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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162926
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】車載ユニットの配置構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/00 20060101AFI20221018BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20221018BHJP
   B60R 16/04 20060101ALI20221018BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20221018BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20221018BHJP
【FI】
B60K1/00
B60K1/04 Z
B60R16/04 E
H02M7/48 Z
H01M50/249
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068035
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福原 悠介
【テーマコード(参考)】
3D235
5H040
5H770
【Fターム(参考)】
3D235AA02
3D235BB12
3D235BB19
3D235CC13
3D235CC15
3D235DD12
3D235DD17
3D235DD19
3D235DD33
3D235EE63
3D235EE64
3D235FF42
3D235FF43
3D235HH02
3D235HH08
3D235HH09
3D235HH61
5H040AA37
5H040AS07
5H040AY05
5H040CC59
5H040DD08
5H040NN03
5H770AA28
5H770QA06
5H770QA28
5H770QA33
(57)【要約】
【課題】部品を増加せず、安全性を確保して電力変換装置のメンテナンス作業が可能となる技術を提供する。
【解決手段】
コントローラ4により制御され、車両の駆動モータ5に電力を供給する電力変換装置2と、コントローラ4に電力を供給する電力供給ユニット1と、を備える。電力変換装置2は、ハウジング21と、ハウジング21に収納されるインバータモジュール22とにより構成される。ハウジング21は、インバータモジュール22の高電圧部位22Hの上方に形成される開口部23と、開口部23を開閉可能なカバー3と、を備える。電力供給ユニット1は、カバー3を開閉する際に邪魔となる位置であって、カバー3の直上に配置される。電力供給ユニット1がモータルーム50から取り外されることで、カバー3が開閉可能となる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータルーム内に配置される車載ユニットの配置構造であって、
コントローラにより制御され、車両の駆動モータに電力を供給する電力変換装置と、
前記コントローラに電力を供給する電力供給ユニットと、
を備え、
前記電力変換装置は、ハウジングと、前記ハウジングに収納されるインバータモジュールとにより構成され、
前記ハウジングは、前記インバータモジュールの高電圧部位の上方に形成される開口部と、前記開口部を開閉可能なカバーと、を備え、
前記電力供給ユニットは、前記カバーを開閉する際に邪魔となる位置であって、前記カバーの直上に配置され、
前記電力供給ユニットが前記モータルームから取り外されることで、前記カバーが開閉可能となる、
車載ユニットの配置構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車載ユニットの配置構造であって、
前記電力供給ユニットは、低電圧バッテリにより構成され、
前記低電圧バッテリは、前記カバーの直上に配置される、
車載ユニットの配置構造。
【請求項3】
請求項1に記載の車載ユニットの配置構造であって、
前記電力供給ユニットは、低電圧バッテリと、前記低電圧バッテリを前記モータルーム内に支持する支持部材と、前記支持部材の下面側に固定される開放防止ブラケットとから構成され、
前記開放防止ブラケットは、前記カバーの直上に配置される、
車載ユニットの配置構造。
【請求項4】
請求項1に記載の車載ユニットの配置構造であって、
前記電力供給ユニットは、低電圧バッテリと、前記低電圧バッテリに接続されるハーネスとから構成され、
前記ハーネスは、前記カバーの直上に配置される、
車載ユニットの配置構造。
【請求項5】
請求項1に記載の車載ユニットの配置構造であって、
前記電力供給ユニットは、低電圧バッテリと、前記低電圧バッテリに接続されるハーネスと、前記ハーネスに接続されるヒューズボックスと、から構成され、
前記ハーネスは、前記カバーの直上に配置される、
車載ユニットの配置構造。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載の車載ユニットの配置構造であって、
前記カバーは、締結部材により前記ハウジングに締結され、
前記電力供給ユニットは、前記締結部材を取り外す際に邪魔となる位置であって、前記締結部材の直上に配置される、
車載ユニットの配置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載ユニットの配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両のモータルームに搭載されるインバータ(電力変換装置)は、電動モータと電気的に接続される電気部品として高電圧部位を備えている。一般的に、ハウジング内に備えられたインバータのメンテナンス作業を行うため、ハウジングに形成されたメンテナンス用開口部を開閉可能とするカバーが備えられる。高電圧部位にアクセスする場合には、作業者の安全性の確保のため、インバータと、インバータを制御するコントローラとの電源を予め遮断しておくことが望ましい。
【0003】
特許文献1には、アッパーカバーが取り外されると、システムメインリレーに電力供給遮断指令を出力するインターロックスイッチが備えられるインバータユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-143200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術のように、電力変換装置のカバーが開放されたことを検知して自動的に電力変換装置の電力を遮断する仕組みを備えることで、作業者の安全を確保できる。しかしながら、このような構成によって、スイッチやハーネス等の部品及び組立工数が増えることで、コストが増加するという問題があった。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、部品を増加することなく、安全性を確保した状態で電力変換装置のメンテナンス作業が可能となる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施態様によれば、モータルーム内に配置される車載ユニットの配置構造に適用される。コントローラにより制御され、車両の駆動モータに電力を供給する電力変換装置と、コントローラに電力を供給する電力供給ユニットと、を備える。電力変換装置は、ハウジングと、ハウジングに収納されるインバータモジュールとにより構成される。ハウジングは、インバータモジュールの高電圧部位の上方に形成される開口部と、開口部を開閉可能なカバーと、を備える。電力供給ユニットは、カバーを開閉する際に邪魔となる位置であって、カバーの直上に配置される。電力供給ユニットがモータルームから取り外されることで、カバーが開閉可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電力変換装置のカバーを開閉するためには、電力供給ユニットを取り外す必要がある。これにより、コントローラへの電力の供給が遮断され高電圧部位が非活線状態となると共に電力供給ユニットがカバーを邪魔する位置から移動される。このような車載ユニットの配置によって、コストを増加することなく、安全性を確保した状態で電力変換装置のメンテナンス作業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態の車両の構成図である。
図2図2は、車載ユニットの配置構造の説明図である。
図3図3は、電力変換装置のカバーを取り外す手順の説明図である。
図4図4は、電力変換装置のカバーを取り外す手順の説明図である。
図5図5は、電力変換装置のカバーを取り外す手順の説明図である。
図6図6は、電力変換装置のカバーを取り外す手順の説明図である。
図7図7は、変形例の車載ユニットの配置構造の説明図である。
図8図8は、電力変換装置のカバーを取り外す手順の説明図である。
図9図9は、電力変換装置のカバーを取り外す手順の説明図である。
図10図10は、別の変形例の車載ユニットの配置構造の説明図である。
図11図11は、電力変換装置のカバーを取り外す手順の説明図である。
図12図12は、さらに別の変形例の車載ユニットの配置構造の説明図である。
図13図13は、電力変換装置のカバーを取り外す手順の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る車両10の構成図である。図1は車両10の前方側から見たときのモータルーム50の車載ユニットの配置構造を示す。
【0012】
車両10のモータルーム50には、車載ユニットとして、低電圧バッテリ1、電力変換装置(インバータ)2、車両コントロールモジュール(VCM)4及び駆動モータ5が備えられる。
【0013】
低電圧バッテリ1は、インバータ2及びVCM4に電力を供給する。低電圧バッテリ1は、インバータ2に供給される車両10のメインバッテリ(図示せず)の電力と比較して低い電圧(例えば12V)を供給する。低電圧バッテリ1とVCM4との間には、電力を供給するためのハーネス11が接続されている。
【0014】
インバータ2は、低電圧バッテリ1の電力を受けて動作し、メインバッテリから供給された電力を駆動モータ5の駆動に適した周波数及び電圧に変換して、駆動モータ5に供給する。車両10の減速時には、インバータ2は、駆動モータ5の回生電力を受けてメインバッテリを充電する。
【0015】
VCM4は、低電圧バッテリ1から電力の供給を受けて動作し、インバータ2の動作を制御するコントローラである。低電圧バッテリ1は、VCM4に電力を供給する電力供給ユニットとして機能する。
【0016】
駆動モータ5は、車両10を駆動させる駆動源である。駆動モータ5は、車軸51を介して駆動輪52を駆動することで車両10を走行させる。駆動モータ5は、歯車等からなる減速機構を備えていてもよい。
【0017】
図2は、本実施形態のインバータ2を中心とした車載ユニットの配置構造を示す説明図である。
【0018】
インバータ2は、ハウジング21と、ハウジング21内に収容されるインバータモジュール22とから構成される。インバータモジュール22は、メインバッテリから供給される高電圧の直流電力が流れるバスバーや、駆動モータ5に供給する高周波高電圧の交流電力が流れるバスバーからなる高電圧部位22Hを備える。
【0019】
ハウジング21には、高電圧部位22Hのメンテナンス作業のために外部から当該高電圧部位22Hにアクセスするための開口部23が形成される。開口部23は、インバータモジュール22の高電圧部位22Hの上方に開口して形成される。すなわち、開口部23は、高電圧部位22Hに対向する位置におけるハウジング21の壁面を貫通する貫通孔として形成されている。開口部23には、開口部23を閉鎖するカバー3が備えられる。カバー3は、ボルト等からなる締結部材31によりハウジング21に開閉可能に締結される。
【0020】
インバータ2の高電圧部位22Hのメンテナンス作業を行う際は、締結部材31を取り外し、カバー3を開く必要がある。
【0021】
ここで、作業者の安全のため、メンテナンス作業の際に、高電圧部位22Hが活線状態、すなわち高電圧の電流が流れている状態で、カバー3の不用意な開閉を防止することが求められる。
【0022】
一例として、カバー3にスイッチやセンサを備え、メンテナンス作業の際に作業者がカバー3を開放しようとしたときにVCM4等がこれを自動検知し、インバータ2の動作を停止して高電圧部位22Hを非活線状態とするように構成することができる。
【0023】
しかしながら、カバー3の開放を自動検知するような仕組みを設けた場合は、スイッチやセンサ及びこれらを接続するハーネス等の部品を追加する必要があり、部品点数及び組立工数が増加し、コストが増加するという問題があった。
【0024】
そこで本実施形態では、以下に説明するような構成により、コストを増加することなく、安全性を確保した状態でインバータ2のメンテナンス作業を行えるように構成した。
【0025】
図2に示すように、低電圧バッテリ1は、モータルーム50内において、インバータ2の上方であって、カバー3の直上に、カバー3を開閉する際に邪魔となる位置に配置される。より具体的には、低電圧バッテリ1は、カバー3をハウジング21に締結する少なくとも1つの締結部材31の直上であって、低電圧バッテリ1と締結部材31とが、締結部材31を取り外す工具を挿し入れることができない間隔となる位置に配置される。
【0026】
締結部材31を取り外すためには、図2の破線白抜き矢印で示す工具軌跡のように、工具を締結部材31の上方箇所から挿し入れ、下方へと移動させる必要がある。しかしながら、この箇所に低電圧バッテリ1が存在すると、工具を挿し入れることが不可能となり、締結部材31を取り外すことができない。よって、高電圧部位22Hが活線状態である場合に、カバー3の開閉が防止される。
【0027】
なお、低電圧バッテリ1は、例えばモータルーム50内に固定された部材に、その位置が動かないように固定されて備えられる。従って、低電圧バッテリ1がモータルーム50内に備えられている場合は、低電圧バッテリ1の位置をずらして工具を挿し入れることは、この部材を破壊又は変形しない限りは、不可能となっている。
【0028】
次に、図3から6を参照して、このように構成されたインバータ2のカバー3を開閉する手順を説明する。
【0029】
本実施形態では、インバータ2のカバー3を開閉すためには、直上に配置されている低電圧バッテリ1をモータルーム50から取り外す必要がある。
【0030】
まず、図3に示すように、低電圧バッテリ1に接続されている電力供給用のハーネス11(正極ハーネス11p及び負極ハーネス11n)を、低電圧バッテリ1の端子から取り外す。
【0031】
ハーネス11を低電圧バッテリ1から取り外すと、VCM4及びインバータ2への電力供給が停止する。これに伴って、VCM4及びインバータ2は動作を停止し、メインバッテリとインバータ2との間のリレー等が遮断するので、インバータモジュール22の高電圧部位22Hが非活線状態となる。
【0032】
なお、インバータモジュール22には平滑コンデンサが備えられているが、平滑コンデンサに充電された電荷は、高電圧部位22Hが非活線状態となったことで放電され、後に説明するようにカバー3を開く頃には、電荷は放電済みとなる。また、電力供給停止のときに、放電抵抗等を用いて強制的に平滑バッテリの電荷が放電されるように構成してもよい。
【0033】
次に、図4に示すように、低電圧バッテリ1を、モータルーム50から取り外し、モータルーム50の外に移動させる。
【0034】
これにより、図4の破線白抜き矢印で示す工具軌跡を邪魔する構成がなくなり、締結部材31を取り外し可能となる。
【0035】
次に、図5に示すように、工具を用いて締結部材31を取り外す。
【0036】
これにより、図6に示すようにカバー3を開くことができ、高電圧部位22Hにアクセスが可能となる。この時点では、前述のように高電圧部位22Hは非活線状態であるので、安全性を保った状態で高電圧部位22Hのメンテナンス作業が行える。作業後は、開口部23がカバー3により閉じられ、カバー3が締結部材31により締結される。
【0037】
以上説明したように、本実施形態では、モータルーム50内に配置される車載ユニットの配置構造であって、VCM4(コントローラ)により制御され、車両10の駆動モータ5に電力を供給する電力変換装置としてのインバータ2と、コントローラに電力を供給する電力供給ユニットとしての低電圧バッテリ1と、を備える。インバータ2は、ハウジング21と、ハウジング21に収納されるインバータモジュール22とにより構成され、ハウジング21は、インバータモジュール22の高電圧部位22Hの上方に形成される開口部23と、開口部23を開閉可能なカバー3と、を備える。低電圧バッテリ1は、カバー3を開閉する際に邪魔となる位置であって、カバー3の直上に配置される。低電圧バッテリ1がモータルーム50から取り外されることで、カバー3が開閉可能となる。
【0038】
このような構成によって、低電圧バッテリ1がカバー3を開閉する際に邪魔となる位置に存在するため、カバー3を開閉するためには、低電圧バッテリ1をモータルーム50から取り外す必要がある。これにより、インバータ2への電力の供給が遮断され高電圧部位22Hが非活線状態となると共に、低電圧バッテリ1がカバー3を開閉する際の邪魔となる位置から移動される。従って、スイッチやハーネス等の追加部品によるコストを増加することなく、安全性を確保した状態でインバータ2のメンテナンス作業が可能となる。
【0039】
また、本実施形態では、電力供給ユニットは、低電圧バッテリ1により構成され、低電圧バッテリ1は、カバー3の直上に配置される。このような構成により、高電圧部位22Hが活線状態のときに不用意にカバー3が開閉されることが防止できる。低電圧バッテリ1はある程度の体積と重量を有するため、カバー3の直上に存在する場合にはカバー3を開閉することはできない。
【0040】
また、本実施形態では、カバー3は、締結部材31によりハウジング21に締結され、低電圧バッテリ1は、締結部材31を取り外す際に邪魔となる位置であって、締結部材31の直上に配置される。
【0041】
このような構成により、電力供給ユニットとしての低電圧バッテリ1が、締結部材31の取り外しのために必要な工具を挿し入れて移動する箇所に配置されるので、高電圧部位22Hが活線状態のときには締結部材31を取り外すことができず、カバー3が開閉されることが防止できる。
【0042】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0043】
前述のように、低電圧バッテリ1がインバータ2の上方に配置される例を説明したが、これに限られない。
【0044】
図7は、本実施形態の変形例のインバータ2を中心とした車載ユニットの配置構造を示す説明図である。
【0045】
図7に示すように、低電圧バッテリ1は、バッテリマウント32に固定される。バッテリマウント32は、モータルーム50の側面に固定されて、低電圧バッテリ1を下側から支持する。バッテリマウント32の下面には、開放防止ブラケット30が備えられる。
【0046】
開放防止ブラケット30は、バッテリマウント32の下面に固定部材33を介して固定される。固定部材33は、例えばボルトにより構成され、低電圧バッテリ1の下方で、バッテリマウント32の底部に配置される。固定部材33は、バッテリマウント32と開放ブラケットを共締めすること、開放防止ブラケット30をバッテリマウント32の下側に固定する。
【0047】
開放防止ブラケット30はバッテリマウント32の固定部分からクランク状に延設し、その先端部が、インバータ2のカバー3の直上であって、カバー3の開閉の際の邪魔となる位置に配置される。すなわち、開放防止ブラケット30は、その下面とカバー3との間に、工具を挿し入れることができない程度の間隔を形成した状態で、カバー3を上方から覆うような位置に配置される。
【0048】
次に、この変形例におけるインバータ2のカバー3を開閉する手順を説明する。
【0049】
まず、前述の図3及び図4で説明したように、低電圧バッテリ1に接続されているハーネス11を取り外し、低電圧バッテリ1を、バッテリマウント32から外した後、モータルーム50から取り外し、モータルーム50の外に移動させる。
【0050】
この状態で、VCM4及びインバータ2への電源供給が停止し、インバータモジュール22の高電圧部位22Hが非活線状態となる。
【0051】
次に、図8に示すように、バッテリマウント32の底部から、工具等を用いて固定部材33を取り外す。これにより、図9に示すように、バッテリマウント32から開放防止ブラケット30が取り外され、開放防止ブラケット30をモータルーム50から取り外すことができる。
【0052】
この状態では、前述の図4と同様に、工具軌跡を邪魔する構成がなくなり、締結部材31を取り外し可能となる。次に、図5で前述したように締結部材31を取り外し、図6で前述したように、カバー3を開閉することができ、高電圧部位22Hにアクセスが可能となる。
【0053】
この場合も、前述のように高電圧部位22Hは非活線状態であるので、安全性を保った状態で高電圧部位22Hのメンテナンス作業を行うことができる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態の変形例では、電力供給ユニットは、低電圧バッテリ1と、低電圧バッテリ1をモータルーム50内に支持する支持部材としてのバッテリマウント32と、バッテリマウント32の下面側に固定される開放防止ブラケット30とから構成され、開放防止ブラケット30は、カバー3の直上に配置される。
【0055】
このような構成により、低電圧バッテリ1をモータルーム50外に移動させなければ取り外すことができない部材(開放防止ブラケット30)を、カバー3を開閉する際の邪魔となる位置に備えたので、低電圧バッテリ1を取り外して高電圧部位22Hを非活線状態とした後に、開放防止ブラケット30を取り外す作業が必要となり、より安全性を確保できる。
【0056】
次に、本実施形態の別の変形例を説明する。
【0057】
図10は、本実施形態の別の変形例のインバータ2を中心とした車載ユニットの配置構造を示す説明図である。
【0058】
図10に示す別の変形例では、電力供給ユニットが、低電圧バッテリ1と、低電圧バッテリ1に接続されるハーネス11及び端子12と、から構成される例を示す。端子12は、ハーネス11の正極、負極を一体として構成され、この端子12が低電圧バッテリ1のターミナルに接続される。
【0059】
この構成のうち、少なくともハーネス11は、インバータ2のカバー3の直上であって、カバー3の開閉の際の邪魔となる位置に配置されている。
【0060】
次に、この変形例におけるインバータ2のカバー3を開閉する手順を説明する。
【0061】
図11に示すように、低電圧バッテリ1に接続されている端子12を取り外し、端子12及びハーネス11を、カバー3の上方から移動させる。
【0062】
この状態で、VCM4及びインバータ2への電源供給が停止し、インバータモジュール22の高電圧部位22Hが非活線状態となる。同時に、工具軌跡を邪魔する構成がなくなり、締結部材31を取り外し可能となる。以降は、図5及び図6で前述したようにしてカバー3を開閉することができ、高電圧部位22Hにアクセスが可能となる。
【0063】
このように、本実施形態の別の変形例では、電力供給ユニットは、低電圧バッテリ1と、低電圧バッテリ1に接続されるハーネス11とから構成され、ハーネス11は、カバー3の直上に配置される。
【0064】
このような構成により、VCM4及びインバータ2に電力を供給するハーネス11を、カバー3を開閉する際に邪魔となる位置に配置したので、低電圧バッテリ1を必ずしもインバータ2の直上に配置する必要がなくなり、モータルーム50内の配置の自由度が向上する。また、低電圧バッテリ1をモータルーム50の外に移動させる必要がないので、作業性が向上する。
【0065】
次に、本実施形態のさらに別の変形例を説明する。
【0066】
図12は、本実施形態のさらに別の変形例のインバータ2を中心とした車載ユニットの配置構造を示す説明図である。
【0067】
図12に示す別の変形例では、電力供給ユニットが、低電圧バッテリ1とVCM4とを接続するハーネス11に介装されるヒューズボックス18により構成される例を示す。ヒューズボックス18は、内部にヒューズ又はリレー等の遮断部品を備え、これらの間で過大な電流が流れた場合に、これを遮断する機能を有する。
【0068】
この構成のうち、ヒューズボックス18に接続されるハーネス11は、インバータ2のカバー3の直上であって、カバー3を開閉する際の邪魔となる位置に配置されている。
【0069】
次に、この変形例におけるインバータ2のカバー3を開閉する手順を説明する。
【0070】
図13に示すように、ヒューズボックス18に接続されているハーネス11を取り外し、ハーネス11を、カバー3の上方から移動させる。
【0071】
この状態で、VCM4及びインバータ2への電源供給が停止し、インバータモジュール22の高電圧部位22Hが非活線状態となる。同時に、工具軌跡を邪魔する構成がなくなり、締結部材31を取り外し可能となる。以降は、図5及び図6で前述したようにしてカバー3を開閉することができ、高電圧部位22Hにアクセスが可能となる。
【0072】
このように、本実施形態のさらに別の変形例では、電力供給ユニットは、低電圧バッテリ1と、低電圧バッテリ1に接続されるハーネス11と、前記ハーネス11に接続されるヒューズボックス18とから構成され、ハーネス11は、カバー3の直上に配置される。
【0073】
このような構成により、VCM4及びインバータ2に電力を供給するハーネス11を、カバー3を開閉する際に邪魔となる位置に配置したので、低電圧バッテリ1を必ずしもインバータ2の直上に配置する必要がなく、モータルーム50内の配置の自由度が向上する。
【0074】
以上、本発明の実施形態、及びその変形例について説明したが、上記実施形態及び変形例は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。また、上記実施形態の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0075】
前述の実施形態では、低電圧バッテリ1からVCM4への電力の供給が停止することでインバータ2の高電圧部位22Hが非活線状態となる例を示したが、これに限られない。その他のインバータ2の動作に関するコントローラに低電圧バッテリ1からの電力が供給され、これが遮断することでインバータ2の高電圧部位22Hが非活線状態となるように構成されていてもよい。このコントローラは、インバータモジュール22に内蔵されていてもよい。
【0076】
また、前述の実施形態に置いて、カバー3の直上に、低電圧バッテリ1、開放防止ブラケット30又はハーネス11の少なくとも1つからなる電力供給ユニットを配置するように構成したが、これに限られない。電力供給ユニットは、少なくともカバー3の締結部材31の直上に配置されていればよい。複数の締結部材31が備えられている場合は、少なくとも1つの締結部材31の直上に電力供給ユニットが配置されていればよい。
【符号の説明】
【0077】
1:低電圧バッテリ、2:インバータ、3:カバー、4:VCM(コントローラ)、11:ハーネス、12:端子、18:ヒューズボックス、21:ハウジング、22:インバータモジュール、22H:高電圧部位、23:開口部、30:開放防止ブラケット、31:締結部材、32:バッテリマウント、33:固定部材、50:モータルーム
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