的に図示する。実際の第1の表示領域141および第2の表示領域142のマトリクスサイズはより大きくても良い。
【0029】
第2の表示領域142のマトリクスサイズは、高解像度画像のマトリクスサイズよりも小さいものとする。このため、第2の表示領域142は、高解像度画像を縮小しない場合、高解像度画像全体ではなく、一部のみが表示可能であるものとする。特定機能152は、高解像度画像のうち、縮小せずに第2の表示領域142に表示可能な表示対象範囲の大きさを特定する。
【0030】
図3は、第1の実施形態に係る高解像度画像71の表示対象範囲60aの一例を示す図である。例えば、上述の
図2に図示したように第2の表示領域142のマトリクスサイズが4×4の場合、特定機能152は、高解像度画像71のうち第2の表示領域142に表示可能な表示対象範囲60aの大きさを、
図3に示すように、マトリクスサイズ4×4に相当する大きさと特定する。これにより、第2の表示領域142に含まれる画素と、高解像度画像71のうち表示対象範囲60aに対応する部分の画素とが1対1で対応するため、高解像度を担保した状態で、高解像度画像71の一部を第2の表示領域142に表示可能となる。
【0031】
図1に戻り、変換機能153は、高解像度画像71を、高解像度画像71よりも解像度の低い変換画像に変換する。変換画像の解像度は、例えば、通常の解像度のX線CT画像と同等の解像度とする。以下、当該変換画像を通常解像度画像ともいう。通常解像度画像は、本実施形態における第2の医用画像の一例である。
【0032】
図4は、第1の実施形態に係る変換処理の一例を示す図である。
図4では、説明のために高解像度画像71のマトリクスサイズを8×8、通常解像度画像72のマトリクスサイズを4×4として模式的に図示する。
【0033】
変換機能153は、高解像度画像71に含まれる複数の画素を、間引きの処理または束ねの処理により、通常解像度画像72に変換する。
図4では、変換機能153は、高解像度画像71に含まれる4つの画素81a~81dを、通常解像度画像72の1つの画素82に変換している。当該変換により、画素数が4分の1に減少する。なお、
図4では4つの画素81a~81dを例示したが、高解像度画像71に含まれる全ての画素が、単位数毎に、1つの画素82に変換される。
図4では変換処理における画素の単位数を4としたが、これに限定されるものではない。
【0034】
変換の手法のうち、間引きの処理とは、単位数毎に一定の割合で画素データを削除することである。例えば、4つの画素81a~81dのうち、3つの画素81b~81dが削除されれば、画素数は、4分の1となる。
【0035】
また、変換の手法のうち、束ねの処理とは、単位数毎の画素データを1つに統合することである。例えば、変換機能153は、4つの画素81a~81dの画素値の平均値を1つの画素82の画素値としても良い。
【0036】
図1に戻り、表示制御機能154は、高解像度画像71のうち、表示対象範囲60aに対応する部分を、表示領域に表示させる。より詳細には、本実施形態においては、表示制御機能154は、通常解像度画像72を第1の表示領域141に表示させ、高解像度画像71のうち表示対象範囲60aに対応する部分を第2の表示領域142に表示させる。
【0037】
図5は、第1の実施形態に係る高解像度画像71および通常解像度画像72が表示された状態の一例を示す図である。
図5では、第1の表示領域141に通常解像度画像72が表示され、第2の表示領域142に高解像度画像71の一部が表示されている。
【0038】
本実施形態においては、通常解像度画像72のマトリクスサイズと、第1の表示領域141のマトリクスサイズとは等しいものとする。この場合、表示制御機能154は、通常解像度画像72を縮小せずに、通常解像度画像72の全体を第1の表示領域141に表示可能である。なお、通常解像度画像72のマトリクスサイズと、第1の表示領域141のマトリクスサイズとは必ずしも等しくなくとも良い。
【0039】
本実施形態においては、第1の表示領域141と第2の表示領域142のマトリクスサイズは等しく、通常解像度画像72と高解像度画像71の一部とはそれぞれ、第1の表示領域141と第2の表示領域142に縮小されずに表示される。このため、通常解像度画像72の解像度が高解像度画像71の解像度の4分の1である場合、ディスプレイ140に表示された状態では、高解像度画像71は、通常解像度画像72が4倍に拡大された画像となる。
【0040】
また、表示制御機能154は、表示対象範囲60aの位置および大きさを示すインジケータ90aを、ディスプレイ140に表示させる。本実施形態では、表示制御機能154は、第1の表示領域141に表示された通常解像度画像72上に、表示対象範囲60aの位置および大きさを示すインジケータ90aを表示させる。インジケータ90aは、本実施形態における第1の指標画像の一例である。
【0041】
インジケータ90aは、例えば、第1の表示領域141に表示された通常解像度画像72の一部を囲む枠である。なお、インジケータ90aの表示態様および形状は
図5に示す例に限定されるものではない。
【0042】
インジケータ90aは、第2の表示領域142に表示された高解像度画像71の一部が、第1の表示領域141に表示された通常解像度画像72のどの部分に当たるかを表す。換言すれば、表示制御機能154は、通常解像度画像72のうち、高解像度画像71の表示対象範囲60aに相当する範囲を、インジケータ90aによって表す。本実施形態では、インジケータ90aである枠の大きさは、上述の特定機能152によって決定された表示対象範囲60aの大きさに対応する。
【0043】
第2の表示領域142に表示された高解像度画像71に含まれる各画素と第1の表示領域141に表示された通常解像度画像72の各画素の対応関係は、変換機能153による間引きの処理または束ねの処理における高解像度画像71に含まれる各画素と通常解像度画像72の各画素の対応関係と同様である。
【0044】
図5では、高解像度画像71のうち、第1の表示領域141に表示された通常解像度画像72の左上部分が、第2の表示領域142に表示されている。
【0045】
初期表示では、高解像度画像71上の予め定められた位置に表示対象範囲60aが設けられても良い。当該初期表示における表示対象範囲60aの位置は、上述の特定機能152によって決定されても良いし、表示制御機能154が決定しても良い。
【0046】
また、初期表示では高解像度画像71は表示されず、通常解像度画像72のみが表示されても良い。この場合は、ユーザの操作によってインジケータ90aが配置された場合に、当該インジケータ90aに対応する高解像度画像71の一部が第2の表示領域142に表示される。
【0047】
また、インジケータ90aはユーザによるマウス操作等によって位置の変更が可能である。ユーザが第1の表示領域141に表示された通常解像度画像72上でインジケータ90aを移動させることにより、高解像度画像71の表示対象範囲60aの位置が変化する。表示制御機能154は、ユーザによって表示対象範囲60aの位置が変更された場合、高解像度画像71のうち、位置の変更後の表示対象範囲60aに対応する部分を、第2の表示領域142に表示させる。
【0048】
図6は、第1の実施形態に係る高解像度画像71の表示対象範囲60aの変更例について説明する図である。
図6に示す例では、インジケータ90aが、
図5に示した位置から通常解像度画像72の右上部分に移動している。
【0049】
表示制御機能154は、高解像度画像71のうちユーザによって指定された位置に設けられた表示対象範囲60aに対応する部分を、第2の表示領域142に表示させる。このため、
図6では、高解像度画像71の右上部分が第2の表示領域142に表示されている。本実施形態では、通常解像度画像72上のインジケータ90aの位置と第2の表示領域142に表示される高解像度画像71の表示対象範囲60aが対応しているため、ユーザは、第2の表示領域142に表示されている高解像度画像71の一部が高解像度画像71全体に占める位置および大きさを容易に把握可能である。
【0050】
図1に戻り、受付機能155は、入力インタフェース130を介して、ユーザによる各種の操作を受け付ける。例えば、受付機能155は、インジケータ90aの位置を変更するユーザの操作を受け付ける。インジケータ90aの位置は、高解像度画像71の表示対象範囲60aの位置に対応するため、換言すれば、受付機能155は、第1の表示領域141に表示された通常解像度画像72上で、ユーザによる表示対象範囲60aの位置の指定を受け付ける。受付機能155は、受け付けたインジケータ90aの位置の変更操作を、表示制御機能154に送出する。
【0051】
次に、以上のように構成された本実施形態の医用画像表示装置100で実行される医用画像表示処理の流れについて説明する。
【0052】
図7は、第1の実施形態に係る医用画像表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、例えば、ユーザによって医用画像の照会を指示する操作が行われた場合に開始する。
【0053】
まず、取得機能151は、医用画像保管装置200から、高解像度画像71を取得する(S1)。
【0054】
そして、特定機能152は、ディスプレイ140の第2の表示領域142のマトリクスサイズに基づいて、高解像度画像71のうち、表示対象範囲60aの大きさを特定する(S2)。また、特定機能152は、高解像度画像71上の表示対象範囲60aの初期位置を定めても良い。
【0055】
次に、変換機能153は、高解像度画像71を、通常解像度画像72に変換する(S3)。なお、取得機能151による高解像度画像71の取得および変換機能153による変換は、ユーザによって医用画像の照会を指示する操作が行われる前に予め実行されても良い。
【0056】
次に、表示制御機能154は、通常解像度画像72を第1の表示領域141、高解像度画像71の一部を第2の表示領域142に表示させる(S4)。この段階では、表示制御機能154は、例えば、高解像度画像71のうち、特定機能152によって定められた表示対象範囲60aの初期位置に対応する部分を第2の表示領域142に表示させる。また、表示制御機能154は、第1の表示領域141に表示された通常解像度画像72上に、高解像度画像71の表示対象範囲60aの位置および大きさに対応するインジケータ90aを表示させる。
【0057】
次に、受付機能155は、ユーザによる高解像度画像71の表示対象範囲60aの位置の変更を受け付けたか否かを判定する(S5)。
【0058】
例えば、受付機能155は、第1の表示領域141上のインジケータ90aの位置を移動させるユーザの操作を受け付けていない場合、ユーザによる高解像度画像71の表示対象範囲60aの位置の変更を受け付けていないと判定する(S5“No”)。この場合、受付機能155は、S5に戻り、ユーザの操作を待機する。
【0059】
また、受付機能155は、第1の表示領域141上のインジケータ90aの位置を移動させるユーザの操作を受け付けた場合に、ユーザによる高解像度画像71の表示対象範囲60aの位置の変更を受け付けたと判定する(S5“Yes”)。
【0060】
また、特定機能152は、ユーザによって変更されたインジケータ90aの位置に対応する、高解像度画像71上の表示対象範囲60aの位置を特定する(S6)。なお、当該特定処理は表示制御機能154によって実行されても良い。
【0061】
そして、表示制御機能154は、高解像度画像71のうち、特定された表示対象範囲60aに対応する部分を、第2の表示領域142に表示させる(S7)。これにより、高解像度画像71のうち、ユーザの所望する部分が、第2の表示領域142に表示される。
【0062】
そして、表示制御機能154は、医用画像の表示を終了するか否かを判定する(S8)。例えば、受付機能155がユーザによる医用画像の照会画面を閉じる操作、または読影レポートの保存または送信等の操作を受け付けた場合に、表示制御機能154は、医用画像の表示を終了すると判定する(S8“Yes”)。この場合、このフローチャートの処理は終了する。
【0063】
また、医用画像の表示を終了しない場合(S8“No”)、S5の処理に戻り、受付機能155は、ユーザの操作を待機する。
【0064】
このように、本実施形態の医用画像表示装置100は、ディスプレイ140において高解像度画像71を表示可能な表示領域のマトリクスサイズに基づいて、表示対象範囲60aの大きさを特定し、高解像度画像71のうち、表示対象範囲60aに対応する部分を、表示領域に表示させる。このため、本実施形態の医用画像表示装置100によれば、表示領域の画素数が高解像度画像71全体の画素数よりも少ない場合であっても、高解像度画像71をユーザが適切に照会可能となる。
【0065】
例えば、臨床医が、携帯可能なタブレット端末を使用して医用画像を照会しながら患者を診察する場合がある。一般に、タブレット端末のディスプレイ140はデスクトップPC等と比較して画素数が少ない場合が多い。また、デスクトップPCのディスプレイ140であっても、スペックによっては高解像度画像71の画素数よりもディスプレイ140の画素数の方が少ない場合がある。例えば、読影医が在宅勤務で読影をする場合、自宅のPCのディスプレイ140のスペックでは高解像度画像71全体を、解像度を変更せずに表示させることが困難な場合がある。また、ディスプレイ140全体の画素数が多くとも、医用画像以外の情報を表示する画面領域が大きかったり、複数の医用画像を同時に表示させたりする場合、個々の医用画像を表示するための表示領域が小さく、高解像度画像71全体を表示することが困難な場合がある。このような場合においても、本実施形態の医用画像表示装置100であれば、ディスプレイ140のうち高解像度画像71を表示可能な表示領域の画素数に関わらず、高解像度画像71を高解像度のまま表示させることができる。
【0066】
また、本実施形態の医用画像表示装置100は、ユーザによって表示対象範囲60aの位置が変更された場合、高解像度画像71のうち、位置の変更後の表示対象範囲60aに対応する部分を、表示領域に表示させる。このため、本実施形態の医用画像表示装置100によれば、ユーザが高解像度画像71の所望の部分を照会可能である。
【0067】
また、本実施形態の医用画像表示装置100は、高解像度画像71のうち表示対象範囲60aのマトリクスサイズが表示領域のマトリクスサイズと一致するように表示対象範囲60aを特定する。このため、本実施形態の医用画像表示装置100によれば、表示領域に高解像度画像71の一部を、高解像度を維持した状態で表示することができる。
【0068】
また、本実施形態の医用画像表示装置100は、表示対象範囲60aの位置および大きさを示すインジケータ90aを、ディスプレイ140に表示させる。このため、本実施形態の医用画像表示装置100によれば、ユーザは、表示領域に表示されている高解像度画像71の一部が、高解像度画像71全体に占める大きさおよび位置を容易に把握することができる。
【0069】
また、本実施形態の医用画像表示装置100は、高解像度画像71を、高解像度画像71よりも解像度の低い通常解像度画像72に変換し、通常解像度画像72を第1の表示領域141に表示させ、高解像度画像71のうち表示対象範囲60aに対応する部分を第2の表示領域142に表示させる。このため、本実施形態の医用画像表示装置100によれば、ユーザは、通常の解像度で医用画像の全体像を把握すると同時に、医用画像の一部を高解像度で照会することができる。
【0070】
また、本実施形態の医用画像表示装置100は、第1の表示領域141に表示され通常解像度画像72上で、ユーザによる表示対象範囲60aの位置の指定を受け付け、高解像度画像71のうちユーザによって指定された位置に設けられた表示対象範囲60aに対応する部分を、第2の表示領域142に表示させる。このため、本実施形態の医用画像表示装置100によれば、ユーザは、通常解像度画像72上で選択した所望の位置を、高解像度で照会することができる。
【0071】
また、本実施形態の医用画像表示装置100は、第1の表示領域141に表示された通常解像度画像72上に、表示対象範囲60aの位置および大きさを示すインジケータ90aを表示させる。このため、本実施形態の医用画像表示装置100によれば、ユーザは、第2の表示領域142に表示されている高解像度画像71の一部が、通常解像度画像72上のどの位置および範囲に対応しているかを容易に把握することができる。
【0072】
(第2の実施形態)
上述の第1の実施形態では、高解像度画像71と通常解像度画像72の2種類の解像度の医用画像を表示していた。この第2の実施形態では、高解像度の医用画像を、ユーザの操作により拡大または縮小可能な状態で表示させる。
【0073】
図8は、第2の実施形態に係る医用情報システムS200の一例を示す図である。本実施形態の医用情報システムS200は、第1の実施形態と同様に、医用画像表示装置100と、医用画像保管装置200と、X線CT装置1等の医用画像診断装置とを含む。
【0074】
また、本実施形態の医用画像表示装置100は、第1の実施形態と同様に、NWインタフェース110と、記憶回路120と、入力インタフェース130と、ディスプレイ140と、処理回路150とを備える。
【0075】
本実施形態の医用画像表示装置100の処理回路150は、取得機能151、特定機能1152、表示制御機能1154、および受付機能1155を備える。
【0076】
例えば、本実施形態の処理回路150は、第1の実施形態と同様に、プログラムを記憶回路120から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現する。本実施形態においては、各プログラムを読み出した状態の処理回路150は、
図8の処理回路150内に示された各機能を有することとなる。
【0077】
取得機能151は、第1の実施形態と同様の機能を備える。
【0078】
本実施形態の特定機能1152は、ディスプレイ140上の表示領域のマトリクスサイズに依存しない、表示対象範囲60bを高解像度画像71上で特定する。表示対象範囲60bの位置および大きさは、予め定められて例えば記憶回路120に登録されていても良い。また、表示対象範囲60bの位置および大きさの設定は、ユーザによって変更可能であっても良い。
【0079】
図9は、第2の実施形態に係る高解像度画像71上の表示対象範囲60bの一例を示す図である。
図9に示す例では、高解像度画像71の中心を中心とした所定の大きさの範囲を、表示対象範囲60bとしている。なお、表示対象範囲60bの位置および大きさは、
図9に示す例に限定されない。例えば、特定機能1152は、高解像度画像71の全体を、表示対象範囲60bとしてしても良い。
【0080】
図8に戻り、本実施形態の表示制御機能1154は、高解像度画像71の少なくとも一部を、ディスプレイ140の表示領域に表示させる。
【0081】
図10は、第2の実施形態に係る高解像度画像71の一部が表示された状態の一例を示す図である。表示制御機能1154は、高解像度画像71のうち、表示対象範囲60bに対応する部分を、ディスプレイ140の表示領域143に表示させる。なお、高解像度画像71のうち、表示対象範囲60bに対応する部分を表示画像と称しても良い。
【0082】
本実施形態では、表示領域143のマトリクスサイズと表示対象範囲60bのマトリクスサイズとが一致するとは限らないため、表示制御機能1154は、高解像度画像71のうち、表示対象範囲60bに対応する部分を、表示領域143に合わせて縮小または拡大して表示させても良い。
【0083】
本実施形態の表示領域143は枠143aに囲まれた画面領域である。
【0084】
また、表示制御機能1154は、表示領域143に表示された高解像度画像71または高解像度画像71の一部の拡大率または縮小率を示すインジケータ90bを、表示領域143を含むディスプレイ140に表示させる。インジケータ90bは、本実施形態における第2の指標画像の一例である。
【0085】
図10に示す例では、インジケータ90bは、拡大率または縮小率の数値を示す目盛と、スライダー901bと、マーク902bとを含む。スライダー901bは、表示領域143に現在表示されている高解像度画像71または高解像度画像71の一部の拡大率または縮小率を示す。マーク902bは、表示領域143のマトリクスサイズと高解像度画像71のマトリクスサイズとが一致する拡大率または縮小率を示す。
【0086】
ユーザによって高解像度画像71が拡大されると、高解像度画像71上で表示対象範囲60bが占める割合は小さくなる。なお、表示領域143上の高解像度画像71が拡大された場合、表示領域143のマトリクスサイズよりも高解像度画像71の表示対象範囲60bのマトリクスサイズが小さくなり、表示領域143上に表示される画像が粗くなる場合がある。また、ユーザによって高解像度画像71が縮小されると、高解像度画像71上で表示対象範囲60bが占める割合は大きくなる。例えば、初期表示では高解像度画像71の一部が表示対象範囲60bとされていた場合に、ユーザは表示領域143上の高解像度画像71を縮小させることで画像全体を見ることができる。
【0087】
なお、インジケータ90bは、マーク902bを含まなくとも良い。
【0088】
また、表示制御機能1154は、後述の受付機能1155によって受け付けられたユーザの操作に基づいて、表示領域143に表示された高解像度画像71または高解像度画像71の一部を拡大または縮小させる。また、表示制御機能1154は、表示領域143のマトリクスサイズと、表示領域143に表示された高解像度画像71または高解像度画像71の一部のマトリクスサイズとが一致した場合に報知する。
【0089】
表示領域143のマトリクスサイズと、高解像度画像71の表示対象範囲60bのマトリクスサイズとが一致した場合、高解像度画像71の各画素と表示領域143の各画素とが1対1で対応するため、高解像度を維持した状態で高解像度画像71を表示可能である。
【0090】
図11は、第2の実施形態に係る報知の一例を示す図である。
図11に示すように、表示制御機能1154は、表示領域143のマトリクスサイズと高解像度画像71の表示対象範囲60bのマトリクスサイズとが一致した場合に、表示領域143の枠143aの表示態様を変更しても良い。例えば、表示制御機能1154は、表示領域143の枠143aの色、太さ、または線の種類を変更しても良い。また、報知の態様はこれに限定されない。例えば、インジケータ90bのマーク902bを報知の一例としても良い。また、表示制御機能1154は、ディスプレイ140上に、表示領域143のマトリクスサイズと高解像度画像71の表示対象範囲60bのマトリクスサイズとが一致していることを表すメッセージを表示させても良い。
【0091】
なお、本実施形態では、報知をする機能を表示制御機能1154の一部としているが、処理回路150は、表示制御機能1154とは別に報知をする報知機能を備えても良い。報知機能は、報知部の一例である。
【0092】
図8に戻り、本実施形態の受付機能1155は、表示領域143に表示された高解像度画像71または高解像度画像71の一部を、拡大または縮小するユーザの操作を受け付ける。拡大または縮小の操作は、例えば、マウスのスクロール操作でも良いし、インジケータ90bのスライダー901bをドラッグする操作でも良い。受付機能1155は、受け付けたユーザの操作を、表示制御機能1154に送出する。
【0093】
次に、以上のように構成された本実施形態の医用画像表示装置100で実行される医用画像表示処理の流れについて説明する。
【0094】
図12は、第2の実施形態に係る医用画像表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0095】
まず、取得機能151は、医用画像保管装置200から、高解像度画像71を取得する(S1)。
【0096】
そして、特定機能1152は、所定の大きさの表示対象範囲60bを高解像度画像71上で特定する(S101)。
【0097】
次に、表示制御機能1154は、高解像度画像71のうち、表示対象範囲60bに対応する部分を、表示画像として表示領域143に表示させる(S102)。
【0098】
そして、受付機能1155は、ユーザによる表示画像の拡大または縮小の操作を受け付けたか否かを判定する(S103)。受付機能1155は、ユーザによる表示画像の拡大または縮小の操作を受け付けていないと判定した場合は(S103“No”)、S103の処理に戻り、ユーザの操作を待機する。
【0099】
受付機能1155がユーザによる表示画像の拡大または縮小の操作を受け付けたと判定した場合(S103“Yes”)、表示制御機能1154は、受け付けられたユーザの操作に応じて表示画像を拡大または縮小する(S104)。
【0100】
そして、表示制御機能1154は、表示画像のマトリクスサイズと表示領域143のマトリクスサイズが一致するか否かを判定する(S105)。表示制御機能1154は表示画像のマトリクスサイズと表示領域143のマトリクスサイズが一致していないと判定した場合は(S105“No”)、S103の処理に戻る。
【0101】
また、表示制御機能1154は、表示画像のマトリクスサイズと表示領域143のマトリクスサイズが一致すると判定した場合(S105“Yes”)、表示画像のマトリクスサイズと表示領域143のマトリクスサイズが一致することを報知する(S106)。
【0102】
そして、表示制御機能154は、医用画像の表示を終了するか否かを判定する(S8)。例えば、受付機能155がユーザによる医用画像の照会画面を閉じる操作、または読影レポートの保存または送信等の操作を受け付けた場合に、表示制御機能154は、医用画像の表示を終了すると判定する(S8“Yes”)。この場合、このフローチャートの処理は終了する。
【0103】
また、医用画像の表示を終了しない場合(S8“No”)、S103の処理に戻り、受付機能155は、ユーザの操作を待機する。
【0104】
このように、本実施形態の医用画像表示装置100は、ユーザの操作に基づいて、表示領域143に表示された高解像度画像71または高解像度画像71の一部を拡大または縮小させ、表示領域143のマトリクスサイズと表示領域143に表示された高解像度画像71または高解像度画像71の一部のマトリクスサイズとが一致した場合に報知する。このため、本実施形態の医用画像表示装置100によれば、第1の実施形態と同様の効果に加えて、ユーザが所望の拡大率または縮小率で高解像度画像71を照会可能であり、かつ、高解像度画像71を高画質で照会可能な拡大率または縮小率を容易に把握することができる。
【0105】
また、本実施形態の医用画像表示装置100は、表示領域143に表示され高解像度画像71または高解像度画像71の一部の拡大率または縮小率を示すインジケータ90bを、表示領域143を含むディスプレイ140に表示させる。このため、本実施形態の医用画像表示装置100によれば、ユーザは、表示領域143に表示されている高解像度画像71または高解像度画像71の一部の拡大率または縮小率を容易に把握することができる。
【0106】
(第3の実施形態)
上述の第1、第2の実施形態では、ユーザが医用画像表示装置100を用いて高解像度画像71のうちの所望の部分を、解像度が高い状態で照会する技術について説明した。この第3の実施形態では、ユーザの操作に基づく表示条件を、高解像度画像71に対応付けて保存する。
【0107】
図13は、第3の実施形態に係る医用情報システムS300の構成の一例を示す図である。本実施形態の医用情報システムS300は、第1の実施形態と同様に、医用画像表示装置100と、医用画像保管装置200と、X線CT装置1等の医用画像診断装置とを含む。
【0108】
また、本実施形態の医用画像表示装置100は、第1の実施形態と同様に、NWインタフェース110と、記憶回路120と、入力インタフェース130と、ディスプレイ140と、処理回路150とを備える。
【0109】
本実施形態の医用画像表示装置100の処理回路150は、取得機能151、特定機能152、変換機能153、表示制御機能154、および画像処理機能156を備える。画像処理機能156は、画像処理部の一例である。
【0110】
取得機能151、特定機能152、変換機能153、表示制御機能154、および受付機能155は、第1の実施形態と同様の機能を備える。
【0111】
画像処理機能156は、高解像度画像71に関する表示条件を、高解像度画像71と対応付けて記憶回路120に保存する。例えば、画像処理機能156は、表示条件を、DICOMの規格に準拠した付帯情報として、高解像度画像71に対応付けても良い。なお、対応付けの手法はこれに限定されるものではない。例えば、画像処理機能156は高解像度画像71とは別個のデータファイルとして表示条件を保存し、高解像度画像71を特定可能な識別情報等によって、高解像度画像71と当該高解像度画像71の表示条件とを対応付けても良い。なお、画像処理機能156は、読影ビューアに含まれる一機能であっても良い。
【0112】
表示条件は、高解像度画像71上の表示対象範囲60aの位置および大きさを含む。例えば、画像処理機能156は、受付機能155がユーザによる表示対象範囲60aの位置の設定の操作を受け付けた場合に、ユーザによって設定された表示対象範囲60aの位置を、高解像度画像71と対応付けて保存する。
【0113】
また、高解像度画像71がX線CT画像である場合、表示条件は、ウィンドウ幅(Window Width:WW)およびウィンドウレベル(Window Level:WL)を含んでも良い。ウィンドウ幅およびウィンドウレベルは、ディスプレイ140に表示されるX線CT画像のCT値の範囲を定義する。具体的には、ウィンドウ幅は、X線CT画像の表示コントラストを表す。また、ウィンドウレベルは、表示輝度の中心値を表す。なお、ウィンドウ幅およびウィンドウレベルは、当該ウィンドウ幅およびウィンドウレベルが設定された時点において第2の表示領域142に表示されていた高解像度画像71の表示対象範囲60aの位置および大きさに対応付けられる。
【0114】
なお、表示条件は上述の例に限定されるものではなく、高解像度画像71がX線CT画像である場合、当該線CT画像のスライスピッチ、スライス位置、またはスライスの傾き等を含んでも良い。また、表示条件は、高解像度画像71である医用画像の種類に応じて異なっても良い。
【0115】
また、1つの高解像度画像71に対して複数の表示条件が対応付けられても良い。例えば、画像処理機能156は、高解像度画像71が、同一の表示条件で閾値以上の長さの時間継続して第2の表示領域142に表示されていた場合、当該表示条件を高解像度画像71と対応付けて記憶回路120に保存する。表示時間の閾値は特に限定されるものではないが、例えば1分間等としても良い。
【0116】
例えば、表示制御機能154が第2の表示領域142を含む読影ビューアを表示させる場合、最終的に当該読影ビューアの保存機能により保存されたウィンドウ幅およびウィンドウレベル以外に、ユーザが読影の途中で選択したウィンドウ幅およびウィンドウレベルが保存されても良い。
【0117】
また、高解像度画像71に対応付ける表示条件を、ユーザが指定可能であっても良い。また、ユーザは、高解像度画像71に表示条件を対応付けないことを選択可能であっても良い。
【0118】
なお、一般に、DICOMの規格に準拠した付帯情報では、ウィンドウ幅およびウィンドウレベルは、1セットのみ保存可能である。このため、画像処理機能156は、1セットのウィンドウ幅およびウィンドウレベルを高解像度画像71の付帯情報として対応付け、2セット目以降のウィンドウ幅およびウィンドウレベルを、付帯情報とは異なるデータ態様で高解像度画像71に対応付けても良い。
【0119】
画像処理機能156が高解像度画像71に表示条件を対応付けて保存するタイミングは、例えば、受付機能155がユーザによる医用画像の表示の終了操作を受け付けたタイミングとする。あるいは、画像処理機能156は、ユーザによる任意の保存操作が行われた場合に、高解像度画像71に表示条件を対応付けて保存しても良い。
【0120】
また、画像処理機能156は、高解像度画像71に表示条件を対応付けて、医用画像保管装置200またはその他の情報処理装置に送信しても良い。例えば、高解像度画像71が読影レポートに含まれる場合、画像処理機能156は、当該読影レポートに、高解像度画像71の表示条件を対応付けて、医用画像保管装置200またはその他の情報処理装置に送信しても良い。
【0121】
本実施形態の表示制御機能154は、第1の実施形態と同様の機能を備えた上で、高解像度画像71に表示条件が対応付けられている場合には、当該表示条件に従って、高解像度画像71を第2の表示領域142に表示させる。また、表示制御機能154は、高解像度画像71に複数の表示条件が対応付けられている場合は、ユーザがいずれかの表示条件を選択可能な選択画面をディスプレイ140に表示させても良い。
【0122】
本実施形態の受付機能155は、第1の実施形態と同様の機能を備えた上で、ユーザによる高解像度画像71の表示条件の設定操作を受け付ける。例えば、本実施形態における受付機能155は、ユーザによるウィンドウ幅およびウィンドウレベルの設定の操作を受け付ける。
【0123】
また、受付機能155は、ユーザによる高解像度画像71に複数の表示条件が対応付けられている場合、ユーザによる表示条件の選択を受け付ける。受付機能155は、受け付けた操作の内容を、表示制御機能154および画像処理機能156に送出する。
【0124】
このように、本実施形態の医用画像表示装置100は、高解像度画像71に関する表示条件を、高解像度画像71と対応付けて記憶回路120に保存する。このため、本実施形態の医用画像表示装置100によれば、例えば、ユーザが記憶回路120に保存された当該高解像度画像71を再び照会した場合に、前回と同じ表示条件で表示させることができる。また、本実施形態の医用画像表示装置100によれば、複数のユーザが高解像度画像71を照会する場合に、いずれかのユーザによって指定された表示条件で高解像度画像71を照会することができる。例えば、表示条件を指定したユーザが読影医である場合、臨床医が高解像度画像71を照会する場合に、読影医によって指定された表示条件で、高解像度画像71を照会することができる。
【0125】
また、本実施形態の表示条件は、高解像度画像71の表示対象範囲60aの位置および大きさを含む。このため、本実施形態の医用画像表示装置100によれば、例えば、臨床医は、読影医が高解像度画像71を読影した際に指定した表示対象範囲60aの位置および大きさで、当該高解像度画像71を照会することができる。
【0126】
また、本実施形態の表示条件は、ウィンドウ幅およびウィンドウレベルを含む。このため、本実施形態の医用画像表示装置100によれば、高解像度画像71がX線CT画像である場合に、臨床医は、読影医が当該X線CT画像を読影した際に指定したウィンドウ幅およびウィンドウレベルで、当該X線CT画像を照会することができる。
【0127】
なお、本実施形態においては、第1の実施形態の医用画像表示装置100に画像処理機能156を組み合わせた場合について説明したが、第2の実施形態の医用画像表示装置100に画像処理機能156を組み合わせても良い。この場合、表示条件は、表示領域143に表示された高解像度画像71の拡大率または縮小率を含んでも良い。
【0128】
(第4の実施形態)
上述の第1~第3の実施形態では、医用画像表示装置100が医用画像診断装置とは異なる装置である場合について説明した。これに対して、この第4の実施形態では、医用画像診断装置が医用画像表示装置の機能を備える場合について説明する。
【0129】
図14は、第4の実施形態に係るX線CT装置1の構成の一例を示す図である。本実施形態においては、医用画像診断装置および医用画像表示装置の一例として、X線CT装置1を挙げて説明する。
【0130】
図14に示すように、X線CT装置1は、ガントリとも称される架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを有する。
【0131】
本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交しかつ回転中心から回転フレーム13を支持する支柱に向かう方向をX軸、当該Z軸及びX軸と直交する方向をY軸とそれぞれ定義する。なお、
図14では、説明の都合上、架台装置10を複数描画しているが、実際のX線CT装置1の構成としては、架台装置10は、一つである。
【0132】
架台装置10は、被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線の検出データから投影データを収集する撮像系を有する装置である。架台装置10は、X線管11と、X線検出器12と、回転フレーム13と、X線高電圧装置14と、制御装置15と、ウェッジ16と、コリメータ17と、DAS(Data Acquisition System)18とを有する。
【0133】
X線検出器12は、X線管11から照射され、被検体Pを通過したX線を検出し、当該X線量に対応した電気信号をDAS18へと出力する。X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数の検出素子が配列された複数の検出素子列を有する。なお、本実施形態のX線検出器12は、高解像度のX線画像の撮像に対応した数の検出素子を有する。なお、X線CT装置1には、例えば、X線管11とX線検出器12とが一体として被検体Pの周囲を回転するRotate/Rotate-Type(第3世代CT)、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線管11のみが被検体Pの周囲を回転するStationary/Rotate-Type(第4世代CT)等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも本実施形態へ適用可能である。また、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても良いし、光子計数型X線検出器であってもよい。
【0134】
DAS18は、X線検出器12の各X線検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、検出データを生成する。DAS18が生成した検出データは、処理回路44へ転送される。
【0135】
コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インタフェース43と、処理回路44とを備える。メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インタフェース43と、処理回路44との間のデータ通信は、例えば、バス(BUS)を介して行われる。なお、コンソール装置40は、架台装置10とは別体として説明するが、架台装置10に、コンソール装置40またはコンソール装置40の各構成要素の一部が含まれてもよい。
【0136】
メモリ41は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、光ディスク、HDD、SSD等により実現される。メモリ41は、処理回路44で使用される各種の情報、および各種のプログラムを記憶する。メモリ41は、本実施形態における記憶部の一例である。
【0137】
ディスプレイ42は、本実施形態における表示部の一例である。ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、ディスプレイ42は、架台装置10に設けられてもよい。
【0138】
入力インタフェース43は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。X線CT装置1のユーザは、例えば技師である。
【0139】
処理回路44は、例えば、入力インタフェース43から出力される入力操作の電気信号に応じて、X線CT装置1全体の動作を制御する。例えば、処理回路44は、ハードウェア資源として、CPUやMPU、GPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路44は、メモリに展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、
図14に示すように、システム制御機能441、前処理機能442、再構成処理機能443、特定機能445、変換機能446、表示制御機能447、受付機能448、および画像処理機能449を実行する。なお、各機能は、単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより
図14に示す各機能を実現するものとしても構わない。
【0140】
システム制御機能441は、制御部の一例である。前処理機能442は、前処理部の一例である。再構成処理機能443は、再構成処理部の一例である。特定機能445は、特定部の一例である。変換機能446は、変換部の一例である。表示制御機能447は、表示制御部の一例である。受付機能448は、受付部の一例である。画像処理機能449が、画像処理部の一例である。
【0141】
システム制御機能441は、入力インタフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各機能を制御する。また、システム制御機能441は、メモリ41に記憶されている制御プログラムを読み出して処理回路44内のメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従ってX線CT装置1の各部を制御する。
【0142】
前処理機能442は、DAS18から出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施したデータを生成する。前処理前のデータを純生データ、前処理後のデータを投影データと称する。
【0143】
再構成処理機能443は、前処理機能442にて生成された投影データに対して、フィルタ補正逆投影法(FBP法:Filtered Back Projection)等を用いた再構成処理を行って高解像度のCT画像データを生成する。当該CT画像データは、本実施形態における第1の医用画像の一例である。
【0144】
また、システム制御機能441、前処理機能442、および再構成処理機能443は、本実施形態における取得部の一例である。本実施形態においては、被検体PにX線を照射して検出された検出データを収集すること、および当該検出データからCT画像データを生成することを、「医用画像を取得する」ともいう。
【0145】
特定機能445、変換機能446、表示制御機能447、受付機能448、および画像処理機能449は、例えば、それぞれ、第3の実施形態の特定機能152、変換機能153、表示制御機能154、受付機能155、および画像処理機能156と同様の機能を備える。
【0146】
また、例えば、本実施形態の画像処理機能449は、X線CT装置1のユーザである技師がコンソール装置40のディスプレイ42で高解像度画像71を照会した際の表示条件を、高解像度画像71と対応付けてメモリ41に保存しても良い。また、画像処理機能449は、X線CT装置1のユーザである技師がコンソール装置40のディスプレイ42で高解像度画像71を照会した際の表示条件を、高解像度画像71と対応付けて医用画像保管装置200またはその他の情報処理装置に送信しても良い。
【0147】
また、例えば、表示制御機能447は、ディスプレイ42上に、高解像度画像71の表示領域を含む読影ビューアを表示させても良い。また、表示制御機能447は、高解像度画像71と共に、ユーザである技師を特定可能な識別情報と、当該技師による操作入力を受け付けるボタンまたはアイコンをディスプレイ42に表示させても良い。また、表示制御機能447は、当該ボタンまたはアイコンに対する技師の操作入力に応じて、ディスプレイ42上の高解像度画像71の表示態様を変化させる。
【0148】
また、受付機能448は、読影ビューア上のボタンまたはアイコンに対する技師の操作入力に応じて、当該読影ビューアにおける表示条件を受け付けても良い。
【0149】
このように、本実施形態においては、X線CT装置1が医用画像表示装置としての機能を備えるため、X線CT装置1を操作する技師が、高解像度画像71に適切な表示条件を設定した上で、当該表示条件を、高解像度画像71と対応付けて保存することができる。例えば、熟練した技師は、読影の知識を有する場合があり、このような技師が高解像度画像71に適切な表示条件を対応付けることにより、その後、当該高解像度画像71を読影する読影医等が、当該高解像度画像71を適切な表示状態にするためにかかる手間および時間を低減させることができる。
【0150】
なお、本実施形態においては、X線CT装置1が第3の実施形態の医用画像表示装置100に相当する機能を備える例について説明したが、X線CT装置1は、第1の実施形態または第2の実施形態の医用画像表示装置100に相当する機能を備えても良い。
【0151】
なお、本実施形態においては、臥位の状態の被検体Pを撮像可能なX線CT装置1を例示したが、X線CT装置1は、立位または座位の状態の被検体Pを撮像可能であっても良い。また、X線CT装置1は、寝台装置30を備えなくとも良い。
【0152】
(変形例1)
上述の第1の実施形態では、ディスプレイ140上に通常解像度画像72が表示される第1の表示領域141と高解像度画像71が表示される第2の表示領域142の両方が表示されていたが、通常解像度画像72と高解像度画像71とが同時に表示されなくとも良い。
【0153】
図15は、変形例1に係る高解像度画像71が表示された状態の一例を示す図である。ディスプレイ140には、高解像度画像71または通常解像度画像72が表示される1つの表示領域144が設けられる。
【0154】
図15に示す状態では、本変形例の表示制御機能154は、ディスプレイ140の表示領域144に、高解像度画像71のうち表示対象範囲60aに対応する部分を表示させている。例えば、表示制御機能154は、受付機能155によって受け付けられたユーザの操作に応じて、高解像度画像71と通常解像度画像72の表示を切り替えても良い。
【0155】
また、表示制御機能154は、表示対象範囲60aの位置および大きさを示すインジケータ90cを、ディスプレイ140に表示させる。インジケータ90cは、本実施形態における第1の指標画像の一例である。インジケータ90cは、例えば、高解像度画像71を摸擬的に示す矩形901cと、高解像度画像71上で表示対象範囲60aが占める位置および大きさを示す枠902cとを含む。
【0156】
ユーザは、枠902cの位置を移動させることにより、表示対象範囲60aの位置を変更させることができる。
【0157】
本変形例によれば、2つの表示領域を並列する場合と比較して、ディスプレイ140上で高解像度画像71を表示するための表示領域144の広さを確保することが容易となる。
【0158】
なお、本変形例は、第1の実施形態だけではなく、例えば、第3の実施形態または第4の実施形態に適用されても良い。
【0159】
(変形例2)
また、表示制御機能154は、ディスプレイ140に、複数の医用情報を表示させる統合ビューアを表示させでも良い。
【0160】
図16は、変形例2に係る統合ビューア145の一例を示す図である。統合ビューア145は、複数の表示領域145a~145dを含む。また、本変形例において高解像度画像71を表示可能な表示領域145aは、統合ビューア145の中の複数の表示領域145a~145dに含まれる。なお、統合ビューア145の画面レイアウトは
図16に示す例に限定されるものではない。
【0161】
図16に示す状態では、表示制御機能154は、表示領域145aに、高解像度画像71のうち表示対象範囲60aに対応する部分を表示させている。また、表示制御機能154は、受付機能155によって受け付けられたユーザの操作に応じて、表示領域145aに通常解像度画像72を表示させても良い。
【0162】
このような統合ビューア145では、ディスプレイ140上に複数の表示領域145a~145dが表示されるため、高解像度画像71を表示する表示領域145aが狭くなる場合がある。このような場合でも、医用画像表示装置100は、例えば、第1の実施形態と同様の機能により、表示領域145aのマトリクスサイズに基づいて、高解像度画像71のうち、表示領域145aに表示可能な表示対象範囲60aの大きさを特定し、高解像度画像71のうち、表示対象範囲60aに対応する部分を、表示領域145aに表示させることができる。このため、本変形例の医用画像表示装置100によれば、表示領域145aの画素数に関わらず、高解像度画像71を高解像度のまま表示させることができる。
【0163】
なお、本変形例は、第1の実施形態だけではなく、例えば、第2の実施形態または第3の実施形態に適用されても良い。
【0164】
(変形例3)
また、表示制御機能154は、ディスプレイ140に、高解像度画像71のうち、表示領域144に表示されたことのある範囲を示す情報を表示させても良い。
【0165】
図17は、変形例3に係る高解像度画像71が表示された状態の一例を示す図である。
図17に示すように、本変形例の表示制御機能154は、ディスプレイ140の表示領域144に、高解像度画像71のうち表示対象範囲60aに対応する部分を表示させ、表示領域144の近傍に、インジケータ90dを表示させている。インジケータ90dは、本変形例における高解像度画像71のうち、表示領域144に表示されたことのある範囲を示す情報の一例である。
【0166】
例えば、インジケータ90dは、高解像度画像71を摸擬的に示す矩形903と、高解像度画像71のうち表示領域144に表示されたことのある部分を示す画像404aと、表示領域144に現在表示されている表示対象範囲60aの位置および大きさを示す枠904bとを示す。
図17に示す例では、高解像度画像71のうち、右下の部分が、表示領域144に表示されたことがない。なお、
図17に示すインジケータ90dの表示態様は一例であり、これに限定されるものではない。
【0167】
このように、本変形例の医用画像表示装置100は、ディスプレイ140に、高解像度画像71のうち、表示領域144に表示されたことのある範囲を示す情報を表示させることにより、読影医等が、高解像度画像71の一部の確認漏れをすることを低減することができる。
【0168】
(変形例4)
なお、高解像度画像71の一部の確認漏れを低減する手法は変形例3に限定されない。例えば、表示制御機能154は、高解像度画像71が表示されないまま読影が終了しようとする場合には、その旨を報知する警告を出力しても良い。
【0169】
図18は、変形例4に係る警告が表示された状態の一例を示す図である。
図18に示す例では、ディスプレイ140の表示領域144に通常解像度画像72が表示されている。この状態で、高解像度画像71が一度も表示されないまま、ユーザが読影の終了を示すレポート完了ボタン53を押下した場合、表示制御機能154は、ポップアップ画像50をディスプレイ140に表示させる。
【0170】
図18に示すポップアップ画像50は、本変形例における警告の一例である。例えば、ポップアップ画像50は、「高解像度での表示がされていません。このままレポート完了しますか?」のようにユーザに対して確認を促すメッセージM1を含む。受付機能155は、ユーザがOKボタン51を押下した場合は、読影の終了を受け付ける。この場合、表示制御機能154は、表示領域144の表示を終了する。
【0171】
また、受付機能155は、ユーザがキャンセルボタン52を押下した場合は、レポート完了ボタン53の押下によって入力された読影の終了操作を取り消す。この場合、表示制御機能154は、表示領域144の表示を継続する。
【0172】
なお、
図18に示す画面のレイアウトおよび報知の表示態様は一例であり、これに限定されない。また、レポート完了ボタン53の代わりに、読影レポートの医用画像保管装置200またはその他の情報処理装置への送信指示を受け付け可能なレポート送信ボタンが使用されても良い。
【0173】
(変形例5)
また、特定機能152は、ディスプレイ140のピクセル密度(ppi)に応じて、高解像度画像71の表示対象範囲60aの大きさを特定しても良い。
【0174】
例えば、ディスプレイ140のピクセル密度が大きくなりすぎると、人間の目の分解能を超える可能性がある。一般に、人間が視認可能なピクセル密度は、300ppi前後、多くても450ppi程度と言われている。人間が視認可能なレベルを超えてピクセル密度が大きくなっても、仮に、表示領域のマトリクスサイズと高解像度画像71の表示対象範囲60aのマトリクスサイズを合わせたとしても、人間が個々の画素の差異を視認できないため、解像度を高めたことの効果が十分に発生されない。
【0175】
例えば、ディスプレイ140のピクセル密度を“P_d1”、人間の目の解像限界のピクセル密度を“Th_ppi”とする場合、特定機能152は、ディスプレイ140のピクセル密度P_d1を取得して、P_d1がTh_ppiを超えるか否かを判定する。
【0176】
特定機能152は、P_d1がTh_ppiを超えると判定した場合、例えば、P_d1を4倍(2×2)、9倍(3×3)、またはi^2倍、した値がTh_ppiを超えるか否かを順次判定する。例えば、特定機能152は、P_d1を4倍した値がTh_ppiを超えないと判定した場合には、高解像度画像71の1画素をディスプレイ140の表示領域上の4画素(2×2)に表示可能となる表示対象範囲60aの大きさを特定する。
【0177】
また、このような表示サイズの調整により、ディスプレイ140の表示領域上に表示された高解像度画像71の画素が粗く見える可能性もあるため、当該特定した表示対象範囲60aよりも、高解像度画像71の画素とディスプレイ140の表示領域上の画素の対応関係が一段細かくなる第2の表示対象範囲を特定していても良い。例えば、特定機能152は、高解像度画像71の1画素をディスプレイ140の表示領域上の1画素に表示可能となる第2の表示対象範囲の大きさを特定しても良い。
【0178】
なお、ディスプレイ140のピクセル密度を“P_d1”、人間の目の解像限界のピクセル密度を“Th_ppi”は、例えば記憶回路120に記憶されているものとしても良い。
【0179】
(変形例6)
また、上述の第1の実施形態では、1つの通常解像度画像72と、当該通常解像度画像72に対応する1つの高解像度画像71とがディスプレイ140に表示されていたが、複数ペアの通常解像度画像72と高解像度画像71がディスプレイ140に表示されても良い。
【0180】
図19は、変形例6に係る高解像度画像71a,71bおよび通常解像度画像72a,72bが表示された状態の一例を示す図である。
図19に示す例では、ディスプレイ140上に第1の表示領域141、第2の表示領域142、第3の表示領域146、および第4の表示領域147が設けられる。
【0181】
表示制御機能154は、通常解像度画像72aを第1の表示領域141に表示させ、通常解像度画像72aに対応する高解像度画像71aの一部を第2の表示領域142に表示させる。また、表示制御機能154は、通常解像度画像72bを第3の表示領域146に表示させ、通常解像度画像72bに対応する高解像度画像71bの一部を第4の表示領域147に表示させる。
【0182】
また、表示制御機能154は、第1の表示領域141に表示された通常解像度画像72a上に、高解像度画像71aの表示対象範囲の位置および大きさを示すインジケータ901aを表示させる。また、表示制御機能154は、第3の表示領域146に表示された通常解像度画像72b上に、高解像度画像71bの表示対象範囲の位置および大きさを示すインジケータ902aを表示させる。換言すれば、通常解像度画像72a上のインジケータ901aは、第1の実施形態のインジケータ90aと同様に、第2の表示領域142に表示された高解像度画像71aの一部が、第1の表示領域141に表示された通常解像度画像72aのどの部分に当たるかを表す。また、通常解像度画像72b上のインジケータ902aは、第4の表示領域147に表示された高解像度画像71bの一部が、第3の表示領域146に表示された通常解像度画像72bのどの部分に当たるかを表す。ユーザは、インジケータ901aとインジケータ902aとをそれぞれ別個に操作可能である。
【0183】
なお、通常解像度画像72aと通常解像度画像72bとは異なる画像でも良いし、同一の画像でも良い。また、
図19では2対の高解像度画像71と通常解像度画像72とが表示された例を示したが、3対以上の高解像度画像71と通常解像度画像72とが同一画面上に表示されても良い。
【0184】
(変形例7)
また、1つの高解像度画像71の複数の部分が同一画面上に表示されても良い。
図20は、変形例7に係る高解像度画像71aおよび通常解像度画像72が表示された状態の一例を示す図である。本変形例では、第1の実施形態と同様の第1の表示領域141および第2の表示領域142に加えて、第2の表示領域142と同様に高解像度画像71が縮小されずに表示される第3の表示領域148がディスプレイ140上に設けられる。
【0185】
また、通常解像度画像72上のインジケータ90aは、第1の実施形態と同様に、第2の表示領域142に表示された高解像度画像71の一部が、第1の表示領域141に表示された通常解像度画像72のどの部分に当たるかを表す。また、通常解像度画像72上のインジケータ90eは、第3の表示領域148に表示された高解像度画像71の一部が、第1の表示領域141に表示された通常解像度画像72のどの部分に当たるかを表す。ユーザは、インジケータ90aとインジケータ90eとをそれぞれ別個に操作可能であり、表示制御機能154は、ユーザの操作に応じて、第2の表示領域142と第3の表示領域148の各々に表示される高解像度画像71の領域を変更する。
【0186】
(変形例8)
また、複数のディスプレイ上に、高解像度画像71が表示されても良い。例えば、ユーザがマトリクスサイズの異なる複数のディスプレイを併用する場合に、表示制御機能154は、複数のディスプレイの各々のマトリクスサイズに応じた高解像度画像71の一部を、表示させても良い。
【0187】
図21は、変形例8に係る高解像度画像71および通常解像度画像72が表示された状態の一例を示す図である。
図21に示す例では、医用画像表示装置100は、デスクトップ型のPCであるものとする。また、本変形例では、医用画像表示装置100に含まれるディスプレイ140に加えて、医用画像表示装置100に外付けされるディスプレイ140aが用いられる。なお、ディスプレイ140aも、医用画像表示装置100に含まれる構成としても良い。
【0188】
ディスプレイ140a上の第3の表示領域149のマトリクスサイズは、ディスプレイ140上の第2の表示領域142とは異なる。
図19に示す例では、本変形例の第3の表示領域149のマトリクスサイズは、第2の表示領域142よりも大きいものとする。
【0189】
表示制御機能154は、第2の表示領域142と第3の表示領域149の各々に、通常解像度画像72に対応する高解像度画像71の一部を表示させる。通常解像度画像72上のインジケータ90aは、第1の実施形態と同様に、第2の表示領域142に表示された高解像度画像71の一部が、第1の表示領域141に表示された通常解像度画像72のどの部分に当たるかを表す。また、通常解像度画像72上のインジケータ90fは、第3の表示領域149に表示された高解像度画像71の一部が、第1の表示領域141に表示された通常解像度画像72のどの部分に当たるかを表す。
【0190】
ユーザは、インジケータ90aとインジケータ90fとをそれぞれ別個に操作可能であり、表示制御機能154は、ユーザの操作に応じて、第2の表示領域142と第3の表示領域149の各々に表示される高解像度画像71の領域を変更する。
【0191】
(変形例9)
また、上述の各実施形態では、高解像度のX線CT画像を、第1の医用画像の一例としたが、医用画像はこれに限定されるものではない。例えば、第1の医用画像は、高解像度のX線画像、高解像度の磁気共鳴画像、または高解像度の超音波診断画像であっても良い。なお、高解像度の定義は、医用画像の種類によって異なっても良い。
【0192】
また、第1の医用画像を撮像する医用画像診断装置は、磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置、X線診断装置、超音波診断装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、またはSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置等であっても良い。また、これらの医用画像診断装置が、医用画像表示装置の一例であっても良い。
【0193】
また、上述の各実施形態で説明した医用画像表示装置100の機能の一部または全てが、クラウド環境で実行されても良い。
【0194】
なお、本明細書において扱う各種データは、典型的にはデジタルデータである。
【0195】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、表示領域の画素数が高解像度な医用画像全体の画素数よりも少ない場合であっても、高解像度な医用画像をユーザが適切に照会可能にすることである。
【0196】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0197】
1 X線CT装置
41 メモリ
50 ポップアップ画像
60a,60b 表示対象範囲
71,71a,71b 高解像度画像
72,72a,72b 通常解像度画像
90a~90f,901a,902a インジケータ
100 医用画像表示装置
120 記憶回路
140,140a,42 ディスプレイ
141 第1の表示領域
142 第2の表示領域
146,148,149 第3の表示領域
147 第4の表示領域
143,144,145a~145d 表示領域
145 統合ビューア
150,44 処理回路
151 取得機能
152,445,1152 特定機能
153,446 変換機能
154,447,1154 表示制御機能
155,448,1155 受付機能
156,449 画像処理機能
200 医用画像保管装置
S100,S200,S300 医用情報システム