(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162898
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】継手支持具
(51)【国際特許分類】
A62C 35/68 20060101AFI20221018BHJP
F16L 3/08 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
A62C35/68
F16L3/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067960
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000175021
【氏名又は名称】三井化学産資株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592147055
【氏名又は名称】サンコー機材株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】石井 明史
(72)【発明者】
【氏名】草深 博之
(72)【発明者】
【氏名】平川 英明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 伸顕
【テーマコード(参考)】
2E189
3H023
【Fターム(参考)】
2E189CC08
3H023AA05
3H023AB04
3H023AC04
3H023AD26
3H023AD55
3H023AE07
(57)【要約】
【課題】可動部材のスムーズな昇降が可能となる継手支持具を提供する。
【解決手段】継手支持具2は、天井裏に固定される固定部材26と、継手8に締結されると共に固定部材26に昇降自在に装着された可動部材28と、継手8と共に可動部材28を昇降させる送りねじ30とを備える。可動部材28は、第1の締結具80を介して継手8の第1の側面22aに締結される第1の被締結片62と、第1の被締結片62の端部から第1の被締結片62と交差する方向に延び且つ第2の締結具82を介して継手8の第2の側面22bに締結される第2の被締結片64と、送りねじ30のねじ部30bに嵌め合わさる雌ねじ76aが形成された篏合片76とを含む。篏合片76は、第1の被締結片62と第2の被締結片64との交差部分68と、第2の締結具82との間に位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプリンクラー配管とスプリンクラーヘッドとを接続する継手を支持すると共に前記継手の上下方向位置を調整可能な継手支持具であって、
天井裏に固定される固定部材と、前記継手に締結されると共に前記固定部材に昇降自在に装着された可動部材と、前記継手と共に前記可動部材を昇降させる送りねじとを備え、
前記可動部材は、第1の締結具を介して前記継手の第1の側面に締結される第1の被締結片と、前記第1の被締結片の端部から前記第1の被締結片と交差する方向に延び且つ第2の締結具を介して前記継手の第2の側面に締結される第2の被締結片と、前記送りねじのねじ部に嵌め合わさる雌ねじが形成された篏合片とを含み、
前記篏合片は、前記第1の被締結片と前記第2の被締結片との交差部分と前記第1の締結具との間に位置し、または前記交差部分と前記第2の締結具との間に位置する継手支持具。
【請求項2】
前記固定部材は、前記継手の前記第1の側面と前記可動部材の前記第1の被締結片とに挟み込まれる第1の固定片と、前記継手の前記第2の側面と前記可動部材の前記第2の被締結片とに挟み込まれる第2の固定片とを含み、
前記第1の固定片には前記第1の締結具が通る第1の長穴が形成され、前記第1の長穴には前記第1の固定片の厚さに相当する厚さを有する第1の環状片が配置され、
前記第2の固定片には前記第2の締結具が通る第2の長穴が形成され、前記第2の長穴には前記第2の固定片の厚さに相当する厚さを有する第2の環状片が配置されている、請求項1に記載の継手支持具。
【請求項3】
前記可動部材の前記第1の被締結片には前記第1の締結具が通る第1の円形穴が形成されており、前記第1の環状片は前記第1の被締結片に設けられていて前記第1の円形穴の周縁から突出しており、
前記可動部材の前記第2の被締結片には前記第2の締結具が通る第2の円形穴が形成されており、前記第2の環状片は前記第2の被締結片に設けられていて前記第2の円形穴の周縁から突出している、請求項2に記載の継手支持具。
【請求項4】
前記第1の環状片の厚みおよび前記第2の環状片の厚みは、前記送りねじが回転された場合は前記可動部材および前記継手の昇降が阻害されず、前記送りねじが回転されていない場合は前記可動部材および前記継手が動かないように、前記第1の締結具の締結力が前記第1の被締結片、前記第1の固定片および前記継手に作用すると共に、前記第2の締結具の締結力が前記第2の被締結片、前記第2の固定片および前記継手に作用する厚みに設定されている、請求項2または3に記載の継手支持具。
【請求項5】
前記固定部材は前記送りねじの昇降を阻止する拘束手段を含み、
前記拘束手段は、前記送りねじの頭部の上方に位置する上側拘束片と、前記送りねじの頭部の下方に位置する下側拘束片とを有する、請求項1から4までのいずれかに記載の継手支持具。
【請求項6】
前記固定部材または前記可動部材は前記送りねじの傾きを抑制するガイド片を含み、前記ガイド片には前記送りねじが通るガイド穴が形成されている、請求項1から5までのいずれかに記載の継手支持具。
【請求項7】
前記第1の被締結片は前記交差部分の下端よりも下方に延びる下端側部分を有し、前記第1の被締結片の下端側部分が前記第1の締結具を介して前記継手の前記第1の側面に締結され、
前記第2の被締結片は前記交差部分の下端よりも下方に延びる下端側部分を有し、前記第2の被締結片の下端側部分が前記第2の締結具を介して前記継手の前記第2の側面に締結されている、請求項1から6までのいずれかに記載の継手支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリンクラー配管とスプリンクラーヘッドとを接続する継手を支持すると共に継手の上下方向位置を調整可能な継手支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
スプリンクラー消火設備は、加圧送水装置と、加圧送水装置の水を送るためのスプリンクラー配管と、スプリンクラー配管によって送られた水を火災時に散布するためのスプリンクラーヘッドとを備える。スプリンクラー配管は天井裏(天井ボードの上方)に設置され、スプリンクラーヘッドは天井ボードの貫通穴に配置される。
【0003】
スプリンクラー配管およびスプリンクラーヘッドは、天井ボードを施工する前に設置されるため、天井ボードを施工した後に、天井ボードに対するスプリンクラーヘッドの上下方向位置の調整が必要となる場合がある。そこで、天井ボードを施工した後にスプリンクラーヘッドの上下方向位置を調整可能な支持具が提案されている(たとえば下記特許文献1参照。)。
【0004】
下記特許文献1に開示されている支持具は、角バーに取付けられるフレーム本体(固定部材)と、巻き出し用フレキ(スプリンクラー配管)を固定する金具が付設され上下方向にスライド可能なスライド用フレーム(可動部材)と、スライド用フレームをフレーム本体に対してスライドさせる送りねじとを備える。そして、この支持具によれば、スプリンクラーヘッドと天井ボードとの隙間から工具を挿入して送りねじを回転させ、フレーム本体に対してスライド用フレームをスライドさせることにより、天井ボードに対するスプリンクラーヘッドの上下方向位置を調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている支持具においては、スプリンクラー配管を固定する金具の片側に、送りねじに嵌め合わされたナットが位置しているため、送りねじを回転させスライド用フレームをスライドさせる際に、フレーム本体に対してスライド用フレームが傾いてしまい、スライド用フレームがスムーズにスライドすることができないおそれがある。
【0007】
上記事実に鑑みてなされた本発明の課題は、可動部材のスムーズな昇降が可能となる継手支持具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、上記課題を解決する以下の継手支持具が提供される。すなわち、スプリンクラー配管とスプリンクラーヘッドとを接続する継手を支持すると共に前記継手の上下方向位置を調整可能な継手支持具であって、天井裏に固定される固定部材と、前記継手に締結されると共に前記固定部材に昇降自在に装着された可動部材と、前記継手と共に前記可動部材を昇降させる送りねじとを備え、前記可動部材は、第1の締結具を介して前記継手の第1の側面に締結される第1の被締結片と、前記第1の被締結片の端部から前記第1の被締結片と交差する方向に延び且つ第2の締結具を介して前記継手の第2の側面に締結される第2の被締結片と、前記送りねじのねじ部に嵌め合わさる雌ねじが形成された篏合片とを含み、前記篏合片は、前記第1の被締結片と前記第2の被締結片との交差部分と前記第1の締結具との間に位置し、または前記交差部分と前記第2の締結具との間に位置する継手支持具が提供される。
【0009】
好ましくは、前記固定部材は、前記継手の前記第1の側面と前記可動部材の前記第1の被締結片とに挟み込まれる第1の固定片と、前記継手の前記第2の側面と前記可動部材の前記第2の被締結片とに挟み込まれる第2の固定片とを含み、前記第1の固定片には前記第1の締結具が通る第1の長穴が形成され、前記第1の長穴には前記第1の固定片の厚さに相当する厚さを有する第1の環状片が配置され、前記第2の固定片には前記第2の締結具が通る第2の長穴が形成され、前記第2の長穴には前記第2の固定片の厚さに相当する厚さを有する第2の環状片が配置されている。
【0010】
前記可動部材の前記第1の被締結片には前記第1の締結具が通る第1の円形穴が形成されており、前記第1の環状片は前記第1の被締結片に設けられていて前記第1の円形穴の周縁から突出しており、前記可動部材の前記第2の被締結片には前記第2の締結具が通る第2の円形穴が形成されており、前記第2の環状片は前記第2の被締結片に設けられていて前記第2の円形穴の周縁から突出しているのが好適である。
【0011】
前記第1の環状片の厚みおよび前記第2の環状片の厚みは、前記送りねじが回転された場合は前記可動部材および前記継手の昇降が阻害されず、前記送りねじが回転されていない場合は前記可動部材および前記継手が動かないように、前記第1の締結具の締結力が前記第1の被締結片、前記第1の固定片および前記継手に作用すると共に、前記第2の締結具の締結力が前記第2の被締結片、前記第2の固定片および前記継手に作用する厚みに設定されているのが好都合である。
【0012】
前記固定部材は前記送りねじの昇降を阻止する拘束手段を含み、前記拘束手段は、前記送りねじの頭部の上方に位置する上側拘束片と、前記送りねじの頭部の下方に位置する下側拘束片とを有するのが望ましい。
【0013】
前記固定部材または前記可動部材は前記送りねじの傾きを抑制するガイド片を含み、前記ガイド片には前記送りねじが通るガイド穴が形成されているのが好ましい。
【0014】
前記第1の被締結片は前記交差部分の下端よりも下方に延びる下端側部分を有し、前記第1の被締結片の下端側部分が前記第1の締結具を介して前記継手の前記第1の側面に締結され、前記第2の被締結片は前記交差部分の下端よりも下方に延びる下端側部分を有し、前記第2の被締結片の下端側部分が前記第2の締結具を介して前記継手の前記第2の側面に締結されているのが好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の継手支持具によれば、送りねじのねじ部に嵌め合わさる雌ねじが形成された篏合片が、第1の被締結片と第2の被締結片との交差部分と第1の締結具との間に位置し、または交差部分と第2の締結具との間に位置するので、固定部材に対する可動部材の傾きが防止され、継手に締結された可動部材のスムーズな昇降が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に従って構成された継手支持具の第1の実施形態の正面図。
【
図3】(a)
図1におけるIII-III線断面図、(b)(a)におけるB部拡大図。
【
図5】(a)
図1に示す継手の正面図、(b)
図1に示す継手の斜視図。
【
図6】(a)
図1に示す固定部材の平面図、(b)
図1に示す固定部材の正面図、(c)
図1に示す固定部材の側面図、(d)(b)におけるD-D矢視図、(e)(b)におけるE-E矢視図。
【
図7】(a)
図1に示す可動部材の平面図、(b)
図1に示す可動部材の正面図、(c)
図1に示す可動部材の側面図、(d)(b)におけるD-D線断面図、(e)(b)におけるE-E矢視図、(f)(c)におけるF-F線断面図。
【
図8】可動部材が可動域の上限に達した状態における
図1に示す継手支持具の正面図。
【
図9】可動部材が可動域の下限に達した状態における
図1に示す継手支持具の正面図。
【
図10】(a)本発明に従って構成された継手支持具の第2の実施形態の正面図、(b)(a)におけるB-B線断面図。
【
図13】(a)
図10に示す固定部材の平面図、(b)
図10に示す固定部材の正面図、(c)
図10に示す固定部材の側面図、(d)(b)におけるD-D矢視図、(e)(b)におけるE-E矢視図。
【
図14】(a)
図10に示す可動部材の平面図、(b)
図10に示す可動部材の正面図、(c)
図10に示す可動部材の側面図、(d)(b)におけるD-D線断面図、(e)(b)におけるE-E矢視図、(f)(c)におけるF-F線断面図。
【
図15】可動部材が可動域の下限に達した状態における
図10に示す継手支持具の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に従って構成された継手支持具の好適実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0018】
まず、
図1ないし
図9を参照して、本発明の継手支持具の第1の実施形態について説明する。
図1ないし
図3に示すとおり、全体を符号2で示す継手支持具は、スプリンクラー配管4とスプリンクラーヘッド6とを接続する継手8を支持している。スプリンクラー配管4は、たとえばポリプロピレン等の適宜の合成樹脂から形成され、スプリンクラー配管4の上流側端部は加圧送水装置(図示していない。)に接続されている。
【0019】
図4に示すとおり、スプリンクラーヘッド6は、火災時に水を散布する本体部10と、本体部10の上方に配置された締め付けトルク付加部12と、締め付けトルク付加部12の上方に配置された接続部14とを有する。締め付けトルク付加部12は、スプリンクラーヘッド6と継手8とを接続する際に、スパナ等の適宜の工具を用いて締め付けトルクが付加される部分であり、図示の実施形態の締め付けトルク付加部12の外形は正六角形状である。また、締め付けトルク付加部12の頂点間寸法L1は、スプリンクラーヘッド6における幅方向寸法(径方向寸法)の最大値である。
図4に示すとおり、中空円筒状の接続部14の外周面には雄ねじが形成されている。
【0020】
図示の実施形態の継手8は、
図5に示すとおり、流れ方向を90°変える90°エルボ継手であるが、継手の角度は、0°(真直な継手)、45°等の任意の角度でよい。継手8は、金属製の下流側部分16と、インサート成形によって下流側部分16に一体化された合成樹脂製の上流側部分18とを備える。下流側部分16には、外形が正六角形状のナット部20が設けられている。
【0021】
図5に示すとおり、下流側部分16のナット部20の上方には、外形が正方形状の鍔部22が設けられている。鍔部22の第1の側面22aと、第1の側面22aと直交する第2の側面22bとには、雌ねじ22cが形成されている。図示の実施形態では、第1の側面22aに雌ねじ22cが1個形成され、第2の側面22bに雌ねじ22cが2個形成されているが、それぞれの側面に形成される雌ねじの数量は任意でよい。図示していないが、第2の側面22bと直交する第3の側面22d(第1の側面22aの反対側の側面)にも1個以上の雌ねじが形成されていてもよい。
【0022】
継手8の鍔部22の二面幅L2は、スプリンクラーヘッド6の締め付けトルク付加部12の頂点間寸法L1よりも大きい(L2>L1)。また、ナット部20および鍔部22のそれぞれの内周面(少なくともナット部20の内周面)には、雌ねじ23(
図3(a)参照。)が形成されている。そして、継手8の雌ねじ23に、スプリンクラーヘッド6の接続部14の雄ねじが嵌め合わされることにより、継手8とスプリンクラーヘッド6とが接続される。
【0023】
継手8を支持する継手支持具2は、
図1および
図2に示すとおり、天井裏(天井ボード24よりも上方の空間)に固定される固定部材26と、継手8に締結されると共に固定部材26に昇降自在に装着された可動部材28と、継手8と共に可動部材28を昇降させる送りねじ30とを備える。
【0024】
図6を参照して説明すると、固定部材26は、長方形状の第1の固定片32と、第1の固定片32の幅方向片側端部(
図6(b)における右側端部)から第1の固定片32と交差する方向(図示の実施形態では直交する方向)に延びる長方形状の第2の固定片34と、第2の固定片34の上端部から第2の固定片34と交差する方向(図示の実施形態では直交する方向)に延びる長方形状の第3の固定片36とを含む。固定部材26は、鋼板等の適宜の金属製板材を折り曲げることにより形成され得るが、複数枚の板材を溶接等により接合することによって形成されていてもよい。
【0025】
図6(b)に示すとおり、第1の固定片32には、上下方向に延びる第1の長穴38が形成されている。第1の長穴38は、第1の固定片32と第2の固定片34との交差部分40(図示の実施形態では折り曲げ部分)とは反対側の端部(
図6(b)における左側端部)に位置している。
図6(c)に示すとおり、第2の固定片34には、上下方向に延びる第2の長穴42が形成されている。第2の長穴42は、交差部分40とは反対側の端部(
図6(c)における右側端部)に位置している。第1・第2の長穴38、42のそれぞれの上下方向寸法は同一であり、第1・第2の長穴38、42のそれぞれの上端位置および下端位置は整合している。
【0026】
図6(a)に示すとおり、第3の固定片36には、第3の長穴44が形成されている。図示の実施形態では
図1に示すとおり、固定部材26は、天井スラブ46に部分的に埋め込まれた寸切りボルト48と、ナット50とによって天井スラブ46に固定されており、寸切りボルト48は第3の固定片36の第3の長穴44を通っている。なお、天井裏における固定部材26の固定態様は上述した態様に限定されず、たとえば、天井スラブ46に取り付けられたブラケット(図示していない。)に固定部材26が固定されていてもよい。
【0027】
図1、
図2および
図6に示すとおり、図示の実施形態の固定部材26は、送りねじ30の昇降を阻止する拘束手段52を含む。第2の固定片34の下端側に配置されている拘束手段52は、いずれも第2の固定片34から突出する上側拘束片54および下側拘束片56を有する。上側拘束片54および下側拘束片56のそれぞれは、第2の固定片34に対して直交する方向に、第2の固定片34を部分的に折り曲げることにより形成されている。
【0028】
図6(d)に示すとおり、上側拘束片54には、送りねじ30のねじ部30bを受け入れるU形状の切り欠き54aが形成されている。切り欠き54aの幅Wnは、送りねじ30の頭部30aの幅Wh(
図1参照。)よりも小さく、かつ、送りねじ30のねじ部30bの幅Wb(
図1参照。)よりも大きい(Wh>Wn>Wb)。
図6(e)に示すとおり、下側拘束片56には、送りねじ30を回転させるための工具(たとえば、
図1に示す六角棒スパナ58)の先端部を通すための円形穴56aが形成されている。円形穴56aの直径は、送りねじ30の頭部30aの幅Whよりも小さい。
【0029】
そして、
図1に示すとおり、上側拘束片54は、送りねじ30の頭部30aの上方に位置し、下側拘束片56は、送りねじ30の頭部30aの下方に位置しており、送りねじ30が工具によって回転された際に、上側拘束片54および下側拘束片56によって送りねじ30の昇降が阻止されるようになっている。なお、上側拘束片54の下面と下側拘束片56の上面との間の寸法が、送りねじ30の頭部30aの高さよりも若干(たとえば数mm程度)大きくなっていることにより、送りねじ30が若干(たとえば数mm程度)昇降するようになっていてもよい。
【0030】
図示の実施形態の固定部材26は、送りねじ30の傾きを抑制するガイド片60を含む。ガイド片60は、第2の固定片34から突出しており、上側拘束片54の上方に配置されている。また、ガイド片60は、上側拘束片54および下側拘束片56と同様に、第2の固定片34に対して直交する方向に、第2の固定片34を部分的に折り曲げることにより形成されている。
図6(a)に示すとおり、ガイド片60には、送りねじ30のねじ部30bが通るガイド穴60aが形成されている。
図6(a)に示すガイド穴60aは円形であるが長穴であってもよい。
【0031】
図7を参照して可動部材28について説明すると、可動部材28は、長方形状の第1の被締結片62と、第1の被締結片62の幅方向片側端部(
図7(b)における右側端部)から第1の被締結片62と交差する方向(図示の実施形態では直交する方向)に延びる長方形状の第2の被締結片64とを含む。可動部材28も、固定部材26と同様に、鋼板等の適宜の金属製板材を折り曲げることにより形成され得るが、複数枚の板材を溶接等により接合することによって形成されていてもよい。
【0032】
図7(b)に示すとおり、第1の被締結片62には、第1の円形穴66が形成されている。第1の円形穴66は、第1の被締結片62と第2の被締結片64との交差部分68(図示の実施形態では折り曲げ部分)とは反対側の端部(
図7(b)における左側端部)に位置している。
図7(c)に示すとおり、第2の被締結片64には第2の円形穴70が形成されている。第2の円形穴70は、交差部分68とは反対側の端部(
図7(c)における右側端部)に位置している。第1・第2の円形穴66、70のそれぞれの直径は同一であり、第1・第2の円形穴66、70のそれぞれの中心の上下方向位置は整合している。
【0033】
図7(a)および
図7(d)に示すとおり、図示の実施形態の第1の被締結片62には、第1の円形穴66の周縁から突出する第1の環状片72が設けられている。第1の環状片72の厚み(軸方向寸法)Tr1は、第1の固定片32の厚みTf1(
図6(a)および
図6(c)参照。)に相当する厚みである。具体的には、第1の環状片72の厚みTr1は、第1の固定片32の厚みTf1と同一であるか、あるいは第1の固定片32の厚みTf1よりも若干大きい(Tr1≧Tf1)。
【0034】
図7(a)および
図7(f)に示すとおり、図示の実施形態の第2の被締結片64には、第2の円形穴70の周縁から突出する第2の環状片74が設けられている。第2の環状片74の厚み(軸方向寸法)Tr2は、第2の固定片34の厚みTf2(
図6(b)参照。)に相当する厚みである。具体的には、第2の環状片74の厚みTr2は、第2の固定片34の厚みTf2と同一であるか、あるいは第2の固定片34の厚みTf2よりも若干大きい(Tr2≧Tf2)。なお、図示の実施形態においては、第1の環状片72の厚みTr1と第2の環状片74の厚みTr2とは同一であり(Tr1=Tr2)、第1の固定片32の厚みTf1と第2の固定片34の厚みTf2とは同一である(Tf1=Tf2)。
【0035】
図7(b)および
図7(c)に示すとおり、可動部材28は、交差部分68と第2の円形穴70との間において第2の被締結片64の上端部から突出する篏合片76と、交差部分68と第2の円形穴70との間において第2の被締結片64の下端部から突出するガイド片78とを含む。篏合片76およびガイド片78のそれぞれは、第2の被締結片64に対して直交する方向に延びている。
図7(a)に示すとおり、篏合片76には、送りねじ30のねじ部30bに嵌め合わさる雌ねじ76aが形成されている。
図7(e)に示すとおり、送りねじ30の傾きを抑制するガイド片78には、送りねじ30のねじ部30bが通るガイド穴78aが形成されている。
図7(e)に示すガイド穴78aは円形であるが長穴であってもよい。
【0036】
図1ないし
図3を参照することによって理解されるとおり、可動部材28の第1の被締結片62は、第1の締結具80を介して継手8の鍔部22の第1の側面22aに締結されている。第2の被締結片64は、第2の締結具82を介して継手8の鍔部22の第2の側面22bに締結されている。
図3に示すとおり、可動部材28と継手8とが締結される際には、鍔部22の第1の側面22aと第1の被締結片62とに固定部材26の第1の固定片32が挟み込まれ、鍔部22の第2の側面22bと第2の被締結片64とに固定部材26の第2の固定片34が挟み込まれる。
【0037】
図3(b)に示すとおり、第1の締結具80は、第1の被締結片62の第1の円形穴66と、第1の固定片32の第1の長穴38とを通り、鍔部22の第1の側面22aの雌ねじ22cに嵌め合わされている。第2の締結具82は、第2の被締結片64の第2の円形穴70と、第2の固定片34の第2の長穴42とを通り、鍔部22の第2の側面22bの雌ねじ22cに嵌め合わされている。なお、図示の実施形態の第1・第2の締結具80、82は蝶ボルトであるが、六角ボルト、なべ小ねじ等の適宜の締結具でもよい。
【0038】
図1および
図2に示すとおり、送りねじ30は上下方向に延びるように配置されている。送りねじ30の頭部30aは下側に位置し、ねじ部30bは上側に位置している。図示の実施形態における送りねじ30は六角穴付きボルトであるが、十字穴付きねじ、すりわり付きねじ等であってもよい。
【0039】
上記のとおりの継手支持具2を組み立てる際は、まず、送りねじ30のねじ部30bを可動部材28のガイド片78のガイド穴78aに通した後、篏合片76の雌ねじ76aに嵌め合わせ、可動部材28と送りねじ30とを一体化する。次いで、送りねじ30のねじ部30bの先端(頭部30aと反対側の端部)を固定部材26のガイド片60のガイド穴60aに通すと共に、送りねじ30のねじ部30bの基端(頭部30a側の端部)を固定部材26の上側拘束片54の切り欠き54aに収容し、送りねじ30の頭部30aを上側拘束片54と下側拘束片56との間に位置づける。
【0040】
そうすると、可動部材28の第1の環状片72が第1の固定片32の第1の長穴38に位置し、第2の環状片74が第2の固定片34の第2の長穴42に位置する。そして、第1・第2の締結具80、82を鍔部22の雌ねじ22cに嵌め合わせる。これによって、継手8と可動部材28とを締結すると共に、可動部材28および継手8を固定部材26に昇降自在に装着することができる。
【0041】
図2を参照することによって理解されるとおり、継手支持具2によって継手8が支持された状態において、送りねじ30のねじ部30bが嵌め合わされている雌ねじ76aが形成された篏合片76は、第1の被締結片62と第2の被締結片64との交差部分68と、第2の締結具82との間に位置する。
【0042】
図1および
図2を参照して説明を続けると、継手支持具2に継手8を支持させた後、スプリンクラー配管4およびスプリンクラーヘッド6を継手8に接続すると共に、寸切りボルト48およびナット50を用いて天井スラブ46に継手支持具2を固定する。そして、天井ボード24の貫通穴24aにスプリンクラーヘッド6を位置づけて、天井ボード24を施工する。
【0043】
天井ボード24を施工した際に、スプリンクラーヘッド6が所定位置よりも下側に位置している場合には、天井ボード24の貫通穴24aおよび下側拘束片56の円形穴56aに工具の先端部を通して、工具の先端部を送りねじ30の頭部30aに嵌める。次いで、
図8に示すとおり、上方からみて時計回りに送りねじ30を工具によって回転させる。そうすると、下側拘束片56により送りねじ30の下降が阻止されているから、送りねじ30の回転により可動部材28と共に継手8およびスプリンクラーヘッド6が上昇する。これによって、スプリンクラーヘッド6を所定位置に位置づけることができる。
【0044】
図8には、可動部材28が可動域の上限に達した状態が示されている。可動部材28の可動域の上限は、可動部材28の篏合片76の上面が固定部材26のガイド片60の下面に突き当たることによって規定され、あるいは、可動部材28の第1・第2の環状片72、74が固定部材26の第1・第2の長穴38、42の上端に突き当たることによって規定される。
【0045】
なお、継手8の鍔部22の二面幅L2は、スプリンクラーヘッド6の締め付けトルク付加部12の頂点間寸法L1よりも大きい(L2>L1)ので、継手8と共にスプリンクラーヘッド6が昇降する際に、スプリンクラーヘッド6の締め付けトルク付加部12が固定部材26に干渉することはない。
【0046】
一方、天井ボード24を施工した際に、スプリンクラーヘッド6が所定位置よりも上側に位置している場合には、
図9に示すとおり、上方からみて反時計回りに送りねじ30を工具によって回転させる。そうすると、上側拘束片54により送りねじ30の上昇が阻止されているから、送りねじ30の回転により可動部材28と共に継手8およびスプリンクラーヘッド6が下降する。これによって、スプリンクラーヘッド6を所定位置に位置づけることができる。
【0047】
図9には、可動部材28が可動域の下限に達した状態が示されている。可動部材28の可動域の下限は、可動部材28のガイド片78の下面が固定部材26の上側拘束片54の上面に突き当たることによって規定され、あるいは、可動部材28の第1・第2の環状片72、74が固定部材26の第1・第2の長穴38、42の下端に突き当たることによって規定される。
【0048】
そして、以上のとおりの継手支持具2においては、送りねじ30が嵌め合わされている篏合片76が、第1の被締結片62と第2の被締結片64との交差部分68と、第2の締結具82との間に位置しているので、固定部材26に対する可動部材28の傾きが防止され、継手8に締結された可動部材28のスムーズな昇降が可能となる。
【0049】
なお、図示の実施形態においては、交差部分68と第2の締結具82との間に篏合片76が位置しているが、交差部分68と第1の締結具80との間に篏合片76が位置していてもよい。この場合には、固定部材26の上側拘束片54、下側拘束片56およびガイド片60が第1の固定片32に付設され、可動部材28の篏合片76およびガイド片78が第1の被締結片62に付設される。
【0050】
また、図示の実施形態においては、上述したとおり、第1の環状片72の厚みTr1が第1の固定片32の厚みTf1に相当する厚みであり、第2の環状片74の厚みTr2が第2の固定片34の厚みTf2に相当する厚みである。
【0051】
より詳細には、第1の環状片72の厚みTr1および第2の環状片74の厚みTr2は、送りねじ30が回転された場合は可動部材28および継手8の昇降が阻害されず、送りねじ30が回転されていない場合は可動部材28および継手8が動かないように、第1の締結具80の締結力が第1の被締結片62、第1の固定片32および継手8の鍔部22に作用すると共に、第2の締結具82の締結力が第2の被締結片64、第2の固定片34および継手8の鍔部22に作用する厚みに設定されている。
【0052】
すなわち、図示の実施形態の継手支持具2においては、可動部材28と固定部材26との接触部位における摩擦力、あるいは継手8の鍔部22と固定部材26との接触部位における摩擦力によって、送りねじ30が回転された場合には可動部材28および継手8の昇降が阻害されることがないと共に、送りねじ30が回転されていない場合には継手8を確実に固定することができる。
【0053】
なお、図示の実施形態では、第1の被締結片62に第1の環状片72が設けられ、第2の被締結片64に第2の環状片74が設けられているが、第1・第2の環状片は、可動部材28とは別個独立の部材として第1・第2の長穴38、42に設けられていてもよい。
【0054】
次に、本発明の継手支持具の第2の実施形態について
図10ないし
図15を参照しつつ説明する。なお、第2の実施形態における第1の実施形態の構成要素と同一でよい構成要素については、第1の実施形態の構成要素と同一の符号を付し説明を省略する。
【0055】
図10および
図11に示すとおり、全体を符号100で示す継手支持具は、スプリンクラー配管4とスプリンクラーヘッド102とを接続する継手8を支持している。
図12を参照して説明すると、スプリンクラーヘッド102は、火災時に水を散布する本体部104と、本体部104の上端から径方向外側に突出する環状のフランジ部106と、フランジ部106の上方に配置された接続部108とを有する。フランジ部106の外径Dは、スプリンクラーヘッド102における幅方向寸法(径方向寸法)の最大値である。
図10(b)に示すとおり、フランジ部106の外径Dは、継手8の鍔部22の二面幅L2よりも大きい(D>L2)。また、
図12に示すとおり、中空円筒状の接続部108の外周面には、継手8の雌ねじ23に嵌め合わされる雄ねじが形成されている。
【0056】
継手8を支持する継手支持具100は、
図10および
図11に示すとおり、天井裏に固定される固定部材110と、継手8に締結されると共に固定部材110に昇降自在に装着された可動部材112と、継手8と共に可動部材112を昇降させる送りねじ30とを備える。
【0057】
図13を参照して説明すると、第2の実施形態の固定部材110は、第1の実施形態の固定部材26と同様に、第1の固定片32と、第2の固定片34と、第3の固定片36とを含む。第2の実施形態の固定部材110も、第1の実施形態の固定部材26と同様に、鋼板等の適宜の金属製板材を折り曲げることにより形成され得るが、複数枚の板材を溶接等により接合することによって形成されていてもよい。
【0058】
図13(b)に示すとおり、第1の固定片32には、上下方向に延びる第1の長穴114が形成されている。第1の長穴114は、第1の固定片32と第2の固定片34との交差部分40(図示の実施形態では折り曲げ部分)とは反対側の端部(
図13(b)における左側端部)に位置している。
図13(c)に示すとおり、第2の固定片34には、上下方向に延びる第2の長穴116が形成されている。第2の長穴116は、交差部分40とは反対側の端部(
図13(c)における右側端部)に位置している。
【0059】
第2の実施形態の第1・第2の長穴114、116は、第1の実施形態の第1・第2の長穴38、42よりも下方に位置しており、第1・第2の長穴114、116のそれぞれの下端は上側拘束片54よりも下方に位置している。なお、第1・第2の長穴114、116のそれぞれの上下方向寸法は同一であり、第1・第2の長穴114、116のそれぞれの上端位置および下端位置は整合している。
【0060】
図14を参照して可動部材112について説明すると、可動部材112は、第1の被締結片118と、第1の被締結片118の幅方向片側端部(
図14(b)における右側端部)から第1の被締結片118と交差する方向(図示の実施形態では直交する方向)に延びる第2の被締結片120とを含む。第2の実施形態の可動部材112も、第1の実施形態の可動部材28と同様に、鋼板等の適宜の金属製板材を折り曲げることにより形成され得るが、複数枚の板材を溶接等により接合することによって形成されていてもよい。
【0061】
図14(b)に示すとおり、第2の実施形態における第1の被締結片118は、第1の被締結片118と第2の被締結片120との交差部分122(図示の実施形態では折り曲げ部分)の下端よりも下方に延びる下端側部分118aを有する。そして、第1の被締結片118の第1の円形穴66は、下端側部分118aに形成されており、交差部分122とは反対側の端部(
図14(b)における左側端部)に位置している。また、第1の円形穴66の周縁から突出する第1の環状片72も、第1の被締結片118の下端側部分118aに設けられている。
【0062】
図14(c)に示すとおり、第2の被締結片120は、交差部分122の下端よりも下方に延びる下端側部分120aを有する。そして、第2の被締結片120の第2の円形穴70は、下端側部分120aに形成されており、交差部分122とは反対側の端部(
図14(c)における右側端部)に位置している。また、第2の円形穴70の周縁から突出する第2の環状片74も、第2の被締結片120の下端側部分120aに設けられている。なお、第1・第2の円形穴66、70のそれぞれの直径は同一であり、第1・第2の円形穴66、70のそれぞれの中心の上下方向位置は整合している。
【0063】
図14(b)および
図14(c)を参照することによって理解されるとおり、可動部材112の篏合片76は、交差部分122と第2の円形穴70との間において第2の被締結片120の上端部から突出しており、可動部材112のガイド片78は、篏合片76の直下において第2の被締結片120から突出している。
【0064】
そして、
図10(a)および
図11に示すとおり、第1の被締結片118の下端側部分118aが、第1の締結具80を介して継手8の鍔部22の第1の側面22aに締結されている。また、第2の被締結片120の下端側部分120aが、第2の締結具82を介して継手8の鍔部22の第2の側面22bに締結されている。可動部材112と継手8とが締結される際には、鍔部22の第1の側面22aと第1の被締結片118とに第1の固定片32が挟み込まれ、鍔部22の第2の側面22bと第2の被締結片120とに第2の固定片34が挟み込まれる。
【0065】
第2の実施形態の継手支持具100においても、工具によって送りねじ30を回転させることにより、可動部材112と共に継手8およびスプリンクラーヘッド102が昇降するので、スプリンクラーヘッド102を所定位置に位置づけることができる。
【0066】
図10(a)および
図11を参照することによって理解されるとおり、第2の実施形態の継手支持具100においても、送りねじ30のねじ部30bが嵌め合わされている雌ねじ76aが形成された篏合片76が、第1の被締結片118と第2の被締結片120との交差部分122と、第2の締結具82との間に位置するので、固定部材110に対する可動部材112の傾きが防止され、継手8に締結された可動部材112のスムーズな昇降が可能となる。
【0067】
第2の実施形態においては、スプリンクラーヘッド102のフランジ部106の外径Dが継手8の鍔部22の二面幅L2よりも大きい(D>L2)ので、第2の実施形態における可動部材112の可動域の上限は、フランジ部106の上面が第1・第2の固定片32、34のそれぞれの下端に突き当たることによって規定される(
図10および
図11参照。)。
図10(a)および
図11には、可動部材112が可動域の上限に達した状態が示されている。
【0068】
第1の実施形態の継手支持具2が示されている
図8と、第2の実施形態の継手支持具100が示されている
図10と対比することによって理解されるとおり、第2の実施形態における可動部材112の可動域の上限は、第1の実施形態における可動部材28の可動域の上限よりも下側に位置することになる。
【0069】
しかしながら、第2の実施形態の継手支持具100においては、上述したとおり、第1の被締結片118は、交差部分122の下端よりも下方に延びる下端側部分118aを有し、この下端側部分118aが、第1の締結具80を介して継手8の鍔部22の第1の側面22aに締結され、かつ、第2の被締結片120は、交差部分122の下端よりも下方に延びる下端側部分120を有し、この下端側部分120aが、第2の締結具82を介して継手8の鍔部22の第2の側面22bに締結されている。
【0070】
したがって、第1の実施形態の継手支持具2が示されている
図9と、第2の実施形態の継手支持具100が示されている
図15と対比することによって理解されるとおり、第2の実施形態における可動部材112の可動域の下限は、第1の実施形態における可動部材28の可動域の下限よりも下側に位置することになる。なお、
図15には、可動部材112が可動域の下限に達した状態が示されている。
【0071】
以上のとおりであり、第2の実施形態の継手支持具100においては、スプリンクラーヘッド102のフランジ部106の外径Dが継手8の鍔部22の二面幅L2よりも大きい場合でも、天井ボード24を施工した後に、スプリンクラーヘッド102の上下方向位置を調整するために必要な可動部材112の可動域が確保される。
【0072】
なお、第2の実施形態の継手支持具100においても、スプリンクラーヘッド6(
図4参照。)が接続された継手8を支持し、スプリンクラーヘッド6が接続された継手8の上下方向位置を調整可能である。
【符号の説明】
【0073】
2:継手支持具(第1の実施形態)
4:スプリンクラー配管
6:スプリンクラーヘッド
8:継手
22a:第1の側面
22b:第2の側面
26:固定部材
28:可動部材
30:送りねじ
30a:頭部
30b:ねじ部
32:第1の固定片
34:第2の固定片
38:第1の長穴
42:第2の長穴
52:拘束手段
54:上側拘束片
56:下側拘束片
60:ガイド片(固定部材)
60a:ガイド穴
62:第1の被締結片
64:第2の被締結片
66:第1の円形穴
68:第1の被締結片と第2の被締結片との交差部分
70:第2の円形穴
72:第1の環状片
74:第2の環状片
76:篏合片
76a:雌ねじ
78:ガイド片(可動部材)
78a:ガイド穴
80:第1の締結具
82:第2の締結具