(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163102
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】ガスタービン発電機、ハイブリッド電気自動車(HEV)または電気自動車(EV)、及びガスタービン発電機を動作させる方法
(51)【国際特許分類】
F02C 7/06 20060101AFI20221018BHJP
F01D 15/10 20060101ALI20221018BHJP
F01D 25/16 20060101ALI20221018BHJP
F02C 3/05 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
F02C7/06 A
F01D15/10 A
F01D25/16 H
F01D25/16 Z
F01D25/16 E
F02C7/06 B
F02C7/06 E
F02C7/06 F
F02C3/05
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022121269
(22)【出願日】2022-07-29
(62)【分割の表示】P 2019535988の分割
【原出願日】2017-09-13
(31)【優先権主張番号】1615491.6
(32)【優先日】2016-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】519089451
【氏名又は名称】デルタ・コスワース・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】カーペンター,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ヘリング,スコット
(72)【発明者】
【氏名】ウィルクシュ,マーク
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ガスタービン発電機用のベアリング装置に関する。
【解決手段】ガスタービン発電機(10)が、発電機(10)の回転子(20)を有するシャフト(30)と、コンプレッサホイール(16)と、それに固定されたタービンホイール(18)とを含む半径流ガスタービン発電機(10)。シャフト(30)は、回転子(20)とコンプレッサホイール(16)との間にあるシャフト(30)上の軸方向位置に設けられた単一ベアリング装置によって回転するように支持されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半径流ガスタービン発電機において、前記発電機の回転子と、それに固定された前記ガスタービンのコンプレッサホイールおよびタービンホイールとを有するシャフトを含み、前記シャフトは単一ベアリング装置によって回転するように支持されており、前記単一ベアリング装置は、前記回転子と前記コンプレッサホイールとの間にある前記シャフト上の軸方向位置に設けられた、半径流ガスタービン発電機。
【請求項2】
前記単一ベアリング装置は、2つ以上の機械的接触ベアリングを含む、請求項1に記載のガスタービン発電機。
【請求項3】
前記機械的接触ベアリングは、転動体ベアリングである、請求項2に記載のガスタービン発電機。
【請求項4】
前記ベアリング装置の前記ベアリングは、前記ベアリング間の所定の関係を維持するモジュール内に設けられた、請求項2または3に記載のガスタービン発電機。
【請求項5】
前記ベアリングは、スリーブ内に取り付けられた、請求項4に記載のガスタービン発電機。
【請求項6】
前記ベアリングは、前記スリーブ内に互いに間隔を置いて取り付けられた、請求項5に記載のガスタービン発電機。
【請求項7】
弾性部材が前記スリーブ内の前記ベアリング間に配置された、請求項6記載のガスタービン発電機。
【請求項8】
前記弾性部材は、コイルばねである、請求項7に記載のガスタービン発電機。
【請求項9】
前記コイルばねは、前記ばねの第1端部が前記ベアリングに当接し、前記ばねの反対側の端部が前記スリーブに設けられたシートに当接するように前記スリーブ内に配置された、請求項8に記載のガスタービン発電機。
【請求項10】
前記ベアリング装置が空冷式である、請求項1記載のガスタービン発電機。
【請求項11】
前記ベアリング装置は、前記発電機を冷却する目的で前記発電機内に引き込まれた空気によって冷却される、請求項10に記載のガスタービン発電機。
【請求項12】
前記発電機の前記回転子は、前記発電機内に空気を引き込むための装置が設けられた、請求項11に記載のガスタービン発電機。
【請求項13】
前記ベアリング装置は、前記コンプレッサホイールによって前記ガスタービン内に引き込まれた空気によって冷却される、請求項10乃至12のいずれか1項に記載のガスタービン発電機。
【請求項14】
前記ベアリング装置は、自己潤滑式である、請求項1乃至13のいずれか1項に記載のガスタービン発電機。
【請求項15】
前記ベアリング装置は、オイルウィックシステムによって潤滑される、請求項1乃至13のいずれか1項に記載のガスタービン発電機。
【請求項16】
前記ベアリング装置は、適切に構成された再循環潤滑システムによって冷却されかつ潤滑される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のガスタービン発電機。
【請求項17】
前記ガスタービン発電機の前記動作速度は、前記第1共振速度よりも速い、請求項1乃至16のいずれか1項に記載のガスタービン発電機を動作させる方法。
【請求項18】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載のガスタービン発電機を含む、ハイブリッド電気自動車(HEV)または電気自動車(EV)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガスタービン発電機に関し、特にガスタービン発電機用のベアリング装置に関する。より具体的には、本発明は、限定はしないが、ハイブリッド電気自動車(HEV)または電気自動車(EV)用のレンジエクステンダ装置に使用するのに適したガスタービン発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは、発電を含む様々な用途で使用されている。電力を発生させるために、ガスタービンエンジンは直流発電機または交流発電機などの発電機に結合されている。ガスタービンおよび発電機は、ギアボックス等の変速装置を介して互いに間接的に結合されることができる。あるいは、ガスタービンと発電機とを直接結合して、ガスタービンと発電機とが同じ速度で回転するようにされることもできる。ガスタービンコンプレッサおよびタービン要素は、軸流型または半径流型であってもよい。半径流要素が使用される場合、単段コンプレッサおよび単段タービンのみを使用することが通常可能であり、得られる短いアセンブリは、これらの回転要素をより冷たいコンプレッサ側に隣接する支持ベアリングと共にオーバーハング配置で取り付けられることを可能にする。
【0003】
コンプレッサ、タービン、および発電機が直接結合されて同じ速度で回転する場合、結果として生じる回転アセンブリは、機械に固有の、重量、推力、および他の負荷に抵抗するためにベアリングシステムによって支持される。オーバーハング型直接駆動ガスタービン発電機に関する既知の技術では、2つのベアリングが使用され、これらのベアリングは発電機の何れかの側に配置されている。そのような配置では、コンプレッサおよびタービンはベアリングに対してオーバーハングしている一方で、発電機の回転要素は2つのベアリングの間で支持されている。そのような配置は、例えば、米国特許出願公開第2002/0084702号に記載されている。
【0004】
既知の技術の更なる特徴は、ベアリングに潤滑と冷却の両方を行うオイルの供給を維持する潤滑システムをベアリングに設けることができることである。ガスタービンの典型的な回転速度は高いため、ベアリングの正しい潤滑および冷却は適切なベアリングの寿命を達成するために重要である。
【0005】
ベアリングを潤滑する必要性を排除する代替解決策は、例えば、先行技術文献US2006/024178およびUS6198174に開示されている。米国特許出願公開第2006/024178号明細書は、発電機のいずれかの側のシャフト上に配置された2つのエアフォイルベアリングの使用を記載している。同様のエアフォイルベアリング装置が米国特許第6198174号に記載されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、半径流ガスタービン発電機が提供され、ガスタービン発電機は、発電機の回転子と、コンプレッサホイールと、それに固定されたガスタービンのタービンホイールとを有するシャフトを含んでおり、シャフトは単一ベアリング装置により回転するように支持されており、単一ベアリング装置は、発電機の回転子とコンプレッサホイールとの間にあるシャフト上の軸方向位置に設けられる。
【0007】
シャフト上の中間位置に単一ベアリング装置を設けることは、ベアリング装置の両側から延びるシャフト部分をもたらす。当業者には理解されるように、ベアリング装置の両側
から延びるシャフト部分はそれらのそれぞれの遠位端では支持されていない。したがって、単一ベアリング装置は、シャフトに対する唯一の回転支持を提供する。単一ベアリング装置の使用は、シャフト上の他の軸方向位置における追加のベアリングの必要性を排除することによってガスタービン発電機の複雑さを軽減する。これにより、シャフトは単一ベアリング装置によって単一の位置で支持される。
【0008】
単一ベアリング装置は、1つ以上のベアリングを含み得る。そのベアリングまたは各ベアリングは、機械的接触ベアリングとすることができる。
シャフト部分の一方は発電機の回転子を保持し、シャフト部分の他方はコンプレッサおよびタービンホイールを保持する。このように、回転子、コンプレッサ、およびタービンホイールは、ベアリング装置の両側にオーバーハングされている。
【0009】
ベアリング装置は、2つ以上の機械的接触ベアリングを含んでいてもよい。ベアリングは、ベアリング間の所定の空間的関係を維持するモジュールまたはサブアセンブリに設けられてもよい。そのようなモジュールは、単一ユニットとしてベアリングの取り付けおよび取り外しを容易にすることができる。ベアリングは、スペーサによってモジュールまたはサブアセンブリ内で分離されることができる。
【0010】
ベアリングは、スリーブとして構成されたモジュール内に取り付けられることができる。そのような実施形態では、ベアリングは、スリーブ内で互いに離間した関係で取り付けられてもよい。コイルばねの形態の弾性部材をスリーブ内のベアリング間に配置することができる。コイルばねは、ばねの第1端部がベアリングに当接し、ばねの反対側の端部がスリーブに設けられたシートに当接するようにスリーブ内に配置されてもよい。
【0011】
機械的接触ベアリングは、内輪、外輪、および内輪と外輪との間に配置された複数の転動体を含む転動体ベアリングであってもよい。
機械的接触ベアリング装置は空冷式であってもよい。ベアリング装置は、発電機を冷却する目的で発電機内に引き込まれた空気によって冷却されることができる。そのような実施形態では、発電機の回転子は、発電機内に空気を引き込むためのファンを備えることができる。追加的に又は代替的に、機械的接触ベアリング装置は、コンプレッサホイールによってガスタービンに引き込まれる空気によって冷却されることができる。
【0012】
機械的接触ベアリング装置の冷却が発電機とコンプレッサホイールの両方に引き込まれる空気によって達成される場合、機械的接触ベアリング装置上に2つの別々の空気流が提供されることが理解されよう。一方の空気流がベアリング装置の第1端部に衝突して冷却し、他方の空気流がベアリング装置の反対側の第2端部に衝突して冷却するように、各空気流はもう一方とは反対の軸方向に流れる。
【0013】
有利には、機械的接触ベアリング装置は自己潤滑構成とすることができ、したがって、別個のベアリング潤滑システムを設ける必要がなくなる。
代替的に、ベアリングは、適切に構成された潤滑システムによって冷却および潤滑されてもよい。
【0014】
本発明のさらなる態様によれば、ガスタービン発電機の動作速度が第1共振速度よりも大きい、本発明の第1の態様に関して上述したガスタービン発電機を動作させる方法が提供される。
【0015】
本発明の別の態様によれば、上述の種類のガスタービン発電機を有する電気自動車(EV)又はハイブリッド電気自動車(HEV)が提供される。
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明によるベアリング装置を含むガスタービン発電機の縦断面図である。
【
図2】
図1のベアリング装置の拡大縦断面図である。
【
図3】ベアリング装置、発電機回転子、ならびにガスタービンコンプレッサおよびタービンを含むガスタービン発電機の回転アセンブリの側面図である。
【
図4】
図3の回転アセンブリ、ベアリング装置、発電機回転子、およびガスタービンコンプレッサならびにタービンの縦断面図である。
【
図5】別の回転アセンブリ、ベアリング装置、発電機回転子、およびガスタービンコンプレッサならびにタービンの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、
図1乃至4を参照すると、ほとんどの場合に符号10で示すガスタービン発電機が示されている。発電機10は、半径流ガスタービン部12と発電部14とを含んでいる。ガスタービン部12は、コンプレッサホイール16とタービンホイール18とを含んでいる。発電部14は、回転子20と固定子22とを含んでいる。回転子20および固定子22はケーシング23によって囲まれている。
【0018】
コンプレッサ16およびタービンホイール18には、それぞれケーシング24、26が設けられている。ガスタービン部12は、当業者に知られている従来の方法で動作可能である。具体的には、コンプレッサホイールケーシング24の環状入口28を通してコンプレッサホイールケーシング24内に引き込まれた空気は、コンプレッサホイール16によって圧縮される。燃料が圧縮空気に加えられ、燃料-空気混合物が燃焼させられる。膨張する燃焼ガスはタービンホイールケーシング26を通過し、そこでタービンホイール18に衝突してそれを回転させる。続いて、例えば熱交換器を介して、燃焼ガスからエネルギを回収することができる。回収されたエネルギは、燃焼前にコンプレッサホイールによって圧縮された空気を加熱するために使用されることができる。
【0019】
発電部14は、固定子22に対する回転子20の回転が電気エネルギを発生するように、当業者に知られている従来の方法で動作する。
コンプレッサ16およびタービンホイール18および回転子20は、共通シャフト30上で回転するように結合されている。図示の実施形態では、シャフト30は、互いに連結されたタービンシャフト部30aと発電機シャフト部30bとを備える。本実施形態では、連結は、発電機シャフト部30bの対応するねじ付き凹部34内に受容されているタービンシャフト部30aのねじ付き突起32によって行われる。シャフト部分30a、30bを接続する他の方法が使用されてもよいことが当業者によって理解されるであろう。あるいは、一体型シャフトを用いてもよい。
【0020】
回転子20にはさらに、使用時に冷却空気の流れを発電部14に供給する構成が設けられている。図示の実施形態では、配置はラジアル冷却ファン36である。ここで説明した方法で空気を移動させるために他の形態の配置を利用してもよいことが理解されよう。冷却ファン36が回転すると、矢印27で示すように、ケーシングの開口部25を通してケーシング23内に空気が引き込まれる。次いで、空気は、矢印29で示すように、固定子22の周り、および固定子22と回転子20との間を通過する。空気は、その端部に設けられた開口部31を介してケーシング23から出る。
【0021】
図に示す実施形態では、シャフト30は、発電部ケーシング23内に設けられたベアリング構造38内で回転するように支持されている。また、本実施形態では、ベアリング装置38は、以下、発電機側ベアリング40と呼ぶ第1環状ベアリング40と、以下、ター
ビン側ベアリング42と呼ぶ第2環状ベアリング42と、ベアリング40、42の中間に配置された環状スペーサ44と、ベアリング40、42の間に延びて環状スペーサ44を取り囲む軸方向ばね46とを含んでいる。本実施形態では、ベアリング40、42、スペーサ44、およびばね46は別々になっている。代替的な実施形態では、ベアリング40、42、スペーサ44、およびばね46は、単一部品として取り付けることができるモジュールまたはカセットに組み込まれることができる。そのような実施形態は、
図5および
図6を参照して以下に説明する。
【0022】
各ベアリング40,42は転動体ベアリングである。各ベアリング40、42は、内輪、外輪、および内輪と外輪との間に配置された複数の回転要素を含んでいる。
ベアリング装置38は、タービンシャフト部30aがベアリング装置38の一方の側から延び、発電機シャフト部30bがベアリング装置38の反対側から延びるように、シャフト30の中間位置に設けられることに留意されたい。タービンシャフト部30aも発電機シャフト部30bも、他のベアリング装置によってそれらのそれぞれの長さに沿って支持されていないことにさらに留意されたい。したがって、発電部14の回転子20と、ガスタービン部12のコンプレッサ16およびタービンホイール18との両方が、ベアリング装置38に対してオーバーハングしていることが理解されよう。
【0023】
シャフト30の前述の中間位置にベアリング装置38を設けることによって、ベアリング40、42を空冷することが可能になる。図から容易に分かるように、発電機側ベアリング40は冷却ファン36に隣接して配置され、空気が冷却ファン36によって引き込まれる開口25によって囲まれている。タービン側ベアリング42は、コンプレッサ入口28に隣接して配置されている。したがって、両方のベアリング40、42は、ガスタービン部12および発電部14のそれぞれの「低温」端部に設けられている。
【0024】
任意選択で、矢印48で示すように、コンプレッサ入口28に引き込まれる空気を利用することによって、ベアリング装置38のさらなる冷却を達成することができる。コンプレッサホイール16には、コンプレッサ入口28とコンプレッサホイール16およびシャフト30の間に画定された環状空間または通路52との間に延びる複数の貫通孔50が設けられている。コンプレッサのブレードが減圧する前に減圧されると、ケーシング23に入る空気の一部が矢印54で示すようにコンプレッサホイール開口50に向かって引き込まれる。
【0025】
ベアリング装置38を空冷することにより、ベアリング40、42にグリースまたはオイルウィック潤滑を用いることが可能になり、したがって、ベアリング40、42に油を供給する比較的複雑な潤滑システムが不要になる。使用時にベアリング40、42が経験する温度がベアリング40、42内の潤滑媒体が劣化する温度を超えないので、ベアリング装置38の空冷はさらに自己潤滑ベアリング40、42を使用することを可能にする。
【0026】
ここで
図5および
図6を参照すると、別の回転アセンブリ、ベアリング装置、発電機回転子、およびガスタービンコンプレッサならびに概ね100で示されたタービンの縦断面図が示されている。
図1乃至4を参照して説明した発明の実施形態に共通の特徴は、「1」を前に付けた同様の符号で識別されている。
【0027】
前述のように、ベアリング装置138は、スペーサ144によって互いに対して要求される軸方向の間隔で維持される2つのベアリング140、142を含んでいる。
図1乃至4のベアリング装置38とは対照的に、ベアリング140、142は管状スリーブ156内に配置されている。スリーブ156の孔158は、環状シート160が設けられており、この環状シート160に対してコイルばね146の一端が位置している。コイルばね146の反対側の端部は、回転子120の近位にあるベアリング140に当接する。当然の
ことながら、ベアリング140、142をスリーブ156で取り付けることによって、ベアリング装置138をケーシング123の適切な大きさの孔に嵌合する前に予め組み立てられることが可能になる。
【0028】
スリーブ156はさらにその外周の周りに複数の弾性リング162が設けられている。本実施形態では、スリーブ156には、スリーブ156の両端に対をなして4つのリング162が設けられている。これらの弾性リング162の機能は2つある。第1に、リング162は、ケーシング123内のスリーブ156、したがってシャフト130のための不平(complaint)取付配置を画定する。対の弾性リング162はさらに、スリーブ156の外周の周りに環状チャンバ164を画定するように働く。チャンバ164は、ケーシング123のポート166を通って油のような液体で満たされて、シャフト130の長手方向中心軸線に対して実質的に垂直な方向へのスリーブ156およびシャフト130の移動を弱めることができる。
【0029】
上述したタイプのガスタービン発電機10が確実に作動するためには、有害な振動がいかなるかなりの期間に励起されないように作動しなければならないことが当業者には理解されるであろう。そのような発電機10については、質量および剛性特性は、発電機10が常に第1共振振動速度よりも低い速度で動作するように構成されていてもよい。あるいは、そのような発電機10は、1つまたは複数の共振周波数を超える速度で動作するように設計されることができる。そのような発電機10は、通常、著しく有害な振動が発生しないように十分な速度で共振速度を介して加速される。
【0030】
上述の実施形態は、ベアリングが空冷式でグリース潤滑式のガスタービン発電機に関するものであるが、回転子、コンプレッサ、およびタービンのダブルオーバーハング構成を他のベアリング装置と共に使用することができることが理解されよう。例えば、ダブルオーバーハング構成は、従来の加圧油供給潤滑および冷却システムと共に使用されることができる。あるいは、ダブルオーバーハング構成は、潤滑剤が、毛管作用よってリザーバからベアリングに供給される潤滑システムと共に使用されてもよい。
【0031】
本発明のガスタービン発電機は、レンジエクステンダ装置として電気自動車(EV)又はハイブリッド電気自動車(HEV)に使用されることができる。より具体的には、ガスタービン発電機は、EV又はHEVの電池セルを再充電する目的で電力を生成するように動作することができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半径流ガスタービン発電機において、前記発電機の回転子と、それに固定された前記ガスタービンのコンプレッサホイールおよびタービンホイールとを有するシャフトを含み、前記シャフトは単一ベアリング装置によって回転するように支持されており、前記単一ベアリング装置は、前記回転子と前記コンプレッサホイールとの間にある前記シャフト上の軸方向位置に設けられ、
前記回転子は、前記単一ベアリング装置と前記回転子との間に冷却ファンがさらに設けられた、半径流ガスタービン発電機。
【請求項2】
前記単一ベアリング装置は、2つ以上の機械的接触ベアリングを含む、請求項1に記載のガスタービン発電機。
【請求項3】
前記機械的接触ベアリングは、転動体ベアリングである、請求項2に記載のガスタービン発電機。
【請求項4】
前記ベアリング装置の前記ベアリングは、前記ベアリング間の所定の関係を維持するモジュール内に設けられた、請求項2または3に記載のガスタービン発電機。
【請求項5】
前記ベアリングは、スリーブ内に取り付けられた、請求項4に記載のガスタービン発電機。
【請求項6】
前記ベアリングは、前記スリーブ内に互いに間隔を置いて取り付けられた、請求項5に記載のガスタービン発電機。
【請求項7】
弾性部材が前記スリーブ内の前記ベアリング間に配置された、請求項6記載のガスタービン発電機。
【請求項8】
前記弾性部材は、コイルばねである、請求項7に記載のガスタービン発電機。
【請求項9】
前記コイルばねは、前記ばねの第1端部が前記ベアリングに当接し、前記ばねの反対側の端部が前記スリーブに設けられたシートに当接するように前記スリーブ内に配置された、請求項8に記載のガスタービン発電機。
【請求項10】
前記ベアリング装置が空冷式である、請求項1記載のガスタービン発電機。
【請求項11】
前記ベアリング装置は、前記発電機を冷却する目的で前記発電機内に引き込まれた空気によって冷却される、請求項10に記載のガスタービン発電機。
【請求項12】
前記発電機の前記回転子は、前記発電機内に空気を引き込むための装置が設けられた、請求項11に記載のガスタービン発電機。
【請求項13】
前記ベアリング装置は、前記コンプレッサホイールによって前記ガスタービン内に引き込まれた空気によって冷却される、請求項10乃至12のいずれか1項に記載のガスタービン発電機。
【請求項14】
前記ベアリング装置は、自己潤滑式である、請求項1乃至13のいずれか1項に記載のガスタービン発電機。
【請求項15】
前記ベアリング装置は、オイルウィックシステムによって潤滑される、請求項1乃至13のいずれか1項に記載のガスタービン発電機。
【請求項16】
前記ベアリング装置は、適切に構成された再循環潤滑システムによって冷却されかつ潤滑される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のガスタービン発電機。
【請求項17】
前記ガスタービン発電機の前記動作速度は、第1共振速度よりも速い、請求項1乃至16のいずれか1項に記載のガスタービン発電機を動作させる方法。
【請求項18】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載のガスタービン発電機を含む、ハイブリッド電気自動車(HEV)または電気自動車(EV)。
【外国語明細書】