(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163003
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】ワーク洗浄装置、洗浄方法、および、製造方法
(51)【国際特許分類】
B08B 5/02 20060101AFI20221018BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
B08B5/02 Z
B08B3/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022066637
(22)【出願日】2022-04-13
(31)【優先権主張番号】20 2021 001 343.1
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】504183229
【氏名又は名称】フォルクマン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(74)【代理人】
【識別番号】100217467
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴崎 一磨
(72)【発明者】
【氏名】サマーマン、コンラード
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
【Fターム(参考)】
3B116AA46
3B116AB01
3B116BB22
3B116BB43
3B116BB88
3B201AA46
3B201AB01
3B201BB22
3B201BB43
3B201BB92
(57)【要約】 (修正有)
【課題】顆粒状の製造材料及び/又は粉末状の製造材料から製造されたワークを洗浄し、かつ/又は残余の顆粒状及び/又は粉末状の製造材料をワークの付加製造後に除去する。
【解決手段】洗浄装置1はケーシング3を備え、その中にはワークを設置可能なワーク固定具を備える。ケーシング3の内又は上には、製造材料をケーシング内部9から除去する移送装置を少なくとも備える。ケーシング内部9には、少なくとも1つの可動なノズルアーム4上の少なくとも1つの可動なノズル8を備え、洗浄工程において少なくとも1つの洗浄流体の流れを当ててワーク及び/又はケーシング内部9から製造材料を除く。少なくとも1回のノズル回転を想定し、その際にノズル8が少なくとも1本のノズル回転軸の周りをノズルアーム4に対して相対的に回転可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造において顆粒状の製造材料及び/又は粉末状の製造材料から製造されたワーク(2)の洗浄、及び/又は残余の顆粒状の製造材料及び/又は粉末状の製造材料のワークの付加製造の後の除去のための洗浄装置(1)であって、
ケーシング(3)を備え、前記ケーシング内/上には製造された前記ワーク(2)を設置可能なワーク固定具(14)を備え、
前記ケーシング(3)の内/上には、残余の製造材料を前記ケーシング内部(9)から除去するための移送装置を少なくとも1つ備え、
前記ケーシング内部(9)には、少なくとも1つの可動なノズルアーム(4)上の少なくとも1つの可動なノズル(8)を備え、洗浄サイクルにおいて前記ワーク(2)と前記ケーシング内部(9)に当てることが可能な少なくとも1つの洗浄流体の流れによって前記ワーク(2)及び/又はケーシング内部(9)から残余の製造材料を除き、
少なくとも1回のノズル回転を想定し、当該ノズル回転では前記ノズル(8)が少なくとも1本のノズル回転軸の周りを前記ノズルアーム(4)に対して相対的に回転可能であり、
少なくとも1回のアーム移動及び/又は少なくとも1回のアーム回転を想定し、これらの際には前記ノズルアーム(4)は少なくとも1本のアーム軌道に沿って、かつ/又は少なくとも1本のアーム回転軸(6)の周りを、ワーク固定具(14)に対して相対的に移動可能かつ/又は回転可能であり、
前記ノズル回転の回転速度、及び前記アーム移動及び/又は前記アーム回転の速度は、洗浄サイクルにおいて、前記ケーシング内部(9)で、前記洗浄流体の流れが全ての又は略全ての流れ方向を取ることができ、前記ワーク(2)及びケーシング内部(9)の表面全体又は略全体に、全ての又は略全ての方向から来た前記洗浄液の流れを当てることができるように決定される、洗浄装置。
【請求項2】
前記アーム移動及び/又は前記アーム回転の結果、回転する前記ノズル(8)が、丸い、円形の、楕円形の、矩形状又は略矩形状の、又は自由な形の軌道に沿って、前記ワーク固定具(14)の周りと、前記ワーク固定具(14)及びケーシング壁(16)の間を移動する、請求項1に記載の洗浄装置(1)。
【請求項3】
ノズル回転及びアーム移動及び/又はアーム回転が組み合わせられ、
アーム回転の際は、調節可能な定数、調節可能な変数、調節可能でない変数、又は任意の数のノズル回転がなされ、或いは
ノズル回転の際は、調節可能な定数、調節可能な変数、調節可能でない変数、又は任意の数のアーム回転がなされる、請求項1又は2に記載の洗浄装置(1)。
【請求項4】
前記ノズル回転及び前記アーム移動及び/又はアーム回転の組み合わせは、機械的かつ/又は電気的になされ、特に制御装置によってなされる、請求項3に記載の洗浄装置(1)。
【請求項5】
前記ノズルアーム(4)には少なくとも1つの伝動装置が備えられ、これにより前記ノズルアーム(4)の前記移動が前記ノズル(8)の移動を増減させる、請求項1-4のいずれか1つに記載の洗浄装置(1)。
【請求項6】
前記ノズル(8)は回転する2つ以上のノズルとして形成される、請求項1-5のいずれか1つに記載の洗浄装置(1)。
【請求項7】
前記洗浄流体の流れが前記ノズル(8)から放出されるときの角度が、前記ノズル(8)によって、又は前記ノズルを介して調節可能であり、前記角度を回転可能なノズル(8)及び移動可能かつ/又は回転可能なノズルアーム(4)の間の角度を変更することによって調節可能である、請求項1-6のいずれか1つに記載の洗浄装置(1)。
【請求項8】
前記ワーク固定具(14)が前記ケーシング内部(9)で可動であり、スライド可能かつ/又は方向変換可能かつ/又は回転可能である、請求項1-7のいずれか1つに記載の洗浄装置(1)。
【請求項9】
洗浄サイクルの間にワークアクチュエータによって前記ワーク固定具の前記ワーク(2)を移動可能であり、段階的に移動可能である、請求項1-8のいずれか1つに記載の洗浄装置(1)。
【請求項10】
前記移送装置が真空移送装置として形成されている、請求項1-9のいずれか1つに記載の洗浄装置(1)。
【請求項11】
前記移送装置が移送ポート(10)と流体接続されており、前記移送ポートは、除去されるべき残余の顆粒状の製造材料及び/又は粉末状の製造材料を、重力に従って前記移送ポート(10)へと移動させるよう構成されている、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の洗浄装置(1)。
【請求項12】
移送ポート(10)の領域において、流体の流れを監視する装置を備える、請求項1ないし11のいずれか1つに記載の洗浄装置(1)。
【請求項13】
前記洗浄装置(1)の配置が変更可能であり、スライド可能、方向変換可能、かつ/又は回転可能である、請求項1ないし12のいずれか1つに記載の洗浄装置(1)。
【請求項14】
前記洗浄装置(1)は、流体を遮断する立体構造の中のワーク固定具(14)に設置可能である、請求項1ないし13のいずれか1つに記載の洗浄装置(1)。
【請求項15】
前記洗浄装置(1)の中/上に、振動装置が備えられ、これにより前記洗浄装置(1)及び/又はワーク固定具(14)及び/又はワーク(2)に振動を加えることのできる、請求項1ないし14のいずれか1つに記載の洗浄装置(1)。
【請求項16】
付加製造の際の、顆粒状の製造材料及び/又は粉末状の製造材料から製造されたワークの洗浄、及び/又はワークの付加製造の後の、残余の顆粒状の製造材料及び/又は粉末状の製造材料の除去のための洗浄方法であって、
請求項1-15のいずれか1つに記載の洗浄装置(1)の内部に前記ワークが配置され、前記ワークが洗浄サイクルの間に、前記ワーク及び/又はケーシング内部から残余の製造材料を除去し、洗浄流体を当てられ、当該洗浄流体は少なくとも1つの可動なノズルから流れ出て、前記ノズルは少なくとも1つの可動なノズルアームに取り付けられ、前記ワーク及び前記洗浄装置の前記ケーシング内部が、洗浄サイクルの間に洗浄流体の流れを少なくとも1本当てられ、
その際に少なくとも1回のノズル回転が想定され、当該ノズル回転では前記ノズルが少なくとも1本のノズル回転軸の周りを前記ノズルアームに対して相対的に回転可能であり、
少なくとも1回のアーム移動及び/又は1回のアーム回転を想定し、これらの際は前記ノズルアームは少なくとも1本のアーム軌道に沿って前記ワーク固定具に対して相対的に移動され、かつ/又は少なくとも1本のアーム回転軸の周りを、ワーク固定具に対して相対的に回転し、
前記ノズル回転の回転速度、及び前記アーム移動及び/又は前記アーム回転の速度は、洗浄サイクルの間に、前記ケーシング内部で、前記洗浄流体の流れが全ての又は略全ての流れ方向を取ることができ、前記ワーク及びケーシング内部の表面全体又は略全体に、前記洗浄液の流れを当てることができる、洗浄方法。
【請求項17】
顆粒状の製造材料及び/又は粉末状の製造材料からワークを製造するための、付加製造方法であって、請求項16に記載の洗浄方法に依って特徴づけられる、付加製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、請求項1の上位概念に係る洗浄装置に関する。洗浄装置は、付加製造において顆粒状の製造材料及び/又は粉末状の製造材料から製造されたワークを洗浄すること、及び/又は、付加製造の後に残余の顆粒状の製造材料及び/又は粉末状の製造材料を除去することを目的とする。この点に関して、洗浄装置は、粉末除去装置として構成されてよい。製造材料は、プラスチック又は金属の、粉末又は顆粒としてよい。洗浄装置は、ワーク製造装置(3Dプリンタ)に統合されても、統合可能であってもよく、又は複数のコンポーネントから構成される3Dワーク製造ラインの構成要素であってもよい。洗浄装置は、製造(印刷)されたワークをその上に配置することの可能なワーク固定具が内部に配置された、流体を遮断するケーシングを含む。ワーク固定具は例えば、当該ワークのためのフレーム又は(流体を遮断する)チャンバーとして形成してよい。ケーシングの中又は上に、ケーシング内部の残余の製造材料の排出のための移送装置が少なくとも配置されている。ケーシング内部には、少なくとも1つの可動なノズルアーム上の少なくとも1つの可動なノズルが配置されている。ワークとケーシング内部に対しては、洗浄サイクルにおいて少なくとも1本の洗浄流体の流れを当てることができ、残余の製造材料を除去することができる。
【0002】
本開示は、請求項16の上位概念に係る洗浄方法と、請求項17の上位概念に係るワーク洗浄方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
付加製造の方法は、特に工業的製造の分野において重要性が高まっている。製造材料ないし製造原料は、多くの場合顆粒状又は粉末状であり、当該方法においては顆粒状又は粉末状の材料から3次元ワークが製造される。製造後は、事後的な処置やワークの使用が想定されるが、その際にはワークからは残留粉末が除去されておらねばならない。これは空気流又はガス流によって行うことができる。その際問題となるのは、洗浄の質、並びに空気洗浄/ガス洗浄が周囲を汚す可能性のあることである。ワークの表面要素に対しては、常に空気流/ガス流を当てることができるとは限らないし、洗浄後も製造材料の残留物がワークに残留する。そのため、密閉容器内にてワークからの粉末除去を行うことが推奨される。しかしながらそれには時間とコストがかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の背景事情のもと、本開示の課題は、時間とコストをかけずに、付加製造されたワークから製造材料残留物を効果的に除去する処理を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1に係る洗浄装置によって解決される。本開示の更なる実施形態は、他の請求項によってもたらされる。請求項1に係る洗浄装置によれば、少なくとも1種類のノズル回転が提供される。当該ノズル回転において、ノズルは少なくとも1つのノズル回転軸の周りを、ノズルアームに対して相対的に回転可能である。加えて、少なくとも1種類のアーム移動、及び/又は少なくとも1種類のアーム回転が可能であり、当該アーム移動及び/又はアーム回転において、ノズルアームはワーク固定具に対して相対的に、少なくとも1つのアーム軌道に沿って移動可能であり、かつ/又は少なくとも1つのアーム回転軸の周りを回転可能である。ノズル回転軸とアーム回転軸とは向きが異なっていてもよい。例えば、ノズル回転軸は、ノズルアーム回転軸に対して垂直又は略垂直であってもよい。ノズル回転の回転速度、及びアーム移動及び/又はアーム回転の速度は、1回の洗浄サイクルの間に洗浄流体の流れがケーシング内部で全て又は略全ての方向を取ることができ、ワークとケーシング内部の表面の全体又は略全体に対して、全て又は略全ての方向から洗浄流体の流れを当てることができるよう、設定される。1回の洗浄サイクルは例えば、ワークが十分に洗浄される、即ち粉末が除去される期間である。ケーシング内部にも直接的に洗浄流体が当てられることから、再度粉末が付着すること、即ちケーシング内部の粉末によるワークの汚染が防止される。このような残留粉末は、当該洗浄それ自体の際、あるいは当該洗浄以前の洗浄の際に、当該箇所に蓄積されうる。上述の装置によれば、第1のワークの洗浄での残留物が、次に洗浄される第2のワークを汚染することを防止することができる。ノズルが回転し、ノズルを備えたアームが動くことで、1回の洗浄サイクルの間の洗浄流体の流れのベクトル全てよりなるベクトル空間は、完全な立体角(4π)又は略完全な立体角(約4π。当該立体角は、3次元空間全体に相当する(数学的に記述可能な)部分に該当する)を包含する。ワークを洗浄装置内に収納することにより、洗浄装置の周囲の汚染が防止できるので、このことは理にかなっている。
【0006】
アーム移動及び/又はアーム回転は、回転するノズルが、ワーク固定具の周りを、又はワーク固定具とケーシングの壁との間を、丸みを帯びた、円形の、楕円形の、矩形状又は略矩形状の、又は自由な形の軌道を沿って動くようになされるのが望ましい。例えば軌道は丸みを帯びた矩形状としてよい。矩形状の輪郭(Rahmen)に対しては、ノズルは実質的に当該輪郭の形状を辿る。ここでは、アームの軌跡に沿うような、一致する相応関係が意図されている。輪郭やアームの軌跡は、装置の外形に応じて長さを調節できるよう設計してもよい。装置のノズルアームは、回転するノズルに従って、ワークの周り又はワーク固定具の周りを軌道に沿って移動する。ノズルアームとノズルそれ自体が回転するために、ワークの全て又は略全ての表面要素に流体の流れが当てられる。この結果、全て又は略全ての製造材料又は粉末残留物が、ワーク及びケーシングの壁において流体の流れによって捕捉され、少なくともワークからは除去される。1回の洗浄サイクルの後は、ワークからは粉末が除去され、更なる加工又は使用が可能になる。
【0007】
ノズル及びノズルアームが上記のように回転するので、ワークから製造材料残留物又は汚れを除かれるだけではなく、洗浄装置それ自身、即ち装置のケーシング内部も洗浄される。当該洗浄のこのような特徴は、洗浄サイクルにおけるワークの再汚染が防止されるという点で、洗浄の結果に対して重大な意味を有する。これは当該再汚染が、ケーシング内部の製造材料残留物が、洗浄の際にケーシング内部のワークを汚染することが原因であるためである。加えてこれは、「交叉汚染」、即ち第1の洗浄サイクルで生じる製造材料の汚れによる第1のワークの汚染と、次の第2の洗浄サイクルで生じる当該汚れによる第2のワークの汚染とを、防止することができる。
【0008】
ノズルの回転及びアーム移動及び/又はアーム回転は、組み合わせられることが望ましい。アームが1回転する間に、設定可能な定数若しくは設定可能な変数の、又は設定可能でない変数の、又は任意の数の分だけ、ノズルの回転が可能である。例えば、アームが回転する間、ノズルはx回回転することができる。ここでxは1より大なる自然数(x∈N)、又は1より大なる有理数(x∈Q)とすることができる。xが非整数である場合は、ノズルの配向はフル回転の後に違う配向に変化し、ノズルから出射された洗浄流体の流れが、アーム回転の後は異なる方向に変化し、ワーク及びケーシング内部のあらゆる又は略あらゆる表面要素に対して、洗浄流体の流れを当てることができる。或いは、ノズルが1回転する間に、設定可能な定数若しくは設定可能な変数の、又は設定可能でない変数の、又は任意の数の、アームの回転がなされる。例えばノズルが1回転する間にアームはy回回転することが見込まれる(y∈N又はy∈Q)。
【0009】
ノズルアームに配置されたノズルの配向は、ノズルアームが1回転した後でも、回転前のそれに比してわずかな(角度)変化しかしないことが望ましいが、複数回回転によれば洗浄流体の流れの方向についてより大きな角度領域がカバーされる。
【0010】
本明細書に記載の回転の構成によって、ワークが多数の方向、それもあらゆる方向から洗浄流体の噴射を受け、これによって短時間に効率的かつ徹底的に洗浄することができる。ノズル回転とアーム回転の関係は混沌としたもの、即ち無秩序的、非決定論的なものであってもよく、ノズルアームが比較的一定の、或いは決定可能な回転速度によってアーム回転軸の周りを回転するのに対し、ノズルはノズル回転軸の周りをいわば「旋回しながら動く」のである。ノズル及び/又はアームの回転に際しては、1回の洗浄サイクルの間少なくとも回転・方向(ノズル/アーム)の一方又は双方における方向変化が見込まれる。
【0011】
ノズル回転及びアーム移動及び/又はアーム回転の組合せが、機械的又は電磁気学的になされ、特に操縦設備によってなされるよう意図してよい。ノズルアーム上/内に少なくとも1つの伝動装置を備えることができ、当該伝動装置により、ノズルアームの移動がノズルの移動を増減させることができる。ノズルアームは、制御可能である(アーム)モータによって駆動できることが望ましい。ノズル回転の駆動は、伝動装置の仲介によりノズルアームのモータ又は別の(ノズルの)モータによって行ってよい。ノズルの回転は、洗浄流体の流れによって形成される(流体力学的な)力によって行ってもよい。
【0012】
ノズルは、二つ又はそれ以上のノズルとして形成してもよい。例えばノズルアームの端部にはノズルが二つ取り付けられ、それらはアームの一方の側において第1の流体の流れを生み、アームの反対の側で第2の流体の流れを生んでもよい。流れの方向は互いに違っていてもよく、互いに独立して変えることができてもよい。2つ又はそれ以上のノズルによって流体の流れの方向がさらに多く生み出され、これらが粉末除去を最適化し、加速させる。
【0013】
洗浄流体の流れがノズルから出射される際の角度は、ノズルにおいて、又はノズルを介して加減や調節が可能であって、特に回転可能なノズルと回転可能かつ/又は移動可能なノズルアームとの間の角度を変更することにより、加減や調節が可能である。
【0014】
洗浄装置の変形例によれば、ケーシング内部のワーク固定具が可動であり、特にスライド可能、及び/又は方向変換可能、及び/又は回転可能である。さらに、ワークアクチュエータを備えてもよく、これによりワーク固定具上/内のワークを洗浄サイクル中に移動させること、特に段階的に(inkrementell)移動させることが可能となる。ワークは、あらゆる位置(例えばワークの垂直移動により、あらゆる「高さ」)においてあらゆる(立体)角度で、少なくとも1回は洗浄流体を噴射される。これによって洗浄効率を高めることができ、その結果として洗浄サイクルに必要な時間が短くなる。そのため単位時間あたりにより多くのワークを洗浄することが可能になる。また、ノズルアームの線形スライドも可能としてよい。
【0015】
洗浄流体は単体のガス又は混合ガスであり、特に不活性ガスを含むことが望ましい。ガス圧、即ち洗浄流体の流れ速度は変更可能であり、ワークの大きさ又は形状に適合させることができる。また、固状又は液状の洗浄流体、例えば液体又は粒子流などを使用してもよい。
【0016】
製造材料残留物の除去を目的とする移送装置を真空移送装置とすることは、理にかなっている。洗浄流体は、流体を遮断するケーシングの内部では気圧を増加させうるため、真空移送装置で圧力をならす。
【0017】
移送装置は、移送ポートと流体接続することができ、除去対象となる残余の顆粒状の製造材料及び/又は粉末状の製造材料を、重力に従って接続ポートへと移送することが可能である。ポート又はそこに設けられた経路や導路における流れの滞留や詰まりを防止するために、流体の流れを監視する装置、特に移送ポートのある領域に配置するものを導入してもよい。
【0018】
(残余の)製造材料の重力を利用した排出をサポートするために、洗浄装置の配置は変更可能であり、特にスライド可能、回転可能、及び/又は方向変換可能である。このことで(残余の)製造材料を、下に向かって、(真空)移送装置のポートへと落とすことが可能になる。
【0019】
これにより、装置は可能な限り最も単純な方法で製造工程に組み込むことができる。そしてワーク固定具上の洗浄装置を、流体を遮断する構造として設置可能とすることは、理にかなっている。これによりワーク固定具を交換する必要はなくなるし、ワーク固定具を他の工程段階(製造、事後処理など)にも転用することもできる。
【0020】
洗浄効果を高めるために、洗浄装置は振動装置を備えていてよく、これによって少なくとも洗浄装置及び/又はワーク固定具及び/又はワークには振動を加えることが可能となる。振動については、振幅及び/又は周波数を変調可能とすることができる。少なくとも、部品の固有振動数又は共鳴振動数をカバーするような周波数変調を導入することができる。
【0021】
付加製造されたワークから製造材料残留物を除去する、効果的でコストと時間を節約できる洗浄は、請求項16に係る洗浄方法によって成功させることができる。当該方法においては、ワークは洗浄装置、特に本明細書に記載した洗浄装置に配置することを想定している。ワークは洗浄サイクルにおいては、洗浄流体の噴射によって、ワークとケーシング内部の残余の製造材料の除去を行うことができる。当該洗浄流体は、少なくとも1つの可動なノズルから噴射され、当該ノズルは少なくとも1つの可動なノズルアームに備え付けられている。ワークと装置のケーシング内部は、洗浄サイクルにおいて少なくとも1つの洗浄流体の流れの噴射を受ける。この際には少なくとも1回のノズルの回転が想定されており、少なくとも1つのノズルが少なくとも1つのノズル回転軸の周りをノズルアームに対して相対的に回転する。同じく少なくとも1回のアーム移動及び/又はアーム回転においては、ノズルアームは少なくとも1つのアーム軌道に沿ってワーク保持具に対して相対的に移動し、かつ/又は少なくとも1つのアーム回転軸の周りをワークに対して相対的に回転する。この際には、ノズル回転軸とアーム回転軸とは互いに異なっていてよい。洗浄サイクルの間は、洗浄流体の流れはケーシングの内部で全て又は略全ての流れ方向を取り、その結果ワーク及びケーシング内部の表面要素の全体又は略全体が、洗浄流体の流れを当てられるよう、ノズル回転の回転速度と、アーム移動及び/又はアーム回転の速度が設定される。
【0022】
付加製造されたワークから製造材料残留物を除去する、効果的で、コストと時間を節約できる洗浄を、請求項17に係る付加製造方法によって行うことができる。当該方法においては、ワークは顆粒状の製造材料及び/又は粉末状の製造材料から製造され、次いで本明細書で記載の洗浄方法にて洗浄される。
【0023】
先に述べ、ならびに特許請求し、実施形態でも説明した成分(これは本開示にしたがって使用されなければならない)は、サイズ、形状、材料の選択および技術的概念に関して、何ら特別な制限を受けるべきものではないので、利用分野において知られている選択基準を制限なしに適用可能である。
【0024】
本開示の主題のさらなる詳細、特徴および利点は、従属請求項ならびに以下の説明及び添付の図面から導かれ得るが、これらにおいては粉末除去装置の模範的な実施例が記述されている。また、請求項又は実施形態の個々の特徴は、他の請求項及び実施形態の他の特徴と組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2A】チャンバーとワークを伴う洗浄装置の側面模式図である。
【
図2B】チャンバーとワークを伴う洗浄装置の側面模式図である。
【
図3】ワークを伴うチャンバーの側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、付加製造されたワーク2の粉末除去を行う洗浄装置1及び粉末除去モジュールの側面模式図である。洗浄装置1のケーシング3内にはノズルアーム4が備えられており、ノズルアーム4はノズルアーム駆動部5によってノズルアーム回転軸6の周りを回転可能である。ノズルアーム4の端部には、屈曲部7が備えられており、屈曲部7には回転可能ノズルが備えられる。ノズル8からは、例えば単体ガスか混合ガスの洗浄流体がケーシング内部9に流れ出る。流体の流れによって、製造材料がワーク2から除去される。当該ワークは
図1の装置1内に配置することが可能である。製造材料残留物はケーシング内部9から除去されるが、そのために移送ポート10が備えられており、当該移送ポートには真空移送システムを配置することができる。通常、ケーシングは流体を遮断するので、製造材料残留物は粉末除去装置1の周囲環境11に到達することができない。
【0027】
ケーシング3は円筒形状を有する。即ちケーシングの断面は、
図4に示すように円形となりうる。ケーシング3の正面側12には、門やチャンバー14への接続部又は開口13を備えさせてよい。これらを通して、洗浄対象のワークをケーシング内部9へと入れることができる。
【0028】
図2A及び2Bは、ワーク留め具14が取り付けられる、粉末除去モジュール1を示している。当該ワーク留め具には、洗浄対象となるワーク2が配置される。ワーク留め具14は、
図3に図示されている。ワーク2は事前に付加製造の際に製造材料から製造されたものである。製造過程でワーク2には製造材料残留物が付着している。洗浄装置1内におけるワーク2の洗浄によって、これらの製造材料残留物は除去される。ワーク固定具14はチャンバーを形成し、チャンバー14とケーシング内部が密閉状態で互いに結合するよう、チャンバー14が洗浄装置1のケーシングと結合する。つまるところ、洗浄装置1はチャンバー14の上にかぶせられ、又は設置されることが可能である。
【0029】
ワーク2は、チャンバー14の内部において、回転軸6の方向に沿って、直線状に移動可能であり、このことは
図2A又は
図2Bにおいて見て取れる。固定具14(パネル)は、粉末除去の際に行き来するよう構成されている。
図2Aにおいて、ワーク2はその一部がケーシング内部9に存在しており、
図2Bにおいては、洗浄対象となるワーク2はその全体がケーシング内部9に存在している。
【0030】
洗浄流体を放出するノズル8を伴って、ノズルアーム4がノズルアーム回転軸6の周りを回転し、ワーク2の周囲を移動することで、ワーク2の洗浄が行われる。このような(アーム4とノズル8の)回転の際に、ワーク2は、ワーク2の段階的な移動をもたらすアクチュエータなどと供に、直線状に動く。洗浄サイクルの間はこのような方法で、洗浄対象となるワーク2の全ての表面要素が洗浄流体の噴射を受ける。洗浄サイクルでは、ノズルアーム4はワーク2の周りを複数回回転し、ノズル8はノズルアームが回転するごとにノズル回転軸の周りを複数回ないし多数回回転する。ノズル回転軸はノズルアーム回転軸6に対しほぼ垂直である。ノズル8が流体を放出する角度は、ノズル8の旋回ないしは調節によって変更可能としてよい。洗浄流体2の噴射を受ける箇所においては、ワーク2に付着した残余製造材料が引き剥がされ、洗浄装置1のケーシング内部9で移動する。さらに真空移送システムによってケーシング内部9から除去される。
【0031】
ケーシング3の廃液溜め15に設けられる真空移送システムのポート10によって、引き剥がされた残余製造材料の吸出しが効率的になされる。重力に従い、真空移送システムの移送ポート10に向かって、製造材料残留物が落下する。ケーシング正面側に漏斗形状を形成すれば、これはより促進される。
【0032】
ノズル8の運動に関しては、少なくとも2つの回転軸が想定されているから、ワーク2だけではなく、ケーシング内部9のケーシング壁16も洗浄流体の噴射対象になる。このため、ケーシング内部9についても製造材料残留物の除去がなされる。これによりワーク2で粉末が残されることを防止するとともに、第1のワーク2に対する第1の製造材料についての洗浄と、その後の第2のワーク2に対する(第1の製造材料と異なる)第2の製造材料についての洗浄における、交叉汚染をも防止することができる。
【符号の説明】
【0033】
1:洗浄装置/粉末除去モジュール
2:ワーク
3:ケーシング
4:ノズルアーム
5:ノズルアーム駆動部
6:ノズルアーム回転軸
7:屈曲部
8:ノズル
9:ケーシング内部
10:移送ポート
11:周囲環境
12:正面
13:開口
14:ワーク固定具/チャンバー
15:廃液溜め
16:ケーシング壁
【外国語明細書】