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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162880
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】清掃具及び清掃具用収納ケース
(51)【国際特許分類】
   A47K 11/10 20060101AFI20221018BHJP
   A46B 17/02 20060101ALI20221018BHJP
   A47L 13/10 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
A47K11/10
A46B17/02
A47L13/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067933
(22)【出願日】2021-04-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2020年12月4日~2021年4月13日に納品先に納品
(71)【出願人】
【識別番号】000100850
【氏名又は名称】株式会社アイセン
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】別府 正士
【テーマコード(参考)】
2D036
3B074
3B202
【Fターム(参考)】
2D036DA22
2D036DA26
3B074AA03
3B074AB05
3B202AA44
3B202AB20
3B202GB02
(57)【要約】
【課題】便器の封水部の奥側を容易に清掃する。
【解決手段】柄1の先端に清掃体3を設けてある清掃具であって、柄1は、把持部10を有する略直線状の基端側直線柄部11と、基端側直線柄部11の延長線よりも柄後面側RCにおいて、基端側直線柄部11の先端から略円弧状に湾曲又は屈曲しながら柄前面側FCに向って延出される先端側弧状柄部12と、が備えられている。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄の先端に清掃体を設けてある清掃具であって、
前記柄は、把持部を有する略直線状の基端側直線柄部と、前記基端側直線柄部の延長線よりも柄後面側において、前記基端側直線柄部の先端から略円弧状に湾曲又は屈曲しながら柄前面側に向って延出される先端側弧状柄部と、が備えられている清掃具。
【請求項2】
前記清掃体は、前記先端側弧状柄部の円弧延長方向に略沿う姿勢で前記先端側弧状柄部の先端に取付けられている請求項1記載の清掃具。
【請求項3】
前記清掃体は、前記先端側弧状柄部の先端部に取付けられる清掃支持部の上面及び下面を含む全周を一重環状に覆う長さと可撓性を有し、前記清掃体の端部を前記清掃支持部に外方側から押し付け固定する押圧固定部が設けられている請求項1又は2記載の清掃具。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の清掃具を収容する清掃具用収納ケースであって、
底壁部と当該底壁部の周囲から立ち上がる周壁部とを有する上方開口の収納部と、前記周壁部から立設され、且つ、前記周壁部内に前記清掃体が収容された縦向き姿勢の清掃具の前記基端側直線柄部を嵌合状態で保持する柄保持部と、が備えられ、前記柄保持部には、前記基端側直線柄部の前面と当接する当接部が設けられている清掃具用収納ケース。
【請求項5】
前記柄保持部の上端部には、前記清掃具の前記基端側直線柄部に設けた係合突起が上下方向から係合可能な係合凹部が形成され、前記係合突起が前記係合凹部に係合し、且つ、前記基端側直線柄部の前面が前記柄保持部の前記当接部に当接したとき、前記清掃体を前記周壁部の内面及び前記底壁部の内面から離間した状態で収納保持する構成にしてある請求項4記載の清掃具用収納ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレブラシ等の清掃具で、特に、柄の先端に清掃体を設けてある清掃具及びそれを収容する清掃具用収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
上述の清掃具として、例えば、特許文献1に示すトイレ用クリーナが存在する。このトイレ用クリーナの柄は、把持部を有する略直線状の上側直線柄部と、この上側直線柄部の延長線よりも柄前面側において、基端側直線柄部の先端から略円弧状に湾曲しながら下方側に向って延出される下側弧状柄部と、から構成されている。下側弧状柄部の先端には、清掃体の芯材部の中間部位が、前端側ほど下方に位置する前下がり傾斜姿勢で取付けられ、芯材部の前端部は上方に向って屈曲形成されている。
【0003】
また、トイレ用クリーナを収納する収納ケースは、円形の底壁部と、この底壁部の周囲から立ち上がる円筒状の周壁部とを有する。柄の上側直線柄部の後面の下端部には、収納ケースの周壁部の上端開口縁に上方から係合可能な係合凹部が形成されている。柄の係合凹部を収納ケースの上端開口縁に係合させた状態では、トイレ用クリーナの清掃体を収納ケースの周壁部の内面及び底壁部の内面から離間した状態で収納保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6276953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のトイレ用クリーナでは、柄の下側弧状柄部が、略直線状の上側直線柄部の延長線よりも柄前面側において略円弧状に湾曲しながら張り出すため、例えば、図10に示す便器70の排水路71の封水部72を清掃する際、柄の下側弧状柄部が、封水部72の堰73を構成する前壁部74と干渉し易い。また、清掃体の芯材部が、下側弧状柄部の先端に対して前下がり傾斜姿勢に構成されていても、便器70の封水部72に対する清掃範囲が限定される問題がある。
【0006】
さらに、柄の上側直線柄部の後面の下端部に形成されている係合凹部を、収納ケースの上端開口縁に係合させた状態では、トイレ用クリーナに対して、清掃体が収納ケースの周壁部の内面に近接する方向のモーメントが発生する。収納ケースを動かした際にトイレ用クリーナが揺れ動き易い。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、便器の封水部の奥側を容易に清掃することのできる清掃具及びそれの収納に適した清掃具用収納ケースを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1特徴構成は、柄の先端に清掃体を設けてある清掃具であって、
前記柄は、把持部を有する略直線状の基端側直線柄部と、前記基端側直線柄部の延長線よりも柄後面側において、前記基端側直線柄部の先端から略円弧状に湾曲又は屈曲しながら柄前面側に向って延出される先端側弧状柄部と、が備えられている点にある。
【0009】
本構成によれば、柄の先端側弧状柄部が、略直線状の基端側直線柄部の延長線よりも柄後面側において、基端側直線柄部の先端から略円弧状に湾曲又は屈曲しながら柄前面側に向って延出されているので、例えば、図10に示す便器70の排水路71の封水部72を清掃する際、柄の先端側弧状柄部が、封水部72の堰73を構成する前壁部74と干渉することを容易に回避することができる。そのため、柄先端の清掃体を便器70の封水部72の奥側に容易に入れ込むことができるので、便器70の封水部72に対する清掃範囲を拡大することができる。
【0010】
本発明の第2特徴構成は、前記清掃体は、前記先端側弧状柄部の円弧延長方向に略沿う姿勢で前記先端側弧状柄部の先端に取付けられている点にある。
【0011】
本構成によれば、清掃体は、先端側弧状柄部の円弧延長方向に略沿う姿勢で柄前面側に向って延出されているので、便器の封水部に対する清掃範囲を拡大しながら、先端側弧状柄部を短くして、柄の製作コストの低廉化を図ることができる。
【0012】
本発明の第3特徴構成は、前記清掃体は、前記先端側弧状柄部の先端部に取付けられる清掃支持部の上面及び下面を含む全周を一重環状に覆う長さと可撓性を有し、前記清掃体の端部を前記清掃支持部に外方側から押し付け固定する押圧固定部が設けられている点にある。
【0013】
本構成によれば、清掃支持部に対して、清掃体を一重環状に巻き付け装着するため、清掃体の材料面での無駄がない。且つ、清掃支持部に巻き付け装着された清掃体を、それの外周面側となる清掃面の周方向長さを確保しながらコンパクトに構成することができる。しかも、清掃体の端部を、押圧固定部で清掃支持部に外方側から押し付け固定するため、清掃体に対する固定用の孔加工等を削減することができ、清掃具のコストダウンを図ることができる。
【0014】
本発明の第4特徴構成は、前記第1~3特徴構成のいずれか一つに記載の清掃具を収容する清掃具用収納ケースであって、
底壁部と当該底壁部の周囲から立ち上がる周壁部とを有する上方開口の収納部と、前記周壁部から立設され、且つ、前記周壁部内に前記清掃体が収容された縦向き姿勢の清掃具の前記基端側直線柄部を嵌合状態で保持する柄保持部と、が備えられ、前記柄保持部には、前記基端側直線柄部の前面と当接する当接部が設けられている点にある。
【0015】
本構成によれば、清掃具の格納時には、上方開口の収納部の周壁部から立設され柄保持部に、清掃具の基端側直線柄部を嵌合保持させる。この嵌合保持状態では、縦向き姿勢で収納された清掃具の柄のずれ動きを、柄保持部の内面との接当によって規制することができる。しかも、嵌合保持されている清掃具には、基端側直線柄部の延長線よりも柄後面側において略円弧状に湾曲又は屈曲する先端側弧状柄部によって、収納ケースの周壁部の内面における基端側直線柄部の延長線相当部位に近接する方向のモーメントが発生する。このモーメントによって基端側直線柄部の前面が柄保持部の当接部に当接維持されるので、収納ケースを動かした時の清掃具のガタツキを抑制することができる。
【0016】
本発明の第5特徴構成は、前記柄保持部の上端部には、前記清掃具の前記基端側直線柄部に設けた係合突起が上下方向から係合可能な係合凹部が形成され、前記係合突起が前記係合凹部に係合し、且つ、前記基端側直線柄部の前面が前記柄保持部の前記当接部に当接したとき、前記清掃体を前記周壁部の内面及び前記底壁部の内面から離間した状態で収納保持する構成にしてある点にある。
【0017】
本構成によれば、収納部の柄保持部の上端部に形成した係合凹部に、清掃具の基端側直線柄部に設けた係合突起を上方から係合させるだけで、柄保持部と基端側直線柄部との嵌合保持及び前記モーメントとによって、清掃体が収納部の周壁部の内面及び底壁部の内面から離間した縦向きの収納姿勢で清掃具を安定的に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】清掃具及び収納ケースの分離時の斜視図
図2】清掃具及び収納ケースの収納時の縦断面図(a)と柄の水平断面図(b)
図3】収納ケースの係合凹部と柄の係合突起の拡大斜視図
図4】清掃支持部と押圧固定部と清掃体の分解斜視図
図5】清掃支持部と押圧固定部の組付け状態を示す側面図
図6】清掃支持部と押圧固定部の組付け状態を示す平面図
図7】清掃体に清掃支持部を組付けた状態を示す平面図
図8】清掃体の押圧固定前の側面図
図9】清掃支持部と押圧固定部を柄に嵌合装着したときの側面図
図10】清掃具の使用状態を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、トイレの便器の清掃に好適に用いられる清掃具Aと、それを収納する収納ケースBを示す。清掃具Aは、図1図3に示すように、合成樹脂製の柄1と、柄1の先端部に取付けられる合成樹脂製の清掃支持部2と、清掃支持部2の構成部材である清掃支持本体21の上面21a及び下面21bを含む全周を覆う可撓性の清掃体3と、が備えられている。
【0020】
清掃具Aの柄1は、図1図2に示すように、把持部10を有する略直線状の基端側直線柄部11と、基端側直線柄部11の後面11bの延長線よりも柄後面側RCにおいて、基端側直線柄部11の先端から略円弧状に湾曲又は屈曲しながら柄前面側FCに向って延出される先端側弧状柄部12と、を備える。清掃支持本体21は、柄1の一部を兼用構成し、先端側弧状柄部12の円弧延長方向に略沿う姿勢で先端側弧状柄部12の先端に取付けられている。そのため、清掃支持本体21の全周を覆う清掃体3も、先端側弧状柄部12の円弧延長方向に略沿う姿勢に構成されている。清掃体3の先端は、基端側直線柄部11の後面11bの延長線上又はその近傍に位置する。
【0021】
上述のように、柄1の先端側弧状柄部12は、基端側直線柄部11の後面11bの延長線よりも柄後面側RCにおいて、基端側直線柄部11の先端から略円弧状に湾曲又は屈曲しながら柄前面側FCに向って延出されている。この形態により、例えば、図10に示すように、便器70の排水路71の封水部72を清掃する際、柄1の先端側弧状柄部12が、封水部72の堰73を構成する前壁部74と干渉することを容易に回避することができる。そのため、柄1の先端に取付けられている清掃体3を便器70の封水部72の奥側に容易に入れ込むことができるので、便器70の封水部72に対する清掃範囲を拡大することができる。
【0022】
さらに、清掃体3は、先端側弧状柄部12の円弧延長方向に略沿う姿勢で柄前面側FCに向って延出されているので、便器70の封水部72に対する清掃範囲を拡大しながら、先端側弧状柄部12を短くして、柄1の製作コストの低廉化を図ることができる。
【0023】
把持部10は、図2に示すように、後方に向って開口する水平断面が略「コ」の字状の把持前方体10Aと、前方に向って開口する水平断面が略「コ」の字状の把持後方体10Bと、を備える。把持前方体10Aの下端部は、基端側直線柄部11の上端に一体形成されている。把持前方体10A内の上下複数個所(本実施形態では三箇所)には、把持前方体10Aの前面10aに対して直交する補強板部10Cが一体形成されている。
【0024】
把持後方体10Bは、図2(b)に示すように、把持前方体10Aに対して後方から嵌合装着自在に構成されている。そのため、把持前方体10Aの幅方向両側の開口端には、幅方向内方側に撓み変形可能な第1係合爪10Dが一体形成されている。把持後方体10Bの幅方向両側の開口端には、幅方向外方側に撓み変形可能な第2係合爪10Eが一体形成されている。把持前方体10Aに対して把持後方体10Bを後方から嵌合装着するとき、第1係合爪10Dと第2係合爪10Eとが撓み変形しながら係合する。
【0025】
把持部10は、図1図3に示すように、前後方向の寸法が左右方向の寸法よりも若干大きな矩形状の横断面形状に構成されている。基端側直線柄部11及び先端側弧状柄部12の各々も、前後方向の寸法が左右方向の寸法よりも若干大きな矩形状の横断面形状に構成されている。
把持部10の下端部の前後寸法D1は、図1図3に示すように、基端側直線柄部11の上端部の前後寸法D2よりも少し大に構成されている。そのため、把持部10の前面10aの下端と基端側直線柄部11の前面11aの上端との間に水平な前側段差面13aが形成されている。この前側段差面13aの前後寸法は、後述する収納ケースBの柄保持部53の前壁部53Aの厚みと同一又は略同一に構成されている。
【0026】
把持部10の下端部の左右寸法W1は、図1図3に示すように、基端側直線柄部11の上端部の左右寸法W2よりも少し大に構成されている。そのため、把持部10の左右の側面10bの下端と基端側直線柄部11の左右の側面11cの上端との間に水平な横側段差面13bが形成されている。この横側段差面13bの左右寸法は、後述する収納ケースBの柄保持部53の側壁部53Bの厚みと同一又は略同一に構成されている。
前側段差面13a及び左右の横側段差面13bは、柄保持部53の前壁部53Aの上端面53a及び左右の側壁部53Bの上端面53bに載置可能に構成されている。
【0027】
収納ケースBは、図1図2に示すように、平面視矩形状の底壁部50と、この底壁部50の周囲から立ち上がる周壁部51とを有する上方開口の収納部52を備える。収納部52の周壁部51は、底壁部50の周囲から上方に向って一体形成される内側周壁部51Aと、この内側周壁部51Aの上端から外方側の上方に向って一体形成される傾斜上壁部51Bと、傾斜上壁部51Bの外周縁から下方に向って一体形成される外側周壁部51Cと、を備える。外側周壁部51Cの下端は、底壁部50の下面よりも下方に突出した状態で安定良く接地する。
【0028】
図1図2に示すように、収納部52の傾斜上壁部51Bのうち、前方側辺の前側上壁部分51Baは、左右の横側辺の横側上壁部分51Bb及び後方側辺の後側上壁部分51Bcよりも広幅に構成されている。前側上壁部分51Baの左右方向の中央部には、後方に向って開口する水平断面が略「コ」の字状の柄保持部53が立設されている。この柄保持部53は、底壁部50及び内側周壁部51Aで形成される収納空間55内に清掃体3が収容された縦向き姿勢の清掃具Aの基端側直線柄部11を嵌合状態で保持する。
柄保持部53は、図1図2に示すように、片手で余裕をもって把持可能な長さ(高さ寸法)に形成され、収納ケースBの持ち運び用の取手として機能する。つまり、柄保持部53は取手に構成されている。
【0029】
柄保持部53は、前壁部53Aと左右の側壁部53Bを備える。柄保持部53の前壁部53Aの水平な上端面53a及び左右の側壁部53Bの水平な上端面53bは、柄1の前側段差面13a及び左右の横側段差面13bに対する載置面に構成されている。左右の側壁部53Bの対向面間の内寸法は、清掃具Aの基端側直線柄部11の左右の側面11cの外面間寸法よりも僅かに大なる寸法に構成されている。
また、柄保持部53の前壁部53Aの内面は、清掃具Aの基端側直線柄部11の前面11aと当接する当接部54に構成されている。柄保持部53の前壁部53Aの内面と基端側直線柄部11の前面11aとは面当たり状態で接触する。
【0030】
柄保持部53の上端面53a,53bに、柄1の前側段差面13a及び左右の横側段差面13bを載置することにより、清掃具Aの基端側直線柄部11は柄保持部53に嵌合保持される。この嵌合保持状態では、柄保持部53の前壁部53Aの内面及び左右の側壁部53Bの内面により、清掃具Aの柄1の前方及び左右方向の動きを規制する。これにより、縦向き姿勢で収納されている清掃具Aの柄1をガタツキの少ない状態で保持することができる。
【0031】
しかも、嵌合保持されている清掃具Aには、基端側直線柄部11の後面11bの延長線よりも柄後面側RCにおいて略円弧状に湾曲又は屈曲する先端側弧状柄部12によって、内側周壁部51Aの内面における基端側直線柄部11の後面11bの延長線相当部位に近接する方向のモーメントが発生する。このモーメントにより、基端側直線柄部11の前面11aが柄保持部53の前壁部53Aの内面である当接部54に当接維持されるので、収納ケースBを動かした時の清掃具Aのガタツキを抑制することができる。
【0032】
柄保持部53の左右の側壁部53Bの上端部には、上方及内面側に開口する略「U」の字状の係合凹部56が形成されている。基端側直線柄部11の左右の側面11cの上端部には、柄保持部53の左右の係合凹部56に上方から係合する係合突起57が形成されている。
そして、清掃具Aの基端側直線柄部11の係合突起57が、収納ケースBの柄保持部53の係合凹部56に上下方向から係合し、且つ、清掃具Aの基端側直線柄部11の前面11aが、柄保持部53の前壁部53Aの内面である当接部54に当接したとき、清掃体3を内側周壁部51Aの内面及び底壁部50の内面から離間した状態で収納空間55内に収納保持する構成にしてある。
【0033】
清掃具Aの基端側直線柄部11の係合突起57を、収納ケースBの柄保持部53の係合凹部56に上方から係合させるだけで、柄保持部53と基端側直線柄部11との嵌合保持及び前記モーメントとによって、清掃体3が収納部52の内側周壁部51Aの内面及び底壁部50の内面から離間した縦向きの収納姿勢で清掃具Aを安定的に保持することができる。
【0034】
次に、清掃具Aの清掃体3の取付け構造について詳述する。
清掃体3は、図1図8に示すように、それの長手方向の両端面3a,3b同士を突き合せた状態で清掃支持本体21に一重環状に巻き付け装着されている。清掃体3の両端面3a,3bは、図1図8に示すように、清掃支持本体21の上面21aにおける柄1の先端部側に偏位した略直線状の部位に配置されている。突き合せた状態にある清掃体3の両端面3a,3b同士は接着剤で接着されている。さらに、清掃体3の少なくとも突き合せ状態にある両端部3A,3Bを清掃支持本体21に外方側から押し付け固定する押圧固定部4が設けられている。
【0035】
上述のように、清掃支持部2の清掃支持本体21に対して、清掃体3を、それの長手方向の両端面3a,3b同士を突き合せた状態で一重環状に巻き付け装着するため、例えば、清掃支持本体21の全周長よりも長い清掃体3を、それの両端部が上下二重となる重ね合わせ状態で巻回してある場合に比べて、清掃体3の材料面での無駄がない。且つ、清掃支持本体21に巻き付け装着された清掃体3を、それの外周面側となる清掃面の周方向長さを確保しながらコンパクトに構成することができる。しかも、突き合せ状態にある清掃体3の両端部3A,3Bを、押圧固定部4で清掃支持本体21に外方側から押し付け固定するため、清掃体3に対する固定用の孔加工等を削減することができ、清掃具Aのコストダウンを図ることができる。
【0036】
次に、清掃具Aの各部の構成について詳述する。
柄1の先端側弧状柄部12の先端部には、図9に示すように、先端面に開口する横断面形状が横長矩形状の接続口14が形成されている。この先端側弧状柄部12の接続口14には、後述の清掃支持部2の清掃支持本体21の基端部に一体形成された角軸状の柄取付け部22と、押圧固定部4の押圧体41の基端部に一体形成された角軸状の柄取付け部42とが重合状態で摺動のみ自在に嵌合装着される。
【0037】
また、図9に示すように、先端側弧状柄部12における接続口14の形成領域の中間位置には、清掃支持部2の柄取付け部22の嵌合装着方向に対して直交する水平な幅方向に貫通する第1貫通孔15が形成されている。清掃支持部2の柄取付け部22には、図8に示すように、接続口14内の所定嵌合位置に挿入されたとき、先端側弧状柄部12の第1貫通孔15に幅方向で連通する第2貫通孔23が形成されている。そして、図6図7に示すように、先端側弧状柄部12の第1貫通孔15と、清掃支持部2の柄取付け部22の第2貫通孔23とにわたって、清掃支持本体21の柄取付け部22の離脱を阻止するピン状の抜け止め部材5が脱着自在に挿入される。
【0038】
清掃支持部2は、図4図6に示すように、平面視略長方形の輪郭形状に形成された板状の清掃支持本体21と、この清掃支持本体21の基端側短辺の幅方向中央部から略45度の傾斜角度で一体的に延出される角軸状の柄取付け部22とを備える。清掃支持本体21は、図7に示すように、清掃体3の横幅よりも小なる横幅に構成されている。また、清掃支持本体21の前端部21Aは、図2図5に示すように、略90度の角度で上方(清掃支持本体21の上面21a側)に湾曲形成されている。この清掃支持本体21の湾曲前端部21Aにより、便器の上部開口の周りで開口中心側に突出する縁部(リムと呼称される場合もある。)の裏側である縁裏を容易に清掃することができる。
【0039】
図4図6に示すように、清掃支持本体21の上面21aにおける幅方向の両側部位で、長辺方向に間隔をおいた二箇所の各々には、清掃体3の内面に喰い込み可能な円錐状の先鋭な第1小突起24が一体形成されている。清掃支持本体21の下面21bにおける幅方向の両側部位で、長辺方向に間隔をおいた二箇所の各々には、清掃体3の内面に喰い込み可能な円錐状の先鋭な第2小突起25が一体形成されている。清掃支持本体21の湾曲前端部21Aの先端面21cにおける幅方向の両側部位には、清掃体3の内面に喰い込み可能な円錐状の先鋭な第3小突起26が一体形成されている。第1小突起24と第2小突起25と第3小突起26の各々は、同一又は略同一の突出高さに構成されている。
第1小突起24の各々は、突起根元の中心を通る垂直線に対して先端側が清掃支持本体21の基端側に少し傾く緩傾斜姿勢に構成されている。第2小突起25の各々は、突起根元の中心を通る垂直線に対して先端側が清掃支持本体21の先端側に少し傾く緩傾斜姿勢に構成されている。第3小突起26の各々は、清掃支持本体21の湾曲前端部21Aの先端面21cに対して略垂直姿勢に構成されている。
【0040】
図4図6に示すように、清掃支持本体21の幅方向の中央部で、且つ、押圧固定部4の押圧体41における押圧面41aの先端部分に対応する部位には、押圧体41の押圧面41aに向って延出される円錐状の先鋭な爪部27が一体形成されている。この爪部27は、第1小突起24の突出高さよりも二倍以上高く、その先端部は、押圧体41の押圧面41aの近傍に位置する。また、爪部27は、爪根元の中心を通る垂直線に対して先端側が清掃支持本体21の基端側に傾き、且つ、第1小突起24の傾斜角度よりも大きな傾斜角度に構成されている。
清掃支持本体21の幅方向の中央部には、爪部27を成形するための矩形状の型抜き孔28が貫通形成されている。
【0041】
そして、図2図9に示すように、押圧体41にて清掃体3の両端部3A,3Bの外側面を押圧したとき、清掃支持部2から押圧体41の押圧面41aに向って延出された爪部27が清掃体3に喰い込むと同時に、押圧体41の押圧面41aと爪部27との間での清掃体3の挟持力が強くなる。これにより、清掃体3の両端部3A,3Bの外側面にわたる領域を、押圧体41で清掃支持本体21の上面21a側に押圧するという簡素な取付け構造を採りながらも、清掃体3をずれ動きの無い状態で強固に挟持固定することができる。
【0042】
清掃支持部2の柄取付け部22は、図4図6に示すように、清掃支持本体21の厚みよりも大なる高さ及び横幅を備え、且つ、横断面形状が横長矩形状の角軸状に構成されている。この清掃支持部2の柄取付け部22の横幅は、先端側弧状柄部12の接続口14の横幅よりも僅かに小なる寸法に設定されている。清掃支持部2の柄取付け部22の高さは、先端側弧状柄部12の接続口14の高さよりも小なる寸法に設定されている。そのため、清掃支持部2の柄取付け部22が接続口14内の所定嵌合位置に挿入されたとき、柄取付け部22の上面と接続口14内の天井面との間には、押圧固定部4の柄取付け部42が摺動状態で嵌合装着自在な嵌合スペースが形成されている。
【0043】
清掃支持部2の柄取付け部22の上面は、図4図5図9に示すように、押圧固定部4の柄取付け部42の下面と高さ方向で重合可能に構成されている。重合された清掃支持部2の柄取付け部22と押圧固定部4の柄取付け部42との重合輪郭形状は、先端側弧状柄部12の接続口14の内面輪郭形状よりも僅かに小なる相似形に構成されている。
清掃支持部2の柄取付け部22と押圧固定部4の柄取付け部42との重合部位には、図4図5図9に示すように、重合方向から係合する位置決め用の係合部6が設けられている。この係合部6は、清掃支持部2の柄取付け部22の上面に形成された横幅方向に沿う半円形状の係合溝6Aと、押圧固定部4の柄取付け部42の下面に横幅方向に沿って形成された半円形状の係合突起6Bとを備える。この係合溝6Aと係合突起6Bとの係合深さは、図9に示すように、先端側弧状柄部12の接続口14の内面と、重合状態で挿入された清掃支持部2の柄取付け部22及び押圧固定部4の柄取付け部42の外面との間の隙間よりも十分に大きな係合代に設定されている。
【0044】
そして、図9に示すように、柄1の先端側弧状柄部12の接続口14に、清掃支持部2の柄取付け部22と押圧固定部4の柄取付け部42とを重合状態で嵌合装着する。この状態では、両柄取付け部22,42の重合部位に設けられた係合部6の係合溝6Aと係合突起6Bとが重合方向から係合して、両柄取付け部22,42の嵌合装着方向での相対移動は阻止されている。そのため、先端側弧状柄部12の第1貫通孔15と清掃支持本体21の柄取付け部22の第2貫通孔23とにわたってピン状の抜け止め部材5を挿入するだけで、柄1の接続口14からの両柄取付け部22,42の抜け出し移動を確実に阻止することができる。したがって、押圧固定部4の柄取付け部42と清掃支持部2の柄取付け部22との抜け止め構造の簡素化を図ることができる。
【0045】
押圧固定部4は、図4図6図9に示すように、清掃体3の両端部3A,3Bの外側面にわたる領域を外方側から押し付け可能な扁平板状の押圧体41と、この押圧体41の基端側短辺の幅方向中央部から略45度の傾斜角度で一体的に延出される柄取付け部42とを備える。押圧体41の横幅は、図6に示すように、清掃支持本体21の横幅と同一又は略同一で、且つ、清掃体3の横幅よりも小に構成されている。
図5図9に示すように、押圧固定部4の柄取付け部42と清掃支持部2の柄取付け部22とが重合状態で柄1の接続口14に嵌合装着された状態では、清掃支持本体21と押圧体41との対向面間隔Wが、清掃体3の両端部3A,3Bを押圧状態で固定する挟持間隔に構成されている。
【0046】
また、図9に示すように、押圧固定部4の柄取付け部42と清掃支持部2の柄取付け部22とが重合状態で柄1の接続口14内の所定嵌合位置に挿入されたとき、押圧体41の基端面41bが、先端側弧状柄部12の接続口14を構成する天井壁12Aの先端面12aに当接する。つまり、押圧体41の基端面41bは、両柄取付け部22,42を所定嵌合位置に規制する挿入位置規制面に構成されている。
【0047】
そして、図9に示すように、押圧固定部4の柄取付け部42と清掃支持部2の柄取付け部22とを重ね合わせて、その重合状態にある両柄取付け部22,42を、柄1の接続口14に嵌合装着する。これにより、清掃支持本体21の上面21aと押圧体41の押圧面41aとの対向面間隔Wが、清掃体3の両端部3A,3Bを押圧固定する挟持間隔となるので、清掃体3の固定作業を迅速、容易に行うことができる。
【0048】
清掃体3は、図7に示すように、比較的腰のある不織布等からマット状に構成され、それの長手方向の両端面3a,3b同士を突き合せた状態で清掃支持本体21に一重環状に巻き付け装着されている。清掃体3の長手方向の一端側で、且つ、横幅方向の中央部位には、押圧固定部4の柄取付け部42と清掃支持部2の柄取付け部22とが重合状態で挿入される装着孔31が貫通形成されている。
本実施形態では、清掃体3の外表面層には、フッ素樹脂粉体を含有する清掃用処理剤が付着されている。
【0049】
〔別実施形態〕
(1)上述の実施形態では、柄1の先端側弧状柄部12と清掃支持部2の柄取付け部22とにわたって、清掃支持部2の柄取付け部22の離脱を阻止する抜け止め部材5を設けたが、この抜け止め構造に限定されない。例えば、柄1の先端側弧状柄部12と押圧固定部4の柄取付け部42とにわたって、押圧固定部4の柄取付け部42の離脱を阻止する抜け止め部材5を設けてもよい。
【0050】
(2)上述の実施形態では、柄1の先端部の接続口14に対して、清掃支持部2の柄取付け部22と押圧固定部4の柄取付け部42とを重合状態で嵌合装着自在に構成したが、この取付け構造に限定されない。例えば、清掃支持部2の柄取付け部22を柄1の先端部に一体形成し、押圧固定部4の柄取付け部42を、清掃体3の突き合せ状態にある両端部3A,3Bを清掃支持本体21に外方側から押し付け固定する押圧状態で柄1の先端部に取付けてもよい。この場合、清掃支持部2の清掃支持本体21及び柄取付け部22は、柄1の一部を構成する。
【0051】
(3)上述の実施形態では、清掃体3を、それの長手方向の両端面3a,3b同士を突き合せた状態で清掃支持本体21に一重環状に巻き付け装着したが、この巻き付け構造に限定されない。例えば、清掃体3を、それの長手方向の両端面3a,3b間に隙間を設けた状態で清掃支持本体21に一重環状に巻き付け装着してもよい。
【0052】
(4)上述の実施形態では、押圧固定部4により、清掃体3の両端部3A,3Bを清掃支持本体21に外方側から押し付け固定したが、この押し付け構造に限定されない。例えば、清掃体3の両端面3a,3b同士が接着されている場合、或いは、清掃体3の他端部が清掃支持本体21側に接着又は係止されている場合では、清掃体3の一端部のみを押圧固定部4で清掃支持本体21に押し付け固定してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 柄
2 清掃支持部
3 清掃体
4 押圧固定部
10 把持部
11 基端側直線柄部
12 先端側弧状柄部
50 底壁部
51 周壁部
52 収納部
53 柄保持部
54 当接部
56 係合凹部
57 係合突起
A 清掃具
B 収納ケース
FC 柄前面側
RC 柄後面側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10