(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162921
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】梁の仕口構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/58 20060101AFI20221018BHJP
E04H 9/02 20060101ALI20221018BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
E04B1/58 505N
E04B1/58 505P
E04H9/02 321B
F16F15/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067993
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津司 巧
【テーマコード(参考)】
2E125
2E139
3J048
【Fターム(参考)】
2E125AA14
2E125AC04
2E125AE13
2E125BB18
2E125CA05
2E139AA01
2E139AA17
2E139AC19
2E139BA14
2E139BA19
2E139BD22
3J048AA06
3J048AC01
3J048AC05
3J048AC06
3J048BD08
3J048BE10
3J048BE11
3J048CB21
3J048EA38
(57)【要約】
【課題】鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の梁に対する鋼製部材の接合作業の手間を低減することを目的とする。
【解決手段】梁の仕口構造は、鉄筋コンクリート造の梁30と、梁30の材軸方向の中間部30Mを取り囲む筒状部42と、筒状部42の上面42Uに設けられ、制振装置20の下側接合プレート部26が接合される上側仕口プレート部44と、筒状部42の下面42Lに設けられ、制振装置20の上側接合プレート部24が接合される下側仕口プレート部46と、を有する鋼製仕口部材40と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の梁と、
前記梁の一部を取り囲む筒状部と、前記筒状部の上面及び下面の少なくとも一方に設けられ、鋼製部材が接合される接合部と、を有する鋼製仕口部材と、
を備える梁の仕口構造。
【請求項2】
前記筒状部の側面には、スラブが接合されている、
請求項1に記載の梁の仕口構造。
【請求項3】
前記梁は、前記鋼製仕口部材と一体のプレキャストコンクリート造とされている、
請求項1又は請求項2に記載の梁の仕口構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梁の仕口構造に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート造等の梁に埋設されたアンカー高力ボルトに、制振装置等のベースプレートを接合する接合構造が知られている(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-024682号公報
【特許文献2】特開2004-218288号公報
【特許文献3】特開2010-266070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~3に開示された技術では、例えば、ベースプレートの設置作業や、梁とベースプレートとの隙間に対するモルタルの充填作業、アンカーボルトに対するナットの締め付け作業等を行うため、施工性に手間がかかる。
【0005】
本発明は、上記の事実を考慮し、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の梁に対する鋼製部材の接合作業の手間を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の梁の仕口構造は、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の梁と、前記梁の一部を取り囲む筒状部と、前記筒状部の上面及び下面の少なくとも一方に設けられ、鋼製部材が接合される接合部と、を有する鋼製仕口部材と、を備える。
【0007】
請求項1に係る梁の仕口構造によれば、鋼製仕口部材は、筒状部と、接合部とを有している。筒状部は、梁の一部を取り囲んでいる。また、接合部は、筒状部の上面及び下面の少なくとも一方に設けられている。この接合部に鋼製部材が接合される。
【0008】
このように鋼製仕口部材の接合部に鋼製部材を接合することにより、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の梁に、鋼製部材を容易に取り付けることができる。
【0009】
また、筒状部によって梁の一部を取り囲むことにより、梁内の配筋等に影響を与えずに、梁に対する鋼製仕口部材の固定度を高めることができる。
【0010】
さらに、筒状部は、梁の型枠としても使用することができる。したがって、梁の施工性が向上する。
【0011】
請求項2に記載の梁の仕口構造は、請求項1に記載の梁の仕口構造において、前記筒状部の側面には、スラブが接合されている。
【0012】
請求項2に係る梁の仕口構造によれば、梁の一部を取り囲む筒状部の側面にスラブを接合することにより、筒状部の上面にスラブを載せる場合と比較して、梁下の有効高さを高くすることができる。
【0013】
請求項3に記載の梁の仕口構造は、請求項1又は請求項2に記載の梁の仕口構造において、前記梁は、前記鋼製仕口部材と一体のプレキャストコンクリート造とされている。
【0014】
請求項3に係る梁の仕口構造によれば、梁を鋼製仕口部材と一体のプレキャストコンクリート造とすることにより、現場における型枠の仮設、撤去等が不要になるため、梁の施工性が向上する。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の梁に対する鋼製部材の接合作業の手間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態に係る梁の仕口構造が適用された複数の梁を示す立面図である。
【
図4】一実施形態に係る梁の仕口構造の変形例が適用された梁を示す
図3に対応する断面図である。
【
図5】一実施形態に係る梁の仕口構造の変形例が適用された梁を示す
図2に対応する断面図である。
【
図6】一実施形態に係る梁の仕口構造の変形例が適用された梁を示す
図3に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係る梁の仕口構造について説明する。
【0018】
図1には、本実施形態に係る梁の仕口構造が適用された複数の梁30が示されている。複数の梁30は、上下方向に間隔を空けた状態で一対の柱12に架設されており、一対の柱12と共に、上下方向に連続する複数の架構(ラーメン架構)10を構成している。なお、柱12は、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄骨造とされている。
【0019】
なお、各図に示される矢印Xは、梁30の材軸方向を示している。また、矢印Yは、梁30の梁幅方向を示している。さらに、矢印Zは、梁30の梁成方向(上下方向)を示している。
【0020】
架構10には、制振装置20が取り付けられている。制振装置20は、例えば、壁型の粘性ダンパ、粘弾性ダンパ、又は摩擦ダンパとされている。この制振装置20は、振動エネルギーを吸収する制振部22と、制振部22の上端部に設けられた鋼製の上側接合プレート部24と、制振部22の下端部に設けられた鋼製の下側接合プレート部26とを有している。
【0021】
制振装置20は、上下の梁30の間に配置されている。制振装置20の上側接合プレート部24は、鋼板等によって板状に形成されている。この上側接合プレート部24は、後述する一対のスプライスプレート50を介して、上側の梁30の鋼製仕口部材40にボルト接合されている。また、制振装置20の下側接合プレート部26は、鋼板等によって板状に形成されている。この下側接合プレート部26は、後述する一対のスプライスプレート50を介して、下側の梁30の鋼製仕口部材40にボルト接合されている。
【0022】
本実施形態に係る梁の仕口構造は、梁30と、鋼製仕口部材40とを有している。
図2に示されるように、梁30は、鉄筋コンクリート造とされている。この梁30には、複数の梁主筋32、及び複数のせん断補強筋34が埋設されている。複数の梁主筋32は、梁30の材軸方向に沿って配筋されている。複数のせん断補強筋34は、梁30の材軸方向に間隔を保って配置されており、複数の梁主筋32を取り囲んでいる。
【0023】
梁30の上部には、スラブ70用の複数の接続鉄筋36が埋設されている。複数の接続鉄筋36は、梁30の梁幅方向に沿って配筋されており、その両端部が梁30の両側の側面30Sからそれぞれ突出されている。これらの接続鉄筋36の両端部は、スラブ70に埋設されている。なお、
図1では、スラブ70の図示が省略されている。
【0024】
スラブ70は、鉄筋コンクリート造とされており、梁30の両側の側面30Sにおける上部に接合されている。また、スラブ70の内部には、複数のスラブ筋72が埋設されている。このスラブ筋72と梁30の接続鉄筋36とは、例えば、重ね継手等によって接続されている。
【0025】
図1及び
図3に示されるように、梁30は、鋼製仕口部材40と一体のプレキャストコンクリート造とされている。鋼製仕口部材40は、梁30の材軸方向の中間部30Mに設けられている。鋼製仕口部材40は、筒状部42と、上側仕口プレート部44と、下側仕口プレート部46とを有している。
【0026】
図3に示されるように、筒状部42は、角形鋼管によって形成されている。また、筒状部42は、梁30の中間部30Mを取り囲んだ状態で、当該中間部30Mと一体化されている。この筒状部42によって、梁30の中間部30Mが補強されている。
【0027】
また、梁30の中間部30Mは、例えば、工場等において、筒状部42の内部に複数の梁主筋32、及び複数のせん断補強筋34を配筋した状態でコンクリートを打設することにより形成されている。この際、筒状部42は、梁30の中間部30Mの型枠として機能する。
【0028】
筒状部42の両側の側面42Sにおける上部には、スラブ70が接合されている。スラブ70の上面70Uは、
図2と同じ高さに配置されている。そのため、筒状部42の上面42Uとスラブ70の上面70Uとの間には、僅かな段差が形成されている。
【0029】
筒状部42の両側の側面42Sにおける上部には、鉄筋スタッド60の端部が溶接等に接合されている。鉄筋スタッド60は、スラブ70に埋設されている。また、鉄筋スタッド60は、スラブ筋72と重ね継手等によって接続されている。これにより、筒状部42とスラブ筋72との間で応力が伝達される。
【0030】
筒状部42の上面42Uには、上側仕口プレート部44が設けられている。また、筒状部42の下面42Lには、下側仕口プレート部46が設けられている。上側仕口プレート部44及び下側仕口プレート部46は、鋼板等によって形成されており、梁30の材軸方向に沿って配置されている。なお、上側仕口プレート部44及び下側仕口プレート部46は、接合部の一例である。
【0031】
上側仕口プレート部44の一端部(下端部)は、筒状部42の上面42Uに突き当てられた状態で、溶接等によって接合されている。また、上側仕口プレート部44は、筒状部42の上面42Uから上方へ延び出している。この上側仕口プレート部44には、鋼製の一対のスプライスプレート50を介して、制振装置20(
図1参照)の下側接合プレート部26が接合されている。
【0032】
具体的には、上側仕口プレート部44の上方には、下側接合プレート部26が配置されている。これらの上側仕口プレート部44、及び下側接合プレート部26の両側には、一対のスプライスプレート50が配置されている。なお、スプライスプレート50は、鋼製部材の一例である。
【0033】
一対のスプライスプレート50は、鋼板等によって板状に形成されている。この一対のスプライスプレート50は、下側接合プレート部26と上側仕口プレート部44とに渡って配置されており、下側接合プレート部26の下部、及び上側仕口プレート部44の上部を両側から挟み込んでいる。
【0034】
下側接合プレート部26の下部、及び一対のスプライスプレート50の上部には、貫通孔26H,50Hがそれぞれ形成されている。これらの貫通孔26H,50Hに挿入された高力ボルト52及びナット54によって、下側接合プレート部26の下部、及び一対のスプライスプレート50の上部が接合されている。
【0035】
これと同様に、上側仕口プレート部44の上部、及び一対のスプライスプレート50の下部には、貫通孔44H,50Hがそれぞれ形成されている。これらの貫通孔44H,50Hに挿入された高力ボルト52及びナット54によって、上側仕口プレート部44の上部、及び一対のスプライスプレート50の下部が接合されている。
【0036】
下側仕口プレート部46の一端部(上端部)は、筒状部42の下面42Lに突き当てられた状態で、溶接等によって接合されている。また、下側仕口プレート部46は、筒状部42の下面42Lから下方へ延び出している。この下側仕口プレート部46には、一対のスプライスプレート50を介して、制振装置20(
図1参照)の上側接合プレート部24が接合されている。
【0037】
具体的には、下側仕口プレート部46の下方には、上側接合プレート部24が配置されている。これらの下側仕口プレート部46、及び上側接合プレート部24の両側には、一対のスプライスプレート50が配置されている。なお、スプライスプレート50は、鋼製部材の一例である。
【0038】
一対のスプライスプレート50は、上側接合プレート部24と下側仕口プレート部46とに渡って配置されており、上側接合プレート部24の上部、及び下側仕口プレート部46の下部を両側から挟み込んでいる。
【0039】
上側接合プレート部24の上部、及び一対のスプライスプレート50の下部には、貫通孔24H,50Hがそれぞれ形成されている。これらの貫通孔24H,50Hに挿入された高力ボルト52及びナット54によって、上側接合プレート部24の上部、及び一対のスプライスプレート50の下部が接合されている。
【0040】
これと同様に、下側仕口プレート部46の下部、及び一対のスプライスプレート50の上部には、貫通孔46H,50Hがそれぞれ形成されている。これらの貫通孔46H,50Hに挿入された高力ボルト52及びナット54によって、下側仕口プレート部46の下部、及び一対のスプライスプレート50の上部が接合されている。
【0041】
このように鋼製仕口部材40に制振装置20をボルト接合することにより、
図1に示されるように、上下の梁30に鋼製仕口部材40が取り付けられている。
【0042】
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0043】
図3に示されるように、本実施形態によれば、鋼製仕口部材40は、筒状部42と、上側仕口プレート部44と、下側仕口プレート部46とを有している。筒状部42は、梁30の材軸方向の中間部30Mを取り囲んでいる。
【0044】
上側仕口プレート部44は、筒状部42の上面42Uに設けられている。この上側仕口プレート部44に、一対のスプライスプレート50を介して制振装置20(
図1参照)の下側接合プレート部26が高力ボルト52及びナット54によって接合されている。
【0045】
このように鋼製仕口部材40の上側仕口プレート部44に、制振装置20の下側接合プレート部26をボルト接合することにより、鉄筋コンクリート造の梁30の中間部30Mに制振装置20の下端側を容易に取り付けることができる。
【0046】
また、下側仕口プレート部46は、筒状部42の下面42Lに設けられている。この下側仕口プレート部46に、一対のスプライスプレート50を介して、制振装置20の上側接合プレート部24が高力ボルト52及びナット54によって接合されている。
【0047】
このように鋼製仕口部材40の下側仕口プレート部46に、制振装置20の上側接合プレート部24をボルト接合することにより、鉄筋コンクリート造の梁30の中間部30Mに制振装置20の上端側を容易に取り付けることができる。
【0048】
また、筒状部42によって梁30の中間部30Mを取り囲むことにより、梁30内の梁主筋32及びせん断補強筋34の配筋等に影響を与えずに、梁30の中間部30Mに対する鋼製仕口部材40の固定度を高めることができる。
【0049】
さらに、筒状部42によって梁30の中間部30Mを取り囲むことにより、当該中間部30Mの上下に、上側仕口プレート部44及び下側仕口プレート部46を容易に設けることができる。
【0050】
また、筒状部42は、梁30の中間部30Mの型枠としても使用することができる。したがって、梁30の中間部30Mの施工性が向上する。さらに、梁30は、鋼製仕口部材40と一体のプレキャストコンクリート造とされている。これにより、現場における型枠の仮設、撤去等が不要になるため、梁30の施工性が向上する。
【0051】
また、例えば、ビルドBOX鋼によって筒状部42を形成する場合、筒状部42の溶接方法は、鉄骨柱や鉄骨梁等と同様になる。そのため、鉄骨柱や鉄骨梁等がある構造物では、これらの鉄骨柱や鉄骨梁等と同じ製作工場で、筒状部42を製作することができる。したがって、筒状部42の製作コストを削減することができる。
【0052】
また、本実施形態では、筒状部42の側面42Sにスラブ70が接合されている。これにより、筒状部42の上面42Uにスラブ70を載せる場合と比較して、梁下の有効高さを高くすることができる。
【0053】
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0054】
上記実施形態では、筒状部42の側面42Sに鉄筋スタッド60の端部が溶接等によって接合されている。しかし、例えば、
図4に示される変形例のように、筒状部42の側面42Sには、頭付きスタッド62を溶接等によって接合しても良い。頭付きスタッド62は、スラブ70に埋設されており、スラブ70と接続されている。これにより、筒状部42とスラブ70との間で応力が伝達される。
【0055】
また、例えば、筒状部42の側面42Sに、コッターを成す鋼板等を溶接し、当該鋼板等をスラブ70に埋設することにより、筒状部42とスラブ70との間で応力(せん断力)を伝達可能にしても良い。
【0056】
なお、例えば、筒状部42が配置される開口が形成されたスラブ70として設計する場合は、筒状部42とスラブ70との間では、必ずしも応力を伝達する必要はない。
【0057】
また、上記実施形態では、筒状部42の側面42Sにスラブ70が接合されている。しかし、例えば、
図5に示される変形例のように、梁30の上にスラブ70を載せることも可能である。具体的には、梁30とスラブ70とは、シアコネクタ74によって接続されている。
【0058】
図6に示されるように、梁30の中間部30Mでは、筒状部42の上面42U上にスラブ70が載せられている。この場合、上側仕口プレート部44は、スラブ70を貫通し、スラブ70の上面70Uから上方へ延び出している。
【0059】
また、スラブ70に埋設された上側仕口プレート部44の部位には、貫通孔44Aが形成されている。この貫通孔44Aに、上端のスラブ筋72が挿入されている。これにより、上側仕口プレート部44の両側のスラブ70において、上端のスラブ筋72を介して応力(引張力)が伝達される。
【0060】
一方、梁30に支持されたスラブ70の端部の下端側は、一般に圧縮応力場となるため、上側仕口プレート部44の両側のスラブ70において、応力(引張力)を伝達する必要がない。そこで、本変形例では、下端のスラブ筋72の端部が、上側仕口プレート部44の手前で、スラブ70に定着されている。これにより、上側仕口プレート部44に形成する貫通孔の数を低減することができる。
【0061】
また、スラブ70は、筒状部42の上面42Uに設けられた頭付きスタッド64と接続されている。これにより、筒状部42とスラブ70との間でせん断力を伝達することができる。
【0062】
なお、上端のスラブ筋72は、下端のスラブ筋72と同様に、上側仕口プレート部44の手前において、スラブ70に定着させても良い。また、下端のスラブ筋72は、上端のスラブ筋72と同様に、上側仕口プレート部44に形成された貫通孔に挿入しても良い。
【0063】
また、上記実施形態では、鋼製仕口部材40の上側仕口プレート部44に、一対のスプライスプレート50がボルト接合されている。しかし、鋼製仕口部材40の上側仕口プレート部44には、鋼製部材としてのスプライスプレート50や、鋼製部材としての制振装置20の下側接合プレート部26を溶接接合しても良い。これと同様に、鋼製仕口部材40の下側仕口プレート部46には、鋼製部材としてのスプライスプレート50や、鋼製部材としての制振装置20の上側接合プレート部24を溶接接合しても良い。
【0064】
また、鋼製仕口部材40に取り付ける部材(鋼製部材)は、制振装置20に限らず、例えば、制振間柱(鋼材系ダンパ等)や、鉄骨間柱、鉄骨ブレース等であっても良いし、これらの制振間柱等に設けられる鋼製の接合プレート部や、鋼製のスプライスプレート等であっても良い。
【0065】
また、上記実施形態では、筒状部42に、上側仕口プレート部44及び下側仕口プレート部46が設けられている。しかし、筒状部42には、上側仕口プレート部44及び下側仕口プレート部46の少なくとも一方を設けることができる。
【0066】
また、上記実施形態では、筒状部42に、接合部としての板状の上側仕口プレート部44及び下側仕口プレート部46が設けられている。しかし、接合部は、板状に限らず、例えば、T形鋼やL形鋼等であっても良い。
【0067】
また、上記実施形態では、鋼製仕口部材40の筒状部42にスラブ70が接合されている。しかし、筒状部42には、必ずしもスラブ70を接合する必要はない。
【0068】
また、上記実施形態では、梁30の材軸方向の中間部30Mに鋼製仕口部材40が設けられている。しかし、鋼製仕口部材40は、梁30の材軸方向の端部に設けられても良い。
【0069】
また、上記実施形態では、筒状部42の内部にせん断補強筋34が配筋されている。しかし、筒状部42の内部のせん断補強筋34を省略し、梁30の中間部30MをCFT造としても良い。また、梁30は、鉄筋コンクリート造に限らず、鉄骨鉄筋コンクリート造としても良い。
【0070】
また、上記実施形態では、梁30がプレキャストコンクリート造とされている。しかし、梁30は、現場打ち工法によって形成されても良い。
【0071】
また、上記実施形態は、新築の梁30に限らず、既存の梁にも適宜適用可能である。
【0072】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0073】
30 梁
30M 中間部(梁の一部)
40 鋼製仕口部材
42 筒状部
42L 下面
42S 側面
42U 上面
44 上側仕口プレート部(接合部)
46 下側仕口プレート部(接合部)
50 スプライスプレート(鋼製部材)
70 スラブ