(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162863
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】ナースコールシステムおよびこれに用いるナースコール子機
(51)【国際特許分類】
A61G 12/00 20060101AFI20221018BHJP
【FI】
A61G12/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067906
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】591253593
【氏名又は名称】株式会社ケアコム
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】相川 修一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 薫
(72)【発明者】
【氏名】松本 知之
【テーマコード(参考)】
4C341
【Fターム(参考)】
4C341LL10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】感染症拡大の抑制のために使い捨てとするナースコール子機の製造コストを低減する。
【解決手段】1人の患者が専用するための専用ナースコール子機1と、専用ナースコール子機1と壁埋込形子機3との間に接続される中継機器2とを備え、専用ナースコール子機1は、中継機器2に接続するための汎用プラグ14を備え、中継機器2は、壁埋込形子機3に接続するためのプラグ24と、汎用プラグ14が接続される汎用ジャック26とを備え、専用ナースコール子機1を、汎用プラグ14を介して複数タイプの中継機器2に接続可能な構成とすることにより、壁埋込形子機3のタイプに合わせて異なる構成の専用ナースコール子機1を用意する必要をなくす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1人の患者が専用するための専用ナースコール子機と、
上記専用ナースコール子機と壁埋込形子機との間に接続される中継機器とを備え、
上記専用ナースコール子機は、
上記中継機器に接続するための汎用プラグと、
上記患者の操作によって呼出信号を発生させるための呼出ボタンとを備え、
上記中継機器は、
上記壁埋込形子機に接続するためのプラグと、
上記専用ナースコール子機の上記汎用プラグが接続される汎用ジャックとを備え、
上記専用ナースコール子機は、上記汎用プラグを介して、複数タイプの上記中継機器に接続することが可能に構成されていることを特徴とするナースコールシステム。
【請求項2】
上記専用ナースコール子機の上記汎用プラグは、1芯のピンプラグであることを特徴とする請求項1に記載のナースコールシステム。
【請求項3】
上記複数タイプの中継機器が備える上記プラグは、当該複数タイプの中継機器によって異なるタイプのプラグであることを特徴とする請求項1または2に記載のナースコールシステム。
【請求項4】
上記複数タイプの中継機器は、複数の患者で共用し得る共用ナースコール子機を含むことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のナースコールシステム。
【請求項5】
上記複数タイプの中継機器は、一端に上記プラグが形成され、他端に上記汎用ジャックが形成された接続コードを含むことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載のナースコールシステム。
【請求項6】
上記専用ナースコール子機は、上記共用ナースコール子機が上記専用ナースコール子機の脱落を検出することを可能にするための回路構成を含むことを特徴とする請求項4に記載のナースコールシステム。
【請求項7】
上記専用ナースコール子機は、上記壁埋込形子機が上記専用ナースコール子機または上記接続コードの脱落を検出することを可能にするための回路構成を含むことを特徴とする請求項5に記載のナースコールシステム。
【請求項8】
上記汎用ジャックは、上記専用ナースコール子機が上記共用ナースコール子機から脱落したときに上記共用ナースコール子機から呼出信号が出力されるようにするための回路構成を含むことを特徴とする請求項4に記載のナースコールシステム。
【請求項9】
上記汎用ジャックは、上記専用ナースコール子機が上記接続コードから脱落したときに上記壁埋込形子機から呼出信号が出力されるようにするための回路構成を含むことを特徴とする請求項5または7に記載のナースコールシステム。
【請求項10】
1人の患者が専用するためのナースコール子機であって、
壁埋込形子機に接続される複数タイプの中継機器が備える汎用ジャックに接続するための汎用プラグと、
上記患者の操作によって呼出信号を発生させるための呼出ボタンとを備え、
上記汎用プラグを介して上記複数タイプの中継機器に接続することが可能に構成されていることを特徴とするナースコール子機。
【請求項11】
上記汎用プラグは、1芯のピンプラグであることを特徴とする請求項10に記載のナースコール子機。
【請求項12】
複数の患者で共用し得るナースコール子機であって、
壁埋込形子機に接続するためのプラグであって、上記壁埋込形子機が備える接続端子のタイプに合わせて構成されたプラグと、
1人の患者が専用する専用ナースコール子機の汎用プラグが接続される汎用ジャックと、
上記患者の操作によって呼出信号を発生させるための呼出ボタンとを備えた
ことを特徴とするナースコール子機。
【請求項13】
上記汎用ジャックは、1芯のピンプラグが接続されるものであることを特徴とする請求項12に記載のナースコール子機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者が呼出ボタンの押下によって看護師を呼び出すためのナースコールシステムおよびこれに用いるナースコール子機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、感染症の拡大の抑制を支援するナースコールシステムが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。特許文献1に記載のナースコールシステムが備えるナースコール親機は、大型モニタおよび小型モニタを備え、所在を追跡したい対象患者および追跡の対象時期の設定により、対象時期以降の対象患者の所在および対象時期以降の対象患者と同部屋の患者である関連患者の所在を大型モニタに表示させることにより、感染症の拡大を抑制するための処置を医療従事者が迅速かつ有効に行うことを支援する。
【0003】
特許文献2に記載のナースコールシステムでは、ベッド移動履歴をナースコール親機のモニタ画面上に表示するトレース機能を備えたナースコールシステムにおいて、指定された患者の病棟内位置を他の区域と区別して強調表示することで、感染症患者等の所在を容易に確認できるようにする。
【0004】
上記特許文献1,2に記載のナースコールシステムによれば、感染症患者および当該感染症患者と接触した可能性のある他の患者の所在を確認して、それらの患者に対して必要な処置を行うことにより、感染症拡大の抑制を図ることが可能である。しかしながら、特許文献1,2に記載のナースコールシステムを利用しても、感染症患者および関連患者の所在を確認しての後追い対策ができるに過ぎず、患者が感染すること自体を防げるものではない。
【0005】
一方、感染を防ぐための方法として、石鹸と流水による手洗いやアルコール消毒薬による手指消毒といった手指衛生の励行が推奨されている。また、複数の患者が使うベッドや備品、ナースコール子機などを定期的に消毒することも推奨されている。これを更に発展させて、複数の患者で同じナースコール子機を使い回すことがないように、基本的にナースコール子機を使い捨てとし、患者ごとに新品のナースコール子機を使用するようにすることが考えられる。ただし、ナースコール子機を使い捨てとする場合、いかに製造コストを低減できるかが実現上の大きな課題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-189910号公報
【特許文献2】特開2017-176630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、使い捨てとするナースコール子機の製造コストを低減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明のナースコールシステムは、1人の患者が専用するための専用ナースコール子機と、専用ナースコール子機と壁埋込形子機との間に接続される中継機器とを備えて構成される。専用ナースコール子機は、中継機器に接続するための汎用プラグを備え、中継機器は、壁埋込形子機に接続するためのプラグと、汎用プラグが接続される汎用ジャックとを備え、専用ナースコール子機を、汎用プラグを介して複数タイプの中継機器に接続可能に構成している。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した本発明によれば、専用ナースコール子機を壁埋込形子機に直接接続するのではなく、中継機器を介して接続するようになされ、中継機器に対する専用ナースコール子機の接続は、専用ナースコール子機の汎用プラグと中継機器のジャックを介して行われる。これにより、壁埋込形子機のタイプに合わせて異なる構成の専用ナースコール子機を用意する必要がなく、壁埋込形子機のタイプに合わせて接続される複数タイプの中継機器のどれに対しても汎用プラグを利用して共通に接続可能な構成の専用ナースコール子機を1つ用意すればよい。このため、同じタイプの専用ナースコール子機だけ製造すればよく、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態によるナースコールシステムの全体構成例を示す図である。
【
図2】第1タイプの中継機器(第1の共用ナースコール子機)の構成例を示す図である。
【
図3】第1の共用ナースコール子機および専用ナースコール子機の回路構成を簡略的に示す図である。
【
図4】第2タイプの中継機器(第2の共用ナースコール子機)の構成例を示す図である。
【
図5】第2の共用ナースコール子機および専用ナースコール子機の回路構成を簡略的に示す図である。
【
図6】第3タイプの中継機器(第1の接続コード)の構成例を示す図である。
【
図7】第1の接続コードおよび専用ナースコール子機の回路構成を簡略的に示す図である。
【
図8】第4タイプの中継機器(第2の接続コード)の構成例を示す図である。
【
図9】第2の接続コードおよび専用ナースコール子機の回路構成を簡略的に示す図である。
【
図10】第5タイプの中継機器(第3の接続コード)の構成例を示す図である。
【
図11】第3の接続コードおよび専用ナースコール子機の回路構成を簡略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態によるナースコールシステムの全体構成例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のナースコールシステムは、専用ナースコール子機1、中継機器2、壁埋込形子機3、廊下灯4、制御機5およびナースコール親機6を備えて構成される。専用ナースコール子機1については、
図1に外形も示しており、(a)は正面図、(b)は側面図を示している。
【0012】
専用ナースコール子機1は、他者への感染を防ぐために1人の患者が専用するためのナースコール子機であり、1人の患者が退院等により使い終えた場合に廃棄される使い捨てタイプのものである。1人の患者の使用期間が所定日数に達した場合に新品と交換するようにしてもよい。使い捨てされる専用ナースコール子機1の製造コストを低減するために、いくつかの工夫がなされている。
【0013】
まず、専用ナースコール子機1の本体11を樹脂ではなく厚手の紙で製造している。紙に剛性を持たせるために、紙全体を高強度に硬化させた硬化紙を用いるのが好ましい。また、専用ナースコール子機1は、患者の操作によって呼出信号を発生させるための呼出ボタン12を1つのみ備えている。また、専用ナースコール子機1は、中継機器2に接続するためのコード13および汎用プラグ14を備えている。専用ナースコール子機1は、通話を行うための構成(マイク、スピーカ、音声処理回路など)は備えていない。以上のように、原価の安い紙の材料を使って本体11を構成するとともに、患者が看護師を呼び出すために必要最小限の構成のみを備えることで、専用ナースコール子機1の製造コストを可能な限り低く抑えるようにしている。
【0014】
専用ナースコール子機1が備える汎用プラグ14の「汎用」とは、複数タイプの中継機器2に共通に接続することが可能ということである。すなわち、本実施形態の専用ナースコール子機1は、汎用プラグ14を介して、複数タイプの中継機器2に接続することが可能に構成されている。本実施形態では、汎用プラグ14にかかるコストも低減することを目的として、構成がシンプルな1芯の3極ピンプラグを用いている。
【0015】
後述するように、複数タイプの中継機器2は、例えば、呼出機能を有するナースコール子機、呼出機能を有しない中継コードなどである。タイプごとの中継機器2については詳細を後述するが、何れも複数の患者により共用される。中継機器2は、何れのタイプにおいても、専用ナースコール子機1の汎用プラグ14が接続される汎用ジャック26と、壁埋込形子機3に接続するためのプラグ24とを少なくとも備えている。これにより、中継機器2は、専用ナースコール子機1と壁埋込形子機3との間に接続される。
【0016】
壁埋込形子機3は、病室の各ベッドサイドの壁に埋め込み設置される。この壁埋込形子機3は、中継機器2が接続される接続端子を備えている。壁埋込形子機3が備える接続端子には複数のタイプが存在する。詳細を後述するように、中継機器2のプラグ24は、壁埋込形子機3が備える接続端子のタイプに合わせて構成された異なるタイプが存在する。すなわち、複数タイプの中継機器2が備えるプラグ24は、当該複数タイプの中継機器2によって異なるタイプのプラグとなっている。なお、壁埋込形子機3には、患者の操作によって呼出信号を発生させるための呼出ボタンを備えるタイプと、呼出ボタンを備えないタイプとが存在する。
【0017】
廊下灯4は、病院の各病室の入口付近外部に設置され、壁埋込形子機3に接続されている。廊下灯4は、専用ナースコール子機1から中継機器2および壁埋込形子機3を介して送信された呼出信号を、制御機5を介してナースコール親機6に転送する。なお、中継機器2としてナースコール子機を用いている場合や壁埋込形子機3が呼出ボタンを備えている場合、当該ナースコール子機や壁埋込形子機3が備える呼出ボタンを操作することによって呼び出しを行うことも可能である。ただし、患者間での感染拡大を防止するため、中継機器2としてのナースコール子機や壁埋込形子機3の呼出ボタンは極力操作しないようにするのが好ましい。
【0018】
制御機5は、廊下灯4とナースコール親機6との間に配置され、通話やデータの送受信に関する制御を行う。ナースコール親機6は、患者(専用ナースコール子機1、中継機器2として用いるナースコール子機または壁埋込形子機3)からの呼び出しに対する応答の操作を行うためのものであり、例えばナースセンタに設置される。ナースコール親機6は、患者からの呼び出しを受けたとき、所定の報知処理を行う。
【0019】
以下に、複数タイプの中継機器2の詳細を説明する。
【0020】
<第1タイプ>
図2は、第1タイプの中継機器2の構成例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図を示している。第1タイプの中継機器2は、複数の患者で共用し得る第1の共用ナースコール子機2Aである。第1の共用ナースコール子機2Aは、樹脂製の本体21A、呼出ボタン22A、コード23A、プラグ24A、コード25A、汎用ジャック26A、スピーカ27Aおよびマイク(図示せず)を備えている。
【0021】
プラグ24Aは、壁埋込形子機3の接続端子に接続される6ピンの樹脂コンセントプラグである。汎用ジャック26Aは、専用ナースコール子機1の汎用プラグ14が接続される3極のステレオ式ジャックである。第1の共用ナースコール子機2Aは、汎用ジャック26Aから専用ナースコール子機1が外れたことを検知して脱落呼出信号(一般呼出信号とは異なる)を出力する機能を有している。第1の共用ナースコール子機2Aは、汎用ジャック26Aから専用ナースコール子機1が外れたことを検知すると脱落呼出信号を出力し、専用ナースコール子機1が汎用ジャック26Aに接続されたことを検知すると脱落呼出信号の出力を停止する。
【0022】
図3は、第1の共用ナースコール子機2Aおよび専用ナースコール子機1の回路構成を簡略的に示す図である。
図3(a)は、第1の共用ナースコール子機2Aと専用ナースコール子機1とが接続された状態を示している。
図3(b)は、第1の共用ナースコール子機2Aから専用ナースコール子機1が脱落した状態(第1の共用ナースコール子機2Aの汎用ジャック26Aから専用ナースコール子機1の汎用プラグ14が外れた状態)を示している。なお、この
図3において、
図1および
図2に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付している。
【0023】
図3に示すように、第1の共用ナースコール子機2Aは、汎用ジャック26Aから専用ナースコール子機1が外れたことを検知して脱落呼出信号を出力する脱落検出部201を備えている。脱落検出部201は、第1の共用ナースコール子機2Aの端子Rと端子Tとの間に接続されている。一方、専用ナースコール子機1は、端子Rと端子Sとの間にスイッチ101を備えている。スイッチ101は、通常はオフとなっており、呼出ボタン12が押下されるとオンとなる。また、端子Rと端子Tとの間が短絡されている。この短絡部分が特許の請求の範囲の「共用ナースコール子機が専用ナースコール子機の脱落を検出することを可能にするための回路構成」に相当する。
【0024】
図3(a)のように、第1の共用ナースコール子機2Aと専用ナースコール子機1とが接続されている状態において、専用ナースコール子機1の呼出ボタン12が押下されると、スイッチ101がオンとなり、端子Rと端子Sとを経由する電流経路R11が導通することにより、一般呼出信号が専用ナースコール子機1から出力される。そして、この一般呼出信号が第1の共用ナースコール子機2Aを介して壁埋込形子機3に伝えられる。
【0025】
また、
図3(a)のように第1の共用ナースコール子機2Aと専用ナースコール子機1とが接続されている状態において、第1の共用ナースコール子機2Aの脱落検出部201は、専用ナースコール子機1の短絡部分を介する電流経路R12を通じて、端子Rと端子Tとの間が短絡されていることを検出している。一方、
図3(b)のように、汎用ジャック26Aから専用ナースコール子機1が外れると、脱落検出部201は、端子Rと端子Tとの間が開放されたことを検出し、脱落呼出信号を出力する。
【0026】
<第2タイプ>
図4は、第2タイプの中継機器2の構成例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図を示している。第2タイプの中継機器2は、複数の患者で共用し得る第2の共用ナースコール子機2Bである。第2の共用ナースコール子機2Bは、樹脂製の本体21B、呼出ボタン22B、コード23B、プラグ24B、コード25B、汎用ジャック26B、スピーカ27Bおよびマイク(図示せず)を備えている。
【0027】
プラグ24Bは、壁埋込形子機3の接続端子に接続される4ピンのメタルコンセントプラグである。汎用ジャック26Bは、専用ナースコール子機1の汎用プラグ14が接続される3極のステレオ式ジャックを備えるとともに、汎用ジャック26Bから専用ナースコール子機1が外れた場合に第2の共用ナースコール子機2Bから一般呼出信号を発生させるための回路構成を備えている。汎用ジャック26Bが備える3極のステレオ式ジャックの構成は、汎用ジャック26Aのそれと同じである。汎用ジャック26Aと汎用ジャック26Bとの違いは、専用ナースコール子機1が外れた場合に一般呼出信号を発生させるための回路構成を備えているか否かである。
【0028】
図5は、第2の共用ナースコール子機2Bおよび専用ナースコール子機1の回路構成を簡略的に示す図である。
図5(a)は、第2の共用ナースコール子機2bと専用ナースコール子機1とが接続された状態を示している。
図5(b)は、第2の共用ナースコール子機2Bから専用ナースコール子機1が脱落した状態(第2の共用ナースコール子機2Bの汎用ジャック26Bから専用ナースコール子機1の汎用プラグ14が外れた状態)を示している。なお、この
図5において、
図4に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付している。専用ナースコール子機1の回路構成は
図3と同じである。
【0029】
図5に示すように、第2の共用ナースコール子機2Bは、
図3に示す脱落検出部201を備えていない。第2の共用ナースコール子機2Bは、呼出ボタン22Bの押下に応じてオン/オフが切り替わるスイッチ202を備えている。なお、このスイッチ202は第1の共用ナースコール子機2Aも備えているが、
図3では図示を省略していた。汎用ジャック26Bは、端子R,S,Tの他に端子Wを備えている。このうち3つの端子S,T,Wにコード25Bの3つの配線が接続され、端子Rは配線が未接続の状態となっている。端子Wと端子Tとの間は、バネ等の弾性体の作用によって、汎用ジャック26Bに汎用プラグ14が挿入されたときには開放(非道通)となり、汎用ジャック26Bから汎用プラグ14が外れたときには短絡(道通)となる可動接点203が設けられている。この可動接点203が特許請求の範囲の「専用ナースコール子機が共用ナースコール子機から脱落したときに共用ナースコール子機から呼出信号が出力されるようにするための回路構成」に相当する。
【0030】
図5(a)のように、第2の共用ナースコール子機2Bと専用ナースコール子機1とが接続されている状態において、専用ナースコール子機1の呼出ボタン12が押下されると、スイッチ101がオンとなり、端子Tと端子Sとを経由する電流経路R13が導通することにより、一般呼出信号が専用ナースコール子機1から出力される。そして、この一般呼出信号が第2の共用ナースコール子機2Bを介して壁埋込形子機3に伝えられる。
【0031】
一方、
図5(b)のように、汎用ジャック26Bから専用ナースコール子機1が外れると、汎用ジャック26Bの中の端子Wと端子Tとの間の可動接点203を介して電流経路R14が形成され、第2の共用ナースコール子機2Bの呼出ボタン22Bの押下に応じて第2の共用ナースコール子機2Bのスイッチ202が閉じるのと等価な状態となる。これにより、第2の共用ナースコール子機2Bから一般呼出信号が出力される。
【0032】
<第3タイプ>
図6は、第3タイプの中継機器2の構成例を示す図である。なお、この
図6において、
図2に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付している。第3タイプの中継機器2は、コード25Aの一端にプラグ24Aが形成され、他端に汎用ジャック26Aが形成された第1の接続コード2Cである。第1の接続コード2Cが接続される壁埋込形子機3は脱落呼出の機能を有しており、汎用ジャック26Aから専用ナースコール子機1が外れると、そのことが壁埋込形子機3にて検知されて脱落呼出信号が出力される。
【0033】
図7は、第1の接続コード2Cおよび専用ナースコール子機1の回路構成を簡略的に示す図である。
図7(a)は、第1の接続コード2Cと専用ナースコール子機1とが接続された状態を示している。
図7(b)は、第1の接続コード2Cから専用ナースコール子機1が脱落した状態(第1の接続コード2Cの汎用ジャック26Aから専用ナースコール子機1の汎用プラグ14が外れた状態)を示している。なお、この
図7において、
図6に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付している。専用ナースコール子機1の回路構成は
図3と同じである。
【0034】
図7に示すように、壁埋込形子機3は、第1の接続コード2Cの汎用ジャック26Aから専用ナースコール子機1が外れたことを検知して脱落呼出信号を出力する脱落検出部301を備えている。脱落検出部301は、壁埋込形子機3の端子Rと端子Tとの間に接続されている。専用ナースコール子機1の短絡部分は、特許請求の範囲の「壁埋込形子機が専用ナースコール子機の脱落を検出することを可能にするための回路構成」として機能する。
【0035】
図7(a)のように、第1の接続コード2Cを介して壁埋込形子機3と専用ナースコール子機1とが接続されている状態において、専用ナースコール子機1の呼出ボタン12が押下されると、スイッチ101がオンとなり、端子Rと端子Sとを経由する電流経路R15が導通することにより、一般呼出信号が専用ナースコール子機1から出力される。そして、この一般呼出信号が第1の接続コード2Cを介して壁埋込形子機3に伝えられる。
【0036】
また、
図7(a)のように壁埋込形子機3と専用ナースコール子機1とが第1の接続コード2Cを介して接続されている状態において、壁埋込形子機3の脱落検出部301は、専用ナースコール子機1の短絡部分を介する電流経路R16を通じて、端子Rと端子Tとの間が短絡されていることを検出している。一方、
図7(b)のように、汎用ジャック26Aから専用ナースコール子機1が外れると、脱落検出部301は、端子Rと端子Tとの間が開放されたことを検出し、脱落呼出信号を出力する。
【0037】
<第4タイプ>
図8は、第4タイプの中継機器2の構成例を示す図である。なお、この
図8において、
図4に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付している。第4タイプの中継機器2は、コード25Bの一端にプラグ24Dが形成され、他端に汎用ジャック26Bが形成された第2の接続コード2Dである。プラグ24Dは、壁埋込形子機3の接続端子に接続される2ピンのメタルコンセントプラグである。
【0038】
図9は、第2の接続コード2Dおよび専用ナースコール子機1の回路構成を簡略的に示す図である。
図9(a)は、第2の接続コード2Dと専用ナースコール子機1とが接続された状態を示している。
図9(b)は、第2の接続コード2Dから専用ナースコール子機1が脱落した状態(第2の接続コード2Dの汎用ジャック26Bから専用ナースコール子機1の汎用プラグ14が外れた状態)を示している。なお、この
図9において、
図5および
図8に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付している。専用ナースコール子機1の回路構成は
図3と同じである。
【0039】
第2の接続コード2Dが接続される壁埋込形子機3は脱落呼出の機能を有しておらず、
図7に示した脱落検出部301は備えていない。一方、壁埋込形子機3は、壁埋込形子機3に備えられた呼出ボタン(図示せず)の押下に応じてオン/オフが切り替わるスイッチ302を備えている。可動接点203は、特許請求の範囲の「専用ナースコール子機が接続コードから脱落したときに壁埋込形子機から呼出信号が出力されるようにするための回路構成」として機能する。
【0040】
図9(a)のように、第2の接続コード2Dを介して壁埋込形子機3と専用ナースコール子機1とが接続されている状態において、専用ナースコール子機1の呼出ボタン12が押下されると、スイッチ101がオンとなり、端子Tと端子Sとを経由する電流経路R17が導通することにより、一般呼出信号が専用ナースコール子機1から出力される。そして、この一般呼出信号が第2の接続コード2Dを介して壁埋込形子機3に伝えられる。
【0041】
一方、
図9(b)のように、汎用ジャック26Bから専用ナースコール子機1が外れると、汎用ジャック26Bの中の端子Wと端子Tとの間の可動接点203を介して電流経路R18が形成され、壁埋込形子機3の呼出ボタン(図示せず)の押下に応じてスイッチ302が閉じるのと等価な状態となる。これにより、壁埋込形子機3から一般呼出信号が出力される。
【0042】
<第5タイプ>
図10は、第5タイプの中継機器2の構成例を示す図である。なお、この
図10において、
図4に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付している。第5タイプの中継機器2は、コード25Eの一端にプラグ24Eが形成され、他端に汎用ジャック26Bが形成された第3の接続コード2Eである。プラグ24Eは、壁埋込形子機3の接続端子に接続される3ピンのメタルコンセントプラグである。
【0043】
図11は、第3の接続コード2Eおよび専用ナースコール子機1の回路構成を簡略的に示す図である。
図11(a)は、第3の接続コード2Eと専用ナースコール子機1とが接続された状態を示している。
図11(b)は、第3の接続コード2Eから専用ナースコール子機1が脱落した状態(第3の接続コード2Eの汎用ジャック26Bから専用ナースコール子機1の汎用プラグ14が外れた状態)を示している。また、
図11(c)は、壁埋込形子機3から第3の接続コード2Eが外れた状態を示している。なお、この
図11において、
図7、
図9および
図10に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付している。専用ナースコール子機1の回路構成は
図3と同じである。
【0044】
第3の接続コード2Eが接続される壁埋込形子機3は、脱落検出部301およびスイッチ302を備えている。専用ナースコール子機1の短絡部分は、特許請求の範囲の「壁埋込形子機が接続コードの脱落を検出することを可能にするための回路構成」として機能する。また、可動接点203は、特許請求の範囲の「専用ナースコール子機が接続コードから脱落したときに壁埋込形子機から呼出信号が出力されるようにするための回路構成」として機能する。
【0045】
図11(a)のように、第3の接続コード2Eを介して壁埋込形子機3と専用ナースコール子機1とが接続されている状態において、専用ナースコール子機1の呼出ボタン12が押下されると、スイッチ101がオンとなり、端子Tと端子Sとを経由する電流経路R19が導通することにより、一般呼出信号が専用ナースコール子機1から出力される。そして、この一般呼出信号が第3の接続コード2Eを介して壁埋込形子機3に伝えられる。
【0046】
また、
図11(a)のように壁埋込形子機3と専用ナースコール子機1とが第3の接続コード2Eを介して接続されている状態において、壁埋込形子機3の脱落検出部301は、専用ナースコール子機1の短絡部分を介する電流経路R20を通じて、端子Rと端子Tとの間が短絡されていることを検出している。一方、
図11(b)のように、汎用ジャック26Bから専用ナースコール子機1が外れると、汎用ジャック26Bの中の端子Wと端子Tとの間の可動接点203を介して電流経路R21が形成され、壁埋込形子機3の呼出ボタン(図示せず)の押下に応じてスイッチ302が閉じるのと等価な状態となる。これにより、壁埋込形子機3から一般呼出信号が出力される。このとき、脱落検出部301は端子Rと端子Tとの間が開放されたことを検出するが、壁埋込形子機3は一般呼出信号の出力を優先し、脱落呼出信号は出力しない。
【0047】
また、
図11(c)のように、壁埋込形子機3から第3の接続コード2Eが外れると、脱落検出部301は、端子Rと端子Tとの間が開放されたことを検出する。この場合、
図11(b)に示した電流経路R21は形成されない。よって、壁埋込形子機3は、一般呼出信号ではなく脱落呼出信号を出力する。
【0048】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、1人の患者が専用するための専用ナースコール子機1と、専用ナースコール子機1と壁埋込形子機3との間に接続される中継機器2(2A~2E)とを備えて構成される。専用ナースコール子機1は、中継機器2に接続するための汎用プラグ14を備え、中継機器2は、壁埋込形子機3に接続するためのプラグ24(24A,24B,24D,24E)と、汎用プラグ14が接続される汎用ジャック26(26A,26B)とを備え、専用ナースコール子機1を、汎用プラグ14を介して複数タイプの中継機器2に接続することが可能に構成している。
【0049】
このように構成した本実施形態によれば、専用ナースコール子機1を壁埋込形子機3に直接接続するのではなく、中継機器2を介して接続するようになされ、中継機器2に対する専用ナースコール子機1の接続は、専用ナースコール子機1の汎用プラグ14と中継機器2の汎用ジャック26を介して行われる。これにより、壁埋込形子機3のタイプに合わせて異なる構成の専用ナースコール子機1を用意する必要がなく、壁埋込形子機3のタイプに合わせて接続される複数タイプの中継機器2のどれに対しても汎用プラグ14を利用して共通に接続可能な構成の専用ナースコール子機1を1つ用意すればよい。このため、同じタイプの専用ナースコール子機1だけ製造すればよく、製造コストを低減することができる。
【0050】
なお、上記実施形態において示した第1タイプから第5タイプの中継機器2は一例を示したものであり、これらに限定されるものではない。すなわち、中継機器2は、専用ナースコール子機1の汎用プラグ14を接続可能な汎用ジャック26を備えるものであれば何れも適用可能である。例えば、中継機器2は、一般呼出を行うための呼出ボタンのほかに、トイレや点滴などのための特種呼出を行うための呼出ボタンを備えたハンド形子機であってもよい。また、中継機器2は、通話機能を備えていないタイプのハンド形子機(例えば、握り押しボタン)であってもよい。さらに、中継機器2は、壁埋込形子機3に接続するためのプラグ24と専用ナースコール子機1の汎用プラグ14を接続するための汎用ジャック26とを備えたボックスタイプのアダプタであってもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、専用ナースコール子機1が中継機器2から脱落した場合に脱落呼出信号または一般呼出信号を出力する構成について説明したが、これも一例に過ぎない。また、専用ナースコール子機1が中継機器2から脱落した場合に脱落呼出信号および一般呼出信号の何れも出力されない構成であってもよい。
【0052】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 専用ナースコール子機
2 中継機器
2A 第1の共用ナースコール子機
2B 第2の共用ナースコール子機
2C 第1の接続コード
2D 第2の接続コード
2E 第3の接続コード
12 呼出ボタン
14 汎用プラグ
24,24A,24B,24D,24E プラグ
26,26A,26B 汎用ジャック