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特開2022-163048複数のエンドエフェクタを備えた材料取り扱いロボット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163048
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】複数のエンドエフェクタを備えた材料取り扱いロボット
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20221018BHJP
   B25J 9/10 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J9/10 A
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115165
(22)【出願日】2022-07-20
(62)【分割の表示】P 2019564390の分割
【原出願日】2018-02-15
(31)【優先権主張番号】62/459,135
(32)【優先日】2017-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514062448
【氏名又は名称】パーシモン テクノロジーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】PERSIMMON TECHNOLOGIES, CORP.
【住所又は居所原語表記】200 Harvard Mill Square Wakefield, MA 01880 US
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ホシェク マルチン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルカス スコット
(72)【発明者】
【氏名】リプコン ヤコブ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】第1の位置から第2の位置への基準点の望ましい経路を決定する方法を提供する。
【解決手段】ロボット300は、第1の位置から第1の位置とは異なる第2の位置への基準点の望ましい経路を決定し、決定した望ましい経路と、複数の挟角と、複数の挟角の各々についての対応する角速度と、複数の挟角の各々についての対応する角加速度と、に少なくとも部分的に基づいて、エンドエフェクタ302~308上の基準点の軌道を計算し、決定した望ましい経路に沿ったロボットアーム(各腕318~328)の運動設定値を決定するために、エンドエフェクタ上の基準点の座標と、複数の挟角として表現されたものを含む計算した軌道と共に逆運動学の修正定式化を使用し、決定した運動設定値に少なくとも部分的に基づいて、ロボット駆動ユニット310のモータを、ロボットアームを動かすように制御する。
【選択図】図6C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
第1の位置から前記第1の位置とは異なる第2の位置への基準点の望ましい経路を決定することを含み、前記基準点はロボットアーム上のエンドエフェクタ上にあり、前記ロボットアームは、前記ロボットアームを移動させるためのモータを有するロボット駆動部に接続され;
前記方法は更に、前記決定した望ましい経路に基づいて、及び、複数の挟角と、前記複数の挟角の各々についての対応する角速度と、前記複数の挟角の各々についての対応する角加速度とに少なくとも部分的に基づいて、前記エンドエフェクタ上の前記基準点の軌道を計算することを含み、前記複数の挟角は、それぞれ、異なる角度位置における前記ロボットアームの2つのリンクの相対角度に対応し;
前記方法は更に、
前記決定した望ましい経路に沿った前記ロボットアームの運動設定値を決定するために、前記エンドエフェクタ上の前記基準点の座標と、前記複数の挟角として表現されたものを含む前記計算した軌道と共に逆運動学の修正定式化を使用することと;
前記決定した運動設定値に少なくとも部分的に基づいて、前記ロボット駆動部の前記モータを、前記ロボットアームを動かすように制御することと;
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記望ましい経路が、前記ロボットアームの運動学的特異点と交差するかどうかを判定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記望ましい経路が、前記ロボットアームの運動学的特異点から所定の閾値距離以内を通過するかどうかを判定することと;
前記運動学的特異点から前記所定の閾値距離以内を通過しないことに基づいて、デカルト空間軌道生成スキームを使用して前記ロボットアームを動かすように切り替えることと;
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記軌道が、デカルト座標で表現された少なくとも1つの運動制約に違反しているかどうかを判定するために、選択された点グリッド内で前記軌道を評価することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの運動制約は、前記エンドエフェクタの、最大直線速度および最大加速度を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの運動制約に違反すると判定された場合、前記少なくとも1つの運動制約が満たされるように前記モータの少なくとも一つを動かし前記ロボットアームの動きを減速するための時間スケール係数を計算することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記エンドエフェクタのために、正規化経路変数で1次元軌道プロファイルを計算することと;
前記第1の位置から前記第2の位置までの前記複数の挟角によって表現された前記望ましい経路に前記1次元軌道プロファイルを適用することと;
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
機械により読み取り可能な不揮発性プログラム記憶装置であって、処理を遂行するために前記機械により実行可能な命令のプログラムを有形に具現化し、前記処理は請求項1から7のいずれかに記載の方法を含む、不揮発性プログラム記憶装置。
【請求項9】
方法であって、
ロボットアームのエンドエフェクタの基準点の、第1の位置と前記第1の位置とは異なる第2の位置との間の経路をコントローラで決定することを含み、前記ロボットアームは、前記ロボットアームを移動させるためのモータを有するロボット駆動部に接続され、前記コントローラは少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つの不揮発性メモリとを有し、前記少なくとも1つの不揮発性メモリはコンピュータ命令を格納し;
前記方法は、前記コントローラが、複数の移動制御モードから1つの移動制御モードを選択することを含み、前記複数の移動制御モードは、
・ 前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記経路が、前記ロボットアームの運動学的特異点から所定の閾値距離の外側を通ることを決定することに基づいて、デカルト空間軌道生成スキームを使用して前記ロボットアームを動かす、第1の移動制御モードと;
・ 前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記経路が、前記ロボットアームの前記運動学的特異点から前記所定の閾値距離内を通ることを決定することに基づく第2の移動制御モードと;
を備え、前記第2の移動制御モードは、前記経路の少なくとも一部について、前記ロボットアームの2つのリンクの間の第1の挟角を決定すると共に、前記経路の少なくとも一部について、前記ロボットアームの前記2つのリンクの間の第2の挟角を決定し、前記第1の位置から前記第2の位置への前記基準点の軌道を計算することを含み、ただし前記軌道は前記第1の挟角及び前記第2の挟角を含んで表現され、
前記方法は、前記コントローラが、前記選択された移動制御モードに基づいて前記ロボットアームの前記モータの動きを制御することを含み、前記第2の移動制御モードにおいて前記コントローラによる動きの制御は、前記第1の挟角及び前記第2の挟角で補完された、円筒座標系の逆運動学を使用して、運動設定点を決定することを含む、
方法。
【請求項10】
前記第2の移動制御モードは、前記軌道が、デカルト座標で表現された少なくとも1つの運動制約に違反しているかどうかを判定するために、選択された点グリッド内で前記軌道を評価することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの運動制約は、前記基準点の、最大直線速度および最大加速度を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、
前記少なくとも1つの運動制約に違反すると判定するとき、
前記少なくとも1つの運動制約が満たされるように前記モータの少なくとも一つを動かし前記ロボットアームの動きを減速するための時間スケール係数を計算することを含む、方法。
【請求項13】
機械により読み取り可能な不揮発性プログラム記憶装置であって、処理を遂行するために前記機械により実行可能な命令のプログラムを有形に具現化し、前記処理は請求項9から12のいずれかに記載の方法を含む、不揮発性プログラム記憶装置。
【請求項14】
少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラム命令を格納する少なくとも1つの不揮発性メモリとを備える装置であって、前記コンピュータプログラム命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに実行されると、前記装置に、
ロボットアームのエンドエフェクタの基準点の、第1の位置と前記第1の位置とは異なる第2の位置との間の望ましい経路を決定することと;
複数の異なる移動制御モードから1つの移動制御モードを選択することと;
を遂行させるように構成され、
前記ロボットアームは前記ロボットアームを移動させるためのモータを有するロボット駆動部に接続され;
前記複数の移動制御モードは、
前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記経路が、前記ロボットアームの運動学的特異点から所定の閾値距離の外側を通ることを決定することに基づいて、デカルト空間軌道生成スキームを使用して前記ロボットアームを動かす、第1の移動制御モードと;
前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記経路が、前記ロボットアームの前記運動学的特異点から前記所定の閾値距離内を通ることを決定することに基づく第2の移動制御モードと;
を有し、前記第2の移動制御モードは、
前記ロボットアームの2つのリンクの間の関節の第1の挟角を決定することと、
前記ロボットアームの前記2つのリンクの間の第2の挟角を決定することと、
前記第1の挟角及び前記第2の挟角と、これらの挟角の各々についての対応する角速度と、これらの挟角の各々についての対応する角加速度とに少なくとも部分的に基づいて、前記基準点の軌道を計算することと、
を含み、前記第1の挟角及び前記第2の挟角と、前記角速度と、前記角加速度とは、関節の位置、速度、加速度を決定するために使用される、
装置。
【請求項15】
前記コンピュータプログラム命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに実行されると、前記装置に、前記第2の移動制御モードのために、前記軌道が、デカルト座標で表現された少なくとも1つの運動制約に違反しているかどうかを判定するために、選択された点グリッド内で前記軌道を評価させるように構成される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの運動制約は、前記基準点の、最大直線速度および最大加速度を含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの運動制約に違反すると判定されたとき、前記コンピュータプログラム命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに実行されると、前記装置に、前記少なくとも1つの運動制約が満たされるように前記モータの少なくとも一つを動かし前記ロボットアームの動きを減速するための時間スケール係数を計算させるように構成される、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記複数の移動制御モードは、前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記経路が前記ロボットアームの運動学的特異点を交差するとの判断に基づいて、前記ロボットアームの前記経路での動きを実行しない、第3の移動制御モードを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
請求項14に記載の装置であって、
前記複数の移動制御モードは、前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記経路が前記ロボットアームの運動学的特異点を交差するとの判断に基づく第3の移動制御モードを備え、
前記装置は、前記第3の移動制御モードにおいて、前記ロボットアームの前記経路での動きを実行しないように構成される、装置。
【請求項20】
請求項14に記載の装置であって、
前記第2の移動制御モードは、関節空間軌道生成スキームを使用することを含み、
前記関節空間軌道生成スキームは、前記挟角によって表現される、
装置。
【請求項21】
方法であって、
ロボットアームのエンドエフェクタの基準点の、第1の位置と前記第1の位置とは異なる第2の位置との間の望ましい経路をコントローラで決定することを含み、前記ロボットアームは、前記ロボットアームを移動させるためのモータを有するロボット駆動部に接続され、前記コントローラは少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つの不揮発性メモリとを有し、前記少なくとも1つの不揮発性メモリはコンピュータ命令を格納し、
前記コントローラは、前記望ましい経路の第1の部分が、前記ロボットアームの運動学的特異点から所定の閾値以内の距離を通るとの決定に基づいて、前記ロボットアームを動かすための第1移動制御モードを選択し、前記ロボットアームを動かすために、関節空間軌道生成スキームを使用し、前記関節空間軌道生成スキームは、前記望ましい経路の前記第1の位置で、複数の挟角と、前記複数の挟角のそれぞれに対応する角速度及び角加速度を使用することを含み、前記複数の挟角は、それぞれ、異なる角度位置における前記ロボットアームの2つのリンクの間の関節の角度に対応し、前記第1の移動制御モードは、関節の位置、速度及び加速度を決定するために、前記複数の挟角と、前記複数の挟角のそれぞれに対応する角速度及び角加速度に補完された、逆運動学の修正定式化を使用し、前記関節空間軌道は前記挟角を含んで表現され、
前記コントローラは、前記望ましい経路の前記第1の部分とは異なる第2の部分が、前記ロボットアームの前記運動学的特異点から所定の閾値より遠い距離を通るとの決定に基づいて、前記ロボットアームを動かすために、第2の移動制御モードを選択し、前記ロボットアームを動かすためにデカルト軌道生成スキームを用いる、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的で非限定的な実施形態は、概して材料取り扱いロボットに関し、より詳細には、複数のエンドエフェクタを有する材料取り扱いロボットに関する。
【従来技術の簡単な説明】
【0002】
例えば、半導体ウェハ処理システムにおける用途のためなどの、材料取り扱いロボットが知られている。いくつかの例は、以下の米国特許および特許公報(それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)すなわち、非円形プーリがどのように計算され得るかを開示する米国特許第9,149,936号明細書、米国特許出願公開第2016/0167229号明細書、および米国特許出願公開第2017/0028546号明細書に見出され得る。
【摘要】
【0003】
以下の摘要は、単に例示的なものであるように意図されている。摘要は、特許請求の範囲を限定するように意図されていない。
【0004】
一態様によれば、例は、複数のモータと、前記モータに接続された複数の同軸駆動シャフトとを備えるロボット駆動部と、前記ロボット駆動部に接続されたロボットアームと、を備える装置において提供されてもよい。前記ロボットアームは、2つの上腕と、前記上腕の第1の上腕に接続された第1の組の前腕と、前記上腕の第2の上腕に接続された第2の組の前腕と、前記前腕のそれぞれに接続された複数のエンドエフェクタとを備え、前記第1の上腕および前記第2の上腕は、前記同軸駆動シャフトのそれぞれの第1の同軸駆動シャフトおよび第2の同軸駆動シャフトに接続され、前記第1の組の前腕は、第1の上腕上に装着されるとともに、それぞれの第1の駆動ベルト組立体および第2の駆動ベルト組立体によって前記同軸駆動シャフトの第3の同軸駆動シャフトに接続され、前記第2の組の前腕は、前記第2の上腕に装着されるとともに、それぞれの第3の駆動ベルト組立体および第4の駆動ベルト組立体によって前記同軸駆動シャフトの第4の同軸駆動シャフトに接続される。
【0005】
別の態様によれば、例示的な方法は、ロボット駆動部の第1の同軸駆動シャフトに第1の上腕を接続することと、前記ロボット駆動部の第2の同軸駆動シャフトに第2の上腕を接続することと、前記第1の上腕に第1の組の前腕を接続することであって、第1の駆動ベルト機構が、前記ロボット駆動部の第3の同軸駆動シャフトに前記第1の組の前腕のうちの前記前腕の第1の前腕を接続し、かつ第2の駆動ベルト機構が、前記ロボット駆動部の第3の同軸駆動シャフトに前記第1の組の前腕のうちの前記前腕の第2の前腕を接続する、前記接続することと、前記第2の上腕に第2の組の前腕を接続することであって、第3の駆動ベルト機構が、前記ロボット駆動部の第4の同軸駆動シャフトに前記第2の組の前腕のうちの前記前腕の第1の前腕を接続し、かつ第4の駆動ベルト機構が、前記ロボット駆動部の前記第4の同軸駆動シャフトに前記第2の組の前腕のうちの前記前腕の第2の前腕を接続する、前記接続することと、前記前腕にそれぞれのエンドエフェクタを接続することと、を含む。
【0006】
一態様によれば、例示的な方法は、第1の軸を中心にロボット駆動部の第1の同軸駆動シャフトを第1の方向に回転させて、前記第1の軸を中心にロボットアームの第1の上腕を回転させることと、前記第1の同軸駆動シャフトを回転させている間に、前記第1の軸を中心にロボット駆動部の第2の同軸駆動シャフトを回転させて、第1の駆動ベルト機構および第2の駆動ベルト機構を移動させ、それによって、前記第1の上腕上の第1の前腕および第2の前腕を回転させることと、前記第1の軸を中心に前記ロボット駆動部の第3の同軸駆動シャフトを第2の方向に回転させて、前記第1の軸を中心にロボットアームの第2の上腕を回転させることと、前記第1の軸を中心に前記ロボット駆動部の第4の同軸駆動シャフトを回転させて、第3の駆動ベルト機構および第4の駆動ベルト機構を移動させ、それによって、前記第2の上腕上の第3の前腕および第4の前腕を回転させることと、を含む。
【0007】
別の態様によれば、例示的な方法は、第1の軸を中心にロボット駆動部の第1の同軸駆動シャフトを第1の方向に回転させて、前記第1の軸を中心にロボットアームの少なくとも1つの上腕を回転させることと、前記第1の同軸駆動シャフトを回転させている間に、前記第1の軸を中心に前記ロボット駆動部の第2の同軸駆動シャフトを回転させて、少なくとも第1の駆動ベルト機構を移動させ、前記少なくとも1つの上腕上の第1の前腕を回転させるとともに、前記第1の前腕上の第1のエンドエフェクタを後退位置から延出位置に向けて延出させることと、前記第1の軸を中心に前記ロボット駆動部の第3の同軸駆動シャフトを第2の方向に回転させて、少なくとも第2の駆動ベルト機構を移動させ、前記少なくとも1つの上腕上の第2の前腕を回転させるとともに、前記第1のエンドエフェクタを前記後退位置から前記延出位置に向けて移動させる間に前記第2の前腕上の第2のエンドエフェクタを後退位置に保持することと、を含んでもよい。
【0008】
別の態様によれば、例示的な方法は、基準点がロボットアーム上のエンドエフェクタ上にある、前記基準点の開始位置から前記基準点の終了位置までの前記基準点の所望の経路に基づいて、前記開始位置に対応するとともに前記終了位置に対応する挟角を決定することであって、前記ロボットアームは、前記ロボットアームを移動させるためのモータを有するロボット駆動部に接続される、決定することと、少なくとも部分的に前記挟角に基づいて前記エンドエフェクタ上の前記基準点の動径座標の軌道を計算することと、前記エンドエフェクタ上の前記基準点が前記開始位置と前記終了位置との間の前記所望の経路をたどるように、前記計算された動径座標に基づいて、前記エンドエフェクタ上の前記基準点の対応する角度座標を計算することと、逆運動学の修正定式化を使用して、前記軌道の前記挟角ならびに前記エンドエフェクタの対応する角速度および加速度で補完された、前記エンドエフェクタ上の前記基準点の前記動径座標および前記角度座標を所望の関節位置、速度、および加速度に変換して、前記ロボットアームの運動設定値を形成することと、前記運動設定点に基づいて前記ロボットアームを移動させるように前記ロボット駆動部の前記モータを制御することと、を含む。
【0009】
別の態様によれば、例示的な方法は、ロボットアームのエンドエフェクタ上の基準点の開始位置と終了位置との間の前記基準点の経路を制御装置によって決定することであって、前記ロボットアームは、前記ロボットアームを移動させるためのモータを有するロボット駆動部に接続され、かつ前記制御装置は、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータコードを有する少なくとも1つの非一時的メモリとを備える、前記決定することと、前記制御装置が、複数の異なる移動制御モードから移動制御モードを選択することであって、前記異なる移動制御モードは、前記開始位置と前記終了位置との間の前記経路が前記ロボットアームの運動学的特異点と交差すると判定し、前記経路を用いて前記ロボットアームの動きを実行しないことと、前記開始位置と前記終了位置との間の前記経路が前記ロボットアームの前記運動学的特異点から所定の閾値距離の外側を通過すると判定し、デカルト空間軌道生成スキームを使用して前記ロボットアームを移動させることと、前記開始位置と前記終了位置との間の前記経路が前記ロボットアームの前記運動学的特異点から前記所定の閾値距離以内を通過すると判定し、前記開始位置に対応するとともに前記終了位置に対応する挟角を決定し、関節座標として前記開始位置および前記終了位置を計算し、少なくとも部分的に前記挟角に基づいて動径座標で前記開始位置から前記終了位置までの軌道を計算し、前記基準点が前記開始位置と前記終了位置との間のデカルト空間内の前記経路をたどるように前記基準点の対応する角度座標を計算することと、を含む、前記選択することと、前記制御装置が、前記選択された制御モードに基づいて前記ロボットアームの前記モータの動きを制御することと、を含む。
【0010】
別の態様によれば、例示的な実施形態は、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つの非一時的メモリとを備える装置であって、前記少なくとも1つのメモリおよび前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサを用いて、前記装置に、前記少なくとも1つのメモリおよび前記コンピュータプログラムコードによってロボットアームのエンドエフェクタ上の基準点の開始位置と前記基準点の終了位置との間の前記基準点の経路を軌道として決定することであって、前記ロボットアームは、前記ロボットアームを移動させるためのモータを有するロボット駆動部に接続される、前記決定することと、前記少なくとも1つのプロセッサおよび前記コンピュータプログラムコードによって複数の異なる移動制御モードから移動制御モードを選択することであって、前記複数の異なる移動制御モードは、前記開始位置と前記終了位置との間の前記経路が前記ロボットアームの運動学的特異点と交差すると判定し、前記経路を用いて前記ロボットアームの動きを実行しないことと、前記開始位置と前記終了位置との間の前記経路が前記ロボットアームの前記運動学的特異点から所定の閾値距離の外側を通過すると判定し、デカルト軌道生成スキームを使用して前記ロボットアームを移動させることと、前記開始位置と終前記了位置との間の前記経路が前記ロボットアームの前記運動学的特異点から前記所定の閾値距離以内を通過すると判定し、前記開始位置に対応するとともに前記終了位置に対応する挟角を決定し、関節座標として前記開始位置および前記終了位置を計算し、少なくとも部分的に前記挟角に基づいて動径座標で前記基準点の前記軌道を計算し、前記基準点が前記動きの前記開始位置と前記終了位置との間のデカルト空間内の前記経路をたどるように前記エンドエフェクタ上の前記基準点の対応する角度座標を計算することと、を含む、前記選択することと、を行わせるように構成される、前記装置において提供されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
前述の態様や他の特徴について、添付の図面と併せて解釈される、以下の説明において解説する。
【0012】
図1A-B】本明細書で説明する特徴を備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
図1C-D】本明細書で説明する特徴を備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
図1E-F】本明細書で説明する特徴を備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
【0013】
図2A-B】図2Aは、図1A図1Fに示す基板処理装置におけるロボットの上面図である。図2Bは、図2Aに図示するロボットの側面図である。
図2C-D】図2A図2Bに示すロボットの構成要素のいくつかを図示する概略図である。
【0014】
図3A-C】本明細書で説明する特徴を備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
図3D-E】本明細書で説明する特徴を備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
図3F-G】本明細書で説明する特徴を備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
図3H-I】本明細書で説明する特徴を備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
図3J-K】本明細書で説明する特徴を備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
【0015】
図4A-B】図4Aは、図3A図3Gに示す基板処理装置におけるロボットの上面図である。図4Bは、図4Aに図示するロボットの側面図である。
図4C図4A図4Bに示すロボットの構成要素のいくつかを図示する概略図である。
図4D図4A図4Bに示すロボットの構成要素のいくつかを図示する概略図である。
【0016】
図5A-B】本明細書で説明する特徴を備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
図5C-E】本明細書で説明する特徴を備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
図5F-H】本明細書で説明する特徴を備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
【0017】
図6A-B】図6Aは、図5A図5Hに示す基板処理装置におけるロボットの上面図である。図6Bは、図6Aに図示するロボットの側面図である。
図6C図6A図6Bに示すロボットの構成要素のいくつかを図示する概略図である。
図6D図6A図6Bに示すロボットの構成要素のいくつかを図示する概略図である。
【0018】
図7A-B】本明細書で説明する特徴を備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
図7C-D】本明細書で説明する特徴を備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
図7E-F】本明細書で説明する特徴を備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
図7G-H】本明細書で説明する特徴を備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
【0019】
図8A-C】本明細書で説明する特徴を備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
図8D-E】本明細書で説明する特徴を備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
図8F-G】本明細書で説明する特徴を備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
【0020】
図9A-B】ロボットアームのリンク間の長さおよび角度についての例示的な命名法を例示する図である。
【0021】
図10A-B】ベルト機構の例を示す図である。
【0022】
図11A-C】エンドエフェクタAの直線経路の初期位置から最終位置への移動を図示する図である。
図11D】関節軌道(図11A図11Cに図示する動きの加速度、速度、および位置)を経時的に図示する図である。
図11E】関節軌道(図11A図11Cに図示する動きの加速度、速度、および位置)を経時的に図示する図である。
図11F】関節軌道(図11A図11Cに図示する動きの加速度、速度、および位置)を経時的に図示する図である。
【0023】
図12A-B】エンドエフェクタの1つを延出させるために例示的なロボットアームがそれぞれ異なる伝達比で移動するときの、エンドエフェクタの互いに対する移動のいくつかの例を図示する図である。
【0024】
図13A】ロボットの代替の例示的な実施形態の図6C図6Dと同様の概略図である。
図13B】ロボットの代替の例示的な実施形態の図6C図6Dと同様の概略図である。
【0025】
図14A】ロボットの代替の例示的な実施形態の図6C図6Dと同様の概略図である。
図14B】ロボットの代替の例示的な実施形態の図6C図6Dと同様の概略図である。
【0026】
図15A】ロボットの代替の例示的な実施形態の図6C図6Dと同様の概略図である。
図15B】ロボットの代替の例示的な実施形態の図6C図6Dと同様の概略図である。
【0027】
図16A】ロボットの代替の例示的な実施形態の図6C図6Dと同様の概略図である。
図16B】ロボットの代替の例示的な実施形態の図6C図6Dと同様の概略図である。
【0028】
図17A】ロボットの代替の例示的な実施形態の図6C図6Dと同様の概略図である。
図17B】ロボットの代替の例示的な実施形態の図6C図6Dと同様の概略図である。
【0029】
図18A-B】図17A図17Bに示すロボットを備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
図18C-D】図17A図17Bに示すロボットを備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
【0030】
図18E-F】図17A図17Bに示すロボットを備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
図18G-H】図17A図17Bに示すロボットを備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
【0031】
図18I-J】図17A図17Bに示すロボットを備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
図18K-L】図17A図17Bに示すロボットを備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
【0032】
図18M-N】図17A図17Bに示すロボットを備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
【0033】
図18O-P】図17A図17Bに示すロボットを備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
【0034】
図18Q-R】図17A図17Bに示すロボットを備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
【0035】
図18S-T】図17A図17Bに示すロボットを備える基板処理装置での基板移動の例を図示する図である。
【0036】
図19A-B】通過支持体を有するロボットの例を図示する側面図である。
【実施形態の詳細説明】
【0037】
図1A図1Fを参照すると、例示的な実施形態の特徴を組み込んだ半導体ウェハ処理システム10の概略図が示されている。これらの特徴について図面に示す例示的な実施形態を参照して説明するが、実施形態の多くの代替形態においてこれらの特徴を具体化できることを理解すべきである。加えて、任意の適切なサイズ、形状もしくは種類の要素または材料を使用することができる。
【0038】
半導体ウェハ処理システムでの用途に好適な複数のエンドエフェクタを備えた材料取り扱いロボットにおいて、本明細書で説明する特徴を使用してもよい。
【0039】
例示的な半導体ウェハ処理システム10は、例えば、1つまたは複数の径方向ステーション12と、1つまたは複数のオフセットステーション14とを備えてもよい。ロボット100は、ステーション12、14間、または環境室13に接続された他のモジュール/ステーション(図示せず)間で1つまたは複数の基板Sを移動させるために提供されてもよい。環境室13は、例えば真空環境を提供してもよく、かつ室13の底壁を貫通して、室13によって少なくとも部分的に画定された環境内に延出するロボット100を有する。ロボット100およびステーション12、14は、少なくとも1つのプロセッサ17と、システム10の動作を制御するためのソフトウェア21を含む少なくとも1つのメモリ19とを備える少なくとも1つの制御装置15に接続される。システム10は、例えば、以下のウェハ取り扱い動作を提供してもよい。
(a)図1Aに概略的に図示するように、単一の径方向ステーション12から単一のウェハまたは基板Sを持ち上げる/単一の径方向ステーション12に単一のウェハまたは基板Sを配置する16。
(b)図1Bに概略的に図示するように、1対の積層された径方向ステーション12から1対のウェハまたは基板Sを同時に持ち上げる/1対の積層された径方向ステーション12に1対のウェハまたは基板Sを同時に配置する18。
(c)図1Cに概略的に図示するように、単一のオフセットステーション14から単一のウェハまたは基板Sを持ち上げる/単一のオフセットステーション14に単一のウェハまたは基板Sを配置する20。
(d)図1Dに概略的に図示するように、1対の積層されたオフセットステーション14から1対のウェハを同時に持ち上げる/1対の積層されたオフセットステーション14に1対のウェハを同時に配置する22。
(e)図1Eに概略的に図示するように、1対の並列のオフセットステーション14から1対のウェハまたは基板Sを同時に持ち上げる/1対の並列のオフセットステーション14に1対のウェハまたは基板Sを同時に配置する24。
(f)図1Fに概略的に図示するように、1対の並列のオフセットステーション14に1対のウェハまたは基板Sを配置するときに配置位置を個別に調整する26。
(g)単一の径方向ステーション12内においてウェハまたは基板Sを別のウェハと素早く交換する(単一の径方向ステーション内での迅速交換動作)。
(h)1対の積層された径方向ステーション12内において1対のウェハまたは基板Sを別の1対のウェハと素早く交換する(1対の積層された径方向ステーション内での迅速交換動作)。
(i)単一のオフセットステーション14内においてウェハまたは基板Sを別のウェハと素早く交換する(単一のオフセットステーション内での迅速交換動作)。
(j)1対の並列のオフセットステーション14内において1対のウェハまたは基板Sを別の1対のウェハと素早く交換する(1対の並列のオフセットステーション内での迅速交換動作)。
本発明による複数のエンドエフェクタを備えたロボットの種々の実施形態は、上記の要件の種々の組み合わせに対応するように意図されている。本文書全体を通じて使用される命名法が以下の表1にまとめられている。主要パラメータの図示については図9A図9Bを参照されたい。
[表1:命名法]
1: シャフトT1によって駆動される(左)上腕の関節間長さ(m)
: シャフトT3によって駆動される右上腕の関節間長さ(m)
: 肘関節からウェハ中心まで測定した、エンドエフェクタiを備えた前腕の長さ(m)、i=A、B、C、D
: エンドエフェクタiに関連付けられる伝達比、i=A、B、C、D
t: 時間(秒)
: エンドエフェクタiのx座標(m)、i=A、B、C、D
: エンドエフェクタiのy座標(m)、i=A、B、C、D
Δθ(t): シャフトT1によって駆動される左上腕の向きの変化(度)
Δθ(t): シャフトT2によって駆動されるプーリ(複数可)の向きの変化(度)
Δθ(t): シャフトT3によって駆動される右上腕の向きの変化(度)
Δθ(t): シャフトT4によって駆動されるプーリ(複数可)の向きの変化(度)
Δθ(t): エンドエフェクタiの向きの変化(度)、i=A、B、C、D
Δθi1(t): シャフトT1によって駆動される左上腕に対するエンドエフェクタiの相対的な向き(度)、i=A、B
Δθi3(t): シャフトT3によって駆動される右上腕に対するエンドエフェクタiの相対的な向き(度)、i=C、D
θ(t): シャフトT1によって駆動される左上腕の向き(度)
θ10: シャフトT1によって駆動される左上腕の初期の向き(度)
θ1ext: 左側リンケージが延出したときにシャフトT1によって駆動される左上腕の向き(度)
θ1ret: 左側リンケージが後退したときにシャフトT1によって駆動される左上腕の向き(度)
θ(t): シャフトT2によって駆動されるプーリの向き(度)
θ20: シャフトT2によって駆動されるプーリの初期の向き(度)
θ2exti: エンドエフェクタjが延出したときにシャフトT2によって駆動されるプーリの向き(度)、i=A、B
θ2ret: 左側リンケージが後退したときにシャフトT2によって駆動されるプーリの向き(度)
θ(t): シャフトT3によって駆動される右上腕の向き(度)
θ30: シャフトT3によって駆動される右上腕の初期の向き(度)
θ3ext: 右側リンケージが延出したときにシャフトT3によって駆動される右上腕の向き(度)
θ3ret: 右側リンケージが後退したときにシャフトT3によって駆動される右上腕の向き(度)
θ(t): シャフトT4によって駆動されるプーリの向き(度)
θ40: シャフトT4によって駆動されるプーリの初期の向き(度)
θ4exti: エンドエフェクタjが延出したときにシャフトT4によって駆動されるプーリの向き(度)、i=C、D
θ4ret: 左側リンケージが後退したときにシャフトT4によって駆動されるプーリの向き(度)
θ(t): エンドエフェクタiの向き(度)、i=A、B、C、D
θi0: エンドエフェクタiの初期の向き(度)、i=A、B、C、D
θiextj: エンドエフェクタjが延出したときのエンドエフェクタiの向き(度)、i=A、B、j=A、Bまたはi=C、D、j=C、D
θiret: 対応するリンケージが後退したときのエンドエフェクタiの向き(度)、i=A、B、C、D
【0040】
また図2A図2Cを参照すると、例示的な一実施形態では、ロボット100は、2つのエンドエフェクタ102、104を備えてもよい。図において、図2Aはロボット100の上面図を示しており、図2Bはロボット100の側面図を描いている。この例では、ロボット100は、ロボット駆動ユニット106と、ロボットアーム108とを備える。エンドエフェクタ102、104は、エンドエフェクタ102、104上に基板Sの1つを支持するためのそれぞれの領域A、Bを備える。この説明および図面における種々の箇所において、例えばその上で基板を支持するための領域に対応する文字A、BまたはA~Dによってエンドエフェクタが参照される場合があることに留意されたい。
【0041】
図2C図2Dには、ロボット100の例示的な内部機構が概略的に描かれている。ロボットアーム108は、この例では、上腕110と、この例では上側エンドエフェクタを形成するエンドエフェクタ102に接続された上前腕111aと、この例では下側エンドエフェクタを形成するエンドエフェクタ104に接続された下前腕111bとを備える。ロボットアーム108は、ロボット駆動ユニット106によって駆動されてもよい。この例では、ロボット駆動ユニット106は、3本の同軸シャフト、例えば外側T1シャフト114とT2シャフト116と内側T3シャフト118とを備えた3軸スピンドル112を備える。
【0042】
ロボットアーム108の上腕110は、T1シャフト114に直接取り付けられてもよい。上前腕111aは、回転関節(肘関節)120を介して上腕110に結合され、ベルト機構126を用いてT2シャフト116によって作動させてもよい。ベルト機構は、T2シャフト116に取り付けられ得る肩プーリ122と、上前腕111aに取り付けられ得る肘プーリ124と、2つのプーリ122、124間で運動を伝達し得るバンド、ベルトまたはケーブル126aとを備えてもよい。ベルト機構は一定または可変の伝達比を特徴としてもよい。例として、可変伝達比は、非円形プーリを用いて実現されてもよい。
【0043】
同様に、下前腕111bは、回転関節(肘関節)128を介して上腕110に結合されてもよく、下前腕111bの向きは、別のバンド、ベルトまたはケーブル機構130を用いてT3シャフト118によって制御されてもよい。ベルト機構は、T3シャフトに取り付けられ得る肩プーリB132と、前腕Bに取り付けられ得る肘プーリB134と、2つのプーリ132、134間で運動を伝達し得るバンド、ベルトまたはケーブル130bとを備えてもよい。ここでも、ベルト機構は、例えば、非円形プーリの使用によって実現される、一定または可変の伝達比を特徴としてもよい。
【0044】
ロボット駆動ユニット106のT1、T2およびT3シャフトは、図3A図3Gに概略的に図示するように、上側エンドエフェクタ102および下側エンドエフェクタ104が個々にまたは同時に種々のオフセットステーション14および径方向ステーション12にアクセスできるように回転させてもよい。図3H図3Kには、例示的な段階的運動の図が示されている。図3Hでは、アーム108は、エンドエフェクタ102(A)を、例えばステーションの手前の、部分展開後退位置から、例えば図3Dに示すステーション14a内の、延出位置に移動させる。他のエンドエフェクタ104(B)、すなわち、動いていないエンドエフェクタは、便宜的に上腕110の上で折り畳まれたままであってもよく、これによって、望ましくはエンドエフェクタの運動を制限する。図3Iでは、アーム108は、エンドエフェクタ102(A)を、例えばステーションの手前の、部分展開後退位置から、例えば図3Eに示すステーション14b内の、延出位置に移動させる。他のエンドエフェクタ104(B)、すなわち、動いていないエンドエフェクタは、便宜的に上腕110の上で折り畳まれたままであってもよく、これによって、望ましくはエンドエフェクタの運動を制限する。図3Jでは、アーム108は、エンドエフェクタ104(B)を、例えばステーションの手前の、部分展開後退位置から、例えば図3Fに示すステーション14a内の、延出位置に移動させる。他のエンドエフェクタ102(A)、すなわち、動いていないエンドエフェクタは、便宜的に上腕110の上で折り畳まれたままであってもよく、これによって、望ましくはエンドエフェクタの運動を制限する。図3Kでは、アーム108は、エンドエフェクタ104(B)を、例えばステーションの手前の、部分展開後退位置から、例えば図3Gに示すステーション14b内の、延出位置に移動させる。他のエンドエフェクタ102(A)、すなわち、動いていないエンドエフェクタは、便宜的に上腕110の上で折り畳まれたままであってもよく、これによって、望ましくはエンドエフェクタの運動を制限する。
【0045】
完全に後退させたときに、上前腕111aおよび下前腕111bは、図3Aに示すように上腕110の角度から180度をなす向きで配置される。この「折り畳み」姿勢では、旋回直径が最小化され、この旋回直径の最小化は、異なるステーション間の回転運動に最適である。この折り畳み位置でのロボット中心に対するウェハ中心の半径は、ペイロード中心を位置決めすることが物理的に可能でない円形領域を画定する。ペイロード位置のこの円形軌跡は運動学的特異点を表し、この領域の近傍の逆運動学的計算は不十分に条件付けされる(例えば、逆運動学の詳細については数式(22)~(29)を参照)。従来の軌道生成では、正規化経路変数で1次元軌道プロファイルを計算し、次いで、開始位置と終了位置とを結ぶ線分に1次元軌道プロファイルを適用し、デカルト座標空間に基づいてその線分の中間点に経路変数をマッピングする。ペイロードをこの特異点から離間させる(延出させる動き)またはこの特異点に戻す(後退させる動き)計画された経路にこの技術を適用することによって、概して、ロボットが実際に達成可能ではない高すぎる命令角速度および角加速度が生み出される。
【0046】
本実施形態におけるこの技術的課題に対処するために、関節空間軌道生成アルゴリズムが含まれてもよい。命令された動きの開始位置および終了位置を考慮すると、関節空間軌道生成アルゴリズムは、以下のプロトコルを実行してもよい。
・終点間の直線経路が特異点と交差しないことを確認する。交差が予測される場合には、動きを実行しない。例として、確認では以下の方法が利用されてもよい。
a.動きは、始点Pと終点Pとを結ぶ直線分および対応するベクトルV=P-Pとして定義されてもよい。
b.特異点は、ロボット中心Pにおける点と交差するとともに、エンドエフェクタAに対するr=l-lである半径と、エンドエフェクタBに対するr=l-lである半径とを有する、(名目上「Z」軸として定義される)ベクトルVに沿った軸を備えた無限円筒として定義されてもよい。
c.追加のベクトルV=P-Pを定義する。
d.係数によって定義された二次方程式を解く。
【数1】
e.範囲[0,1]に実根がある場合、線分が点で円筒と交差する。
【数2】
・終点間の直線経路が特異点からある程度の閾値距離以内を通過するかどうかを確認する。動きが特異点の付近に全く近づかない場合に、標準的なデカルト軌道生成スキームを用いる。例として、確認では以下の方法が利用されてもよい。
a.円筒の軸に最も近接する線上の点を見出す。
【数3】
b.見出された点がPとPとの間の線分内にあるかどうかを確認し、見出された点を必要であればそれらの終点の1つと置き換える。
c.円筒の表面から線分上の最近点までの距離を計算する。
【数4】
d.最小距離が事前定義された値よりも小さい場合には、関節空間軌道生成アルゴリズムが使用され得る。
・計画された経路が特異点に近接する場合には、関節座標として動きの開始位置および終了位置を計算する。例えば、エンドエフェクタAが命令される場合には挟角θA1(t)もしくはθ(t)-θ(t)の差を使用してもよく、またはエンドエフェクタBが命令される場合にはθB1(t)もしくはθ(t)-θ(t)を使用してもよい。
・正規化経路変数で1次元軌道プロファイルを計算し、次いで、始点から終点までの挟角として表現された所望の経路に1次元軌道プロファイルを適用する。軌道を生成するために使用される運動制約は、関節の速度および加速度の制限値として表現されてもよい。
・関節空間軌道は、デカルト座標で表現された運動制約(例えば、ペイロードの最大直線速度および加速度)のいずれかに違反しているかどうかを判定するために、選択された点グリッド内で評価されてもよい。この試験は、順(前進)運動学式のみを用いるので、特異点の近接度に関係なく機能する。例えば、順運動学式についての数式(12)~(16)を参照されたい。デカルト運動制約が違反された場合に、全ての制約を満たすのに十分に運動を減速させるために時間スケール係数を計算する。例として、ステップ(5)に以下を利用してもよい。
a.確認した各点において、デカルト速度および加速度の制約は以下のとおりである。
【数5】
b.制約のどちらかがいずれかの点において違反された場合には、以下のようにスケール係数が計算される。
【数6】
c.1以上であるスケール係数は、以下のように軌道に適用される。
【数7】
・挟角における関節空間軌道を考慮すると、動径座標における対応する軌道を直接計算することができる。挟角の値について、ペイロード中心の対応する径方向の延出が生じる。例として、このステップに以下の手法を利用してもよい。
a.例えば、エンドエフェクタAに関する順運動学についての数式(12)~(16)を考慮する。挟角θA1(t)が分かっている場合、径方向の延出を計算する目的でθ(t)=θA1(t)およびθ(t)=0であるという単純化仮定を立てることができる。
b.挟角の符号は、リンケージの利き手(すなわち、肘関節が肩関節とペイロード中心とを結ぶ線の左側にあるか右側にあるか)を示す。
・決定された動径座標を用いて、ペイロード中心の経路が動きの始点と終点との間のデカルト空間内の直線をたどるように、ペイロード中心の対応する角度座標を計算する。例として、以下の方法を使用してもよい。
点PとPとの間のデカルト空間内の直線であり得る動き経路を考慮し、かつ軌道の挟角、角速度および角加速度から計算されたある径方向位置、速度、加速度を考慮して、ペイロード中心が動き経路内に維持されるように対応する回転角、角速度、および角加速度を見出す。
・逆運動学の修正定式化を使用して、所望の挟角ならびにその対応する角速度および加速度で補完された円筒座標で表現された所望のペイロード中心を所望の関節位置、速度、および加速度に変換する。これらは、ロボットの運動設定点になる。軌道が関節の速度および加速度を制限するような形状とされるとともに、アルゴリズムでは、計算の問題のある部分を避けるために所望の挟角の知識が使用されるので、特異点付近の逆運動学を計算する当初の問題が解決される。
【0047】
他のエンドエフェクタ、すなわち、動いていないエンドエフェクタは、便宜的に上腕の上で折り畳まれたままであってもよく、これによって、望ましくはエンドエフェクタの運動を制限する。
【0048】
また図11A図11Cを参照すると、特異点で開始して直線経路上のステーションまで延出する動きの例が示されている。この説明は、図2A図2Dに示すロボットを参照してなされるが、本明細書で説明する少なくともいくつかの他のロボットの少なくとも一部にも等しく当てはまる。図11Aは初期位置を示しており、図11Bは最終延出位置を示しており、図11Cは、中間のアーム位置のいくつかが強調表示された、初期位置から最終位置までの経路を示している。この例では、図11Aは、ロボットアームがエンドエフェクタA、Bの両方を有する始点を示しており、図11Bは、ロボットアームを移動させて第1のエンドエフェクタAを延出位置に移動させた終点を示しているが、第2のエンドエフェクタBは後退位置に保持されている。図11Cは、図11Aおよび11Bに示す位置の間の、ロボットアームおよびエンドエフェクタの運動時の一連のスナップショットを示している。この例では、図11Cはまた、第1のエンドエフェクタAの後退位置から延出位置への移動セグメントを示しており、移動セグメントはオフセットステーションの1つ内への直線である。この例では、図11Cに見られるように、前腕と上腕との関節は、単にロボット駆動部の中心軸を中心とする円形経路をたどるに過ぎず、第2のエンドエフェクタのペイロード中心(および第2のエンドエフェクタ上の基板)もまた、単にロボット駆動部の中心軸を中心とする円形経路をたどるに過ぎない。図11Dには、挟角として計算された、この特定の例ではθ(t)-θ(t)として定義された軌道が示されており、この特定の例では、加速度プロットに見られるように、加加速度および加速度の制限値が適用されている。図11Eには、駆動シャフト角度としての対応するスケーリングされた軌道が示されており、図11Fには、デカルト座標としての対応するスケーリングされた軌道が示されており、加速度プロットは、総加速度、すなわちx成分とy成分とのベクトル和が、所与の制限値(破線)を超えないようにスケーリングが適用されたことを示している。その結果、運動は、関節空間(すなわち、挟角空間)とデカルト空間の両方の制約に従う。
【0049】
軌道が関節の速度および加速度を制限するような形状とされるとともに、計算では、計算の問題のある部分を避けるために所望の挟角の知識が使用されるので、特異点付近の逆運動学を計算する当初の問題が解決された。
【0050】
複数の動きセグメントは、順番に計算して実行することができる。動きセグメントは、通過点での停止を排除することによって総動き時間を減らすように一緒にされてもよい。一連の動きセグメントは、上で説明した関節空間軌道生成スキームを使用して計算されたいくつかのセグメントと、他の任意の方法によって計算された他のセグメントとを含んでもよい。動きセグメントの数、動きセグメントの種類、および動きセグメント種類の順序は、いかなる制限も受けない。
【0051】
図2C図2Dの例示的な内部構成に対する代替例として、ロボットアームの上腕は、単軸スピンドルを備えたロボット駆動ユニットによって駆動されてもよく、前腕は、上腕に取り付けられた1対のアクチュエータによって駆動されてもよい。具体的には、一方のアクチュエータは上前腕を駆動するように構成されてもよく、他方のアクチュエータは下前腕を駆動するように構成されてもよい。アクチュエータは、図15A図15Bの例示的な構成と同様に、前腕に直接接続されてもよく、または図16A図16Bの例示的な構成と同様に、バンド、ベルトもしくはケーブル機構を介して前腕に結合されてもよい。
【0052】
図4A図4Cには、ロボットの別の例示的な実施形態が示されている。この例では、ロボット200は、2つのエンドエフェクタ202、204を備える。図4Aはロボット200の上面図を示しており、図4Bはロボット200の側面図を描いている。ロボット200は、ロボット駆動ユニット206と、ロボットアーム208とを備える。ロボットアーム208は、例えば左側リンケージ210および右側リンケージ212などの、リンケージを特徴とする。
【0053】
左側リンケージ210は、左上腕214と、基板支持領域Aを有する左側エンドエフェクタ202を備えた左前腕216とで構成されてもよい。同様に、右側リンケージ212は、右上腕218と、基板支持領域Cを有する右側エンドエフェクタ204を備えた右前腕220とで構成されてもよい。
【0054】
図4C図4Dには、ロボットの例示的な内部機構が概略的に描かれている。ロボットアーム208は、ロボット駆動ユニット206によって駆動されてもよい。この例示的な実施形態では、ロボット駆動ユニット206は、4本の同軸シャフト、例えば外側T1シャフト224とT2シャフト226とT3シャフト228と内側T4シャフト230とを備えた4軸スピンドル222を備える。
【0055】
ロボットアーム208の右上腕218は、T1シャフト224に直接取り付けられてもよい。右前腕220は、回転関節(右肘関節)232を介して右上腕218に結合され、ベルト機構234を用いてT2シャフト226によって作動させてもよい。ベルト機構234は、T2シャフトに取り付けられ得る右肩プーリ236と、右前腕220に取り付けられ得る右肘プーリ238と、2つのプーリ236、238間で運動を伝達し得るバンド、ベルトもしくはケーブルとを備えてもよい。ベルト機構234は一定または可変の伝達比を特徴としてもよい。例として、可変伝達比は、右上腕218とT2シャフトとの相対位置の関数として、右側エンドエフェクタ204に対する右前腕220の向きを事前定義された方法で変更するように選択されてもよい。しかしながら、他の任意の好適な機構を使用してもよい。
【0056】
同様に、ロボットアーム208の左上腕214は、T3シャフト228に直接取り付けられてもよい。左前腕216は、回転関節240(左肘関節)を介して左上腕214に結合され、ベルト機構242を用いてT4シャフトによって作動させてもよい。ベルト機構242は、T4シャフトに取り付けられ得る左肩プーリ244と、左前腕216に取り付けられ得る左肘プーリ246と、2つのプーリ244、246間で運動を伝達し得るバンド、ベルトまたはケーブルとを備えてもよい。ベルト機構242は一定または可変の伝達比を特徴としてもよい。例として、可変伝達比は、左上腕210とT4シャフトとの相対位置の関数として、左側エンドエフェクタ202に対する左前腕216の向きを事前定義された方法で変更するように選択されてもよい。しかしながら、他の任意の好適な機構を使用してもよい。図4A図4Cの例示的な実施形態は互いに垂直方向にオフセットされたエンドエフェクタ202および204を示しているが、エンドエフェクタが同じ平面内に位置し得ることに留意されたい。
【0057】
ロボット駆動ユニット206のT1、T2、T3、T4シャフトは、図5A図5Hに概略的に図示するように、左側エンドエフェクタ202および右側エンドエフェクタ204が個々にまたは同時に種々のオフセットステーション14および径方向ステーション12にアクセスできるように回転させてもよい。別の例示的な実施形態では、ロボットは、積層および並列配置で動作し得る、4つのエンドエフェクタを特徴としてもよい。図4C図4Dの例示的な内部構成に対する代替として、ロボットアームの上腕は、2軸スピンドルを備えたロボット駆動ユニットによって駆動されてもよく、前腕は、一方のアクチュエータがロボットアームの2つ上腕の各々に取り付けられる、1対のアクチュエータによって駆動されてもよい。具体的には、一方のアクチュエータは左上腕に取り付けられて左前腕を駆動してもよく、他方のアクチュエータは右上腕に取り付けられて右前腕を駆動してもよい。アクチュエータは、図15A図15Bの例示的な構成と同様に、前腕に直接接続されてもよく、または図16A図16Bの例示的な構成と同様に、バンド、ベルトもしくはケーブル機構を介して前腕に結合されてもよい。
【0058】
また図6A図6Cを参照すると、ロボットの別の例示的な実施形態が示されている。この例示的な実施形態では、ロボット300は、4つのエンドエフェクタ302、304、306、308を備える。図6Aはロボット300の上面図を示しており、図6Bはロボット300の側面図を描いている。ロボット300は、この例では、ロボット駆動ユニット310と、ロボットアーム312とを備える。ロボットアーム312は、例えば左側リンケージ314および右側リンケージ316などの、リンケージを特徴としてもよい。
【0059】
左側リンケージ314は、左上腕318と、基板支持領域Aを有する左上側エンドエフェクタ302を備えた左上前腕320と、基板支持領域Bを有する左下側エンドエフェクタ304を備えた左下前腕322とで構成されてもよい。同様に、右側リンケージ316は、右上腕324と、基板支持領域Cを有する右上側エンドエフェクタ306を備えた右上前腕326と、基板支持領域Dを有する右下側エンドエフェクタ308を備えた右下前腕328とで構成されてもよい。
【0060】
図6C図6Dには、ロボット300の例示的な内部配置が概略的に描かれている(図(c)の上腕に対するエンドエフェクタの向きは、図6Aに示す構成に対応しておらず実際の配置も表していない、つまり、ロボットの内部配置を明確な方式で視覚化するためだけに向きが選択されており、かつエンドエフェクタは、実際の用途によって必要に応じて、描かれている向きから角度的にオフセットされ得ることに留意されたい)。ロボットアーム312は、4本の同軸シャフト、例えば外側T1シャフト332とT2シャフト334とT3シャフト336と内側T4シャフト338とを備えた4軸スピンドル330を備えたロボット駆動ユニット310によって駆動されてもよい。
【0061】
ロボットアーム312の左上腕318は、T3シャフトに直接取り付けられてもよい。左上前腕320は、回転関節(左肘関節)340を介して左上腕318に結合され、ベルト機構342を用いてT4シャフトによって作動させてもよい。ベルト機構342は、T2シャフトに取り付けられ得る左肩プーリ344と、左上前腕318に取り付けられ得る左肘プーリ346と、2つのプーリ344、346間で運動を伝達し得るバンド、ベルトまたはケーブルとを備えてもよい。ベルト機構342は一定または可変の伝達比を特徴としてもよい。例として、可変伝達比は、左上腕318とT4シャフトとの相対位置の関数として、左上側エンドエフェクタ302に対する左上前腕320の向きを事前定義された方法で変更するように選択されてもよい。しかしながら、他の任意の好適な機構を使用してもよい。
【0062】
同様に、左下前腕322は、回転関節(左肘関節)348を介して左上腕318に結合されてもよく、左下前腕322の向きは、別のバンド、ベルトまたはケーブル機構350を用いてT4シャフトによって制御されてもよい。ベルト機構350は、図6Dに図示するように、交差状に構成されてもよい。ベルト機構350は、T4シャフトに取り付けられ得る肩プーリ352と、左下前腕322に取り付けられ得る左肘プーリ354と、2つのプーリ352、354間で運動を伝達し得るバンド、ベルトまたはケーブルとを備えてもよい。ベルト機構350は一定または可変の伝達比を特徴としてもよい。例として、可変伝達比は、左上腕318とT4シャフトとの相対位置の関数として、左側エンドエフェクタ304に対する左下前腕322の向きを事前定義された方法で変更するように選択されてもよい。しかしながら、他の任意の好適な機構を使用してもよい。
【0063】
さらに図6Cを参照すると、ロボットアーム312の右上腕324は、T1シャフトに直接取り付けられてもよい。右上前腕326は、回転関節(右肘関節)356を介して右上腕324に結合され、ベルト機構358を用いてT2シャフトによって作動させてもよい。ベルト機構358は、T2シャフトに取り付けられ得る肩プーリ360と、右上前腕326に取り付けられ得る右肘プーリ362と、2つのプーリ360、362間で運動を伝達し得るバンド、ベルトまたはケーブルとを備えてもよい。ベルト機構358は一定または可変の伝達比を特徴としてもよい。例として、可変伝達比は、右上腕324とT2シャフトとの相対位置の関数として、右側エンドエフェクタ306に対する右上前腕326の向きを事前定義された方法で変更するように選択されてもよい。しかしながら、他の任意の好適な機構を使用してもよい。
【0064】
右下前腕328は、回転関節(右肘関節)364を介して右上腕324に結合されてもよく、右下前腕328の向きは、別のバンド、ベルトまたはケーブル機構366を用いてT2シャフトによって制御されてもよい。ベルト機構366は、図6Dに図示するように、交差状に構成されてもよい。ベルト機構366は、T2シャフトに取り付けられ得る肩プーリ368と、右下前腕328に取り付けられ得る右肘プーリ370と、2つのプーリ368、370間で運動を伝達し得るバンド、ベルトまたはケーブルとを備えてもよい。ベルト機構366は一定または可変の伝達比を特徴としてもよい。例として、可変伝達比は、右上腕324とT2シャフトとの相対位置の関数として、右下側エンドエフェクタ308に対する右下前腕328の向きを事前定義された方法で変更するように選択されてもよい。しかしながら、他の任意の好適な機構を使用してもよい。
【0065】
図6A図6Cの例示的な実施形態は互いに垂直方向にオフセットされたエンドエフェクタ302および306を示しているが、アームの幾何形状、バンド駆動部の伝達比、および/またはアームの一連の動作によってエンドエフェクタが互いに間隔をあけることが可能となる場合にはエンドエフェクタが同じ平面内に位置し得ることに留意されたい。同じことがエンドエフェクタ304および308にも当てはまる。
【0066】
全てのバンド駆動部が一定の伝達比を特徴とする例示的なロボットアームを考慮して、駆動シャフトならびにリンケージの個々のリンクの角度方向に関しての左側リンケージ(すなわち、左上腕、エンドエフェクタ302を備えた前腕320、およびエンドエフェクタ304を備えた前腕322)の運動学は、以下のように説明することができる。
【数8】
ここで、θはエンドエフェクタiの向きであり、θi0はエンドエフェクタiの初期の向きであり、Δθはエンドエフェクタiの向きの変化であり、かつtは時間である。エンドエフェクタiの向きの変化は、以下のように表現することができる。
【数9】
ここで、Δθi1は、左上腕に対するエンドエフェクタiの相対的な向きであり、かつΔθは左上腕の向きの変化である。左上腕に対するエンドエフェクタiの相対的な向きは、以下のように記述することができる。
【数10】
ここで、nは、エンドエフェクタiに関連付けられた伝達比であり、かつΔθは駆動シャフト332または334の向きの変化(T1またはT2)である。伝達比nは、交差状ベルト構成を反映して、エンドエフェクタ302(A)に対して正であるとともに、エンドエフェクタ304(B)に対して負であってもよい。駆動シャフト336(T3)によって駆動される左上腕318の向きの変化、および駆動シャフト332または334(T1またはT2)の向きの変化は、以下のように計算することができる。
【数11】
ここで、θ10およびθ20は、それぞれ、駆動シャフト332(T1)および駆動シャフト334(T2)の初期の向きである。駆動シャフトT1およびT2の向きの関数としてのエンドエフェクタ302(A)および304(B)の向きについての以下の式を得るために数式(1)~(5)を組み合わせてもよい。
【数12】
ここで、
【0067】
同様に、駆動シャフト336、338(T3およびT4)ならびに右側リンケージの個々のリンクの角度方向に関しての右側リンケージ(すなわち、右上腕324、エンドエフェクタ306を備えた前腕326、およびエンドエフェクタ308を備えた前腕328)の運動学は、以下の式によって説明することができる(命名法については表1を参照)。
【数13】
ここで、
【0068】
上記の運動学数式を例示するために、n=1、n=-1、n=1およびn=-1の伝達比を有する例示的なアームを考慮し、かつアームが初めに図7Aの後退位置にある、つまり、θ1ret=225度、θAret=90度、θBret=90度、θ3ret=315度、θCret=90度、およびθDret=90度であると仮定する。
【0069】
駆動シャフト1が時計回り方向に90度回転し(つまり、Δθ=-90度)、かつ駆動シャフトT2が静止したままであるときに(Δθ=0度)、図7Eに示すように、エンドエフェクタ302は、θAextA=90度の向きで延出して最終延出位置に達し、その間に、エンドエフェクタ304は、時計回り方向に180度回転して(Δθ=-180度)、θBextA=270度の最終的な向きに達する。この例示の例では、エンドエフェクタAが直線に沿って初期後退位置から最終延出位置に移動しなくてもよく、後に解説するように、直線経路に沿ってエンドエフェクタAを延出させるために駆動シャフトT2を駆動シャフトT1と協調して回転させる必要があるが、初期位置と最終位置の間での駆動シャフトT2の総回転はゼロのままであることに留意されたい。
【0070】
駆動シャフトT1が時計回り方向に90度回転し(Δθ=-90度)、かつ駆動シャフトT2が同じ方向に180度回転したときに(Δθ=-180度)、図7Gに示すように、エンドエフェクタ304は、θBextB=90度の向きで延出して最終延出位置に達し、その間に、エンドエフェクタ302は、時計回り方向に180度回転して(Δθ=-180度)、θAextB=270度の最終的な向きに達する。
【0071】
同様に、駆動シャフトT3が反時計回り方向に90度回転し(Δθ=90度)、かつ駆動シャフトT4が静止したままであるときに(Δθ=0度)、図7Fに示すように、エンドエフェクタ306は、θCextC=90度の向きで延出して最終延出位置に達し、エンドエフェクタ308は、反時計回り方向に180度回転して(Δθ=180度)、θDextC=270度の最終的な向きに達する。この例示の例では、エンドエフェクタCは、直線に沿って初期後退位置から最終延出位置に移動しなくてもよく、後に解説するように、直線経路に沿ってエンドエフェクタCを延出させるために駆動シャフトT4を駆動シャフトT3と協調して回転させる必要があるが、初期位置と最終位置の間での駆動シャフトT4の総回転はゼロのままであることに留意されたい。
【0072】
最終的に、駆動シャフトT3が反時計回り方向に90度回転し(Δθ=90度)、かつ駆動シャフトT4が時計回り方向に180度回転したときに(Δθ=180度)、図7Hに示すように、エンドエフェクタ308は、θDextD=90度の向きで延出して最終延出位置に達し、その間に、エンドエフェクタ306は、反時計回り方向に180度回転して(Δθ=180度)、θCextD=270度の最終的な向きに達する。
【0073】
数式(7)~(9)を利用して、エンドエフェクタ302、304(AおよびB)に関連付けられる順運動学(すなわち、エンドエフェクタ302、304の位置と駆動シャフトT1およびT2の角度方向との関係)を以下のようにまとめることができる(命名法については表1を参照)。
【数14】
ここで、
および
【0074】
駆動シャフトT1およびT2の角度位置に基づいてエンドエフェクタ302、304(A、B)の座標を決定するために順運動学数式(12)~(16)を使用してもよい。
【0075】
エンドエフェクタ306、308(CおよびD)に関連付けられる順運動学を以下のようにまとめることができる(命名法については表1を参照)。
【数15】
ここで、
および
【0076】
上記式を得るために数式(9)~(11)が利用されていることに留意されたい。駆動シャフトT3およびT4の角度位置に基づいてエンドエフェクタ306、308(C、D)の座標を決定するために順運動学数式(17)~(21)を使用してもよい。
【0077】
可変伝達比を有するバンド駆動部が用いられる場合、数式(14)および(19)は、特定のバンド機構(複数可)の特性を表す関係によって置き換える必要がある。例として、(Δθ-Δθ)の関数としてのΔθおよびΔθのためのルックアップテーブルおよび(Δθ-Δθ)の関数としてのΔθおよびΔθのための別のルックアップテーブルを便宜的に使用してもよい。
【0078】
左側リンケージについての逆運動学数式は、エンドエフェクタ302またはエンドエフェクタ304の向きの関数としての駆動シャフトT1およびT2の向きについての順運動学数式を解くことによって得ることができる(命名法については表1を参照)。
【数16】
ここで、
および
【0079】
エンドエフェクタ302の位置が逆運動学的計算への入力として使用される場合に、駆動シャフトT2の角度方向を以下の式に基づいて決定することができる。
【数17】
【0080】
または、エンドエフェクタ304の位置が逆運動学的計算への入力として使用される場合に、駆動シャフトT2の角度方向を以下の式に基づいて決定することができる。
【数18】
【0081】
同様に、右側リンケージについての逆運動学数式は、エンドエフェクタ306(C)またはエンドエフェクタ308(D)の向きの関数としての駆動シャフトT3およびT4の向きについての順運動学数式を解くことによって得ることができる(命名法については表1を参照)。
【数19】
ここで、
および
【0082】
エンドエフェクタ306の位置が逆運動学的計算への入力として使用される場合に、駆動シャフトT4の角度方向を以下の式に基づいて決定することができる。
【数20】
【0083】
または、エンドエフェクタDの位置が逆運動学的計算への入力として使用される場合に、駆動シャフト4の角度方向を以下の式に基づいて決定することができる。
【数21】
【0084】
ロボットアーム全体が回転するために、全ての駆動シャフト、すなわち、T1、T2、T3、およびT4が、固定基準フレームに対してアームの所望の回転方向に同じ量だけ移動する必要がある。これは図7A図7Bに概略的に描かれている。この特定の例では、ロボットアーム全体は、時計回り方向に90度回転する。
【0085】
図7Eの例に概略的に描かれているように、左上側エンドエフェクタ302が図7Aの後退位置から直線経路などの事前定義された経路に沿って左側オフセットステーション14aまで延出するように、シャフトT1およびT2は、協調的な方法で回転させる必要がある場合がある。より具体的には、左上側エンドエフェクタ302に対する逆運動学数式(数式(22)~(28))が、左側エンドエフェクタ302の位置の関数としてT1およびT2シャフトの向きを決定するために利用されてもよい。図に示すように、左下側エンドエフェクタ304は、左上側エンドエフェクタ302がステーション14aまで延出するときに邪魔にならないように回転してもよい。左上側エンドエフェクタ302は、同様の方法でT1およびT2シャフトを逆回転させることによって後退させてもよい。
【0086】
図7Aの後退位置と図7Eの延出位置との間でエンドエフェクタ302を移動させる上記の例では、左側リンケージの個々のリンクの以下の向きが示されている。後退位置では、θ1ret=225、θAret=90度、およびθBret=90度であり、延出位置では、θ1ext=135、θAextA=90度、およびθBextA=270度である。n=1およびn=-1の例示的な伝達比で、エンドエフェクタ302が延出するときに、駆動シャフトT1は、時計回り方向に90度回転するように作動させてもよく、駆動シャフトT2は、エンドエフェクタAが所望の経路をたどるように協調的な方法で回転するように作動させる。この特定の例では、駆動シャフトT2の総回転がゼロであり、すなわち、駆動シャフトT2の初期角度位置と最終角度位置が同じである。駆動シャフトT1は、反時計回り方向に90度回転するように作動させてもよく、駆動シャフトT2は、エンドエフェクタ302が後退したときに反対の方法で回転するように作動させる。
【0087】
図7Gの例に概略的に描かれているように、左下側エンドエフェクタ304が図7Aの後退位置から直線経路などの事前定義された経路に沿って同じ左側オフセットステーション14aまで延出するように、シャフトT1およびT2は、左下側エンドエフェクタ304に対する逆運動学数式(数式(22)~(27)および(29))に従って協調的な方法で回転してもよい。図に示すように、左上側エンドエフェクタ302は、左下側エンドエフェクタ304がステーション14aまで延出するときに邪魔にならないように旋回してもよい。左下側エンドエフェクタ304は、同様の方法でT1およびT2シャフトを逆回転させることによって後退させてもよい。
【0088】
図7Aの後退位置と図7Gの延出位置との間でエンドエフェクタ304を移動させる上記の例では、左側リンケージの個々のリンクの以下の向きが示されている。後退位置では、θ1ret=225、θAret=90度、およびθBret=90度であり、延出位置では、θ1ext=135、θAextB=270度、およびθBextB=90度である。ここでも、n=1およびn=-1の例示的な伝達比で、エンドエフェクタ304が延出するときに、駆動シャフトT1は、時計回り方向に90度回転するように作動させてもよく、駆動シャフトT2は、同じ方向に180度回転するように作動させる。2本の駆動シャフトは、エンドエフェクタ304が後退するときに反対方向に同じ量だけ回転するように作動させてもよい。
【0089】
オフセットステーション14からウェハまたは基板を持ち上げる/オフセットステーション14にウェハまたは基板を配置するために、上記動作を利用してもよい。例えば302などの1つのエンドエフェクタでの持ち上げ動作と、それに続く例えば304などの他のエンドエフェクタでの配置動作との一連の動作は、オフセットステーションにおいてウェハ/基板を素早く交換する(迅速交換動作)ために使用してもよい。例として、左上側エンドエフェクタ302が、ステーションまで延出し、ウェハを持ち上げて、後退してもよい。次いで、別のウェハを搬送し得る左下側エンドエフェクタ304が、同じステーションまで延出し、ウェハを配置して、後退してもよい。
【0090】
図7Fの例に概略的に描かれているように、右上側エンドエフェクタ306が図7Aの後退位置から直線経路などの事前定義された経路に沿って右側オフセットステーション14bまで延出するように、シャフトT3およびT4は、協調的な方法で回転させる必要がある場合がある。より具体的には、右上側エンドエフェクタ306に対する逆運動学数式(数式(30)~(36))が、右上側エンドエフェクタ306の位置の関数としてT3およびT4シャフトの向きを決定するために利用されてもよい。図に示すように、右下側エンドエフェクタ308は、右上側エンドエフェクタ306がステーションまで延出するときに邪魔にならないように回転してもよい。右上側エンドエフェクタ306は、同様の方法でT3およびT4シャフトを逆回転させることによって後退させてもよい。
【0091】
図7Aの後退位置と図7Fの延出位置との間でエンドエフェクタ306を移動させる上記の例では、右側リンケージの個々のリンクの以下の向きが示されている。後退位置では、θ3ret=315、θCret=90度、およびθDret=90度であり、延出位置では、θ1ext=45、θCextC=90度、およびθDextC=270度である。n=1およびn=-1である例示的な伝達比に関しては、エンドエフェクタ306が延出したときに、駆動シャフトT3は、反時計回り方向に90度回転するように作動させてもよく、かつ駆動シャフトT4は、エンドエフェクタ306(C)が所望の経路をたどるような協調的な方法で回転するように作動させ、この特定の例では、駆動シャフトT4の総回転がゼロである、つまり、駆動シャフトT4の初期角度位置および最終角度位置が同じである。駆動シャフトT3は、時計回り方向に90度回転するように作動させてもよく、駆動シャフトT4は、エンドエフェクタ306が後退したときに反対の方法で回転するように作動させる。
【0092】
図7Hの例に概略的に描かれているように、右下側エンドエフェクタ308が図7Aの後退位置から直線経路などの事前定義された経路に沿って同じ右側オフセットステーション14bまで延出するように、シャフトT3およびT4は、右下側エンドエフェクタ308に対する逆運動学数式(数式(30)~(35)および(37))に従って協調的な方法で回転してもよい。図に示すように、右上側エンドエフェクタ306は、右下側エンドエフェクタ308がステーション14bまで延出するときに邪魔にならないように旋回してもよい。右下側エンドエフェクタ308は、同様の方法でT3およびT4シャフトを逆回転させることによって後退させてもよい。
【0093】
図7Aの後退位置と図7Hの延出位置との間でエンドエフェクタ308を移動させる上記の例では、左側リンケージの個々のリンクの以下の向きが示されている。後退位置では、θ1ret=315、θCret=90度、およびθDret=90度であり、延出位置では、θ1ext=135、θCextD=270度、およびθDextD=90度である。ここでも、n=1およびn=-1の例示的な伝達比を考慮して、エンドエフェクタ308が延出するときに、駆動シャフトT3は、反時計回り方向に90度回転するように作動させてもよく、駆動シャフトT4は、同じ方向に180度回転するように作動させる。2本の駆動シャフトは、エンドエフェクタ308が後退するときに反対方向に同じ量だけ回転するように作動させてもよい。
【0094】
ここでも、オフセットステーションからウェハを持ち上げる/オフセットステーションにウェハを配置するために、上記動作を利用してもよい。1つのエンドエフェクタでの持ち上げ動作と、それに続く他のエンドエフェクタでの配置動作との一連の動作は、オフセットステーションにおいてウェハを素早く交換する(迅速交換動作)ために使用してもよい。例として、右上側エンドエフェクタ306が、ステーションまで延出し、ウェハを持ち上げて、後退してもよい。次いで、別のウェハを搬送し得る右下側エンドエフェクタ308が、同じステーション14bまで延出し、ウェハを配置して、後退してもよい。
【0095】
左上側エンドエフェクタ302および右上側エンドエフェクタ306はまた、図7Eおよび図7Fに関して上で説明した延出(後退)動作を同時に行うことによってそれぞれの左側および右側オフセットステーションまで(から)同時に延出(後退)させてもよい。これは図7Cに図示されている。
【0096】
さらに、左上側エンドエフェクタ302および右上側エンドエフェクタ306の配置位置は、個別に調節されてもよい(図1Fを参照)。例として、この機能は、ロボットエンドエフェクタ上の2つのウェハのいかなる位置ずれも補正して、それぞれのステーション内の所望の場所に2つのウェハを正確に受け渡すために便宜的に利用してもよい。
【0097】
左下側エンドエフェクタ304および右下側エンドエフェクタ308はまた、図7Gおよび図7Hに関して上で説明した延出(後退)動作を同時に行うことによってそれぞれの左側および右側オフセットステーション14a、14bまで(から)同時に延出(後退)させてもよい。これは図7Dに図示されている。
【0098】
ここでも、左下側エンドエフェクタ304および右下側エンドエフェクタ308の配置位置は、個別に調節されてもよい。先に解説したように、この機能は、例えば、ロボットエンドエフェクタ上の2つのウェハのいかなる位置ずれも補正して、それぞれのステーション内の所望の場所に2つのウェハを正確に受け渡すために使用してもよい。
【0099】
1対のエンドエフェクタ、例えばエンドエフェクタ302および306での持ち上げ動作と、それに続く他の1対のエンドエフェクタ、この特定の例ではエンドエフェクタ304および308での配置動作との一連の動作は、例えば14aおよび14bなどの、1対の並列のオフセットステーションにおいて1対のウェハを素早く交換する(1対の並列のオフセットステーション内での迅速交換動作)ために使用してもよい。上記の例では、左上側エンドエフェクタ302および右上側エンドエフェクタ306が、1対の並列のオフセットステーションまで延出し、1対のウェハを持ち上げて、ステーションから後退してもよい。次いで、別の1対のウェハを搬送し得る左下側エンドエフェクタ304および右下側エンドエフェクタ308が、同じ対のステーションまで延出し、それぞれ異なる対のウェハを配置して、ステーションから後退してもよい。
【0100】
ロボットのエンドエフェクタの各々、すなわち、左上側エンドエフェクタ302、左下側エンドエフェクタ304、右上側エンドエフェクタ306および右下側エンドエフェクタ308はまた、径方向に向きが定められたステーションにアクセスしてもよい(図1A)。
【0101】
図8Dの例に概略的に描かれているように、左上側エンドエフェクタ302が径方向直線経路などの事前定義された経路に沿って径方向ステーション12まで延出するように、シャフトT1およびT2は、左上側エンドエフェクタ302に対する逆運動学数式に従って協調的な方法で回転してもよい。図に示すように、左下側エンドエフェクタ304は、左上側エンドエフェクタ302がステーション12まで延出するときに邪魔にならないように回転してもよい。左上側エンドエフェクタ302は、同様の方法でT1およびT2シャフトを逆回転させることによって後退させてもよい。
【0102】
図8Fの例に概略的に描かれているように、左下側エンドエフェクタ304が径方向直線経路などの事前定義された経路に沿って同じ径方向ステーション12まで延出するように、シャフトT1およびT2は、左下側エンドエフェクタ304に対する逆運動学数式に従って協調的な方法で回転してもよい。図に示すように、左上側エンドエフェクタ302は、左下側エンドエフェクタ304がステーション12まで延出するときに邪魔にならないように旋回してもよい。左下側エンドエフェクタ304は、同様の方法でT1およびT2シャフトを逆回転させることによって後退させてもよい。
【0103】
径方向ステーション12からウェハを持ち上げる/径方向ステーション12にウェハを配置するために、上記の動作を利用してもよい。ここでも、1つのエンドエフェクタでの持ち上げ動作と、それに続く他のエンドエフェクタでの配置動作との一連の動作は、径方向ステーションにおいてウェハを素早く交換する(迅速交換動作)ために使用してもよい。
【0104】
図8Eの例に概略的に描かれているように、右上側エンドエフェクタ306が径方向直線経路などの事前定義された経路に沿って径方向ステーション12まで延出するように、シャフトT3およびT4は、右上側エンドエフェクタ306に対する逆運動学数式に従って協調的な方法で回転してもよい。図に示すように、右下側エンドエフェクタ308は、右上側エンドエフェクタ306がステーション12まで延出するときに邪魔にならないように回転してもよい。右上側エンドエフェクタ306は、同様の方法でT3およびT4シャフトを逆回転させることによって後退させてもよい。
【0105】
図8Gの例に概略的に描かれているように、右下側エンドエフェクタ308が径方向直線経路などの事前定義された経路に沿って同じ径方向ステーションまで延出するように、シャフトT3およびT4は、右下側エンドエフェクタ308に対する逆運動学数式に従って協調的な方法で回転してもよい。図に示すように、右上側エンドエフェクタ306は、右下側エンドエフェクタ308がステーション12まで延出するときに邪魔にならないように旋回してもよい。右下側エンドエフェクタ308は、同様の方法でT3およびT4シャフトを逆回転させることによって後退させてもよい。
【0106】
径方向ステーション12からウェハを持ち上げる/径方向ステーション12にウェハを配置するために、上記の動作を利用してもよい。1つのエンドエフェクタでの持ち上げ動作と、それに続く他のエンドエフェクタでの配置動作との一連の動作は、オフセットステーションにおいてウェハを素早く交換する(迅速交換動作)ために使用してもよい。
【0107】
左上側エンドエフェクタ302および右上側エンドエフェクタ306はまた、図8Dおよび図8Eに関して上で説明した延出(後退)動作を同時に行うことによって1対の垂直方向に積層された径方向ステーション12まで(から)同時に延出(後退)させてもよい。これは図8Bに図示されている。
【0108】
左上側エンドエフェクタ302および右上側エンドエフェクタ306の配置位置は、個別に調節されてもよい。例として、この機能は、ロボットエンドエフェクタ上の2つのウェハのいかなる位置ずれも補正して、それぞれの径方向ステーション内の所望の場所に2つのウェハを正確に受け渡すために便宜的に利用してもよい。
【0109】
左下側エンドエフェクタ304および右下側エンドエフェクタ308はまた、図8Fおよび図8Gに関して上で説明した延出(後退)動作を同時に行うことによって1対の垂直方向に積層された径方向ステーションまで(から)同時に延出(後退)させてもよい。これは図8Cに図示されている。
【0110】
ここでも、左下側エンドエフェクタ304および右下側エンドエフェクタ308の配置位置は、個別に調節されてもよい。先に解説したように、この機能は、例えば、ロボットエンドエフェクタ上の2つのウェハのいかなる位置ずれも補正して、それぞれの径方向ステーション内の所望の場所に2つのウェハを正確に受け渡すために使用してもよい。
【0111】
1対のエンドエフェクタ、例えばエンドエフェクタ302および306での持ち上げ動作と、それに続く他の1対のエンドエフェクタ、この特定の例ではエンドエフェクタ304および308での配置動作との一連の動作は、1対の垂直方向に積層された径方向ステーションにおいて1対のウェハを素早く交換する(1対の積層された径方向ステーション内での迅速交換動作)ために使用してもよい。
【0112】
ロボットの動作の上記の例に示したように、左(右)下側エンドエフェクタは、左(右)上側エンドエフェクタがステーションまで延出するときに邪魔にならないように回転してもよく、同様に、左(右)上側エンドエフェクタは、左(右)下側エンドエフェクタがステーションまで延出するときに邪魔にならないように回転してもよい。回転の範囲は、望ましくは、ロボットアームの肩プーリと肘プーリとの間に可変伝達比を有するバンド機構を利用することによって減少させてもよい。上述のように、ベルト機構のいずれかは、例えば、円形および/または非円形プーリの使用によって実現される、一定または可変の伝達比を特徴としてもよい。図10A図10Bは、バンド/ベルト408によって接続された円形プーリ400および非円形プーリ402、404、406のいくつかの例を示している。これらは、単なる例に過ぎず、限定的なものとみなされるべきではない。他の好適なサイズおよび形状の非円形プーリを提供することができる。例として、この目的のために、米国特許第9,149,936号明細書で説明されているような、1つまたは2つの非円形プーリを用いてもよく、この明細書は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0113】
先に説明したように、可変伝達比は、左(右)上腕と、左(右)側エンドエフェクタを駆動する肩プーリとの相対位置の関数として、左(右)側エンドエフェクタの向きを制御するように選択されてもよい。例えば、可変伝達比は、左下側エンドエフェクタ304が邪魔にならないように素早く回転し、次いで、左上側エンドエフェクタ302がステーションに向かって延出するにつれて減速するように選択されてもよい。これは図12A図12Bの例に示されている。図12Aおよび図12Bは、図11Cに示す位置と同様の、ロボットアーム108およびエンドエフェクタの運動時の一連のスナップショットを示している。この説明は、図2A図2Dに示すロボットを参照してなされるが、本明細書で説明する少なくともいくつかの他のロボットの少なくとも一部にも等しく当てはまる。図12Aに示す例では、第1のエンドエフェクタAは、後退位置から延出位置に移動し、移動セグメントはオフセットステーションの1つ内への直線である。この例では、前腕と上腕との関節は、単にロボット駆動部の中心軸を中心とする円形経路をたどるに過ぎず、第2のエンドエフェクタのペイロード中心(および第2のエンドエフェクタ上の基板)は、湾曲経路を有するが、第1のエンドエフェクタを延出させる間に後退したままである。図12Bは、異なる伝達比を別にすれば、図12Aと同様の移動を示している。図12Aでは、-1の一定の伝達比nが利用され、その結果、エンドエフェクタBの180度の回転がもたらされる。図12Bでは、伝達比が-1から-0.25まで徐々に変化し、エンドエフェクタBの回転が約145度に低減される。
【0114】
別の例示的な実施形態では、ロボットアームの上腕は、2軸スピンドルを備えたロボット駆動ユニットによって駆動されてもよく、ロボットアームの前腕は、上腕に取り付けられたアクチュエータによって駆動されてもよい。図13A図13Bには、そのような機構の例が概略的に描かれている。図13A図13Bの例では、ロボットアームの左上腕1318は、ロボット駆動ユニットのシャフトT1Lに接続されてもよく、左前腕320、322は、左上腕に取り付けられ得るアクチュエータ、例えばモータ1302によって駆動されるシャフトT2Lに結合されてもよい。同様に、ロボットアームの右上腕1324は、ロボット駆動ユニットのシャフトT1Rに接続されてもよく、右前腕326、328は、右上腕に取り付けられ得るアクチュエータ、例えばモータ1304によって駆動されるシャフトT2Rに結合されてもよい。
【0115】
別の例示的な実施形態では、ロボットアームの上腕および前腕は、6本の独立駆動シャフトを特徴とする6軸スピンドルを備えたロボット駆動ユニットによって個別に作動させてもよい。この例が図14A図14Bに示されている。個別に作動させることによって、例えば、1回の動作で同じステーションから2つのウェハを持ち上げる/同じステーションに2つのウェハを配置するために、ロボットが、同じ上腕によって搬送されるエンドエフェクタを同時に延出させることが可能となり得る。6本の独立駆動シャフトを特徴とする6軸スピンドルを備えるロボット駆動部1410が提供される。ロボットアーム1408は、図6C図6Dに示すものと同様の、上腕318、324と、前腕320、322、326、328と、ベルト機構342、350、358、366と、エンドエフェクタA~Dとを有する。
【0116】
代替的に、ロボットアームの上腕は、2軸スピンドルを備えたロボット駆動ユニットによって駆動されてもよく、前腕は、1対のアクチュエータがロボットアームの2つの上腕の各々に取り付けられる、2対のアクチュエータによって駆動されてもよい。具体的には、1対のアクチュエータは左上腕に取り付けられて左前腕を駆動してもよく、他方の1対のアクチュエータは右上腕に取り付けられて右前腕を駆動してもよい。アクチュエータは、図15A図15Bに概略的に描かれているように、前腕に直接接続されてもよく、または図16A図16Bに概略的に図示するように、バンド、ベルトもしくはケーブル機構を介して前腕に結合されてもよい。真空環境用途のために、アクチュエータ(およびセンサ、制御装置ならびにそれらに関連付けられた他の構成要素)は、全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2016/0064263号明細書で説明されている手法を利用して封止され、動力供給され、冷却され、かつ通信されてもよい。図15A図15Bは、2つのモータ1502、1503を備えた第1のセクションと、2つの上腕318、324に接続された2つの同軸駆動シャフトT1、T2とを有するロボット駆動部、第1の上腕318上の第1の前腕320および第2の前腕322を回転させるためのモータ1506、1508を備えた第1の上腕318に回転可能に接続された第1の前腕320および第2の前腕322、ならびに第2の上腕324上の第3の前腕326および第4の前腕328を回転させるためのモータ1510、1512を備えた第2の上腕324に回転可能に接続された第3の前腕326および第4の前腕328の例を示している。図16A図16Bは、2つのモータ1502、1503を備えた第1のセクションと、2つの上腕318、324に接続された2つの同軸駆動シャフトT1、T2とを有するロボット駆動部、バンド駆動機構1602、1604に接続されて第1の上腕318上の第1の前腕320および第2の前腕322を回転させるためのモータ1506、1508を備えた第1の上腕318に回転可能に接続された第1の前腕320および第2の前腕322、ならびにバンド駆動機構1606、1608に接続されて第2の上腕324上の第3の前腕326および第4の前腕328を回転させるためのモータ1510、1512を備えた第2の上腕324に回転可能に接続された第3の前腕326および第4の前腕328の例を示している。
【0117】
例示的な実施形態の図は同じ関節間長さを有するロボットの上腕を示しているが、上腕318a、324aは、図17A図17Bの例に概略的に描かれているように、異なる関節間長さ318b、324bを有してもよい。上腕の関節間長さは、例えば、左手側から右手側にまたは右手側から左手側に、一方の上腕が他方の上腕と交差できるように選択されてもよい。これによって、図18A図18Tに概略的に描かれているように、ロボットが左側および右側ステーションからウェハを持ち上げる/左側および右側ステーションにウェハを配置することが可能となり得る。図18A図18Tは、半導体ウェハ処理システムにおけるステーションにアクセスするロボットの種々の例を示している。所望により、2対のエンドエフェクタは異なる垂直方向間隔を有してもよい。この間隔により、ロボットが、同じ平面内に(同じ垂直高さで)2つのエンドエフェクタを同時に延出させ、他の2つのエンドエフェクタが邪魔にならないように回転して異なる平面内で(異なる垂直高さで)互いに衝突を避け得る。
【0118】
代替的に、上腕は同じ関節間長さを特徴としてもよく、1つの上腕によって搬送されるエンドエフェクタ(複数可)は、他の上腕とそれに関連付けられたエンドエフェクタ(複数可)が通過し得るように構成された構造支持体上で上昇させてもよい。図19A図19Bには、そのような実施形態の例が図示されており、図19Aは、2つのエンドエフェクタと通過支持体1902とを備えたロボットを示しており、図19Bは、4つのエンドエフェクタと通過支持体1904、1906とを備えたロボットを描いている。
【0119】
ロボット駆動ユニットは、異なる高さでステーションにアクセスし、ロボットアームのエンドエフェクタ間の垂直距離を補正して、材料持ち上げ/配置動作を容易にするために使用され得る、ロボットアームの垂直高さを制御するための1つまたは複数の垂直昇降メカニズムを含んでもよい。例として、図4Cおよび図6Cに示す例を考慮すると、ロボット駆動ユニット206、310は、T1、T2、T3およびT4シャフトの高さを制御するための単一の垂直昇降メカニズムを含んでもよい。別の例として、ロボット駆動ユニットは、T1およびT2シャフトの高さを制御し、これによって、ロボットアームの左側リンケージの高さを個別に制御するための1つの垂直メカニズムと、T1およびT2シャフトの高さとは別々にT3およびT4シャフトの高さを少なくとも部分的に制御し、これによって、ロボットアームの右側リンケージの高さを個別に制御するための別の垂直メカニズムとを含んでもよい。そのような機構の例が図17Bに概略的に示されている。
【0120】
垂直メカニズムは、図17Bの例に示すように、各々がボールねじを駆動する2つのモータを使用して実装されてもよい。代替的に、単一の固定ボールねじがロボット駆動ユニットのフレームに取り付けられてもよく、ならびに一方がT1およびT2シャフトスピンドルに取り付けられ、かつ他方がT3およびT4シャフトスピンドルに取り付けられる2つのモータが、固定ボールねじ上に乗っているボールねじナットを駆動してもよい。さらに別の代替案として、2本のスピンドルの一方をロボット駆動ユニットのフレームに対して駆動してもよく、かつ他方のスピンドルを第1のスピンドルに対して駆動してもよい。例えば、T1およびT2シャフトスピンドルをT3およびT4シャフトスピンドルに対して駆動してもよく、かつT3およびT4シャフトスピンドルをロボットフレームに対して駆動してもよい。モータ駆動のボールねじを利用して上記の例が説明されているが、送りねじ、リニアモータ、リンケージメカニズム、鋏状メカニズム、油圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、およびそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない他の任意の好適な作動メカニズムを使用してもよい。
【0121】
例示的な実施形態の図示の大部分は、左上腕が右上腕よりも上にあり、左上側エンドエフェクタおよび左下側エンドエフェクタが左上腕よりも上にあり、右上側エンドエフェクタおよび右下側エンドエフェクタが右上腕よりも上にあり、左上側エンドエフェクタが右上側エンドエフェクタよりも上にあり、かつ左下側エンドエフェクタが右下側エンドエフェクタよりも上にある、ロボットを示しているが、上腕およびエンドエフェクタは種々の構成で配置され得る。
【0122】
例えば、ロボットは、以下の例示的な構成およびそれら構成の組み合わせを特徴としてもよい。
・左上腕は、右上腕よりも下に位置してもよい。
・左上側エンドエフェクタは、左上腕よりも上に位置してもよく、左下側エンドエフェクタは、左上腕よりも下に位置してもよい。
・左上側エンドエフェクタおよび左下側エンドエフェクタは、左上腕よりも下に位置してもよい。
・右上側エンドエフェクタは、右上腕よりも上に位置してもよく、右下側エンドエフェクタは、右上腕よりも下に位置してもよい。
・右上側エンドエフェクタおよび右下側エンドエフェクタは、左上腕よりも下に位置してもよい。
・左上側エンドエフェクタは、右上側エンドエフェクタと実質的に同じ平面内に位置してもよい。
・左上側エンドエフェクタは、右上側エンドエフェクタよりも下に位置してもよい。
・左下側エンドエフェクタは、右下側エンドエフェクタと実質的に同じ平面内に位置してもよい。
・左下側エンドエフェクタは、右下側エンドエフェクタよりも下に位置してもよい。
・代替的に、上腕およびエンドエフェクタの任意の好適な構成を使用してもよい。
【0123】
例示的な実施形態は、複数のモータと、これらモータに接続された複数の同軸駆動シャフトとを備えるロボット駆動部と、ロボット駆動部に接続されたロボットアームと、を備える装置において提供されてもよい。ロボットアームは、2つの上腕と、上腕の第1の上腕に接続された第1の組の前腕と、上腕の第2の上腕に接続された第2の組の前腕と、前腕のそれぞれの前腕に接続された複数のエンドエフェクタとを備え、第1の上腕および第2の上腕は、同軸駆動シャフトのそれぞれの第1の同軸駆動シャフトおよび第2の同軸駆動シャフトに接続され、第1の組の前腕は、第1の上腕上に装着されるとともに、それぞれの第1の駆動ベルト組立体および第2の駆動ベルト組立体によって同軸駆動シャフトの第3の同軸駆動シャフトに接続され、第2の組の前腕は、第2の上腕に装着されるとともに、それぞれの第3の駆動ベルト組立体および第4の駆動ベルト組立体によって同軸駆動シャフトの第4の同軸駆動シャフトに接続される。
【0124】
第1の組の前腕は、共通軸または回転軸で第1の上腕に接続されてもよい。第1の駆動ベルト組立体および第2の駆動ベルト組立体は各々、少なくとも1組のプーリと、プーリ間の駆動ベルトとを備えてもよく、プーリの少なくとも1つは非円形プーリである。少なくとも1つの非円形プーリを含む第1の駆動ベルト組立体および第2の駆動ベルト組立体は、第1の上腕を第1の方向に回転させたときに第1の組の前腕同士の相対回転なしに第1の組の前腕を移動させるように構成されてもよく、かつ少なくとも1つの非円形プーリを含む第1の駆動ベルト組立体および第2の駆動ベルト組立体は、第1の上腕を第1の方向と反対の第2の方向に回転させたときに第1の組の前腕同士の相対回転を伴って第1の組の前腕を移動させるように構成される。装置は、ロボット駆動部に接続された制御装置をさらに備えてもよく、制御装置は、少なくとも1つのプロセッサと、モータを制御するためのコンピュータコードを含む少なくとも1つのメモリとを備える。装置は、ロボット駆動部が接続された基板搬送室であって、ロボットアームがその内部に位置する基板搬送室と、基板搬送室に接続された複数の基板ステーションと、をさらに備え、複数の基板ステーションは、ロボット駆動部と基板搬送室との接続軸から径方向に関してオフセットされたステーションと、ロボット駆動部と基板搬送室との接続軸から径方向に関してオフセットされていない少なくとも1つのステーションとを備え、ロボット駆動部およびロボットアームは、エンドエフェクタを移動させてステーションに対して基板を挿入および除去するように構成されてもよい。ロボット駆動部およびロボットアームは、第1の組の前腕上のエンドエフェクタの第1のエンドエフェクタと、第2の組の前腕上のエンドエフェクタの第2のエンドエフェクタとを、ロボット駆動部と基板搬送室との接続軸から径方向に関してオフセットされていない少なくとも1つのステーション内に同時に移動させるように構成されてもよい。装置は、オフセットされた基板ステーションの2つを基板搬送室の同じ側に備えてもよく、ロボット駆動部およびロボットアームは、第1の組の前腕上のエンドエフェクタの第1のエンドエフェクタと、第2の組の前腕上のエンドエフェクタの第2のエンドエフェクタとを、それぞれ2つのオフセットステーション内に同時に移動させるように構成される。装置は、オフセットされた基板ステーションの2つを基板搬送室の同じ側に備えてもよく、ロボット駆動部およびロボットアームは、第2の上腕および第2の組の前腕が移動しない間に第1のエンドエフェクタを2つのオフセットされた基板ステーションの第1のオフセットされた基板ステーション内に移動させるように構成され、ロボット駆動部およびロボットアームは、第1の上腕および第1の組の前腕が移動しない間に第2のエンドエフェクタを2つのオフセットされた基板ステーションの第2のオフセットされた基板ステーション内に移動させるように構成される。
【0125】
例示的な方法は、ロボット駆動部の第1の同軸駆動シャフトに第1の上腕を接続することと、ロボット駆動部の第2の同軸駆動シャフトに第2の上腕を接続することと、第1の上腕に第1の組の前腕を接続することであって、第1の駆動ベルト機構が、ロボット駆動部の第3の同軸駆動シャフトに第1の組の前腕のうちの前腕の第1の前腕を接続し、かつ第2の駆動ベルト機構が、ロボット駆動部の第3の同軸駆動シャフトに第1の組の前腕のうちの前腕の第2の前腕を接続する、接続することと、第2の上腕に第2の組の前腕を接続することであって、第3の駆動ベルト機構が、ロボット駆動部の第4の同軸駆動シャフトに第2の組の前腕のうちの前腕の第1の前腕を接続し、かつ第4の駆動ベルト機構が、ロボット駆動部の第4の同軸駆動シャフトに第2の組の前腕のうちの前腕の第2の前腕を接続する、接続することと、前腕にそれぞれのエンドエフェクタを接続することと、を含んでもよい。
【0126】
第1の組の前腕は、共通軸または回転軸で第1の上腕に接続されてもよい。第1の駆動ベルト機構は、第3の同軸駆動シャフトの回転に対して可変速度で第1の駆動ベルト機構の駆動ベルトを移動させるための少なくとも1つの非円形プーリを備えてもよい。第1の駆動ベルト組立体および第2の駆動ベルト組立体の少なくとも1つの非円形プーリを含む、第1の駆動ベルト組立体および第2の駆動ベルト組立体は、第1の上腕を第1の方向に回転させたときに第1の組の前腕同士の相対回転なしに第1の組の前腕を移動させることができ、かつ第1の上腕を第1の方向と反対の第2の方向に回転させたときに第1の組の前腕同士の相対回転を伴って第1の組の前腕を移動させることができるように接続されてもよい。方法は、ロボット駆動部に制御装置を結合することをさらに含み、制御装置は、少なくとも1つのプロセッサと、ロボット駆動部のモータを制御するためのコンピュータコードを含む少なくとも1つのメモリとを備える。方法は、基板搬送室にロボット駆動部を接続することであって、ロボットアームが基板搬送室内に位置する、接続することと、基板搬送室に複数の基板ステーションを接続することと、をさらに含み、複数の基板ステーションは、ロボット駆動部と基板搬送室との接続軸から径方向に関してオフセットされたステーションと、ロボット駆動部と基板搬送室との接続軸から径方向に関してオフセットされていない少なくとも1つのステーションとを備え、ロボット駆動部およびロボットアームは、エンドエフェクタを移動させてステーションに対して基板を挿入および除去するように構成されてもよい。ロボット駆動部およびロボットアームは、第1の組の前腕上のエンドエフェクタの第1のエンドエフェクタと、第2の組の前腕上のエンドエフェクタの第2のエンドエフェクタとを、ロボット駆動部と基板搬送室との接続軸から径方向に関してオフセットされていない少なくとも1つのステーション内に同時に移動させることができるように組み立てられてもよい。装置は、オフセットされた基板ステーションの2つを基板搬送室の同じ側に備えてもよく、ロボット駆動部およびロボットアームは、第1の組の前腕上のエンドエフェクタの第1のエンドエフェクタと、第2の組の前腕上のエンドエフェクタの第2のエンドエフェクタとを、それぞれ2つのオフセットステーション内に同時に移動させることができるように組み立てられる。方法は、オフセットされた基板ステーションの2つを基板搬送室の同じ側に備える装置をさらに含んでもよく、ロボット駆動部およびロボットアームは、第2の上腕および第2の組の前腕が移動しない間に第1のエンドエフェクタを2つのオフセットされた基板ステーションの第1のオフセットされた基板ステーション内に移動させることができるように組み立てられ、かつロボット駆動部およびロボットアームは、第1の上腕および第1の組の前腕が移動しない間に第2のエンドエフェクタを2つのオフセットされた基板ステーションの第2のオフセットされた基板ステーション内に移動させるように構成される。
【0127】
例示的な方法は、第1の軸を中心にロボット駆動部の第1の同軸駆動シャフトを第1の方向に回転させて、第1の軸を中心にロボットアームの第1の上腕を回転させることと、第1の同軸駆動シャフトを回転させている間に、第1の軸を中心にロボット駆動部の第2の同軸駆動シャフトを回転させて、第1の駆動ベルト機構および第2の駆動ベルト機構を移動させ、それによって、第1の上腕上の第1の前腕および第2の前腕を回転させることと、第1の軸を中心にロボット駆動部の第3の同軸駆動シャフトを第2の方向に回転させて、第1の軸を中心にロボットアームの第2の上腕を回転させることと、第1の軸を中心にロボット駆動部の第4の同軸駆動シャフトを回転させて、第3の駆動ベルト機構および第4の駆動ベルト機構を移動させ、それによって、第2の上腕上の第3の前腕および第4の前腕を回転させることと、を含んでもよい。第1の軸を中心とするロボット駆動部の第4の同軸駆動シャフトの回転は、第1の同軸駆動シャフトおよび第2の同軸駆動シャフトを回転させている間に生じ得る。
【0128】
例示的な方法は、第1の軸を中心にロボット駆動部の第1の同軸駆動シャフトを第1の方向に回転させて、第1の軸を中心にロボットアームの少なくとも1つの上腕を回転させることと、第1の同軸駆動シャフトを回転させている間に、第1の軸を中心にロボット駆動部の第2の同軸駆動シャフトを回転させて、少なくとも第1の駆動ベルト機構を移動させ、少なくとも1つの上腕上の第1の前腕を回転させるとともに、第1の前腕上の第1のエンドエフェクタを後退位置から延出位置に向けて延出させることと、第1の軸を中心にロボット駆動部の第3の同軸駆動シャフトを第2の方向に回転させて、少なくとも第2の駆動ベルト機構を移動させ、少なくとも1つの上腕上の第2の前腕を回転させるとともに、第1のエンドエフェクタを後退位置から延出位置に向けて移動させる間に第2の前腕上の第2のエンドエフェクタを後退位置に保持することと、を含んでもよい。
【0129】
例示的な装置は、複数のモータと、これらモータに接続された複数の同軸駆動シャフトとを備えるロボット駆動部と、ロボット駆動部に接続されたロボットアームと、を備えてもよい。ロボットアームは、第1の上腕と、第1の上腕に接続された第1の前腕と、第1の上腕に接続された第2の前腕と、前腕のそれぞれに接続された複数のエンドエフェクタとを備え、第1の上腕は、同軸駆動シャフトの第1の同軸駆動シャフトに接続され、第1の前腕は、第1の上腕上に装着されるとともに、第1の駆動ベルト組立体によって同軸駆動シャフトの第2の同軸駆動シャフトに接続され、第2の前腕は、第1の上腕に装着されるとともに、第2の駆動ベルト組立体によって第2の同軸駆動シャフトに接続され、第1の駆動ベルト組立体は、第1の前腕に接続された直線状ベルト駆動部を備え、第2の駆動ベルト組立体は、第2の前腕に接続された交差状ベルト駆動部を備える。
【0130】
例示的な方法は、ロボットアームの正規化経路変数で1次元関節空間軌道プロファイルを計算して、ロボットアーム上のエンドエフェクタ(またはエンドエフェクタ上の基板)の始点からエンドエフェクタ(またはエンドエフェクタ上の基板)の終点までの挟角として表現された所望の経路に関節空間軌道プロファイルを適用することと、挟角における関節空間軌道プロファイルに基づいて動径座標で対応する軌道を計算することと、ペイロード中心の経路が始点と終点との間のデカルト空間内の直線をたどるように、計算された動径座標に基づいて、ペイロード中心の対応する角度座標を計算することと、逆運動学の修正定式化を使用して、所望の挟角ならびにその対応する角速度および加速度で補完された円筒座標で表現された所望のペイロード中心を所望の関節位置、速度、および加速度に変換して、ロボットアームの運動設定点を形成し、次いで、設定点に基づいてロボットアームを移動させるようにロボット駆動部のモータを制御することと、を含んでもよい。
【0131】
方法は、終点間の直線経路が特異点と交差しないことを確認してもよい。交差が予測される場合には、方法は、動きを中断するかまたは実行しなくてもよい。方法は、終点間の直線経路が、特異点からある程度の閾値距離以内を通過するかどうかを確認してもよい。動きが特異点の付近に近づかない場合に、方法は、標準的なデカルト軌道生成スキームを用いてもよい。計画された経路が特異点に近接する場合に、方法は、上述のように関節座標として動きの開始位置および終了位置を、具体的にはどのエンドエフェクタが命令されているかに応じて挟角θ(t)-θ(t)を計算してもよい。
【0132】
関節空間軌道は、デカルト座標で表現された運動制約(すなわち、ペイロードの最大直線速度および加速度)のいずれかに違反しているかどうかを判定するために、選択された点グリッド内で評価されてもよい。この試験は、順(前進)運動学式のみを用い得るので、特異点の近接度に関係なく機能する。デカルト運動制約が違反された場合に、方法は、全ての制約を満たすのに十分に運動を減速させるために時間スケール係数を計算してもよい。
【0133】
例示的な実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つの非一時的なメモリとを備える装置であって、少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードは、少なくとも1つのプロセッサを用いて、装置に、ロボットアームの正規化経路変数で1次元関節空間軌道プロファイルを計算して、ロボットアーム上のエンドエフェクタ(またはエンドエフェクタ上の基板)の始点からエンドエフェクタ(またはエンドエフェクタ上の基板)の終点までの挟角として表現された所望の経路に関節空間軌道プロファイルを適用することと、挟角における関節空間軌道プロファイルに基づいて動径座標で対応する軌道を計算することと、ペイロード中心の経路が始点と終点との間のデカルト空間内の直線をたどるように、計算された動径座標に基づいて、ペイロード中心の対応する角度座標を計算することと、逆運動学の修正定式化を使用して、所望の挟角ならびにその対応する角速度および加速度で補完された円筒座標で表現された所望のペイロード中心を所望の関節位置、速度、および加速度に変換して、ロボットアームの運動設定点を形成することと、を行わせるように構成される、装置が提供されてもよい。
【0134】
例示的な実施形態によれば、動作を実行するために機械によって実行可能な命令のプログラムを有形的に具体化する、機械によって読み取り可能な、例えば図1Aに示すメモリ19などの、非一時的なプログラム記憶デバイスであって、動作が、ロボットアームの正規化経路変数で1次元関節空間軌道プロファイルを計算して、ロボットアーム上のエンドエフェクタ(またはエンドエフェクタ上の基板)の始点からエンドエフェクタ(またはエンドエフェクタ上の基板)の終点までの挟角として表現された所望の経路に関節空間軌道プロファイルを適用することと、挟角における関節空間軌道プロファイルに基づいて動径座標で対応する軌道を計算することと、ペイロード中心の経路が始点と終点との間のデカルト空間内の直線をたどるように、計算された動径座標に基づいて、ペイロード中心の対応する角度座標を計算することと、逆運動学の修正定式化を使用して、所望の挟角ならびにその対応する角速度および加速度で補完された円筒座標で表現された所望のペイロード中心を所望の関節位置、速度、および加速度に変換して、ロボットアームの運動設定点を形成することと、を含む、非一時的なプログラム記憶デバイスが提供されてもよい。
【0135】
1つまたは複数のコンピュータ可読媒体(複数可)の任意の組み合わせをメモリとして利用してもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体または非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、伝播信号を含まず、例えば、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、または半導体システム、装置、もしくはデバイス、または前述の任意の好適な組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例(非網羅的なリスト)としては、以下のもの、すなわち、1本または複数本のワイヤを有する電気接続、携帯用コンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)、読み取り専用メモリ(Read-Only Memory:ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(Erasable Programmable Read-Only Memory(EPROM)またはフラッシュメモリ)、光ファイバ、携帯用コンパクトディスク読み取り専用メモリ(Compact Disc Read-Only Memory:CD-ROM)、光記憶デバイス、磁気記憶デバイス、または前述の任意の好適な組み合わせが挙げられる。
【0136】
別の例示的な方法は、第1の軸を中心にロボット駆動部の第1の同軸駆動シャフトを第1の方向に回転させて、第1の軸を中心にロボットアームの少なくとも1つの上腕を回転させることと、第1の同軸駆動シャフトを回転させている間に、第1の軸を中心にロボット駆動部の第2の同軸駆動シャフトを回転させて、少なくとも第1の駆動ベルト機構を移動させ、少なくとも1つの上腕上の第1の前腕を回転させるとともに、第1の前腕上の第1のエンドエフェクタを後退位置から延出位置に向けて延出させることと、第1の軸を中心にロボット駆動部の第3の同軸駆動シャフトを第2の方向に回転させて、少なくとも第2の駆動ベルト機構を移動させ、少なくとも1つの上腕上の第2の前腕を回転させるとともに、第1のエンドエフェクタを後退位置から延出位置に向けて移動させる間に第2の前腕上の第2のエンドエフェクタを後退位置に保持することと、を含んでもよい。
【0137】
例示的な方法は、基準点がロボットアーム上のエンドエフェクタ上にある、基準点の開始位置から基準点の終了位置までの基準点の所望の経路に基づいて、開始位置に対応するとともに終了位置に対応する挟角を決定することであって、ロボットアームは、ロボットアームを移動させるためのモータを有するロボット駆動部に接続される、決定することと、少なくとも部分的に挟角に基づいてエンドエフェクタ上の基準点の動径座標の軌道を計算することと、エンドエフェクタ上の基準点が開始位置と終了位置との間の所望の経路をたどるように、計算された動径座標に基づいて、エンドエフェクタ上の基準点の対応する角度座標を計算することと、逆運動学の修正定式化を使用して、軌道の挟角ならびにエンドエフェクタの対応する角速度および加速度で補完された、エンドエフェクタ上の基準点の動径座標および角度座標を所望の関節位置、速度、および加速度に変換して、ロボットアームの運動設定値を形成することと、運動設定点に基づいてロボットアームを移動させるようにロボット駆動部のモータを制御することと、を含んでもよい。
【0138】
方法は、開始位置と終了位置との間の所望の経路がロボットアームの運動学的特異点と交差することを決定することと、ロボットアームの動きを実行しないことと、をさらに含んでもよい。方法は、開始位置と終了位置との間の所望の経路がロボットアームの運動学的特異点から所定の閾値距離以内を通過するかどうかを判定すること、すなわち、動きが運動学的特異点から所定の閾値距離以内を通過しない場合にデカルト軌道生成スキームを使用してロボットアームを移動させることと、動きが運動学的特異点から所定の閾値距離以内を通過する場合にデカルト軌道生成スキームを使用せずにロボットアームを移動させることと、をさらに含んでもよい。方法は、デカルト座標で表現された少なくとも1つの運動制約に軌道が違反しているかどうかを判定するために、選択された点グリッド内の軌道を評価することをさらに含んでもよい。少なくとも1つの運動制約は、エンドエフェクタの最大直線速度および最大加速度を含んでもよい。少なくとも1つの運動制約が違反されていると判定された場合に、方法は、モータの少なくとも1つを動かすための時間スケール係数を計算して少なくとも1つの運動制約を満たすようにロボットアームの動きを減速させることをさらに含んでもよい。エンドエフェクタ上の基準点は、エンドエフェクタ上の基板ペイロードのペイロード中心を含んでもよい。方法は、エンドエフェクタの正規化経路変数で1次元軌道プロファイルを計算することと、エンドエフェクタ上の基準点の開始位置から基準点の終了位置までの挟角として表現された所望の経路に1次元軌道プロファイルを適用することと、をさらに含んでもよい。上で説明した方法を含む動作を行うために機械によって実行可能な命令のプログラムを有形的に具体化する、機械によって読み取り可能な非一時的なプログラム記憶デバイス。
【0139】
例示的な方法は、ロボットアームのエンドエフェクタ上の基準点の開始位置と終了位置との間の基準点の経路を制御装置によって決定することであって、ロボットアームは、ロボットアームを移動させるためのモータを有するロボット駆動部に接続され、かつ制御装置は、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータコードを有する少なくとも1つの非一時的メモリとを備える、決定することと、制御装置が、複数の異なる移動制御モードから移動制御モードを選択することであって、異なる移動制御モードは、開始位置と終了位置との間の経路がロボットアームの運動学的特異点と交差すると判定し、その経路を用いてロボットアームの動きを実行しないことと、開始位置と終了位置との間の経路がロボットアームの運動学的特異点から所定の閾値距離の外側を通過すると判定し、デカルト軌道生成スキームを使用してロボットアームを移動させることと、開始位置と終了位置との間の経路がロボットアームの運動学的特異点から所定の閾値距離以内を通過すると判定し、開始位置に対応するとともに終了位置に対応する挟角を決定し、関節座標として開始位置および終了位置を計算し、少なくとも部分的に挟角に基づいて動径座標で開始位置から終了位置までの軌道を計算し、基準点が開始位置と終了位置との間のデカルト空間内の経路をたどるように基準点の対応する角度座標を計算することと、を含む、選択することと、制御装置が、選択された制御モードに基づいてロボットアームのモータの動きを制御することと、を含んでもよい。
【0140】
方法は、逆運動学の修正定式化を使用して、挟角ならびに基準点の対応する角速度および加速度で補完された、基準点の動径座標および角度座標を関節座標、角速度、および加速度に変換して、ロボットアームの運動設定値を形成することと、運動設定点に基づいてロボットアームを移動させるようにロボット駆動部のモータを制御することと、をさらに含んでもよい。方法は、デカルト座標で表現された少なくとも1つの運動制約に軌道が違反しているかどうかを判定するために、選択された点グリッド内の軌道を評価することをさらに含んでもよい。少なくとも1つの運動制約は、基準点の最大直線速度および最大加速度を含んでもよい。少なくとも1つの運動制約が違反されていると判定された場合に、方法は、モータの少なくとも1つを動かすための時間スケール係数を計算して少なくとも1つの運動制約を満たすようにロボットアームの移動を減速させることをさらに含んでもよい。上で説明した方法を含む動作を行うために機械によって実行可能な命令のプログラムを有形的に具体化する、機械によって読み取り可能な非一時的なプログラム記憶デバイス。
【0141】
例示的な実施形態は、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つの非一時的メモリとを備える装置であって、少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードは、少なくとも1つのプロセッサを用いて、装置に、少なくとも1つのプロセッサおよびコンピュータプログラムコードによってロボットアームのエンドエフェクタ上の基準点の開始位置と基準点の終了位置との間の基準点の経路を軌道として決定することであって、ロボットアームは、ロボットアームを移動させるためのモータを有するロボット駆動部に接続される、決定することと、少なくとも1つのプロセッサおよびコンピュータプログラムコードによって複数の異なる移動制御モードから移動制御モードを選択することであって、複数の異なる移動制御モードは、開始位置と終了位置との間の経路がロボットアームの運動学的特異点と交差すると判定し、その経路を用いてロボットアームの動きを実行しないことと、開始位置と終了位置との間の経路がロボットアームの運動学的特異点から所定の閾値距離の外側を通過すると判定し、デカルト軌道生成スキームを使用してロボットアームを移動させることと、開始位置と終了位置との間の経路がロボットアームの運動学的特異点から所定の閾値距離以内を通過すると判定し、開始位置に対応するとともに終了位置に対応する挟角を決定し、関節座標として開始位置および終了位置を計算し、少なくとも部分的に挟角に基づいて動径座標で基準点の軌道を計算し、基準点が動きの開始位置と終了位置との間のデカルト空間内の経路をたどるようにエンドエフェクタ上の基準点の対応する角度座標を計算することと、を含む、選択することと、を行わせるように構成される、装置において提供されてもよい。
【0142】
少なくとも1つのプロセッサおよびコンピュータプログラムコードは、デカルト座標で表現された少なくとも1つの運動制約を軌道が違反しているかどうかを判定するために、選択された点グリッド内の軌道を評価するように構成されてもよい。少なくとも1つの運動制約は、基準点の最大直線速度および最大加速度を含んでもよい。少なくとも1つの運動制約が違反されていると判定された場合に、少なくとも1つのプロセッサおよびコンピュータプログラムコードは、モータの少なくとも1つを動かすための時間スケール係数を計算して少なくとも1つの運動制約を満たすようにロボットアームの移動を減速させるように構成されてもよい。
【0143】
上記の説明では、開始位置と終了位置との間の直線経路について述べた。しかしながら、これは単なる例に過ぎない。代替例では、経路は直線でなくてもよく、または部分的にのみ直線であってもよい。加えて、上記の説明では、ロボットアームのエンドエフェクタの正規化経路変数で1次元軌道プロファイルを計算することについて言及されている。しかしながら、これも単なる例に過ぎない。代替例では、開始位置に対応する挟角から終了位置に対応する挟角までの挟角として計算される1次元運動プロファイルは、正規化経路変数で1次元軌道プロファイルを計算することに限定されない、任意の好適な種類の方法を使用して計算され得る。
【0144】
1つの種類の例示的な方法では、方法は、以下のステップを含んでもよい。
1.ロボットエンドエフェクタ上の基準点の開始位置と、ロボットエンドエフェクタ上の基準点の終了位置とが与えられる。これは、ロボットが(後退位置から)開始する場所と、ロボットが(基板の配置/持ち上げ動作に関して)終了する場所とを定義する。
2.加えて、ロボットエンドエフェクタ上の基準点の運動の速度、加速度および加加速度を制限する制約と、挟角の速度、加速度、および加加速度を制限する制約がある。
3.経路で、例えば直線などによって、ロボットエンドエフェクタ上の基準点の開始位置とロボットエンドエフェクタ上の基準点の終了位置とを結ぶ。
4.ステップ3で計算された直線が運動学的特異点の円筒を通過する場合には、動きを実行せずに、ここで停止する。
5.ステップ3で計算された直線が、運動学的特異点の円筒の外側にあるとともに、事前定義された距離よりも運動学的特異点の円筒に近接しない場合には、デカルト空間内の基準点の軌道を計算して、以下のステップを無視する。
6.ステップ4および5で説明した条件が満たされていない場合には、以下のステップに進む。
7.逆運動学数式を使用して、開始位置に対応する挟角および終了位置に対応する挟角を決定する。
8.ステップ3で決定された、開始位置に対応する挟角から終了位置に対応する挟角までの挟角として1次元運動プロファイルを計算する。この計算では、ステップ2で導入された挟角の速度、加速度、および加加速度の制約が利用される。
9.ステップ8からの挟角として表現されたプロファイルを、動径座標としての運動プロファイルに変換する(これは、典型的には極座標系または円筒座標系で使用される、ロボットエンドエフェクタ上の基準点までの径方向距離である)。
10.ステップ3で計算された直線およびステップ9からの動径座標として表現されたプロファイルを利用して、角度座標として運動プロファイルを計算する(これは、典型的には極座標系または円筒座標系で使用される、ロボットエンドエフェクタ上の基準点に対する径方向線の角度である)。
11.動径座標および角度座標としての運動プロファイルを、デカルト座標として表現された運動プロファイルに変換する。これは単に、極(または円筒)座標系からデカルト座標系への位置、速度、および加速度の周知の変換の使用を含んでもよい。
12.ステップ11で計算された運動プロファイルが、ステップ2で導入された、ロボットエンドエフェクタ上の基準点の運動の速度、加速度、および加加速度を制限するいずれかの制約に違反しているかどうかを確認する。運動プロファイルが違反していない場合には、動きを実行して、ステップ13を無視する。
13.ステップ12の確認で違反が示された場合には、ロボットエンドエフェクタ上の基準点の運動の速度、加速度、および加加速度を制限する制約のいずれも違反されないように、デカルト座標として運動プロファイルをスケーリングする。スケーリングは、ロボット移動/動きの時間を延ばすことによって便宜的に行うことができる。
【0145】
前述の説明が単なる例示的なものに過ぎないことを理解すべきである。当業者であれば種々の代替案および修正を想到することができる。例えば、種々の従属請求項に記載された特徴は、任意の好適な組み合わせ(複数可)で互いに組み合わせることができる。加えて、上で説明した種々の実施形態からの特徴を選択的に組み合わせて新たな実施形態とすることもできる。よって、本説明は、添付の特許請求の範囲に含まれる全てのそのような代替案、修正および変形を包含するように意図されている。
図1A-B】
図1C-D】
図1E-F】
図2A-B】
図2C-D】
図3A-C】
図3D-E】
図3F-G】
図3H-I】
図3J-K】
図4A-B】
図4C
図4D
図5A-B】
図5C-E】
図5F-H】
図6A-B】
図6C
図6D
図7A-B】
図7C-D】
図7E-F】
図7G-H】
図8A-C】
図8D-E】
図8F-G】
図9A-B】
図10A-B】
図11A-C】
図11D
図11E
図11F
図12A-B】
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A-B】
図18C-D】
図18E-F】
図18G-H】
図18I-J】
図18K-L】
図18M-N】
図18O-P】
図18Q-R】
図18S-T】
図19A-B】