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▶ レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロードの特許一覧

特開2022-162983流体供給及び貯蔵装置、並びにそのような装置を含む車両及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162983
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】流体供給及び貯蔵装置、並びにそのような装置を含む車両及び方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 7/02 20060101AFI20221018BHJP
   F17C 1/12 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
F17C7/02
F17C1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022055431
(22)【出願日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】2103778
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・アリディエール
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・ロスコ
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB01
3E172BA01
3E172BD01
3E172BD03
3E172DA04
3E172EB02
3E172EB03
3E172EB08
3E172KA02
3E172KA03
3E172KA19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】流体供給及び貯蔵装置、並びにそのような装置を含む車両及び方法に関する。
【解決手段】二重壁及び真空絶縁型の極低温タンク(2)において、引き出し管(3)を備える引き出し回路とを備え、引き出し管(3)が、内側ジャケット(22)の外側に位置する第1の加熱式熱交換器(4)と、内側ジャケット(22)の内側に位置する第2の加熱式熱交換器(5)とを備え、引き出し回路が、第1の熱交換器(4)、次いで第2の熱交換器(5)に入るプロセスにおいて、又は第2の熱交換器(5)に入らずに第1の熱交換器(4)に入るプロセスにおいて、第1の端部(13)から第2の端部(23)まで循環する流体の流れの通過を確実にするように構成された1つ又は複数の弁(6)の組立体を備え、引き出し管(3)の流体の流れを受け入れる第1の熱交換器(4)の入口は、2つのジャケット間の真空断熱空隙(42)内に位置する、流体供給及び貯蔵装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を貯蔵し前記水素をユーザ部材に供給するための流体供給及び貯蔵装置、特に車両搭載装置であって、
流体貯蔵容積部を画定する内側ジャケット(22)、及び前記内側ジャケット(22)の周りに、前記内側ジャケットとの間に真空断熱空隙(42)を有して配設された外側ジャケット(32)を備える、二重壁及び真空絶縁型の、液化流体を貯蔵するための極低温タンク(2)と、
前記内側ジャケット(22)の上側部分に連結された第1の上流側端部(13)、及びユーザ部材に連結されるように意図された第2の下流側端部(23)を備える引き出し管(3)を備える引き出し回路とを備え、
前記引き出し管(3)が、前記内側ジャケット(22)の外側に位置する第1の加熱式熱交換器(4)と、前記内側ジャケット(22)の内側に位置する第2の加熱式熱交換器(5)とを備え、前記引き出し回路が、前記第1の熱交換器(4)、次いで前記第2の熱交換器(5)に入るプロセスにおいて、又は前記第2の熱交換器(5)に入らずに前記第1の熱交換器(4)に入るプロセスにおいて、前記第1の上流側端部(13)から前記第2の下流側端部(23)まで循環する流体の流れの通過を確実にするように構成された1つ又は複数の弁(6)の組立体を備える、流体供給及び貯蔵装置において、
前記引き出し管(3)の前記第1の上流側端部(13)から来る流体の前記流れを受け入れる前記第1の熱交換器(4)の入口が、前記2つのジャケット間の前記真空断熱空隙(42)内に位置することを特徴とする、流体供給及び貯蔵装置。
【請求項2】
前記引き出し管(3)の前記第1の上流側端部(13)から来る流体の前記流れを受け入れる前記入口(40)に隣接する前記第1の熱交換器(4)の少なくとも一部が、前記2つのジャケット間の前記真空断熱空隙(42)内に位置することを特徴とする、請求項1に記載の流体供給及び貯蔵装置。
【請求項3】
前記第1の熱交換器(4)が交換器ハウジング(15)内に収容され、前記交換器ハウジングの少なくとも一部分が、前記2つのジャケット間の前記真空断熱空隙(42)内に位置することを特徴とする、請求項1又は2に記載の流体供給及び貯蔵装置。
【請求項4】
前記交換器ハウジング(15)が、前記回路の前記第1の上流側端部(13)から来る流体の前記流れを受け入れる第1の入口(40)を備え、前記第1の入口(40)が、前記2つのジャケット間の前記真空断熱空隙(42)内に位置することを特徴とする、請求項3に記載の流体供給及び貯蔵装置。
【請求項5】
前記交換器ハウジング(15)が、前記第2の熱交換器(5)を前記第2の下流側端部(23)に連結する前記引き出し回路の一部を収容し、前記交換器ハウジング(15)が、前記第2の熱交換器(5)から来る流体の前記流れを受け入れる第2の入口(50)を備え、前記第2の入口(50)が、前記2つのジャケット間の前記真空断熱空隙(42)内に位置することを特徴とする、請求項3又は4に記載の流体供給及び貯蔵装置。
【請求項6】
前記引き出し回路が、前記第2の熱交換器(5)内に進んだ前記流れを受け入れるように前記第2の熱交換器(5)の下流側に直列に配設された、第3の熱交換器(12)を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の流体供給及び貯蔵装置。
【請求項7】
前記第3の熱交換器(12)が、前記2つのジャケット間の前記真空断熱空隙(42)の外側、特に前記外側ジャケット(32)の少なくとも部分的に外側に位置することを特徴とする、請求項6に記載の流体供給及び貯蔵装置。
【請求項8】
前記第1の熱交換器(4)及び前記第3の熱交換器(12)が、伝熱流体の少なくとも1つの流れ(14)と熱交換関係にある1つの同じ前記交換器ハウジング(15)内に収容されることを特徴とする、請求項6又は7に記載の流体供給及び貯蔵装置。
【請求項9】
前記1つ又は複数の弁(6)の組立体が三方弁を備え、前記三方弁のポートはそれぞれ、前記第1の熱交換器(4)の出口、前記第2の熱交換器(5)の入口、及び前記第3の熱交換器(12)の迂回路を形成する前記引き出し回路の迂回部分(75)を介して前記引き出し管の前記第2の下流側端部(23)に連結されることを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載の流体供給及び貯蔵装置。
【請求項10】
前記第3の熱交換器(12)の迂回路を形成する前記引き出し回路の前記迂回部分(75)が、較正されたオリフィスなどの流量制限部材(70)を備えることを特徴とする、請求項9に記載の流体供給及び貯蔵装置。
【請求項11】
前記流体供給及び貯蔵装置(1)が、前記引き出し回路とは別個の加圧管(8)であって、前記内側ジャケット(22)の上側部分及び下側部分にそれぞれ連結された2つの端部と、蒸発熱交換器(9)と、液体が前記極低温タンク(2)から引き出され、前記蒸発熱交換器(9)内で加熱され、前記極低温タンク(2)内に再導入されることを可能にするように構成された1つ又は複数の弁(10、11)の組立体とを備える加圧管(8)を備える、前記極低温タンク(2)を加圧するためのシステムを、さらに備えることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の流体供給及び貯蔵装置。
【請求項12】
前記第1の熱交換器(4)、前記第3の熱交換器(12)及び前記蒸発熱交換器(9)が、同じ前記交換器ハウジング(15)内に収容されることを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に従属する請求項11に記載の流体供給及び貯蔵装置。
【請求項13】
前記流体供給及び貯蔵装置が、前記流体供給及び貯蔵装置の前記1つ又は複数の弁(6)の組立体のすべて又はいくつかを制御するように構成された電子コントローラ(16)を有することを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の流体供給及び貯蔵装置。
【請求項14】
前記第2の下流側端部(23)に連結された燃料電池(123)又はモータを備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の流体供給及び貯蔵装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の流体供給及び貯蔵装置を備える車両、特に船舶。
【請求項16】
請求項1から14のいずれか一項に記載の流体供給及び貯蔵装置又は請求項15に記載の車両によって、流体をユーザ部材(123)に供給するための方法であって、
前記ユーザ部材(123)が引き出し回路の第2の端部(23)に連結され、
前記方法が、第1の引き出し管(3)を介してタンクから液化流体を引き出すことによって、前記タンク(2)から前記ユーザ部材(123)に流体を供給するステップを備える方法において、
前記流体を供給するステップに先立って、前記タンク(2)内の圧力が決定された閾値未満である場合、前記方法が、決定された圧力レベルまで前記タンク(2)を加圧するためのシステムを介して前記タンク(2)を加圧するステップを含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体供給及び貯蔵装置、並びにそのような装置を含む車両及び方法に関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、水素を貯蔵しこれをユーザ部材に供給するための流体供給及び貯蔵装置、特に車両搭載装置であって、流体貯蔵容積部を画定する内側ジャケット、及び内側ジャケットの周りに、内側ジャケットとの間に真空断熱空隙を有して配設された外側ジャケットを備える、二重壁及び真空絶縁型の、液化流体を貯蔵するための極低温タンクと、内側ジャケットの上側部分に連結された第1の上流側端部、及びユーザ部材に連結されるように意図された第2の下流側端部を備える引き出し管を備える引き出し回路とを備え、引き出し管が、内側ジャケットの外側に位置する第1の加熱式熱交換器と、内側ジャケットの内側に位置する第2の加熱式熱交換器とを備え、引き出し回路が、第1の熱交換器、次いで第2の熱交換器に入るプロセスにおいて、又は第2の熱交換器に入らずに第1の熱交換器に入るプロセスにおいて、第1の端部から第2の端部まで循環する流体の流れの通過を確実にするように構成された1つ又は複数の弁の組立体を備える、流体供給及び貯蔵装置に関する。
【背景技術】
【0003】
そのような装置は、たとえば、独国特許第4329566号の文献に説明されている。
【0004】
水素燃料が供給される車両に搭載された水素の貯蔵は、圧縮された気体状の水素又は液体状の水素を利用する。
【0005】
必要とされる貯蔵容量が50kgを超える場合、液体状での車載貯蔵が好ましい。液体水素は、通常、低圧(13バール絶対圧未満)でタンク内に貯蔵される。平衡状態において、水素の温度は、液相と気相との間の飽和曲線を介してタンク内の圧力によって設定される。これは、13バール絶対圧よりわずかに低い圧力で起こる、水素の臨界点まで適用可能である。
【0006】
通常、液体水素は、20.8Kから21.2Kの間の温度に対応する、通常は1.15バール絶対圧から1.3バール絶対圧の間の大気圧に近い圧力で生成される。これは、極低温トラック及び充填ステーションを使用して車載タンクに輸送及び移送される。輸送及び移送は、熱流入の源であるため、タンク内の水素の温度は、約2バール絶対圧の飽和圧力、又は22.9Kに対応する。
【0007】
燃料電池(又は場合によっては水素駆動式内燃機関「ICE」)は、一般に、電池の心臓部内で2バール絶対圧未満の圧力で動作する。しかし、さまざまな動作上の理由により、ほとんどの製造者は、3バール絶対圧から5バール絶対圧の間のタンクとのインターフェース圧力を必要とする。
【0008】
満タンのタンクは、最初低圧であるため、その圧力を燃料電池(ICE)のものを超える圧力まで上昇させ、気体が消費されるときにこの圧力を制御することが必要である。したがって、その圧力を制御するための手段をタンク内に含むことが、必要である。
【0009】
上記で言及された文献は、タンク内への加圧された気体の供給を提供する。これにより、設置がより複雑になる。その上大量の気体が必要とされるために、この形態の制御は、業界では使用されていない。
【0010】
さらに、知られている装置では、低温管、高温管、低温交換器及び高温交換器の相対配置は、設備の効率性に悪影響を与える熱損失を発生させる。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、上記で記載された従来技術の欠点のすべて又はいくつかを克服することである。
【0012】
この目的を達成するために、本発明による、さらに上記のプリアンブルで与えられた一般的な定義による装置は、本質的に、引き出し管の第1の端部から来る流体の流れを受け入れる第1の熱交換器の入口が、2つのジャケット間の真空断熱空隙内に位置することを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の実施形態は、以下の特徴の1つ又は複数を含むことができる。
- 引き出し管の第1の端部から来る流体の流れを受け入れる入口に隣接する第1の熱交換器の少なくとも一部は、2つのジャケット間の真空断熱空隙内に位置する。
- 第1の熱交換器は、交換器ハウジング内に収容され、交換器ハウジングの少なくとも一部分は、2つのジャケット間の真空断熱空隙内に位置する。
- ハウジングは、回路の第1の端部から来る流体の流れを受け入れる第1の入口を備え、前記第1の入口は、2つのジャケット間の真空断熱空隙内に位置する。
- ハウジングは、第2の熱交換器を第2の端部に連結する引き出し回路の一部を収容し、ハウジングは、第2の交換器から来る流体の流れを受け入れる第2の入口を備え、前記第2の入口は、2つのジャケット間の真空断熱空隙内に位置する。
- 引き出し回路は、第2の熱交換器内に進んだ流れを受け入れるように第2の熱交換器の下流側に直列に配設された、第3の熱交換器を有する。
- 第3の熱交換器は、2つのジャケット間の真空断熱空隙の外側、特に外側ジャケットの少なくとも部分的に外側に位置する。
- 第1の熱交換器及び第3の熱交換器は、伝熱流体の少なくとも1つの流れと熱交換関係にある1つの同じ交換器ハウジング内に収容される。
- 1つ又は複数の弁の組立体は、三方弁を備え、そのポートはそれぞれ、第1の熱交換器の出口、第2の熱交換器の入口、及び第3の熱交換器の迂回路を形成する引き出し回路の部分を介して引き出し管の第2の端部に連結される。
- 第3の熱交換器の迂回路を形成する引き出し回路の部分は、較正されたオリフィスなどの流量制限部材を備える。
- 装置は、引き出し回路とは別個であり、内側ジャケットの上側部分及び下側部分にそれぞれ連結された2つの端部と、蒸発熱交換器と、液体がタンクから引き出され、蒸発熱交換器内で加熱され、タンク内に再導入されることを可能にするように構成された1つ又は複数の弁の組立体とを備える加圧管を備える、タンクを加圧するためのシステムをさらに備える。
- 第1の熱交換器、第3の熱交換器、及び蒸発熱交換器は、同じ交換器ハウジング内に収容される。
- 装置は、装置の1つ又は複数の弁の組立体のすべて又はいくつかを制御するように構成された電子コントローラを有する。
- 装置は、第2の下流側端部に連結された燃料電池又はモータを備える。
【0014】
本発明はまた、上記又は下記で言及される特徴のいずれか1つによる装置を備える車両、特に船舶に関する。
【0015】
本発明はまた、そのような装置又はそのような車両によって、流体をユーザ部材に供給するための方法であって、ユーザ部材が、引き出し回路の第2の端部に連結され、方法が、第1の引き出し管を介してタンクから液化流体を引き出すことによって、タンクからユーザ部材に流体を供給するステップを備え、流体を供給するステップの前、タンク内の圧力が、決定された閾値未満である場合、方法は、決定された圧力レベルまでタンクを加圧するためのシステムを介してタンクを加圧するステップを含む、方法に関する。
【0016】
本発明はまた、特許請求の範囲内の上記又は下記の特徴の任意の組み合わせを備える任意の代替の装置又は方法に関することもできる。
【0017】
さらなる特定の特徴及び利点は、図を参照して与えられる以下の説明を読み取ることにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の例示的な実施形態の構造及び動作を示す概略部分図。
図2】本発明の第2の例示的な実施形態の構造及び動作を示す概略部分図。
図3】タンク内の熱交換器ハウジングの配置を示す、そのような装置の一例の概略的及び部分的な断面斜視図。
図4】熱交換器ハウジングの一例の概略的及び部分的な側面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図示される流体供給及び貯蔵装置1は、水素を貯蔵し、これをたとえば燃料電池又はモータなどのユーザ部材に供給するために車両(船舶又は他の車両)上に搭載される装置であってもよい。
【0020】
装置1は、流体貯蔵容積部を画定する内側ジャケット22と、内側ジャケット22の周りに、内側ジャケットとの間に真空断熱空隙42を有して配設された外側ジャケット32とを備える、二重壁及び真空絶縁型の、液化流体を貯蔵するための極低温タンク2を備える。
【0021】
装置1は、内側ジャケット22(好ましくは上側部分)に連結された第1の上流側端部13と、ユーザ部材に連結されるように意図された第2の下流側端部23とが設けられた引き出し管3を備える引き出し回路を有する。
【0022】
引き出し管3は、内側ジャケット22の外側に位置する第1の加熱式熱交換器4と、内側ジャケット22の内側に位置する第2の加熱式熱交換器5とを備える。
【0023】
引き出し回路は、第1の熱交換器4、次いで第2の熱交換器5に入るプロセスにおいて、又は第1の熱交換器4だけに入るプロセスにおいて、第1の端部13から第2の端部23まで循環する流体の流れの通過を確実にするように構成された1つ又は複数の弁6の組立体をさらに備える。
【0024】
すなわち、引き出し回路は、第1の熱交換器4及び第2の熱交換器5が第1の端部13と第2の端部23との間に直列に配設された管と、第2の熱交換器5を通過せずに第1の熱交換器4の出口を第2の端部23に連結する迂回部分75とを有する。
【0025】
1つ又は複数の弁6の組立体は、たとえば、三方弁を備え、そのポートはそれぞれ、第1の熱交換器4の出口、第2の熱交換器5の入口、及び第2の熱交換器5を迂回する迂回部分75を介して第2の端部23に連結される。
【0026】
引き出し回路のこの迂回部分75は、好ましくは、たとえば較正されたオリフィス又は弁などの流量制限部材70を備える。
【0027】
三方弁6は、比例弁(たとえば、流体の流れのいくらかが第2の熱交換器5に向けられている)のものであってもよい。当然ながら、任意の他のタイプの弁が、流体の流れの経路付け又は分配を確実にするために企図され得る。
【0028】
第1の熱交換器4の入口(引き出し管3の第1の端部13から来る流体の流れを受け入れる入口)は、2つのジャケット間の真空断熱空隙42内に位置する。
【0029】
これにより、真空絶縁された空間内に低温インターフェースを局所化することが可能になる。
【0030】
有利には、引き出し管3の第1の端部13から来る流体の流れを受け入れる入口40に隣接する第1の熱交換器4の少なくとも一部は、真空断熱空隙42内に位置する。たとえば、容積部が、この目的のために、(垂直又は水平タンクであることができる)タンクの1つの端部(たとえば長手方向端部)に設けられ得る。
【0031】
図示されるように、第1の熱交換器4の全体は、この壁間空間42内に収容され得る。
【0032】
たとえば、この第1の熱交換器4は、密閉された交換器ハウジング15内に収容されてもよく、この交換器ハウジングの少なくとも一部分は、2つのジャケット間の真空断熱空隙42内に位置する。
【0033】
ハウジング15は、したがって、回路の第1の端部13から来る流体の流れを受け入れる第1の入口40を備えることができる。この第1の入口40は、2つのジャケット間の真空断熱空隙42内に位置するハウジング15の末端部に位置することができる。
【0034】
図示されるように、このハウジング15はまた、第2の熱交換器5を第2の端部23に連結する引き出し回路の一部を収容することができる。この目的を達成するために、ハウジング15は、第2の熱交換器5から来る流体の流れを受け入れる第2の入口50を有することができる。
【0035】
この第2の入口50は、2つのジャケット間の真空断熱空隙42内に、第1の入口40に隣接して位置することができる。
【0036】
引き出し回路は、第2の熱交換器5内に進んだ流れを受け入れるように第2の熱交換器5の下流側に直列に配設された、第3の熱交換器12を有することができる。
【0037】
この第3の熱交換器12は、2つのジャケット間の真空断熱空隙の外側、特に外側ジャケット32の少なくとも部分的に外側に位置する。
【0038】
図示されるように、この第3の熱交換器12は又はウジング15内に収容され得る。当然ながら、これは、ハウジングの外側、特にハウジングのさらに下流側に配設されることも可能である。
【0039】
図示される例では、第1の熱交換器4及び第3の熱交換器12は、伝熱流体の少なくとも1つの流れ14と熱交換関係にあってもよい1つの同じ熱交換器ハウジング15内に収容される。
【0040】
このハウジング15は、多チャネルプレートタイプ(上記で説明された異なる熱交換器用の異なるチャネル)の熱交換器であってもよい。
【0041】
図示されるように、装置1は、好ましくは、引き出し回路とは別個であり、内側ジャケット22の上側部分及び下側部分にそれぞれ連結された2つの端部を備える加圧管8を有する、タンク2を加圧するためのシステムをさらに備える。蒸発熱交換器9及び1つ又は複数の弁10、11の組立体が、この管8に設けられ、液体がタンク2から引き出され、蒸発熱交換器9内で加熱され、タンク2に再導入されることを可能にするように構成される。たとえば、2つの弁10、11は、蒸発熱交換器9の両側に配設される。
【0042】
したがって、この補助加圧システムは、タンクの初期加圧、特に第2の端部23に連結された燃料電池123の起動を可能にする。引き出し回路を使用しないこの加圧により、初期加圧が、特に必要な圧力が充填圧力を超える場合に、流体を消費することなく可能になる。
【0043】
図1]の実施形態では、第1の熱交換器4は、言及されたハウジング15の外側に位置し、一方で[図2]の実施形態では、第3の熱交換器12及び蒸発熱交換器9は、同じ熱交換器ハウジング15内に収容される。
【0044】
図示されるように、このハウジング15は、外側ジャケット32の外面に固定され得る取り付けプレート19と一体であってもよい。取り付けられた位置では、このハウジング15は、したがって、密閉式に外側ジャケット32を通過することができる(真空絶縁された低温部分内の流体用の低温入口40、50及びタンクの外側の高温出口140、150)。
【0045】
制御及び/又は安全弁17が、好ましくは、第2の端部23の第3の熱交換器12の下流側(ユーザ部材123の上流側)に設けられる。温度及び/又は圧力センサもまた、この熱交換器12の出口に(同様に引き出し回路の第1の端部13に)設けられ得る。
【0046】
したがって、1つ又は複数の弁6の組立体により、タンク2から気体を引き出すことが可能になり、この気体は、第2の端部23の前に、第1の熱交換器4内、次いで第2の熱交換器5、その後第3の熱交換器12内で循環される。代替策として、1つ又は複数の弁6の組立体により、タンク2から気体を引き出すことが可能になり、この気体は、第2の端部23に到達する前、第1の熱交換器4内のみで循環される。
【0047】
上記で示されるように、流量調節及び/又は制限部材70が、好ましくは、第3の熱交換器12を迂回する迂回部分内の、1つ又は複数の弁6の組立体の下流であって、第2の下流側端部23の上流側の引き出し管3内に設けられる。
【0048】
この部材70により、特に第2の熱交換器5内の圧力降下を補償することが可能になる。
【0049】
図示されるように、好ましくは、圧力逃がし弁を備えた安全装置18が、タンク2から可能性のある過剰な圧力を排出するために第1の端部13に設けられる。
【0050】
次に、流体をユーザ部材123に供給するための本装置の可能な動作形態が、説明される。
【0051】
タンク2(内側ジャケット22内)の圧力が、決定された閾値未満であるとき、三方弁6は、(タンク2内に熱エネルギーを供給し、したがってその圧力を上昇させるために)タンク2から引き出された(そして第1の熱交換器4内で加熱された)流体を第2の熱交換器5内に移送するように構成され得る。この流体は、次いで、ユーザ部材123に供給される前に第3の熱交換器12内で再加熱される。
【0052】
タンク内の圧力が、決定されたレベルを超えるとき、三方弁6は、タンク2から引き出された(そして第1の熱交換器4内で加熱された)流体を、タンク2内に位置する第2の熱交換器を通過させずに、ユーザ123に向かって(好ましくは流量制限部材70を介して)移送するように構成され得る。
【0053】
この形態では、液相及び気相は、熱力学平衡状態で保たれ得る。
【0054】
したがって、定常動作において、タンク2内の引き出される気体は、第2の熱交換器5によって引き起こされる液体の蒸発作用から生じる。この気体は、タンク内に存在する液体により気泡化されているため、液体と熱力学平衡状態にある。したがって、タンク2内の圧力は、液体及び気体の温度によって設定される。したがって、この動作形態により、液体が気体と熱平衡状態にあるタンク2を有することが可能になる。この場合、タンクが揺らされた場合、液相及び気相の混合物は、同じ温度にあるので圧力に影響を与えない。
【0055】
図示されるように、(マイクロプロセッサ及び/又はコンピュータを備える)電子コントローラ16が、本装置の1つ又は複数の弁の組立体のすべて又は一部を制御するために設けられ、そのように構成され得る。
【0056】
気体状部分におけるこの引き出しは、気相のより良好な再生を可能にするため、液体引き出しより有利である。さらに、これは、この相の熱勾配を制限し、その結果、液相と蒸気相との間の平衡状態からの逸脱を最小限に抑える。
【0057】
したがって、この装置により、気体状の引き出しと、適切な場合の液相における内部再循環のためのループとによって、タンク2内の圧力を制御することが可能になる。装置は、移動可能であることができ、特に、5°を超える3軸(Oxyz)に関する回転、及びこれらの軸に沿った0.5gを超える加速(その結果、液体/気体混合物がもたらされ、場合によっては従来技術の装置では圧力不安定性を生じさせる可能性がある)を受け得る。
【0058】
本装置は、固定されたステーションにて、又は「満タンにする(full for empty)」使用モードにおいて、船舶、航空機、トラックに搭載され得る。
【0059】
本装置1は、有利には、タンクの初期加圧及び(上記で説明された恒久的引き出しの動作形態の前の)流体の引き出しが無いセルの起動のために、補助加圧ヒータ9を有する。
【0060】
したがって、タンク2は、起動を確実にするために、引き出し回路とは別個の、好ましくは加圧システム単独で加圧される。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】