IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイヘンの特許一覧

<>
  • 特開-落線検出装置 図1
  • 特開-落線検出装置 図2
  • 特開-落線検出装置 図3
  • 特開-落線検出装置 図4
  • 特開-落線検出装置 図5
  • 特開-落線検出装置 図6
  • 特開-落線検出装置 図7
  • 特開-落線検出装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162883
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】落線検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/08 20200101AFI20221018BHJP
【FI】
G01R31/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067938
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】前田 博宣
【テーマコード(参考)】
2G033
【Fターム(参考)】
2G033AA02
2G033AB01
2G033AC01
2G033AD18
2G033AF00
(57)【要約】
【課題】整定値の演算によらずに配電線の電圧を適正に且つ自律的に調整することが可能な電圧調整装置を提供する。
【解決手段】電力系統の送配電線(101,102,103)に又は2つの送配電線を相互に支持する支持ロープ(111,112)に取り付けられて送配電線の落下を検出する落線検出装置(1)は、加速度を検出する加速度センサ(11)と、加速度センサが検出した加速度に基づいて送配電線の落下を検出するマイコン(12)と、マイコンが検出した落下を外部に報知する通信モジュール(13)と、自然エネルギーに基づく電力を発電する発電素子(14)と、発電素子が発電した電力で充電されて加速度センサ、マイコン及び通信モジュールに電力を供給する蓄電池(16)とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統の送配電線に又は2つの前記送配電線を相互に支持する支持部材に取り付けられて前記送配電線の落下を検出する落線検出装置であって、
加速度を検出する加速度センサと、
該加速度センサが検出した加速度に基づいて前記送配電線の落下を検出する制御部と、
該制御部が検出した落下を外部に報知する報知部と、
自然エネルギーに基づく電力を発電する発電素子と、
該発電素子が発電した電力で充電されて前記加速度センサ、前記制御部及び前記報知部に電力を供給する蓄電池と
を備える落線検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、動作状態と、該動作状態より消費電力が少ない省電力状態との間で状態遷移が可能であり、前記加速度センサが検出した加速度の大きさが所定の閾値より小さい場合に、前記省電力状態から前記動作状態に遷移する
請求項1に記載の落線検出装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記加速度センサが検出した加速度の値又は該加速度の大きさが所定の閾値範囲を逸脱した場合に、前記落下を検出する請求項1又は請求項2に記載の落線検出装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記加速度センサが検出した加速度の大きさが、第1時間より短い時間間隔で第1閾値以上又は第2閾値以下となる状態が、前記第1時間より長い第2時間以上継続した場合に、前記落下を検出する請求項1から請求項3の何れか1項に記載の落線検出装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記加速度センサが検出した加速度の大きさが、第3閾値以下の状態が第3時間以上継続した場合に、前記落下を検出する請求項1から請求項3の何れか1項に記載の落線検出装置。
【請求項6】
気圧を検出する気圧センサ及び角速度を検出するジャイロセンサの少なくとも一方を更に備え、
前記制御部は、前記気圧センサが検出した気圧の変化又は前記ジャイロセンサが検出した角速度の変化に基づいて前記落下を検出する
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の落線検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送配電線の落下を検出して報知する落線検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送配電線の落下を防止する様々な技術が提案されているが、実際に送配電線が落下した場合に、直接的に落下を検出又は検知する技術については、発明者らが知る限りにおいて殆ど開示されていない。
【0003】
送配電線が落下したことは、断線や地落を検出することによって間接的に検出される場合がある。例えば、特許文献1には、電線にパルス信号を印加したときに電線に流れる電流を計測し、計測した電流波形を参照用の電流波形と比較して断線を検出する技術が開示されている。また、電線にパルス電圧を印加して、故障点から反射するパルス電圧を観測し、その往復伝播時間から故障点までの距離を測定する、いわゆるパルスレーダ法が知られている。
【0004】
更に、特許文献2には、零相電圧検出器が検出した零相電圧及び零相変流器が検出した零相電流に基づいて電力系統に発生した地絡故障およびその方向性を検出する地絡方向継電器が開示されている。
【0005】
一方、特許文献3には、送配電線に係る物理量によらずに、電力線に作用する加速度を検出して電力線の変位量を計測することにより、電力線でのギャロッピング、スリートジャンプ等を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-23105号公報
【特許文献2】特開2008-295257号公報
【特許文献3】特開2002-300735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された技術によれば、電線が断線に至らない限り、電線の支持体の倒壊、異物の接触等の異常を検出することができない。また、特許文献2に開示された技術によれば、地絡点のインピーダンスが比較的低インピーダンスでなければ地絡を検出できない。更に、特許文献3に開示された技術によれば、電力線の変位量の計測、演算及び遠隔受信装置への信号伝送のための電源として、電力線に結合された変流器が必要となり、電力線に作用する荷重の増大が懸念されるという問題があった。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、送配電線に作用する荷重を極力抑えて送配電線の落下を検出することが可能な落線検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る落線検出装置は、電力系統の送配電線に又は2つの前記送配電線を相互に支持する支持部材に取り付けられて前記送配電線の落下を検出する落線検出装置であって、加速度を検出する加速度センサと、該加速度センサが検出した加速度に基づいて前記送配電線の落下を検出する制御部と、該制御部が検出した落下を外部に報知する報知部と、自然エネルギーに基づく電力を発電する発電素子と、該発電素子が発電した電力で充電されて前記加速度センサ、前記制御部及び前記報知部に電力を供給する蓄電池とを備える。
【0010】
本発明にあっては、自然エネルギーを利用して発電する発電素子によって充電される蓄電池から、加速度センサ、制御部及び報知部に給電される。自装置が電力系統の送配電線に又は2つの送配電線の支持部材に取り付けられている場合、加速度センサが検出した加速度に基づいて制御部が電力系統の送配電線の落下を検出したときに、報知部がその旨を報知する。これにより、自装置でまかなう電力で送配電線の落下を検出して報知する。
【0011】
本発明に係る落線検出装置は、前記制御部は、動作状態と、該動作状態より消費電力が少ない省電力状態との間で状態遷移が可能であり、前記加速度センサが検出した加速度の大きさが所定の閾値より小さい場合に、前記省電力状態から前記動作状態に遷移する。
【0012】
本発明にあっては、加速度センサが所定の閾値より大きさが小さい加速度を検出した場合に、制御部が省電力状態から動作状態に復帰する。これにより、加速度センサが重力加速度又はそれに近い大きさの加速度を検出している間は、制御部が省電力状態にあって消費電力が低減される。
【0013】
本発明に係る落線検出装置は、前記制御部は、前記加速度センサが検出した加速度の値又は該加速度の大きさが所定の閾値範囲を逸脱した場合に、前記落下を検出する。
【0014】
本発明にあっては、加速度センサが、その値又はその大きさが所定の閾値範囲を逸脱する加速度を検出した場合に、制御部が送配電線の落下を検出する。これにより、例えば、落下する自装置が支持部材に引き留められた時又は何らかの障害物に当たった時の衝撃によって送配電線の落下が検出される。
【0015】
本発明に係る落線検出装置は、前記制御部は、前記加速度センサが検出した加速度の大きさが、第1時間より短い時間間隔で第1閾値以上又は第2閾値以下となる状態が、前記第1時間より長い第2時間以上継続した場合に、前記落下を検出する。
【0016】
本発明にあっては、加速度センサが第1閾値以上又は第2閾値以下の大きさの加速度を第1時間より短い時間間隔で第2時間以上継続して検出した場合に、制御部が送配電線の落下を検出する。これにより、落下する自装置が支持部材に引き留められた後又は何らかの障害物に当たった後に上下動を繰り返す場合に送配電線の落下が検出される。
【0017】
本発明に係る落線検出装置は、前記制御部は、前記加速度センサが検出した加速度の大きさが、第3閾値以下の状態が第3時間以上継続した場合に、前記落下を検出する。
【0018】
本発明にあっては、加速度センサが第3閾値以下の大きさの加速度を第3時間以上継続して検出した場合に、制御部が送配電線の落下を検出する。これにより、自装置が自由落下又はそれに近い状態を第3時間以上維持し続ける場合に送配電線の落下が検出される。
【0019】
本発明に係る落線検出装置は、気圧を検出する気圧センサ及び角速度を検出するジャイロセンサの少なくとも一方を更に備え、前記制御部は、前記気圧センサが検出した気圧の変化又は前記ジャイロセンサが検出した角速度の変化に基づいて前記落下を検出する。
【0020】
本発明にあっては、気圧センサによる気圧の検出結果から算出される高度の変化又はジャイロセンサによる角速度の検出結果から算出される向きの変化を更に考慮することにより、送配電線の落下をより正確に検出することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、送配電線に作用する荷重を極力抑えて送配電線の落下を検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態1に係る落線検出装置が取り付けられた送配電線のうちの1本の落下を模式的に示す説明図である。
図2】実施形態1に係る落線検出装置の構成例を示すブロック図である。
図3】加速度センサで検出される加速度の大きさ(SRSS)の実測値を示すグラフである。
図4】実施形態1に係る落線検出装置で送配電線の落下を検出するマイコンの処理手順を示すフローチャートである。
図5】実施形態2に係る落線検出装置が間接的に取り付けられた送配電線のうちの1本の落下を模式的に示す説明図である。
図6】実施形態2に係る落線検出装置で送配電線の落下を検出するマイコンの処理手順を示すフローチャートである。
図7】実施形態3に係る落線検出装置が取り付けられた送配電線の落下を模式的に示す説明図である。
図8】実施形態3に係る落線検出装置で送配電線の落下を検出する制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施形態1)
本実施形態1以下の各実施形態では、発電所から変電所まで若しくは変電所間の送電に用いられる送電線、又は変電所から需要家までの送電に用いられる配電線(以下、これらを総称して送配電線という)に取り付けられて送配電線の落下を検出する落線検出装置について説明する。送配電線の落下は送配電線が断線した場合に発生するが、例えば送配電線の支持構造物が倒壊した場合又は送配電線に異物が覆い被さった場合にも発生し得る。送配電線の落下の検出結果は、無線通信によって対向する無線装置に報知されるが、報知する手段が電波によるものに限定されるものではなく、光や音波等による他の手段であってもよい。以下では、送配電線の落下を落線とも言う。
【0024】
図1は、実施形態1に係る落線検出装置1,1,1がそれぞれに取り付けられた送配電線101,102,103のうちの1本の落下を模式的に示す説明図である。図1Aは、送配電線103の断線箇所を×印で示すものであり、図1Bは、断線後に落下する送配電線103を模式的に示すものである。送配電線101及び102は、可撓性のある支持部材である2本の支持ロープ111,111によって相互に支持されている。送配電線102及び103は、2本の支持ロープ112,112によって相互に支持されている。支持ロープ111,112は、棒状の可撓性に乏しい素材を用いたものであってもよい。
【0025】
送配電線101,102,103のそれぞれには、支持ロープ111又は112で支持された位置を挟んで落線検出装置1,1,1が取り付けられている。落線検出装置1,1,1は、送配電線101,102,103が風等によって揺れた場合であっても、できるだけ向きが変わらないようにして、送配電線101,102,103のそれぞれに固定されていることが好ましい。
【0026】
図1Aに示すように、送配電線103が×印を付した位置で断線した場合、図1Bに破線で示すように、分断された送配電線103が鉛直下方に落下する。この場合、送配電線103に取り付けられた落線検出装置1,1,1は、自由落下又はそれに近い状態の後に、支持ロープ112,112の何れかで支持された送配電線103によって引き留められる。落下から引き留められた落線検出装置1,1,1には、主に鉛直上方に大きな加速度が加わり、その後加速度が増減しながら減衰する。落線検出装置1は、自身に加わる加速度の変化に基づいて送配電線103の落下を検出する。
【0027】
図2は、実施形態1に係る落線検出装置1の構成例を示すブロック図である。落線検出装置1は、加速度を検出する加速度センサ11と、該加速度センサ11が検出した加速度に基づいて送配電線101,102,103の落下を検出する制御部であるマイクロコンピュータ(以下マイコンという)12と、マイコン12が検出した落線を報知する報知部である通信モジュール13とを備える。
【0028】
落線検出装置1は、また、自然エネルギーに基づく電力を発電する発電素子14と、該発電素子14が発電した電圧を充電に適した電圧に調整する充電器15と、該充電器15によって充電される蓄電池16とを備える。蓄電池16が蓄電した電力は、加速度センサ11、マイコン12及び通信モジュール13に供給される。
【0029】
加速度センサ11は、汎用の3軸デジタルセンサであるが、アナログセンサであってもよいし、1軸や2軸のセンサであってもよい。加速度センサ11が1軸又は2軸のセンサである場合は、送配電線101,102,103の落下の際に加速度センサ11に加わる加速度の方向と、加速度センサ11が加速度を感度良く検出する方向とができるだけ一致するようになっていることが好ましい。加速度センサ11がアナログセンサである場合は、検出された加速度のアナログ信号をA/Dコンバータでデジタル信号に変換してマイコン12に入力させることとする。
【0030】
ここでの加速度センサ11は、例えばアナログ・デバイセズ社製のADXL350又はADXL343である。これらの加速度センサ11は、検出した加速度の大きさが閾値を下回った状態で設定時間が経過した場合、低消費電力で低サンプリングレートのスリープ・モードに切り替わり、アクティブなイベントが検出されると元のサンプリングレートに戻って割込を発生させる。この割込はマイコン12に与えられる。加速度の大きさとは、各軸の加速度の二乗和平方根(SRSS=Square Root Sum of Squares )又は各軸の加速度の絶対値である(特に断りの無い限り、以下同様)。加速度センサ11による3軸の加速度のデータは、I2C(Inter-Integrated Circuit )又はSPI(Serial Peripheral Interface )によって、マスタのマイコン12に伝送される。
【0031】
マイコン12は、不図示のCPU(Central Processing Unit )を有し、予めROM(Read Only Memory )に記憶された制御プログラムに従って入出力、演算、タイマを用いた時間の計測等の処理を行う。CPUによる各処理の手順を定めたコンピュータプログラムを、不図示の手段を用いて予めRAM(Random Access Memory )にロードし、ロードされたコンピュータプログラムをCPUで実行するようにしてもよい。
【0032】
マイコン12は、通常の動作状態と、消費電力が低減された省電力状態(いわゆるスリープモード)との間で状態遷移が可能である。省電力状態にあるマイコン12に加速度センサ11から割込が与えられた場合、マイコン12は省電力状態から動作状態に遷移する。動作状態に遷移したマイコン12は、I2C又はSPIにより加速度センサ11から3軸の加速度のデータを時系列的に取得して送配電線101,102,103の落下を検出する。落線の検出結果は、例えばUART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter )によって、スレーブの通信モジュール13に伝送される。通信モジュール13によっては、I2C又はSPIによりマイコン12と接続され得る。
【0033】
通信モジュール13は、Wi-SUN(登録商標:Wireless Smart Utility Network )の規格に準拠するモジュールであるが、Zigbee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の他の無線規格に準拠するものであってもよい。通信モジュール13は、LE(Low Energy )スーパーフレーム、CSL(Coordinated Sampled Listening )又はRIT(Receiver Initiated Transmission )の何れかのプロトコルによって、送配電線101,102,103の落下を報知するデータフレームを送信する。CSL以外のプロトコルによれば、マイコン12からの検出結果の受信からデータフレームの送信までの間に、ビーコン間隔(例えば30秒程度)に相当する時間未満の待ちが発生する。また、CSLのプロトコルによれば、少なくともウェイクアップフレームの連続送信時間だけデータフレームの送信が遅れる。
【0034】
発電素子14はソーラーパネルであるが、これに限定されるものではない。例えば、発電素子14として圧電素子等の振動発電素子を用いてもよい。特に周囲の交流磁場に基づいて発電する場合は、特開2020-114136号公報、特開2020-137162号公報及び特開2020-156285号公報に開示された方法を用いればよい。
【0035】
充電器15は、発電素子14が出力する発電電力と、蓄電池16が必要とする充電電力に応じて適当な構成を選択すればよい。例えば、発電素子14がソーラーパネルである場合、充電器15は、MPPT制御(最大電力点追従制御:Maximum Power Point Tracking )を行って、蓄電池16を定電流充電、定電圧充電、フローティング充電等で充電する。
【0036】
蓄電池16は、ここではリチウムイオン電池であるが、これに限定されるものではない。例えば、蓄電池16として電気二重層キャパシタ等の大容量コンデンサを用いてもよい。この場合、充電器15は充電電流を制御することとし、蓄電池16の出力側に昇降圧回路を含む定電圧電源を備えていることが好ましい。
【0037】
次に、縮小してモデル化した送配電線103に取り付けられた落線検出装置1で検出される加速度の実測値について説明する。図3は、加速度センサ11で検出される加速度の大きさ(SRSS)の実測値を示すグラフである。ここでは、碍子と碍子の間における送配電線103の1スパンの途中で断線が発生した場合を想定する。落線検出装置1のモデルには、加速度センサ11として上述のADXL343が搭載されており、ADXL343が検出したX,Y,Z各軸の各加速度のデータがアンテナ付きの無線タグによって測定系に伝送されるようになっている。
【0038】
図3Aでは、一方の碍子と断線箇所との中間で支持ロープ112が送配電線103を支持しており、且つ支持ロープで支持された箇所と断線箇所との中間に落線検出装置1が取り付けられている場合に検出される加速度の大きさの波形を示す。図3Bでは、一方の碍子と断線箇所との中間に落線検出装置1が取り付けられており、且つ落線検出装置1の取付位置と断線箇所との中間で支持ロープが送配電線103を支持している場合に検出される加速度の大きさの波形を示す。図3Cでは、一方の碍子と断線箇所との中間に落線検出装置1が取り付けられており、且つ落線検出装置1の取付位置の断線箇所側にて支持ロープが送配電線103を支持している場合に検出される加速度の大きさの波形を示す。図3Dでは、一方の碍子と断線箇所との中間に落線検出装置1が取り付けられており、且つ落線検出装置1の取付位置の碍子側にて支持ロープが送配電線103を支持している場合に検出される加速度の大きさの波形を示す。
【0039】
図3Aから図3Dに示す各波形図は、縦軸が加速度(G)を表し、横軸が時間(秒=s)を表す。何れの図においても、落線検出装置1が落下し始めた時点で加速度の大きさが0に向けて一瞬低下し、その直後に増大のピークを迎えて減衰振動に移って行く様子が見てとれる。加速度の大きさが0に向けて一瞬低下する前に不規則な波形が見られるのは、落下試験の準備段階で発生する加速度によるものであり、ここでは無視する。加速度センサ11のX,Y,Z各軸のセンサが検出する加速度の値は、重力加速度の向きとの関係によって符号が正又は負になり、絶対値が図3に示す加速度の大きさ以下となる。
【0040】
落線検出装置1が静止している場合、加速度センサ11のX,Y,Z各軸のセンサが検出する加速度の値は、絶対値が1G以下の一定値である。落線検出装置1が自由落下した場合、加速度センサ11のX,Y,Z各軸のセンサが検出する加速度の値は0Gである。落線検出装置1が自由落下の後に送配電線103によって引き留められた場合、加速度センサ11のX,Y,Z各軸のセンサは、正又は負のパルス的な加速度を検出する。そこで本実施形態1では、図3に示す実測値を踏まえて、加速度センサ11が検出した加速度の値が所定の閾値範囲を逸脱した場合に、送配電線101,102,103の落下を検出する。所定の閾値範囲とは、例えば+1.5Gから-1.5Gの範囲である。
【0041】
以下では、上述したマイコン12の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。以下に示す処理は、マイコン12に内蔵されたROMに予め格納された制御プログラムに従ってCPUにより実行される。例えば、加速度センサ11がADXL350又はADXL343である場合、X,Y,Z各軸のセンサが検出する加速度の大きさ(SRSS又は各軸の加速度の全ての絶対値)が、予め設定された閾値を設定された時間だけ下回った時に自由落下イベントによる割込が発生する。本実施形態1では、この割込によって動作状態に復帰したマイコン12が、その後に所定の閾値範囲を逸脱する加速度を検出して送配電線101,102,103の落下を精度良く検出する。
【0042】
図4は、実施形態1に係る落線検出装置1で送配電線101,102,103の落下を検出するマイコン12の処理手順を示すフローチャートである。図4の処理は、加速度センサ11からの割込によって、マイコン12が動作状態に復帰した場合に開始される。マイコン12が省電力状態を有しない場合は、図4の処理を適時繰り返し実行すればよい。
【0043】
図4の処理が開始された場合、マイコン12のCPUは、監視タイマをスタートさせる(S11)。次いで、CPUは、加速度センサ11からX軸の加速度を取得し(S12)、取得した加速度の値が所定の閾値範囲内にあるか否かを判定する(S13)。閾値範囲内にある場合(S13:YES)、CPUは、加速度センサ11からY軸の加速度を取得し(S14)、取得した加速度の値が所定の閾値範囲内にあるか否かを判定する(S15)。
【0044】
取得したY軸の加速度の値が閾値範囲内にある場合(S15:YES)、CPUは、加速度センサ11からZ軸の加速度を取得し(S16)、取得した加速度の値が所定の閾値範囲内にあるか否かを判定する(S17)。閾値範囲内にある場合(S17:YES)、CPUは、監視タイマがタイムアップしたか否かを判定する(S18)。
【0045】
監視タイマがタイムアップした場合(S18:YES)、CPUは、マイコン12を省電力状態に移行させて(S19)図4の処理を終了する。一方、監視タイマがタイムアップしていない場合(S18:NO)、CPUは、加速度の判定処理を繰り返すために、ステップS12に処理を移す。
【0046】
ステップS13、S15又はS17のそれぞれにて、X軸、Y軸又はZ軸の加速度の値が閾値範囲内にない場合(S13,S15,S17:NO)、CPUは、自身が搭載された落線検出装置1が取り付けられている送配電線の落下(落線)を、通信モジュール13によって報知した(S20)後、図4の処理を終了する。ステップS13,S15,S17での判定に代えて、各軸の加速度の大きさ(SRSS又は各軸の加速度の全ての絶対値)が閾値範囲(例えば+1.5Gから+0.5G)内にあるか否かを判定してもよい。
【0047】
なお、本実施形態1にあっては、加速度センサ11に基づいて落線を検出したが、気圧センサ及び/又はジャイロセンサに更に基づいて落線を検出してもよい。具体的には、加速度センサ11に基づいて落線を検出しようとする際に、気圧センサによる高度の変化が所定の高度差以上である場合、若しくはジャイロセンサによる向きの変化が所定の角度以上である場合、又はこれらの条件が両方満たされた場合に、初めて落線を検出するようにしてもよい。
【0048】
以上のように本実施形態1によれば、自然エネルギーを利用して発電する発電素子14によって充電される蓄電池16から、加速度センサ11、マイコン12及び通信モジュール13に給電される。自装置が電力系統の送配電線101,102,103に取り付けられており、加速度センサ11が検出した加速度に基づいてマイコン12が送配電線101、102又は103の落下を検出したときに、通信モジュール13が落線の旨を報知する。これにより、自装置でまかなう電力で送配電線101,102,103の落下を検出して落線を報知する。従って、送配電線101,102,103に作用する荷重を極力抑えて送配電線101,102,103の落下を検出することが可能となる。
【0049】
また、実施形態1によれば、加速度センサ11が、その大きさ(SRSS又は各軸の検出値の全ての絶対値)が設定された閾値より小さい加速度を設定された時間だけ検出した場合に、マイコン12が省電力状態から動作状態に復帰する。従って、加速度センサ11が重力加速度又はそれに近い大きさの加速度を検出している間は、制御部を省電力状態にして消費電力を低減することができる。
【0050】
更に、実施形態1によれば、加速度センサ11が、その値又はその大きさ(SRSS又は各軸の検出値の何れかの絶対値)が所定の閾値範囲を逸脱する加速度を検出した場合に、マイコン12が送配電線101,102,103の落下(落線)を検出する。従って、例えば落下する自装置が送配電線101,102,103の何れかに引き留められた時又は何らかの障害物に当たった時の衝撃によって落線を検出することができる。
【0051】
更に、実施形態1によれば、気圧センサによる気圧の検出結果から算出される高度の変化又はジャイロセンサによる角速度の検出結果から算出される向きの変化を更に考慮することにより、送配電線101,102,103の落下をより正確に検出することができる。
【0052】
(実施形態2)
実施形態1が、送配電線101,102,103のそれぞれに落線検出装置1,1,1を取り付けてある形態であるのに対し、実施形態2は、支持ロープ111,111,112,112のそれぞれに落線検出装置1を取り付けてある形態である。実施形態2に係る落線検出装置1のブロック構成は、実施形態1に係る落線検出装置1のものと同様であるため、対応する箇所に同様の符号を付して図示及びその説明を省略する。
【0053】
図5は、実施形態2に係る落線検出装置1が間接的に取り付けられた送配電線101,102,103のうちの1本の落下を模式的に示す説明図である。図5Aは、送配電線103の断線箇所を×印で示すものであり、図1Bは、断線後に落下する送配電線103を模式的に示すものである。支持ロープ111,111,112,112のそれぞれには、落線検出装置1が取り付けられている。落線検出装置1は、送配電線101,102,103が風等によって揺れた場合であっても、できるだけ向きが変わらないようにして、支持ロープ111,111,112,112のそれぞれに固定されていることが好ましい。
【0054】
図5Aに示すように、送配電線103が×印を付した位置で断線した場合、図5Bに破線で示すように、分断された送配電線103が鉛直下方に落下する。この場合、支持ロープ112,112のそれぞれに取り付けられた落線検出装置1は、自由落下又はそれに近い状態の後に、支持ロープ112,112のそれぞれによって引き留められる。落下から引き留められた落線検出装置1には、主に鉛直上方に大きな加速度が加わり、その後加速度の大きさが増減しながら減衰する。落線検出装置1は、自身に加わる加速度の変化に基づいて送配電線103の落下を検出する。
【0055】
本実施形態2では、送配電線103に落線検出装置1が間接的に取り付けられているため、送配電線103の断線時に落線検出装置1が落下する距離は、実施形態1の場合よりも比較的短いと想定される。即ち、送配電線103の断線時に加速度センサ11のX,Y,Z各軸のセンサが検出する正又は負のパルス的な加速度は、実施形態1の場合よりも大きさが小さいと考えられる。このような場合であっても、所定の閾値範囲を実施形態1の場合よりも狭く設定することにより、送配電線101,102,103の落下を検出することができる。
【0056】
上述のとおり、実施形態1と同様の方法で落線を検出してもよいが、ここでは、実施形態1とは異なる方法で落線を検出する。具体的には、実施形態1の図3に示した加速度の大きさの波形が減衰振動することに着目し、検出した加速度の大きさの振幅が所定の振幅以上となる状態が所定時間以上継続した場合に、マイコン12が送配電線101,102,103の落下を検出することとする。
【0057】
加速度の大きさの振幅とは、重力加速度(1G)に対して正負に変化する振れ幅を指す。そこで、検出した加速度の大きさ(SRSS)が、重力加速度より大きい第1閾値以上又は重力加速度より小さい第2閾値以下となる状態が第1時間より短い時間間隔で第2時間以上継続した場合に、便宜的に落線を検出する。即ち、加速度の大きさの波形が振動することを直接的に検出するものではないが、検出した加速度の大きさの波形が少なくとも第1閾値から第2閾値までの全振幅で振動し、且つ振動周期が第1時間より短い場合に、上記の判定基準で落線を検出することができる。
【0058】
以下では、上述したマイコン12の動作をフローチャートで説明する。以下のフローチャートでは、上述した判定基準を更に簡略化し、検出した加速度の大きさが、重力加速度より大きい第1閾値以上となる状態が第1時間より短い時間間隔で第2時間以上継続した場合に落線を検出する。検出した加速度の大きさが、重力加速度より小さい第2閾値以下となる状態が第1時間より短い時間間隔で第2時間以上継続した場合に落線を検出してもよい。
【0059】
図6は、実施形態2に係る落線検出装置1で送配電線101,102,103の落下を検出するマイコン12の処理手順を示すフローチャートである。図6の処理は、加速度センサ11からの割込によって、マイコン12が動作状態に復帰した場合に開始される。マイコン12が省電力状態を有しない場合は、図4の処理を適時繰り返し実行すればよい。図6のフローチャートは、図1に示す実施形態1の場合に適用してもよい。
【0060】
図6の処理が開始された場合、マイコン12のCPUは、監視タイマをスタートさせる(S21)。その後、CPUは、加速度センサ11からX軸の加速度を取得し(S22)、Y軸の加速度を取得し(S23)、更にZ軸の加速度を取得する(S24)。次いで、CPUは、取得した加速度の大きさであるSRSSを算出し(S25)、算出したSRSSが第1閾値以上であるか否かを判定する(S26)。ステップS22からS26の処理に代えて、各軸の加速度の絶対値が第1閾値以上であるか否かを判定し、何れかが第1閾値以上である場合にステップS27に処理を移すようにしてもよい。
【0061】
SRSSが第1閾値以上である場合(S26:YES)、CPUは、第2タイマがカウント中であるか否かを判定し(S27)、カウント中ではない場合(S27:NO)、即ちカウントを開始していない場合、第2タイマをスタートさせる(S28)。第2タイマは、上述した第2時間を計時するためのタイマである。
【0062】
ステップS28の処理を終えた場合、又はステップS27で第2タイマがカウント中である場合(S27:YES)、CPUは、第2タイマがタイムアップしたか否かを判定する(S29)。第2タイマがタイムアップしていない場合(S29:NO)、即ち第1閾値以上のSRSSを最初に検知してから第2時間が経過していない場合、CPUは、第1タイマをスタートさせて(S30)ステップS22に処理を移す。第1タイマは上述の第1時間を計時するためのタイマである。ステップS30で第1タイマが既にスタートしている場合は、第1タイマを再スタートさせることとなる。
【0063】
ステップS29で第2タイマがタイムアップした場合、即ち第1閾値以上のSRSSを最初に検知してから第2時間が経過した場合、CPUは、自身が搭載された落線検出装置1が間接的に取り付けられている送配電線の落下(落線)を、通信モジュール13によって報知した(S31)後、図6の処理を終了する。
【0064】
ステップS26で、SRSSが第1閾値以上ではない場合(S26:NO)、CPUは、第1タイマがタイムアップしたか否かを判定する(S32)。換言すれば、CPUは、直前に第1閾値以上のSRSSを検出して第1タイマを(再)スタートさせてから第1時間が経過したか否かを判定する。これは、第1時間より短い時間間隔でSRSSが第1閾値以上となるか否かを判定するものである。
【0065】
第1タイマがタイムアップした場合(S32:YES)、CPUは、第1タイマを確実にストップさせ(S33)、更に第2タイマもストップさせて(S34)、第1閾値以上のSRSSが未検出の状態に戻す。ステップS34の処理を終えた場合、又はステップS32で第1タイマがタイムアップしていない場合(S32:NO)、CPUは、監視タイマがタイムアップしたか否かを判定する(S35)。
【0066】
監視タイマがタイムアップしていない場合(S35:NO)、CPUは、次のSRSSを算出して判定するためにステップS22に処理を移す。一方、監視タイマがタイムアップした場合(S35:YES)、CPUは、マイコン12を省電力状態に移行させて(S36)図6の処理を終了する。
【0067】
以上のように本実施形態2によれば、加速度センサ11が、その大きさ(SRSS又は各軸の検出値の何れかの絶対値)が第1閾値以上又は第2閾値以下の加速度を第1時間より短い時間間隔で第2時間以上継続して検出した場合に、マイコン12のCPUが送配電線101,102,103落下を検出する。従って、落下する自装置が支持ロープ111,112に引き留められた後又は何らかの障害物に当たった後に上下動を繰り返す場合に送配電線101,102,103の落下を検出することができる。
【0068】
(実施形態3)
実施形態1が、2本の支持ロープ111,111及び112,112によって相互に支持されている送配電線101,102,103の落下を検出する形態であるのに対し、実施形態3は、どの支持ロープにも支持されていない1本の送配電線103の落下を検出する形態である。実施形態3に係る落線検出装置1のブロック構成は、実施形態1に係る落線検出装置1のものと同様であるため、対応する箇所に同様の符号を付して図示及びその説明を省略する。
【0069】
図7は、実施形態3に係る落線検出装置1が取り付けられた送配電線103の落下を模式的に示す説明図である。図7Aは、送配電線103の断線箇所を×印で示すものであり、図7Bは、断線後に落下する送配電線103を模式的に示すものである。図7Aに示すように、送配電線103が×印を付した位置で断線した場合、図7Bに破線で示すように、分断された送配電線103が鉛直下方に落下する。この場合、送配電線103に取り付けられた落線検出装置1は、自由落下又はそれに近い状態が暫く継続する。落線検出装置1は、自身に加わる加速度の変化に基づいて送配電線103の落下を検出する。
【0070】
本実施形態3では、落線検出装置1が自由落下又はそれに近い状態となる時間が比較的長いことに着目し、検出した加速度の大きさが、重力加速度(1G)より小さい第3閾値以下の状態が第3時間以上継続した場合に落線を検出する。
【0071】
以下では、上述したマイコン12の動作をフローチャートで説明する。図8は、実施形態3に係る落線検出装置1で送配電線103の落下を検出するマイコン12の処理手順を示すフローチャートである。図8の処理は、加速度センサ11からの割込によって、マイコン12が動作状態に復帰した場合に開始される。マイコン12が省電力状態を有しない場合は、図8の処理を適時繰り返し実行すればよい。図8に示すステップS41からステップS45までの処理は、実施形態2の図6に示すステップS21からステップS25までの処理と同様であるため、説明の大部分を省略する。
【0072】
図8の処理が開始された場合、マイコン12のCPUは、取得した各軸の加速度の二乗和平方根(SRSS)、即ち加速度の大きさを算出し(S45)、算出したSRSSが第3閾値以下であるか否かを判定する(S46)。ステップS42からS46の処理に代えて、各軸の加速度の絶対値が第3閾値以下であるか否かを判定し、全てが第3閾値以下である場合にステップS47に処理を移すようにしてもよい。
【0073】
SRSSが第3閾値以下である場合(S46:YES)、CPUは、第3タイマがカウント中であるか否かを判定し(S47)、カウント中ではない場合(S47:NO)、即ちカウントを開始していない場合、第3タイマをスタートさせる(S48)。第3タイマは、上述した第3時間を計時するためのタイマである。
【0074】
ステップS48の処理を終えた場合、又はステップS47で第3タイマがカウント中である場合(S47:YES)、CPUは、第3タイマがタイムアップしたか否かを判定する(S49)。第3タイマがタイムアップしていない場合(S49:NO)、即ち第3閾値以下のSRSSを最初に検知してから第3時間が経過していない場合、CPUは、次のSRSSを算出して判定するためにステップS42に処理を移す。
【0075】
一方、第3タイマがタイムアップした場合(S49:YES)、CPUは、自身が搭載された落線検出装置1が取り付けられている送配電線103の落下(落線)を、通信モジュール13によって報知した(S50)後、図8の処理を終了する。
【0076】
ステップS46で、SRSSが第3閾値以下ではない場合(S46:NO)、CPUは、第3タイマをストップさせて(S51)、第3閾値以上のSRSSが未検出の状態に戻す。その後、CPUは、監視タイマがタイムアップしたか否かを判定する(S52)。監視タイマがタイムアップしていない場合(S52:NO)、CPUは、次のSRSSを算出して判定するためにステップS42に処理を移す。一方、監視タイマがタイムアップした場合(S52:YES)、CPUは、マイコン12を省電力状態に移行させて(S53)図8の処理を終了する。
【0077】
以上のように本実施形態3によれば、加速度センサ11が、その大きさ(SRSS又は各軸の検出値の全ての絶対値)が第3閾値以下の加速度を第3時間以上継続して検出した場合に、マイコン12のCPUが送配電線103の落下を検出する。従って、自装置が自由落下又はそれに近い状態を第3時間以上維持し続ける場合に、送配電線101,102,103の落下を検出することができる。
【0078】
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、各実施形態で記載されている技術的特徴は、お互いに組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 落線検出装置、 11 加速度センサ、 12 マイコン、 13 通信モジュール、 14 発電素子、 15 充電器、 16 蓄電池、 101,102,103 送配電線、 111,112 支持ロープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8