(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163034
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】後根神経節手術用リード
(51)【国際特許分類】
A61N 1/05 20060101AFI20221018BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
A61N1/05
A61N1/36
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022114160
(22)【出願日】2022-07-15
(62)【分割の表示】P 2019543161の分割
【原出願日】2017-06-22
(31)【優先権主張番号】15/333,999
(32)【優先日】2016-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520483512
【氏名又は名称】アドバンスト ニューロモジュレーション システムズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー アール.ディアー
(57)【要約】
【課題】本明細書において説明し主張する実施形態は、後根神経節(DRG)刺激用のパドルリード及びこれを埋植する方法を提供する。
【解決手段】1つの実施形態において、パドルリードは、DRGに対して後側のかつ椎弓板下方の神経孔の中の目標空間の中への配備を容易にする小さいプロフィルを有する。パドルリードのパドル部は、目標部位における埋植を更に容易にするためにリビングヒンジ及び/又は輪郭付けプロフィルを含むことができる。縫合糸支援配備のため及び配備された後パドルリードの移動に抵抗するために、パドルリードは、縫合糸ループ構成を含むことができる。パドルリードは、更に、DRGの刺激のために最適な電界を生成するために二次元構成パターンで配列された電極接点を有する電極アレイを含む。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後根神経節の電気刺激用のシステムであって、
近位端部と遠位端部との間に延びるパドル部と、
前記近位端部から延びて、パドルリードを形成するリード部と、
前記パドル部の少なくとも1つの面上に配置された電極アレイであって、前記電極アレイが、電極アレイ構成に配列された1つ又は複数の電極接点を有する、電極アレイと、
前記遠位端部へ向かって幅が細くなる前記パドル部によって形成されたテーパー状遠位先端であって、前記テーパー状遠位先端が、椎弓切除及び靱帯切除後に前記後根神経節に対して後側の椎弓板下方に前記パドル部を外科的に配置するための形状を有し、前記外科的な配置が、前記後根神経節の電気刺激のために前記電極アレイの方向を定める、テーパー状遠位先端と、
を備える、システム。
【請求項2】
前記外科的な配置が、椎弓根に対して尾側の腰椎又は胸椎神経孔の1つの中へパドル部を配備することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記パドルリードが、スパチュラ形の遠位先端を有するシースを有する送達ツールを使用して配備される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記シースの前記スパチュラ形の遠位先端が、前記パドル部のサイズより10~30パーセント大きい、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記テーパー状遠位先端が丸みのある形状又は鋭い形状を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記パドル部が、前記後根神経節を包み込むように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記パドル部が、前記後根神経節を包み込むために、前記パドル部の第1端部から前記パドル部の第2端部までカーブに沿って延びる輪郭付け形状を有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記パドル部の前記輪郭付け形状が、1本または複数本のワイヤ、1枚又は複数枚のプレート又は1つ又は複数のコイルの少なくとも1つを含む1つ又は複数の成形可能要素で維持される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記パドル部がリビングヒンジを含み、前記パドル部が第1側から第1ヒンジまで及び第2側から第2ヒンジまで延び、前記第1及び第2ヒンジが、それぞれ、前記後根神経節を包み込むために前記パドル部を輪郭に沿って折り曲げるように構成されたジョイントを形成する、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
後根神経節の電気刺激用のシステムであって、
近位端部と遠位端部との間に延びるパドル部と、
前記近位端部から延びるリード部と、
前記パドル部の少なくとも1つの面上に配置された電極アレイであって、前記電極アレイが、非対称形パドルリードを形成する二次元電極アレイ構成に配列された1つ又は複数の電極接点を有し、前記電気刺激が、前記後根神経節の目標部位内において単一方向に集中される、電極アレイと、
第1側から第1ヒンジまで及び第2側から第2ヒンジまで延びる前記パドル部によって形成されたリビングヒンジであって、前記第1及び第2ヒンジが、それぞれ、前記後根神経節を包み込むために前記パドル部を輪郭に沿って折り曲げるように構成されたジョイントを形成する、リビングヒンジと、
を備える、システム。
【請求項11】
前記単一方向が、前記目標部位の中に存在する瘢痕組織によって生じる刺激損失を凌ぐように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記電極アレイが、高周波又はバースト刺激パターンの少なくとも一方のために構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記二次元電極アレイ構成が、4対2対2パターン、6対3対3パターン又は2対2パターンを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記二次元電極アレイ構成が、複数の列を有する非線形パターンで配列された前記1つ又は複数の電極接点を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数の列が、第1列、第2列および第3列を含み、前記第1ヒンジが前記第1列と前記第2列との間に配置され、前記第2ヒンジが前記第2列と前記第3列との間に配置される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記1つ又は複数の電極接点が、それぞれ、2~3ミリメートルの範囲のサイズを有する、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記電極アレイが、30~45ミリメートルの範囲の長さ及び2~4ミリメートルの範囲の幅を有する、請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
後根神経節の電気刺激用のシステムであって、
近位端部と遠位端部との間に延びるパドル部と、
前記近位端部から延びてパドルリードを形成するリード部と、
前記パドル部の少なくとも1つの面上に配置された電極アレイであって、前記電極アレイが、二次元電極アレイ構成に配列された1つ又は複数の電極接点を有する、電極アレイと、
前記パドルリードの縫合糸案内配備のための1つ又は複数の縫合糸ループを有する縫合糸ループ構成と、
を備える、システム。
【請求項19】
前記1つ又は複数の縫合糸ループが、前記1つ又は複数の電極接点の電気経路に対して相対的に前記パドル部上に配置される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記1つ又は複数の縫合糸ループが、前記パドル部の遠位先端、前記パドル部、ネック部又は前記リード部の少なくとも1つに配置される、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の形態は、神経又は組織の電気刺激のために患者体内に外科的に埋植できるリードに、特に、後根神経節などの脊椎及び/又は傍脊椎神経根神経節に制御された刺激を与えるリードに関する。
【背景技術】
【0002】
症状は、電気刺激を与えることによって治療できる。例えば、脊髄刺激(SCS)は、知覚異常を誘発するために脊髄の特定領域に電流を流すことを含む。知覚異常は、刺激を与えられる脊髄領域に関係する身体領域における無感覚又は刺痛の主観的感覚である。知覚異常は、身体の患部から脳への慢性的痛みの感覚の伝達を遮断し、それによって患者の痛みを緩和する。典型的に、SCSシステムは、脊髄を取り囲む硬膜層に沿って埋植された電極を介して電流を送る。電極は、例えば、比較的大きい表面積上の独立した1つ又は複数の列に配列された電極を有するパドル状構成を有するパドルリード、又は、チューブの周りに配列された電極を含む経皮リードによって支えられる。パドルリードは、一般的に、椎弓切除によって脊椎組織患部の中へ送達される。椎弓切除は、硬膜層にアクセスしてパドルリードを配置できるようにするために椎弓板組織の切除を伴う。したがって、パドルリードの従来の送達は、一般的に、大きな切開及び椎弓板の実質的な切除を必要とし、その結果、患者に傷を与え、処置時間をより長くする。他方、パドルリードは、特に、埋植されると移動に抵抗し、強化された刺激を与え、使用エネルギーが小さいと言う利点を有する。更に、パドルリードは、主リードによって生じた瘢痕が経皮リビジョンリードの配置を阻む可能性があるので、リビジョンリードとして有利である可能性がある。したがって、最小限の侵襲的手術法によって配備可能なパドルリードが必要とされる。特にこのことに留意して、本開示の様々な形態を考案し開発した。
【発明の概要】
【0003】
本明細書において説明し主張する実施形態は、特に、後根神経節の刺激リード及びこれを埋植する方法を提供することによって、上記の問題に対処する。1つの実施形態において、パドル部は、近位端部と遠位端部との間に延びる。リード部は、近位端から延びて、パドルリードを形成する。電極アレイは、パドル部の少なくとも1つの面上に配置される。電極アレイは、電極アレイ構成に配列された1つ又は複数の電極接点を有する。遠位端部へ向かって幅が細くなるパドル部によって、テーパー状遠位先端が形成される。テーパー状遠位先端は、椎弓切除及び靱帯切除後に後根神経節に対して後側の椎弓板下方にパドル部を外科的に配置するための形状を有する。外科的な配置は、後根神経節の電気刺激のために電極アレイの向きを定める。
【0004】
他の実施形態において、パドル部は、近位端部と遠位端部との間に延び、リード部は、近位端部から延びる。電極アレイは、パドル部の少なくとも1つの面上に配置される。電極アレイは、二次元電極アレイ構成に配列された1つ又は複数の電極接点を有し、非対称形パドルリードを形成し、電気刺激は、後根神経節の目標部位内で単一方向に集中される。リビングヒンジが、第1側から第1ヒンジまでおよび第2側から第2ヒンジまで延びるパドル部によって形成される。第1及び第2ヒンジは、各々、後根神経節を包み込むために輪郭に沿ってパドル部を折り曲げるように構成されたジョイントを形成する。
【0005】
更に他の実施形態において、パドル部は、近位端部と遠位端部との間に延びる。リード部は近位端部から延びて、パドルリードを形成する。電極アレイは、パドル部の少なくとも1つの面上に配置される。電極アレイは、二次元電極アレイ構成に配列された1つ又は複数の電極接点を有する。縫合糸ループ構成は、パドルリードの縫合糸案内配備のための1つ又は複数の縫合糸ループを有する。
【0006】
他の実施形態についても、本明細書において説明する。更に、複数の実施形態を開示するが、当業者には、本明細書において開示するテクノロジーの他の実施形態が、本明細書において開示するテクノロジーの例示的実施形態を説明する下記の詳細な説明から明らかになるだろう。認識されるように、本明細書において開示するテクノロジーは、本明細書において説明するテクノロジーの主旨及び範囲から逸脱することなく様々な態様に修正が可能である。したがって、図面及び詳細な説明は、例示的なものであり、限定的とは見なされないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】脊髄刺激(SCS)のために例示的なリード線が埋植された患者を示す。
【
図2】SCSのためにパドルリードを埋植するための配備システム及び方法の例を示し、配備システムは、患者の硬膜外腔の中へ針が挿入された状態で示す。
【
図3】針を介して患者の硬膜外腔の中へガイドワイヤが挿入された状態の
図2の配備システムを示す。
【
図4】患者の硬膜外腔の中へ送達ツールがガイドワイヤに被せて挿入された状態の
図3の配備システムを示す。
【
図5】送達ツールのシースから内側ペネトレータが取り外される状態の、
図4の配備システムを示す。
【
図6】送達ツールのシースを介して患者の硬膜外腔の中へパドルリードが挿入される状態の、
図5の配備システムを示す。
【
図7】埋植されたパドルリード及び患者の硬膜外腔から取り外される
図6のパドルリード配備システムの送達ツールを示す。
【
図8】患者の脊椎レベルの後根神経節(DRG)に対して後側の神経孔の中へ埋植されたパドルリードを示し、埋植のための最小限の侵襲的外科的アプローチからDRG上方の神経孔腔にアクセスされる。
【
図10A】DRG刺激用のパドルリードの他の例の前面図である。
【
図10B】DRG刺激用のパドルリードの他の例の側面図である。
【
図10C】DRG刺激用のパドルリードの他の例の遠位図である。
【
図10D】DRG刺激用のパドルリードの他の例の裏面斜視図である。
【
図11A】DRG刺激用のパドルリードの他の例の裏面図である。
【
図11B】DRG刺激用のパドルリードの他の例の側面図である。
【
図11C】DRG刺激用のパドルリードの他の例の前面図である。
【
図12A】DRG刺激用のパドルリードのための電極アレイ構成の例を示す。
【
図12B】DRG刺激用のパドルリードのための電極アレイ構成の例を示す。
【
図12C】DRG刺激用のパドルリードのための電極アレイ構成の例を示す。
【
図13A】様々な寸法及び電極アレイ構成を有するDRG刺激用のパドルリードの例を示す。
【
図13B】様々な寸法及び電極アレイ構成を有するDRG刺激用のパドルリードの例を示す。
【
図13C】様々な寸法及び電極アレイ構成を有するDRG刺激用のパドルリードの例を示す。
【
図14A】縫合糸ループ構成を有するDRC刺激用のパドルリードの例を示す。
【
図14B】縫合糸ループ構成を有するDRC刺激用のパドルリードの例を示す。
【
図14C】縫合糸ループ構成を有するDRC刺激用のパドルリードの例を示す。
【
図14D】縫合糸ループ構成を有するDRC刺激用のパドルリードの例を示す。
【
図14E】縫合糸ループ構成を有するDRC刺激用のパドルリードの例を示す。
【
図15】リビングヒンジを有するDRG刺激用のパドルリードの例を示す。
【
図16】DRGの周りで輪郭付け可能な(contourable)パドル部を有するDRG刺激用のパドルリードの例を示す。
【
図17】電極構成及び縫合糸ループ構成を有するDRG刺激用のパドルリードの例を示す。
【
図18】テーパー状ネック部を有するDRG刺激用のパドルリードの例を示す。
【
図19A】DRGの周りで輪郭付け可能なパドル部を有するDRG刺激用のパドルリードの例を示す。
【
図19B】DRGの周りで輪郭付け可能なパドル部を有するDRG刺激用のパドルリードの例を示す。
【
図20】パドル部上に縫合糸ループ構成が配備されたDRG刺激用のパドルリードの例を示す。
【
図21A】パドル部のリビングヒンジを有しDRGの周りでのパドル部の折り曲げを容易にするDRG刺激用のパドルリードの例を示す。
【
図21B】パドル部のリビングヒンジを有しDRGの周りでのパドル部の折り曲げを容易にするDRG刺激用のパドルリードの例を示す。
【
図22】テーパー状パドル部を有するDRG刺激用のパドルリードの例を示す。
【
図23】テーパー状パドル部を有するDRG刺激用のパドルリードの例を示す。
【
図24】テーパー状パドル部を有するDRG刺激用のパドルリードの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の形態は、後根神経節(DRG)刺激用のパドルリード及びこれを埋植する方法に関する。概略的に、パドルリードは、最小限の侵襲的アプローチを用いてDRG上方の神経孔腔へアクセスすることによって患者の目標部位に埋植される。1つの形態において、パドルリードは、椎弓板下方のDRGに対して後側の神経孔の中への配備を容易にする小さいプロフィルを有する。小さいプロフィルは、例えば、椎弓板下方への配備を容易にしかつ埋植時のDRGの移動に抵抗する薄い断面を含む。パドルリードのプロフィルは、このように、椎弓根に対して尾側の腰椎又は胸椎の神経孔などのDRG目標部位に配備するのに適する。パドルリードのパドル部は、更に、目標空間への埋植に適するように作ることができる。例えば、パドル部は、リビングヒンジを含み、かつ/又は、目標空間内で柔軟な配置及び機能性のために輪郭付けされたプロフィルを有することができる。パドル部及び/又はパドルリードの他の部分の形状を維持するためにワイヤ又は成形可能なプレートを使用できる。更に配置を容易にしかつ配備後の移動に抵抗するために、パドルリードは、目標空間内でパドルリードを骨アンカー、組織及び/又はこれと同種のものに固定するために、1つ又は複数の縫合糸孔を有する縫合糸ループ構成を含むことができる。
【0009】
1つの形態において、パドルリードは、刺激を集中するために指向性を有する電極アレイを含む。指向性は、例えば、目標空間に存在する瘢痕組織によって生じる刺激損失を上回るために、一方向に刺激を集中できる。指向性は、更に、パドルリードによる電力消費を減少できる。電極アレイは、DRG刺激のプログラミングの可能性を最大限にするように配列された1つ又は複数の接点を含む。電極アレイは、皮下特異性(subdermatormal specificity)を増大する二次元(2D)構成パターンを有することができる。パドルリードの非対称形設計は、例えば左又は右神経孔における安定性を改良する。
【0010】
目標部位に電気刺激を与えることによって慢性の痛みなどの症状を有する患者100の治療について詳しく説明するにあたり、
図1を参照する。患者100の脊柱において、硬膜外腔102は、椎骨106によって形成された脊柱管の最も外側の部分に位置付けられる。椎骨は、これから突出して患者100の筋肉及び靱帯のための付着点を与える棘突起104を有する。黄色靱帯108は、隣り合う椎骨106の椎弓板を接続する。椎弓板は、脊髄110を囲繞し保護する脊柱管を被覆する。1つの実施形態において、埋植可能なDRG刺激システム112は、感覚異常を誘発するために、電源116から患者100の脊髄110の特定領域例えばDRGの中へ電流を送るために硬膜外腔102の目標部位に配置されたパドルリード114を含む。電源116は、埋植可能パルス発生器(IPG)又は外部パルス発生器(EPG)とすることができる。
【0011】
1つの実施形態において、パドルリード114は、パドル部から近位方向に電源116まで延びるリード部を有する。電源116は、患者100の目標部位に埋植されるパドル部に又はこれに沿って配置された電極アレイへ電力を送る。パドルリード114の電極アレイは、患者100の目標部位においてDRGへ電気刺激を送達するために、2D構成パターン(即ち非線形)などの電極構成パターンを含む。本明細書において説明するように、パドルリード114は、電気刺激の指向性を与えることができる。1つの実施形態において、パドルリード114の電極アレイの指向性は、患者100の目標部位に存在する瘢痕組織によって生じる刺激損失を上回るために一方向に刺激を集中する。このような瘢痕組織は、例えば、主リードの以前の埋植のせいで目標部位に存在する可能性がある。指向性は、更に、電源116によって出力されパドルリード114によって消費される電力を減少できる。
【0012】
パドルリード114のパドル部は、更に、パドルリード114の配備時に患者100の脊柱構造の中での前進を容易にし、かつ、埋植後は電気刺激時にパドルリード114に柔軟性を与えるサイズ及び形状を有することができる。SCS治療用のパドルリード114の経皮又はその他の最小限の侵襲性の配備の非限定的例として、
図2~7を参照する。
【0013】
図2を見ると、1つの実施形態において、患者100の硬膜外腔102の目標部位は、DRGなどの目標部位へSCS治療を与えるためにパドルリード114のパドル部を位置付けるために選択される。目標部位は、例えば蛍光透視法を使用して選択できる。
図2を参照すると、1つの実施形態において、配備システム118は、針120を含み、針は、例えば2つの椎骨106の棘突起104の間の小さい切開部を介して挿入される。針120は、脊椎の皮下組織及び黄色靱帯108を通過して脊髄110に沿って硬膜外腔102の中へ進入する。1つの実施形態において、針120は、角度を成して挿入される。針120が硬膜外腔102の中へ進入した後、内側部分124(例えば、スタイレット)は、針120の近位端部122から取り外される。
【0014】
図3を参照すると、1つの実施形態において、針120から内側部分124を取り除いたのちに、ガイドワイヤ126が針120を通して硬膜外腔102の中へ挿入される。蛍光透視法を使用して、硬膜外腔102の目標部位におけるガイドワイヤ126の遠位端部128の位置を確認できる。ガイドワイヤ126の遠位端部128が位置付けられたら、針120が取り除かれる。
【0015】
図4に示すように、ハブ134から延びるシース132を有する送達ツール130が、ガイドワイヤ126に被せて硬膜外腔102の中へ配備される。1つの実施形態において、シース132の遠位先端は、遠位方向に広い丸みのある頂点まで延びる狭いネック部を含む、スパチュラ形を有する。シース132の遠位先端は、パドルリード114のパドル部のサイズより約10~30%大きくすることができる。シース132は、患者100の体内構造での前進を容易にするために、輪郭付け可能(contourable)、可撓性、剛性とすることができかつ/又はこれらの1つ又は複数の組合せを有する部分を有することができる。
【0016】
送達ツール130は、角度を成して挿入できる。1つの実施形態において、
図4~5から分かるように、ディレータ136は、内側ペネトレータ138からシース132の遠位先端を通過して延びて、送達ツール130が患者100の体内構造の望ましくない場所を間違って通過することなくガイドワイヤ126に被さって容易に通過できるようにする。ディレータ136は、更に、黄色靱帯108との接触の指示を外科医に与えることができる。送達ツール130が黄色靱帯108に貫入したら、硬膜外腔102に配置されたシース132を残して、ガイドワイヤ126が取り除かれる。
図5に示すように、1つの実施形態において、内側ペネトレータ38も取り除かれる。
【0017】
図6及び7を見ると、パドルリード114は、シース132のルーメンを通過して硬膜外腔102の中の患者100の目標部位の中へ挿入される。シース132は、その後取り除かれ、電源116から引き出され電極アレイ140を使用して送られる電力を使用して目標部位へ電気刺激を送達するために、硬膜外腔102の中にパドルリード114が残される。1つの実施形態において、パドルリード114は、パドルリード114の縫合糸ループ構成を使用して棘突起(例えば棘突起104の1つ)にパドルリードを縫合することによって、目標部位の中に固定される。言い換えると、パドルリード114の配備は、縫合糸案内式とすることができる。
【0018】
図8を見ると、1つの実施形態において、パドルリード114は、電極アレイ140と共に目標部位に埋植され、DRG142へ電気刺激を送達するように位置付けられる。パドルリード114は、電極アレイ140が脊髄110及びその関連神経組織の広い部分を刺激するように、脊髄110の硬膜層に位置付けできる。脊髄110は、複数の脊椎レベルを有する連続体である。明確さのために、
図8には3つの脊椎レベル144、146及び148が示されている。脊椎レベルの各々144~148は、後根及び前根が脊髄110に合流する部分と一緒に
図8に描かれている、脊髄110の小区分である。末梢神経154は、DRG142と、前根神経156と、に分かれ、その各々が脊髄110に流れ込む。
【0019】
後角158及び160は、脊椎レベルを接続する。例えば、第2脊椎レベル144は、上昇経路150を介して第1脊椎レベル146に接続され、第2脊椎レベル144は、下降経路152を介して第3脊椎レベル148に接続される。第2脊椎レベル144のDRG142への電気刺激は、第2脊椎レベル144から上流に経路150へ進む信号をブロックするために与えることができる。第2脊椎レベル144の部分に加えられる変調(modulation)は、更に、第1脊椎レベル146又は第3脊椎レベル148からのニューロン経路が患者100の脳に到達するのをブロックして、区内(intrasegment)痛み経路をブロックするために使用できる。
【0020】
1つの実施形態において、パドルリード114は、患者100の脊椎レベルの1つ(例えば、第2脊椎レベル144)のDRG142に対して後側の神経孔の中へ埋植され、埋植のために最小限の侵襲性の外科的アプローチからDRG142上方の孔腔にアクセスされる。椎弓切除術は、孔腔にアクセスするために外側椎弓板及び靱帯を取り除くために実施される。切開を助けるために、輪郭付け可能なボディを有するスペーサを配置でき、パドルリード114を、椎弓根に対して尾側の腰椎又は胸椎神経孔の中へ配備できる。パドルリード114は、目標部位の中にDRG142を覆って位置付けられる。1つの実施形態において、パドルリード114は、縫合糸ループ構成を含み、1本または複数本の縫合糸を使用して、患者100の脊柱構造を通過して目標部位の中へパドルリード114を引っ張れるようにする。この縫合糸支援配備に加えて、パドルリード114は、縫合糸ループ構成を使用して目標部位においてDRGを覆って固定できる。
【0021】
パドルリード114は、最小限の侵襲性の外科的な配置を容易にする形状を有する薄くコンパクトで低いプロフィルを有する。1つの実施形態において、パドルリード114の遠位先端は、テーパー状であり、DRG142を覆う配置を可能にする。その代わりに又はそれに加えて、パドルリード114のパドル部は、DRG142に沿う又はDGRとの間に実質的に連続的な接触を与えるために、パドル部を輪郭付けさせるリビングヒンジを有することができる。パドルリード114は、パドル部の柔軟な成形のために輪郭付け可能な材料から作ることができる。更に、パドルリード114は、輪郭付けを強化し維持するために、ワイヤ及び/又はコイルなどの成形可能な要素を含むことができる。
【0022】
電極アレイ140は、DRG142の刺激のために最適化された電界を生成するための電極アレイ構成に配列された1つ又は複数の電極接点を有する。1つの実施形態において、電極アレイ140は2D構成パターンを含み、特異性及び選択性を強化する。例えば、電極アレイ構成は、4対2対2パターン、6対3対3パターン、2対2パターン又はこれと同種のパターンで配列された電極を含むことができる。電極アレイ140は、高周波及び/又はバースト刺激パターンのために構成できる。
【0023】
図9~24は、DRG142へ電気刺激を送達するように構成されたパドルリード114の様々な例を示す。これらの図は単なる例であり、限定的であることを意図しないことが、当業者には分かるはずである。
【0024】
図9を見ると、1つの実施形態において、DRG刺激用のパドルリード200は、遠位端部202と近位端部204との間に延びるパドル部206を含む。パドル部206は、遠位端部202において遠位方向にテーパー状であり、テーパー状遠位先端を形成する。リード部212は、パドル部206の近位端部204から延びる。2D構成パターンで配列された複数の電極208を有する電極アレイは、パドル部206の面上に配置される。電力はトレースコンダクタ210を介して電極208へ供給され、トレースコンダクタは、電極208を直接的に又は間接的に電源116に電気接続する。
【0025】
パドルリード200は、本明細書において論じるように、薄くコンパクトで低いプロフィルを有する。1つの実施形態例において、パドルリード200は、約2.865インチ(7.28cm)の長さ216を有し、パドル部206は、約0.275インチ(0.699cm)の幅214を有し、リード部212は約0.100インチ(0.254cm)の幅218を有する。他の寸法も想定できる。
【0026】
図10A~10Dは、DGR刺激用の他のパドルリード300の例のそれぞれ前面図、側面図、遠位図及び裏面斜視図である。1つの実施形態において、パドルリード300は、遠位端部302と近位端部304との間に延びるパドル部306を含む。パドル部306は、遠位端部302において遠位方向にテーパー状であり、テーパー状遠位先端を形成する。
【0027】
リード部組立体312は、パドル部306の近位端部304から延びる。リード部組立体312は、固定され、輪郭付け可能で、可撓性かつ/又は剛性である1つ又は複数の細長いボディを有することができる。1つの実施形態において、リード部組立体312は、リードコネクタ316を介してトレースコンダクタ310に接続された1つ又は複数の導体ワイヤ又はコイルを有し、リードコネクタは、例えば、成形シリコン又はその他の重合体から作ることができる。トレースコンダクタ310の各々は、DRG142の刺激のための電気エネルギーを供給するために、電極アレイのなかの対応する電極接点308に電気接続する。
【0028】
電極アレイは、パドルリード300が非対称的であるように、パドル部306の面上に2D構成パターンで配列された電極接点308を含む。電極接点308は、DRG142の刺激を最適化するように構成された変動サイズを有することができる。例えば、電極接点308は、約9ミクロンの厚みとすることができる。1つの実施形態において、パドル部306は、電極接点308及びトレースコンダクタ310が配置される面と反対側のベース320に沈着されたコンフォーマブルメッキ318を含む。コンフォーマブルメッキ318は、パドル部306のプロフィル形状を得てこれを維持するために使用できる。ベース320は、Kapton又はその他のポリイミドを含めて(これに限定されない)多様な生体適合性材料から作ることができる。この場合にも、パドルリード300は、
図10A~10Dに示すように、薄くコンパクトで低いプロフィルを有する。1つの実施例において、コンフォーマブルメッキ318は、約25ミクロンの厚みを有し、ベース320は、約15ミクロンの厚みを有する。ベース318の幅は、コンフォーマブルメッキ318から近位方向にリードコネクタ316へテーパー状とすることができる。
【0029】
パドルリード300の縫合糸支援配備のために、1つの実施形態において、縫合糸ループ構成は、パドル部306、リードコネクタ316及び/又はリード部組立体312の中に形成される又はこれらに沿って配置される1つ又は複数の縫合糸孔314を有する。例えば、
図10A~10Dに示すように、縫合糸孔314は、トレースコンダクタ310又は電極308の電気経路を妨害しないように、電極接点308に対して相対的にパドル部306に形成され、第1セットはパドル部306の遠位先端付近に配置され、第2セットは、パドル部306の中央付近に配置される。パドルリード300は、縫合糸ループ構成の少なくとも一部分を通過して延びる1本又は複数本の縫合糸を使用して目標部位に固定できる。
【0030】
図11A~11Cは、DRG刺激用の他のパドルリード400の例の裏面図、側面図及び前面図である。1つの実施形態において、パドルリード400は、遠位端部402と近位端部404との間に延びるパドル部406を含む。パドル部406は、遠位端部402において遠位方向にテーパー状であり、テーパー状遠位先端を形成する。1つの実施形態において、パドル部406は、近位方向にネック部418へテーパー状である。ネック部418は、例えば約0.15インチ(0.381cm)の長さを有する細長とすることができる。
【0031】
リード部412はネック部418から延びる。1つの実施形態において、リード部412は、リードコネクタ416を介してトレースコンダクタ410に接続された1つ又は複数の導体ワイヤ又はコイルを有する。リードコネクタ416は、例えば、成形シリコン又はその他の重合体から作ることができる。トレースコンダクタ410の各々は、DRG142の刺激のために電気エネルギーを供給するために、電極アレイのなかの対応する電極接点408に電気接続する。
【0032】
電極アレイは、パドルリード400が非対称形になるように、パドル部406の面上に2D構成パターンで配列された電極接点408を含む。この場合にも、パドルリード400は、
図11A~11Cに示すように、薄くコンパクトで低いプロフィルを有する。リード部412の厚みは、パドル部406の厚みより大きく、パドル部の厚みはネック部418と同じ厚みとすることができる。1つの実施例において、リード部412は、約0.055インチ(0.140cm)の直径を有する。
【0033】
パドルリード400の縫合糸支援配備のために、1つの実施形態において、縫合糸ループ構成は、パドル部406、ネック部418、リードコネクタ416及び/又はリード部412の中に形成された又はこれらに沿って配置された1つ又は複数の縫合糸孔414を有する。例えば、
図11A~11Cに示すように、縫合糸孔414は、トレースコンダクタ410又は電極408の電気経路を妨害しないように、電極接点408に対して相対的にパドル部406に形成され、第1セットはパドル部406の遠位先端付近に配置され、第2セットは、パドル部406の中央付近に配置される。縫合糸孔414は、更に、リードコネクタ416に形成でき、第1セットはリードコネクタ416の遠位端部においてネック部418付近に配置され、第2セットは、リードコネクタ416の近位端部においてリード部412付近に配置される。パドルリード400は、縫合糸ループ構成の少なくとも一部分を通過して延びる1本または複数本の縫合糸を使用して目標部位に固定できる。
【0034】
本明細書において説明するように、パドルリード114は、DRG142の集中刺激のための電極アレイ140を含む。電極アレイ140の様々な非限定的構成500~504の例のために、
図12A~12Cを参照する。1つの実施形態において、パドルリード114は、遠位端部506と近位端部508との間に延びるパドル部510を含む。1つ又は複数の電極接点512は、パドル部510の少なくとも1つの面上に配置され、リード部514を介して電源116と電気連絡する。
【0035】
電極接点512は、電極アレイ構成500、502又は504などの電極アレイ構成に配列された電極アレイ140を形成する。電極アレイ構成500は、4対2対2パターンで配列された8つの電極接点512を含む。電極アレイ構成502は、12の電極接点512を含む。1つの実施形態において、電極接点512は、電極アレイ構成502において6対3対3パターンで配列される。さらに、電極アレイ構成504は、2対2パターンで配列された4つの電極を含む。他の電極アレイ構成も想定できることが分かるはずである。
【0036】
パドルリード114は、薄くコンパクトで低いプロフィルを与える様々な形状およびサイズを更に有することができる。パドルリード114の寸法の例600~604のために、
図13A~13Cを参照する。1つの実施形態において、パドルリード114は、遠位端部606と近位端部608との間に延びるパドル部610を含む。1つ又は複数の電極接点612が、パドル部610の少なくとも1つの面上に配置されて、リード部614を介して電源116と電気連絡する。
【0037】
パドルリード600~604の各々は、薄くコンパクトで低いプロフィルを有する。1つの実施形態において、パドルリード600は、約2.8イン~3.5インチ(7.11~8.89cm)の長さを有し、パドル部610は約2.0~3.4インチ(5.08~8.64cm)の幅を有する。パドルリード600のパドル部610は、約8つの電極接点612を収容するサイズを有する。同様に、パドルリード602及び604は、約12の電極接点612を収容するサイズを有することができる。1つの実施形態において、パドルリード604及び606は、約3.0~3.8インチ(7.62~9.65cm)の長さを有し、パドルリード602及び604のパドル部610は、約2.3~3.4インチ(5.84~8.63cm)の幅を有する。パドルリード602のパドル部610の幅は、遠位方向にテーパー状になり、テーパー状遠位先端を形成できる。
【0038】
パドルリード600~604が薄くコンパクトで低いプロフィルを形成する多様な寸法を有することができることが分かるはずである。例えば、パドルリード600~604は、約30mm、45mm、60mm、75mm、90mmの長さ又は同様の長さを有することができる。更に、パドル部610及び/又はリード部614は、約0.020~0.055インチ(0.0508~0.140cm)の範囲の厚みを有することができる。
【0039】
電極接点612は、同様に、異なる寸法を有する様々な電極アレイ構成に配列できる。電極アレイ構成は、任意の数の電極接点612、例えば、4、6、8、12、16又はこれと同様の数の接点を含むことができる。電極接点612の各々は、約2mm~4mmの範囲の長さを有することができる。いくつかの具体的実施例において、電極接点612の長さは、約1.5mm、2mm、2.5mm又は3mmである。電極接点612は、更に、電極アレイ構成に応じて約1mm~4mmの範囲の長手方向間隔を有することができる。例えば、長手方向の間隔は、約1mm、2mm、3mm、4mm又はこれと同様の値を有することができる。電極アレイ構成は、この場合にも電極アレイ構成に応じて約10mm~24mmの範囲のアレイ長さを有することができる。
【0040】
図14A~14Eから分かるように、パドルリード114は、パドルリード114の縫合糸案内配備及び/又は固定のための縫合糸ループ構成(例えば、700~708)を含むことができる。1つの実施形態において、パドルリード114は、遠位端部710と近位端部712との間に延びるパドル部714を含む。1つ又は複数の電極接点716は、パドル部714の少なくとも1つの面上に配置され、リード部720を介して電源116と電気連絡する。
【0041】
図14A~14Eに示すように、縫合糸ループ構成は、パドル部714、リード部720及び/又はパドルリード114のその他のエリアの中に形成された又はこれらに沿って配置された1つ又は複数の縫合糸孔718を有することができる。例えば、縫合糸ループ構成700及び702は、各々、パドル部714に形成された縫合糸孔718を含むことができる。縫合糸ループ構成700は、パドル部714の遠位端部710付近に配置された縫合糸孔の第1セットと、パドル部714の近位端部712付近に配置された縫合糸孔718の第2セットと、を含む。縫合糸ループ構成702は、パドル部714の遠位端部710付近に配置された縫合糸孔718の第1セットと、パドル部714の中央付近に配置された縫合糸孔718の第2セットと、を含む。縫合糸ループ構成700及び702の両方において、縫合糸孔718は、電極接点716の電気経路を妨害しないように位置付けられる。
【0042】
縫合糸ループ構成704~708は、各々、リード部720に沿って配置された縫合糸孔718を含むことができる。1つの実施形態において、縫合糸ループ構成704~708は、各々、パドル部714の近位端部712付近に配置された縫合糸孔718の第1セットと、リード部720に沿って第1セットに対して近位に配置された縫合糸孔718の第2セットと、を含む。
【0043】
図15を見ると、1つの実施形態において、パドルリード114は、DRG142に沿うため又はDRGと実質的に連続的に接触するために、リビングヒンジ800を含む。パドルリード114は、遠位端部802と近位端部804との間に延びるパドル部806を含む。1つ又は複数の電極接点808は、パドル部806の少なくとも1つの面上に配置され、リード部810を介して電源116と電気連絡する。1つ又は複数の電極接点808は、様々な電極アレイ構成に配列できる。例えば、
図15に示すように、電極接点808は、複数の列を有する2D構成パターンで配列できる。電極接点808のうち2つは、第1列に配列され、電極接点808の4つは第1列に隣接する第2列に配列され、電極接点808のうち2つは、第2列に隣接する第3列に配列される。
【0044】
1つの実施形態において、リビングヒンジ800は、それぞれ遠位端部802から近位端部804まで長手方向に延びる、第1ヒンジ812と第2ヒンジ814とを含む。第1ヒンジ812は、電極接点808の第1列と第2列との間に配置され、第2ヒンジ814は、電極接点808の第2列と第3列との間に配置される。第1及び第2ヒンジ812及び814は、各々、パドル部806においてジョイントを形成し、これに沿って、パドル部806は、患者100の目標部位の体内構造を前進してDRG142を包み込むために、折り曲げ可能である。
【0045】
図16から分かるように、パドルリード114は、輪郭付け可能なパドル部900を含むことができる。1つの実施形態において、輪郭付け可能なパドル部900は、第1側904からピーク902までカーブに沿って及び第2側906からピーク902までカーブに沿って延びる。輪郭付け可能なパドル部900によって形成された形状は、刺激のために電極アレイ140とDRG142との接触を容易にするために、DRG142の形状を反映する。輪郭付け可能なパドル部900の形状は、例えば、ワイヤ又は成形可能プレートを使用して維持できる。更に、いくつかの実施形態において、輪郭付け可能なパドル部900の形状は、DRG142の刺激のために電極アレイ140を位置付けるように、配備時に操作できる。
【0046】
図17は、電極アレイ構成及び縫合糸ループ構成を有するDRG刺激用パドルリード1000の例を示す。1つの実施形態において、パドルリード1000は、遠位端部1002と近位端部1004との間に延びるパドル部1008を含む。パドル部1008は、近位方向にネック部1010までテーパー状であり、リード部1012は、ネック部1010から近位方向に延びる。1つ又は複数の電極接点1014は、パドル部1008の少なくとも1つの面上に配置され、リード部1012を介して電源116と電気連絡する。1つ又は複数の電極接点1014は、様々な電極アレイ構成に配列できる。例えば、電極アレイは、3対2対3パターンの2D構成で配列された8つの電極接点1014を含むことができる。
【0047】
パドルリード1000の縫合糸支援配備のために、1つの実施形態において、縫合糸ループ構成は、パドル部1008の中に形成された又はこれに沿って配置された1つ又は複数の縫合糸孔1016、及び、ネック部1010の中に形成された又はこれに沿って配置された1つ又は複数の縫合糸孔1018を含む。例えば、
図15に示すように、縫合糸孔1016は、パドル部1008の周縁に沿って形成され、第1セットは、パドル部1008の中央に対して遠位に配置され、第2セットは、パドル部1008の中央に対して近位に配置される。縫合糸孔1018は、ネック部1010に形成され、第1セットは、ネック部1010の遠位端部においてパドル部1008の近位端部1004付近に配置され、第2セットは、第1セットに対して近位にリード部1012付近に配置される。パドルリード1000は、縫合糸ループ構成の少なくとも一部分を通過して延びる1本または複数本の縫合糸を使用して、目標部位において固定できる。
【0048】
パドルリード114の1つ又は複数の部分は、配備を容易にするためにテーパー状にできる。
図18から分かるように、1つの実施形態において、パドルリード例1100は、遠位端部1102と近位端部1104との間に延びるパドル部1106を含む。パドル部1106は、近位方向にネック部1108までテーパー状であり、ネック部は、リード部1110までテーパー状である。1つ又は複数の電極接点1112は、パドル部1106の少なくとも1つの面上に配置され、リード部1110を介して電源116と電気連絡する。1つの実施形態において、縫合糸ループ構成は、ネック部1108及び/又はリード部1110の中に形成された又はこれに沿って配置された1つ又は複数の縫合糸孔1114を有する。パドルリード1100は、約0.055インチ(0.140cm)のヘッド部直径を有し、薄くコンパクトで低いプロフィルを与えることができる。
【0049】
図19A~19Bに示す他のパドルリード1200の例は、同様に薄くコンパクトで低いプロフィルを有する。パドルリード1200は、遠位端部1202と近位端部1204との間に延びるパドル部1206を含む。1つ又は複数の電極接点1210は、パドル部1206の少なくとも1つの面上に配置されて、リード部1208を介して電源116と電気連絡する。
【0050】
1つの実施形態において、パドル部1206は、パドル部1206が第1側1212と第2側1214との間のカーブに沿って延びる形状を有するように、輪郭付け可能である。パドル部1206によって形成された形状は、刺激のために電極接点1210とDRG142との接触を容易にするために、DRG142の形状を反映する。パドル部1206の形状は、例えば、ワイヤ又は成形可能プレートを使用して維持できる。更に、いくつかの実施形態において、パドル部1206の形状は、DRG142の刺激のために電極接点1210を位置付けるために、配備時に操作できる。
【0051】
本明細書において論じるように、縫合糸ループ構成は、配備を容易にするために使用できる。
図20は、縫合糸ループ構成及びパドル部1306上に配備された1つ又は複数の電極接点を有する、DRG刺激用のパドルリード1300の例を示す。縫合糸ループ構成は、1つ又は複数の縫合糸孔1312を有する。例えば、縫合糸ループ構成は、縫合糸孔1312が電極接点1310の電気経路を妨害しないように位置付けられるように、パドル部1306の遠位端部1302付近に配置された縫合糸孔1312の第1セットと、パドル部1306の中央付近に配置された縫合糸孔1312の第2セットと、を含むことができる。パドルリード1300は、縫合糸ループ構成の少なくとも一部分を通過して延びる1本又は複数本の縫合糸を使用して目標部位に固定できる。
【0052】
図21A~21Bは、DRG142の周りでのパドル部1406の折り曲げを容易にするリビングヒンジを有する他のパドルリード1400の例を示す。パドル部1406は、遠位端部1402と近位端部1404との間に延び、リード部1408は、近位端部1404から延びる。1つの実施形態において、1つ又は複数の縫合糸孔1412を有する縫合糸ループ構成は、リード部1408に沿って配置される。
【0053】
1つ又は複数の電極接点1410は、パドル部1406の少なくとも1つの面上に配置されて、リード部1408を介して電源と電気連絡する。電極接点1410は、変動する寸法及び間隔を有することができる。例えば、電極接点1410は、約2~3mmのサイズを有し約1.5~3mmの間隔を有することができる。電極接点1410によって形成されたアレイは、約30~45mmの長さ及び2~4mmの幅を有することができる。
【0054】
電極接点1410は、様々な電極アレイ構成に配列できる。例えば、
図21Aに示すように、電極接点1410は、複数の列を有する2D構成パターンで配列される。電極接点1410のうち2つは第1列に配列され、電極接点1410のうち4つは第1列に隣接する第2列に配列され、電極接点1410のうち2つは、第2列に隣接する第3列に配列される。
【0055】
1つの実施形態において、リビングヒンジは、それぞれ遠位端部1402から近位端部1404までパドル部1406の長さに沿って延びる、第1ヒンジ1418と第2ヒンジ1420とを含む。第1ヒンジ1418は、電極接点1410の第1列と第2列との間に配置され、第2ヒンジ1420は、電極接点1410の第2列と第3列との間に配置される。第1及び第2ヒンジ1418及び1420は、各々、パドル部1406においてジョイントを形成し、これに沿って、パドル部1406は、患者100の目標部位の体内構造を前進してDRG142を包み込むために折り曲げ可能である。特に、パドル部1406は、第1側1414から第1ヒンジ1418まで及び第2側1416から第2ヒンジ1420まで延び、それによって
図21Bに示すようにDRG142の輪郭の周りに折れ曲がる。
【0056】
本明細書において説明するように、パドルリード114は、外科的な配置を進めるためにテーパー状端部を含むことができる。
図22~24は、このような特徴部を含むパドルリード1500、1600、1700の様々な例を示す。
図22を見ると、1つの実施形態において、パドルリード1500は、遠位端部1502と近位端部1504との間に延びるパドル部1506を含む。リード部1508は、近位端部1504から延びる。
【0057】
1つの実施形態において、パドル部1506は、遠位端部1502へ向かって幅が遠位方向にテーパー状であり、テーパー状遠位先端を形成する。テーパー状遠位先端は、多様な形状を有することができる。例えば、テーパー状遠位先端は、パドル部1506の幅が遠位端部1502へ向かって円滑にテーパー状になるように、丸められた縁を有することができる。パドル部1506は、更に、近位端部1504において近位方向にリード部1508へ向かってテーパー状とすることができる。
【0058】
更に外科的な配置を支援するために、パドル部1506は、中に1つ又は複数の縫合糸孔1510が形成された縫合糸ループ構成を含むことができる。1つの実施形態において、縫合糸孔1510の第1セットは、幅がテーパー状遠位先端へと細くなり始める、パドル部1506の周縁に配置される。縫合糸孔1510の第2セットは、縫合糸孔1510の第1セットに対して近位のパドル部1506の周縁に配置される。1つの実施形態において、縫合糸孔1510の第2セットは、幅が近位方向に細くなり始めリード部1508と接続する、近位端部1504に配置される。
【0059】
次に
図23を見ると、1つの実施形態において、パドルリード1600は、遠位端部1602と近位端部1604との間に延びるパドル部1606を含む。リード部1608は、近位端部1604から延びる。1つの実施形態において、パドル部1606は、遠位方向に幅が遠位端部1602へ向かってテーパー状であり、テーパー状遠位先端を形成する。以上で説明したように、テーパー状遠位先端は、様々な形状を有することができる。例えば、テーパー状遠位先端は、パドル部1606の幅が遠位端部1602へ向かって所定の角度に沿ってテーパー状になるように、
図23に示すように、鋭い縁を有することができる。パドル部1606は、更に、近位端部1604において近位方向にリード部1608へ向かってテーパー状とすることができる。更に外科的な配置を支援するために、パドル部1606は、中に1つ又は複数の縫合糸孔1610が形成された縫合糸ループ構成を含むことができる。1つの実施形態において、縫合糸ループ構成は、テーパー状遠位先端の遠位縁に配置された1つの縫合糸孔1610を含む。
【0060】
同様に、
図24を見ると、1つの実施形態において、パドルリード1700は、遠位端部1702と近位端部1704との間に延びるパドル部1706を含む。リード部1708は、近位端部1704から延びる。1つの実施形態において、パドル部1706は、遠位方向に幅が遠位端部1702へ向かってテーパー状であり、テーパー状遠位先端を形成する。
図24に示すように、テーパー状遠位先端は、パドル部1706の幅が遠位端部1702へ向かって所定の角度に沿ってテーパー状になるように、鋭い縁を有することができる。パドル部1706は、更に、近位端部1704において近位方向にリード部1708へ向かって所定の角度に沿ってテーパー状とすることができる。
【0061】
更に外科的な配置を支援するために、パドル部1706は、中に1つ又は複数の縫合糸孔1710が形成された縫合糸ループ構成を含むことができる。1つの実施形態において、縫合糸ループ構成は、幅がテーパー状遠位先端へと細くなり始めるパドル部1706の周縁に配置された、縫合糸孔1710の第1セットを含む。縫合糸孔1710の第2セットは、縫合糸孔1710の第1セットに対して近位のパドル部1706の周縁に配置される。1つの実施形態において、縫合糸孔1710の第2セットは、幅が近位方向に細くなり始めリード部1708と接続する、近位端部1704に配置される。
【0062】
他の様々な修正及び追加を、本明細書において開示するテクノロジーの主旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書において論じられている例示的実施形態に加えることができる。例えば、以上で説明する実施形態は特定の特徴に言及するが、本開示の範囲は、同様に、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態、及び、説明する特徴の全ては含まない実施形態を含む。したがって、本明細書において開示するテクノロジーの範囲は、これらの全ての代案、修正及び変更並びにその全ての同等物を包含することが意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後根神経節の電気刺激用のシステムであって、
近位端部と遠位端部との間に延びるパドル部と、
前記近位端部から延びて、パドルリードを形成するリード部と、
前記パドル部の少なくとも1つの面上に配置された電極アレイであって、前記電極アレイが、電極アレイ構成に配列された1つ又は複数の電極接点を有する、電極アレイと、
前記遠位端部へ向かって幅が細くなる前記パドル部によって形成されたテーパー状遠位先端であって、前記テーパー状遠位先端が、椎弓切除及び靱帯切除後に前記後根神経節に対して後側の椎弓板下方に前記パドル部を外科的に配置するための形状を有し、前記外科的な配置が、前記後根神経節の電気刺激のために前記電極アレイの方向を定める、テーパー状遠位先端と、
を備える、システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【外国語明細書】