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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162855
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】建物ユニット
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/348 20060101AFI20221018BHJP
【FI】
E04B1/348 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067891
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀田 昌紀
(57)【要約】
【課題】主に、ユニットバスを設置する床部分の構造を最も単純にする。また、工場内で、建物ユニットの内部に、完成状態のユニットバスを人力でスライドさせて設置できるようにする。
【解決手段】金属製の床大梁6、および、複数本の金属製の床小梁11~13、を有する床枠8に、居室床17およびユニットバス15が設置された建物ユニット1に関する。
居室床17の下の床小梁11は、縦向きに配置される。ユニットバス15の下の床小梁12,13は、床大梁6の高さ範囲21内の下寄りの位置に横向きに配置される。
床大梁6と横向きの床小梁13との間には、木製の補助根太22が単数または複数設置される。
補助根太22は、床大梁6側の端部22bよりも細くなった床小梁13側の端部22aが、床小梁13の高さ範囲23内に納まると共に、床小梁13の側面13cに側方から突当てられた状態で固定される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の床大梁、および、該床大梁と平行な複数本の金属製の床小梁、を有する床枠を備え、
該床枠に、居室床およびユニットバスが設置された建物ユニットであって、
前記居室床の下に設置される前記床小梁は、縦向きに配置され、
前記ユニットバスの下に設置される前記床小梁は、前記床大梁の高さ範囲内の下寄りの位置に横向きに配置され、
互いに平行になっている前記床大梁と、該床大梁に隣接する横向きの前記床小梁との間には、木製の補助根太が単数または複数設置され、
該補助根太は、前記床小梁側の端部が前記床大梁側の端部よりも細く形成され、
前記補助根太は、細くなった前記床小梁側の端部が、前記床小梁の高さ範囲内に納まると共に、前記床小梁の側面に側方から突当てられた状態で固定されていることを特徴とする建物ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の建物ユニットであって、
前記補助根太は、前記床小梁側の端部に、前記床小梁の高さ範囲内で前記床小梁の側面に沿って両側へ張出す取付用木片を有していることを特徴とする建物ユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の建物ユニットであって、
前記補助根太は、側方から見たときに、下面が直線状とされると共に、上面が段付形状とされて、前記床大梁の高さ範囲内に縦向きに設置され、
前記補助根太の前記床小梁側の端部は、少なくとも前記ユニットバスの底部と重複する部分の上面が、前記床大梁側の端部よりも低くなって、前記床小梁の上面以下の高さとされていることを特徴とする建物ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅などの建物には、ユニット建物でできたものが存在している。ユニット建物は、工場で予め製造された建物ユニットを建築現場へ搬送して、建築現場で組み立てることで、短期間のうちに構築できるようにした建物である。
【0003】
一方、建物では、風呂場をユニットバスによって形成するのが一般的である。ユニットバスは、通常、建築現場において、建物の中で部品から組立てられる。
【0004】
しかし、ユニット建物の場合、ユニットバスは、工場にて、完成品の状態で丸ごと建物ユニットの内部に設置するのが効率的である。このように、工場で建物ユニットの内部にユニットバスを取付ければ、建築現場でのユニットバスの組立作業が削減できる(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
そして、近年では、バリアフリー化のために、ユニットバスは、入口を、居室床と同じ高さにしている。建物ユニットの場合、居室床の高さは決まっているので、入口を居室床と同じ高さに揃えるには、ユニットバスは、その底部を居室床よりも低く設置する必要がある。
【0006】
この際、ユニットバスの底部が建物ユニットの下部よりも低くなると、ユニットバスの底部などが、建物ユニットの製造設備と干渉して、建物ユニットの製造に支障を生じる。よって、ユニットバスは、その底部が、居室床よりも低く、かつ、建物ユニットの下部よりも高くなるように設置しなければならない。
【0007】
しかし、居室床から建物ユニットの下部までの上下方向の寸法は小さいので、建物ユニットへのユニットバスの取付けは、かなりシビアな状況になっている。
【0008】
そこで、特許文献1では、建物ユニットのユニットバスを設置する床部分を特殊な構造にして、ユニットバスの底部などが、建物ユニットの製造設備と干渉しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004-116159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1に記載された建物ユニットは、ユニットバスを設置する床部分を複雑な構造にしたため、ユニットバスの建物ユニットの内部への設置の仕方が特殊になってしまい、手間がかかるなどの問題があった。また、クレーンなどのような大型の設備や治具を使わないでユニットバスを設置できるようにしたいという要望もあった。
【0011】
そこで、本発明は、上記した問題点の改善に寄与することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題に対して、本発明は、
金属製の床大梁、および、該床大梁と平行な複数本の金属製の床小梁、を有する床枠を備え、
該床枠に、居室床およびユニットバスが設置された建物ユニットであって、
前記居室床の下に設置される前記床小梁は、縦向きに配置され、
前記ユニットバスの下に設置される前記床小梁は、前記床大梁の高さ範囲内の下寄りの位置に横向きに配置され、
互いに平行になっている前記床大梁と、該床大梁に隣接する横向きの前記床小梁との間には、木製の補助根太が単数または複数設置され、
該補助根太は、前記床小梁側の端部が前記床大梁側の端部よりも細く形成され、
前記補助根太は、細くなった前記床小梁側の端部が、前記床小梁の高さ範囲内に納まると共に、前記床小梁の側面に側方から突当てられた状態で固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、上記構成によって、ユニットバスを設置する床部分の構造が最も単純になる。そして、建物ユニットは、工場内で、内部に完成状態のユニットバスを人力でスライドさせて設置できるようになる。また、建物ユニットは、ユニットバスの設置に必要な設備や手間を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施の形態にかかる建物ユニットの全体斜視図である。
図2図1の建物ユニットにおける、ユニットバスを設置する部分の床枠の構造を示す図である。このうち、(a)は床枠の部分的な平面図、(b)は(a)の床枠の図中左右方向に沿った縦断面図、(c)は(a)の床大梁に隣接する床小梁の右側面図である。
図3A】(a)はユニットバスを設置した図2の建物ユニットの床部分の状態を示す部分的な平面図である。(b)は(a)の建物ユニットの床枠における、補助根太の設置状態を示す部分的な概略平面図である。
図3B】(a)は別のユニットバスを設置した図2の建物ユニットの床部分の状態を示す部分的な平面図である。(b)は(a)の建物ユニットの床枠における、補助根太の設置状態を示す部分的な概略平面図である。
図4A図2(b)の左側の丸で囲んだ部分を拡大した縦断面図である。
図4B図2(b)の右側の丸で囲んだ部分を拡大した縦断面図である。
図5】ユニットバスの底部の状態を示した拡大縦断面図である。
図6】(a)は床大梁と隣接する床小梁との間に設置された補助根太を示す側面図である。(b)は(a)に使用したスペーサ板の斜視図である。
図7図6の補助根太の部品図である。このうち、(a)は側面図、(b)は左端面図、(c)は平面図である。
図8】比較例にかかる補助根太を示す、図6(a)と同様の側面図である。
図9図8の補助根太の部品図である。このうち、(a)は側面図、(b)は右端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1図9は、この実施の形態を説明するためのものである。
【実施例0016】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0017】
住宅などの建物を、ユニット建物で構成する。ユニット建物は、工場で予め製造された建物ユニット1(図1)を建築現場へ搬送して、建築現場で組み立てることで、短期間のうちに構築できるようにした建物である。建築現場では、建物ユニット1は、基礎2(図1)の上などに設置される。
【0018】
図1に示すように、建物ユニット1は、直方体状をした箱型の構造物とされる。建物ユニット1の骨格部分には、ボックスラーメン構造のユニットフレーム3が設けられる。ユニットフレーム3は、4本の金属製の柱4の上端間に4本の天井大梁5を矩形状に連結し、4本の金属製の柱4の下端間に4本の床大梁6を矩形状に連結した立体枠とされる。
【0019】
ユニットフレーム3では、柱4に、角筒状をした中空部材が使用される。この中空部材は、ほぼ正方形状の均一断面を有して、上下方向に延びるように設置される。4本の天井大梁5は長方形状の水平な天井枠7を形成し、4本の床大梁6は長方形状の水平な床枠8を形成する。天井大梁5および床大梁6は、長辺用の長い部材と短辺用の短い部材とが、それぞれ2本ずつ用いられる。天井大梁5および床大梁6には、それぞれC字型の形鋼などが内向き状態にして使用される。このC字型の形鋼は、均一断面を有している。
【0020】
柱4と、天井大梁5および床大梁6との間の接合には、金属製のジョイントピース9が用いられる。ジョイントピース9は、柱4の上下端部の2つの側面に対し2個ずつ直角に溶接固定される。このジョイントピース9に対して、天井大梁5および床大梁6の端部を嵌め合わせた状態で、ジョイントピース9と天井大梁5および床大梁6の端部とが、それぞれ互いに溶接固定またはボルト固定、あるいは、溶接固定とボルト固定との両方によって取付けられる。
【0021】
図2に示すように、床枠8は、内部に複数本の金属製の床小梁11~13を有している。複数本の金属製の床小梁11~13は、床枠8の内部に水平かつ互いに平行に設置される。複数本の床小梁11~13は、平面視ほぼ矩形状をした床枠8の短辺を構成する一対の短い床大梁6とほぼ等しい長さを有して、床枠8の短辺の方向に延びるように設置される。そして、複数本の床小梁11~13は、床枠8の長辺を構成する一対の長い床大梁6の間に、床枠8の長辺に沿い所要の間隔を有して、架け渡すようにして設置される。
【0022】
床小梁11~13には、角筒状をした中空部材が使用される。この中空部材は、ほぼ長方形状の均一断面を有している。金属製の床小梁11~13の両端部には、金属製のスチフナ14が溶接固定されている。スチフナ14を床大梁6の上面6aや下面6bに溶接固定することで、床小梁11~13は床枠8に取付けられる。この際、スチフナ14が、床大梁6のC字型の開断面を部分的に塞ぐので、床大梁6は、スチフナ14によって補強される。
【0023】
ユニット建物は、複数の建物ユニット1で構成されるが、そのうちの少なくとも1つに対して、図3A図3Bに示すように、ユニットバス15を設置する。この実施例では、ユニットバス15は、工場にて、完成品の状態で建物ユニット1の内部に丸ごと取付けられる。完成品の状態のユニットバス15は、側壁や天井などによって囲まれたほぼ箱型となっている。ユニットバス15には、様々なタイプがある。例えば、図3Aは通常タイプであり、図3B図3Aよりも大きな大型タイプである。図3Bは、図3Aと比べて、バスタブ15aが同じ大きさで、洗い場15bが広くなっている。なお、一般的には、建物ユニット1は、ユニットバス15よりも大きくなっているので、ユニットバス15は、建物ユニット1からはみ出すことなく、建物ユニット1の内部に納められる。
【0024】
そして、図4A図4Bに示すように、バリアフリー化のために、ユニットバス15は、その入口16(の下部の高さ)を、居室床17の上面17aとほぼ同じ高さにする。
【0025】
居室床17は、建物内の居室や廊下などの床であり、床枠8における通常の大きさの床小梁11を設けた部分の上に設置される。ユニットバス15を設置する建物ユニット1においても、居室床17は、必要に応じて、ユニットバス15の外側となる床枠8および床小梁11の上などに設置される。
【0026】
居室床17の上面17aは、床枠8(を構成する床大梁6の上面6a)や床小梁11の上面11aよりも、少なくとも居室床17の板厚程度分またはそれ以上に高くなる。ただし、居室床17の位置を高くすると、その分だけ建物ユニット1の内部空間が狭くなるので、居室床17は、可能な限り低い位置に設けるのが好ましい。
【0027】
建物ユニット1の場合、居室床17の高さはほぼ決まっているので、ユニットバス15の入口16を居室床17と同じ高さに揃えるには、ユニットバス15を、その底部18が居室床17よりも低くなるように建物ユニット1に設置する必要がある。
【0028】
ユニットバス15の入口16は、ユニットバス15の側壁に設けられる。入口16は、その下部が、洗い場15bの床面の位置に合った高さに形成される。そして、ユニットバス15の底部18は、バスタブ15aや洗い場15bの下側に備えられた支持部となっており、支持部は、入口16よりも低くなる。支持部については、後述する。
【0029】
この際、ユニットバス15の底部18(や底部18を支える床小梁12,13)などが建物ユニット1の下部よりも低くならないようにして、ユニットバス15の底部18などが、建物ユニット1の製造設備と干渉しないようにする。これにより、建物ユニット1は、ユニットバス15を設置した状態でも支障なく工場で製造できるようになる。
【0030】
建物ユニット1の下部は、建物ユニット1を構成する床枠8の下部、または、床枠8を構成する床大梁6の下面6bの位置となる。そして、居室床17から建物ユニット1の下部までの上下方向の寸法は、居室床17の板厚と、床大梁6の側面6cの高さとを足した程度しかない。そのため、建物ユニット1の下部における、ユニットバス15の底部18を設置することができるスペースは、かなり狭くなっており、非常にシビアな状況にある。
【0031】
図5に示すように、ユニットバス15の底部18に備えられた支持部は、アジャスターボルト181などを備えて高さ調整ができるようにした脚部18aやバスタブ15aの底面から下方へ突出するように設けられた突状部18bなどとなっている。
【0032】
図のように、床枠8を側方から(、床枠8の長辺に向って床枠8の短辺の方向へ)見た場合、突状部18bは、バスタブ15aの底面の両側の位置に少なくとも2箇所設けられている。また、脚部18aは、各突状部18bの外側となる位置に少なくとも2箇所設けられている。即ち、ユニットバス15の底部18の支持部は、概略で4箇所となっている。
【0033】
脚部18aは、例えば、縦支柱や、横フレーム183などを備えている。アジャスターボルト181は、上下方向に延びて、縦支柱や横フレーム183に対し上下方向に移動できるようにねじ込み状態で設置されている。アジャスターボルト181は、縦支柱や横フレーム183よりも下側へ延びて、下端部には接地用の脚プレート184が取付けられている。
【0034】
上記のような基本的な構成に対し、この実施例では、以下のような構成を備えても良い。
【0035】
(1)この実施例の建物ユニット1は、図1に示すように、
少なくとも、金属製の床大梁6、および、床大梁6と平行な複数本の金属製の床小梁11~13、を有する床枠8を備えている。
また、図2図3A図3B)に示すように、床枠8には、居室床17およびユニットバス15が設置されている。
そして、居室床17の下に設置される床小梁11は、縦向きに配置される。
ユニットバス15の下に設置される床小梁12,13は、床大梁6の高さ範囲21内の下寄りの位置に横向きに配置される。
互いに平行になっている床大梁6と、床大梁6に隣接する横向きの床小梁13との間には、木製の補助根太22が単数、または、床大梁6の長手方向に所要の間隔を有して複数本設置される。
図6に示すように、補助根太22は、(側方から見て)床小梁13側の端部22aが床大梁6側の端部22bよりも細く形成される。
補助根太22は、細くなった床小梁13側の端部22aが、床小梁13の高さ範囲23内にほぼ納まると共に、床小梁13の側面13cに側方から突当てられた状態で(床小梁13の側面13cに)固定される。
【0036】
ここで、床大梁6は、均一断面で真っ直ぐに延びるほぼ水平な一本物の梁部材とされる。床大梁6は、縦向きのウェブ面と、ウェブ面の上下端部からそれぞれ建物ユニット1の内方へ向け横に延びる上フランジおよび下フランジとを有するC字断面の形鋼で構成されている。そして、上フランジが床大梁6の上面6aを形成し、下フランジが床大梁6の下面6bを形成し、ウェブ面が床大梁6の側面6cを形成する。また、床大梁6の上面6aから下面6bまでの間の上下方向の間隔が床大梁6の高さ範囲21となる。この場合の床大梁6は、床枠8の短辺を形成する部材のうちの、ユニットバス15を設置する側の1本を差している。
【0037】
居室床17の下に設置される床小梁11(図4A)は、長方形断面を有する角筒状の部材でできている。この床小梁11は、床大梁6のほぼ高さ範囲21内の上寄りの位置に(上側に偏った状態で)ほぼ水平に設置される。床小梁11は、基本的に、ほぼ均一な間隔を有して複数本隣接配置される。縦向きに配置とは、床小梁11が、その長方形断面を構成する長辺を上下方向に向けた状態(縦向き姿勢)で配置されることである。居室床17の下に設置される床小梁11は、上面11aが、床大梁6の上面6aとほぼ同じ高さとなるように設置される。床小梁11の上面11aは、若干であれば床大梁6の上面6aより高くても低くても良い。床小梁11は、下面11bが床大梁6の下面6bよりも高くなるように設置される。
【0038】
ユニットバス15の下に設置される床小梁12,13(図4B)は、長方形断面を有する角筒状の部材でできている。この床小梁12,13は、床大梁6のほぼ高さ範囲21内の下寄りの位置に(下側に偏った状態で)ほぼ水平に設置される。ほぼ高さ範囲21内とは、床大梁6の上面6aと下面6bとの間に、床小梁12,13の上面12a,13aと下面12b,13bとがほぼ納まることである。縦向きに配置とは、床小梁12,13が、その長方形断面を構成する長辺を水平方向に向けた状態(横向き姿勢)で配置されることである。
【0039】
この実施例では、床小梁12,13には、例えば、居室床17の下に設置される通常の大きさの床小梁11よりも、断面を構成する長辺および短辺を、共に小さくした部材が使用されている。そのため、(床小梁11の長辺>床小梁12,13の長辺、床小梁11の短辺>床小梁12,13の短辺)となる。ただし、床小梁12,13の長辺は、床小梁11の短辺よりも大きくなっている。即ち、(床小梁12,13の長辺>床小梁11の短辺)となっている。
【0040】
床小梁12,13には、基本的にほぼ同じ部材が使われる。このうち、床小梁13は床枠8の短辺を構成する床大梁6に隣接する1本の部材であり、床小梁12はそれ以外の残りの部材である。床小梁12,13は、上面12a,13aが、床大梁6の上面6aや通常の大きさの床小梁11の上面11aよりも低く設置される。この実施例では、床小梁12,13は、床小梁11の下面11bとほぼ同じ高さ(同じか、若干高いか、若干低い位置)に設置されている。
【0041】
また、床小梁12,13は、下面12b,13bが、通常の大きさの床小梁11の下面11bよりも低く、そして、床大梁6の下面6bと同じかそれよりも若干高い位置に設置される。そして、床小梁12,13の上面12a,13aから下面12b,13bまでの間の上下方向の間隔が床小梁12,13の高さ範囲23となる。
【0042】
この実施例では、ユニットバス15の下に設置される床小梁12,13は、全部で4本となっている。この4本の床小梁12,13は、ユニットバス15の設置に必要となる最低限の本数である。床小梁12,13が4本あれば、例えば、2本ずつに別けて、ユニットバス15の両側をバランス良く支えるように配置できる。なお、この実施例では、4本の床小梁12,13間の横方向の設置間隔は、ユニットバス15の底部18の床支持部の構成や位置に合わせて不均等になっている。ただし、ユニットバス15の底部18の構造などによっては、床小梁12,13は、2本、3本、または、5本以上にすることもできる。
【0043】
そして、4本の床小梁12,13は、それぞれ真っ直ぐに延びて、途中につなぎ目などのない一本物の部材とされる。4本の床小梁12,13は、中間部に互いに連結する横部材などのない分離した状態でそれぞれ独立して設置される。このような4本の床小梁12,13のみを平行に配置した構成は、最もシンプルになる。
【0044】
4本の床小梁12,13の上面12a,13aは、それぞれ長手方向に直線状に延びて、凹凸や段差や穴などがなく、均一な幅および均一な高さを有する、帯状をした水平な平坦面となっている。同様に、4本の床小梁12,13の下面12b,13bは、それぞれ長手方向に直線状に延びて、凹凸や段差や穴などがなく、均一な幅および均一な高さを有する、帯状をした水平な平坦面となっている。
【0045】
4本の床小梁12,13は、ユニットバス15の底部18を構成する各脚部18aや各突状部18bをそれぞれ下から支えられる位置、例えば、ほぼ真下の位置に設けられる。ほぼ真下の位置とは、各床小梁12,13の両側部間の範囲内に、ユニットバス15の脚部18aや各突状部18bの少なくとも一部が入ることである。
【0046】
そして、この4本の床小梁12,13の平坦な上面12a,13aの上に、ユニットバス15の底部18の脚部18aや突状部18bが載置される。床小梁12,13の上面12a,13aに対し、ユニットバス15の脚部18aや突状部18bは、直接、または、木材や、木材の表面にゴムや樹脂などの柔らかい素材を設置したガイド部材24(図4A図4B)を介して設置されても良い。
【0047】
ガイド部材24は、ユニットバス15の底部18を構成する脚部18aや突状部18bに合わせて厚みや材質や形状や構成などを異ならせても良い(ガイド24a,24b)。この実施例では、ユニットバス15の底部18の脚部18aの位置が低く、突状部18bの位置が高くなっているので、これに合わせて脚部18aの下のガイド24aを薄く、突状部18bの下のガイド24bを厚くしている。
【0048】
床小梁12,13は、上面12a,13aが、全域に亘って平坦面となっているので、全ての部分が、ガイド部材24およびユニットバス15の底部18の設置およびスライドなどを妨げない状態となる。そのため、ユニットバス15は、底部18の脚部18aや突状部18bを、床小梁12,13の上面12a,13aに対して支障なく設置できる。よって、ユニットバス15は、変則的な仕方で設置する必要がない。例えば、脚部18aや突状部18bを、隣接する床小梁12,13間の間隙に嵌め込む(または、間隙に落とし込む)必要がない。また、例えば、床小梁12,13の上面12a,13aに穴を開けて、脚部18aや突状部18bを、床小梁12,13の内部空間へ埋め込んだりする必要がない。
【0049】
ガイド部材24は、例えば、建物ユニット1の内部に、ほぼ完成状態のユニットバス15を、人力で、床小梁12,13の長さ方向へスライド挿入して設置する際に使用される部材である。ガイド部材24は、ユニットバス15の底部18と床小梁12,13の上面12a,13aとの間に介在して使われる。そして、ガイド部材24は、ガイド機能の他に、ユニットバス15の底部18と床小梁12,13の上面12a,13aとが直接擦れるのを防止する機能を有している。
【0050】
ガイド部材24は、ユニットバス15の底部18における、脚部18aや突状部18bの位置に局所的に設けても良いし、ユニットバス15の設置に必要な範囲のみに部分的に設けても良いし、床小梁12,13のほぼ全長に亘って(全体的に)設けても良い。
【0051】
ガイド部材24を床小梁12,13のほぼ全長に亘って設ける場合には、ガイド部材24は、各床小梁12,13に沿ってそれぞれ個別に延びる狭幅の帯状の部材としても良い。また、ガイド部材24は、複数の床小梁12,13間に跨がる広さの1枚または複数枚の広幅の部材としても良い。
【0052】
ガイド部材24を個別の帯状にした場合、ガイド部材24は、床小梁12,13と同じ幅にしても良いし、床小梁12,13とは異なる幅(若干広い幅、または、若干狭い幅)にしても良い。また、ガイド部材24は、ユニットバス15のスライド挿入後に、撤去しても良いし、スペーサとしてそのまま残しても良い。
【0053】
補助根太22は、床大梁6と、隣接する床小梁13(の床大梁6と対向する側面13c)との間に水平かつ面直に介在設置される木製の補剛部材である。補助根太22は、木材や、合成木材、木材に擬した樹脂材などを広く含む。なお、補助根太22は、金属製としても良い。ただし、補助根太22を金属製とした場合には、補助根太22の形状や構造や取付け方が、木製の場合とは若干異なるので、補助根太22は木製とするのが好ましい。
【0054】
建築基準法の簡便式によると、補助根太22を設けない場合、例えば、床大梁6の曲げ許容応力度fbは、60N/mm2となる。これに対し、床大梁6の端部から900mm離れた位置に補助根太22を設けると、床大梁6の曲げ許容応力度fbは、158N/mm2に向上する。また、床大梁6の端部から612mm離れた位置に補助根太22を設けると、床大梁6の曲げ許容応力度fbは、235N/mm2に向上する。
【0055】
よって、補助根太22を設けると、床大梁6に対する必要な補剛効果が得られるのが確認された。また、補助根太22の設置間隔を小さくすると、補剛効果が向上されるのも確認された。そして、補助根太22の設置本数を増やしても補剛効果は向上される。この実施例の場合、図3Aは補助根太22を2本、図3Bは補助根太22を3本使用している。
【0056】
なお、上記した建築基準法の簡便式は、fb=89000/(lbh/Af)である。
fb:長期曲げ許容応力度(N/mm2
lb:圧縮フランジの支点間距離(mm)
h:曲げ材のせい(mm)
Af:圧縮フランジの断面積(mm2
【0057】
ほぼ高さ範囲23内に納まるとは、床小梁13の上面13aと下面13bとの間に、補助根太22の端部22aの上面26と下面25とがほぼ入ることである。補助根太22は、下面25の位置が、床大梁6の下面6bの位置と同じかそれよりも若干高くなるように設置される。補助根太22は、上面26の位置が、床大梁6の上面6aの位置と同じかそれよりも若干低くなるように設置される。
【0058】
補助根太22の床小梁13側の端部22aは、床小梁13の側面13cに対し、直接または間接的に突き当てられる。この状態で、補助根太22は、床小梁13の側面13cに突き当てられた部分が、必要に応じて、弾性接着剤などの接着剤27によって、床小梁13の側面13cに接着固定される。更に、補助根太22は、床小梁13の側面13cに突き当てられた部分が、ドリリングタッピンネジなどの固定部材28によって、床小梁13の側面13cに横方向に固定される。なお、接着剤27については、状況によっては、施工しない場合があっても良いが、施工するのが好ましい。この実施例では、接着剤27を施工している。補助根太22の端部22aの、床小梁13の側面13cへの取付けの詳細については、後述する。
【0059】
補助根太22は、床大梁6側の端部22bが、床大梁6の高さ範囲21内にほぼ納まると共に、床大梁6の側面6cにほぼ突当てられた状態で床大梁6に固定される。補助根太22の床大梁6側の端部22bは、床大梁6の下面6bを形成する下フランジの上に載置保持されると共に、床大梁6の側面6cを形成するウェブ部の内面に対し、直接または所要の厚みのスペーサ板29を介して間接的に突き当てられる。スペーサ板29は、補助根太22と、床大梁6および床小梁13との間の遊びをなくす部材である。遊びがない状態で補助根太22を設置することより、床大梁6から床小梁13へと力が伝達される。
【0060】
この状態で、補助根太22は、床大梁6側の端部22bにおける、下フランジの上に載置保持された下面25の部分が、必要に応じて、弾性接着剤などの接着剤27によって、床大梁6の下フランジの上に接着固定される。更に、補助根太22は、床大梁6の端部22bにおける、床大梁6の側面6cに直接または間接的に突き当てた部分が、ドリリングタッピンネジなどの固定部材28によってスペーサ板29ごと、床大梁6の側面6cに横方向に固定される。なお、接着剤27については、状況によっては、施工しない場合があっても良いが、施工するのが好ましい。この実施例では、接着剤27を施工している。
【0061】
補助根太22は、床大梁6側の端部22bが、基本的には上下方向の寸法が細くなるように形成される。厚み方向の寸法については、補助根太22の床大梁6側の端部22bは、細くする必要がなく、この実施例では、補助根太22は、全長に亘って均一の厚みとされている。補助根太22は、床小梁13の高さ範囲23内にほぼ納まるのであれば、床大梁6側の細くなった端部22bは、どのような形状にしても良い、補助根太22の具体的な形状については、後述する。
【0062】
(2)上記において、図7に示すように、
補助根太22は、床小梁13側の端部22aに、床小梁13の高さ範囲23内で床小梁13の側面13cに沿って補助根太22の両側へ張出す取付用木片31を(一体に)有しても良い。
【0063】
ここで、ほぼ高さ範囲23内とは、床小梁13の上面13aと下面13bの間に、取付用木片31の上面31aと下面31bとがほぼ納まることである。取付用木片31は、床小梁13の長手方向と平行な方向へ延びる木製の部材である。取付用木片31は、木材や、合成木材、木材に擬した樹脂材などを広く含む。ただし、取付用木片31は、金属製としても良い。この場合、取付用木片31の部品名は、取付用金属片、または、取付片となる。
【0064】
取付用木片31は、矩形断面を有して床小梁13の長手方向へ均一に延びる横長の部材とされる。取付用木片31は、補助根太22の床小梁13側の端部22aに予め取付けられて、補助根太22と一体の部材として使用される。取付用木片31の補助根太22に対する取付けは、少なくとも、補助根太22を床大梁6と床小梁13との間に設置するよりも前までに行われる。取付用木片31が一体に取付けられた補助根太22は、平面視ほぼT字状の補強材となる。
【0065】
取付用木片31は、補助根太22の床小梁13側の端部22aに当接した状態で、ドリリングタッピンネジなどの固定部材32によって補助根太22の長手方向に固定される。これにより、補助根太22は、床小梁13への取付けを取付用木片31によって行う部材となる。取付用木片31は、接着剤27によって当接面の全面を床小梁13の側面13cに接着固定され、固定部材28によって張出した両側の部分を床小梁13の側面13cに補助根太22の長手方向へ向けて横向きにネジ止め固定される。なお、接着剤27については上記と同様である。
【0066】
取付用木片31の補助根太22に対する両側への張出量は、必要な接着面積と、必要なネジ止め代とが得られる大きさにする。例えば、取付用木片31の両側への張出量は、それぞれ補助根太22の厚みと同じかそれよりも長い、ほぼ均等な長さにするのが好ましい。また、取付用木片31の厚み(補助根太22の長手方向の寸法)については、補助根太22や床小梁13への取付けに必要な強度が得られる寸法にする。例えば、取付用木片31の厚みは、補助根太22の厚みや取付用木片31の高さなどとほぼ等しくするのが好ましい。なお、取付用木片31と補助根太22とを合わせた長さは、床小梁13と床大梁6との間隔とほぼ等しくする。
【0067】
取付用木片31は、補助根太22の床小梁13側の端部22aとほぼ同じ高さに形成される。そして、取付用木片31は、上面31aが、床小梁13の上面13aおよび補助根太22の上面26と同じかそれよりも若干低くなるように設置される。取付用木片31は、下面31bが、床小梁13の下面13bおよび補助根太22の下面25と同じかそれよりも若干高くなるように設置される。
【0068】
(3)上記において、補助根太22は、側方から見たときに、下面25が直線状とされると共に、上面26が段付形状とされて、床大梁6の高さ範囲21内に縦向きに設置されても良い。
補助根太22の床小梁13側の端部22aは、少なくともユニットバス15の底部18と重複する部分の上面26が、床大梁6側の端部22bよりも低くなって、床小梁13の上面13a以下の高さとされても良い。
【0069】
ここで、下面25が直線状とは、補助根太22を設置した状態で、側方から見たときに、補助根太22の下面25がほぼ水平状態になっていることである。上面26が段付形状とは、補助根太22を設置した状態で、側方から見たときに、補助根太22の上面26が段を有する形状になっていることである。
【0070】
補助根太22は、基本的に長方形断面の角材でできている。この補助根太22は、床大梁6のほぼ高さ範囲21内の下寄りの位置に設置される。ほぼ高さ範囲21内とは、床大梁6の上面6aと下面6bの間に、補助根太22の上面26と下面25とがほぼ納まることである。縦向きとは、補助根太22が、角材の長方形断面を構成する長辺を上下方向に向けた状態(縦向き姿勢)で設置されていることである。
【0071】
補助根太22の段付形状の上面26は、床大梁6側が高い段上面26a、床小梁13側が低い段下面26bとなっており、段上面26aと段下面26bの間には段差部26cを有している。段下面26bおよび段差部26cは、補助根太22の床小梁13側の端部22aの上面26を切欠いて形成される。
【0072】
段上面26aは、ユニットバス15のどの部分とも干渉しない高さに形成される。段上面26aは、床小梁13の上面13aより高く、かつ、床大梁6の上面6aより低い一定の高さとなっている。段下面26bは、床小梁13の上面13aとほぼ等しい一定の高さ(上面13aと同じかそれよりも僅かに低い高さ)となっている。補助根太22の床小梁13側の端部22aは、段下面26bによって形成されており、この段下面26bにほぼ面一に連なるように、取付用木片31が一体的に取付けられている。これにより、補助根太22は、床大梁6側の端部22b、取付用木片31および段下面26bを設けた部分の全域が、床大梁6の高さ範囲21内にほぼ納まる。補助根太22の強度的には、段下面26bを設ける長手方向の範囲は、可能な限り小さくするのが好ましい、そのため、段下面26bは、ユニットバス15の底部18やガイド部材24と干渉しない最低限の長さにする。
【0073】
段差部26cは、段上面26aと段下面26bとの間に設けられる高低差部分である。段差部26cの位置によって、段上面26aと段下面26bの長さの割合が決められる。段差部26cは、垂直段差としても良いし、傾斜段差としても良いが、この実施例では、垂直段差としている。
【0074】
段差部26cは、床大梁6の横補剛には直接関係のない部位となるので、補助根太22の上面26における(補助根太22の)長手方向のどの位置に設けても良い。例えば、段差部26cは、長手方向の中央よりも床大梁6寄りの位置に設けても良い。しかし、段差部26cは、補助根太22の長手方向の中央よりも床小梁11寄りの位置に設けるのが好ましい。例えば、段差部26cは、ユニットバス15をスライド挿入する際に、ユニットバス15の底部18、または、床小梁13の上面13aに設置されるガイド部材24の幅端部と重複しないギリギリの位置またはその周辺の位置に形成するのが、より好ましい。これにより、段下面26bは、その長さを最小限に抑えられる。
【0075】
具体的には、例えば、ガイド部材24の幅端部が段差部26cに直接当接係止されるように、段差部26cは、ガイド部材24の幅端部の位置に設けても良い。そして、段差部26cに幅端部が当たるようにガイド部材24をセットする。このようにした場合には、段差部26cは、ガイド部材24に対する位置決め部となって、ガイド部材24の横方向の位置決めを行う。同時に、段差部26cは、係止保持部となって、ガイド部材24を横方向に係止保持する。
【0076】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0077】
工場にて建物ユニット1を製造する。建物ユニット1は、工場に設置された製造設備でユニットフレーム3を製造する工程から製造が開始される。製造設備における、ユニットフレーム3の製造手順には、様々なやりかたが考えられるが、例えば、天井枠7と床枠8とを先に作ってから、これらを柱4で連結するようにしても良い。
【0078】
床枠8は、例えば、長辺を構成する平行な一対の長い床大梁6の間を床小梁11~13で連結して作られる。床大梁6に対する床小梁11~13の取付けは、床小梁11~13の端部のスチフナ14を床大梁6に溶接して行われる。溶接は、製造設備に備えられた溶接装置によって一律に行われる。そのため、床小梁11~13の形状や構成が異なっていても、同じ工程で連続して取付けができる。
【0079】
この際、ユニットフレーム3が、その床枠8に、下側へ飛び出す部材や部位が有ると、製造設備を使った建物ユニット1の製造ができなくなるので、床小梁11~13などは、床枠8(床大梁6の下面6b)よりも下側に飛び出さないようにする。なお、ユニットフレーム3の製造は、上記以外の手順で行っても良い。
【0080】
そして、完成したユニットフレーム3に対し、後工程で、予め組み立てられて完成状態となっているユニットバス15を設置する。ユニットフレーム3に対するユニットバス15の設置は、ユニットバス15を床小梁12,13の長手方向に沿って人力で横にスライドさせる(スライド挿入)。このようにすることで、建物ユニット1内の床小梁12,13の上にユニットバス15が挿入設置され、ユニットフレーム3内でのユニットバス15の組立工程などが省略できる。
【0081】
なお、ユニットバス15は、少なくとも建物ユニット1に設置する前までに完成しておく。ユニットバス15の組立ては、ユニットバス15のメーカーの製造工場で行うのが好ましい。ただし、ユニットバス15の組立ては、建物ユニット1の製造工場内で行っても良い。
【0082】
ユニットバス15の床小梁12,13の上へのスライド挿入には、ガイド部材24を使用することができる。この際、床小梁12,13の上面12a,13aは、全域に亘って凹凸部のない平坦面となっている。そのため、例えば、ガイド部材24は、上面12a,13aの全域に亘る大きさに形成して、上面12a,13a全体の上にガイド部材24を取付けてから、ガイド部材24の上でユニットバス15をスライドさせるようにしても良い。また例えば、ガイド部材24は、ユニットバス15の底部18に部分的に取付けて、床小梁12,13の平坦な上面12a,13aの上でガイド部材24ごとユニットバス15をスライドさせるようにしても良い。これらにより、ユニットバス15を持ち上げることなく、ユニットフレーム3内に容易にユニットバス15が設置される。
【0083】
ユニットバス15は、バリアフリー化のために、入口16を居室床17の高さに揃えて設置するのが望ましい。ユニットバス15の入口16は、ユニットバス15の底部18よりも高い位置にあるので、ユニットバス15の下に位置する床小梁12,13は、上面12a,13aの高さを抑えると共に、下面12b,13bが床大梁6の下面6bよりも低くならないようにする。そのために、床小梁12,13は、床大梁6の高さ範囲21内の下寄りの位置に横向きにして設置する。
【0084】
また、床大梁6と隣接する床小梁13との間に、床大梁6を横補剛する補助根太22を設置する。補助根太22は、木製の部材を使用する。木製の補助根太22は、安価であり、床小梁12,13のような溶接作業が必要ないので、取付けが簡単である。
【0085】
この際、例えば、図8図9)の比較例に示すように、上面26Aが直線状とされると共に、下面25Aが段付形状とされた補助根太22Aを用いたとする。この補助根太22Aは、床小梁13側の端部22aの下面25Aに切欠きによる段差部25Bを有している。この段差部25Bは、補助根太22Aの下面25Aにおける、床小梁13側の端部22aを、床大梁6側の端部22bよりも高くした形状である。そのため、補助根太22Aの床小梁13側の端部22aは、段差部25Bによって、下面25Aの位置が床大梁6側の端部22bよりも高くなる。
【0086】
この場合、補助根太22Aは、床小梁13側の端部22aの下面25Aに形成した段差部25Bを、床小梁13の上面13aの上に載置するように設置する。そして、補助根太22Aは、段差部25Bを使って、端部22aを、床小梁13に対し上下方向と補助根太22Aの長手方向との二方向に係止保持させる。補助根太22Aは、段差部25Bの、床小梁13の側面13cに対する横方向の当接係止によって、床大梁6の横補剛を行う。
【0087】
この状態で、補助根太22Aは、段差部25Bを、床小梁13の上面13aと側面13cに、接着剤27で接着固定する。更に、段差部25Bを上側から固定部材28で床小梁13の上面13aに下向きに固定する。
【0088】
しかし、このような、下面25Aに段差部25Bを有する補助根太22Aを用いた場合、床小梁13の上に、補助根太22Aの端部22a(の段差部25Bの部分)が乗るので、床小梁13の上面13aに補助根太22Aの端部22aによって凹凸部分ができてしまう。すると、ユニットバス15を、床小梁12,13の長手方向に沿って人力でスライドさせながら挿入設置しようとした際に、上記した凹凸部分の位置でユニットバス15の底部18が引っかかって止まってしまう。そのため、ユニットバス15は、持ち上げて凹凸部分を乗り越えさせなければならない。ユニットバス15を持ち上げるのは人力ではできないため、ユニットバス15の設置には、クレーンのような大型の設備が別途必要になる。
【0089】
また、ユニットバス15をスライド挿入する際に使用するガイド部材24も、凹凸部分の手前側までしか設置できなくなる。そのため、ガイド部材24は、必要な位置に設置できなくなり、ガイド部材24をスライド挿入の際にうまく活用できなくなる。そして、ガイド部材24を必要な位置に設置できないため、ユニットバス15の底部18と、床小梁13の上面13aとの擦れも防止できない。
【0090】
よって、比較例の補助根太22Aを使うと、完成状態のユニットバス15を、人力でスライドさせながらユニットフレーム3内に挿入設置するのは不可能となり、クレーンでの取付けに限られる。そのため、比較例の補助根太22Aに代わる補助根太22が必要になる。
【0091】
そこで、この実施例では、上記のような構成にした。これにより、建物ユニット1は、ユニットバス15を設置する床部分や補助根太22の構造が最も単純になる。また、建物ユニット1は、工場内で、内部に、完成状態のユニットバス15を人力でスライドさせて設置できるようになる。しかも、建物ユニット1は、ユニットバス15の設置に必要な設備や手間も削減される。
【0092】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果が得られる。
【0093】
(効果 1)建物ユニット1では、ユニットバス15の下に設置される床小梁12,13および補助根太22は、床大梁6の高さ範囲21内に設けても良い。これにより、床小梁12,13および補助根太22は、床大梁6(の下面6b)よりも下側へ飛び出さないように設置されるので、建物ユニット1の製造設備上の制限を回避できる。よって、ユニットバス15を設置する建物ユニット1は、工場で支障なく製造可能な構造になる。
【0094】
また、ユニットバス15の下に設置される床小梁12,13は、床大梁6の高さ範囲21内の下寄りの位置に横向きに配置しても良い。これにより、床小梁13の上面13aの位置が十分に低くなるので、ユニットバス15を入口16が居室床17の高さに揃うように建物ユニット1に設置できる。よって、浴室のバリアフリー化が得られる。
【0095】
床大梁6と、隣接する横向きの床小梁13との間に、補助根太22を設置して床大梁6の横補剛を行っても良い。これにより、床大梁6の許容曲げ応力度の低減を防止できる。そのため、床大梁6の断面性能をフルに発揮させられるので、床大梁6は、鉄厚を通常より厚くせずに、経済的な設計にできる。
【0096】
この際、(床大梁6と隣接する)床小梁13を、横向きに配置すると、床小梁13の強軸(断面を構成する長辺の向き)が水平方向になるため、床小梁13は、経済的な鉄厚で補助根太22からの力を受けられる。よって、床小梁13は、鉄厚を通常より厚くしなくても良くなる。
【0097】
そして、上記により、補助根太22は、木製であっても、互いに隣接している床大梁6および床小梁13間の横補剛に有効に使用できる。また、上記した木製の補助根太22は、構造が簡単であり、経済的で、補助根太22のコストや取付けの手間などを削減できるので、金属製の部材とした場合と比べて有利である。
【0098】
また、補助根太22は、床小梁13側の端部22aを床大梁6側の端部22bよりも細くして、床小梁13の側面13cに側方から突当て固定しても良い。これにより、補助根太22を床小梁13に取付けたときに、補助根太22の端部22aが床小梁13の上面13aの上に乗らなくなるので、補助根太22の設置後も、床小梁13の上面13aは全域に亘ってフラットな状態に保たれる。よって、製造中の建物ユニット1の内部に対して、予め組立てが済んだほぼ完成状態のユニットバス15を、人力で、大きな衝撃を与えずにスムーズにスライド挿入するための構造的な条件が達成される。
【0099】
そのため、ユニットバス15は、スライド挿入の際に持上げる必要がなくなり、ユニットバス15を持上げるための、クレーンのような大型の設備が不要になる。そのため、建物ユニット1は、工場内で、内部に、完成したユニットバス15を人力でスライドさせて簡単に設置できる。建物ユニット1は、最も単純な部材や構成でユニットバス15のスライド挿入を実現できる。
【0100】
また、上記により、補助根太22は、端部22aが床小梁13の上面13aに乗らなくなるので、床小梁13と床大梁6との間における(床小梁13または床大梁6の)長手方向に対する取付位置も自由になる。よって、最も補剛効果の高い位置に効果的に補助根太22を設置することができる。
【0101】
(効果 2)建物ユニット1では、補助根太22は、床小梁13側の端部22aに、床小梁13の高さ範囲23内で床小梁13の側面13cに沿って補助根太22の両側へ張出す取付用木片31を(一体に)有しても良い。これにより、取付用木片31は、床小梁13に対する取付部となる。そのため、補助根太22は、床小梁13の高さ範囲23内にほぼ納まった状態で、床小梁13の側面13cに対し、取付用木片31によって、容易に、また、強固かつ確実に取付けできる。
【0102】
(効果 3)建物ユニット1では、補助根太22は、側方から見たときに、下面25が直線状とされると共に、上面26が段付形状とされて、床大梁6の高さ範囲21内に縦向きに設置されても良い。これにより、床小梁13側が細くなった補助根太22の具体的な最適形状が得られる。
【0103】
例えば、補助根太22は、その下面25を直線状にした。そのため、床小梁13は、床大梁6の高さ範囲21内で最も低い位置に設置できる。
【0104】
補助根太22を縦向きに設置した。そのため、補助根太22は、床大梁6側の端部22bの断面を床大梁6の高さ範囲21内で、より大きくできる。そして、補助根太22は、上下方向に強度の高い部材となる。よって、補助根太22の上面26を段付形状にしても、補助根太22は、床大梁6や床小梁13を効率的に横補剛できる。
【0105】
補助根太22は、その上面26を、(床小梁13側が低くなり、床大梁6側が高くなる)段付形状とした。そのため、補助根太22は、床小梁13側の細くした端部22aを、床小梁13の高さ範囲23内にほぼ納まるように床小梁13の側面13cに横方向に当接固定できる。よって、ユニットバス15を床小梁13に沿ってスライド挿入する際に、補助根太22がスライド挿入の邪魔にならないようにできる。そのため、補助根太22は、上記した横補剛とスライド挿入の両方に適した部材となる。
【0106】
そして、補助根太22の床小梁13側の端部22aは、上面26の、少なくともユニットバス15の底部18などと重複する部分を、床大梁6側の端部22bよりも低くして、床小梁13の上面13a以下の高さ(の段下面26b)にしても良い。これにより、ユニットバス15の底部18(の脚部18aや突状部18b、底部18の下に設置されたガイド24aなど)と補助根太22の上面26との干渉をなくすことができる。また、補助根太22の床小梁13側の端部22aにおける、上面26を低くする部分(段下面26b)の大きさが最小限に抑えられれば、補助根太22の上面26を段付形状としても、補助根太22の剛性の低下を抑制できる。
【符号の説明】
【0107】
1 建物ユニット
6 床大梁
8 床枠
11 床小梁
12 床小梁
13 床小梁
13a 上面
13c 側面
15 ユニットバス
17 居室床
18 (ユニットバスの)底部
21 (床大梁の)高さ範囲
22 補助根太
22a 端部
22b 端部
23 (床小梁の)高さ範囲
25 (補助根太の)下面
26 (補助根太の)上面
31 取付用木片
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9