(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162868
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】制御装置、移動体および制御方法
(51)【国際特許分類】
G08G 5/04 20060101AFI20221018BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20221018BHJP
B64C 27/04 20060101ALI20221018BHJP
B64C 13/18 20060101ALI20221018BHJP
B64C 13/20 20060101ALI20221018BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20221018BHJP
G16Y 40/30 20200101ALI20221018BHJP
【FI】
G08G5/04 A
B64C39/02
B64C27/04
B64C13/18 Z
B64C13/20 C
G16Y10/40
G16Y40/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067914
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】舘 陽介
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA26
5H181AA27
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF13
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL09
5H181LL14
(57)【要約】
【課題】移動体が対象物に近づいた状況となり、その状況に対応する処理を行わせた方がよい一方、人間が処理の実行を即座に明示的に指示できない事態となり得る移動体について、このような事態が発生した場合に対応する「制御装置、移動体および制御方法」を提供する。
【解決手段】移動体を制御する制御装置6は、ビーコン受信ユニット12により受信されたビーコンに含まれる識別情報を認識し、識別情報の値が、予め登録された値である場合、その値と対応付けて登録された処理を実行する制御部20を備えており、ビーコンの発信元にビーコンが受信可能な程度に近づいたときに、事前に登録された処理を実行する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を制御する制御装置であって、
ビーコンを受信するビーコン受信部により受信されたビーコンに含まれる識別情報を認識し、認識した前記識別情報の値が、予め登録された値である場合、その値と対応付けて登録された処理を実行する制御部を備える
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記識別情報の値と対応付けられた処理には、前記移動体を所定の態様で移動させ或いは移動を停止させる処理が含まれる
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記識別情報の値と対応付けられた処理には、ビーコンの発信元との近接或いは接触が回避されるよう前記移動体を所定の態様で移動させ或いは移動を停止させる処理が含まれる
ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、認識した前記識別情報の値が、予め登録された値でない場合、或いは、前記識別情報が含まれていない場合、ビーコンに含まれる情報からビーコンの送信元のデバイスの種別を識別可能か否か判別し、デバイスの種別を識別可能な場合、デバイスの種別を識別すると共に、識別したデバイスの種別と対応付けられた処理を実行する
ことを特徴とすることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記移動体は、無人飛行体である
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記識別情報の値と対応付けられた処理には、前記無人飛行体を所定の態様で移動させ或いは移動を停止させる処理が含まれる
ことを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記識別情報の値と対応付けられた処理には、ビーコンの発信元との近接或いは接触が回避されるよう前記無人飛行体を所定の態様で移動させ或いは移動を停止させる処理が含まれる
ことを特徴とする請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記識別情報の値と対応付けられた処理には、地上の管理装置にメッセージを送信する処理が含まれる
ことを特徴とする請求項5から7の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記識別情報の値と対応付けられた処理には、前記識別情報を含む情報をログとして記録する処理が含まれる
ことを特徴とする請求項5から8の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、認識した前記識別情報の値が、予め登録された値でない場合、或いは、前記識別情報が含まれていない場合、ビーコンに含まれる情報からビーコンの送信元のデバイスの種別を識別可能か否か判別し、デバイスの種別を識別可能な場合、デバイスの種別を識別すると共に、識別したデバイスの種別と対応付けられた処理を実行する
ことを特徴とする請求項5から9の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項11】
人間が携帯するタイプのデバイスであることを示すデバイスの種別と対応付けられた処理には、前記無人飛行体と人間との近接或いは接触が回避されるよう前記無人飛行体を移動させ或いは移動を停止させる処理が含まれる
ことを特徴とする請求項10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記移動体は、自律型無人自動車或いは自動運転車である
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項13】
前記識別情報の値と対応付けられた処理には、前記自律型無人自動車或いは前記自動運転車を所定の態様で移動させ或いは移動を停止させる処理が含まれる
ことを特徴とする請求項12に記載の制御装置。
【請求項14】
前記識別情報の値と対応付けられた処理には、ビーコンの発信元との近接或いは接触が回避されるよう前記自律型無人自動車或いは前記自動運転車を所定の態様で移動させ或いは移動を停止させる処理が含まれる
ことを特徴とする請求項13に記載の制御装置。
【請求項15】
前記制御部は、認識した前記識別情報の値が、予め登録された値でない場合、或いは、前記識別情報が含まれていない場合、ビーコンに含まれる情報からビーコンの送信元のデバイスの種別を識別可能か否か判別し、デバイスの種別を識別可能な場合、デバイスの種別を識別すると共に、識別したデバイスの種別と対応付けられた処理を実行する
ことを特徴とする請求項12から14の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項16】
ビーコンを受信するビーコン受信部により受信されたビーコンに含まれる識別情報を認識し、認識した前記識別情報の値が、予め登録された値である場合、その値と対応付けて登録された処理を実行する制御部を備える
ことを特徴とする移動体。
【請求項17】
移動体を制御する制御装置による制御方法であって、
制御装置の制御部が、ビーコンを受信するビーコン受信部により受信されたビーコンに含まれる識別情報を認識するステップと、
前記制御装置の前記制御部が、認識した前記識別情報の値が、予め登録された値である場合、その値と対応付けて登録された処理を実行するステップとを含む
ことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、移動体および制御方法に関し、特に、移動体を制御する制御装置、その移動体、および、その制御装置による制御方法に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ドローン、その他の無人で飛行する無人飛行体が普及してきている。無人飛行体に関し特許文献1には、無人飛行体(無人航空機)の飛行が規制される範囲への侵入に関して、より簡単に警告できる無人飛行体が開示されている。この特許文献1では、無人飛行体(を制御する制御装置)は、電波を受信すると共に受信した電波の強度が閾値を超えるか否かを判別し、閾値を超える場合に警告を行う。また特許文献2には、歩行者が歩行中に遭難した場合に遭難者を捜索する機能を有する無人飛行体(ドローン)が開示されている。この特許文献2では、管理サーバが歩行者の遭難を検出すると、歩行者の所在地の空間座標値を無人飛行体に伝え、無人飛行体がその空間座標値が示す位置を目標位置として飛行する。
【0003】
また特許文献3には、複数の無人飛行体(ドローン)が同時に飛行している状況で、無人飛行体同士の接触を防止した技術が開示されている。この特許文献3では例えば、飛行体が飛行しているときに、飛行体に取り付けられた照明具が運航パターンに対応する色で点灯し或いは点滅する。また特許文献4には、無人飛行体の飛行範囲を規制する、いわゆるジオフェンスを提供するジオフェンシング装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-193201号公報
【特許文献2】特開2020-123316号公報
【特許文献3】特開2020-117129号公報
【特許文献4】特表2017-537012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで無人飛行体の飛行方法は大きく分けて、自律的に飛行する方法と、操縦者の操縦に従って飛行する方法との2つがあるが、何れの場合にも、以下の特徴がある。すなわち、無人飛行体が対象物に近づいた状況となり、その状況に対応する処理を行わせた方がよい一方、人間が処理の実行を即座に明示的に指示できない事態となり得るという特徴がある。例えば自律的に飛行する方法で無人飛行体が飛行しているときに障害物が近づいた場合である。この場合、障害物との近接或いは接触が回避されるように無人飛行体を移動させる等した方がよいが、無人飛行体は自律的に飛行しており、人間が操縦しているわけではないため、人間が移動等を即座に明示的に指示できない。また例えば、操縦者の操縦に従って飛行する方法で無人飛行体が飛行しているときに障害物が近づいた場合であって、操縦者の死角に障害物があったり、無人飛行体が操縦者から相当に離れていたりしており、操縦者が障害物を認識できていない場合である。この場合も、障害物との近接或いは接触が回避されるように無人飛行体を移動させた方がよいが、操縦者が障害物を認識していないため、人間が移動を即座に明示的に指示できない。
【0006】
また近年、自律的に地上を走行する自律型無人自動車や、搭乗者を乗車させた状態(当然、乗せてなくてもよい)で自動運転を行う自動運転車が普及してきている。これら自律型無人自動車および自動運転車についても、無人飛行体と同様に、自動車が対象物に近づいた状況となり、その状況に対応する処理を行わせた方がよい一方、人間が処理の実行を即座に明示的に指示できない事態となり得るという特徴がある。自律型無人自動車および自動運転車は共に、運転手が運転して自動車を移動させているわけではないからである。
【0007】
上述した無人飛行体、自律型無人自動車および自動運転車のように、対象物に近づいた状況となったときにその状況に対応する処理を行わせた方がよい一方、人間が処理の実行を即座に明示的に指示できない事態となり得るという特徴を持つ移動体については、このような事態が発生した場合に対応するため通常、以下の対策がとられている。すなわちカメラ、測距用のセンサ、GPSユニット、その他の移動体の周囲の環境の認識に用いられる各種機器が移動体に設けられる。そして移動体の制御装置は、各種機器からの入力を情報処理により分析することによって対応移動体の周囲の環境を認識し、環境に応じた処理を情報処理手段によって導出し、導出した処理を実行する。そして、このような対策を補強し、或いは、安全面に関する条件がクリアできる場合には、このような対策に代替するような新たな手法が求められていた。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、移動体が対象物に近づいた状況となり、その状況に対応する処理を行わせた方がよい一方、人間が処理の実行を即座に明示的に指示できない事態となり得る移動体について、このような事態が発生した場合に対応する新たな手法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明では、ビーコンを受信したときにビーコンに含まれる識別情報を認識し、認識した識別情報の値が、予め登録された値である場合、その値と対応付けて登録された処理を実行するようにしている。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明によれば、ビーコンを受信したときに、ビーコンに含まれる識別情報の値に対応付けられた処理が自動で実行される。このため、移動体が近づき得る対象物、或いは、移動体に対して近づき得る対象物が特定の値の識別情報を含むビーコンを発信するようにした上で、識別情報の値の種類ごとに、対応する対象物と移動体とが近づいたときに移動体(或いは移動体の制御装置)に実行させるべき適切な処理を対応付けることにより、移動体と対象物とが近づいた状況となったときに人間が即座に明示的に指示を出すことなく、自動で処理を実行させることが可能である。すなわち本発明は、移動体が対象物に近づいた状況となり、その状況に対応する処理を行わせた方がよい一方、人間が処理の実行を即座に明示的に指示できない事態となり得る移動体について、このような事態が発生した場合に対応するための新たな手法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る無人飛行体の斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る無人飛行体のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図4】処理テーブルの内容を模式的に示す図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る制御装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の第1実施形態の変形例に係る制御装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る無人飛行体1の斜視図である。無人飛行体1は、特許請求の範囲の「移動体」に相当する。無人飛行体1は、ドローン或いはUAVと呼ばれる、無人で飛行する飛行体である。無人飛行体1は飛行体本体2を備え、この飛行体本体2は飛行機構3を備え、この飛行機構3は4つのプロペラ4を備えている。無人飛行体1は、4つのプロペラ4の回転数を調整することによって、上昇や下降、前進、後進、旋回等を行う。
図1で示すように、無人飛行体1の下方には、カメラ9が取り付けられている。
【0013】
無人飛行体1は、無線操縦機を利用した操縦者による遠隔操縦に従って飛行することができ、更に自律制御によって自律的に飛行することができる。以下、自律制御によって飛行することを「自律飛行」という。また遠隔操縦に従って飛行するときの動作モードを「手動モード」といい、自律飛行するときの動作モードを「自律モード」という。
【0014】
図2は、本実施形態に係る無人飛行体1のハードウェア構成例を示す図である。
図3は、本実施形態に係る制御装置6の機能構成例を、関連するハードウェア要素と共に示す図である。
図2で示すように無人飛行体1は、制御装置6、飛行機構駆動ユニット7、GPSユニット8、カメラ9、飛行関連センサ10、無線通信ユニット11、ビーコン受信ユニット12および記憶ユニット13を備えている。
【0015】
制御装置6は、CPU等の処理装置や、RAM等の一次記憶装置、ROM等の二次記憶装置、その他のハードウェアを備えている。制御装置6は例えば、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み出して実行する等、ハードウェアとソフトウェアとの協働により各種演算処理/情報処理を実行する。
【0016】
飛行機構駆動ユニット7は、制御装置6の制御の下、飛行機構3を制御して、飛行体本体2の上昇や下降、前進、後進、旋回等を行う。より詳細には、飛行機構駆動ユニット7は、PMU(Power Management Unit)、ESC(Electric Speed Controller)およびブラシレスモーターを備えている。ブラシレスモーターは、プロペラ4を回転させるモーターであり、4つのプロペラ4ごとに存在する。PMUは、バッテリーからESCに供給される電力を制御する。ESCは、ブラシレスモーターの回転数を制御する。
【0017】
GPSユニット8は、GPS信号を受信し、GPS信号に基づいて、無人飛行体1の現在位置(現在の無人飛行体1の位置の経度、緯度および高度)を検出する。GPSユニット8は、制御装置6に検出値を随時出力する。
【0018】
カメラ9は、制御装置6の制御の下、所定周期(所定フレームレート)で撮影を実行する。
【0019】
飛行関連センサ10は、ジャイロセンサや、加速度センサ、気圧センサ、磁気センサ、測距センサ(例えばLIDARや、ステレオカメラ)、ポジショニングカメラ等の各種センサを備え、各種センサの検出値を制御装置6に出力する。
【0020】
無線通信ユニット11は、特定の周波数帯で無線通信を行うためのベースバンドユニットや、RFユニット、アンテナ等を備え、制御装置6の制御の下、特定の周波数帯で無線信号を電波により発信し、また、特定の周波数帯の電波に重畳された無線信号を受信し、制御装置6に出力する。以上の構成の下、無線通信ユニット11は、所定の無線通信規格に従って、地上の無線操縦機および無人飛行体1の管理用のコンピュータと無線通信する。以下、無線通信ユニット11と無線通信する地上の無線操縦機および無人飛行体1の管理用のコンピュータを「管理装置」という。無線通信に用いられる無線通信規格は何でもよく、無線通信ユニット11と管理装置とが移動体通信ネットワークを介して通信を行う構成でもよい。
【0021】
ビーコン受信ユニット12は、Bluetooth(登録商標)の無線通信規格に従って、ビーコンを無線通信により受信する。ただし無線通信規格は、Bluetoothに限られるものではなく、ビーコン受信ユニット12がBluetoothに代えて或いはBluetoothと共に他の無線通信規格に従ってビーコンを受信する構成でもよい。ビーコン受信ユニット12は、特許請求の範囲の「ビーコン受信部」に相当する。
【0022】
記憶ユニット13は、EEPROM等の不揮発性メモリを備え、各種データを不揮発的に記憶する。なお制御装置6を構成する記憶装置と記憶ユニット13とを区別しているのは説明の便宜上のことであり、制御装置6を構成する記憶装置に記憶ユニット13が含まれていてもよい。
【0023】
図3で示すように、制御装置6は機能構成として、制御部20とを備えている。上述の通り、これら機能ブロック20の機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。
【0024】
制御部20は、GPSユニット8、カメラ9、飛行関連センサ10、無線通信ユニット11およびビーコン受信ユニット12からの入力に基づいて、飛行中の無人飛行体1の位置や姿勢を認識すると共に、飛行機構駆動ユニット7を制御して、飛行機構3の各プロペラ4の回転数を調整し、無人飛行体1の飛行を制御する。
【0025】
上述したように本実施形態に係る無人飛行体1は、無線操縦機による遠隔操縦に従って飛行することができると共に、遠隔操縦によることなく予め定められた予定航路を自律制御によって自律飛行することができる。以下、自律飛行について簡単に説明する。
【0026】
自律飛行に際し、記憶ユニット13には、所定の手段で予定航路情報が記憶される。予定航路情報は、無人飛行体1が飛行する航路を複数のウェイポイントにより表した情報である。各々のウェイポイントは、経度、緯度および高度の情報を有する。自律飛行に際し、制御部20は、GPSユニット8および飛行関連センサ10の検出値に基づいて、飛行中の無人飛行体1の位置や、姿勢、移動方向を監視しつつ飛行機構駆動ユニット7を制御することによって、無人飛行体1の上昇、下降、前進、後退、旋回等を制御し、予定航空情報に記録された複数のウェイポイントを無人飛行体1が順番に辿るように、無人飛行体1を飛行させる。
【0027】
なお自律飛行に関し、検査対象物(例えば、鉄塔に懸架された電線或いは架空地線)をカメラ9で撮影しつつ自律飛行するといったことが可能である。
【0028】
以上の通り無人飛行体1は、自律的に飛行することも可能であり、操縦者の操縦に従って飛行することも可能である。そして何れの方法で飛行している場合においても、無人飛行体1が何らかの対象物に近づいた状況となり、その状況に対応する処理を行わせた方がよい一方、人間が処理の実行を即座に明示的に指示できない事態となり得る(このような事態の具体例については後述する)。これを踏まえ、無人飛行体1の制御装置6は以下の処理を実行する。
【0029】
制御部20は、無人飛行体1が駆動している間、ビーコン受信ユニット12によりビーコンが受信されたか否かを監視する。ビーコン受信ユニット12によりビーコンが受信されたということは、無人飛行体1がビーコンを受信可能な程度に、ビーコンの発信元に近づいたということである。制御部20が、単にビーコンを受信したか否かを監視するのではなく、一定以上の電波強度のビーコンを受信したか否かを監視する構成でもよい。ビーコン受信ユニット12によりビーコンが受信された場合、制御部20は、ビーコン受信ユニット12により受信されたビーコンに含まれるビーコン識別情報の(特許請求の範囲の「識別情報」に相当)の値を認識する。次いで制御部20は、記憶ユニット13に記憶された処理テーブルを参照する。
【0030】
図4は、処理テーブルの内容を模式的に示す図である。処理テーブルは、ビーコン識別情報の値の種類ごとに、処理を識別する情報(以下、「処理識別情報」という)が対応づけて記録されたテーブルである。
図4では処理テーブルにおいてビーコン識別情報の値「N001」と処理Aを示す処理識別情報とが対応付けられ、ビーコン識別情報の値「N002」と処理Bを示す処理識別情報とが対応付けられ、ビーコン識別情報の値「N003」と処理Cを示す処理識別情報とが対応付けられている様子を示している。ビーコン識別情報および処理テーブルの意義については後に明らかとなる。
【0031】
制御部20は、処理テーブルを参照し、認識したビーコン識別情報の値が、処理テーブルに登録されたビーコン識別情報の値の何れかと一致するか否かを判別する。1つも一致する値がない場合、制御部20は、ビーコンの受信に応じた処理は実行しない。一方、制御部20は、一致する値がある場合、処理テーブルにおいて一致する値と対応付けられた処理識別情報が示す処理を実行する。
【0032】
なおビーコンにビーコン識別情報が含まれていないケース、或いは想定しているフォーマットと違っており、ビーコン識別情報に相当する情報を認識できないケースもあり得る。この場合、制御部20は、ビーコンの受信に応じた処理は実行しない。また後に明らかとなる通り、ビーコンを発信するビーコン発信装置は、間欠的に連続してビーコンを発信する。従って制御部20は、ビーコン発信装置と無人飛行体1との距離が近い間、ビーコン発信装置から間欠的に連続して、同一の値のビーコン識別情報を含むビーコンを受信することになる。これを踏まえ、同一の値のビーコン識別情報を含むビーコンを間欠的に受信する度に、都度、処理識別情報が示す処理が行われてしまうことを防止する措置は適切に取られる。例えば制御部20は、ある一の値のビーコン識別情報を含むビーコンを受信した場合、上記の処理を実行する一方、以降、当該一の値のビーコン識別情報を含むビーコンを間欠的に連続して受信している間、受信したビーコンを破棄する。
【0033】
以上が制御装置6の処理である。以下、処理識別情報が示す処理の具体例を挙げつつ、適用のされ方の具体例と共に制御装置6(および無人飛行体1)の動作を説明する。
【0034】
<移動停止処理>
処理識別情報が示す処理の一例は、移動を停止する処理(以下、「移動停止処理」という)である。移動を停止するとは、無人飛行体1を現時点の位置(高度も含む3次元的な位置)に留まらせることを意味する。移動停止処理に関しては例えば、以下の方法で適用される。
【0035】
すなわち手動モードおよび自動モードにかかわらず、無人飛行体1の駆動中に、無人飛行体1が近づき、或いは、無人飛行体1に対して近づく可能性のある人間がビーコンを間欠的に発信する装置を所持する状態が構築される。以下、ビーコンを間欠的に発信する装置を総称して「ビーコン発信装置」という。また無人飛行体1が近づき、或いは、無人飛行体1に対して近づく可能性のある人間を「有接近可能性人間」という。有接近可能性人間は、例えば無人飛行体1が手動モードで飛行する場合における操縦者および操縦を補助する者であり、また例えば、無人飛行体1の飛行を見学する見学者である。趣旨から、人間だけでなく、他の生き物(例えば、操縦者がペットを連れて操縦する場合におけるペット)についてビーコン発信装置を装着することも可能である。
【0036】
また手動モードおよび自動モードにかかわらず、無人飛行体1の飛行中に、無人飛行体1が近づき、或いは、無人飛行体1に対して近づく可能性のある物体(人間、その他の生き物以外の物体を想定)にビーコン発信装置が取り付けられる。以下、また無人飛行体1が近づき、或いは、無人飛行体1に対して近づく可能性のある物体を「有接近可能性物体」という。有接近可能性物体は、静止する物体だけでなく、移動する物体も含む。例えば有接近可能性物体は、無人飛行体1が屋内で飛行する場合において、壁、屋内に設置された設備、その他の屋内に存在する物体であって無人飛行体1との接触が防止されるべき物体である。この一例として、無人飛行体1が巨大倉庫で飛行する場合において、壁や、荷物を保管する棚、荷物の運搬に使用される車両等が有接近可能性物体となり得る。また例えば自律飛行中に検査対象物のカメラ9による撮影が行われる場合の検査対象物が有接近可能性物体となり得る。
【0037】
以下、有接近可能性人間および有接近可能性物体を総称して「有接近可能性対象物」という。また、人間(有接近可能性人間)がビーコン発信装置を所持している状態とすることを、便宜上、人間にビーコン発信装置を取り付けると表現する場合がある。
【0038】
ビーコン発信装置は例えば、スイッチが設けられており、スイッチがオンの間、ビーコンを間欠的に発信する小型の専用デバイスである。また例えばビーコン発信装置は、Bluetooth LE(Low Energy)ビーコンと呼ばれる、市場で入手可能な小型のデバイスである。また例えばビーコン発信装置は、スマートフォン、タブレット端末、その他のBluetooth通信機能を有する携帯型のデバイスであって、インストールされた専用のアプリケーションの機能により間欠的にビーコンを発信するものである。専用のアプリケーションは、ビーコンの発信の開始および終了を指示するためのユーザインタフェイスを提供する機能、および、ビーコンの発信が指示されている間、OSと協働してBluetoothモジュールに間欠的ビーコンを発信させる機能を有している。
【0039】
また例えばビーコン発信装置は、ビーコンの発信元がドローン、その他の無人航空機である場合において、無人航空機が飛行する地域の規則によって、所定内容のビーコン(ただし、ビーコン識別情報として利用可能な情報を含んでいるものとする)を発信することが義務付けられている場合には、その所定のビーコンを発信する機能を有するデバイスである。このデバイスとしては例えば、Remote IDデバイスがある。
【0040】
そして有接近可能性人間のそれぞれがビーコン発信装置を所持し、無人飛行体1が駆動している間、ビーコン発信装置のそれぞれがアクティブ状態(間欠的にビーコンが発信される状態)とされる。また無人飛行体1が駆動している間、有接近可能性物体に取り付けられたビーコン発信装置のそれぞれについて、アクティブ状態とされる。
【0041】
また処理テーブルについて、有接近可能性人間が所持するビーコン発信装置が出力するビーコンに含まれるビーコン識別情報の値と、移動停止処理を示す処理識別情報とが対応づけて登録される。なお異なるビーコン発信装置が発信するビーコンに含まれるビーコン識別情報の値が同じであってもよい(この場合、処理テーブルには、共通する値のビーコン識別情報と、移動停止処理を示す処理識別情報とが対応付けられたレコードが登録される)。また実際の適用としては、先に所定の値のビーコン識別情報と、移動停止処理を示す処理識別情報とが対応付けられたレコードが処理テーブルに登録され、ビーコン発信装置のそれぞれについて、当該所定の値のビーコン識別情報を含むビーコンが送信されるように設定される構成でもよい。
【0042】
更にまた処理テーブルについて、有接近可能性物体に取り付けられたビーコン発信装置が出力するビーコンに含まれるビーコン識別情報の値と、移動停止処理を示す処理識別情報とが対応づけられたレコードが事前に登録される。
【0043】
以上のような状態が構築された状態において、制御装置6は以下の処理を実行する。すなわち手動モード或いは自律モードにかかわらず無人飛行体1が飛行しているときに無人飛行体1と有接近可能性対象物(に取り付けられたビーコン発信装置)が近づくと、有接近可能性対象物のビーコン発信装置が発信するビーコンが制御装置6のビーコン受信ユニット12に受信される状態となる。これに応じて制御部20は、ビーコン発信装置が発信したビーコン識別情報の値を認識し、処理テーブルを参照する。処理テーブルには、有接近可能性対象物のビーコン発信装置が出力するビーコンに含まれるビーコン識別情報の値と、移動停止処理を示す処理識別情報とが対応づけたレコードが事前に登録されているため制御部20は、認識したビーコン識別情報の値と同一の値が存在すると判定する。次いで制御部20は、処理テーブルにおいて認識したビーコン識別情報の値と一致する値と対応付けられた処理識別情報が示す処理を実行する。ここで処理識別情報が示す処理は、移動停止処理であるため、制御部20は、移動停止処理を実行する。
【0044】
この結果、手動モード或いは自律モードにかかわらず無人飛行体1が、有接近可能性対象物のビーコン発信装置が発信するビーコンを受信可能な程度に有接近可能性対象物に近づくと、人間の指示(例えば、操縦者による操縦や、管理用のコンピュータを操作する者)によらず自動で即座に無人飛行体1の移動が停止する。このため、有接近可能性対象物と無人飛行体1の近接或いは接触を適切に回避することができる。なお本実施形態では、無人飛行体1が対象物に「近接」するとは、無人飛行体1或いは対象物に何らかの悪影響が生じ得るほどに、無人飛行体1と対象物との距離が縮まることを意味し、「近づく」という表現によって表される状態、および、「接近する」という表現によって表される状態と明確に区別する。
【0045】
なお移動停止処理を実行した後の処理については、適宜、設定可能である。例えば制御部20は、ビーコンを受信しなくなるまで(或いは電波の強度が一定以下となるまで)無人飛行体1の移動を停止させる。また例えば、制御部20は、無線通信ユニット11を制御して、処理テーブルに基づいて無人飛行体1の移動を停止していることを示すメッセージを管理装置に送信する。
【0046】
<移動停止処理についてのその他の適用例>
上述した移動停止処理についての適用例は、無人飛行体1が対象物に近接し或いは接触することを回避することを目的としていた。この他に以下の適用が可能である。すなわち、自律モードでの自律飛行中に、無人飛行体1が近づいたときに、無人飛行体1の移動を一定期間停止させ、無人飛行体1に何らかの処理を実行させるべき対象物が点在しているとする。例えば、無人飛行体1が近い位置にあり、かつ、停止した状態でカメラ9により撮影されることが求められる対象物である。このような場合に、各対象物にビーコン発信装置を取り付け、かつ、処理テーブルに、各ビーコン発信装置が発信するビーコンに含まれるビーコン識別情報の値と、移動停止処理を示す処理識別情報とが対応付けられたレコードを事前に登録することによって、自律モードで自律飛行中に、各対象物に無人飛行体1が近づいたときに、無人飛行体1を各対象物に近い位置で一定期間、停止させることができる。
【0047】
<上昇処理>
処理識別情報が示す処理の一例は、機体を上昇させる処理(以下、「上昇処理」という)である。機体を上昇させるとは、無人飛行体1を現時点の位置から鉛直上方に移動させることを意味する。上昇処理に関しては例えば、以下の適用がなされる。すなわち、手動モード或いは自律モードにかかわらず、無人飛行体1が飛行し得る範囲において、以下のような対象物(上述したように、人間を含む生き物、および、生き物以外の物体を含む概念)にビーコン発信装置が取り付けられる。すなわち、無人飛行体1と対象物とが近づいたときに、無人飛行体1を安全に上昇させることができ、かつ無人飛行体1を上昇させることによって、無人飛行体1と対象物との近接或いは接触を確実或いは有効に防止できる対象物にビーコン発信装置が取り付けられる。以下、このような対象物を上昇処理対応対象物という。上昇処理は、「移動体を所定の態様で移動させる処理」に相当する。
【0048】
上昇処理対応対象物は基本的には、鉛直上方へ移動しない対象物である。このような対象物であれば、無人飛行体1が近づいた場合であっても、無人飛行体1が上昇することによって、その対象物から無人飛行体1を物理的に離間させることができるからである。上昇処理対応物体は例えば、人間(操縦者を含む)や、地面を移動する自動車、地面に設置された設備等である。
【0049】
そして上昇処理対応対象物にビーコン発信装置が取り付けられ、かつ、処理テーブルに、各ビーコン発信装置が発信するビーコンに含まれるビーコン識別情報の値と、上昇処理を示す処理識別情報とが対応付けられたレコードが事前に登録される。これにより無人飛行体1と上昇対応対象物との近接或いは接触を有効に防止することができる。
【0050】
なお、どの程度上昇させるかや、上昇と共に実行させる処理、上昇後に実行させる処理等については適切に設定される。
【0051】
<逆進行処理>
また処理識別情報が示す処理の一例は、逆進行する処理(以下、「逆進行処理」という)である。逆進行処理とは、無人飛行体1を現時点の位置から、その時点までの進行の向きと逆向きに移動させることを意味する。逆進行処理は、「移動体を所定の態様で移動させる処理」に相当する。逆進行処理に関しては例えば、以下の適用がなされる。すなわち手動モード或いは自律モードにかかわらず、無人飛行体1が飛行し得る範囲において、以下のような対象物にビーコン発信装置が取り付けられる。すなわち無人飛行体1と対象物とが近づいたときに、無人飛行体1を安全に逆進行させることができ、かつ逆進行させることによって、無人飛行体1と対象物との近接或いは接触を確実或いは有効に防止できる対象物にビーコン発信装置が取り付けられる。以下、このような対象物を逆進行処理対応対象物という。逆進行処理対応対象物は例えば、上述した有接近可能性人間および有接近可能性物体である。
【0052】
そして逆進行処理対応対象物にビーコン発信装置が取り付けられ、かつ、処理テーブルに、各ビーコン発信装置が発信するビーコンに含まれるビーコン識別情報の値と、逆進行処理を示す処理識別情報とが対応付けられたレコードが事前に登録される。これにより無人飛行体1と逆進行対応対象物との近接或いは接触を有効に防止することができる。なお、無人飛行体1に向かって移動してくることが想定される対象物の場合、移動停止処理よりも逆進行処理を行った方が近接或いは接触を有効に防止できる場合があると考えられる。
【0053】
<予定航路変更処理>
処理識別情報が示す処理の一例は、予定航路を変更する処理(以下、「予定航路変更処理」という)である。予定航路変更処理に関しては例えば、以下の適用がなされる。すなわち自律モードによる無人飛行体1の飛行に関し、以下のような対象物にビーコン発信装置が取り付けられ、または、対象物によってビーコン発信装置が保持された状態とされる。すなわち自律モードにて無人飛行体1が飛行しているときに、無人飛行体1が近接し或いは接触する可能性がある対象物であって、対象物に無人飛行体1が近づいたときに、その対象物との近接或いは接触を確実に回避し、しかも以後の自律飛行を円滑に継続するためには、予定航路を変更すことが有効であるような対象物にビーコン発信装置が取り付けられる。以下、このような対象物を予定航路変更処理対応対象物という。予定航路変更処理対応対象物は例えば、上述した検査対象物である。
【0054】
予定航路変更処理について、制御装置6は例えば以下の処理を実行する。すなわち、予定航路変更処理を実行することとなった場合、一旦、制御部20は、無人飛行体1の移動を停止する。次いで制御部20は、無線通信ユニット11を制御して、管理装置に対して予定航路の変更を依頼するコマンドを送信する。このコマンドには、GPSユニット8、カメラ9、飛行関連センサ10、ビーコンに含まれていたビーコン識別情報、その他の管理装置が予定航路を新たに導出するために利用する情報が含まれる。管理装置は、このコマンドを受信すると、ビーコンの送信元の対象物との近接或いは接触を避けるような適切な予定航路を新たに導出し、予定航路情報を制御装置6に送信する。制御装置6の制御部20は、予定航路情報を受信すると共に、記憶ユニット13の予定航路情報の値を更新し、予定航路に沿って無人飛行体1を移動させる。
【0055】
そして予定航路変更処理対応対象物にビーコン発信装置が取り付けられ、かつ、処理テーブルに、各ビーコン発信装置が発信するビーコンに含まれるビーコン識別情報の値と、予定航路変更処理を示す処理識別情報とが対応付けられたレコードが事前に登録される。これにより無人飛行体1と予定航路変更対応対象物との近接或いは接触を有効に防止することができ、かつ、以後も自律飛行を円滑に継続できる。
【0056】
<速度減速処理>
また処理識別情報が示す処理の一例は、速度減速する処理(以下、「速度減速処理」という)である。速度減速処理とは、無人飛行体1の速度を減速させることを意味する。特に手動モードでは速度減速処理は、その時点の速度よりも遅い速度で飛行させることを意味する。また自律モードでは速度減速処理は、上述した目標速度を低減することを意味する。速度減速処理に関しては例えば、以下の適用がなされる。
【0057】
すなわち手動モード或いは自律モードにかかわらず、無人飛行体1が飛行し得る範囲において、近接或いは接触を防止すべき対象物にビーコン発信装置が取り付けられる。以下、速度減速処理の対象となる対象物を速度減速処理対応対象物という。速度減速処理対応対象物は例えば、上述した有接近可能性人間および有接近可能性物体である。
【0058】
そして速度減速処理対応対象物にビーコン発信装置を取り付けられ、かつ、処理テーブルに、各ビーコン発信装置が発信するビーコンに含まれるビーコン識別情報の値と、速度減速処理を示す処理識別情報とが対応付けられたレコードが事前に登録される。これにより無人飛行体1と速度減速対応対象物とが近づいたときに、無人飛行体1の速度を減速することができる。これによれば、手動モードにおいては、操縦者が操縦によって無人飛行体1と速度減速対応対象物との近接或いは接触の回避をより容易にかつより的確に行うことができる状態を構築できる。また自律モードにおいては、以下の効果を奏する。すなわち、制御部20は、ビーコンを利用した処理とは別に、飛行関連センサ10の検出値に基づいて無人飛行体1の移動を制御し、無人飛行体1と対象物との近接或いは接触を回避する機能を別途、有している。そしてこのような機能の発揮に関し、事前に無人飛行体1の移動速度が低減されるため、より確実かつよりスムーズに無人飛行体1と対象物との近接或いは接触の回避が可能となる。
【0059】
<ログ記録処理>
処理識別情報が示す処理の一例は、制御部20がビーコン識別情報をログとして記録するログ記録処理である。ビーコン識別信号をログとして記録するとは、制御部20が記憶ユニット13に記憶されたログデータに、ビーコンを受信した日時(日付+時刻)を示す情報と、ビーコン識別情報とを対応付けて記録することを意味する。なおログデータに、日時を示す情報およびビーコン識別情報以外の情報が記録されても当然よい。また制御部20が、連続して同一のビーコン識別情報を認識した場合に、1回目のビーコン識別情報のみを記録する構成でもよい。ログ記録処理に関しては例えば、以下の適用がなされる。
【0060】
例えば手動モード或いは自律モードにかかわらず、無人飛行体1に近づく可能性のある他の無人航空機にビーコン発信装置が取り付けられる。更に処理テーブルに、各ビーコン発信装置が発信するビーコンに含まれるビーコン識別情報の値と、ログ記録処理を示す処理識別情報とが対応付けられたレコードが事前に登録される。これにより無人飛行体1と他の無人航空機とが近づいたときに、当該他の無人航空機に対応するビーコン識別情報がログとしてログデータに記録されることになり、ログデータを用いて事後的に無人飛行体1および他の無人航空機の飛行に関する有効な分析が可能となる。
【0061】
また例えば自律モードにおいて、無人飛行体1が通過すべきポイント(ただし、ビーコン発信装置を取り付け可能なポイントとする)ごとにビーコン発信装置が取り付けられる。更に処理テーブルに、各ビーコン発信装置が発信するビーコンに含まれるビーコン識別情報の値と、ログ記録処理を示す処理識別情報とが対応付けられたレコードが事前に登録される。これにより自律飛行中、無人飛行体1とポイントとが近づいたときに、ポイントに対応するビーコン識別情報がログとしてログデータに記録されることになり、ログデータを用いて事後的に無人飛 行体1の飛行態様の有効な分析が可能となる。
【0062】
<メッセージ送信処理>
処理識別情報が示す処理の一例は、制御部20が無線通信ユニット11を制御して地上の管理装置にメッセージを送信する処理である(メッセージの内容の具体例については後述)。制御部20が、連続して同一のビーコン識別情報を認識した場合に、1回目にビーコン識別情報を認識したときにのみをメッセージを送信する構成でもよい。メッセージ送信処理に関しては例えば、以下の適用がなされる。
【0063】
例えば手動モード或いは自律モードにかかわらず、無人飛行体1に近づく可能性のある他の無人航空機にビーコン発信装置が取り付けられる。更に処理テーブルに、各ビーコン発信装置が発信するビーコンに含まれるビーコン識別情報の値と、メッセージ送信処理を示す処理識別情報とが対応付けられたレコードが事前に登録される。これにより無人飛行体1と他の無人航空機とが近づいたときに、当該他の無人航空機についてのビーコン識別情報、および、他の無人航空機近づいたことを示す情報を含むメッセージが管理装置に送信されることになり、管理装置を操作する者は、メッセージを通じて無人飛行体1に他の無人航空機が近づいたことを認識できる。またメッセージはログとして保管することが可能である。
【0064】
ただし、他の無人飛行機だけではなく、種々の対象物について近づいたときにメッセージを送信する対象とすることが可能である。
【0065】
以上説明したように本実施形態に係る制御装置6および無人飛行体1は、ビーコンを受信したときにビーコンに含まれるビーコン識別情報(識別情報)を認識し、認識したビーコン識別情報の値が、予め登録された値である場合、その値と対応付けて登録された処理を実行する。
【0066】
この構成によれば、ビーコンを受信したときに、ビーコンに含まれるビーコン識別情報(識別情報)の値に対応付けられた処理が自動で実行される。このため、無人飛行体1が近づき得る対象物、或いは、無人飛行体1に対して近づき得る対象物が特定の値のビーコン識別情報を含むビーコンを発信するようにした上で、ビーコン識別情報の値の種類ごとに、対応する対象物と無人飛行体1とが近づいたときに無人飛行体1(或いは無人飛行体1の制御装置6)に実行させるべき適切な処理を対応付けることにより、無人飛行体1と対象物とが近づいた状況となったときに人間が即座に明示的に指示を出すことなく、自動で処理を実行させることが可能である。
【0067】
ここで、ドローン、その他のUAVに関しては、ジオフェンスを用いることによって、UAVの移動範囲を規制する技術がある。しかしながらジオフェンスは、UAVと移動する対象物との衝突の回避については、有効でない部分もある。一方で、本実施形態によれば、UAVと移動する対象物との衝突も適切に回避することができる。また本実施形態では、物体との衝突回避に利用可能な各種センサ、装置が搭載されていたが、無人飛行体1の用途が限定されており、かつ、安全性が確保できる場合には、本実施形態で説明した技術を実装することによって、各種センサを搭載しない構成とすることができ、これにより、コストの低減や、重量の低減を図ることができる。また従来のUAVに関す接触回避システムと、本実施形態で説明した技術とを組み合わせて用いることによって、より確実な接触回避を実現できる。
【0068】
次に制御装置6(および無人飛行体1)による制御方法についてフローチャートを用いて説明する。
図5は、制御装置6(および無人飛行体1)の動作例を示すフローチャートである。
図5で示すように無人飛行体1の駆動中、制御部20は、ビーコン受信ユニット12によりビーコンが受信されたか否かを監視する(ステップSA1)。受信された場合(ステップSA1:YES)、制御部20は、ビーコンに含まれるビーコン識別情報を認識する(ステップSA2)。次いで制御部20は、記憶ユニット13に記憶された処理テーブルを参照する(ステップSA3)。
【0069】
次いで制御部20は、ステップSA3で認識したビーコン識別情報の値が、処理テーブルに登録されたビーコン識別情報の値の何れかと一致するか否かを判別する(ステップSA4)。1つも一致する値がない場合(上述したように、ビーコン識別情報が含まれていない場合、ビーコン識別情報を認識できない場合も含む)(ステップSA4:NO)、制御部20は、ビーコンの受信に応じた処理は実行しない。一方、制御部20は、一致する値がある場合(ステップSA4:YES)、処理テーブルにおいて一致する値と対応付けられた処理識別情報が示す処理を実行する(ステップSA5)。
【0070】
<第1実施形態の変形例>
次に第1実施形態の変形例について説明する。本変形例に係る制御部20は、第1実施形態の処理に代えて以下の処理を実行する。すなわち第1実施形態では制御部20は、受信したビーコンに含まれるビーコン識別情報の値が、処理テーブルに登録されたビーコン識別情報の値の何れとも一致しない場合、ビーコンの受信に応じた処理は実行しなかった。一方、本変形例に係る制御部20は、以下の処理を実行する。
【0071】
受信したビーコンに含まれるビーコン識別情報の値が、処理テーブルに登録されたビーコン識別情報の値の何れとも一致しない場合(ビーコンにビーコン識別情報が含まれていない場合、および、ビーコン識別情報を認識していなかった場合を含む)、本変形例に係る制御部20は、ビーコンに含まれる情報を解析することによって、ビーコンの送信元のデバイスの種別を識別可能か否か判別する。本変形例においてデバイスは、無人航空機を含む、各種装置を含む概念である。
【0072】
ここで、受信したビーコンに含まれるビーコン識別情報の値が、処理テーブルに登録されたビーコン識別情報の値の何れとも一致しない場合、無人飛行体1のビーコン受信ユニット12に受信されることを目的としてではなく、別の目的で送信された、所定のフォーマットのビーコンがビーコン受信ユニット12により受信された可能性がある。この場合においてビーコンには、デバイスを識別する情報が含まれている場合があり、制御部20は、各種フォーマットに関する情報に基づいてビーコンの内容を分析し、ビーコンの送信元のデバイスの種別を識別可能か否か判別する。
【0073】
ビーコンの送信元のデバイスの種別を識別できない場合、制御部20は、ビーコンの受信に応じた処理を実行しない。一方、ビーコンの送信元のデバイスの種別を識別できる場合、制御部20は、デバイスの種別を識別する。次いで制御部20は、記憶ユニット13に記憶された種別テーブルを参照する。種別テーブルは、デバイスの種別ごとに、種別を示す情報(以下「種別情報」という)と、処理識別情報とが対応づけて登録されたテーブルである。ある種別を示す情報に対応する処理識別情報は、デバイスの種別が、その種別であった場合に制御装置6が実行すべき処理を示している。
【0074】
種別テーブルを参照した後、制御部20は、識別したデバイスの種別が、種別テーブルに登録された種別情報が示す種別の何れかと一致するか否かを判定する。1つも一致する種別がない場合、制御部20は、ビーコンの受信に応じた処理は実行しない。一方、制御部20は、一致する種別がある場合、種別テーブルにおいて一致する種別と対応付けられた処理識別情報が示す処理を実行する。
【0075】
例えば種別テーブルには、種別が、一般に人間が携帯するタイプのデバイス(例えば、スマートフォンを含む携帯電話、タブレット端末、ノートパソコン、ラップパソコン等)であることを示す種別情報と、上昇処理を示す処理識別情報とが対応付けられたレコードが登録される。これによれば、ある人間に対して、無人飛行体1が近づいたときに、その人間がビーコン発信装置(ビーコン識別情報を含むビーコンを発信する機能を有する装置)を所持していない場合であっても、その人間が所持しているデバイスが、デバイスの種別を識別可能なビーコンを送信している場合には、人間の明示的な指示によらず、その人間と無人飛行体1との接触を的確に防止できる。なお上記例において、上昇処理とした部分については、近接或いは接触を回避する処理であればよく、例えば、移動停止処理でもよい。
【0076】
また例えば種別テーブルには、種別が無人航空機であることを示す種別情報と、メッセージ送信処理を示す処理識別情報とが対応付けられたレコードが登録される。これによれば無人飛行体1と他の無人航空機とが近づいたときに、他の無人航空機にビーコン発信装置(ビーコン識別情報を含むビーコンを発信する機能を有する装置)が取り付けられていない場合であっても、当該他の無人航空機が近づいたときに人間の指示なく自動でメッセージ送信処理を実行することができる(メッセージの内容は適宜、調整される)。なお上記例において、メッセージ送信処理とした部分については、他の無人航空機が近づいたことに対応する処理であればよく、例えば、ログ記録処理でもよい。
【0077】
次に本変形例に係る制御装置6(および無人飛行体1)の制御方法についてフローチャートを用いて説明する。
図6は、制御装置6(および無人飛行体1)の動作例を示すフローチャートである。
図6で示すように無人飛行体1の駆動中、制御部20は、ビーコン受信ユニット12によりビーコンが受信されたか否かを監視する(ステップSB1)。受信された場合(ステップSB1:YES)、制御部20は、ビーコン識別情報を認識し(ステップSB2)、処理テーブルを参照し(ステップSB3)、ビーコン識別情報の値が、処理テーブルに登録されたビーコン識別情報の値の何れかと一致するか否かを判別する(ステップSB4)。一致する値がある場合(ステップSB4:YES)、制御部20は、処理テーブルにおいて一致する値と対応付けられた処理識別情報が示す処理を実行する(ステップSB5)。
【0078】
一方、1つも一致する値がない場合(ビーコンにビーコン識別情報が含まれていない場合、および、ビーコン識別情報を認識していなかった場合を含む)(ステップSB4:NO)、制御部20は、ビーコンの送信元のデバイスの種別を識別可能か否か判別する(ステップSB6)。識別できない場合(ステップSB6:NO)、制御部20は、ビーコンの受信に応じた処理を実行しない。一方、識別できる場合(ステップSB6:YES)、制御部20は、デバイスの種別を識別し(ステップSB7)、種別テーブルを参照する(ステップSB8)。次いで制御部20は、識別したデバイスの種別が、種別テーブルに登録された種別情報が示す種別の何れかと一致するか否かを判定する(ステップSB9)。1つも一致する種別がない場合(ステップSB9:NO)、制御部20は、ビーコンの受信に応じた処理は実行しない。一方、一致する種別がある場合(ステップSB9:YES)、制御部20は、種別テーブルにおいて一致する種別と対応付けられた処理識別情報が示す処理を実行する(ステップSB10)。
【0079】
<第2実施形態>
次に第2実施形態について説明する。
図7は、本実施形態に係る制御装置6Aの機能構成例を示すブロック図である。本実施形態に係る制御装置6Aは、対応自動車1Aに搭載される装置である。対応自動車1Aとは、自律型無人自動車或いは自動運転車である。自律型無人自動車とは、いわゆるUGVと呼ばれる、搭乗者を乗せずに自律走行する自動車である。自動運転車は、搭乗者を乗せて(当然、乗せなくてもよい)自動運転走行で走行する自動車である。以下、自律型無人自動車および自動運転車を総称して「対応自動車1A」という。対応自動車1Aは、特許請求の範囲の「移動体」に相当する。
【0080】
図7で示すように、制御装置6Aにはビーコン受信ユニット12Aと、記憶ユニット13Aと、走行実行装置30とが接続されている。ビーコン受信ユニット12Aは、第1実施形態に係るビーコン受信ユニット12と同等の機能を有する。記憶ユニット13Aは、第1実施形態に係る記憶ユニット13と同等の機能を有する。
【0081】
また走行実行装置30は、自動運転走行或いは自律運転走行を実行する装置である。走行実行装置30は、車両の環境(車両の位置や、車両が走行する周囲の状況、車車間距離等)を検出する各種センサや、車両の状態(車速や、相対方位、ギアの状態等)を検出する各種センサ、車両の推進に関する各種機構(エンジンや、トランスミッション、ブレーキ、ステアリング等)を制御する各種ECU等に接続され、車両の環境および車両の状態に応じて各種ECUを制御して自動運転走行或いは自律運転走行を実行する。
【0082】
図7で示すように制御装置6Aは機能構成として制御部20Aを備えている。制御部20Aは、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み出して実行する等、ハードウェアとソフトウェアとの協働により各種演算処理/情報処理を実行する。
【0083】
本実施形態では、記憶ユニット13Aに第1実施形態と同様、処理テーブルが記憶されている。更に本実施形態では、対応自動車1Aが走行する範囲において、対応自動車1Aと近接或いは接触を防止することが求められる対象物(上述したように、人間を含む生き物、生き物以外の物体を含む)について、第1実施形態と同様、ビーコン発信装置が取り付けられる。その上で処理テーブルには、対象物に取り付けられたビーコン発信装置が発信するビーコンに含まれるビーコン識別情報の値と、対象物との近接或いは接触を防止するための処理を示す処理識別情報とが対応付けられたレコードが登録される。対応自動車1Aについて、近接或いは接触を防止する処理とは、走行実行装置30を制御して、安全を確保しつつ停車や、後進(所定の態様で移動)、走行速度の低下、警告の出力等を行う処理である。
【0084】
また本実施形態では、対応自動車1Aが走行する範囲において、対応自動車1Aが近づいたときに制御装置6Aに何らかの処理(近接或いは接触を回避する処理以外の処理であるものとする)を実行させることが望まれる対象物について、ビーコン発信装置が取り付けられる。その上で、処理テーブルには、対象物に取り付けられたビーコン発信装置が発信するビーコンに含まれるビーコン識別情報の値と、対象物と近づいたときに制御装置6Aに実行させるべき処理を示す処理識別情報とが対応付けられたレコードが登録される。
【0085】
本実施形態に係る制御装置6Aは以下の処理を実行する。なお以下で説明する制御装置6Aの動作は、第1実施形態と同様であり、
図5のフローチャートを援用して制御装置6Aの動作を説明する。対応自動車1Aの駆動中、制御部20Aは、ビーコン受信ユニット12によりビーコンが受信されたか否かを監視する(ステップSA1)。受信された場合(ステップSA1:YES)、制御部20Aは、ビーコンに含まれるビーコン識別情報を認識する(ステップSA2)。次いで制御部20Aは、記憶ユニット13Aに記憶された処理テーブルを参照する(ステップSA3)。
【0086】
次いで制御部20Aは、ステップSA2で認識したビーコン識別情報の値が、処理テーブルに登録されたビーコン識別情報の値の何れかと一致するか否かを判別する(ステップSA4)。1つも一致する値がない場合(ステップSA4:NO)、制御部20Aは、ビーコンの受信に応じた処理は実行しない。一方、制御部20Aは、一致する値がある場合(ステップSA4:YES)、処理テーブルにおいて一致する値と対応付けられた処理識別情報が示す処理を実行する(ステップSA5)。
【0087】
本実施形態によれば第1実施形態と同様、以下の効果を奏する。すなわち、ビーコンを受信したときに、ビーコンに含まれるビーコン識別情報(識別情報)の値に対応付けられた処理が自動で実行される。このため対応自動車1Aが近づき得る対象物、或いは、対応自動車1Aに対して近づき得る対象物が特定の値のビーコン識別情報を含むビーコンを発信するようにした上で、ビーコン識別情報の値の種類ごとに、対応する対象物と対応自動車1Aとが近づいたときに対応自動車1A(或いは対応自動車1Aの制御装置6A)に実行させるべき適切な処理を対応付けることにより、対応自動車1Aと対象物とが近づいた状況となったときに人間が即座に明示的に指示を出すことなく、自動で処理を実行させることが可能である。
【0088】
<第2実施形態の変形例>
次に第2実施形態の変形例について説明する。なお以下で説明する制御装置6Aの動作は、第1実施形態の変形例と同様であり、以下では
図6のフローチャートを援用して本変形例に係る制御装置6Aの動作を説明する。対応自動車1Aの駆動中、制御部20Aは、ビーコン受信ユニット12Aによりビーコンが受信されたか否かを監視する(ステップSB1)。受信された場合(ステップSB1:YES)、制御部20Aは、ビーコン識別情報を認識し(ステップSB2)、処理テーブルを参照し(ステップSB3)、ビーコン識別情報の値が、処理テーブルに登録されたビーコン識別情報の値の何れかと一致するか否かを判別する(ステップSB4)。一致する値がある場合(ステップSB4:YES)、制御部20Aは、処理テーブルにおいて一致する値と対応付けられた処理識別情報が示す処理を実行する(ステップSB5)。
【0089】
一方、1つも一致する値がない場合(ステップSB4:NO)、制御部20Aは、ビーコンの送信元のデバイスの種別を識別可能か否か判別する(ステップSB6)。識別できない場合(ステップSB6:NO)、制御部20Aは、ビーコンの受信に応じた処理を実行しない。一方、識別できる場合、制御部20Aは、デバイスの種別を識別し(ステップSB7)、種別テーブルを参照する(ステップSB8)。次いで制御部20Aは、識別したデバイスの種別が、種別テーブルに登録された種別情報が示す種別の何れかと一致するか否かを判定する(ステップSB9)。1つも一致する種別がない場合(ステップSB9:NO)、制御部20Aは、ビーコンの受信に応じた処理は実行しない。一方、一致する種別がある場合(ステップSB9:YES)、制御部20Aは、種別テーブルにおいて一致する種別と対応付けられた処理識別情報が示す処理を実行する(ステップSB10)。本変形例の構成によれば、第1実施形態の変形例と同様の効果を奏する。
【0090】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、上記各実施形態は本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0091】
例えば上記各実施形態では、移動体として無人飛行体1(第1実施形態)と、対応自動車1A(第2実施形態)とを例示したが、移動体は各実施形態で例示した対象に限られない。すなわち本発明が適用される移動体は、対象物に近づいた状況となったときに、その状況に対応する処理を行わせた方がよい一方、人間が処理の実行を即座に明示的に指示できない事態となり得る移動体であればよい。
【0092】
また第1実施形態では、飛行機構3は、4つのプロペラ4を有していた。しかしながら、飛行機構3が、実施形態で例示した構造に限定されないことは勿論である。例えば、プロペラ4の数は、4つである必要は無く、例えば、3枚や、6枚、8枚等であってもよい。また例えば、飛行機構3は、通常のヘリコプタのように、メインロータ(回転翼)を有し、無人航空機は、メインロータの揚力により浮上し、飛行する構成でもよい。
【符号の説明】
【0093】
1 無人飛行体(移動体)
1A 対応自動車(移動体)
6、6A 制御装置
12、12A ビーコン受信ユニット
20、20A 制御部