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特開2022-163157色合い調節可能な窓のための制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163157
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】色合い調節可能な窓のための制御方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/24 20060101AFI20221018BHJP
   G02F 1/15 20190101ALN20221018BHJP
【FI】
E06B9/24 C
G02F1/15 502
【審査請求】有
【請求項の数】32
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022127648
(22)【出願日】2022-08-10
(62)【分割の表示】P 2020215729の分割
【原出願日】2014-02-18
(31)【優先権主張番号】13/772,969
(32)【優先日】2013-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509335373
【氏名又は名称】ビュー, インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】195 S. Milpitas Blvd., Milpitas, CA 95035 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、スティーブン シー.
(72)【発明者】
【氏名】コウォル、ディーピカ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォラ、ナムラタ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ、サントシュ ブイ.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】色合い調節可能な窓(例えば、エレクトロクロミック窓)の色合い及び他の機能を制御する方法を実施するための窓コントローラ及び関連した予測制御ロジックに関する。
【解決手段】色合い調節可能な窓は、建物の内部と外部との間にある。本方法は、将来の時間における色合い調節可能な窓を通って室内に入る直射日光の侵入深さ、及び室内の空間の種類に基づき、将来の時間における色合い調節可能な窓に対する色合いレベルを予測する。本方法はまた、色合い調節可能な窓の色合いをその色合いレベルに移行させるために、ネットワークを介して命令を提供する。
【選択図】図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
色合い調節可能な窓の色合いを制御する方法であって、
(a)将来の時間における前記色合い調節可能な窓を通る晴天放射照度を決定する段階と、
(b)前記決定された晴天放射照度を使用して、前記色合い調節可能な窓の色合いレベルを修正する段階と、
(c)前記色合い調節可能な窓の色合いを、前記修正された色合いレベルに移行させる、または移行のスケジュールを生成する段階と
を備える方法。
【請求項2】
前記晴天放射照度を決定する段階は、窓の情報を使用する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記窓の情報は、前記色合い調節可能な窓の配向角を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記色合いレベルは、前記将来の時間において前色合い調節可能な窓を通る日光の計算された侵入深さに少なくとも部分的に基づいて修正される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記色合い調節可能な窓の色合いの前記修正された色合いレベルへの移行時間に少なくとも部分的に基づいて、前記将来の時間を計算する段階をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記修正された色合いレベルは、前記晴天放射照度およびセンサデータを使用して決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
色合い調節可能な窓を有する建物の環境を制御するための装置であって、
(a)前記色合い調節可能な窓と動作可能に結合し、
(b)将来の時間における前記色合い調節可能な窓を通る晴天放射照度を決定する、またはその決定を指示し、
(c)前記決定された晴天放射照度を使用して、またはその使用を指示して、前記色合い調節可能な窓の色合いレベルを修正し、
(d)前記色合い調節可能な窓の色合いを前記修正された色合いレベルに移行させる、またはその移行を指示する
ように構成される少なくとも1つのコントローラを備える、装置。
【請求項8】
色合い調節可能な窓の色合いを制御するためのシステムであって、
(a)前記色合い調節可能な窓と動作可能に結合し、
(b)将来の時間における前記色合い調節可能な窓を通る晴天放射照度の決定を伝送し、
(c)前記晴天放射照度を使用して決定された、前記色合い調節可能な窓の色合いレベルの修正を伝送し、
(d)前記色合い調節可能な窓の色合いを前記修正された色合いレベルに移行させるための指示を伝送する
ように構成されるネットワークを備える、システム。
【請求項9】
前記ネットワークは、サブシステムの自動制御のために少なくとも1つのデータ通信プロトコルを伝送するように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ネットワークは、赤外線(IR)信号、および/または無線周波数(RF)信号を伝送するように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記ネットワークは、セルラ通信を伝送するように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記ネットワークは、電源と動作可能に結合され、電力を伝送するように構成されており、前記電源は、任意選択的に、主電源、予備発電機、または連続電源(UPS)を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記ネットワークは、(i)無線周波数信号を利用する、および/または(ii)1または複数のセンサとの通信を容易にする、少なくとも1つの無線プロトコルを利用するように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記晴天放射照度を決定する段階は、窓の情報を使用する段階を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
前記窓の情報は、前記色合い調節可能な窓の配向角を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記色合いレベルは、前記将来の時間において前色合い調節可能な窓を通る日光の計算された侵入深さに少なくとも部分的に基づいて修正される、請求項8に記載のシステム。
【請求項17】
前記色合い調節可能な窓の色合いの前記修正された色合いレベルへの移行時間に少なくとも部分的に基づいて、前記将来の時間を計算する段階をさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項18】
色合い調節可能な窓を制御する方法であって、
建物の色合い調節可能な窓の第1グループを含む第1領域を選択する段階と、
前記第1領域における前記色合い調節可能な窓の前記第1グループの色合いを、前記建物の第2領域の前記色合い調節可能な窓の第2グループの色合いとは異なるように移行させる、または移行のスケジュールを生成する段階であって、色合い調節は、将来の予報および/またはユーザ選択に少なくとも部分的に基づく、段階と
を備える方法。
【請求項19】
前記第1領域は、前記建物の1つの側面および/またはフロアに色合い調節可能な窓を含み、前記第2領域は、前記建物の別の側面および/またはフロアに色合い調節可能な窓を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1領域における前記色合い調節可能な窓の前記第1グループの前記色合いを決定するために、ユーザによって選択されたプログラムを採用する段階をさらに備える、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記第1グループの前記色合いは、将来の太陽の位置および/または将来の晴天放射照度に少なくとも部分的に基づく、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記将来の太陽の位置および前記将来の晴天放射照度は、前記第1領域の前記色合い調節可能な窓の少なくとも1つの色合い調節のための移行時間を少なくとも部分的に使用して計算される将来の時間に少なくとも部分的に基づいて計算される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
色合い調節可能な窓を制御するための装置であって、
(a)前記色合い調節可能な窓と動作可能に結合する手順と、
(b)建物の前記色合い調節可能な窓の第1グループを含む第1領域を選択する、またはその選択を指示する手順と、
(c)前記第1領域における前記色合い調節可能な窓の前記第1グループの色合いを、前記建物の第2領域の前記色合い調節可能な窓の第2グループの色合いとは異なるように移行させる、またはその移行を指示する手順であって、色合い調節は、将来の予報および/またはユーザ選択に少なくとも部分的に基づく、手順と
を実行するように構成される少なくとも1つのコントローラを備える、装置。
【請求項24】
少なくとも1つの色合い調節可能な窓の色合いを制御するためのシステムであって、
(a)前記少なくとも1つの色合い調節可能な窓と動作可能に結合する手順と、
(b)建物の色合い調節可能な窓の第1グループを含む第1領域の選択を伝送する手順と、
(c)前記第1領域における前記色合い調節可能な窓の前記第1グループの色合いを、前記建物の第2領域の前記色合い調節可能な窓の第2グループの色合いとは異なるように移行させるための指示を伝送する手順であって、色合い調節は、将来の予報および/またはユーザ選択に少なくとも部分的に基づく、手順と
を実行するように構成されるネットワークを備える、システム。
【請求項25】
前記ネットワークは、サブシステムの自動制御のために少なくとも1つのデータ通信プロトコルを伝送するように構成される、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記ネットワークは、赤外線(IR)信号、および/または無線周波数(RF)信号を伝送するように構成される、請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
前記ネットワークは、セルラ通信を伝送するように構成される、請求項24に記載のシステム。
【請求項28】
前記ネットワークは、電源と動作可能に結合され、電力を伝送するように構成されており、前記電源は、任意選択的に、主電源、予備発電機、または連続電源(UPS)を含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項29】
前記ネットワークは、(i)無線周波数信号を利用する、および/または(ii)1または複数のセンサとの通信を容易にする、少なくとも1つの無線プロトコルを利用するように構成される、請求項24に記載のシステム。
【請求項30】
前記ネットワークは、前記第1領域における前記色合い調節可能な窓の前記第1グループの前記色合いを決定するために、ユーザによって選択されたプログラムを採用するための指示を伝送するようにさらに構成される、請求項24に記載のシステム。
【請求項31】
前記第1グループの前記色合いは、将来の太陽の位置および/または将来の晴天放射照度に少なくとも部分的に基づく、請求項24に記載のシステム。
【請求項32】
前記将来の太陽の位置および前記将来の晴天放射照度は、前記第1領域の前記色合い調節可能な窓の少なくとも1つの色合い調節のための移行時間を少なくとも部分的に使用して計算される将来の時間に少なくとも部分的に基づいて計算される、請求項31に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2013年2月21日出願の「CONTROL METHOD FOR TINTABLE WINDOWS」と題する、米国特許出願第13/772,969号の35U.S.C.§119(a)の下での優先権の利益を主張し、その全体があらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に開示される実施形態は、概して、色合い調節可能な窓(例えば、エレクトロクロミック窓)の色合い及び他の機能を制御する方法を実施するための窓コントローラ及び関連した予測制御ロジックに関する。
【背景技術】
【0003】
エレクトロクロミズムは、材料が、典型的には電圧変化に供されることによる、異なる電子状態で配置されるときの光学的特性の可逆的で電気化学的に媒介された変化を示す、現象である。光学的特性は、典型的には、色、透過率、吸光度、及び反射率のうちの1つ以上である。1つのよく知られているエレクトロクロミック材料は、タングステン酸化物(WO)である。タングステン酸化物は、電気化学的還元によって透明から青色への着色の移行が生じる、カソードエレクトロクロミック材料である。
【0004】
エレクトロクロミック材料は、例えば、家庭用、商業用、及び他の使用のための窓に組み込まれてもよい。そのような窓の色、透過率、吸光度、及び/または反射率は、エレクトロクロミック材料の変化を誘導することによって変化されてもよく、すなわち、エレクトロクロミック窓は、電子的に暗くされ得る、または明るくされ得る窓である。窓のエレクトロクロミックデバイスに印加される小電圧は、それらを暗くさせ、電圧を逆にすることは、それらを明るくさせる。この能力は、窓を通過する光の量の制御を可能にし、エレクトロクロミック窓が省エネルギー型デバイスとして使用される機会を示す。
【0005】
エレクトロクロミズムが1960年代に発見されたが、エレクトロクロミックデバイス、特にエレクトロクロミック窓は、残念ながらまだ種々の問題に悩まされ、エレクトロクロミックデバイスを作製及び/または使用するエレクトロクロミック技術、装置、及び関連方法の多くの近年の進歩にもかかわらず、それらの最大の商業的潜在性を実現し始めていない。
【発明の概要】
【0006】
エレクトロクロミック窓及び他の色合い調節可能な窓の異なる色合いレベルへの移行を制御するためのシステム、方法、及び装置が提供される。概して、実施形態は、エレクトロクロミック窓または他の色合い調節可能な窓の色合いレベルを制御する方法を実装するための予測制御ロジックを含む。典型的には、制御ロジックは、建物の内部と外部との間に位置する1つ以上のエレクトロクロミック窓を有する、建物で使用され得る。窓は、異なる構成を有してもよい。例えば、一部は、オフィスまたはロビーの垂直の窓であってもよく、他は、廊下の天窓であってもよい。より具体的には、開示された実施形態は、居住者の快適さの直接の主な要因となる、1つ以上の色合い調節可能な窓の色合いレベルを予測し変化させる方法を提供する、予測制御ロジックを含む。本方法は、例えば、色合い調節可能な窓の予測された移行時間を可能にするために、将来の時間に対する色合いレベルを決定することができる。
【0007】
快適さは、居住者または居住者の活動範囲に向けられる直接グレア及び/または全放射エネルギーを低減することと関係がある。場合によっては、快適さはまた、その範囲への十分な自然照明を可能にすることと関係がある。制御ロジックはまた、エネルギー節約の考慮事項も使用し得る。特定の実装において、制御ロジックは、1つ以上のモジュールを含んでもよく、モジュールのうちの少なくとも1つは、居住者の快適さの考慮事項と関連する。モジュールのうちの1つ以上は、同様にエネルギー消費に関連していてもよい。
【0008】
一態様では、制御ロジックの1つ以上のモジュールは、居住者または彼らの机などの活動範囲への直射日光またはグレアから、居住者の快適さに基づき決定される色合いレベルを決定してもよい。これらのモジュールは、日光が特定の瞬間に室内へとどれだけ遠く透過するかを決定してもよい。次いで、モジュールは、居住者にとって快適となる光のレベルを透過する、適切な色合いレベルを決定してもよい。
【0009】
別の態様では、制御ロジックの1つ以上のモジュールは、晴天の条件下での予測された放射照度からのエネルギー考慮事項も考慮に入れるために、居住者の快適さに基づき決定された色合いレベルを修正してもよい。本態様では、色合いレベルは、それが地方自治体の条例または基準によって指定されるような、建物の中に必要とされる基準窓と少なくとも同じように機能することを確実にするために、暗くされてもよい。修正された色合いレベルは、基準窓と少なくとも同じ程度の冷房におけるエネルギー節約を提供する。場合によっては、色合いレベルは、代わりに、暖房におけるエネルギー節約を提供するために明るくされてもよい。
【0010】
さらに別に態様では、制御ロジックの1つ以上のモジュールは、実際の放射照度の主な要因となるように、居住者の快適さ及び予測された晴天放射照度に基づき決定された色合いレベルを修正してもよい。実際の放射照度は、光の障害及び反射によって、予測された放射照度とは異なる可能性がある。放射線レベルを測定することができる光センサまたは他のセンサが、実際の放射照度を決定するために使用され得る。これらの1つ以上のモジュールは、居住者の快適さ及び予測された晴天放射照度に基づき決定された色合いレベルと同じ程度の、またはそれよりも少ない光を室内に透過する、最も明るい色合いレベルを決定する。
【0011】
一実施形態は、建物の室内の居住者の快適さの主な要因となる色合い調節可能な窓の色合いを制御する方法である。色合い調節可能な窓は、建物の内部と外部との間に位置する。本方法は、将来の時間における色合い調節可能な窓を通って室内に入る直射日光の侵入深さ、及び室内の空間の種類に基づき、将来の時間における色合い調節可能な窓に対する適切な色合いレベルを予測する。本方法は、色合い調節可能な窓の色合いをその色合いレベルに移行させるために、ネットワークを介して命令を提供する。
【0012】
別の実施形態は、建物の室内の居住者の快適さの主な要因となる色合い調節可能な窓の色合いを制御するためのコントローラである。色合い調節可能な窓は、建物の内部と外部との間に位置する。本コントローラは、色合い調節可能な窓を通って室内に入る直射日光の侵入深さ、及び室内の空間の種類に基づき、色合い調節可能な窓に対する色合いレベルを決定するように構成される、プロセッサを備える。本コントローラはまた、ネットワークを介して、プロセッサ及び色合い調節可能な窓と通信している、電力幅変調器も備える。電力幅変調器は、プロセッサから色合いレベルを受信し、色合い調節可能な窓の色合いを決定された色合いレベルに移行させるために、ネットワークを介して色合い命令を有する信号を送信するように構成される。
【0013】
別の実施形態は、建物の中の居住者の快適さの主な要因となる色合い調節可能な窓の色合いを制御するためのマスタコントローラである。色合い調節可能な窓は、建物の内部と外部との間に位置する。本マスタコントローラは、コンピュータ可読媒体と、コンピュータ可読媒体と通信しており、かつ色合い調節可能な窓に対するローカル窓コントローラと通信している、プロセッサとを備える。コンピュータ可読媒体は、色合い調節可能な窓と関連した空間の種類を含む、構成ファイルを有する。プロセッサは、コンピュータ可読媒体から空間の種類を受信し、色合い調節可能な窓を通って室内に入る直射日光の侵入深さ、及び室内の空間の種類に基づき、色合い調節可能な窓に対する色合いレベルを決定し、色合い調節可能な窓の色合いを決定された色合いレベルに移行させるために、ネットワークを介してローカル窓コントローラに色合い命令を送信するように構成される。
【0014】
別の実施形態は、居住者の快適さの主な要因となる建物の領域中の1つ以上の色合い調節可能な窓の色合いを制御する方法である。本方法は、現在の時間に基づき、かつ領域の代表的な窓の予測された移行時間に基づき、将来の時間を計算する。本方法はまた、将来の時間における太陽の位置を予測し、スケジュールのユーザによって指定されるプログラムを決定する。プログラムは、1つ以上の独立した変数に基づき、色合いレベルを決定するためのロジックを含む。本方法はまた、将来の時間における予測された太陽の位置及び居住者の快適さに基づき、色合いレベルを決定するために、決定されたプログラムを採用する。本方法はまた、色合いを決定された色合いレベルに移行させるために、1つ以上の色合い調節可能な窓に命令を通信する。
【0015】
別の実施形態は、居住者の快適さの主な要因となる建物の領域中の1つ以上の色合い調節可能な窓の色合いを制御するための窓コントローラである。本窓コントローラは、予測制御ロジックと、位置データと、領域と関連した領域/グループデータとを有する、コンピュータ可読媒体を備える。窓コントローラは、コンピュータ可読媒体と通信しており、かつ色合い調節可能な窓と通信している、プロセッサをさらに備える。プロセッサは、現在の時間及び領域の代表的な窓の予測された移行時間に基づき、将来の時間を計算するように構成される。プロセッサはまた、将来の時間における太陽の位置を予測し、スケジュールのユーザによって指定されるプログラムを決定するように構成される。プログラムは、1つ以上の独立した変数に基づき、色合いレベルを決定するためのロジックを含む。プロセッサはまた、将来の時間における予測された太陽の位置を使用して、かつ居住者の快適さに基づき、色合いレベルを決定するために、決定されたプログラムを採用するように構成される。プロセッサはまた、色合いを決定された色合いレベルに移行させるために、領域中の1つ以上の色合い調節可能な窓に命令を通信するように構成される。
【0016】
これら及び他の特徴及び実施形態は、図面を参照して以下により詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】ガラス基板上に形成されるエレクトロクロミックデバイス、すなわち、エレクトロクロミックライトの概略図である。
図1B】ガラス基板上に形成されるエレクトロクロミックデバイス、すなわち、エレクトロクロミックライトの概略図である。
図1C】ガラス基板上に形成されるエレクトロクロミックデバイス、すなわち、エレクトロクロミックライトの概略図である。
図2A】IGUに組み込まれた、図1A図1Cに関して記載されるエレクトロクロミックライトの断面概略図を示す。
図2B】IGUに組み込まれた、図1A図1Cに関して記載されるエレクトロクロミックライトの断面概略図を示す。
図3A】エレクトロクロミックデバイスの概略断面図を示す。
図3B】脱色状態の(または脱色状態に移行している)エレクトロクロミックデバイスの概略断面図を示す。
図3C図3Bに示されるが、着色状態の(または着色状態に移行している)エレクトロクロミックデバイスの概略断面図を示す。
図4】窓コントローラのコンポーネントの簡略ブロック図を示す。
図5】開示された実施形態に従った、色合い調節可能な窓及び少なくとも1つのセンサを含む、部屋の概略図を示す。
図6A】開示された実施形態に従った、例示的な制御ロジックのモジュールAによって収集された情報を示す図を含む。
図6B】開示された実施形態に従った、例示的な制御ロジックのモジュールBによって収集された情報を示す図を含む。
図6C】開示された実施形態に従った、例示的な制御ロジックのモジュールCによって収集された情報を示す図を含む。
図7】開示された実施形態に従った、建物の中の1つ以上のエレクトロクロミック窓を制御する方法のための予測制御ロジックのいくつかのステップを示す、フローチャートである。
図8図7に示される制御ロジックの一部分の特定の実装を示す、フローチャートである。
図9】開示された実施形態に従った、モジュールAの詳細を示す、フローチャートである。
図10】開示された実施形態に従った、占有ルックアップテーブルの一実施例である。
図11A】開示された実施形態に従った、窓付近に位置する机1に基づく空間の種類を含む、エレクトロクロミック窓を含む部屋の概略図を示す。
図11B】開示された実施形態に従った、図11Aにあるよりも窓から離れて位置する机2に基づく空間の種類を含む、エレクトロクロミック窓を含む部屋の概略図を示す。
図12】開示された実施形態に従った、モジュールBの詳細を示す、フローチャートである。
図13】開示された実施形態に従った、モジュールCの詳細を示す、フローチャートである。
図14図7に示される制御ロジックの一部分の別の実装を示す図である。
図15】建物管理システムの一実施形態の概略図を示す。
図16】建物ネットワークの一実施形態のブロック図を示す。
図17】建物の1つ以上の色合い調節可能な窓の機能を制御するためのシステムのコンポーネントのブロック図である。
図18】建物の中の1つ以上の色合い調節可能な窓(例えば、エレクトロクロミック窓)の色合いレベルの移行を制御する方法のための予測制御ロジックを示す、ブロック図である。
図19】実施形態に従った、窓コントローラによって採用されるスケジュールを生成するために、スケジュール情報を入力するために使用される、ユーザインターフェースのスクリーンショットである。
図20】実施形態に従った、占有ルックアップテーブルの一実施例であり、受光角と、太陽の角度と、侵入深さとの間の関係を示す、机及び窓を有する部屋の概略図である。
図21A】一実施形態に従った、3つの異なる空間の種類を有する建物の一部分の平面図の概略図である。
図21B】一実施形態に従った、3つの異なる空間の種類を有する建物の一部分の平面図の概略図である。
図21C】一実施形態に従った、3つの異なる空間の種類を有する建物の一部分の平面図の概略図である。
図22】実施形態に従った、色合いレベルまたはそれ以上の色合い調節可能な窓を制御するために使用される、窓コントローラ中に存在し得る、サブシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明において、提示された実施形態の徹底的な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記載される。開示された実施形態は、これらの具体的な詳細の一部または全部なしで実施されてもよい。他の場合、よく知られているプロセス動作は、開示された実施形態を不必要に曖昧にしないために、詳細に記載されていない。開示された実施形態は、特定の実施形態と併せて記載されるが、開示された実施形態を限定することを意図していないことが理解されるであろう。
【0019】
I.エレクトロクロミックデバイスの概要
【0020】
開示された実施形態がエレクトロクロミック窓(スマート窓とも称される)に重点を置いているが、本明細書に開示される概念は、他の種類の色合い調節可能な窓に適用され得ることを理解されたい。例えば、エレクトロクロミックデバイスの代わりに、液晶デバイスまたは懸濁粒子デバイスを組み込む、色合い調節可能な窓が、開示された実施形態のいずれかに組み込まれ得る。
【0021】
読者を本明細書に開示されるシステム、窓コントローラ、及び方法の実施形態に適応させるために、エレクトロクロミックデバイスの短い考察が提供される。このエレクトロクロミックデバイスの最初の考察は、背景のためにのみ提供され、続いて記載されるシステム、窓コントローラ、及び方法の実施形態は、この最初の考察の特定の特徴及び製造プロセスに限定されない。
【0022】
本明細書に記載される実施形態を例示するために、エレクトロクロミックライトの特定の実施例が図1A~1Cを参照して記載される。図1Aは、ガラスシート105から開始し製造される、エレクトロクロミックライト100の断面表示(図1Cの断面切断X'-X'を参照されたい)である。図1Bは、エレクトロクロミックライト100の端面図(図1Cの目線Y'-Y'を参照されたい)を示し、図1Cは、エレクトロクロミックライト100の上下図を示す。図1Aは、ライトの周辺で縁部が領域140を生成するために除去された、ガラスシート105上での製造後のエレクトロクロミックライトを示す。エレクトロクロミックライトはまた、レーザースクライブされており、バスバーが取り付けられている。ガラスライト105は、拡散障壁110と、拡散障壁110上の第1の透明導電酸化物層(TCO)115とを有する。本実施例では、エッジデリーションプロセスは、TCO115及び拡散障壁110の両方を除去するが、他の実施形態では、TCOのみが除去され、拡散障壁は完全なまま残す。TCO115は、ガラスシート上で製造されるエレクトロクロミックデバイスの電極を形成するために使用される、2つの導電層のうちの第1である。本実施例では、ガラスシートは、下層ガラスと、拡散障壁層とを含む。したがって、本実施例では、拡散障壁が形成され、次いで、第1のTCO、エレクトロクロミックスタック125(例えば、エレクトロクロミック、イオン伝導体、及び対電極層を有する)、ならびに第2のTCO130が形成される。一実施形態では、エレクトロクロミックデバイス(エレクトロクロミックスタック及び第2のTCO)は、統合蒸着システム中で製造され、ガラスシートは、スタックの製造中のどの時点でも統合蒸着システムから離れない。一実施形態では、第1のTCO層もまた、統合蒸着システムを使用して形成され、ガラスシートは、エレクトロクロミックスタック及び(第2の)TCO層の蒸着中に、統合蒸着システムから離れない。一実施形態では、層の全て(拡散障壁、第1のTCO、エレクトロクロミックスタック、及び第2のTCO)は、統合蒸着システム中で蒸着され、ガラスシートは、蒸着中に、統合蒸着システムから離れない。本実施例では、エレクトロクロミックスタック125の蒸着前に、分離トレンチ120は、TCO115及び拡散障壁110を通して切断される。トレンチ120は、製造が完了した後にバスバー1の下にあるTCO115の領域を電気的に絶縁する意図で作製される(図1Aを参照されたい)。これは、望ましくない可能性がある、バスバーの下のエレクトロクロミックデバイスの電荷蓄積及び着色を回避するために行われる。
【0023】
エレクトロクロミックデバイスの形成後、エッジデリーションプロセス及びさらなるレーザースクライビングが実施される。図1Aは、本実施例では、デバイスが、レーザースクライブトレンチ150、155、160、及び165を包囲する周辺領域から除去された、領域140を示す。トレンチ150、160、及び165は、エレクトロクロミックスタック、ならびに第1のTCO及び拡散障壁を通過する。トレンチ155は、第2のTCO130及びエレクトロクロミックスタックを通過するが、第1のTCO115は通過しない。レーザースクライブトレンチ150、155、160、及び165は、動作可能なエレクトロクロミックデバイスからのエッジデリーションプロセス中に潜在的に損傷したエレクトロクロミックデバイスの部分135、145、170、及び175を分離するように作製される。本実施例では、レーザースクライブトレンチ150、160、及び165は、デバイスの分離を補助するために、第1のTCOを通過する(レーザースクライブトレンチ115は、第1のTCOを通過せず、そうでなければ、それは、第1のTCO及びしたがってエレクトロクロミックスタックとのバスバー2の電気通信を切断し得る)。レーザースクライブプロセスのためのレーザーまたは複数のレーザーは、典型的には、パルス型レーザー、例えば、ダイオード励起ソリッドステートレーザーであるが、必ずしもそうではない。例えば、レーザースクライブプロセスは、IPG Photonics(Oxford,Massachusetts)またはEkspla(Vilnius,Lithuania)からの好適なレーザーを使用して、実施され得る。スクライビングはまた、例えば、先端にダイヤモンドが付いたスクライブによって、機械的に実施され得る。当業者は、レーザースクライビングプロセスが、エレクトロクロミックデバイスの周辺の連続経路の間で、異なる深度で実施され得る、及び/またはレーザー切断深度が異なるもしくは異ならない単一のプロセスで実施され得ることを理解するであろう。一実施形態では、エッジデリーションは、第1のTCOの深度まで実施される。
【0024】
レーザースクライビングが完了した後、バスバーが取り付けられる。非貫通バスバー1は、第2のTCOに適用される。非貫通バスバー2は、第1のTCOと接触した、デバイスが蒸着されなかった(例えば、デバイス蒸着から第1のTCOを保護するマスクによって)領域、または本実施例では、エッジデリーションプロセス(例えば、XYもしくはXYZ検流計を有する装置を使用したレーザーアブレーション)が第1のTCOに至るまで材料を除去するために使用された、領域に適用される。本実施例では、バスバー1及びバスバー2の両方が、非貫通バスバーである。貫通バスバーは、スタックの底部でTCOと接触するために、典型的にはエレクトロクロミックスタックの中へ及びそれを通って押し付けられるものである。非貫通バスバーは、エレクトロクロミックスタック層に貫通しないが、導電層、例えば、TCOの表面上で電気的及び物理的接触をするものである。
【0025】
TCO層は、非伝統的なバスバー、例えば、スクリーン及びリソグラフィパターニング方法で製造されるバスバーを使用して、電気的に接続され得る。一実施形態では、電気通信は、導電インクをシルクスクリーニングし(または別のパターニング方法を使用)、続いてインクを熱硬化または焼結することによって、デバイスの透明導電層と構築され得る。上記のデバイス構成を使用する利点は、貫通バスバーを使用する従来の技術よりも簡単な製造、例えば、より少ないレーザースクライビングを含む。
【0026】
バスバーが接続された後、デバイスは、絶縁ガラスユニット(IGU)に組み込まれ、それは、例えば、バスバーを配線することなどを含む。いくつかの実施形態では、バスバーのうちの片方または両方は、完成したIGUの内側にあるが、一実施形態では、1つのバスバーがIGUのシールの外側にあり、1つのバスバーはIGUの内側にある。前者の実施形態では、領域140は、IGUを形成するために使用されるスペーサの一面とシールを作製するために使用される。したがって、バスバーとのワイヤまたは他の接続は、スペーサとガラスとの間に及ぶ。多くのスペーサが導電性である金属、例えば、ステンレス鋼から作られるため、バスバー及びそれへのコネクタと金属スペーサとの間の電気通信による短絡を回避するための措置を講じることが望ましい。
【0027】
上記の通り、バスバーが接続された後、エレクトロクロミックライトは、IGUに組み込まれ、それは、例えば、バスバーのための配線などを含む。本明細書に記載される実施形態では、バスバーの両方が、完成したIGUの一次シールの内側にある。
【0028】
図2Aは、IGU200に組み込まれる、図1A~1Cに関して記載されるエレクトロクロミック窓の断面概略図を示す。スペーサ205は、第2のライト210からエレクトロクロミックライトを分離するために使用される。IGU200中の第2のライト210は、非エレクトロクロミックライトであるが、本明細書に開示される実施形態は、それに限定されない。例えば、ライト210は、その上のエレクトロクロミックデバイス、及び/または低Eコーティングなどの1つ以上のコーティングを有することができる。ライト201はまた、図2Bに示されるような合わせガラスであってもよい(ライト201は、樹脂235を介して、補強枠230に積層される)。スペーサ205とエレクトロクロミックライトの第1のTCO層との間には、一次シール材料215がある。この一次シール材料はまた、スペーサ205と第2のガラスライト210との間にもある。スペーサ205の周辺には、二次シール220がある。バスバー配線/リード線は、コントローラへの接続のためにシールを横切る。二次シール220は、図示されているよりもはるかに厚くてもよい。これらのシールは、水分がIGUの内部空間225に入ることを防ぐのに役立つ。それらはまた、IGUの内部のアルゴンまたは他のガスが逃げることを防止する働きもする。
【0029】
図3Aは、断面図でエレクトロクロミックデバイス300を概略的に示す。エレクトロクロミックデバイス300は、基板302と、第1の導電層(CL)304と、エレクトロクロミック層(EC)306と、イオン伝導層(IC)308と、対電極層(CE)310と、第2の導電層(CL)314とを含む。層304、306、308、310、及び314は、集合的にエレクトロクロミックスタック320と称される。エレクトロクロミックスタック320にわたって電位を印加するように動作可能な電圧源316は、例えば、脱色状態から着色状態(図示された)へのエレクトロクロミックデバイスの移行をもたらす。層の順序は、基板に対して逆にされ得る。
【0030】
記載されるような異なる層を有するエレクトロクロミックデバイスは、全てのソリッドステートデバイス及び/または低欠陥性を有する全ての無機デバイスとして製造され得る。それらを製造するようなデバイス及び方法は、2009年12月22日出願の"Fabrication of Low-Defectivity Electrochromic Devices"と題し、発明者としてMark Kozlowski et al.の名を挙げる、米国特許出願第12/645,111号、及び2009年12月22日出願の"Electrochromic Devices"と題し、発明者としてZhongchun Wang et al.の名を挙げる、米国特許出願第12/645,159号により詳細に記載され、それらの両方の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、スタック中の層のいずれか1つ以上が、ある程度の量の有機材料を含有し得ることが理解されるべきである。少量で1つ以上の層中に存在し得る液体に対しても同じことが言える。ソリッドステート材料は、ゾルゲルまたは化学蒸着を採用するある特定のプロセスなど、液体成分を採用するプロセスによって蒸着または別様に形成されることもまた、理解されるべきである。
【0031】
加えて、脱色状態と着色状態との間の移行への言及は、非限定的であり、実装され得るエレクトロクロミック移行の多くの中のほんの一例を示唆することが理解されるべきである。本明細書において別段の指示がない限り(上記の考察を含む)、脱色-着色の移行への言及が行われるときはいつでも、対応するデバイスまたはプロセスは、非反射-反射、透明-不透明など、他の光学的状態の移行を包含する。さらに、用語「脱色された」は、光学的に中性の状態、例えば、無着色、透明、または半透明を指す。なおさらに、本明細書において別段の指示がない限り、エレクトロクロミック移行の「色」は、任意の特定の波長または波長範囲に限定されない。当業者によって理解されるように、適切なエレクトロクロミック及び対電極材料の選択は、関連する光学的移行を左右する。
【0032】
本明細書に記載される実施形態では、エレクトロクロミックデバイスは、脱色状態と着色状態との間で可逆的に循環する。場合によっては、デバイスが脱色状態にあるとき、スタック中の利用可能なイオンが主に対電極310中にあるように、電位がエレクトロクロミックスタック320に印加される。エレクトロクロミックスタック上の電位が逆にされるとき、イオンは、イオン伝導層308をわたってエレクトロクロミック材料306に運ばれ、材料を着色状態に移行させる。同様の方法で、本明細書に記載される実施形態のエレクトロクロミックデバイスは、異なる色合いレベル間で可逆的に循環され得る(例えば、脱色状態、最も暗い着色状態、及び脱色状態と最も暗い着色状態との間の中間レベル)。
【0033】
再び図3Aを参照すると、電圧源316は、放射及び他の環境センサと併せて動作するように構成されてもよい。本明細書に記載されるように、電圧源316は、デバイスコントローラ(本図面中には示されない)とインターフェースをとる。加えて、電圧源316は、時季、時刻、及び測定された環境条件などの種々の基準に従ってエレクトロクロミックデバイスを制御する、エネルギー管理システムとインターフェースをとってもよい。そのようなエネルギー管理システムは、大面積エレクトロクロミックデバイス(例えば、エレクトロクロミック窓)と併せて、建物のエネルギー消費を劇的に低下させることができる。
【0034】
好適な光学的、電気的、熱的、及び機械的特性を有する任意の材料が、基板302として使用されてもよい。そのような基板として、例えば、ガラス、プラスチック、及び鏡材料が挙げられる。好適なガラスは、ソーダ石灰フロートガラスを含む、透明または着色ソーダ石灰ガラスのいずれかを含む。ガラスは、強化または非強化であってもよい。
【0035】
多くの場合、基板は、住宅用窓の用途のためにサイズ決定されるガラス枠である。そのようなガラス枠のサイズは、住宅の特定のニーズに応じて幅広く異なり得る。他の場合、基板は、建築用ガラスである。建築用ガラスは、典型的には、商業用建物で使用されるが、住宅用建物でも使用されてもよく、典型的には、室外環境から室内環境を分離するが、必ずしもそうではない。ある特定の実施形態では、建築用ガラスは、少なくとも20インチ×20インチであり、はるかに大きい、例えば、約80インチ×120インチほど大きくてもよい。建築用ガラスは、典型的には少なくとも約2mmの厚さ、典型的には約3mm~約6mmの間の厚さである。当然のことながら、エレクトロクロミックデバイスは、建築用ガラスよりも小さいまたは大きい基板に拡大縮小可能である。さらに、エレクトロクロミックデバイスは、任意のサイズ及び形状の鏡の上に提供されてもよい。
【0036】
基板302の上には、導電層304がある。ある特定の実施形態では、導電層304及び314のうちの片方または両方は、無機及び/または固体である。導電層304及び314は、導電性酸化物、薄い金属コーティング、導電性金属窒化物、及び複合伝導体を含む、多くの異なる材料から作られてもよい。典型的には、導電層304及び314は、少なくとも、エレクトロクロミズムがエレクトロクロミック層によって示される波長の範囲内で、透明である。透明導電性酸化物は、金属酸化物、及び1つ以上の金属でドープされた金属酸化物を含む。そのような金属酸化物及びドープされた金属酸化物の例としては、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物、ドープされたインジウム酸化物、スズ酸化物、ドープされたスズ酸化物、亜鉛酸化物、アルミニウム亜鉛酸化物、ドープされた亜鉛酸化物、ルテニウム酸化物、ドープされたルテニウム酸化物などが挙げられる。酸化物は、多くの場合これらの層に使用されるため、それらは、時に、「透明導電性酸化物」(TCO)層と称される。実質的に透明である薄い金属コーティングも使用されてもよい。
【0037】
導電層の機能は、比較的小さい抵抗電位降下で、エレクトロクロミックスタック320の表面をわたってスタックの内部領域に電圧源316を提供することによって、電位を拡散することである。電位は、導電層への電気接続を通して導電層に移される。いくつかの実施形態では、1つが導電層304と接触し、1つが導電層314と接触している、バスバーは、電圧源316と導電層304及び314との間に電気接続を提供する。導電層304及び314はまた、他の従来の手段で電圧源316に接続されてもよい。
【0038】
導電層304を覆うのは、エレクトロクロミック層306である。いくつかの実施形態では、エレクトロクロミック層306は、無機及び/または固体である。エレクトロクロミック層は、金属酸化物を含む多くの異なるエレクトロクロミック材料のうちのいずれか1つ以上を含有してもよい。そのような金属酸化物としては、タングステン酸化物(WO3)、モリブデン酸化物(MoO3)、ニオブ酸化物(Nb2O5)、チタン酸化物(TiO2)、銅酸化物(CuO)、イリジウム酸化物(Ir2O3)、クロム酸化物(Cr2O3)、マンガン酸化物(Mn2O3)、バナジウム酸化物(V2O5)、ニッケル酸化物(Ni2O3)、コバルト酸化物(Co2O3)などが挙げられる。動作中、エレクトロクロミック層306は、光学遷移を引き起こすために、対電極層310にイオンを移動させ、かつそれからイオンを受容する。
【0039】
概して、エレクトロクロミック材料の着色化(またはいずれかの光学的特性、例えば、吸光度、反射率、及び透過率の変化)は、材料への可逆的イオン挿入(例えば、インターカレーション)及び対応する電荷平衡電子の注入によって引き起こされる。典型的には、光学遷移に関与するイオンのある部分が、エレクトロクロミック材料に不可逆的に結合される。不可逆的に結合したイオンの一部または全部は、材料中の「ブラインドチャージ」を補うために使用される。ほとんどのエレクトロクロミック材料において、好適なイオンは、リチウムイオン(Li+)及び水素イオン(H+)(すなわち、プロトン)を含む。しかしながら、場合によっては、他のイオンが好適になる。種々の実施形態では、リチウムイオンは、エレクトロクロミック現象をもたらすために使用される。リチウムイオンのタングステン酸化物へのインターカレーション(WO3-y(0<y≦約0.3))は、タングステン酸化物を透明(脱色状態)から青色(着色状態)に変化させる。
【0040】
再び図3Aを参照すると、エレクトロクロミックスタック320において、イオン伝導層308は、エレクトロクロミック層306と対電極層310との間に挟持される。いくつかの実施形態では、対電極層310は、無機及び/または固体である。対電極層は、エレクトロクロミックデバイスが脱色状態にあるとき、イオン溜としての機能を果たす多くの異なる材料のうちの1つ以上を含んでもよい。例えば、適切な電位の印加によって開始されるエレクトロクロミック移行中、対電極層は、それが保持するイオンの一部または全部をエレクトロクロミック層に移動させ、エレクトロクロミック層を着色状態に変化させる。同時に、NiWOの場合、対電極層は、イオンの損失によって着色する。
【0041】
いくつかの実施形態では、WO3を補完する対電極のための好適な材料としては、ニッケル酸化物(NiO)、ニッケルタングステン酸化物(NiWO)、ニッケルバナジウム酸化物、ニッケルクロム酸化物、ニッケルアルミニウム酸化物、ニッケルマンガン酸化物、ニッケルマグネシウム酸化物、クロム酸化物(Cr2O3)、マンガン酸化物(MnO2)、及びプルシアンブルーが挙げられる。
【0042】
電荷がニッケルタングステン酸化物から作られる対電極310から除去される(すなわち、イオンが対電極310からエレクトロクロミック層306に移される)とき、対電極層は、透明状態から着色状態に移行する。
【0043】
図示されたエレクトロクロミックデバイスにおいて、エレクトロクロミック層306と対電極層310との間には、イオン伝導層308がある。イオン伝導層308は、エレクトロクロミックデバイスが脱色状態と着色状態との間を移行するとき、イオンが運ばれる媒体として機能する(電解質の方法で)。好ましくは、イオン伝導層308は、エレクトロクロミック及び対電極層に対する関連イオンに高度に導電性であるが、ごくわずかな電子移動が正常な動作中に生じる、十分に低い電子伝導性を有する。高いイオン伝導率を有する薄いイオン伝導層は、迅速なイオン伝導、したがって高性能なエレクトロクロミックデバイスに対する高速スイッチングを可能にする。ある特定の実施形態では、イオン伝導層308は、無機及び/または固体である。
【0044】
好適なイオン伝導層の例(異なるIC層を有するエレクトロクロミックデバイスのための)としては、ケイ酸、シリコン酸化物、タングステン酸化物、タンタル酸化物、ニオブ酸化物、及びホウ酸が挙げられる。これらの材料は、リチウムを含む、異なるドーパントでドープされてもよい。リチウムでドープされたシリコン酸化物は、リチウムシリコン-アルミニウム酸化物を含む。いくつかの実施形態では、イオン伝導層は、ケイ酸系構造を含む。いくつかの実施形態では、シリコン-アルミニウム酸化物(SiAlO)がイオン伝導層308に使用される。
【0045】
エレクトロクロミックデバイス300は、1つ以上の不動態層など、1つ以上の追加の層(図示せず)を含んでもよい。ある特定の光学的特性を改善するために使用される不動態層が、エレクトロクロミックデバイス300に含まれてもよい。水分または引っかき抵抗性を提供する不動態層もまた、エレクトロクロミックデバイス300に含まれ得る。例えば、導電層は、反射防止または保護酸化物または窒化物層で処理されてもよい。他の不動態層は、エレクトロクロミックデバイス300を密閉する働きをしてもよい。
【0046】
図3Bは、脱色状態の(または脱色状態に移行している)エレクトロクロミックデバイスの概略断面図である。特定の実施形態によると、エレクトロクロミックデバイス400は、タングステン酸化物エレクトロクロミック層(EC)406と、ニッケル-タングステン酸化物対電極層(CE)410とを含む。エレクトロクロミックデバイス400はまた、基板402と、導電層(CL)404と、イオン伝導層(IC)408と、導電層(CL)414とを含む。
【0047】
電源416は、導電層404及び414への好適な接続(例えば、バスバー)を通して、エレクトロクロミックスタック420に電位及び/または電流を印加するように構成される。いくつかの実施形態では、電圧源は、1つの光学的状態から別の光学的状態へのデバイスの移行を駆動するために、数ボルトの電位を印加するように構成される。図3Aに示される電位の極性は、イオン(本実施例では、リチウムイオン)が主にニッケル-タングステン酸化物対電極層410中にある(破線矢印によって示されるように)ようなものである。
【0048】
図3Cは、図3Bに示されるが、着色状態の(着色状態に移行している)エレクトロクロミックデバイス400の概略断面図である。図3C中、電圧源416の極性は逆になり、エレクトロクロミック層は、さらなるリチウムイオンを受容するようにさらに負になり、それにより着色状態に移行する。破線矢印によって示されるように、リチウムイオンは、イオン伝導層408をわたってタングステン酸化物エレクトロクロミック層406に運ばれる。タングステン酸化物エレクトロクロミック層406は、着色状態で示される。ニッケル-タングステン酸化物対電極410もまた、着色状態で示される。説明されるように、ニッケル-タングステン酸化物は、それがリチウムイオンを放出(脱インターカレート)すると、徐々により不透明になる。本実施例では、層406及び410の両方に対する着色状態への移行が、スタック及び基板を通して透過される光の量を低減することを目的として付加的である場合、相乗効果がある。
【0049】
上記の通り、エレクトロクロミックデバイスは、イオンに高度に導電性及び電子に高度に抵抗性があるイオン伝導(IC)層によって分離される、エレクトロクロミック(EC)電極層及び対電極(CE)層を含んでもよい。従来理解されている通り、イオン伝導層はしたがって、エレクトロクロミック層と対電極層との間の短絡を防止する。イオン伝導層は、エレクトロクロミック及び対電極が電荷を保持し、それによりそれらの脱色または着色状態を維持するのを可能にする。異なる層を有するエレクトロクロミックデバイスにおいて、コンポーネントは、エレクトロクロミック電極層と対電極層とに挟持されたイオン伝導層を含む、スタックを形成する。これらの3つのスタックコンポーネント間の境界は、組成物及び/または微細構造の突然の変化によって画定される。したがって、デバイスは、2つの急峻な界面を含む、3つの異なる層を有する。
【0050】
ある特定の実施形態によると、対電極及びエレクトロクロミック電極は、イオン伝導層を別個に蒸着することなく、時に直接接触して、互いと直接隣接して形成される。いくつかの実施形態では、異なるIC層よりもむしろ界面領域を有するエレクトロクロミックデバイスが採用される。そのようなデバイス及びそれらの製造方法は、米国特許第8,300,298号及び2010年4月30日出願の米国特許出願第12/772,075号、ならびに2010年6月11日出願の米国特許出願第12/814,277号及び同第12/814,279号に記載され、それら3つの特許出願及び特許のそれぞれは、それぞれ"Electrochromic Devices"と題し、それぞれ発明者としてZhongchun Wang et al.の名を挙げ、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0051】
II.窓コントローラ
【0052】
窓コントローラは、エレクトロクロミック窓のエレクトロクロミックデバイスの色合いレベルを制御するために使用される。いくつかの実施形態では、窓コントローラは、2つの色合い状態(レベル)、脱色状態及び着色状態の間で、エレクトロクロミック窓を移行させることが可能である。他の実施形態では、コントローラはさらに、エレクトロクロミック窓(例えば、単一のエレクトロクロミックデバイスを有する)を中間の色合いレベルに移行させることができる。いくつかの開示された実施形態では、窓コントローラは、エレクトロクロミック窓を4つ以上の色合いレベルに移行させることが可能である。ある特定のエレクトロクロミック窓は、各ライトが2状態ライトである、単一IGUにおいて2つ(またはそれ以上)のエレクトロクロミックライトを使用することによって、中間の色合いレベルを可能にする。これは、本節に、図2A及び図2Bを参照して記載れている。
【0053】
図2A及び図2Bに関する上記の通り、いくつかの実施形態では、エレクトロクロミック窓は、IGU200の一方のライト上にエレクトロクロミックデバイス400、及びIGU200のもう一方のライト上に別のエレクトロクロミックデバイス400を含むことができる。窓コントローラが各エレクトロクロミックデバイスを2つの状態、脱色状態及び着色状態の間で移行させることが可能である場合、エレクトロクロミック窓は、4つの異なる状態(色合いレベル)、両方のエレクトロクロミックデバイスが着色された着色状態、一方のエレクトロクロミックデバイスが着色された第1の中間状態、もう一方のエレクトロクロミックデバイスが着色された第2の中間状態、及び両方のエレクトロクロミックデバイスが脱色された脱色状態を得ることが可能である。複数枠のエレクトロクロミック窓の実施形態は、発明者としてRobin Friedman et al.の名を挙げ、"MULTI-PANE ELECTROCHROMIC WINDOWS"と題する、米国特許第8,270,059号にさらに記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
いくつかの実施形態では、窓コントローラは、2つ以上の色合いレベル間で移行することが可能なエレクトロクロミックデバイスを有する、エレクトロクロミック窓を移行させることが可能である。例えば、窓コントローラは、エレクトロクロミック窓を脱色状態、1つ以上の中間レベル、及び着色状態に移行させることが可能であり得る。いくつかの他の実施形態では、窓コントローラは、脱色状態と着色状態との間の任意の数の色合いレベルの間で、エレクトロクロミックデバイスを組み込むエレクトロクロミック窓を移行させることが可能である。エレクトロクロミック窓を中間の色合いレベルまたは複数のレベルに移行させるための方法及びコントローラの実施形態は、"CONTROLLING TRANSITIONS IN OPTICALLY SWITCHABLE DEVICES"と題し、発明者としてDisha Mehtani et al.の名を挙げる、米国特許第8,254,013号にさらに記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
いくつかの実施形態では、窓コントローラは、エレクトロクロミック窓の中の1つ以上のエレクトロクロミックデバイスに電力供給することができる。典型的には、窓コントローラのこの機能は、以下により詳細に記載される1つ以上の他の機能で増強される。本明細書に記載される窓コントローラは、それが制御目的で関連するエレクトロクロミックデバイスに電力供給する機能を有するものに限定されない。すなわち、エレクトロクロミック窓のための電源は、窓コントローラから分離されてもよく、コントローラは、それ自体の電源を有し、窓電源からの電力の印加を窓に方向付ける。しかしながら、エレクトロクロミック窓に電力供給するための別個の配線の必要性を除去するため、窓コントローラによる電源を含み、コントローラが窓に直接電力供給するよう構成することが便利である。
【0056】
さらに、本節に記載される窓コントローラは、窓コントローラの建物制御ネットワークまたは建物管理システム(BMS)への組み込みなく、単一の窓または複数のエレクトロクロミック窓の機能を制御するように構成され得る、独立型コントローラとして記載される。しかしながら、窓コントローラは、本開示の建物管理システムの節にさらに記載されるように、建物制御ネットワークまたはBMSに組み込まれてもよい。
【0057】
図4は、開示された実施形態の窓コントローラシステムの窓コントローラ450のいくつかのコンポーネント及び他のコンポーネントのブロック図を示す。図4は、窓コントローラの簡略ブロック図であり、窓コントローラに関するさらなる詳細は、両方が発明者としてStephen Brownの名を挙げ、両方が"CONTROLLER FOR OPTICALLY-SWITCHABLE WINDOWS"と題し、かつ両方が2012年4月17日出願の米国特許出願第13/449,248号及び同第13/449,251号、ならびに"CONTROLLING TRANSITIONS IN OPTICALLY SWITCHABLE DEVICES"と題し、発明者としてStephen Brown et al.の名を挙げ、かつ2012年4月17日出願の米国特許第13/449,235号に見られ、それら全ての全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0058】
図4中、窓コントローラ450の示されたコンポーネントは、マイクロプロセッサ455または他のプロセッサと、電力幅変調器(PWM)460と、信号調整モジュール465と、構成ファイル475を有するコンピュータ可読媒体(例えば、メモリ)とを有する、窓コントローラ450を含む。窓コントローラ450は、1つ以上のエレクトロクロミックデバイス400に命令を送信するために、ネットワーク480(有線または無線)を通じて、エレクトロクロミック窓の中の1つ以上のエレクトロクロミックデバイス400と電子通信している。いくつかの実施形態では、窓コントローラ450は、窓コントローラをマスターするために、ネットワーク(有線または無線)を通じて通信している、ローカル窓コントローラであってもよい。
【0059】
開示された実施形態では、建物は、建物の外部と内部との間にエレクトロクロミック窓を有する、少なくとも1つの部屋を有してもよい。1つ以上のセンサが、建物の外部及び/または室内に位置してもよい。実施形態では、1つ以上のセンサからの出力は、窓コントローラ450の信号調整モジュール465に入力されてもよい。場合によっては、1つ以上のセンサからの出力は、建物管理システムの節に更に記載されるように、BMSに入力されてもよい。図示された実施形態のセンサは、建物の垂直壁の外側に位置するように示されるが、これは簡単にするためであり、センサは、同様に、室内または外部の他の表面上など、他の位置にあってもよい。場合によっては、2つ以上のセンサが同じ入力を測定するために使用されてもよく、それは、1つのセンサが失敗するか、または別様に誤った測定値を有する場合、冗長性を提供することができる。
【0060】
図5は、少なくとも1つのエレクトロクロミックデバイスを含む、エレクトロクロミック窓505を有する、部屋500の概略図を示す。エレクトロクロミック窓505は、部屋500を含む建物の外部と内部との間に位置する。部屋500はまた、エレクトロクロミック窓505に接続され、その色合いレベルを制御するように構成される、窓コントローラ450を含む。外部センサ510は、建物の外部の垂直表面に位置する。他の実施形態では、部屋500内の周辺光を測定するために、内部センサもまた使用され得る。さらに他の実施形態では、居住者が部屋500内にいるときを決定するために、居住者センサもまた使用され得る。
【0061】
外部センサ510は、太陽などの光源から、または表面、大気中の粒子、雲などからセンサに反射する光から流れるデバイス上の放射光の入射を検出することが可能である、光センサなどのデバイスである。外部センサ510は、光電効果に起因する電流の形態で信号を生成してもよく、信号は、センサ510上への入射光の関数であってもよい。場合によっては、デバイスは、ワット/mの単位または他の同様の単位の放射照度の観点から放射光を検出してもよい。他の場合、デバイスは、フートキャンドルの単位または同様の単位の可視波長範囲で光を検出してもよい。多くの場合、放射照度及び可視光のこれらの値の間には、直線関係がある。
【0062】
日光からの放射照度値は、日光が地球にあたる角度が変化するにつれて、時刻及び時季に基づき予測され得る。外部センサ510は、リアルタイムで放射光を検出することができ、それは、建物、天候の変化(例えば、雲)などによる反射及び遮断された光を説明する。例えば、曇りの日、日光は、雲によって遮られ、外部センサ510によって検出された放射光は、雲のない日よりも低い。
【0063】
いくつかの実施形態では、単一のエレクトロクロミック窓505と関連した、1つ以上の外部センサ510があってもよい。1つ以上の外部センサ510からの出力は、例えば、外部センサ510のうちの1つが、外部センサ510上に止まった鳥などの物体によって遮蔽された場合を決定するために、互いと比較され得る。場合によっては、いくつかのセンサは信頼性を欠く、及び/または高価である可能性があるため、建物の中で比較的少ないセンサを使用することが望ましい場合がある。ある特定の実装では、建物またはおそらく建物の一側面に作用する太陽からの放射光の現在のレベルを決定するために、単一センサまたは数個のセンサが採用され得る。雲が太陽の前を通過する可能性があるか、建設車両が夕日の前に駐車する可能性がある。これらは、通常建物に作用すると見積もられる太陽からの放射光の量からの偏差をもたらす。
【0064】
外部センサ510は、ある種類の光センサであってもよい。例えば、外部センサ510は、電荷結合素子(CCD)、フォトダイオード、フォトレジスタ、または光電池であってもよい。当業者は、光センサ及び他のセンサ技術の将来の開発もまた、光強度を測定し、光レベルを代表する電気出力を提供するように、機能することを理解するであろう。
【0065】
いくつかの実施形態では、外部センサ510からの出力は、信号調整モジュール465に入力されてもよい。入力は、信号調整モジュール465への電圧信号の形態であってもよい。信号調整モジュール465は、窓コントローラ450に出力信号を送信する。窓コントローラ450は、構成ファイル475からの種々の情報、信号調整モジュール465からの出力、オーバーライド値に基づき、エレクトロクロミック窓505の色合いレベルを決定する。次いで、窓コントローラ450は、電圧及び/または電流をエレクトロクロミック窓505に印加し、望ましい色合いレベルに移行させるように、PWM460に命令する。
【0066】
開示された実施形態では、窓コントローラ450は、電圧及び/または電流をエレクトロクロミック窓505に印加し、それを4つ以上の異なる色合いレベルに移行させるように、PWM460に命令することができる。開示された実施形態では、エレクトロクロミック窓505は、0(最も明るい)、5、10、15、20、25、30、及び35(最も暗い)と記載される少なくとも8つの異なる色合いレベルに移行され得る。色合いレベルは、エレクトロクロミック窓505を通して透過される光の可視透過率値及び太陽熱利得係数(SGHC)値に直線的に対応してもよい。例えば、上記の8つの色合いレベルを使用して、0の最も明るい色合いレベルは、0.80のSGHC値に対応してもよく、5の色合いレベルは、0.70のSGHC値に対応してもよく、10の色合いレベルは、0.60のSGHC値に対応してもよく、15の色合いレベルは、0.50のSGHC値に対応してもよく、20の色合いレベルは、0.40のSGHC値に対応してもよく、25の色合いレベルは、0.30のSGHC値に対応してもよく、30の色合いレベルは、0.20のSGHC値に対応してもよく、35の色合いレベル(最も暗い)は、0.10のSGHC値に対応してもよい。
【0067】
窓コントローラ450または窓コントローラ450と通信しているマスタコントローラは、外部センサ510からの信号及び/または他の入力に基づき、望ましい色合いレベルを決定するために、いずれか1つ以上の予測制御ロジックコンポーネントを採用してもよい。窓コントローラ450は、電圧及び/または電流をエレクトロクロミック窓505に印加し、それを望ましい色合いレベルに移行させるように、PWM460に命令することができる。
【0068】
III.予測制御ロジックの一実施例
【0069】
開示された実施形態では、予測制御ロジックは、居住者の快適さ及び/またはエネルギー節約の考慮事項の主な要因となる、エレクトロクロミック窓505または他の色合い調節可能な窓に対する望ましい色合いレベルを決定及び制御する方法を実装するために使用される。この予測制御ロジックは、1つ以上のロジックモジュールを採用してもよい。図6A~6Cは、開示された実施形態の例示的な制御ロジックの3つのロジックモジュールA、B、及びCのそれぞれによって収集された情報を示す図を含む。
【0070】
図6Aは、部屋500を含む建物の外部と内部との間のエレクトロクロミック窓505を通って部屋500内へ入る直射日光の侵入深さを示す。侵入深さは、直射日光が部屋500内へとどれだけ遠く透過するかの基準である。示されるように、侵入深さは、窓の敷居(底部)から離れて水平方向に測定される。概して、窓は、直射日光に対する受光角を提供する開口部を画定する。侵入深さは、窓の形状(例えば、窓寸法)、室内のその位置及び向き、窓の外側の任意のフィンまたは他の外部日よけ、ならびに太陽の位置(例えば、特定の時刻及び日付に対する直射日光の角度)に基づき計算される。エレクトロクロミック窓505への外部日よけは、オーバーハング、フィンなど窓を遮蔽することができる、任意の種類の構造によるものであってもよい。図6A中、部屋500に入る直射日光の一部分を遮断し、したがって、侵入深さを短くする、エレクトロクロミック窓505の上のオーバーハング520がある。部屋500はまた、エレクトロクロミック窓505に接続され、その色合いレベルを制御するように構成される、ローカル窓コントローラ450を含む。外部センサ510は、建物の外部の垂直表面に位置する。
【0071】
モジュールAは、エレクトロクロミック窓505を通って居住者または彼らの活動範囲に当たる直射日光から、居住者の快適さを考慮する、色合いレベルを決定するために使用され得る。色合いレベルは、室内へ入る直射日光の計算された侵入深さ及び、特定の瞬間における室内の空間の種類(例えば、窓付近の机、ロビーなど)に基づき決定される。場合によっては、色合いレベルはまた、室内に十分な自然照明を提供することに基づいてもよい。多くの場合、侵入深さは、ガラス移行時間を説明する将来の時間において計算された値である。モジュールAで対処される問題は、直射日光が、机で作業している居住者または室内の他の作業表面上に直接見えるくらい部屋500の奥へと透過し得ることである。公的に入手可能なプログラムは、太陽の位置の計算を提供し、侵入深さの容易な計算を可能にすることができる。
【0072】
図6Aはまた、活動範囲と関連した空間の種類(すなわち、机)及び活動範囲の位置(すなわち、机の位置)の一実施例として、部屋500内の机を示す。各空間の種類は、居住者の快適さに対する異なる色合いレベルと関連する。例えば、活動が、机またはコンピュータで行われるオフィス内の作業などの重要な活動であり、机が窓付近に位置する場合、望ましい色合いレベルは、机が窓から離れている場合よりも高くなり得る。別の例として、ロビーでの活動など、活動が重要ではない場合、望ましい色合いレベルは、机を有する同じ空間に対してよりも低くなり得る。
【0073】
図6Bは、エレクトロクロミック窓505を通って部屋500に入る、晴天の条件下での直射日光及び放射線を示す。放射線は、大気中の分子及び粒子によって散乱される日光からであってもよい。モジュールBは、考慮しているエレクトロクロミック窓505を通って流れる、晴天の条件下での放射照度の予測された値に基づき、色合いレベルを決定する。オープンソースのRADIANCEプログラムなどの種々のソフトウェアが、ある特定の緯度、経度、時季、及び時刻において、かつ所与の窓の向きに対して、晴天放射照度を予測するために使用され得る。
【0074】
図6Cは、晴天予測に対して説明されない、建物または天候条件(例えば、雲)などの物体によって遮断され得るか、またはそれらから反射され得る光を説明するために、外部センサ510によってリアルタイムで測定される、空からの放射光を示す。モジュールCによって決定された色合いレベルは、外部センサ510による測定に基づいたリアルタイムの放射照度に基づく。
【0075】
予測制御ロジックは、建物の中の各エレクトロクロミック窓505に対して別々に、ロジックモジュールA、B、及びCのうちの1つ以上を実装してもよい。各エレクトロクロミック窓505は、寸法、向き(例えば、垂直、水平、ある角度をなして傾斜)、位置、関連した空間の種類などの独特のセットを有することができる。この情報及び他の情報を含む構成ファイルは、各エレクトロクロミック窓505に対して維持され得る。構成ファイル475は、エレクトロクロミック窓505のローカル窓コントローラ450のコンピュータ可読媒体470中、または本開示で後に記載されるBMS中に記憶されてもよい。構成ファイル475は、窓構成、占有ルックアップテーブル、関連する基準ガラス、及び/または予測制御ロジックによって使用される他のデータなどの情報を含むことができる。窓構成は、エレクトロクロミック窓505の寸法、エレクトロクロミック窓505の向き、エレクトロクロミック窓505の位置などの情報を含んでもよい。
【0076】
ルックアップテーブルは、ある特定の空間の種類及び侵入深さに対する居住者の快適さを提供する、色合いレベルを記載する。すなわち、占有ルックアップテーブル中の色合いレベルは、居住者(複数可)または彼らの作業空間上の直射日光から、部屋500内にいる可能性がある居住者(複数可)に快適さを提供するように設計される。占有ルックアップテーブルの一実施例が、図10に示される。
【0077】
空間の種類は、どれほどの色合い調節が、所与の侵入深さに対する居住者の快適さの問題に対処するために、及び/または室内の快適な自然照明を提供するために必要とされるのかを決定するための基準である。空間の種類パラメータは、多くの要因を考慮に入れ得る。これらの要因の中には、特定の部屋及び活動の位置で実施されている作業もしくは他の活動の種類がある。細心の注意を必要とするきめ細かい研究と関連した綿密な作業が、1つの空間の種類においてあってもよく、一方で、ラウンジまたは会議室は、異なる空間の種類を有してもよい。加えて、窓に対する室内の机または他の作業表面の位置は、空間の種類を画定する際の考慮事項である。例えば、空間の種類は、エレクトロクロミック窓505付近に位置する机または他の作業空間を有する一人の居住者のオフィスと関連している場合がある。別の例としては、空間の種類は、ロビーであってもよい。
【0078】
ある特定の実施形態では、予測制御ロジックの1つ以上のモジュールは、望ましい色合いレベルを決定することができると同時に、居住者の快適さに加えてエネルギー節約の主な要因となる。これらのモジュールは、その色合いレベルにおけるエレクトロクロミック窓505の性能を、基準ガラスまたは他の標準的基準窓と比較することによって、特定の色合いレベルと関連したエネルギー節約を決定してもよい。この基準窓を使用する目的は、予測制御ロジックが、建物の場所で使用される基準窓に対する地方自治体の建物の条例または他の要件に従っていることを確実にすることであり得る。多くの場合、地方自治体が、建物の中の空調負荷の量を制御するために、従来の低放射率ガラスを使用した基準窓を定義する。基準窓505がどのように予測制御ロジックに適合するかの一例として、ロジックは、所与のエレクトロクロミック窓505を通って入る放射照度が、それぞれの地方自治体によって指定された基準窓を通って入る最大放射照度よりも決して大きくならないように設計され得る。開示された実施形態では、予測制御ロジックは、特定の色合いレベルにおけるエレクトロクロミック窓505の太陽熱利得係数(SHGC)値及び基準窓のSHGCを使用して、色合いレベルを使用するエネルギー節約を決定してもよい。概して、SHGCの値は、窓を通って透過される全ての波長の入射光の割合である。基準ガラスが多くの実施形態で記載されているが、他の標準的な基準窓が使用され得る。概して、基準窓(例えば、基準ガラス)のSHGCは、異なる地理的な位置及び窓の向きに対して異なり得る変数であり、それぞれの地方自治体によって指定される条例の要件に基づく。
【0079】
概して、建物は、任意の所与の場合において必要とされる最大の予測された暖房及び/または空調負荷を満たすための能力を有するHVACを有するように設計される。必要とされる能力の計算は、建物が建設されている特定の位置における、建物の中で必要とされる基準ガラスまたは基準窓を考慮に入れ得る。したがって、建物の設計者がどれほどのHVAC能力を特定の建物に入れるのかを、確信を持って決定することを可能にするために、予測制御ロジックが基準ガラスの機能的要件を満たすか、またはそれを超えることが重要である。予測制御ロジックは、窓の色合いを調節して、基準ガラスよりもさらなるエネルギー節約を提供するために使用され得るため、予測制御ロジックは、建物の設計者が、条例及び基準によって指定される基準ガラスを使用して必要とされていたであろうよりも低いHVAC能力を有することを可能にするのに有用であり得る。
【0080】
本明細書に記載される特定の実施形態は、エネルギー節約が建物の中の空調負荷を低減することによって達成されると仮定する。したがって、実装の多くは、可能な限り最大の色合い調節を達成するように試みると同時に、考慮している窓を有する室内の居住者の快適さレベル及びおそらく照明負荷の主な要因となる。しかしながら、極北におけるような、かつ南の緯度に対するような、一部の気候において、暖房は、空調よりも重要であり得る。したがって、予測制御ロジックは、建物の暖房負荷が低減されることを確実にするために、あまり色合い調節が生じないように修正され得、特に、一部の状況においては負荷が逆にされる。
【0081】
ある特定の実装では、予測制御ロジックは、居住者(エンドユーザ)、建物の設計者、または建物の運営者によって制御され得る、2つの独立した変数のみを有する。これらは、所与の窓に対する空間の種類及び所与の窓と関連した基準ガラスである。多くの場合、基準ガラスは、予測制御ロジックが所与の建物に対して実装されるときに指定される。空間の種類は異なり得るが、典型的には固定されている。ある特定の実装では、空間の種類は、建物によって維持されるか、またはローカル窓コントローラ450中に記憶される、構成ファイルの一部であってもよい。場合によっては、構成ファイルは、建物の中の種々の変化を説明するように更新されてもよい。例えば、建物の中の空間の種類の変化(例えば、オフィス内で動かされた机、机の追加、オフィスエリアに変更されたロビー、動かされた壁など)があった場合、修正された占有ルックアップテーブルを含む、更新された構成ファイルが、コンピュータ可読媒体470中に記憶されてもよい。別の例として、居住者がマニュアルオーバーライドを繰り返し押している場合、構成ファイルは、マニュアルオーバーライドを反映するために更新されてもよい。
【0082】
図7は、実施形態に従った、建物の中の1つ以上のエレクトロクロミック窓505を制御する方法のための予測制御ロジックを示す、フローチャートである。予測制御ロジックは、モジュールA、B、及びCのうちの1つ以上を使用して、窓(複数可)に対する色合いレベルを計算し、窓(複数可)を移行させる命令を送信する。制御ロジックにおける計算は、ステップ610でタイマーによって時間が測られた間隔で1からn回実行される。例えば、色合いレベルは、モジュールA、B、及びCのうちの1つ以上によって、1からn回で再計算され得、例えば、時間t=t、t…tで計算され得る。nは、実施される再計算の数であり、nは、少なくとも1であり得る。ロジック計算は、場合によっては、一定の時間間隔で行われ得る。ある場合において、ロジック計算は、2~5分毎に行われてもよい。しかしながら、大型のエレクトロクロミックガラスに対する色合い移行は、最大で30分またはそれ以上かかる可能性がある。これらの大型の窓に対して、計算は、30分毎など、より低い頻度で行われてもよい。
【0083】
ステップ620において、ロジックモジュールA、B、及びCは、単一の瞬間tiにおいて、各エレクトロクロミック窓505に対する色合いレベルを決定するために、計算を実行する。これらの計算は、窓コントローラ450によって実施され得る。ある特定の実施形態では、予測制御ロジックは、実際の移行より前に、窓がどのように移行するべきかを予測的に計算する。これらの場合、モジュールA、B、及びCにおける計算は、移行が完了したあたりかその後の将来の時間に基づいてもよい。これらの場合、計算で使用される将来の時間は、色合い命令を受信した後、移行が完了することを可能にするのに十分である将来の時間であってもよい。これらの場合、コントローラは、実際の移行の前に、現時点で色合い命令を送信することができる。移行の完了によって、窓は、その時間に望ましい色合いレベルに移行していることになる。
【0084】
ステップ630において、予測制御ロジックは、モジュールA、B、及びCにおけるアルゴリズムを解除し、何らかの他の考慮事項に基づき、ステップ640においてオーバーライド色合いレベルを定義する、ある特定の種類のオーバーライドを可能にする。1つの種類のオーバーライドは、マニュアルオーバーライドである。これは、部屋を使用しているエンドユーザによって実装されるオーバーライドであり、特定の色合いレベル(オーバーライド値)が望ましいことを決定する。ユーザのマニュアルオーバーライド自体がオーバーライドされる状況があり得る。オーバーライドの一例は、高需要(または最大負荷)オーバーライドであり、それは、建物の中のエネルギー消費が低減される公益事業体の要件と関連している。例えば、大都市圏で特に暑い日に、その地方自治体のエネルギー生成及び送達システムに過度に重い負担をかけないために、地方自治体全体にわたってエネルギー消費を低減することが必要である場合がある。そのような場合、建物は、全ての窓が特に高い色合い調節レベルを有することを確実にするために、本明細書に記載される予測制御ロジックから色合いレベルをオーバーライドしてもよい。オーバーライドの別の例は、例えば、商用オフィスビルの週末など、室内に居住者がいない場合であり得る。これらの場合、建物は、居住者の快適さに関する1つ以上のモジュールを解除してもよく、全ての窓が、寒い天気のときに高い色合い調節レベル、及び暖かい天気のときに低い色合い調節レベルを有してもよい。
【0085】
ステップ650において、色合いレベルは、ネットワークを介して、建物の中の1つ以上のエレクトロクロミック窓505におけるエレクトロクロミックデバイス(複数可)に伝送される。ある特定の実施形態では、建物の全ての窓への色合いレベルの伝送は、効率性を考慮に入れて実装され得る。例えば、色合いレベルの再計算が、現在の色合いレベルからの色合いの変化が必要ではないことを示唆する場合、更新された色合いレベルを含む命令の伝送はない。別の例として、建物は、窓のサイズに基づき、領域に分割されてもよい。予測制御ロジックは、より大きい窓を含む領域に対してよりも頻繁に、より小さい窓を含む領域に対して色合いレベルを再計算してもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、建物全体の中の複数のエレクトロクロミック窓505に対する制御方法を実装するための図7のロジックは、単一デバイス、例えば、単一のマスター窓コントローラ上にあってもよい。このデバイスは、建物の中のありとあらゆる窓に対する計算を実施することができ、また個々のエレクトロクロミック窓505における1つ以上のエレクトロクロミックデバイスに、色合いレベルを伝送するためのインターフェースも提供する。
【0087】
また、実施形態の予測制御ロジックのある特定の適応コンポーネントがあってもよい。例えば、予測制御ロジックは、エンドユーザ(例えば、居住者)がどのように特定の時刻においてアルゴリズムをオーバーライドしようとし、望ましい色合いレベルを決定するために、より予測的な方法でこの情報を利用するのかを決定してもよい。ある場合において、エンドユーザは、壁面スイッチを使用して、毎日ある特定の時間に、予測ロジックによって提供される色合いレベルをオーバーライド値にオーバーライドしてもよい。予測制御ロジックは、これらの場合に関する情報を受信し、その時刻に色合いレベルをオーバーライド値に変化させるために、予測制御ロジックを変化させてもよい。
【0088】
図8は、図7からのブロック620の特定の実装を示す図である。この図は、単一の瞬間tiに対する特定のエレクトロクロミック窓505の最終の色合いレベルを計算するために、順に3つ全てのモジュールA、B、及びCを実施する方法を示す。最終の色合いレベルは、考慮している窓の最大の許容できる透過率であってもよい。図8はまた、モジュールA、B、及びCのいくつかの例示的な入力及び出力を含む。モジュールA、B、及びCにおける計算は、実施形態におけるローカル窓コントローラ450中の窓コントローラ450によって実施される。他の実施形態では、モジュールのうちの1つ以上は、別のプロセッサによって実施され得る。例示された実施形態は、使用されている3つ全てのモジュールA、B、及びCを示すが、他の実施形態は、モジュールA、B、及びCのうちの1つ以上を使用してもよく、または追加のモジュールを使用してもよい。
【0089】
ステップ700において、窓コントローラ450は、モジュールAを使用して、部屋500を透過する日光からの直接グレアを防止するために、居住者の快適さに対する色合いレベルを決定する。窓コントローラ450は、モジュールAを使用して、空の太陽の位置及び構成ファイルからの窓構成に基づき、部屋500に入る直射日光の侵入深さを計算する。太陽の位置は、建物の緯度及び経度、ならびに時刻及び日付に基づき計算される。占有ルックアップテーブル及び空間の種類は、特定の窓に対する構成ファイルから入力される。モジュールAは、Aからの色合いレベルをモジュールBに出力する。
【0090】
モジュールAの目的は、直射日光またはグレアが居住者またはその作業空間に当たらないことを確実にすることである。モジュールAからの色合いレベルは、この目的を達成するように決定される。モジュールB及びCにおける色合いレベルの後続の計算は、エネルギー消費を低減することができ、さらに大きい色合いを必要とする可能性がある。しかしながら、エネルギー消費に基づく色合いレベルの後続の計算が、居住者への妨げを回避するために必要とされるよりも小さい色合い調節を示唆する場合、予測ロジックは、居住者の快適さを確実にするために、計算されたより大きい透過率レベルが実行されることを回避する。
【0091】
ステップ800において、モジュールAで計算された色合いレベルは、モジュールBに入力される。色合いレベルは、晴天の条件下での放射照度(晴天放射照度)の予測に基づき計算される。窓コントローラ450は、モジュールBを使用して、構成ファイルからの窓の向きに基づき、かつ建物の緯度及び経度に基づき、エレクトロクロミック窓505に対する晴天放射照度を予測する。これらの予測はまた、時刻及び日付に基づく。オープンソースプログラムであるRADIANCEプログラムなどの好適に入手可能なソフトウェアが、晴天放射照度を予測するための計算を提供することができる。基準ガラスのSHGCもまた、構成ファイルからモジュールBに入力される。窓コントローラ450は、モジュールBを使用して、Aにおける色合いレベルよりも暗い色合いレベルを決定し、基準ガラスが最大晴天放射照度下で透過すると予測されるよりも少ない熱を伝達する。最大晴天放射照度は、晴天の条件に対して予測された全ての時間に対する最高の放射照度レベルである。
【0092】
ステップ900において、Bからの色合いレベル及び予測された晴天放射照度は、モジュールCに入力される。リアルタイムの放射照度値は、外部センサ510からの測定に基づき、モジュールCに入力される。窓コントローラ450は、窓が晴天の条件下でモジュールBからの色合いレベルに色合い調節された場合、モジュールCを使用して、室内に透過される放射照度を計算する。窓コントローラ450は、モジュールCを使用して、この色合いレベルで窓を通る実際の放射照度が、モジュールBからの色合いレベルで窓を通る放射照度以下である、適切な色合いレベルを見つける。モジュールCで決定された色合いレベルは、最終の色合いレベルである。
【0093】
予測制御ロジックに入力される情報のほとんどは、緯度及び経度、時間、ならびに日付に関する固定された情報から決定される。この情報は、太陽が建物に対して、より具体的には、予測制御ロジックが実装されている窓に対してどこにあるかを説明する。窓に対する太陽の位置は、窓が付いた室内に入る直射日光の侵入深さなどの情報を提供する。それはまた、窓を通って入る最大放射照度または太陽放射エネルギー束の指示も提供する。この計算された放射照度レベルは、放射照度の最大量からの低下があることを示し得るセンサ入力によって修正され得る。この場合もやはり、そのような低下は、窓と太陽との間の雲または他の障害物によって引き起こされ得る。
【0094】
図9は、図8のステップ700の詳細を示すフローチャートである。ステップ705でモジュールAが開始する。ステップ710において、窓コントローラ450は、モジュールAを使用して、建物の緯度及び経度の座標に対する太陽の位置、ならびに特定の瞬間tiの日付及び時刻を計算する。緯度及び経度の座標は、構成ファイルから入力されてもよい。日付及び時刻は、タイマーによって提供される現在の時間に基づいてもよい。太陽の位置は、場合によっては将来であってもよい特定の瞬間tiにおいて計算される。他の実施形態では、太陽の位置は、予測制御ロジックの別のコンポーネント(例えば、モジュール)において計算される。
【0095】
ステップ720において、窓コントローラ450は、モジュールAを使用して、ステップ710で使用される特定の瞬間における、部屋500に入る直射日光の侵入深さを計算する。モジュールAは、計算された太陽の位置、ならびに窓の位置、窓の寸法、窓の向き(すなわち、面している方向)、及び任意の外部日よけの詳細を含む、窓構成情報に基づき、侵入深さを計算する。窓構成情報は、エレクトロクロミック窓505と関連した構成ファイルから入力される。例えば、モジュールAは、特定の瞬間に計算された太陽の位置に基づき、直射日光の角度θを最初に計算することによって、図6Aに示される垂直の窓の侵入深さを計算するために使用され得る。侵入深さは、計算された角度θ及びまぐさ(窓の頂部)の位置に基づき、決定され得る。
【0096】
ステップ730において、ステップ720で計算された侵入深さに対する居住者の快適さを提供する色合いレベルが決定される。窓と関連した空間の種類に対する、計算された侵入深さに対する、かつ窓の受光角に対する望ましい色合いレベルを見つけるために、占有ルックアップテーブルが使用される。空間の種類及び占有ルックアップテーブルは、特定の窓に対する構成ファイルからの入力として提供される。
【0097】
占有ルックアップテーブルの一実施例が、図10に提供される。表中の値は、色合いレベル及び丸括弧内の関連SGHC値に関する。図10は、計算された透過値及び空間の種類の異なる組み合わせに対する異なる色合いレベル(SGHC値)を示す。表は、0(最も明るい)、5、10、15、20、25、30、及び35(最も明るい)を含む、8つの色合いレベルに基づく。0の最も明るい色合いレベルは、0.80のSGHC値に対応し、5の色合いレベルは、0.70のSGHC値に対応し、10の色合いレベルは、0.60のSGHC値に対応し、15の色合いレベルは、0.50のSGHC値に対応し、20の色合いレベルは、0.40のSGHC値に対応し、25の色合いレベルは、0.30のSGHC値に対応し、30の色合いレベルは、0.20のSGHC値に対応し、35の色合いレベル(最も暗い)は、0.10のSGHC値に対応する。例示された実施例は、3つの空間の種類:机1、机2、及びロビー、ならびに6つの侵入深さを含む。図11Aは、部屋500内の机1の位置を示す。図11Bは、部屋500内の机2の位置を示す。図10の占有ルックアップテーブルに示されるように、窓に近い机1に対する色合いレベルは、机が窓により近いときのグレアを回避するために、窓から離れた机2に対する色合いレベルよりも高い。他の実施形態において、他の値を含む占有ルックアップテーブルが使用されてもよい。例えば、1つの他の占有ルックアップテーブルは、透過値と関連した4つの色合いレベルのみを含んでもよい。4つの侵入深さと関連した4つの色合いレベルを含む占有テーブルの別の実施例が、図20に示される。
【0098】
図12は、図8のステップ800のさらなる詳細を示す図である。ステップ805でモジュールBが開始する。ステップ810において、tにおいて、晴天の条件下で、窓における放射照度を予測するために、モジュールBが使用され得る。tにおけるこの晴天放射照度は、建物の緯度及び経度の座標及び窓の向き(すなわち、窓が面している方向)に基づき予測される。ステップ820において、全ての時間における窓に入射する最大晴天放射照度が予測される。晴天放射照度のこれらの予測された値は、Radianceなどのオープンソースのソフトウェアを使用して計算され得る。
【0099】
ステップ830において、窓コントローラ450は、モジュールBを使用して、その時間に基準ガラスを通って部屋500に透過され得る放射照度の最大量を決定する(すなわち、最大基準内側放射照度を決定する)。方程式:最大基準内側放射照度=基準ガラスSHGC×最大晴天放射照度を使用して、空間内の最大放射照度を計算するために、ステップ820から計算された最大晴天放射照度及び構成ファイルからの基準ガラスSHGC値が使用され得る。
【0100】
ステップ840において、窓コントローラ450は、モジュールBを使用して、方程式に基づき、現在の色合いレベルを有する窓を有する部屋500への内側放射照度を決定する。ステップ810から計算された晴天放射照度及び現在の色合いレベルと関連したSHGC値は、方程式:色合いレベル放射照度=色合いレベルSHGC×晴天放射照度を使用して、内側放射照度の値を計算するために使用され得る。
【0101】
一実施形態では、1つ以上のステップ705、810、及び820は、モジュールA及びBとは別の太陽の位置計算機によって実施されてもよい。太陽の位置計算機は、特定の将来の時間における太陽の位置を決定し、その将来の時間における太陽の位置に基づき、予測的決定を行う(例えば、晴天放射照度を予測する)ロジックを指す。太陽の位置計算機は、本明細書に開示される方法のうちの1つ以上のステップを実施してもよい。太陽の位置計算機は、マスター窓コントローラ(例えば、図17に示されるマスター窓コントローラ1402)のコンポーネントのうちの1つ以上によって実施される、予測制御ロジックの一部分であってもよい。例えば、太陽の位置計算機は、窓コントローラ1410(図17に示される)によって実装される、図18に示される予測制御ロジックの一部であってもよい。
【0102】
ステップ850において、窓コントローラ450は、モジュールBを使用して、現在の色合いレベルに基づく内側放射照度が、最大基準内側放射照度以下であるかどうか、かつその色合いレベルがAからの色合いレベルよりも暗いかどうかを決定する。決定がいいえである場合、現在の色合いレベルは、ステップ860において徐々に増加し(暗くなり)、内側放射照度は、ステップ840において再計算される。ステップ850において決定がはいである場合、モジュールBは終了する。
【0103】
図13は、図8のステップ900のさらなる詳細を示す図である。ステップ905でモジュールCは開始する。Bからの色合いレベル及び瞬間tにおける予測された晴天放射照度は、モジュールBから入力される。リアルタイムの放射照度値は、外部センサ510からの測定に基づき、モジュールCに入力される。
【0104】
ステップ910において、窓コントローラ450は、モジュールCを使用して、晴天の条件下で、Bからの色合いレベルに色合い調節されたエレクトロクロミック窓505を通って室内に透過される、放射照度を計算する。この計算された内側放射照度は、方程式:計算された内側放射照度=Bからの色合いレベルのSHGC×Bからの予測された晴天放射照度を使用して、決定され得る。
【0105】
ステップ920において、窓コントローラ450は、モジュールCを使用して、この色合いレベルを有する窓を通る実際の放射照度(=SR×色合いレベルSHGC)が、Bからの色合いレベルを有する窓を通る放射照度以下である、適切な色合いレベルを見つける(すなわち、実際の内側放射照度≦計算された内側放射照度)。場合によっては、モジュールロジックは、Bからの色合いレベルで始まり、実際の内側放射照度≦計算された内側放射照度まで、色合いレベルを徐々に増加させる。モジュールCで決定された色合いレベルは、最終の色合いレベルである。この最終の色合いレベルは、ネットワークを介して、エレクトロクロミック窓505中のエレクトロクロミックデバイス(複数可)に、色合い命令中で伝送されてもよい。
【0106】
図14は、図7からのブロック620の別の実装を含む図である。この図は、実施形態のモジュールA、B、及びCを実施する方法を示す。この方法において、太陽の位置は、単一の瞬間tiに対する建物の緯度及び経度の座標に基づき計算される。侵入深さは、窓の位置、窓の寸法、窓の向き、及び任意の外部日よけに関する情報を含む窓構成に基づき、モジュールAにおいて計算される。モジュールAは、ルックアップテーブルを使用して、計算された透過及び空間の種類に基づき、Aからの色合いレベルを決定する。次いで、Aからの色合いレベルは、モジュールBに入力される。
【0107】
単一の瞬間ti及び全ての時間に対する最大値の両方に対する建物の窓の向き及び緯度及び経度の座標に基づき、晴天放射照度を決定するために、オープンソースのプログラムRadianceなどのプログラムが使用される。基準ガラスSHGC及び計算された最大晴天放射照度は、モジュールBに入力される。モジュールBは、ステップにおいてモジュールAで計算された色合いレベルを増加させ、内側放射線が基準内側放射照度以下である、色合いレベルを選び、ここで、内側放射照度=色合いレベルSHGC×晴天放射照度、及び基準内側放射照度=基準SHGC×最大晴天放射照度である。しかしながら、モジュールAがガラスの最大色合いを計算するとき、モジュールBは、色合いがより明るくなるように変化させない。次いで、Bで計算された色合いレベルは、モジュールCに入力される。予測された晴天放射照度もまた、モジュールCに入力される。
【0108】
モジュールCは、方程式:計算された内側放射照度=Bからの色合いレベルSHGC×Bからの予測された晴天放射照度を使用して、Bからの色合いレベルを含むエレクトロクロミック窓505を有する室内の内側放射照度を計算する。次いで、モジュールCは、実際の内側放射照度が計算された内側放射照度以下である条件を満たす、適切な色合いレベルを見つける。実際の内側放射照度は、方程式:実際の内側放射照度=SR×色合いレベルSHGCを使用して決定される。モジュールCによって決定された色合いレベルは、エレクトロクロミック窓505に送信される色合い命令中の最終の色合いレベルである。
【0109】
IV.建物管理システム(BMS)
【0110】
本明細書に記載される窓コントローラはまた、BMSとの一体化に適している。BMSは、換気装置、照明、電力システム、エレベータ、火災システム、及びセキュリティシステムなど、建物の機械及び電気設備を監視及び制御する、建物に取り付けられたコンピューターベースの制御システムである。BMSは、コンピュータまたは複数のコンピュータへの通信チャネルによる相互接続を含む、ハードウェア、ならびに居住者及び/または建物の管理者によって設定される好みに従って、建物の中の条件を維持するための関連したソフトウェアからなる。例えば、BMSは、イーサネット(登録商標)などのローカルエリアネットワークを使用して実装されてもよい。ソフトウェアは、例えば、インターネットプロトコル及び/またはオープンスタンダードに基づいてもよい。ソフトウェアの一例は、Tridium,Inc.(Richmond,Virginia)からのソフトウェアである。BMSと一般的に使用される1つの通信プロトコルは、BACnet(ビルディング自動化制御ネットワーク)である。
【0111】
BMSは、大型の建物では最も一般的であり、典型的には、少なくとも建物内の環境を制御する働きをする。例えば、BMSは、建物内の温度、二酸化炭素レベル、及び湿度を管理し得る。典型的には、ヒータ、エアコン、送風機、通気口など、BMSによって制御される多くの機械的デバイスがある。建物環境を制御するために、BMSは、定義された条件下でこれらの種々のデバイスをオン及びオフにし得る。典型的な現代のBMSの主要な機能は、建物の居住者に対する快適な環境を維持しながら、暖房及び冷房費用/需要を最小限に抑えることである。したがって、現代のBMSは、例えば、エネルギーを節約し、建物運営費を下げるために、監視及び制御するためだけではなく、種々のシステム間の相乗効果を最適化するためにも使用される。
【0112】
いくつかの実施形態では、窓コントローラは、BMSと一体化され、窓コントローラは、1つ以上のエレクトロクロミック窓505または他の色合い調節可能な窓を制御するように構成される。一実施形態では、1つ以上のエレクトロクロミック窓は、少なくとも1つの全固体型及び無機エレクトロクロミックデバイスを含む。一実施形態では、1つ以上のエレクトロクロミック窓は、全固体型及び無機の窓のみを含む。一実施形態では、エレクトロクロミック窓は、2010年8月5日出願の、"Multipane Electrochromic Windows"と題する、米国特許出願第12/851,514号に記載されるような、多状態エレクトロクロミック窓である。
【0113】
図15は、セキュリティシステム、暖房/換気装置/空調(HVAC)、建物の照明、電力システム、エレベータ、火災システムなどを含む、建物1101の多くのシステムを管理する、BMS1100の一実施形態の概略図を示す。セキュリティシステムは、磁気カードアクセス、ターンスタイル、ソレノイド駆動ドアロック、監視カメラ、盗難警報器、金属探知器などを含んでもよい。火災システムは、火災警報器及び給水配管制御を含む消火システムを含んでもよい。照明システムは、内部照明、外部照明、緊急警報灯、避難口サイン、非常脱出口フロアライトを含んでもよい。電力システムは、主電力、予備発電機、及び連続電源(UPS)グリッドを含んでもよい。
【0114】
また、BMS1100は、マスター窓コントローラ1102を管理する。本実施例では、マスター窓コントローラ1102は、マスターネットワークコントローラ1103と、中間ネットワークコントローラ1105a及び1105bと、エンドまたはリーフコントローラ1110とを含む、窓コントローラの分散型ネットワークとして図示される。エンドまたはリーフコントローラ1110は、図4に関して記載される窓コントローラ450と同様であってもよい。例えば、マスターネットワークコントローラ1103は、BMS1100に近接してもよく、建物1101の各フロアが、1つ以上の中間ネットワークコントローラ1105a及び1105bを有してもよい一方で、建物の各窓は、その独自のエンドコントローラ1110を有する。本実施例では、コントローラ1110のそれぞれは、建物1101の特定のエレクトロクロミック窓を制御する。
【0115】
コントローラ1110のそれぞれは、それが制御するエレクトロクロミック窓とは別の位置にあってもよく、またはエレクトロクロミック窓に組み込まれてもよい。簡単にするために、建物1101の10個のエレクトロクロミック窓のみが、マスター窓コントローラ1102によって制御されているように図示される。典型的な設定において、建物の中には、マスター窓コントローラ1102によって制御される多数のエレクトロクロミック窓がある場合がある。マスター窓コントローラ1102は、窓コントローラの分散型ネットワークである必要はない。例えば、単一のエレクトロクロミック窓の機能を制御するシングルエンドコントローラもまた、上記の通り、本明細書に開示される実施形態の範囲内に入る。本明細書に記載されるエレクトロクロミック窓コントローラをBMSと一体化する利点及び特徴は、必要に応じて、以下により詳細に、かつ図15と関連して記載される。
【0116】
開示された実施形態の一態様は、本明細書に記載される多目的エレクトロクロミック窓コントローラを含む、BMSである。エレクトロクロミック窓コントローラからのフィードバックを組み込むことによって、エレクトロクロミック窓が自動的に制御され得るため、BMSは、例えば、強化された:1)環境制御、2)エネルギー節約、3)セキュリティ、4)制御オプションの柔軟性、5)他のシステムへのより少ない依存、したがってより少ないそのメンテナンスによる、他のシステムの信頼性及び使用可能時間の改善、6)情報の入手可能性及び診断、7)スタッフの効果的な使用、ならびにこれらの種々の組み合わせを提供することができる。
【0117】
いくつかの実施形態では、BMSは存在しない場合があるか、またはBMSは存在し得るが、マスターネットワークコントローラと通信しない、もしくはマスターネットワークコントローラと高レベルで通信しない場合がある。いくつかの実施形態では、エレクトロクロミック窓が自動的に制御され得るため、マスターネットワークコントローラは、例えば、強化された:1)環境制御、2)エネルギー節約、3)制御オプションの柔軟性、4)他のシステムへのより少ない依存、したがってより少ないそのメンテナンスによる、他のシステムの信頼性及び使用可能時間の改善、5)情報の入手可能性及び診断、6)スタッフの効果的な使用、ならびにこれらの種々の組み合わせを提供することができる。これらの実施形態では、BMSのメンテナンスは、エレクトロクロミック窓の制御を妨げない。
【0118】
図16は、建物のための建物ネットワーク1200の一実施形態のブロック図を示す。上記の通り、ネットワーク1200は、BACnetを含む、任意の数の異なる通信プロトコルを採用してもよい。示されるように、建物ネットワーク1200は、マスターネットワークコントローラ1205と、照明制御パネル1210と、建物管理システム(BMS)1215と、セキュリティ制御システム1220と、ユーザコンソール1225とを含む。建物の中のこれらの異なるコントローラ及びシステムは、建物のHVACシステム1230、光1235、セキュリティセンサ1240、ドアロック1245、カメラ1250、及び色合い調節可能な窓1255からの入力を受信する、及び/またはそれらを制御するために使用されてもよい。
【0119】
マスターネットワークコントローラ1205は、図15に関して記載されるマスターネットワークコントローラ1103と同じ方法で、機能してもよい。照明制御パネル1210は、内部照明、外部照明、緊急警報灯、避難口サイン、及び非常脱出口フロアライトを制御するための回路を含んでもよい。照明制御パネル1210はまた、建物の室内の占有センサを含んでもよい。BMS1215は、ネットワーク1200の他のシステム及びコントローラからのデータを受信し、かつそれらにコマンドを発行する、コンピュータサーバを含んでもよい。例えば、BMS1215は、マスターネットワークコントローラ1205、照明制御パネル1210、及びセキュリティ制御システム1220のそれぞれからのデータを受信し、かつそれらにコマンドを発行してもよい。セキュリティ制御システム1220は、磁気カードアクセス、ターンスタイル、ソレノイド駆動ドアロック、監視カメラ、盗難警報器、金属探知器などを含んでもよい。ユーザコンソール1225は、建物の異なるシステムの操作のスケジュールを立てる、異なるシステムを制御、監視、最適化、及びトラブルシューティングするために、建物の管理者によって使用され得る、コンピュータ端末であってもよい。Tridium,Inc.からのソフトウェアは、ユーザコンソール1225に対する異なるシステムからのデータの視覚表示を生成してもよい。
【0120】
異なる制御のそれぞれは、個々のデバイス/装置を制御してもよい。マスターネットワークコントローラ1205は、窓1255を制御する。照明制御パネル1210は、光1235を制御する。BMS1215は、HVAC1230を制御してもよい。セキュリティ制御システム1220は、セキュリティセンサ1240、ドアロック1245、及びカメラ1250を制御する。データは、建物ネットワーク1200の一部である、全ての異なるデバイス/装置とコントローラとの間で交換及び/または共有されてもよい。
【0121】
場合によっては、BMS1100または建物ネットワーク1200のシステムは、日毎、月毎、四半期毎、または年毎のスケジュールに従って動作してもよい。例えば、照明制御システム、窓制御システム、HVAC、及びセキュリティシステムは、人々が仕事日に建物の中にいるときを把握する、24時間スケジュールで動作してもよい。夜間、建物は、エネルギー節約モードに入ってもよく、日中、システムは、建物のエネルギー消費を最小限に抑えると同時に、居住者の快適さを提供する方法で動作してもよい。別の例として、システムは、休暇期間にわたって停止してもよく、またはエネルギー節約モードに入ってもよい。
【0122】
スケジューリング情報は、地理的情報と組み合わされてもよい。地理的情報は、建物の緯度及び経度を含んでもよい。地理的情報はまた、建物の各側面が面する方向に関する情報を含んでもよい。そのような情報を使用して、建物の異なる側面上の異なる部屋は、異なる方法で制御されてもよい。例えば、冬に建物の東に面している部屋に対して、窓コントローラは、部屋が室内に差し込む日光によって暖まるように、午前中に色合いを有しないように窓に命令してもよく、照明制御パネルは、日光からの照明によって、光を暗くするように命令してもよい。西に面している窓は、西側の窓の色合いがエネルギー節約に何の影響も有し得ないため、午前中に部屋の居住者によって制御可能であってもよい。しかしながら、東に面している窓及び西に面している窓の操作モードは、夜に切り換わってもよい(例えば、太陽が沈みかけているとき、西に面している窓は、暖房及び照明の両方のために日光が入ることを可能にするように、色合い調節されない)。
【0123】
建物ネットワークまたはBMS、建物の外部窓のための色合い調節可能な窓(すなわち、建物の外部から建物の内部を分離する窓)、及び多くの異なるセンサを含む、例えば、図15の建物1101のような建物の一実施例が、以下に記載される。建物の外部窓からの光は、概して、窓から約20フィートまたは約30フィートの建物の中の内部照明に対する影響がある。すなわち、外部窓から約20フィートまたは約30フィートを超える建物の中の空間は、外部窓からの光をほとんど受けない。建物の中の外部窓から離れたそのような空間は、建物の照明システムによって照らされる。
【0124】
さらに、建物内の温度は、外部光及び/または外部温度の影響を受ける可能性がある。例えば、寒い日に、建物が暖房システムによって暖められているとき、ドア及び/または窓により近い部屋は、建物の内部領域よりも速く熱を失い、かつ内部領域と比較してより低温になる。
【0125】
外部センサに関して、建物は、建物の屋根の上の外部センサを含んでもよい。あるいは、建物は、各外部窓と関連した外部センサ(例えば、図5、部屋500に関して記載されるような)、または建物の各側面の外部センサを含んでもよい。建物の各側面の外部センサは、1日を通して太陽が位置を変化させるにつれて、建物の一側面上の放射照度を追跡し得る。
【0126】
図7図8図9図12図13、及び図14に関して記載される方法に関して、窓コントローラが建物ネットワークまたはBMSに組み込まれるとき、外部センサ510からの出力は、BMSのネットワークに入力され、ローカル窓コントローラ450への入力として提供されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、任意の2つ以上のセンサからの出力信号が受信される。いくつかの実施形態では、1つの出力信号のみが受信され、いくつかの他の実施形態では、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の出力が受信される。これらの出力信号は、建物ネットワークまたはBMSを介して受信されてもよい。
【0127】
いくつかの実施形態では、受信される出力信号は、建物内の暖房システム、冷房システム、及び/または照明によるエネルギーまたは電力消費を示す信号を含む。例えば、建物の暖房システム、冷房システム、及び/または照明のエネルギーまたは電力消費は、エネルギーまたは電力消費を示す信号を提供するために監視されてもよい。デバイスは、この監視を可能にするために、建物の回路及び/または配線とインターフェースがとられてもよく、またはそれに取り付けられてもよい。あるいは、建物の中の電力システムは、建物内の個々の部屋または建物内の部屋の群に対する、暖房システム、冷房システム、及び/または照明によって消費される電力が、監視され得るように取り付けられてもよい。
【0128】
色合い命令は、決定された色合いレベルに色合い調節可能な窓の色合いを変化させるために提供され得る。例えば、図15を参照すると、これは、1つ以上の中間ネットワークコントローラ1105a及び1105bにコマンドを発行するマスターネットワークコントローラ1103を含んでもよく、次いで、それらは、建物の各窓を制御するエンドコントローラ1110にコマンドを発行する。エンドコントローラ1100は、命令に従って色合いの変化を促すために、窓に電圧及び/または電流を印加してもよい。
【0129】
いくつかの実施形態では、エレクトロクロミック窓及びBMSを含む建物は、建物に電力を提供する公益事業体または複数の公益事業体によって実行される需要応答プログラムに登録されてもよく、またはそれに参加してもよい。プログラムは、最大負荷発生が予想されたとき、建物のエネルギー消費が低減されるプログラムであってもよい。公益事業体は、予想された最大負荷発生の前に警告信号を送信してもよい。例えば、警告は、予想された最大負荷発生の1日前、その朝、または約1時間前に送信されてもよい。最大負荷発生は、例えば、冷房システム/エアコンが公益事業体から大量の電力を使用している暑い夏の日に生じることが予想される。警告信号は、建物のBMSによって、または建物の中のエレクトロクロミック窓を制御するように構成される窓コントローラによって受信されてもよい。この警告信号は、図7に示されるように、モジュールA、B、及びCを解除するオーバーライド機構であってもよい。次いで、BMSは、最大負荷が予想されるときに、建物の中の冷房システムの電力使用の減少を補助する暗い色合いレベルに、エレクトロクロミック窓505中の適切なエレクトロクロミックデバイスを移行させるように、窓コントローラ(複数可)に命令することができる。
【0130】
いくつかの実施形態では、建物の外部窓のための色合い調節可能な窓(すなわち、建物の外部から建物の内部を分離する窓)は、領域に分類されてもよく、領域中の色合い調節可能な窓は、同様の方法で命令される。例えば、建物の異なるフロアまたは建物の異なる側面のエレクトロクロミック窓の群は、異なる領域中にあってもよい。例えば、建物の1階において、東に面しているエレクトロクロミック窓の全てが、領域1にあってもよく、南に面しているエレクトロクロミック窓の全てが、領域2にあってもよく、西に面しているエレクトロクロミック窓の全てが、領域3にあってもよく、北に面しているエレクトロクロミック窓の全てが、領域4にあってもよい。別の例として、建物の1階のエレクトロクロミック窓の全てが、領域1にあってもよく、2階のエレクトロクロミック窓の全てが、領域2にあってもよく、3階のエレクトロクロミック窓の全てが、領域3にあってもよい。さらに別の例として、東に面しているエレクトロクロミック窓の全てが、領域1にあってもよく、南に面しているエレクトロクロミック窓の全てが、領域2にあってもよく、西に面しているエレクトロクロミック窓の全てが、領域3にあってもよく、北に面しているエレクトロクロミック窓の全てが、領域4にあってもよい。さらに別の例として、1つの階の東に面しているエレクトロクロミック窓が、異なる領域に分割されてもよい。建物の同じ側面及び/もしくは異なる側面、ならびに/または異なるフロアの任意の数の色合い調節可能な窓が、領域に割り当てられてもよい。
【0131】
いくつかの実施形態では、ある領域中のエレクトロクロミック窓は、同じ窓コントローラによって制御されてもよい。いくつかの他の実施形態では、領域中のエレクトロクロミック窓は、異なる窓コントローラによって制御されてもよいが、窓コントローラは全て、センサからの同じ出力信号を受信し、同じ機能またはルックアップテーブルを使用して、領域中の窓に対する色合いレベルを決定してもよい。
【0132】
いくつかの実施形態では、ある領域中のエレクトロクロミック窓は、透過率センサからの出力信号を受信する窓コントローラまたは複数のコントローラによって制御されてもよい。いくつかの実施形態では、透過率センサは、領域中の窓に近接して載置されてもよい。例えば、透過率センサは、領域中に含まれる(例えば、フレームの水平サッシである、中方立て上または外に載置される)、IGUを含有するフレーム中または上に載置されてもよい。いくつかの他の実施形態では、建物の単一側面上の窓を含む領域中のエレクトロクロミック窓は、透過率センサからの出力信号を受信する窓コントローラまたは複数のコントローラによって制御されてもよい。
【0133】
いくつかの実施形態では、センサ(例えば、光センサ)は、第1の領域(例えば、マスター制御領域)のエレクトロクロミック窓505を制御するために、窓コントローラに出力信号を提供してもよい。窓コントローラはまた、第1の領域と同じ方法で、第2の領域(例えば、スレーブ制御領域)中のエレクトロクロミック窓505を制御してもよい。いくつかの他の実施形態では、別の窓コントローラが、第1の領域と同じ方法で、第2の領域中のエレクトロクロミック窓505を制御してもよい。
【0134】
いくつかの実施形態では、建物の管理者、第2の領域中の部屋の居住者、または他の人物が、着色状態(レベル)または透明状態などの色合いレベルを入力するために、第2の領域(すなわち、スレーブ制御領域)中のエレクトロクロミック窓に手動で命令してもよい(例えば、色合いもしくは透明コマンド、またはBMSのユーザコンソールからのコマンドを使用して)。いくつかの実施形態では、第2の領域中の窓の色合いレベルが、そのようなマニュアルコマンドでオーバーライドされるとき、第1の領域(すなわち、マスター制御領域)中のエレクトロクロミック窓は、透過率センサからの出力を受信する窓コントローラの制御下のままである。第2の領域は、ある期間にわたってマニュアルコマンドモードのままであり、次いで、透過率センサからの出力を受信する窓コントローラの制御下に戻ってもよい。例えば、第2の領域は、オーバーライドコマンドを受信した後1時間にわたって、マニュアルモードのままであってもよく、次いで、透過率センサからの出力を受信する窓コントローラの制御下に戻ってもよい。
【0135】
いくつかの実施形態では、建物の管理者、第1の領域中の部屋の居住者、または他の人物が、着色状態または透明状態などの色合いレベルを入力するために、第1の領域(すなわち、マスター制御領域)中の窓に手動で命令してもよい(例えば、色合いコマンド、またはBMSのユーザコンソールからのコマンドを使用して)。いくつかの実施形態では、第1の領域中の窓の色合いレベルが、そのようなマニュアルコマンドでオーバーライドされるとき、第2の領域(すなわち、スレーブ制御領域)中のエレクトロクロミック窓は、外部センサからの出力を受信する窓コントローラの制御下のままである。第1の領域は、ある期間にわたってマニュアルコマンドモードのままであり、次いで、透過率センサからの出力を受信する窓コントローラの制御下に戻ってもよい。例えば、第1の領域は、オーバーライドコマンドを受信した後1時間にわたって、マニュアルモードのままであってもよく、次いで、透過率センサからの出力を受信する窓コントローラの制御下に戻ってもよい。いくつかの他の実施形態では、第2の領域中のエレクトロクロミック窓は、第1の領域に対するマニュアルオーバーライドが受信されるとき、それらが入っている色合いレベルのままであってもよい。第1の領域は、ある期間にわたってマニュアルコマンドモードのままであってもよく、次いで、第1の領域及び第2の領域の両方が、透過率センサからの出力を受信する窓コントローラの制御下に戻ってもよい。
【0136】
窓コントローラが独立型窓コントローラであるか、または建物ネットワークとインターフェースがとられているかどうかにかかわらず、色合い調節可能な窓の制御の本明細書に記載される方法のいずれも、色合い調節可能な窓の色合いを制御するために使用され得る。
【0137】
無線または有線通信
【0138】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される窓コントローラは、窓コントローラ、センサ、及び別個の通信ノードとの間の有線または無線通信のためのコンポーネントを含む。無線または有線通信は、窓コントローラと直接インターフェースをとる通信インターフェースで達成されてもよい。そのようなインターフェースは、マイクロプロセッサに固有であるか、またはこれらの機能を可能にする追加の回路を介して提供され得る。
【0139】
無線通信のための別個の通信ノードは、例えば、別の無線窓コントローラ、エンド、中間、もしくはマスター窓コントローラ、遠隔制御デバイス、またはBMSであってもよい。無線通信は、以下の動作のうちの少なくとも1つのために、窓コントローラで使用される:エレクトロクロミック窓505のプログラミング及び/または操作、種々のセンサからのEC窓505からのデータ及び本明細書に記載されるプロトコルの収集、ならびに無線通信のための中継点としてのエレクトロクロミック窓505の使用。エレクトロクロミック窓505によって収集されるデータはまた、ECデバイスが作動された回数、経時的なECデバイスの効率性などの計算データを含んでもよい。これらの無線通信特徴は、以下により詳細に記載される。
【0140】
一実施形態では、無線通信は、例えば、赤外線(IR)、及び/または無線周波数(RF)信号を介して、関連したエレクトロクロミック窓505を動作させるために使用される。ある特定の実施形態では、コントローラは、Bluetooth(登録商標)、EnOcean、WiFi、Zigbee(登録商標)などの無線プロトコルチップを含む。窓コントローラはまた、ネットワークを介した無線通信を有してもよい。窓コントローラへの入力は、直接あるいは無線通信を介して、壁面スイッチにおいてエンドユーザによって手動で入力され得るか、または入力は、エレクトロクロミック窓が1つのコンポーネントである建物のBMSからであってもよい。
【0141】
一実施形態では、窓コントローラがコントローラの分散型ネットワークの一部であるとき、無線通信は、それぞれが無線通信コンポーネントを有する、コントローラの分散型ネットワークを介して、複数のエレクトロクロミック窓のそれぞれに/からデータを伝送するために使用される。例えば、再び図15を参照すると、マスターネットワークコントローラ1103は、中間ネットワークコントローラ1105a及び1105bのそれぞれと無線通信し、次いでそれらは、それぞれがエレクトロクロミック窓と関連しているエンドコントローラ1110と無線通信する。マスターネットワークコントローラ1103はまた、BMS1100と無線通信してもよい。一実施形態では、窓コントローラ中の少なくとも1つの通信レベルは、無線で実施される。
【0142】
いくつかの実施形態では、窓コントローラ分散型ネットワークにおいて、2つ以上の無線通信モードが使用される。例えば、マスター窓コントローラは、WiFiまたはZigbeeを介して中間コントローラに無線通信してもよい一方で、中間コントローラは、Bluetooth、Zigbee、EnOcean、または他のプロトコルを介してエンドコントローラと通信する。別の例では、窓コントローラは、無線通信のためのエンドユーザの選択の柔軟性のために、冗長無線通信システムを有する。
【0143】
例えば、マスター及び/または中間窓コントローラとエンド窓コントローラとの間の無線通信は、ハード通信線の取り付けを除去する利点を提供する。これはまた、窓コントローラとBMSとの間の無線通信にも当てはまる。一態様では、これらの役割における無線通信は、窓を動作させ、例えば、建物中の環境保全及びエネルギー節約を最適化するためのBMSにデータを提供するための、エレクトロクロミック窓へ/からのデータ転送に有用である。窓の位置データならびにセンサからのフィードバックは、そのような最適化のために相乗作用する。例えば、粒度の細かいレベル(窓毎)の微気候情報は、建物の種々の環境を最適化するために、BMSに提供される。
【0144】
VI.色合い調節可能な窓の機能を制御するためのシステムの実施例
【0145】
図17は、実施形態に従った、建物(例えば、図15に示される建物1101)の1つ以上の色合い調節可能な窓の機能(例えば、異なる色合いレベルへの移行)を制御するための、システム1400のコンポーネントのブロック図である。システム1400は、BMS(例えば、図15に示されるBMS1100)によって管理されるシステムのうちの1つであってもよく、またはBMSとは無関係に動作してもよい。
【0146】
システム1400は、色合い調節可能な窓に制御信号を送信し、その機能を制御することができる、マスター窓コントローラ1402を含む。システム1400はまた、マスター窓コントローラ1402と電子通信しているネットワーク1410も含む。色合い調節可能な窓(複数可)の機能を制御するための予測制御ロジック、他の制御ロジック、及び命令、ならびに/またはセンサデータは、ネットワーク1410を介して、マスター窓コントローラ1402に通信されてもよい。ネットワーク1410は、有線または無線ネットワーク(例えば、クラウドネットワーク)であってもよい。一実施形態では、ネットワーク1410は、BMSが、ネットワーク1410を介して、建物の中の色合い調節可能な窓(複数可)に、色合い調節可能な窓(複数可)を制御するための命令を送信することを可能にするために、BMSと通信していてもよい。
【0147】
システム1400はまた、色合い調節可能な窓(図示せず)のECデバイス400と、壁面スイッチ1490とを含み、両方が、マスター窓コントローラ1402と電子通信している。この図示された実施例において、マスター窓コントローラ1402は、ECデバイス(複数可)400を有する色合い調節可能な窓の色合いレベルを制御するために、ECデバイス(複数可)400に制御信号を送信することができる。各壁面スイッチ1490もまた、ECデバイス(複数可)400及びマスター窓コントローラ1402と通信している。エンドユーザ(例えば、色合い調節可能な窓を有する部屋の居住者)は、壁面スイッチ1490を使用して、ECデバイス(複数可)400を有する色合い調節可能な窓の色合いレベル及び他の機能を制御することができる。
【0148】
図17中、マスター窓コントローラ1402は、マスターネットワークコントローラ1403と、マスターネットワークコントローラ1403と通信している複数の中間ネットワークコントローラ1405と、複数のエンドまたはリーフ窓コントローラ1410とを含む、窓コントローラの分散型ネットワークとして示される。各複数のエンドまたはリーフ窓コントローラ1410は、単一の中間ネットワークコントローラ1405と通信している。マスター窓コントローラ1402は、窓コントローラの分散型ネットワークとして図示されているが、マスター窓コントローラ1402はまた、他の実施形態において、単一の色合い調節可能な窓の機能を制御する、単一の窓コントローラであってもよい。図17のシステム1400のコンポーネントは、図15に関して記載されるコンポーネントといくつかの点で同様であってもよい。例えば、マスターネットワークコントローラ1403は、マスターネットワークコントローラ1103と同様であってもよく、中間ネットワークコントローラ1405は、中間ネットワークコントローラ1105と同様であってもよい。図17の分散型ネットワーク中の窓コントローラのそれぞれは、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)と、プロセッサと電気通信しているコンピュータ可読媒体とを含んでもよい。
【0149】
図17中、各リーフまたはエンド窓コントローラ1410は、単一の色合い調節可能な窓のECデバイス(複数可)400と通信し、建物の中のその色合い調節可能な窓の色合いレベルを制御する。IGUの場合、リーフまたはエンド窓コントローラ1410は、IGUの色合いレベルを制御するために、IGUの複数のライト上のECデバイス400と通信していてもよい。他の実施形態では、各リーフまたはエンド窓コントローラ1410は、複数の色合い調節可能な窓と通信していてもよい。リーフまたはエンド窓コントローラ1410は、色合い調節可能な窓に組み込まれてもよく、またはそれが制御する色合い調節可能な窓とは別個であってもよい。図17のリーフ及びエンド窓コントローラ1410は、図15のエンドまたはリーフコントローラ1110と同様であってもよく、及び/または図4に関して記載される窓コントローラ450とも同様であってもよい。
【0150】
各壁面スイッチ1490は、壁面スイッチ1490と通信している色合い調節可能な窓の色合いレベル及び他の機能を制御するために、エンドユーザ(例えば、部屋の居住者)によって操作され得る。エンドユーザは、壁面スイッチ1490を操作して、関連した色合い調節可能な窓におけるECデバイス400に制御信号を通信することができる。壁面スイッチ1490からのこれらの信号は、場合によっては、マスター窓コントローラ1402からの信号をオーバーライドしてもよい。他の場合(例えば、高需要の場合)、マスター窓コントローラ1402からの制御信号は、壁面スイッチ1490からの制御信号をオーバーライドしてもよい。各壁面スイッチ1490はまた、壁面スイッチ1490から送信された制御信号に関する情報(例えば、時間、日付、要求された色合いレベルなど)を、マスター窓コントローラ1402に送り返すために、リーフまたはエンド窓コントローラ1410と通信している。場合によっては、壁面スイッチ1490は、手動で操作されてもよい。他の場合、壁面スイッチ1490は、例えば、赤外線(IR)、及び/または無線周波数(RF)信号を使用して、制御信号で無線通信を送信する遠隔デバイス(例えば、携帯電話、タブレットなど)を使用して、エンドユーザによって無線で制御されてもよい。場合によっては、壁面スイッチ1490は、Bluetooth、EnOcean、WiFi、Zigbeeなどの無線プロトコルチップを含んでもよい。図17に示される壁面スイッチ1490は、壁(複数可)に位置するが、システム1400の他の実施形態は、室内の別のどこかに位置するスイッチを有してもよい。
【0151】
VII.予測制御ロジックの別の実施例
【0152】
図18は、実施形態に従った、建物の異なる領域中の1つ以上の色合い調節可能な窓(例えば、エレクトロクロミック窓)の色合いレベルを制御する方法のための、予測制御ロジックを示すブロック図である。このロジックは、色合い調節可能な窓におけるECデバイス400の移行時間を説明する将来における時間を予測的に決定する。この予測制御ロジックは、図17に関して記載されるシステム1400のコンポーネントによって、または他の開示された実施形態のシステムのコンポーネントによって採用され得る。例示された実施例では、予測制御ロジックの一部分は、窓コントローラ1410によって実施され、別の部分は、ネットワークコントローラ1408によって実施され、モジュール1 1406中のロジックは、窓コントローラ1410及びネットワークコントローラ1408とは別個のコンポーネントによって実施される。あるいは、モジュール1 1406は、窓コントローラ1410に搭載されてもされなくてもよい、別個のロジックであってもよい。
【0153】
図18中、窓コントローラ1410及びモジュール1 1406によって採用される予測制御ロジックの部分は、BMS1407によって管理される。BMS1407は、図15に関して記載されるBMS1100と同様であってもよい。BMS1407は、BACnetインターフェース1408を介して、窓コントローラ1410と電子通信している。他の実施形態では、他の通信プロトコルが使用されてもよい。図18には示されないが、モジュール1 1406はまた、BACnetインターフェース1408を介して、BMS1407とも通信している。他の実施形態では、図18に示される予測制御ロジックは、BMSとは無関係に動作してもよい。
【0154】
ネットワークコントローラ1408は、1つ以上のセンサ(例えば、外側光センサ)からのセンサ測定値を受信し、またセンサ測定値をW/mに変換してもよい。ネットワークコントローラ1408は、CANbusあるいはCANOpenプロトコルを介して、窓コントローラ1410と電子通信している。ネットワークコントローラ1408は、変換されたセンサ測定値を窓コントローラ1410に通信する。ネットワークコントローラ1408は、図17の中間ネットワークコントローラ1405あるいはマスターネットワークコントローラ1403と同様であってもよい。
【0155】
図18中、窓コントローラ1410によって採用される予測制御ロジックの部分は、マスタースケジューラ1502を含む。マスタースケジューラ1502は、ユーザ(例えば、建物の管理者)が、異なる時刻及び/または日付において、異なる種類の制御プログラムを使用することができるスケジュールを準備することを可能にする、ロジックを含む。制御プログラムのそれぞれは、またはそれ以上の独立した変数に基づき、色合いレベルを決定するためのロジックを含む。1つの種類の制御プログラムは、単純に純粋状態である。純粋状態は、他の条件に関わらず、ある特定の期間中に固定された特定の色合いレベル(例えば、透過率=40%)を指す。例えば、建物の管理者は、毎日午後3時に窓が透明であることを指定してもよい。別の例として、建物の管理者は、毎日午後8時~午前6時の間の期間にわたって、純粋状態を指定してもよい。他の時刻において、はるかに大きい洗練さのレベルを採用するものなど、異なる種類の制御プログラムが採用されてもよい。1つの種類の制御プログラムは、高い洗練さのレベルを提供する。例えば、この種類の高度に洗練された制御プログラムは、図18を参照して記載される予測制御ロジックを含み、モジュール1 1406のロジックモジュールA、B、及びCのうちの1つ以上の実装を含んでもよい。別の例として、この種類の別の高度に洗練された制御プログラムは、図18を参照して記載される予測制御ロジックを含み、モジュール1 1406のロジックモジュールA、B、及びC、ならびに本節VIIで後に記載されるモジュールDのうちの1つ以上の実装を含んでもよい。別の例として、この種類の別の高度に洗練された制御プログラムは、図7を参照して記載される予測制御ロジックであり、図8図9、及び図12を参照して記載されるロジックモジュールA、B、及びCの完全なマルチモジュール実装を含む。本実施例では、予測制御ロジックは、モジュールC中のセンサフィードバック、ならびにモジュールA及びB中の太陽情報を使用する。高度に洗練された制御プログラムの別の実施例は、図8図9、及び図12を参照して記載されるロジックモジュールA、B、及びCのうちの1つまたは2つの部分的ロジックモジュール実装を伴う、図7を参照して記述された予測制御ロジックである。別の種類の制御プログラムは、1つ以上のセンサ(例えば、光センサ)からのフィードバックに依存し、太陽の位置に関係なく、それに応じて色合いレベルを調節する、閾値制御プログラムである。マスタースケジューラ1502を使用する技術的利点のうちの1つは、ユーザが色合いレベルを決定するために使用されている制御プログラム(方法)を選択及びスケジュールすることができることである。
【0156】
マスタースケジューラ1502は、1日24時間に基づく日付及び時刻の観点からの時間に従って、スケジュール中の制御プログラムを実行する。マスタースケジューラ1502は、カレンダーの日付の観点から日付を、ならびに/または5日の平日(月曜日~金曜日)及び2日の週末(土曜日及び日曜日)を含む週7日に基づき、週の日を決定してもよい。マスタースケジューラ1502はまた、ある特定の日が休日であるかどうかを決定してもよい。マスタースケジューラ1502は、位置データ1506によって決定される、色合い調節可能な窓の位置に基づき、サマータイムのための時刻を自動的に調節してもよい。
【0157】
一実施形態では、マスタースケジューラ1502は、別個の休日スケジュールを使用してもよい。ユーザは、どの制御プログラム(複数可)を休日スケジュール中に使用するかを決定していてもよい。ユーザは、どの日が休日スケジュールに含まれるのかを決定してもよい。マスタースケジューラ1502は、ユーザによって設定される基本的なスケジュールをコピーし、ユーザが休日スケジュール中の休日に対する彼らの修正を設定することを可能にしてもよい。
【0158】
マスタースケジューラ1502によって採用されるスケジュールを準備するとき、ユーザは、選択されたプログラム(複数可)が採用される、建物の領域または複数の領域(領域選択)を選択してもよい。各領域は、1つ以上の色合い調節可能な窓を含む。場合によっては、領域は、空間の種類と関連する範囲(例えば、特定の位置に机を有するオフィス、会議室など)であってもよく、または複数の空間の種類と関連していてもよい。例えば、ユーザは、オフィスを有する領域1を、1)月曜日~金曜日:平日の間、午前8時に70度まで暖め、オフィス内の温度を80度に保持するために、午後3時まで空調をオンにし、次いで、午後5時に全ての空調及び暖房をオフにする、ならびに2)(土曜日及び日曜日)暖房及び空調をオフにする、に選択してもよい。別の例として、ユーザは、ロジックモジュールA、B、及びCの全てを使用したモジュール1の完全なモジュール実装を含む、図18の予測制御ロジックを実行するように、会議室を有する領域2を設定してもよい。別の例において、ユーザは、午前8時~午後3時までモジュール1、午後3時以降、閾値プログラムまたは純粋状態を実行するように、会議室を有する領域1を選択してもよい。他の場合、領域は、建物全体であってもよく、または建物の中の1つ以上の窓であってもよい。
【0159】
センサ入力を使用してもよいプログラムを用いてスケジュールを準備するとき、ユーザはまた、プログラムで使用されるセンサまたは複数のセンサを選択することが可能であってもよい。例えば、ユーザは、屋根上に位置するセンサ、または色合い調節可能な窓の付近もしくは色合い調節可能な窓に位置するセンサを選択してもよい。別の例として、ユーザは、特定のセンサのID値を選択してもよい。
【0160】
窓コントローラ1410によって採用される予測制御ロジックの部分はまた、マスタースケジューラ1502と電子通信している、ユーザインターフェース1504を含む。ユーザインターフェース1504はまた、位置データ1506、領域/グループデータ1508、及び検知ロジック1516とも通信している。ユーザは、ユーザインターフェース1504を使用して、スケジュールを準備する(新しいスケジュールを生成する、または既存のスケジュールを修正する)ために、彼らのスケジュール情報を入力してもよい。ユーザインターフェース1504は、例えば、キーパッド、タッチパッド、キーボードなどの入力デバイスを含んでもよい。ユーザインターフェース1504はまた、スケジュールに関する情報を出力するためにディスプレイを含み、スケジュールの設定のための選択可能なオプションを提供してもよい。ユーザインターフェース1504は、コンピュータ可読媒体(CRM)と電子通信しているプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)と電子通信している。プロセッサ及びCRMの両方が、窓コントローラ1410のコンポーネントである。予測制御ロジックのマスタースケジューラ1502及び他のコンポーネント中のロジックが、窓コントローラ1410のコンピュータ可読媒体上に記憶されてもよい。
【0161】
ユーザは、ユーザインターフェース1504を使用して、彼らの位置データ1506及び領域/グループデータ1508を入力してもよい。位置データ1506は、建物の位置に対する緯度、経度、及びGMTオフセットを含む。領域/グループデータは、建物の各領域中の1つ以上の色合い調節可能な窓に対する位置、寸法(例えば、窓の幅、窓の高さ、敷居の幅など)、向き(例えば、窓の傾斜)、外部日よけ(例えば、オーバーハングの深さ、窓の上のオーバーハングの位置、側面寸法に対する左/右のフィン、左/右のフィンの深さなど)、基準ガラスSHGC、及び占有ルックアップテーブルを含む。図18中、位置データ1506及び領域/グループデータ1508は、静的情報(すなわち、予測制御ロジックのコンポーネントによって変更されない情報)である。他の実施形態では、このデータは、オンザフライで生成されてもよい。位置データ1506及び領域/グループデータ1508は、窓コントローラ1410のコンピュータ可読媒体上に記憶されてもよい。
【0162】
スケジュールを準備(または修正)するとき、ユーザは、マスタースケジューラ1502が建物の領域のそれぞれにおいて異なる期間で実行する、制御プログラムを選択する。場合によっては、ユーザは、複数の制御プログラムから選択することが可能であってもよい。1つのそのような場合、ユーザは、ユーザインターフェース1405上に表示される全ての制御プログラムのリスト(例えば、メニュー)から1つの制御プログラムを選択することによって、スケジュールを準備してもよい。他の場合、ユーザは、全ての制御プログラムのリストから、彼らに利用可能なオプションを限定していてもよい。例えば、ユーザは、2つの制御プログラムの使用に対してのみ支払いをしていてもよい。本実施例では、ユーザは、ユーザによって支払われた2つの制御プログラムのうちの1つを選択することのみが可能である。
【0163】
ユーザインターフェース1405の一実施例が、図19に示される。この例示された実施例において、ユーザインターフェース1405は、マスタースケジューラ1502によって採用されるスケジュールを生成または変更するために使用される、スケジュール情報を入力するための表の形態である。例えば、ユーザは、開始及び停止時間を入力することによって、表に期間を入力することができる。ユーザはまた、プログラムによって使用されるセンサを選択することができる。ユーザはまた、位置データ1506及び領域/グループデータ1508を入力することができる。ユーザはまた、「太陽透過ルックアップ」を選択することによって使用される、占有ルックアップテーブルを選択することができる。
【0164】
図18を参照すると、窓コントローラ1410によって採用される予測制御ロジックの部分はまた、時刻(ルックアヘッド)ロジック1510を含む。時刻(ルックアヘッド)ロジック1510は、予測的決定を行うために、予測制御ロジックによって使用される将来の時間を決定する。この将来の時間は、色合い調節可能な窓におけるECデバイス400の色合いレベルを移行させるために必要な時間を説明する。移行時間を説明する時間を使用することによって、予測制御ロジックは、制御信号を受信した後に、ECデバイス400が色合いレベルに移行するための時間を有していることになる将来の時間に対して、適切な色合いレベルを予測することができる。時刻部分1510は、領域/グループデータからの代表的な窓に関する情報(例えば、窓の寸法など)に基づき、代表的な窓におけるECデバイス(複数可)の移行時間を予想してもよい。次いで、時刻ロジック1510は、移行時間及び現在の時間に基づき、将来の時間を決定してもよい。例えば、将来の時間は、現在の時間+移行時間に等しいか、またはそれより大きくてもよい。
【0165】
領域/グループデータは、各領域の代表的な窓に関する情報を含む。ある場合において、代表的な窓は、領域中の窓のうちの1つであってもよい。別の場合、代表的な窓は、その領域中の全ての窓からの全ての特性の平均化に基づき、平均特性(例えば、平均寸法)を有する窓であってもよい。
【0166】
窓コントローラ1410によって採用される予測制御ロジックはまた、太陽の位置計算機1512を含む。太陽の位置計算機1512は、ある時間における太陽の位置、太陽方位、及び太陽高度を決定するロジックを含む。図18中、太陽の位置計算機1512は、時刻ロジック1510から受信された将来の時間に基づき、その決定を行う。太陽の位置計算機1512は、時刻部分1510及び位置データ1506と通信し、将来の時間、建物の緯度及び経度の座標、ならびに太陽の位置計算など、その計算(複数可)を行うために必要とされ得る他の情報を受信する。太陽の位置計算機1512はまた、計算された太陽の位置に基づき、1つ以上の決定を実施してもよい。一実施形態では、太陽の位置計算機1512は、モジュール1 1406のモジュールA、B、及びCから、晴天放射照度を計算してもよく、または他の決定を行ってもよい。
【0167】
窓コントローラ1410によって採用される制御ロジックはまた、検知ロジック1516、ユーザインターフェース1405、太陽の位置計算機1512、及びモジュール1 1406と通信している、スケジュールロジック1518を含む。スケジュールロジック1518は、モジュール1 1406から知能ロジック1520を通過する色合いレベルを使用するか、または他の考慮事項に基づき、別の色合いレベルを使用するかどうかを決定する、ロジックを含む。例えば、一年全体を通して日の出及び日の入り時間が変化するにつれて、ユーザは、これらの変化を説明するために、スケジュールを再びプログラミングしたくない場合がある。スケジュールロジック1518は、太陽の位置計算機1512からの日の出及び日の入り時間を使用して、ユーザがこれらの変化する時間に対してスケジュールを再びプログラミングする必要なく、日の出前及び日の入り後の適切な色合いレベルを設定してもよい。例えば、スケジュールロジック1508は、太陽の位置計算機1512から受信された日の出時間に従って、太陽が昇っていないこと、及び日の出前の色合いレベルが、モジュール1 1406から送られた色合いレベルの代わりに使用されるべきであることを決定してもよい。スケジュールロジック1518によって決定された色合いレベルは、検知ロジック1516に送られる。
【0168】
検知ロジック1516は、オーバーライドロジック1514、スケジュールロジック1518、及びユーザインターフェース1405と通信している。検知ロジック1516は、スケジュールロジック1516から送られる色合いレベルを使用するか、または1つ以上のセンサからBACnetインターフェース1408を通って受信されたセンサデータに基づき、別の色合いレベルを使用するかどうかを決定する、ロジックを含む。上の段落の実施例を使用して、スケジュールロジック1518が、太陽が昇っておらず、日の出前の色合いレベルを過ぎていないことを決定し、センサデータが、太陽が実際には昇っていることを示す場合、検知ロジック1516は、モジュール1 1406からスケジュールロジック1518を通って送られる色合いレベルを使用する。検知ロジック1516によって決定された色合いレベルは、オーバーライドロジック1514に送られる。
【0169】
BMS1407及びネットワークコントローラ1408はまた、高需要(または最大負荷)オーバーライドの必要性を通信する信号を受信するために、需要応答(例えば、公益事業会社)と電子通信している。需要応答からのこれらの信号の受信に応答して、BMS1407及び/またはネットワークコントローラ1408は、BACnetインターフェース1408を通して、需要応答からのオーバーライド情報を処理するオーバーライドロジック1514に、命令を送信してもよい。オーバーライドロジック1514は、BACnetインターフェース1408を介してBMS1407及びネットワークコントローラ1408と通信し、また検知ロジック1516とも通信している。
【0170】
オーバーライドロジック1514は、ある特定の種類のオーバーライドが予測制御ロジックを解除し、別の考慮事項に基づき、オーバーライド色合いレベルを使用することを可能にする。予測制御ロジックを解除し得るオーバーライドの種類のいくつかの例としては、高需要(または最大負荷)オーバーライド、マニュアルオーバーライド、空室オーバーライドなどが挙げられる。高需要(または最大負荷)オーバーライドは、需要応答からの色合いレベルを定義する。マニュアルオーバーライドに関して、エンドユーザは、手動で、あるいは遠隔デバイスを通して、壁面スイッチ1490(図17に示される)において、オーバーライド値を入力してもよい。空室オーバーライドは、空室(すなわち、室内に居住者がいない)に基づき、オーバーライド値を定義する。この場合、検知ロジック1516は、部屋が空室であることを示すセンサ(例えば、運動センサ)からセンサデータを受信してもよく、検知ロジック1516は、オーバーライド値を決定し、そのオーバーライド値をオーバーライドロジック1514に送ってもよい。オーバーライドロジック1514は、オーバーライド値を受信し、オーバーライド値を使用するか、またはより高い優先度(すなわち、需要応答)を有するソースから受信された別のオーバーライド値などの別の値を使用するかどうかを決定することができる。場合によっては、オーバーライドロジック1514は、図7に関して記載されるオーバーライドステップ630、640、及び650と同様のステップによって動作してもよい。
【0171】
窓コントローラ1410によって採用される制御ロジックはまた、モジュールA1550、B1558、及びC1560のうちの1つ以上を遮断することができる、知能ロジック1520を含む。ある場合において、知能ロジック1520は、ユーザがそれらのモジュールに対して支払いをしていない場合、1つ以上のモジュールを遮断するために使用されてもよい。知能ロジック1520は、モジュールAで行われる透過計算など、ある特定のより洗練された特性の使用を回避してもよい。そのような場合、場合によっては1つ以上のセンサを用いて、太陽計算機情報を「短絡化(short-circuit)」し、それを使用して色合いレベルを計算する、基本ロジックが使用される。基本ロジックからのこの色合いレベルは、スケジュールロジック1518に通信される。
【0172】
知能ロジック1520は、窓コントローラ1410とモジュール1 1406との間のある特定の通信を方向転換させることによって、モジュール(モジュールA1550、モジュールB1558、及びモジュールC1560)のうちの1つ以上を遮断することができる。例えば、太陽の位置計算機1512とモジュールA1550との間の通信は、知能ロジック1520を通過し、知能ロジック1520によってスケジュールロジック1518に方向転換され、モジュールA1550、モジュールB1558、及びモジュールC1560を遮断することができる。別の例として、1552におけるモジュールAから、1554における晴天放射照度計算への色合いレベルの通信は、知能ロジック1520を通過し、代わりにスケジュールロジック1518に方向転換され、モジュールB1558及びモジュールC1560を遮断することができる。さらに別の実施例では、1558におけるモジュールBからモジュールC1560への色合いレベルの通信は、知能ロジック1520を通過し、スケジュールロジック1518に方向転換され、モジュールC1560を遮断することができる。
【0173】
モジュール1 1406は、色合いレベルを決定し、窓コントローラ1410のスケジュールロジック1518に戻す、ロジックを含む。ロジックは、時刻部分1510によって提供される将来の時間に対して適切である色合いレベルを予測する。色合いレベルは、スケジュール中の領域のそれぞれと関連した代表的な色合い調節可能な窓に対して決定される。
【0174】
図18中、モジュール1 1406は、図8図9図12、及び図13に関して記載されるモジュールA、B、及びCで実施されるステップといくつかの点で同様である、いくつかのステップを有してもよい、モジュールA1550、モジュールB1558、及びモジュールC1560を含む。別の実施形態では、モジュール1 1406は、図8図9図12、及び図13に関して記載されるモジュールA、B、及びCからなってもよい。さらに別の実施形態では、モジュール1 1406は、図14に関して記載されるモジュールA、B、及びCからなってもよい。
【0175】
図18中、モジュールA1550は、代表的な色合い調節可能な窓を通る侵入深さを決定する。モジュールA1550によって予測された侵入深さは、将来の時間における。モジュールA1550は、太陽の位置計算機1512から受信された決定された太陽の位置(すなわち、太陽方位及び太陽高度)に基づき、かつ代表的な色合い調節可能な窓代表的な色合い調節可能な窓の位置、受光角、窓の寸法、窓の向き(すなわち、面している方向)、ならびに領域/グループデータ1508から読み出された任意の外部日よけの詳細に基づき、侵入深さを計算する。
【0176】
次いで、モジュールA1550は、計算された侵入深さに対する、居住者の快適さを提供する色合いレベルを決定する。モジュールA1550は、領域/グループデータ1508から読み出された占有ルックアップテーブルを使用して、代表的な色合い調節可能な窓と関連した空間の種類に対する、計算された侵入深さに対する、かつ窓の受光角に対する、望ましい色合いレベルを決定する。モジュールA1550は、ステップ1552において色合いレベルを出力する。
【0177】
代表的な色合い調節可能な窓に入射する最大晴天放射照度は、ロジック1554において、全ての時間に対して予測される。将来の時間における晴天放射照度はまた、位置データ1506及び領域/グループデータ1508からの、建物の緯度及び経度の座標ならびに代表的な窓の向き(すなわち、窓が面している方向)に基づき予測される。これらの晴天放射照度計算は、他の実施形態において、太陽の位置計算機1512によって実施され得る。
【0178】
次いで、モジュールB1556は、色合いレベルを徐々に増加させることによって、新しい色合いレベルを計算する。これらの段階的なステップのそれぞれにおいて、新しい色合いレベルに基づく室内の内側放射照度は、方程式:内側放射照度=色合いレベルSHGC×晴天放射照度を使用して決定される。モジュールBは、内側放射照度が基準内側放射照度(基準SHGC×最大晴天放射照度)以下であり、その色合いレベルがAからの色合いレベルよりも明るくない、色合いレベルを選択する。モジュールB1556は、Bからの選択された色合いレベルを出力する。Bからの色合いレベルから、ロジック1558は、外側放射照度及び計算された天窓放射照度を計算する。
【0179】
モジュールC1560は、放射照度のセンサ測定値が晴天放射照度よりも小さいかどうかの決定を行う。決定結果がはいの場合、計算されている色合いレベルは、値が、センサ測定値×色合いレベルSHGCとして計算された色合いレベルと一致するか、またはそれより小さくまで、徐々に明るく(透明に)されるが、Bからの基準内側放射照度を超えない。決定結果がいいえの場合、計算されている色合いレベルは、モジュールB1556において行われるような段階的なステップにおいて、より暗くされる。モジュールCは、色合いレベルを出力する。ロジック1562は、モジュールCからの色合いレベルが、最終の色合いレベルであることを決定し、この最終の色合いレベル(モジュールCからの色合いレベル)を窓コントローラ1410のスケジュールロジック1518に戻す。
【0180】
一態様では、モジュール1 1406はまた、領域中の色合い調節可能な窓を通る日光の強度及び方向への周囲環境の効果を予測することができる、第4のモジュールDを含んでもよい。例えば、近隣の建物または他の構造物は、建物を遮り、光が窓を通過することを遮断する場合がある。別の例として、近隣の建物からの反射面(例えば、雪、水などを有する表面)または建物周囲の環境における他の表面は、光を色合い調節可能な窓の中へと反射し得る。この反射した光は、色合い調節可能な窓に入る光の強度を増加させ、居住者の空間中のグレアを引き起こし得る。モジュールDによって予測された日光の強度及び方向の値に基づき、モジュールDは、モジュールA、B、及びCから決定された色合いレベルを修正してもよく、または例えば、領域/グループデータ中の侵入深さ計算もしくは代表的な窓の受光角など、モジュールA、B、及びCからのある特定の決定を修正してもよい。
【0181】
場合によっては、建物周囲の環境を決定するために、現場での研究が実施されてもよく、及び/または周囲環境の効果を決定するために、1つ以上のセンサが使用されてもよい。現場での研究からの情報は、ある期間(例えば、1年間)にわたった反射率及び日よけの(周囲の)効果の予測に基づく、静的情報であってもよく、または定期的に、もしくは他の時間ベースで更新され得る動的情報であってもよい。1つの場合、モジュールDは、現場での研究を使用して、領域/グループデータから読み出された各領域の代表的な窓の標準受光角ならびに関連したθ及びθ図20に示される)を修正してもよい。モジュールDは、代表的な窓に関するこの修正された情報を、予測制御ロジックの他のモジュールに通信してもよい。周囲環境の効果を決定するためにモジュールDによって採用される1つ以上のセンサは、他のモジュールによって(例えば、モジュールCによって)使用される同じセンサであってもよく、または異なるセンサであってもよい。これらのセンサは、モジュールDに対して、周囲環境の効果を決定するように特に設計されてもよい。
【0182】
図18に示される予測制御ロジックを操作するために、ユーザは最初に、使用される時間及び日付、領域、センサ、ならびにプログラムの詳細を含むスケジュールを準備する。あるいは、デフォルトスケジュールが提供されてもよい。いったんスケジュールがある特定の時間間隔(1分、5分、10分毎など)で定位置に置かれる(記憶される)と、時刻部分1510は、スケジュール中の各領域の代表的な窓におけるECデバイス(複数可)400の現在の時間及び移行時間に基づき、将来の時刻を決定する。領域/グループデータ1508及び位置データ1506を使用して、太陽の位置計算機1512は、スケジュール中の各領域の各代表的な窓に対する、将来の(ルックアヘッド)時間における太陽の位置を決定する。ユーザによって準備されたスケジュールに基づき、知能ロジック1520は、どのプログラムをスケジュール中の各領域に対して採用するのかを決定するために使用される。各領域に対して、スケジュールされたプログラムが採用され、その将来の時間に対する適切な色合いレベルを予測する。オーバーライドが定位置にある場合、オーバーライド値が使用される。オーバーライドが定位置にない場合、プログラムによって決定された色合いレベルが使用される。各領域に対して、窓コントローラ1410は、スケジュールされたプログラムによって決定された領域特定の色合いレベルを含む制御信号を、関連したECデバイス(複数可)400に送信し、将来の時間までに、その領域中の色合い調節可能な窓(複数可)の色合いレベルを移行させる。
【0183】
VIII.占有ルックアップテーブルの実施例
【0184】
図20は、占有ルックアップテーブルの一実施例を含む図である。表中の色合いレベルは、Tvis(可視透過率)の単位である。表は、特定の空間の種類に対する、かつ太陽の角度θ太陽がθ=30度からθ=120度の窓の受光角の間であるときの、計算された侵入深さ値(2フィート、4フィート、8フィート、及び15フィート)の異なる組み合わせに対する、異なる色合いレベル(Tvis値)を含む。表は、4%(最も明るい)、20%、40%、及び63%を含む、4つの色合いレベルに基づく。図20はまた、窓付近の机の図、及びθとθとの角度の間の角度θ太陽を有する日光に対する窓の受光角を示す。この図は、太陽の角度θ太陽と机の位置との間の関係を示す。太陽の角度θ太陽がθ~θの受光角の間であるとき、日光は、机の表面に当たる。太陽の角度θ太陽がθからθの受光角の間であり(θ<θ太陽<θである場合)、侵入深さが窓の色合いを調節するための基準を満たす場合、占有ルックアップテーブルによって決定されたその色合いレベルは、窓コントローラに送信され、窓コントローラは、窓におけるECデバイスに制御信号を送信し、窓を決定された色合いレベルに移行させる。これらの2つの角度θ及びθは、各窓に対して計算または測定され得、その領域に対する他の窓パラメータと共に領域/グループデータ1508に記憶され得る。
【0185】
図21A図21B、及び図21Cは、実施形態に従った、建物2100の一部分の平面図である。建物2100は、図15の建物1101といくつかの点で同様であってもよく、建物2100の中の部屋は、図5図6A図6B、及び図6Cに記載される部屋500といくつかの点で同様であってもよい。建物2100の部分は、建物2100の中のオフィスの中の机、パーティションで区切ったスペースの群、及び会議室を含む、3つの異なる空間の種類を含む。図21A図21B、及び図21Cは、異なる角度θ太陽における太陽を示す。これらの図はまた、建物2100の中の異なる種類の窓の異なる受光角を示す。例えば、最大の窓を有する会議室は、最も多くの光が室内に入ることを可能にする、最大の受光角を有する。本実施例では、関連した占有ルックアップテーブル中のTvis値は、会議室に対して比較的低くてもよい(低透過率)。しかしながら、同一の受光角を有する同様の窓が代わりにサンルームにある場合、関連した占有ルックアップテーブル中のTvis値は、より多くの光が室内に入ることを可能にするために、より高い値であってもよい(より高い透過率)。
【0186】
IX.サブシステム
【0187】
図22は、実施形態に従った、色合いレベルまたはそれ以上の色合い調節可能な窓を制御するために使用される、窓コントローラ中の存在し得るサブシステムのブロック図である。例えば、図17に示される窓コントローラは、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)と、プロセッサと電子通信しているコンピュータ可読媒体とを有してもよい。
【0188】
図面中ですでに記載された種々のコンポーネントは、本明細書に記載される機能を促進するために、サブシステムのうちの1つ以上を使用して動作してもよい。図面中のコンポーネントのいずれも、任意の好適な数のサブシステムを使用して、本明細書に記載される機能を促進し得る。そのようなサブシステム及び/またはコンポーネントの実施例は、図22に示される。図22に示されるサブシステムは、システムバス2625を介して相互接続される。プリンタ2630、キーボード2632、固定ディスク2634(またはコンピュータ可読媒体を含む他のメモリ)、ディスプレイアダプタ2638に連結されるディスプレイ2430、及びその他などの追加のサブシステムが示される。I/Oコントローラ2640に連結する周辺機器及び入力/出力(I/O)デバイスは、シリアルポート2642など、当該技術分野において既知の任意の数の手段によって、コンピュータシステムに接続され得る。例えば、インターネットなどの広域ネットワーク、マウス入力デバイス、またはスキャナにコンピュータ装置を接続するために、シリアルポート2642または外部インターフェース2644が使用され得る。システムバスを介した相互接続は、プロセッサ2410が各サブシステムと通信し、システムメモリ2646または固定ディスク2634からの命令の実行、ならびにサブシステム間の情報の交換を制御することを可能にする。システムメモリ2646及び/または固定ディスク2634は、コンピュータ可読媒体を具体化してもよい。これらの要素のいずれも、すでに記載された機構に存在してもよい。
【0189】
いくつかの実施形態では、1つ以上のシステムのプリンタ2630またはディスプレイ2430などの出力デバイスは、種々の形態のデータを出力することができる。例えば、システム1400は、ユーザに、ディスプレイ上でスケジュール情報を出力してもよい。
【0190】
本開示の範囲から逸脱することなく、上記の予測制御ロジック、他の制御ロジック、及びそれらの関連した制御方法(例えば、図18に関して記載されるロジック、図7図8図9図12、及び図13に関して記載されるロジック、及び図14に関して記載されるロジック)に修正、追加、または削除が行われてもよい。本開示の範囲から逸脱することなく、上記のロジックのいずれも、より多い、より少ない、または他のロジックコンポーネントを含み得る。加えて、本開示の範囲から逸脱することなく、記載されたロジックのステップは、任意の好適な順序で実施されてもよい。
【0191】
また、本開示の範囲から逸脱することなく、上記のシステム(例えば、図17に関して記載されるシステム)またはシステムのコンポーネントに修正、追加、または削除が行われてもよい。そのコンポーネントは、特定のニーズに従って一体化または分離されてもよい。例えば、マスターネットワークコントローラ1403及び中間ネットワークコントローラ1405は、単一の窓コントローラに組み込まれてもよい。さらに、システムの動作は、より多い、より少ない、または他のコンポーネントによって実施され得る。加えて、システムの動作は、ソフトウェア、ハードウェア、他のロジック、または上記の任意の好適な組み合わせを含む、任意の好適なロジックを使用して実施されてもよい。
【0192】
上記の本発明は、モジュール式でまたは一体的にコンピュータソフトウェアを使用する、制御ロジックの形態で実装され得ることが理解されるべきである。本開示及び本明細書に提供される教示に基づき、当業者は、ハードウェアならびにハードウェア及びソフトウェアの組み合わせを使用して、本発明を実装するための他の手段及び/または方法を知り、理解するであろう。
【0193】
本願に記載されるソフトウェアコンポーネントまたは機能のうちのいずれも、例えば、従来もしくはオブジェクト指向の技術を使用した、例えば、Java(登録商標)、C++、またはPerlなどの任意の好適なコンピュータ言語を使用して、プロセッサによって実行されるためのソフトウェアコードとして実装されてもよい。ソフトウェアコードは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)などのコンピュータ可読媒体、ハードドライブもしくはフロッピーディスクなどの磁気媒体、またはCD-ROMなどの光媒体上に、一連の命令またはコマンドとして記憶されてもよい。任意のそのようなコンピュータ可読媒体は、単一の計算装置上または内に存在してもよく、システムまたはネットワーク内の異なる計算装置上または内に存在してもよい。
【0194】
理解を促すために、上記の開示された実施形態がある程度詳細に記載されてきたが、記載された実施形態は、例示的であり限定的ではないと見なされるものとする。ある特定の変更及び修正が、添付の特許請求の範囲内で実施され得ることが、当業者に明らかとなるであろう。
【0195】
本開示の範囲から逸脱することなく、任意の実施形態からの1つ以上の特徴が、任意の他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わされてもよい。さらに、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の実施形態に修正、追加、または削除が行われてもよい。本開示の範囲から逸脱することなく、任意の実施形態のコンポーネントが、特定のニーズに従って一体化または分離されてもよい。
[項目1]
建物の室内の居住者の快適さの主な要因になる色合い調節可能な窓の色合いを制御する方法であって、上記色合い調節可能な窓は、上記建物の内部と外部との間に位置し、上記方法は、
(a)将来の時間において上記色合い調節可能な窓を通って上記室内に入る直射日光の侵入深さ、及び上記室内の空間の種類に基づき、上記将来の時間における上記色合い調節可能な窓に対する色合いレベルを予測することと、
(b)上記色合い調節可能な窓の色合いを(a)で決定された上記色合いレベルに移行させるために、ネットワークを介して命令を提供することと、
を含む、上記方法。
[項目2]
上記将来の時間における上記色合い調節可能な窓を通る晴天放射照度を予測することと、(a)での上記決定と共に上記予測された晴天放射照度を使用して、(a)で決定された上記色合いレベルを修正することと、をさらに含む、項目1に記載の上記方法。
[項目3]
上記色合い調節可能な窓における実際の放射照度を検出するように構成されるセンサからの信号を受信することと、(a)での上記決定と共に上記検出された放射照度を使用して、上記色合いレベルをさらに修正することと、をさらに含む、項目2に記載の上記方法。
[項目4]
上記将来の時間における太陽の位置及び窓構成に基づき、(a)での上記侵入深さを計算することをさらに含む、項目1に記載の上記方法。
[項目5]
上記窓構成は、上記窓の位置、上記窓の寸法、上記窓の向き、及び外部日よけの寸法からなる群より選択される、1つ以上の変数の値を含む、項目4に記載の上記方法。
[項目6]
上記将来の時間は、現在の時間より後の少なくとも1つの予め設定された間隔であり、上記予め設定された間隔は、上記色合い調節可能な窓の上記色合いを移行させる推定継続時間である、項目1~5のいずれか一項に記載の上記方法。
[項目7]
(a)での上記色合いレベルは、色合いレベルが侵入深さ及び空間の種類の組み合わせに対して指定されるルックアップテーブルを使用して決定される、項目1に記載の上記方法。
[項目8]
上記建物の経度及び緯度、ならびに時季及び将来の時刻に基づき、(a)での太陽の位置を計算することをさらに含む、項目1に記載の上記方法。
[項目9]
(a)で決定された上記色合いレベルは、最小色合いレベルである、項目1~8のいずれか一項に記載の上記方法。
[項目10]
(a)で決定された上記色合いレベルは、居住者の快適さを提供すると同時に、上記建物内の暖房システム、冷房システム、及び/または照明によるエネルギー消費を低減する、項目1または5に記載の上記方法。
[項目11]
オーバーライド機構が受信された後、オーバーライド値を使用して、(a)で決定された上記色合いレベルを修正することをさらに含む、項目1に記載の上記方法。
[項目12]
命令を提供することをさらに含み、上記命令がマスタコントローラによって提供される、項目1に記載の上記方法。
[項目13]
建物の室内の居住者の快適さの主な要因になる色合い調節可能な窓の色合いを制御するためのコントローラであって、上記色合い調節可能な窓は、上記建物の内部と外部との間に位置し、上記コントローラは、
上記色合い調節可能な窓を通って室内に入る直射日光の侵入深さ、及び上記室内の空間の種類に基づき、上記色合い調節可能な窓に対する色合いレベルを決定するように構成される、プロセッサと、
ネットワークを介して、上記プロセッサ及び上記色合い調節可能な窓と通信している、電力幅変調器であって、上記電力幅変調器は、上記プロセッサから上記色合いレベルを受信し、上記色合い調節可能な窓の上記色合いを上記決定された色合いレベルに移行させるために、上記ネットワークを介して色合い命令を有する信号を送信するように構成される、電力幅変調器と、
を備える、上記コントローラ。
[項目14]
上記プロセッサは、上記色合い調節可能な窓を通る晴天放射照度を予測し、上記決定された色合いレベルと共に上記予測された晴天放射照度を使用して、上記決定された色合いレベルを修正するようにさらに構成される、項目13に記載の上記コントローラ。
[項目15]
上記プロセッサは、上記色合い調節可能な窓における実際の放射照度を検出するように構成されるセンサと通信しており、
上記プロセッサは、上記センサからの検出された放射照度を有する信号を受信し、上記修正された色合いレベルと共に上記検出された放射照度を使用して、上記色合いレベルをさらに修正するようにさらに構成される、
項目14に記載の上記コントローラ。
[項目16]
建物内の居住者の快適さの主な要因となる色合い調節可能な窓の色合いを制御するためのマスタコントローラであって、上記色合い調節可能な窓は、上記建物の内部と外部との間に位置し、上記マスタコントローラは、
上記色合い調節可能な窓と関連する空間の種類を含む構成ファイルを有する、コンピュータ可読媒体と、
上記コンピュータ可読媒体と通信しており、かつ上記色合い調節可能な窓に対するローカル窓コントローラと通信している、プロセッサと、を備え、上記プロセッサは、
上記コンピュータ可読媒体から上記空間の種類を受信することと、
上記色合い調節可能な窓を通って室内に入る直射日光の侵入深さ、及び上記空間の種類に基づき、上記色合い調節可能な窓に対する色合いレベルを決定することと、
上記色合い調節可能な窓の色合いを上記決定された色合いレベルに移行させるために、ネットワークを介して上記ローカル窓コントローラに色合い命令を送信することと、を行うように構成される、上記マスタコントローラ。
[項目17]
居住者の快適さの主な要因となる建物のある領域中の1つ以上の色合い調節可能な窓の色合いを制御する方法であって、上記方法は、
現在の時間に基づき、かつ上記領域の代表的な窓の予測された移行時間に基づき、将来の時間を計算することと、
上記将来の時間における太陽の位置を予測することと、
スケジュールのユーザによって指定されるプログラムを決定することであって、上記プログラムは、1つ以上の独立した変数に基づき、色合いレベルを決定するためのロジックを含む、決定することと、
上記将来の時間における上記予測された太陽の位置、及び居住者の快適さに基づき、上記色合いレベルを決定するために、上記決定されたプログラムを採用することと、
色合いを上記決定された色合いレベルに移行させるために、上記1つ以上の色合い調節可能な窓に命令を通信することと、
を含む、上記方法。
[項目18]
上記色合い調節可能な窓は、エレクトロクロミック窓であり、上記命令は、上記エレクトロクロミック窓のそれぞれの1つ以上のエレクトロクロミックデバイスに通信される、項目17に記載の上記方法。
[項目19]
知能ロジックを使用して、上記色合いレベルを決定するために上記プログラム中の1つ以上のロジックモジュールを使用するかどうか決定することをさらに含む、項目17または18に記載の上記方法。
[項目20]
上記知能ロジックが第1のロジックモジュールを使用することを決定した場合、上記代表的な窓を通る直射日光の侵入深さに基づき、かつ空間の種類に基づき、上記色合いレベルを決定することをさらに含む、項目19に記載の上記方法。
[項目21]
上記予測された太陽の位置及び窓構成に基づき、上記侵入深さを計算することをさらに含む、項目20に記載の上記方法。
[項目22]
上記建物の周囲環境に基づき、上記計算された侵入深さを修正することをさらに含む、項目21に記載の上記方法。
[項目23]
上記色合いレベルは、色合いレベルが侵入深さ、空間の種類、及び受光角の組み合わせに対して指定されるルックアップテーブルを使用して決定される、項目19に記載の上記方法。
[項目24]
上記建物の周囲環境に基づき、上記代表的な窓の上記受光角を修正することをさらに含む、項目23に記載の上記方法。
[項目25]
上記将来の時間における上記代表的な窓を通る晴天放射照度を予測することをさらに含む、項目17に記載の上記方法。
[項目26]
上記知能ロジックが第2のロジックモジュールを使用することを決定した場合、
上記将来の時間における上記代表的な窓を通る晴天放射照度を予測することと、
上記色合いレベルを決定するために、上記予測された太陽の位置と共に上記予測された晴天放射照度を使用することと、
をさらに含む、項目19に記載の上記方法。
[項目27]
上記知能ロジックが第3のロジックモジュールを使用することを決定した場合、上記色合いレベルを決定するために、センサによって検出された実際の放射照度を使用することをさらに含む、項目19に記載の上記方法。
[項目28]
上記知能ロジックが第1のロジックモジュール及び第2のロジックモジュールの両方を使用することを決定した場合、
上記代表的な窓を通る直射日光の侵入深さに基づき、かつ空間の種類に基づき、上記色合いレベルを決定することと、
上記将来の時間に上記代表的な窓を通る晴天放射照度を予測することと、
より暗い場合、上記予測された太陽の位置と共に上記予測された晴天放射照度に基づき、上記色合いレベルを修正することと、
をさらに含む、項目19に記載の上記方法。
[項目29]
上記知能ロジックが第3のロジックモジュールも使用することを決定した場合、より暗い場合、上記色合いレベルを修正するために、センサによって検出された実際の放射照度を使用することをさらに含む、項目28に記載の上記方法。
[項目30]
上記決定された色合いレベルを修正するために、オーバーライド値を使用するかどうかを決定するために、オーバーライドロジックを使用することをさらに含む、項目17に記載の上記方法。
[項目31]
上記スケジュールは、ユーザによって準備された、項目17に記載の上記方法。
[項目32]
上記将来の時間は、上記代表的な窓の上記予測された移行時間を上記現在の時間に足すことによって計算される、項目17~31のいずれか一項に記載の上記方法。
[項目33]
上記代表的な窓の上記予測された移行時間を推定することをさらに含む、項目17~32のいずれか一項に記載の上記方法。
[項目34]
上記建物の経度及び緯度に基づき、上記予測された将来の時間における上記太陽の位置を予測することをさらに含む、項目17に記載の上記方法。
[項目35]
居住者の快適さの主な要因となる建物の領域中の1つ以上の色合い調節可能な窓の色合いを制御する窓コントローラであって、上記窓コントローラは、
予測制御ロジックと、位置データと、上記領域と関連した領域/グループデータとを有する、コンピュータ可読媒体と、
上記コンピュータ可読媒体と通信しており、かつ上記色合い調節可能な窓と通信している、プロセッサであって、上記プロセッサは、
現在の時間、及び上記領域の代表的な窓の予測された移行時間に基づき、将来の時間を計算するように、
上記将来の時間における太陽の位置を予測するように、
スケジュールのユーザによって指定されるプログラムを決定することであって、上記プログラムは、1つ以上の独立した変数に基づき、色合いレベルを決定するためのロジックを含む、スケジュールのユーザによって指定されるプログラムを決定するように、
上記将来の時間における上記予測された太陽の位置を使用して、かつ居住者の快適さに基づき、色合いレベルを決定するために、上記決定されたプログラムを採用するように、かつ
色合いを上記決定された色合いレベルに移行させるために、上記領域中の上記1つ以上の色合い調節可能な窓に命令を通信するように、構成される、上記プロセッサと、
を備える、上記窓コントローラ。
[項目36]
上記色合い調節可能な窓は、エレクトロクロミック窓であり、上記命令は、上記エレクトロクロミック窓のそれぞれの1つ以上のエレクトロクロミックデバイスに通信される、項目35に記載の上記窓コントローラ。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図21C
図22
【外国語明細書】