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特開2022-162958脂質濃度計測装置、プログラム、及び、方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162958
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】脂質濃度計測装置、プログラム、及び、方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1455 20060101AFI20221018BHJP
   A61B 5/02 20060101ALI20221018BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
A61B5/1455
A61B5/02 310B
A61B5/02 310Z
A61B10/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181975
(22)【出願日】2021-11-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2021067643
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】515045662
【氏名又は名称】メディカルフォトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100126147
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 成年
(72)【発明者】
【氏名】飯永 一也
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
4C017AA09
4C017AB03
4C017AC28
4C017BC11
4C017BC20
4C017EE01
4C017FF05
4C038KK00
4C038KL07
4C038KX02
4C038KY03
4C038VA05
4C038VB13
4C038VC01
(57)【要約】
【課題】 脂質濃度を計測することが可能な装置を提供する。
【解決手段】 被検体へ光を照射する照射部と、照射部からの光が被検体内の脂質粒子により散乱し、被検体から放出された光を受光して、受光強度を検出する受光部と、被検体の心拍による脈動に応じた受光強度の時間変化による波形から、波形の内の複数の1周期波形の領域のうち、0.5Hz以上2.0Hz以下の周期の1周期波形の領域を判定し、判定された1周期波形の領域の波形面積を算出し、波形面積から脂質濃度を算出する、制御部と、を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体へ光を照射する照射部と、
前記照射部からの光が前記被検体内の脂質粒子により散乱し、前記被検体から放出された光を受光して、受光強度を検出する受光部と、
前記被検体の心拍による脈動に応じた前記受光強度の時間変化による波形から、1以上の0.5Hz以上2.0Hz以下の周期の1周期波形の領域を判定し、
前記判定された1周期波形の領域の波形面積を算出し、
前記波形面積から脂質濃度を算出する、制御部と、
を有する脂質濃度計測装置。
【請求項2】
前記1周期波形の領域は、前記1周期波形と、前記1周期波形の起点の受光強度と終点の受光強度を直線で接続したベースラインと、により包囲された領域である、請求項1に記載の脂質濃度計測装置。
【請求項3】
前記制御部は、
複数の前記1周期波形の領域の面積を平均して前記波形面積を算出する、
請求項1に記載の脂質濃度計測装置。
【請求項4】
前記制御部は、
複数の前記1周期波形の領域のうち、前記1周期波形の起点の受光強度と終点の受光強度の比が最も1に近い1周期波形の領域を判定し、前記判定された1周期波形の領域の波形面積を算出する、
請求項1に記載の脂質濃度計測装置。
【請求項5】
前記制御部は、
複数の前記1周期波形の領域のうち、前記1周期波形の起点の受光強度と終点の受光強度の比が0.8以上1.2以下となる1周期波形の領域を判定し、前記判定された1以上の1周期波形の領域の面積を平均して波形面積を算出する、請求項1に記載の脂質濃度計測装置。
【請求項6】
前記制御部は、
事前に計測した前記波形面積と前記脂質濃度との関係を示す校正データを記憶し、前記校正データから、前記脂質濃度を算出する、請求項1から5のいずれかに記載の脂質濃度計測装置。
【請求項7】
コンピュータに、
被検体へ光を照射する処理と、
前記照射部からの光が前記被検体内の脂質粒子により散乱し、前記被検体から放出された光を受光して、受光強度を検出する処理と、
前記被検体の心拍による脈動に応じた前記受光強度の時間変化による波形から、1以上の0.5Hz以上2.0Hz以下の周期の1周期波形の領域を判定し、
前記判定された1周期波形の領域の波形面積を算出し、
前記波形面積から脂質濃度を算出する処理と、
を実行させる脂質濃度計測プログラム。
【請求項8】
被検体へ光を照射する処理と、
前記照射部からの光が前記被検体内の脂質粒子により散乱し、前記被検体から放出された光を受光して、受光強度を検出する処理と、
前記被検体の心拍による脈動に応じた前記受光強度の時間変化による波形から、1以上の0.5Hz以上2.0Hz以下の周期の1周期波形の領域を判定し、
前記判定された1周期波形の領域の波形面積を算出し、
前記波形面積から脂質濃度を算出する処理と、
を含む脂質濃度計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書に記載の実施形態は、脂質濃度計測装置、プログラム、及び、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の血流データに基づく脂質濃度計測方法は、レーザー光など位相の揃った光源を用いることが必須であった。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/151022号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
脂質濃度の絶対値計測は、測定結果の信頼性を得るためには重要な情報である。しかしながら、脂質濃度の絶対値を非侵襲的に計測する場合において、肌の色や血管の深さや皮膚の厚みなどが脂質濃度の絶対値計測における阻害要因となっていた。
【0005】
また、これらの阻害要因の情報を計測するために、様々な計測を組み合わせることも想定されるが、そのような場合、装置の大型化や高額化を避けることは難しくなり、簡易計測を実現することは難しい。
【0006】
さらに、特許文献1は、静脈の計測技術である。静脈には心拍による脈動(拍動)は観察されないことが知られている。したがって、特許文献1の装置は、心拍の周期性(例えば、0.5~2.0Hz)に基づく計測を行う装置ではない。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされた発明であって、小型で簡易な計測装置で脂質濃度の絶対値計測を可能とする装置、プログラム、及び、装置の作動方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の脂質濃度計測装置は、被検体へ光を照射する照射部と、照射部からの光が被検体内の脂質粒子により散乱し、被検体から放出された光を受光して、受光強度を検出する受光部と、被検体の心拍による脈動に応じた受光強度の時間変化による波形から、波形の内の複数の1周期波形の領域のうち、0.5Hz以上2.0Hz以下の周期の1周期波形の領域を判定し、判定された1周期波形の領域の波形面積を算出し、波形面積から脂質濃度を算出する、制御部と、を有する。
【0009】
本発明の脂質濃度計測プログラムは、コンピュータに、被検体へ光を照射する処理と、照射部からの光が被検体内の脂質粒子により散乱し、被検体から放出された光を受光して、受光強度を検出する処理と、被検体の心拍による脈動に応じた受光強度の時間変化による波形から、波形の内の複数の1周期波形の領域のうち、0.5Hz以上2.0Hz以下の周期の1周期波形の領域を判定し、判定された1周期波形の領域の波形面積を算出し、波形面積から脂質濃度を算出する処理とを実行させる。
【0010】
本発明の脂質濃度計測方法は、被検体へ光を照射する処理と、照射部からの光が被検体内の脂質粒子により散乱し、被検体から放出された光を受光して、受光強度を検出する処理と、被検体の心拍による脈動に応じた受光強度の時間変化による波形から、波形の内の複数の1周期波形の領域のうち、0.5Hz以上2.0Hz以下の周期の1周期波形の領域を判定し、判定された1周期波形の領域の波形面積を算出し、波形面積から脂質濃度を算出する処理と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】脂質濃度計測装置の概略図
図2】脂質濃度計測装置のブロック図
図3】受光強度の時間変化の測定結結果および積分範囲の模式図
図4】脂肪負荷前後の波形比較の図
図5】脂質濃度計測装置による測定結果と脂質濃度変化量との相関図
図6】脂質濃度が低いときの模式図
図7】脂質濃度が高いときの模式図
図8】実施形態の脂質濃度計測ジョブのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に実施形態を図面を用いて説明する。
【0013】
図1は、実施形態の脂質濃度計測装置1の構成例を概略的に示す図である。図1に示すように脂質濃度計測装置1は、照射部2、受光部3、及び、制御部4を有する。また、照射部2による生体(被検体)上の照射位置を照射位置21とし、受光部3による生体上の受光位置を受光位置31とする。
【0014】
照射部2は照射光を生体に照射する。照射部2は、制御部4により、照射する光の波長や照射強度が制御されてもよい。実施形態では、照射部2はLED(Light Emitting Diode)(810nm)である。
【0015】
実施形態の照射部2は、光の連続的な照射や光のパルス状の照射等の光を照射する時間の長さを任意に調整することができる。
【0016】
照射部2は、波長が固定された光源を用いてもよい。照射部2は、波長が異なる複数の光源あるいは複数の波長の光を混合したものであってもよい。照射部2は、例えば、蛍光灯、LED、レーザー、白熱灯、HID、ハロゲンランプ等である。照射部2の照度は、制御部4により制御されてもよい。
【0017】
実施形態の受光部3は、受光位置31において生体内から生体外に放出される光を受光して、光強度を検出する。実施形態の受光部3は、フォトダイオードである。受光部3は、フォトダイオードに限られず、CCDやCMOSでもよい。受光部3は、波長を可入射波長に設定し、その波長を受光できるものでもよい。実施形態では、受光部3にフォトダイオードを用い、サンプリングレートは2msに設定した。
【0018】
次に、脂質濃度計測装置1の制御系の構成について説明する。図2は実施形態の脂質濃度計測装置1のブロック図である。システムバス142を介して、CPU(Central Processing Unit)141、ROM(Read Only Memory)143、RAM(Random Access Memory)144、記憶部145、外部I/F(Interface)146、照射部2、及び、受光部3が接続される。CPU141とROM143とRAM144とで制御部4を構成する。
【0019】
ROM143は、CPU141により実行されるプログラムや閾値を予め記憶する。
【0020】
RAM144は、CPU141が実行するプログラムを展開するエリアと、プログラムによるデータ処理の作業領域となるワークエリアなどの様々なメモリエリア等を有する。RAM144は、図5に示すような、事前に生体を用いて計測した波形領域の波形面積データと脂質濃度との関係を示す校正データを記憶する記憶エリアを有する。
【0021】
図3は、健常人の空腹時の測定結果である。
【0022】
図3は、脂質濃度計測器を用いて、被験者の指先で脈動を計測した結果である。図3の縦軸は、計測器で計測された光の吸収強度であり、横軸は時間である。図3に示すように、約1秒に1回(すなわち、約1Hz)の周期性を持つ波形が得られた。これは、心拍による脈動を反映している。また、図中に示した部分(以下、1周期波形領域とする)の面積は、積分分析の積分範囲を示すものである。1周期波形領域の波形面積は、以下の数式1により算出できる。
【0023】
【数1】
【0024】
なお、実施形態では、面積として、1周期波形領域(1回の周期(1つのピーク))の波形面積を求めているが、複数の周期の波形領域の平均の面積を波形面積としてもよい。また、波形領域の数をn=3以上とり、中央値をとったり、最大値と最小値を除いて平均する、SDを求めSD範囲から外れたものを除外してから平均するなどして波形面積を求めても良い。
【0025】
図3に示すように、波形面積を求める1周期波形領域は、ベースライン(図3のa)を差し引いたのち、山なりの1周期の波形が示すラインとベースラインで包囲した領域(図3のb)である。脂質濃度自体でもベースラインが上がるが、測定部位などによる影響でもベースラインの高さが変わってしまうため、規格化としてベースラインを設定するのがよい。
【0026】
また、ベースラインaは1周期波形領域のピーク波形の山の起点と終点を直線で結び、X軸と平行とするのがよい。ピークの定義は、心拍による変化であり、約1Hzの周期となる。生体計測で想定される測定レンジとして徐脈(心拍数はおおよそ40)から激しい運動時(心拍数はおおよそ120)までを考慮すると、心拍の脈動の変化に伴う、0.5Hz以上2.0Hz以下の周期の波が本計測における1周期波形の領域であると判定できる。このベースラインaの起点の受光強度と終点の受光強度は同じ値になることが望ましいが、測定条件によって、必ずしも起点の受光強度と終点の受光強度とが同じ値の形状の1周期波形領域のピークが得られるとは限らない。したがって、複数の1周期波形領域を計測し、起点の受光強度と終点の受光強度の比が最も1に近い1周期波形領域を判定し、当該判定された1周期波形領域について波形面積を算出することでもよい。さらには、起点の受光強度と終点の受光強度の比が0.8~1.2となる複数の1周期波形領域において面積を求め、複数の面積の平均を求めて波形面積とし、この波形面積から脂質濃度を求めることでもよい。
【0027】
受光強度の時間変化を測定した結果、空腹時、脂肪負荷後とも、約1秒に1回の受光強度の脈動が確認できる。このときの受光強度は、受光により得られた電圧値である。なお、ここで言う電圧値は厳格なmv単位ではないので、a.u.単位で表記した。
【0028】
図4は、脂肪負荷前(空腹時)と脂肪を負荷した際の脈動の波形である。脂肪負荷前(空腹時)については、図3中の領域bに示す1周期波形領域(初回1回の脈動)を拡大したものである。図4に示したように、脂肪負荷前(空腹時)と脂肪負荷後(脂肪負荷後)で、1周期波形領域の波形は異なる。
【0029】
図5は、図4で得られた1周期波形領域の数式1による積分値(波形面積)と脂質濃度の絶対値の相関を示した校正データ(線形近似データ)である。図に示したように、脂質濃度の上昇に伴い、1周期波形領域の波形面積の拡大が確認できる。
【0030】
図6図7は、血中の脂質粒子が多い場合と少ない場合の模式図である。図6が脂質粒子が少なく、図7が脂質粒子が多い場合である。脂質粒子が増加すると、血液内で光の反拡散回数が増えることで、光路長が増すことになる。そのため、血液による吸収が増大し、図5のような正相関になったと考えられる。
【0031】
周期波形は、脈動に伴う血液の増減を反映しており、心臓の拍動により血液が拍出された際の、測定部位における血液の一時的な増加によるものである。そして光計測では、血液による光の吸収を計測しており、血液量が増加すると、吸収が増加する。そして、脈動に応じ周期波形(1周期波形など)として、観測される。このとき、血液内部に散乱体である脂質粒子が増加すると、血液内部で反射する回数が増えるため、結果的に光路長が長くなり、血液による吸収の影響を受けやすくなる。そのため、周期波形領域の面積は、脂質粒子の増加に伴い大きくなる。
【0032】
記憶部145は、処理に必要なデータを記憶する。記憶部145は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などである。
【0033】
外部I/F146は、例えばクライアント端末(PC)などの外部装置と通信するためのインターフェースである。外部I/F146は、外部装置とデータ通信を行うインターフェースであれば良く、たとえば、外部装置にローカルに接続する機器(USBメモリ等)であっても良いし、ネットワークを介して通信するためのネットワークインターフェースであっても良い。
【0034】
以上のような構成を備える脂質濃度計測装置1において、予め設定されているプログラムに基づいて、脂質濃度計測装置1は脂質濃度計測ジョブを実行する。図8は、実施形態の脂質濃度計測ジョブのフローチャートである。
【0035】
実施形態の脂質濃度計測装置は、上記構成を有する照射部2により、被検体へ光を照射する(STEP101)。受光部3が、被検体から放出される受光強度を検出する(STEP102)。制御部4が、被検体の心拍による脈動に応じた受光強度の時間変化による波形から、波形の内の0.5Hz以上2.0Hz以下の周期の1以上の1周期波形の領域を判定し、判定された1周期波形の所定の波形領域を上記数式1により積分し、波形領域の波形面積を算出する(STEP103)。
【0036】
制御部4は、複数の1周期波形の領域の面積を平均して前記波形面積を算出してもよい。制御部4は、複数の1周期波形の領域のうち、当該1周期波形の起点の受光強度と終点の受光強度の比が最も1に近い1周期波形の領域を判定し、判定された1周期波形の領域の波形面積を算出してもよい。制御部4は、複数の前記1周期波形の領域のうち、当該1周期波形の起点の受光強度と終点の受光強度の比が0.8以上1.2以下となる、1以上の1周期波形の領域を判定し、判定された1以上の1周期波形の領域の面積を平均して波形面積を算出してもよい。
【0037】
制御部4は、0.5Hz以上2.0Hz以下の周期の1周期波形領域の波形面積から脂質濃度を算出する(STEP104)。制御部4は、STEP103で算出された1周期波形領域の波形面積と、事前に計測した1周期波形領域の波形面積とTG濃度の絶対値との関係を示す校正データと、から、TG濃度(脂質濃度)の絶対値を算出する。
【0038】
次に、実施形態の脂質濃度計測プログラムについて説明する。なお、当該プログラムは記憶媒体に格納されてもよい。
【0039】
実施形態の脂質濃度計測プログラムは、装置のコンピュータに、被検体へ光を照射する処理と、被検体から放出される受光強度を検出する処理と、被検体の心拍による脈動に応じた受光強度の時間変化による波形から、波形の内の0.5Hz以上2.0Hz以下の周期の1以上の1周期波形の領域を判定し、判定された1周期波形の所定の波形領域を上記数式1により積分し、波形領域の波形面積を算出する処理と、1周期波形領域の波形面積から脂質濃度の絶対値を算出する処理とを実行させる。
【0040】
実施形態の脂質濃度計測プログラムは、装置のコンピュータに、複数の1周期波形の領域の面積を平均して前記波形面積を算出する処理を実行させてもよい。実施形態の脂質濃度計測プログラムは、装置のコンピュータに、複数の1周期波形の領域のうち、当該1周期波形の起点の受光強度と終点の受光強度の比が最も1に近い1周期波形の領域を判定し、判定された1周期波形の領域の波形面積を算出する処理を実行させてもよい。実施形態の脂質濃度計測プログラムは、装置のコンピュータに、複数の前記1周期波形の領域のうち、当該1周期波形の起点の受光強度と終点の受光強度の比が0.8以上1.2以下となる、1以上の1周期波形の領域を判定し、判定された1以上の1周期波形の領域の面積を平均して波形面積を算出する処理を実行させてもよい。
【0041】
なお、実施形態では、照射部と受光部と制御部を一体の装置として構成したが、これに限られず、例えば、照射部として、携帯端末(スマートフォン、タブレット、モバイルPC)などのユーザ装置に備わる光源を使用し、受光部として携帯端末(スマートフォン、タブレット、モバイルPC)などのユーザ装置に備わるセンサ(CMOS等)を使用し、制御部をユーザ装置とネットワーク接続したサーバー装置等に設置してもよい。
【0042】
実施形態の脂質濃度計測装置は、被検体へ、光を照射する照射部と、被検体から放出される受光強度を検出する受光部を有するユーザ装置に、通信可能に接続する。脂質濃度計測装置は、ユーザ装置から送信された受光強度の時間変化による波形を上記数式1により積分して1周期波形領域の波形面積を算出し、1周期波形領域の波形面積から脂質濃度の絶対値を算出する制御部を有する。
【0043】
以上、実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1:脂質濃度計測装置
2:照射部
3:受光部
4:制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8