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特開2022-163170金属誘発性疾患を治療するための投与レジメン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163170
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】金属誘発性疾患を治療するための投与レジメン
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20221018BHJP
   A61P 39/02 20060101ALI20221018BHJP
   A61P 39/04 20060101ALI20221018BHJP
   A61K 31/426 20060101ALI20221018BHJP
   A61K 31/4412 20060101ALI20221018BHJP
   A61K 31/16 20060101ALI20221018BHJP
   A61K 31/4196 20060101ALI20221018BHJP
   A61K 31/132 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P39/02
A61P39/04
A61K31/426
A61K31/4412
A61K31/16
A61K31/4196
A61K31/132
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128607
(22)【出願日】2022-08-12
(62)【分割の表示】P 2019527781の分割
【原出願日】2017-08-04
(31)【優先権主張番号】62/371,274
(32)【優先日】2016-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/371,280
(32)【優先日】2016-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519040795
【氏名又は名称】アブフェロ ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】507371168
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチ ファンデーション インコーポレーティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100139310
【弁理士】
【氏名又は名称】吉光 真紀
(72)【発明者】
【氏名】バーク,スティーブン キース
(72)【発明者】
【氏名】バージェロン,レイモンド ジェイ.,ジュニア
(57)【要約】      (修正有)
【課題】金属過剰障害、特に鉄過剰状態および鉄関連状態に関する治療として金属キレート剤の安全かつ有効な投与レジメンを提供する。
【解決手段】複数回用量の金属キレート剤を対象に経口投与することを含み、各用量が、前回の投与の24時間後よりも後、および/または1週間に5回以下で投与される、方法とする。好ましくは、5回未満の週用量の金属キレート剤を対象に静脈内または皮下投与することを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における(a)金属誘発性疾患を治療し、かつ/または(b)金属キレート剤の腎
臓、胃腸、肝臓、血液、聴覚、視覚および/もしくは皮膚の毒性を低減する方法であって
、複数回用量の金属キレート剤を前記対象に経口投与することを含み、各用量が、前回の
投与の24時間後よりも後、および/または1週間に5回以下で投与される、方法。
【請求項2】
対象における(a)金属誘発性疾患を治療し、かつ/または(b)金属キレート剤の腎
臓、視覚、聴覚、神経、呼吸器および/もしくは筋骨格の毒性を低減する方法であって、
5回未満の週用量の金属キレート剤を前記対象に静脈内または皮下投与することを含む、
方法。
【請求項3】
前記金属キレート剤が週に5回、月に15~25回、または月に20~25回投与され
る、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属キレート剤が(a)週に4回、(b)週に3回、(c)月に12~18回、(
d)月に15~25回投与される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記金属キレート剤が36~72時間ごとに投与される、請求項1または請求項2に記
載の方法。
【請求項6】
前記金属キレート剤が少なくとも1週間、少なくとも1カ月、少なくとも3カ月、少な
くとも6カ月、少なくとも1年間の期間投与されるか、または無期限に投与される、請求
項1または請求項2に記載の方法。
【請求項7】
(a)標準日用量より多い用量が各投与時に投与され、任意選択で、投与される総週用
量が標準総週用量に等しいか、もしくは前記標準総週用量より少なく、任意選択で、投与
される前記総週用量が前記標準総週用量の0.75~0.9倍であり;
(b)前記標準日用量が各投与時に投与され、かつ/もしくは投与される前記総週用量
が前記標準総週用量に等しく;または
(c)投与される前記総週用量が前記標準総週用量より多く、任意選択で、投与される
前記総週用量が前記標準総週用量の1.25~2倍である、
請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記金属が鉄であり、任意選択で、前記金属キレート剤が鉄キレート剤である、請求項
1または請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記金属キレート剤がSP-420化合物である、請求項1または請求項2に記載の方
法。
【請求項10】
前記金属キレート剤がSP-420化合物であり、任意選択で、
(a)前記SP-420化合物が18~100mg/kgの用量で投与され;
(b)前記SP-420化合物が54~400mg/kgの総週用量で投与され;
(c)前記SP-420化合物がSP-420((S)-4,5-ジヒドロ-2-[2
-ヒドロキシ-4-(3,6-ジオキサヘプチルオキシ)フェニル]-4-メチル-4-
チアゾールカルボン酸)もしくはその薬学的に許容される塩であり;または
(d)(a)~(c)の任意の組合せである、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記金属キレート剤がSP-420化合物ではない、請求項1または請求項2に記載の
方法。
【請求項12】
前記金属キレート剤がデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もし
くは水和物であり、任意選択で、前記対象に投与される前記デフェリプロンの用量が1日
2回37.5~49.5mg/kgまたは1日1回66~99mg/kgである、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記金属キレート剤がデフェロキサミンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物も
しくは水和物であり、任意選択で、前記対象に投与される前記デフェロキサミンの用量が
、(a)20~50mg/kgであり、週5~7日4~6時間にわたる低速皮下注入とし
て投与される、または(b)40~100mg/kgであり、週2~3日8~12時間に
わたる低速皮下注入もしくは静脈内注入として投与される、または(c)1000~20
00mgであり、隔日注射もしくは週3日の注射として投与される、請求項11に記載の
方法。
【請求項14】
前記金属キレート剤がデフェラシロクスまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物も
しくは水和物であり、任意選択で、前記対象に投与される前記デフェラシロクスの用量が
、40~80mg/kgであり、隔日1回もしくは週3日経口投与される、請求項11に
記載の方法。
【請求項15】
前記金属キレート剤がデフェリトリンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もし
くは水和物であり、任意選択で、前記対象に投与される前記デフェリトリンの用量が、2
0~160mg/kgであり隔日1回もしくは週3日経口投与される、請求項11に記載
の方法。
【請求項16】
前記金属キレート剤がSPD602(FBS0701)またはその薬学的に許容される
塩、溶媒和物もしくは水和物であり、任意選択で、前記対象に投与される前記SPD60
2の用量が、20~120mg/kgであり隔日1回もしくは週3日経口投与される、請
求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記金属誘発性疾患が鉄過剰である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項18】
前記金属誘発性疾患がランタニドまたはアクチニド過剰であり、任意選択で、前記金属
キレート剤がジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)である、請求項1または請求項2
に記載の方法。
【請求項19】
前記金属が鉛または水銀であり、任意選択で、前記金属誘発性疾患が鉛または水銀中毒
であり、任意選択で、前記金属キレート剤がエデト酸カルシウム二ナトリウムまたはエチ
レンジアミン四酢酸(EDTA)である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項20】
対象における(a)金属誘発性疾患を治療し、かつ/または(b)金属キレート剤の血
液、胃腸、肝臓および/もしくは筋骨格の毒性を低減する方法であって、前記方法が1回
または2回の日用量の前記金属キレート剤を前記対象に経口投与することを含み、前記金
属キレート剤がデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和
物であり、任意選択で、
(a)前記方法が2回の日用量の前記金属キレート剤を投与することを含み;
(b)前記日用量が6~12時間間隔で投与され;または、
(c)前記金属キレート剤が週に14回投与される、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願への相互参照
本出願は、2016年8月5日出願の米国仮出願第62/371,274号明細書およ
び2016年8月5日出願の同第62/371,280号明細書の優先権を主張し、それ
らの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
2.背景
鉄および他の金属は、健康にとって必須の栄養素である。金属は、金属酵素として知ら
れている酵素の補因子を形成し、他の金属含有タンパク質、例えばシトクロム、ヘモグロ
ビンおよびミオグロビンの必須成分である。これらの金属含有タンパク質の多くは、通常
の細胞機能にとって重要である。金属欠乏は、通常、不十分な消化管吸収(例えばセリア
ック病におけるカルシウム)によるか、または胃腸、腎臓もしくは皮膚を侵す疾患による
喪失(例えば、下痢状態もしくは利尿剤使用のある腎臓におけるマグネシウム)によるも
のであり、特徴的な徴候および病状の十分に定義された臨床的症候群を有する。また金属
蓄積障害も、過剰量の金属が身体の組織内に蓄積し、通常、過剰吸収を続発する場合(例
えば、遺伝性ヘモクロマトーシスにおける鉄)、または分泌機序を障害する場合(例えば
、ウィルソン病における銅)に起こり、同様に、特徴的な徴候および病状の十分に定義さ
れた臨床的症候群を引き起こす。
【0003】
鉄は、他の金属にとって良い例である。鉄は自然界に豊富にあるが食事から吸収するの
は難しい。食事からの鉄の不十分な吸収または出血による喪失(例えば月経)は、欠乏に
結びつく可能性がある。米国の約11%の人が鉄欠乏であり、1~2%の欠乏が貧血を引
き起こすほど重篤である。鉄過剰はそれほど一般的ではなく、遺伝性ヘモクロマトーシス
でのような異常に亢進された鉄吸収により、または異常赤血球(RBC)産生による貧血
に付随して最も頻繁に起こる。貧血は、鉄吸収の重要な調節因子である肝臓ヘプシジンの
抑制をもたらす。血中ヘプシジンの減少によって腸細胞フェロポーチン(鉄輸送体)の発
現が増加し、腸の腸細胞による鉄吸収が過剰となる。鉄過剰は、貧血の治療として輸血を
必要とする患者の亜集団をひどく悪化させる。濃縮RBCの平均ユニットは200~25
0mgの鉄を含有する。これを視野に入れると、平均的な人の身体は3グラムの鉄を含有
する。鉄の排出機序はないので、鉄過剰がRBC輸血で速やかに起こる。RBC産生にお
けるこれらの障害としては、サラセミア、鎌状赤血球症、ダイアモンド-ブラックファン
貧血、先天性鉄芽球性貧血、先天性赤血球形成異常性貧血、骨髄異形成症候群(MDS)
および再生不良性貧血が挙げられる。
【0004】
鉄は、通常、タンパク質トランスフェリンに結合して体内で輸送される。細胞上のトラ
ンスフェリン受容体は、トランスフェリン-鉄複合体に結合して内在化させ、鉄を細胞内
で遊離し、トランスフェリンを放出する。鉄と複合体化されている循環トランスフェリン
の割合、トランスフェリン飽和度は、身体の鉄の状態の指標として臨床的に使用されてい
る。通常のトランスフェリン飽和度は、約20~50%の範囲である。これより下回る値
は鉄欠乏を示唆し、上回る値は鉄過量または過剰を示唆する。細胞内部では、鉄はフェリ
チンとして知られているタンパク質で包まれた球体に貯蔵されている。フェリチンは細胞
から漏出する可能性があり、体内の鉄状態の指標として使用されている。正常範囲は20
~200ng/mLであり、トランスフェリン飽和度と同様に、この範囲よりも下回る値
および上回る値は、鉄欠乏または鉄過量を示唆している。鉄は、通常、トランスフェリン
に結合している、またはフェリチンに貯蔵されている。循環系でトランスフェリンに結合
されていない鉄である非トランスフェリン結合鉄(NTBI)は、低分子量物質、例えば
クエン酸などに結合している。いくつかのNTBIは活性酸素種を触媒する(すなわち生
成する)ことが可能であり、「触媒鉄」と呼ばれる。活性酸素種は、時には「フリーラジ
カル」と呼ばれ、脂質、タンパク質、デオキシリボ核酸(DNA)および細胞内小器官を
損傷し、細胞傷害、アポトーシス、壊死、および炎症をもたらす。鉄過剰の徴候および病
状としては、疲労、関節痛、インポテンス、骨粗鬆症、糖尿病、心不全および肝硬変が挙
げられる。
【0005】
鉄をキレート化し、体内からそれを除去するのに有効な薬剤が出現する以前は、輸血関
連の鉄過剰の重篤な形態であるβ-サラセミアの患者は、人生の20年という早期に心不
全で死亡した。1970年代初期に鉄キレート剤が導入された後、進歩的な寿命の拡大が
あった。しかしなお、英国(UK)サラセミア登録簿のデータによれば、β-サラセミア
患者の約50%が、主として心疾患により35歳前に死亡すると報告されている。生存率
の重要な予測因子は身体の鉄負荷である。ある1つの研究において、血清フェリチン(身
体の鉄含有量のマーカー)を2500ng/mL未満に維持した患者は、心疾患のない生
存率は15年で91%であるのに対し、フェリチンが2500ng/mLを超えている患
者では20%であった。
【0006】
鉄キレート剤は、鉄と複合体を形成し、鉄の排出を促進する小分子である。それらは循
環系および細胞内でNTBIを結合し得る。治療を開始する前に、体内の鉄負荷は、肝臓
の鉄含有量(LIC)および心臓の鉄含有量を測定することによって決定される。LIC
は、磁気共鳴画像またはMRIによって測定される。また心臓の鉄もMRIによって決定
され、T2スコアとして報告される。スコアが低いほど、心臓の鉄分含有量が多いこと
を示す。鉄キレート化の目標は、鉄の過剰の程度に依存する。重度の鉄過剰患者(LIC
>7またはT2<10)においては、目標は体内鉄バランスがマイナスの状態を作り出
すようにすることである。許容可能な鉄過剰(LIC 3~7およびT2>10)の患
者においては、目標は、鉄投与(食事および輸血由来)とキレート剤由来の鉄排出とのバ
ランスを作り出すようにすることである。
【0007】
3種の鉄キレート剤化合物、デフェロキサミン(例えばDesferal(登録商標)
)、デフェリプロン(例えばFerriprox(登録商標))、およびデフェラシロク
ス(例えば、Exjade(登録商標)、Jadenu(登録商標))が米国および他国
において使用が承認されている。3種すべてのキレート剤は様々な程度で効果があるが、
用量関連の、および鉄状態関連の深刻な毒性副作用を伴っている。LIC<3をもたらす
過剰な鉄キレート化は極めて危険であることが明らかになっており、ある場合には死に至
る。
【0008】
最初に承認された鉄キレート剤のデフェロキサミンは、鉄過剰の治療および平均余命の
実質的な拡大における主要な成功であった。デフェロキサミンは、輸血依存性貧血による
急性鉄中毒症および慢性鉄過剰の治療に対して米国で適応されている。あいにく、デフェ
ロキサミンは経口バイオアベイラビリティが不十分で、半減期が短く、1日に8~10時
間、週に5~7日の連続非経口投与(静脈内[IV]または皮下[SC])を必要とする
。副作用としては、局所炎症性反応およびアレルギー反応、全身性アレルギー反応、視覚
障害および聴覚障害、血清クレアチニンの増加、腎不全、腎尿細管障害、成長遅滞、なら
びに呼吸困難が挙げられる。服薬遵守違反は重大な問題であり、効果が最適以下となる。
デフェロキサミンを使用する患者の半数が早発性心臓死に関連した鉄過剰レベルを有し得
る。生存率は服薬遵守と密接に関係している。1つの研究においては、30歳時の生存率
は服薬遵守患者では60%であったが、服薬不履行患者ではわずかに10%であった。
【0009】
デフェロキサミン治療の負担となる性質、および生存率と服薬遵守の強い関連性は、代
替治療法の探索の動機をもたらした。デフェリプロンは最初に承認された経口活性鉄キレ
ート剤であり、現在のキレート療法が不適切である場合にサラセミア症候群患者の治療に
適応されている。デフェリプロンは鉄キレート剤効率が低く、排出半減期が短い(t1/
=1.9時間)ため、結果的に75~99mg/kg/日の用量を3回の日用量に分割
して投与しなければならない。副作用としては、悪心、嘔吐および腹痛、アラニンアミノ
トランスフェラーゼ(ALT)の増加、関節痛、好中球減少症、ならびに致命的な可能性
のある感染症を回避する頻繁なモニタリングが必要とされる無顆粒球症が挙げられる。さ
らに、デフェリプロンは、非臨床試験において胎児死亡および奇形が続発する妊娠カテゴ
リーDである。3種の利用可能なキレート剤のうち、デフェリプロンは心臓鉄をキレート
化するのに最も有効であり得るが、肝臓鉄の除去にはほとんど有効ではない。おそらく、
この安全性および有効性プロファイルの結果として、デフェリプロンは使用の最も少ない
鉄キレート剤であり、主としてデフェロキサミンに対する補助剤として使用される。
【0010】
デフェラシロクスは最近開発された経口鉄キレート剤であり、1日1回の投与が可能な
効力および薬物動態プロファイルを有する。デフェラシロクスは、デフェロキサミンより
も劣っていないことが、LICが上昇した患者の亜集団において明らかとなった。デフェ
ラシロクスの承認によって鉄過剰の治療において大きな進歩が示され、現在、2歳以上の
患者における輸血による慢性的鉄過剰の治療に適応されている。添付文書に、デフェラシ
ロクスが臓器不全および消化管出血を含めた腎臓障害および肝臓障害を引き起こし得ると
いう警告が含まれている。ある場合には、これらの反応は死に至る。結果として、腎機能
および肝機能の頻繁な試験を行う厳密なモニタリングが治療中必要である。デフェラシロ
クスは、クレアチニンクリアランス<40mL/min、または血清クレアチニン>正常
値の上限の2倍、不十分なパフォーマンス状態高リスクMDS、進行悪性腫瘍、または血
小板数が非常に低い患者に対しては禁忌である。患者の約3分の1は、33%以上の血清
クレアチニンの持続性増加を経験し、これにより用量の低減、中断または中止が必要とな
り得る。腹痛、下痢、悪心、嘔吐、発疹は、服薬不履行または過少量投与をもたらし得る
頻繁に起こる副作用である。デフェラシロクスは、水、オレンジジュースまたはリンゴジ
ュースに完全に分散させ、バイオアベイラビリティに対する食物の影響を避けるために食
事の30分前に服用しなければならない、ウェハ様錠剤として入手できる。最近、剤形を
分散させる必要なくデフェラシロクス用量を経口投与することができるJadenu錠剤
が承認された。JadenuとExjadeは同一有効成分を含有するので、副作用プロ
ファイルは類似している。これらの制限にもかかわらず、デフェラシロクスは米国におい
て最も広く使用される鉄キレート剤になった。
【0011】
3種の承認された鉄キレート剤の制限を考慮すると、安全かつ有効な鉄キレート剤に対
する未解決の重要な医学的ニーズがある。理想的な鉄キレート剤は、経口投与による高鉄
キレート化効率、鉄過剰によって悪影響のあるすべての器官(例えば肝臓、心臓、膵臓、
および腎臓)への高浸透性、ならびに、特に腎臓、肝臓および胃腸系統に対する最小限毒
性を有する。これは、臨床開発に向けて開発されてきた製品のこれまでの失敗によって明
らかであるように、達成することは簡単ではなかった。HBED(N,N8-ビス(2-
ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン-N,N8-二酢酸)の開発は、十分な経口バイ
オアベイラビリティが得られないため、フェーズ1の後に中止された。良好な経口バイオ
アベイラビリティを有する鉄キレート剤であるデフェリトリン(4,5-ジヒドロ-2-
(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-メチルチアゾール-4(S)-カルボン酸)は
、腎臓損傷が証明されたフェーズ2試験の後に中止された。以前はFBS0701であっ
た、SPD602((S)-2-(2-ヒドロキシ-3-(2-(2-(2-メトキシエ
トキシ)エトキシ)エトキシ)フェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロチアゾール-
4-カルボン酸)は、フェーズ2試験を終えたが、β-サラセミアの患者におけるLIC
を有意に低下させることはできなかった。SP-420((S)-4,5-ジヒドロ-2
-[2-ヒドロキシ-4-(3,6-ジオキサヘプチルオキシ)フェニル]-4-メチル
-4-チアゾールカルボン酸)は、フェーズ1~2試験を終えたが、用量を増大した際の
腎臓毒性により早期に終了した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、金属誘発性疾患に関する改善されたキレート剤療法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
3.概要
本開示は、例えば、本明細書に記載の金属誘発性疾患のうちの1つを有する対象におけ
る金属誘発性疾患を治療する方法に関する。本開示はさらに、金属誘発性疾患の治療に使
用される金属キレート剤に関連する毒性を低減することに関する。一態様では、本開示は
、鉄誘発性疾患の治療におけるSP-420((S)-4,5-ジヒドロ-2-[2-ヒ
ドロキシ-4-(3,6-ジオキサヘプチルオキシ)フェニル]-4-メチル-4-チア
ゾールカルボン酸)ならびにその薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物(まとめ
て「SP-420化合物」)に関連する毒性を低減することに関する。
【0014】
有効なキレート化と毒性の間には強い関連性があるように思われる。HBEDは生物に
とって利用可能ではなく、SPD602は有効ではなく、いずれの薬物にも明らかな毒性
は示されなかった。ほとんどの小分子薬物について、用量が増大するにつれて曝露、有効
性および副作用が増加することは驚くことではない。副作用は、薬物の作用機序、他の受
容体もしくは経路に対するオフターゲット効果、またはアレルギー反応などの特異体質効
果に機構的に関連している可能性がある。鉄キレート剤の場合、副作用が機構的であるよ
うである。鉄キレート剤は細胞から鉄を除去するが、これは意図した効果であり、その理
由は、鉄過剰が細胞にとって、特に心臓、肝臓および膵臓において有害なためである。し
かし、鉄キレート剤は、多くの場合、毒性の標的器官である腎臓および腸などの他の器官
の細胞からも鉄を除去する。これらの器官の細胞は、これらの細胞が呼吸などの正常な細
胞プロセスにおいて利用され得る(キレート化されていない)細胞内鉄を必要とするので
、機能障害になり得る。鉄含有タンパク質はミトコンドリア内に豊富であり、細胞機能お
よび生存が豊富なエネルギー供給に依存することから、影響される可能性が最もありそう
な細胞は、最も代謝的に活性な細胞である。これにより、特に高用量で、または鉄貯蔵が
枯渇した場合に、なぜ副作用が鉄キレート剤で重篤または致命的になり得るかを説明する
ことができる。クラスとして、鉄キレート剤が低い治療指数を有するが、代替物が存在し
ない場合、キレート剤は輸血に関連した鉄過剰に対して広く処方されている。
【0015】
本開示は、キレート剤、例えば認可された鉄キレート剤およびSP-420化合物など
の用量または投薬レジメンを変更することによって、有効性を副作用から切り離すことが
できるという洞察に基づいている。理論に縛られることなく、本発明者らは、身体全体か
ら、または意図した標的器官から金属を除去するという目標を損なうことなく、感受性組
織からの金属(例えば鉄)除去が最小限となるように投薬の頻度を変更することができる
ことを確信する。具体的には、総キレート剤用量または全身金属クリアランスを必ずしも
または有意に減少させることなく曝露の期間または頻度を低減することにより、曝露の低
減が細胞をキレート化の影響から回復させるので、感受性器官(例えば腎臓、腸)の細胞
が毒性副作用から保護されることが期待される。「休止(off)」キレート剤期間(また
は細胞回復期間)を提供することで、これらの細胞が重要な代謝機能、例えば呼吸および
エネルギー生産などを維持することができる。本明細書に記載されている投与レジメンは
、金属キレート剤投与の期間および/または頻度の低減によって感受性器官の細胞が回復
され得るという前提に基づいているので、本レジメンは、簡潔に「細胞回復投与レジメン
」または「細胞回復レジメン」と呼ばれる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1-1】毎日(図1A)SP-420を投与した実施例2のラットに関する代表的なKIM-1データを示す図である。
図1-2】隔日(図1B)SP-420を投与した実施例2のラットに関する代表的なKIM-1データを示す図である。
図2】2600mg/kgのSP-420の累積用量を投与した後の実施例2のラットに関するKIM-1試験紙(KIM-1 strips)を示す図である。
図3】162.5mg/kgのSP-420を16日間毎日投与した実施例2のラットに関する投与期間終了時(左側)および投与5日後(右側)のKIM-1試験紙を示す図である。
図4】200mg/kg/日の用量で毎日SP-420を投与したラットの24時間尿サンプルを示す図である。
図5】実施例2のラットに関する平均KIM-1データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
5.詳細な説明
5.1 金属誘発性疾患
金属イオンは、生物系の適切な機能に重要である。イオンは、ほんの数例を挙げれば、
例えばFe3+、Zn2+、Cu2+、Ca2+およびCo3+などは、3分の1以上の
公知の酵素および他の機能性タンパク質、例えばRNAポリメラーゼ、DNA転写因子、
チトクロームP450、ヘモグロビン、ミオグロビン、およびビタミンB12などの補酵
素の活性部位において確認することができる。そこで、これらの金属は酸化反応および還
元反応を促進し、電荷分布を安定化または保護し、反応の基質を配向する働きをする。
【0018】
しかし、身体では金属を吸収し排出する能力に限界があり、過剰は毒性をもたらす可能
性がある。本開示の基礎となる原理は、過剰の金属が健康状態の原因物質であるあらゆる
状態に適用することができる。
【0019】
一例として、β-重症型サラセミアなどのこうした状態において必要で慢性的に輸血さ
れた赤血球に由来したか、またはHFEなどの遺伝子の変異によって引き起こされる遺伝
性ヘモクロマトーシスなどの食事由来の鉄の吸収増加による過剰の鉄は、HO・およびH
OO・などの活性酸素種の鉄による生成を介して有毒になり得る。Fe2+の存在下で、
は、非常に反応性の高い種であるヒドロキシル基(HO・)に還元され、このプ
ロセスはフェントン反応として知られている。ヒドロキシル基は様々な細胞成分と非常に
速やかに反応し、DNAおよび膜を損傷し、発がん物質を生成する遊離基および基が介在
する連鎖プロセスを開始する可能性がある。臨床結果は、有効な治療がないと、全身の鉄
が次第に肝臓、心臓、膵臓、および他の箇所に沈着しながら増大することである。また鉄
の蓄積は、(i)肝硬変症に進行し得る肝臓疾患、(ii)膵臓β細胞分泌の鉄誘発性減
少および肝臓インスリン抵抗性の増大の両方に関連する糖尿病、ならびに(iii)依然
として、輸血性鉄過剰に関連したβ-重症型サラセミアおよび他の貧血における主要な死
因の心臓病も起こし得る。
【0020】
別の例として、相対的過剰鉄は、心血管疾患(例えば心臓病)の危険性の増加と関連し
ている。血清フェリチンレベルと、炎症性バイオマーカー、例えばC-反応性タンパク質
およびインターロイキン-1との間には強い相関があり、死亡を免れないのは末梢動脈疾
患を有する患者の亜集団である。そのリスクを緩和するために瀉血および鉄キレート化が
使用されてきた。鉄キレート剤を用いる治療は、鉄貯蔵を減少させ、血清フェリチンを減
少させ、心臓病および脳卒中の発生を減らす可能性があると考えられる。
【0021】
別の例として、内因性機能がほとんどないか全くないイオンは、体内に入り損傷をもた
らし得る。Hg2+などの重金属イオンは、金属結合タンパク質中のZn2+などのイオ
ンに置き換わり、それらを不活性化し得る。その結果、患者の死亡またはその患者の子供
の先天的欠損症が起こる可能性がある深刻な急性毒性または慢性毒性がもたらされる。さ
らに意義深いことには、ランタニドおよびアクチニド系列の放射性同位体は、口、空気ま
たは皮膚の接触によって、それらに曝露された個体に重篤な病気をもたらし得る。そのよ
うな曝露は、核爆弾または核廃棄物から構成されている「汚染爆弾」の爆発だけでなく、
原子力発電施設の破壊からも引き起こされる可能性がある。
【0022】
前述の金属誘発性疾患のいずれか、ならびに実施形態46および89から105におい
て特定されている状態は、本明細書に開示されている細胞回復投与レジメンから利益を得
ることができる。したがって、本開示は、第5.3節に記載されているレジメンを使用す
るか、または第5.4節に特定されているアッセイを使用して特定されるそのような金属
誘発性疾患を治療する方法を包含する。
【0023】
5.2 金属キレート剤
本開示の細胞回復投与レジメンは、金属キレート剤、例えばSP-420化合物に関す
る。本明細書で使用される場合、「SP-420化合物」は、SP-420((S)-4
,5-ジヒドロ-2-[2-ヒドロキシ-4-(3,6-ジオキサヘプチルオキシ)フェ
ニル]-4-メチル-4-チアゾールカルボン酸)ならびにそれらの薬学的に許容される
塩、溶媒和物および水和物を意味する。
【0024】
生体内の金属イオンのキレート化および脱離に関する様々な薬剤が臨床使用されており
、また他のものも開示されているが、どちらも毒性のため臨床試験されていないか、臨床
試験で進展はなかった。第5.3節に記載されている、または第5.4節で特定されてい
るアッセイを使用して特定された細胞回復レジメンから得られる任意の金属キレート剤に
基づいた治療は、毒性の低減に有益であり得る。
【0025】
レジメンが適用される例示の金属キレート剤としては、限定するものではないが、第2
節および第3節において、実施形態48、70、73、76、79、86、および106
で特定されたもの、ならびにその内容は参照により本明細書に組み込まれるPCT公報の
国際公開第2006/107626号パンフレットに記載の式(I)~(IX)によって
包含されているそれらの化合物が挙げられる。
【0026】
本開示のいくつかの金属キレート剤、例えば前の段落で記載されているものは、薬学的
に許容される塩の形態で投与することができる。薬学的に許容される塩としては、アルカ
リ金属およびアルカリ土類金属(例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシ
ウム)塩が挙げられる。さらに、薬学的に許容される塩としては、アミン塩が挙げられる
。好ましくは、薬学的に許容される塩は、金属非含有(例えば、鉄非含有)の塩である。
本明細書で使用される場合、「金属非含有塩」は、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金
属塩を包含しない。
【0027】
5.3 投与レジメン
本開示の細胞回復投与レジメンは、毒性を最小限にしながら効果を維持することにより
、金属キレート剤療法の治療指数を増加させる正味の効果を有すると思われる。
【0028】
本レジメンは、一般に、金属イオンを効果的にキレート化するのに十分な高い濃度でキ
レート剤が身体細胞中に存在しない期間を可能にするように投与間の期間(投与間隔)を
拡大することによって投与頻度を減少させる。これによって、細胞は機能性金属含有タン
パク質を正常な細胞機能を有するのに十分な量で有することができる。しかし、キレート
剤の用量および頻度は、キレート療法の治療目的に応じて、金属バランス状態を作り出す
かまたは金属バランスを無効にするのに十分である。
【0029】
療法に対して現在承認されているキレート剤の場合、いくつかの実施形態では、投与間
隔は約30%~300%拡大される(1日1回投与の24時間間隔を約4時間~72時間
まで拡大させる)。例えば、デフェラシロクスなどのキレート剤は、典型的には、朝食前
の空腹時に、または軽い低脂肪の朝食と共に1日1回投与される。したがって、投与間隔
は約24時間である。あるシナリオでは、第2回の投与は翌日の正午の食事時に行われ、
間隔を約28時間に延長する。第3回の投与は、翌日の夕食時などに行われる。別のシナ
リオでは、第2回の投与は翌日の夕食時に行われ、間隔は約32時間に延長される。第3
目のシナリオでは、第2回の投与は2日後の朝の食事時に行われ、間隔は約48時間に延
長される。投与間隔の延長による予測される利点は、鉄のキレート化により悪影響を受け
る細胞が、効果的なキレート剤を含まない期間中に回復するのに必要な時間が得られるこ
とである。いくつかのキレート剤が存在してもよいが、細胞機能に干渉しないように十分
に低い濃度である。デフェラシロクスの場合、腎臓損傷および胃腸損傷が実質的に少なく
なると予測される。より一般的には、任意のキレート剤で観察される用量関連毒性は、変
更した投与レジメンで低減または排除されると予測される。
【0030】
特定の態様では、新規のレジメンで投与される用量は、投与頻度の減少を埋め合わせる
ために増加される。したがって、各投与時に投与されるキレート剤の用量は、意図した量
の金属クリアランスが新規のレジメンで維持されるように増加される。用量は、元の用量
の10%~300%を加えることにより増加させることができる。例示として、20mg
/kg用量のデフェラシロクスは、各投与時に22~60mg/kgの範囲に増加される
。本開示に記載されているすべての範囲は包括的である(例えば、22~60mg/kg
の範囲は22mg/kgの用量および60mg/kgの用量を包含する)。
【0031】
いくつかの実施形態において、総週用量または総月用量(1週間または1カ月に投与さ
れる全用量の合計)が維持される。例えば、デフェラシロクスが最初に毎日20mg/k
gで投与され、投与間隔が隔日投与に変更された場合、投与される用量は隔日投与される
40mg/kgに増加される。
【0032】
本明細書に記載の投与レジメンにおいて、整数が先行する場合の語句「週用量」とは、
1週間に投与される用量の数を意味する。例えば、「5回未満の週用量」を含む投与レジ
メンは、対象に1週間に5回未満(例えば、1週間に1、2、3、または4回)の用量の
金属キレート剤を投与する投与レジメンを包含する。同様に、整数が先行する場合の語句
「日用量」は、1日に投与される用量の数を意味する。例えば、「1回または2回の日用
量」を含む投与レジメンは、対象に1日に1回または1日に2回の用量の金属キレート剤
を投与する投与レジメンを包含する。特定の用量の金属キレート剤が提供される場合、文
脈上特段の要求がない限り、用量は単回用量で投与される金属キレート剤の量を意味する
。前述の週用量、日用量および特定の用量は、少なくとも1週間、少なくとも1カ月、少
なくとも3カ月、少なくとも6カ月、少なくとも1年の期間、または無期限に(例えば、
対象の残りの人生の間)投与することができる。文脈上特段の要求がない限り、投与期間
は、単回投与の期間よりもむしろ、金属キレート剤の最初の投与と最後の投与との間の期
間を意味する。
【0033】
投与レジメンを変更して、利便性、コンプライアンス、およびアドヒアランスをさらに
強化することができる。例えば、隔日投与は、例えば週末の中断を入れて、週3日の投与
に変更することができる。週末が土曜日および日曜日である地域においては、そのような
投与スケジュールは月曜日、水曜日、および金曜日にキレート剤を投与することからなり
得る。これは、患者が忘れずに用量を服用し、それによって推奨されるレジメンを遵守す
ることを覚えている能力を高めると思われる。また、実施例2に示したように、投与から
の短い中断はキレート剤の毒性を最小限にすることが期待される。
【0034】
金属キレート化効率(金属でキレート化された身体から排出される投与薬物の割合)は
、動物、ヒト臨床試験対象もしくは患者における金属バランス試験で決定され得るか、ま
たは例えば、動物において組織の原子吸光分析の使用により、もしくはヒトにおいてMR
Iにより組織金属含有量を測定することによって決定され得る。
【0035】
キレート剤由来の副作用は予測可能であるかスクリーニング試験に基づいて予想するこ
とが可能であるので、腹痛などの副作用をモニターするか、腎臓損傷もしくは機能不全を
証明する尿または血液を検査する間、投与間隔の間を経時的に調整することができる。
【0036】
確立した用量のない金属キレート剤については、投与スケジュールは、本明細書に記載
されている原理を使用して、例えば第5.4節に記載されているアッセイを使用して確立
することができる。
【0037】
特定の実施形態では、金属キレート剤は、実施形態1から106で明記されているレジ
メンのいずれかに従って、または第5.4節に記載されている方法により投与される。
【0038】
本開示の細胞回復レジメンにおいて使用されるキレート剤は、好ましくは、即時放出性
経口製剤中にあるが、また遅延放出性経口剤形または非経口調製物中にあってもよい。本
開示の細胞回復レジメンは、ヒト(成人および子供の両方を含む)ならびに非ヒト動物に
投与するために使用することができる。
【0039】
5.4 投与レジメンを最適化するためのアッセイ
様々な細胞および動物モデルを使用して、金属キレート剤の最適投与間隔を評価するこ
とができる。これらのモデルは感受性器官の細胞に対する金属キレート剤の毒性作用を調
べて用量毒性および用量間の細胞回復時間を決定する。
【0040】
細胞培養において試験される細胞型は、ヒトにおいて悪影響を受ける細胞型、例えば肝
細胞または顆粒球前駆細胞などを検討するように選択することができる。
【0041】
腎臓毒性に対する金属キレート剤の効果を評価するため、初代腎近位尿細管細胞または
不死化近位尿細管細胞株を、規定の培養培地を使用する組織培養で(in vitroで
)増殖させることができる。これらの細胞の代謝状態(例えばMTTPアッセイ)、増殖
(例えば細胞数)、および生存率(例えばトリパンブルー排除)を定量するためのアッセ
イが存在する。金属(例えば鉄)キレート剤を、腎臓のin vivo曝露をモデル化す
るために規定した期間、培地に添加することができる。例えば、ヒト患者において定常状
態でデフェラシロクスを毎日経口投与した後、ピーク血清濃度は投与後約2時間で達成さ
れ、平均排出半減期は約12時間である。デフェラシロクスはアルブミンに強固に結合さ
れるので、アルブミンを培地に添加する。これをモデル化するため、培養中の細胞を、培
地中の高ピーク血清濃度に2時間曝露することができる。培養培地は、14時間の終わり
(2時間の初期高濃度+12時間の低下濃度)に最終濃度が初期濃度の約半分になるよう
に、低濃度のデフェラシロクスを含有する新しい培地と2時間ごとに交換することができ
る。デフェラシロクス濃度におけるこの2時間ごとの低下は24時間の終わりまで継続さ
れ、デフェラシロクスが1日1回慢性的に投与されている患者で観察されるトラフ濃度と
ほぼ同等の濃度が生じる。この投与スキームは、数日間、例えば4日間繰り返され得る。
細胞が代謝機能を回復することができるキレート剤のない期間を組み入れた細胞回復レジ
メンを使用して毒性を低減することができることを確認するため、金属キレート剤の標準
投与に基づく曝露スケジュールを使用して観察される細胞毒性を、その後、細胞回復投与
スケジュールに基づいた曝露スケジュールを使用して観察される毒性と比較する。例えば
デフェラシロクスの場合、上述の細胞アッセイは、例えば、同じ日数の間、細胞を隔日で
2倍の濃度のデフェラシロクスに曝露して同一総用量を達成することを含む、低減投与ス
ケジュールを使用して実施することができる。
【0042】
他のキレート剤の場合、アッセイは、そのキレート剤の典型的な薬物動態プロファイル
を、細胞回復用のキレート剤のない期間を組み入れた変更プロファイルと比較するように
設計されている。デフェリプロンは、例えば、1日3回、典型的には起床した朝に1回、
昼に1回、夜に1回投与される。したがって、典型的なレジメンは、投与を約5時間離し
、1時間後にピーク血清濃度が達成され、半減期は2時間である。これは、1時間のin
vitroでの初期デフェリプロン高濃度、続いて2時間の50%の濃度低下、その後
2時間の50%のさらなる低下によって模倣することができる。このサイクルがさらに2
回繰り返され、患者における1日3回の投与が模倣される。細胞が代謝機能を回復するこ
とができるキレート剤のない期間を組み入れた細胞回復レジメンを使用して毒性を低減す
ることができることを確認するため、次いで、金属キレート剤の標準投与に基づく曝露ス
ケジュールを使用して観察される細胞毒性を、細胞回復投与スケジュールと比較する。デ
フェリプロンの場合、標準的な投与スケジュールに基づく曝露スケジュールを使用した毒
性は、10時間離された高濃度の2分割用量で投与された同一総用量をもたらすか、また
は24時間離された単一用量をもたらす曝露スケジュールと比較する。
【0043】
腎近位尿細管細胞および他の細胞、例えば肝細胞はまた、マイクロフルイディック腎臓
モデル(「腎臓オンチップ」)または肝モデル(「肝臓オンチップ」)において培養され
、様々な投与レジメンの薬物動態学のものを模倣する方法でキレート剤に曝露され得る。
一実施形態では、金属キレート剤の毒性および細胞回復期間を評価するために使用される
「腎臓オンチップ」モデルは、KimおよびTakayamaによって記載されているも
のである(Kim et al., 2015, Biofabrication. Volume 8, Number 1 015021, dx.doi.or
g/10.1088/1758-5090/8/1/015021)。より単純な細胞培養モデルと同様に、代謝状態およ
び生存率は、標準の投与レジメン(例えば、デフェラシロクスの毎日投与、またはデフェ
リプロンについては1日3回投与)と比較して、細胞回復投与レジメン(例えば、デフェ
ラシロクスの隔日投与、またはデフェリプロンについては1日2回もしくは1日1回投与
)に応じて評価することができる。
【0044】
投与レジメンの頻度はまた、動物において試験することもできる。例えば、同一総用量
のキレート剤(例えば30mg/kg/日)を1日3回10mg/kgとして動物の一群
に投与することができ、一方、別の群の動物は1日2回15mg/kgを投与することが
でき、また第3群の動物は1日1回30mg/kgを投与することができる。アッセイの
延長において、別の群の動物には隔日1回60mg/kgを投与することができ、またさ
らに別の群の動物には3日に1回90mg/kgを投与することができる。これらの動物
は、明白な毒性および器官機能不全の証拠(例えば血清クレアチニンの上昇もしくは尿検
査の異常もしくは肝臓酵素の上昇)、または組織における変化(例えば腎近位尿細管細胞
の空胞化もしくは肝細胞における脂肪蓄積)についてモニターする。
【0045】
これらのアッセイから得た情報を使用して、標準のキレート剤投与レジメンをキレート
剤療法からの細胞回復期間を組み入れた変更レジメンと比較するために、ヒト臨床試験の
用量選択を導くことができる。また変更レジメンは単独でも試験され、例えば標準レジメ
ンを用いた試験から、過去の対照データと比較することができる。
【実施例0046】
6.実施例
[実施例1]
6.1 実施例1:SP-420の毎日投与と隔日投与の比較
この試験は、腎臓損傷分子-1(KIM-1)のレベルおよび尿中のグルコースの存在
(糖尿)を評価することによって、SP-420(ナトリウム塩として投与)の1日投与
と隔日投与の毒性を比較するために実施した。KIM-1は、げっ歯動物モデルおよびヒ
トの両方における腎臓損傷の感受性および特異的な尿バイオマーカーである(例えば、Sa
bbisetti et al., 2014, J Am Soc Nephrol. 25(10):2177-2186を参照されたい)。KI
M-1は、正常ラットの腎臓においては極微に発現されるが、腎臓損傷では顕著に発現さ
れる(例えば、Vaidya et al., 2010, Nat Biotechnol. 28(5): 478-485を参照されたい
)。腎糸球体によって濾過されたグルコースは、通常、腎近位尿細管細胞によって完全に
再吸収されるため、尿中にグルコースが検出されることは極めて異常である。糖尿は、極
めて多量のグルコースが糸球体で濾過され、吸収の機序を破壊する状態である。糖尿は、
一般的に、高血糖症に続発する真性糖尿病において、または腎臓ファンコーニ症候群のよ
うに、腎近位尿細管細胞が機能不全になる場合にのみ検出される。腎臓ファンコーニ症候
群は、鉄キレート剤治療によって引き起こされることが報告されている。グルコースおよ
び他の濾過物質(例えば、アミノ酸、リン、尿酸)の吸収はエネルギー依存性が高く、腎
近位尿細管細胞鉄のキレート化は、ミトコンドリアのエネルギー生産の低下をもたらし、
吸収能力の低下を伴って細胞機能不全を引き起こす。
【0047】
6.1.1. 方法
オスのスプラーグドーリー(Sprague-Dawley)ラット(1群あたりn=5)に、1日1
回(SID)162.5mg/kgの用量で、または隔日の(EOD)325mg/kg
の用量で、胃管強制により経口的にSP-420を投与した。各ラット群は、SP-42
0の2600mg/kgの累積用量を受けた。尿は、代謝ケージEODから、投与の間、
最後の投与の5日または6日後、さらに最後の投与の11日または12日後に回収し、そ
のKIM-1含有量について評価し、10-パラメーター尿ディップスティック分析に供
した。SP-420 EODを投与した動物からの尿を、薬物を投与した直後24時間に
回収した。
【0048】
6.1.2. 結果
SID治療ラットおよびEOD治療ラットはすべて、薬物への曝露で生存した。しかし
、162.5mg/kg SID群の1匹のラットは、継続的な体重減少および状態の悪
化により、薬物投与の3日後に安楽死させた。尿KIM-1レベルは両群において上昇し
たが、その上昇は薬物EODを投与した動物においてはそれほど有意ではなかった。KI
M-1レベルにおける変化は、薬物投与の5日後または6日後までに概ねベースラインレ
ベルに戻った。糖尿がSP-420 SIDを投与したラットのうち4/5で観察された
が、SP-420 EODが投与されたラットでは観察されなかった。
【0049】
この試験からは、隔日のSP-420投与が毎日投与に比べて毒性を低減することが明
らかである。
【0050】
[実施例2]
6.2 実施例2:実施例1の反復試験
実施例1において、「回復」KIM-1レベルは、最後の投与の5日後または6日後ま
で測定されなかった。KIM-1レベルがこの期間中に顕著に低下したことは明らかであ
ったが、実施例1の試験は、パラメーターがどれほど速やかにベースラインレベルに戻っ
たかを示すようには設計されてはいなかった。さらに、実施例1においては、尿を、薬物
投与直後の24時間にキレート剤EODを投与したラットから回収したが、SP-420
の次の投与に至るまでの24~48時間に生じた尿についてはデータを収集しなかった。
この「休止」日の間に何が起こったのかを決定し、尿KIM-1レベルが投与間で低下す
るか否かを決定するため、実施例1の試験を多少変更して繰り返した。
【0051】
6.2.1.方法
10匹のオスのスプラーグドーリーラットを無作為に5匹の2つの群に分け、実施例1
と同様に投与した。ラットを代謝ケージEODに収容した実施例1とは異なり、この反復
試験での動物は、投与レジメンの過程を通して、またその後6日間、代謝ケージに個別に
収容し、回復期間中、尿を回収した。尿を、試験の過程を通して24時間間隔で回収し、
そのKIM-1含有量について評価した。薬物EODを投与されているラットについて、
KIM-1データを薬物投与直後の0~24時間、ならびに「休止」の日(薬物投与後2
4~48時間)の両方から得た。ラットの体重は、毎日1回測定した。体重の変化は、動
物のベースライン体重対薬物の最後の投与が行われた日のそれらの体重から計算した。
【0052】
6.2.2.結果
すべてのラットは、試験薬への曝露で生存した。162.5mg/kg SID群から
の1匹のラットは、体重減少および全体的な状態の悪化により、最後の投与の4日後に安
楽死させた。
【0053】
各群のラットに関する代表的なKIM-1データを図1A~1Bに示す。図1A~1B
は、SP-420が両群の動物においてKIM-1レベルの上昇を誘導したことを示すが
、その値はベースライン付近まで急速に戻った。SP-420 EODを投与したラット
におけるKIM-1レベルの上昇は、SP-420 SIDを投与した動物においてはそ
れほど有意ではなかった。これは、図2に示したKIM-1試験紙に描かれている。番号
1~5の試験紙は、162.5mg/kg/日でSP-420 SIDが投与されたラッ
トからのものであり、一方、番号6~10の試験紙は、325mg/kg EODでSP
-420が投与されたラットからのものである。線「C」は内部標準であり、一方、線「
T」は試験動物に関する結果を示す。試験紙3~5の線「T」は非常にはっきりしている
が、試験紙7を除く試験紙6~10のいずれにおいてもごくわずかなKIM-1が観察さ
れた。KIM-1レベルは、図3に示したように、最後の投与から投与後5日まで低下し
た。図3は、投与期間の終了時(左側)および投与後5日(右側)のSP-420 SI
D投与されたラットからのKIM-1試験紙を示す。薬物投与後5日目にごくわずかなK
IM-1が試験紙#4または#5に観察された。試験紙#3に対応するラットは、投与後
5日目のサンプルを得る前に安楽死させた。
【0054】
試験の条件下において、KIM-1レベルは、(代表的な図1Bに示したように)「休
止」日にEOD治療したラットでは低下しなかった。またこれはSP-420 SIDで
治療したラットの回復データにおいても観察され、KIM-1レベルは、投与の最終日に
確認されたものと薬物投与24時間後の尿中のKIM-1の量との間で実質的な変化はな
かった。しかし、EOD動物における用量間の、またはSIDげっ歯動物における薬物中
止24時間以内のKIM-1低下がないことは驚くことではない。これらの試験における
ラットは、一般に、1日あたり10~15ml未満の尿を排出する。こうした少量の尿が
生成されることから、かなりのKIM-1、グルコースなどが、ある日から次の日にかけ
て持ち越されていることが十分に考えられる。例えば、図4に示した写真は、200mg
/kg/日の用量のSP-420でSID治療したラットの24時間尿サンプルを示す。
その日に生成された尿量はわずかに14.6mLであった。チューブの下半分は正常に見
える尿が含まれていたが、上半分は明らかな血液の層が含まれていた。この単一の24時
間サンプル中に観察された正常な尿と血液を含む尿との「層化作用(layering effect)
」に基づくと、ある24時間回収期間の終了時に存在するKIM-1またはグルコースの
一部が翌日の尿検体にも排出され続けることが予測されることは不適当ではない。
【0055】
各群の全ラットについての平均KIM-1データを図5に示す。図5は、SP-420
が両群の動物における平均KIM-1レベルの上昇を誘導したことを示しているが、この
平均値はベースライン付近まで急速に戻った。SP-420 EODが投与されたラット
における平均KIM-1レベルの上昇は、SP-420 SIDが投与された動物におい
てはそれほど有意ではなかった。
【0056】
糖尿は、SP-420 SIDが投与された3/5のラットで観察された。回復期間中
、糖尿は、薬物投与1日後のラット3匹のすべてで、薬物投与2日後のラットの1/3で
観察され続け、最終投与3日後までには罹患ラットはなかった。糖尿は、325mg/k
gのSP-420 EODが投与されたラットのいずれにも観察されなかった。
【0057】
6.2.3.要約
実施例2は、隔日のSP-420投与が1日1回よりも毒性を低減することを示す。こ
れは、尿KIM-1排出の点、ならびに試験動物の尿中のグルコースの有/無の点の両方
から反映される。薬物投与2~6日後の尿中KIM-1レベルの急速な低下は、週末休止
のある週3日の投与スケジュールで、例えば月曜、水曜、金曜服薬スケジュールで患者に
キレート剤を投与するという考えを強く支持する。月曜日、水曜日および金曜日の投与ス
ケジュールの場合、週末の休止は、必要に応じて、月曜日に投与が再開される前に腎臓を
回復させる時間を調整することができる。
【0058】
[実施例3]
6.2.4.実施例3:異なる用量のSP-420の毎日投与と隔日投与の比較
実施例1および2に記載したものと同様の試験を、SP-420の250mg/kg
EOD、250mg/kg SID、500mg/kg EOD、200mg/kg S
IDおよび400mg/kg EODを用いて実施した。試験の結果は、実施例1および
2に記載した試験の結果と共に以下の表1に要約している。表1に示したように、糖尿お
よびKIM-1レベルは、同じ累積用量に関するSIDレジメンと比較して、EOD投与
レジメンについては一貫して低かった。まとめると、データは、隔日または週3回(例え
ば月曜日、水曜日、金曜日)の投与スケジュールで患者にSP-420を投与するという
考えを支持するものである。
【0059】
【表1】
【0060】
7.特定の実施形態、参考文献の引用
様々な特定の実施形態を図示し説明してきたが、様々な変更を本開示(複数可)の趣旨
および範囲から逸脱することなく行うことができることは理解されよう。本開示は、以下
に記載の番号付与した実施形態によって例示される。
【0061】
1.対象における(a)金属誘発性疾患を治療し、かつ/または(b)金属キレート剤
の腎臓、胃腸、肝臓、血液、聴覚、視覚および/もしくは皮膚の毒性を低減する方法であ
って、複数回用量の金属キレート剤を前記対象に経口投与することを含み、各用量が、前
回の投与の24時間後よりも後、および/または1週間に5回以下で投与される、方法。
2.対象における(a)金属誘発性疾患を治療し、かつ/または(b)金属キレート剤
の腎臓、視覚、聴覚、神経、呼吸器および/もしくは筋骨格の毒性を低減する方法であっ
て、5回未満の週用量の金属キレート剤を前記対象に静脈内または皮下投与することを含
む、
方法。
3.前記金属キレート剤が週に5回投与される、実施形態1に記載の方法。
4.前記金属キレート剤が週に4回投与される、実施形態1または実施形態2に記載の
方法。
5.前記金属キレート剤が週に3回投与される、実施形態1または実施形態2に記載の
方法。
6.前記金属キレート剤が月に15~25回投与される、実施形態1に記載の方法。
7.前記金属キレート剤が月に20~25回投与される、実施形態1に記載の方法。
8.前記金属キレート剤が月に12~18回投与される、実施形態1または実施形態2
に記載の方法。
9.前記金属キレート剤が月に15~20回投与される、実施形態1または実施形態2
に記載の方法。
10.前記金属キレート剤が28~72時間ごとに投与される、実施形態1から9のい
ずれか1つに記載の方法。
11.前記金属キレート剤が28時間ごとに投与される、実施形態10に記載の方法。
12.前記金属キレート剤が32時間ごとに投与される、実施形態10に記載の方法。
13.前記金属キレート剤が36時間ごとに投与される、実施形態10に記載の方法。
14.前記金属キレート剤が42時間ごとに投与される、実施形態10に記載の方法。
15.前記金属キレート剤が48時間ごとに投与される、実施形態10に記載の方法。
16.前記金属キレート剤が2日ごとに投与される、実施形態10に記載の方法。
17.前記金属キレート剤が60時間ごとに投与される、実施形態10に記載の方法。
18.前記金属キレート剤が72時間ごとに投与される、実施形態10に記載の方法。
19.前記金属キレート剤が3日ごとに投与される、実施形態10に記載の方法。
20.前記金属キレート剤が28~36時間ごとに投与される、実施形態10に記載の
方法。
21.前記金属キレート剤が32~48時間ごとに投与される、実施形態10に記載の
方法。
22.前記金属キレート剤が36~48時間ごとに投与される、実施形態10に記載の
方法。
23.前記金属キレート剤が32~60時間ごとに投与される、実施形態10に記載の
方法。
24.前記金属キレート剤が36~60時間ごとに投与される、実施形態10に記載の
方法。
25.前記金属キレート剤が48~60時間ごとに投与される、実施形態10に記載の
方法。
26.前記金属キレート剤が32~72時間ごとに投与される、実施形態10に記載の
方法。
27.前記金属キレート剤が36~72時間ごとに投与される、実施形態10に記載の
方法。
28.前記金属キレート剤が48~72時間ごとに投与される、実施形態10に記載の
方法。
29.対象における(a)金属誘発性疾患を治療し、かつ/または(b)金属キレート
剤の血液、胃腸、肝臓および/もしくは筋骨格の毒性を低減する方法であって、前記方法
が1回または2回の日用量の前記金属キレート剤を前記対象に経口投与することを含み、
前記金属キレート剤がデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしく
は水和物である、方法。
30.2回の日用量の前記金属キレート剤を投与することを含む、実施形態29に記載
の方法。
31.前記日用量が6、9、または12時間間隔で投与される、実施形態29に記載の
方法。
32.前記金属キレート剤が週に14回投与される、実施形態29に記載の方法。
33.前記金属キレート剤が少なくとも1週間の期間投与される、実施形態1から32
のいずれか1つに記載の方法。
34.前記金属キレート剤が少なくとも1カ月の期間投与される、実施形態1から32
のいずれか1つに記載の方法。
35.前記金属キレート剤が少なくとも3カ月の期間投与される、実施形態1から32
のいずれか1つに記載の方法。
36.前記金属キレート剤が少なくとも6カ月の期間投与される、実施形態1から32
のいずれか1つに記載の方法。
37.前記金属キレート剤が少なくとも1年間の期間投与される、実施形態1から32
のいずれか1つに記載の方法。
38.前記金属キレート剤が無期限に投与される、実施形態1から32のいずれか1つ
に記載の方法。
39.標準日用量より多い用量が各投与時に投与される、実施態様1から38のいずれ
か1つに記載の方法。
40.投与される総週用量が標準総週用量に等しい、実施形態1から39のいずれか1
つに記載の方法。
41.投与される前記総週用量が前記標準総週用量より少ない、実施形態1から39の
いずれか1つに記載の方法。
42.投与される前記総週用量が前記標準総週用量の0.75~0.9倍である、実施
形態41に記載の方法。
43.前記標準日用量が各投与時に投与される、および/または投与される前記総週用
量が前記標準総週用量に等しい、実施形態1から38のいずれか1つに記載の方法。
44.投与される前記総週用量が前記標準総週用量より多い、実施形態1から39のい
ずれか1つに記載の方法。
45.投与される前記総週用量が前記標準総週用量の1.25~2倍である、実施形態
44に記載の方法。
46.前記金属が鉄である、実施形態1から45のいずれか1つに記載の方法。
47.前記金属キレート剤が鉄キレート剤である、実施形態46に記載の方法。
48.前記金属キレート剤がSP-420化合物以外のものである、実施形態1から4
7のいずれか1つに記載の方法。
49.実施形態29から32または39から45のいずれか1つに直接的にまたは間接
的に依存する場合を除き、前記鉄キレート剤がSP-420化合物である、実施形態47
に記載の方法。
50.前記SP-420化合物が18~100mg/kgの用量で投与される、実施形
態49に記載の方法。
51.前記SP-420化合物が18~30mg/kgの用量で投与される、実施形態
49に記載の方法。
52.前記SP-420化合物が24mg/kgの用量で投与される、実施形態49に
記載の方法。
53.前記SP-420化合物が40~60mg/kgの用量で投与される、実施形態
49に記載の方法。
54.前記SP-420化合物が60~84mg/kgの用量で投与される、実施形態
49に記載の方法。
55.前記SP-420化合物が72mg/kgの用量で投与される、実施形態49に
記載の方法。
56.前記SP-420化合物が500mgから10gの間の範囲の用量で投与される
、実施形態49に記載の方法。
57.前記SP-420化合物が1g~5gの範囲の用量で投与される、実施形態49
に記載の方法。
58.前記SP-420化合物が54~400mg/kgの総週用量で投与される、実
施形態49から57のいずれか1つに記載の方法。
59.前記SP-420化合物が54~100mg/kgの総週用量で投与される、実
施形態58に記載の方法。
60.前記SP-420化合物が100~200mg/kgの総週用量で投与される、
実施形態58に記載の方法。
61.前記SP-420化合物が200~300mg/kgの総週用量で投与される、
実施形態58に記載の方法。
62.前記SP-420化合物が300~400mg/kgの総週用量で投与される、
実施形態58に記載の方法。
63.前記SP-420化合物が1.5gから30gの間の範囲の総週用量で投与され
る、実施形態49から57のいずれか1つに記載の方法。
64.前記SP-420化合物が3gから30gの間の範囲の総週用量で投与される、
実施形態63に記載の方法。
65.前記SP-420化合物が5gから20gの間の範囲の総週用量で投与される、
実施形態63に記載の方法。
66.前記SP-420化合物がSP-420((S)-4,5-ジヒドロ-2-[2
-ヒドロキシ-4-(3,6-ジオキサヘプチルオキシ)フェニル]-4-メチル-4-
チアゾールカルボン酸)である、請求項49から65のいずれか1つに記載の方法。
67.前記SP-420化合物がSP-420の薬学的に許容される塩である、実施形
態49から65のいずれか1つに記載の方法。
68.前記SP-420化合物がSP-420の薬学的に許容される溶媒和物である、
実施形態49から65のいずれか1つの方法。
69.前記SP-420化合物がSP-420の薬学的に許容される水和物である、実
施形態49から65のいずれか1つに記載の方法。
70.前記鉄キレート剤がデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物
もしくは水和物である、実施形態47に記載の方法。
71.前記デフェリプロンの標準用量が経口投与による1日3回25~33mg/kg
である、実施形態70の方法。
72.前記対象に投与される前記デフェリプロンの用量が1日2回37.5~49.5
mg/kgまたは1日1回66~99mg/kgである、実施形態70に記載の方法。
73.実施形態29から33のいずれか1つに直接的または間接的に依存する場合を除
き、前記鉄キレート剤がデフェロキサミンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物ま
たは水和物である、実施形態47に記載の方法。
74.前記デフェロキサミンの標準用量が、20~50mg/kgであり、週5~7日
8~12時間にわたる低速皮下注入もしくは静脈内注入として投与される、または500
~1000mgであり毎日の注射として投与される、実施形態73に記載の方法。
75.前記対象に投与される前記デロキサミンの用量が、20~50mg/kgであり
週5~7日4~6時間にわたる低速皮下注入として投与される、または40~100mg
/kgであり、週2~3日8~12時間にわたる低速皮下注入もしくは静脈内注入として
投与される、または1000~2000mgであり、隔日注射として投与される、実施形
態73に記載の方法。
76.実施形態29~33のいずれか1つに直接的または間接的に依存する場合を除き
、前記鉄キレート剤がデフェラシロクス、その薬学的に許容される塩、溶媒和物または水
和物である、実施形態47に記載の方法。
77.前記デフェラシロクスの標準用量が20~40mg/kgであり、1日1回経口
投与される、実施形態76に記載の方法。
78.前記対象に投与される前記デフェラシロクスの用量が、40~80mg/kgで
あり、隔日1回経口投与される、実施形態76に記載の方法。
79.実施形態29から33のいずれか1つに直接的または間接的に依存する場合を除
き、前記鉄キレート剤がデフェリトリン、その薬学的に許容される塩、溶媒和物または水
和物である、実施形態47に記載の方法。
80.前記デフェリトリンの標準用量が10~80mg/kgであり、1日1回経口投
与される、実施形態79に記載の方法。
81.前記デフェリトリンの標準用量が10~60mg/kgであり、1日1回経口投
与される、実施形態79に記載の方法。
82.前記デフェリトリンの標準用量が10~40mg/kgであり、1日1回経口投
与される、実施形態79に記載の方法。
83.前記対象に投与される前記デフェリトリンの用量が、20~160mg/kgで
あり、隔日1回経口投与される、実施形態79に記載の方法。
84.前記対象に投与される前記デフェリトリンの用量が、20~120mg/kgで
あり、隔日1回経口投与される、実施形態79に記載の方法。
85.前記対象に投与される前記デフェリトリンの用量が、20~80mg/kgであ
り、隔日1回経口投与される、実施形態79に記載の方法。
86.実施形態29から33のいずれか1つに直接的または間接的に依存する場合を除
き、前記鉄キレート剤がSPD602(FBS0701)またはその薬学的に許容される
塩、溶媒和物もしくは水和物である、実施形態47に記載の方法。
87.前記SPD602の標準用量が10~60mg/kgであり、1日1回経口投与
される、実施形態86に記載の方法。
88.前記対象に投与される前記SPD602の用量が、20~120mg/kgであ
り、隔日1回経口投与される、実施形態86に記載の方法。
89.前記金属誘発性疾患が鉄過剰である、実施形態46から88のいずれか1つに記
載の方法。
90.前記金属誘発性疾患が体内の鉄の不均等分布または再分布の結果である、実施形
態89に記載の方法。
91.前記金属誘発性疾患が無トランスフェリン血症、無セルロプラスミン血症または
フリードライヒ運動失調症(Fredreich's ataxia)である、実施形態89に記載の方法。
92.前記金属誘発性疾患が輸血鉄過剰の結果である、実施形態89に記載の方法。
93.前記金属誘発性疾患がβ-サラセミアである、実施形態89に記載の方法。
94.前記金属誘発性疾患が重症型β-サラセミアである、実施形態93に記載の方法

95.前記金属誘発性疾患が中間型β-サラセミアである、実施形態93に記載の方法

96.前記金属誘発性疾患が鎌状赤血球貧血、ダイアモンド-ブラックファン貧血、鉄
芽球性貧血、慢性溶血性貧血、治療離脱白血病(off-therapy leukemia)、骨髄移植また
は骨髄異形成症候群である、実施形態89に記載の方法。
97.前記金属誘発性疾患が食事由来鉄の過剰吸収をもたらす遺伝性疾患である、実施
形態89に記載の方法。
98.前記金属誘発性疾患が遺伝性ヘモクロマトーシスまたは晩発性皮膚ポルフィリン
症である、実施形態97に記載の方法。
99.前記金属誘発性疾患が過剰な食事由来鉄の吸収をもたらす後天性疾患である、実
施形態89に記載の方法。
100.前記金属誘発性疾患が肝臓疾患である、実施形態99に記載の方法。
101.前記肝臓疾患が肝炎である、実施形態100に記載の方法。
102.実施形態33から45が実施形態29から33のいずれか1つに直接的または
間接的に依存する場合を除き、前記金属誘発性疾患がランタニドまたはアクチニド過剰で
ある、実施形態1から28および33から45のいずれか1つに記載の方法。
103.前記金属キレート剤がジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)である、実施
形態102に記載の方法。
104.実施形態33から45が実施形態29から33のいずれか1つに直接的または
間接的に依存する場合を除き、前記金属が鉛または水銀である、実施形態1から28およ
び33から45のいずれか1つの方法。
105.前記金属誘発性疾患が鉛または水銀中毒である、実施形態104に記載の方法

106.前記金属キレート剤がエデト酸カルシウム二ナトリウムまたはエチレンジアミ
ン四酢酸(EDTA)である、実施形態105に記載の方法。
【0062】
本明細書に引用されているすべての刊行物、特許、特許出願および他の文書は、あたか
もそれぞれの個別の刊行物、特許、特許出願または他の文書があらゆる目的で参照により
組み込まれることが個別に示されたのと同程度に、あらゆる目的で参照により本明細書に
組み込まれる。本明細書に組み込まれている1つまたは複数の参考文献の教示と本開示と
の間に矛盾がある場合には、本明細書の教示が意図される。
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-09-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載の発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
さらに、本開示は、以下に記載の番号付与した実施形態2によって例示される。
1.対象における(a)金属誘発性疾患を治療し、かつ/または(b)金属キレート剤の腎臓、胃腸、肝臓、血液、聴覚、視覚および/もしくは皮膚の毒性を低減する方法であって、複数回用量の金属キレート剤を前記対象に経口投与することを含み、各用量が、前回の投与の24時間後よりも後、および/または1週間に5回以下で投与される、方法。
2.対象における(a)金属誘発性疾患を治療し、かつ/または(b)金属キレート剤の腎臓、視覚、聴覚、神経、呼吸器および/もしくは筋骨格の毒性を低減する方法であって、5回未満の週用量の金属キレート剤を前記対象に静脈内または皮下投与することを含む、方法。
3.前記金属キレート剤が週に5回、月に15~25回、または月に20~25回投与される、上記1に記載の方法。
4.前記金属キレート剤が(a)週に4回、(b)週に3回、(c)月に12~18回、(d)月に15~25回投与される、上記1または2に記載の方法。
5.前記金属キレート剤が36~72時間ごとに投与される、上記1または2に記載の方法。
6.前記金属キレート剤が少なくとも1週間、少なくとも1カ月、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、少なくとも1年間の期間投与されるか、または無期限に投与される、上記1または2に記載の方法。
7.(a)標準日用量より多い用量が各投与時に投与され、任意選択で、投与される総週用量が標準総週用量に等しいか、もしくは前記標準総週用量より少なく、任意選択で、投与される前記総週用量が前記標準総週用量の0.75~0.9倍であり;
(b)前記標準日用量が各投与時に投与され、かつ/もしくは投与される前記総週用量が前記標準総週用量に等しく;または
(c)投与される前記総週用量が前記標準総週用量より多く、任意選択で、投与される前記総週用量が前記標準総週用量の1.25~2倍である、
上記1または2に記載の方法。
8.前記金属が鉄であり、任意選択で、前記金属キレート剤が鉄キレート剤である、上記1または2に記載の方法。
9.前記金属キレート剤がSP-420化合物である、上記1または2に記載の方法。
10.前記金属キレート剤がSP-420化合物であり、任意選択で、
(a)前記SP-420化合物が18~100mg/kgの用量で投与され;
(b)前記SP-420化合物が54~400mg/kgの総週用量で投与され;
(c)前記SP-420化合物がSP-420((S)-4,5-ジヒドロ-2-[2-ヒドロキシ-4-(3,6-ジオキサヘプチルオキシ)フェニル]-4-メチル-4-チアゾールカルボン酸)もしくはその薬学的に許容される塩であり;または
(d)(a)~(c)の任意の組合せである、
上記9に記載の方法。
11.前記金属キレート剤がSP-420化合物ではない、上記1または2に記載の方法。
12.前記金属キレート剤がデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物であり、任意選択で、前記対象に投与される前記デフェリプロンの用量が1日2回37.5~49.5mg/kgまたは1日1回66~99mg/kgである、上記11に記載の方法。
13.前記金属キレート剤がデフェロキサミンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物であり、任意選択で、前記対象に投与される前記デフェロキサミンの用量が、(a)20~50mg/kgであり、週5~7日4~6時間にわたる低速皮下注入として投与される、または(b)40~100mg/kgであり、週2~3日8~12時間にわたる低速皮下注入もしくは静脈内注入として投与される、または(c)1000~2000mgであり、隔日注射もしくは週3日の注射として投与される、上記11に記載の方法。
14.前記金属キレート剤がデフェラシロクスまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物であり、任意選択で、前記対象に投与される前記デフェラシロクスの用量が、40~80mg/kgであり、隔日1回もしくは週3日経口投与される、上記11に記載の方法。
15.前記金属キレート剤がデフェリトリンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物であり、任意選択で、前記対象に投与される前記デフェリトリンの用量が、20~160mg/kgであり隔日1回もしくは週3日経口投与される、上記11に記載の方法。
16.前記金属キレート剤がSPD602(FBS0701)またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物であり、任意選択で、前記対象に投与される前記SPD602の用量が、20~120mg/kgであり隔日1回もしくは週3日経口投与される、上記11に記載の方法。
17.前記金属誘発性疾患が鉄過剰である、上記1または2に記載の方法。
18.前記金属誘発性疾患がランタニドまたはアクチニド過剰であり、任意選択で、前記金属キレート剤がジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)である、上記1または2に記載の方法。
19.前記金属が鉛または水銀であり、任意選択で、前記金属誘発性疾患が鉛または水銀中毒であり、任意選択で、前記金属キレート剤がエデト酸カルシウム二ナトリウムまたはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である、上記1または2に記載の方法。
20.対象における(a)金属誘発性疾患を治療し、かつ/または(b)金属キレート剤の血液、胃腸、肝臓および/もしくは筋骨格の毒性を低減する方法であって、前記方法が1回または2回の日用量の前記金属キレート剤を前記対象に経口投与することを含み、前記金属キレート剤がデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物であり、任意選択で、
(a)前記方法が2回の日用量の前記金属キレート剤を投与することを含み;
(b)前記日用量が6~12時間間隔で投与され;または、
(c)前記金属キレート剤が週に14回投与される、
方法。
本明細書に引用されているすべての刊行物、特許、特許出願および他の文書は、あたかもそれぞれの個別の刊行物、特許、特許出願または他の文書があらゆる目的で参照により組み込まれることが個別に示されたのと同程度に、あらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に組み込まれている1つまたは複数の参考文献の教示と本開示との間に矛盾がある場合には、本明細書の教示が意図される。